JP2016110997A - 超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用断熱管 - Google Patents
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Abstract
【課題】地絡事故などの事故時にケーブル外へのアーク放電を防止できる超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用断熱管を提供する。【解決手段】超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを備えるケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、前記内管の外周に設けられて、前記内管との間に断熱層を形成する外管と、前記外管の内周側に設けられて、前記ケーブルコアからのアーク放電を遮断する耐アーク層とを備える超電導ケーブル用断熱管。【選択図】図1
Description
本発明は、送電路などに利用される超電導ケーブル、超電導ケーブルに用いられる断熱管に関する。特に、地絡などの事故時にケーブル外へのアーク放電を防止できる超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用断熱管に関する。
超電導ケーブルは、小型でありながら、大容量の電力を低損失で送電可能なことから、省エネルギー技術として期待されている。超電導ケーブルは、超電導導体層を有するケーブルコアと、ケーブルコアを収納し、超電導導体層を超電導状態に維持する液体窒素などの液体冷媒が充填される断熱管とを備える構成が代表的である。超電導ケーブルには、一つの断熱管内に1本のケーブルコアのみが収納された単心ケーブルと、一つの断熱管内に複数のケーブルコアが収納された多心一括ケーブルとがある(特許文献1)。
上記ケーブルコアは、代表的には、内側から順に、フォーマと、超電導導体層と、電気絶縁層と、接地されてシールド層などに利用される外側超電導層と、外側超電導層を機械的に保護する保護層とを備える(特許文献1)。上記断熱管は、代表的には、内管及び外管を備える二重構造の真空断熱管である(特許文献1)。内管及び外管には、ステンレス鋼管などの金属管が利用される。
その他、特許文献1は、短絡や地絡などの事故時に事故電流を分流するために、超電導導体層を支持するフォーマを銅などの常電導材料によって構成することを開示している。
超電導ケーブル自体に地絡などの事故が生じたときに、ケーブル外へのアーク放電を防止することが望まれる。好ましくはアーク放電による断熱管の損傷を防止できること、仮に断熱管がある程度損傷しても、液体冷媒がケーブル外に漏出することを防止できることが望まれる。
特許文献1は、上述のように短絡や地絡などの事故が生じた場合に事故電流を流せる構成を開示している。この事故電流とは、超電導ケーブルの周囲に布設され得る架空送電線などの常電導ケーブルに短絡事故などが生じ、この事故に起因して超電導ケーブルに瞬間的に流れ得る過大な電流を想定している。上記の構成は、超電導ケーブル自体は健全であることを前提として、上記の過大な電流を流すためのものである。超電導ケーブル自体にも地絡などの事故が生じ得ることから、その対策が望まれる。
超電導ケーブル自体に地絡などの事故が発生して、電気絶縁破壊が生じた場合、高電位である超電導導体層から、接地されてゼロ電位である外側超電導層などの接地層にアーク放電が生じる可能性がある。このアーク放電が断熱管の内管にまで達すると、内管に孔が開く恐れがある。内管に孔が開けば、内管と外管との間に形成される真空断熱層に液体冷媒が漏れて真空を維持できなくなったり、断熱を十分に行えず液体冷媒が気化し、この気化時の体積膨張によって断熱管が破損したりするなどの恐れがある。また、上述のアーク放電によって、内管だけでなく外管にも孔が開く恐れがある。外管に孔が開けば、アーク放電がケーブル外の導電部材に達したり、液体冷媒がケーブル外に漏出したりする恐れがある。
そこで、本発明の目的の一つは、超電導ケーブル自体に地絡などの事故が生じたときに、ケーブル外へのアーク放電を防止できる超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用断熱管を提供することにある。
本発明の一態様に係る超電導ケーブル用断熱管は、超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを備えるケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、前記内管の外周に設けられて、前記内管との間に断熱層を形成する外管と、前記外管の内周側に設けられて、前記ケーブルコアからのアーク放電を遮断する耐アーク層とを備える。
本発明の一態様に係る超電導ケーブルは、上記の超電導ケーブル用断熱管と、前記内管に収納される前記ケーブルコアとを備える。
上記の超電導ケーブル用断熱管にケーブルコアを収納して超電導ケーブルを構築した場合、この超電導ケーブルは、地絡などの事故時にケーブル外へのアーク放電を防止できる。
上記の超電導ケーブルは、地絡などの事故時にケーブル外へのアーク放電を防止できる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る超電導ケーブル用断熱管は、超電導導体層と、上記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを備えるケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、上記内管の外周に設けられて、上記内管との間に断熱層を形成する外管と、上記外管の内周側に設けられて、上記ケーブルコアからのアーク放電を遮断する耐アーク層とを備える。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る超電導ケーブル用断熱管は、超電導導体層と、上記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを備えるケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、上記内管の外周に設けられて、上記内管との間に断熱層を形成する外管と、上記外管の内周側に設けられて、上記ケーブルコアからのアーク放電を遮断する耐アーク層とを備える。
上記の超電導ケーブル用断熱管は、外管の内周側、代表的には内管の内周面上、内管の外周面上、外管の内周面上などに耐アーク層を備えるため、ケーブルコアを収納して超電導ケーブルとし、この超電導ケーブル自身に地絡などの事故が生じた場合に、この事故に起因するアーク放電がケーブル外に達することを防止できる。詳しくは、電気絶縁層が絶縁破壊して、超電導導体層から接地層に向かってアーク放電が発生しても、接地層と断熱管の内管や外管との間に耐アーク層が介在するため、このアーク放電がケーブル外に達することを防止できる。従って、上記の超電導ケーブル用断熱管は、超電導ケーブルに生じ得る地絡などの事故時に発生するアーク放電による断熱管の損傷を防止できる、又は断熱管の損傷をある程度許容するものの、ケーブル外に液体冷媒が漏出することを防止できる。
例えば、耐アーク層が内管の内側に存在すれば、アーク放電が内管に達することを耐アーク層によって実質的に遮断でき、内管に孔が開くといった断熱管の損傷を防止できる。
耐アーク層が内管の外側(特に、内管の外周面上)、又は外管の内側(特に、外管の内周面上)、又は内管と外管との間の内部空間に存在すれば、仮に内管に孔が開いても、耐アーク層によって、外管へのアーク放電を実質的に遮断でき、外管に孔が開くといった断熱管の損傷を防止できる。
耐アーク層が内管の外側(特に、内管の外周面上)、又は外管の内側(特に、外管の内周面上)、又は内管と外管との間の内部空間に存在すれば、仮に内管に孔が開いても、耐アーク層によって、外管へのアーク放電を実質的に遮断でき、外管に孔が開くといった断熱管の損傷を防止できる。
(2)上記の超電導ケーブル用断熱管の一例として、上記耐アーク層は、高性能・高機能繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、シリコーンゴム及び金属から選択される1種以上の材料(以下、高耐アーク材料と呼ぶことがある)から構成される形態が挙げられる。
高性能・高機能繊維とは、例えば、高強度繊維、高強度・高弾性率繊維、高耐熱性繊維、不燃性繊維などが挙げられる。高強度繊維は、引張強さが1GPa以上程度を有する非金属繊維が挙げられる。高強度・高弾性率繊維は、引張強さが2GPa程度以上、弾性率が50GPa程度以上を有する非金属繊維であって、スーパー繊維と呼ばれるものなどが挙げられる。カーボンやガラス、金属化合物といったセラミックスなどの非金属無機材料から構成される無機繊維、樹脂といった有機材料から構成される有機繊維が挙げられる。
上記高耐アーク材料はいずれも、耐アーク性に優れる。上記の形態は、耐アーク層が高耐アーク材料で構成されるため、ケーブル外へのアーク放電をより確実に防止できる。
(3)上記の超電導ケーブル用断熱管の一例として、上記耐アーク層が上記(2)に記載の材料(高耐アーク材料)から構成されるテープ材の巻回層を含む形態が挙げられる。
上記形態は、例えば、内管の外周に耐アーク層を備える場合などに耐アーク層を容易に形成できて製造性に優れる。
(4)本発明の一態様に係る超電導ケーブルは、上記超電導ケーブル用断熱管と、上記内管に収納されるケーブルコアとを備える。
上記の超電導ケーブルは、耐アーク層を備える断熱管を構成要素とするため、上述のように自身に地絡などの事故が生じて超電導導体層から断熱管に向かうアーク放電が発生した場合に、このアーク放電がケーブル外に達することを防止できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の具体例を説明する。図において同一符号は同一名称物を示す。図1〜図5に示す断熱管2A〜2Eは二重構造のコルゲート管であり、内管21では、最小径部分を断面で示し、図1,図3〜図5では更に最大径部分の外側の輪郭線を細線で示し、外管22では、最大径部分を断面で示し、図1,図2,図4,図5では更に最小径部分の内側の輪郭線を細線で示す。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の具体例を説明する。図において同一符号は同一名称物を示す。図1〜図5に示す断熱管2A〜2Eは二重構造のコルゲート管であり、内管21では、最小径部分を断面で示し、図1,図3〜図5では更に最大径部分の外側の輪郭線を細線で示し、外管22では、最大径部分を断面で示し、図1,図2,図4,図5では更に最小径部分の内側の輪郭線を細線で示す。
[実施形態1]
図1を参照して、実施形態1の超電導ケーブル1A及び超電導ケーブル用断熱管2A(以下、単に断熱管2Aと呼ぶことがある)を説明する。
・全体構成
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、図1に示すように、超電導導体層12を備える1本のケーブルコア10(以下、単にコア10と呼ぶことがある)と、このコア10を収納する断熱管2Aとを備える単心ケーブルである。超電導ケーブル1Aは、布設されて送電路を構築する。
図1を参照して、実施形態1の超電導ケーブル1A及び超電導ケーブル用断熱管2A(以下、単に断熱管2Aと呼ぶことがある)を説明する。
・全体構成
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、図1に示すように、超電導導体層12を備える1本のケーブルコア10(以下、単にコア10と呼ぶことがある)と、このコア10を収納する断熱管2Aとを備える単心ケーブルである。超電導ケーブル1Aは、布設されて送電路を構築する。
ケーブルコア10は、中心から順にフォーマ11、超電導導体層12、電気絶縁層13、接地層14、保護層15を備える。断熱管2Aは、内管21と外管22とを備える二重構造の真空断熱管である。超電導ケーブル1Aは、超電導導体層12と電気絶縁層13との双方が断熱管2Aに収納されて、液体窒素などの液体冷媒Lで冷却される低温絶縁型のケーブルである。超電導ケーブル1Aの基本的構成は、従来の超電導ケーブルに類似する。実施形態1の超電導ケーブル1Aは、耐アーク層3が設けられた実施形態1の断熱管2Aを備える点を特徴の一つとする。この例の耐アーク層3は、内管21の内周面に沿って備えられる。以下、各要素の機能や代表的な構成などを簡単に説明し、耐アーク層3を詳細に説明する。
・ケーブルコア
・・フォーマ
フォーマ11は、超電導導体層12を支持する支持部材である。具体例として、管材などの中空体や、複数の素線を撚り合わせた撚り線、複数の撚り線を更に撚り合わせた撚り合せ体などの中実体などが挙げられる。主たる構成材料は、銅やアルミニウム、その合金といった常電導材料が挙げられる。上記素線は、金属導体線が絶縁被覆で覆われた被覆線が挙げられる。
・・フォーマ
フォーマ11は、超電導導体層12を支持する支持部材である。具体例として、管材などの中空体や、複数の素線を撚り合わせた撚り線、複数の撚り線を更に撚り合わせた撚り合せ体などの中実体などが挙げられる。主たる構成材料は、銅やアルミニウム、その合金といった常電導材料が挙げられる。上記素線は、金属導体線が絶縁被覆で覆われた被覆線が挙げられる。
・・超電導導体層
超電導導体層12は、フォーマ11の外周に複数の超電導線材を巻回して形成された線材層が挙げられる。超電導線材は、Bi2223といったビスマスを含む酸化物系銀シース線材や、RE123といった希土類元素を含む酸化物系薄膜線材などのテープ状線材が挙げられる。線材層や線材の使用本数などは、所定の電力量に応じて選択できる。線材層は、多層、単層のいずれも利用できる。多層の場合、絶縁紙などを巻回した層間絶縁層(図示せず)を設けることができる。
超電導導体層12は、フォーマ11の外周に複数の超電導線材を巻回して形成された線材層が挙げられる。超電導線材は、Bi2223といったビスマスを含む酸化物系銀シース線材や、RE123といった希土類元素を含む酸化物系薄膜線材などのテープ状線材が挙げられる。線材層や線材の使用本数などは、所定の電力量に応じて選択できる。線材層は、多層、単層のいずれも利用できる。多層の場合、絶縁紙などを巻回した層間絶縁層(図示せず)を設けることができる。
・・電気絶縁層
電気絶縁層13は、超電導導体層12とその外側に配置された接地層14との間に介在し、両者の電気的絶縁を確保する。電気絶縁層13は、クラフト紙や、樹脂とクラフト紙とを含む半合成紙などの絶縁紙を超電導導体層12の外周に巻回して形成された巻回層が挙げられる。半合成紙は、ポリプロピレン樹脂とクラフト紙とを含むもの、例えば、PPLP(Polypropylene Laminated Paper)(登録商標)が挙げられる。電気絶縁層13内外に半導電層(図示せず)を設けることができる。
電気絶縁層13は、超電導導体層12とその外側に配置された接地層14との間に介在し、両者の電気的絶縁を確保する。電気絶縁層13は、クラフト紙や、樹脂とクラフト紙とを含む半合成紙などの絶縁紙を超電導導体層12の外周に巻回して形成された巻回層が挙げられる。半合成紙は、ポリプロピレン樹脂とクラフト紙とを含むもの、例えば、PPLP(Polypropylene Laminated Paper)(登録商標)が挙げられる。電気絶縁層13内外に半導電層(図示せず)を設けることができる。
・・接地層
接地層14は、超電導導体層12の外周に電気絶縁層13を介して設けられ、接地電位をとるための導電部である。接地層14は、上述の超電導線材、銅などの常電導材料からなる線材やテープ材、編組材などを適宜巻回して形成された巻回層が挙げられる。接地層14が超電導線材によって形成されている場合、接地層14を、交流送電では超電導シールド層に利用できる。
接地層14は、超電導導体層12の外周に電気絶縁層13を介して設けられ、接地電位をとるための導電部である。接地層14は、上述の超電導線材、銅などの常電導材料からなる線材やテープ材、編組材などを適宜巻回して形成された巻回層が挙げられる。接地層14が超電導線材によって形成されている場合、接地層14を、交流送電では超電導シールド層に利用できる。
電気絶縁層13の外周に、超電導線材によって形成された外側超電導層を設け、別途、常電導材料によって形成された接地層14を設けることができる。この場合、外側超電導層は、上述のように超電導シールド層などに利用できる。外側超電導層と常電導材料の接地層14との間には層間絶縁層を設けることができる。
・・保護層
保護層15は、接地層14の外周に設けられて、超電導線材などの導電材料で構成される接地層14の機械的保護、この接地層14と金属で構成される断熱管2Aとの間の電気的絶縁などを目的とする。これらの目的から、保護層15の構成材料は、クラフト紙などの絶縁紙、綿などの布、PPLPといった半合成紙などの電気絶縁材料が挙げられる。保護層15は、上記電気絶縁材料からなるテープ材の巻回層が挙げられる。
保護層15は、接地層14の外周に設けられて、超電導線材などの導電材料で構成される接地層14の機械的保護、この接地層14と金属で構成される断熱管2Aとの間の電気的絶縁などを目的とする。これらの目的から、保護層15の構成材料は、クラフト紙などの絶縁紙、綿などの布、PPLPといった半合成紙などの電気絶縁材料が挙げられる。保護層15は、上記電気絶縁材料からなるテープ材の巻回層が挙げられる。
・断熱管
断熱管2Aは、内管21と、内管21の外周に設けられる外管22とを有する二重構造管であり、内管21と外管22との間に真空断熱層が形成された真空断熱管である。内管21の内部空間は、ケーブルコア10の収納空間であると共に、超電導導体層12や外側超電導層の超電導状態を維持するための液体冷媒Lが充填され、流通される空間(冷媒流路)である。内管21及び外管22は、ステンレス鋼などの金属管であってコルゲート管(本例)やベローズ管とすると可撓性に優れ、フラット管とすると表面積が小さく断熱性に優れる上に、液体冷媒Lの圧力損失を小さくできる。内管21と外管22との間にスーパーインシュレーションといった断熱材25を備えると、より高い断熱性を有する。
断熱管2Aの外管22の外側には、ビニルやポリエチレンなどの防食材から構成される防食層24を備える。
そして、実施形態1の断熱管2Aは、外管22の内周側(この例では内管21の内周面上)にケーブルコア10からのアーク放電を遮断する耐アーク層3を備える。
断熱管2Aは、内管21と、内管21の外周に設けられる外管22とを有する二重構造管であり、内管21と外管22との間に真空断熱層が形成された真空断熱管である。内管21の内部空間は、ケーブルコア10の収納空間であると共に、超電導導体層12や外側超電導層の超電導状態を維持するための液体冷媒Lが充填され、流通される空間(冷媒流路)である。内管21及び外管22は、ステンレス鋼などの金属管であってコルゲート管(本例)やベローズ管とすると可撓性に優れ、フラット管とすると表面積が小さく断熱性に優れる上に、液体冷媒Lの圧力損失を小さくできる。内管21と外管22との間にスーパーインシュレーションといった断熱材25を備えると、より高い断熱性を有する。
断熱管2Aの外管22の外側には、ビニルやポリエチレンなどの防食材から構成される防食層24を備える。
そして、実施形態1の断熱管2Aは、外管22の内周側(この例では内管21の内周面上)にケーブルコア10からのアーク放電を遮断する耐アーク層3を備える。
・耐アーク層
・・材質
耐アーク層3は、上述のように地絡などの事故時に超電導導体層12から接地層14を経て、断熱管2A(この例では内管21)へのアーク放電を実質的に遮断できる程度の耐アーク性、又は耐トラッキング性、又は耐熱性、又は厚さなどを有していればよい。耐アーク層3の構成材料は、耐アーク性や耐トラッキング性に優れる高耐アーク材料を含むことが好ましい。ここでの高耐アーク材料とは、以下に説明する樹脂といった有機材料、炭素系材料やガラス、セラミックスなどの非金属無機材料、非金属材料(有機材料、無機材料)からなる繊維、金属などである。
・・材質
耐アーク層3は、上述のように地絡などの事故時に超電導導体層12から接地層14を経て、断熱管2A(この例では内管21)へのアーク放電を実質的に遮断できる程度の耐アーク性、又は耐トラッキング性、又は耐熱性、又は厚さなどを有していればよい。耐アーク層3の構成材料は、耐アーク性や耐トラッキング性に優れる高耐アーク材料を含むことが好ましい。ここでの高耐アーク材料とは、以下に説明する樹脂といった有機材料、炭素系材料やガラス、セラミックスなどの非金属無機材料、非金属材料(有機材料、無機材料)からなる繊維、金属などである。
高耐アーク材料のうち、具体的な有機材料は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂に代表されるフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアクリレート樹脂から選択される1種以上の樹脂、シリコーンゴムといったゴムなどが挙げられる。アミノ樹脂の具体例として、尿素樹脂(ユリア樹脂)、メラミン樹脂、アニリン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、耐アーク性や耐トラッキング性に優れる。ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂について、以下の耐アーク性試験を行った場合の耐アーク性(秒)、耐トラッキング性の代表値を表1に示す。
耐アーク性試験は、列挙した非金属材料のうち、有機材料などの電気絶縁材料からなる試験片の上に2本のタングステン電極を対向して置き、この対向配置の状態で高電圧、微小電流のアークを飛ばして、試料表面が炭化して、電気絶縁性が無くなるまでの時間(秒)を測定する(JIS K 6911(1995年)、5.15 耐アーク性、参照)。試験条件は、例えば、電圧が12,500V、電流が10mA以上40mA以下、が挙げられる。超電導ケーブル1Aの使用電流などに応じて、試験条件を調整することができる。測定した時間(秒)が長いほど、耐アーク性に優れる。
耐トラッキング性は、アーク劣化を測定する耐トラッキング性試験法によって評価できる。具体的な試験法は、IEC法(International Electrotechnical Commission)、DIN法(Deutsches Institut fur Normung)、Dust Fog法、高電圧微小電流耐アーク試験法、Differential Wet法、Dip Track法などが挙げられる。
高耐アーク材料のうち、非金属材料からなる繊維として、例えば、アラミド繊維などの樹脂(有機材料)からなる繊維(有機繊維)、カーボン繊維やガラス繊維、セラミックス繊維などの無機材料からなる繊維(無機繊維)が挙げられる。特に、強度や剛性などの機械的特性に優れていたり、耐熱性や難燃性に優れていたりする高性能・高機能繊維などが挙げられる。高性能・高機能繊維は、特に強度に優れる高強度繊維、スーパー繊維などと呼ばれて特に強度や剛性に優れる高強度・高弾性率繊維、特に耐熱性や難燃性に優れる高耐熱性繊維などが挙げられる。
高強度繊維、高強度・高弾性率繊維は、例えば、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール(PBO)繊維、カーボン繊維などが挙げられる。
高耐熱性繊維は、例えば、メタ系アラミド繊維、PPS繊維、PI繊維、フッ素繊維などが挙げられる。
不燃性繊維は、例えば、ガラス繊維、セラミックス繊維などが挙げられる。
ガラス繊維の構成材料は、代表的には、シリカ(SiO2)が挙げられる。セラミックス繊維などを構成するセラミックスは、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ホウ素、その他、金属炭化物や金属窒化物などが挙げられる。シリカとセラミックスとを含む繊維、例えば、シリカとアルミナとを含むセラミックス繊維や、複数種のセラミックスを含む繊維、例えば、シリカと酸化ホウ素とアルミナとを含むセラミックス繊維などが挙げられる。
ガラス繊維やセラミックス繊維は、耐アーク性により優れる耐アーク層を形成できる。そのため、耐アーク層3の厚さを薄くでき、断熱管2Aの小径化、ひいては超電導ケーブル1Aの小型化に寄与する。アラミド繊維は、強度にも優れる耐アーク層を形成できる。従って、耐アーク層3の構成材料には、ガラス繊維、セラミックス繊維、及びアラミド繊維の少なくとも一種の高耐アーク材料を含むことが好ましい。ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方と、アラミド繊維とを含むことができる。
高耐熱性繊維は、例えば、メタ系アラミド繊維、PPS繊維、PI繊維、フッ素繊維などが挙げられる。
不燃性繊維は、例えば、ガラス繊維、セラミックス繊維などが挙げられる。
ガラス繊維の構成材料は、代表的には、シリカ(SiO2)が挙げられる。セラミックス繊維などを構成するセラミックスは、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ホウ素、その他、金属炭化物や金属窒化物などが挙げられる。シリカとセラミックスとを含む繊維、例えば、シリカとアルミナとを含むセラミックス繊維や、複数種のセラミックスを含む繊維、例えば、シリカと酸化ホウ素とアルミナとを含むセラミックス繊維などが挙げられる。
ガラス繊維やセラミックス繊維は、耐アーク性により優れる耐アーク層を形成できる。そのため、耐アーク層3の厚さを薄くでき、断熱管2Aの小径化、ひいては超電導ケーブル1Aの小型化に寄与する。アラミド繊維は、強度にも優れる耐アーク層を形成できる。従って、耐アーク層3の構成材料には、ガラス繊維、セラミックス繊維、及びアラミド繊維の少なくとも一種の高耐アーク材料を含むことが好ましい。ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方と、アラミド繊維とを含むことができる。
耐アーク層の構成材料が樹脂や樹脂繊維、ゴムを含む場合、適宜な充填材や配合剤を樹脂やゴムに添加すると、樹脂単体やゴム単体の場合に比較して、耐アーク性や強度などの機械的特性に優れることがある。充填材や配合剤は、樹脂の成分やゴムの成分に応じて適宜選択でき、以下のような無機材料などが挙げられる。
シリコーン樹脂やシリコーンゴムに対して耐アーク性向上の充填材として、アルミナ三水和物などのアルミナ系化合物などが挙げられる。シリコーン樹脂やシリコーンゴムに対して強度などの向上の充填材として、シリカ(酸化珪素)などが挙げられる。PPS樹脂やPPS繊維の配合剤として、以下の分解吸熱フィラーや、ポリマーが完全燃焼したときに二酸化炭素と水になることを促進する炭化抑制剤などが挙げられる。分解吸熱フィラーの構成材料は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛などが挙げられる。充填材や配合剤は、公知のものを利用できる。
シリコーン樹脂やシリコーンゴムに対して耐アーク性向上の充填材として、アルミナ三水和物などのアルミナ系化合物などが挙げられる。シリコーン樹脂やシリコーンゴムに対して強度などの向上の充填材として、シリカ(酸化珪素)などが挙げられる。PPS樹脂やPPS繊維の配合剤として、以下の分解吸熱フィラーや、ポリマーが完全燃焼したときに二酸化炭素と水になることを促進する炭化抑制剤などが挙げられる。分解吸熱フィラーの構成材料は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛などが挙げられる。充填材や配合剤は、公知のものを利用できる。
高耐アーク材料のうち、具体的な金属は、鉛、ステンレス鋼・ニッケル・鉄などといった鉄族元素を含む鉄系金属などが挙げられる。耐アーク層3の構成材料には、上述の有機材料のような電気絶縁材料だけではなく、金属といった導電性を有する無機材料でも利用できると期待される。断熱管2A自体を厚くするのではなく、別途、耐アーク層3を備えることで、耐アーク性に優れる材料を利用したり、耐アーク層3の形成位置を選択したりでき、設計の自由度を高められる。また、耐アーク性に優れる材料で耐アーク層3を構成することで、断熱管2A自体の厚さを薄くできる。
その他の耐アーク層3の構成材料として、異なる材料を複合した複合材料、例えば、上述の樹脂と上述の繊維とを含む繊維強化樹脂などが挙げられる。
・・形態
耐アーク層3を断熱管2Aの内管21の内周面(本例)、又は外周面(後述の実施形態2)、又は外管22の内周面(後述の実施形態3)に接して備える場合には、耐アーク層3は、例えば、上述の有機材料や無機材料、高耐アーク材料などの塗布層、押出層、適宜な接合材を介してテープ材やシート材が接合されてなる接合層などを含むことができる。この例の内管21は、その内周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管である。
内周面又は外周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管は、例えば、金属板の一面に上述の高耐アーク材料などの塗布層や接合層などを備えるものを用意し、この金属板に波付け加工や溶接などを行ったり、コルゲート管の内周面又は外周面に上述の高耐アーク材料などを塗布や押出などしたりすることで製造できる。
塗布層、押出層、接合層などは、異なる複数の材料からなる多層構造の耐アーク層3とする場合でも容易に製造できる。塗布層や押出層などと、接合層とを組み合わせることで、種々の材料からなる多層構造の耐アーク層3を容易に形成できる。
耐アーク層3を断熱管2Aの内管21の内周面(本例)、又は外周面(後述の実施形態2)、又は外管22の内周面(後述の実施形態3)に接して備える場合には、耐アーク層3は、例えば、上述の有機材料や無機材料、高耐アーク材料などの塗布層、押出層、適宜な接合材を介してテープ材やシート材が接合されてなる接合層などを含むことができる。この例の内管21は、その内周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管である。
内周面又は外周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管は、例えば、金属板の一面に上述の高耐アーク材料などの塗布層や接合層などを備えるものを用意し、この金属板に波付け加工や溶接などを行ったり、コルゲート管の内周面又は外周面に上述の高耐アーク材料などを塗布や押出などしたりすることで製造できる。
塗布層、押出層、接合層などは、異なる複数の材料からなる多層構造の耐アーク層3とする場合でも容易に製造できる。塗布層や押出層などと、接合層とを組み合わせることで、種々の材料からなる多層構造の耐アーク層3を容易に形成できる。
複数の異なる材料からなる多層構造の耐アーク層3の具体例として、ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方から形成される無機繊維層と、アラミド繊維から形成される有機繊維層とを含む形態が挙げられる。
無機繊維層がガラス繊維で構成される場合には、ガラス繊維は難燃性に優れるため、耐アーク性に優れる耐アーク層3の構築に寄与する。無機繊維層がセラミックス繊維で構成される場合には、セラミックス繊維はガラス繊維よりも耐アーク性に優れるため、耐アーク性により優れる耐アーク層3の構築に寄与する。無機繊維層がガラス繊維とセラミックス繊維との双方を含む場合には、耐アーク性に一層優れる耐アーク層3とすることができる。
有機繊維層は、無機繊維層と共に備えることで耐アーク性を更に高められると共に、アラミド繊維、特にパラ系アラミド繊維といった高強度・高弾性率繊維で構成されることで、機械的強度をも高められる。
無機繊維層がガラス繊維で構成される場合には、ガラス繊維は難燃性に優れるため、耐アーク性に優れる耐アーク層3の構築に寄与する。無機繊維層がセラミックス繊維で構成される場合には、セラミックス繊維はガラス繊維よりも耐アーク性に優れるため、耐アーク性により優れる耐アーク層3の構築に寄与する。無機繊維層がガラス繊維とセラミックス繊維との双方を含む場合には、耐アーク性に一層優れる耐アーク層3とすることができる。
有機繊維層は、無機繊維層と共に備えることで耐アーク性を更に高められると共に、アラミド繊維、特にパラ系アラミド繊維といった高強度・高弾性率繊維で構成されることで、機械的強度をも高められる。
上述の有機繊維層や無機繊維層は、シート材の接合層、繊維を含む複合材料の押出層などが挙げられる。接合層とする場合、上述の繊維は、織物や編組材、不織布のいずれの形態も利用できる。いずれの形態も、緻密にすることでアーク放電を十分に遮断できる。
・・厚さ
耐アーク層3は、厚いほどアーク放電を遮断し易い。しかし、厚過ぎると断熱管2Aの大径化、ひいては超電導ケーブル1Aの大型化を招く。耐アーク層3の材質にもよるが、の高耐アーク材料のうち、樹脂などの非金属材料や繊維を含む場合には、0.5mm以上、更に1mm以上が好ましいと考えられる。上述の金属を含む場合には、1mm以上、更に2mm以上が好ましいと考えられる。
耐アーク層3は、厚いほどアーク放電を遮断し易い。しかし、厚過ぎると断熱管2Aの大径化、ひいては超電導ケーブル1Aの大型化を招く。耐アーク層3の材質にもよるが、の高耐アーク材料のうち、樹脂などの非金属材料や繊維を含む場合には、0.5mm以上、更に1mm以上が好ましいと考えられる。上述の金属を含む場合には、1mm以上、更に2mm以上が好ましいと考えられる。
・製造方法
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、代表的には、工場などで作製したケーブルコア10を断熱管2Aに収納することで製造できる。コア10の外周に断熱管2Aを形成したり、別途作製した断熱管2A内にコア10を引き込んだりすることで、コア10を断熱管2Aに収納した状態にできる。その他、工場などで作製したコア10及び断熱管2Aを布設現場に搬送し、布設経路に断熱管2Aを布設した後、この断熱管2A内にコア10を収納することでも超電導ケーブル1Aを製造できる。
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、代表的には、工場などで作製したケーブルコア10を断熱管2Aに収納することで製造できる。コア10の外周に断熱管2Aを形成したり、別途作製した断熱管2A内にコア10を引き込んだりすることで、コア10を断熱管2Aに収納した状態にできる。その他、工場などで作製したコア10及び断熱管2Aを布設現場に搬送し、布設経路に断熱管2Aを布設した後、この断熱管2A内にコア10を収納することでも超電導ケーブル1Aを製造できる。
・効果
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、耐アーク層3が設けられた実施形態1の断熱管2Aを備え、この断熱管2Aにケーブルコア10が収納されているため、自身に地絡などの事故が生じて超電導導体層12から接地層14に向かってアーク放電が生じた場合でも、このアーク放電が断熱管2Aに至らない。特に、この例の超電導ケーブル1Aは、断熱管2Aの内管21の内側に耐アーク層3を備えるため、上記アーク放電が内管21に至らない。即ち、超電導ケーブル1Aは、超電導導体層12から接地層14を経て断熱管2A、特に内管21に向かおうとするアーク放電を耐アーク層3によって遮断できる。従って、超電導ケーブル1Aは、地絡などの事故時に上記のアーク放電に起因する断熱管2Aの損傷や、この損傷によるケーブル1A外への液体冷媒Lの漏出などを防止できる。この例の耐アーク層3は、内管21の内周面に沿って設けられているため、コア10の任意の位置でアーク放電が生じても、内管21に達することを確実に遮断でき、超電導ケーブル1A外へのアーク放電をより確実に防止できる。
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、耐アーク層3が設けられた実施形態1の断熱管2Aを備え、この断熱管2Aにケーブルコア10が収納されているため、自身に地絡などの事故が生じて超電導導体層12から接地層14に向かってアーク放電が生じた場合でも、このアーク放電が断熱管2Aに至らない。特に、この例の超電導ケーブル1Aは、断熱管2Aの内管21の内側に耐アーク層3を備えるため、上記アーク放電が内管21に至らない。即ち、超電導ケーブル1Aは、超電導導体層12から接地層14を経て断熱管2A、特に内管21に向かおうとするアーク放電を耐アーク層3によって遮断できる。従って、超電導ケーブル1Aは、地絡などの事故時に上記のアーク放電に起因する断熱管2Aの損傷や、この損傷によるケーブル1A外への液体冷媒Lの漏出などを防止できる。この例の耐アーク層3は、内管21の内周面に沿って設けられているため、コア10の任意の位置でアーク放電が生じても、内管21に達することを確実に遮断でき、超電導ケーブル1A外へのアーク放電をより確実に防止できる。
以下、図2〜図4を参照して、実施形態2〜4の超電導ケーブル1B〜1Dを説明する。実施形態2〜4の超電導ケーブル1B〜1Dの基本的構成は、実施形態1と同様であり、耐アーク層3が設けられた実施形態2〜4の断熱管2B〜2Dを備える。実施形態2,3における実施形態1との主な相違点は、耐アーク層3の配置位置にある。実施形態4における実施形態1との主な相違点は、ケーブルコア数にある。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態1と同様の構成及び効果については、詳細な説明を省略する。
[実施形態2]
実施形態2の超電導ケーブル1Bが備える実施形態2の断熱管2Bは、内管21の外側、特に内管21の外周面に沿って耐アーク層3を備える。この例の内管21は、その外周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管である。
実施形態2の超電導ケーブル1Bが備える実施形態2の断熱管2Bは、内管21の外側、特に内管21の外周面に沿って耐アーク層3を備える。この例の内管21は、その外周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管である。
断熱管2Bに備える耐アーク層3は、アーク放電によって内管21に孔が開いた場合に液体冷媒Lに接触し得る。従って、耐アーク層3の構成材料は、液体冷媒Lに接しても脆化しないものであると、内管21外への液体冷媒Lの漏出を防止して、真空破壊を防止する又は低減できると期待できる。
また、この耐アーク層3は、内管21と外管22間に形成される真空断熱層内に配置されるため、その構成材料は、熱伝導率が低いもの、例えば1W/m・K以下、更に0.1W/m・K以下のものが好ましく、断熱材や、上述の高耐アーク材料のうち熱伝導率が低いものがより好ましい。更に、この構成材料は、真空を維持し易いもの、例えばガスを吸着して放出し難い材料などが好ましい。
この耐アーク層3は、内管21に接して設けられるため、実施形態1で説明した高耐アーク材料などからなる塗布層、押出層、接合層などとすることが挙げられる。
この項で説明した耐アーク層の構成材料、形態に関する点は、後述する実施形態3についても同様に適用できる。
また、この耐アーク層3は、内管21と外管22間に形成される真空断熱層内に配置されるため、その構成材料は、熱伝導率が低いもの、例えば1W/m・K以下、更に0.1W/m・K以下のものが好ましく、断熱材や、上述の高耐アーク材料のうち熱伝導率が低いものがより好ましい。更に、この構成材料は、真空を維持し易いもの、例えばガスを吸着して放出し難い材料などが好ましい。
この耐アーク層3は、内管21に接して設けられるため、実施形態1で説明した高耐アーク材料などからなる塗布層、押出層、接合層などとすることが挙げられる。
この項で説明した耐アーク層の構成材料、形態に関する点は、後述する実施形態3についても同様に適用できる。
又は、内管21の外周面上に設けられる耐アーク層3は、上述の有機材料や無機材料、好ましくは高耐アーク材料から構成されるテープ材(シート材を含む)の巻回層を含むことができる。巻回層は容易に設けられて製造性に優れる。耐アーク層3全体が実質的に巻回層で構成された形態とすることもできる。
耐アーク層3が多層構造の巻回層を含む場合、ギャップ巻きの多層構造とすると共に、少なくとも一層は巻方向が異なること、つまりS巻層とZ巻層とを備えることができる。巻方向の変更は、一層ごとでも(即ち、S巻層とZ巻層とが交互に存在する)、複数層ごとでもいずれでもよい。ギャップ巻きの多層構造であって、S巻層とZ巻層との双方を備えることで、S巻層のギャップをZ巻層が覆うため、ギャップが多過ぎたり大き過ぎたりすることなどによるアーク遮断効果の低下を抑制できる上に、耐アーク層3によって断熱管2Aが硬くなり過ぎず、断熱管2Aの曲げなどを行い易いと考えられる。テープ材の厚さや幅、巻回層のギャップや巻回ピッチなどは適宜選択できる。
耐アーク層3が上述の有機繊維層や無機繊維層を含む場合、繊維層を緻密な繊維テープ材の巻回層とすると、内管21外への液体冷媒Lの漏出を低減し易い。ギャップ巻ではなく重ね巻などとすると、液体冷媒Lの漏出を更に低減し易い。一方、ギャップ巻きの多層構造であって、S巻層とZ巻層との双方を備えることで、上述のように硬さを調整し易い。緻密度合いや材質、機械的特性などを考慮して、織物や不織布などの緻密度合いやテープ材の厚さ、巻回層のギャップなどを設定すればよい。
耐アーク層3は、構成材料が異なるテープ材の巻回層や、形態が異なるテープ材(例えば、樹脂テープ材と繊維テープ材、織物テープ材と不織布テープ材など)の巻回層を組み合わせた多層構造の巻回層を含むことができる。例えば、上記樹脂からなるテープ材の巻回層、上記繊維からなるテープ材の巻回層、及び上記金属からなるテープ材の巻回層から選択される二種以上の巻回層を組み合わせて備える形態が挙げられる。液体冷媒Lを実質的に透過しない金属テープ材や、液体冷媒Lを透過し難い樹脂テープ材などを含むと、内管21外への液体冷媒Lの漏出を低減又は実質的に防止できる。
その他、内管21の外周面上に設けられた耐アーク層3の上などに、クラフト紙などの絶縁紙、綿などの布、PPLPといった半合成紙などからなる絶縁テープ材の巻回層を備えることができる。耐アーク層3が金属テープ材の巻回層などの金属層を含む場合には、その外周に上記絶縁テープ材の巻回層を備えると、金属層に近接配置される断熱管2Bの外管22との間の電気絶縁性を高められて好ましい。絶縁テープ材の巻回層の厚さは1mm以下程度であると、小型な超電導ケーブル1Bとし易い。
内管21がコルゲート管であり、耐アーク層3がコルゲート管の凹凸を平滑化するように形成されている場合には、耐アーク層3を断熱材25の下地層とすることができる。この場合、断熱材25の配置を容易に行えて、製造性に優れる。
実施形態2の超電導ケーブル1Bは、耐アーク層3が設けられた実施形態2の断熱管2Bを備え、この断熱管2Bにケーブルコア10が収納されている。そのため、超電導ケーブル1Bは、自身に地絡などの事故が生じた場合に、コア10から断熱管2Bの内管21にアーク放電が達することを許容するものの、耐アーク層3によって外管22へのアーク放電を遮断する。従って、超電導ケーブル1Bは、実施形態1と同様に、ケーブル1B外へのアーク放電を防止できる。また、超電導ケーブル1Bは、アーク放電が外管22に至らないため、液体冷媒Lのケーブル1B外への漏出を防止できる。
[実施形態3]
実施形態3の超電導ケーブル1Cが備える実施形態3の断熱管2Cは、外管22の内側、特に外管22の内周面に沿って耐アーク層3を備える。この例の外管22は、その内周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管である。
実施形態3の超電導ケーブル1Cが備える実施形態3の断熱管2Cは、外管22の内側、特に外管22の内周面に沿って耐アーク層3を備える。この例の外管22は、その内周面に耐アーク層3を備えるコルゲート管である。
この耐アーク層3の構成材料は、実施形態2で説明したように低熱伝導性の材料、好ましくは断熱材であると、内管21に孔が開いても液体冷媒Lを保持し易く、液体冷媒Lに接しても脆化しないものや液体冷媒Lを透過し難いものなどであれば、超電導ケーブル1Cへの液体冷媒Lの漏出を防止できると期待できる。
実施形態3の超電導ケーブル1Cは、耐アーク層3が設けられた実施形態3の断熱管2Cを備え、この断熱管2Cにケーブルコア10が収納されている。そのため、超電導ケーブル1Cは、自身に地絡などの事故が生じた場合に、コア10から断熱管2Cの内管21にアーク放電が達することを許容するものの、耐アーク層3によって外管22外へのアーク放電を遮断する。従って、超電導ケーブル1Cは、実施形態1,2と同様に、ケーブル1C外へのアーク放電を防止できる。また、超電導ケーブル1Cは、アーク放電が外管22に至らないため、液体冷媒Lのケーブル1C外への漏出を防止できる。
[変形例1]
外管22の内側に耐アーク層3を備える別例の断熱管(図示せず)として、耐アーク層3が外管22の内周面に沿わずに内管21と外管22との間に設けられた形態が挙げられる。この耐アーク層3は、例えば、断熱材25の外周に上述の高耐アーク材料などから構成されるテープ材の巻回層が挙げられる。この場合、耐アーク層3を容易に形成できる上に、断熱材25の押え層としての機能も期待できる。
外管22の内側に耐アーク層3を備える別例の断熱管(図示せず)として、耐アーク層3が外管22の内周面に沿わずに内管21と外管22との間に設けられた形態が挙げられる。この耐アーク層3は、例えば、断熱材25の外周に上述の高耐アーク材料などから構成されるテープ材の巻回層が挙げられる。この場合、耐アーク層3を容易に形成できる上に、断熱材25の押え層としての機能も期待できる。
[実施形態4]
実施形態1〜3では、断熱管2A〜2C内にケーブルコア10が1本のみ収納された単心ケーブルを説明した。その他、図4に示す超電導ケーブル1Dのように、耐アーク層3を備える断熱管2Dに複数のコア10を備える多心一括ケーブルとすることができる。この形態では、複数のコア10を撚り合わせておくと取り扱い易い。
実施形態1〜3では、断熱管2A〜2C内にケーブルコア10が1本のみ収納された単心ケーブルを説明した。その他、図4に示す超電導ケーブル1Dのように、耐アーク層3を備える断熱管2Dに複数のコア10を備える多心一括ケーブルとすることができる。この形態では、複数のコア10を撚り合わせておくと取り扱い易い。
図4は、断熱管2Dに3本のコア10a,10b,10cが収納された3心一括ケーブルを示すが、2本又は4本以上のコア10が収納された多心一括ケーブルとすることができる。また、断熱管2Dの基本的構成は実施形態1の断熱管2Aと同様であるが、この構成に代えて、実施形態2,3で説明した断熱管2B,2C、変形例1で説明した断熱管などと同様の構成とすることができる。これらコア数に関する点、断熱管に関する点は後述する実施形態5についても同様に適用できる。
[実施形態5]
実施形態4で説明したような多心一括ケーブルでは、一つの断熱管に収納されるケーブルコア10同士が近接している。そのため、一つの断熱管に収納される複数のコア10のうち、あるコア10が絶縁破壊してアーク放電が発生した場合に、隣接するコア10にアーク放電が達してコア10同士が短絡する恐れがある。そこで、図5に示すように、断熱管2Eに耐アーク層3を備えることに加えて、各コア10にも耐アーク層を備えることが好ましい。実施形態5の超電導ケーブル1Eは、多心一括ケーブルであって、各コア10が接地層14の外周に個別耐アーク層30を備え、外管22の内周側、より具体的にはコア10の外周と外管22の内周との間に複数のコア10を一括して覆う耐アーク層3(以下、包括耐アーク層32と呼ぶ)を備える。この例の包括耐アーク層32は、内管21の内周面に備える。実施形態5の断熱管2Eの基本的構成は、実施形態1の断熱管2Aと同様である。
実施形態4で説明したような多心一括ケーブルでは、一つの断熱管に収納されるケーブルコア10同士が近接している。そのため、一つの断熱管に収納される複数のコア10のうち、あるコア10が絶縁破壊してアーク放電が発生した場合に、隣接するコア10にアーク放電が達してコア10同士が短絡する恐れがある。そこで、図5に示すように、断熱管2Eに耐アーク層3を備えることに加えて、各コア10にも耐アーク層を備えることが好ましい。実施形態5の超電導ケーブル1Eは、多心一括ケーブルであって、各コア10が接地層14の外周に個別耐アーク層30を備え、外管22の内周側、より具体的にはコア10の外周と外管22の内周との間に複数のコア10を一括して覆う耐アーク層3(以下、包括耐アーク層32と呼ぶ)を備える。この例の包括耐アーク層32は、内管21の内周面に備える。実施形態5の断熱管2Eの基本的構成は、実施形態1の断熱管2Aと同様である。
個別耐アーク層30の具体的な構成材料については、実施形態1を参照するとよい。個別耐アーク層30の構成材料は、包括耐アーク層32の構成材料と同じである形態の他、少なくとも一部が異なる形態とすることができる。
個別耐アーク層30は、実施形態2で説明した高耐アーク材料などからなるテープ材の巻回層を含むと、容易に形成できる。特に、ギャップ巻きの多層構造であって、S巻層とZ巻層との双方を備える巻回層とすると、上述の樹脂や金属といったテープ材を利用する場合であっても、液体冷媒Lの流路を十分に確保できる。そのため、超電導ケーブル1Eの断熱管2E内に液体冷媒Lを導入して、コア10に液体冷媒Lを含浸させるときに含浸時間の短縮を図ることができる。繊維テープ材を利用する場合には、緻密度合によっては重ね巻などとすることができる。
個別耐アーク層30は、上述の耐アーク層3で説明したように、単層構造の他、異なる複数の材料からなる多層構造とすることができる。
上述の高耐アーク材料などからなる層の内外の少なくとも一方に、実施形態2で説明した絶縁テープ材の巻回層を備えることができる。個別耐アーク層30と断熱管2Eの内管21との間に絶縁テープ材の巻回層が介在する場合には、個別耐アーク層30が金属を含む場合でも、内管21に対する電気絶縁性を高められて好ましい。
個別耐アーク層30が強度などの機械的特性に優れる繊維、特に上述の高強度繊維や上述の高強度・高弾性率繊維を含む高強度層を備える場合には、工場又は布設現場において、コア10を引き込んで断熱管2Eに収納する際に、高強度層をテンションメンバとして利用できる。この場合、別途、テンションメンバを省略できる。
個別耐アーク層30は、実施形態2で説明した高耐アーク材料などからなるテープ材の巻回層を含むと、容易に形成できる。特に、ギャップ巻きの多層構造であって、S巻層とZ巻層との双方を備える巻回層とすると、上述の樹脂や金属といったテープ材を利用する場合であっても、液体冷媒Lの流路を十分に確保できる。そのため、超電導ケーブル1Eの断熱管2E内に液体冷媒Lを導入して、コア10に液体冷媒Lを含浸させるときに含浸時間の短縮を図ることができる。繊維テープ材を利用する場合には、緻密度合によっては重ね巻などとすることができる。
個別耐アーク層30は、上述の耐アーク層3で説明したように、単層構造の他、異なる複数の材料からなる多層構造とすることができる。
上述の高耐アーク材料などからなる層の内外の少なくとも一方に、実施形態2で説明した絶縁テープ材の巻回層を備えることができる。個別耐アーク層30と断熱管2Eの内管21との間に絶縁テープ材の巻回層が介在する場合には、個別耐アーク層30が金属を含む場合でも、内管21に対する電気絶縁性を高められて好ましい。
個別耐アーク層30が強度などの機械的特性に優れる繊維、特に上述の高強度繊維や上述の高強度・高弾性率繊維を含む高強度層を備える場合には、工場又は布設現場において、コア10を引き込んで断熱管2Eに収納する際に、高強度層をテンションメンバとして利用できる。この場合、別途、テンションメンバを省略できる。
ここで、実施形態4のように断熱管2Dにのみ耐アーク層3を備えると、各ケーブルコア10からのアーク放電が超電導ケーブル1D外に達しないように、耐アーク層3の厚さをある程度厚くする必要がある。
一方、各コア10が個別耐アーク層30を備える場合には、個別耐アーク層30によって、断熱管2Eへのアーク放電をある程度低減できるため、包括耐アーク層32の厚さを薄くできるといえる。
他方、複数のコア10のうち、隣り合うコア10間(コア10a,10b間など)には、2心分の個別耐アーク層30,30が介在する。これら2心分の個別耐アーク層30,30を合わせることで隣り合うコア10間のアーク放電を遮断すれば、コア10間の短絡を防止できるといえる。
以上のことから、各耐アーク層30,32の材質などに応じて厚さを調整することで、ケーブル1E外へのアーク放電及びコア10間の短絡を防止できる上に、コア径の増大を低減できて小型な超電導ケーブル1Eとすることができる。
一方、各コア10が個別耐アーク層30を備える場合には、個別耐アーク層30によって、断熱管2Eへのアーク放電をある程度低減できるため、包括耐アーク層32の厚さを薄くできるといえる。
他方、複数のコア10のうち、隣り合うコア10間(コア10a,10b間など)には、2心分の個別耐アーク層30,30が介在する。これら2心分の個別耐アーク層30,30を合わせることで隣り合うコア10間のアーク放電を遮断すれば、コア10間の短絡を防止できるといえる。
以上のことから、各耐アーク層30,32の材質などに応じて厚さを調整することで、ケーブル1E外へのアーク放電及びコア10間の短絡を防止できる上に、コア径の増大を低減できて小型な超電導ケーブル1Eとすることができる。
例えば、各個別耐アーク層30は、隣り合うケーブルコア10の個別耐アーク層30,30を合わせることで、これらコア10間のアーク放電を遮断するように構成されるものとする。また、包括耐アーク層32は、各コア10の個別耐アーク層30と合わせることで、各コア10から断熱管2Eへのアーク放電を遮断するように構成されるものとする。
より具体的には、各ケーブルコア10に備える個別耐アーク層30の厚さは、単独ではアーク放電を十分に遮断できずに短絡が生じ得るが、二つの個別耐アーク層30,30を合計すればアーク放電を実質的に遮断できる厚さとすることができる。また、各個別耐アーク層30の厚さ及び包括耐アーク層32の厚さは、個別耐アーク層30又は包括耐アーク層32のみを備える場合にはアーク放電を十分に遮断できずに超電導ケーブル1E外にアーク放電が達する恐れがあるが、両耐アーク層30,32を合計すればアーク放電を実質的に遮断できる厚さとすることができる。
より具体的には、各ケーブルコア10に備える個別耐アーク層30の厚さは、単独ではアーク放電を十分に遮断できずに短絡が生じ得るが、二つの個別耐アーク層30,30を合計すればアーク放電を実質的に遮断できる厚さとすることができる。また、各個別耐アーク層30の厚さ及び包括耐アーク層32の厚さは、個別耐アーク層30又は包括耐アーク層32のみを備える場合にはアーク放電を十分に遮断できずに超電導ケーブル1E外にアーク放電が達する恐れがあるが、両耐アーク層30,32を合計すればアーク放電を実質的に遮断できる厚さとすることができる。
実施形態5の超電導ケーブル1Eは、複数のコア10を一括して覆う包括耐アーク層32が設けられた実施形態5の断熱管2Eを備え、かつこの断熱管2Eに収納される複数のケーブルコア10のいずれもが個別耐アーク層30を備える。そのため、超電導ケーブル1Eは、自身に地絡などの事故が生じて超電導導体層12から接地層14に向かってアーク放電が生じた場合でも、超電導導体層12から接地層14を経て断熱管2Eに向かおうとするアーク放電を両耐アーク層30,32によって遮断できる。従って、超電導ケーブル1Eは、地絡などの事故時にケーブル1E外へのアーク放電を防止できる上に、アーク放電に起因する断熱管2Eの損傷や、この損傷によるケーブル1E外への液体冷媒Lの漏出などを防止できる。
また、実施形態5の超電導ケーブル1Eは、多心一括ケーブル(この例では3心一括ケーブル)であり、断熱管2Eに収納される一つのコア10が絶縁破壊して、超電導導体層12から接地層14にアーク放電が生じた場合に、このコア10に隣接する別のコア10に向かうアーク放電を、これら二つのコア10間に介在する両コア10の個別耐アーク層30,30によって遮断できる。従って、超電導ケーブル1Eは、地絡などの事故時に上記のアーク放電に起因して、隣接するコア10,10同士の間で短絡が生じることも防止できる。即ち、地絡事故から短絡事故に移行することを防止できる。
かつ、実施形態5の超電導ケーブル1Eは、個別耐アーク層30と包括耐アーク層32との双方を備えることで、いずれか一方のみを備える場合と比較して、各耐アーク層30,32の厚さを薄くできる。その結果、ケーブル径を小さくでき、小型な超電導ケーブル1Eとすることができる。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[付記]
超電導ケーブル自身に地絡などの事故が生じてアーク放電が発生した場合に、ケーブル外に液体冷媒Lの漏出を防止する構成として、断熱管の外管の内周側に耐アーク層を備えることに加えて、又はこの耐アーク層に代えて、断熱管の外管の外周に、外管からケーブル外への液体冷媒Lの漏出を防止する冷媒封止層(図示せず)を備えることが挙げられる。
冷媒封止層の構成材料は、液体冷媒Lに接しても脆化せず、液体冷媒Lの漏出を防止できる種々のものが利用できる。耐アーク性にも優れる材料であれば、外管の内周側に耐アーク層を別途有していなくても、超電導ケーブル外へのアーク放電を防止できる。
また、冷媒封止層の構成材料は、熱伝導率が低いもの、例えば1W/m・K以下、更に0.1W/m・K以下のものが好ましく、断熱材がより好ましい。内管と外管との間の真空断熱層が損傷した場合でも、液体冷媒Lの温度上昇を低減し易いからである。
更に、冷媒封止層は、強度などの機械的特性に優れる繊維、特に上述の高強度繊維や上述の高強度・高弾性率繊維を含む高強度層を備えると、この高強度層を、耐アーク層として利用できる上に、超電導ケーブルを管路などに引き込む際のテンションメンバに利用することもできる。
冷媒封止層は、外管の直上に備えることで、液体冷媒Lがケーブル外に漏出することを防止し易い。上述の防食層24は、外部から外管22の内周側に水分が浸入することを防止するものであることから、冷媒封止層の外周に備えることが好ましい。
超電導ケーブル自身に地絡などの事故が生じてアーク放電が発生した場合に、ケーブル外に液体冷媒Lの漏出を防止する構成として、断熱管の外管の内周側に耐アーク層を備えることに加えて、又はこの耐アーク層に代えて、断熱管の外管の外周に、外管からケーブル外への液体冷媒Lの漏出を防止する冷媒封止層(図示せず)を備えることが挙げられる。
冷媒封止層の構成材料は、液体冷媒Lに接しても脆化せず、液体冷媒Lの漏出を防止できる種々のものが利用できる。耐アーク性にも優れる材料であれば、外管の内周側に耐アーク層を別途有していなくても、超電導ケーブル外へのアーク放電を防止できる。
また、冷媒封止層の構成材料は、熱伝導率が低いもの、例えば1W/m・K以下、更に0.1W/m・K以下のものが好ましく、断熱材がより好ましい。内管と外管との間の真空断熱層が損傷した場合でも、液体冷媒Lの温度上昇を低減し易いからである。
更に、冷媒封止層は、強度などの機械的特性に優れる繊維、特に上述の高強度繊維や上述の高強度・高弾性率繊維を含む高強度層を備えると、この高強度層を、耐アーク層として利用できる上に、超電導ケーブルを管路などに引き込む際のテンションメンバに利用することもできる。
冷媒封止層は、外管の直上に備えることで、液体冷媒Lがケーブル外に漏出することを防止し易い。上述の防食層24は、外部から外管22の内周側に水分が浸入することを防止するものであることから、冷媒封止層の外周に備えることが好ましい。
高強度層を構成する繊維は、引張強さが1GPa以上である上述の高強度繊維や高強度・高弾性率繊維を好適に利用できる。この程度の強度を有することで、高強度層を、超電導ケーブルを管路などに引き込む際のテンションメンバとして好適に利用できる。高強度層を構成する繊維の引張強さは、高いほど好ましく、1.5GPa以上、更に2GPa以上が挙げられる。高強度層の構成材料には、スーパー繊維と呼ばれる非金属繊維を好適に利用できる。冷媒封止層の全体又は主成分が上述の高強度繊維や、高強度・高弾性率繊維から構成された高強度層である場合には、耐アーク性に優れる上に、上述の引き込み時の張力に対する強度を十分に有することができる。この場合、緻密な繊維テープ材やシート材を用いたり、重ね巻などを利用したりすることで、液体冷媒Lの漏出を防止できる。冷媒封止層の一部にのみ高強度層を備える場合には、例えば、他部を液体冷媒Lの漏出を防止でき、かつ液体冷媒Lに対する耐性に優れる材料、好ましくは耐アーク性に優れる材料で構成することなどができる。
高強度層を、上述のような繊維テープ材とし、このテープ材を巻回してなる巻回層とする場合、巻回ピッチは比較的長い方が好ましい。具体的な巻回ピッチは、例えば、400mm以上2000mm以下、好ましくは600mm以上1000mm以下が挙げられる。このような比較的長いピッチとすることで、引き込み時に高強度層を引っ張ることで高強度層(巻回層)が巻き締まって断熱管の外管を締め付け、この締め付けによって外管に過度の力が付与されることを防止できる。また、巻回ピッチが上記範囲を満たすことで、縦添えする場合に比較して、引き込み時の張力に耐え得る十分な強度を有することができる。冷媒封止層を上述の引き込み用のテンションメンバに利用することで、部品点数を低減できるため、超電導ケーブルの製造性、布設作業性に優れる。
本発明の超電導ケーブルは、直流送電路、交流送電路に利用できる。本発明の超電導ケーブル用断熱管は、超電導ケーブルの構成部材に利用できる。
1A,1B,1C,1D,1E 超電導ケーブル
10,10a,10b,10c ケーブルコア
11 フォーマ 12 超電導導体層 13 電気絶縁層 14 接地層
15 保護層
3 耐アーク層 30 個別耐アーク層 32 包括耐アーク層
2A,2B,2C,2D,2E 断熱管 21 内管 22 外管 24 防食層
25 断熱材 L 液体冷媒
10,10a,10b,10c ケーブルコア
11 フォーマ 12 超電導導体層 13 電気絶縁層 14 接地層
15 保護層
3 耐アーク層 30 個別耐アーク層 32 包括耐アーク層
2A,2B,2C,2D,2E 断熱管 21 内管 22 外管 24 防食層
25 断熱材 L 液体冷媒
Claims (4)
- 超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを備えるケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、
前記内管の外周に設けられて、前記内管との間に断熱層を形成する外管と、
前記外管の内周側に設けられて、前記ケーブルコアからのアーク放電を遮断する耐アーク層とを備える超電導ケーブル用断熱管。 - 前記耐アーク層は、高性能・高機能繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、シリコーンゴム及び金属から選択される1種以上の材料から構成される請求項1に記載の超電導ケーブル用断熱管。
- 前記耐アーク層は、前記材料から構成されるテープ材の巻回層を含む請求項2に記載の超電導ケーブル用断熱管。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の超電導ケーブル用断熱管と、
前記内管に収納される前記ケーブルコアとを備える超電導ケーブル。
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