JP2016113941A - 排水ポンプ - Google Patents
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Abstract
Description
従来の排水ポンプ1は、モータ10と、モータ10にブラケット20を介して取り付けられるポンプ本体30とを有する。ポンプ本体30はプラスチック製であって、上部が開口したハウジング40と、ハウジング40の上部開口と嵌合するカバー32と、モータ10に連結された回転羽根50とを備えている。
ハウジング40は、下部に吸込口43を有するパイプ状の吸込管42、該ハウジングとカバー32とにより画定(区画)される内部空間に形成されるポンプ室44、及び側方に吐出口46を有する吐出管45を有している。符号46aは、ポンプ室44に開口する吐出口46の入口(吐出口入口)である。
カバー32はブラケット20と一体に形成されており、ハウジング40との間にシール部材34を挟みこんだ状態でハウジング40と連結されている。
図9に示すように、吸込口43から吸い込まれた水は、回転羽根50により遠心力(図9の矢印C)を付与されるため、当該回転羽根50の径方向にて内側に空気層、外側に水の層が出来、その境界に気液境界面と呼ばれる空気と水の混じりあう泡の層が形成される。
気液境界面に発生した気泡は、回転羽根50の上端を越える際、遠心力により外周方向へと押し流される。この気泡が吐出口46から排出される排水に混入し、流出する際、騒音を発するという問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、吐出口から流出する排水に気泡が混入することを抑制し、運転時の静粛性を図ることができる排水ポンプを提供することにある。
さらに、前記ハウジングは、前記吐出口入口の下端と同一の高さまで伸びるとともに、内側面が前記吐出口入口から前記ポンプ室の内側に突出する環状の突出部をさらに備えることができる。
また、回転羽根の上端を越えてポンプ室の上側外周部(ポンプ室における吐出口入口の上方に相当する部分)に達した水には流出の際に騒音の原因となる泡が多く含まれているが、上記のようにポンプ室の吐出口入口より上側において作用する遠心力が吐出口入口(及びそれより下側)よりも小さくなるため、ポンプ室から吐出口入口に流入する水の多くは遠心力の作用が強い吐出口入口と対向する部分(ポンプ室の吐出口入口の部分、又は該吐出口入口の部分及びそれより下側の部分)からの水となり、ポンプ室の上側外周部に達した泡を多く含んだ水が吐出口入口に流入する量が低減される。この結果、ポンプ室から吐出口入口に流入する水、すなわち吐出口から流出する排水に気泡が混入することが抑制され、運転時の静粛性を図ることができる。
図1は、本発明の第1実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図である。ここで、図1aは、ポンプ本体130を後述の吐出口146の中心線を通る面で切断した縦断面図であり、図1bは、回転羽根150を取り除いたポンプ本体130を吐出口146の中心線を通る面で切断して斜め下方から見た斜視図である。
図1に示すように、第1実施例による排水ポンプのポンプ本体130は、上部が開口したハウジング140と、ハウジング140の上部開口と嵌合するカバー132と、ハウジング140及びカバー132により画定されたポンプ室144内に配置された回転羽根150とを備えている。ここで、ポンプ本体130を構成する前述の各部品は、例えばプラスチック製とすることができる。
ハウジング140は、内部に形成されたポンプ室144と、下方からポンプ室144に連通する吸込口143を有するパイプ状の吸込管142と、ポンプ室144の側面に設けられてポンプ室144と外部とを連通する吐出口146を有するパイプ状の吐出管145とを有している。符号146aは、吐出口146がポンプ室144に開口する吐出口入口である。
上記環状の側壁部133の下端133aは吐出口入口146aの上端と同一の高さまで伸びるとともに、環状の側壁部133の内側面133bは吐出口入口146aの上方からカバー132の内側中心方向に突出する形状に形成されている。
すなわち、図1において、回転羽根150の回転軸線Oから吐出口入口146aまでの距離をR1、環状の側壁部133の内側面133bまでの距離をR2とすると、環状の側壁部133は、R1>R2となるような形状となっている。なお、環状の側壁部133の内側面の突出量(R1とR2との差分)は、例えば2mm程度に設定されることができる。
図1aに示したように、ハウジング140のポンプ室144内には、モータ(図示せず)によって回転する回転羽根150が収容されている。
回転羽根150は、軸部152と、軸部152の外周部から放射方向に延びる4枚の平板状の大径羽根160と、各大径羽根160の下端縁部に連結されるとともに吸込管142に挿入される4枚の平板状の小径羽根154とを有している。
軸部152は、カバー132の中央に形成された貫通孔136を貫通して突出しており、軸部152の中心軸に沿って設けた穴153にモータの駆動軸が挿入されて固定されている。
また、隣り合う大径羽根160の間には4枚の補助羽根168が設けられており、この補助羽根168と大径羽根160とによりポンプの揚程を確保することができる。
この回転羽根150は、例えば図8に示されたようなモータ10に連結され、これにより排水ポンプが構成される。
まず図示されないモータを回転させると回転羽根150が回転し、吸込口143からポンプ室144内に水が吸い込まれ、吸い込まれた水は吐出口146から排出される。
吸込口143から吸い込まれた水は、回転羽根150により遠心力を付与されるため、当該回転羽根150の径方向にて内側に空気層、外側に水の層が出来、その境界に気液境界面と呼ばれる空気と水の混じりあう泡の層が形成される。
気液境界面に発生した気泡は、回転羽根150の上端を越える際、遠心力により外周方向へと押し流される。
図3に示すように、回転羽根250には、大径羽根260の縁部のうち上端縁部に段部272、外側縁部に段部282がそれぞれ形成されている。
この回転羽根250においても、大径羽根260の下端縁部はテーパ状に形成されており、この下端縁部は開口部263を有する円盤状の環状部材262で連結されている。
また、隣り合う大径羽根260の間には補助羽根268が設けられており、補助羽根268においても、その上端縁部に段部274、外側縁部に段部284がそれぞれ形成されている。
環状部材262は逆円錐台の側面形状を成しており、その外周部の上面は、大径羽根260の段部282及び補助羽根268の段部284の外周端部よりも外側に突出した平面形状の環状平坦部264とされている。
また、段部282及び284は、大径羽根260及び補助羽根268の外側端縁部の全長に亘ってそれぞれ形成されている。このような段部282及び284は、吸込口から吸い込まれた水を回転羽根250の径方向外方に案内する機能を有する。
このような構成により、第1変形例の回転羽根250を用いた排水ポンプにおいては、大径羽根260の段部272及び282、並びに補助羽根268の段部274及び284の相乗作用により、排出される水の気液境界面の位置が回転羽根250の回転軸からより離れた位置となるため、回転羽根の吸い込み能力を向上させるとともに振動と騒音を低減することができる。
また、環状平坦面264によって、環状部材262の底面に沿って上昇する水流が、大径羽根260及び補助羽根268の外側端縁部を跨いで流れる水流と干渉しなくなり、気泡の発生がさらに抑制されるという効果を奏する。
図4に示すように、回転羽根350には、大径羽根360の縁部のうち上端縁部に段部372が形成されている。
この回転羽根350においても、大径羽根360の下端縁部はテーパ状に形成されており、この下端縁部は開口部363を有する円盤状の環状部材362で連結されている。
また、隣り合う大径羽根360の間には補助羽根368が設けられており、補助羽根368においても、その上端縁部に段部374が形成されている。
このような構成により、この排水ポンプにおいては、大径羽根360の段部372及び補助羽根368の段部374による水流の案内機能に加えて、水流を円筒状壁部材364の上外方にスムーズに流す機能を付加することにより、回転羽根の吸い込み能力を向上させるとともに振動と騒音を低減することができる。
また、円筒状壁部材364によって、環状部材362の底面から当該円筒状壁部材364の外側に沿って上昇する水流が、大径羽根360及び補助羽根368の回転により円筒状壁部材364の内側に沿って流れる水流と干渉しなくなり、気泡の発生がさらに抑制されるという効果を奏する。
図5に示すように、回転羽根450には、大径羽根460の縁部のうち上端縁部に段部472、外側縁部に段部482がそれぞれ形成されている。
この回転羽根450においても、大径羽根460の下端縁部はテーパ状に形成されており、この下端縁部は開口部463を有する円盤状の環状部材462で連結されている。
また、隣り合う大径羽根460の間には補助羽根468が設けられており、補助羽根468においても、その上端縁部に段部474、外側縁部に段部484がそれぞれ形成されている。
環状部材462は逆円錐台の側面形状を成しており、その外周部の上面は、大径羽根460の段部482及び補助羽根468の段部484の外周端部よりも外側に突出した平面形状の環状平坦部464とされている。
また段部474は、補助羽根468の上端縁部の全長に亘ってそれぞれ形成されている。
このような形状を備えることにより、大径羽根460で撥ね上げられる水流は、回転羽根450の回転軸を中心とする円の接線方向に向けられることとなり、段部472の前後における水流が均一となる。このため、乱流の発生を軽減して水流への気泡の混流を抑制することができる。
このような構成により、この排水ポンプにおいては、大径羽根460の段部472及び482、並びに補助羽根468の段部474及び484の相乗作用により、排出される水の気液境界面の位置が回転羽根450の回転軸からより離れた位置となる。また、大径羽根460の上端に形成された傾斜面472a及び472bにより、回転羽根450で形成される水流に乱流が発生するのを抑制する。このため、回転羽根の吸い込み能力を向上させるとともに振動と騒音を低減することができる。
さらに、環状平坦面464によって、環状部材462の底面に沿って上昇する水流が、大径羽根460及び補助羽根468の外側端縁部を跨いで流れる水流と干渉しなくなり、気泡の発生がいっそう抑制されるという効果を奏する。
図6は、本発明の第2実施例による排水ポンプのポンプ本体の概要を示す図である。ここで、図6aは、ポンプ本体530を後述の吐出口546の中心線を通る面で切断した縦断面図であり、図6bは、回転羽根550を取り除いたポンプ本体530を吐出口546の中心線を通る面で切断して斜め下方から見た斜視図である。図6aに示された回転羽根550は、図3に示された回転羽根250と同等のものであり、例えば図8に示されたようなモータ10に連結され、回転可能とされる。
図6に示すように、第2実施例による排水ポンプのポンプ本体530は、上部が開口したハウジング540と、ハウジング540の上部開口と嵌合するカバー532と、ハウジング540及びカバー532により画定されたポンプ室544内に配置された回転羽根550とを備えている。ここで、ポンプ本体530を構成する前述の各部品は、例えばプラスチック製とすることができる。
ハウジング540は、内部に形成されたポンプ室544と、下方からポンプ室544に連通する吸込口543を有するパイプ状の吸込管542と、ポンプ室544の側面に設けられてポンプ室544と外部とを連通する吐出口546を有するパイプ状の吐出管545とを有している。符号546aは、吐出口546がポンプ室544に開口する吐出口入口である。
一方、カバー532は、ハウジング540の上部開口に嵌合する環状の側壁部533を有し、シール部材534を挟みこんだ状態でハウジング540と連結されている。
上記環状の側壁部533の下端533aは、吐出口入口546aの上端と同一の高さまで伸びるとともに、環状の側壁部533の内側面533bは吐出口入口546aからカバー532の内側中心方向に突出する形状に形成されている。
まず図示されないモータを回転させると回転羽根550が回転し、吸込口543からポンプ室544内に水が吸い込まれ、吸い込まれた水は吐出口546から排出される。
吸込口543から吸い込まれた水は、回転羽根550により遠心力を付与されるため、当該回転羽根550の径方向にて内側に空気層、外側に水の層が出来、その境界に気液境界面と呼ばれる空気と水の混じりあう泡の層が形成される。
気液境界面に発生した気泡は、回転羽根550の上端を越える際、遠心力により外周方向へと押し流される。
したがって、本第2実施例においても第1実施例と同様に、ポンプ室544から吐出口入口546aに流入する水の多くは遠心力の作用が強い吐出口入口546aと対向する部分(ポンプ室544の吐出口入口546aの部分)からの水となって、ポンプ室544の上側外周部に達した泡を多く含んだ水が吐出口入口546aに流入する量が低減される。この結果、ポンプ室544から吐出口入口546aに流入する水、すなわち吐出口546から流出する排水に気泡が混入することが抑制され、運転時の静粛性を図ることができる。
これにより、吐出口546から排出される水は、上記した見かけ上の上側ポンプ室から排出されることとなり、見かけ上の下側ポンプ室からの水流と干渉することなく安定するという効果を奏する。
なお、本第2実施例においては、図2、4又は5に示されたような回転羽根を用いることも可能である。
図7に示すように、従来の排水ポンプと本発明の第1実施例による排水ポンプとは、周波数に対する音圧レベルで同様の発生傾向を示している。
しかし、聴感上、騒音として感じやすい1000〜3000Hz程度の周波数帯域においては、本発明の第1実施例による排水ポンプの方が従来の排水ポンプよりも音圧レベルが低くなる傾向を示すことが、実験により確認された。
きる。
例えば、上記実施例では、排水ポンプのカバーにおいて環状の側壁部をカバーと一体で形成する場合を例示したが、当該環状の側壁部を別体で構成してポンプ室内に配置するように構成してもよい。
特に、図9に示す従来の排水ポンプのカバーと比較して本発明の排水ポンプのカバーが突出している環状部分のみを別体のリング部材として形成し、当該別体のリングをポンプ室内に配置するようにすれば、従来の排水ポンプに上記リング部材を付加するだけで本発明の効果を得ることができる。
さらにまた、本発明に適用される回転羽根は、上述したもの以外の種々のものが適用可能である。例えば、補助羽根を大径羽根の間に複数枚配置したり、あるいは補助羽根そのものを省略したりしても良く、さらに大径羽根、補助羽根、小径羽根の枚数も上述の4枚には限定されず、さらにまたその他の構成を有する回転羽根であっても構わないことは当然である。
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記の各実施例に種々の改変を施すことができる。
132、532 カバー
140、540 ハウジング
142、542 吸込管
146、546 吐出口
146a、546a 吐出口入口
150、250、350、450、550 回転羽根
152、252、352、452、552 軸部
154 小径羽根
160、260、360、460 大径羽根
162、262、362、462 環状部材
168、268、368、468 補助羽根
Claims (5)
- モータと、上端部が開口し下端部に吸込口が設けられるとともに側部に吐出口が設けられたハウジング、前記モータに連結された回転羽根、及び中央部に貫通孔を有しかつ前記ハウジングの上端部に取り付けられたカバーを備えたポンプ本体と、より成り、前記ハウジング及び前記カバーによりポンプ室が画定されると共に、前記吐出口は前記ポンプ室に開口する吐出口入口を備えた排水ポンプであって、
前記ポンプ室の前記吐出口入口より上側の内径は、前記ポンプ室の前記吐出口入口の部分の内径、又は前記ポンプ室の前記吐出口入口の部分及びその下側の内径よりも小さいことを特徴とする排水ポンプ。 - 前記カバーは、前記ハウジングの前記開口に嵌合する環状の側壁部を有し、前記環状の側壁部の下端は前記吐出口入口の上端と同一の高さまで伸びるとともに、前記環状の側壁部の内側面は前記吐出口入口から前記カバーの内側に突出する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の排水ポンプ。
- 前記ハウジングは、前記吐出口入口の下端と同一の高さまで伸びるとともに、内側面が前記吐出口入口から前記ポンプ室の内側に突出する環状の突出部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水ポンプ。
- 前記回転羽根は、前記モータの出力軸に連結される軸部と、前記前記軸部から放射方向に延びる複数の大径羽根と、前記大径羽根の下端縁部に連結された複数の小径羽根と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排水ポンプ。
- 隣り合う前記大径羽根間に補助羽根がさらに設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の排水ポンプ。
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