JP2016117379A - 運搬車両の制御装置 - Google Patents

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裕介 山本
智弘 川上
Tomohiro Kawakami
智弘 川上
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透 竹中
洋 五味
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洋 五味
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Atsuyuki Ishioka
淳之 石岡
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Abstract

【課題】運搬車両において、積荷を含む荷台の重心が荷台の中心以外の偏倚した位置にあっても、安定した走行が行われるようにすること。【解決手段】鉛直線Lvに対する荷台60の傾斜角である荷台傾斜角θactを検出するジャイロスコープ94と、ガイドレール56、58の円弧中心Xを中心として無積載の荷台60の重心Gaと積載物99を含む荷台60の重心Gbとがなす重心偏倚角θerrを推定する重心オブザーバ108と、荷台傾斜角θactと重心偏倚角θerrとの和をゼロあるいはゼロに近い値にするように荷台60の駆動装置76を制御する荷台制御部104とを設ける。【選択図】図4

Description

本発明は、運搬車両の制御装置に関し、更に詳細には、傾斜路での使用に適した運搬車両の制御装置に関する。
山間地等における傾斜した路面の走行に適した運搬車両として、荷台が車体に設けられた上向きに凸な円弧状のガイドレールに沿って移動可能に設けられ、路面の傾斜に拘わらず荷台が水平姿勢になるように、路面の傾斜に応じて荷台を駆動装置によって移動させるように構成された運搬車両(不整地移動車)が知られている(例えば、特許文献1)。
特開平5-278648号公報
積荷を含む荷台の重心が荷台の中心にあれば、路面に対して水平姿勢になるように荷台の姿勢制御が行われればよいが、片寄った荷積みや走行中に積荷状態が変動するなどして、積荷を含む荷台の重心が荷台の中心以外の偏倚した位置にあると、路面に対して荷台が水平姿勢であるだけでは運搬車両の走行安定性が損なわれる。このことは、特に、傾斜路等の不整地で使用される運搬車両で問題となる。
本発明が解決しようとする課題は、運搬車両において、積荷を含む荷台の重心が荷台の中心以外の偏倚した位置にあっても、安定した走行が行われるようにすることである。
本発明による運搬車両の制御装置は、車体(12)と、前記車体(12)に設けられた円弧状のガイドレール(56、58)と、前記ガイドレール(56、58)に沿って移動可能な荷台(60)と、前記荷台(60)を前記ガイドレール(56、58)に沿って駆動する駆動装置(76)とを有する運搬車両の制御装置であって、鉛直線(La)に対する前記荷台(60)の傾斜角である荷台傾斜角(θact)を検出する荷台傾斜角検出部(94、95)と、前記ガイドレール(56、58)の円弧中心(X)を中心として無積載の荷台(60)の重心(Ga)と積載物(99)を含む荷台(60)の重心(Gb)とがなす重心偏倚角(θerr)を推定する重心偏倚角推定部(108)と、前記荷台傾斜角(θact)と前記重心偏倚角(θerr)との和が所定角になる目標角をもって前記駆動装置(76)を制御する荷台制御部(104)とを有する。この所定角は、ゼロあるいはゼロに近い値であってよい。
この構成によれば、積載物(99)を含む荷台(60)の重心(Gb)が荷台(60)の中心以外に偏倚しても、重心(Gb)が中心(X)を通る鉛直線(La)上あるいは鉛直線(La)に近い位置に位置することになり、積載物(99)を含む荷台(60)の重心位置の変動に拘わらず安定した走行が行われるようになる。
前記重心偏倚角推定部(108)による重心偏倚角(θerr)の推定は、前記荷台傾斜角(θact)と前記駆動装置(76)の駆動負荷(iact)とに基づいて行うことができる。
本発明による運搬車両の制御装置は、好ましくは、前記ガイドレール(56、58)は車幅方向に延在しており、前記ガイドレール(56、58)の円弧中心(X)が前記車体(12)の車幅方向の中央に位置している。
この構成によれば、走行路面のカント傾斜に対する車体(12)のロール方向に傾斜に的確に対応でき、重心(Gb)が車幅方向の中央を通る鉛直線(Lb)上に位置し、安定した走行が行われるようになる。
本発明による運搬車両の制御装置は、好ましくは、更に、走行速度を検出する走行速度検出部(102)と、前記車体(12)のヨーレートを検出するヨーレート検出部(94、95)と、前記走行速度検出部(102)によって検出される走行速度(V)と前記ヨーレート検出部(94、95)によって検出されるヨーレート(ω)とに基づいて遠心力による影響をキャンセルあるいは低減する遠心力対応目標角(θcent)を演算する遠心力対応目標角演算部(110)とを有し、前記荷台制御部(104)は、前記目標角に前記遠心力対応目標角(θcent)を加えたものを新たな目標角として前記駆動装置(76)を制御する。
この構成によれば、旋回走行時に車体(12)、荷台(60)に遠心力が作用しても、それを打ち消すかのように、荷台(60)が旋回中心側へ傾斜し、安定した旋回走行が行われるようになる。
本発明による運搬車両の制御装置は、好ましくは、更に、路面カント角(θcant)を検出する路面カント角検出部(94、95)と、前記路面カント角(θcant)に基づいて路面カント角(θcant)による全体重心のずれの影響をキャンセルあるいは低減するカント角対応目標角(θcant)を演算するカント角対応目標角演算部(112)とを有し、前記荷台制御部(104)は、前記目標角に前記カント角対応目標角(θcant)を加えたものを新たな目標角として前記駆動装置(76)を制御する。
この構成によれば、路面カント角(θcant)が運搬車両に及ぼす影響がキャンセルあるいは低減され、安定した走行が行われるようになる。
本発明による運搬車両の制御装置は、好ましくは、更に、予め決められた走行経路に於ける路面カント角を教示カント角(θcanttc)として位置情報と共に記憶する教示カント角記憶部(114)と、前記教示カント角記憶部(114)が記憶している教示カント角(θcanttc)を現地点の位置情報に基づいて読み出し、使用する教示カント角(θcanttc)を決定する教示カント角制御部(116)とを有し、前記荷台制御部(104)は、荷台駆動角(θc)が教示カント角(θcanttc)に追従するように前記駆動装置(76)を制御する。
この構成によれば、教示カント角記憶部(114)が記憶している教示カント角(θcanttc)に基づいて荷台(60)を水平姿勢にする制御が行われるので、当該制御が大きい制御遅れを生じることなく行われるようになり、路面の傾斜角(カント角)が急激に変化しても荷台(60)を水平姿勢に保つことができる。
本発明による運搬車両の制御装置によれば、積載物を含む荷台の重心が荷台の中心以外にあっても、重心がガイドレールの円弧中心を通る鉛直線上あるいはその近くに位置することになり、積載物を含む荷台の重心位置の変動に拘わらず安定した走行が行われるようになる。
本発明による制御装置を適用される運搬車両の一つの実施形態を示す側面図。 同実施形態の正面図(図1のA矢視相当)。 同実施形態の正面図(図1のB矢視相当)。 同実施形態の制御系のブロック線図。 同実施形態の本発明による運搬車両の制御装置に用いられる重心オブザーバのブロック線図。 同実施形態の運搬車両の重心の位置を示す説明図。 同実施形態の運搬車両の動作状態を示す説明図。 同実施形態の運搬車両の動作状態を示す説明図。 同実施形態の運搬車両の動作状態を示す説明図。 本発明による運搬車両の制御系の一つの実施形態の詳細を示すブロック線図。 本発明による運搬車両の制御系の他の実施形態の詳細を示すブロック線図。
以下に、本発明による運搬車両の一つの実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。
(構造)
運搬車両10は車体12を有する。車体12は、図2、図3に示されているように、前後方向に延在する閉断面形状の左右のサイドフレーム14および左右方向(車幅方向)に延在して左右のサイドフレーム14を互いに連結する複数個のH形断面形状のクロスメンバ16によるラダー形状の下部フレーム組立体18を有する。
左側のサイドフレーム14には左側クローラ20が取り付けられ、右側のサイドフレーム14には右側クローラ22が取り付けられている。左側クローラ20と右側クローラ22とは同一構造であり、各々、対応する側のサイドフレーム14に取り付けられた4個のガイドローラ24および前部テンションローラ26および後部駆動ローラ28と、これらのローラに掛け渡された無端走行帯30とにより構成されている。
下部フレーム組立体18の後部上には、図1に示されているように、後部架台32が取り付けられている。後部架台32には走行駆動ユニット34が搭載されている。走行駆動ユニット34は、図4に示されているように、左側クローラ20の後部駆動ローラ28を回転駆動する左側クローラ用電動モータ36と、左側クローラ用電動モータ36の出力軸を選択的に固定する電磁ブレーキ37と、右側クローラ22の後部駆動ローラ28を回転駆動する右側クローラ用電動モータ38と、右側クローラ用電動モータ38の出力軸を選択的に固定する電磁ブレーキ39とを有する。
後部架台32の最後端部上には複数のパイプ材等よりなる上部フレーム組立体40が取り付けられている。上部フレーム組立体40には当該上部フレーム組立体40より後方且つ上方に延在する左右の手持ちハンドル42が取り付けられている。左右の手持ちハンドル42の遊端側には、各々、グリップ44と、走行レバー46と、旋回レバー48とが取り付けられている。また、一方の手持ちハンドル42には、電源スイッチや前後進切換部や走行速度設定部等を含む走行操作ユニット50が取り付けられている。走行レバー46および旋回レバー48は、各々、電気スイッチ47、49のオン・オフ操作を行うものであり、電気スイッチ47、49は、対応するレバーがユーザの手により握られているか否に応じて電気信号を走行操作ユニット50に出力する。
走行操作ユニット50は、電気スイッチ47より電気信号を入力し、左右双方の走行レバー46が手にて握られると、走行のために、左側クローラ用電動モータ36と右側クローラ用電動モータ38との双方を同一速度で駆動して同双方の電磁ブレーキ37、39をオフ状態(解放状態)にする指令信号を後述するクローラ制御部102(図4参照)に出力し、少なくとも左右何れか一方の走行レバー46が放されると、走行停止のために、左側クローラ用電動モータ36と右側クローラ用電動モータ38との双方の電磁ブレーキ37、39をオン状態(緊締状態)にして同双方の電動モータ36、38を停止する指令信号をクローラ制御部102に出力する。
走行操作ユニット50は、電気スイッチ49より電気信号を入力し、左右何れか一方の旋回レバー48が手にて握られると、旋回走行のために、左右対応する側(握られた側)の電磁ブレーキ37或いは39をオン状態にして同側の電動モータ36或いは38を停止すると共に反対側(握られてない側)の電動モータ36或いは38を駆動して同反対側の電磁ブレーキ37或いは39をオフ状態にする指令信号をクローラ制御部102に出力する。
下部フレーム組立体18には、図1に示されているように、前部支持板52と後部支持板54とが前後方向に互いに間隔をおいて下部フレーム組立体18より垂直に立設された形態で固定されている。前部支持板52および後部支持板54の上縁部は、図2、図3に示されているように、中心(円弧中心)をXとした半径Rによる上向きに凸な円弧状になっており、各々、車幅方向に延在する前側ガイドレール56および後側ガイドレール58をなしている。
図2および図3に示されているように、中心Xは水平地において車体12の重心Gcを通る鉛直線Lv上にある。車体12が左右対称であることから、重心Gcは、車体12が水平姿勢である状態において、車体12の車幅方向の中央点、つまり、運搬車両10のトレッドTの中央点T/2を通る鉛直線Lv上に存在している。このことにより、中心XもトレッドTの中央点T/2を通る鉛直線Lv上にある。
中心Xは、車体12を前後方向に見て、前側ガイドレール56のものと後側ガイドレール58のものとで同一位置にある。半径Rは前側ガイドレール56のものと後側ガイドレール58のものとで同一である。これらのことにより、前側ガイドレール56と後側ガイドレール58とは、同一円弧で、同じ高さにある。
前側ガイドレール56および後側ガイドレール58の上方には荷台60が配置されている。荷台60は車体12の中心軸線に対して左右対称をなしている。荷台60上には山間部などで伐採された丸太等の積載物99が積載される。
荷台60の底板62が、前側ガイドレール56に対応する位置および後側ガイドレール58に対応する位置には、各々ローラブラケット64および66が固定されている。ローラブラケット64は、前側ガイドレール56の円弧上面を転動する左右二つの上部ローラ68と、前側ガイドレール56の前側の円弧下面を転動する下部ローラ70と、前側ガイドレール56の後側の円弧下面を転動する下部ローラ72とを各々回転可能に支持している。ローラブラケット66は、後側ガイドレール58の円弧上面を転動する左右二つの上部ローラ74を回転可能に支持している。
荷台60は、前後方向には下部フレーム組立体18と平行であり、前側ガイドレール56および後側ガイドレール58に沿って中心Xを中心とした円弧軌跡を描いて揺動可能である。換言すると、荷台60は、中心Xを前後方向に通る軸線周りに回動して左右両側に、つまりロール方向に傾動可能であり、当該傾動によって鉛直線Lvに対して任意に傾斜した姿勢をとることができる。
両ガイドレール56、58の曲率は、路面に最大限のカント角傾斜があったときでも、荷台を水平に維持することができるように定められ、また荷台60の重心を通る鉛直線Lvが、運搬車両10のトレッドTの外側に出ないように両ガイドレール56、58の曲率中心の位置を定められるとよい。中心Xは、運搬車両10のトレッドをT(図2参照)、中心Xを中心とした荷台60の最大傾斜角をθmax(図2参照)とした場合、(T/2)(1/tanθmax)より低い位置で、可及的に下部フレーム組立体18の下側にあることが好ましい。このことにより、最大傾斜角θmaxにおいて荷台60の左右方向の中央点がトレッドTより外方にはみ出すことがなく、また、中心Xが路面(地面)に近付くことによって安定度が向上する。
下部フレーム組立体18上には荷台駆動用電動モータ76が設けられている。荷台駆動用電動モータ76の配置は、自身の出力軸78の軸線の延在方向が前後方向になり、且つ荷台駆動用電動モータ76の重心が下部フレーム組立体18の車幅方向(左右方向)の中央部に位置する配置である。つまり、車体12が水平姿勢である状態において、トレッドTの中央点T/2を通る鉛直線Lv上に荷台駆動用電動モータ76の重心が位置する配置である。
荷台駆動用電動モータ76の出力軸78には第1のリンク要素80の一方の端部が固定されている。第1のリンク要素80の他方の端部には枢軸82によって第2のリンク要素84の一方の端部が枢動可能に連結されている。第2のリンク要素84の他方の端部は底板62の下面に固定されたブラケット86に枢軸88によって枢動可能に連結されている。第1のリンク要素80の一方の端部は中心Xの上方に位置している。第1のリンク要素80のリンク長は半径Rより短いが第2のリンク要素のリンク長より長い。このようにして、第1のリンク要素80と第2のリンク要素84とは、互いに屈折可能な2節リンク機構を構成し、荷台60が前側ガイドレール56、後側ガイドレール58に沿って移動するように荷台駆動用電動モータ76の駆動力を荷台60に伝達する伝達機構をなす。
荷台駆動用電動モータ76には、出力軸78を選択的に固定する電磁ブレーキ77と、出力軸78の回転角(モータ角θm)を検出するモータ角検出器92とが取り付けられている。モータ角検出器92は、レゾルバー、ポテンショメータ、ロータリエンコーダ、或いはそれらの組み合わせによって構成されていてよい。電磁ブレーキ77は、荷台駆動用電動モータ76の駆動時には解除され、荷台駆動用電動モータ76の非駆動時には締結状態になって荷台60の傾斜姿勢を保持する。
底板62の下面には、ジャイロスコープ94と、加速度センサ95とが取り付けられている。ジャイロスコープ94と加速度センサ95とは、ストラップダウン方式の公知の技術により、傾斜角(荷台傾斜角)θactを検出する。また、ジャイロスコープ94は検出した傾斜角θactを用いて車体12のヨーレートωおよび荷台60の傾斜角加速度dθact/dtを検出する。なお、荷台傾斜角θactは、図7(A)に示されているように、中心Xと無積載の荷台60の重心Gaとを結ぶ直線Laと、中心Xを通る鉛直線Lvとがなす角度である。
下部フレーム組立体18上には、荷台駆動用電動モータ76と同様に、重心が下部フレーム組立体18の車幅方向(左右方向)の中央部に位置(車体12が水平姿勢である状態において、トレッドTの中央点T/2を通る鉛直線Lv上の位置)するように、再充電可能なバッテリユニット90が配置されている。バッテリユニット90は、左側クローラ用電動モータ36および右側クローラ用電動モータ38、電磁ブレーキ37および39、荷台駆動用電動モータ76、電磁ブレーキ77等、運搬車両10に搭載されている全ての電気機器の電源をなす。
上部フレーム組立体40には、走行制御と荷台制御とを行う制御装置100(図4参照)などを内蔵した電装ボックス96が取り付けられている。
上述した本実施形態の運搬車両10は、荷台駆動用電動モータ76が下部フレーム組立体18に設置されているので、荷台駆動用電動モータ76が荷台60に取り付けられている場合に比して運搬車両10の全体の重心が低くなる。このことにより、運搬車両10の安定性が向上する。特に、運搬車両10が傾斜地や傾斜路、山間地等の不整地で使用される場合、このように運搬車両10の安定性が向上することは重要なことである。
また、荷台駆動用電動モータ76が下部フレーム組立体18に設置されていることにより、荷台駆動用電動モータ76が荷台60に取り付けられている場合に比して、荷台駆動用電動モータ76の重量分、荷台60側の重量が低減する。荷台60側の重量が低減した分、荷台60を移動させるのに必要な駆動力が低減し、荷台駆動用電動モータ76を小型化し、消費電力を低減することが可能になる。
運搬車両10の走行安定性は、荷台駆動用電動モータ76およびバッテリユニット90の双方の重心が、車体12が水平姿勢である状態において、下部フレーム組立体18の車幅方向の中央点を通る鉛直線Lv上に位置する配置であることによっても向上する。
荷台駆動用電動モータ76の出力軸78が回転すると、第1のリンク要素80が、出力軸78を回転中心として、出力軸78の回転方向と同方向に、出力軸78の回転角と同角だけ回動する。この第1のリンク要素80の回動によって、第2のリンク要素84は、第1のリンク要素80およびブラケット86との屈折角を変えながら、図3で見て出力軸78が時計廻り方向に回転しているときには、第1のリンク要素80によって引かれるようにして図3で見て右方へ移動する。この移動によって荷台60は、前側ガイドレール56および後側ガイドレール58に案内されて中心Xを前後方向に通る軸線周りに回動して、図3で見て右側下がりに傾斜する。同様に、図3で見て出力軸78が反時計廻り方向に回転しているときには、荷台60は、第1のリンク要素80によって押されるようにして図3で見て左方へ移動する。この移動によって荷台60は、前側ガイドレール56および後側ガイドレール58に案内されて中心Xを前後方向に通る軸線周りに回動して、図3で見て左側下がりに傾斜する。
第1のリンク要素80の回転中心、つまり出力軸78は、中心Xより離れた上方にあることから、枢軸82の円弧軌跡と前側ガイドレール56および後側ガイドレール58の円弧に沿った移動による荷台60の円弧軌跡とは同心ではなく、そのために荷台60の移動時に出力軸78と枢軸88とを結ぶ直線長さが変化するが、第1のリンク要素80と第2のリンク要素84とよる2節リンク機構の作用により、出力軸78の回転運動を荷台60の円弧に沿った移動に円滑に変換することができる。即ち、第1のリンク要素80の回動に伴って、第2のリンク要素84の第1のリンク要素80に対する折曲角が変化することにより、出力軸78の回転を荷台60に伝達することができる。このようにして、荷台60が前側ガイドレール56および後側ガイドレール58の円弧に沿って移動することが保証される。
上述の構成によって、中心Xを、出力軸78と同心位置でなく、荷台駆動用電動モータ76より更に下方に設定することが可能になり、荷台60の高さを高くすることなく半径Rを大きく設定できる。このことによっても運搬車両10の安定性が向上する。
第1のリンク要素80のリンク長が第2のリンク要素84のリンク長より長いことにより、両リンク長が同一である場合や第1のリンク要素80のリンク長が第2のリンク要素84のリンク長より短い場合に比して、第1のリンク要素80と、荷台60との回転速度比の変動を小さくすることができる。これにより、荷台駆動用電動モータ76の回転角と荷台傾斜角θactとの関係の非線形性が抑えられる。
この非線形特性は正弦波状のものであり、最大傾斜角θmaxを30〜35度程度、中心Xと出力軸の中心との離間距離を170mm程度、第1のリンク要素80のリンク長を200mm、第2のリンク要素84のリンク長を150mmとすると、減速比の変動±5%以下に抑えることができ、この程度の変動は荷台60の傾斜制御に於いて問題なく無視することができる。
図2、図6に示されているように、車体12が水平姿勢をとり、荷台60も水平姿勢を取る中立位置にあるときには、無積載の荷台60の重心Gaは、車体12の重心Gcと同様に、下部フレーム組立体18の車幅方向の中央点を通る鉛直線Lv上に位置している。なお、図2、図6において、符号Gbは積載物99を含む荷台60の重心を、符号Gdは荷台60上に積載された積載物99のみの重心を各々示している。
(制御)
次に、図4を参照して制御装置100について説明する。制御装置100は、記憶装置を備えたマイクロコンピュータからなり、コンピュータプログラムを実行することにより、クローラ制御部102と、荷台制御部104と、初期パラメータ推定部106と、重心オブザーバ108と、遠心力対応目標角演算部110と、カント角対応目標角演算部112と、教示カント角設定部115と、教示カント角制御部116とを具現化する。制御装置100は、更に教示カント角記憶部114を有する。
クローラ制御部102は、走行操作ユニット50より電気スイッチ47、49のオン・オフ信号を含む各種信号を入力し、入力した信号に基づいて左側クローラ制御目標速度VLおよび右側クローラ制御目標速度VRを演算し、左側クローラ制御目標速度VLの指令信号をモータドライバ120に出力し、右側クローラ制御目標速度VRの指令信号をモータドライバ122に出力すると共に、電磁ブレーキ37、39のオン・オフ制御を行う。直進走行時は左右のクローラ制御目標速度VL、VRは互いに等しいが、カーブを走行するようにプログラムされるような場合には、左右のクローラ制御目標速度VL、VRを互いに異なるように設定することもできる。
モータドライバ120は左側クローラ20の速度が左側クローラ制御目標速度VLになるように左側クローラ用電動モータ36の速度制御を行う。また、モータドライバ122は右側クローラ22の速度が右側クローラ制御目標速度VRになるように右側クローラ用電動モータ38の速度制御を行う。
これにより、左右双方の走行レバー46が手にて握られると、左側クローラ用電動モータ36と右側クローラ用電動モータ38との双方が同一速度で駆動されて同双方の電磁ブレーキ37、39がオフ状態(解放状態)になり、運搬車両10が直進走行する。少なくとも左右何れか一方の走行レバー46が手放されると、電磁ブレーキ37、39がオン状態(締結状態)になり、左側クローラ用電動モータ36と右側クローラ用電動モータ38とが停止され、運搬車両10は停止する。
左右何れか一方の旋回レバー48が手にて握られると、握られた側の電磁ブレーキ37或いは39がオン状態になり、同側の電動モータ36或いは38が停止すると共に握られてない側の電動モータ36或いは38が駆動され、同反対側の電磁ブレーキ37或いは39がオフ状態になる。これにより手にて握られた旋回レバー48側を旋回中心側として、運搬車両10が旋回する。
荷台制御部104は、走行中の基本的なフィードバック制御として、ジャイロスコープ94と加速度センサ95とによって計測された荷台傾斜角θactがゼロに追従するようにモータ目標角速度を算出し、モータドライバ124に出力する。モータドライバ124は、モータ目標角速度と現在のモータ角速度に応じて荷台駆動用電動モータ76の電流値iactの制御を行う。
このフィードバック制御により、路面の道幅方向(車幅方向)の傾斜に拘わらず、荷台60が水平姿勢に保たれる。
初期パラメータ推定部106は、運搬車両10の諸パラメータを推定する。荷台60の角度制御を行うときに必要なパラメータとして、中心Xを前後方向に通る中心軸線周りの、積載物99を含む荷台60全体の慣性二次モーメントJと、重心偏倚角θerrと、積載物重量mと、無積載時の荷台重量Mと、中心Xから積載物99を含む荷台60の重心Gbまでの距離Rb(図6参照)とがある。なお、以下の説明において、単に「重心」といった場合には、積載物99を含む荷台60の重心Gbを指すものとする。
無積載時の荷台重量Mは一定の値であり、中心Xから重心Gbまでの距離Rbは標準的な積載物重量における重心高さであり、これらは固定値として予め設定される。
重心偏倚角θerrは、図7(A)に示されているように、中心Xと無積載の荷台60の重心Gaとを結ぶ直線Laと、中心Xと積載物99を含む荷台60の重心Gbとを結ぶ直線Lbとがなす角度(中心Xを中心として無積載の荷台60の重心Gaと積載物99を含む荷台60の重心Gbとがなす角度)である。
なお、図7(A)に示されている荷台駆動角θcは、中心Xと車体12の重心Gcとを結ぶ直線Lcと、中心Xと無積載の荷台60の重心Gaとを結ぶ直線Laがなす角度であり、モータ角θmに伝達機構の減速比Nを乗じた値に等しい。荷台駆動角θcは、本実施形態では、荷台60が前述の中立位置にあるときには、Lc=Laで、この中立位置を荷台駆動角θcの基点(ゼロ点)としている。
積載物重量m、慣性二次モーメントJおよび重心偏倚角θerrは、荷台60に積載物99を搭載した後に、走行を停止した状態で、荷台駆動用電動モータ76によって荷台傾斜角θactを所定時間に亘って、所定周波数をもって変化させ、以下に説明するようにして推定される。
慣性二次モーメントJは、中心Xを前後方向に通る軸線周りの荷台60の慣性二次モーメントをJc、荷台60上の積載物99の重心Gdを前後方向に通る軸線周りの慣性二次モーメントをJwとすると、下式(1)により示される。
J=Jc+(Jw+m・Rd) ...(1)
但し、Rd:中心Xから積載物99の重心Gdまでの距離(図6参照)
積載物99を含む荷台60の運動方程式は次式(2)によって表される。
J・(dθact/dt)=τ+(M+m)・g・Rb・(θact+θerr)
...(2)
但し、g:重力加速度
Rb:中心Xから積載物99を含む荷台60の重心Gbまでの距離(図6参照)
τ:荷台駆動用電動モータ76によって荷台60に作用する駆動トルク
駆動トルクτは、モータ電流と相関するから、荷台駆動用電動モータ76の電流を制御するモータドライバ124より取得することができる。
これを整理すると、下式(3)により表される。
Figure 2016117379
時間tに亘って計測した結果を、下式(4)により表す。なお、荷台60の傾斜角加速度dθact/dtは、ジャイロスコープ94と加速度センサ95とによる計測値を用いることができる。
Figure 2016117379
ここで、
Figure 2016117379
と置き、パラメータφの最小二乗解を求めると、下式(5)が得られる。
Figure 2016117379
以上により、慣性二次モーメントJが推定される。
積載物99を含む荷台60の重心Gbまでの距離(重心高さ)Rbが、無積載状態で400mm、220kg積載状態で590mmとすると、便宜上Rb=590mmと仮定し、下式(6)によって積載物重量mを推定することができる。
m=−(φ(2)/Rb・g)−M ...(6)
このようにして求められた積載物重量mによって過積載を判定し、警告することができる。
上述の仮定により、積載荷重が220kg未満であると、積載物重量mは小さめに推定され、積載荷重が220kgを超えた値であると、積載物重量mは大きめに推定される傾向があるので、過積載を判定する観点では、重心高さRbの誤差による悪影響は少ないと考えられる。
このパラメータ取得時に、下式(7)によって重心偏倚角θerrを推定することができる。以下の説明において、「重心偏倚角θerrの推定値」を「重心偏倚角^θerr」と表記することがある。
^θerr={φ(3)}/{φ(2)} ...(7)
このようにして、積載物99が積載された時点で、荷台60の運動方程式の諸初期パラメータを取得することができ、得られた諸初期パラメータに基づいて、荷台制御部104は、後記するような荷台角度制御を行う。また、この時の重心偏倚角^θerrによって重心の過偏心を判定し、警告することができる。
運搬車両10の走行中に積載物99が移動し、荷台60の重心Gbが変動することがあるから、その影響を考慮する必要がある。そのために、図5に示されるような重心オブザーバ108を設定し、リアルタイムで荷台60の重心Gbの変動を考慮するようなパラメータの修正を行う。
重心オブザーバ108は、重心偏倚角推定部をなす外乱オブサーバである。旋回時の遠心力も考慮した場合には、積載物99を含む荷台60の運動方程式は次式(8)で表される。
J・(dθact/dt)=τ+(M+m)g・Rb(θact+θerr)+(M+m)V・ω・Rb ...(8)
但し、V:車両の走行速度
ω:車両のヨーレート
ここで、トルク偏差τerrを次のように定義する。
τerr=(M+m)g・Rb・θerr ...(9)
すると、式(8)式は以下のように表される。
J・(dθact/dt)=τ+(M+m)g・Rb・θact+(M+m)V・ω・Rb+τerr ...(10)
トルク偏差τerrを推定するために、トルク偏差τerrの推定値および荷台傾斜角θactの推定値を、
Figure 2016117379
と置くものとする。
ここで、以下の式により表される推定モデルを設定する。
Figure 2016117379
これにより、重心オブザーバ108は、図5に示されているように、式(11)の運動方程式を推定モデル150とし、推定モデル150に、荷台傾斜角θact、傾斜角速度(dθact/dt)、電流値iact、走行速度V、ヨーレートωを入力してトルク偏差τerrを推定し、トルク偏差τerrの推定値^τerrより下式(13)によって走行中の重心偏倚角^θerrを繰り返しリアルタイムに推定する。なお、傾斜角速度(dθact/dt)は荷台傾斜角θactを微分することにより取得できる。
Figure 2016117379
具体的には、式(11)の右辺の各項の算出が、走行速度V、ヨーレートω、電流値iact、荷台傾斜角θact等に基づいて行われる。先ず、これらの値を加算器152に入力し、その和を除算器154に於いて慣性二次モーメントJを除し、更に積分器156に於いて積分し、得られた(dθact/dt)の推定値を減算器158に減算値として入力する。この減算器158には、(dθact/dt)の実測値が加算値として入力され、その偏差にゲインkおよび慣性二次モーメントJを乗じてトルク偏差τerrの推定値^τerrを得て、それを{(M+m)・g・Rb}により除することにより、重心偏倚角θerrの推定値^θerrを得る。なお、演算によって得られたトルク偏差τerrの推定値^τerrは加算器152に帰還される。
式(8)の両辺から式(11)の対応する辺を減ずることにより、次の式(14)を得て、トルク偏差τerrの推定値を評価することができる。
Figure 2016117379
ここで、sはラプラス演算子である。これに、式(12)を代入すると、
Figure 2016117379
となり、重心オブザーバ108に於いて、トルク偏差τerrの推定値^τerrは、実際のトルク偏差τerrの値に収束することが分かる。
パラメータ設定された慣性二次モーメントJおよび全体重量(M+m)gに加えて、このようにして逐次推定されるトルク偏差^τerr、即ち、重心偏倚角^θerrを算出し、荷台60を安定姿勢にするための荷台傾斜角θactに基づくフィードバック制御の目標値を−k1・^θerrとする。k1は、感度係数(0<k1≦1)であり、設計時に適宜設定される。
これにより、図7(B)に示されているように、重心偏倚角θerrが生じた方向とは逆の方向に−k1・^θerrだけ荷台60が移動するようフィードバック制御が行われ、重心偏倚角θerrが生じても運搬車両10の走行安定性が低下することがない。つまり、積載物99を含む荷台60の重心Gbが荷台60の幾何学的な中心以外に偏倚しても、重心Gbが中心Xを通る鉛直線Lvに近づく或いは鉛直線Lv上に位置することになり、積載物99を含む荷台60の重心位置の変動に拘わらず安定した走行が行われるようになる。
遠心力対応目標角演算部110は、旋回時に車両に作用する遠心力を考慮して、荷台60に対する遠心力と重力との合力の方向を示す延長線が中心Xを通るように荷台60の水平制御に於ける制御目標角を補正するためのもので、それにより荷台駆動用電動モータ76の消費電力を低減することができる。左右のクローラ20、22の走行速度をVL、VRとし、車体ヨーレートがωであるとすると、向心加速度αは、以下の式(16)で与えられる。
α=ω・(VL+VR)/2 ...(16)
荷台60に対する遠心力と重力との合力の方向を示す延長線が中心Xを通るためには、荷台60を旋回中心の方向に、以下の式から得られる遠心力対応目標角θcentだけ傾斜させればよい。
θcent= atan(α/g) ...(17)
遠心力対応目標角演算部110には、クローラ制御部102から左右のクローラの制御目標速度(走行速度)VL、VRが入力され、ジャイロスコープ94から車体ヨーレートωが入力され、式(16)、式(17)に基づき得られた遠心力対応目標角θcentを、荷台制御部104に出力する。遠心力対応目標角θcentは、走行中、繰り返しリアルタイムに算出され、荷台60を安定姿勢にするための荷台傾斜角θactに基づくフィードバック制御の目標角に加算される。
これにより、図8に示されているように、旋回中心側への荷台60の傾斜が遠心力対応目標角θcentだけ増大する制御が行われ、遠心力が荷台60に及ぼす影響がキャンセルされ、運搬車両10の走行安定性が向上する。つまり、旋回走行時に車体12、荷台60に遠心力が作用しても、それを打ち消すかのように、荷台60が旋回中心側へ傾斜し、安定した走行が行われるようになる。
なお、運搬車両10の走行速度を直接検出する走行速度検出器が設けられている場合には、走行速度Vは、左右のクローラ20、22の走行速度を平均する代わりに、そのような走行速度検出器の検出値から直接得ることができる。
遠心力は、荷台60ばかりでなく車体12にも作用し、車体12を横転させようとするモーメントを発生する。そこで、所望に応じて、遠心力対応目標角θcentに、そのようなモーメントを相殺させるような成分を付加することもできる。この場合には、遠心力対応目標角θcentを式(18)によって算出する。
θcent=atan{[(k2・Mbase・Rbase+(M+m)・Rb)α]/(M+m)・g・r} ...(18)
但し、Mbase:車体12の重量
Rbase:車体12の重心Gcの中心Xよりの高さ(図6参照)
k2:感度係数(0<k2≦1)であって、設計時に適宜設定される。
この場合も、遠心力対応目標角θcentは、走行中、繰り返しリアルタイムに算出され、荷台60を安定姿勢にするための荷台傾斜角θactに基づくフィードバック制御の目標値に加算される。
これにより、この場合も、図8に示されているように、旋回中心側への荷台60の傾斜が遠心力対応目標角θcentだけ増大する制御が行われ、遠心力が車体12および荷台60に及ぼす影響がキャンセルあるいは低減され、運搬車両10の走行安定性が向上する。
なお、予め走行経路が地図情報として知られている場合には、遠心力対応目標角θcentは、ジャイロスコープ94によって計測されるヨーレートωに代えて、地図情報から得られる走行経路の曲率に基づいて求めることもできる。
カント角対応目標角演算部112は、路面カント角θcantにより車体12および荷台60に発生するロールモーメント、つまり路面カント角θcantによる影響を相殺するように、荷台60の水平制御に於ける制御目標角を補正するカント角対応目標角θcantを算出する。換言すると、カント角対応目標角θcantは、路面カント角θcantによって車体12および荷台60に発生するロールモーメントに起因する左側クローラ20と右側クローラ22との路面グリップ力の不均衡を補償、つまり均等にし、路面カント角による全体重心のずれの影響をキャンセルあるいは低減する補正角である。
路面カント角がθcantであって、それを補償するために荷台60の姿勢制御に加えられるべきカント角対応目標角をθcantとすると、車体12および荷台に作用するロールモーメントの釣り合いから下式(19)が得られ、式(20)によってカント角対応目標角θcantを算出することができる。路面カント角θcantは、走行路の道幅方向の傾斜角であり、ジャイロスコープ94と加速度センサ95とによって計測される荷台傾斜角θactと荷台駆動角θcとから求めることができる。
(M+m)・g・Rb・θcant=Mbase・g・Rbase・θcant
...(19)
θcant=Mbase・Rbase・θcant/(M+m)・Rb ...(20)
路面カント角θcantを考慮する度合いを調節するために、カント角対応目標角θcantは、下式(21)によって算出されるとよい。
θcant=k3・Mbase・Rbase・θcant/(M+m)・Rb
...(21)
k3は、設計時に適宜設定される感度係数(0<k3≦1)であり、上述の度合いを設定する。
カント角対応目標角θcantは、走行中、繰り返しリアルタイムに算出され、荷台60を安定姿勢にするための荷台傾斜角θactに基づくフィードバック制御の目標値に加算される。
これにより、図9に示されているように、カント上側のクローラ22の路面グリップ力を増加すべく、重心Gbがカント上側へ移動するように、荷台60の傾斜がカント角対応目標角θcantだけ増大する制御が行われ、走行している路面カント角θcantの如何に拘らず運搬車両10の走行安定性が向上する。
教示カント角設定部115は、予め決められた走行経路における教示走行において、各地点(走行位置)の路面カント角θcantの計測値を教示カント角θcanttcとし、これを、走行情報を読み出しキーとして教示カント角記憶部114に書き込む。これにより、教示カント角記憶部114は、予め決められた走行経路における教示走行によって取得した各地点の教示カント角θcanttcを、走行情報を読み出しキーとして記憶する。
教示カント角制御部116は、教示走行後の同走行経路の走行において、走行情報から現地点の位置を特定して現地点の位置に対応する教示カント角θcanttcを教示カント角記憶部114から読み出し、読み出した教示カント角θcanttcを荷台制御部104に出力する。つまり、教示カント角制御部116は、教示カント角記憶部114が記憶している教示カント角θcanttcを現地点の位置情報に基づいて読み出し、使用する教示カント角θcanttcを決定する。そして、荷台制御部104は、荷台駆動角θcが教示カント角(θcanttc)に追従するように荷台駆動用電動モータ76を制御する。
教示カント角θcanttcによる路面カント角対応の制御は、予め教示カント角記憶部114に書き込まれている教示カント角θcanttcによる制御であるから、計測された荷台傾斜角θactによってリアルタイムで行われる水平姿勢のフィードバック制御に比して制御遅れが少ない。これにより、段差などの急激な路面カント角θcantに即座に対応でき、運搬車両10の走行安定性がより一層安定する。
走行経路の各地点の位置(現地点の位置)は、運搬車両10が具備している走行距離計(不図示)が計測した走行距離より特定することができる。走行距離計に代えて、GPSにより、走行経路の各地点の位置を特定することもできる。
図10は、荷台制御部104の詳細を示す。荷台制御部104に含まれる比例制御部130には、教示カント角θcanttcと荷台駆動角θcとの制御偏差が入力される。荷台制御部104に含まれるもう一つの比例制御部132には、カント角対応目標角θcantおよび遠心力対応目標角θcentが加算入力され、重心偏倚角^θerrのk1倍および荷台傾斜角θactが減算入力される。比例制御部132は、これらの角度の和をゼロとするような比例制御を行うためのモータ駆動信号を発生し、当該モータ駆動信号をモータドライバ124に出力する。モータ駆動信号が何らかの理由により急変した場合でも、大きな問題とならないように、モータドライバ124の前段に速度リミッタ136を設けることができる。
荷台制御部104は、更に微分制御部134を含んでいる。微分制御部134には、カント角対応目標角の変化率(微分値)dθcant/dtおよび遠心力対応目標角の変化率(微分値)dθcent/dtが加算入力され、荷台傾斜角の変化率(微分値)dθact/dtが減算入力される。微分制御部134は、これらの角度の変化率の偏差をゼロとするような微分制御を行うためのモータ駆動信号を発生し、当該モータ駆動信号をモータドライバ124に出力する。微分制御部134を設けることにより、荷台制御部104の応答性を向上させることができる。
このようにして、荷台制御部104は、積載物99の重心のずれ、路面カント角θcantおよび旋回時の遠心力を考慮して、荷台60全体に作用する合力の方向を示す延長線が中心Xを通るように、荷台駆動用電動モータ76に供給される電流値iactを制御することができる。
この場合の制御目標角は下式(22)によって表される。
制御目標角=θcent+θcant−k1・^θerr ...(22)
このような制御により、積載物99の積載状態や、運搬車両10の走行状態の如何に拘わらず、運搬車両10の走行安定性を向上することができる。また、上述の制御により、荷台60を路面の傾斜に拘わらず、荷台60の全体に作用する合力を示す方向の延長線が中心Xを通るようにすることができ、荷台60の重量によって中心X周りに作用する回転モーメントを実質的にゼロにすることができる。このことにより、荷台60をその位置に保つために必要な荷台駆動用電動モータ76の負荷が実質的にゼロなり、制御動作に要する荷台駆動用電動モータ76の消費電力を最小化することができる。
図11は、荷台制御部104の別の実施形態を示している。この実施形態は、積載物99を含む荷台60の重心Gbのずれ、即ち、重心偏倚角θerrを同定する手順を伴わず、積載物99を含む荷台60の重心Gbが、荷台60の回動中心を通る鉛直線Lv上にあるときには、荷台駆動用電動モータ76の電流値iactが極小となることを利用したものである。
即ち、電流値iactは積分器162に供給され、電流値iactの積分値のゼロ値に対する偏差が減算器160により算出される。この偏差が荷台制御部104に含まれる積分制御部164に入力されることにより、当該偏差をゼロとするような積分フィードバック制御を行うためのモータ駆動信号が得られ、得られたモータ駆動信号が加算器174に入力される。
荷台制御部104に含まれる比例制御部168には、遠心力対応目標角θcentが加算入力され、荷台傾斜角θactが減算入力される。積分制御部164は、これらの角度の偏差をゼロとするような比例制御を行うためのモータ駆動信号を発生し、モータ駆動信号を加算器174に出力する。
荷台制御部104は、更に微分制御部172を含んでいる。微分制御部172には遠心力対応目標角の変化率dθcent/dtが加算入力され、荷台傾斜角の変化率(微分値)dθact/dtが減算入力される。微分制御部172は、これらの角度の変化率の偏差をゼロとするような微分制御を行うためのモータ駆動信号を発生し、当該モータ駆動信号を加算器174に出力する。加算器174はモータ駆動信号を速度リミッタ176を介してモータドライバ124に出力する。速度リミッタ176は、モータ駆動信号が何らかの理由により急変した場合に、過大な応答が引き起こされることのないように、モータ駆動信号の変化速度を抑制する。
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明は、荷台60が前後方向に延在する軸線周りのロール方向に傾斜する運搬車両に限られることはなく、荷台60が車幅方向に延在する軸線周りのピッチ方向に傾斜する運搬車両にも同様に適用することができる。
荷台駆動用電動モータ76の駆動力を荷台60に伝える伝達機構は、2節リンク機構に限られることなく、長さ可変(テレスコピック)のロッドの両端に軸受が設けられた機構等、荷台駆動用電動モータ76の出力軸78と荷台60との連結点とを結ぶ直線長さが変更可能なものであればよい。
重心偏倚角推定部は、重心オブザーバ108に限られることなく、荷重センサ等を用いた種々の推論方式、演算方式によるものが考えられる。
10 運搬車両
12 車体
18 下部フレーム組立体
20 左側クローラ
22 右側クローラ
34 走行駆動ユニット
42 ハンドル
44 グリップ
46 走行レバー
48 旋回レバー
50 走行操作ユニット
56 前側ガイドレール
58 後側ガイドレール
60 荷台
76 荷台駆動用電動モータ
78 出力軸
80 第1のリンク要素
84 第2のリンク要素
86 ブラケット
90 バッテリユニット
94 ジャイロスコープ(荷台傾斜角検出部)
96 電装ボックス
100 制御装置
102 クローラ制御部
104 荷台制御部
106 初期パラメータ推定部
108 重心オブザーバ
110 遠心力対応目標角演算部
112 カント角対応目標角演算部
114 教示カント角記憶部
115 教示カント角設定部
116 教示カント角制御部
X 荷台60の回転中心
R ガイドレール56、58の半径
Ga 無積載の荷台60の重心
Gc 車体12の重心
Gb 積載物99を含む荷台60の重心
Gd 積載物99の重心
Lv 中心Xを通る鉛直線
Rb 中心Xから積載物99を含む荷台60の重心Gbまでの距離
Rd 中心Xから積載物99の重心Gdまでの距離
T 運搬車両10のトレッド
θc 荷台駆動角
θm モータ角
θact 鉛直線Lvに対する荷台60の中心X周りの傾斜角(荷台傾斜角)
θerr 中心Xを中心として無積載の荷台の重心Gaと積載物99を含む荷台60の重心Gbとがなす角度(重心偏倚角)

Claims (6)

  1. 車体と、
    前記車体に設けられた円弧状のガイドレールと、
    前記ガイドレールに沿って移動可能な荷台と、
    前記荷台を前記ガイドレールに沿って駆動する駆動装置とを有する運搬車両の制御装置であって、
    鉛直線に対する前記荷台の傾斜角である荷台傾斜角を検出する荷台傾斜角検出部と、
    前記ガイドレールの円弧中心を中心として無積載の荷台の重心と積載物を含む荷台の重心とがなす重心偏倚角を推定する重心偏倚角推定部と、
    前記荷台傾斜角と前記重心偏倚角との和が所定角になる目標角をもって前記駆動装置を制御する荷台制御部とを有する運搬車両の制御装置。
  2. 前記所定角がゼロである請求項1に記載の運搬車両の制御装置。
  3. 前記重心偏倚角推定部は、前記荷台傾斜角と前記駆動装置の駆動負荷とに基づいて前記重心偏倚角を推定する請求項1または2に記載の運搬車両の制御装置。
  4. 前記ガイドレールは車幅方向に延在しており、前記ガイドレールの円弧の中心が前記車体の車幅方向の中央に位置している請求項1〜3の何れか一項に記載の運搬車両の制御装置。
  5. 走行速度を検出する走行速度検出部と、
    前記車体のヨーレートを検出するヨーレート検出部と、
    前記走行速度検出部によって検出される走行速度と前記ヨーレート検出部によって検出されるヨーレートとに基づいて遠心力による影響をキャンセルあるいは低減する遠心力対応目標角を演算する遠心力対応目標角演算部を有し、
    前記荷台制御部は、前記目標角に前記遠心力対応目標角を加えたものを新たな目標角として前記駆動装置を制御する請求項4に記載の運搬車両の制御装置。
  6. 路面カント角を検出する路面カント角検出部と、
    前記路面カント角に基づいて路面カント角による全体重心のずれの影響をキャンセルあるいは低減するカント角対応目標角を演算するカント角対応目標角演算部を有し、
    前記荷台制御部は、前記目標角に前記カント角対応目標角を加えたものを新たな目標角として前記駆動装置を制御する請求項4または5に記載の運搬車両の制御装置。
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