JP2013213687A - シーラント検査方法、シーラント検査装置および航空機部材 - Google Patents

シーラント検査方法、シーラント検査装置および航空機部材 Download PDF

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智生 滝沢
Hiroaki Yamaguchi
弘晃 山口
Hideo Yamakoshi
英男 山越
Yuichiro Kamino
祐一郎 神納
Seiji Nishizawa
誠治 西澤
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Abstract

【課題】航空機部材のシール部の状態を非破壊検査することができるシーラント検査方法、シーラント検査装置および航空機部材を提供する。
【解決手段】シーラントによって航空機部材をシールした部位であるシール部を検査するシーラント検査方法において、レーザを照射するレーザ照射工程S2と、照射されるレーザによってテラヘルツ電磁波を発生させ、発生させたテラヘルツ電磁波を照射波としてシール部へ照射する電磁波照射工程S3と、レーザ照射工程S2において照射されたレーザを分離し遅延させるレーザ遅延工程S4と、遅延させたレーザを検出するレーザ検出工程S5と、シール部からの反射波を検出する反射波検出工程S6と、検出した反射波およびレーザに基づいて、反射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出する波形データ導出工程S7と、導出された時間特性波形データに基づいて、シール部の状態を推定するシール部状態推定工程S8と、を備えた。
【選択図】図5

Description

本発明は、シーラントによって航空機部材をシールした部位であるシール部を検査するシーラント検査方法、シーラント検査装置および航空機部材に関するものである。
航空機の燃料タンクでは、2つ以上の航空機部材の接合面、および航空機部材と航空機部材を締結するためのファスナおよびカラーからなる締結部材との接合面の周囲をシールするため、シーラントが用いられている。このシーラントによるシールは、当該接合面からの燃料漏れ、航空機への被雷による大電流が当該接合部を通過した際に発生する可能性のあるスパークの封じ込め(これは燃料タンク内の燃料爆発防止のための耐雷対策が目的)、当該接合部への水分の浸透を防ぐ腐食防止の3つの目的を持っている。このとき、シーラントの厚さが不足したり、シーラント内に気泡(ボイド)やクラックがあると、上記の目的に対する性能が落ちるため、これらが無く健全であることが必要である。特に近年、航空法上の規制が厳しくなった耐雷の目的では、当該対策の製造ばらつきや経年劣化等を厳しく管理し、健全な状態を確保する必要がある。従来、このような航空機の燃料タンクのシール部の検査方法として、航空機の燃料タンクからの燃料漏れを検出する燃料漏れ位置の検出方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。燃料漏れは、主翼の外板の継合せ目のシール部に生ずることが多い。燃料漏れ位置の検出方法では、燃料タンクの外壁に発生した燃料漏れ部位を含むように封止空間を形成し、封止空間に流体を加圧流入させ、燃料タンク内部に流出する流体をたどることで、燃料漏れ位置を検出している。
特開平7−286930号公報
しかしながら、従来の燃料漏れ位置の検出方法では、すでに燃料漏れが発生している場合でなければ、燃料漏れ位置を検出することができない。ここで、燃料タンクからの燃料漏れの発生は好ましくないことから、燃料タンクからの燃料漏れが発生する前に、シール部が正常状態であるか異常状態であるかを検査することが好ましい。また、前記耐雷対策、前記腐食防止対策では、製造段階あるいは保守点検時にシール部にシーラントが所定以上の厚さで気泡(ボイド)やクラックなしに形成されていることを確認する非破壊の検査方法が必要である。
そこで、本発明は、航空機部材のシール部の状態を非破壊検査することができるシーラント検査方法、シーラント検査装置および航空機部材を提供することを課題とする。
本発明のシーラント検査方法は、シーラントによって航空機部材をシールした部位であるシール部を検査するシーラント検査方法において、パルス状のテラヘルツ電磁波を照射波としてシール部へ照射する電磁波照射工程と、シール部からの照射波を入射波として検出する入射波検出工程と、検出した入射波に基づいて、照射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出する波形データ導出工程と、導出された時間特性波形データに基づいて、シール部の状態を推定するシール部状態推定工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、シール部に照射波を照射して、時間特性波形データを導出し、導出した時間特性波形データに基づいて、シール部の状態を推定することができる。このため、シール部を破壊することなく、シール部の状態を把握することができる。これにより、シール部の正常状態または異常状態を判定することができるため、異常状態のシール部に対し適切な処理を施すことが可能となる。なお、シール部の状態としては、例えば、シーラントの厚さ、シーラントに含まれる気泡の有無、または気泡の大きさ等がある。また、シール部からの照射波としては、シール部を透過した照射波である透過波、またはシール部から反射された照射波である反射波等がある。
この場合、電磁波照射工程前に、レーザを照射して、テラヘルツ電磁波を発生させるレーザ照射工程と、レーザ照射工程において照射されたレーザを分離し遅延させるレーザ遅延工程と、遅延させたレーザを検出するレーザ検出工程と、をさらに備え、波形データ導出工程では、検出した入射波とレーザに基づいて、時間特性波形データを導出することが好ましい。
この構成によれば、検出した入射波とレーザに基づいて、時間特性波形データを精度良く導出することができる。
この場合、入射波検出工程では、シール部から反射された照射波である反射波を、入射波として検出することが好ましい。
この構成によれば、シール部から反射された反射波によって、シール部の状態を推定することができる。このため、航空機部材上にシール部が設けられ、航空機部材が照射波を反射する金属等で構成されている場合であっても、シール部の状態を精度良く推定することができる。
この場合、時間特性波形データは、シーラントによって照射波が反射されることで表れる第1ピークと、シール部に含まれる気泡によって照射波が反射されることで表れる第2ピークとを含み、シール部状態推定工程では、第2ピークと第1ピークとの時間差分Δτおよびシーラント中における照射波の伝播速度C’を、所定の算出式に代入して解くことにより、シーラントの厚さLmを導出し、所定の算出式は、「Lm=Δτ・(C’/2)」で与えられることが好ましい。
この構成によれば、シーラントの厚さを導出することができるため、導出したシーラントの厚さが、予め規定された規定厚さ以上であれば、シール部が正常状態であると判定することができ、一方で、規定厚さよりも小さければ、シール部が異常状態であると判定することができる。
この場合、時間特性波形データは、シール部に含まれる気泡によって照射波が反射されることで表れる第2ピークと、航空機部材によって照射波が反射されることで表れる第3ピークとを含み、シール部状態推定工程では、第3ピークと第2ピークとの時間差分Δτおよび空気中における照射波の伝播速度Cを、所定の算出式に代入して解くことにより、気泡の大きさLvを導出し、所定の算出式は、「Lv=Δτ・(C/2)」で与えられることが好ましい。
この構成によれば、気泡(ボイド)の大きさを導出することができるため、シール部のより詳細な状態を把握することができる。
この場合、シール部状態推定工程では、導出された時間特性波形データをフーリエ変換することで、時間特性波形データに関する周波数特性データを導出し、導出された周波数特性データに含まれるシーラントに依存する特徴量に基づいて、シール部の状態を推定することが好ましい。
この構成によれば、時間特性波形データに各種ピークが発生しない場合であっても、周波数特性データに含まれるシーラントに依存する特徴量から、シール部の状態を推定することができるため、シール部を破壊することなく、シール部の状態を把握することができる。
この場合、特徴量は、シーラントの厚さに依存する特定の周波数における電磁波強度の吸収率であり、吸収率とシーラントの厚さとを対応付けた換算グラフが予め用意され、シール部状態推定工程では、導出された周波数特性データの特定の周波数における電磁波強度の吸収率に基づいて、換算グラフからシーラントの厚さを導出することが好ましい。
この構成によれば、周波数特性データの特定の周波数における電磁波強度の吸収率に基づいて、換算グラフからシーラントの厚さを導出することができる。これにより、導出したシーラントの厚さが、予め規定された規定厚さ以上であれば、シール部が正常状態であると判定することができ、一方で、規定厚さよりも小さければ、シール部が異常状態であると判定することができる。
この場合、シーラントの厚さに依存する特定の周波数における電磁波強度の吸収率とシーラントの厚さと対応付けた換算グラフが予め用意され、電磁波照射工程では、特定の周波数となる電磁波を照射波としてシール部へ照射し、シール部状態推定工程では、導出された時間特性波形データから得られる照射波の電磁波強度の吸収率に基づいて、換算グラフからシーラントの厚さを導出することが好ましい。
この構成によれば、特定の周波数となる電磁波を照射波としてシール部へ照射し、時間特性波形データから得られる照射波の電磁波強度の吸収率に基づいて、換算グラフからシーラントの厚さを導出することができる。これにより、導出したシーラントの厚さが、予め規定された規定厚さ以上であれば、シール部が正常状態であると判定することができ、一方で、規定厚さよりも小さければ、シール部が異常状態であると判定することができる。また、時間特性波形データをフーリエ変換することなく、シーラントの厚さを導出できることから、シール部の状態を迅速に推定することができる。
この場合、シール部状態推定工程では、シーラントの厚さLm、シーラント中における照射波の伝播速度C’、空気中における照射波の伝播速度C、およびシーラントと航空機部材との間を伝播する照射波の伝播時間Δτを、所定の算出式に代入して解くことにより、気泡の大きさLvを導出し、所定の算出式は、「Δτ=(Lv×2)/C+(Lm×2)/C’」で与えられることが好ましい。
この構成によれば、気泡の大きさを導出することができるため、シール部のより詳細な状態を把握することができる。
この場合、正常状態となるシール部から得られる基準時間特性波形データが用意され、シール部状態推定工程では、導出された時間特性波形データと基準時間特性波形データとを比較し、比較結果に基づいて、シール部が正常状態であるか否かを判定することが好ましい。
この構成によれば、導出された時間特性波形データと基準時間特性波形データとを比較することで、シール部を破壊することなく、シール部が正常状態であるか否かを判定することができる。
この場合、正常状態となるシール部から得られる基準時間特性波形データをフーリエ変換した基準周波数特性データが用意され、シール部状態推定工程では、導出された時間特性波形データをフーリエ変換することで、時間特性波形データに関する周波数特性データを導出し、導出された周波数特性データと基準周波数特性データとを比較し、比較結果に基づいて、シール部が正常状態であるか否かを判定することが好ましい。
この構成によれば、時間特性波形データに各種ピークが発生しない場合であっても、導出された周波数特性データに含まれるシーラントに依存する特徴量と、基準周波数特性データに含まれるシーラントに依存する特徴量とを比較することにより、シール部を破壊することなく、シール部が正常状態であるか否かを判定することができる。
本発明のシーラント検査装置は、シーラントによって航空機部材をシールした部位であるシール部を検査するシーラント検査装置において、レーザを照射可能な光源と、光源から照射されるレーザによってテラヘルツ電磁波を発生させ、発生させたテラヘルツ電磁波を照射波としてシール部へ照射可能な照射部と、シール部からの照射波を入射波として検出する検出部と、光源から照射されたレーザを分離し遅延させて検出部に入射させる遅延部と、検出部に入射した入射波およびレーザの検出結果を取得する処理部と、を備え、処理部は、取得した入射波およびレーザの検出結果に基づいて、照射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出し、導出された時間特性波形データに基づいて、シール部の状態を推定することを特徴とする。
この構成によれば、照射部からシール部に照射波を照射して、処理部により時間特性波形データを導出し、導出した時間特性波形データに基づいてシール部の状態を推定することができる。このため、シール部を破壊することなく、シール部の状態を把握することができる。これにより、シール部の正常状態または異常状態を判定することができるため、異常状態のシール部に対し適切な処理を施すことが可能となる。
この場合、移動可能な検査ヘッドをさらに備え、照射部および検出部は、検査ヘッドに設けられていることが好ましい。
この構成によれば、検査ヘッドを移動させることで、照射部および検出部を所定の場所に位置させることができるため、作業者にとって使い易いものとすることができ、作業性を向上させることができる。
この場合、照射部は、シール部に密接した状態で照射波を照射することが好ましい。
この構成によれば、照射部とシール部との間に空気を介在させることなく、照射波をシール部に照射することができるため、空気によって照射波に与えられる影響を抑制することができ、検出精度の低下を抑制することができる。
この場合、照射部とシール部との間に設けられ、照射波が伝播可能な媒質をさらに備えたことが好ましい。
この構成によれば、媒質により照射部とシール部との間に空気を介在させることなく、照射波をシール部に照射することができるため、空気によって照射波に与えられる影響を抑制することができ、検出精度の低下を抑制することができる。
この場合、照射部とシール部との間の距離を所定の距離に保つための治具をさらに備えたことが好ましい。
この構成によれば、治具により照射部とシール部との間の距離を所定の距離に保つことができるため、照射部からシール部に至る光路を一定の距離とすることができる。このため、光路の変化によって与えられる影響を抑制することができ、検出精度の低下を抑制することができる。
この場合、航空機部材は、重なり合う第1被締結部材および第2被締結部材を締結するファスナおよびカラーであり、シール部は、ファスナおよびカラーをシーラントによって覆うことで構成されていることが好ましい。
この構成によれば、シーラントにより覆われたファスナおよびカラーをシール部として検査をすることができる。
この場合、航空機部材は、重なり合う第1被締結部材および第2被締結部材であり、シール部は、第1被締結部材と第2被締結部材との間にシーラントが埋められることで構成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1被締結部材と第2被締結部材との間に埋められたシーラントをシール部として検査することができる。
本発明の航空機部材は、シーラントによってシールされ、上記のシーラント検査方法によって検査されたことを特徴とする。
この構成によれば、シーラントによってシールされた健全な航空機部材を提供することができる。
本発明のシーラント検査方法、シーラント検査装置および航空機部材によれば、航空機部材のシール部の状態を非破壊検査により把握することができるため、シール部の正常状態または異常状態を判定することができ、異常状態のシール部に対し適切な処理を施すことが可能となる。
図1は、実施例1に係るシーラント検査装置の検査対象となるシール部の一例を示す模式図である。 図2は、実施例1に係るシーラント検査装置の検査対象となるシール部の一例を示す模式図である。 図3は、実施例1に係るシーラント検査装置を模式的に表した概略構成図である。 図4は、時間特性波形データの導出に関する説明図である。 図5は、シーラント検査方法に関するフローチャートである。 図6は、準備工程に用いられる試料部材の模式図である。 図7は、試料部材から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。 図8は、試料部材から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。 図9は、伝播時間に応じて変化するシーラントの厚みに関するグラフである。 図10は、実施例1に係るシーラント検査方法においてシール部から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。 図11は、試料部材から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。 図12は、時間特性波形データをフーリエ変換した周波数特性データの一例のグラフである。 図13は、準備工程において導出される換算グラフである。 図14は、実施例3に係るシーラント検査方法において正常状態のシール部から得られる時間特性波形データの一例のグラフである。 図15は、実施例3に係るシーラント検査方法において異常状態のシール部から得られる時間特性波形データの一例のグラフである。 図16は、実施例4に係るシーラント検査方法において正常状態のシール部から得られる周波数特性データの一例のグラフである。 図17は、実施例4に係るシーラント検査方法において異常状態のシール部から得られる周波数特性データの一例のグラフである。 図18は、シーラント検査方法においてシール部を透過させた透過波を検出する場合の模式図である。 図19は、変形例1に係るシーラント検査装置を模式的に表した概略構成図である。 図20は、照射部を密接させた状態で照射波を照射するシーラント検査装置を示す説明図である。 図21は、媒質を介在させた状態で照射波を照射するシーラント検査装置を示す説明図である。 図22は、照射部を治具に取り付けた状態で照射波を照射するシーラント検査装置を示す説明図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明のシーラント検査方法、シーラント検査装置および航空機部材について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
本実施例に係るシーラント検査方法およびシーラント検査装置は、シーラントによって航空機部材をシールした部位であるシール部を検査するものである。先ず、図1および図2を参照して、シーラント検査方法およびシーラント検査装置の検査対象となるシール部について説明する。
図1は、実施例1に係るシーラント検査装置の検査対象となるシール部の一例を示す模式図である。図2は、実施例1に係るシーラント検査装置の検査対象となるシール部の一例を示す模式図である。図1および図2に示すように、シール部1は、例えば、航空機の主翼に設けられた燃料タンクの内側に形成される、いわゆるタンクシーラントである。タンクシーラント1は、図1に示すファスナシール1Aおよび図2に示すフィレットシール1Bがある。
図1を参照し、ファスナシール1A周りの構成について説明する。燃料タンクの内側に位置する第1被締結部材5と、第1被締結部材5に重ね合わされた燃料タンクの外側に位置する第2被締結部材6とは、ファスナ7およびカラー8からなる締結部材によって締結されている。第1被締結部材5および第2被締結部材6には、ファスナ7が挿入される締結孔がそれぞれ貫通形成されている。ファスナ7は、燃料タンクの外側から内側へ向けて締結孔に挿通され、ワッシャ9を介してカラー8と締結されることにより、第1被締結部材5および第2被締結部材6が締結される。そして、ファスナシール1Aは、ファスナ7、カラー8およびワッシャ9をシーラント10により被覆することで構成されている。つまり、ファスナシール1Aにおいて、シーラント10によりシールされる航空機部材は、ファスナ7、カラー8およびワッシャ9となっている。
シーラント10は、キャップ部10aと、充填部10bと、縁部10cとから構成されている。キャップ部10aは、シーラント10を固化させることにより形成され、その内部にカラー8を内包可能な中空空間が形成されている。充填部10bは、キャップ部10aの中空空間に、固化前のシーラント10を充填させることで構成されている。縁部10cは、キャップ部10aと第1被締結部材5との継目にシーラント10が埋められることで構成されている。
ファスナ7、カラー8およびワッシャ9をシーラント10により覆う場合、先ず、中空空間にシーラント10が充填されたキャップ部10aをカラー8に被せる。その後、キャップ部10aの内部から漏れ出たシーラント10の一部が、キャップ部10aと第1被締結部材5との継目に埋められる。これにより、ファスナ7、カラー8およびワッシャ9をシーラント10で覆うことにより、ファスナシール1Aが形成される。なお、ファスナシール1Aは、ワッシャ9を省いた構成であってもよい。
次に、図2を参照し、フィレットシール1B周りの構成について説明する。フィレットシール1Bは、燃料タンクの内側に位置する第1被締結部材5と、第1被締結部材5に重ね合わされた燃料タンクの外側に位置する第2被締結部材6との間の継目にシーラント10が埋められることで構成されている。つまり、フィレットシール1Bにおいて、シーラント10によりシールされる航空機部材は、第1被締結部材5および第2被締結部材6となっている。これにより、第1被締結部材5と第2被締結部材6との継目をシーラント10で埋めることにより、フィレットシール1Bが形成される。
上記のように形成されたファスナシール1Aおよびフィレットシール1Bの内部には、気泡(ボイド)が生じる場合がある。ファスナシール1Aにおいて、気泡は、例えば、カラー8の外周面に発生する気泡V1と、カラー8とワッシャ9との継目に発生する気泡V2と、ワッシャ9と第1被締結部材5との継目に発生する気泡V3とがある。また、フィレットシール1Bにおいて、気泡は、例えば、第1被締結部材5と第2被締結部材6との継目に発生する気泡V4がある。気泡V1,V2,V3,V4が発生すると、シーラント10が欠損することから、シーラント10の厚さが、耐雷性能等を満足するシール性を確保するために必要な規定厚さを満たさない場合が生じる。このため、シーラント検査装置を用いてシール部1を検査し、シーラント10の厚さを検査したり、気泡の大きさを検査したり、気泡の有無を検査したりすることで、シール部1が正常状態であるか否かを判定している。
次に、シール部1を検査するシーラント検査装置について説明する。図3は、実施例1に係るシーラント検査装置を模式的に表した概略構成図である。実施例1のシーラント検査装置20は、シール部1へ照射波を照射すると共に、シール部1から反射された反射波を入射波として検出し、反射波の検出結果に基づいて、シール部1の状態を推定する構成となっている。図3に示すように、シーラント検査装置20は、光源21と、照射部22と、検出部23と、遅延部24と、制御部25と、処理部26とを備えている。
光源21は、パルス幅がフェムト秒となるパルスレーザであるフェムト秒レーザ(以下、単にレーザという)を出射可能なフェムト秒レーザ発振器であり、例えば、50MHz〜100MHzの周期で、パルス幅が10fs〜100fsのレーザ光を発振している。
照射部22は、光源21から出射されたレーザにより、テラヘルツ電磁波を発生させ、発生させたテラヘルツ電磁波を照射波として、検査対象となるシール部1へ向けて照射している。照射部22は、レーザが入射する光伝導アンテナ31と、光伝導アンテナ31から照射された照射波を集光する集光レンズ32とを有している。光伝導アンテナ31は、制御部25に接続され、制御部25からバイアス電圧が印加されている。光伝導アンテナ31は、バイアス電圧が印加された状態で、レーザが入射すると、パルス状のテラヘルツ電磁波となる照射波を出射する。集光レンズ32は、光伝導アンテナ31から出射された照射波を集光し、集光した照射波をシール部1の所定の照射位置に照射している。なお、照射光の集光には、集光レンズ32の代わりにあるいはこれと組み合わせて放物面鏡等の反射鏡を用いてもよい。
遅延部24は、光源21から照射されたレーザを分離し適宜遅延させて、検出部23に入射させている。遅延部24は、ビームスプリッタ41と、移動ミラー42と、反射ミラー43と、ミラー駆動部44とを有している。ビームスプリッタ41は、光源21と照射部22との間の光路に介設されており、光源21からのレーザを、照射部22へ向かうレーザと、移動ミラー42へ向かうレーザに分離する。移動ミラー42は、入射したレーザの光路長をミラー駆動部44により変位させることにより、分離後のレーザの検出部23への入射時間を変化させている。つまり、ミラー駆動部44は、光路長が長くなるように移動ミラー42を移動させることで、検出部23への入射時間を遅延させている。反射ミラー43は、移動ミラー42を通過したレーザを検出部23に入射させている。
検出部23は、シール部1によって反射された照射波である反射波(入射波)を検出している。検出部23は、反射波を集光する集光レンズ35と、集光した反射波を受光する受光部36とを有している。受光部36は、シール部1からの反射波が入射され、上記レーザが遅延部24から入射されると、その入射時間における反射波の強度(電磁波強度)に対応する電気信号を制御部25に出力する。なお、反射波の集光にも、集光レンズ35の代わりに、放物面鏡等の反射鏡を用いてもよい。
制御部25は、照射部22の光伝導アンテナ31、検出部23の受光部36および遅延部24のミラー駆動部44等に接続され、各部の駆動を制御する。また、制御部25は、検出部23から出力された、レーザ光の入射時間における反射波の電磁波強度に対応する電気信号を処理部26へ向けて出力する。
処理部26は、制御部25から出力された、反射波の電磁波強度に対応する電気信号を取得し、取得した電気信号に基づいて、反射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出する波形データ導出処理を実行する。以下、図4を参照して、処理部26による波形データ導出処理について説明する。
図4は、時間特性波形データの導出に関する説明図である。制御部25は、検出部23へのレーザの入射時間が所定の基準入射時間tとなるように、ミラー駆動部44を制御して、移動ミラー42を所定の位置に移動させる。処理部26は、基準時間tにおける反射波の電磁波強度を取得する。この後、制御部25は、入射時間が遅延時間Δt分だけ遅れるように、光路長が長くなる方向へ移動ミラー42を移動させる。処理部26は、基準時間tから遅延時間Δt分だけ遅れた時間における反射波の電磁波強度を取得する。そして、制御部25は、遅延時間Δtを順次増加させていき、処理部25は、遅延時間Δt分だけ遅れた時間における反射波の電磁波強度を順次取得する。この後、処理部26は、取得した複数の電磁波強度から、反射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出する。そして、処理部26は、導出された時間特性波形データに基づいて、シール部1の状態を推定している。
次に、図5を参照して、上記のように構成されたシーラント検査装置20を用いてシール部1を検査するシーラント検査方法について説明する。図5は、シーラント検査方法に関するフローチャートである。なお、図5に示すシーラント検査方法に関するフローチャートは、後述する実施例2から4においても適用される。
実施例1のシーラント検査方法は、シール部1の状態として、シール部1におけるシーラント10の厚さおよび気泡の大きさを導出している。シーラント検査方法は、準備工程S1と、レーザ照射工程S2と、電磁波照射工程S3と、レーザ遅延工程S4と、レーザ検出工程S5と、反射波検出工程(入射波検出工程)S6と、波形データ導出工程S7と、シール部状態推定工程S8と、繰り返し工程S9とを備えている。
先ず、図6から図9を参照し、準備工程S1について説明する。図6は、準備工程に用いられる試料部材の模式図である。図7は、試料部材から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。図8は、試料部材から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。図9は、伝播時間に応じて変化するシーラントの厚みに関するグラフである。
準備工程S1は、シーラント10中における照射波の伝播速度C’を予め導出する工程である。図6に示すように、準備工程S1では、アルミ板50にシーラント10が塗布された試料部材M0〜M3が、シーラント10の厚みを異ならせて複数用意されている。試料部材M0は、厚みがゼロであるシーラント10をアルミ板50に塗布したもの、つまり、アルミ板50のみの試料部材である。試料部材M1は、厚みが薄いシーラント10をアルミ板50に塗布したものである。試料部材M3は、厚みが厚いシーラント10をアルミ板50に塗布したものである。試料部材M2は、試料部材M1と試料部材M3との間の厚みとなるシーラント10をアルミ板50に塗布したものである。
準備工程S1では、試料部材M0を検査対象として、照射部22から照射波を照射すると共に、検出部23によって試料部材M0からの反射波による信号および遅延部24からのレーザによる信号を検出する。処理部26は、検出部23により検出された信号に基づいて、波形データ導出処理を実行することにより、図7に示す時間特性波形データL1を取得する。図7の時間特性波形データL1は、照射波がアルミ板50の表面によって全反射されたときのデータとなり、アルミ板50の表面において照射波が全反射することで出現するピークの時間を時間τとする。
また、準備工程S1では、試料部材M1〜M3を検査対象として、照射部22から照射波を照射すると共に、検出部23によって試料部材M1〜M3からの反射波による信号および遅延部24からのレーザによる信号をそれぞれ検出する。処理部26は、検出部23により検出された信号に基づいて、波形データ導出処理を実行することにより、試料部材M1〜M3のそれぞれにおいて、図8の時間特性波形データL2を取得する。
図8に示す時間特性波形データL2は、照射波がシーラント10の表面およびアルミ板50の表面によって反射されたときのデータとなっている。ここで、アルミ板50の表面において照射波が反射することで出現するピークの時間を時間τとする。また、シーラント10中において照射波が伝播する伝播時間と、空気中において同じ距離を照射波が伝播する伝播時間との時間差分Δτは、下記する(1)式で表されることから、試料部材M1〜M3におけるシーラント10のそれぞれの厚さに応じた時間差分Δτを導出できる。(1)式は、「Δτ=τ−τ」である。
そして、図9に示すグラフでは、横軸をシーラント10の厚さLmとし、縦軸を時間差分Δτとして、試料部材M1〜M3のそれぞれのシーラント10の厚さに応じた時間差分Δτをプロットする。この後、試料部材M1〜M3のプロットを通るラインL3を導出する。導出されたラインL3は、シーラント10の厚さと時間差分Δτとの相関関係を表す一次関数のグラフ(関係式)となる。このラインL3からは、傾きが導出できる。ここで、シーラント10の厚さLmと時間差分Δτは、「2Lm/C’−2Lm/C=Δτ」の関係式で表され、ラインL3の傾きは、「傾き=2(1/C’−1/C)」で表されることから、傾きを導出できれば、シーラント10中における照射波の伝播速度C’を導出できる。
ここで、シーラント10の厚さLmと時間差分Δτとの相関関係を表す関係式について、図6を参照しながら説明する。照射部22からアルミ板50に至る照射距離は、空気中における照射距離Lairとシーラント10の厚さLmとを足し合わせた距離(Lair+Lm)である。このとき、試料部材M0に示すようにアルミ板50のみの構成である場合、照射波は、空気中における伝播速度Cで、距離(Lair+Lm)を往復することから、時間、速度および距離の関係式は、下記する(2)式で与えられる。(2)式は、「τ=2(Lair+Lm)/C」である。
一方で、試料部材M1〜M3に示すようにシーラント10の厚さを有する構成である場合、照射波は、空気中における伝播速度Cで距離Lairを往復し、シーラント10中における伝播速度C’で距離Lmを往復することから、時間、速度および距離の関係式は、下記する(3)式で与えられる。(3)式は、「τ=2Lair/C+2Lm/C’」である。
そして、(1)式に、(2)式および(3)式を代入して解くことにより、下記する(4)式が得られる。(4)式は、「Δτ=2(1/C’−1/C)・Lm」である。これにより、ラインL3の傾きは、「傾き=2(1/C’−1/C)」で導出される。
なお、実施例1では、準備工程S1において、試料部材M0を検査対象として、アルミ板50の表面において照射波が全反射することで出現するピークの時間τを用いて伝播速度C'を導出したが、シーラント10を塗布したアルミ板50のアルミ板表面からの反射波と、シーラント表面からの反射波の伝播時間の差分より求められるシーラント10中の伝播時間Δτ'を用いて、シーラント10中における照射波の伝播速度C'を導出してもよい。ここで、伝播時間Δτ'は、「Δτ'=2Lm/C'」で表されることから、図9に示すグラフのラインL3の傾きは、「傾き=2/C'」で表すことができ、傾きを導出できれば、シーラント10中における照射波の伝播速度C'を導出できる。
準備工程S1において、シーラント10中における照射波の伝播速度C’が導出されると、続いて、レーザ照射工程S2を実行する。なお、検査対象は、試料部材M0〜M3からシール部1へ変更される。レーザ照射工程S2では、光源21からフェムト秒レーザを照射する。この後、電磁波照射工程S3では、照射されたレーザが照射部22に入射することで、照射部22においてテラヘルツ電磁波を発生させ、発生させたテラヘルツ電磁波を照射波として、シール部1の所定の照射位置へ向けて照射する。
レーザ遅延工程S4では、光源21から照射されたレーザを分離し、分離したレーザの検出部23への入射時間を、遅延時間Δt分だけ遅延させ、遅延させたレーザを検出部23に入射させる。レーザ検出工程S5では、遅延するレーザの入射時間を検出する。
反射波検出工程S6では、シール部1から反射された反射波を検出部23により検出することで、レーザの入射時間におけるシール部1から反射された反射波の電磁波強度に対応する電気信号を検出する。この後、繰り返し工程S9において、遅延時間Δt分ずつ順次遅延させながら、レーザ遅延工程S4から反射波検出工程S6まで繰り返し実行し、所定のサンプリング数となるまで電気信号を検出する。
波形データ導出工程S7では、検出部23において検出された、レーザの入射時間における反射波の電磁波強度に対応する電気信号を処理部26において取得し、取得した電気信号に基づいて、反射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出する。
図10は、シール部から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。ここで、シール部1に気泡が含まれている場合、図10に示す時間特性波形データL4には、第1ピークP1と、第2ピークP2と、第3ピークP3とが出現する。第1ピークP1は、シーラント10の表面によって照射波が反射される(散乱する)ことで表れるピークであり、第1ピークP1が出現する時間を時間τとする。第2ピークP2は、気泡の表面によって照射波が反射される(散乱する)ことで表れるピークであり、第2ピークP2が出現する時間を時間τとする。第3ピークP3は、シール部1の航空機部材の表面によって照射波が反射される(散乱する)ことで表れるピークであり、第3ピークP3が出現する時間を時間τとする。
シール部状態推定工程S8では、処理部26において、導出した時間特性波形データL4に基づき、シール部1の状態として、シーラント10の厚さおよび気泡の大きさを導出する。具体的に、シール部状態推定工程S8では、シーラント10の厚さを導出する場合、時間特性波形データL4から得られる、第2ピークP2における時間τと第1ピークP1における時間τとの時間差分Δτと、シーラント10中における照射波の伝播速度C’とを、所定の算出式に代入して解くことにより、シーラント10の厚さLmを導出する。ここで、所定の算出式は、「Lm=Δτ・(C’/2)」で表される。
また、シール部状態推定工程S8では、気泡の大きさを導出する場合、時間特性波形データL4から得られる、第3ピークP3における時間τと第2ピークP2における時間τとの時間差分Δτと、空気中における照射波の伝播速度Cとを、所定の算出式に代入して解くことにより、気泡の大きさ(長さ)Lvを導出する。ここで、所定の算出式は、「Lv=Δτ・(C/2)」で表される。
このように、実施例1のシーラント検査方法では、レーザ照射工程S2から波形導出工程S7を実行することで、シール部1の所定の照射位置におけるシーラント10の厚さおよび気泡の大きさを導出することができる。そして、シーラント検査方法では、シール部1における所定の照射位置における照射波の照射角度を適宜変化させたり、または、シール部1における照射波の照射位置を適宜変えたりしながら、シーラント10の厚さLmが最小となる部位を探索する。つまり、処理部26は、計測されたシーラント10の厚さLmをメモリ等の記憶部に随時記録する。また、処理部26は、導出されたシーラント10の厚さLmが、予め規定された規定厚さ(基準値)以上であれば、シール部1が正常状態であると判定する一方で、規定厚さ(基準値)よりも小さければ、シール部1が異常状態であると判定する。そして、処理部26は、記録したシーラント10の厚さLmを比較し、最小となるシーラント10の厚さLmを導出して、最小となるシーラント10の厚さLmを記録する。処理部26は、導出された最小となるシーラント10の厚さLmが、予め設定された規定厚さ(基準値)を下回る場合は、その情報を記録する。このとき、処理部26は、シール部1が異常状態である場合、その旨を表示してもよく、また、最小となるシーラント10の厚さLmを表示してもよい。
以上のように、実施例1の構成によれば、シール部1に照射波を照射して、図10に示す時間特性波形データL4を導出し、導出した時間特性波形データL4に基づいてシール部1の状態を判定することができるため、シール部1を破壊することなく、シール部1の状態を把握することができる。これにより、判定されたシール部1の状態から、シール部1の正常状態または異常状態を判定することができるため、異常状態のシール部1に対し適切な処理を施すことが可能となる。
また、実施例1の構成によれば、シール部1から反射された反射波によって、シール部1の状態を判定することができる。このため、航空機部材上にシール部1が設けられ、航空機部材が照射波を反射する金属等で構成されている場合であっても、シール部1の状態を好適に判定することができる。
また、実施例1の構成によれば、シーラント10の厚さを導出することができるため、導出したシーラント10の厚さが、予め規定された規定厚さ以上であれば、シール部1が正常状態であると判定することができ、一方で、規定厚さよりも小さければ、シール部1が異常状態であると判定することができる。
また、実施例1の構成によれば、気泡の大きさを導出することができるため、シール部1のより詳細な状態を把握することができる。
次に、図5および図11から図13を参照して、実施例2に係るシーラント検査方法およびシーラント検査装置について説明する。なお、実施例2におけるシーラント検査装置は、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。また、実施例2におけるシーラント検査方法についても、説明を簡略化すべく、重複する部分について省略する。
実施例1に係るシーラント検査方法は、反射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データL4に基づいて、シーラント10の厚さLmおよび気泡の大きさLvを導出した。これは、図10に示す時間特性波形データL4に第2ピークP2が出現する場合において有用であるが、シーラント10に気泡が含まれる場合であっても第2ピークP2が出現しない場合がある。実施例2に係るシーラント検査方法は、導出された時間特性波形データに各種ピークが発生しない場合であっても、シール部1の状態を判定することが可能な検査方法である。実施例2に係るシーラント検査方法は、反射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データをフーリエ変換し、フーリエ変換後の周波数特性データに基づいて、シーラント10の厚さLmおよび気泡の大きさLvを導出している。以下、実施例2に係るシーラント検査方法について説明する。
図5に示すように、実施例2のシーラント検査方法は、準備工程S21と、レーザ照射工程S2と、電磁波照射工程S3と、レーザ遅延工程S4と、レーザ検出工程S5と、反射波検出工程(入射波検出工程)S6と、波形データ導出工程S7と、シール部状態推定工程S28と、繰り返し工程S9とを備えている。なお、レーザ照射工程S2から波形データ導出工程S7および繰り返し工程S9は、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。
図11から図13を参照し、準備工程S21について説明する。図11は、試料部材から反射される反射波の時間特性波形データの一例のグラフである。図12は、時間特性波形データをフーリエ変換した周波数特性データの一例のグラフである。図13は、準備工程において導出される換算グラフである。
準備工程S21は、シーラント10の厚さに依存する特定の周波数における電磁波強度の吸収量の割合である吸収率と、シーラント10の厚さLmとを対応付けた図13に示す換算グラフを予め導出する工程である。ここに、特定の周波数とは、1つの周波数でもよいし、広い範囲の周波数帯でもよい。準備工程S21では、実施例1と同様に、試料部材M0〜M3が、シーラント10の厚みを異ならせて複数用意されている。準備工程S21では、試料部材M0を検査対象として、照射部22から照射波を照射すると共に、検出部23によって試料部材M0からの反射波による信号および遅延部24からのレーザによる信号を検出する。処理部26は、検出部23により検出された信号に基づいて、波形データ導出処理を実行することにより、図7と同様の時間特性波形データL1を取得する。
また、準備工程S21では、試料部材M1〜M3を検査対象として、照射部22から照射波を照射すると共に、検出部23によって試料部材M1〜M3からの反射波による信号および遅延部24からのレーザによる信号をそれぞれ検出する。処理部26は、検出部23により検出された信号に基づいて、波形データ導出処理を実行することにより、試料部材M1〜M3のそれぞれにおいて、図11の時間特性波形データL5を取得する。
ここで、図11の時間特性波形データL5において、アルミ板50の表面において照射波が反射することで出現するピークの時間を時間τとする。また、シーラント10中において照射波が伝播する伝播時間と、空気中において同じ距離を照射波が伝播する伝播時間との時間差分Δτは、「Δτ=τ−τ」で表されることから、試料部材M1〜M3におけるシーラント10のそれぞれの厚さに応じた時間差分Δτを導出できる。
処理部26は、試料部材M1〜M3のそれぞれにおいて導出した時間特性波形データL5のフーリエ変換処理を実行する。処理部26は、フーリエ変換処理を実行すると、時間特性波形データL5の周波数特性を示す図12の周波数特性データL6を、試料部材M1〜M3のそれぞれにおいて導出する。この周波数特性データL6には、シーラント10の厚さに依存する特徴量が含まれている。特徴量は、特定の周波数における電磁波強度の吸収量である。そして、処理部26は、周波数特性データL6に含まれる特定の周波数における吸収量から、吸収量の割合となる吸収率を導出する。具体的に、処理部26は、図7に示す試料部材M0の時間特性波形データL1をフーリエ変換処理し、時間特性波形データL1の周波数特性を示す周波数特性データを導出する。このとき、試料部材M0は、アルミ板50のみで構成されていることから、シーラント10による電磁波強度の吸収量はゼロである。そして、処理部26は、時間特性波形データL1の周波数特性データにおける特定の周波数の電磁波強度を基準としたときの、時間特性波形データL5の周波数特性データL6における特定の周波数の電磁波強度の吸収量の割合から、吸収率を導出する。換言すれば、処理部26は、時間特性波形データL5の周波数特性データL6の電磁波強度を、時間特性波形データL1の周波数特性データの電磁波強度で割ることで、周波数特性データL6の電磁波強度を正規化する。
そして、図13示すグラフでは、横軸をシーラント10の厚さLmとし、縦軸を吸収率として、試料部材M1〜M3のそれぞれのシーラント10の厚さに応じた吸収率をプロットする。この後、試料部材M1〜M3のプロットを通るラインL7を導出する。導出されたラインL7は、シーラント10の厚さと吸収率との相関関係を表す一次関数の換算グラフとなる。このラインL7からは、傾きが導出できる。ここで、ラインL7の傾きは、「吸収率=傾き×2」で表される。
準備工程S21において、図13に示す換算グラフが導出されると、続いて、実施例1と同様に、レーザ照射工程S2から波形導出工程S7まで実行する。なお、検査対象は、試料部材M0〜M3からシール部1へ変更される。
そして、シール部状態推定工程S28では、波形データ導出工程S7において導出したシール部1の時間特性波形データを、処理部26によってフーリエ変換処理する。シール部状態推定工程S28では、フーリエ変換処理を実行して、シール部1の時間特性波形データの周波数特性データを導出すると、導出された周波数特性データに出現する吸収量から、吸収量の割合となる吸収率を導出する。このときも、処理部26は、導出された周波数特性データの電磁波強度を、時間特性波形データL1の周波数特性データの電磁波強度で割ることで、正規化することが好ましい。この後、シール部状態判定工程S28では、導出された吸収率に基づいて、準備工程S21で導出した図13の換算グラフからシーラント10の厚さLmを導出する。
また、シール部状態推定工程S28では、気泡の大きさを導出する場合、実施例1の準備工程S1と同様の工程を実行することにより、シーラント10中における照射波の伝播速度C’を導出する。そして、シール部状態推定工程S28では、シーラント10表面からの反射波と航空機部材表面からの反射波の伝播時間の差分Δτ''と、シーラント10中における照射波の伝播速度C’と、空気中における照射波の伝播速度Cと、シーラント10の厚さLmとを、所定の算出式に代入して解くことにより、気泡の大きさ(長さ)Lvを導出する。ここで、所定の算出式は、「Δτ''=(Lv×2)/C+(Lm×2)/C’」で表される。
このように、実施例2のシーラント検査方法では、レーザ照射工程S2から波形データ導出工程S7を実行することで、シール部1の所定の照射位置におけるシーラント10の厚さおよび気泡の大きさを導出することができる。この場合も、実施例1と同様に、シール部1における所定の照射位置における照射波の照射角度を適宜変化させたり、または、シール部1における照射波の照射位置を適宜変えたりしながら、シーラント10の厚さLmが最小となる部位を探索する。そして、探索(検査)したシーラント10の厚さが、予め規定された規定厚さ以上であれば、シール部1が正常状態であると判定する一方で、規定厚さよりも小さければ、シール部1が異常状態であると判定する。
以上のように、実施例2の構成によれば、時間特性波形データに各種ピークが発生しない場合であっても、周波数特性データに含まれるシーラント10の厚さに依存する吸収量から、シール部1の状態を判定することができるため、シール部1を破壊することなく、シール部1の状態を把握することができる。
また、実施例2の構成によれば、周波数特性データの特定の周波数における電磁波強度の吸収率に基づいて、図13に示す換算グラフからシーラント10の厚さを導出することができる。これにより、導出したシーラント10の厚さが、予め規定された規定厚さ以上であれば、シール部1が正常状態であると判定することができ、一方で、規定厚さよりも小さければ、シール部1が異常状態であると判定することができる。また、実施例1と同様に、気泡の大きさを導出することができるため、シール部1のより詳細な状態を把握することができる。
なお、実施例2では、電磁波照射工程S3において、照射部22からテラヘルツ電磁波を照射波としてシール部1に照射したが、照射部22から特定の周波数となる電磁波を照射波としてシール部1に照射してもよい。ここで、特定の周波数は、準備工程S21において照射波の電磁波強度が吸収される特定の周波数である。この構成によれば、シール部状態推定工程S28において、時間特性波形データをフーリエ変換する必要がない。すなわち、シール部状態推定工程S28では、図7に示す試料部材M0の時間特性波形データと、波形データ導出工程S7において導出した時間特性波形データとを比較することで、電磁波強度の吸収率を導出する。そして、シール部状態推定工程S28では、導出された吸収率に基づいて、準備工程S21で導出した図13の換算グラフからシーラントの厚さLmを導出する。
以上の構成によれば、時間特性波形データをフーリエ変換することなく、吸収率を導出して、図13の換算グラフからシーラント10の厚さLmを導出することができるため、シール部1におけるシーラント10の厚さLmを迅速に導出することができる。
また、実施例2では、検出部23によりシール部1から反射する反射波を検出して、時間特性波形データを導出したが、この構成に限らない。検出部23によりシール部1を透過した透過波を検出して、時間特性波形データを導出してもよい。
次に、図14および図15を参照して、実施例3に係るシーラント検査方法およびシーラント検査装置について説明する。図14は、実施例3に係るシーラント検査方法において正常状態のシール部から得られる時間特性波形データの一例のグラフである。図15は、実施例3に係るシーラント検査方法において異常状態のシール部から得られる時間特性波形データの一例のグラフである。なお、実施例3におけるシーラント検査装置も、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。また、実施例3におけるシーラント検査方法についても、説明を簡略化すべく、重複する部分について省略する。実施例1に係るシーラント検査方法は、反射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データL4に基づいて、シーラント10の厚さLmおよび気泡の大きさLvを導出した。実施例3に係るシーラント検査方法は、正常状態となるシール部1の基準時間特性波形データと、検査により導出された時間特性波形データとを比較することで、シール部1が正常状態であるか異常状態であるかを判定している。なお、実施例3のシーラント検査方法では、シール部1から反射される反射波に基づいて、シール部1の状態を判定しているが、シール部1を透過する透過波に基づいて、シール部1の状態を判定してもよい。以下、実施例3に係るシーラント検査方法について説明する。
実施例3のシーラント検査方法は、準備工程S31と、レーザ照射工程S2と、電磁波照射工程S3と、レーザ遅延工程S4と、レーザ検出工程S5と、反射波検出工程(入射波検出工程)S6と、波形データ導出工程S7と、シール部状態推定工程S38と、繰り返し工程S9とを備えている。なお、レーザ照射工程S2から波形データ導出工程S7および繰り返し工程S9は、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。
図14を参照し、準備工程S31について説明する。準備工程S31は、正常状態となるシール部1の基準時間特性波形データを導出する工程である。準備工程S31では、正常状態となるシール部1を検査対象として、照射部22から照射波を照射すると共に、検出部23によってシール部1からの反射波による信号および遅延部24からのレーザによる信号を検出する。処理部26は、検出部23により検出された信号に基づいて、波形データ導出処理を実行することにより、図14に示す正常状態となるシール部1の基準時間特性波形データL8を導出する。
準備工程S31において、図14に示す基準時間特性波形データL8が導出されると、続いて、実施例1と同様に、レーザ照射工程S2から波形導出工程S7まで実行する。なお、検査対象は、正常状態のシール部1から、検査対象となるシール部1へ変更される。波形導出工程S7では、例えば、図15に示す時間特性波形データL9が導出される。
そして、シール部状態推定工程S38では、準備工程S31において導出した図14に示す正常状態のシール部1の基準時間特性波形データL8と、波形データ導出工程S7において導出した図15に示すシール部1の時間特性波形データL9との差分をとる。そして、シール部状態推定工程S38では、得られた差分が、予め設定された設定差分以上である場合、検査されたシール部1が異常状態であると判定する一方で、設定差分よりも小さい場合、検査されたシール部1が正常状態であると判定する。
このように、実施例3のシーラント検査方法では、基準時間特性波形データL8に基づいて、シール部1が正常状態であるか異常状態であるかを判定することができる。なお、異常状態とされたシール部1は、シーラント10中に気泡が含まれている状態またはシーラント10にクラックが形成されている状態であることが推定される。
以上のように、実施例3の構成においても、導出された時間特性波形データL9と基準時間特性波形データL8とを比較することで、シール部1を破壊することなく、シール部1が正常状態であるか否かを判定することができる。
次に、図16および図17を参照して、実施例4に係るシーラント検査方法およびシーラント検査装置について説明する。図16は、実施例4に係るシーラント検査方法において正常状態のシール部から得られる周波数特性データの一例のグラフである。図17は、実施例4に係るシーラント検査方法において異常状態のシール部から得られる周波数特性データの一例のグラフである。なお、実施例4におけるシーラント検査装置も、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。また、実施例4におけるシーラント検査方法についても、説明を簡略化すべく、重複する部分について省略する。実施例3に係るシーラント検査方法は、基準時間特性波形データL8と導出された時間特性波形データL9とを比較することにより、シール部1が正常状態であるか異常状態であるかを判定した。実施例4に係るシーラント検査方法は、基準周波数特性データと導出された周波数特性データとを比較することにより、シール部1が正常状態であるか異常状態であるかを判定している。なお、実施例4のシーラント検査方法では、シール部1から反射される反射波に基づいて、シール部1の状態を判定しているが、実施例3と同様に、シール部1を透過する透過波に基づいて、シール部1の状態を判定してもよい。以下、実施例4に係るシーラント検査方法について説明する。
実施例4のシーラント検査方法は、準備工程S41と、レーザ照射工程S2と、電磁波照射工程S3と、レーザ遅延工程S4と、レーザ検出工程S5と、反射波検出工程(入射波検出工程)S6と、波形データ導出工程S7と、シール部状態推定工程S48と、繰り返し工程S9とを備えている。なお、レーザ照射工程S2から波形データ導出工程S7および繰り返し工程S9は、実施例1と同様の構成であるため、説明を省略する。
図16を参照し、準備工程S41について説明する。準備工程S41は、正常状態となるシール部1の基準周波数特性データを導出する工程である。準備工程S41では、正常状態となるシール部1を検査対象として、照射部22から照射波を照射すると共に、検出部23によってシール部1からの反射波による信号および遅延部24からのレーザによる信号を検出する。処理部26は、検出部23により検出された信号に基づいて、波形データ導出処理を実行することにより、図14と同様の正常状態となるシール部1の基準時間特性波形データL8を導出する。この後、準備工程S41では、正常状態となるシール部1の基準時間特性波形データL8をフーリエ変換し、図16に示す正常状態となるシール部1の基準周波数特性データL10を導出する。
準備工程S41において、図16に示す基準周波数特性データL10が導出されると、続いて、実施例1と同様に、レーザ照射工程S2から波形データ導出工程S7まで実行する。なお、検査対象は、正常状態のシール部1から、検査対象となるシール部1へ変更される。波形データ導出工程S7では、例えば、図15と同様の時間特性波形データL9が導出される。
そして、シール部状態推定工程S48では、図15の時間特性波形データL9をフーリエ変換し、図17に示す周波数特性データL11を導出する。シール部状態推定工程S48では、準備工程S41において導出した図16に示す正常状態のシール部1の基準周波数特性データL10との比をとる。そして、シール部状態推定工程S48では、得られた比を評価することにより、検査されたシール部1が正常であるか異常であるかを判定する。
このように、実施例4のシーラント検査方法では、基準周波数特性データL10に基づいて、シール部1が正常状態であるか異常状態であるかを判定することができる。なお、実施例3と同様に、異常状態とされたシール部1は、シーラント10中に気泡が含まれている状態またはシーラント10にクラックが形成されている状態であることが考えられる。
以上のように、実施例4の構成においても、導出された周波数特性データL11と基準周波数特性データL10とを比較することで、シール部1を破壊することなく、シール部1が正常状態であるか否かを判定することができる。
なお、実施例3および4に係るシーラント検査方法では、シール部1から反射した反射波を検出部23により検出したが、図18に示す構成としてもよい。図18は、シーラント検査方法においてシール部を透過させた透過波を検出する場合の模式図である。図18に示すように、シール部1のシーラント10の部分を挟んで照射部22から照射した照射波がシール部1のシーラント10を透過して検出部23に入射するように、照射部22および検出部23を対向させて設けてもよい。
また、実施例1から4では、照射部22および検出部23の配置について特に限定しなかったが、図19に示す変形例1の構成としてもよい。図19は、変形例1に係るシーラント検査装置を模式的に表した概略構成図である。変形例1のシーラント検査装置100は、装置本体101と、検査ヘッド102と、装置本体101と検査ヘッド102とを接続するケーブル103とを備えている。このとき、装置本体101には、光源21、遅延部24、制御部25および処理部26が設けられ、検査ヘッド102には、照射部22および検出部23が設けられている。そして、ケーブル103は、光ファイバと信号線とを含んで構成されており、光源21と照射部22とを光ファイバにより接続し、遅延部24と検出部23とを光ファイバにより接続し、照射部22と制御部25とを信号線により接続し、検出部23と制御部25とを信号線により接続している。
以上のように、変形例1の構成によれば、検査ヘッド102を自在に移動させることができるため、シール部1において、照射波を所定の照射位置に照射させることができる。これにより、例えば、燃料タンクの外部に装置本体101を配設した状態で、燃料タンクの内部に検査ヘッド102を挿入することができ、作業者にとって使い易いものとすることができるため、作業性を向上させることができる。
また、実施例1から4では、照射波の照射位置を適宜変えながら検査したが、このとき、照射部22を1次元、2次元または3次元に走査させて、シール部1の検査結果を1次元分布、2次元分布または3次元分布として生成してもよい。このとき、正常状態のシール部1の分布を予め作成しておき、正常状態のシール部1の分布と、検査されたシール部1の分布とを比較して、シール部1が正常状態であるか異常状態であるかを判定してもよい。
また、実施例1から4では、シール部1の所定の照射位置に照射波を照射したが、照射波の照射径を拡大させ、シール部1が全て含まれるような範囲に照射波を照射する構成としてもよい。
また、図20に示すように、実施例1から4のシーラント検査装置20において、照射部22は、シール部1に密接した状態で、照射波を照射してもよい。この構成によれば、照射部22とシール部1との間に空気を介在させることなく、照射波をシール部1に照射することができるため、空気によって照射波に与えられる影響を抑制することができ、検出部23による検出精度の低下を抑制することができる。
また、図21に示すように、実施例1から4のシーラント検査装置20において、照射部22とシール部1との間に、照射波を伝播可能な媒質110をさらに設けてもよい。なお、媒質110は、シーラント10と同じ材料とすることが好ましい。この構成によれば、照射部22とシール部1との間に空気を介在させることなく、照射波をシール部1に照射することができるため、空気によって照射波に与えられる影響を抑制することができ、検出部23の検出精度の低下を抑制することができる。
また、図22に示すように、実施例1から4のシーラント検査装置20において、照射部22とシール部1との間の距離を所定の距離に保つための治具120をさらに設けてもよい。この構成によれば、治具120により照射部22とシール部1との間の距離を所定の距離に保つことができるため、照射部22からシール部1に至る光路を一定の距離とすることができる。このため、光路の変化によって与えられる影響を抑制することができ、検出部23の検出精度の低下を抑制することができる。
1 シール部
1A ファスナシール
1B フィレットシール
5 第1被締結部材
6 第2被締結部材
7 ファスナ
8 カラー
9 ワッシャ
10 シーラント
20 シーラント検査装置
21 光源
22 照射部
23 検出部
24 遅延部
25 制御部
26 処理部
31 光伝導アンテナ
32 集光レンズ
35 集光レンズ
36 受光部
41 ビームスプリッタ
42 移動ミラー
43 反射ミラー
44 ミラー駆動部
50 アルミ板
100 シーラント検査装置(変形例1)
101 装置本体
102 検査ヘッド
103 ケーブル
110 媒質
120 治具

Claims (19)

  1. シーラントによって航空機部材をシールした部位であるシール部を検査するシーラント検査方法において、
    パルス状のテラヘルツ電磁波を照射波として前記シール部へ照射する電磁波照射工程と、
    前記シール部からの前記照射波を入射波として検出する入射波検出工程と、
    検出した前記入射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出する波形データ導出工程と、
    導出された前記時間特性波形データに基づいて、前記シール部の状態を推定するシール部状態推定工程と、を備えたことを特徴とするシーラント検査方法。
  2. 前記電磁波照射工程前に、レーザを照射して、テラヘルツ電磁波を発生させるレーザ照射工程と、
    前記レーザ照射工程において照射された前記レーザを分離し遅延させるレーザ遅延工程と、
    遅延させた前記レーザを検出するレーザ検出工程と、をさらに備え、
    前記波形データ導出工程では、検出した前記入射波と前記レーザに基づいて、前記時間特性波形データを導出することを特徴とする請求項1に記載のシーラント検査方法。
  3. 前記入射波検出工程では、前記シール部から反射された前記照射波である反射波を、前記入射波として検出することを特徴とする請求項1または2に記載のシーラント検査方法。
  4. 前記時間特性波形データは、前記シーラントによって前記照射波が反射されることで表れる第1ピークと、前記シール部に含まれる気泡によって前記照射波が反射されることで表れる第2ピークとを含み、
    前記シール部状態推定工程では、前記第2ピークと前記第1ピークとの時間差分Δτおよび前記シーラント中における前記照射波の伝播速度C’を、所定の算出式に代入して解くことにより、前記シーラントの厚さLmを導出し、
    前記所定の算出式は、「Lm=Δτ・(C’/2)」で与えられることを特徴とする請求項3に記載のシーラント検査方法。
  5. 前記時間特性波形データは、前記シール部に含まれる気泡によって前記照射波が反射されることで表れる第2ピークと、前記航空機部材によって前記照射波が反射されることで表れる第3ピークとを含み、
    前記シール部状態推定工程では、前記第3ピークと前記第2ピークとの時間差分Δτおよび空気中における前記照射波の伝播速度Cを、所定の算出式に代入して解くことにより、前記気泡の大きさLvを導出し、
    前記所定の算出式は、「Lv=Δτ・(C/2)」で与えられることを特徴とする請求項3に記載のシーラント検査方法。
  6. 前記シール部状態推定工程では、導出された前記時間特性波形データをフーリエ変換することで、前記時間特性波形データに関する周波数特性データを導出し、導出された前記周波数特性データに含まれる前記シーラントに依存する特徴量に基づいて、前記シール部の状態を推定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシーラント検査方法。
  7. 前記特徴量は、前記シーラントの厚さに依存する特定の周波数における前記電磁波強度の吸収率であり、
    前記吸収率と前記シーラントの厚さとを対応付けた換算グラフが予め用意され、
    前記シール部状態推定工程では、導出された前記周波数特性データの前記特定の周波数における前記電磁波強度の前記吸収率に基づいて、前記換算グラフから前記シーラントの厚さを導出することを特徴とする請求項6に記載のシーラント検査方法。
  8. 前記シーラントの厚さに依存する特定の周波数における前記電磁波強度の吸収率と前記シーラントの厚さと対応付けた換算グラフが予め用意され、
    前記電磁波照射工程では、前記特定の周波数となる電磁波を前記照射波として前記シール部へ照射し、
    前記シール部状態推定工程では、導出された前記時間特性波形データから得られる前記照射波の前記電磁波強度の前記吸収率に基づいて、前記換算グラフから前記シーラントの厚さを導出することを特徴とする請求項6に記載のシーラント検査方法。
  9. 前記シール部状態推定工程では、前記シーラントの厚さLm、前記シーラント中における前記照射波の伝播速度C’、空気中における前記照射波の伝播速度C、および前記シーラントと前記航空機部材との間を伝播する前記照射波の伝播時間Δτを、所定の算出式に代入して解くことにより、気泡の大きさLvを導出し、
    前記所定の算出式は、「Δτ=(Lv×2)/C+(Lm×2)/C’」で与えられることを特徴とする請求項7または8に記載のシーラント検査方法。
  10. 正常状態となる前記シール部から得られる基準時間特性波形データが用意され、
    前記シール部状態推定工程では、導出された前記時間特性波形データと前記基準時間特性波形データとを比較し、比較結果に基づいて、前記シール部が正常状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のシーラント検査方法。
  11. 正常状態となる前記シール部から得られる基準時間特性波形データをフーリエ変換した基準周波数特性データが用意され、
    前記シール部状態推定工程では、導出された前記時間特性波形データをフーリエ変換することで、前記時間特性波形データに関する周波数特性データを導出し、導出された前記周波数特性データと前記基準周波数特性データとを比較し、比較結果に基づいて、前記シール部が正常状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のシーラント検査方法。
  12. シーラントによって航空機部材をシールした部位であるシール部を検査するシーラント検査装置において、
    レーザを照射可能な光源と、
    前記光源から照射される前記レーザによってテラヘルツ電磁波を発生させ、発生させた前記テラヘルツ電磁波を照射波として前記シール部へ照射可能な照射部と、
    前記シール部からの照射波を入射波として検出する検出部と、
    前記光源から照射された前記レーザを分離し遅延させて前記検出部に入射させる遅延部と、
    前記検出部に入射した前記入射波および前記レーザの検出結果を取得する処理部と、を備え、
    前記処理部は、
    取得した前記入射波および前記レーザの検出結果に基づいて、前記照射波の電磁波強度の時間変化を表す時間特性波形データを導出し、導出された前記時間特性波形データに基づいて、前記シール部の状態を推定することを特徴とするシーラント検査装置。
  13. 移動可能な検査ヘッドをさらに備え、
    前記照射部および前記検出部は、前記検査ヘッドに設けられていることを特徴とする請求項12に記載のシーラント検査装置。
  14. 前記照射部は、前記シール部に密接した状態で前記照射波を照射することを特徴とする請求項12または13に記載のシーラント検査装置。
  15. 前記照射部と前記シール部との間に設けられ、前記照射波が伝播可能な媒質をさらに備えたことを特徴とする請求項12または13に記載のシーラント検査装置。
  16. 前記照射部と前記シール部との間の距離を所定の距離に保つための治具をさらに備えたことを特徴とする請求項12または13に記載のシーラント検査装置。
  17. 前記航空機部材は、重なり合う第1被締結部材および第2被締結部材を締結するファスナおよびカラーであり、
    前記シール部は、前記ファスナおよび前記カラーを前記シーラントによって覆うことで構成されていることを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項に記載のシーラント検査装置。
  18. 前記航空機部材は、重なり合う第1被締結部材および第2被締結部材であり、
    前記シール部は、前記第1被締結部材と前記第2被締結部材との間に前記シーラントが埋められることで構成されていることを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項に記載のシーラント検査装置。
  19. 前記シーラントによってシールされ、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のシーラント検査方法によって検査されたことを特徴とする航空機部材。
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