JP2016113504A - 新規なシアニン化合物及び該化合物を含む近赤外線カットフィルタ - Google Patents

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裕介 刀祢
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拓 飯野
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一樹 新見
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Abstract

【課題】新規な近赤外線吸収色素である本発明のシアニン化合物、及び該化合物を用いた熱硬化性樹脂組成物、並びにそれを用いた耐熱性に優れたCCDやCMOS等の撮像素子用近赤外線カットフィルタの提供。【解決手段】耐熱性に優れた新規な近赤外線吸収色素である本発明のシアニン化合物、及び熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物により近赤外線カットフィルタを作製することで、前記の課題を解決できた。【選択図】なし

Description

本発明は新規なシアニン化合物、及び該化合物を含む熱硬化性樹脂組成物、並びにこれらを用いた耐熱性に優れた近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)に関する。
デジタルカメラ等に使用されているCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子は、可視域〜1100nm付近の近赤外線域に渡る分光感度を有しており、これに対して人間の目は400〜700nm付近の波長の光を感じることができる。よって撮像素子と人間の目では分光感度に大きな差があるため、撮像素子の前面に近赤外線域を吸収する近赤外線カットフィルタを備えて、人間の目の視感度に補正する必要があることはよく知られている。
撮像素子に用いられる近赤外線カットフィルタには、特許文献1のリン酸塩系ガラスにCuOを添加したガラスフィルタが知られている。しかしながら、この近赤外線吸収特性を有するガラスフィルタは非常に高価で、加工性に問題があり、光学特性を設計する自由度も狭く、球面への対応は煩雑である。またガラスフィルタの厚みを薄くするには限界があり、撮像光学系に組み込む際にはスペースの確保や軽量化に問題がある。そのため、薄膜化や球面等への成形が可能な新たな近赤外線カットフィルタを製造するための近赤外線吸収特性を有する樹脂組成物等の開発が望まれている。
そこで、近赤外線吸収色素を含有する塗布液を撮像素子表面あるいはフィルタ基材の表面にコートすることで、近赤外線カットフィルタを作製する開発が行われている。特許文献2では、シアニン化合物を近赤外線吸収色素として用いた近赤外線カットフィルタを作製しているが、耐熱性に課題がある。これに対して、特許文献3は、シアニン化合物の陰イオンを改良することで従来品よりも耐熱性を改善している。
しかし、特許文献3に記載のトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン等を陰イオンとするシアニン化合物の耐熱性でも十分とは言いえず、より耐熱性に優れた近赤外線カットフィルタの開発が強く望まれており、それを作製するための近赤外線吸収色素及び樹脂組成物の開発が強く求められている。
特開昭62−128943号公報 国際公開2012/169447パンフレット 特開2008−88426号公報
本発明は耐熱性に優れた新規な近赤外線吸収色素、及びその色素を含有する近赤外線カットフィルタを作製するための熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するべく、鋭意検討の結果、インドレニン骨格に隣接したメチン鎖上の炭素にアルキル基やフェニル基を導入した新規なシアニン化合物と熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いた近赤外線カットフィルタが前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
[1]下記式(1)で表されることを特徴とするシアニン化合物、
Figure 2016113504
(式(1)中、Rがそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシアルキル基を示し、Rはハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基又はニトロ基、pは0又は1の整数を示し、Dが下記式(2)又は式(3)のいずれかであり、Yは水素原子、塩素原子、アシルオキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基のいずれかであり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、*は結合部位を示し、Xはトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンである。)
Figure 2016113504
Figure 2016113504
[2]式(1)が下記式(4)であることを特徴とするシアニン化合物、
Figure 2016113504
(式(4)中、Rがそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシアルキル基を示し、Rはハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基又はニトロ基、pは0又は1の整数を示し、Yは水素原子、塩素原子、アシルオキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基のいずれかであり、Rはメチル基又はフェニル基、Xはトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンである。)
[3]式(2)乃至式(4)におけるYが水素原子、メチル基、アセトキシ基、又はフェニル基のいずれかである[1]又は[2]に記載のシアニン化合物、
[4]式(1)及び式(4)におけるRがメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、又はメトキシエチル基のいずれかである[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のシアニン化合物、
[5]式(1)及び式(4)のRがトリフルオロメチル基であることを特徴とするシアニン化合物、
[6][1]乃至[5]のいずれか一つに記載のシアニン化合物を少なくとも1種類含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、
[7]熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含むことを特徴とする[6]に記載の熱硬化性樹脂組成物、
[8]エポキシ樹脂がフルオレン骨格を有することを特徴とする[7]に記載の熱硬化性樹脂組成物、
[9]エポキシ樹脂が下記式(5)で表される構造を有することを特徴とする[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物、
Figure 2016113504
(式(5)中、環Zはそれぞれ独立したベンゼン環を含む縮合多環式芳香族炭化水素環、R及びRはそれぞれ独立にシアノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれ、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは0〜1の整数、xは0〜4の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数である。)
[10]式(5)において2つの環Zが共にベンゼン環であることを特徴とする[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物、
[11][1]乃至[10]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物、
[12][1]乃至[10]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物より得られる近赤外線カットフィルタ、
[13][12]に記載の近赤外線カットフィルタを具備した撮像素子、
に関する。
本発明により、耐熱性に優れた近赤外線カットフィルタを作製できる熱硬化性樹脂組成物を提供することができた。
本発明は、下記式(1)で表される新規なシアニン化合物の近赤外線吸収色素と、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物に関する。
Figure 2016113504
上記式(1)中、Rはそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシアルキル基を示す。
式(1)のRにおいて、炭素数1〜5のアルキル基としては、特に制限されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチル−プロピル基等が挙げられる。
式(1)のRにおいて、炭素数1〜5のアルコキシアルキル基としては、特に制限されるものではないが、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトチキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等が挙げられる。
式(1)のRにおいて、炭素数1〜5のアルキル基が有しても良い置換基としては、特に制限されるものではないが、例えば、アルコキシ基、アルキル基の水素がアルコキシ基に置換されたアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシ基に置換されたアルコキシアルコキシアルコキシアルキル基等;置換又は無置換のアミノ基(アルキルアミノアルキル基やジアルキルアミノアルキル基)、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基等が挙げられる。アルキル基がハロゲン化された置換基としては、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等が挙げられる。Rとしてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル、n−ブトキシエチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、メトキシエチル基が特に好ましい。
式(1)のRにおいて、炭素数1〜5のアルコキシアルキル基が有してもよい置換基としては、特に制限されるものではないが、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシアルコキシ基等;ハロゲン原子、置換又は無置換のアミノ基(ジアルキルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基等が挙げられる。
上記式(1)中、Rはハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基又はニトロ基を示す。
式(1)のRにおいて、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基は、式(1)におけるのと同義である。
式(1)のRにおいて、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基としては、式(1)におけるのと同義である。
式(1)のXは硬化物(近赤外線カットフィルタ)の耐熱性の観点からトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンが特に好ましい。
式(1)の結合基Dは下記式(2)又は式(3)で表され、*は結合部位を表す。式(2)及び式(3)のYは水素原子、塩素原子、アシルオキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基のいずれかであり、塩素原子、メチル基、フェニル基が好ましい。Rは置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基のいずれかである。
Figure 2016113504
Figure 2016113504
式(2)及び式(3)のYにおいて、アシルオキシ基は、特に制限されるものではないが、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、及びトリフルオロアセチルオキシ基等が挙げられ、アセトキシ基が好ましい。
式(2)及び式(3)のYにおいて、炭素数1〜5のアルキル基とは、特に制限されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチル−プロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
式(2)及び式(3)のYにおいて、置換基を有してもよいフェニル基の置換基としては、特に制限されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、フルオロ基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
式(2)及び式(3)のRにおいて、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基としては、式(1)のRと同義である。
式(2)及び式(3)のRにおいて、置換基を有してもよいフェニル基としては、式(2)及び式(3)のYと同義である。
本発明の近赤外線吸収色素は式(1)で表されるカチオン部位を有するシアニン化合物がより好ましく、式(2)を結合基Dとする下記式(4)で表されるカチオン部位を有するシアニン化合物が特に好ましい。式(4)中、R、R、D、Y、及びXは式(1)におけるのと同義であり、Rはメチル基又はフェニル基である。
Figure 2016113504
本発明の化合物は、例えば、特許文献3や「Dyes and Pigments、2009年、p.226」に記載の方法を参考に、次の方法で合成することができる。
式(6)で表される化合物1モル、式(7)で表される化合物1モル以上、酸触媒(特に制限されるものではないが、例えば、塩酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が挙げられる。)存在下、必要に応じてエタノール等の有機溶媒中で、例えば20〜130℃で通常30分〜5時間加熱し、下記式(8)で表されるフェニルヒドラゾン化合物を合成することができる。
Figure 2016113504
(Rはハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基又はニトロ基、pは0又は1の整数を示す。)
Figure 2016113504
(Rは置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基をあらわす。)
Figure 2016113504
上記式(8)で表されるフェニルヒドラゾン化合物1モルと、塩化亜鉛等のルイス酸存在下、必要に応じて酢酸等の溶媒中で、例えば50〜130℃で通常30分〜8時間加熱し、下記式(9)で表されるインドール化合物を合成することができる。
Figure 2016113504
上記式(9)で表される化合物1モルと、ハロゲノ基、トシル基等の脱離基をもった置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル、又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシアルキルを1モル、必要に応じてアセトニトリル等の有機溶媒中で、例えば20〜150℃で通常1〜5時間加熱し、下記式(10)で表される化合物を合成することができる。
Figure 2016113504
式(10)のAは、前記の反応工程で使用したアルキル化剤、又はアルコキシアルキル化剤の脱離基に由来するアニオンであり、Rは式(1)におけるのと同義である。
上記式(10)で表される化合物2モルと、下記式(11)又は式(12)で表される化合物1モル、及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩等の塩1モルを、必要に応じて酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ピペラジン、ピペリジン、トリエチルアミン等の塩基触媒の存在下で、エタノール、無水酢酸あるいは無水酢酸と氷酢酸の混合物のような有機溶媒中で、例えば、50〜140℃で通常10分〜10時間、好ましくは30分〜4時間加熱し、縮合させ式(1)で表される化合物を合成することができる。
Figure 2016113504
Figure 2016113504
式(11)及び式(12)のDは、一般式(1)におけるのと同義である。
式(1)で示される本発明化合物の具体例を、以下の通り化合物1〜32に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2016113504
Figure 2016113504
Figure 2016113504
Figure 2016113504
本発明により得られる近赤外線カットフィルタは、本発明の近赤外線吸収色素と熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物より得られる。また、近赤外線吸収領域を調整等の目的で必要に応じて上記式(1)以外の近赤外線吸収色素を添加してもよい。
本発明に用いられる熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは本発明においていずれも使用することができる。
本発明に用いられるウレタン樹脂について以下に説明するが、ウレタン基を分子中に含有する化合物であればいずれを用いてもよい。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートと、2つ以上のアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、それ自身公知の各種ポリイソシアネートを使用でき、特定の化合物に限定されない。ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、(o,m,又はp)−キシレンジイソシアネート、(o,m,又はp)−水添キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のジイソシアネート等が挙げられる。
2つ以上のアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、アダマンタンジオール、アダマンタントリオール、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノインデンジオール、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノインデニルジメタノール等のアルコールが挙げられる。
本発明に用いられるシアネート樹脂とは、以下に説明するが、シアネート基を分子中に含有する化合物であればいずれを用いてもよい。
シアネート樹脂としては、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマー等を挙げられる。
本発明に用いられるフェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有する化合物とアルデヒド類の縮合によってえられる熱硬化性樹脂であればよい。それ自身公知の各種フェノールとアルデヒドが使用でき、特定の化合物に限定されない。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、オルソエチルフェノール、メタエチルフェノール、パラエチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、2,6−キシレノール、オルソブチルフェノール、メタブチルフェノール、パラブチルフェノール、オルソオクチルフェノール、メタオクチルフェノール、パラオクチルフェノール、オルソノニルフェノール、メタノニルフェノール、パラノニルフェノール、オルソフェニルフェノール、メタフェニルフェノール、パラフェニルフェノール、オルソシクロヘキシルフェノール、メタシクロヘキシルフェノール、パラシクロヘキシルフェノール、カテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、ハイドロキノン等が挙げられる。
アルデヒド類としては、例えば、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド等が挙げられる。
これらのうち、熱硬化性樹脂に求められる、硬化性や耐熱性等を考慮すると、エポキシ樹脂やアミド樹脂が好ましく、さらに透明性からエポキシ樹脂単独、又は必要に応じて硬化剤を組み合わせることがより好ましい。
本発明に用いられるアミド樹脂とは、カルボン酸化合物とアミン化合物とを重縮合させることで得られる熱硬化性樹脂であればよい。それ自身公知の各種カルボン酸化合物とアミン化合物が使用でき、特定の化合物に限定されない。
カルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,2,4−ベンゼントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
これらのうち、熱硬化性樹脂に求められる、硬化性や耐熱性等の特性を考慮すると、エポキシ樹脂やアミド樹脂がより好ましく、透明性をも考慮するとエポキシ樹脂単独、又は必要に応じて硬化剤を組み合わせることが特に好ましい。以降では、本発明に好適に用いられるエポキシ樹脂について詳細に説明する。また、本発明に用いられる熱硬化性樹脂は、硬化を促進させるために必要により熱硬化性樹脂硬化剤を併用することができ、本発明に用いられる熱硬化性樹脂硬化剤は、主にエポキシ樹脂硬化剤とすることができる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂とは、エポキシ基を分子中に含有する化合物であればいずれを用いてもよいが、主に脂肪族型エポキシ樹脂、芳香族型エポキシ樹脂に分類されることから、これらについて以下に詳細に説明する。
脂肪族型エポキシ樹脂としては、脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂と脂肪族環状構造を有さないエポキシ樹脂が挙げられる。脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂は一分子中に少なくとも一つ以上の脂肪族環状構造を有するものであり、例えば、テルペンジフェノールや、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と脂肪族環構造ジエン(ジシクロペンタジエンやノルボルナジエン、ヘキサヒドロキシインデン等)との重縮合物及びこれらの変性物から誘導されるグリシジルエーテル化物、水添ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF)型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、分子内にシクロヘキシル構造、ジシクロペンタジエン構造、トリグリジジルイソシアヌレート構造をもつエポキシ樹脂等が挙げられる。
脂肪族環状構造を有さないエポキシ樹脂等としては、ヘキサンジグリシジルエーテル等の直鎖又は分岐アルコールから誘導されるグリシジルエーテル類やメタクリルグリシジル骨格を有する樹脂等が挙げられる。
前記のメタクリルグリシジル骨格を有する樹脂としては、特に制限されないが、例えばエポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体が挙げられ、市場から入手可能な製品ではマープルーフG−0115S、同G−0130S、同G-0250S、同G−1010S、同G−1005S、同G−0150M、同G−2050M(日油(株)製)等が挙げられる。エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド等が挙げられる。また他の重合性不飽和化合物の共重合体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニル置換芳香族化合物が挙げられ、例えばメチル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられるが、特にメチル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましい。
芳香族型エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物等が挙げられる。これらのうち本発明においては、耐熱性を考慮して上記式(5)のフルオレン骨格(以降、フルオレンと略記)を有するエポキシ樹脂が好適に用いられる。
式(5)の環Zで表される縮合多環式芳香族炭化水素環としては、縮合二環式炭化水素環(例えば、インデン環、ナフタレン環等の炭素数8〜20縮合二環式炭化水素環、好ましくは炭素数10〜16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合二乃至四環式炭化水素環等が挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。なお、フルオレンの9位に置換する2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であることが好ましい。
フルオレンの9位に置換する環Zの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9位に置換する縮合多環式芳香族炭化水素環がナフタレン環の場合は、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってもよく、特に2−ナフチル基が好ましい。
式(5)のRとしては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等の炭素数6〜10のアリール基)等]等の非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基(例えば、炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、置換基数xが複数(2以上)である場合、Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換するRは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対するRの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換基数xは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換基数xは、互いに同一又は異なっていてもよい。
環Zに置換するRとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜12のアルキル基であり、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましい)、シクロアルキル基(例えば、シクロへキシル基等の炭素数5〜8のシクロアルキル基であり、炭素数5〜6のシクロアルキル基が好ましい)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜14のアリール基であり、炭素数6〜10のアリール基は好ましく、炭素数6〜8のアリール基がさらに好ましい)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアリール置換の炭素数1〜4のアルキル基等)等の炭化水素基;アルコキシ基(例えばメトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基であるが、炭素数1〜6のアルコキシ基等が好ましい)、シクロアルコキシ基(炭素数5〜10のシクロアルキルオキシ基等)、アリールオキシ基(炭素数6〜10のアリールオキシ基等)等の基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基等の炭素数1〜8のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜6のアルキルチオ基等)等の基−SR(式中、Rは前記と同じ。);アシル基(アセチル基等の炭素数1〜6のアシル基等);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等の炭素数1〜4のアルコキシ置換カルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基等)等が挙げられる。
これらのうち、Rとしては、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基等であるのが好ましく、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、炭素数1〜6のアルキル基)]、アルコキシ基(炭素数1〜4のアルコキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が特に好ましい。
2つの環ZのRは同一でも、異なっていてもよい。また、同一の環Zにおいて、Rの置換基数yが2以上である場合、それぞれは互いに同一でも、異なっていてもよい。置換基数yは通常0〜8であり、0〜6が好ましく、0〜4がさらに好ましく、0〜2が特に好ましい。なお、2つの環Zにおいて、置換基数yは、互いに同一又は異なっていてもよい。
式(5)のRは、水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
式(5)のエポキシ基を有する置換基(グリシジルオキシ基という)の置換基数zは1以上であればよく、通常は1〜4であり、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1が特に好ましい。なお、置換基数zは、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。なお、グルシジルオキシ基の環Z上の置換位置は特に限定されず、環Zの適当な置換位置に置換していればよい。
式(5)のグルシジルオキシ基中のエチレンオキシ鎖数nは0〜1の整数であり、好ましくは0である。なお、nは、それぞれの環Zにおいて同一又は異なっていてもよいが、同一の整数が好ましい。
環Z上の単一又は複数のグリシジルオキシ基の置換位置は、環Zのフルオレンの9位に結合している位置に対して特に限定されず、例えば、環Zがベンゼン環の場合はオルト位、メタ位、パラ位等であってもよく、特にパラ位が好ましい。フルオレンの9位に置換する縮合多環式芳香族炭化水素環がナフタレン環の場合は、オルト位、メタ位、パラ位、アナ位、エピ位、カタ位、ペリ位、プロス位、アンフィ位、2,7位であってもよく、特にアンフィ位が好ましい。
上記の式(5)で表される具体的な化合物としては、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−グリシジルオキシフェニル)フルオレン等]、9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−グリシジルオキシ−1−ナフチル)フルオレン等]等の、上記の式(5)の置換基数zが1、nが0である化合物等が挙げられる。
フルオレン骨格を有するエポキシ化合物のエポキシ当量としては、150〜1000g/eq.が好ましく、150〜800g/eq.がより好ましく、150〜400g/eq.がさらに好ましく、150〜350g/eq.が特に好ましい。これらは市場から入手容易であるが、例えば大阪ガスケミカル株式会社製のオグソールPG−100や、オグソールCG−500等が挙げられる。
本発明で用いられる式(5)で表されるエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記式(5)で表されるエポキシ樹脂である場合が最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。他のエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール(又はクレゾール)ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂(トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等)、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂(キサンテン単位を含むエポキシ樹脂を含む)、スチルベン型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂(1,6−ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、ビス(2,7−ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン)アルカン等のナフタレン環含有エポキシ樹脂等)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有する他のエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの他のエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
他のエポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂成分全体に対する上記の式(5)で表される化合物の割合は、例えば、50〜99.5重量%、70〜97重量%が好ましく、90〜98重量%がさらに好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化促進効果を発現するものであれば、特に制限されないが、エポキシ樹脂と反応可能な官能基を一分子中に2つ以上有するものであり、エポキシ樹脂硬化剤を構成する炭素数は通常2〜200であり、炭素数2〜80が好ましく、炭素数3〜60がより好ましく、炭素数4〜40が特に好ましい。また、エポキシ樹脂硬化剤はそれ自身公知のものが使用でき、例えば、カルボキシル基、又はカルボン酸無水物基を有するカルボン酸系硬化剤、アミノ基、アミド基、ケトイミン基、イミダゾール基、ジシアンジアミド基等を有するアミン系硬化剤、フェノールノボラック等のフェノール基を有するフェノール系硬化剤等が挙げられ、硬化物の耐熱性及び透明性の観点からカルボン酸系硬化剤が好ましい。
カルボン酸系硬化剤は、分子内にカルボキシル基を一つ以上、好ましくは2つ以上、またはカルボン酸無水物基を一つ以上有するものであれば、特に限定は無く、それ自身公知のものが使用できる。本発明ではカルボン酸無水物や多価カルボン酸等を用いることができる。
カルボン酸無水物としては、具体的には、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、3,3−ジメチル無水グルタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、等のカルボン酸無水物を構成する骨格の炭素数が4〜40の酸無水物が挙げられる。特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等が、耐光性、透明性及び作業性の観点から好ましい。
多価カルボン酸は少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物であり、以降に具体例を示すが、これらの化合物に幾何異性体又は光学異性体が存在する場合は特に制限されない。多価カルボン酸としては、2官能以上のカルボン酸が好ましく、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、クエン酸等のアルキルトリカルボン酸類、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ナジック酸、メチルナジック酸等の脂肪族環状多価カルボン酸類、リノレン酸やオレイン酸等の不飽和脂肪酸の多量体及びそれらの還元物であるダイマー酸類、リンゴ酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸の直鎖アルキル二酸類、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノインデン−2,5−ジカルボン酸等のビシクロ構造を有する多価カルボン酸類等が挙げられる。
また、市販されている2官能以上のアルコール類を多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸と反応させて得られる多価カルボン酸を使用することもできる。例として、無水物又は多価カルボン酸としては、上記の化合物が挙げられ、アルコール類としては、幾何異性体又は光学異性体は特に限定されず、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物のほか、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、アダマンタンジオール、アダマンタントリオール、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノインデンジオール、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノインデニルジメタノール等の炭素数2〜30の脂肪族アルコールが挙げられる。
エポキシ樹脂硬化剤として、前述の多価カルボン酸無水物及び/又は多価カルボン酸以外の硬化剤を併用する場合、多価カルボン酸無水物及び/又は多価カルボン酸の総重量が、全硬化剤中に占める割合は30重量%以上が好ましく、40重量%以上が特に好ましい。
併用できる硬化剤としては、例えばアミン系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物等が挙げられ、その具体例としては、アミン化合物(1,4−ブタンジアミン)やポリアミド化合物(ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、テルペンとフェノール類の縮合物、その他(イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤を使用することで、硬化物の硬度を補完することが可能である。使用できるカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらカップリング剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。カップリング剤は必要に応じて用いられるが、本発明の熱硬化性樹脂組成物の総重量に対して通常0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%を添加する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じてナノオーダーレベルの無機充填剤を使用することで、透明性を阻害せずに機械強度等を補完することが可能である。用いられる無機充填剤の平均粒径は通常500nm以下であり、硬化物の透明性を考慮すると200nm以下が好ましい。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体又はこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の総重量に対して0〜95重量%の範囲で適宜用いられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物より作製される近赤外線カットフィルタの着色防止のために、光安定剤としてのアミン系化合物又は、酸化防止剤としてのリン系化合物及びフェノール系化合物を含有することができる。
前記のアミン系化合物としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられ、ヒンダートアミン系化合物が特に好ましい。
前記の光安定剤であるアミン化合物として、次に示す市販品を使用することができる。市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製、TINUVIN765、TINUVIN770DF、TINUVIN144、TINUVIN123、TINUVIN622LD、TINUVIN152、CHIMASSORB944;ADEKA製、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87、等が挙げられる。
酸化防止剤としてのリン系化合物としては特に限定されず、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記のリン系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているリン系化合物としては特に限定されず、例えば、ADEKA製として、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPP等が挙げられる。
一方のフェノール化合物としては特に限定はされず、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェノール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−〔2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル等が挙げられる。
上記のフェノール系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているフェノール系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製の、IRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX295、IRGANOX3114、IRGANOX1098、IRGANOX1520L;アデカ製の、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−90、アデカスタブAO−330;住友化学工業製の、Sumilizer GA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、Sumilizer GP、等が挙げられる。
このほか、樹脂の着色防止剤として市販されている添加材を使用することができる。例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、THINUVIN328、THINUVIN234、THINUVIN326、THINUVIN120、THINUVIN477、THINUVIN479、CHIMASSORB2020FDL、CHIMASSORB119FL等が挙げられる。
必要により併用できる添加剤としては、上記のアミン系化合物、リン系化合物、フェノール系化合物の中から少なくとも1種を含有することが好ましく、その添加率は特に限定されないが、本発明の熱硬化性樹脂組成物の全重量に対して、0.005〜5.0重量%の範囲が好ましい。
本発明の近赤外線カットフィルタを作製する際の硬化速度向上のため、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、硬化剤の種類等に応じて選択でき、例えば、アミン類[例えば、第3級アミン類(例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−1等)、イミダゾール類(例えば、2−メチルイミダゾール等のアルキルイミダゾール;2−フェニルイミダゾール等のアリールイミダゾール等)及びその誘導体(例えば、フェノール塩、フェノールノボラック塩、炭酸塩、ギ酸塩等の塩)等]、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド、ホスフィン類(トリフェニルホスフィン等)、アミド化合物(ダイマー酸ポリアミド等)、ルイス酸錯体化合物(3フッ化ホウ素・エチルアミン錯体等)、硫黄化合物[ポリサルファイド、メルカプタン化合物(チオール化合物)等]、ホウ素化合物(フェニルジクロロボラン等)、縮合性有機金属化合物(有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物等)等が挙げられる。硬化促進剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
硬化促進剤の添加率は、上記の式(5)で表されるエポキシ樹脂(又はエポキシ樹脂成分)100重量部に対して、通常、0.001〜30重量部、0.05〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、単官能性エポキシ化合物等の反応性希釈剤、溶媒等の希釈剤、又は、着色剤や安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等)の添加剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤等を含んでいてもよい。希釈剤や添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いた近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)は、基材上に設けたものでも、又、基材自体であってもよい。基材としては、一般に光学フィルタに使用し得るものであれば特に制限されないが、通常、ガラス若しくは樹脂製の基材が使用される。近赤外線カット層の厚みは通常0.05μm〜10mm程度であるが、近赤外線カット率等の目的に応じて適宜、決定される。また、CCDやCMOS等の撮像素子自体を基材とすることもできる。
本発明に用いられる樹脂製の基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリシクロアルカン、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物、及びそれらのビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を使用した近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)を作製する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、次の公知の方法が利用できる。1)熱硬化性樹脂と硬化剤に本発明の近赤外線吸収色素を溶解し、本発明の熱硬化性樹脂組成物とし、成型後、加熱硬化して樹脂板又はフィルムを作製する方法、2)本発明の近赤外線吸収色素を含有する熱硬化性樹脂組成物とし、透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス板、又は撮像素子にコーティングする方法、3)本発明の近赤外線吸収色素及び樹脂(接着剤)を含有させた熱硬化性樹脂組成物を作製し、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製する方法等である。
1)の方法は、熱硬化性樹脂と硬化剤に本発明の近赤外線吸収色素を溶解し、型内に注入し、加熱反応させて硬化させるか、又は、金型に流し込んで型内で硬い製品となるまで加熱反応させて成形する方法が挙げられる。用いる組成によって加工温度、フィルム化(樹脂板化)条件等が多少異なるが、通常、100〜200℃で30分〜5時間程度の硬化条件が適用される。本発明の近赤外線吸収色素の添加量は、目的とする近赤外線カット率に応じて適宜、決定され、作製する樹脂板又はフィルムの厚み、吸収強度、可視光透過率等によって異なるが、通常、基材樹脂の重量に対して0.01〜30重量%程度、好ましくは0.01〜15重量%程度使用される。
2)の方法は、本発明の近赤外線吸収色素をバインダー樹脂に溶解し塗料化する方法であり、塗料化する際に溶媒を用いることもできる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系の溶媒、又は、それらの混合溶媒を用いることができる。本発明の近赤外線吸収色素の濃度は、作製するコーティングの厚み、吸収強度、可視光透過率によって異なるが、バインダー樹脂に対して一般的に0.01〜30重量%程度である。このようにして得られた塗料を透明樹脂板、透明フィルム、透明ガラス板、又は撮像素子等の上にスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、オフセットコーター、スプレー等でコーティングして近赤外線カットフィルタ、又はそれを具備した撮像素子を得ることができる。
3)の方法は、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用、ポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の合わせガラス用の公知の透明接着剤に、本発明の近赤外線吸収色素を0.1〜30重量%程度添加した樹脂を用い、透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、ガラス同士を接着することにより光学フィルタを作製する。尚、それぞれの方法で混練・混合の際、紫外線吸収剤、可塑剤等の樹脂成形に用いる通常の添加剤を加えてもよい。
本発明の近赤外線カットフィルタは、撮像素子用途やディスプレイの前面板に限らず、近赤外線をカットする必要があるフィルタフィルム、例えば、断熱フィルム、光学製品、サングラス等にも使用することが出来る。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以降では、本発明の近赤外線カットフィルタを光学フィルタと略記する。
[合成例1](イソプロピルエチルケトンフェニルヒドラゾンの合成)
100ml四つ口フラスコに、エタノールを20g、2−メチル−3−ペンタノンを5.0g、フェニルヒドラジン塩酸塩を5.4g加え、還流温度で5時間撹拌した。加熱終了後、反応液を室温まで冷却し、有機溶媒を減圧留去することでイソプロピルエチルケトンフェニルヒドラゾンを5.8g得た。
[合成例2](2−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドールの合成)
200ml四つ口フラスコに、氷酢酸を100g、イソプロピルエチルケトンフェニルヒドラゾンを9.5g、塩化亜鉛を1.6g加え、還流温度で4時間撹拌した。加熱終了後、反応液を室温まで冷却し、炭酸ナトリウム水溶液で中和した。その溶液を酢酸エチルで分液、抽出し、有機溶媒を減圧留去することで2−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドールを7.6g得た。
[合成例3](1,2−ジエチル−3,3−ジメチル−3H−インドレニンヨウ素塩の合成)
100ml四つ口フラスコに、トルエンを10ml、2−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドールを4g、ヨードエタンを6ml加え、還流温度で4時間撹拌した。加熱終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した固体をろ取し、ヘキサンで洗浄、乾燥し、1,2−ジエチル−3,3−ジメチル−3H−インドレニンヨウ素塩を2.3g得た。
[合成例4](N−フェニル−2−フェニル−3−[(フェニルアミノ)メチレン]−1−シクロヘキセン−1−メタンイミン塩酸塩の合成)
500ml四つ口フラスコに、4−フェニル−1−シクロヘキセンを15.6g、N,N−ジメチルホルムアミド110gを加え、氷冷下、塩化ホスホリル73.3gをゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応溶液を95℃まで昇温し、4時間撹拌した。加熱終了後、反応液を室温まで冷却し、700gの氷水に注ぎ、撹拌しながらアニリン40gと濃塩酸100mlを加え、室温で終夜撹拌した。析出した固体をろ取し、酢酸エチルとヘキサンで再沈殿することにより精製し、N−フェニル−2−フェニル−3−[(フェニルアミノ)メチレン]−1−シクロヘキセン−1−メタンイミン塩酸塩を15.5g得た。
[合成例5](2−ベンジル−3,3−ジメチル−3H−インドールの合成)
100ml四つ口フラスコに、エタノールを20g、ベンジルイソプロピルケトンを6.8g、フェニルヒドラジン塩酸塩を5.0g加え、還流温度で7時間撹拌した。加熱終了後、反応液を室温まで冷却し、有機溶媒を減圧留去することで黄色オイルを得た。この黄色オイルを別の100ml四つ口フラスコに移し、氷酢酸50ml、塩化亜鉛を2g加え、還流温度で5時間撹拌した。加熱終了後、反応液を室温まで冷却し、炭酸ナトリウム水溶液で中和した。その溶液を酢酸エチルで分液、抽出し、有機溶媒を減圧留去することで2−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドールを8.0g得た。
[合成例6](1−エチル−2−ベンジル−3,3−ジメチル−3H−インドレニンヨウ素塩の合成)
100ml四つ口フラスコに、アセトニトリルを20ml、2−ベンジル−3,3−ジメチル−3H−インドールを4g、ヨードエタンを10ml加え、還流温度で3時間撹拌した。加熱終了後、反応液を室温まで冷却し、有機溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム/メタノール=100/1(体積比))で精製し、1−エチル−2−ベンジル−3,3−ジメチル−3H−インドレニンヨウ素塩を2.8g得た。
[実施例1](本発明の化合物11の合成)
100ml四つ口フラスコに、1−エチル−2−ベンジル−3,3−ジメチル−3H−インドレニンヨウ素塩を1.4g、N−フェニル−2−クロロ−3−[(フェニルアミノ)メチレン]−1−シクロヘキセン−1−メタンイミン塩酸塩を0.6g、トリストリフルオロメタンスルホニルメチドのカリウム塩を1.2g、酢酸ナトリウムを0.6g、酢酸を10ml、無水酢酸10mlを加え、100℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、反応溶液に純水を100ml加え、析出した固体をろ取した。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム)で精製し、本発明の化合物11を0.2g得た。
マススペクトル M=687、極大吸収波長 785nm(アセトニトリル)
[実施例2](本発明の化合物17の合成)
100ml四つ口フラスコに、1,2−ジエチル−3,3−ジメチル−3H−インドレニンヨウ素塩を2g、N−フェニル−2−フェニル−3−[(フェニルアミノ)メチレン]−1−シクロヘキセン−1−メタンイミン塩酸塩を0.9g、トリストリフルオロメタンスルホニルメチドのカリウム塩を1.6g、酢酸を10ml、無水酢酸10mlを加え、60℃で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、反応溶液に純水を100ml加え、析出した固体をろ取した。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム)で精製し、本発明の化合物17を0.3g得た。
マススペクトル M=539、極大吸収波長 773nm(メタノール)
[合成例7](特開2014−80857号に基づくエポキシ樹脂硬化剤の合成)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらメチルエチルケトン(以下、MEK)を204g、トリシクロデカンジメタノールを294g、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH)を423g、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)を99g加え、50℃で2時間反応後、70℃で4時間加熱撹拌を行なった。得られた溶液にMEKをさらに145g加えることでエポキシ樹脂硬化剤のMEK溶液1166gが得られた。得られた溶液は無色であり、濃度は70重量%であった。
[実施例3](本発明の化合物17とエポキシ樹脂組成物、及び光学フィルタの作製)
撹拌装置、温度計を設置したガラス製セパラブルフラスコに、エポキシ樹脂としてメタクリル酸グリシジル骨格ランダムポリマー(日油(株)製、マープルーフG−0150M、重量平均分子量10000、エポキシ当量310g/eq.)50.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gを入れ、20〜35℃で2時間撹拌し溶解し、次に近赤外線吸収色素として、本発明の化合物17を0.50g添加し、20〜35℃で均一になるまで撹拌することで熱硬化性樹脂組成物を得た。この熱硬化性樹脂組成物をスピンコーター上に配置したガラス基板上に滴下し、その基板を1000rpmで30秒間回転させることで基板表面をコーティングし、その後80℃で10分間乾燥させて溶媒を除去し、190℃で40分間熱硬化し、光学フィルタを得た。得られた光学フィルタは、190℃で40分間熱硬化後、210℃で10分間放置後にそれぞれ分光波形を分光光度計(島津製作所社製、紫外可視分光光度計UV−3150)を用い、光学フィルタの吸光度を300〜1100nmの範囲を1nmのサンプリングピッチで測定した。光学フィルタの分光波形の最大吸収波長における吸光度を下表1に示す。
[比較例1](下記式(1−1)で表される既存色素とエポキシ樹脂組成物、及び光学フィルタの作製)
化合物17の代わりに下記式(1−1)の化合物(特開2008−88426号公報を参照、メタノール中のλmax:781nm)を使用する以外は実施例5と同様の方法で光学フィルタの作製と分光波形の測定を行った。その結果を下表1に示す。
Figure 2016113504
[実施例4](本発明の化合物17とエポキシ樹脂組成物、及び光学フィルタの作製)
撹拌装置、温度計を設置したガラス製セパラブルフラスコに、エポキシ樹脂としてフルオレン樹脂(大阪ガスケミカル(株)製、OGSOL PG−100、エポキシ当量260g/eq.)50.0部、シクロヘキサノン67部を入れ、20〜35℃で2時間撹拌し溶解し、次に近赤外線吸収色素として、本発明の化合物17を1.0部と合成例5で得たエポキシ樹脂硬化剤を48部添加し、20〜35℃で均一になるまで撹拌することで熱硬化性樹脂組成物を得た。この熱硬化性樹脂組成物をスピンコーター上に配置したガラス基板上に滴下し、その基板を1000rpmで30秒間回転させることで基板表面をコーティングし、その後80℃で10分間乾燥させて溶媒を除去し、190℃で40分間熱硬化し、光学フィルタを得た。得られた光学フィルタは実施例3と同様の方法で分光波形を測定した。その結果を下表1に示す。
[比較例2](上記式(1−1)で表される既存色素とエポキシ樹脂組成物、及び光学フィルタの作製)
化合物17の代わりに式(1−1)の化合物を使用する以外は実施例4と同様の方法で光学フィルタの作製と分光波形の測定を行った。その結果を下表1に示す。
Figure 2016113504
[短期耐熱性比較]
実施例3、4及び比較例1、2で得られた光学フィルタにおいて、190℃で40分間放置後、210℃で10分間放置後の分光波形を比較することで、短期耐熱性の比較を行った。
先ず実施例3と同様の分光光度計を用い、実施例3、4及び比較例1、2の各光学フィルタの190℃で40分間放置後、210℃で10分間放置後の分光波形を測定した。耐熱性の比較は、実施例3、4及び比較例1、2の光学フィルタの最大吸収波長における吸光度を用いて、加熱後(190℃、40分)の吸光度に対する短期耐熱試験後(210℃、10分)の吸光度の残存率を算出し、それぞれ比較を行った。この比較により残存率が高い組成条件ほど、優れた短期耐熱性を有することを意味する。算出方法は以下の式(I)である。算出結果は以下の表2に示す。
(短期耐熱試験後(210℃、10分)の残存率)=(短期耐熱試験後(210℃、10分)の吸光度)/(加熱後(190℃、40分)の吸光度) (I)
Figure 2016113504
表2の結果から明らかなように、比較例1及び2に対し、実施例3及び4は短期耐熱試験後も本発明のシアニン化合物の残存率が高い結果となったことから、近赤外線吸収色素として式(1)で表される本発明のシアニン化合物を含む熱硬化性樹脂組成物は、近赤外線カットフィルタの製造において優れた耐熱性を有していると言える。
本発明の近赤外線吸収色素を含む熱硬化性樹脂組成物は、樹脂溶液としてスピンコート等の方法で簡便に製膜することが可能であり加工性に優れ、さらに得られた近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)は熱負荷がかかっても近赤外線吸収性能の低下が小さく耐熱性に優れていることから、各種用途の光学フィルタ、特にCCDやCMOS等の撮像素子用の近赤外線カットフィルタ(光学フィルタ)として非常に有用である。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表されることを特徴とするシアニン化合物。
    Figure 2016113504
    (式(1)中、Rがそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシアルキル基を示し、Rはハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基又はニトロ基、pは0又は1の整数を示し、Dが下記式(2)又は式(3)のいずれかであり、Yは水素原子、塩素原子、アシルオキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基のいずれかであり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基、*は結合部位を示し、Xはトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンである。)
    Figure 2016113504
    Figure 2016113504
  2. 下記式(4)で表されることを特徴とするシアニン化合物。
    Figure 2016113504
    (式(4)中、Rがそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシアルキル基を示し、Rはハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルコキシ基又はニトロ基、pは0又は1の整数を示し、Yは水素原子、塩素原子、アシルオキシ基、炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基のいずれかであり、Rはメチル基又はフェニル基、Xはトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンである。)
  3. 式(2)乃至式(4)におけるYが水素原子、メチル基、アセトキシ基、又はフェニル基である請求項1又は2に記載のシアニン化合物。
  4. 式(1)及び式(4)におけるRがメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、又はメトキシエチル基である請求項1乃至3のいずれか一つに記載のシアニン化合物。
  5. 式(1)及び式(4)におけるRがトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシアニン化合物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシアニン化合物を少なくとの1種類含む熱硬化性樹脂組成物。
  7. 熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. エポキシ樹脂がフルオレン骨格を有することを特徴とする請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. エポキシ樹脂が下記式(5)で表されることを特徴とする請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2016113504
    (式(5)中、環Zはそれぞれ独立したベンゼン環を含む縮合多環式芳香族炭化水素環、R及びRはそれぞれ独立にシアノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基から選ばれ、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、nは0〜1の整数、xは0〜4の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数である。)
  10. 式(5)において2つの環Zが共にベンゼン環であることを特徴とする請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
  12. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物より得られる近赤外線カットフィルタ。
  13. 請求項12に記載の近赤外線カットフィルタを具備した撮像素子。
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