JP2016114891A - 中間転写体及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟性があり、表面性の粗い紙への高い転写率、温湿度環境による異常画像(濃度ムラ、白抜け、残像)発生の抑制、画像濃度変化の低減を実現できる中間転写体を提供する。【解決手段】像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、前記中間転写体は少なくとも基層と表層を含む積層構造であり、前記表層は少なくとも環状分子と、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、前記直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンの架橋体、イオン導電剤及び酸性カーボンブラックを含み、10℃、15%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値と、27℃、80%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値の差が2[Log(Ω/□)]以下であることを特徴とする中間転写体。【選択図】図2

Description

本発明は、中間転写体及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置では、様々な用途でベルト、特にシームレスベルトが部材として用いられている。特に近年のフルカラー画像形成装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。特に、位置精度に対しては、連続使用によるベルト自体の伸び等の変形による変動を抑えることが求められる。また、中間転写ベルトは、装置の広い領域に渡ってレイアウトされ、転写のために高電圧が印加されることから難燃性であることが求められている。このような要求に対応するため、中間転写ベルト材料として主に、高弾性率で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが用いられている。
ところが、ポリイミド樹脂による中間転写ベルトにおいては、高強度であるためその表面硬度も高いので、トナー像を転写する際にトナー層に高い圧力がかかり、トナーが局部的に凝集し画像の一部が転写されない、いわゆる中抜け画像が発生することがある。また、感光体や用紙などの転写部での接触部材との接触追従性が劣るため、転写部において部分的な接触不良部(空隙)が発生し、転写ムラが発生することがある。
近年、フルカラー電子写真を用いてさまざまな用紙に画像を形成することが多くなり、通常の平滑な用紙だけでなく、コート紙のようなスリップ性のある平滑度の高いものからリサイクルペーパーやエンボス紙や和紙やクラフト紙のような表面性の粗いものが使用されることが増えてきている。このような表面性状の異なる用紙への追従性は重要であり、追従性が悪いと、用紙の凹凸状の濃淡ムラや色調のムラが発生する。
上記問題に対し、種々の技術が提案されている。特許文献1では中間転写体を基層、弾性層、表面層の3層構成とし、表面層を薄膜のハードコーティングとすることで耐久性と転写性向上を提案している。しかしながら、特許文献1の構成では最表面が硬いため、表面性の粗い紙への追従性はどうしても低くなってしまい、昨今に求められる画像品質には到達せず、不充分であった。
特許文献2ではポリロタキサンを感光体の表面層に使用することで耐久性を向上させることを提案している。しかしながらこの提案は感光体に関するものであり、中間転写ベルト方式に係るものではない。特許文献3、4、5も同様で、これは自動車塗料に係るものである。
特許文献6では、柔軟性があるポリロタキサンを中間転写ベルト表層に適用し、導電剤としてカーボンブラックを使用することを提案している。しかしながら、ポリロタキサンの柔軟性により、粗い紙に画像を形成しても、温湿度環境による画像濃度の変化を小さくすることが望まれているが、特許文献6では、温湿度環境による画像濃度の変化について、何も検討されていない。
また、カーボンブラックを使用することで、電気抵抗値のばらつきや、電気抵抗値の電圧依存性が大きくなってしまい、導電性の制御に問題も発生する。そのため、導電性の制御に起因した異常画像(濃度ムラ、白抜け)も発生しやすくなるが、特許文献6では、異常画像については何も検討されていない。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、柔軟性があり、表面性の粗い紙への高い転写率、温湿度環境による異常画像(濃度ムラ、白抜け、残像)発生の抑制、画像濃度変化の低減を実現できる中間転写体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、前記中間転写体は少なくとも基層と表層を含む積層構造であり、前記表層は少なくとも環状分子と、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、前記直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンの架橋体、イオン導電剤及び酸性カーボンブラックを含み、10℃、15%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値と、27℃、80%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値の差が2[Log(Ω/□)]以下とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明によれば、柔軟性があり、表面性の粗い紙への高い転写率、温湿度環境による異常画像(濃度ムラ、白抜け、残像)発生の抑制、画像濃度変化の低減を実現できる中間転写体を提供することができる。
本発明による中間転写体の好適な層構成の一例を示す図である。 本発明で好適に用いられるポリロタキサンの基本構造を概念的に示す模式図である。 本発明の中間転写体をベルト部材として装備する画像形成装置の一例の要部模式図である。 本発明の中間転写体をベルト部材として装備する画像形成装置の他の例の要部模式図である。
電子写真方式の画像形成装置においてはいくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、電気的特性を要求される重要な部材の一つとして中間転写ベルトのような中間転写
体がある。以下、本発明の中間転写体について説明する。
本発明の中間転写体は、中間転写ベルト方式の画像形成装置における中間転写ベルトとして好適に装備されるものである。この画像形成装置は、いわゆる像担持体(例えば、感光体ドラム)上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する方式の装置である。
本実施形態の中間転写体は、基層と表層を含む積層構造であり、前記表層は少なくとも環状分子と、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、前記直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンの架橋体、イオン導電剤及び酸性カーボンブラックを含み、10℃、15%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値と、27℃、80%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値の差が2[Log(Ω/□)]以下である。
図1には、本発明に好適に用いられる中間転写ベルトの層構成を示す。構成としては、比較的屈曲性が得られる剛性な基層101の上に柔軟な表層102が積層されている。
なお、本発明においては必ずしも基層、表層の2層構成である必要はなく、必要に応じて中間層を設けても良い。中間層としては例えば、接着性向上のためのプライマー層、転写媒体への追従性を向上させるための比較的柔軟なエラストマーやゴムなどの弾性層が挙げられる。
<基層>
まず、基層101について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整剤を含有してなるものが挙げられる。このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
本発明におけるポリイミド、ポリアミドイミドとしては、東レデュポン社、宇部興産社、新日本理化社、JSR社、ユニチカ社、アイ・エス・ティー社、日立化成社、東洋紡績社、荒川化学社等のメーカーからの一般汎用品を入手し使用することができる。
電気抵抗調整剤としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
本発明における電気抵抗調整剤の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25質量%、好ましくは15〜20質量%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50質量%、好ましくは10〜30質量%である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整剤の範囲よりも少ないと抵抗値の均一性が得られにくくなり、任意の電位に対する抵抗値の変動が大きくなる場合がある。また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルトの機械強度が低下し、実使用上好ましくない場合がある。
なお附言すると、電気抵抗調整剤として、金属酸化物を用いる場合、基層101中の金属酸化物の含有量は、通常、1〜50質量%であり、10〜30質量%であることが好ましい。基層101中の金属酸化物の含有量が10質量%以上であることにより、電気抵抗の均一性を向上させることができる。一方、基層101中の金属酸化物の含有量が30質量%以下であることにより、中間転写ベルトの機械強度を向上させることができる。
また、本発明のシームレスベルトの製造方法における塗工液には必要に応じて、分散助剤、補強剤、潤滑剤、熱伝導剤、酸化防止剤等をさらに含んでいてもよい。
基層101の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm〜150μmが好ましく、40μm〜120μmがより好ましく、50μm〜80μmが特に好ましい。基層101の厚みが、30μm以上であることにより、亀裂によりベルトが裂けることがなく、150μm以下であることにより曲げによってベルトが割れることがない。一方、基層101の厚みが前記特に好ましい範囲であると耐久性の点で、有利である。
基層101の厚みを測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
なお、基層101は、樹脂又は樹脂の前駆体及び電気抵抗調整剤等が有機溶媒中に溶解又は分散している塗布液を塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。
有機溶媒としては、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。中でも、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸及びポリアミドイミドが溶解しやすい点で、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、螺旋塗布法、ダイ塗布法、ロール塗布法等が挙げられる。
<表層>
次に基層101に積層する表層102について説明する。表層は少なくとも環状分子と、環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、直鎖状分子の両末端に配置され、環状分子の脱離を防止する封鎖基と、を有するポリロタキサンの架橋体、イオン導電剤及び酸性カーボンブラックを含有する。
表層102はポリロタキサンの柔軟性を適度に保つよう、硬化剤で架橋させることにより表層102を転写性に好ましい硬さにすることができる。また、イオン導電剤及び酸性カーボンブラックを含有し、10℃、15%RHにおける表層102が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値と、27℃、80%RHにおける表層102が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値の差が2[Log(Ω/□)]以下であることにより、異常画像(濃度ムラ、白抜け、残像)発生の抑制、温湿度環境による画像濃度変化の低減を実現することができる。
また、中間転写体の表面抵抗率は、例えばハイレスタMCP−HT450(三菱化学アナリテック社製)を用いて、表層が形成されている側に500Vの電圧を印加して10秒後に読み取られる10箇所の表面抵抗率の平均値を求めることにより得られる。
<ポリロタキサンの架橋体>
ポリロタキサンの架橋体は、ポリロタキサンと硬化剤(架橋剤)とを混合して得られる
<ポリロタキサン>
図2は本発明で用いられるポリロタキサンの基本構造を概念的に示す模式図である。ここで、ポリロタキサンは、ダンベル形の直鎖上軸分子に環状の分子をはめこんだ形の分子をいい、軸分子としてポリエチレングリコールなどの高分子を用いることにより、シクロデキストリンのような環状分子を複数閉じ込めたものをポリロタキサンと称する。両末端のダンベル形の部分は上記環状分子の脱離防止、すなわち封鎖基としての役割を果たしている。また、前記両末端に封鎖基を持つダンベル形の直鎖状分子は、前記環状分子と共有結合により結合固定されていない。
したがって、前記直鎖状分子は、前記環状分子の穴の中を自由に移動でき、前記環状分子もまた、前記直鎖状分子に沿って移動することが可能となる。
また、このポリロタキサンを構成する直鎖状分子、環状分子のいずれか一方又は両方が親油性の修飾基を有していても良い。その結果、有機溶媒に溶解しやすくなり、表層として塗工しやすくなる。
本発明においては親油性修飾ポリロタキサンが好ましい。ここで親油性修飾ポリロタキサンは、直鎖状分子、環状分子のいずれか一方又は両方が親油性の修飾基を有しているポリロタキサンを言う。親油性を示す修飾基は例えば、アルキル基やベンジル基などがある。
また図2において、この親油性修飾ポリロタキサン1は、直鎖状分子2と環状分子3と直鎖状分子2の両末端に配置された封鎖基4を有している。ここで封鎖基4は、例えば環状分子がシクロデキストリンである場合、シクロデキストリン分子が上記末端官能基を有する鎖状ポリマー分子から脱離できなくするために充分嵩高い必要がある。直鎖状分子2は、環状分子3の穴(開口部)を貫通し、環状分子3により包接されており、該環状分子3は、親油性修飾基3Aを有するのが好ましい。つまり、応力が加わった場合には上記環状分子3が直鎖状分子2に沿って滑車のように自由に移動できる。その結果、伸縮性や柔軟性に優れ、転写媒体への追従性が向上する。
<直鎖状分子及び封鎖基>
ここで、上記直鎖状分子2は、実質的に直鎖状であればよく、封鎖基を結合しうる反応性の官能基を末端に有している分子であれば何ら制限無く用いることができる。たとえば直鎖状分子としてはポリエチレングリコールが挙げられ、封鎖基としてはアダマンタン基を挙げることができる。
上記末端官能基を有する鎖状ポリマー分子は、その分子量は1,000〜50,000とすることが望ましく、10,000〜40,000がより好ましく、更には20,000〜35,000の範囲であることが特に好ましい。
直鎖状分子の分子量が1,000以上であることにより、環状分子による滑車効果が十分に得られ塗膜の柔軟性が低下することがなく、耐擦傷性や転写媒体への追従性が劣化することがない。分子量が50,000以下であることにより、塗工液としたときの粘度が高くなりすぎることがなく、平滑性や光沢などの外観劣化を引き起こすことがない。
<環状分子>
上記ポリロタキサンにおける環状分子3としては、その輪の中に鎖状分子を通して移動できるのであれば、何ら制限なく用いることができる。また、環状分子は必ずしも完全に閉環している必要はなく、鎖状分子から脱離しない程度に環の一部が開環していても良い。
更に、環状分子3としては、上記の親油性修飾基などとの結合が行いやすくなる点で反応基を有するものが好ましい。このような反応基としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などを挙げることができるが、反応基としては、上記の封鎖基を形成する際にこの封鎖基と反応しないことから、ヒドロキシル基を有するものが好ましい。
上記環状分子3としては、それぞれの環状分子同士は架橋をせず、その輪の中に鎖状ポリマー分子を通しうるものであれば、何ら制限なく用いることができる。好適に用いられる環状分子としてはシクロデキストリン類、クラウンエーテル類を挙げることができる。この中でも特にシクロデキストリン類が有機化合物と抱接化合物を作りやすい点で好ましい。
シクロデキストリン類は複数のグルコースがα−1、4−結合で環状に連なった化合物であり、中でも、6個、7個、及び8個のグルコースで形成された化合物は、α−、β−、及びγ−シクロデキストリンと呼ばれ、より好適に用いられる。被包接性の観点からはα−シクロデキストリンを使用することが好ましい。
また、これらのシクロデキストリンの水酸基の少なくとも一つが他の有機官能基によって置換された修飾デキストリン類は、溶剤への溶解性が向上するという点ではさらに好ましく用いられる。
上述のシクロデキストリン等の環状分子は、その1種を単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、直鎖状分子に包接される環状分子の個数(包接量)は、環状分子自体が直鎖上分子内を滑車のように自由に動ける範囲内であれば任意に設定して構わない。
<ポリロタキサンの好適例>
本発明に好適なポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記封鎖基がアダマンタン基、環状分子がα−シクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンのヒドロキシル基の一部又は全部が修飾基で修飾され、その修飾基が、−C36−O−基と結合した、カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH25OH)基を有する構造である。
なお、上述した本発明におけるポリロタキサンは、既に公知の方法、例えば特許第4376849号の方法により製造することもできるし、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社などのメーカーからの一般汎用品を入手し使用することもできる。
本発明の中間転写体の表層には、架橋ポリロタキサンが含有される。架橋ポリロタキサンとは上述のポリロタキサン単体と他のポリマー等が架橋したものを言う。すなわち、本発明の中間転写体の表層においては、表層を形成する硬化剤が同じく表層を形成するポリロタキサンの環状部分を介してポリロタキサンと結合している。この架橋ポリロタキサンにより、優れた転写性を図ることができる。
<硬化剤>
次に硬化剤(架橋剤)について説明する。本発明に用いる硬化剤は、現在上市されているものでも良く、特に限定されるものでないが、ポリロタキサンの柔軟性を適度に保ったまま、表層を転写性に好ましい硬さにするように適宜好ましいものを選択する。
本発明の表面層は、上記ポリロタキサンを有機溶媒に溶解させ、硬化剤を投入した後、塗布、乾燥して共重合させることにより得られる。
上記架橋剤(硬化剤)の具体例としては、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1’−カルボニルジイミダゾール又はアルコキシシラン類等を挙げることができる。
本発明では、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、架橋しやすさの点からイソシアネートが好ましい。中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートが、2つの1級のイソシアネート基を有するため反応性が高く、未架橋のOH基が少なくなるため、それを架橋させた中間転写体のトナー離型性が優れること、及び、ヘキサメチレンジイソシアネートが、イソシアネート基間に6つのメチレン基を有するため、それを架橋させた中間転写体の可とう性が優れることから、転写性が向上するためより好ましい。
また、常温下での保管安定性の高さからブロックイソシアネートがさらに好ましい。ブロックイソシアネートは、活性イソシアネート基をオキシム類、ジケトン類、フェノール類、カプロラクタム類等のブロック剤で保護し、通常の状態では安定を保ち、熱処理することによってブロック剤が解離し、活性イソシアネート基が再生され、硬化・架橋反応を起こすものである。本願発明に好適に用いられるイソシアネートはヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネートのブロックイソシアネートである。
またイソシアネート系硬化剤は上市されている一般汎用品を使用して構わない。例えば旭化成ケミカルズ社製「デュラネート」、三井化学社製「タケネート」、日本ポリウレタン工業社製「コロネート」、住化バイエルウレタン社製「デスモジュール」などで市場から入手可能である。
<酸性カーボンブラック>
次に酸性カーボンブラックについて説明する。本発明の中間転写体の表層は酸性カーボンブラックを含有する。酸性カーボンブラックを含まない場合、異常画像(特に残像)が発生したり、画像濃度の変化が著しくなる。
カーボンブラックは、各種の炭化水素又は炭素を含む化合物を不完全燃焼して得られる微細な球状粒子の集合体と定義されるが、化学組成が炭素98%以上のほぼ純水な炭素材料である。カーボンブラックは、製造方法により分類することができ、熱分解法及び不完全燃焼法のいずれかに大別される。さらに、カーボンブラックは、原料により細分化される。カーボンブラックの分類の一例を以下の表1に示す。
コンタクト法は、鉄、石等に炎を接触させる製造方法であり、チャンネル法やその改良法であるガスブラック法(ローラー法)等が含まれる。
チャンネルブラックは、コンタクト法により得られるものであり、チャンネル鋼の底面に炎を接触させて採取することができる。
ファーネス法は、燃料の空気による燃焼熱により、炭化水素を連続的に熱分解させてカーボンブラックを得る方法であるが、ガスファーネス法とオイルファーネス法に分類される。
サーマル法は、炭素源として天然ガスを利用し、燃焼と熱分解を周期的に繰り返す特殊な製造方法であり、粒子径が大きいカーボンブラックが得られる。
アセチレンブラックもアセチレンを原料とする1種のサーマル法により得られるが、アセチレンの熱分解反応は、発熱反応であるため、サーマル法における燃焼サイクルを省略することが可能となり、連続運転が可能になる。
アセチレンブラックは、結晶性が発達し、ストラクチャーが高いため、導電性に優れ、乾電池、各種ゴム、プラスチックの導電性付与剤として適用される。
次に、カーボンブラックの基本的特性について説明する。
カーボンブラックをゴムや樹脂、塗料やインキのビヒクルに配合、分散させ、補強性や黒色度、導電性等の機能を付与する際の重要な因子は、粒子径、ストラクチャー(DBP給油量)、粒子の表面の物理化学的性質(揮発分とpH)である。
カーボンブラックの最小単位は、炭素六員環が30〜40個結合した網平面であり、この網平面が3〜5層、Van der Waals力でほぼ等間隔(3.5〜3.9Å)に積み重なった結晶子は、粒子の表面付近で同心円状にしかも緻密に配列しており、その配列は、内部程、不規則となっている。
このような特徴は、粒子が微細である程、顕著であり、粒子径が大きいサーマルブラックは、ほとんど中心部まで規則的な配向状態にある。
結晶子が1000〜2000個集合して1個の1次粒子が形成されており、1次粒子が化学的、物理的に結合したものをストラクチャーと呼んでいる。
カーボンブラックは、串に刺した団子状に粒子同士が融着した状態となっており、個々の球状粒子は団子と団子の山と谷を特徴付けているにすぎないが、これを単一粒子と見なした粒子径は各種用途における性能、例えば、補強性、黒色度等と密接な関係を有している。
カーボンブラックは、串に刺した団子あるいはぶどう状の凝集体を形成しており、ストラクチャーと呼ばれる。
この凝集の発達度合いにより、ハイ(高)、ノーマル(中)、ロー(低)ストラクチャーに分類され、ゴムに配合した場合の引っ張り応力や押し出し特性、インキや塗料のビヒクル並びに樹脂に配合した場合の分散性や黒色度、粘度、導電性等に多大な影響を与える重要な因子である。
ストラクチャーは、1400℃以上の製造炉内で、複雑な化学反応を経て生成した縮合多環芳香族炭化水素が微細液滴に凝縮し、核となる前駆体を形成すると共に、相互の衝突を経て融着固化し、生成する。
ストラクチャーは、炉の形状や炉内の動熱力学条件を選択することにより制御することができ、例えば、アルカリ金属塩を微量添加する手法が知られている。
ストラクチャーは、給油量、圧縮空隙率、かさ密度、電子顕微鏡画像の形態解析等により測定することができるが、最も一般的に採用されている給油量は、粒子相互の絡み合いの大きい、すなわち、ハイストラクチャーカーボンブラック程、多量の油を吸収するという現象を応用したものである。
給油量は、例えばDBP(Dibutyl Phtalate)アブソープトメータにより、測定することができる。
カーボンブラックの比表面積は、単一粒子の大きさにより、ほぼ定まるが、他の固体と同様に、表面において他の物質との相互作用を有するため、極めて重要な特性である。
カーボンブラックの表面には、一般に細孔(pore)が存在し、粒子間の融着部には微細空隙が存在する。
比表面積は、測定原理によって、細孔中の表面積を含むものか否かを明確に区別する必要がある。
細孔中の表面積を含むものを全比表面積といい、細孔中の表面積を除外したものを非多孔比表面積という。
全比表面積は、一般に、BETの式を用いた低温窒素吸着法、ヨウ素吸着法等により測定することができ、非多孔比表面積は、CTAB吸着法、電子顕微鏡を用いる“t”法等により測定することができる。
カーボンブラックは、通常、酸素、水素、硫黄、灰分等を含む。
水素は、原料の炭化水素の炭化過程における脱水素反応残留物として含まれている。また、硫黄は、原料油や燃料油に含まれている。さらに、灰分は、原料油、冷却用の水等に含まれている。
一方、酸素を含むカーボンブラックは、カーボンブラックを形成した後、空気の接触により酸素が結合する塩基性酸化物と、二酸化窒素、オゾン、硝酸等との反応により、二次的に生成する酸性酸化物とがあるが、酸素は、いずれの場合も粒子の表面に存在するものと考えられる。
硫黄は、化学的に結合しているものと遊離しているものの両方の形態で存在し、遊離している硫黄は、溶媒や硫化アルカリ水溶液により抽出することができるが、化学的に結合している硫黄は、1000℃の高温下でも完全には脱離しにくい。
灰分の組成は、ナトリウム、マグネシウムの塩化物と硫酸塩、カルシウムの炭酸塩、鉄の酸化物、シリカ等であり、灰分の含有量は、チャンネルブラックよりもファーネスブラックの方が多い傾向にある。
カーボンブラックの化学反応性の大部分は、酸化物、活性水素等として知られている表面の官能基に由来している。
酸性カーボンブラックは、中性カーボンブラックを、二酸化窒素、オゾン、硝酸等と反応させることにより、合成することができる。
酸性カーボンブラックの表面に存在する官能基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基、キノン基、ラクトン基等が挙げられる。
酸性カーボンブラックのpHは、7未満であり、5以下であることが好ましく、3.5以下であることがさらに好ましい。酸性カーボンブラックを用いることにより、ポリロタキサンに対する分散性が向上して電気抵抗のバラツキが小さくなるため、粗い紙に画像を形成しても、画像濃度のムラが小さくなる。また、粗い紙に画像を形成しても、温湿度環境による画像濃度の変化が小さくなる。この理由は、定かではないが、表層102の表面に、酸性カーボンブラックが存在しやすくなっているためと考えられる。その結果、ポリロタキサンによる吸湿を抑制することができる。
酸性カーボンブラックの揮発分は、15%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。これにより、温湿度環境による表面抵抗率の変化がさらに小さくなるため、温湿度環境による画像濃度の変化がさらに小さくなる。
なお、揮発分は、酸性カーボンブラックを950℃で7分間加熱した時の減量分であり、一般に、表面に存在する官能基が多い程、多くなる。
酸性カーボンブラックの市販品としては、例えばMA7、MA8、MA11、MA77、MA78、MA100、MA100R(以上、三菱化学社製)、Special Black4、Special Black4A、Special Black5、Special Black6、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Color Black FW200、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW1、Color Black FW18(以上、オリオン・エンジニアド・カーボンズ社製)等が挙げられる。
表層102中の酸性カーボンブラックの含有量は、通常、固形分比で20質量%以下であり、15質量%以下であることが好ましい。15質量%以下の場合、中間転写ベルトの粗い紙に対する追従性を向上させることができる。
<分散剤>
表層102は、分散剤をさらに含んでいてもよい。これにより、酸性カーボンブラックの分散性をさらに向上させることができる。
分散剤の市販品としては、例えばDISPERBYK−130、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−166、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−180、DISPERBYK−182、DISPERBYK−183、DISPERBYK−184、DISPERBYK−185、DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2050、DISPERBYK−2070、DISPERBYK−2096、DISPERBYK−2150、DISPERBYK−2155(以上、ビックケミー社製)、ソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース11200、ソルスパース13940、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000(以上、ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
<イオン導電剤>
次にイオン導電剤について説明する。本発明に用いるイオン導電剤は、現在上市されているものでも良く、特に限定されるものでないが、本発明の所期の効果が得られるように適宜好ましいものを選択する。イオン導電剤を含まない場合、異常画像が発生し、特に高温高湿下で白抜けによる異常画像が顕著となる。
上記イオン導電剤の具体例としては、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウ弗化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウ弗化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、高分子イオン導電剤等を挙げることができる。本発明では、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、導電性が高く、経時による電気抵抗の上昇も小さく、耐久性に優れた第4級アンモニウム塩を含む導電剤が好ましい。
第4級アンモニウム塩を含む導電剤は上市されている一般汎用品を使用して構わない。例えば日本カートリット社製「QAP−01」、大成ファインケミカル社製「1SXシリーズ」、広栄化学社製「IL−Aシリーズ」などで市場から入手可能である。
<中間転写ベルトの作製>
次に、上記本発明の構成のベルトを作製する方法についての一例を説明する。まず、基層101の作製方法について説明する。
<<基層>>
少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわちポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層を製造する方法について説明する。基層101は、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既知の方法で前記塗工液を塗工することにより製造することができる。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)を施し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。充分に冷却後、引き続き、表層102を積層する。
<<表層>>
表層102は、少なくともポリロタキサン、及び硬化剤(架橋剤)、酸性カーボンブラック、イオン導電剤を有機溶剤に溶解させた塗料を用いる。
<<表層塗工液>>
ポリロタキサンと硬化剤を架橋させる際、ポリロタキサンと硬化剤の配合比は、ポリロタキサンのOH基とOH基と反応する硬化剤の反応基の当量比が反応基/OH基=0.5〜3.0になるよう調整することが好ましい。さらに好ましくは、当量比は反応基/OH基=1.0〜1.2で調整する。例えば、硬化剤がイソシアネートである場合は、ポリロタキサンとイソシアネートの配合比は、NCO/OH=0.5〜2.0になるよう調整することが好ましい。さらに好ましくは、当量比はNCO/OH=1.0〜1.2で調整する。
前記当量比が0.5未満であると架橋が十分に行われにくいため、架橋物の形状維持が困難になることがある。一方、当量比が2.0より大きいと、架橋物が硬くなりすぎ、表層としての柔軟性などが損なわれることがある。
<<表層の作製>>
表層は、上記塗料を基層上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、硬化(架橋)することで製造することができる。塗布成形法としては、基層と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工、もしくはスプレー塗工などの既存の塗工法が適用できるが、基層同様、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、ノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。続いて所定の回転速度、乾燥温度を維持させることでレベリングされる。なお回転中には、必要に応じて、加熱を行ってもよい。このような作製方法によりシームレスベルトとすることができる。
なお、上記選択した材料に電気特性を調整するための抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤、可塑剤などの材料を適宜含有させた配合を行っても良い。
上記表層塗料は、加熱することにより架橋物とすることができる。加熱温度は、好ましくは130℃〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などの公知の方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
また、表層の膜厚は30μm〜300μmが好ましく、より好ましくは50μm〜200μmである。30μm以上であることにより表面凹凸がある紙種に対する画像品質は十分なものとなる。一方で300μm以下であることにより、膜の重さが重くなることによりたわみやすくなったり、反りが大きくなって走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなったりすることがないため好ましい。なお、前記厚みの測定方法としては、断面を走査型顕微鏡(SEM)で測定することができる。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、前記像担持体上に形成された前記潜像をトナーで現像する現像手段と、前記現像手段により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写体と、前記中間転写体に担持された前記トナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備え、前記中間転写体が本発明に係る中間転写体である。また、必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、潤滑剤供給手段、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有していてもよい。
この場合、前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、色ごとの現像手段を有する複数の像担持体を直列に配置してなるものが好ましい。
本発明における画像形成装置に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
図3は、本発明に係る製造方法により得られるシームレスベルトである中間転写体をベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。
図3に示すベルト部材を含む中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、2次転写ユニット600の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブラシ504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
また、中間転写ベルト501の外周面又は内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブラシ504の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている1次転写バイアスローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
この中間転写ベルト501は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、2次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及びフィードバック電流検知ローラ512に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ507以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ507には、定電流又は定電圧制御された1次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流又は電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト501は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。このベルト部材である中間転写ベルト501は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層又は多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、像担持体である感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
2次転写手段である2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
レジストローラ610は、2次転写バイアスローラ605と2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙Pを送り込む。また、2次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。該クリーニングブレード608は、2次転写バイアスローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム200は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、該感光体ドラム200上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト501はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト501の回転に伴って、1次転写バイアスローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト501上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。図3において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
このようにして感光体ドラム200上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム200の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム200の再使用に備えて、感光体クリーニング装置201で清掃される。この感光体ドラム200側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にC静電潜像を形成する。
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、C現像機231Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機231Kの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次のM現像機231Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明は省略する。符号231YはY現像機を示す。
このようにして感光体ドラム200上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ610のニップで待機している。
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と2次転写バイアスローラ605によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
このようにして、転写紙Pが2次転写部を通過すると、2次転写電源802によって2次転写バイアスローラ605に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(2次転写)される。この転写紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置210により定着装置270に向けて送られる。そして、この転写紙Pは、定着装置270の定着ローラ271、272のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置270は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム200の表面は、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード504によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブレード504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
このベルトクリーニングブレード504の上記中間転写ベルト501の移動方向上流側には、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材502が設けられている。このトナーシール部材502は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード504から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材502は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブレード504とともに、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離される。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。該潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、該潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト501のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ505及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム200への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード504を中間転写ベルト501に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
なお、図3中符号70は除電ローラ、204は電位センサー、205は画像濃度センサー、503は帯電チャージャ、513はトナー画像、Lは(レーザー露光手段から出射される)レーザー光を示す。
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図4の要部模式図に一構成例を示すような、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図4の要部模式図は、本発明の中間転写ベルトに沿って複数の像担持体が並設されているフルカラー画像形成装置の一例を示す。すなわち図4は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK、21Y、21M、21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図4において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部12、画像形成部13、給紙部14、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部12に送信する。画像書込部12は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部13の各色ごとに設けられた像坦持体(感光体)21BK、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部13は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体21BK、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体21BK、21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置、上記書込部12からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20BK、20M、20Y、20C、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23C、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置20BK、20M、20Y、20Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。
ベルト構成部である中間転写ベルト22は、各感光体21BK、21M、21Y、21Cと、各1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23Cとの間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙Pは、給紙部14から給紙された後、レジストローラ16を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト50に担持される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触するところで、上記中間転写ベルト22上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ60により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材25によって中間転写ベルト22から除去される。このベルトクリーニング部材25の下流側には、潤滑剤塗布装置27が配設されている。この潤滑剤塗布装置27は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。図4中、符号26は駆動ローラ、70はバイアスローラを示す。
また、本発明は下記の[1]の中間転写体に係るものであるが、次の[2]〜[7]をも実施の形態として含む。
[1]像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、前記中間転写体は少なくとも基層と表層を含む積層構造であり、前記表層は少なくとも環状分子と、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、前記直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンの架橋体、イオン導電剤及び酸性カーボンブラックを含み、10℃、15%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値と、27℃、80%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値の差が2[Log(Ω/□)]以下であることを特徴とする中間転写体。
[2] 前記酸性カーボンブラックは、揮発分が15%以下であることを特徴とする前記[1]に記載の中間転写体。
[3]前記イオン導電剤が、第4級アンモニウム塩を含む導電剤であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の中間転写体。
[4] 前記基層が、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の中間転写体。
[5]シームレスベルトであることを特徴とする前記[1]から[4]のいずれかに記載の中間転写体。
[6]潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、前記像担持体上に形成された前記潜像をトナーで現像する現像手段と、前記現像手段により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写体と、前記中間転写体に担持された前記トナー像を記録媒体に二次転写する転写手段と、を備え、前記中間転写体が前記[1]から[5]のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
[7]画像形成装置はフルカラー画像形成装置であり、色ごとの前記現像手段を有する複数の前記像担持体を直列に配置してなることを特徴とする前記[6]に記載の画像形成装置。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
なお、ベルトの基層及び表層のそれぞれの膜厚は任意の10箇所の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して膜厚を測定してその平均値をとった。特に明記しない限り、「部」は「質量部」を示す。また、固形分比は質量基準で示す。
<実施例1>
<基層用塗工液Aの調製>
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層を作製した。
まず、ポリイミド樹脂前駆体であるポリアミック酸を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスAとU-ワニスSを固形分比6:4に混合;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたpHが3、揮発分が14%の酸性カーボンブラック(SpecialBlack4、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17質量%になるように調合し、よく攪拌混合して基層用塗工液Aを調製した。
<ポリイミド基層ベルトAの作製>
次に、外径375mm、長さ340mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に360℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、膜厚60μmのポリイミド基層ベルトAを得た。
<表層塗工液Aの調製>
下記により表層塗工液を調製し、この表層塗工液をポリイミド基層ベルトAに塗布する
ことにより、基層に表層を積層する。
pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)12部をシクロヘキサノン88部中で分散させ、酸性カーボンブラックの分散液を得た。
次に、直鎖状分子がポリエチレングリコール、封鎖基がアダマンタン基、環状分子がヒドロキシルプロピル基を有したシクロデキストリンであるポリロタキサンの「セルムスーパーポリマーSH3400P(アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製)」をシクロヘキサノン中に溶解させた後、ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネートであるデュラネートTPA−B80E(旭化成ケミカル社製)[ブロックイソシアネート]を入れて、NCO(硬化剤の反応基)/OH当量比が1.05となるように調整し、イオン導電剤として4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)を表層の全固形分に対して2質量%調合し、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して8質量%になるように酸性カーボンブラックの分散液を加えて、表層塗工液Aを調製した。
前記ポリロタキサンの「セルムスーパーポリマーSH3400P」は化学名が「修飾ポリロタキサン−グラフト−ポリカプロラクトン(CAS No.928045−45−8)」である。(直鎖状分子がポリエチレングリコール、封鎖基がアダマンタン基、環状分子がヒドロキシル基含有α−シクロデキストリン)
<表層の作製>
次に、このようにして得られた表層塗工液Aを先に作製したポリイミド基層Aが形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層上に、ノズルより表層塗工液Aを連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては最終的な表層厚みが100μmになるような液量の条件とした。その後、表層塗工液Aが塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で150℃まで昇温して30分加熱処理し、厚さが100μmの表層を形成した。
さらに、円筒状支持体から、基層の上に表層が形成されているベルトを取り外して、中間転写ベルトAを得た。中間転写ベルトAは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.2[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.8[Log(Ω/□)]であった。
なお、基層及び表層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、中間転写ベルトの断面を観察することにより測定される10箇所の厚さの平均値である。
また、中間転写体の表面抵抗率は、ハイレスタMCP−HT450(三菱化学アナリテック社製)を用いて、表層が形成されている側に500Vの電圧を印加して10秒後に読み取られる10箇所の表面抵抗率の平均値である。
<実施例2>
実施例1において、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、酸性カーボンブラックとして、pHが3、揮発分が14%のSpecialBlack4(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して14質量%になるように調合した以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトBを得た。中間転写ベルトBは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.3[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.4[Log(Ω/□)]であった。
<実施例3>
実施例1において、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが2.5、揮発分が16.5%のColor Black FW2(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して16質量%になるように調合した以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトCを得た。中間転写ベルトC、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.6[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.2[Log(Ω/□)]であった。
<実施例4>
実施例1において、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが2.5、揮発分が20%のColor Black FW200(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して22質量%になるように調合した以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトDを得た。中間転写ベルトDは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.8[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.9[Log(Ω/□)]であった。
<実施例5>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、4級アンモニウム塩を含む導電剤(1SX−1055;大成ファインケミカル社製)を、表層の全固形分に対して3質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトEを得た。中間転写ベルトEは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.4[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.9[Log(Ω/□)]であった。
<実施例6>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、4級アンモニウム塩を含む導電剤(1SX−1055;大成ファインケミカル社製)を、表層の全固形分に対して3質量%になるように調合し、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、酸性カーボンブラックとして、pHが3、揮発分が14%のSpecialBlack4(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して14質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトFを得た。中間転写ベルトFは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.5[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.7[Log(Ω/□)]であった。
<実施例7>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、4級アンモニウム塩を含む導電剤(1SX−1055;大成ファインケミカル社製)を、表層の全固形分に対して3質量%になるように調合し、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが2.5、揮発分が16.5%のColor Black FW2(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して16質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトGを得た。中間転写ベルトGは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.8[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.2[Log(Ω/□)]であった。
<実施例8>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、4級アンモニウム塩を含む導電剤(1SX−1055;大成ファインケミカル社製)を、表層の全固形分に対して3質量%になるように調合し、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが2.5、揮発分が20%のColor Black FW200(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して22質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトHを得た。中間転写ベルトHは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.9[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.0[Log(Ω/□)]であった。
<実施例9>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、その他のイオン導電剤(IL−AP3;広栄化学社製)を、表層の全固形分に対して2質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトIを得た。中間転写ベルトIは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.3[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.8[Log(Ω/□)]であった。
<実施例10>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、その他のイオン導電剤(IL−AP3;広栄化学社製)を、表層の全固形分に対して2質量%になるように調合し、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、酸性カーボンブラックとして、pHが3、揮発分が14%のSpecialBlack4(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して14質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトJを得た。中間転写ベルトJは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.5[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.4[Log(Ω/□)]であった。
<実施例11>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、その他のイオン導電剤(IL−AP3;広栄化学社製)を、表層の全固形分に対して2質量%になるように調合し、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが2.5、揮発分が16.5%のColor Black FW2(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して16質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトKを得た。中間転写ベルトKは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.7[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.1[Log(Ω/□)]であった。
<実施例12>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、その他のイオン導電剤(IL−AP3;広栄化学社製)を、表層の全固形分に対して2質量%になるように調合し、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが2.5、揮発分が20%のColor Black FW200(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を用い、酸性カーボンブラックを表層の全固形分に対して22質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトLを得た。中間転写ベルトLは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.8[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.8[Log(Ω/□)]であった。
<実施例13>
<基層用塗工液の調製>
実施例1の基層用塗工液Aを以下のように変更した。
まず、ポリアミドイミド樹脂溶液であるポリアミドイミドワニス(バイロマックスHR−16NN;東洋紡績社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(MA77;三菱化学社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の24質量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
<ポリアミドイミド基層ベルトMの作製>
次に、外径375mm、長さ360mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に250℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、膜厚60μmのポリアミドイミド基層ベルトMを得た。
その後は実施例1と同様にして中間転写ベルトMを得た。中間転写ベルトMは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.4[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.9[Log(Ω/□)]であった。
<比較例1>
実施例1において、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)及び4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)を加えない以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトNを得た。中間転写ベルトNは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が12.5[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.1[Log(Ω/□)]であった。
<比較例2>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)を加えず、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが9.0、揮発分が0.5%の塩基性カーボンブラック(ケッチェンブラック)EC300J(ライオン化学社製)を用い、塩基性カーボンブラックを表層の全固形分に対して2質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトOを得た。中間転写ベルトOは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が12.5[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.2[Log(Ω/□)]であった。
<比較例3>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)を加えず、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが7.0、揮発分が1.0%の中性カーボンブラック#3350B(三菱化学社製)を用い、中性カーボンブラックを表層の全固形分に対して12質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトPを得た。中間転写ベルトPは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が12.2[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.8[Log(Ω/□)]であった。
<比較例4>
実施例1において、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが9.0、揮発分が0.5%の塩基性カーボンブラック(ケッチェンブラック)EC300J(ライオン化学社製)を用い、塩基性カーボンブラックを表層の全固形分に対して2質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトQを得た。中間転写ベルトQは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が12.8[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.2[Log(Ω/□)]であった。
<比較例5>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、その他のイオン導電剤(IL−AP3;広栄化学社製)を、表層の全固形分に対して2質量%になるように調合し、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)の代わりに、pHが7.0、揮発分が1.0%の中性カーボンブラック#3350B(三菱化学社製)を用い、中性カーボンブラックを表層の全固形分に対して12質量%になるように調合したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトRを得た。中間転写ベルトRは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が12.1[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.1[Log(Ω/□)]であった。
<比較例6>
実施例1において、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)を加えず、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)を、表層の全固形分に対して10質量%になるように増量して調合した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトSを得た。中間転写ベルトSは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が11.3[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が10.9[Log(Ω/□)]であった。
<比較例7>
実施例1において、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)を加えず、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)を、表層の全固形分に対して4質量%になるように増量して調合した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトTを得た。中間転写ベルトTは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が12.9[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.4[Log(Ω/□)]であった。
<比較例8>
実施例1において、pHが3.5、揮発分が1.5%の酸性カーボンブラックMA100(三菱化学社製)を加えず、4級アンモニウム塩を含む導電剤(QAP−01;日本カートリット社製)の代わりに、その他のイオン導電剤(IL−AP3;広栄化学社製)を、表層の全固形分に対して4質量%になるように増量して調合した以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルトTを得た。中間転写ベルトTは、10℃、15%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が12.8[Log(Ω/□)]であり、27℃、80%RHにおける表面抵抗率の常用対数値が9.4[Log(Ω/□)]であった。
<評価>
次に、中間転写体の異常画像(残像、濃度ムラ、白抜け)及び環境による画像濃度の変化を評価した。
[異常画像]
中間転写ベルトA〜Uを10℃、15%RH及び27℃、80%RHの環境下でimagio MPC7501(リコー社製)に搭載して、画像を形成し、異常画像(残像、濃度ムラ、白抜け)を評価した。用紙としては、用紙(1):普通紙TYPE6200(リコー社製)、用紙(2):さざなみ紙FC和紙(リコー社製)を用いてそれぞれ10枚ずつ出力した。なお、さざなみ紙FC和紙は、和紙風に凹凸模様がある粗い紙のため画像の濃度ムラや白抜けが起こりやすい。
なお、出力画像として、用紙(1)はブラック単色でハーフトーン画像を、用紙(2)はシアンとマゼンタのブルーベタ画像を出力した。評価は各出力用紙1枚目〜10枚目の10枚の中で、それぞれの異常画像(残像、濃度ムラ、白抜け)が最も悪いサンプルで行い、用紙(1)は異常画像(残像)の評価、用紙(2)は異常画像(濃度ムラ、白抜け)の評価を行った。
評価基準は以下の通りである。
◎:非常に良好
○:良好
△:実使用可能レベル
×:使用不可レベル
[温湿度環境による画像濃度の変化]
中間転写ベルトA〜Uを図3の画像形成装置に搭載して、画像を形成し、温湿度環境による画像濃度の変化を評価した。具体的には、10℃、15%RH及び27℃、80%RHで、ブルーのベタ画像を形成した後、X-rite(エックスライト社)を用いて、画像濃度IDを測定した。用紙としては、さざなみ紙FC和紙(リコー社製)を使用した。
評価基準は以下の通りである。
◎:0.15未満
○:0.15以上0.20未満
△:0.20以上0.50未満
×:0.50以上
表2に、中間転写体A〜Uの表面抵抗率の常用対数値、異常画像、温湿度環境による画像濃度の変化の評価結果を示す。
表2から、実施例1〜13の酸性カーボンブラックとイオン導電剤を含む表層が形成されている中間転写ベルトA〜Mは、異常画像評価も良好で、温湿度環境による画像濃度の変化が小さいことがわかる。
これに対して、比較例1の酸性カーボンブラックとイオン導電剤を含まない表層が形成されている中間転写ベルトN、比較例2の塩基性カーボンブラックを含む表層が形成されている中間転写ベルトO、比較例3の中性カーボンブラックを含む表層が形成されている中間転写ベルトP、比較例4の塩基性カーボンブラックと4級アンモニウム塩を含む表層が形成されている中間転写ベルトQ、比較例5の塩基性カーボンブラックとその他のイオン導電剤を含む表層が形成されている中間転写ベルトR、比較例6の酸性カーボンブラックを含むが、イオン導電剤を含まない表層が形成されている中間転写ベルトS、比較例7の4級アンモニウム塩を含む表層が形成されている中間転写ベルトT、比較例8のその他のイオン導電剤を含む表層が形成されている中間転写ベルトUは、異常画像及び温湿度環境による画像濃度の変化のいずれかの評価項目で、使用不可能なレベルとなってしまった。
以上、本発明の構成とすることにより、表面性の粗い転写媒体への高い転写率、温湿度環境による異常画像(濃度ムラ、白抜け、残像)発生の抑制、画像濃度変化の低減を実現できる中間転写体を提供することができる。
(図1の符号)
101 基層
102 表層
(図2の符号)
1 ポリロタキサン
2 直鎖状分子
3 環状分子
3A 親油性修飾基
4 封鎖基
(図3の符号)
P 転写紙
L レーザ光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図4の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニングブラシ
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
特許第4973781号公報 特開2012−181244号公報 特許第4376846号公報 特許第4376848号公報 特許第4376849号公報 特開2013−029632号公報

Claims (7)

  1. 像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、
    前記中間転写体は少なくとも基層と表層を含む積層構造であり、
    前記表層は少なくとも環状分子と、前記環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、前記直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンの架橋体、イオン導電剤及び酸性カーボンブラックを含み、
    10℃、15%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値と、27℃、80%RHにおける前記表層が形成されている側の表面抵抗率の常用対数値の差が2[Log(Ω/□)]以下であることを特徴とする中間転写体。
  2. 前記酸性カーボンブラックは、揮発分が15%以下であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記イオン導電剤が、第4級アンモニウム塩を含む導電剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写体。
  4. 前記基層が、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中間転写体。
  5. シームレスベルトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の中間転写体。
  6. 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、
    前記像担持体上に形成された前記潜像をトナーで現像する現像手段と、
    前記現像手段により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写体と、
    前記中間転写体に担持された前記トナー像を記録媒体に二次転写する転写手段と、
    を備え、
    前記中間転写体が請求項1〜5のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 画像形成装置はフルカラー画像形成装置であり、
    色ごとの前記現像手段を有する複数の前記像担持体を直列に配置してなることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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