JP2016117216A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体を噴射するノズルの開口周辺に付着した付着物を吸引により除去する際に、ノズルからの液体の排出を抑制することができる液体噴射装置を提供する。【解決手段】液体噴射装置10は、液体収容体41から供給される液体を噴射可能なノズル22を有する液体噴射部20と、液体収容体41と液体噴射部20とを接続する液体供給路70と、ノズル22が開口する開放空間を吸引することにより、液体噴射部20に付着した付着物を除去する吸引機構81と、吸引機構81が吸引を行うときに液体噴射部20への液体の供給を規制する供給規制部60と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、プリンターなどの液体噴射装置に関する。
液体噴射装置の一例であるインクジェット式のプリンターのうちには、液体を噴射するノズルを有するヘッドの他に、ノズルを覆うキャップと、キャップ内を吸引することでノズルからインクを吸引排出させる吸引手段と、ノズルが開口するノズル面を払拭するワイパーブレードと、を備えて、ヘッドのメンテナンスを行うものがある。
また、ヘッドのメンテナンスにおいて、ノズル面に付着するインクをワイパーブレードで払拭することによるノズル面の劣化を抑制するため、ノズル面との間に隙間をあけて配置したキャップを通じて吸引を行うことにより、ノズル面に付着したインクの除去をする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
ところで、上述のようにノズル面からキャップを離して吸引を行う場合であっても、キャップ内に負圧が生じ、その負圧によってノズルから液体が吸引排出されることがある。このときノズルから排出されるインクは、印刷にもメンテナンスにも寄与しないため、インクの無駄な消費となってしまう、という課題がある。
なお、このような課題は、インクジェット式のプリンターに限らず、液体を噴射するノズルの開口周辺に付着した付着物の除去を要する液体噴射装置においては、概ね共通したものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体を噴射するノズルの開口周辺に付着した付着物を吸引により除去する際に、ノズルからの液体の排出を抑制することができる液体噴射装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体噴射装置は、液体収容体から供給される液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射部と、前記液体収容体と前記液体噴射部とを接続する液体供給路と、前記ノズルが開口する開放空間を吸引することにより、前記液体噴射部に付着した付着物を除去する吸引機構と、前記吸引機構が前記吸引を行うときに前記液体噴射部への液体の供給を規制する供給規制部と、を備える。
上記課題を解決する液体噴射装置は、液体収容体から供給される液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射部と、前記液体収容体と前記液体噴射部とを接続する液体供給路と、前記ノズルが開口する開放空間を吸引することにより、前記液体噴射部に付着した付着物を除去する吸引機構と、前記吸引機構が前記吸引を行うときに前記液体噴射部への液体の供給を規制する供給規制部と、を備える。
この構成によれば、液体噴射部に付着した付着物を除去するためにノズルが開口する開放空間を吸引機構が吸引するときに、供給規制部によって液体噴射部への液体の供給が規制される。そのため、吸引機構の吸引力がノズルに及んだとしても、ノズルの上流側から液体の供給がなされないために、ノズルからの液体の流出が抑制される。したがって、液体を噴射するノズルの開口周辺に付着した付着物を吸引により除去する際に、ノズルからの液体の排出を抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構は、吸引口を有する吸引部を有し、前記吸引部は、前記吸引口が前記液体噴射部から離れた状態で前記開放空間を覆う近接位置と、前記近接位置よりも前記液体噴射部から離れた離間位置との間で移動可能であり、前記吸引機構が前記吸引を開始するときに前記吸引部が前記離間位置に配置され、前記吸引機構が前記吸引を開始した後に前記吸引部が前記離間位置から前記近接位置に向けて移動する。
この構成によれば、吸引機構が吸引を開始するときに吸引部を近接位置よりも液体噴射部から離れた離間位置に配置することにより、吸引開始時の圧力変化が小さくなるので、ノズルからの液体の排出が抑制される。そして、吸引機構が吸引を開始した後に、吸引部が離間位置から近接位置に向けて移動することで、吸引口と液体噴射部の隙間が徐々に狭くなるので、その隙間を通じた外気の流入速度が速くなる。これにより、液体噴射部に対する吸引力を徐々に高めつつ、ノズルの開口付近に付着した付着物を除去することができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構が前記吸引を終了する前に、前記吸引部が前記近接位置から前記離間位置に向けて移動する。
この構成によれば、吸引機構が吸引を終了する前に、吸引部が近接位置から離間位置に向けて移動することにより、吸引口と液体噴射部の隙間が徐々に広くなるので、吸引の終了時にノズルの開口に作用する負圧を小さくすることができる。そのため、吸引機構が吸引を終了したときにノズル内のメニスカスに作用する圧力変化を小さくして、メニスカスの破壊による液体の漏出を抑制することができる。
この構成によれば、吸引機構が吸引を終了する前に、吸引部が近接位置から離間位置に向けて移動することにより、吸引口と液体噴射部の隙間が徐々に広くなるので、吸引の終了時にノズルの開口に作用する負圧を小さくすることができる。そのため、吸引機構が吸引を終了したときにノズル内のメニスカスに作用する圧力変化を小さくして、メニスカスの破壊による液体の漏出を抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構は、前記吸引を開始した後に、吸引速度が徐々に速くなるように吸引力を変化させていく。
この構成によれば、吸引機構が吸引を開始するときの吸引速度を遅くすることにより、ノズルに作用する圧力変化を小さくして、ノズルからの液体の排出を抑制することができる。そして、吸引機構が吸引を開始した後に、吸引速度を徐々に速めていくことで、液体噴射部に対する吸引力を高めて、ノズルの開口付近に付着した付着物を除去することができる。
この構成によれば、吸引機構が吸引を開始するときの吸引速度を遅くすることにより、ノズルに作用する圧力変化を小さくして、ノズルからの液体の排出を抑制することができる。そして、吸引機構が吸引を開始した後に、吸引速度を徐々に速めていくことで、液体噴射部に対する吸引力を高めて、ノズルの開口付近に付着した付着物を除去することができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構は、前記吸引を終了する前に、吸引速度が徐々に遅くなるように吸引力を変化させていく。
この構成によれば、吸引機構が吸引を終了する前に、吸引速度が徐々に遅くなるので、吸引の終了時にノズルの開口に作用する負圧を小さくすることができる。そのため、吸引機構が吸引を終了したときにノズル内のメニスカスに作用する圧力変化を小さくして、メニスカスの破壊による液体の漏出を抑制することができる。
この構成によれば、吸引機構が吸引を終了する前に、吸引速度が徐々に遅くなるので、吸引の終了時にノズルの開口に作用する負圧を小さくすることができる。そのため、吸引機構が吸引を終了したときにノズル内のメニスカスに作用する圧力変化を小さくして、メニスカスの破壊による液体の漏出を抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構は、前記ノズルの開口を囲むように前記液体噴射部に当接することで前記ノズルが開口する開放空間を閉空間とする吸引部を有し、前記吸引部は、前記液体噴射部に当接して前記閉空間を形成する閉位置と、前記液体噴射部から離れた開位置との間で移動可能であり、前記吸引機構は、前記吸引部が前記開位置に移動して行う前記吸引と、前記吸引を停止して行う前記吸引部の前記閉位置への移動とを交互に繰り返し行う。
吸引部が閉位置に配置された状態で吸引機構が吸引を行うことにより、ノズルを通じて液体噴射部内の液体を排出する吸引排出クリーニングを行うことができる。このような吸引排出クリーニングの後に、吸引部が閉位置から開位置に移動すると、液体噴射部の吸引部が接触していた部分に液体が付着したまま残ってしまうことがある。その点、上記構成によれば、吸引部を開位置に移動させて吸引機構が吸引を行うことにより、液体噴射部に残った液体を、吸引部を通じて吸い取ることができる。また、この吸引によって吸い取り切れなかった液体が、吸引によって吸引力が及びにくい位置に移動した場合、吸引を停止して吸引部を再び閉位置に移動させると、吸引部に接触した液体が吸引部の周囲に凝集される。そのため、その後に吸引部を開位置に移動させて吸引機構による吸引を繰り返すことにより、前回の吸引で残った液体を吸引により除去することができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構は、前記液体噴射部における前記ノズルが開口する開口面に、前記ノズルの開口を囲むように当接することで前記ノズルが開口する開放空間を閉空間とする吸引部を有し、前記吸引部の前記開口面に接触する部分は、前記開口面よりも撥液性が低い。
吸引部がノズルの開口を囲むように液体噴射部の開口面に当接した状態で吸引機構が吸引を行うことにより、ノズルが開口する閉空間を負圧にして、その負圧によってノズルから液体を排出させる吸引排出クリーニングを行うことができる。このような吸引排出クリーニングの後に、吸引部が閉位置から開位置に移動すると、液体噴射部の吸引部が接触していた部分に液体が付着したまま残ってしまうことがある。その点、上記構成によれば、吸引部の開口面に接触する部分は、開口面よりも撥液性が低いので、吸引部が開口面から離れるときに、開口面に残る液体の量を少なくすることができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構は、吸引口を有する吸引部を有し、前記液体噴射部における前記ノズルが開口する開口面と前記吸引口とが対向する位置に前記吸引部を配置して前記吸引を行い、当該吸引を行うときに、前記開口面と前記吸引口との距離が0.1mm以上、1.5mm以下に設定される。
開口面と吸引口との距離が0.1mmより短いと、吸引機構が吸引を行うときに、ノズルが開口する開放空間の負圧が大きくなりすぎて、ノズルから液体が排出されてしまう。一方、開口面と吸引口との距離が1.5mmより長いと、吸引機構が吸引を行うときに、ノズルが開口する開放空間に十分な負圧が発生せず、液体噴射部に付着した付着物の除去性能が低下してしまう。その点、上記構成によれば、開口面と吸引口との距離が0.1mm以上1.5mm以下に設定されるので、ノズルからの液体の排出を抑制しつつ、液体噴射部に付着した付着物を効率よく除去することができる。
上記液体噴射装置において、前記吸引機構は、吸引口を有する吸引部と、前記吸引部を通じて吸引を行う吸引ポンプと、前記吸引部と前記吸引ポンプとを接続する吸引流路と、前記吸引流路に設けられる吸引用バルブと、前記吸引用バルブと前記吸引ポンプとの間に設けられる圧力室と、を有し、前記吸引用バルブを閉弁状態にして前記吸引ポンプを駆動することにより前記圧力室内の圧力を大気圧より小さい負圧にした後に、前記吸引用バルブを開弁状態にすることにより、前記吸引口を通じて前記吸引を行う。
この構成によれば、吸引用バルブを閉弁状態にして吸引ポンプを駆動することにより、圧力室内に負圧を蓄積し、その後に吸引用バルブを開弁状態にすることにより、ノズルが開口する開放空間の圧力を一気に低下させて、効率よく液体噴射部に付着した付着物を除去することができる。
以下、液体噴射装置の実施形態について、図を参照して説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって記録(印刷)を行うインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、液体噴射装置10は、液体を噴射する液体噴射部20と、気体を送出する送出ユニット30と、液体噴射部20に供給する液体を収容する液体収容部40と、液体収容部40に収容された液体を液体噴射部20に供給する液体供給路70と、を備える。また、液体噴射装置10は、液体供給路70において液体噴射部20に供給される液体の圧力を調整する圧力調整部50と、液体収容部40から液体噴射部20への液体の供給を規制可能な供給規制部60と、液体噴射部20のメンテナンスを行うメンテナンス装置80と、を備える。
液体供給路70は、液体収容部40と圧力調整部50とを接続する第1供給路71と、圧力調整部50と供給規制部60とを接続する第2供給路72と、供給規制部60と液体噴射部20とを接続する第3供給路73と、を含む。以降の説明では、気体または液体の流通方向に沿って、上流及び下流をいう。
液体噴射部20は、液体を液滴として噴射する複数のノズル22と、これらノズル22が開口する開口面23とを有する。そして、液体噴射部20は、ノズル22から媒体Mに向かって液体を噴射することで、記録(印刷)を行う。
印刷のためにノズル22から規定サイズの液滴を噴射すると、その液滴よりも微小な液滴からなるミストが副次的に生じてしまう。こうしたミストが開口面23に付着して徐々に大きくなって液滴となると、この大きくなった液滴が、ノズル22から噴射される液滴に接触して噴射された液滴の飛翔方向を変化させ、印刷品質を低下させてしまうことがある。こうしたミストの付着を抑制するため、開口面23には撥液膜を形成しておくことが好ましい。
送出ユニット30は、気体(本実施形態では、空気)を圧送する送出機構31と、送出ユニット30と液体収容部40とを接続する送出流路32と、送出流路32と供給規制部60とを接続する分岐流路33と、を備える。送出機構31は、例えば圧縮機等のポンプである。送出流路32及び分岐流路33は、気体を流通可能な流路である。
送出ユニット30は、分岐流路33を介した供給規制部60への気体の流通を規制可能な送出用バルブ35を備える。送出用バルブ35は、開弁状態になったときに送出機構31から供給規制部60への気体の流通を許容する一方、閉弁状態になったときに送出機構31から供給規制部60への気体の流通を規制する。そして、送出用バルブ35が開状態のときに送出ユニット30が駆動すると、分岐流路33を介して供給規制部60に気体が圧送される。
液体収容部40は、外力に応じて圧縮変形する液体収容体41を備える。液体収容体41は、例えば可撓性を有するフィルム部材で形成された袋状をなし、第1供給路71の上流端と連通している。また、液体収容部40には、液体収容体41を格納する格納室42が形成されている。格納室42には、送出流路32の下流端が接続されている。
送出ユニット30は、液体噴射部20が液体を噴射するときに送出機構31が駆動することにより、図1に矢印で示すように送出流路32を介して格納室42に気体を送出する。すると、液体収容部40の格納室42に気体が流入して、格納室42の圧力が増大する。これにより、液体収容体41が圧縮変形すると、液体収容体41に収容された液体が加圧された状態で第1供給路71に流出する。
圧力調整部50は、液体噴射部20における液体の消費に伴って、液体噴射部20と連通する第2供給路72内の液体の圧力が大気圧よりも低い所定の閾値P(例えば−1kPa程度)未満になると、第1供給路71を第2供給路72と連通させる。また、この連通により第1供給路71から第2供給路72に加圧された液体が流入する結果、第2供給路72内の液体の圧力が閾値P以上になると、圧力調整部50が第1供給路71と第2供給路72を非連通状態にする。
このように、圧力調整部50は、ノズル22の背圧となる第3供給路73の圧力が閾値P程度の負圧に維持されるように調整する。これに対して、送出ユニット30は、液体噴射部20が液体を噴射するときに、圧力調整部50よりも上流側となる第1供給路71内の圧力が大気圧以上(例えば20kPa程度)に維持されるように、所定のタイミングで駆動する。
供給規制部60は、可撓性を有するフィルム部材64と、フィルム部材64によって区画される気体室61及び液体室62と、液体室62内に突出する突出部63と、フィルム部材64を液体室62の容積を増大させる方向に付勢する付勢部材65と、気体室61を大気開放するための開放用バルブ66と、を備える。開放用バルブ66が開弁状態になると気体室61は大気と連通する一方、開放用バルブ66が閉弁状態になると気体室61は大気と非連通となる。
気体室61は、分岐流路33の下流端と連通し、液体室62は、第2供給路72の下流端及び第3供給路73の上流端と連通する。ここで、第3供給路73の上流端は、突出部63の突端に設けられた開口67を介して液体室62と連通する。
フィルム部材64は、気体室61と液体室62との圧力差に応じて撓み変位することにより、気体室61及び液体室62の容積を互いに増減させる。また、フィルム部材64は、付勢部材65の付勢力に抗して液体室62の容積を減少させる方向に撓み変位したときに突出部63の開口67を閉塞する一方で、付勢部材65の付勢力により液体室62の容積を増大させる方向に撓み変位したときに開口67を開放する。
液体噴射部20が液体を噴射するときには、送出用バルブ35が閉弁状態になるとともに、開放用バルブ66が開弁状態になることにより、気体室61内は大気圧と同じ圧力になる。この状態において、液体室62が閾値P程度の負圧になったときにも、フィルム部材64が開口67を開放する位置に配置されるように、付勢部材65の付勢力が設定される。
このように、供給規制部60のフィルム部材64が開口67を開放するときの配置を「許容位置」といい、フィルム部材64が許容位置にあるときの供給規制部60の状態を「許容状態」という。そして、供給規制部60が許容状態である場合、第2供給路72から第3供給路73への液体の供給が許容される。
一方、開放用バルブ66が閉弁状態になるとともに送出用バルブ35が開弁状態になった状態で送出機構31が駆動すると、分岐流路33を通じて気体室61に気体が流入することにより、気体室61の圧力が上昇する。
すると、図2に示すように、フィルム部材64が付勢部材65の付勢力に抗して液体室62の容積を減少させる方向に撓み変位して開口67を閉塞する。このように、供給規制部60のフィルム部材64が開口67を閉塞するときの配置を「閉塞位置」といい、フィルム部材64が閉塞位置にあるときの供給規制部60の状態を「閉塞状態」という。そして、供給規制部60が閉塞状態である場合、第2供給路72から第3供給路73への液体の供給が規制される。
メンテナンス装置80は、キャップ83と、キャップ83を液体噴射部20に対して相対移動させる移動機構88と、キャップ83内を吸引する吸引機構81と、ワイピング機構82と、を備える。
吸引機構81は、キャップ83を通じて吸引を行う吸引ポンプ84と、キャップ83と吸引ポンプ84とを接続する吸引流路85と、吸引流路85に設けられる吸引用バルブ86と、吸引用バルブ86と吸引ポンプ84の間に設けられる圧力室87と、を有する。吸引用バルブ86は、開弁状態になったときに吸引流路85における流体の流通を許容する一方、閉弁状態になったときに吸引流路85における流体の流通を規制する。
キャップ83は、例えば有底箱状をなして、吸引流路85の上流端が開口する底部83aと、底部83aにおいて吸引流路85の開口を囲むように立設される側壁部83bと、側壁部83bの先端に設けられた弾性体からなるリップ部83cと、を有する。
ワイピング機構82は、液体噴射部20の開口面23を払拭するワイパー91と、ワイパー91を支持するワイパー支持部92と、ワイパー支持部92を移動させる移動機構93と、を備える。
次に、メンテナンス装置80が行う液体噴射部20のメンテナンス動作について説明する。
図3に示すように、キャップ83は、リップ部83cが形成する開口がノズル22を囲むように液体噴射部20の開口面23に当接(所定の圧力で接触)することで、ノズル22が開口する開放空間を閉空間とする。これにより形成された閉空間をScとし、このようにキャップ83で閉空間Scを形成することを、キャッピングという。
図3に示すように、キャップ83は、リップ部83cが形成する開口がノズル22を囲むように液体噴射部20の開口面23に当接(所定の圧力で接触)することで、ノズル22が開口する開放空間を閉空間とする。これにより形成された閉空間をScとし、このようにキャップ83で閉空間Scを形成することを、キャッピングという。
移動機構88は、キャップ83が液体噴射部20に当接して閉空間Scを形成する閉位置(図3に示す位置)と、液体噴射部20から離れた開位置(図1及び図4に示す位置)との間でキャップ83を移動させる。そして、液体噴射部20が印刷を行わないときなどには、ノズル22の乾燥による目詰まりを抑制するために、移動機構88がキャップ83を閉位置に移動させて、キャッピングを行っておくことが好ましい。キャッピングの際には、キャップ83内に液体噴射部20から噴射した液体を残存させておくことにより、閉空間Scを保湿して、ノズル22の乾燥を抑制することが可能になる。
キャッピングをした状態で吸引ポンプ84が駆動すると、キャップ83内の流体(気体及び液体)が吸引流路85に吸引されることにより閉空間Scに負圧が生じ、その負圧によってノズル22を通じて液体噴射部20内の液体が気泡等の異物とともに排出される。このようにキャップ83内に生じた負圧によってノズル22から液体を排出させるメンテナンス動作を吸引排出クリーニングという。
吸引排出クリーニングに際して、吸引用バルブ86を閉弁状態にして吸引ポンプ84を所定時間駆動することで圧力室87内を大気圧より小さい負圧にし、さらにその負圧を所定の値まで蓄積した後に吸引用バルブ86を開弁状態にすると、キャップ83内の圧力を一気に低下させて、ノズル22から勢いよく液体を流出させることができる。これにより、ノズル22から排出される液体の流速を上げて、流路内に引っかかっている気泡や異物等を効率よく排出することが可能になる。
また、キャップ83内に負圧を作用させる際に、供給規制部60を閉塞状態にしておくと、供給規制部60を許容状態にした場合よりも第3供給路73及び液体噴射部20内の圧力が低下する。そして、このように液体噴射部20内の圧力を低下させた状態で供給規制部60を許容状態に変化させると、液体噴射部20を流れる液体の流速をさらに上げて、異物等の排出効率を高めることが可能になる。このような吸引排出クリーニングを、チョーククリーニングという。
吸引排出クリーニングの際には、ノズル22からの液体の排出に伴って第2供給路72内の圧力が閾値Pを大きく下回るので、圧力調整部50が第1供給路71を第2供給路72と連通させる。その結果、液体噴射部20には液体収容体41から液体が供給されるので、その分、吸引排出クリーニングでは液体収容体41の液体が消費されることになる。
また、移動機構88がキャップ83を開位置に移動させて、液体噴射部20からキャップ83に向けて液滴をうち捨てるメンテナンス動作をフラッシングという。そして、吸引排出クリーニングやフラッシングによってキャップ83に廃液として受容された液体は、キャップ83を開位置に配置した状態で吸引ポンプ84が駆動することにより、キャップ83内から排出される。このように、吸引排出クリーニング後にキャップ83内にたまった液体を吸引により排出することを、空吸引という。
さらに、ワイパー91が液体噴射部20の開口面23に接触した状態で、ワイパー支持部92がワイパー91を開口面23に沿って移動させることで、ワイパー91により開口面23を払拭するメンテナンス動作をワイピングという。
ワイピングを行うと、開口面23に付着していた異物や気泡がノズル22内に押し込まれることがある。そのため、ワイピングの実行後には、フラッシングをしてノズル22内の異物を排出することが好ましい。
ところで、吸引排出クリーニングにおいてキャップ83を閉位置に配置して吸引を行った後、空吸引のためにキャップ83を開位置に移動させる際には、キャップ83内に排出された液体の一部が開口面23に付着することがある。特に、キャップ83のリップ部83cが開口面23と離れ始めるときには、リップ部83cと開口面23との間に膜が張るため、開口面23には、リップ部83cが接触していた跡が環状をなすように残ることがある。このように開口面23に残るキャップ83の接触跡(液体)のことを、リップマークともいう。
その他にも、ノズル22の乾燥を抑制するためのキャッピングをしている間に、キャップ83内に残存させた液体がキャップ83を伝って開口面23に付着してしまうことがあるし、印刷のための液滴の噴射に伴って生じたミストが開口面23に付着していることもある。さらに、このように開口面23に付着した液体に紙粉や塵埃などが吸着されることもある。
このように、開口面23に液体などの異物が付着していると、その異物がノズル22から噴射される液滴に接触して噴射された液滴の飛翔方向を変化させ、印刷品質を低下させてしまうことがある。あるいは、開口面23に付着した付着物が媒体Mの上に落下して、媒体Mを汚してしまう虞がある。そのため、開口面23に付着した液体などの付着物は、ワイピング等のメンテナンス動作によって除去することが好ましい。しかし、ワイパー91を摺接させるワイピングを繰り返し行うと、開口面23に形成した撥液膜が傷ついて、その撥液性が低下してしまうおそれがある。
そこで、液体噴射装置10では、開口面23に液体などの付着物が付着した場合に、供給規制部60を閉塞状態にして液体噴射部20への液体の供給を規制するとともに、キャップ83を液体噴射部20から離した開位置に配置した状態で吸引機構81を駆動させて開口面23を吸引することで、開口面23に付着した付着物を除去する。このように、吸引により液体噴射部20に付着した付着物を除去するメンテナンス動作を吸引除去メンテナンスという。この吸引除去メンテナンスを吸引排出クリーニングの後に実行する場合には、空吸引と兼ねて吸引除去メンテナンスの吸引を行うこともできる。
吸引除去メンテナンスにおいては、キャップ83が開口面23を吸引する吸引部として機能し、リップ部83cが形成するキャップ83の開口が吸引口として機能する。また、吸引排出クリーニング及び吸引除去メンテナンスを行う際には、キャップ83は、吸引口を有する吸引部として、吸引機構81の一部を構成する。なお、吸引部となるキャップ83の開口面23に接触するリップ部83cの先端部分は、開口面23から離れたときに開口面23に残る液体を少なくするために、開口面23よりも撥液性が低くなるようにすることが好ましい。
図2に示すように、吸引除去メンテナンスにおいては、開口面23に吸引力を及ぼすために、キャップ83の開口を開口面23に近い位置に配置する。そして、吸引除去メンテナンスを行うときのキャップ83の位置を、開位置の中でも特に「近接位置」という。
すなわち、ノズル22が開口する開放空間を覆う近接位置にキャップ83が配置されたとき、キャップ83は液体噴射部20から離れているので、キャップ83と開口面23との間には隙間がある。そのため、キャップ83を近接位置に配置して吸引機構81が吸引を行うと、キャップ83と開口面23の隙間から吸入される外気の流れによって、液体噴射部20に付着した付着物が除去される。
このとき、送出用バルブ35を開弁状態にして送出ユニット30を駆動させることにより、図2に矢印で示すように分岐流路33を通じて気体が気体室61に供給されて、供給規制部60が閉塞状態になる。すなわち、フィルム部材64が開口67を閉塞することにより、液体収容体41から液体噴射部20への液体の供給が規制されるので、ノズル22からの液体の排出が抑制される。
ただし、キャップ83と開口面23の隙間が狭すぎると、キャップ83が形成する空間内において負圧が高まり、その負圧によってノズル22から液体が吸い出されて、液体が無駄に消費されてしまう虞がある。例えば、吸引口となるキャップ83のリップ部83cと開口面23との距離が0.1mm未満になると、ノズル22から液体が吸い出されやすくなる。一方、キャップ83と開口面23との距離が1.5mmより広くなると、開口面23に十分な吸引力が及ばず、付着物の除去効率が低下してしまう。
そのため、吸引除去メンテナンスを行うときにキャップ83が配置される近接位置は、液体噴射部20の開口面23とキャップ83の吸引口とが対向する位置であって、開口面23と吸引口となるリップ部83cとの距離が0.1mm以上、1.5mm以下となる位置であることが好ましい。
ここで、ノズル22内には湾曲した液面であるメニスカスが形成され、その液面が接する外気との圧力差が所定値に達するまではメニスカスが壊れないので、液体は排出されない。例えば、ノズル22のメニスカス耐圧は−4〜−5kPa程度であるため、ノズル22が開口する開放空間の負圧がそのメニスカス耐圧を超えないように吸引を行うことが好ましい。
ただし、ノズル22のメニスカスが接する外気の圧力が急激に変化すると、外気の圧力変化が穏やかな場合よりも、小さい圧力差でメニスカスが壊れてしまうことがある。メニスカスは、その液面の境界がノズル22の開口部分に引っかかることで液面位置が移動しにくくなっているが、圧力変化が大きいと、その衝撃で液面の引っかかりがはずれてしまうことが、こうしたメニスカス破壊の一因として考えられる。
そのため、こうした急激な圧力変化がメニスカスに作用しないように、吸引機構81が吸引除去メンテナンスにおいて吸引を開始するときに、キャップ83をまず近接位置よりも液体噴射部20から離れた離間距離に配置しておき、吸引機構81が吸引を開始した後にキャップ83を離間位置から近接位置に向けて移動させることが好ましい。
この場合、図4に示すように、キャップ83は、吸引口が液体噴射部20から離れた状態で開放空間を覆う近接位置(図4に二点鎖線で示す位置)と、近接位置よりも液体噴射部20から離れた離間位置(図4に実線で示す)との間で移動することになる。
また、吸引機構81が吸引を終了すると、ノズル22が開口する空間の圧力が負圧の状態から正圧の状態に一気に変化するため、その変化の度合いが大きいと、ノズル22の開口から空気が流入してノズル22内に形成されたメニスカスを壊したり、気泡を混入させてしまったりする虞がある。そのため、吸引機構81が吸引除去メンテナンスにおいて吸引を終了する前に、キャップ83が図4に二点鎖線で示す近接位置から、図4に実線で示す離間位置に向けて移動するようにするとよい。
なお、キャップ83を移動させずに同様の効果を得るために、吸引除去メンテナンスにおいて吸引機構81が吸引を開始した後に、吸引口からの吸引速度が徐々に速くなるように吸引力を変化させていくようにしてもよいし、吸引を終了する前に、吸引口からの吸引速度が徐々に遅くなるように吸引力を変化させていくようにしてもよい。あるいは、キャップ83の移動と吸引力の変化を組み合わせて、吸引速度を変化させるようにすることも可能である。
吸引除去メンテナンスにおいて、吸引用バルブ86を閉弁状態にして吸引ポンプ84を所定時間駆動し、圧力室87内を大気圧より小さい負圧にし、さらにその負圧を蓄積した後に吸引用バルブ86を開弁状態にすることにより、キャップ83を通じて開放空間の吸引を行うようにしてもよい。これにより、ノズル22が開口する開放空間が負圧になるまでの時間を短縮して、開口面23に付着した付着物を勢いよく吸引することが可能になる。ただし、この場合においても、ノズル22に最初に作用する負圧がメニスカス耐圧を超えないようにすることが好ましい。
その他、吸引除去メンテナンスにおいて、吸引機構81は、キャップ83が開位置に移動して行う吸引と、吸引を停止して行うキャップ83の閉位置への移動とを交互に繰り返し行うようにしてもよい。このようにすれば、1回目の吸引によって吸い取り切れなかった液体が、吸引によって移動して液体噴射部20における吸引力が及びにくい位置に移動したとしても、再びキャッピングを行うことにより、その移動した液体がキャップ83に接触することで元の位置に凝集される。そのため、その後にキャッピングを解除して再び吸引を行うことにより、前回の吸引で吸い取り切れなかった液体の除去を行うことが可能になる。
次に、以上のように構成された液体噴射装置10の作用について説明する。
液体噴射装置10においては、供給規制部60により液体噴射部20への液体の供給を規制するとともにキャップ83を液体噴射部20から離した近接位置に配置した状態で吸引機構81を駆動させる吸引除去メンテナンスにより、開口面23に付着した液体などの付着物を除去することが可能である。
液体噴射装置10においては、供給規制部60により液体噴射部20への液体の供給を規制するとともにキャップ83を液体噴射部20から離した近接位置に配置した状態で吸引機構81を駆動させる吸引除去メンテナンスにより、開口面23に付着した液体などの付着物を除去することが可能である。
そして、この吸引除去メンテナンスをワイピングに代えて行うことにより、ワイパー91の摺接によって開口面23にかかる負荷を抑制することができる。また、吸引排出クリーニングの実行後に吸引除去メンテナンスを行う場合には、空吸引と兼用させることもできるので、移動機構93によりワイパー91を移動させてワイピングを行う場合よりも、メンテナンスの実行時間を短縮することができる。
さらに、ワイパー91で開口面23を払拭する場合には、ワイパー91が接触しない部分に拭き残しが生じたり、ワイパー91で異物をノズル22内に押し込んだりする虞があるが、吸引により付着物を除去する場合には、そのような虞がない。
一方、吸引により付着物を除去する場合には、ノズル22から液体を無駄に排出させてしまう虞があるが、吸引除去メンテナンスの際に、供給規制部60により液体噴射部20に対する液体の供給を規制しておくことにより、液体をノズル22からの液体の排出を抑制しつつ、付着物の除去を行うことができる。
そして、チョーククリーニングを実行するためのキャップ83、供給規制部60及び吸引機構81を備える液体噴射装置10においては、新たに別の部材を追加することなく吸引除去メンテナンスを実行することができるので、装置の構成を複雑にすることなく、付着物の除去を行うことができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)液体噴射部20に付着した付着物を除去するためにノズル22が開口する開放空間を吸引機構81が吸引するときに、供給規制部60によって液体噴射部20への液体の供給が規制される。そのため、吸引機構81の吸引力がノズル22に及んだとしても、ノズル22の上流側から液体の供給がなされないために、ノズル22からの液体の流出が抑制される。したがって、液体を噴射するノズル22の開口周辺に付着した付着物を吸引により除去する際に、ノズル22からの液体の排出を抑制することができる。
(1)液体噴射部20に付着した付着物を除去するためにノズル22が開口する開放空間を吸引機構81が吸引するときに、供給規制部60によって液体噴射部20への液体の供給が規制される。そのため、吸引機構81の吸引力がノズル22に及んだとしても、ノズル22の上流側から液体の供給がなされないために、ノズル22からの液体の流出が抑制される。したがって、液体を噴射するノズル22の開口周辺に付着した付着物を吸引により除去する際に、ノズル22からの液体の排出を抑制することができる。
(2)吸引機構81が吸引を開始するときにキャップ83を近接位置よりも液体噴射部20から離れた離間位置に配置することにより、吸引開始時の圧力変化が小さくなるので、ノズル22からの液体の排出が抑制される。そして、吸引機構81が吸引を開始した後に、キャップ83が離間位置から近接位置に向けて移動することで、吸引口と液体噴射部20の隙間が徐々に狭くなるので、その隙間を通じた外気の流入速度が速くなる。これにより、液体噴射部20に対する吸引力を徐々に高めつつ、ノズル22の開口付近に付着した付着物を除去することができる。
(3)吸引機構81が吸引を終了する前に、キャップ83が近接位置から離間位置に向けて移動することにより、キャップ83の吸引口と液体噴射部20の隙間が徐々に広くなるので、吸引の終了時にノズル22の開口に作用する負圧を小さくすることができる。そのため、吸引機構81が吸引を終了したときにノズル22内のメニスカスに作用する圧力変化を小さくして、メニスカスの破壊による液体の漏出を抑制することができる。
(4)吸引機構81が吸引を開始するときの吸引速度を遅くすることにより、ノズル22に作用する圧力変化を小さくして、ノズル22からの液体の排出を抑制することができる。そして、吸引機構81が吸引を開始した後に、吸引速度を徐々に速めていくことで、液体噴射部20に対する吸引力を高めて、ノズル22の開口付近に付着した付着物を除去することができる。
(5)吸引機構81が吸引を終了する前に、吸引速度が徐々に遅くなるので、吸引の終了時にノズル22の開口に作用する負圧を小さくすることができる。そのため、吸引機構81が吸引を終了したときにノズル22内のメニスカスに作用する圧力変化を小さくして、メニスカスの破壊による液体の漏出を抑制することができる。
(6)キャップ83が閉位置に配置された状態で吸引機構81が吸引を行うことにより、ノズル22を通じて液体噴射部20内の液体を排出する吸引排出クリーニングを行うことができる。このような吸引排出クリーニングの後に、キャップ83が閉位置から開位置に移動すると、液体噴射部20のキャップ83が接触していた部分に液体が付着したまま残ってしまうことがある。その点、上記実施形態によれば、キャップ83を開位置に移動させて吸引機構81が吸引を行うことにより、液体噴射部20に残った液体を、キャップ83を通じて吸い取ることができる。また、この吸引によって吸い取り切れなかった液体が、吸引によって吸引力が及びにくい位置に移動した場合、吸引を停止してキャップ83を再び閉位置に移動させると、キャップ83に接触した液体がキャップ83の周囲に凝集される。そのため、その後にキャップ83を開位置に移動させて吸引機構81による吸引を繰り返すことにより、前回の吸引で残った液体を吸引により除去することができる。
(7)キャップ83がノズル22の開口を囲むように液体噴射部20の開口面23に当接した状態で吸引機構81が吸引を行うことにより、ノズル22が開口する閉空間Scを負圧にして、その負圧によってノズル22から液体を排出させる吸引排出クリーニングを行うことができる。このような吸引排出クリーニングの後に、キャップ83が閉位置から開位置に移動すると、液体噴射部20のキャップ83が接触していた部分に液体が付着したまま残ってしまうことがある。その点、上記実施形態によれば、キャップ83の開口面23に接触する部分は、開口面23よりも撥液性が低いので、キャップ83が開口面23から離れるときに、開口面23に残る液体の量を少なくすることができる。
(8)開口面23とキャップ83の吸引口との距離が0.1mmより短いと、吸引機構81が吸引を行うときに、ノズル22が開口する開放空間の負圧が大きくなりすぎて、ノズル22から液体が排出されてしまう。一方、開口面23とキャップ83の吸引口との距離が1.5mmより長いと、吸引機構81が吸引を行うときに、ノズル22が開口する開放空間に十分な負圧が発生せず、液体噴射部20に付着した付着物の除去性能が低下してしまう。その点、上記実施形態によれば、開口面23と吸引口との距離が0.1mm以上、1.5mm以下に設定されるので、ノズル22からの液体の排出を抑制しつつ、液体噴射部20に付着した付着物を効率よく除去することができる。
(9)吸引用バルブ86を閉弁状態にして吸引ポンプ84を駆動することにより、圧力室87内に負圧を蓄積し、その後に吸引用バルブ86を開弁状態にすることにより、ノズル22が開口する開放空間の圧力を一気に低下させて、効率よく液体噴射部20に付着した付着物を除去することができる。
なお、上記実施形態は以下に示す変形例のように変更してもよい。
・液体供給路70を閉塞させることにより液体噴射部20への液体の供給を規制する供給規制部60は、例えば液体供給路70に設けられた電磁弁などの開閉弁であってもよいし、可撓性を有するチューブ状の液体供給路70を押しつぶすことで液体の流れを抑制する押圧部材を有するものであってもよい。
・液体供給路70を閉塞させることにより液体噴射部20への液体の供給を規制する供給規制部60は、例えば液体供給路70に設けられた電磁弁などの開閉弁であってもよいし、可撓性を有するチューブ状の液体供給路70を押しつぶすことで液体の流れを抑制する押圧部材を有するものであってもよい。
・液体噴射装置10は、キャップ83と液体噴射部20とを相対移動させるために、キャップ83を移動させる移動機構88に代えて、液体噴射部20を移動させる移動機構を備えるようにしてもよい。
・液体噴射部20に接触してキャッピングを行うためのキャップと、液体噴射部20に接触せずに吸引除去メンテナンスを行うための吸引部と、を別々に備えるようにしてもよい。この場合には、吸引部に向けてフラッシングを行うようにすれば、キャップは吸引機構81と接続されなくてもよい。
・キャップ83が閉空間Scを形成するときに、リップ部83cが接触する部分は開口面23に限らない。例えば、液体噴射部20においてノズル22が開口するノズルプレートを固定するための枠状の固定板などにリップ部83cが接触することで閉空間Scを形成してもよい。この場合には、固定板にリップ部83cの接触跡(リップマーク)となる液体が付着するので、吸引除去メンテナンスによって、固定板に付着した付着物の除去をすることができる。すなわち、吸引排出クリーニングのための閉空間Scを形成するキャップ83を用いて吸引除去メンテナンスを行うことにより、吸引排出クリーニングの終了後に液体噴射部20に残る液体を効率よく除去することができる。
・図5に示す第1変更例のように、キャップ83において、吸引流路85が側壁部83bに接続されるようにしてもよい。
・図5に示す第1変更例のように、キャップ83内に、底部83aに立設された支持部83dに支持された板状部材83eを配置して、板状部材83eと側壁部83bとの隙間を通じて開口面23の付着物を吸引するようにしてもよい。この構成によれば、板状部材83eをノズル22と対向するように配置することにより、ノズル22に負圧が及びにくくすることができるとともに、リップ部83c沿いに吸引力を集中させて、リップマークを効率よく除去することができる。
・図5に示す第1変更例のように、キャップ83内に、底部83aに立設された支持部83dに支持された板状部材83eを配置して、板状部材83eと側壁部83bとの隙間を通じて開口面23の付着物を吸引するようにしてもよい。この構成によれば、板状部材83eをノズル22と対向するように配置することにより、ノズル22に負圧が及びにくくすることができるとともに、リップ部83c沿いに吸引力を集中させて、リップマークを効率よく除去することができる。
・図6に示す第2変更例のように、キャップ83に代えて、吸引流路85が開口する板状部95と、液体噴射部20を囲むように配置されて板状部95に向けて移動可能な側壁部材96と、側壁部材96の先端に設けられた環状の弾性体97と、を備えてもよい。そして、側壁部材96が図6に二点鎖線で示す位置から図6に実線で示す位置に移動して弾性体97が板状部95に当接することにより、ノズル22が開口する閉空間Scを形成するようにしてもよい。この構成によれば、閉空間Scを吸引することで、吸引排出クリーニングを行うことができる。また、側壁部材96を板状部95からわずかに離した状態に配置することで、ノズル22が開口する空間が開放空間となるので、この開放空間を吸引することにより、吸引除去メンテナンスを行うことができる。ただし、上記実施形態のように、開口面23に接触可能なキャップ83のリップ部83cを吸引口とする方が、開口面23に近い位置から外気を流入させることができるため、付着物の除去効率を高めるという点で、好ましい。
・キャップ83が閉位置に配置された状態で、閉弁状態になることによって閉空間Scを密閉された空間にする一方で、開弁状態になることによって閉空間Scを大気と連通させることができる大気開放弁をキャップ83に設けてもよい。この場合には、大気開放弁を開弁状態にすることにより、キャップ83が液体噴射部20に接触した閉位置にあっても、空吸引や吸引除去メンテナンスを実行することができる。
・メンテナンス装置80がワイピング機構82を備えなくてもよい。
・吸引排出クリーニングに伴って開口面23に付着した液体に限らず、印刷に伴って生じて開口面23に付着したミストや、紙粉などの塵埃、あるいはワイピングによって寄せ集められた付着物などを吸引除去メンテナンスによって除去してもよい。
・吸引排出クリーニングに伴って開口面23に付着した液体に限らず、印刷に伴って生じて開口面23に付着したミストや、紙粉などの塵埃、あるいはワイピングによって寄せ集められた付着物などを吸引除去メンテナンスによって除去してもよい。
・液体収容部40は、加圧された気体で液体収容体41を押しつぶすことで液体を加圧供給するものに限らず、液体収容体41を板ばねなどによって押しつぶすことで液体を加圧供給したり、液体収容体41内の液体を吸引した後に下流側に吐出するダイヤフラムポンプによって液体を加圧供給したりすることもできる。
・液体噴射部20が噴射する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などであってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う構成にしてもよい。
・液体噴射部20が噴射する液体を受容する媒体Mは用紙に限らず、プラスチックフィルムや薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる布帛であってもよい。
さらに、上記実施形態及び各変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
さらに、上記実施形態及び各変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ)液体収容体から供給される液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射部と、
前記液体収容体と前記液体噴射部とを接続する液体供給路と、
前記液体供給路を閉塞可能な開閉弁と、
前記ノズルが開口する空間を囲み形成可能なキャップと、
前記キャップと前記液体噴射部とを相対移動させることにより、前記ノズルが開口する空間を閉空間とする閉位置と、前記ノズルが開口する空間を開放空間とする開位置とに前記キャップを配置させる移動機構と、
前記キャップが囲み形成した空間に負圧を発生させる吸引機構と、
を備え、
前記開閉弁により前記液体供給路を閉塞させるとともに前記移動機構により前記キャップを前記開位置に配置させた状態で、前記吸引機構が前記開放空間に発生させた負圧によって前記液体噴射部に付着した付着物を除去することを特徴とする液体噴射装置。
前記液体収容体と前記液体噴射部とを接続する液体供給路と、
前記液体供給路を閉塞可能な開閉弁と、
前記ノズルが開口する空間を囲み形成可能なキャップと、
前記キャップと前記液体噴射部とを相対移動させることにより、前記ノズルが開口する空間を閉空間とする閉位置と、前記ノズルが開口する空間を開放空間とする開位置とに前記キャップを配置させる移動機構と、
前記キャップが囲み形成した空間に負圧を発生させる吸引機構と、
を備え、
前記開閉弁により前記液体供給路を閉塞させるとともに前記移動機構により前記キャップを前記開位置に配置させた状態で、前記吸引機構が前記開放空間に発生させた負圧によって前記液体噴射部に付着した付着物を除去することを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、液体噴射部に付着した付着物を除去するためにノズルが開口する開放空間を吸引機構が吸引するときに、開閉弁によって液体噴射部への液体の供給が規制される。そのため、吸引機構の吸引力がノズルに及んだとしても、ノズルの上流側から液体の供給がなされないために、ノズルからの液体の流出が抑制される。したがって、液体を噴射するノズルの開口周辺に付着した付着物を吸引により除去する際に、ノズルからの液体の排出を抑制することができる。
10…液体噴射装置、20…液体噴射部、22…ノズル、23…開口面、41…液体収容体、60…供給規制部、70…液体供給路、83…吸引部としてのキャップ、83c…吸引口を構成するリップ部、81…吸引機構、84…吸引ポンプ、85…吸引流路、86…吸引用バルブ、87…圧力室、Sc…閉空間。
Claims (9)
- 液体収容体から供給される液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射部と、
前記液体収容体と前記液体噴射部とを接続する液体供給路と、
前記ノズルが開口する開放空間を吸引することにより、前記液体噴射部に付着した付着物を除去する吸引機構と、
前記吸引機構が前記吸引を行うときに前記液体噴射部への液体の供給を規制する供給規制部と、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記吸引機構は、吸引口を有する吸引部を有し、
前記吸引部は、前記吸引口が前記液体噴射部から離れた状態で前記開放空間を覆う近接位置と、前記近接位置よりも前記液体噴射部から離れた離間位置との間で移動可能であり、
前記吸引機構が前記吸引を開始するときに前記吸引部が前記離間位置に配置され、前記吸引機構が前記吸引を開始した後に前記吸引部が前記離間位置から前記近接位置に向けて移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。 - 前記吸引機構が前記吸引を終了する前に、前記吸引部が前記近接位置から前記離間位置に向けて移動する
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。 - 前記吸引機構は、前記吸引を開始した後に、吸引速度が徐々に速くなるように吸引力を変化させていく
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記吸引機構は、前記吸引を終了する前に、吸引速度が徐々に遅くなるように吸引力を変化させていく
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。 - 前記吸引機構は、前記ノズルの開口を囲むように前記液体噴射部に当接することで前記ノズルが開口する開放空間を閉空間とする吸引部を有し、
前記吸引部は、前記液体噴射部に当接して前記閉空間を形成する閉位置と、前記液体噴射部から離れた開位置との間で移動可能であり、
前記吸引機構は、前記吸引部が前記開位置に移動して行う前記吸引と、前記吸引を停止して行う前記吸引部の前記閉位置への移動とを交互に繰り返し行う
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記吸引機構は、前記液体噴射部における前記ノズルが開口する開口面に、前記ノズルの開口を囲むように当接することで前記ノズルが開口する開放空間を閉空間とする吸引部を有し、
前記吸引部の前記開口面に接触する部分は、前記開口面よりも撥液性が低い
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記吸引機構は、吸引口を有する吸引部を有し、前記液体噴射部における前記ノズルが開口する開口面と前記吸引口とが対向する位置に前記吸引部を配置して前記吸引を行い、
当該吸引を行うときに、前記開口面と前記吸引口との距離が0.1mm以上、1.5mm以下に設定される
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記吸引機構は、吸引口を有する吸引部と、前記吸引部を通じて吸引を行う吸引ポンプと、前記吸引部と前記吸引ポンプとを接続する吸引流路と、前記吸引流路に設けられる吸引用バルブと、前記吸引用バルブと前記吸引ポンプとの間に設けられる圧力室と、を有し、
前記吸引用バルブを閉弁状態にして前記吸引ポンプを駆動することにより前記圧力室内の圧力を大気圧より小さい負圧にした後に、前記吸引用バルブを開弁状態にすることにより、前記吸引口を通じて前記吸引を行う
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。
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JP2020116760A (ja) * | 2019-01-21 | 2020-08-06 | セイコーエプソン株式会社 | 液体吐出装置の制御方法、液体吐出装置 |
-
2014
- 2014-12-22 JP JP2014258393A patent/JP2016117216A/ja active Pending
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