JP2016115809A - 半導体基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン膜の研磨を抑制しシリコン酸化膜の研磨を高速で進行させる研磨液組成物を提供する。【解決手段】セリア含有粒子(成分A)と下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(成分B)とを含む。式(1)中、nは平均付加モル数であって15以上150以下であり、R1は、水素又はメチル基であり、R2は、水素又はメチル基である。組成物の25℃におけるpHは、好ましくは4.0以上8.0以下である。【選択図】なし

Description

本発明は半導体基板用研磨液組成物、及びこれを用いた半導体基板の製造方法並びに半導体基板の研磨方法に関する。
最近、DRAM又はフラッシュメモリ素子などの半導体素子の素子間の電気的分離のために、半導体基板の製造方法には、シャロー・トレンチ・アイソレーション(Shallow Trench Isolation)工程(以下、STI工程と呼ぶ。)がある。このようなSTI工程は、シリコン基板と研磨停止層とを含む被研磨基板にエッチング又はフォトリソグラフィーを利用してトレンチを形成する段階、シリコン酸化物などの絶縁物質でトレンチを充填する段階、及び過剰な絶縁物質によって発生した段差(step height)を研磨により除去する平坦化段階などで構成される。
以前から、前記平坦化段階のために、リフロー(Reflow)法、SOG(Spin on Glass)の使用、又はエッチバック(Etchback)法などの多様な方法が使用されたが、これらの方法は、半導体素子の高集積化及び高性能化の傾向によって、満足できるだけの結果を示すことができなかった。そのため、最近は、平坦化段階のために、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing)方法(以下、CMP法と呼ぶ。)が最も幅広く使用されている。
このようなCMP方法は、研磨装置の研磨パッドと被研磨基板との間に研磨粒子及び多様な化学成分を含むスラリー組成物を供給し、前記被研磨基板及び研磨パッドを接触させてこれらを相対的に移動させて、前記研磨粒子などで被研磨基板を機械的に研磨するとともに、前記化学成分などの作用によって被研磨基板を化学的に研磨する方法である(特許文献2及び特許文献4等参照)。
CMP方法によれば、シリコン基板の上方に配置されたシリコン酸化物などの絶縁物質が選択的に除去されて、絶縁物質が充填されたトレンチが生成される。このような平坦化段階で研磨停止膜の上面が露出された時に研磨を中止することによって、過研磨による活性領域と非活性領域との間の段差を最少化して、素子の性能及び工程の信頼性を維持することができる。
従来、シリコン窒化膜が研磨停止膜として使用されてきたが、最近は、半導体装置における回路の線幅の狭小化、ICが高集積化のために、単結晶シリコン膜又はポリシリコン薄膜が研磨停止膜として検討されている(特許文献1参照)。これにともない、CMP用スラリー組成物には、単結晶シリコン膜又はポリシリコン膜などの研磨停止膜の研磨を極力抑制し、かつ、シリコン酸化膜の研磨を高速で進行させることができるという「高い研磨選択性」が要求される(特許文献3参照)。
特表2009−510797号 特許第4851536号 特表2013−507786号 特開2009−212378号
しかしながら、ポリエチレングリコールやプルロニック型の非イオン性界面活性剤等の研磨助剤が添加された研磨液組成物を単結晶シリコン膜又はポリシリコン薄膜(以下、「シリコン膜」と総称する)の研磨に用いた場合、砥粒として用いる酸化セリウムとの電気的反発がないという理由から、前記研磨助剤によるシリコン膜の研磨抑制効果が十分でない可能性がある。また、シリコン膜の研磨抑制効果の向上のために、アクリル酸やメタクリル酸などの高分子とポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン系界面活性剤を添加すると(特許文献4参照)、シリコン酸化膜の研磨速度が低下し、結果的に、前記研磨選択性が低下してしまう。
そこで、本発明では、シリコン膜(研磨停止膜)の研磨を極力抑制し、かつ、シリコン酸化膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性を呈する半導体基板用研磨液組成物、及びこれを用いた半導体基板の製造方法、並びに半導体基板の研磨方法を提供する。
本発明の半導体基板用研磨液組成物は、シリコン酸化膜と前記シリコン酸化膜の下に前記シリコン酸化膜に接して配置されたシリコン膜を有する半導体基板用研磨液組成物であり、下記成分A及び成分Bを含む。
成分A:セリア含有粒子と、
成分B:下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子
Figure 2016115809
ただし、式(1)中、nは平均付加モル数であって15以上150以下であり、R1は、水素又はメチル基であり、R2は、水素又はメチル基である。
本発明の半導体基板の製造方法は、
シリコン酸化膜と前記シリコン酸化膜の下に前記シリコン酸化膜に接して配置されたシリコン膜を有する被研磨基板の、前記シリコン酸化膜を、研磨液組成物を用いて前記シリコン膜上の前記シリコン酸化膜が除去されるまで研磨する工程と、
前記研磨された被研磨基板を洗浄する工程と、を含み、
前記研磨液組成物として、本発明の半導体基板用研磨液組成物を用いる、半導体基板の製造方法である。
本発明の半導体基板の研磨方法は、
シリコン酸化膜と前記シリコン酸化膜の下に前記シリコン酸化膜に接して配置されたシリコン膜を有する被研磨基板の、前記シリコン酸化膜を、研磨液組成物を用いて前記シリコン膜上の前記シリコン酸化膜が除去されるまで研磨する工程を含み、
前記研磨液組成物として、本発明の半導体基板用研磨液組成物を用いる、半導体基板の研磨方法である。
本発明によれば、シリコン膜(研磨停止膜)の研磨を極力抑制し、かつ、シリコン酸化膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性を呈する半導体基板用研磨液組成物、及びこれを用いた半導体基板の製造方法、並びに半導体基板の研磨方法を提供できる。
本発明は、セリア含有粒子を含む半導体基板用研磨液組成物(以下「研磨液組成物」と略称する場合もある。)に、研磨助剤として、下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子が含まれていると、シリコン膜(研磨停止膜)の研磨を極力抑制し、かつ、シリコン酸化膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性が発現される、という知見に基づく。
前記の高い研磨選択性が発現される、という本発明の効果の発現機構の詳細は明らかではないが、本発明者は、以下のように推定している。
一般的に、シリコン酸化膜の研磨速度低下は、主として、セリア含有粒子の分散性低下に起因して生じる。本発明の研磨液組成物では、EO付加モル数が15以上150以下のオキシエチレン基を含む下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(研磨助剤)が、セリア含有粒子の分散性の向上に寄与することでシリコン酸化膜の研磨速度の維持及び/又は向上が可能となっている。前記水溶性高分子は、EO付加モル数が15以上150以下のオキシエチレン基を含む下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含むので適度な疎水性を示しており、単結晶シリコン膜又はポリシリコン膜等の研磨停止膜に、近づき易く且つ吸着し易い。故に、シリコン酸化膜の研磨が進行して前記研磨停止膜が露出すると、前記研磨助剤は、疎水性相互作用により前記研磨停止膜に選択吸着する。前記研磨停止膜に吸着した研磨助剤はアニオン性であり負の電荷を持つカルボン酸基を有しているので、セリア含有粒子が前記研磨停止膜に近づきにくくなる。故に、本発明の研磨液組成物を用いれば、単結晶シリコン膜又はポリシリコン膜に吸着した前記研磨助剤の被膜の存在によって単結晶シリコン膜又はポリシリコン膜の研磨が抑制されるので、高い研磨選択性が呈されて、高いレベルで段差の解消を実現できる。但し、本発明はこれらの推定に限定されるものではない。
上記のとおり、本発明の研磨液組成物では、セリア含有粒子の分散性が良好であるため、半導体基板の製造方法において、本発明の研磨液組成物を用いれば、セリア含有粒子が被研磨基板の研磨領域に均等に良好に分散する。故に、研磨により発生し得るディッシングやエロージョンを低減できるとともに、表面欠陥も低減できると推察される。但し、本発明はこれらの推定に限定されるものではない。
本発明は、一つの態様において、セリア含有粒子(成分A)と、下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(成分B)及び水系媒体を含有する半導体基板用研磨液組成物に関する。本発明の半導体基板用研磨液組成物を用いれば、素子分離構造を形成する工程で行われるシリコン酸化膜の研磨において、高い生産性のために必要なシリコン酸化膜の研磨速度を確保でき、且つ、シリコン膜の過剰な研磨を抑制でき、優れた研磨選択性の達成が可能となる。
本明細書において「研磨選択性」が高いと、シリコン膜の研磨速度に対するシリコン酸化膜の研磨速度比(シリコン酸化膜の研磨速度/単結晶シリコン膜又はポリシリコン膜の研磨速度)が大きくなる。
[セリア含有粒子:成分A]
本開示の半導体基板用研磨液組成物は、研磨対象膜の機械的研磨のためのセリア(CeO2)含有粒子を含む。セリア含有粒子の製造法や形状、および表面状態については、特に制限はない。セリア含有粒子は、酸化セリウム(CeO2)単独からなるセリア粒子であってもよいし、或いはその他の酸化物と溶融等結合した複合酸化物粒子であってもよい。複合酸化物粒子としては、例えば、シリカ粒子の表面の少なくとも一部が粒状セリアで被覆されたセリアコートシリカ粒子が挙げられる。
セリア含有粒子の動的光散乱法により測定される平均粒子径は、前記研磨対象膜の適切な研磨速度の確保の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上であり、前記研磨液組成物内での分散安定性の向上の観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下である。尚、セリア含有粒子の動的光散乱法により測定される平均粒子径は、例えば、固形分濃度が0.1質量%のセリア含有粒子スラリーを準備し、これをマルバーン社製、ゼータサイザーナノZS(動的光散乱法)にて測定される体積平均粒子径であり、動的光散乱法により測定される平均二次粒子径と呼ばれる場合もある。
本発明の研磨液組成物に含まれるセリア含有粒子の形状は、研磨速度の向上と研磨傷の低減の観点から、略球状であると好ましい。また、セリア含有粒子の平均一次粒子径は、研磨速度の向上と研磨傷の低減の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好まし200nm以下、更に好ましくは100nm以下である。尚、セリア含有粒子の平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の研磨液組成物中のセリア含有粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、前記研磨液組成物に含まれるセリア含有粒子の含有量は、研磨速度の向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.20質量%以上、更により好ましくは0.30質量%以上である。また、本発明の研磨液組成物に含まれるセリア含有粒子の含有量は、研磨液組成物の保存安定性の向上及び経済性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更により好ましくは2.5質量%以下、更により好ましくは1.5質量%以下である。
[水溶性高分子:成分B]
本開示の半導体基板用研磨液組成物は、研磨選択性の向上の観点から、下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子を含む。当該構成単位Iは、モノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート及びモノメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートから選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位である。ここで、「水溶性」とは、水(20℃)に対して2g/100ml以上の溶解度を有することをいう。水溶液高分子は、未中和の状態、アルカリにより中和された状態のどちらでもよい。中和に用いるアルカリはK、Na又はNH4が好ましい。
Figure 2016115809
ただし、式(1)中、nは平均付加モル数であって15以上150以下であり、R1は、水素又はメチル基であり、R2は、水素又はメチル基である。
また、水溶性高分子化合物(成分B)は分子中に水を抱えることが出来る部分を有する。そのため、半導体基板の製造過程における研磨後の被研磨基板の移動等の際に基板表面(研磨に得られた面)が乾燥しやすい条件となるような場合、水溶性高分子化合物(成分B)が吸着することにより、研磨後の基板表面に良好なぬれ性が付与・維持されるので、基板表面へのセリア含有粒子の吸着を抑制することができる。また、EO付加モル数が15以上150以下のオキシエチレン基を含む水溶性高分子(成分B)は、基板表面近傍において、セリア含有粒子と共存することにより、セリア含有粒子同士の凝集を抑制する。そのため、研磨された被研磨基板を洗浄する工程においては、前記水溶性高分子が、セリア含有粒子と基板表面間に作用する相互作用を弱め、結果として、基板表面における表面欠陥の増大の原因となる基板表面へのセリア含有粒子の付着が効果的に抑制される。
本開示の半導体基板用研磨液組成物に含まれる水溶性高分子は、下記一般式(1)で表わされる構成単位Iのホモポリマーのみならず、構成単位IIを含む共重合体であってもよい。構成単位IIを供給する単量体としては、シリコン膜の研磨抑制の観点から、カルボン酸基またはリン酸基を有する単量体が好ましく、メタクリル酸、アクリル酸、及びリン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(HEMA−P)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、下記一般式(2)で表わされる構成単位IIが更に好ましい。
Figure 2016115809
ただし、式(2)中、R3は、水素又はメチル基であり、Mは、H,Na,K,又はNH4である。水溶液高分子は、未中和の状態、アルカリにより中和された状態のどちらでもよい。中和に用いるアルカリはK、Na又はNH4が好ましい。
式(1)中の平均付加モル数nは、研磨選択性の向上の観点から、15以上であるが、好ましくは17以上、より好ましくは19以上、更に好ましくは20以上であり、研磨選択性の向上の観点から、150以下であるが、好ましくは140以下、より好ましくは135以下、更に好ましくは130以下である。
式(1)中R1は、水素又はメチル基であるが、研磨選択性の向上の観点から、メチル基が好ましい。式(1)中R2は、水素又はメチル基であるが、研磨選択性の向上の観点から、メチル基が好ましい。
水溶性高分子における、上記一般式(1)で表わされる構成単位Iと構成単位IIのモル比(構成単位II/構成単位I)は、研磨選択性の向上の観点から、好ましくは(40/60)以上、より好ましくは(45/55)以上、更に好ましくは(50/50)以上であり、研磨選択性の向上の観点から、好ましくは(98/2)以下、より好ましくは(97/3)以下、更に好ましくは(95/5)以下であり、研磨選択性の向上と濡れ性の向上の両立の観点から、更に好ましくは(92/8)以下である。尚、前記モル比は、共重合体に含まれる構成単位Iと構成単位IIのモル比である。
水溶性高分子としては、具体的には、研磨選択性の向上の観点から、メタクリル酸とモノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)との共重合体、モノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの単独重合体、リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(HEMA−P)とモノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとの共重合体、アクリル酸とモノメトキシポリエチレングリコールモノアクリレートとの共重合体、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、メタクリル酸とモノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとの共重合体、モノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの単独重合体、リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル(HEMA−P)とモノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとの共重合体、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、メタクリル酸とモノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートとの共重合体のアンモニウム塩、が更に好ましい。
前記水溶性高分子(成分B)の重量平均分子量(Mw)は、研磨選択性向上の観点から、好ましくは10000以上、より好ましくは25000以上、更に好ましくは30000以上、更により好ましくは35000以上であり、好ましくは300000以下、より好ましくは290000以下、更に好ましくは280000以下である。重量平均分子量が大きければ単結晶シリコン膜又はポリシリコン膜の研磨抑制効果に優れ、重量平均分子量が小さくなるとシリコン酸化膜の研磨速度が向上する。尚、水溶性高分子(成分B)の重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値である。
本発明の研磨液組成物中のセリア含有粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、前記研磨液組成物に含まれる水溶性高分子(成分B)の含有量は、シリコン膜の研磨を抑制する観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上である。また、本発明の研磨液組成物に含まれる水溶性高分子(成分B)の含有量は、シリコン酸化膜の研磨速度の向上の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%である。
本発明の研磨液組成物中の水溶性高分子(成分B)とセリア含有粒子(成分A)との質量比(水溶性高分子の質量/セリア含有粒子の質量)は、シリコン膜の研磨抑制の観点から、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.02以上であり、セリア砥粒の分散性及びシリコン酸化膜の研磨速度の確保の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは1以下である。
[水系媒体:成分C]
本発明の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、イオン交換水や超純水等の水、又は水と溶媒との混合媒体等が挙げられ、上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が好ましい。水系媒体としては、なかでも、イオン交換水又は超純水がより好ましく、超純水が更に好ましい。本発明の研磨液組成物に含まれる水系媒体が、水と溶媒との混合媒体である場合、前記混合媒体全体に対する水の割合は、特に限定されるわけではないが、経済性の観点から、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上、更に好ましくは実質的に100質量%である。
本発明の研磨液組成物中の水系媒体(成分C)の含有量は、特に限定されるものではないが、セリア含有粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、セリア含有粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)とを除いた残余であればよい。
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、pH調整剤、成分(B)以外の研磨助剤等を含有してもよい。これらの任意成分の含有量は、シリコン酸化膜の研磨速度確保の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.0025質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、研磨選択性の向上の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。本発明の研磨液組成物は、研磨後の基板表面の濡れ性向上の観点から、フッ素化合物を含まない方が好ましい。
[研磨液組成物]
本発明の研磨液組成物は、セリア含有粒子(成分A)、上記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(成分B)及び水系媒体(成分C)を含有する。本発明の研磨液組成物は、例えば、前記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子、前記水系媒体及び前記セリアコートシリカ粒子の水分散液を混合する工程を含む製造方法によって製造できる。好ましくは、研磨助剤としての前記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子の水スラリーを水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液と、セリア含有粒子を水系媒体に分散して得られるセリア含有粒子分散液とを用意し、研磨助剤水溶液を攪拌しながら、前記セリア含有粒子分散液と、必要に応じて前記pH調整剤等のその他の成分を、研磨助剤水溶液に添加(滴下)して研磨液組成物を得ることができる。
セリア含有粒子の水系媒体への分散は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、湿式ボールミル、又はビーズミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。セリア含有粒子の凝集等により生じた粗大粒子が水系媒体中に含まれる場合、遠心分離やフィルターを用いたろ過等により、当該粗大粒子を除去する方が好ましい。セリア含有粒子の水系媒体への分散は、前記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子の存在下で行う方が好ましい。
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨装置の保護、シリコン酸化膜の研磨速度向上、研磨選択性向上、及びセリア含有粒子の分散性向上の観点から、好ましくは4.0以上、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは5.5以上であり、研磨条件の制御容易性の向上、研磨選択性の向上、シリコン膜の研磨抑制、及びセリア含有粒子の分散性向上の観点から、好ましくは8.0以下、更に好ましくは7.5以下、更により好ましくは6.5以下である。尚、pHの測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
本発明の研磨液組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、そのpHを調整して用いることができる。低く調整する場合に用いられるpH調整剤としては、酸性化合物であれば特に限定されないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、及びリンゴ酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、汎用性の観点から、塩酸、硝酸及び酢酸が好ましく、塩酸及び酢酸がより好ましい。
研磨液組成物のpHを高く調整する場合に用いられるpH調整剤としては、アルカリ性化合物であれば特に限定されないが、例えば、アンモニア、及び水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物、アルキルアミン、及びアルカノールアミン等の有機アルカリ化合物が挙げられる。なかでも、半導体基板の品質向上の観点から、アンモニア及びアルキルアミンが好ましく、アンモニアがより好ましい。
成分(B)以外の研磨助剤としては、セリア含有粒子の分散性向上の観点から、アニオン性化合物及びノニオン性化合物が好ましく、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、ポリアクリル酸等のアニオン性ポリマー、アルキルエーテル酢酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、及びアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリアクリルアミド等のノニオン性ポリマー、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
本願の研磨液組成物の実施形態は、全ての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型に限定されず、使用時混合されるいわゆる2液型であってもよい。2液型の研磨液組成物では、上記水系媒体が、第1水系媒体と第2水系媒体とに分かれており、研磨液組成物は、例えば、セリア含有粒子と上記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(成分B)の一部を第1水系媒体に分散して得られるセリア含有粒子分散液と、残余の上記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(成分B)を第2水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液とから構成してもよい。
セリア含有粒子分散液と研磨助剤水溶液の混合は、研磨対象の表面への供給前に行われてもよいし、これらは別々に供給されて被研磨基板の表面上で混合されてもよい。
尚、上記において説明した各成分の含有量は、研磨工程での使用時における含有量であるが、本実施形態の研磨液組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存および供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して研磨工程で使用することができる。希釈割合としては5倍以上100倍以下が好ましい。
[半導体基板の製造方法及び被研磨基板の研磨方法]
本発明の研磨液組成物は、半導体基板の素子分離構造を形成する工程で行われる研磨に好適に使用できる。本発明の半導体基板の製造方法の具体例としては、まず、シリコン基板を酸化炉内で酸素に晒すことよりその表面に二酸化シリコン層を成長させ、次いで、当該二酸化シリコン層上にシリコン膜(研磨停止膜)を、例えばCVD法(化学気相成長法)にて形成する。次に、シリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された研磨停止膜を有する基板、例えば、シリコン基板の二酸化シリコン層上に研磨停止膜が形成された基板に、フォトリソグラフィー技術を用いてトレンチを形成する。次いで、例えば、シランガスと酸素ガスを用いたCVD法により、トレンチ埋め込み用のシリコン酸化(SiO2)膜を形成し、研磨停止膜がシリコン酸化膜で覆われた被研磨基板を得る。シリコン酸化の形成により、前記トレンチはシリコン酸化膜の酸化珪素で満たされ、研磨停止膜の前記シリコン基板側の面の反対面はシリコン酸化膜によって被覆される。
このようにして形成されたシリコン酸化膜のシリコン基板側の面の反対面は、下層の凸凹に対応して形成された段差を有する。次いで、CMP法により、シリコン酸化膜を、少なくとも研磨停止膜のシリコン基板側の面の反対面が露出するまで研磨し、より好ましくは、シリコン酸化膜の表面と研磨停止膜の表面とが面一になるまでシリコン酸化膜を研磨する。本発明の研磨液組成物は、このCMP法による研磨を行う工程に用いられる。CMP法による研磨では、被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で、研磨液組成物をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面の凹凸部分を平坦化させる。尚、本発明の半導体基板の製造方法において、シリコン基板の二酸化シリコン層とシリコン膜(研磨停止膜)の間に他の絶縁膜が形成されていてもよい。
研磨パッドの回転数は、研磨液組成物が1液型、2液型のいずれであっても、30r/min以上200r/min以下が好ましく、45r/min以上150r/min以下がより好ましく、60r/min以上100r/min以下が更に好ましい。被研磨基板の回転数は、30r/min以上200r/min以下が好ましく、45r/min以上150r/min以下がより好ましく、60r/min以上100r/min以下が更に好ましい。
研磨パッドを備えた研磨装置に設定される研磨荷重は、研磨液組成物が1液型、2液型のいずれであっても、荷重が大きすぎることに起因して生じる平坦化への悪影響および傷の発生を抑制する観点から、500g重/cm2以下が好ましく、400g重/cm2以下がより好ましく、350g重/cm2以下が更に好ましい。一方、研磨時間の短縮化の観点から、20g重/cm2以上が好ましく、50g重/cm2以上がより好ましく、100g重/cm2以上が更に好ましい。
研磨液組成物の供給速度は、研磨の効率性の観点から、500mL/min以下が好ましく、400mL/min以下がより好ましく、300mL/min以下が更に好ましい。一方、研磨液組成物の供給速度は、シリコン酸化膜の研磨速度向上の観点から、10mL/min以上が好ましく、30mL/min以上がより好ましい。
1.モノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの合成例
PEGMA(EO平均付加モル数90及び120)は、特許第3874917号に記載の方法に準じて、エステル化反応により合成し、未反応物として残留するメタクリル酸を留去により、1重量%未満にしたものを用いた。尚、EO平均付加モル数23のPEGMAについては、市販品(共栄社化学製)を用いた
2.水溶性高分子の合成方法又はその詳細
[水溶性高分子(1)の合成方法]
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入菅、及び冷却菅を備えた反応器に、蒸留水281.4gを仕込み、蒸留水を撹拌しながら反応器内を窒素置換をし、窒素雰囲気中で蒸留水を80℃に昇温した。続いて、PEGMA(n=120) 336.5gとメタクリル酸22.2gと2 -メルカプトエタノール1.89gを水238.2gに溶解したものと、過硫酸アンモニウム3.68gを水45gに溶解したものの二者を前記反応器内にそれぞれ1.5時間かけて滴下した。引き続き、過硫酸アンモニウム1.47gを水1 5gに溶解したものを30分かけて前記反応器内に滴下し、その後1時間同温度(80℃)で熟成した。熟成終了後に48%水酸化ナトリウム18.7gで中和して、メタクリル酸(MAA)/モノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)(モル比:80/20、重量平均分子量56000)共重合体を得た。その後、水にて固形分を調整して、固形分濃度10%のポリマー溶液を得た。
[水溶性高分子(2)の合成方法]
モノマーの使用量を、PEGMA(n=120)については 3588.3g、メタクリル酸については17.2gとしたこと以外は、[水溶性高分子(1)の合成方法]と同様にして、MAA/PEGMA共重合体(重量平均分子量62000、モル比65/35)を得、同様に水にて固形分を調整して、固形分濃度10%のポリマー溶液を得た。
[水溶性高分子(3)の合成方法]
モノマーの使用量を、PEGMA(n=120)については 165.8g、メタクリル酸については24.0gとしたこと以外は、[水溶性高分子(1)の合成方法]と同様にして、MAA/PEGMA共重合体(重量平均分子量46000、モル比90/10)を得、同様に水にて固形分を調製して、固形分濃度10%のポリマー溶液を得た。
[水溶性高分子(4)の合成方法]
モノマーであるPEGMA(n=120) とメタクリル酸の仕込み量を変化させた以外は、 [水溶性高分子(1)の合成方法]と同様にして、MAA/PEGMA共重合体(重量平均分子量65000、モル比95/5)を得、同様に水にて固形分を調整して、固形分濃度10%のポリマー溶液を得た。
[水溶性高分子(5)(6)の合成方法]
水溶性高分子(5)及び水溶性高分子(6)のモノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの単独重合体は、各々、特開2012-167053号公報の記載を参考にして合成した。重量平均分子量の調整は、重合開始剤の濃度を調製することで実施した。
[水溶性高分子(7)の合成方法]
撹拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水366gを仕込み、水を撹拌しながら容器内を窒素置換をし、窒素雰囲気中で水を80℃まで昇温した。モノメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=23)270gとリン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル52.4gと3−メルカプトプロピオン酸4.5gを混合したものと過硫酸アンモニウム8.4gを水48gに溶解したものの2者を、それぞれ1.5時間かけて、前記反応容器内に滴下した。1時間の熟成後、過硫酸アンモニウム1.8gを水10gに溶解したものを、前記反応容器内に30分かけて滴下し、その後1.5時間同温度(80℃)で熟成した。熟成終了後に32質量%水酸化ナトリウム水溶液44.4gで中和し、重量平均分子量(Mw)が64000、モル比50/50のHEMA-P/PEGMA共重合体を得、水にて固形分を調整して、固形分濃度10%のポリマー溶液を得た。
[水溶性高分子(8)の合成方法]
モノマー種をメタクリル酸のみとした以外は、[水溶性高分子(1)の合成方法]と同様にしてポリメタクリル酸(重量平均分子量43000)を得、同様に水にて固形分を調整して、固形分濃度10%のポリマー溶液を得た。
水溶性高分子(9)(10)には、各々、市販品(ポリエチレングリコール、重量平均分子量1000、東邦化学工業社製)、(ポリエチレングリコール、重量平均分子量6000、東邦化学工業社製)を用いた。
3.各種測定方法
<水溶性高分子の重量平均分子量の測定方法>
研磨液組成物の調製に用いた水溶性高分子の重量平均分子量の測定方法は下記の通りである。水溶性高分子の重量平均分子量は、液体クロマトグラフィー(株式会社日立製作所製、L−6000型高速液体クロマトグラフィー)を使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって下記条件で測定した。
検出器:ショーデックスRI SE−61示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製のG4000PWXLとG2500PWXLを直列につないだものを使用した。
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=90/10(容量比)で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
標準ポリマー:重量平均分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
<研磨材(セリア含有粒子)の平均一次粒子径の測定>
セリア粒子の平均一次粒子径(nm)は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出される粒径(真球換算)を意味する。
平均一次粒子径(nm)=820/S
セリアの比表面積は、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置「フローソーブIII2305」(島津製作所製))を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。
[前処理]
(a)スラリー状の研磨材を硝酸水溶液でpH2.5±0.1に調整する。
(b)pH2.5±0.1に調整されたスラリー状の研磨材をシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させる。
(c)乾燥後、得られた試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕する。
(d)粉砕された試料を40℃のイオン交換水に懸濁させ、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過する。
(e)フィルター上の濾過物を20gのイオン交換水(40℃)で5回洗浄する。
(f)濾過物が付着したフィルターをシャーレにとり、110℃の雰囲気下で4時間乾燥させる。
(g)乾燥した濾過物(砥粒)をフィルター屑が混入しないようにとり、乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
<研磨材(セリア含有粒子)の平均二次粒子径の測定>
研磨材の平均二次粒子径(nm)は、研磨材の濃度が0.1質量%となるように研磨材をイオン交換水に添加した後、得られた水溶液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法「ゼータサイザーNano ZS」(シスメックス(株)製)を用いて測定した。
<研磨液組成物のpH測定>
研磨液組成物の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定した値であり、電極の研磨液組成物への浸漬後1分後の数値である。
4.研磨液組成物の調製
〔研磨液組成物の調製例1〕
水溶性高分子(1)とイオン交換水とを均一に混合し、研磨助剤水溶液を得た。前記研磨助剤水溶液を攪拌しながら、当該水溶液中に、セリア粒子分散液(平均一次粒子43nm、平均二次粒子径180nm、分散媒:イオン交換水)と、pH調整剤としての0.1mol/L塩酸水溶液を加え、更にイオン交換水を加えて濃度調整を行い、実施例1の研磨液組成物を得た。各成分の質量比は、表1に記載した研磨液組成物の組成及びpHとなるように、調整した。残余はイオン交換水である。
〔研磨液組成物の調製例2〕
表1に記載した研磨液組成物の組成及びpHとなるように、各成分の種類及び量を調整した他は、前記研磨液組成物の調製例1と同様の方法で、実施例2〜16及び比較例1〜9の研磨液組成物を得た。pH調整剤としては、pHを低く調整する場合は0.01〜0.1mol/L塩酸を用い、pHを高く調整する場合は0.1〜1.0質量%のアンモニア水を用いた。
5.研磨液組成物(実施例1〜16、比較例1〜9)の評価
[試験片の作成]
シリコンウェーハの片面に、TEOS−プラズマCVD法で厚さ2000nmのシリコン酸化膜(酸化膜)を形成したものから、40mm×40mmの正方形片を切り出し、酸化膜試験片を得た。同様に、シリコンウェーハの片面に、CVD法で厚さ300nmのポリシリコン膜(Poly-Si膜)を形成したものから、40mm×40mmの正方形片を切り出し、ポリシリコン膜試験片を得た。
[酸化膜の研磨速度の測定]
研磨装置として、定盤径300mmのムサシノ電子社製「MA−300」を用いた。また、研磨パッドとしては、ニッタ・ハース社製の硬質ウレタンパッド「IC−1000/Sub400」を用いた。前記研磨装置の定盤に、前記研磨パッドを貼り付けた。前記試験片をホルダーにセットし、試験片のシリコン酸化膜を形成した面が下になるように(酸化膜が研磨パッドに面するように)ホルダーを研磨パッドに載せた。さらに、試験片にかかる荷重が300g重/cm2となるように、錘をホルダーに載せた。研磨パッドを貼り付けた定盤の中心に、研磨液組成物を50mL/minの速度で滴下しながら、定盤及びホルダーのそれぞれを同じ回転方向に90r/minで2分間回転させて、酸化膜試験片の研磨を行った。研磨後、超純水を用いて洗浄し、乾燥して、酸化膜試験片を後述の光干渉式膜厚測定装置による測定対象とした。
研磨前及び研磨後において、光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン社製「ラムダエースVM−1000」)を用いて、酸化膜の膜厚を測定した。酸化膜の研磨速度は下記式により算出した。酸化膜の研磨速度(酸化膜RR)を下記表1に示す。
酸化膜の研磨速度(nm/min)
=[研磨前の酸化膜厚さ(nm)−研磨後の酸化膜厚さ(nm)]/研磨時間(min)
[ポリシリコン膜の研磨速度の測定]
試験片として酸化膜試験片の代わりにポリシリコン膜試験片を用いること以外は、前記[酸化膜の研磨速度の測定]と同様に、ポリシリコン膜の研磨、膜厚の測定及び研磨速度の算出を行った。ポリシリコン膜の研磨速度(p−Si膜RR)を下記表1に示す。
[研磨速度比]
ポリシリコン膜の研磨速度に対する酸化膜の研磨速度の比を研磨速度比とし、下記式により算出した。研磨速度比の値が大きいほど、研磨選択性が良好であるため、段差解消に対する能力が高い。結果を選択比として下記表1に示す。
研磨速度比=酸化膜の研磨速度(nm/min)/ポリシリコン膜の研磨速度(nm/min)
[濡れ性]
ポリシリコン膜試験片での研磨終了後の基板表面を残留砥粒が無くなるまで流水で濯ぎ、濯ぎ終了後ポリシリコン膜試験片を45°に傾けたとき、ポリシリコン膜上に残る水膜の状態を目視で確認し、ポリシリコン膜(4cm×4cm)面の80%以上が濡れているときを「◎」、60%以上80%未満のときを「○」、40%以上60%未満のときを「△」、40%未満のときを「×」とした。この濡れ性が悪いと、目に見えない砥粒が基板表面に固着し、それが後の洗浄工程でも十分に除去しきれずに欠陥として残るため、特に撥水性の強いポリシリコン膜には研磨後の濡れ性は必要とされる性能である。
Figure 2016115809
表1に示されるように、研磨粒子としてセリア含有粒子を用い、研磨助剤として上記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(成分B)を含む、実施例1〜16の研磨液組成物を用いた方が、比較例の研磨液組成物を用いるよりも、研磨選択性が優れていた。
本発明の研磨液組成物は、シリコン膜(研磨停止膜)の研磨を極力抑制し、かつ、シリコン酸化膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性を呈するので、例えば、高密度化又は高集積化用の半導体基板の製造方法において有用である。

Claims (8)

  1. セリア含有粒子(成分A)と、下記一般式(1)で表わされる構成単位Iを含む水溶性高分子(成分B)とを含む、シリコン酸化膜と前記シリコン酸化膜の下に前記シリコン酸化膜に接して配置されたシリコン膜を有する半導体基板用研磨液組成物。
    Figure 2016115809
    ただし、式(1)中、nは平均付加モル数であって15以上150以下であり、R1は、水素又はメチル基であり、R2は、水素又はメチル基である。
  2. 前記水溶性高分子(成分B)が、下記一般式(2)で表わされる構成単位IIをさらに含む、請求項1に記載の半導体基板用研磨液組成物。
    Figure 2016115809
    ただし、式(2)中、R3は、水素又はメチル基であり、Mは、H,Na,K,又はNH4である。
  3. 前記水溶性高分子(成分B)の1分子中における前記構成単位IIと前記構成単位Iのモル比(構成単位II/構成単位I)が40/60以上98/2以下である、請求項2に記載の半導体基板用研磨液組成物。
  4. 前記水溶性高分子(成分B)の重量平均分子量が10000以上300000以下である、請求項1から3のいずれかの項に記載の半導体基板用研磨液組成物。
  5. 半導体基板用研磨液組成物の25℃におけるpHが4.0以上8.0以下である請求項1から4のいずれかの項に記載の半導体基板用研磨液組成物。
  6. 半導体用研磨液組成物中の前記セリア含有粒子(成分A)と前記水溶性高分子(成分B)と水系媒体(成分C)の質量の合計を100質量%とすると、前記水溶性高分子(成分B)の含有量が、0.001質量%以上10質量%以下である、請求項1から5のいずれかの項に記載の半導体基板用研磨液組成物。
  7. シリコン酸化膜と前記シリコン酸化膜の下に前記シリコン酸化膜に接して配置されたシリコン膜を有する被研磨基板の、前記シリコン酸化膜を、研磨液組成物を用いて前記シリコン膜上の前記シリコン酸化膜が除去されるまで研磨する工程と、
    前記研磨された被研磨基板を洗浄する工程と、を含み、
    前記研磨液組成物として、請求項1〜6のいずれかの項に記載の半導体基板用研磨液組成物を用いる、半導体基板の製造方法。
  8. シリコン酸化膜と前記シリコン酸化膜の下に前記シリコン酸化膜に接して配置されたシリコン膜を有する被研磨基板の、前記シリコン酸化膜を、研磨液組成物を用いて前記シリコン膜上の前記シリコン酸化膜が除去されるまで研磨する工程を含み、
    前記研磨液組成物として、請求項1〜6のいずれかの項に記載の半導体基板用研磨液組成物を用いる、半導体基板の研磨方法。
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