JP2016114572A - レジンコンクリート製の構造物の診断方法 - Google Patents

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和枝 高橋
孝 澤田
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Abstract

【課題】非破壊でレジンコンクリート製の構造物の劣化状況を診断する。【解決手段】分析装置23は、レジンコンクリート製の構造物(被検体6)にテラヘルツ波を照射する。そして、分析装置23は、被検体6から反射または透過されるテラヘルツ波の分光分析のスペクトルのデータを解析することで、被検体6の劣化状況を診断する。例えば、被検体6から反射されてくるテラヘルツ波の所定の周波数帯域に現れる吸収ピークに基づき、被検体6の劣化状況を診断する。【選択図】図2

Description

本発明は、レジンコンクリート製の構造物の診断方法に関する。
従来、結合材として、熱硬化性樹脂等のポリマー材料を使用するレジンコンクリートがある。このレジンコンクリートは、通常のセメントコンクリートと比較して、固まるのが早く、また、強度、接着力、耐食性、耐摩耗性、絶縁性、成形性等に優れている。そのため、レジンコンクリートは、マンホール、下水道パイプ、情報用ボックス、土木資材、景観資材等様々な製品に使用されている。近年、レジンコンクリートが使用された構造物の長期維持管理のため、劣化状況の診断技術が要望されていた。
ここで、非破壊でコンクリートの劣化状況の診断を行う方法として、衝撃波を利用した方法がある。これは、ハンマー等の打撃装置を用いてコンクリートの構造物表面で衝撃波を発振させ、これを複数のピックアップで受信し、表面波の伝播特性に基づいた比較解析によって、コンクリートの劣化状況を診断する方法である。
特許第4662890号公報 特許第4162967号公報 特開2001−2829号公報
しかし、レジンコンクリートは、弾性が高いため、衝撃波を利用した方法では劣化状況を診断できないという問題があった。そこで、本発明は、前記した問題を解決し、非破壊でレジンコンクリート製の構造物の劣化状況を診断することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、レジンコンクリート製の構造物にテラヘルツ波を照射するステップと、前記照射により得られたテラヘルツ波の分光分析のスペクトルのデータの解析の結果から前記構造物の劣化状況を診断するステップと、を含んだことを特徴とする。
本発明によれば、非破壊でレジンコンクリート製の構造物の劣化状況を診断することができる。
図1は、マンホールの例を示す図である。 図2は、反射型の分析装置の例を示す図である。 図3は、分析装置の処理手順を示すフローチャートである。 図4は、テラヘルツ波の分光分析のスペクトルのイメージ図である。 図5は、透過型の分析装置の例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、本発明は本実施形態に限定されない。ここでは、劣化状況の診断対象となるレジンコンクリート製の構造物がマンホールである場合を例に説明する。
このマンホールは、図1に示すように、例えば、レジンコンクリート製の箱状のものを上下に組み合わせ、接着面2で結合したものである。このマンホールには、外部との出入口1とダクト口3とがあいており、それぞれにはレジンコンクリートの打継のための粗砂が撒かれてある。なお、このマンホールのレジンコンクリートに用いられるポリマーは、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等である。なお、図示を省略しているが、マンホールの内部には、ケーブルの引き込みと撤去に使用するウィンチを取り付ける金具や、ケーブルを収容する架台取り付けボルト等が設置されている。
このマンホールの劣化状況の診断は、例えば、図2に示す分析装置23により行われる。この分析装置23は、例えば、図1に示すマンホールの内部に設置され、レジンコンクリートの内壁の診断対象となる部分(被検体6)にテラヘルツ波を照射し(図3のS1)、この被検体6から戻されてくる(反射されてくる)テラヘルツ波を受け取り(S2)、戻されてきたテラヘルツ波の分光分析のスペクトルのデータを解析すること(S3)で、劣化状況を診断する。例えば、分析装置23は、スペクトルのデータにおける所定の周波数帯域に現れる吸収ピークに基づいて、劣化状況を診断する。このように分析装置23は、構造物から反射されるテラヘルツ波により劣化状況を診断するので、非破壊で構造物の内部を含む劣化状況を診断することができる。
分析装置23は、載置部7と、照射部8と、検出部9と、計算・制御部10と、移動機構11と、冷却部12と、チャンバ16と、温度計22と、反射鏡25a,25bおよび反射鏡26a,26b,26cを有する反射ユニット24とを備える。
載置部7は、チャンバ16が設置され、移動機構11により垂直方向および水平方向に移動される。また、載置部7には、被検体6へテラヘルツ波を照射し、当該被検体6から反射されるテラヘルツ波を受けとる反射ユニット24が設置される。照射部8は、光源13とパルス発生部14とを備え、光源13から照射された光をパルス発生部14によりテラヘルツ波に変換する。変換されたテラヘルツ波は、反射ユニット24の反射鏡25b,25aおよび反射鏡26aにより被検体6へ照射される。検出部9は、被検体6から反射されたテラヘルツ波を、反射ユニット24の反射鏡26aおよび反射鏡26c,26bを通して受ける。テラヘルツ波の検出結果は計算・制御部10へ出力される。
計算・制御部10は、検出部9、移動機構11、冷却部12、パルス発生部14、温度計22の制御や各部から出力されたデータを分析する。例えば、計算・制御部10は、パルス発生部14にテラヘルツ波の照射を指示する。このとき、計算・制御部10は、温度計22から得られたチャンバ16内の温度に基づき、冷却部12により、チャンバ16内の温度を調整する。これにより、例えば、チャンバ16内の被検体6について当該被検体6から反射されるテラヘルツ波のスペクトルの分光分析をしやすい温度に調整できる。そして、検出部9により、被検体6から反射されたテラヘルツ波を受けとると、このテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータに基づく解析を行う。例えば、計算・制御部10は、テラヘルツ波が照射された被検体6から反射されたテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータから、当該被検体6においてどの周波数のテラヘルツ波がどの程度吸収されたかを計算する。そして、計算・制御部10は、計算したテラヘルツ波の所定の周波数帯域に現れる吸収ピーク(テラヘルツ波の吸収の度合いをつないだ山形の線)の変化から、被検体6の劣化状況の診断を行う。
移動機構11は、計算・制御部10からの制御に基づき、面内移動機構19、昇降機構20、および、駆動部21を動作させ、載置部7を垂直方向および水平方向に移動させる。冷却部12は、計算・制御部10からの制御に基づき、チャンバ16内の温度調整を行う。チャンバ16は、被検体6を覆うものであり、冷却部12からの温度調整を受ける。反射ユニット24は、反射鏡25a,25bおよび反射鏡26a,26b,26cを備え、これらにより、パルス発生部14からのテラヘルツ波を被検体6へ照射し、被検体6から反射されるテラヘルツ波を検出部9へ受け渡す。
このような分析装置23により、被検体6にテラヘルツ波を照射し、この被検体6から反射されるテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータを解析することにより、被検体6の内部を含む劣化状況を診断することができる。
つまり、一般に、ポリマーの劣化による生成物が増えると、テラヘルツ波の吸収の度合いに変化が生じる。例えば、図4に示すテラヘルツ波の分光分析のスペクトルに示すように、劣化した状態のレジンコンクリートのテラヘルツ波の吸収の度合いは、劣化していない状態のレジンコンクリートのテラヘルツ波に比べて増加する。したがって、分析装置23は、被検体6から反射されるテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータに基づき、テラヘルツ波の所定の周波数帯域に現れる吸収の度合いが、劣化していない状態に比べて増加しているとき、レジンコンクリートのポリマーに劣化が生じていると診断する。
また、レジンコンクリートの劣化により、骨材とポリマーとの間または骨材内部に生じた間隙に水分が含まれた場合も、テラヘルツ波の吸収の度合いに変化が生じる。例えば、骨材とポリマーとの間に水分が含まれた場合、テラヘルツ波の2.5THz以上の周波数帯域に吸収ピークが現れる。したがって、分析装置23は、被検体6から反射されたテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータに基づき、2.5THz以上の周波数帯域に吸収ピークがあれば、レジンコンクリートの骨材とポリマーとの間に水分が含まれることにより劣化が生じていると診断する。
また、テラヘルツ波の吸収ピークの高さまたは吸収ピーク部分の面積と、レジンコンクリートの物質濃度とは相関があることが知られている。したがって、例えば、分析装置23は、吸収ピークの高さに基づいて被検体6の内部を含む劣化の度合いを診断したり、その吸収ピーク部分の面積に基づいて分析対象の内部を含む劣化の度合いを診断したりすることも可能である。
(効果)
従来の赤外分光やマススペクトル等を用いた診断手法では、切り出したサンプルを細かく粉砕して溶媒に分散させたり、粉末化したサンプルを錠剤状に成形したりして診断する必要があった。しかし、本実施形態の分析装置23は、診断対象の構造物から反射されるテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータを用いるので、構造物を非破壊で定量的に診断することができる。
また、通常、地下に設置される着色した製品の検査には、赤外スペクトルが用いられるが、レジンコンクリートに関しては十分なスペクトルが得られない。しかし、本実施形態の分析装置23のようにテラヘルツ波を用いることにより、地下に設置されるレジンコンクリート製の構造物についてもスペクトルを得ることができる。その結果、マンホール等、地下に設置されるレジンコンクリート製の構造物の劣化状況を診断することができる。
(その他の実施形態)
なお、マンホール等の構造物の劣化により剥離した切片等が得られたとき、これを被検体6として用いて、図5に示すような透過型の分析装置15により、構造物の劣化状況の診断を行うようにしてもよい。前記した分析装置23と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。
この分析装置15は、被検体6にテラヘルツ波を照射し、この被検体6を透過するテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータを解析することで、構造物の劣化状況を診断する。
この分析装置15の照射部8は、例えば、チャンバ16の上部に設置され、検出部9はチャンバ16の下部に設置される。そして、照射部8からのテラヘルツ波はレンズ17により集光されてチャンバ16内の被検体6に照射される。そして、この被検体6を透過したテラヘルツ波はレンズ18を通して、検出部9で受ける。そして、計算・制御部10は、この被検体6へ照射したテラヘルツ波のうち、透過してきたテラヘルツ波の分光分析のスペクトルデータの解析を行う。例えば、前記した分析装置23の計算・制御部10と同様に、被検体6において、どの周波数のテラヘルツ波がどの程度吸収されたかを計算する。そして、計算・制御部10は、計算したテラヘルツ波の所定の周波数帯域に現れる吸収ピーク(テラヘルツ波の吸収の度合いをつないだ山形の線)に基づき、被検体6の劣化状況の診断を行う。このような分析装置15によれば、構造物の劣化状況や劣化の原因等について詳細な診断を行うことができる。
6 被検体
7 載置部
8 照射部
9 検出部
10 計算・制御部
11 移動機構
12 冷却部
13 光源
14 パルス発生部
15,23 分析装置
16 チャンバ
17,18 レンズ
19 面内移動機構
20 昇降機構
21 駆動部
24 反射ユニット

Claims (4)

  1. レジンコンクリート製の構造物にテラヘルツ波を照射するステップと、
    前記照射により得られたテラヘルツ波の分光分析のスペクトルのデータの解析の結果から前記構造物の劣化状況を診断するステップと、
    を含んだことを特徴とするレジンコンクリート製の構造物の診断方法。
  2. 前記構造物の劣化状況を診断するステップにおいて、
    前記照射により得られたテラヘルツ波のスペクトルのデータの解析の結果から得られる前記テラヘルツ波の吸収ピークに基づき前記構造物の劣化状況を診断すること
    を特徴とする請求項1に記載のレジンコンクリート製の構造物の診断方法。
  3. 前記構造物の劣化状況を診断するステップにおいて、
    前記テラヘルツ波の吸収ピークが2.5THz以上の周波数帯域で現れたとき、前記構造物における骨材とポリマーとの間に水分が含まれると診断すること
    を特徴とする請求項2に記載のレジンコンクリート製の構造物の診断方法。
  4. 前記照射により得られたテラヘルツ波は、前記構造物に対し反射位で受けとったテラヘルツ波であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレジンコンクリート製の構造物の診断方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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