JP2016111216A - 静止誘導電器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な作業で冷却ダクトを形成でき、簡易な構造で鉄心の組立作業を簡略化しつつ、冷却性能の向上を図ることができる静止誘導電器を提供する。【解決手段】静止誘導電器は、冷却媒体2が充填された密閉容器1と、密閉容器1内に収納された鉄心3および巻線5を備えた静止誘導電器本体21と、密閉容器1外部に配置されて冷却媒体2の冷却を行う冷却装置6と、シート状スペーサ13と、を有する。鉄心3は複数の平坦な電磁鋼板30を積層して形成したものである。巻線5は鉄心3に導体を巻回して形成する。シート状スペーサ13は、縦横方向に所定の間隔を隔てて配置された複数のボタン形状部とボタン形状部同士を繋ぐ連結部とを備えて一体成型により形成された網目状シートを備え、鉄心3内に配置されて冷却媒体2の流路を形成する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、変圧器、リアクトルなどの静止誘導電器において、密閉容器内に収納された静止誘導電器本体を密閉容器内に充填された絶縁ガス、絶縁油等の冷却媒体を用いて冷却を行う静止誘導電器、およびその製造方法に関するものである。
変圧器やリアクトルなどの静止誘導電器においては、鉄心および巻線を備えた静止誘導電器本体がSF6ガス、CO2ガス、N2ガス、空気などの気体媒体、あるいは変圧器油、シリコン油、菜種油などの液体媒体である絶縁性を有する冷却媒体が充填された密閉容器内に収納されて構成され、静止誘導電器本体の絶縁および冷却がなされている。また、密閉容器外部にはこれらの冷却媒体を冷却するための冷却装置が設置されており、密閉容器内と冷却装置間を冷却媒体が強制循環あるいは自然循環することで冷却媒体の温度上昇を抑制して静止誘導電器の冷却を行っている。
このような構成の静止誘導電器において、鉄心は多数枚の電磁鋼板を積層して形成されており、その一部には冷却媒体を流通させるためのダクトが形成されている。例えば、一枚の薄い板に丸形のボタン形状の部材を一つ一つ接着あるいはカシメ等により固定したシート状スペーサを製作し、積層される電磁鋼板間に挿入したり、鉄心の主脚中央部において電磁鋼板の積層方向に沿って鉄心を2分割し、ここに前記シート状スペーサを介挿したりして、鉄心の一部に冷却媒体の流路を形成して静止誘導電器の冷却を行っている(特許文献1)。
容量が比較的大きい静止誘導電器においては、鉄心の温度上昇が大きくなるため、鉄心内に冷却媒体が流れる冷却ダクトを設ける必要があり、薄板とボタン形状の部材で構成したシート状スペーサを鉄心内に介挿するのが一般的であるが、このシート状スペーサの製作にはかなりの時間と手間がかかるという課題があった。このため、シート状スペーサの構成を簡略化して、短時間で容易に冷却ダクトを形成でき、簡易な構造で鉄心の組立作業を簡略化しつつ、冷却性能の向上を図ることができる静止誘導電器が望まれていた。
そこで、本発明の実施形態においては、上述した課題を解決するため、冷却媒体を用いて冷却を行う静止誘導電器において、鉄心内に介挿するシート状スペーサの製作を簡略化させて鉄心組立作業の効率を上げ、かつ、必要冷却性能を確保しつつ、温度上昇の抑制を可能とすることを目的とする。
本発明の実施形態に係る静止誘導電器は、冷却媒体が充填された密閉容器と、前記密閉容器内に収納されて、複数の平坦な電磁鋼板を積層して形成した鉄心と、該鉄心に導体を巻回して形成した巻線とを備えた静止誘導電器本体と、前記密閉容器の外部に配置されて前記冷却媒体の冷却を行う冷却装置と、縦横方向に所定の間隔を隔てて配置された複数のボタン形状部と該ボタン形状部同士を繋ぐ連結部とを備えて一体成型により形成された網目状シートを備え、前記鉄心内に配置されて前記冷却媒体の流路を形成するシート状スペーサと、を有する。
本発明の実施形態に係る静止誘導電器の製造方法は、冷却媒体が充填された密閉容器と、前記密閉容器内に収納されて、複数の平坦な電磁鋼板を積層して形成した鉄心と、該鉄心に導体を巻回して形成した巻線とを備えた静止誘導電器本体と、前記密閉容器外部に配置されて前記冷却媒体の冷却を行う冷却装置と、縦横方向に所定の間隔を隔てて配置された複数のボタン形状部と該ボタン形状部同士を繋ぐ連結部とを備えた網目状シートを備え、前記鉄心内に配置されて前記冷却媒体の流路を形成するシート状スペーサと、を有する静止誘導電器の製造方法であって、少なくとも前記ボタン形状部と前記連結部とを含む部分を一体成型により前記網目状シートを形成する工程を有する。
以下、添付図面を参照して本発明に係る静止誘導電器の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る静止誘導電器の構成を説明するための立断面図である。図において、密閉容器1内には、SF6ガス、CO2ガス、N2ガス、空気、変圧器油、シリコン油、菜種油などの絶縁性を有する冷却媒体2が充填されている。この密閉容器1内には、多数枚の電磁鋼板30を積層してその両端をクランプ4にて積層方向(図1の左右方向)に締付固定して形成した鉄心3と、鉄心3の主脚に銅線を巻回して形成した巻線5を有する静止誘導電器本体21が収納されている。密閉容器1の外部には、密閉容器1内を冷却して温度上昇した冷却媒体2を冷却して再び密閉容器1内に冷却媒体2を供給する冷却装置6と循環装置7が配置されている。
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る静止誘導電器の構成を説明するための立断面図である。図において、密閉容器1内には、SF6ガス、CO2ガス、N2ガス、空気、変圧器油、シリコン油、菜種油などの絶縁性を有する冷却媒体2が充填されている。この密閉容器1内には、多数枚の電磁鋼板30を積層してその両端をクランプ4にて積層方向(図1の左右方向)に締付固定して形成した鉄心3と、鉄心3の主脚に銅線を巻回して形成した巻線5を有する静止誘導電器本体21が収納されている。密閉容器1の外部には、密閉容器1内を冷却して温度上昇した冷却媒体2を冷却して再び密閉容器1内に冷却媒体2を供給する冷却装置6と循環装置7が配置されている。
なお、本実施形態においては、冷却媒体2を強制循環するタイプの静止誘導電器を例に挙げて説明する。
巻線5と密閉容器1との間には、密閉容器1に設けられた冷却媒体2の供給口側50と排出口側51との間を仕切るための仕切板8が設置されていて、冷却装置6から流入した冷却媒体2が、上昇しながら効率よく巻線5や鉄心3の内部に流れるように構成されている。
各電磁鋼板30は、鉛直方向および図1の面に垂直な方向に広がっている。
複数の電磁鋼板30の広がる方向に沿って、電磁鋼板30に挟まれるようにシート状スペーサ13が配置されている。
この実施形態では、図2に示すように、シート状スペーサ13は網目状シート12からなる。網目状シート12は、複数のボタン形状部9と、ボタン形状部9同士を連結する連結部10とが一体成型されて構成されている。ボタン形状部9は、概略の形状が丸形(円板状)で所定の厚みを有し、正方格子状(碁盤目状)に所定の間隔で一平面内に配列されている。連結部10は、ボタン形状部9よりも幅が狭くかつ薄い紐状であって、縦横方向に延びている。
シート状スペーサ13が電磁鋼板30に挟まれて配置されたときに、シート状スペーサ13を挟んで互いに隣接する電磁鋼板30同士の距離はボタン形状部9の厚さに等しくなる。連結部10はボタン形状部9よりも薄いので、連結部10によって冷却媒体2の流路は塞がれず、冷却媒体2が流れる冷却ダクトが確保される。
網目状シート12は、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに合わせてカットして電磁鋼板30の積層間に介挿することができる。網目状シート12は、例えば、樹脂の注型により一体成型して形成されている。
(作用)
このように構成された第1の実施形態に係る静止誘導電器の作用について説明する。
このように構成された第1の実施形態に係る静止誘導電器の作用について説明する。
鉄心3は磁束が流れることにより発熱して温度が上昇するため、鉄心3を構成する電磁鋼板30を積極的に冷却する必要がある。本実施形態においては、ボタン形状部9と連結部10を有する網目状シート12を樹脂の注型により製作し、これを、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに合わせてカットして電磁鋼板30の積層間に介挿するだけなので、電磁鋼板30の積層間に容易に冷却媒体2流通用の冷却ダクトを形成することができる。
また、網目状シート12は樹脂製であるため、鉄心3の大きさに合わせて鋏等で簡単にカットすることができる。これにより、鉄心3の大きさが異なる静止誘導電器に対しても容易に対応できるメリットがある。
ここで、網目状シート12のボタン形状部9の厚みは冷却媒体2の流路幅となり、流路の最も狭い寸法はボタン形状部9と連結部10の厚みの差になる。このような冷却流路を冷媒が流れるときの圧力損失、すなわち、流れやすさは流路の最も狭い寸法に左右される。
ここで、本実施形態に用いた網目状シート12と電磁鋼板30とで形成される冷却流路の幅と流量との関係を図3に示す。図3からわかるように、冷却性能は、冷却流路の幅、すなわちボタン形状部9の厚みが大きいほど流量が大きく流れやすくなり、冷却性能は良くなるが、鉄心3全体の大きさが大きくなってしまう欠点がある。このため、実験により適切な寸法を求めたところ、流路幅が3mm以上あれば、流路幅が十分広い場合の70%の流量が得られ、鉄心3の温度上昇は従来とほぼ同程度であり、良い結果が得られた。また、流路幅を広くした場合も8mm程度あればほぼ100%の流量が得られることから、それ以上流路幅を広げる必要がないことも分かった。
また、樹脂の注型により網目状シート12を製作する場合、連結部10の厚さが1mm未満では樹脂が流入しにくく、樹脂が行き渡らないなどの製造上の問題が発生すること、また、連結部10の厚みが2mmより大きいと流れの凹凸が大きくなり、圧力損失が上昇してしまうこと、なども実験結果から判明している。
以上のことから、連結部10の厚さは1mm以上2mm以下が望ましく、ボタン形状部9の厚さと連結部10の厚さの差は3mm以上、すなわちボタン形状部9の厚さは4mm以上(図3から、ボタン形状部9の厚さと連結部10の厚さの差は8mm以下なので、ボタン形状部9の厚さは概略9mm以下)であることが望ましいことがわかる。
(効果)
以上説明したように、本実施形態においては、碁盤目状にそれぞれ所定間隔に配置され、概略の形状が丸形で所定の厚さを有する複数のボタン形状部9と、ボタン形状部9同士を縦横方向に接続する狭幅で薄厚の紐状の連結部10とで構成された網目状シート12を樹脂の注型により形成し、これを、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに応じて適宜カットして電磁鋼板30の積層間に介挿して冷却媒体流通用の冷却ダクトを形成するようにした。これにより、簡易な構成で鉄心の冷却性能を維持しつつ、鉄心3の組立作業を簡略化できる。
以上説明したように、本実施形態においては、碁盤目状にそれぞれ所定間隔に配置され、概略の形状が丸形で所定の厚さを有する複数のボタン形状部9と、ボタン形状部9同士を縦横方向に接続する狭幅で薄厚の紐状の連結部10とで構成された網目状シート12を樹脂の注型により形成し、これを、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに応じて適宜カットして電磁鋼板30の積層間に介挿して冷却媒体流通用の冷却ダクトを形成するようにした。これにより、簡易な構成で鉄心の冷却性能を維持しつつ、鉄心3の組立作業を簡略化できる。
なお、上述した実施形態ではボタン形状部9を丸形で説明しているが、ひし形状、四角状のボタン形状部を形成するようにしても同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では冷却媒体が密閉容器1の下部から上部に流れるため、冷却媒体2の流れ方向(上向き)と交差する方向(水平方向)に配置される連結部10は薄いほうが良いが、冷却媒体2の流れ方向に沿って配置される連結部10の厚さは多少厚くても流量は低下せず、性能に影響はない。このため、冷却媒体2の流れ方向に沿って配置される連結部10の厚さを流れ方向と交差する連結部10の厚さよりも厚くすると、型に樹脂を流し込む際に樹脂が万遍なく行き渡り、良好な網目状シートを形成することができる。
また、本実施形態では、網目状シート12は、ボタン形状部9が碁盤目状に所定の間隔で配置されるようにしたが、ボタン形状部9が千鳥格子状に配置されるように形成しても良い。
(第2の実施形態)
(構成)
図4は本発明の第2の実施形態に係る静止誘導電器のシート状スペーサの概略構成を示す斜視図である。本実施形態においては、シート状スペーサの構成以外は第1の実施形態の構成と同様であるため、第1の実施形態と重複する部分については説明を省略する。
(構成)
図4は本発明の第2の実施形態に係る静止誘導電器のシート状スペーサの概略構成を示す斜視図である。本実施形態においては、シート状スペーサの構成以外は第1の実施形態の構成と同様であるため、第1の実施形態と重複する部分については説明を省略する。
図4において、シート状スペーサ13は、平板状の基板11と、この基板11の両側に接着された網目状シート12とからなる。網目状シート12は、第1の実施形態における網目状シート12と同様のものであって、碁盤目状に縦横方向に互いに所定の間隔をおいて配置された複数のボタン形状部9と、複数のボタン形状部9同士を繋ぐ連結部10とを備えて樹脂の一体成型により形成したものである。基板11は、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに合わせてカットしたものである。なお、基板11は、電磁鋼板30と同様の材料でも、絶縁材でも良く材質は特に問わない。このシート状スペーサ13を、電磁鋼板30の積層間に介挿して冷却媒体流通用の冷却ダクトを形成している。
(作用)
このように構成された第2の実施形態に係る静止誘導電器の作用について説明する。
このように構成された第2の実施形態に係る静止誘導電器の作用について説明する。
鉄心3は磁束が流れることにより発熱して温度が上昇するため、鉄心3を構成する電磁鋼板30を積極的に冷却する必要がある。本実施形態においては、ボタン形状部9と連結部10とを有する網目状シート12を樹脂の注型により製作する。そして、この網目状シート12を、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに合わせてカットして基板11の両面に接着して形成してシート状スペーサ13を製作する。このシート状スペーサ13を電磁鋼板30の積層間に介挿する。このため、鉄心3を構成する電磁鋼板30の積層間に容易に冷却媒体2の流路を形成することができ、網目状シート12が両面に接着されたシート状スペーサ13を電磁鋼板30間に介挿することで効果が一層向上する。これにより、鉄心3の冷却効率が向上する。
また、網目状シート12は樹脂製であるため、鉄心3の大きさに合わせて鋏等で簡単にカットすることができる。これにより、鉄心3の大きさが異なる静止誘導電器に対しても容易に対応できるメリットがある。
(効果)
本実施形態によれば、概略の形状が丸形で所定の厚みを有するボタン形状部9を縦横方向に複数個並べて、互いに所定の間隔になるように幅が狭く薄い連結部10で縦横方向に連結した網目状シート12を、樹脂の注型により形成し、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに応じてカットした基板11の両面に接着することで、シート状スペーサ13を形成する。このシート状スペーサ13を、電磁鋼板30の積層間に介挿して冷却媒体2を流通する冷却ダクトを形成するようにした。これにより、容易にシート状スペーサ13を製作でき、かつ、熱の伝わりが良い冷却ダクトを構成でき、鉄心3の組立作業の簡略化が図れるとともに、鉄心3の冷却性能を向上させることができる。
本実施形態によれば、概略の形状が丸形で所定の厚みを有するボタン形状部9を縦横方向に複数個並べて、互いに所定の間隔になるように幅が狭く薄い連結部10で縦横方向に連結した網目状シート12を、樹脂の注型により形成し、鉄心3を構成する電磁鋼板30の大きさに応じてカットした基板11の両面に接着することで、シート状スペーサ13を形成する。このシート状スペーサ13を、電磁鋼板30の積層間に介挿して冷却媒体2を流通する冷却ダクトを形成するようにした。これにより、容易にシート状スペーサ13を製作でき、かつ、熱の伝わりが良い冷却ダクトを構成でき、鉄心3の組立作業の簡略化が図れるとともに、鉄心3の冷却性能を向上させることができる。
なお、上述した実施形態ではボタン形状部9を丸形で説明しているが、第1の実施形態と同様、ひし形状、四角状のボタン形状部9を形成するようにしても同様の効果を得ることができる。
また、網目状シート12は、基板11の片面にのみ貼り付けても、基板11の両面に貼り付けてもよい。
(第3の実施形態)
(構成)
図5は本発明の第3の実施形態に係る静止誘導電器の概略構成を示す平断面図である。また、図6は、第3の実施形態に係るシート状スペーサの構成を示す斜視図である。
(構成)
図5は本発明の第3の実施形態に係る静止誘導電器の概略構成を示す平断面図である。また、図6は、第3の実施形態に係るシート状スペーサの構成を示す斜視図である。
本実施形態においては、第1または第2の実施形態と共通の部分についての説明は省略する。
本実施形態の鉄心3は、鉛直方向に延びる1本の主脚40と、主脚40の両側に配置されて主脚40に平行に延びる2本の側脚41とを有する。主脚40と側脚41の上端同士および下端同士は、図示しないヨークで互いに連結されている。各電磁鋼板30は、主脚40と側脚41が並ぶ面の方向(鉛直方向および図5の左右方向)に延びている。主脚40の周りに巻線5が巻かれている。
この実施形態では、主脚40は、その中央の分割面で2分割されている。この分割面は、電磁鋼板30の広がる面に垂直でかつ鉛直な平面である。この分割面に沿って、シート状スペーサ13aが配置されていて、シート状スペーサ13aに沿って、冷却媒体2の流路、すなわち冷却ダクトが形成される。
図6に示すように、シート状スペーサ13aは、平板状の基板11と、この基板11の両側に基板11の両面に沿って接着された網目状シート12aとからなる。基板11は第2の実施形態における基板11と同様のものである。
網目状シート12aは、縦横に配列された複数のボタン形状部9aと、複数のボタン形状部9a同士を繋ぐ連結部10aとを備えて、樹脂の一体成型により形成したものである。
ボタン形状部9aは、互いに所定の間隔をあけて千鳥配列に配列されている。連結部10aは、互いに隣接する二つのボタン形状部9a同士を繋ぐものであって、水平方向に延びるものと、傾斜方向に延びるものとがある。
ボタン形状部9aおよび連結部10aの構成は、それぞれ、第1または第2の実施形態のボタン形状部9および連結部10の構成と同様である。
千鳥格子状に縦横方向に互いに所定の間隔を置いて配置された複数のボタン形状部9aとボタン形状部9a同士を繋ぐ狭幅で薄厚の連結部10aとを備えた網目状シート12aを樹脂の成型により形成する。この網目状シート12aを、鉄心3の主脚40中央部の電磁鋼板30の分割面の大きさに合わせてカットした基板11の両面に接着してシート状スペーサ13aを形成する。このシート状スペーサ13aを、鉄心3を構成する主脚40の中央部において電磁鋼板30の積層方向に沿って2分割して形成された隙間に介挿し、主脚40の中央部に冷却媒体2が流れる冷却ダクトを形成する。
(作用)
このように構成された本実施形態に係る静止誘導電器の作用について説明する。
(作用)
このように構成された本実施形態に係る静止誘導電器の作用について説明する。
鉄心3は磁束が流れることにより発熱して温度が上昇するため、鉄心3を構成する電磁鋼板30を積極的に冷却する必要がある。ここで、電磁鋼板30はその積層方向には熱が伝わりにくく、長さ方向・幅方向には熱が伝わりやすい特性がある。この実施形態では、鉄心3の主脚40の中央部を電磁鋼板30の積層方向に沿って2分割して形成された隙間に冷却媒体2が流れる冷却ダクトを構成する。これにより、鉄心3で発生する熱がこの冷却ダクトに伝わりやすく、冷却効率が向上する。
また、本実施形態では、前述した実施形態と同様に網目状シート12aを樹脂の注型により製作しているので、網目状シート12aを作るのが容易であり、これを鉄心3の主脚40に形成した隙間、電磁鋼板30の積層間に介挿するだけで簡単に冷却ダクトを構成することができる。また、網目状シート12aは樹脂製であるため、鉄心3の大きさに合わせて鋏等で容易にカットすることが可能であり、鉄心3の大きさが変わっても容易に対応することができるメリットがある。
なお、本実施形態においては、網目状シート12aの電磁鋼板30の積層方向に沿って配置されるボタン形状部9aの配列ピッチがボタン形状部9aの大きさの1.5倍以下(図6の横方向のボタン形状部9a間の流路幅はボタン形状部9aの大きさの0.5倍以下)にすることで、電磁鋼板30の分割面を構成する1枚の電磁鋼板30の端面が千鳥配列のボタン形状部9aの上下どちらかに必ず接触し、かつ、その接触長さの合計を一定以上になるように構成することができる。この場合、主脚の周りをバインドして固定する上で、強度と安定性が向上することになる。
(効果)
本実施形態によれば、概略の形状が丸形で所定の厚みを有するボタン形状部9aを千鳥格子状に縦横方向に複数個並べて、互いに所定の間隔になるように狭幅で薄厚の連結部10aで縦横方向に連結した網目状シート12aを、樹脂の注型により形成する。そしてこの網目状シート12aを、鉄心3の主脚40中央部の電磁鋼板30の分割面の大きさに応じてカットした基板11の両面に貼り付けてシート状スペーサ13aを形成する。このシート状スペーサ13aを鉄心3の主脚40を2分割して形成された分割面の隙間に介挿して冷却媒体2を流通する冷却ダクトを形成するようにした。これにより、冷却性能に優れた冷却ダクトを容易に構成でき、鉄心3の組立作業の簡略化が図れるとともに、鉄心3の冷却性能を向上させることができる。
本実施形態によれば、概略の形状が丸形で所定の厚みを有するボタン形状部9aを千鳥格子状に縦横方向に複数個並べて、互いに所定の間隔になるように狭幅で薄厚の連結部10aで縦横方向に連結した網目状シート12aを、樹脂の注型により形成する。そしてこの網目状シート12aを、鉄心3の主脚40中央部の電磁鋼板30の分割面の大きさに応じてカットした基板11の両面に貼り付けてシート状スペーサ13aを形成する。このシート状スペーサ13aを鉄心3の主脚40を2分割して形成された分割面の隙間に介挿して冷却媒体2を流通する冷却ダクトを形成するようにした。これにより、冷却性能に優れた冷却ダクトを容易に構成でき、鉄心3の組立作業の簡略化が図れるとともに、鉄心3の冷却性能を向上させることができる。
なお、上述した実施形態ではボタン形状部9aを丸形で説明しているが、ひし形状、四角状のボタン形状部9aを形成するようにしても同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、鉄心3の主脚中央部の電磁鋼板30の分割面の大きさに合わせてカットした基板11の両面に網目状シート12aを貼り付けてシート状スペーサ13aを形成して、これを鉄心3の主脚中央部に形成された電磁鋼板30の分割面の隙間に介挿するようにした。他の例として、基板11を用いずに、網目状シート12aを鉄心3の主脚中央部の電磁鋼板30の分割面に形成された隙間に直接介挿して冷却媒体2を流通する冷却ダクトを形成するように、ボタン形状部9を碁盤目状に配列したものとしてもよい。
(他の実施形態)
上記実施形態の特徴を組み合わせることも可能である。
上記実施形態の特徴を組み合わせることも可能である。
たとえば、第3の実施形態における主脚40を分割面で2分割してその間にシート状スペーサを挿入するという特徴を採用しながら、シート状スペーサの構成は第1または第2の実施形態と同様にすることもできる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…密閉容器、2…冷却媒体、3…鉄心、4…クランプ、5…巻線、6…冷却装置、7…循環装置、8…仕切板、9,9a…ボタン形状部、10,10a…連結部、11…基板、12,12a…網目状シート、13,13a…シート状スペーサ、21…静止誘導電器本体、30…電磁鋼板、40…主脚、41…側脚、50…供給口側、51…排出口側
Claims (11)
- 冷却媒体が充填された密閉容器と、
前記密閉容器内に収納されて、複数の平坦な電磁鋼板を積層して形成した鉄心と、該鉄心に導体を巻回して形成した巻線とを備えた静止誘導電器本体と、
前記密閉容器の外部に配置されて前記冷却媒体の冷却を行う冷却装置と、
縦横方向に所定の間隔を隔てて配置された複数のボタン形状部と該ボタン形状部同士を繋ぐ連結部とを備えて一体成型により形成された網目状シートを備え、前記鉄心内に配置されて前記冷却媒体の流路を形成するシート状スペーサと、
を有することを特徴とする静止誘導電器。 - 前記シート状スペーサは、前記網目状シートの広がる面に広がっていて前記網目状シートに接着された基板を備えていることを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器。
- 前記シート状スペーサは、前記基板の両面に接着された2枚の前記網目状シートを備えていることを特徴とする請求項2に記載の静止誘導電器。
- 前記シート状スペーサは、前記電磁鋼板に平行に広がっていて前記電磁鋼板の積層間に介挿されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
- 前記鉄心は前記電磁鋼板の広がる面に沿って延びる主脚を含み、
前記主脚は、当該主脚の幅方向の中央に位置して当該主脚が延びる方向に沿ってかつ前記電磁鋼板の広がる面に垂直な分割面で2分割されており、
前記シート状スペーサは、前記分割面に沿って前記主脚の中央に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の静止誘導電器。 - 前記網目状シートは前記ボタン形状部と前記連結部を樹脂の注型により一体成型して形成したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
- 前記連結部の厚さは、1mm以上2mm以下であり、かつ、前記ボタン形状部の厚さよりも3mm以上薄いことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
- 前記ボタン形状部は正方格子状に配列され、前記連結部は縦横方向に延びていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
- 前記ボタン形状部は千鳥配列に配列されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
- 冷却媒体が充填された密閉容器と、
前記密閉容器内に収納されて、複数の平坦な電磁鋼板を積層して形成した鉄心と、該鉄心に導体を巻回して形成した巻線とを備えた静止誘導電器本体と、
前記密閉容器外部に配置されて前記冷却媒体の冷却を行う冷却装置と、
縦横方向に所定の間隔を隔てて配置された複数のボタン形状部と該ボタン形状部同士を繋ぐ連結部とを備えた網目状シートを備え、前記鉄心内に配置されて前記冷却媒体の流路を形成するシート状スペーサと、
を有する静止誘導電器の製造方法であって、
少なくとも前記ボタン形状部と前記連結部とを含む部分を一体成型により前記網目状シートを形成する工程を有すること、
を特徴とする静止誘導電器の製造方法。 - 前記シート状スペーサは、前記網目状シートの広がる面に広がった基板をさらに備え、
当該静止誘導電器の製造方法は、前記網目状シートと前記基板とを接着する工程をさらに有すること、を特徴とする請求項10に記載の静止誘導電器の製造方法。
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CN114342020A (zh) * | 2019-09-10 | 2022-04-12 | 日本制铁株式会社 | 卷绕铁芯 |
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- 2014-12-08 JP JP2014247781A patent/JP2016111216A/ja active Pending
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