JP2016112619A - 電動工具 - Google Patents

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裕太 野口
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【課題】インバータ回路又はモータを熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することが可能な電動工具の提供。【解決手段】モータと、スイッチング素子を用いて該モータへ駆動電力を供給するインバータ回路と、該スイッチング素子にPWM駆動信号を出力して該モータを制御するモータ制御手段と、該インバータ回路の温度を検出する回路温度検出手段と、該PWM駆動信号のデューティ比を変更することによって該温度を制御する温度制御手段と、を備え、該温度は、該モータの駆動継続時間が長くなるに従って、その上昇率を小さくしながら高くなり、該デューティ比は、該駆動継続時間が長くなるに従って、その下降率を小さくしながら低下する。【選択図】図4

Description

本発明は、モータを有する電動工具に関する。
従来から、モータによってドリルやドライバ等の先端工具を回転駆動させて所定の作業を行う電動工具が広く使用されている。このようなモータ、例えばブラシレスモータや誘導モータを駆動源とする電動工具においては、モータの回転を制御するためのインバータ回路を備えており、作業継続時間が長時間に及んだ場合や重負荷作業となった場合に、インバータ回路が有するFET等のスイッチング素子の温度が上昇し、インバータ回路が劣化又は故障する虞があった。またインバータ回路と同様に、モータ自体も温度上昇により、劣化又は故障する虞があった。
上記問題を解決するために特許文献1に記載の電動工具が提案されている。特許文献1に記載の電動工具は、インバータ回路の温度を検出し、当該温度が所定温度を超えた場合にスイッチング素子を制御するためのPWM駆動信号のデューティ比を所定値まで急激に低減することで、インバータ回路の劣化、破損を抑制している。
特開2010−069598号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電動工具においては、検出した温度が所定温度を超えた場合、デューティ比を所定値まで急激に低減する構成であるため、インバータ回路の保護を図ることはできるが、モータの駆動力を過剰に低下させる結果となり、作業効率が低下するという問題があった。
そこで本発明は、インバータ回路又はモータを熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することが可能な電動工具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、モータと、スイッチング素子を用いて該モータへ駆動電力を供給するインバータ回路と、該スイッチング素子にPWM駆動信号を出力して該モータを制御するモータ制御手段と、該インバータ回路の温度を検出する回路温度検出手段と、該PWM駆動信号のデューティ比を変更することによって該温度を制御する温度制御手段と、を備え、該温度は、該モータの駆動継続時間が長くなるに従って、その上昇率を小さくしながら高くなり、該デューティ比は、該駆動継続時間が長くなるに従って、その下降率を小さくしながら低下することを特徴とする電動工具を提供する。
このような構成によると、インバータ回路の温度は、モータの駆動継続時間が長くなるに従って上昇率を小さくしながら高くなるため、モータの継続駆動によるインバータ回路の温度上昇を抑制することができる。また、デューティ比は、駆動継続時間が長くなるに従って下降率を小さくしながら低下するため、過剰な駆動力の低下を招くことがない。これにより、インバータ回路を熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することができる。
上記課題を解決するために本発明はさらに、モータと、スイッチング素子を用いて該モータへ駆動電力を供給するインバータ回路と、該スイッチング素子にPWM駆動信号を出力して該モータを制御するモータ制御手段と、該モータの温度を検出するモータ温度検出手段と、該PWM駆動信号のデューティ比を変更することによって該温度を制御する温度制御手段と、を備え、該温度は、該モータの駆動継続時間が長くなるに従って、その上昇率を小さくしながら高くなり、該デューティ比は、該駆動継続時間が長くなるに従って、その下降率を小さくしながら低下することを特徴とする電動工具を提供する。
このような構成によると、モータの温度は、モータの駆動継続時間が長くなるに従って上昇率を小さくしながら高くなるため、モータの継続駆動によるインバータ回路の温度上昇を抑制することができる。また、デューティ比は、駆動継続時間が長くなるに従って下降率を小さくしながら低下するため、過剰な駆動力の低下を招くことがない。これにより、モータを熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することができる。
上記構成において、該温度の該上昇率が大きくなるに従って、該デューティ比の該下降率は、大きくなることが好ましい。
このような構成によると、インバータ回路又はモータの温度の上昇率が大きくなった場合に、デューティ比の下降率も大きくなる。すなわち、デューティ比が当該温度に対して柔軟に変化する。これにより、より適切にインバータ回路又はモータの温度上昇を抑制することができる。
また、該温度の該上昇率が小さくなるに従って、該デューティ比の該下降率は、小さくなることが好ましい。
このような構成によると、インバータ回路又はモータの温度の上昇率が小さくなった場合に、デューティ比の下降率も小さくなる。すなわち、デューティ比が当該温度に対して柔軟に変化する。これにより、より適切に駆動力を維持することができる。
また、該温度は、該駆動継続時間が所定期間以上経過した後は、所定温度範囲内に維持されることが好ましい。
このような構成によると、所定期間以上経過した後は、インバータ回路又はモータの温度は所定温度範囲内に維持される。従って、所定温度範囲をモータの継続駆動可能な許容最高温度を含む範囲に設定することで、インバータ回路又はモータを適切に熱的損傷から保護することができる。
また、該デューティ比は、該駆動継続時間が所定期間以上経過した後は、所定範囲内に維持されることが好ましい。
このような構成によると、所定期間以上経過した後は、デューティ比は所定範囲内に維持される。従って、所定範囲をモータの駆動力の過剰な低下を招かない範囲に設定することで、作業効率の低下をより抑制することができる。
また、該温度制御手段は、該温度の変化履歴を用いて該デューティ比を変更することが好ましい。
このような構成によると、温度の変化履歴を用いずにデューティ比を変更する構成と比較して、デューティ比をインバータ回路又はモータの温度により柔軟に対応することができる。
また、該モータは、ブラシレスモータであることが好ましい。
モータと、スイッチング素子を用いて該モータへ駆動電力を供給するインバータ回路と、該スイッチング素子にPWM駆動信号を出力して該モータを制御するモータ制御手段と、該インバータ回路又は該モータの温度を検出する回路温度検出手段と、を備え、該モータ制御手段は、該温度が許容最高温度を超えないように該PWM駆動信号のデューティ比を変更することが好ましい。
このような構成によると、スイッチング素子又はモータを熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することができる。
該モータ制御手段は、該回路温度検出手段で検出した該温度と該許容最高温度との差が大きい場合は、該差が小さい場合よりも該デューティ比を大きくすることが好ましい。
このような構成によると、回路温度と許容最高温度との差が大きい場合は、小さい場合よりもデューティ比を大きくすることができる。このため、作業効率の低下をより抑制することができる。
本発明における電動工具によれば、インバータ回路及びモータを熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することができる。
本発明における実施の形態によるハンマドリルを示す部分断面側面図である。 本発明における実施の形態によるハンマドリルの電気的構成を示すブロック図を含む回路図である。 本発明における実施の形態によるハンマドリルにおける制御部による駆動制御を示すフローチャートである。 本発明における実施の形態によるハンマドリルにおけるモータを継続駆動させた場合の回路温度とデューティ比との関係を示すタイムチャートである。 本発明における実施の形態によるハンマドリルにおける回路温度が所定温度以上となっている状態でモータが駆動開始した場合の回路温度とデューティ比との関係を示すタイムチャートである。
以下、図1乃至図5を参照しながら、本発明における実施の形態による電動工具の一例であるハンマドリル1について説明を行う。
以下の説明において、具体的な数値に言及した場合、例えば、時間について「100ms」等のように言及した場合、当該数値と完全に一致する場合だけでなく、当該数値と略同一である場合も含むものとする。また、位置関係等に言及した場合、例えば、平行、直交、反対等のように言及した場合、完全に平行、直交、反対等である場合だけでなく、略平行、略直交、略反対等である場合を含むものとする。
図1に示されているように、本発明における実施の形態による電動工具の一例であるハンマドリル1は、ハウジング2と、モータ3例えばブラシレスモータと、運動変換機構4と、出力部5と、制御基板8とを主に備えている。図1は、ハンマドリル1の部分断面側面図である。以下の説明において、運動変換機構4に対して出力部5が設けられた側を前側とし、逆を後側と定義する。運動変換機構4に対してモータ3が設けられた側を下側と定義し、逆を上側と定義する。更に、図1において後側から見た時のハンマドリル1の右側を右側と定義し、逆側を左側と定義する。
ハウジング2は、モータハウジング21と、本体部22と、ハンドル部23とを備えている。モータハウジング21は、本体部22から下方に向けて延出しており、モータ3を収容している。本体部22は、運動変換機構4を収容しており、後部上端でハンドル部23と接続している。本体部22の左側面には、ハンマドリル1の動作モードを切替える図示せぬ切替ダイヤルが本体部22に対して回転可能に設けられている。作業者は、切替ダイヤルを回転させることで、ハンマドリル1の動作モードを打撃モード及び回転打撃モードの間で切替えることができる。
ハンドル部23には、電源ケーブル11が取付けられると共に、スイッチ機構12が内蔵されている。電源ケーブル11は、外部電源である商用交流電源P(図2)に接続可能である。スイッチ機構12は、作業者に操作された引き量(操作量)に応じた始動信号を後述の制御部78に出力する。またスイッチ機構12は、作業者により操作可能なトリガ13と接続されている。電源ケーブル11を商用交流電源Pに接続し、トリガ13を操作することにより、スイッチ機構12が引き量に応じた始動信号を出力し、モータ3は駆動を開始する。
モータ3は、出力軸31と、ロータ32と、ステータ33とを備えている。出力軸31は、上下方向に延びる軸であって、回転駆動力を出力する。ロータ32は、永久磁石を有しており、出力軸31に同軸固定されている。ステータ33は、ロータ32の半径方向外方に設けられ、ロータ32と対向するように配置された3相巻線を有している。また、ステータ33の後方には、制御基板8が設けられている。制御基板8には、後述の整流平滑回路71等が搭載されている。出力軸31の先端には、ピニオンギヤ31Aが設けられており、ピニオンギヤ31Aの下方には出力軸31と同軸回転可能にファン31Bが設けられている。運動変換機構4と噛合している。なお、ハンマドリル1の電気的構成については後述する。
運動変換機構4は、第1ギヤ41と、クランク軸42と、クランクウェイト43と、クランクピン44と、コンロッド45と、回転伝達部6とを主に備えている。第1ギヤ41は、ピニオンギヤ31Aと噛合しており、クランク軸42に同軸固定されている。クランク軸42は出力軸31の後方に上下方向に延びるように配置され、本体部22に回転可能に支承されている。クランクウェイト43は、クランク軸42の上端に固定されている。クランクピン44は、クランクウェイト43から上方に延出し、その端部に固定されている。コンロッド45の後端には、クランクピン44が挿入されている。
本体部22内には、出力軸31の延出方向と直交する方向(前後方向)に延びる略円筒形状のシリンダ51が設けられている。シリンダ51内には、前後方向に摺動可能なピストン52が設けられている。ピストン52は、ピストンピン52Aを有し、ピストンピン52Aはコンロッド45の前端と接続されている。シリンダ51内の前方には打撃子53が、シリンダ51の内周に摺動(往復動)可能に設けられている。また、シリンダ51の前後方向略中央には、シリンダ51の内側から外側に貫通する呼吸孔51aが複数形成されている。
また、シリンダ51内であってピストン52と打撃子53との間には空気室54が画成されている。打撃子53の前方には、打撃子53によって打撃され、当該打撃を図示せぬ先端工具に伝達する中間子55が設けられている。以下の説明において、半径方向、円周方向、軸方向とはシリンダ51に対する方向をいう。
回転伝達部6は、第2ギヤ61と、回転伝達軸62と、ベベルギヤ63と、クラッチ64とを備えている。第2ギヤ61は、出力軸31に関して第1ギヤ41の反対側に配置され、ピニオンギヤ31Aと噛合している。また第2ギヤ61は、回転伝達軸62に同軸固定されている。回転伝達軸62は、出力軸31の前方に上下方向に延びるように配置され、本体部22に回転可能に支承されている。回転伝達軸62の上端部には、ベベルギヤ63と噛合するギヤ部62Aが設けられている。モータ3からの回転力が第2ギヤ61及びギヤ部62Aを介してベベルギヤ63に伝達されることにより、モータ3の回転数が減速される。
ベベルギヤ63は、シリンダ51の外周を覆うように、シリンダ51の後部に設けられている。ベベルギヤ63は、シリンダ51に対して相対回転可能にシリンダ51に支承されている。クラッチ64は、シリンダ51と一体的に回転し、ベベルギヤ63の前方に前後方向に移動可能に設けられている。ベベルギヤ63とクラッチ64とが接続された状態において、ベベルギヤ63が回転することでシリンダ51は回転する。また当該接続が遮断された状態においては、ベベルギヤ63は空転し、クラッチ64及びシリンダ51にその回転力は伝達されない。
出力部5は、本体部22の前方に配置され、先端工具を着脱可能に保持している。また、出力部5の後方であって本体部22の前側下部からは、下方に延びる補助ハンドル部7が設けられている。
次に、ハンマドリル1の打撃モード及び回転打撃モードの動作について説明する。
打撃モードについて説明する。ハンマドリル1は、切替ダイヤルが操作されることによって打撃モードに設定されている場合、ベベルギヤ63とクラッチ64との接続は解除された状態である。当該状態では、先端工具にはピストン52の往復動による打撃力のみが伝達される。先端工具を図示せぬ加工部材に押し当てると、打撃子53、中間子55が後方に後退し、打撃子53によりシリンダ51に形成された呼吸孔51aが塞がれ、空気室54は密閉空間となる。次に、トリガ13を引いて(トリガ13をオンし)、モータ3を回転させると、この回転力がピニオンギヤ31A及び第1ギヤ41を介してクランク軸42に伝達される。クランク軸42の回転は、運動変換機構4(クランクウェイト43、クランクピン44、コンロッド45)によって、シリンダ51内におけるピストン52の往復運動に変換される。
ピストン52の往復運動により、空気室54内の空気に圧力変動が生じて、空気室54内の空気ばねの作用により、打撃子53がピストン52の往復動に追従して往復動を開始する。打撃子53が往復動することによって、打撃子53が中間子55に衝突し、先端工具に打撃力が伝達される。これにより、加工部材が破砕される。
次に、回転打撃モードについて説明する。切替ダイヤルによって回転打撃モードに設定されている場合、ベベルギヤ63とクラッチ64とは接続された状態であり、当該状態で作業者がトリガ13を引くと、モータ3が回転し、その回転力は回転伝達部6を介してシリンダ51に伝達される。詳細には、モータ3の回転駆動力は、ピニオンギヤ31A、第2ギヤ61、回転伝達軸62に伝達され、回転伝達軸62の回転はギヤ部62A及びベベルギヤ63に伝達される。さらに、ベベルギヤ63の回転は、ベベルギヤ63とクラッチ64を介して接続されたシリンダ51に伝達され、先端工具に回転力が付与される。すなわち、回転打撃モードにおいては、打撃モードと同一の伝達経路による往復動と回転伝達部6を経由する回転力とが先端工具に伝達され、回転力と打撃力とで加工部材を破砕する。
次に図2に基づいて、ハンマドリル1の電気的構成について説明する。図2は、ハンマドリル1の電気的構成を示すブロック図を含む回路図である。ハンマドリル1は、整流平滑回路71と、インバータ回路72と、電流検出回路73と、電源供給回路74と、ホールIC信号検出回路75と、温度検出回路76と、制御信号出力回路77と、制御部78とを備えており、モータ3の回転数(回転速度)を制御可能に構成されている。
モータ3は、ステータ33及びロータ32を備える3相ブラシレスDCモータである。ステータ33はスター結線された3相の図示せぬコイルU、V、Wを備えており、コイルU、V、Wはそれぞれインバータ回路72に接続されている。ロータ32はN極、S極を1組とした永久磁石を2組含んで構成され、永久磁石に対向する位置にはホール素子32Aが配置されている。ホール素子32Aは、ロータ32の回転位置に応じた信号をホールIC信号検出回路75に出力している。
整流平滑回路71は、ダイオードブリッジ回路71A及び平滑コンデンサ71Bを備え、インバータ回路72に接続され、且つ外部電源である商用交流電源Pに電源ケーブル11を介して接続可能に構成されている。ダイオードブリッジ回路71Aは、商用交流電源Pから入力された交流電圧を全波整流する回路である。平滑コンデンサ71Bは、全波整流された電圧を平滑化する回路である。整流平滑回路71は、商用交流電源Pから入力された交流電圧をダイオードブリッジ回路71Aによって全波整流し、平滑コンデンサ71Bによって平滑化してインバータ回路72に出力する。
インバータ回路72は、モータ3に駆動電力を供給する回路であり、3相ブリッジ形式に接続された6個のFETQ1〜Q6から構成されている。6個のFETQ1〜Q6の各ゲートは制御信号出力回路77に接続され、6個のFETQ1〜Q6の各ドレイン又は各ソースは、スター結線されたコイルU、V、Wに接続されている。6個のFETQ1〜Q6は、制御信号出力回路77から入力された制御信号によってオン/オフを繰り返すスイッチング動作を行い、整流平滑回路71によって全波整流された直流電圧を3相電圧としてコイルU、V、Wに供給する。FETQ1〜Q6は、本発明におけるスイッチング素子の一例である。
電流検出回路73は、整流平滑回路71とインバータ回路72との間に接続された電流検出抵抗73Aの電圧降下値を取り込んでモータ3に流れる電流を検出し、当該電流に応じた信号を制御部78に出力する回路である。電源供給回路74は、整流平滑回路71のプラスラインに接続されており、整流平滑回路71が出力する電圧を変換且つ安定化して制御部78に出力する回路である。
ホールIC信号検出回路75は、ホール素子32Aから入力されたロータ32の回転位置に応じた信号からロータ32の回転位置及び回転数を算出して、当該回転位置を示す回転位置信号及び当該回転数を示す回転数信号を制御部78に出力する回路である。
温度検出回路76は、温度検出のための回路であり、インバータ回路72の近傍に設けられた図示せぬサーミスタ等の感温素子を含んで構成されている。温度検出回路76は、インバータ回路72を代表する温度(回路温度)として、インバータ回路72のFET6個のFETQ1〜Q6のうちの1つのFETの温度を検出している。温度検出回路76は、検出した回路温度を回路温度信号として制御部78に出力する。なお、FETQ1〜Q6のうちの複数のFETの温度を検出して、その平均温度を回路温度としてもよい。また、6個全てのFETQ1〜Q6のそれぞれの温度を検出し、検出した6個のFETの温度を全て制御部78に出力して、制御部78で平均値を算出し、当該算出結果を回路温度としてもよい。温度検出回路76は、本発明における回路温度検出手段として機能する。
制御信号出力回路77は、FETQ1〜Q6のそれぞれのゲートと制御部78とに接続され、制御部78から入力される駆動信号に基づいて6個のFETQ1〜Q6の各ゲートに制御信号を出力する回路である。FETQ1〜Q6のうち、制御信号が入力されたFETはオン状態となりモータ3への通電を許容し、制御信号が入力されたFETはオフ状態となりモータ3への通電を遮断する。
制御部78は、モータ3の駆動制御に用いる処理プログラム、各種データに基づいて演算を行う図示せぬ中央処理装置(CPU)を有する演算部と、当該処理プログラム、各種データ、各種閾値等を記憶するための図示せぬROM及びデータを一時記憶するための図示せぬRAMを有する記憶部と、時間を計測するタイマとを主に備えている。なお、本実施の形態において、制御部78はマイコンである。
制御部78は、ホールIC信号検出回路75から入力されたロータ32の回転位置信号に基づいて、所定のFETQ1〜Q6を交互にスイッチングするための駆動信号を形成し、その駆動信号を制御信号出力回路77に出力する。これによってコイルU、V、Wのうちの所定のコイルに交互に通電し、ロータ32を所定の回転方向に回転させる。この場合、負電源側に接続されているFETQ4〜Q6を制御する駆動信号は、パルス幅変調信号(PWM駆動信号)として出力される。なお、PWM駆動信号は、FETをオン/オフさせるスイッチング周期(所定時間)における信号出力継続時間の割合(デューティ比)を変更することができる信号である。
また制御部78は、スイッチ機構12からの始動信号(トリガ13の引き量に応じた信号)に基づいてモータ3の始動/停止、デューティ比を制御する。制御部78は、トリガ13の引き量に応じてデューティ比を算出し、算出されたデューティ比でモータ3の駆動を制御する。なお、トリガ13の引き量が最大の場合、制御部78によって算出されるデューティ比は100%であり、制御部78はデューティ比100%でモータ3の駆動を制御する。制御部78は、本発明におけるモータ制御手段として機能する。
さらに制御部78は、回路温度制御を行う。回路温度制御は、回路温度に基づいてデューティ比に上限値Lを設け、上限値Lを所定の時間間隔(更新時間間隔)で適宜更新(変更)することで回路温度が許容最高温度Taを大幅に超えないように抑制し、且つモータ3の駆動力を維持する制御である。回路温度制御において制御部78は、始動信号に基づいて算出したデューティ比が上限値Lを超えている場合、デューティ比を上限値Lとしてモータ3を駆動する。他方、回路温度制御において始動信号に基づいて算出したデューティ比が上限値Lを超えていない場合、始動信号に基づいて算出したデューティ比でモータ3の駆動を制御する。本実施の形態において、上限値Lの更新時間間隔は1msであり、許容最高温度Taは100℃であり、回路温度制御は回路温度が所定温度を超えている場合に実行される。また、本実施の形態において、所定温度は60℃である。なお、所定温度及び許容最高温度Taは、上記の値に限らずインバータ回路(FET等)及びモータの特性に基づいて適宜定めればよい。制御部78は、本発明における温度制御手段として機能する。
上述の所定温度から許容最高温度Taまでの温度範囲は、モータ3を継続駆動させた場合、インバータ回路72(FET等)に熱的損傷が発生する虞が多少あるが、デューティ比をある程度低減させ回路温度の上昇を抑制しながらであれば駆動継続可能な温度範囲である。なお、許容最高温度Taから許容最高温度Taを僅かに超えた温度(許容最高温度Ta+2℃程度)までの温度範囲は、モータ3を長時間継続駆動させると、インバータ回路72(FET等)に熱的損傷が発生する可能性が高く、回路温度を低下させる措置を講じなければならない温度範囲である。また、当該温度範囲(許容最高温度Ta+2℃程度)を超える温度は、インバータ回路72(FET等)に熱的損傷が発生する可能性が極めて高く、駆動を停止すべき温度である。
また回路温度制御における上限値Lは、以下に示す数式1によって算出される操作量Eを現在設定されている上限値Lに加えて更新される。
Figure 2016112619
数式1に示されるように操作量E及び偏差Aは、時間の関数である。操作量Eは、積分項の値に微分項の値を加えたものである。偏差Aは、許容最高温度Taと更新時の回路温度との差であり、具体的には許容最高温度Taから更新時の回路温度を減じた値である。
積分項の値は、偏差Aを時間で積分した積分値に積分ゲインKiを乗じた値であり、積分時間は更新時刻の所定時間前の時刻から更新時刻までである。本実施の形態において積分時間は、更新時刻の100ms前の時刻から更新時刻までである。微分項の値は、偏差Aを時間で微分した値、すなわち、更新時刻における偏差Aの傾きに微分ゲインKdを乗じた値である。なお、積分ゲインKi及び微分ゲインKdは、適宜実験などによって決定された値である。
ここで制御部78による数式1を用いた操作量E及び上限値Lの具体的な算出方法を説明する。制御部78は、数式1による操作量Eの算出及び上限値Lの更新を行う場合、数式1の右辺における積分項及び微分項を近似した以下の数式2を用いて行う。
Figure 2016112619
数式2の左辺の上限値Lは、回路温度制御が開始されてからn回目の更新によって算出される上限値Lである。すなわち、上限値Lはn回目の更新によって算出され且つ当該更新後に設定される上限値Lである。右辺の第1項目は、上限値Ln−1であり、n−1回目の更新によって算出された上限値Lを表わしている。すなわち、上限値Ln−1はn−1回目の更新によって算出された値であり、n回目の更新の際には既に設定されている上限値Lである。右辺の偏差Aは、n回目の更新時の偏差Aであり、許容最高温度Taからn回目の更新時に検出された回路温度を減じた値である。また右辺の偏差An−1は、n−1回目の更新時の偏差Aである。また、Δtは更新時間間隔と同一であり1msである。
右辺の第2項目は、n−99回目の更新時の偏差An−99にΔtを乗じた値からn回目の更新時の偏差AにΔtを乗じた値までの総和に、積分ゲインKiを乗じた値である。すなわち、右辺の第2項目は数式1の積分項を近似したものである。
第3項目は、n回目の更新時の偏差Aからn−1回目の更新時の偏差An−1を減じた値をΔtで割ったものである。すなわち、右辺の第3項目は、更新時間間隔における偏差Aの変化量(傾き)を示しており、数式1の微分項を近似したものである。なお、数式2の右辺の第2項目及び第3項目の部分は、数式1の操作量Eに相当する。
制御部78は、上限値Lのn回目の更新を行う場合、数式2の右辺の第2項目を算出するためにn−99回目の更新時の偏差An−99から今回(n回目)の偏差Aまでの総和を算出し、算出結果にΔt及び積分ゲインを乗じて第2項目を算出する。第2項目の算出が終了すると、偏差Aから前回(n−1回目)の更新時に記憶された偏差An−1を減じ、減じた値をΔtで割ることで第3項目を算出する。なお、数式2の右辺の第2項目の算出結果と第3項目の算出結果とを合算した値は、数式1の操作量Eを近似した値である。また偏差Aは、制御部78によって算出される毎に記憶される。
その後、現在設定されている上限値Lである上限値Ln−1に数式2の右辺の第2項目及び第3項目を加えることでn回目の更新後に設定すべき上限値Lを算出する。その後、制御部78は、n回目の更新時に算出された上限値Lでモータ3の駆動を制御する。なお、算出された上限値Lが100%を超えている場合、n回目の更新後に設定される上限値Lは100%とされる。
次に、図3に基づいてハンマドリル1における制御部78による駆動制御について説明する。図3は、制御部78による駆動制御を示すフローチャートである。
ステップ201においてトリガ13が作業者によって操作されると引き量に応じた始動信号がスイッチ機構12から制御部78に出力され、制御部78は引き量に応じたデューティ比でモータ3を制御する。モータ3の制御が開始されると、ステップ202において回路温度を検出する。回路温度の検出は、温度検出回路76から出力される回路温度信号に基づいて制御部78において算出される。
次にステップ203においてステップ202で検出された回路温度と許容最高温度Ta(100℃)との偏差Aが40℃以上あるか否かを判断する。言い換えれば、回路温度が所定値(60℃)を超えたか否かを判断する。偏差Aが40℃未満である場合、すなわち検出された回路温度が60℃以下である場合(ステップ203:Yes)、デューティ比に上限値Lは設けずに、言い換えれば、上限値Lを100%に設定してモータ3を駆動する。これは、許容最高温度Taと検出された回路温度との偏差Aが40℃以上ある状態であり、当該状態は作業者が最大限にトリガ13を引いてデューティ比が100%で駆動継続された場合であってもインバータ回路72(FETQ1〜Q6)に熱的損傷の虞がないと判断される状態であるためである。
ステップ203のYesの後は、ステップ203で偏差Aが40℃未満となるまで、上限値Lを100%に設定した状態、言い換えれば、上限値Lを設定しない状態で、トリガ13の引き量に応じたデューティ比を用いてステップ202、203、204を繰り返しながらモータ3を制御する。なお、本実施の形態においてステップ202、203、204を繰り返す周期は1msであり、回路温度の検出周期も1msである。
偏差Aが40℃未満である場合、すなわち、検出された回路温度が60℃を超えている場合(ステップ203:No)、ステップ205において回路温度制御を開始する。回路温度が60℃を超えた後は、ステップ202、203、205を繰り返しながら、ステップ205を通過する毎に上限値Lを更新しながらモータ3を制御する。ステップ202、203、205を繰り返す周期は1msであり、上限値Lの更新は1ms毎に行われ、n回目にステップ205を通過する際に直前のステップ203において算出された偏差Aを偏差Aとして記憶する。なお、作業者がトリガ13から指を離してスイッチ機構12から始動信号が制御部78に出力されなくなった場合には、モータ3の駆動を停止させる。
次に、図4に基づいてハンマドリル1の駆動を上述の制御フローに従って制御した場合の回路温度とデューティ比との関係について説明する。図4は、モータ3が継続駆動された場合の回路温度とデューティ比との関係を示すタイムチャートである。なお、図4に示されているタイムチャートは、作業者がトリガ13の引き量を最大にして作業した場合を示しており、当該状態においては、始動信号に基づいて算出されるデューティ比は常に100%であり、駆動制御全体として採用されるデューティ比は、上限値Lによってのみ決定される状態である。すなわち、図4のタイムチャートにおける回路温度制御中のデューティ比は常に適宜更新される上限値Lと同一の値であり、制御部78は上限値Lを変更(変更)することでモータ3の駆動制御におけるデューティ比を変更している。
図4に示されている時刻t0において、作業者がトリガ13を最大の引き量で操作し、モータ3が駆動を開始している(ステップ202に対応)。時刻t0において回路温度は20℃程度であり外気温度と略同一である。この状態では許容最高温度Taと回路温度との差である偏差Aは略80℃であるため、デューティ比の上限値Lは設けられておらず、言い換えれば、上限値Lは100%に設定されており(ステップ203のYes)、且つ引き量が最大であるため、デューティ比100%でモータ3の制御が開始されている。
時刻t0の後、モータ3はデューティ比100%で駆動を継続し、回路温度は時間に略比例しながら上昇している(ステップ202、203、204の繰り返しに対応)。その後、時刻t1で回路温度が60℃を超えると、回路温度制御が開始される(ステップ203のNo、ステップ205に対応)。回路温度制御における1回目の上限値Lの更新の場合、前回更新時の上限値L(上限値Ln−1)が存在しないため、ステップ204を一度でも通過していることを条件に、前回更新時の上限値Lを便宜的に100(%)とし、当該100(%)に操作量Eを加えた値を更新後の上限値Lとする。なお、ステップ204を一度も通過せずに1回目の更新を行う場合については後述する。
時刻t1の後は回路温度制御のもとモータ3は駆動制御され、上限値Lが適宜更新されている。時刻t1〜t2の間は、回路温度の上昇率(傾き)が比較的大きいため、言い換えれば、偏差Aの減少率(傾き)が比較的大きいため、数式1における微分項の値はマイナスの値となり、その絶対値は比較的大きい値となる。上限値Lの降下率も大きいものとなっている。これは、積分ゲインKi及び微分ゲインKdの設定によって、時刻t1〜t2における数式1における積分項の値の絶対値が、微分項の値の絶対値よりも小さくなるように設定されており、操作量Eがマイナスの値であり、その絶対値が比較的大きくなるからである。
また、上限値Lの更新により、回路温度の傾きは時刻t0〜t1の傾きよりも小さくなっており、図4のグラフに示されているように上に凸となる曲線を描き徐々に上昇している。他方、数式1(数式2)によって逐次更新されている上限値L及びデューティ比は、図4のグラフに示されているような下に凸となる曲線を描き、急激に低下するのではなく滑らかに且つ徐々に低下していく。
時刻t2の後、回路温度制御のもと上限値Lが適宜決定されながらモータ3の駆動を継続すると、時刻t1〜t2の間と同様に、回路温度はその上昇率を小さくしながら高くなり、デューティ比はその下降率を小さくしながら低下していく。
ここで回路温度の上昇率及びデューティ比の下降率について時刻t1〜t2の間と時刻t3〜t4との間を比較すると、時刻t3〜t4の間の回路温度の上昇率は、時刻t1〜2の間の上昇率と比較して小さくなり、時刻t3〜t4の間のデューティ比の下降率は、時刻t1〜2の間の下降率と比較して小さくなっている。これは、時刻t2の後、回路温度の上昇率(傾き)がさらに小さくなり、数式1における微分項の値(マイナス)の絶対値と積分項の値(プラス)の絶対値との差が比較的小さくなっており、数式1における操作量Eが依然マイナスの値であるが、その絶対値は比較的小さくなっているからである。
また、上述の数式1によって上限値Lを決定することで、偏差Aが中程度となった時刻t3〜t4の間の上限値Lは、偏差Aが比較的大きい時刻t1〜t2の間よりは低い値となっているが、回路温度の上昇をより抑制し且つモータ3の駆動力をある程度維持している。
時刻t4の後、回路温度制御のもとデューティ比の上限値Lが適宜決定されながらモータ3の駆動を継続すると(ステップ202、203、205の繰り返しに対応)、回路温度はその上昇率をさらに小さくしながら高くなり、デューティ比はその下降率をさらい小さくしながら低下していく。時刻t5となると、回路温度は許容最高温度Taと略同一となり、偏差Aは略0、数式1における微分項の値及び積分項の値も略0となるため、上限値Lは図4のグラフに示されているLsと略一致する。なお、Lsの値は、積分ゲインKi及び微分ゲインKdの定め方によって変更可能である。
時刻t5の後は、回路温度が許容最高温度Taを超えた状態でより上昇しようとすると数式1の微分項の値及び積分項の値は、マイナスの値となり、上限値Lが低下し、その結果、回路温度が低下する。また、回路温度が低下し始めると、偏差Aの変化量はプラスの値となり且つ当該変化量に比例する微分項の値もプラスの値となるが、回路温度が許容最高温度Taを超えている状態であると積分項の値はマイナスとなるため、結果的に数式1における操作量Eはマイナスとなり、回路温度が許容最高温度Ta以下となるまで上限値Lを低下する。その後、回路温度が許容最高温度Ta以下の状態で、より下降しようとすると、微分項の値及び積分項の値がプラスとなるため、上限値Lが上昇し、その結果、回路温度が上がる。このように、時刻t5以降は、回路温度は許容最高温度Ta付近(許容最高温度Ta±2℃程度)で推移し、許容最高温度Taを大きく超えることも下回ることもなく駆動が継続される。なお、許容最高温度Ta付近(許容最高温度Ta±2℃程度)は、本発明における所定温度範囲内の一例である。また、時刻t1〜t5までの時間は、本発明における所定期間の一例である。
すなわち、回路温度が許容最高温度Ta付近となった時刻t5以降は、回路温度制御によって設定される上限値Lと回路温度とが飽和状態となり、上限値LはLs付近、回路温度は許容最高温度Ta付近で略変動することなく駆動が継続される。なお、Ls付近は、本発明における所定範囲内の一例である。
また、時刻t5以降の上限値LすなわちLsは、偏差Aが中程度である時刻t3〜4の間の上限値Lよりも低い値であるが、作業効率の低下とならない最低限の駆動力を維持できる値である。これにより、回路温度が許容最高温度Taに達した場合でも過剰な駆動力の低下を招くことなく、且つインバータ回路72(FET等)を熱的損傷から適切に保護しながらモータ3の駆動を継続することができる。
ここで、数式1の積分項の値について説明する。積分項の値は、回路温度に変化がない場合、すなわち、数式1の微分項の値が0である場合に、その効果を発揮する。例えば、回路温度制御のもと、上限値Lを70%としてモータ3の駆動を継続しているが、外気等の影響により回路温度が80℃に維持されている場合、すなわち、外気等の気温が比較的低く、上限値Lを比較的高い値に設定しても回路温度の上昇が抑制され、駆動力を大きくすることを優先することができる状態において、仮に微分項のみであると上限値Lを上昇させて駆動力を大きくすることができない。しかし、本実施の形態においては、数式1が積分項を含んでいるため、上記のような回路温度が維持されている状態において、微分項は0であるが、積分項はプラスの値を持つため、上限値Lを上昇させることができる。さらに、回路温度が何等かの原因で許容最高温度Taを超えた状態で変化しなくなった場合に、微分項は0であるが、積分項はマイナスの値を持つため、上限値を低下させ、回路温度を低下させることができる。このように、数式1が積分項を含むため、回路温度の変化(変化しないことも含む)に対して上限値Lをより柔軟(フレキシブル)に変化させることができる。
次に、図5に基づいて作業者によってトリガ13が操作された場合に、回路温度が60℃以上となっており、作業開始直後から回路温度制御のもとモータ3の駆動制御が行われる場合、すなわち、図3におけるステップ204を一度の経由しない場合について説明する。図5は、回路温度が所定温度以上となっている状態でモータ3が駆動開始した場合の回路温度とデューティ比との関係を示すタイムチャートである。
図5に示されている時刻t0において、作業者がトリガ13を最大の引き量で操作し、回路温度が80℃の状態でモータ3が駆動を開始している。この場合、駆動開始直後から回路温度制御が開始され(図3のステップ203のNo)るが、前回更新時の上限値Lが存在しないため、前回更新時の上限値Lを便宜的に70(%)とし、当該70(%)に操作量Eを加えた値を更新後の上限値Lとする。これは、モータ3が所定温度である60℃よりも高い状態で駆動開始しているため、インバータ回路72(FETQ1〜Q6)の保護を優先させるためである。
上記の処理の結果、時刻t0でモータ3がデューティ比70%で駆動を開始すると、回路温度制御のもと、回路温度はその上昇率を小さくしながら高くなり、デューティ比はその下降率を小さくしながら低下していき、時刻t1において回路温度及びデューティ比は飽和状態となる。
時刻t1以降、飽和状態で回路温度及びデューティ比は一定の値に維持されながらモータ3は駆動を継続し、時刻t2においてトリガ13がオフとされモータ3は駆動を停止している。モータ3が駆動を停止するとインバータ回路72(FET等)に電流が流れなくなるため、回路温度は低下し始める。回路温度が低下し始めて時刻t3となると、回路温度は70℃まで低下している。また時刻t3において、再びトリガ13が作業者によって操作されて引き量を最大でオンされている。
トリガ13がオンされると、回路温度が70℃であるため(60℃以上であるため、図3のステップ203のNo)、再び回路温度制御が開始された状態でモータ3は駆動を開始する。この場合、上述したように前回更新時の上限値Lを便宜的に70%とする。時刻t3以降、回路温度はその上昇率を小さくしながら高くなり、デューティ比はその下降率を小さくしながら低下していき、時刻t4において回路温度及びデューティ比は飽和状態となっている。
時刻t4以降、飽和状態で回路温度及びデューティ比は一定の値に維持されながらモータ3は駆動を継続する。
上述したように本発明における実施の形態によるハンマドリル1は、制御部78がPWM駆動信号のデューティ比(上限値L)を適宜更新することによって回路温度を制御し、回路温度はモータ3の駆動継続時間が長くなるに従って上昇率を小さくしながら高くなるため、モータ3の継続駆動による回路温度の温度上昇を抑制することができる。また、デューティ比は、駆動継続時間が長くなるに従って下降率を小さくしながら低下するため、過剰な駆動力の低下を招くことがない。これにより、インバータ回路72(FET等)を熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することができる。
また、本発明における実施の形態によるハンマドリル1においては、図4に示されているように回路温度の上昇率が大きくなるに従って、デューティ比の下降率は大きくなる。このため、回路温度の上昇率が大きくなった場合に、デューティ比の下降率も大きくなる。すなわち、デューティ比が回路温度に対して柔軟に変化する。これにより、より適切にインバータ回路72の温度上昇を抑制することができる。
また、本発明における実施の形態によるハンマドリル1においては、回路温度の上昇率が小さくなるに従って、デューティ比の下降率は小さくなる。このため、回路温度の上昇率が小さくなった場合に、デューティ比の下降率も小さくなる。すなわち、デューティ比が回路温度に対して柔軟に変化する。これにより、より適切に駆動力を維持することができる。
また回路温度は、駆動継続時間が所定期間以上経過した後(図4の時刻t5以降、図5の時刻t4以降)は、所定温度範囲内、すなわち許容最高温度Ta±2℃程度に維持される。従って、所定温度範囲をモータ3の継続駆動可能な許容最高温度Taを含む範囲に設定することで、インバータ回路72(FET等)を適切に熱的損傷から保護することができる。
また、デューティ比は、駆動継続時間が所定期間以上経過した後(図4の時刻t5以降、図5の時刻t4以降)は、所定範囲内に維持される。従って、所定範囲をモータ3の駆動力の過剰な低下を招かない範囲、すなわち、上述の飽和状態における上限値LすなわちLsを含む範囲に設定することで、作業効率の低下をより抑制することができる。
また、制御部78は、回路温度の変化履歴すなわち積分項を含む数式1を用いてデューティ比を変更するため、回路温度の変化履歴を用いずにデューティ比を変更する構成と比較して、デューティ比を回路温度により柔軟に対応させることができる。
本発明による電動工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態においては、温度検出回路76は、インバータ回路72(FET等)の温度を検出したが、モータ3の温度を検出し、モータ3の温度をモータ温度として制御部78に出力し、モータ温度に基づいて上限値Lを決定してもよい。
この場合、モータ温度は、モータ3の駆動継続時間が長くなるに従って上昇率を小さくしながら高くなるため、モータ3の継続駆動によるモータ温度の上昇を抑制することができる。他方、デューティ比は、駆動継続時間が長くなるに従って下降率を小さくしながら低下するため、過剰な駆動力の低下を招くことがない。これにより、モータ3を熱的損傷から適切に保護しつつ作業効率の低下を抑制することができる。また、モータ温度と回路温度とを共に検出し、より温度が高い温度を制御部78に出力してもよい。なお、この場合における温度検出回路76は、本発明におけるモータ温度検出手段として機能する。
1…ハンマドリル 2…ハウジング 3…モータ 4…運動変換機構 5…出力部 6…回転伝達部 7…補助ハンドル部 8…制御基板 11…電源ケーブル 12…スイッチ機構 13…トリガ 32…ロータ 33…ステータ 71…整流平滑回路 72…インバータ回路 73…電流検出回路 73A…電流検出抵抗 74…電源供給回路 75…ホールIC信号検出回路 76…温度検出回路 77…制御信号出力回路 78…制御部 A…偏差 E…操作量 Kd…微分ゲイン Ki…積分ゲイン L…上限値 P…商用交流電源 Ta…許容最高温度

Claims (10)

  1. モータと、
    スイッチング素子を用いて該モータへ駆動電力を供給するインバータ回路と、
    該スイッチング素子にPWM駆動信号を出力して該モータを制御するモータ制御手段と、
    該インバータ回路の温度を検出する回路温度検出手段と、
    該PWM駆動信号のデューティ比を変更することによって該温度を制御する温度制御手段と、を備え、
    該温度は、該モータの駆動継続時間が長くなるに従って、その上昇率を小さくしながら高くなり、
    該デューティ比は、該駆動継続時間が長くなるに従って、その下降率を小さくしながら低下することを特徴とする電動工具。
  2. モータと、
    スイッチング素子を用いて該モータへ駆動電力を供給するインバータ回路と、
    該スイッチング素子にPWM駆動信号を出力して該モータを制御するモータ制御手段と、
    該モータの温度を検出するモータ温度検出手段と、
    該PWM駆動信号のデューティ比を変更することによって該温度を制御する温度制御手段と、を備え、
    該温度は、該モータの駆動継続時間が長くなるに従って、その上昇率を小さくしながら高くなり、
    該デューティ比は、該駆動継続時間が長くなるに従って、その下降率を小さくしながら低下することを特徴とする電動工具。
  3. 該温度の該上昇率が大きくなるに従って、該デューティ比の該下降率は、大きくなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
  4. 該温度の該上昇率が小さくなるに従って、該デューティ比の該下降率は、小さくなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動工具。
  5. 該温度は、該駆動継続時間が所定期間以上経過した後は、所定温度範囲内に維持されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動工具。
  6. 該デューティ比は、該駆動継続時間が所定期間以上経過した後は、所定範囲内に維持されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動工具。
  7. 該温度制御手段は、該温度の変化履歴を用いて該デューティ比を変更することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電動工具。
  8. 該モータは、ブラシレスモータであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電動工具。
  9. モータと、
    スイッチング素子を用いて該モータへ駆動電力を供給するインバータ回路と、
    該スイッチング素子にPWM駆動信号を出力して該モータを制御するモータ制御手段と、
    該インバータ回路又は該モータの温度を検出する回路温度検出手段と、を備え、
    該モータ制御手段は、該温度が許容最高温度を超えないように該PWM駆動信号のデューティ比を変更することを特徴とする電動工具。
  10. 該モータ制御手段は、該回路温度検出手段で検出した該温度と該許容最高温度との差が大きい場合は、該差が小さい場合よりも該デューティ比を大きくすることを特徴とする請求項9に記載の電動工具。
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