JP2016110988A - 超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用ケーブルコア - Google Patents

超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用ケーブルコア Download PDF

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Abstract

【課題】地絡事故などの事故時に断熱管の損傷を防止できる超電導ケーブル、及び超電導用ケーブルコアを提供する。【解決手段】超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層と、前記接地層の外周に設けられる保護層とを備え、前記保護層は、高性能・高機能繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、シリコーンゴム及び金属から選択される1種以上の材料から構成される耐アーク層を含む超電導ケーブル用ケーブルコア。【選択図】図1

Description

本発明は、送電路などに利用される超電導ケーブル、断熱管に収納されて超電導ケーブルに用いられるケーブルコアに関する。特に、地絡などの事故時に断熱管の損傷を防止できる超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用ケーブルコアに関する。
超電導ケーブルは、小型でありながら、大容量の電力を低損失で送電可能なことから、省エネルギー技術として期待されている。超電導ケーブルは、超電導導体層を有するケーブルコアと、ケーブルコアを収納し、超電導導体層を超電導状態に維持する液体窒素などの液体冷媒が充填される断熱管とを備える構成が代表的である。超電導ケーブルには、一つの断熱管内に1本のケーブルコアのみが収納された単心ケーブルと、一つの断熱管内に複数のケーブルコアが収納された多心一括ケーブルとがある(特許文献1)。
上記ケーブルコアは、代表的には、内側から順に、フォーマと、超電導導体層と、電気絶縁層と、接地されてシールド層などに利用される外側超電導層と、外側超電導層を機械的に保護する保護層とを備える(特許文献1)。上記断熱管は、代表的には、内管及び外管を備える二重構造の真空断熱管である(特許文献1)。内管及び外管には、ステンレス鋼管などの金属管が利用される。
その他、特許文献1は、短絡や地絡などの事故時に事故電流を分流するために、超電導導体層を支持するフォーマを銅などの常電導材料によって構成することを開示している。
特開2013−044564号公報
超電導ケーブル自体に地絡などの事故が生じたときに、断熱管の損傷を防止できることが望まれる。
特許文献1は、上述のように短絡や地絡などの事故が生じた場合に事故電流を流せる構成を開示している。この事故電流とは、超電導ケーブルの周囲に布設され得る架空送電線などの常電導ケーブルに短絡事故などが生じ、この事故に起因して超電導ケーブルに瞬間的に流れ得る過大な電流を想定している。上記の構成は、超電導ケーブル自体は健全であることを前提として、上記の過大な電流を流すためのものである。超電導ケーブル自体にも地絡などの事故が生じ得ることから、その対策が望まれる。
超電導ケーブル自体に地絡などの事故が発生して、電気絶縁破壊が生じた場合、高電位である超電導導体層から、接地されてゼロ電位である外側超電導層などの接地層にアークが生じる可能性がある。このアークが断熱管の内管にまで達すると、内管に孔が開く恐れがある。内管に孔が開けば、内管と外管との間に形成される真空断熱層に液体冷媒が漏れて真空を維持できなくなったり、液体冷媒が気化し、この気化時の体積膨張によって断熱管が破損したりするなどの恐れがある。また、上述のアーク放電によって、内管だけでなく外管にも孔が開く恐れがある。
更に、特許文献1に記載されるような多心一括ケーブルの場合、一つの断熱管に収納されるケーブルコア同士が近接している。そのため、一つの断熱管に収納される複数のケーブルコアのうち、あるケーブルコアが絶縁破壊してアークが発生した場合に、隣接するケーブルコアにアークが飛び、ケーブルコア同士が短絡する恐れもある。
そこで、本発明の目的の一つは、超電導ケーブル自体に地絡などの事故が生じたときに、断熱管の損傷を防止できる超電導ケーブル、及び超電導ケーブル用ケーブルコアを提供することにある。
本発明の一態様に係る超電導ケーブル用ケーブルコアは、超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層と、前記接地層の外周に設けられる保護層とを備える。
前記保護層は、高性能・高機能繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、シリコーンゴム及び金属から選択される1種以上の材料から構成される耐アーク層を含む。
本発明の一態様に係る超電導ケーブルは、上記の超電導ケーブル用ケーブルコアと、前記超電導ケーブル用ケーブルコアを収納する断熱管とを備える。
上記の超電導ケーブル用ケーブルコアを断熱管に収納して超電導ケーブルを構築した場合、この超電導ケーブルは、地絡などの事故時に断熱管の損傷を防止できる。
上記の超電導ケーブルは、地絡などの事故時に断熱管の損傷を防止できる。
実施形態1の超電導ケーブルの概略を示す横断面である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る超電導ケーブル用ケーブルコアは、超電導導体層と、上記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層と、上記接地層の外周に設けられる保護層とを備える。
上記保護層は、高性能・高機能繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、シリコーンゴム及び金属から選択される1種以上の材料(以下、高耐アーク材料と呼ぶことがある)から構成される耐アーク層を含む。
高性能・高機能繊維とは、例えば、高強度繊維、高強度・高弾性率繊維、高耐熱性繊維、不燃性繊維などが挙げられる。高強度繊維は、引張強さが1GPa以上程度を有する非金属繊維が挙げられる。高強度・高弾性率繊維は、引張強さが2GPa程度以上、弾性率が50GPa程度以上を有する非金属繊維であって、スーパー繊維と呼ばれるものなどが挙げられる。カーボンや、ガラス、金属化合物といったセラミックスなどの非金属無機材料から構成される無機繊維、樹脂といった有機材料から構成される有機繊維が挙げられる。
上記の超電導ケーブル用ケーブルコアは、接地層の外周に特定の高耐アーク材料を含む耐アーク層を備えるため、断熱管に収納して超電導ケーブルとし、この超電導ケーブル自身に地絡などの事故が生じた場合に、この事故に起因するアークによる断熱管の損傷を防止できる。詳しくは、電気絶縁層が絶縁破壊して、超電導導体層から接地層に向かってアークが発生しても、接地層と断熱管との間に耐アーク層が介在するため、このアークが断熱管に飛ぶことを耐アーク層によって実質的に遮断できる。従って、上記の超電導ケーブル用ケーブルコアは、超電導ケーブルに生じ得る地絡などの事故時に発生するアークによって、断熱管に孔が開くといった断熱管の損傷を防止できる。
一つの断熱管に上記の超電導ケーブル用ケーブルコアを複数収納した多心一括ケーブルとする場合には、隣接するコア同士の間に耐アーク層が介在する。そのため、この多心一括ケーブルに備える一つのコアからのアークによって、隣接するコア同士が短絡することも防止できる。
(2)上記の超電導ケーブル用ケーブルコアの一例として、上記耐アーク層が上記材料(高耐アーク材料)から構成されるテープ材を巻回した巻回層を含む形態が挙げられる。
上記形態は、耐アーク層を容易に形成できて製造性に優れる。巻回層は、テープ材をギャップ巻きした多層構造とすると共に、巻方向が異なる層を含むことで、即ちS巻層とZ巻層とを含むことで、断熱管や隣接するケーブルコアへのアーク放電を防止しつつ、液体冷媒の含浸経路を確保できて、超電導ケーブルの製造性にも優れる。
(3)上記の超電導ケーブル用ケーブルコアの一例として、上記耐アーク層が複数の異なる材料から構成される多層構造であり、内周側から順に、ポリプロピレン樹脂とクラフト紙とを含む半合成紙から形成される半合成紙層と、ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方から形成される無機繊維層と、アラミド繊維から形成される有機繊維層とを含む形態が挙げられる。
上記形態は、上述のように地絡などの事故時における断熱管の損傷を防止できる超電導ケーブルの構築に寄与できる上に、以下の効果を奏する。
(a)半合成紙層によってその下層の接地層を押えたり、平滑にしたり、保護したりでき、無機繊維層を形成し易い。
(b)耐アーク性に優れる高耐アーク材料の一つであるガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方からなる無機繊維層を備える場合には耐アーク性により優れる。その結果、耐アーク層の合計厚さを薄くでき、コアの小径化を図ることができる。特に、セラミックス繊維はガラス繊維よりも耐アーク性に優れることから、セラミックス繊維を含む耐アーク層を備える場合には、耐アーク性に更に優れて、コアの更なる小径化を図ることができると期待される。ガラス繊維及びセラミックス繊維の双方からなる無機繊維層を備える場合に耐アーク性により一層優れると期待される。
(c)高耐アーク材料の一つであるアラミド繊維は高強度であり、アラミド繊維からなる有機繊維層を備えることで、機械的強度を高められる。この有機繊維層を後述する高強度層として機能させることができる。
(4)上記の超電導ケーブル用ケーブルコアの一例として、上記耐アーク層が上記高性能・高機能繊維のうち、引張強さが1GPa以上である繊維から構成される高強度層を含む形態が挙げられる。
上記形態は、特定の高耐アーク材料を含む耐アーク層を備えることで、上述のように地絡などの事故時の断熱管の損傷を防止できる超電導ケーブルの構築に寄与できる上に、耐アーク層の少なくとも一部に高強度層を備えることで強度にも優れる。特に、高強度層が、上記の超電導ケーブル用ケーブルコアを断熱管に引き込む際の張力に耐え得る程度の強度を有する繊維で構成されている場合には、この高強度層を引き込み用のテンションメンバに利用できる。上記形態は、耐アーク層をテンションメンバに兼用でき、別の高張力材を省略できる又は高張力材の構成材料を低減できるため、超電導ケーブルの製造性などに優れる。
(5)本発明の一態様に係る超電導ケーブルは、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の超電導ケーブル用ケーブルコアと、上記超電導ケーブル用ケーブルコアを収納する断熱管とを備える。
上記の超電導ケーブルは、断熱管に収納される少なくとも1本のケーブルコア、好ましくは全てのケーブルコアが上述の特定の耐アーク層を備える上記の超電導ケーブル用ケーブルコアであるため、上述のように自身に地絡などの事故が生じて超電導導体層から断熱管に向かうアークが発生した場合に、このアークに起因する断熱管の損傷を特定の高耐アーク材料を含む耐アーク層によって防止できる。上述の(3)で説明したように耐アーク層が特定の無機繊維層を含む場合には耐アーク性により優れる。上述の(3)又は(4)で説明したように、耐アーク層が高強度層を含む場合には、耐アーク層の少なくとも一部を上述の引き込み用のテンションメンバなどに利用でき、上記の超電導ケーブルは、製造性、布設作業性などに優れる。
(6)上記の超電導ケーブルの一例として、上記断熱管に複数の上記超電導ケーブル用ケーブルコアを備える形態が挙げられる。
上記形態は、多心一括ケーブルである。上記形態は、一つの断熱管に収納される各ケーブルコアがいずれも、上述の特定の高耐アーク材料を含む耐アーク層を備える上記の超電導ケーブル用ケーブルコアである。そのため、上記形態は、断熱管に収納される上記の複数の超電導ケーブル用ケーブルコアのうち、一つのコアが絶縁破壊して、超電導導体層から接地層に向かってアークが発生しても、隣接するコア同士の間に耐アーク層が介在するため、隣接するコア同士が短絡することを防止できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の具体例を説明する。
[実施形態1]
図1を参照して、実施形態1の超電導ケーブル用ケーブルコア10を備える超電導ケーブル1を説明する。
・全体構成
実施形態1の超電導ケーブル1は、図1に示すように、超電導導体層12を備える超電導ケーブル用ケーブルコア10(以下、単にケーブルコア10又はコア10と呼ぶことがある)と、複数のコア10を収納する断熱管20とを備える多心一括ケーブルである(ここでは3心一括ケーブル)。超電導ケーブル1は、布設されて送電路を構築する。
各ケーブルコア10はいずれも同様の構成であり、中心から順にフォーマ11、超電導導体層12、電気絶縁層13、接地層14、保護層15を備える。断熱管20は、内管21と外管22とを備える二重構造の真空断熱管である。超電導ケーブル1は、超電導導体層12と電気絶縁層13との双方が断熱管20に収納されて、液体窒素などの液体冷媒Lで冷却される低温絶縁型のケーブルである。超電導ケーブル1の基本的構成は、従来の超電導ケーブルに類似する。実施形態1の超電導ケーブル1は、保護層15に特定の材料(高耐アーク材料)から構成される耐アーク層を含む点を特徴の一つとする。以下、各要素の機能や代表的な構成などを簡単に説明し、保護層15を詳細に説明する。
・超電導ケーブル用ケーブルコア
・・フォーマ
フォーマ11は、超電導導体層12を支持する支持部材である。具体例として、管材などの中空体や、複数の金属の素線を撚り合わせた撚り線、複数の撚り線を更に撚り合わせた撚り合せ体などの中実体などが挙げられる。主たる構成材料は、銅やアルミニウム、その合金といった常電導材料が挙げられる。上記素線は、金属導体線が絶縁被覆で覆われた被覆線が挙げられる。
・・超電導導体層
超電導導体層12は、フォーマ11の外周に複数の超電導線材をスパイラル巻きして形成された線材層が挙げられる。超電導線材は、Bi2223といったビスマスを含む酸化物系銀シース線材や、RE123といった希土類元素を含む酸化物系薄膜線材などのテープ状線材が挙げられる。線材層や線材の使用本数などは、所定の電力量に応じて選択できる。線材層は、多層、単層のいずれも利用できる。多層の場合、絶縁紙などを巻回した層間絶縁層(図示せず)を設けることができる。
・・電気絶縁層
電気絶縁層13は、超電導導体層12とその外側に配置された接地層14との間に介在し、両者の電気的絶縁を確保する。電気絶縁層13は、クラフト紙や、樹脂とクラフト紙とを含む半合成紙などの絶縁紙を超電導導体層12の外周にスパイラル巻きして形成された巻回層が挙げられる。半合成紙は、ポリプロピレン樹脂とクラフト紙とを含むもの、例えば、PPLP(Polypropylene Laminated Paper)(登録商標)が挙げられる。電気絶縁層13内外に半導電層(図示せず)を設けることができる。
・・接地層
接地層14は、超電導導体層12の外周に電気絶縁層13を介して設けられ、接地電位をとるための導電部である。接地層14は、上述の超電導線材、銅などの常電導材料からなる線材やテープ材、編組材などを適宜スパイラル巻きなどして形成された巻回層が挙げられる。接地層14が超電導線材によって形成されている場合、接地層14を、交流送電では超電導シールド層に利用できる。
電気絶縁層13の外周に、超電導線材によって形成された外側超電導層を設け、別途、常電導材料によって形成された接地層14を設けることができる。この場合、外側超電導層は、上述のように超電導シールド層などに利用できる。外側超電導層と常電導材料の接地層14との間には層間絶縁層を設けることができる。
・・保護層
ここで、従来のケーブルコアは、超電導線材などの導電材料で構成される接地層14の機械的保護、この接地層14と金属で構成される断熱管20との間の電気的絶縁などを目的として、接地層14の外周に保護層を設けている。これらの目的から、従来のケーブルコアでは、保護層をクラフト紙などの電気絶縁材料で構成している。実施形態1の超電導ケーブル1では、超電導ケーブル1自身に地絡などの事故が生じた場合に、電気絶縁層13が絶縁破壊して超電導導体層12から接地層14にアークが発生し、更にはこのアークが断熱管20に達することを防止することを保護層15の目的の一つとする。そこで、実施形態1の超電導ケーブル1は、保護層15に耐アーク層を含む。
・・・耐アーク層
・・・・材質
耐アーク層は、上述のように地絡などの事故時に超電導導体層12から接地層14を経て断熱管20(特に内管21)へのアーク放電を遮断できる程度の耐アーク性、又は耐トラッキング性、又は耐熱性、又は厚さなどを有していればよい。特に、耐アーク層の構成材料は、耐アーク性や耐トラッキング性に優れる高耐アーク材料を含むことが好ましい。ここでの高耐アーク材料とは、以下に挙げる、樹脂といった有機材料、炭素系材料やガラス、セラミックスなどの非金属無機材料、非金属材料(有機材材料、無機材料)からなる繊維、金属である。その他、耐アーク層の構成材料は、上述の高耐アーク材料に比較すると耐アーク性に劣ると考えられる材料、具体的には後述する絶縁材(クラフト紙、半合成紙、綿など)を含むことができる。
高耐アーク材料のうち、具体的な有機材料は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂に代表されるフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアクリレート樹脂から選択される1種以上の樹脂、シリコーンゴムといったゴムなどが挙げられる。アミノ樹脂の具体例として、尿素樹脂(ユリア樹脂)、メラミン樹脂、アニリン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、耐アーク性や耐トラッキング性に優れる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂について、以下の耐アーク性試験を行った場合の耐アーク性(秒)、耐トラッキング性の代表値を表1に示す。
耐アーク性試験は、列挙した非金属材料のうち、有機材料などの電気絶縁材料からなる試験片の上に2本のタングステン電極を対向して置き、この対向配置の状態で高電圧、微小電流のアークを飛ばして、試料表面が炭化して、電気絶縁性が無くなるまでの時間(秒)を測定する(JIS K 6911(1995年)、5.15 耐アーク性、参照)。試験条件は、例えば、電圧が12,500V、電流が10mA以上40mA以下、が挙げられる。超電導ケーブル1の使用電流などに応じて、試験条件を調整することができる。測定した時間(秒)が長いほど、耐アーク性に優れる。
耐トラッキング性は、アーク劣化を測定する耐トラッキング性試験法によって評価できる。具体的な試験法は、IEC法(International Electrotechnical Commission)、DIN法(Deutsches Institut fur Normung)、Dust Fog法、高電圧微小電流耐アーク試験法、Differential Wet法、Dip Track法などが挙げられる。
Figure 2016110988
高耐アーク材料のうち、非金属材料からなる繊維として、例えば、アラミド繊維などの樹脂(有機材料)からなる繊維(有機繊維)、カーボン繊維やガラス繊維、セラミックス繊維などの無機材料からなる繊維(無機繊維)が挙げられる。特に、強度や剛性などの機械的特性に優れていたり、耐熱性や難燃性に優れていたりする高性能・高機能繊維などが挙げられる。高性能・高機能繊維は、特に強度に優れる高強度繊維、スーパー繊維などと呼ばれて特に強度や剛性に優れる高強度・高弾性率繊維、特に耐熱性や難燃性に優れる高耐熱性繊維などが挙げられる。
高強度繊維、高強度・高弾性率繊維は、例えば、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール(PBO)繊維、カーボン繊維などが挙げられる。
高耐熱性繊維は、例えば、メタ系アラミド繊維、PPS繊維、PI繊維、フッ素繊維などが挙げられる。
不燃性繊維は、例えば、ガラス繊維、セラミックス繊維などが挙げられる。
ガラス繊維の構成材料は、代表的には、シリカ(SiO)が挙げられる。セラミックス繊維などを構成するセラミックスは、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ホウ素、その他、金属炭化物や金属窒化物などが挙げられる。シリカとセラミックスとを含む繊維、例えば、シリカとアルミナとを含むセラミックス繊維や、複数種のセラミックスを含む繊維、例えば、シリカと酸化ホウ素とアルミナとを含むセラミックス繊維などを利用することができる。
ガラス繊維やセラミックス繊維は、耐アーク性により優れる耐アーク層を形成できる。そのため、耐アーク層の合計厚さを薄くできる。アラミド繊維は、強度にも優れる耐アーク層を形成できる。従って、耐アーク層の構成材料には、ガラス繊維、セラミックス繊維、及びアラミド繊維の少なくとも一種の高耐アーク材料を含むことが好ましい。ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方と、アラミド繊維とを含むことがより好ましい。
耐アーク層の構成材料が樹脂や樹脂繊維、ゴムを含む場合、適宜な充填材や配合剤を樹脂やゴムに添加すると、樹脂単体やゴム単体の場合に比較して、耐アーク性や強度などの機械的特性に優れることがある。充填材や配合剤は、樹脂の成分やゴムの成分に応じて適宜選択でき、以下のような無機材料などが挙げられる。シリコーン樹脂やシリコーンゴムに対して耐アーク性向上の充填材として、アルミナ三水和物などのアルミナ系化合物などが挙げられる。シリコーン樹脂やシリコーンゴムに対して強度などの向上の充填材として、シリカ(酸化珪素)などが挙げられる。PPS樹脂やPPS繊維の配合剤として、以下の分解吸熱フィラーや、ポリマーが完全燃焼したときに二酸化炭素と水になることを促進する炭化抑制剤などが挙げられる。分解吸熱フィラーの構成材料は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛などが挙げられる。充填材や配合剤は、公知のものを利用できる。
高耐アーク材料のうち、具体的な金属は、鉛、ステンレス鋼・ニッケル・鉄などといった鉄族元素を含む鉄系金属などが挙げられる。耐アーク層は、上述の有機材料のような電気絶縁材料だけではなく、金属といった導電性を有する無機材料でも利用できると期待される。
その他の耐アーク層の構成材料として、異なる材料を複合した複合材料、例えば、上述の樹脂と上述の繊維とを含む繊維強化樹脂などが挙げられる。
・・・・形状
耐アーク層は、上述の有機材料や無機材料から構成されるテープ材(シート材を含む)を巻回した巻回層を含むと、好ましくは耐アーク層全体が実質的に巻回層で構成されていると、耐アーク層を容易に設けられて好ましい。所望の厚さや幅のテープ材を用意して、接地層14の外周などに巻回することで、所望の厚さの耐アーク層を容易に形成できる。多層構造の耐アーク層であっても、容易に形成できる。特に、この巻回層は、ギャップ巻きの多層構造とすると共に、少なくとも一層は巻方向が異なること、つまりS巻層とZ巻層とを備えることが好ましい。巻方向の変更は、一層ごとでも(即ち、S巻層とZ巻層とが交互に存在する)、複数層ごとでもいずれでもよい。ギャップ巻きの多層構造であって、S巻層とZ巻層との双方を備えることで、S巻層のギャップをZ巻層が覆うため、ギャップが多過ぎたり大き過ぎたりすることなどによるアーク遮断効果の低下を抑制できる耐アーク層にすることができる。かつ、ギャップ巻きの多層構造であって、S巻層とZ巻層との双方を備えることで、上述の樹脂や金属といったテープ材を利用する場合であっても、液体冷媒Lの流路を十分に確保できる。そのため、超電導ケーブル1の断熱管20内に液体冷媒Lを導入して、ケーブルコア10に液体冷媒Lを含浸させるときに含浸時間の短縮を図ることができ、超電導ケーブル1の製造性に優れる。テープ材の厚さや幅、巻回層のギャップや巻回ピッチなどは適宜選択できる。
上述の繊維は、織物や編組材、不織布のいずれの形態も利用できる。いずれの形態も、緻密にすることでアークを十分に遮断できる。緻密な繊維テープ材とする場合でも、上述のようにギャップ巻きの多層構造であって、S巻層とZ巻層との双方を備えることで、液体冷媒Lの流路を十分に確保できる。一方、緻密度合いによっては、ギャップ巻ではなく重ね巻などとすることで、アークを遮断しつつ、液体冷媒Lの流路を確保できる。アークの遮断と液体冷媒Lの流路の確保とを両立するように、織物や不織布などの緻密度合いやテープ材の厚さ、巻回層のギャップなどを設定すればよい。
耐アーク層は、構成材料が異なるテープ材の巻回層や、形態が異なるテープ材(例えば、樹脂テープと繊維テープ、織物テープと不織布テープなど)の巻回層を組み合わせた多層構造とすることができる。例えば、上記樹脂からなるテープ材の巻回層、上記繊維からなるテープ材の巻回層、及び上記金属からなるテープ材の巻回層から選択される二種以上の巻回層を組み合わせて備える形態が挙げられる。
複数の異なる材料から構成される多層構造の耐アーク層の具体例として、内周側から順に、上述のPPLPといった半合成紙から形成される半合成紙層と、ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方から形成される無機繊維層と、アラミド繊維から形成される有機繊維層とを含む形態が挙げられる。
半合成紙層は、金属テープ材や金属線などで構成される接地層14の表面を平滑にしたり、金属テープ材などを押えたり、ガラス繊維による接地層14の損傷を防止したりして、無機繊維層の下地層として機能する。また、PPLPなどの半合成紙は、例えばクラフト紙などの絶縁紙よりも耐アーク性に優れるため、耐アーク層の合計厚さを薄くして、ケーブルコア10の小径化に寄与する。
無機繊維層がガラス繊維で構成される場合には、ガラス繊維は難燃性に優れるため、耐アーク性に優れる耐アーク層の構築に寄与する。無機繊維層がセラミックス繊維で構成される場合には、セラミックス繊維はガラス繊維よりも耐アーク性に優れるため、耐アーク性により優れる耐アーク層の構築に寄与する。無機繊維層がガラス繊維とセラミックス繊維との双方を含む場合には、耐アーク性により一層優れる耐アーク層とすることができる。
有機繊維層は、無機繊維層と共に備えることで耐アーク性を更に高められると共に、アラミド樹脂、特にパラ系アラミド繊維といった高強度・高弾性率繊維で構成されることで、機械的強度をも高められる。
その他、耐アーク層は、クラフト紙などの絶縁紙、綿などの布、PPLPといった半合成紙などの絶縁材からなる絶縁テープ材を巻回した巻回層を含むことができる。例えば、絶縁テープ材の巻回層の厚さが1mm以上、更に1.5mm以上、2.5mm超、3mm以上と厚いものを含む形態とすることができる。これらの絶縁テープ材を利用する場合でも、上述のように十分に厚ければ耐アーク層として十分に機能すると期待される。特に、PPLPなどの半合成紙を含むと耐アーク性を高められるため、上述のように絶縁テープ材の巻回層の厚さを薄くして、ケーブルコア10の小径化に寄与できると期待される。絶縁テープ材の巻回層が厚いほど耐アーク性に優れるものの、コア10の曲げ特性の低下や、コア10の大径化を招き得る。耐アーク性、超電導ケーブル1の機械的特性、サイズなどを考慮すると、上述の絶縁材などを含む場合には、上述の高耐アーク材料と共に含むことが好ましいと考えられる。例えば、絶縁テープ材の巻回層は、上述の高耐アーク材料からなる層の下(接地層の上)、又は上、又は上下に挟むように上下の双方に設けることができる(上述の多層構造の具体例も参照)。耐アーク層として、金属テープ材の巻回層を含む場合には、その外周に上記絶縁テープ材の巻回層を備えると、耐アーク層と断熱管20の内管21との間の電気絶縁性を高められて好ましい。上述の高耐アーク材料からなる層と共に、上記絶縁テープ材の巻回層を備える場合、絶縁テープ材の巻回層の厚さは1mm以下程度が挙げられる。
・・・・厚さ
耐アーク層は、厚いほどアークを遮断し易い。耐アーク層の材質にもよるが、上述の高耐アーク材料のうち、樹脂などの非金属材料や繊維を用いる場合には、0.5mm以上、更に1mm以上が好ましいと考えられる。上述の金属を用いる場合には、1mm以上、更に2mm以上が好ましいと考えられる。耐アーク層が厚過ぎるとケーブルコア10や超電導ケーブル1の大型化、大径化を招くことから、耐アーク層の厚さ(多層構造の場合には合計厚さ)は16mm以下、更に10mm以下、8mm以下、7mm以下とすることができる。耐アーク層の厚さが5mm程度以下であれば、小径なコア10やケーブル1とし易い。
上述の半合成紙層と、無機繊維層と、有機繊維層とを備える多層構造の形態では、半合成紙層の厚さは、0.2mm以上1mm以下程度、無機繊維層の厚さは1mm以上10mm以下程度、好ましくは5mm以下程度、有機繊維層の厚さは0.5mm以上5mm以下程度、好ましくは2mm以下程度が挙げられる。
・・・・保護層における占有割合
保護層15全体を耐アーク層とすることができる。つまり、保護層15が上述の有機材料や無機材料の高耐アーク材料からなるテープ材や絶縁テープ材などから構成される形態とすることができる。上述の高耐アーク材料からなる層の占有割合が高いほど好ましく、保護層15における高耐アーク材料からなる層の占有割合は、厚さ割合で、80%以上、更に85%以上、90%以上が好ましい。
・・・・その他の機能
耐アーク層の少なくとも一部に、強度などの機械的特性に優れる繊維、特に上述の高強度繊維や上述の高強度・高弾性率繊維から構成される高強度層を備えて、この耐アーク層をテンションメンバに利用することができる。この形態のケーブルコア10は、テンションメンバに兼用する耐アーク層を備えることができる。
高強度層を構成する繊維は、引張強さが1GPa以上である上述の高強度繊維や高強度・高弾性率繊維を好適に利用できる。この程度の強度を有することで、超電導ケーブル1の製造にあたり、ケーブルコア10を断熱管20内に引き込む際に、高強度層を引き込み用のテンションメンバとして好適に利用できる。高強度層を構成する繊維の引張強さは、高いほど好ましく、1.5GPa以上、更に2GPa以上が挙げられる。高強度層の構成材料には、スーパー繊維と呼ばれる非金属繊維を好適に利用できる。耐アーク層の全体が又は耐アーク層が主として高強度繊維や、高強度・高弾性率繊維から構成されて、耐アーク層の実質的に全体が高強度層である場合には、耐アーク性に優れる上に、上述の引き込み時の張力に対する強度を十分に有することができる。耐アーク層の一部にのみ高強度層を備える場合には、例えば、他部を耐アーク性により優れる材料で構成することなどができる(上述の無機繊維層と有機繊維層とを備える多層構造の形態参照)。
高強度層を、上述のような繊維のテープ材とし、このテープ材を巻回してなる巻回層とする場合、巻回ピッチは比較的長い方が好ましい。具体的な巻回ピッチは、例えば、400mm以上2000mm以下、好ましくは600mm以上1000mm以下が挙げられる。このような比較的長いピッチとすることで、引き込み時に高強度層を引っ張ることで高強度層(巻回層)が巻き締まってケーブルコア10を締め付け、この締め付けによってコア10に過度の力が付与されることを防止できる。また、巻回ピッチが上記範囲を満たすことで、縦添えする場合に比較して、引き込み時の張力に耐え得る十分な強度を有することができる。
・断熱管
断熱管20は、内管21と、内管21の外周に設けられる外管22とを有する二重構造管であり、内管21と外管22との間の空間が真空引きされ、この空間に真空断熱層が形成された真空断熱管である。内管21の内部空間は、ケーブルコア10の収納空間であると共に、超電導導体層12や外側超電導層の超電導状態を維持するための液体冷媒Lが充填され、流通される空間(冷媒流路)である。内管21及び外管22は、ステンレス鋼などの金属管であってコルゲート管やベローズ管とすると可撓性に優れ、フラット管とすると表面積が小さく断熱性に優れる上に、液体冷媒Lの圧力損失を小さくできる。内管21と外管22との間にスーパーインシュレーションといった断熱材(図示せず)を備えると、より高い断熱性を有する。
断熱管20の外管22の外側には、ビニルやポリエチレンなどの防食材から構成される防食層24を備える。
・製造方法
実施形態1の超電導ケーブル1は、代表的には、工場などで作製したケーブルコア10を断熱管20に収納することで製造できる。コア10の外周に断熱管20を形成したり、別途作製した断熱管20内にコア10を引き込んだりすることで、コア10を断熱管20に収納した状態にできる。その他、工場などで作製したコア10を布設現場に搬送し、布設経路に断熱管20を布設した後、この断熱管20内にコア10を収納することでも超電導ケーブル1を製造できる。耐アーク層が上述の高強度層を含む場合には、工場又は布設現場において、コア10を引き込んで断熱管20に収納する際に、高強度層をテンションメンバとして利用することで、別途、テンションメンバを省略できる。この場合、部品点数を低減できるため、超電導ケーブル1の製造性、布設作業性に優れる。
・効果
実施形態1の超電導ケーブル1は、断熱管20に収納される複数のケーブルコア10のいずれもが特定の高耐アーク材料を含む耐アーク層を備えるため、自身に地絡などの事故が生じて超電導導体層12から接地層14に向かってアークが生じた場合でも、このアークが断熱管20(内管21)に至らない。即ち、超電導ケーブル1は、超電導導体層12から接地層14を経て断熱管20に向かおうとするアークを耐アーク層によって遮断できる。従って、超電導ケーブル1は、地絡などの事故時に断熱管20の損傷を防止できる。
特に、実施形態1の超電導ケーブル1は、多心一括ケーブル(この例では3心一括ケーブル)であり、断熱管20に収納される一つのコア10が絶縁破壊して、超電導導体層12から接地層14にアークが生じた場合に、このコア10に隣接する別のコア10に向かうアークを耐アーク層によって遮断できる。従って、超電導ケーブル1は、地絡などの事故時に隣接するコア10,10同士の間で短絡が生じることも防止できる。即ち、地絡事故から短絡事故に移行することを防止できる。
[実施形態2]
実施形態1では、一つの断熱管20に複数のケーブルコア10が収納された多心一括ケーブルを説明した。その他、一つの断熱管20に1本のケーブルコア10のみが収納された単心ケーブルとすることができる。
実施形態2の超電導ケーブル(単心ケーブル)は、断熱管20に収納されるケーブルコア10が特定の高耐アーク材料を含む耐アーク層を備えるため、自身に地絡などの事故が生じて超電導導体層12から接地層14に向かってアークが生じた場合でも、このアークを耐アーク層によって遮断できる。従って、実施形態2の超電導ケーブルは、実施形態1の超電導ケーブル1と同様に、地絡などの事故時に断熱管20の損傷を防止できる。
[試験例1]
接地層の外周に多層構造の耐アーク層を備える超電導ケーブル用ケーブルコアを作製して、耐アーク特性を調べた。
この試験では、超電導導体層(上述の超電導線材使用)と、電気絶縁層と、接地層となる外側超電導層(上述の超電導線材使用)と、外側超電導層の外周に、内周側から順に、PPLPのテープ材の巻回層(厚さ0.6mm)、ガラス繊維のテープ材の巻回層(厚さ5mm、シリカクロス)、アラミド繊維のテープ材の巻回層(厚さ1mm、ケブラー(登録商標)クロス)を備える耐アーク層とを備えるケーブルコア(No.1)を用意した。各テープ材はいずれも市販品である。
比較として、外側超電導層の外周に上述の耐アーク層を備えていないケーブルコア(No.100)を用意した。試料No.100のケーブルコアは、耐アーク層を備えていない点を除いて試料No.1と同様である。
用意した試料No.1のケーブルコア、試料No.100のケーブルコアをそれぞれ断熱管に挿入して試料No.1の超電導ケーブル、試料No.100の超電導ケーブルとし、各試料の断熱管に液体窒素を導入して、液体窒素によって各試料のケーブルコアを冷却する。この状態で、各試料の超電導導体層と外側超電導層との間に地絡電流を流して、両層間にアークを発生させる。
その結果、耐アーク層を有さないケーブルコアを備える試料No.100の超電導ケーブルでは、発生したアークが断熱管まで達して断熱管に孔が開いたのに対して、耐アーク層を有するケーブルコアを備える試料No.1の超電導ケーブルでは、断熱管に孔が開かず、耐アーク性に優れることが確認できた。この試験では無機繊維層の構成材料としてガラス繊維を用いたが、セラミックス繊維であれば、耐アーク特性により優れることから、巻回層の厚さを薄くできる、又は地絡事故時の断熱管の損傷防止の信頼性を高められると期待される。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の超電導ケーブルは、直流送電路、交流送電路に利用できる。本発明の超電導ケーブル用ケーブルコアは、超電導ケーブルの構成部材に利用できる。
1 超電導ケーブル
10 超電導ケーブル用ケーブルコア 11 フォーマ 12 超電導導体層
13 電気絶縁層 14 接地層 15 保護層(耐アーク層)
20 断熱管 21 内管 22 外管 24 防食層 L 液体冷媒

Claims (6)

  1. 超電導導体層と、
    前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層と、
    前記接地層の外周に設けられる保護層とを備え、
    前記保護層は、高性能・高機能繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、シリコーンゴム及び金属から選択される1種以上の材料から構成される耐アーク層を含む超電導ケーブル用ケーブルコア。
  2. 前記耐アーク層は、前記材料から構成されるテープ材を巻回した巻回層を含む請求項1に記載の超電導ケーブル用ケーブルコア。
  3. 前記耐アーク層は、複数の異なる材料から構成される多層構造であり、
    内周側から順に、ポリプロピレン樹脂とクラフト紙とを含む半合成紙から形成される半合成紙層と、ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方から形成される無機繊維層と、アラミド繊維から形成される有機繊維層とを含む請求項1又は請求項2に記載の超電導ケーブル用ケーブルコア。
  4. 前記耐アーク層は、前記高性能・高機能繊維のうち、引張強さが1GPa以上である繊維から構成される高強度層を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の超電導ケーブル用ケーブルコア。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の超電導ケーブル用ケーブルコアと、
    前記超電導ケーブル用ケーブルコアを収納する断熱管とを備える超電導ケーブル。
  6. 前記断熱管に複数の前記超電導ケーブル用ケーブルコアを備える請求項5に記載の超電導ケーブル。
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