JP2016112936A - 自動車用制振構造 - Google Patents

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三千也 杉江
Michiya Sugie
三千也 杉江
猛 井原
Takeshi Ihara
猛 井原
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Abstract

【課題】制振性を向上させることが可能な自動車用制振構造を提供する。【解決手段】自動車用制振構造1は、車体パネル810の制振のため該車体パネル810と内装材820との間に配置される制振層10と、該制振層10と車体パネル810とを接着剤71で接着した接着層70と、を備え、接着剤71の20℃における100%モジュラスが0.6MPa以下である。制振層10の平均密度は、6kg/m3以上900kg/m3以下でもよい。制振層10のヤング率は、3N/mm2以上でもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用制振構造に関する。
自動車には、ルーフパネル、ピラー、等の車体パネルが設置されている。車体パネルがアウターパネルとインナーパネルとを組み合わせた中空状車体パネル(例えばピラー)である場合、車体パネルの内部空間に加熱発泡性樹脂を入れると、例えば車体の電着及び焼付け塗装工程で受ける熱を利用して加熱発泡性樹脂を発泡させることができる。これにより、騒音の伝播が抑えられる(例えば、特許文献1参照)。
車体パネルの車室側には、意匠性や高級感を高めるために各種の内装材が取り付けられる。この内装材と車体パネルとの間には、空間が形成される。
特開2004−230834号公報
近年、ルーフパネル等の車体パネルは、軽量化のため、極力薄くすることが求められている。このため、発泡させた樹脂等を車体パネルの制振のために使用することができると、車体パネルの軽量化に繋がる。しかし、中空状でない車体パネルに上述した技術を適用することができず、通常、内装材と車体パネルとの間に加熱発泡性樹脂を入れて加熱することもできない。
以上を鑑み、本発明は、新規の自動車用制振構造を提供する目的を有している。
上記目的を達成するため、本発明の自動車用制振構造は、車体パネルの制振のため該車体パネルと内装材との間に配置される制振層と、該制振層と前記車体パネルとを接着剤で接着した接着層と、を備える、態様を有する。前記接着剤の20℃における100%モジュラスは、0.6MPa以下でもよい。
本発明によれば、制振性を向上させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
制振構造の例を模式的に示す図。 (a)〜(c)は制振構造の例を模式的に示す断面図。 (a)〜(c)は制振構造の例を模式的に示す断面図。 (a)〜(d)は制振構造の例を模式的に示す断面図。 (a)〜(c)は制振構造の例を模式的に示す断面図。 (a)〜(c)は制振構造の例を模式的に示す断面図。 (a),(b)は制振構造の例を模式的に示す断面図。 電力変換層からの電力を使用するシステムの例を模式的に示す図。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本技術の概要:
まず、図1〜8を参照して本技術の概要を説明する。尚、図1〜8は模式的に示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。
[態様1]
本技術の自動車用制振構造1は、車体パネル810の制振のため該車体パネル810と内装材820との間に配置される制振層10と、該制振層10と前記車体パネル810とを接着剤71で接着した接着層70と、を備える。本技術は、前記接着剤71の20℃における100%モジュラスが0.6MPa以下である、態様を有する。
上記態様は、20℃における100%モジュラスが0.6MPa以下と低モジュラスの接着剤71が使用されているので、接着剤71の硬化による車体パネル810の歪みが抑制される。このため、車体パネル810と内装材820との間に配置される制振層10を好適に接着剤71で車体パネル810に接着することができる。従って、上記態様は、制振性を向上させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
ここで、接着層には、接着剤が面方向(例えば方向D2)へ隙間無く埋まった層、接着剤が面方向へ断続的に存在する層、等が含まれる。
接着剤のモジュラスの概念には、接着層を形成する前の接着剤から形成された所定形状の試験片のモジュラスが含まれる。
[態様2]
前記制振層10の平均密度は、6kg/m3以上900kg/m3以下でもよい。前記制振層10のヤング率は、3N/mm2以上でもよい。本態様は、制振性をさらに向上させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
[態様3](例えば図2〜5参照)
前記制振層10は、繊維が膠着した繊維層32であって前記接着層70に接した繊維層32を有してもよい。この態様は、制振層10の接着面10bに繊維があるので、車体パネルと制振層との接着を強くすることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
[態様4](例えば図3(a)参照)
前記制振層10は、前記内装材820に面する吸音層34と、該吸音層34と前記接着層70との間の発泡材層31と、を有してもよい。この態様は、発泡材層31により制振層10が軽量化され、吸音層34に音波が吸収されるので、軽量で吸音性を向上させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
[態様5](例えば図3(b),(c)及び図4(a)〜(d)参照)
前記制振層10は、前記内装材820に対向する面10aから凹んだ穴36,38が複数形成された吸音層35,37を有してもよい。この態様は、穴36,38に入った音波をヘルムホルツ共鳴管の原理により減衰させることが可能であるので、制振層の厚肉化を抑制しながら吸音性を向上させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
[態様6](例えば図5(a)〜(c)及び図6(a),(b)参照)
前記制振層10は、厚み方向D1への熱の輻射を抑制する遮熱層39、厚み方向D1への水分の移動を抑制する防湿層40、繊維強化樹脂層41、及び、臭気を軽減させる消臭層42の少なくとも一つを有してもよい。この態様は、遮熱性、防湿性、剛性、及び、消臭性の少なくとも一つを向上させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
[態様7](例えば図6(c)参照)
前記制振層10は、木質系材料を成形した木質系材料層43を少なくとも有してもよい。木質系材料層43は、湿度を調整する機能、吸音する機能、車体パネル810の剛性を補強する機能、及び、厚み方向D1への伝熱を抑制する機能を発揮する。従って、本態様は、調湿性、防音性、剛性、及び、断熱性を向上させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
[態様8](例えば図7(a),(b)及び図8参照)
前記制振層10は、該制振層10に加わる振動と熱の少なくとも一方を電力に変換する電力変換層44,45を有してもよい。電力変換層44,45を有する制振層10は、車体パネル810の振動と熱の少なくとも一方を抑制したうえ、バッテリーの代わりとなる電力を生み出す。従って、本態様は、バッテリーの電力消費を低減させることが可能な自動車用制振構造を提供することができる。
尚、上記態様2〜8においては、20℃における100%モジュラスが0.6MPaよりも大きい接着剤71を使用することも可能である。
(2)自動車用制振構造の具体例:
図1は、本技術の自動車用制振構造1を自動車800の天井部801に適用した例を模式的に示している。図1の下部には自動車の内装の例を模式的に示し、図1の上部には天井部801の要部の垂直断面を模式的に例示している。図中、FRONTは自動車800の前を示し、REARは自動車800の後を示す。符号C1は、車室を示す。符号O1は、車外を示す。符号D1は、制振層10、接着層70、車体パネル810、及び、内装材820の厚み方向を示す。
図1に示す自動車800は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車とされ、車室C1の中に乗員用の座席830を有する乗用自動車とされている。尚、本技術を適用可能な自動車は、ワゴンタイプ以外にも、セダンタイプ等でもよい。図1に示す自動車800の車室C1は、車体パネル810に取り付けられた内装材820で囲まれている。
車体パネル810は、例えば、鋼板といった金属で形成される。車体パネル810は、車体の天井部801を形成するルーフパネル811、ルーフパネル811を支えるピラー、ドアを形成するドアパネル、車体の床部を形成するフロアパネル、等を含む。内装材820は、例えば、熱可塑性樹脂といった合成樹脂で形成され、不織布や織布といった表皮材で加飾されてもよい。内装材820は、ルーフパネル811の車室側に設けられるルーフライナー821、ピラーの車室側に設けられるピラートリム823、ドアパネルの車室側に設けられるドアトリム822、等を含む。尚、ルーフライナーはルーフトリム等とも呼ばれ、ピラートリムはピラーガーニッシュ等とも呼ばれる。図1に示すルーフライナー821には、ルームランプ84(負荷83)が取り付けられている。
制振層10は、車体パネル810の制振及び補剛のため該車体パネル810と内装材820との間に配置される。尚、補剛とは部材の剛性を補強することを意味し、車体パネルの補剛とは車体パネルの剛性を補強することを意味する。図1に示す制振層10は、ルーフパネル811とルーフライナー821との間に配置されている。制振層10には、後述するように、様々な材料を用いることができる。制振層10の概念には、図2〜8に示す制振層11〜20が少なくとも含まれる。
制振層10において内装材820に対向する面10aは、図1等に示すように内装材820と接触してもよいし、図2(b)に示すように内装材820から離隔してもよい。図1等に示すように制振層10と内装材820とが接触していると、内装材820が制振層10を支持するので、車体パネル810の制振性が向上する。一方、図2(b)に示すように制振層10と内装材820との間に隙間CL1があると、制振層10の形状の自由度が向上する。
制振層10において車体パネル810に対向する接着面10bは、接着層70と接着している。
制振層10の厚みT1は、車種に応じて設計すればよいが、例えば、50mm程度以下(より好ましくは40mm程度以下、さらに好ましくは30mm程度以下)とすることができる。厚みT1の下限側については、例えば、0.5mm以上(より好ましくは1.0mm程度以上、さらに好ましくは1.5mm程度以上)とすることができる。
制振層10の平均密度は、例えば、900kg/m3程度以下(より好ましくは500kg/m3程度以下、さらに好ましくは100kg/m3程度以下、特に好ましくは39kg/m3程度以下)とすることができる。尚、平均密度は、制振層10が厚み方向D1において密度の偏りがある場合には偏りを平均化した密度とする。例えば、面積S1における厚みT1の制振層10の重量をW1とすると、平均密度は、W1/(S1×T1)となる。平均密度を前記上限以下にすると、軽量の制振構造で車体パネルの制振性が得られる。平均密度の下限側については、例えば、6kg/m3程度以上(より好ましくは8kg/m3程度以上、さらに好ましくは10kg/m3程度以上)とすることができる。平均密度を前記下限以上にすると、車体パネルの良好な制振性が得られる。
制振層10のヤング率(引張弾性率)は、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。尚、ヤング率は、JIS K7161-1:2014(プラスチック−引張特性の求め方)の引張弾性率Etに準拠して測定することができる。ヤング率を前記下限以上にすると、車体パネルの良好な制振性が得られる。
接着層70は、制振層10と車体パネル810とを接着剤71で接着している。接着剤71は、接着面10bに沿った面方向(例えば図1に示す方向D2)において、断続的に存在してもよいし、図2(c)に示すように隙間無く存在してもよい。制振層10の接着面10b、又は、車体パネル810の接着面810bに対して間隔を空けて接着剤71を線状に塗布すると、図1に示すように接着剤71同士の間に隙間72が形成される。接着面に対して間隔を空けて接着剤71を点状に塗布する場合も、隙間72が形成される。隙間72が形成されると、厚み方向D1への伝熱を抑制するという断熱性能が向上する。
接着剤71の100%モジュラス(所定伸び引張応力)は、−40〜+80℃において0.8MPa以下が好ましい。例えば、接着剤71の20℃における100%モジュラスは、0.6MPa以下が好ましい。20℃における100%モジュラス0.6MPaの接着剤の−40℃における100%モジュラスは0.8MPaとなるので、接着剤71の−40℃における100%モジュラスは0.8MPa以下が好ましい。20℃における100%モジュラス0.6MPaの接着剤の80℃における100%モジュラスは0.5MPaとなるので、接着剤71の80℃における100%モジュラスは0.5MPa以下が好ましい。尚、温度Teにおける100%モジュラスは、JIS K7113:1995(プラスチックの引張試験方法)に規定される2号試験片を接着剤71から形成して温度Teで前記試験片に100%の伸びを与えたときの応力とする。接着層70を形成する前の接着剤から形成された2号試験片を用いてもよい。車体パネルが薄い場合、接着剤の100%モジュラスが前記上限を超えると、接着剤の硬化(例えば収縮)により車体パネルが歪み、この歪みが自動車の外観に現れてしまう。接着剤の100%モジュラスを前記上限以下にすると、接着剤の硬化による車体パネルの歪みが抑制され、自動車の外観が向上する。100%モジュラスの下限側については、例えば、0.01MPa以上とすることができる。
接着剤71の硬化速度は、例えば、24時間後に直径1.00〜1.02mmの針に荷重0.49Nを加えたときに深度3mm以上とすることができる。尚、接着剤を段ボールといった接着面に10mm程度の幅で直線的に塗布し、24時間後に荷重0.49Nで針を突き刺したときの針の深度を硬化速度とする。
接着剤71のタックフリー時間は、例えば、90分以上とすることができる。尚、接着剤をガラス板に0.1〜3.0mm程度の厚みで塗布し、温度20℃、湿度65%の雰囲気中で指に付着しなくなる時間をタックフリー時間とする。
接着剤71の伸び率(切断時伸び)は、例えば、800%以上とすることができる。尚、伸び率は、JIS K7113:1995に規定される2号試験片を接着剤71から形成し該試験片に伸びを与えて該試験片が切断したときの伸びの初期に対する比率(%)とする。
接着剤71の引張強度(切断時引張強さ)は、例えば、0.8N/mm2以上とすることができる。尚、引張強度は、JIS K7113:1995に規定される2号試験片を接着剤71から形成し該試験片に伸びを与えて該試験片が切断したときに記録される引張力を初期断面積で除した値とする。
20℃における100%モジュラスが0.6MPa以下である接着剤には、例えば、シーカ社Sikaflex(登録商標)-234等を用いることができる。
上述した接着剤71を制振層10の接着面10b、又は、車体パネル810の接着面810bに塗布して接着層70を形成し、制振層10が車体パネル810と内装材820との間に配置されると、制振構造1が形成される。ここで、低モジュラスの接着剤71が使用されているので、接着剤71の硬化による車体パネル810の歪みが抑制され、自動車の外観が向上する。また、車体パネル810から内装材820を取り外すことにより、制振層10を容易に交換することができる。
次に、制振層10の具体例を説明する。尚、図2,3,5〜7では、ルーフパネル811(車体パネル810)とルーフライナー821(内装材820)を模式的に対向面のみ示している。
(3)制振層の第一具体例:
図2(a)に例示する制振構造1は、接着層70に接した繊維層32を有する制振層11を備えている。この制振層11は、ルーフパネル811に面する繊維層32、ルーフライナー821に面する繊維層33、及び、繊維層32,33の間の発泡材層31を有している。
繊維層32,33は、繊維が膠着した層であり、発泡材層31よりも薄い層である。繊維層32,33には、例えば、植物繊維が膠着した紙、布、フェルト、木質系材料、等を用いることができる。制振層の接着面10bに繊維層32の繊維があると、ルーフパネルと制振層との接着が強くなる。
発泡材層31は、気泡を多数有する層である。発泡材層31には、例えば、合成樹脂を発泡させた状態で成形した硬質ウレタンフォームといった樹脂発泡品、炭素繊維強化樹脂(CFRP)やガラス粉といった充填材を添加した合成樹脂を発泡させた状態で成形した樹脂発泡品、多数の発泡性樹脂粒子を発泡させた状態で成形した樹脂発泡品、等を用いることができる。発泡材層31の密度は、例えば、200kg/m3程度以下(より好ましくは100kg/m3程度以下、さらに好ましくは39kg/m3程度以下)とすることができる。密度の上限側については、例えば、6kg/m3程度以上(より好ましくは8kg/m3程度以上、さらに好ましくは10kg/m3程度以上)とすることができる。
制振層11の平均密度は、比較的厚い発泡材層31の密度が支配的であり、例えば、6〜200kg/m3程度(より好ましくは8〜100kg/m3程度以下、さらに好ましくは10〜39kg/m3程度以下)とすることができる。制振層11のヤング率は、上述したように、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。
本具体例は、制振層11に発泡材層31があるので軽量化される。また、制振層11の接着面10bに繊維層32の繊維があるので、車体パネルと制振層との接着を強くすることが可能である。さらに、発泡材層31が空気を含んでいるので、厚み方向D1への伝熱が抑制される。尚、図2(b)に示すように制振層11とルーフライナー821との間に隙間CL1があってもよく、図2(c)に示すように接着剤71が接着層70に隙間無く存在してもよい。
(4)制振層の第二具体例:
図3(a)に例示する制振構造1は、吸音機能を発揮する吸音層34を有する制振層12を備えている。この制振層12は、ルーフライナー821に面する吸音層34、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、吸音層34と繊維層32との間の発泡材層31を有している。すなわち、発泡材層31は、吸音層34と接着層70との間にある。発泡材層31及び繊維層32は、第一具体例と同様であるので、詳しい説明を省略する。第三具体例以降も、同様である。
吸音層34には、例えば、繊維を集合させたフェルトといった繊維集合体、連泡ウレタンといった連続気泡タイプのスポンジ(連続気泡成形品)、チップウレタンといった樹脂発泡品の粉砕物の集合体、等を用いることができる。前記繊維の材料には、熱可塑性樹脂といった合成樹脂(エラストマーを含む)、添加剤を添加した合成樹脂、無機繊維、再生綿といった再生繊維、等を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)といったポリエステル、ポリプロピレン(PP)といったポリオレフィン、ポリアミド、ガラス繊維、レーヨン繊維、衣料反毛繊維、さらに防カビ材や防臭剤といった添加材を添加した材料、これらの材料の組合せ、等を用いることができる。吸音層34の密度は、例えば、400kg/m3程度以下(より好ましくは250kg/m3程度以下、さらに好ましくは100kg/m3程度以下、特に好ましくは39kg/m3程度以下)とすることができる。密度の上限側については、例えば、6kg/m3程度以上(より好ましくは8kg/m3程度以上、さらに好ましくは10kg/m3程度以上)とすることができる。
制振層12の平均密度は、発泡材層31と吸音層34の密度が支配的であり、例えば、6〜300kg/m3程度(より好ましくは8〜150kg/m3程度以下、さらに好ましくは10〜39kg/m3程度以下)とすることができる。制振層12のヤング率は、上述したように、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。
本具体例は、制振層12に発泡材層31があるので軽量化される。また、車外O1から発泡材層31等を通り抜けた音波や、車室C1からルーフライナー821を通り抜けた音波が吸音層34に吸収される。従って、本具体例は、軽量でさらなる静音化を図ることが可能である。
(5)制振層の第三具体例:
車体パネル810と内装材820との隙間は、車室C1を拡大するため限られている場合も多々ある。このような場合、図3(b),(c)及び図4(a)〜(d)に示すように穴36,38を設定し、ヘルムホルツ共鳴管の原理によりさらなる吸音効果を狙ってもよい。尚、図4(a)〜(d)は、各種の制振構造1の要部を模式的に示している。
図3(b)及び図4(a)に例示する制振構造1は、ルーフライナー821に対向する面10aから凹んだ穴36が複数形成された吸音層35を有する制振層13を備えている。この制振層13は、ルーフライナー821に面する吸音層35、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、吸音層35と繊維層32との間の発泡材層31を有している。吸音層35には、厚み方向D1へ貫通した穴36が複数形成されている。例えば、第一具体例の繊維層33に多数の貫通穴36を形成すると、吸音層35が形成される。また、吸音層35には、熱可塑性樹脂といった合成樹脂の成形品等も用いることができる。吸音層35の穴36は、平面視略円形、平面視スリット状、等の形状にすることができる。
尚、制振層13の平均密度及びヤング率は、第一具体例と同様である。
車外O1から発泡材層31等を通り抜けた音波や、車室C1からルーフライナー821を通り抜けた音波は、穴36に進入するとヘルムホルツ共鳴管の原理により共鳴して共振周波数を中心としてエネルギーが減衰する。共振周波数は、平面視略円形の場合における穴36の直径、又は、平面視スリット状における穴36の幅に応じて変えることができる。従って、本具体例は、吸音特性の中心周波数を選択することが可能であるという利点があり、制振層の厚肉化を抑制しながらさらなる静音化を図ることが可能である。
(6)制振層の第四具体例:
図3(c)に例示する制振構造1は、ルーフライナー821に対向する面10aから凹んだ穴36,38が複数形成された吸音層35,37を有する制振層14を備えている。この制振層14は、ルーフライナー821に面する吸音層35、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、吸音層35と繊維層32との間の吸音層37を有している。吸音層37には、厚み方向D1へ貫通した穴38が複数形成されている。例えば、第一具体例の発泡材層31に多数の貫通穴38を形成すると、吸音層37が形成される。また、吸音層37には、CFRPといった繊維強化樹脂の成形品等も用いることができる。吸音層37の穴38は、平面視略円形、平面視スリット状、等の形状にすることができる。
尚、制振層14の平均密度及びヤング率は、第一具体例と同様である。
車外O1からルーフパネル811等を通り抜けた音波や、車室C1からルーフライナー821等を通り抜けた音波は、穴36,38に進入するとヘルムホルツ共鳴管の原理により共鳴して共振周波数を中心としてエネルギーが減衰する。穴38による共振周波数は、平面視略円形の場合における穴38の直径、又は、平面視スリット状における穴38の幅に応じて変えることができる。従って、本具体例も、吸音特性の中心周波数を選択することが可能であるという利点があり、制振層の厚肉化を抑制しながらさらなる静音化を図ることが可能である。また、吸音層37の穴38を吸音層35の穴36よりも大きくすることができるので、本具体例は、吸音特性について第三具体例よりも低周波数側の中心周波数を選択することが可能であるという利点がある。
また、吸音機能を発揮する吸音材38Dを吸音層37の穴38に入れることも可能である。吸音材38Dには、繊維集合体、連続気泡成形品、樹脂発泡品の粉砕物の集合体、等、第二具体例の吸音層34に使用可能な材料を用いることができる。吸音材38Dを用いた制振構造1は、上述したヘルムホルツ共鳴管の原理による吸音効果を得ることができるうえ、吸音材38Dによる吸音効果を得ることができる。
尚、吸音特性を変更したり、ルーフライナー821のグロメットを受けたりするために、図4(b)〜(d)に示すような制振構造1を採用してもよい。尚、制振層10の概念に制振層14A〜14Cが含まれ、穴36の概念に穴36A〜36Cが含まれ、穴38の概念に穴38A〜38Cが含まれる。
図4(b)に示す制振層14Aは、吸音層37において吸音層35に対向する面から凹んだ貫通していない穴38Aを有し、この穴38Aに繋がる貫通穴36Aを吸音層35において有している。これらの穴36A,38Aは、同じ大きさである。穴36A,38Aが同じ大きさであるとは、平面視略円形の穴の場合には直径が同じであることを意味し、平面視スリット状の穴の場合には幅が同じであることを意味する。本変形例は、穴36A,38Aの大きさに応じた中心周波数の吸音特性を向上させることが可能である利点がある。
図4(c)に示す制振層14Bは、ルーフライナー821に対向する面10aから凹んだ比較的大きな穴36Bと、この穴36Bからさらに凹んだ貫通していない穴38Bとを有している。穴36Bは、吸音層35を貫通したうえ、吸音層37の途中まで凹んでいる。本変形例は、ルーフライナー821に対向する穴36Bが大きくなるので、ルーフライナー821のグロメットを制振層14Bに嵌合させることが可能になるという利点がある。
図4(d)に示す制振層14Cは、グロメットの抜け止め部35a,37aが穴36C,38Cに形成された吸音層35,37を有している。抜け止め部35a,37aは、穴36C,38Cにおいて内側へ延出し、穴36C,38Cにグロメットが嵌入されると外側へ拡がってグロメットに摩擦力を加える。本変形例は、ルーフライナー821のグロメットを制振層14Cに嵌合させたときにグロメットが制振層14Cから外れ難くなるという利点がある。
(7)制振層の第五具体例:
上述したように、制振層10が発泡材層31を有し、接着層70が隙間72を有していると、断熱性能が向上する。一方、天井部801では、太陽を熱源とした輻射熱が支配的であるので、厚み方向D1への熱の輻射を抑制する遮熱機能を制振層10に付加することが考えられる。
図5(a)に例示する制振構造1は、厚み方向D1への熱の輻射を抑制する遮熱層39を有する制振層15を備えている。この制振層15は、ルーフライナー821に面する遮熱層39、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、遮熱層39と繊維層32との間の発泡材層31を有している。
遮熱層39には、例えば、金属箔、金属シート、金属膜、金属蒸着フィルム、金属粒子と金属酸化物粒子の少なくとも一方を含む塗膜、等を用いることができる。金属としては、アルミニウム、銅、等を用いることができ、放射率が低く安価である点からアルミニウムが好ましい。例えば、発泡材層31において内装材820に対向する面10aにアルミ箔を積層すると、安価で放射率の低い遮熱層39を形成することができる。また、金属酸化物としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、等を用いることができる。例えば、酸化チタンを含む塗料を前記対向面10aに塗布すると、安価で放射率の低い遮熱層39を形成することができる。
尚、制振層15の平均密度及びヤング率は、第一具体例と同様である。
車外O1からの熱を受けて車体パネル810の温度が上昇したとき、車体パネル810からの熱の輻射は遮熱層39で反射される。特に、ルーフパネル811は太陽からの輻射熱で高温になることがあるが、高温のルーフパネル811からの伝熱が発泡材層31で抑制されたうえ、ルーフパネル811からの熱の輻射が遮熱層39で反射される。これにより、本具体例は、車室C1の温度上昇が抑制され、空調等の省エネルギー化をさらに促進することが可能となる。また、車室C1からの水蒸気が遮熱層39で遮断されるので、発泡材層31の内部の露点が下がり、制振構造1の内部が結露し難い。このため、本具体例は、防カビ性が向上し、車室内の空気の質を向上させることが可能となる。
(8)制振層の第六具体例:
図5(b)に例示する制振構造1は、厚み方向D1への水分の移動を抑制する防湿層40を有する制振層16を備えている。この制振層16は、ルーフライナー821に面する防湿層40、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、防湿層40と繊維層32との間の発泡材層31を有している。
防湿層40には、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といったポリオレフィンのフィルム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、これらのフィルムにアルミニウムといった金属を蒸着したフィルム、等を用いることができる。
尚、制振層16の平均密度及びヤング率は、第一具体例と同様である。
本具体例は、車室C1からの水蒸気が防湿層40で遮断されるので、制振構造1の内部が結露し難く、防カビ性が向上し、車室内の空気の質を向上させることが可能となる。
(9)制振層の第七具体例:
図5(c)に例示する制振構造1は、制振機能及び補剛機能を強化する繊維強化樹脂層41を有する制振層17を備えている。この制振層17は、ルーフライナー821に面する繊維強化樹脂層41、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、繊維強化樹脂層41と繊維層32との間の発泡材層31を有している。
繊維強化樹脂層41は、マトリクス樹脂に少なくとも強化繊維を添加した繊維強化プラスチック(繊維強化樹脂)で形成される。強化樹脂には、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、等を用いることができる。マトリクス樹脂は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といったポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)といったポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、等を用いることができる。例えば、マトリクス樹脂に炭素繊維を添加した繊維強化プラスチックは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と呼ばれる。繊維強化樹脂層41のヤング率は、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。
尚、制振層17の平均密度及びヤング率は、第一具体例と同様である。
本具体例は、繊維強化樹脂層41が制振層の剛性を高めるため、ルーフパネル811の補剛機能が強化され、ルーフパネル811の制振性をさらに向上させることができる。
尚、繊維強化樹脂層41の剛性が高いため、繊維強化樹脂層41をそのまま制振層10にしてもよい。図6(a)に例示する制振構造1は、制振機能及び補剛機能を発揮する繊維強化樹脂層41を制振層10として有している。この繊維強化樹脂層41とルーフライナー821との間には隙間CL1が形成されている。
本具体例は、比較的薄い繊維強化樹脂層41がルーフパネル811の剛性を補強し、ルーフパネル811の振動を抑制するので、車体パネルと内装材との間隔が狭くても車体パネルの制振性を向上させることが可能である利点がある。
(10)制振層の第八具体例:
図6(b)に例示する制振構造1は、臭気を軽減させる消臭層42を有する制振層18を備えている。この制振層18は、ルーフライナー821に面する消臭層42、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、消臭層42と繊維層32との間の発泡材層31を有している。
消臭層42には、臭気物質を物理的に吸着する物理的消臭剤、臭気物質を化学反応させて除去する化学的消臭剤、等を用いることができ、活性炭等の多孔質材料、尿素、タンニン、カテキン、等を用いることができる。
尚、制振層18の平均密度及びヤング率は、第一具体例と同様である。
本具体例は、消臭層42が臭気物質を低減させるので、車室内の空気の質を向上させることが可能となる。
(11)制振層の第九具体例:
図6(c)に例示する制振構造1は、木質系材料を成形した木質系材料層43を制振層10として備えている。木質系材料には、木材チップにバインダーを添加して成形した材料、木材そのもの、等を用いることができる。前記バインダーには、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、等を用いることができる。
尚、木質系材料層43のヤング率は、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。
木質系材料層43は、木材由来の細孔を有するため、空気中の湿度に応じて空気中の水分を吸収したり内部の水分を気化させたりする。このため、木質系材料層43は、湿度を調整する機能を発揮する。また、木材由来の細孔があり、木材チップ同士の間に隙間もあるため、吸音する機能も発揮する。さらに、木質系材料層43は、ルーフパネル811の剛性を補強する機能も発揮する。加えて、木材由来の細孔に空気があり、木材チップ同士の間にも空気があるため、厚み方向D1への伝熱を抑制する機能も発揮する。従って、本具体例は、調湿性、防音性、剛性、及び、断熱性をバランスよく兼ね備えた制振構造1を提供することができる。
(12)制振層の第十具体例:
図7(a)に例示する制振構造1は、車体パネル810の制振だけでなく制振のエネルギーを電力として出力することが可能な電力変換層44を有する制振層19を備えている。この制振層19は、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、ルーフライナー821に面する電力変換層44を有している。電力変換層44は、繊維層32に面する電極層44b、ルーフライナー821に面する電極層44c、及び、電極層44b,44cの間の圧電体層44aを有するラージサイズの圧電素子である。
圧電体層44aは、厚み方向D1への圧力変化が生じて厚みが変動すると、圧電効果により厚みに応じた電力(エネルギー)を発生する。すなわち、厚み方向D1への振動が電力という別のエネルギーに変換されるので、ルーフパネル811の振動が抑制される。厚み方向D1において圧電体層44aの両側に積層された電極層44b,44cは、外部の電気回路と電気的に接続するための電極を構成する。
圧電体層44aには、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、水晶、等の圧電体を用いることができる。電極層44b,44cには、銅やニッケルといった金属、導電性金属酸化物、等の電極材料を用いることができる。尚、電極層44b,44cに銅といった金属を用いると、電極層44b,44cが厚み方向D1への熱の輻射を抑制する遮熱層としても機能する。
尚、電力変換層44のヤング率は、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。従って、制振層19のヤング率は、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。
図8は、上記電力変換層44で生じた電力を利用する省エネルギーシステムの例を示している。尚、このシステムは、図7(b)に示す第十一具体例の電力変換層45で生じた電力を利用するシステムと同様のシステムであるので、電力変換層45の符号も付している。
図8に示す省エネルギーシステムは、蓄電回路81と制御回路82を有している。
蓄電回路81は、蓄電部81a、制振層19の電極層44bへの接続部81b、制振層19の電極層44cへの接続部81c、整流回路81d,81e、出力端子81f,81g、等を備える。蓄電部81aには、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池、大容量コンデンサ、等を用いることができる。接続部81b,81cは、銅線といった配線で電力変換層44の電極層44b,44cに接続される。整流回路81d,81eには、ダイオード等を用いることができる。出力端子81f,81gは、制御回路82の入力部82b,82cに接続される。
以上より、電力変換層44で発生した電力は、接続部81b,81cと整流回路81dを介して蓄電部81aに蓄えられることもあれば、接続部81b,81cと整流回路81d,81eと出力端子81f,81gと制御回路82を介して負荷83に供給されることもある。また、蓄電部81aに蓄えられた電力は、整流回路81eと出力端子81f,81gと制御回路82を介して負荷83に供給されることがある。
制御回路82は、操作部82a、蓄電回路81の出力端子81f,81gからの入力部82b,82c、負荷83への出力部82d、等を備える。操作部82aは、ユーザーからの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた制御信号を生成する。制御回路82は、操作部82aからの制御信号に従って、負荷83毎に電力を供給するか否かを制御する。例えば、図8の下部に示すように、負荷83がルームランプ84であり、このルームランプ84における点灯と消灯とを切り替える内蔵スイッチ82sが制御回路82にあるとする。この場合、制御回路82は、操作部82aからの制御信号が点灯を表す状態であればスイッチ82sをオンにして蓄電回路81からの電力をルームランプ84に供給する。一方、制御回路82は、操作部82aからの制御信号が消灯を表す状態であればスイッチ82sをオフにしてルームランプ84への電力供給を遮断する。ルームランプ以外の負荷83に対しても、同様にして電力を供給するか否かを制御することができる。
以上説明したように、電力変換層44を有する制振層19は、ルーフパネル811から加わる振動エネルギーを電力に変換するので、ルーフパネル811の振動を抑制する。そのうえ、バッテリーの代わりとなる電力を生み出す。従って、本具体例は、バッテリーの電力消費を低減させることが可能となる。尚、制振層19と内装材820とが接触していると、振動による電力変換層44の厚みの変化が大きくなるので、発生電力が大きくなるうえ、車体パネル810の制振性が向上する。
(13)制振層の第十一具体例:
図7(b)に例示する制振構造1は、車体パネル810の制振だけでなく熱のエネルギーを電力として出力することが可能な電力変換層45を有する制振層20を備えている。この制振層20は、ルーフパネル811に面する繊維層32、及び、ルーフライナー821に面する電力変換層45を有している。電力変換層45は、繊維層32に面する電極層45a、ルーフライナー821に面する電極層45b,45c、及び、電極層45aと電極層45b,45cの間の半導体45p,45nを有するラージサイズのペルチェ素子である。ここで、プラス電極層45bとP型半導体45pとの積層物と、マイナス電極層45cとN型半導体45nとの積層物とは、接着面10bに沿った面方向(例えば方向D2)において分けられている。そのうえで、電極層45aがP型半導体45pとN型半導体45nとを電気的に接続している。従って、電力変換層45は、ラージサイズのペルチェ素子である。
ルーフパネル811からの熱が伝わる電極層45aと、ルーフライナー821からの熱が伝わる電極層45b,45cとに温度差が生じると、電力変換層45は、ゼーベック効果により温度差に応じた電力(エネルギー)を発生する。例えば、太陽を熱源とした輻射熱等によりルーフパネル811の温度がルーフライナー821の温度よりも高くなると、ルーフパネル811の熱が電力という別のエネルギーに変換されるので、ルーフパネル811の温度上昇が抑制される。
電極層45a,45b,45cには、銅やニッケルといった金属、導電性金属酸化物、等の電極材料を用いることができる。尚、電極層45a〜45cに銅といった金属を用いると、電極層45a〜45cが厚み方向D1への熱の輻射を抑制する遮熱層としても機能する。P型半導体45pには、シリコンといった4価元素の真性半導体にホウ素やアルミニウムといった微量の3価元素を添加した半導体等を用いることができる。N型半導体45nには、シリコンといった4価元素の真性半導体にリンやヒ素といった微量の5価元素を添加した半導体等を用いることができる。
尚、電力変換層45のヤング率は、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。従って、制振層20のヤング率は、例えば、3N/mm2程度以上とすることができる。
図8は、上記電力変換層45で生じた電力を利用する省エネルギーシステムの例でもある。この例の蓄電回路81の接続部81b,81cは、銅線といった配線で電力変換層45の電極層45b,45cに接続されている。電力変換層45で発生した電力は、接続部81b,81cと整流回路81dを介して蓄電部81aに蓄えられることもあれば、接続部81b,81cと整流回路81d,81eと出力端子81f,81gと制御回路82を介して負荷83に供給されることもある。
以上説明したように、電力変換層45を有する制振層20は、ルーフパネル811から伝わる熱を電力に変換するので、ルーフパネル811の温度上昇を抑制する。そのうえ、バッテリーの代わりとなる電力を生み出す。従って、本具体例は、バッテリーの電力消費を低減させることが可能となる。
(14)変形例:
制振構造の位置は、自動車の天井部以外にも、自動車のドア部等でもよい。
上述した具体例は、互いに組み合わせることが可能である。具体例の組合せの例を、以下に示す。
・例1.図2(a)に示す繊維層32を、図6(a),(c)に示す制振層10のいずれかに追加する。例えば、図6(a)に示す繊維強化樹脂層41と接着層70との間、図6(c)に示す木質系材料層43と接着層70との間、のいずれかに繊維層32を形成する。
・例2.図2〜5及び図6(b)に示す発泡材層31の全部又は一部をフェルト層に置き換える。
・例3.図3(b)に示す穴36と同様の穴を、図5(a)に示す遮熱層39、図5(c)に示す繊維強化樹脂層41、図6(b)に示す消臭層42、図6(c)に示す木質系材料層43、図7(a)に示す電極層44c、図7(b)に示す電極層45b,45c、のいずれかに形成する。本例は、ヘルムホルツ共鳴管の原理により吸音性が向上する。
・例4.図3(c)に示す穴38と同様の穴を、図7(a)に示す圧電体層44a、図7(b)に示す半導体層45p,45n、のいずれかに形成する。本例も、ヘルムホルツ共鳴管の原理により吸音性が向上する。
・例5.図5(a)に示す遮熱層39、図5(b)に示す防湿層40、図5(c)に示す繊維強化樹脂層41、及び、図6(b)に示す消臭層42の中から選ばれる二以上の層を制振層に形成する。
・例6.遮熱層39、防湿層40、繊維強化樹脂層41、消臭層42、のいずれかを、図6(c)に示す制振層10、図7(a)に示す制振層19、図7(b)に示す制振層20、のいずれかに追加する。例えば、図6(c)に示す木質系材料層43と内装材820との間、図7(a)に示す電極層44cと内装材820との間、図7(b)に示す電極層45b,45cと内装材820との間、のいずれかに、前記の層39〜42のいずれかを形成する。
むろん、内装材820に面する接着層等、上述した具体例に示していない層を制振層に追加することも可能である。
(15)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、制振性を向上させることが可能な自動車用制振構造等の技術を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
1…制振構造、
10〜20…制振層、10a…内装材に対向する面、10b…接着面、
31…発泡材層、32…繊維層、33…繊維層、34…吸音層、
35…吸音層、35a…抜け止め部、36…穴、
37…吸音層、37a…抜け止め部、38…穴、38D…吸音材、
39…遮熱層、40…防湿層、41…繊維強化樹脂層、42…消臭層、
43…木質系材料層、
44…電力変換層、44a…圧電体層、45…電力変換層、45n,45p…半導体層、
70…接着層、71…接着剤、72…隙間、
81…蓄電回路、82…制御回路、83…負荷、84…ルームランプ、
800…自動車、801…天井部、
810…車体パネル、810b…接着面、811…ルーフパネル、
820…内装材、821…ルーフライナー、
C1…車室、CL1…隙間、D1…厚み方向、O1…車外。

Claims (8)

  1. 車体パネルの制振のため該車体パネルと内装材との間に配置される制振層と、
    該制振層と前記車体パネルとを接着剤で接着した接着層と、を備え、
    前記接着剤の20℃における100%モジュラスが0.6MPa以下である、自動車用制振構造。
  2. 前記制振層の平均密度が6kg/m3以上900kg/m3以下であり、
    前記制振層のヤング率が3N/mm2以上である、請求項1に記載の自動車用制振構造。
  3. 前記制振層は、繊維が膠着した繊維層であって前記接着層に接した繊維層を有する、請求項1又は請求項2に記載の自動車用制振構造。
  4. 前記制振層は、前記内装材に面する吸音層と、該吸音層と前記接着層との間の発泡材層と、を有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車用制振構造。
  5. 前記制振層は、前記内装材に対向する面から凹んだ穴が複数形成された吸音層を有する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の自動車用制振構造。
  6. 前記制振層は、厚み方向への熱の輻射を抑制する遮熱層、厚み方向への水分の移動を抑制する防湿層、繊維強化樹脂層、及び、臭気を軽減させる消臭層の少なくとも一つを有する、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の自動車用制振構造。
  7. 前記制振層は、木質系材料を成形した木質系材料層を少なくとも有する、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の自動車用制振構造。
  8. 前記制振層は、該制振層に加わる振動と熱の少なくとも一方を電力に変換する電力変換層を有する、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の自動車用制振構造。
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