JP2016114204A - 圧力調整システム - Google Patents

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Hisashi Ono
壽 小野
貴志 松下
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貴志 松下
裕基 西田
Yuki Nishida
裕基 西田
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Abstract

【課題】作動油の粘度に関わらず、ポンプの仕事低減量を高めることができる圧力調整システムを提供する。【解決手段】吸引ポート31と吐出ポート32,33とを有するオイルポンプ1と、弁体40と、第一スプリング44と、リリーフポート4bとを有するリリーフ機構4と、を備え、ハウジング51と、移動体55と、第二スプリング56と、吐出ポート32,33から吐出される作動油が流通する第一通路52と、第一通路52を介して作動油が供給される圧力室53と、第一通路52の流量より小さい流量で圧力室53の作動油を排出可能に構成される第二通路54と、を有し、第一通路52と第二通路54との流量差によって発生する圧力室53の圧力を受けて、移動体55がリリーフポート4bの開口面積を増大する方向に移動するリリーフ開口調節機構Cを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、オイルポンプの吐出圧を調整する圧力調整システムに関する。
従来、エンジンの被供給部に作動油を循環させるオイルポンプの吐出圧を調整する圧力調整システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の圧力調整システムは、吸引ポートと第一吐出ポートおよび第二吐出ポートとを有するオイルポンプと、第一吐出ポートから吐出される作動油の圧力を受ける弁体と、少なくとも第二吐出ポートから吐出される作動油をリリーフするリリーフポートとを有するリリーフ機構(文献では、制御弁)とを備えている。弁体の移動に伴って、第二吐出ポートから吐出される作動油を第一吐出ポートから吐出される作動油に合流させる第一形態と、第一吐出ポートおよび第二吐出ポートから吐出される作動油をリリーフさせる中間形態と、第二吐出ポートから吐出される作動油のみをリリーフさせる第二形態とを切換え可能に構成されている。
エンジンの回転数が上昇すると、第一形態から中間形態に移行することで第一吐出ポートおよび第二吐出ポートから吐出される作動油がリリーフされるので、ポンプの吐出圧の上昇勾配が緩やかになる。さらにエンジンの回転数が上昇すると、第一ポートから吐出される作動油のリリーフを遮断する第二形態に移行することで、ポンプの吐出圧が急上昇する。つまり、特許文献1記載の圧力調整システムは、ポンプの吐出圧を減少させる中間形態を設けることで、ポンプの無駄な仕事量を減らして燃費を高める技術である。
特開平8−114186号公報
しかしながら、特許文献1記載の圧力調整システムは、作動油の温度が低く高粘度のとき、リリーフポートに作動油が纏わり付き易いので、リリーフ量が減少して、ポンプ仕事量の低減効果が小さくなってしまう。
また、作動油が高粘度のときは、エンジンの被供給部に比較的大きな圧力がかかるので、エンジンの回転数が上昇するに連れて、ポンプの吐出圧を低圧設定にできる領域が広く存在する。しかしながら、特許文献1記載の圧力調整システムは、作動油の粘度が高いほど弁体に作用する圧力が大きくなって、エンジン回転数が所望の回転数に到達する前の早い段階で中間形態から第二形態に移行してしまう。その結果、ポンプの吐出圧が低圧設定となる領域が狭くなるので、ポンプ仕事量の低減効果が小さく、燃費を高める上で改善の余地があった。
そこで、本発明は、作動油の粘度に関わらず、ポンプの仕事低減量を高めることができる圧力調整システムを提供することを目的とする。
本発明に係る圧力調整システムの特徴構成は、作動油が供給される吸引ポートと、作動油が吐出される吐出ポートとを有するオイルポンプと、前記吐出ポートから吐出される作動油の圧力を受ける弁体と、前記弁体を前記吐出ポートから吐出される作動油の圧力に対向する方向に付勢する第一スプリングと、前記吐出ポートから吐出される作動油をリリーフするリリーフポートとを有するリリーフ機構と、を備え、ハウジングと、前記ハウジングに収容される移動体と、前記移動体を付勢する第二スプリングと、前記吐出ポートから吐出される作動油が流通する第一通路と、前記第一通路を介して作動油が供給される圧力室と、前記第一通路の流量より小さい流量で前記圧力室の作動油を排出可能に構成される第二通路と、を有し、前記第一通路と前記第二通路との流量差によって発生する前記圧力室の圧力を受けて、前記移動体が前記リリーフポートの開口面積を増大する方向に移動するリリーフ開口調節機構を備えている点にある。
本構成では、リリーフ機構とは別に、リリーフポートの開口面積を調節するリリーフ開口調節機構を設けている。このリリーフ開口調節機構は、第一通路と、第一通路の流量より小さい流量で作動油を排出可能な第二通路と、第一通路と第二通路との間に配置される圧力室とを有している。
ところで、通路を通過する作動油は、作動油の粘度が高いほど壁面から粘性抵抗を受け易いので、第一流路より小さな流量で作動油を通過させる第二通路は、作動油の粘度が高いほど排出量が小さくなる。つまり、作動油の粘度が高いほど、第一通路を介して圧力室に供給された作動油が排出され難いので、圧力室の圧力が増大する。
そこで、本構成のリリーフ開口調節機構では、第一通路と第二通路との流量差によって発生する圧力室の圧力を受けて、リリーフポートの開口面積を増大する方向に移動する移動体を有している。これによって、作動油の粘度が高いほどリリーフポートの開口面積が増大するので、リリーフポートに対する作動油の粘性抵抗が減少して、より多くの作動油をリリーフさせることができる。よって、ポンプの吐出圧をより低圧設定となる領域まで下降させることができるので、ポンプの仕事低減量を高めることができる。
また、ポンプの吐出圧が低下すれば弁体に作用する圧力が減少して、弁体の移動速度が低下するので、リリーフ状態が持続される。その結果、作動油がリリーフ状態(ポンプの吐出圧が低圧設定)となるエンジンの回転数領域が広がり、ポンプの無駄な仕事量をより一層低減できる。一方、作動油の粘度が低い場合には移動体の移動が抑制され、リリーフポートの開口面積が通常設定となるので、ポンプの吐出圧を過剰に低下させることがない。
このように、作動油の粘度に関わらず、ポンプの仕事低減量を高めることができる圧力調整システムを提供することができた。
他の特徴構成は、前記第二通路の断面積は、前記第一通路の断面積以上に設定され、前記第二通路の流路長は、前記第一通路の流路長より大きく設定されている点にある。
本構成のように、第二通路の断面積を第一通路の断面積以上に設定することで、作動油の粘度が低い場合には、圧力室の作動油が第二通路を介して排出され易くなって移動体の移動が抑制される。一方、本構成では、第二通路の流路長を第一通路の流路長より大きくしているので、作動油の粘度が高まるほど、長い流路を有する第二通路の壁面から粘性抵抗を受けて圧力室の作動油が排出され難くなる。その結果、作動油の粘度が高まるほど、第一通路と第二通路との間で流量差が生じ、圧力室に大きな圧力が発生して移動体が速やかに移動することでリリーフポートの開口面積が増大する。このように、第二通路の流路長を第一通路の流路長より大きくするといった簡便な構成で、作動油の粘度が高まるほど、ポンプの無駄な仕事量を低減することができる。
他の特徴構成は、前記第二通路は、前記ハウジングの内表面に形成される溝部で構成してある点にある。
本構成のように、ハウジングの内表面に形成される溝部を第二通路として機能させれば、移動体とハウジングとの間隙に通路形成する場合に比べ、双方のクリアランス誤差の影響を受けることがない。よって、ハウジングに凹部を形成するといった簡便な構成でありながら、作動油の粘度が低い場合に、圧力室の圧力を確実に高めることができる。
本実施形態に係る圧力調整システムの全体構成図である。 エンジン回転数が低域時の概念図である。 作動油が高粘度の場合におけるエンジン回転数が中域時の概念図である。 作動油が低粘度の場合におけるエンジン回転数が中域時の概念図である。 作動油が高粘度の場合におけるエンジン回転数が中域時の概念図である。 作動油が高粘度の場合におけるエンジン回転数が高域時の概念図である。 第一通路および第二通路における圧力と流量との関係を示す図である。 エンジンの回転数とポンプの吐出圧との関係を示す図である。 別実施形態1に係る圧力調整システムの全体構成図である。 別実施形態2に係る第二通路の拡大図である。
以下に、本発明に係る圧力調整システムの実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、エンジンオイル(作動油の一例。以下、単に作動油と言う。)を車両のエンジンEに循環させるオイルポンプ1(以下、単にポンプ1と言う。)の吐出圧を調整する圧力調整システムXを一例として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
[全体構成]
図1に示すように、ポンプ1は、作動油を貯留するオイルパン7とエンジンEとの間に配置され、エンジンEの弁開閉時期制御装置、ラッシュアジャスタ、ターボチャージャやメインギャラリ等の被供給部に作動油を循環させる。
本実施形態に係る圧力調整システムXは、ポンプ1と、流路13〜16と、リリーフバルブ4(リリーフ機構の一例)と、リリーフ開口調節機構Cとを備えている。
ポンプ1は、ポンプ本体10と、クランクシャフト(不図示)と同期して駆動するロータ20とを備えている。ポンプ本体10には、複数個の内歯を有する内歯車部11が形成され、ロータ20には、内歯より一つ歯数が少ない複数個の外歯を有する外歯車部21が形成されている。この内歯車部11および外歯車部21は、トロコイド曲線又はサイクロイド曲線等で規定されている。
ポンプ本体10の内歯車部11とロータ20の外歯車部21との間にはポンプ室12が形成され、このポンプ室12は、空間22kが最も容積が大きく、空間22eおよび空間22fが最も容積が小さく構成されている。ロータ20が矢印A1の方向に回転することで、空間22eから空間22aに行くに連れて容積が大きくなって吸込作用が得られ、空間22jから空間22fに行くに連れて容積が小さくなって吐出作用が得られる。
ポンプ本体10には、吸込作用によって作動油がポンプ室12に供給される吸引ポート31と、吐出作用によって作動油が吐出される第一吐出ポート32および第二吐出ポート33が形成してある。本実施形態では、吸引ポート31は、ロータ20の回転方向A1に沿った空間22eから空間22aまでの領域に形成されている。また、第一吐出ポート32は、回転方向A1に沿った空間22jから空間22hまでの領域に形成され、第二吐出ポート33は、回転方向A1に沿った空間22gから空間22fまでの領域に形成されている。
第二吐出ポート33は、回転方向A1において第一吐出ポート32より下流側に配置され、第一吐出ポート32と第二吐出ポート33とは、仕切部34によって仕切られて互いに独立した吐出機能を有している。また、第一吐出ポート32の開口面積は、第二吐出ポート33の開口面積より大きく設定してあり、第一吐出ポート32がメインポートとして機能する。
ポンプ1が回転することで、オイルパン7から汲み上げられた作動油は、供給流路13を経由して、ポンプ1の吸引ポート31に供給される。次いで、少なくとも第一吐出ポート32から吐出された作動油は、送給流路14を経由してエンジンEの被供給部に送給される。このとき、送給流路14から分岐する分岐流路15がリリーフバルブ4に接続されている。また、少なくとも第二吐出ポート33から吐出された作動油を、リリーフバルブ4を介して吸引ポート31に返送する帰還流路16が形成されている。
リリーフバルブ4は、少なくとも第一吐出ポート32から吐出される作動油の圧力を受ける弁体40と、弁体40を該圧力に対向する方向B1に付勢する第一スプリング44とを備えている。この第一スプリング44は、圧縮コイルバネで構成されている。
弁体40は、少なくとも第一吐出ポート32から吐出される作動油の圧力を受ける第一弁部41と、少なくとも第二吐出ポート33から吐出される作動油の圧力を受ける第二弁部42とが、連結部材43で対向して配置されている。第一弁部41は、第一受圧面41aと第二受圧面41bとが形成され、第二弁部42には、第三受圧面42aが形成されている。また、第二弁部42は、第三受圧面42aとは反対側の位置に、第一スプリング44を保持する有底筒状に形成される筒状部42bを有している。
本実施形態では、第二受圧面41bと第三受圧面42aとの面積がほぼ等しく設定されているので、弁体40の移動に寄与する受圧面は、第一受圧面41aとなっている。なお、第二受圧面41bと第三受圧面42aとに面積差を持たせて、弁体40の移動に寄与する受圧面として機能させても良い。
また、リリーフバルブ4は、第二吐出ポート33から吐出される作動油を送給流路14に合流させる合流ポート4aと、少なくとも第二吐出ポート33から吐出される作動油を帰還流路16にリリーフさせるリリーフポート4bとを有している。また、第一スプリング44の収容空間に漏れ出た作動油を排出するドレーンポート4cを有している。
弁体40の位置が図2や図5の状態にあるとき、リリーフポート4bが閉塞され、第二吐出ポート33から吐出される作動油の全量が、第一吐出ポート32から吐出される作動油に合流ポート4aを介して合流する第一状態となる。一方、弁体40の位置が図3や図6の状態にあるとき、リリーフポート4bが開放され、少なくとも第二吐出ポート33から吐出される作動油が、リリーフポート4bを介してリリーフされる第二状態となる。詳しくは、弁体40の位置が図3の状態のときは、第二吐出ポート33から吐出される作動油のみがリリーフされ、弁体40の位置が図6の状態のときは、第一吐出ポート32から吐出される作動油の一部と第二吐出ポート33から吐出される作動油の一部とがリリーフされる。
リリーフ開口調節機構Cは、リリーフバルブ4の第一スプリング44の収容空間に配置され、ハウジング51と、このハウジング51に収容される、第一通路52、圧力室53、第二通路54、移動体55、および第二スプリング56とを備えている。第二スプリング56は、圧縮コイルバネで構成されている。
ハウジング51は、ポンプ1およびリリーフバルブ4と共通のハウジング51で構成されており、リリーフバルブ4の弁体40と移動体55とは、ハウジング51の内壁に摺動自在に構成されている。なお、ポンプ1とリリーフバルブ4およびリリーフ開口調節機構Cとのハウジングを独立して形成しても良い。
第一通路52は、ハウジング51の内表面に形成した溝部51aで構成され、分岐流路15のリリーフバルブ4との接続口を、分岐流路15の断面積より小さくしたオリフィス構造で形成されている。換言すると、第一通路52は、ハウジング51の内表面から送給流路14まで貫通形成される分岐流路15の出口(圧力室53への供給口)を絞った状態で形成されている。なお、ハウジング51の内表面に形成した溝部51aは、環状や半環状に形成しても良く、特に限定されない。
圧力室53は、ハウジング51と移動体55との間に形成されている。この圧力室53には、第一通路52を介して作動油が供給される。このとき、第一通路52をオリフィス構造で形成しているので、圧力室53の急激な圧力変動を抑制することができる。
第二通路54は、ハウジング51の内表面の一部を切欠いて形成した溝部51bで構成され、圧力室53の作動油を排出可能に構成されている。第一通路52や第二通路54を、ハウジング51の溝部51a,51bに形成することで、通路の加工が容易であり、寸法精度も高まる。圧力室53から第二通路54を介して排出された作動油は、上述したドレーンポート4cを介してオイルパン7に戻される。このドレーンポート4cは、第二通路54から排出された作動油が円滑にドレーンされるように、第二通路54の断面積より大きな断面積に設定されているのが好ましい。なお、ハウジング51の内表面に形成した溝部51bは、環状や半環状に形成しても良く、特に限定されない。
また、本実施形態では、第二通路54が、第一通路52の断面積と等しい断面積を有し、第一通路52の流路長L1より大きい流路長L2を有する、所謂チョーク構造で形成されている。ここで、図1に示すように、第一通路52の流路長L1は、対向するハウジング51間で挟まれた流路長であり、第二通路54の流路長L2は、移動体55とハウジング51との間で挟まれた流路長である。
第一通路52のオリフィス構造は、作動油の流れが壁面から剥がれて不連続面を形成して作動油の圧力が低下するといった特性を有する。一方、第二通路54のチョーク構造は、作動油が壁面に沿って流れる際、作動油が所定の流路長L2を有する第二通路54の壁面から粘性抵抗を受けるといった特性を有する。その結果、図7に示すように、第一通路52を通過する流量は、作動油の粘度に関わらず、分岐流路15を流通する作動油の圧力が高まるに連れて、勾配を緩やかにしながら増加する。一方、第二通路54を通過する流量は、作動油の粘度に反比例する。つまり、作動油の温度が所定値以下で粘度が高い場合は、作動油の温度が所定値より大きく粘度が低い場合に比べて、作動油の圧力上昇に伴って増加する流量勾配が小さくなる。換言すると、第二通路54が許容する作動油の排出量は、作動油の粘度が高いほど小さく設定されている。
ところで、圧力室53にある作動油の圧力は、第一通路52を通過する作動油の流量と第二通路54を通過する作動油の流量との差で決定される。つまり、作動油が低粘度の場合は、第一通路52を通過した作動流体の多くが第二通路54から排出されるので、圧力室53で発生する圧力が小さい。一方、作動油が高粘度の場合は、第一通路52を通過した作動流体の多くは排出されず、圧力室53に滞留するので、圧力室53で発生する圧力が大きい。
移動体55は、筒状に形成され、圧力室53の作動油の圧力を受ける受圧面55aを有している。移動体55の先端部55bは、リリーフポート4bと重なって配置され、リリーフポート4bと連通する貫通孔部55dが形成されている。移動体55の受圧面55aが、第一通路52と第二通路54との流量差によって発生する圧力室53からの圧力を受けて、移動体55の先端部55bがリリーフポート4bの開口面積を増大する方向B2に移動する。一方、第二スプリング56は、移動体55を圧力室53からの圧力に対向する方向B1に付勢する。つまり、移動体55の受圧面55aに作用する圧力室53の圧力が、第二スプリング56の付勢力を上回ったときに、移動体55がリリーフポート4bの開口面積を増大させる方向B2に移動する。一方、移動体55の受圧面55aに作用する圧力室53の圧力が、第二スプリング56の付勢力を下回ったときに、移動体55がリリーフポート4bの開口面積を減少させる方向B1に移動する。
本実施形態では、第二スプリング56は、作動油の温度が所定値以下の条件で、エンジンEが所定の回転数に到達したときに発生する圧力室53の圧力に対して、自身の付勢力が下回るようにバネ定数が設定されている。詳細は後述するが、エンジンEが所定の回転数に到達した場合に、リリーフポート4bの開口面積を増大させることで、少なくとも第二吐出ポート33から吐出される作動油のリリーフ量を大きくしてポンプ1の吐出圧を低下させる。
[ポンプの吐出圧調整]
続いて、作動油の温度が所定値以下で高粘度の場合において、弁体40の移動に伴うポンプ1の吐出圧の変化を、図2〜図6,図8を用いて説明する。ポンプ1の運転開始時は、図2に示すように、弁体40が下限位置にあり、第二吐出ポート33から吐出される作動油は、合流ポート4aおよび第一弁部41と第二弁部42との間の空間を通過し、第一吐出ポート32から吐出される作動油と合流する(第一状態)。このとき、ポンプ1の吐出圧は、高圧設定である(図8の0〜N1)。
次いで、弁体40の第一受圧面41aには、第一吐出ポート32および第二吐出ポート33から吐出される作動油の圧力が付与され、第一スプリング44の付勢力を上回ったときに弁体40が上昇する方向B2に移動する。このとき、本実施形態では、エンジンEが所定の回転数(図8のN1)に到達し、圧力室53に供給される作動油の圧力が第二スプリング56の付勢力を上回って、移動体55がリリーフポート4bの開口面積を増大する方向B2に移動する。その結果、図3に示すように、第二吐出ポート33から吐出される作動油は、第一弁部41と第二弁部42との間の空間およびリリーフポート4bを通過し、帰還流路16を経由して吸引ポート31に返送される(第二状態)。一方、作動油の温度が所定値より大きく低粘度の場合は、図4に示すように、圧力室53の圧力が高まらず移動体55は下限位置で維持される。このとき、第二吐出ポート33から吐出される作動油は、第一弁部41と第二弁部42との間の空間、移動体55の貫通孔部55d、リリーフポート4bの順番で通過し、帰還流路16を経由して吸引ポート31に返送される通常設定である(第二状態)。
つまり、作動油の温度が所定値以下で高粘度の場合は、リリーフバルブ4の第二状態とリリーフ開口調節機構Cとによって、エンジンEの回転数が大きくなるに連れて、ポンプ1の吐出圧の上昇勾配が緩やかになる(図8のN1〜N2)。よって、ポンプ1の無駄な仕事量は、図8の実線で示すように、点線で示したリリーフ開口調節機構Cがない場合に比べて低減される。なお、リリーフ開口調節機構Cがない場合は、作動油が低粘度の場合におけるポンプ1の必要吐出圧を考慮して、例えば、移動体55の貫通孔部55dのようにリリーフポート4bの開口面積が一定に設定されており、リリーフ開口調節機構Cによって増大するリリーフポート4bの開口面積に比べて小さい設定となっている。
次いで、弁体40の第一受圧面41aには、第一吐出ポート32から吐出される作動油の圧力が付与されて弁体40がさらに上昇する。図5に示すように、第一弁部41によって、リリーフポート4bと第二吐出ポート33との連通が遮断されると、第二吐出ポート33から吐出される作動油の全量は、第一吐出ポート32から吐出される作動油と合流する(第一状態)。これによって、ポンプ1の吐出圧が高圧設定になるまで急上昇する(図8のN2〜N3)。なお、図5では、移動体55が上限位置に達する例を示しているが、作動油の粘度によっては移動体55が途中位置となることがある。
次いで、弁体40の第一受圧面41aには、第一吐出ポート32および第二吐出ポート33から吐出される作動油の圧力が付与されて弁体40がさらに上昇する。最終的には、図6に示すように、第一弁部41がリリーフポート4bを開放する位置まで上昇して、第一吐出ポート32から吐出される作動油の一部および第二吐出ポート33から吐出される作動油の一部は、帰還流路16を経由して吸引ポート31に返送される(第二状態)。その結果、エンジンEの回転数が大きくなるに連れて、ポンプ1の吐出圧の上昇勾配は緩やかになる(図8のN3以降)。なお、図5と同様に、図6では、移動体55が上限位置に達する例を示しているが、作動油の粘度によっては移動体55が途中位置となることがある。
以下、別実施形態について説明する。基本構成は、上述した実施形態と同様であるため、異なる構成についてのみ図面を用いて説明する。なお、図面の理解を容易にするため、上述した実施形態と同じ部材名称及び符号を用いて説明する。
[別実施形態1]
図9に示すように、別実施形態1に係るリリーフ開口調節機構Cは、上述した実施形態のように、弁体40の第一スプリング44の収容空間に移動体55を配置するのではなく、リリーフポート4bに、板状の移動体55を挿入している。つまり、別実施形態1の移動体55は、受圧面55aから延出させた板状部55cを形成し、この板状部55cの先端部55bを往復移動させることによって、リリーフポート4bの開口面積が調節される。この場合でも、上述した実施形態と同様の機能および作用効果を奏する。
[別実施形態2]
図10に示すように、ハウジング51の溝部51bの面粗度を大きくして、第二通路54の表面積を増大させても良い。これによって、上述した実施形態に比べて、作動油の接触面積が大きくなるので、特に作動油の粘度が高い場合、粘性抵抗が増大して第二通路54が許容する作動油の排出量が小さく設定される。その結果、圧力室53の圧力がより大きくなるので、移動体55を円滑に移動させてリリーフポート4bの開口面積を確実に変更することができる。
[その他の実施形態]
(1)上述した実施形態では、吐出ポートを第一吐出ポート32と第二吐出ポート33に2分割したが、単一の吐出ポートで構成しても良い。この場合、仕切部34は、吐出ポートの内部に設けずに、例えばポンプ本体10の外面から突出形成させて、第一吐出ポート32から排出される作動油が仕切部34に沿って流動するような流路形成機能を持たせることが好ましい。また、吐出ポートを3分割以上で構成しても良いし、弁体40の弁部を1つや3つ以上で構成しても良く、特に限定されない。
(2)上述した実施形態では、第一弁部41と仕切部34との間に隙間を設けず、図3の状態のときに第二吐出ポート33から吐出される作動油のみを吸引ポート31に返送させたが、第一弁部41と仕切部34との間に隙間を設けて、第一吐出ポート32から吐出される作動油の一部も吸引ポート31に返送させる構成としてもよい。この場合、リリーフポート4bの開口面積が増大することで、ポンプ1の仕事量の低減効果が大きくなる。
(3)上述した実施形態では、第二通路54の断面積を、第一通路52の断面積と等しくしたが、第一通路52の断面積以上に設定しても良い。この場合、作動油の粘度が低いときには、圧力室53の作動油が第二通路54を介して排出され易くなって移動体55の移動が抑制される。その結果、ポンプ1の吐出圧が高圧側にシフトするので、粘度が低い場合にエンジンEを循環する作動油が不足するといった不都合が解消される。
(4)上述した実施形態では、第二通路54を、ハウジング51の内表面に形成した溝部51bで構成したが、ハウジング51の内表面を面一に形成して、ハウジング51と移動体55との間のクリアランスを第二通路54として構成しても良い。
(5)上述した実施形態では、第二スプリング56を圧縮コイルバネで構成したが、第二スプリング56を引張コイルバネで構成して、圧力室53の内部に配置しても良い。この場合でも、上述した実施形態と同様の機能および作用効果を奏する。
(6)上述した実施形態では、ポンプ1をトロコイドポンプで構成したが、ベーンポンプなどどのようなポンプであっても良い。
(7)上述した実施形態では、圧力室45のドレーンポート4cをオイルパン7に連通させたが、ポンプ1の吸引ポート31に連通させても良い。また、吸引ポート31に連通させた帰還流路16を、オイルパン7に連通させても良く、特に限定されない。
本発明は、エンジンの被供給部などに作動油を循環させるオイルポンプの吐出圧を調整する圧力調整システムに利用可能である。
1 ポンプ(オイルポンプ)
14 吐出流路
31 吸引ポート
32 第一吐出ポート(吐出ポート)
33 第二吐出ポート(吐出ポート)
4 リリーフバルブ(リリーフ機構)
4b リリーフポート
40 弁体
44 第一スプリング
51 ハウジング
51b 溝部
52 第一通路
53 圧力室
54 第二通路
55 移動体
56 第二スプリング
C リリーフ開口調節機構

Claims (3)

  1. 作動油が供給される吸引ポートと、作動油が吐出される吐出ポートとを有するオイルポンプと、
    前記吐出ポートから吐出される作動油の圧力を受ける弁体と、前記弁体を前記吐出ポートから吐出される作動油の圧力に対向する方向に付勢する第一スプリングと、前記吐出ポートから吐出される作動油をリリーフするリリーフポートとを有するリリーフ機構と、を備え、
    ハウジングと、前記ハウジングに収容される移動体と、前記移動体を付勢する第二スプリングと、前記吐出ポートから吐出される作動油が流通する第一通路と、前記第一通路を介して作動油が供給される圧力室と、前記第一通路の流量より小さい流量で前記圧力室の作動油を排出可能に構成される第二通路と、を有し、
    前記第一通路と前記第二通路との流量差によって発生する前記圧力室の圧力を受けて、前記移動体が前記リリーフポートの開口面積を増大する方向に移動するリリーフ開口調節機構を備えている圧力調整システム。
  2. 前記第二通路の断面積は、前記第一通路の断面積以上に設定され、
    前記第二通路の流路長は、前記第一通路の流路長より大きく設定されている請求項1に記載の圧力調整システム。
  3. 前記第二通路は、前記ハウジングの内表面に形成される溝部で構成してある請求項1又は2に記載の圧力調整システム。
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