JP2016117979A - 洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸 - Google Patents

洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸 Download PDF

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Abstract

【課題】高い吸湿性能を有し天然繊維を超える快適性と、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性と染色堅牢性を有する芯鞘複合繊維を提供する。【解決手段】鞘部ポリマーがポリアミド、芯部が熱可塑性ポリマーであり、ΔMRが5.0%以上、かつ、洗濯20回後のΔMR保持率が90%以上100%以下である洗濯耐久性に優れた吸湿性を有し、洗濯堅牢度が3級以上5級以下で、鞘部ポリマーがポリビニルピロリドンを3〜7重量%含有する吸湿性芯鞘複合体。鞘部ポリマーのα結晶配向パラメーターが1.9〜2.7であり、アミノ末端基量が3.5〜8.0×10−5mol/gであり、芯部の熱可塑性ポリマーがポリエーテルエステルアミド共重体である、吸湿性芯鞘複合糸。【選択図】なし

Description

本発明は、洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸に関するものである。
ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂から成る合成繊維は、強度、耐薬品性、耐熱性などに優れるために、衣料用途や産業用途など幅広く用いられている。
特にポリアミド繊維はその独特な柔らかさ、高い引っ張り強度、染色時の発色性、高い耐熱性等の特性に加え、吸湿性に優れており、インナーウエア、スポーツウエアなどの用途に広く使用されている。しかしながら、ポリアミド繊維は綿などの天然繊維と比べると吸湿性は十分とはいえず、また、ムレやべたつきといった問題点を有し、快適性の面で天然繊維に劣ることが問題となっている。
そのような背景からムレやべたつきを防ぐための優れた吸放湿性を示し、天然繊維に近い快適性を有する合成繊維が、主にインナー用途やスポーツ衣料用途において要望されている。
そこで、ポリアミド繊維に親水性化合物を添加する方法が一般には最も多く検討されてきた。例えば、特許文献1には、親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドンをポリアミドにブレンドして紡糸することで吸湿性能を向上させる方法が提案されている。
一方、繊維の構造を芯鞘構造とし、高吸湿性の熱可塑性樹脂を芯部に、力学特性に優れた熱可塑性樹脂を鞘部とする芯鞘構造とすることで、吸湿性能と、力学特性を両立させる検討が盛んに行われている。
例えば、特許文献2には、芯部と鞘部からなり芯部が繊維表面に露出しない形状の芯鞘複合繊維であり、ハードセグメントが6−ナイロンであるポリエーテルブロックアミド共重合物を芯部とし、6−ナイロン樹脂を鞘部とした、繊維横断面における芯部と鞘部の面積比率が3/1〜1/5である芯鞘複合繊維が記載されている。
また、特許文献3には、熱可塑性樹脂を芯部とし繊維形成性ポリアミド樹脂を鞘部とする芯鞘型複合繊維であって、該芯部を形成する熱可塑性樹脂の主成分がポリエーテルエステルアミドであり、かつ芯部の比率が複合繊維全重量の5〜50重量%であることを特徴とする吸湿性に優れた芯鞘型複合繊維として、ポリエーテルエステルアミドを芯部に、ポリアミドを鞘部に配し、高吸湿性を発現させた芯鞘複合繊維が記載されている。
また、特許文献4には、ポリアミド又はポリエステルを鞘成分、ポリエチレンオキサイドの架橋物からなる熱可塑性吸水性樹脂を芯成分としたことを特徴とする吸放湿性を有する複合繊維が記載されている。ここには、高吸湿性の非水溶性ポリエチレンオキシド変性物を芯部に、ポリアミドを鞘部に配した高吸湿芯鞘複合繊維が記載されている。
特開平9−188917号公報 国際公開第2014/10709号 特開平6−136618号公報 特開平8−209450号公報
しかしながら、特許文献1に記載の繊維は、天然繊維に近い吸放湿性を有しているものの、その性能は十分に満足できるものでなく、更なる高い吸放湿性の達成が課題である。
また、特許文献2〜4の芯鞘複合繊維は、天然繊維と同等かそれ以上の吸放湿性を有しているものの、芯部が繰り返しの実使用によって劣化し、繰り返し使用による吸湿性能の低下が課題であった。また、芯部の高吸放湿性ポリマーは染料の出入りが容易な高分子構造であるため、染色堅牢性が劣る欠点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を克服し、高い吸湿性能を有し天然繊維を超える快適性と、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性と染色堅牢性を有する芯鞘複合糸を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、下記の構成からなる。
(1)鞘部ポリマーがポリアミド、芯部が熱可塑性ポリマーであり、ΔMRが5.0%以上、かつ、洗濯20回後のΔMR保持率が90%以上100%以下である洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
(2)洗濯堅牢度が3級以上5級以下である(1)に記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯
鞘複合糸。
(3)鞘部ポリマーがポリアミドのα結晶配向パラメーターが1.9以上2.7以下であり、かつ芯部の熱可塑性ポリマーがポリエーテルエステルアミド共重合体である(1)または(2)に記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
(4)芯鞘複合糸の鞘部ポリマーのアミノ末端基量が3.5×10−5mol/g以上8.0×10−5mol/g以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
(5)鞘部ポリマーがポリビニルピロリドンを3〜7重量%含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸を少なくとも一部に有する布帛。
本発明によれば、高い吸湿性能を有し天然繊維を超える快適性と、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性と染色堅牢性を有する芯鞘複合糸を提供することができる。
本発明の芯鞘複合糸は、鞘部にポリアミド、芯部に高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーを用いる。芯部の高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーとは、ペレット形状で測定したΔMRが10%以上のポリマーを指し、ポリエーテルエステルアミド共重合体やポリビニルアルコール、セルロース系熱可塑性樹脂等があげられる。その中でも、熱安定性や鞘部のポリアミドとの相溶性が良く耐剥離性に優れる観点から、ポリエーテルエステルアミド共重合体が好ましい。
ポリエーテルエステルアミド共重合体とは、同一分子鎖内にエーテル結合、エステル結合およびアミド結合を持つブロック共重合体である。より具体的にはラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれた1種もしくは2種以上のポリアミド成分(A)およびジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコールからなるポリエーテルエステル成分(B)を重縮合反応させて得られるブロック共重合体ポリマーである。
ポリアミド成分(A)としては、ε−カプロラクタム、ドデカノラクタム、ウンデカノラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸,11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのω−アミノカルボン酸、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等の前駆体であるジアミン−ジカルボン酸のナイロン塩類があり、好ましいポリアミド形成性成分はε−カプロラクタムである。
ポリエーテルエステル成分(B)は、炭素数4〜20のジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコールとからなるものである。炭素数4〜20のジカルボン酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸をあげることができ、1種または2種以上混合して用いることができる。好ましいジカルボン酸はアジピン酸、セバシン酸、ドデカジ酸、テレフタル酸、イソフタル酸である。またポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール等があげられ、特に良好な吸湿性能を有するポリエチレングリコールが好ましい。
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は300〜10000が好ましく、より好ましくは500〜5000である。分子量が300以上であると、重縮合反応中に系外に飛散しにくく、吸湿性能が安定した繊維となるため好ましい。また、10000以下であると、均一なブロック共重合体が得られ製糸性が安定するため好ましい。
ポリエーテルエステル成分(B)の構成比率はmol比にて、20〜80%であることが好ましい。20%以上であると、良好な吸湿性が得られるため好ましい。また、80%以下であると、良好な染色堅牢性や洗濯耐久性が得られるため好ましい。
このようなポリエーテルエステルアミド共重合体として、アルケマ社製“MH1657”や“MV1074”等が市販されている。
鞘部のポリアミドには、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン612等、あるいはそれらとアミド形成官能基を有する化合物、例えばラウロラクタム、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の共重合成分を含有する共重合ポリアミドがあげられる。中でも、ナイロン6および、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612が、ポリエーテルエステルアミド共重合体との融点の差が小さく、溶融紡糸時にポリエーテルエステルアミド共重合体の熱劣化が抑制でき、製糸性の観点から好ましい。中でも好ましくは、染色性に富むナイロン6である。
本発明の鞘部のポリアミドに、吸湿剤を含有することが吸湿性を高める上でさらに好ましい。吸湿剤を例示すると、ポリビニルピロリドン、ポリエーテルアミド、ポリアルキルレングリコール、ポリエーテルエステルアミド等が用いられ、特にポリビニルピロリドンが好ましい。ポリビニルピロリドンの重合度は、K値として20〜70の範囲が好ましい。ここでいうK値とはポリビニルピロリドン水溶液の相対粘度を用いた毛細管粘度計により得られる、いわゆるフィッケンチャーのK値である。この値はポリビニルピロリドンの分子量と相関し、従来からポリビニルピロリドンの分子量を測定するのに使用されている。K値が20以上であると、ポリアミド分子鎖との絡み合いが強固となり、吸放湿性能が安定した繊維となるため好ましい。一方、K値が60以下であると、ポリアミドに練り込む際の増粘を抑制し、製糸性の観点から好ましい。さらに好ましくは20〜60の範囲である。
また、ポリビニルピロリドンの含有量は、鞘部ポリアミドに対し3〜7重量%含有することが好ましい。3重量%以上とすることにより、着用時に肌から水分を繊維側に素早く移動させ、サラッとした風合いを付与することができる。7重量%以下とすることにより、洗濯堅牢度、実使用に耐えうる強度に優れた衣料を提供可能となる。
本発明の鞘部のポリアミドには、各種の添加剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、螢光増白剤、帯電防止剤、カーボンなどを、総添加物含有量が0.001〜10重量%の間で必要に応じて共重合または混合していてもよい。
本発明の芯鞘複合糸は、鞘部のポリアミドのα型結晶配向パラメーターが1.90以上2.70以下であることが好ましい。鞘部のポリアミドのα型結晶は安定した結晶型であり、高い応力が加わった際にα型結晶が形成される。かかる範囲とするには、後述するように特定条件(芯鞘の組成比や粘度比など)で紡糸して、鞘部のポリアミドに紡糸から引取時の延伸および引取りローラー間で鞘部の延伸を優先的に加えることにより、安定した結晶型であるα型結晶を鞘部に存在させることが可能となる。その結果、芯鞘複合糸の染色後の染着強度が上昇し、染色堅牢度が良化するばかりか、紡糸時の延伸力が鞘部のポリアミドに集中し、芯部の高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーの結晶化が抑制されることで、芯鞘複合糸の吸湿性能を高めることが出来るため、好ましい。
更に、ポリエーテルエステルアミド共重合体の場合は、結晶化によりポリエーテルエステル成分が局在化した構造を形成し易く、局在部はアルカリ性液体への耐久性が劣るため、鞘部のポリアミドのα型結晶配向パラメーターをかかる範囲とし、芯部のポリエーテルエステルアミド共重合体の結晶化を抑制することで、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性を発現させることが可能となる。
α型結晶配向パラメーターが1.90以上であると、鞘部のポリアミドの結晶化が進み、複合糸としての染色堅牢度も良好であり、かつ芯部の高い吸湿性能を有する芯部の熱可塑性ポリマーの結晶化が進まず、吸湿性能が良好である。更に、ポリエーテルエステルアミド共重合体の場合は、結晶化が進まないため、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性が良好となる。一方、α型結晶配向パラメーターが2.70以下であると、鞘部のポリアミドの結晶化が進まず、紡糸の際に糸切れや毛羽の発生を抑制できるので生産性が向上する。さらに好ましくは2.00以上2.60以下、さらに好ましくは2.05以上2.60以下である。
本発明の芯鞘複合糸は、着用時に良好な快適性を得るため、衣服内の湿度を調節する機能を有することが必要である。湿度調整の指標として、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温湿度と、20℃×65%RHに代表される外気温湿度における吸湿率の差で表されるΔMRを用いる。ΔMRは大きければ大きいほど吸湿性能が高く、着用時の快適性が良好であることに対応する。
本発明の芯鞘複合糸は、ΔMRが5.0%以上であることが好ましい。より好ましくは7.0%以上、更に好ましくは10.0%以上、一層好ましくは15.0%以上である。かかる範囲とすることで、着用時のムレやベタツキを抑制でき、快適性に優れる衣料を提供可能となる。なお、本発明で達成できるΔMRのレベルは17.0%程度である。
本発明の芯鞘複合糸は、洗濯20回後のΔMRの保持率が90%以上100%以下であることが好ましい。より好ましくは95%以上100%以下である。かかる範囲とすることで、実使用に耐えうる洗濯耐久性が得られるため、優れた快適性を保持した衣料を提供可能となる。更には、△MRが5.0%以上かつ洗濯20回後のΔMRの保持率が90%以上を満たすことが、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った快適性に優れる衣料を提供することが可能となる。
本発明の芯鞘複合糸のΔMRをかかる範囲とすることにより、静電気による着用時のまつわり付きやほこり付着の少ない制電性能を発現することが可能となる。すなわち、芯部に高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーを繊維軸方向に連続的に配置した糸であるため、空気中の水分を利用した制電機構を発現し、低温低湿度の環境下(例えば20℃×40%RH)においても良好な制電性能が得られる。
本発明の芯鞘複合糸は、20℃×40%RH環境下での摩擦布が綿の摩擦帯電圧が0V以上1500V以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0以上1000V以下であることが好ましい。摩擦帯電圧が低くなるほど制電性能に優れるということであるが、一般的なポリアミド繊維の20℃×40%RH環境下での摩擦布が綿の摩擦帯電圧は、4500〜5500V程度である。かかる範囲とすることにより静電気による着用時のまつわり付きやほこり付着の少ない制電性能に優れる、すなわち、快適性に優れる衣料が提供可能となる。
本発明の芯鞘複合糸は、洗濯堅牢度(変退色、色落ち)が3級以上5級以下であることが好ましい。かかる範囲とすることで、実使用に耐えうる洗濯耐久性が得られるため、染色堅牢性に優れた衣料を提供可能となる。 本発明の芯鞘複合糸は、鞘部ポリマーのアミノ末端基量が3.5×10−5mol/g以上8.0×10−5mol/g以下であることが好ましい。親水性に富むアミノ末端基量が3.5×10−5mol/g以上であると、吸湿性能が高まり好ましく、またアミノ末端基は染料着座となるため衣料用途に適した発色性や染色堅牢度が得られる。一方、アミノ末端基量が8.0×10−5mol/g以下であると、染色時に染め斑になり難い繊維となり好ましい。さらに好ましくは、4.2×10−5mol/g以上8.0×10−5mol/g以下、一層好ましくは4.5×10−5mol/g以上8.0×10−5mol/g以下である。
本発明の芯鞘複合糸は、引っ張り強度が2.5cN/dtex以上であることが好ましい。より好ましくは3.0cN/dtex以上である。かかる範囲とすることで、主にインナー衣料用途やスポーツ衣料用途である衣料用途において、実使用に耐えうる強度に優れた衣料を提供可能となる。
本発明の芯鞘複合糸は、伸度が35%以上であることが好ましい。より好ましくは40〜65%である。かかる範囲とすることで、製織、製編、仮撚りといった高次工程での工程通過性が良好となる。
本発明の芯鞘複合糸の総繊度、フィラメント数(長繊維の場合)、長さ・捲縮数(短繊維の場合)も特に限定はなく、断面形状も得られる布帛の用途等に応じて任意の形状とすることができる。衣料用長繊維素材として使用することを考慮すると、マルチフィラメントとしての総繊度は5デシテックス以上235デシテックス以下、フィラメント数は1以上144フィラメント以下が好ましい。また、断面形状は円形、三角、扁平、Y型、星形や偏芯型、貼り合わせ型が好ましい。
本発明の芯鞘複合糸は、公知の溶融紡糸、複合紡糸の手法により得ることができるが、例示すると以下のとおりである。
例えば、ポリアミド(鞘部)と高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマー(芯部)を別々に溶融しギヤポンプにて計量・輸送し、そのまま通常の方法で芯鞘構造をとるように複合流を形成して紡糸口金から吐出し、チムニー等の糸条冷却装置によって冷却風を吹き当てることにより糸条を室温まで冷却し、給油装置で給油するとともに集束し、第1流体交絡ノズル装置で交絡し、引き取りローラー、延伸ローラーを通過し、その際引き取りローラーと延伸ローラーの周速度の比に従って延伸する。さらに、糸条を延伸ローラーにより熱セットし、ワインダー(巻取装置)で巻き取る。
本発明の芯鞘複合糸の鞘部のα型結晶配向パラメーターをかかる範囲に制御するためには、ポリマー選択に加えて、紡糸の際の芯鞘複合比率、芯鞘ポリマー粘度、延伸工程等で好ましく制御することができる。
本発明の芯鞘複合糸の芯部の比率は、複合糸100重量部に対して20重量部〜80重量部であることが必要である。更に好ましくは、30重量部〜70重量部である。かかる範囲とすることにより、鞘部のポリアミドに適切な延伸を加えることが可能となる。また、良好な染色堅牢性、吸湿性能が得られる。20重量部未満であると、十分な吸湿性能が得られない。一方、80重量部を越えると染色のような熱水雰囲気下で膨潤による繊維表面の割れが発生し易くなるばかりか、鞘部のポリアミドに過度な延伸が加わり、目標とするα型結晶配向パラメーターとすることができなくなる。また、過度な張力を発生させる紡糸、延伸は糸切れや毛羽の発生に繋がり目的とする繊維を安定的に製造するためには好ましいことではない。
本発明の鞘部に使用するポリアミドチップは、硫酸相対粘度にて2.3以上3.3以下とする必要がある。好ましくは、2.6以上3.3以下である。かかる範囲とすることにより、鞘部のポリアミドに適切な延伸を加えることが可能となる。硫酸相対粘度が2.3以上であると、実用可能な原糸強度が得られるばかりか、最適な延伸が加わるため、鞘部のポリアミドの結晶化が進み、α型結晶配向パラメーターが適切な値となり、染色堅牢度が向上するため、好ましい。一方、硫酸相対粘度が3.3以下であると、紡糸に適した溶融粘度であるため、芯部の高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーに適した紡糸温度にて生産が可能であり、好ましい。
本発明の芯部に使用する高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーのチップは、オルトクロロフェノール相対粘度にて1.2以上2.0以下であることが好ましい。オルトクロロフェノール相対粘度が1.2以上であると、鞘部に最適な延伸が加わり、鞘部のポリアミドの結晶化が進み、α型結晶配向パラメーターが適切な値となり、糸切れや毛羽が発生し難くなり好ましい。一方、オルトクロロフェノール相対粘度が2.0以下であると、過度な延伸が芯部に加わらず、鞘部のポリアミドの結晶化が進み、α型結晶配向パラメーターが適切な値となり、染色堅牢度が向上し好ましい。
延伸工程において、引き取りローラーによって引き取られる糸条の速度(紡糸速度)に、引き取りローラーと延伸ローラーの周速度比の値である延伸倍率の積が、3300m/min以上4500m/min以下となるように紡糸条件を設定することが好ましい。さらに好ましくは3500m/min以上4500m/min以下、さらに好ましくは4000m/min以上4500m/min以下である。この数値は口金より吐出されたポリマーが、口金吐出線速度から引き取りローラーの周速度まで、さらに引き取りローラーの周速度から延伸ローラーの周速度まで延伸される総延伸量を表している。かかる範囲とすることにより、鞘部のポリアミドに適切な延伸を加えることが可能となる。3300m/min以上であると鞘部のポリアミドの結晶化が進み、染色堅牢度が向上するばかりでなく、芯部の高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーの結晶化が進まず、吸湿性能が向上し易くなる。一方、4500m/min以下であると鞘部のポリアミドの結晶化が適度に進行し、所定の結晶化度とすることが可能となるばかりではなく、製糸の際に糸切れや毛羽の発生が少なく、好ましい。
給油工程において、給油装置によって付与される紡糸油剤は非含水系油剤であることが好ましい。芯部の高い吸湿性能を有する熱可塑性ポリマーは、ΔMRが10%以上のポリマーで吸湿性能に優れるため、非含水系油剤を付与した場合、徐々に空気中の水分を吸収するため、膨潤が発生し難く、安定した巻き取りが可能なため好ましい。
以上のようにして得られる芯鞘複合糸の構造体としては前述したものに限らず、フィラメント、ステープル、不織布等でも良く、用途によって選択される。
本発明の芯鞘複合糸は、布帛、衣料品に好ましく用いられ、布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて選択でき、衣料も含まれる。また、衣料品としては、インナーウエア、スポーツウエアなどの各種衣料用製品とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお実施例における特性値の測定法等は次のとおりである。
(1)硫酸相対粘度
試料0.25gを濃度98wt%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98wt%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
(2)オルトクロロフェノール相対粘度
試料0.5gをオルトクロロフェノール100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、オルトクロロフェノールのみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
(3)K値
ポリビニルピロリドンを濃度1%の水溶液とし、その相対粘度を測定し、Fikentscherの式により求める。
logZ=C[75k/(1+1.5kC)+k]
但し、Z:濃度Cの水溶液の相対粘度、k:K値×10−3、C:水溶液濃度(%)である。
(4)繊度
1.125m/周の検尺器に繊維試料をセットし、200回転させて、ループ状かせを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてかせ質量を量り、公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。なお、芯鞘複合糸の公定水分率は、4.5%とした。
(5)強度・伸度
繊維試料を、オリエンテック(株)製“TENSILON”(登録商標)、UCT−100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で除した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を強度および伸度とした。
(6)α晶配向パラメーター
繊維試料を、レーザーラマン分光法にて測定し、1120cm−1付近に認められるナイロンのα晶に由来するラマンバンドの平行偏光での強度比(I1120)平行)と、垂直偏光での強度比(I1120)垂直)の比をとることで、配向度評価のパラメーターとした。また、配向に対する異方性が小さいCH変角バンド(1440cm−1付近)のラマンバンド強度を基準とし、各偏光条件(平行/垂直)の散乱強度を規格化した。
α晶配向パラメーター=(I1120/I1440)平行/(I1120/I1440)垂直 。
なお、配向測定用の試料は樹脂包埋後(ビスフェノール系エポキシ樹脂、24時間硬化)、ミクロトームにより切片化した。切片厚みは2.0μmとした。切片試料は切断面が楕円形になるように繊維軸から僅かに傾けて切断し、楕円形の短軸の厚みが一定厚になる箇所を選択して測定した。測定は顕微モードで行い、試料位置におけるレーザーのスポット径は1μmである。 芯、鞘層中心部の配向性解析を行い、配向の測定は偏光条件下で行った。偏光方向が繊維軸と一致する場合を平行条件、直行する場合を垂直条件として、それぞれ得られるラマンバンド強度の比から配向の程度を評価した。なお、各測定点につきn=3の測定を行った。詳細条件を以下に示す。
レーザーラマン分光法
装置:T−64000(Joobin Yvon/愛宕物産)
条件:測定モード;顕微ラマン
対物レンズ;×100
ビーム径;1μm
光源;Ar+レーザー/514.5nm
レーザーパワー;50mW
回折格子;Single 600gr/mm
スリット;100μm
検出器;CCD/Jobin Yvon 1024×256 。
(7)鞘部ポリマーチップのアミノ末端基濃度
試料1gを50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=80/20)に、30℃で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸の量を求める。そしてその差から試料1gあたりのアミノ末端基量を求めた。
(8)芯鞘複合糸の鞘部ポリマーのアミノ末端基濃度
A.鞘部の重量比率測定
パラフィン、ステアリン酸、エチルセルロースからなる包理剤を溶解し、芯鞘複合糸を導入後室温放置により固化させ、包理剤中の原糸を横断面方向に切断したものを東京電子(株)製のCCDカメラ(CS5270)にて繊維横断面を撮影し、その単糸中で任意に選定した10本(単糸数が10以下の場合は全て)の芯鞘複合糸について、三菱電機製のカラービデオプロセッサー(SCT−CP710)にて1500倍でプリントアウトした断面写真を鞘部および芯部に切り抜き、重量測定後、以下の式にて算出した。
鞘部の重量比率=鞘部の重量/(鞘部の重量+芯部の重量)×100
B.芯鞘複合糸のアミノ末端基濃度
上記(6)記載の方法にてアミノ末端基量を求めた。
C.鞘部ポリマーのアミノ末端基濃度
上記Bで得られたアミノ末端基量を、上記Aで得られた鞘部の重量比率にて除し、算出した。
鞘部ポリマーのアミノ末端基濃度
=芯鞘複合糸のアミノ末端基量/鞘部の重量比率/100 。
(9)筒編み地作製
A.筒編地の作製
筒編機にて度目が50となるように調整して作製した。繊維の正量繊度が低い場合は、筒編機に給糸する繊維の総繊度が50〜100dtexとなるように適宜合糸し、総繊度が100dtexを超える場合は、筒編機への給糸を1本で行い、前記同様度目が50となるように調整して作製した。
B.筒編み地の精錬
上記Aで得られた筒編み地をノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ノイゲンSS)2g/l水溶液を編み地1gに対し100ml用意し、60℃にて30分洗浄した後、流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。
C.筒編み地の染色
上記A,Bで得られた筒編み地を、以下の染料及び染色助剤を用いて染色した。
酸性染料:Erionyl Blue A−R 2.0質量%
染色助剤:酢酸 1.5%
酸性染料、染色助剤を含む染色浴に常圧98℃設定で45分間染色した後、流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。
D.発色性
上記Cにて得られた、染色後の筒編み地の発色性について、以下の4段階で評価した。
◎:均一に全体が濃色に着色。
○:均一に全体が中色(淡〜濃色)〜濃色に着色
△:均一に全体が淡色〜中色(淡〜濃色)に着色
×:均一に全体が淡色に着色 。
(10)ΔMR
筒編み地(A)を、秤量瓶に1〜2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させ重量を測定し(W0)、次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後重量を測定する(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後重量を測定する(W90)。そして、以下の式にしたがい計算した。
MR1=[(W65−W0)/W0]×100% ・・・・・ (1)
MR2=[(W90−W0)/W0]×100% ・・・・・ (2)
ΔMR=MR2−MR1 ・・・・・・・・・・・・ (3) 。
(11)洗濯後ΔMR
筒編み地(A)を、JIS L0217(2010)付表1記載の番号103記載の方法にて、繰り返し20回洗濯を実施した後、上記記載の吸放湿性を測定し算出した。
△MRが5.0%以上の場合、着用時に良好な快適性が得られると判断した。
(12)洗濯後ΔMR保持率
洗濯前後のΔMRの変化指標として、洗濯後のΔMR保持率を下記式にて算出した。
洗濯処理後のΔMR/洗濯処理前のΔMR × 100
△MR保持率が90%以上の場合は、洗濯耐久性有りと判断した。
(13)洗濯堅牢度
染色筒編み地(C)を、JIS L0844(2009)7.1項A法に従い、表7中のA−2条件にて測定した。判定はJIS L0801(2009)10項(a)の視感法に従って、変退色および色落ちについて級判定を実施した。変退色および色落ち判定のいずれも3級以上の場合は選択牢度は合格、少なくとも変退色か色落ち判定の1つが2−3級以下の場合は染色堅牢度は不合格とした。
(14)総合評価
洗濯堅牢度、洗濯後△MR、洗濯後ΔMR保持率の評価を行い、以下の3段階で評価した。
◎:洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級以上、洗濯後△MRが7.0%以上、洗濯後△MR保持率が95%以上の項目が3項目当てはまる。
○:洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3級以上、洗濯後△MRが5.0%、洗濯後△MR保持率が90%以上の項目が3項目当てはまる。
×:洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも2−3級以下、洗濯後△MRが5.0%未満、洗濯後△MR保持率が90%未満の項目が1項目以上当てはまる。
◎と○は、天然繊維を超える快適性と、実使用に耐えうる洗濯耐久性に優れ合格とした。
(15)制電性
筒編み地(A)を、JIS L1094(織物及び編物の帯電性試験方法、2014年)A法(半減期測定法)、B法(摩擦帯電圧測定法)に従い測定した。尚、環境条件は20℃×40%RH、摩擦布は綿(金巾3号)、たて方向で測定した。
摩擦耐電圧が1500V以下の場合、着用時に良好な制電性能が得られると判断した。
(16)洗濯後制電性
筒編み地(A)を、JIS L0217(2010)付表1記載の番号103記載の方法にて、繰り返し20回洗濯を実施した後、上記記載の制電性を測定した。
実施例1
ポリアミド成分がナイロン6、ポリエーテル成分(ポリ(アルキレンオキシド)グリコール)が分子量1500のポリエチレングリコールであり、ポリエーテル成分の構成比率はmol比にて約76%であるポリエーテルエステルアミド共重合体(アルケマ社製、MH1657、オルトクロロフェノール相対粘度:1.69)を芯部とし、硫酸相対粘度が2.71、アミノ末端基量が5.95×10−5mol/gであるナイロン6を鞘部とし、270℃にて溶融し、同心円芯鞘複合用口金(24ホール)から芯/鞘比率(重量部)=50/50になるように紡糸した。なお、アミノ末端基量は重合時にヘキサメチレンジアミンおよび酢酸にて調整した。
この時、得られる芯鞘複合糸の総繊度が56dtexとなるようにギヤポンプの回転数を選定し、それぞれ22g/minの吐出量とした。そして糸条冷却装置で糸条を冷却固化し、給油装置により非含水油剤を給油したのち、第1流体交絡ノズル装置で交絡を付与し、第1ロールである引き取りローラーの周速度を3368m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を4210m/minで延伸、延伸ローラー150℃により熱セットを行い、巻き取り速度を4000m/minで巻き取り、56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは12.4%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級、洗濯後ΔMRは12.4%、洗濯後ΔMR保持率は100%と極めて良好であった。すなわち、得られた芯鞘複合糸を用いた布帛および衣料品は、実使用に耐えうる洗濯耐久性に優れた快適性衣料が得られる。
また、20℃×40%RH環境下での摩擦帯電圧は800V、洗濯後摩擦帯電圧は800Vと優れた制電性能を有し、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
実施例2
第1ロールである引き取りローラーの周速度を2381m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を3571m/min、巻き取り速度を3500m/minで巻き取った以外実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは11.6%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3−4級、洗濯後ΔMRは11.1%であり、洗濯後ΔMR保持率は95.7%と良好であった。
実施例3
第1ロールである引き取りローラーの周速度を2245m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を3367m/min、巻き取り速度を3300m/minで巻き取った以外実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは10.8%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3級、洗濯後ΔMRは9.9%であり、洗濯後ΔMR保持率は91.7%と良好であった。
実施例4
第1ロールである引き取りローラーの周速度を4474m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を4474m/min、巻き取り速度を4250m/min、で巻き取った以外実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは13.1%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4−5級、洗濯後ΔMRは13.1%であり、洗濯後ΔMR保持率は100%と極めて良好であった。
実施例5
芯/鞘比率(重量部)=30/70になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは7.5%と高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3−4級、洗濯後ΔMRは7.2%であり、洗濯後ΔMR保持率は96.0%と良好であった。
また、20℃×40%RH環境下での摩擦帯電圧は850V、洗濯後摩擦帯電圧は850Vと優れた制電性能を有し、実使用に耐えうる洗濯耐久性を持った制電性能に優れた快適衣料が得られる。
実施例6
芯/鞘比率(重量部)=20/80になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは5.9%と十分な吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3−4級、洗濯後ΔMRは5.5%であり、洗濯後ΔMR保持率は93.2%と良好であった。
実施例7
芯/鞘比率(重量部)=70/30になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは15.1%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3−4級、洗濯後ΔMRは15.0%であり、洗濯後ΔMR保持率は99.3%と良好であった。
実施例8
芯/鞘比率(重量部)=80/20になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。
得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは16.9%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3級、洗濯後ΔMRは16.7%であり、洗濯後ΔMR保持率が99.4%と良好であった。
実施例9
硫酸相対粘度が2.40、アミノ末端基量が3.95×10−5mol/gであるナイロン6を鞘部とし紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは11.1%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3級、洗濯後ΔMRは10.1%であり、洗濯後ΔMR保持率は90.1%と良好であった。
実施例10
硫酸相対粘度が2.63、アミノ末端基量が5.20×10−5mol/gであるナイロン6を鞘部とし紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは12.0%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級、洗濯後ΔMRは11.6%であり、洗濯後ΔMR保持率は96.7%と極めて良好であった。
実施例11
硫酸相対粘度が3.30、アミノ末端基量が4.78×10−5mol/gであるナイロン6を鞘部とし紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは13.1%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4−5級、洗濯後ΔMRは13.1%であり、洗濯後ΔMR保持率は100%と極めて良好であった。
実施例12
硫酸相対粘度が2.63、アミノ末端基量が7.40×10−5mol/gであるナイロン6を鞘部とし紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは12.7%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4−5級、洗濯後ΔMRは12.2%であり、洗濯後ΔMR保持率は96.1%と極めて良好であった。
実施例13
硫酸相対粘度が2.63、アミノ末端基量が4.15×10−5mol/gであるナイロン6を鞘部とし紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは11.5%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3級、洗濯後ΔMRは10.5%であり、洗濯後ΔMR保持率は91.3%と良好であった。
実施例14
同心円芯鞘複合用口金を68ホールとしたこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を3508m/min以外実施例1と同様の方法で56デシテックス68フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは13.6%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級、洗濯後ΔMRは13.6%であり、洗濯後ΔMR保持率は100%と良好であった。
実施例15
同心円芯鞘複合用口金を68ホールとしたこと、第1ロールである引き取りローラーの周速度を3508m/min以外実施例5と同様の方法で56デシテックス68フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは8.3%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3−4級、洗濯後ΔMRは7.9%であり、洗濯後ΔMR保持率は95.2%と良好であった。
実施例16
添加物を含まない相対粘度2.71のナイロン6とポリビニルピロリドン(BASF社製“ルビスコール”K30SP,K値=30)を20重量%添加した相対粘度2.71のナイロン6を1:5の比率で、ポリビニルピロリドン添加率3.3重量%となるようにチップブレンドしたナイロン6ブレンドポリマーを鞘部とし紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表3に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは13.3%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級、洗濯後ΔMRは13.3%、洗濯後ΔMR保持率は100%と極めて良好であった。すなわち、得られた芯鞘複合糸を用いた布帛および衣料品は、実使用に耐えうる洗濯耐久性に優れた快適性衣料が得られる。また、鞘部に吸湿剤としてポリビニルピロリドンを含有させたことにより、吸湿性能が向上しただけでなく、着用時に肌から水分を繊維鞘側に素早く移動させ、実施例1と比較してサラッとした風合いが得られた。
実施例17
添加物を含まない相対粘度2.71のナイロン6とポリビニルピロリドン(BASF社製“ルビスコール”K30SP,K値=30)を20重量%添加した相対粘度2.71のナイロン6を1:2の比率で、ポリビニルピロリドン添加率6.7重量%となるようにチップブレンドした以外は実施例14と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表3に示す。
得られた芯鞘複合糸は、ΔMRは13.6%と極めて高い吸湿性能を有していた。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも4級、洗濯後ΔMRは13.6%、洗濯後ΔMR保持率は100%と極めて良好であった。
比較例1
硫酸相対粘度が2.15、アミノ末端基量が4.70×10−5mol/gであるナイロン6を鞘部成分とし紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表4に示す。
また得られた芯鞘複合糸のΔMRは10.5%と極めて高い吸湿性能を有していたが、洗濯後ΔMR保持率は73.3%で、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性を有していなかった。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも2−3級で、染色堅牢性に劣っていた。すなわち、得られた芯鞘複合糸を用いた布帛および衣料品は、実使用に耐えうる洗濯耐久性(吸湿性能、染色性)を有していないことがわかる。また、20℃×40%RH環境下での摩擦帯電圧は1000Vであったが、洗濯後摩擦帯電圧は1700Vと制電性能に劣っていた。すなわち、得られた芯鞘複合糸を用いた布帛および衣料品は、低温低湿度の環境下において着用時のまつわり付きやほこり付着しやすく快適性に劣ることがわかる。
比較例2
芯/鞘比率(重量部)=10/90になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表4に示す。
また得られた芯鞘複合糸の洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも3−4級と染色堅牢性は良好であった。また、ΔMRは4.2%であり、十分な吸湿性能を有していなかった。また、洗濯後ΔMR保持率は84.4%で実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性を有していなかった。すなわち、得られた芯鞘複合糸を用いた布帛および衣料品は、天然繊維を超える快適性は得られないことがわかる。
比較例3
芯/鞘比率(重量部)=90/10になるように紡糸した以外、実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表4に示す。
また得られた芯鞘複合糸のΔMRは17.8と極めて高い吸湿性能を有し、洗濯後ΔMR保持率は92.7%で、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性を有していた。しかし、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも2−3級で、染色堅牢性に劣っていた。すなわち、得られた芯鞘複合糸を用いた布帛および衣料品は、実使用に耐えうる洗濯耐久性(染色性)を有していないことがわかる。
さらに、原糸の採取中、糸切れが多発し、安定した紡糸が困難であった。また、巻き取られた繊維パッケージを観察すると毛羽の発生が見られ不良品が多く発生し、生産性に劣っていた。
比較例4
第1ロールである引き取りローラーの周速度を2020m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を3030m/min、巻き取り速度を3000m/minで巻き取った以外実施例1と同様の方法で56デシテックス24フィラメントの芯鞘複合糸を得た。得られた繊維の物性を表4に示す。
また得られた芯鞘複合糸のΔMRは10.0%と極めて高い吸湿性能を有していたが、洗濯後ΔMR保持率は88.0%で、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性を有していなかった。また、洗濯堅牢度変退色および汚染判定いずれも2級で、染色堅牢性に劣っていた。すなわち、得られた芯鞘複合糸を用いた布帛および衣料品は、実使用に耐えうる洗濯耐久性(吸湿性能、染色性)を有していないことがわかる。
Figure 2016117979
Figure 2016117979
Figure 2016117979
Figure 2016117979
本発明の芯鞘複合糸は、高い吸湿性能を有し天然繊維を超える快適性と、実使用に耐えうる吸湿性能の洗濯耐久性と染色堅牢性を有する芯鞘複合糸を提供することができる。

Claims (6)

  1. 鞘部ポリマーがポリアミド、芯部が熱可塑性ポリマーであり、ΔMRが5.0%以上、かつ、洗濯20回後のΔMR保持率が90%以上100%以下である洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
  2. 洗濯堅牢度が3級以上5級以下である請求項1に記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
  3. 鞘部のポリマーのα結晶配向パラメーターが1.9以上2.7以下であり、かつ芯部の熱可塑性ポリマーがポリエーテルエステルアミド共重合体である請求項1または2に記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
  4. 芯鞘複合糸の鞘部ポリマーのアミノ末端基量が3.5×10−5mol/g以上8.0×10−5mol/g以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
  5. 鞘部ポリマーがポリビニルピロリドンを3〜7重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗濯耐久性に優れた吸湿性芯鞘複合糸を少なくとも一部に有する布帛。
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