JP2016117875A - 金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属調の外観と蓄光性とを兼備する金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、蓄光材1〜30質量部と、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料0.1〜1.0質量部とを含有する金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。蓄光材と共に特定の粒径のメタリック顔料を所定の割合で配合することにより、蓄光材による蓄光性を大きく損なうことなく金属調の外観を付与することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、蓄光材1〜30質量部と、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料0.1〜1.0質量部とを含有する金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。蓄光材と共に特定の粒径のメタリック顔料を所定の割合で配合することにより、蓄光材による蓄光性を大きく損なうことなく金属調の外観を付与することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に係り、詳しくは、ポリカーボネート樹脂に蓄光材を配合して蓄光性を付与したポリカーボネート樹脂組成物であって、金属調の外観を呈する金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物と、この金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
太陽光や人工光などに含まれる紫外線や可視光などの光が照射されるとその光を吸収して蓄え、光照射を停止した後でも、即ち暗所においても、放光という形で所定の時間発光し続ける蓄光材を配合したポリカーボネート樹脂組成物が、道路標識や看板などの蓄光発光部材の成形材料として種々提案され、またその改良についての検討がなされている。
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂に蓄光材を配合した蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物の黒ずみの問題を改善し、色相が良好で、蓄光性に優れた成形品を与える蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物として、安定剤であるアルキルアシッドホスフェート及び/又はアルキルアシッドホスフェート金属塩と、離型剤である脂肪酸エステル化合物を所定の割合で併用して配合した蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を発明し、本願出願人より先に特許出願した(特許文献1)。
蓄光材を添加した材料は一般的に意匠性が低いため、車の内装や家電のハウジング等に使用する場合、意匠面には適用し得なかった。
蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物に、その蓄光性を維持した上で金属調の外観を付与することができれば、意匠性は格段に改善され、その適用分野を拡大することができる。
蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物に、その蓄光性を維持した上で金属調の外観を付与することができれば、意匠性は格段に改善され、その適用分野を拡大することができる。
本発明は、金属調の外観と蓄光性とを兼備する意匠性に優れた金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、蓄光材と共に特定の粒径のメタリック顔料を所定の割合で配合することにより、蓄光材による蓄光性を大きく損なうことなく金属調の外観を付与することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、蓄光材1〜30質量部と、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料0.1〜1.0質量部とを含有することを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[2] [1]において、前記メタリック顔料が金属被覆フレーク状ガラス及び/又はフレーク状金属粒子であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[3] [2]において、前記メタリック顔料がアルミニウム被覆フレーク状ガラス及び/又はフレーク状アルミニウム粒子であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、さらに、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、アルキルアシッドホスフェート及び/又はアルキルアシッドホスフェート金属塩0.01〜1質量部と、脂肪酸エステル化合物0.1〜2質量部とを含有することを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記蓄光材がSrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、及びCaAl2O4:Eu,Ndよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[6] [4]又は[5]において、前記アルキルアシッドホスフェートが、下記式(I)で表されることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)n(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
O=P(OH)n(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
[7] [6]において、前記式(I)におけるRが炭素数9〜30のアルキル基であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[8] [7]において、前記式(I)におけるRが炭素数13,18,24のいずれかのアルキル基であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[9] [8]において、前記アルキルアシッドホスフェートが、下記式(II)で表され、式(II)におけるn=1のジステアリルアシッドホスフェートとn=2のモノステアリルアシッドホスフェートとの混合物であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)n(OC18H37)3−n …(II)
O=P(OH)n(OC18H37)3−n …(II)
[10] [4]又は[5]において、アルキルアシッドホスフェート金属塩が、下記式(IIIa)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩と、下記式(IIIb)で表されるモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩との混合物であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[11] [4]ないし[10]のいずれかにおいて、前記脂肪酸エステル化合物が、ペンタエリスリトールテトラステアリレート及び/又はステアリルステアリレートであることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
[12] [1]ないし[11]のいずれかに記載の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、金属調の外観と蓄光性とを兼備する意匠性に優れた商品価値の高い成形品を提供することができる。
本発明の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、金属調の外観による意匠性と蓄光性能に優れ、機械的強度、耐熱性等にも優れたものとすることができるため、電飾看板、商品ディスプレイ、液晶バックライト、照明ディスプレイ、照明器具カバー、交通標識、安全標識、夜間視認性向上部材、サインボード、スクリーン、反射板やメーター部品等の自動車部品、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器をはじめ、自動車室内や建物内の標示ボタン、時計の文字盤、アクセサリー類、文具類、スポーツ用品、各種の電気・電子・OA機器等の分野における筐体やスイッチ、ボタン類などと幅広い用途に用いることができる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[1] 金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物
本発明の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、蓄光材1〜30質量部と、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料0.1〜1.0質量部とを含有することを特徴とするものであり、更に、アルキルアシッドホスフェート及び/又はアルキルアシッドホスフェート金属塩(以下「アルキルアシッドホスフェート(金属塩)」と記載する場合がある。)0.01〜1質量部と、脂肪酸エステル化合物0.1〜2質量部とを含有していてもよい。
本発明の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、蓄光材1〜30質量部と、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料0.1〜1.0質量部とを含有することを特徴とするものであり、更に、アルキルアシッドホスフェート及び/又はアルキルアシッドホスフェート金属塩(以下「アルキルアシッドホスフェート(金属塩)」と記載する場合がある。)0.01〜1質量部と、脂肪酸エステル化合物0.1〜2質量部とを含有していてもよい。
[作用機構]
蓄光材を含む蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物に、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料を所定の割合で配合することにより、メタリック顔料による金属調の外観付与効果で、蓄光材を大きく損なうことなく、金属調の外観を呈し、意匠性に優れた金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を得ることができる。
蓄光材を含む蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物に、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料を所定の割合で配合することにより、メタリック顔料による金属調の外観付与効果で、蓄光材を大きく損なうことなく、金属調の外観を呈し、意匠性に優れた金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を得ることができる。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の面から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂としては、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の面から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
上述した芳香族ポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、この一価の芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は用途により任意であり、適宜選択して決定すればよいが、成形性、強度等の点から芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、好ましくは14,000〜30,000、より好ましくは15,000〜28,000である。粘度平均分子量がこの範囲であると、一般に成形性が良く、且つ機械的強度の高い成形品を与える樹脂組成物が得られる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、中でも16,000〜26,000であることが好ましい。また粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。この場合、混合物の粘度平均分子量は上記範囲となることが望ましい。
[蓄光材]
蓄光材は、太陽光や人工光などに含まれる紫外線や可視光などの光が照射されるとその光を吸収して蓄え、光照射を停止した後でも、即ち暗所においても、放光という形で所定の時間発光し続けるものである。蓄光材は、光励起終了後は、数分〜数十時間程度の残光持続性を持ち、光照射を停止した後速やかに発光が減衰する一般の蛍光増白剤などとは区別される。
蓄光材は、太陽光や人工光などに含まれる紫外線や可視光などの光が照射されるとその光を吸収して蓄え、光照射を停止した後でも、即ち暗所においても、放光という形で所定の時間発光し続けるものである。蓄光材は、光励起終了後は、数分〜数十時間程度の残光持続性を持ち、光照射を停止した後速やかに発光が減衰する一般の蛍光増白剤などとは区別される。
本発明で使用される蓄光材は、上記の特性を有するものであればよく、特に制限はないが、CaS:Bi、CaSrS:Bi、ZnCdS:Cuなどの硫化物系蓄光材、ZnS:Cuなどの硫化亜鉛系蓄光材、Sr2MgSi2O7:Eu,Dyなどのケイ酸系蓄光材、MAlaOb:X(Mはカルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる1種以上の金属元素。Xは、賦活剤であり、ユウロピウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテニウム、マンガン、スズ、ビスマスから選ばれる1種以上の元素。Xの含有量は、Mで表される金属元素に対して通常10モル%以下、例えば0.001〜10モル%。)で表されるアルミン酸系化合物などが挙げられる。好ましくは、耐加水分解性、残光特性の観点から、MAlaOb:Xで表されるアルミン酸系化合物であり、アルミン酸系化合物としては、例えば、GMg2Al16O27:Eu、GMg2Al16O27:Eu,Mn、GMg2Al10O17:Eu、GMg2Al10O17:Eu,Mn(ここでGはSrまたはBaであり、これらを組み合わせてもよい)、SrAl2O4:Eu、SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu、Sr4Al14O25:Eu,Dy、CaAl2O4:Eu,Ndなどが挙げられるが、これらのうち、特に、SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、CaAl2O4:Eu,Ndが好ましい。
蓄光材の平均粒径D50については特に制限はないが、10〜300μm、特に15〜100μm、とりわけ20〜50μmであることが好ましい。蓄光材の粒径が大き過ぎると、得られる成形品の引張破断伸び、衝撃強度、外観等が低下する問題があるため、平均粒径D50は上記上限以下であることが好ましい。一方で、蓄光材は一般に粒径が小さ過ぎると発光特性が低下する傾向があるため、平均粒径D50は上記下限以上であることが好ましい。
なお、本発明における平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるメジアン径D50をいい、例えば、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定されるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
本発明においては、蓄光材の1種を単独で用いてもよく、化学組成や粒径の異なるものの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
蓄光材の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは2〜25質量部、より好ましくは3〜20質量部である。蓄光材の配合量が上記下限よりも少ないと、蓄光材を配合したことによる蓄光効果を十分に得ることができない。蓄光材の配合量は多い程、蓄光効果の面で好ましいが、多過ぎると成形性、熱安定性や成形品の機械的強度等が損なわれる。
[メタリック顔料]
本発明で用いるメタリック顔料としては、平均粒径D50が1〜70μmのものであればよく特に制限はないが、好ましくは、フレーク状(板状)のものであり、例えば次のようなものを用いることができる。
(1) 金属被膜を形成したフレーク状ガラス(金属被覆フレーク状ガラス)
(2) フレーク状金属粒子
本発明で用いるメタリック顔料としては、平均粒径D50が1〜70μmのものであればよく特に制限はないが、好ましくは、フレーク状(板状)のものであり、例えば次のようなものを用いることができる。
(1) 金属被膜を形成したフレーク状ガラス(金属被覆フレーク状ガラス)
(2) フレーク状金属粒子
上記(1)の金属被覆フレーク状ガラスとしては、平均厚み0.1〜10μm程度のフレーク状ガラスに、Al、Cr、Ni、Ti、Mg、Ag、Au、Mo等の金属又は合金を化学蒸着又は物理蒸着することにより0.01〜1μm程度の厚さの被膜を形成したものが挙げられる。
また、上記(2)のフレーク状金属粒子としては、平均厚み0.1〜10μm程度のAl、Ni、Ag、Au、Cu等よりなる粒子を用いることができる。
メタリック顔料としては、特に優れた金属調の外観を得ることができることから、アルミニウム被覆フレーク状ガラスやフレーク状アルミニウム粒子が好ましい。
これらのメタリック顔料は1種を単独で用いてもよく、構成や金属種或いは粒径の異なるものの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、2種以上のメタリック顔料を併用する場合、用いたすべてのメタリック顔料の平均粒径D50が上記の範囲内であればよい。
なお、2種以上のメタリック顔料を併用する場合、用いたすべてのメタリック顔料の平均粒径D50が上記の範囲内であればよい。
本発明において、メタリック顔料としては平均粒径D50が1〜70μmのものを用いる。メタリック顔料の平均粒径D50が1μm未満では、金属調の外観を付与する観点においては好ましいが、同一配合量において、相対的にメタリック顔料粒子の数が増え、入照光が遮られることにより蓄光しにくくなる。このため、蓄光性が低下する。一方、メタリック顔料の平均粒径D50が70μmを超えると、蓄光性は向上するが、良好な金属調外観を得ることができなくなる。蓄光性と金属調の外観の両立の面から、メタリック顔料の平均粒径D50は2〜60μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
なお、ここで、メタリック顔料の粒径とは、メタリック顔料を2枚の平行な板で挟んだときに、この板の間隔が最も大きくなる部分の長さをさす。メタリック顔料の平均粒径D50は、前述の蓄光材の平均粒径D50と同義であるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
メタリック顔料の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.1〜0.8質量部、より好ましくは0.1〜0.6質量部である。メタリック顔料の配合量が上記下限よりも少ないと、良好な金属調の外観を得ることができず、メタリック顔料の配合量が多過ぎると蓄光材による蓄光性が損なわれる。
[アルキルアシッドホスフェート(金属塩)及び脂肪酸エステル化合物]
本発明においては、メタリック顔料を配合することで、意匠性に優れた金属調の外観が得られ、蓄光材を配合することによるポリカーボネート樹脂組成物の黒ずみの問題は軽減されるが、本発明の樹脂組成物にアルキルアシッドホスフェート(金属塩)と脂肪酸エステル化合物とを所定の割合で配合することにより、以下の作用機構で蓄光材による樹脂組成物の黒ずみを防止し、更に輝度を向上させる事ができる。
本発明においては、メタリック顔料を配合することで、意匠性に優れた金属調の外観が得られ、蓄光材を配合することによるポリカーボネート樹脂組成物の黒ずみの問題は軽減されるが、本発明の樹脂組成物にアルキルアシッドホスフェート(金属塩)と脂肪酸エステル化合物とを所定の割合で配合することにより、以下の作用機構で蓄光材による樹脂組成物の黒ずみを防止し、更に輝度を向上させる事ができる。
蓄光材を配合したポリカーボネート樹脂組成物が黒ずむのは、蓄光材粒子の硬度が高いために、押出機で溶融混練する際にはバレルやスクリュー表面を摩耗させ、この摩耗により発生した金属片が樹脂に混入すること;蓄光材の構成成分である希土類元素が高温条件下でポリカーボネート樹脂を分解させること;が原因であると考えられるが、熱安定剤としてアルキルアシッドホスフェート(金属塩)を用い、離型剤として脂肪酸エステル化合物を用い、これらを所定の割合で併用して配合することにより、この黒ずみを防止することができる。
即ち、アルキルアシッドホスフェート(金属塩)により、蓄光材に起因するポリカーボネート樹脂の分解を防止し、脂肪酸エステル化合物により、樹脂組成物と押出機のバレルやスクリュー表面、成形機内面との摩擦を低減し、金属類の混入を防止することで黒ずみを防止する。
従来において、蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物に配合する熱安定剤としては、亜リン酸エステルや、シロキサン系のものが用いられているが、亜リン酸エステルでは、蓄光材によるポリカーボネート樹脂の分解を十分に防止し得ない。また、シロキサン系のものは、白濁やシルバーの問題がある上に、ポリカーボネート樹脂の分解を抑制し得ない。
これに対して、アルキルアシッドホスフェート(金属塩)であれば、白濁やシルバーの問題を引き起こすことなく、蓄光材によるポリカーボネート樹脂の分解を抑制することができる。
また、離型剤としては、数多くのものが提案されているが、従来の離型剤の中でも、特に脂肪酸エステル化合物を用い、これをアルキルアシッドホスフェート(金属塩)と併用した場合に、白濁やシルバーによる外観不良を引き起こすことなく、良好な黒ずみ防止効果が得られる。
即ち、アルキルアシッドホスフェート(金属塩)により、蓄光材に起因するポリカーボネート樹脂の分解を防止し、脂肪酸エステル化合物により、樹脂組成物と押出機のバレルやスクリュー表面、成形機内面との摩擦を低減し、金属類の混入を防止することで黒ずみを防止する。
従来において、蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物に配合する熱安定剤としては、亜リン酸エステルや、シロキサン系のものが用いられているが、亜リン酸エステルでは、蓄光材によるポリカーボネート樹脂の分解を十分に防止し得ない。また、シロキサン系のものは、白濁やシルバーの問題がある上に、ポリカーボネート樹脂の分解を抑制し得ない。
これに対して、アルキルアシッドホスフェート(金属塩)であれば、白濁やシルバーの問題を引き起こすことなく、蓄光材によるポリカーボネート樹脂の分解を抑制することができる。
また、離型剤としては、数多くのものが提案されているが、従来の離型剤の中でも、特に脂肪酸エステル化合物を用い、これをアルキルアシッドホスフェート(金属塩)と併用した場合に、白濁やシルバーによる外観不良を引き起こすことなく、良好な黒ずみ防止効果が得られる。
<アルキルアシッドホスフェート(金属塩)>
本発明で用いるアルキルアシッドホスフェート(金属塩)のアルキルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表されるものであることが好ましい。即ち、アルキルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表され、アルキルアシッドホスフェート金属塩は下記式(I)で表されるアルキルアシッドホスフェートの亜鉛塩、アルミニウム塩等の金属塩であることが好ましい。
O=P(OH)n(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
本発明で用いるアルキルアシッドホスフェート(金属塩)のアルキルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表されるものであることが好ましい。即ち、アルキルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表され、アルキルアシッドホスフェート金属塩は下記式(I)で表されるアルキルアシッドホスフェートの亜鉛塩、アルミニウム塩等の金属塩であることが好ましい。
O=P(OH)n(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
上記式(I)中のRで示されるアルキル基は直鎖アルキル基であってもよく、分岐を有していてもよいが、好ましくは炭素数9以上、30以下のアルキル基であり、具体的には、(イソ)ノニル、(イソ)デシル、(イソ)ウンデシル、(イソ)ドデシル、(イソ)トリデシル、(イソ)テトラデシル、(イソ)ペンタデシル、イソ(ヘキサデシル)、(イソ)ヘプタデシル、イソ(オクタデシル)(=(イソ)ステアリル)、(イソ)ノナデシル、(イソ)イコシル、(イソ)エイコシル、(イソ)ヘンエイコシル、(イソ)ドコシル、(イソ)トリコシル、(イソ)テトラコシル、(イソ)ペンタコシル、(イソ)ヘキサコシル、(イソ)ヘプタコシル、(イソ)オクタコシル、(イソ)ノナコシル、(イソ)トリアコンチルが挙げられる。ここで、「(イソ)アルキル」の記載は、「アルキル」と「イソアルキル」を意味し、例えば、「(イソ)テトラコシル」は「テトラコシル」と「イソテトラコシル」を意味する。
nは、1又は2であり、その混合物であっても良い。
nは、1又は2であり、その混合物であっても良い。
これらのうち、アルキルアシッドホスフェートとしては、Rが炭素数13〜24のアルキル基であるものが好ましく、特に、下記式(II)で表され、式(II)におけるn=1のジ(イソ)ステアリルアシッドホスフェートとn=2のモノ(イソ)ステアリルアシッドホスフェートとの混合物であるものが好ましい。
O=P(OH)n(OC18H37)3−n …(II)
また、アルキルアシッドホスフェートとしては、下記式(IIa)で表され、式(IIa)におけるn=1の(イソ)トリデシルアシッドホスフェートとn=2のモノ(イソ)トリデシルアシッドホスフェートとの混合物であるものや、下記式(IIb)で表され、式(IIb)におけるn=1のジ(イソ)テトラコシルアシッドホスフェートとn=2のモノ(イソ)テトラコシルアシッドホスフェートとの混合物も、好ましいものとして挙げられる。
O=P(OH)n(OC13H27)3−n …(IIa)
O=P(OH)n(OC24H49)3−n …(IIb)
O=P(OH)n(OC18H37)3−n …(II)
また、アルキルアシッドホスフェートとしては、下記式(IIa)で表され、式(IIa)におけるn=1の(イソ)トリデシルアシッドホスフェートとn=2のモノ(イソ)トリデシルアシッドホスフェートとの混合物であるものや、下記式(IIb)で表され、式(IIb)におけるn=1のジ(イソ)テトラコシルアシッドホスフェートとn=2のモノ(イソ)テトラコシルアシッドホスフェートとの混合物も、好ましいものとして挙げられる。
O=P(OH)n(OC13H27)3−n …(IIa)
O=P(OH)n(OC24H49)3−n …(IIb)
アルキルアシッドホスフェートが有するRのアルキル基の炭素数が8以下であると、ガスになりやすく、成形時に金型付着物となり、生産性を低下させる。Rのアルキル基の炭素数が過度に多いアシッドホスフェートは、それ自体の分子量が大きく、配合質量に対する配合モル数が小さくなることにより、配合量に見合う黒ずみ防止効果が得られない場合がある。
また、アルキルアシッドホスフェートの金属塩としては、下記式(IIIa)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩と、下記式(IIIb)で表されるモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩との混合物が好ましい。
これらのアルキルアシッドホスフェート(金属塩)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アルキルアシッドホスフェート(金属塩)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.01〜1質量部、好ましくは0.02〜0.5質量部、より好ましくは0.03〜0.1質量部である。アルキルアシッドホスフェート(金属塩)の配合量が上記下限よりも少ないと、アルキルアシッドホスフェート(金属塩)を配合したことによる黒ずみ防止効果を十分に得ることができず、アルキルアシッドホスフェート(金属塩)の配合量が上記上限よりも多いと、耐加水分解性が悪化し、また、高温高湿環境で分子量低下による物性低下のおそれがある。
<脂肪酸エステル化合物>
本発明で用いる脂肪酸エステル化合物、即ち、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル化合物を構成する脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。本明細書では、脂肪族カルボン酸の用語は、脂環式カルボン酸も包含する意味で用いる。脂肪族カルボン酸の中でも、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がより好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
本発明で用いる脂肪酸エステル化合物、即ち、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル化合物を構成する脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。本明細書では、脂肪族カルボン酸の用語は、脂環式カルボン酸も包含する意味で用いる。脂肪族カルボン酸の中でも、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がより好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
一方、脂肪酸エステル化合物を構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していても良い。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
脂肪酸エステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していても良く、複数の化合物の混合物であっても良い。
脂肪酸エステル化合物の具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘレート、オクチルドデシルベヘレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができるが、黒ずみ防止効果の面でペンタエリスリトールテトラステアリレート及び/又はステアリルステアリレートを用いることが好ましい。
これらの脂肪酸エステル化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
脂肪酸エステル化合物の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.1〜2質量部、好ましくは0.2〜1.5質量部、より好ましくは0.3〜1質量部である。脂肪酸エステル化合物の配合量が上記範囲内であると、耐加水分解性の低下がなく、黒ずみ防止効果が得られるので好ましい。
[その他の成分]
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる1種又は2種以上やポリカーボネート樹脂以外の樹脂成分を含有していてもよい。このような添加剤としては、難燃剤、滴下防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる1種又は2種以上やポリカーボネート樹脂以外の樹脂成分を含有していてもよい。このような添加剤としては、難燃剤、滴下防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
<難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、難燃性を得るために難燃剤を含有していてもよい。難燃剤としては、ポリカーボネート樹脂の透明性を維持して組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、リン酸エステル化合物及び有機スルホン酸金属塩が好適である。
本発明の樹脂組成物は、難燃性を得るために難燃剤を含有していてもよい。難燃剤としては、ポリカーボネート樹脂の透明性を維持して組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、リン酸エステル化合物及び有機スルホン酸金属塩が好適である。
リン酸エステル化合物としては、例えば、下記式(IV)で表される化合物が好ましい。
(式(IV)中、R1、R2、R3及びR4は互いに独立して、置換されていてもよいアリール基を示し、Qは置換基を有していても良い2価の芳香族基を示す。mは0〜5の数を示す。)
上記式(IV)においてR1〜R4で示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またQで示される2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基や、ビスフェノールから誘導される基等が挙げられる。これらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。mが0の場合はリン酸エステルであり、mが0より大きい場合は縮合リン酸エステル(混合物を含む)である。
具体的には、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、あるいはこれらの置換体、縮合体などを例示できる。かかる成分として好適に用いることができる市販品としては、例えば、大八化学工業(株)より、「CR733S」(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート))、「CR741」(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))、旭電化工業(株)より「FP500」(レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート))といった商品名で販売されているものが挙げられる。
本発明の樹脂組成物が難燃剤としてのリン酸エステル化合物を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し1〜50質量部であるのが好ましく、3〜40質量部であるのがより好ましく、5〜30質量部であるのがさらに好ましい。難燃剤用リン酸エステル化合物の含有量が上記範囲であると、難燃性があり、且つ耐熱性も良好な樹脂組成物となるので好ましい。
難燃剤用の有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは脂肪族スルホン酸金属塩及び芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩を構成する金属としては、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩は、2種以上の塩を混合して使用することもできる。
脂肪族スルホン酸塩としては、好ましくは、フルオロアルカンスルホン酸金属塩、より好ましくは、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩が挙げられる。フルオロアルカンスルホン酸金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜8のフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。フルオロアルカンスルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウムなどが挙げられる。
また、芳香族スルホン酸金属塩としては、好ましくは、芳香族スルホンスルホン酸、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。その具体例としては、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4′−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4′−ジブロモフェニル−スルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4−クロロ−4′−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物がこれらの有機スルホン酸金属塩を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部であるのが好ましく、0.02〜3質量部であるのがより好ましく、0.03〜2質量部であるのがさらに好ましい。難燃剤用有機スルホン酸金属塩の含有量が上記範囲であると、難燃性があり、且つ熱安定性が良好な樹脂組成物となるので好ましい。
<滴下防止剤>
本発明の樹脂組成物には、燃焼時の滴下防止を目的として、滴下防止剤を添加してもよい。滴下防止剤の好ましい例として、フッ素樹脂が挙げられる。より具体的には、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体等のフルオロエチレン構造を含む重合体及び共重合体である。中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。その平均分子量は、500,000以上であるのが好ましく、500,000〜10,000,000であるのがより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、燃焼時の滴下防止を目的として、滴下防止剤を添加してもよい。滴下防止剤の好ましい例として、フッ素樹脂が挙げられる。より具体的には、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体等のフルオロエチレン構造を含む重合体及び共重合体である。中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。その平均分子量は、500,000以上であるのが好ましく、500,000〜10,000,000であるのがより好ましい。
なお、ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能を有するものを用いると、さらに高い溶融滴下防止性を付与することができる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTN規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。その具体例としては、テフロン(登録商標)6−J(三井・デュポンフロロケミカル(株)製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業(株)製)、CD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製)等が挙げられる。また、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えばアルゴフロンF5(モンテフルオス(株)製)、ポリフロンMPA、ポリフロンFA−100(ダイキン工業(株)製)等が挙げられる。これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えばテトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。
本発明の樹脂組成物が滴下防止剤を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05〜2質量部であるのが好ましく、0.1〜1質量部であるのがより好ましい。滴下防止剤の含有量が上記範囲であると、成形品の外観を損なうことなく、滴下防止性が良好となるので好ましい。
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,6]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,6]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.02〜0.5質量部であることが好ましい。この範囲であると、本発明の効果を阻害せずに、酸化防止性を改善できるので好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。樹脂成形品は、太陽光や蛍光灯のような光線下に長期間曝されると、紫外線によって黄色味を帯びる傾向があるが、紫外線吸収剤を添加することで、このような黄変を防止又は遅延させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系、マロン酸エステル系などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。樹脂成形品は、太陽光や蛍光灯のような光線下に長期間曝されると、紫外線によって黄色味を帯びる傾向があるが、紫外線吸収剤を添加することで、このような黄変を防止又は遅延させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系、マロン酸エステル系などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルメチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール]等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
マロン酸エステル系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.8質量部であることがより好ましく、0.01〜0.5質量部であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であると、励起光吸収による蓄光性発光輝度の低下が生じず、且つ成形品表面にブリードアウト等を発生させずに、耐候性を改善できるので好ましい。
<他の樹脂成分>
本発明の樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂成分が含まれていてもよく、その場合、他の樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、(メタ)アクリレート共重合体、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙られる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ただし、ポリカーボネート樹脂本来の優れた特性を発揮させる点において、これらの他の樹脂成分を配合する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂成分が含まれていてもよく、その場合、他の樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、(メタ)アクリレート共重合体、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙られる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ただし、ポリカーボネート樹脂本来の優れた特性を発揮させる点において、これらの他の樹脂成分を配合する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。
<その他>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分のほかに、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、着色剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などを配合することができる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分のほかに、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、着色剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などを配合することができる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
[製造方法]
本発明の樹脂組成物は、従来から知られている方法で各成分を混合し、溶融混練することにより製造することができる。具体的な混合方法としては、ポリカーボネート樹脂、蓄光材、メタリック顔料、及び必要に応じて用いられるアルキルアシッドホスフェート(金属塩)、脂肪酸エステル化合物、その他の添加成分を所定量秤量し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラペンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、従来から知られている方法で各成分を混合し、溶融混練することにより製造することができる。具体的な混合方法としては、ポリカーボネート樹脂、蓄光材、メタリック顔料、及び必要に応じて用いられるアルキルアシッドホスフェート(金属塩)、脂肪酸エステル化合物、その他の添加成分を所定量秤量し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラペンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
[2] 成形品
本発明の成形品は、上述のような本発明の樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明の成形品は、上述のような本発明の樹脂組成物を成形してなるものである。
[成形方法]
本発明の樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品を製造する場合の成形方法としては、熱可塑性樹脂材料から成形品を成形する従来から知られている方法が、制限なく適用できる。具体的には、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品を製造する場合の成形方法としては、熱可塑性樹脂材料から成形品を成形する従来から知られている方法が、制限なく適用できる。具体的には、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。
[用途]
本発明の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、金属調の外観による意匠性と蓄光性能に優れることから、従来の蓄光性樹脂組成物の一般的な用途である道路標識や看板類だけではなく、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器をはじめ、商品ディスプレイ、自動車室内や建物内の標示ボタン、時計の文字盤、アクセサリー類、文具類、スポーツ用品、更には、各種の電気・電子・OA機器等の分野において、筐体やスイッチ、ボタン類として幅広い用途に適用することができる。
本発明の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、金属調の外観による意匠性と蓄光性能に優れることから、従来の蓄光性樹脂組成物の一般的な用途である道路標識や看板類だけではなく、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器をはじめ、商品ディスプレイ、自動車室内や建物内の標示ボタン、時計の文字盤、アクセサリー類、文具類、スポーツ用品、更には、各種の電気・電子・OA機器等の分野において、筐体やスイッチ、ボタン類として幅広い用途に適用することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において使用した樹脂組成物の構成成分は、以下の通りである。
なお、以下の実施例及び比較例において使用した樹脂組成物の構成成分は、以下の通りである。
<ポリカーボネート樹脂>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000F」(粘度平均分子量=21500)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000F」(粘度平均分子量=21500)
<蓄光材>
G−300M:根本特殊化学社製 蓄光材「G−300M」(化学組成=SrAl2O4:Eu,Dy、D50=30μm、発光色=黄緑色、発光ピーク波長=520nm)
G−300M:根本特殊化学社製 蓄光材「G−300M」(化学組成=SrAl2O4:Eu,Dy、D50=30μm、発光色=黄緑色、発光ピーク波長=520nm)
<メタリック顔料>
以下の平均粒径D50のフレーク状アルミニウム(以下「アルミフレーク」と称す。)を用いた。
アルミフレーク(5)=平均粒径D50=5μmのアルミフレーク
アルミフレーク(20)=平均粒径D50=20μmのアルミフレーク
アルミフレーク(40)=平均粒径D50=40μmのアルミフレーク
アルミフレーク(60)=平均粒径D50=60μmのアルミフレーク
以下の平均粒径D50のフレーク状アルミニウム(以下「アルミフレーク」と称す。)を用いた。
アルミフレーク(5)=平均粒径D50=5μmのアルミフレーク
アルミフレーク(20)=平均粒径D50=20μmのアルミフレーク
アルミフレーク(40)=平均粒径D50=40μmのアルミフレーク
アルミフレーク(60)=平均粒径D50=60μmのアルミフレーク
<安定剤>
AX−71:ADEKA社製「アデカスタブAX−71」(前記式(II)で表されるモノステアリルアシッドホスフェートとジステアリルアシッドホスフェートとの混合物)
JP−513:城北化学社製「JP−513」(前記式(IIa)で表されるモノイソトリデシルアシッドホスフェートとジイソトリデシルアシッドホスフェートとの混合物)
JP−524R:城北化学社製「JP−524R」(前記式(IIb)で表されるモノテトラコシルアシッドホスフェートとジテトラコシルアシッドホスフェートとの混合物)
JP−518Zn:城北化学社製「JP−518Zn」(前記式(IIIa)と(IIIb)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩とモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩の混合物)
AX−71:ADEKA社製「アデカスタブAX−71」(前記式(II)で表されるモノステアリルアシッドホスフェートとジステアリルアシッドホスフェートとの混合物)
JP−513:城北化学社製「JP−513」(前記式(IIa)で表されるモノイソトリデシルアシッドホスフェートとジイソトリデシルアシッドホスフェートとの混合物)
JP−524R:城北化学社製「JP−524R」(前記式(IIb)で表されるモノテトラコシルアシッドホスフェートとジテトラコシルアシッドホスフェートとの混合物)
JP−518Zn:城北化学社製「JP−518Zn」(前記式(IIIa)と(IIIb)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩とモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩の混合物)
<離型剤>
VPG861:エメリーオレオケミカルズジャパン社製「ロキシオールVPG861」(ペンタエリスリトールテトラステアリレート)
VPG861:エメリーオレオケミカルズジャパン社製「ロキシオールVPG861」(ペンタエリスリトールテトラステアリレート)
[実施例1〜15及び比較例1〜5]
ポリカーボネート樹脂及び各種添加剤を表1,2に示す割合で配合し、タンブラーで20分混合後、スクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(田辺プラスチック社製「VS−40」)により、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数54rpmで混練し、押出されたストランドを切断してペレットを作製した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(ファナック社製「S−2000i150B」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃又は120℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形を行って、各種の試験片を作製した。
得られたペレット又は試験片について、以下の評価を行い、結果を表1,2に示した。
また、実施例1と比較例2の調色用試験片の光(UV)照射時とUV遮断時のカラー写真を図1および図2に示す。
ポリカーボネート樹脂及び各種添加剤を表1,2に示す割合で配合し、タンブラーで20分混合後、スクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(田辺プラスチック社製「VS−40」)により、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数54rpmで混練し、押出されたストランドを切断してペレットを作製した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(ファナック社製「S−2000i150B」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃又は120℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形を行って、各種の試験片を作製した。
得られたペレット又は試験片について、以下の評価を行い、結果を表1,2に示した。
また、実施例1と比較例2の調色用試験片の光(UV)照射時とUV遮断時のカラー写真を図1および図2に示す。
(1) 流れ値(Q値)
JIS K7210付属書Cに記載の方法にてペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製「フローテスターCFD500D」を用いて、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度278℃、試験力160kg/cm2、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(単位:cc/sec)を測定した。
JIS K7210付属書Cに記載の方法にてペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製「フローテスターCFD500D」を用いて、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度278℃、試験力160kg/cm2、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(単位:cc/sec)を測定した。
(2) Izod衝撃強度
ASTM D256に準拠して、金型温度80℃にて射出成形して得たノッチ付きIzod衝撃試験片(厚さ3.2mm)について、23℃の温度でIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
ASTM D256に準拠して、金型温度80℃にて射出成形して得たノッチ付きIzod衝撃試験片(厚さ3.2mm)について、23℃の温度でIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
(3) 光沢度
JIS K7105に準拠して、金型温度120℃で射出成形して得た調色用試験片(50mm(幅)×90mm(長さ)で厚みが1mm、2mm、及び3mmの3段プレート)の3mm厚みの部分について、日本電色工業社製「VG2000」により、光入射角60°(Gs60°)及び45°(Gs45°)でそれぞれ光沢度を測定した。この値は、大きい程金属調の外観による光沢が良好であることを示す。
JIS K7105に準拠して、金型温度120℃で射出成形して得た調色用試験片(50mm(幅)×90mm(長さ)で厚みが1mm、2mm、及び3mmの3段プレート)の3mm厚みの部分について、日本電色工業社製「VG2000」により、光入射角60°(Gs60°)及び45°(Gs45°)でそれぞれ光沢度を測定した。この値は、大きい程金属調の外観による光沢が良好であることを示す。
(4) 初期色相
上記光沢度の測定におけると同様の調色用試験片の3mm厚み部分について、色差計(日本電色工業社製「SE6000」)を用いて下記条件でL*、a*、b*、YI(D1925)、YI(E313)を測定した。L値が大きいほど反射光が明るく輝度が良好である事を示す。
反射測定:D65光源10度視野
測定口:30φ
試料押さえ:黒
上記光沢度の測定におけると同様の調色用試験片の3mm厚み部分について、色差計(日本電色工業社製「SE6000」)を用いて下記条件でL*、a*、b*、YI(D1925)、YI(E313)を測定した。L値が大きいほど反射光が明るく輝度が良好である事を示す。
反射測定:D65光源10度視野
測定口:30φ
試料押さえ:黒
(5) 残光輝度
上記光沢度の測定におけると同様の調色用試験片の3mm厚みの部分について、24時間光を遮断後、D65光源で20分照射した後(200Lx)、測定距離1.1mで、コニカミノルタ社製「LS−100輝度計」により残光輝度を測定した。残光輝度が大きい程蓄光性に優れる。
上記光沢度の測定におけると同様の調色用試験片の3mm厚みの部分について、24時間光を遮断後、D65光源で20分照射した後(200Lx)、測定距離1.1mで、コニカミノルタ社製「LS−100輝度計」により残光輝度を測定した。残光輝度が大きい程蓄光性に優れる。
表1,2より、蓄光材と共に、所定の平均粒径D50のメタリック顔料を所定の割合で配合してなる本発明の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物は、蓄光性と金属調の外観とを兼備する意匠性に優れたものであることが分かる。
これに対して、メタリック顔料のみを配合し、蓄光材を配合していない比較例1〜5では、金属調の外観は得られるものの蓄光性は得られない。
実施例1と比較例2の蓄光性の差異は、図1および図2より明らかであり、比較例2の試験片に対して、実施例1の試験片はUV遮断時に蓄光性を示すことが分かる。
これに対して、メタリック顔料のみを配合し、蓄光材を配合していない比較例1〜5では、金属調の外観は得られるものの蓄光性は得られない。
実施例1と比較例2の蓄光性の差異は、図1および図2より明らかであり、比較例2の試験片に対して、実施例1の試験片はUV遮断時に蓄光性を示すことが分かる。
Claims (12)
- ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、蓄光材1〜30質量部と、平均粒径D50が1〜70μmのメタリック顔料0.1〜1.0質量部とを含有することを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1において、前記メタリック顔料が金属被覆フレーク状ガラス及び/又はフレーク状金属粒子であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項2において、前記メタリック顔料がアルミニウム被覆フレーク状ガラス及び/又はフレーク状アルミニウム粒子であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、さらに、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、アルキルアシッドホスフェート及び/又はアルキルアシッドホスフェート金属塩0.01〜1質量部と、脂肪酸エステル化合物0.1〜2質量部とを含有することを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記蓄光材がSrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、及びCaAl2O4:Eu,Ndよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項4又は5において、前記アルキルアシッドホスフェートが、下記式(I)で表されることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)n(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。) - 請求項6において、前記式(I)におけるRが炭素数9〜30のアルキル基であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項7において、前記式(I)におけるRが炭素数13,18,24のいずれかのアルキル基であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項8において、前記アルキルアシッドホスフェートが、下記式(II)で表され、式(II)におけるn=1のジステアリルアシッドホスフェートとn=2のモノステアリルアシッドホスフェートとの混合物であることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)n(OC18H37)3−n …(II) - 請求項4ないし10のいずれか1項において、前記脂肪酸エステル化合物が、ペンタエリスリトールテトラステアリレート及び/又はステアリルステアリレートであることを特徴とする金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の金属調蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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-
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- 2015-07-16 JP JP2015141900A patent/JP2016117875A/ja active Pending
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