JP6770459B2 - 超電導ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、超電導ケーブルに関する。
特許文献1には、超電導ケーブル自体に地絡等の事故が発生したときに、その事故に起因するアーク放電により断熱管が損傷することを防止するために、ケーブルコアの最外層に耐アーク層を備えることが開示されている。この耐アーク層は、耐アーク性に優れる材料で構成されるテープ材をケーブルコアの外周に巻回してなる。
特開2016−110988号公報
しかし、特許文献1に記載される技術では、地絡条件によっては内管に孔が開くことがわかった。しかも、その地絡条件において、耐アーク層の積層数を増やしても内管に孔が開く、又は内管に孔が開くまでの時間を有意的に長くすることができないことがわかった。
そこで、ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が内管に分流することを抑制し、内管の損傷を抑制する超電導ケーブルを提供することを目的の一つとする。
本開示に係る超電導ケーブルは、
超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを有するケーブルコアと、
前記ケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、前記内管の外側に断熱層を形成する外管とを有する断熱管と、
複数の繊維を密に配置した繊維材料で構成され、前記ケーブルコアと前記内管との間に介在されて、前記ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が前記内管に分流することを抑制する耐アーク部材と、
前記耐アーク部材及び前記耐アーク部材と前記ケーブルコアとの間の少なくとも一方に設けられ、前記ケーブルコアの地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で、前記繊維材料の繊維間に隙間が形成されることを抑制する目開き抑制構造とを備える。
上記超電導ケーブルは、ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が内管に分流することを抑制し、内管の損傷を抑制する。
実施形態1の超電導ケーブルの概略を示す横断面図である。 実施形態2の超電導ケーブルの概略を示す横断面図である。 変形例1の超電導ケーブルの概略を示す横断面図である。 実施形態3の超電導ケーブルの概略を示す横断面図である。 実施形態4の超電導ケーブルの概略を示す横断面図である。 実施形態5の超電導ケーブルの概略を示す横断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
アーク放電は、ケーブルコアに地絡等の事故が発生して、電気絶縁破壊が生じたときに、高電位である超電導導体層から、接地されてゼロ電位である接地層に向かって生じる。アーク放電が生じると、ケーブルコアの地絡点近傍に位置する構成部材(絶縁紙や導体、液体冷媒等)が気化する。本発明者らは、上記構成部材が気化した際に生じる現象として、耐アーク層がケーブルコアの直上を巻回して取り囲んでいる場合、気化時の体積膨張によって耐アーク層の内圧(耐アーク層よりもケーブルコア側の圧力)が瞬時に上昇することに着目した。耐アーク層(耐アーク部材)は、一般的に複数の繊維を織物等のように密に配置した繊維材料で構成される。そのため、耐アーク部材の内圧が上昇すると、その内圧を耐アーク部材が受けることで、耐アーク部材を構成する繊維材料の繊維間に隙間(目開き)が形成され、その隙間から気化ガスが放出されると共にアーク放電に伴う電流が内管に流れる。そこで、耐アーク部材の内圧上昇によって、耐アーク部材を構成する繊維材料に隙間が形成されることを抑制する構成を検討し、本発明を完成するに至った。以下、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係る超電導ケーブルは、
超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを有するケーブルコアと、
前記ケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、前記内管の外側に断熱層を形成する外管とを有する断熱管と、
複数の繊維を密に配置した繊維材料で構成され、前記ケーブルコアと前記内管との間に介在されて、前記ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が前記内管に分流することを抑制する耐アーク部材と、
前記耐アーク部材及び前記耐アーク部材と前記ケーブルコアとの間の少なくとも一方に設けられ、前記ケーブルコアの地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で、前記繊維材料の繊維間に隙間が形成されることを抑制する目開き抑制構造とを備える。
目開き抑制構造を備えることで、アーク放電によりケーブルコアの地絡点近傍の構成部材が気化した際の体積膨張で、耐アーク部材の内圧(耐アーク部材よりもケーブルコア側の圧力)が上昇したとしても、耐アーク部材の構成材料に隙間が形成されることを抑制できる。よって、上記超電導ケーブルは、ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が内管に分流することを抑制でき、内管に孔が開くといった損傷を抑制できる。
(2)上記超電導ケーブルの一形態として、前記目開き抑制構造は、前記耐アーク部材が、前記ケーブルコアの外周を囲むと共に、前記構成部材が気化した際の体積膨張で広がって前記内管の内面に密着する余長部を備えることが挙げられる。
目開き抑制構造として耐アーク部材に余長部を備えることで、ケーブルコアの地絡点近傍の構成部材が気化した際の体積膨張で、耐アーク部材が外方に広がることができる。余長部は、耐アーク部材が内管の内面に密着可能な広がり長さ(弛みや重なりによって形成される長さ)を有する。耐アーク部材が内管に密着することで、耐アーク部材の内圧は、耐アーク部材を介して内管で受けることができる。そのため、耐アーク部材は、その内圧によって構成材料が内管側に押し潰されることで、耐アーク部材の構成材料に隙間が形成されることを抑制できる。なお、耐アーク部材は、構成部材が気化した際の体積膨張で内管の内面に密着可能であればよく、通常運用時における配置形態は特に問わない。
(3)上記超電導ケーブルの一形態として、前記目開き抑制構造は、前記ケーブルコアの地絡点近傍の表面と前記耐アーク部材との間に空間を形成するスペーサを備えることが挙げられる。
目開き抑制構造としてスペーサを備えることで、ケーブルコアの地絡点近傍の構成部材が気化した際の気化ガスを流動できる空間を形成できる。気化ガスを流動できることで、耐アーク部材を挟んだ内外の圧力差(耐アーク部材を挟んだケーブルコア側の圧力と内管側の圧力との差)を小さくできる。そのため、耐アーク部材の内圧が瞬間的に上昇したとしても、耐アーク部材で受ける圧力を小さくできるため、耐アーク部材の構成材料に隙間が形成されることを抑制できる。
(4)上記超電導ケーブルの一形態として、前記目開き抑制構造は、前記耐アーク部材が、前記構成部材が気化した際の気化ガスを前記内管側に流動する開口部を備えることが挙げられる。
目開き抑制構造として耐アーク部材に開口部を備えることで、耐アーク部材を挟んでケーブルコア側と内管側とで連続した空間を形成できる。この空間によって、ケーブルコアの地絡点近傍の構成部材が気化した際の気化ガスを内管側に流動できる。気化ガスを内管側に流動できることで、耐アーク部材を挟んだ内外の圧力差を小さくできる。そのため、耐アーク部材の内圧が瞬間的に上昇したとしても、耐アーク部材で受ける圧力を小さくできるため、耐アーク部材の構成材料に隙間が形成されることを抑制できる。
(5)上記超電導ケーブルの一形態として、前記超電導ケーブルは、一つの前記ケーブルコアを有する単心ケーブルであることが挙げられる。
目開き抑制構造として、耐アーク部材に余長部を備える形態や、スペーサを備える形態は、ケーブルコアの本数によらず容易に構成することができ、単心ケーブルに好適に利用できる。
(6)上記超電導ケーブルの一形態として、前記超電導ケーブルは、複数の前記ケーブルコアを有する多心ケーブルであることが挙げられる。
目開き抑制構造として、耐アーク部材に余長部や開口部を備える形態や、スペーサを備える形態は、ケーブルコアの本数によらず容易に構成することができ、多心ケーブルに好適に利用できる。
(7)多心ケーブルである上記超電導ケーブルの一形態として、対向する前記ケーブルコア間に介在されて、一方の前記ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が他方の前記ケーブルコアに分流することを抑制する介在耐アーク部材を備えることが挙げられる。
多心ケーブルの場合、複数のケーブルコアのうち、あるケーブルコアが絶縁破壊してアーク放電が発生すると、そのアーク放電に伴う電流が対向する他のケーブルコアに分流し、ケーブルコア同士が短絡する虞がある。上記超電導ケーブルは、対向するケーブルコア間に介在耐アーク部材を備えることで、一方のケーブルコアにおけるアーク放電に伴う電流が、他方のケーブルコアに分流することを抑制できる。よって、上記超電導ケーブルは、複数のケーブルコアのうち、一つのケーブルコアからのアーク放電によって、対向するコア同士が短絡することを防止できる。
あるケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が、他のケーブルコアに分流することを抑制する介在耐アーク部材を、内管に分流することを抑制する耐アーク部材と独立して設けることができ、ケーブルの大型化を抑制できる。例えば、アーク放電に伴う電流の内管への分流を抑制するのに必要な耐アーク部材の厚さをtとしたとき、ケーブルコアの直上に耐アーク部材を巻回すると、ケーブルコア間に介在される耐アーク部分の厚さは2×tとなってしまう。内管への分流を抑制する耐アーク部材と他ケーブルコアへの分流を抑制する介在耐アーク部材とを別部材とすることで、個々の耐アーク部材の厚さをtとすることができ、両分流を抑制できると共に、ケーブルコア間の厚さをtとできてケーブルの大型化を抑制できる。
(8)上記超電導ケーブルの一形態として、前記耐アーク部材は、アラミド及びシリカの少なくとも一方を含む繊維材料で構成されることが挙げられる。
アラミドやシリカを含む繊維材料は、耐アーク性に優れる。よって、耐アーク部材が上記材料から構成されることで、ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が内管に分流され難く、耐アーク部材の厚さを薄くし易い。
(9)上記超電導ケーブルの一形態として、抵抗接地系統に適用されることが挙げられる。
送電系統が抵抗接地系の場合(日本では154kV以下)、地絡電流は1kA級であり、上記超電導ケーブルは、この地絡電流の内管への分流を好適に抑制でき、内管の損傷を抑制できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の具体例を説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
<実施形態1>
〔全体構成〕
図1を参照して、実施形態1の超電導ケーブル1Aを説明する。超電導ケーブル1Aは、図1に示すように、超電導導体層12、電気絶縁層13、接地層14を有する複数のケーブルコア10と、複数のケーブルコア10を収納する断熱管20とを備える多心一括ケーブルである。本例では、3本のケーブルコア10a,10b,10cが撚り合わされて構成される3心一括ケーブルである。超電導ケーブル1Aは、布設されて送電路を構築する。
各ケーブルコア10はいずれも同様の構成であり、中心から順にフォーマ11、超電導導体層12、電気絶縁層13、接地層14、保護層15を備える。断熱管20は、内管21と外管22とを備える二重構造の真空断熱管である。超電導ケーブル1Aは、超電導導体層12と電気絶縁層13との双方が断熱管20に収納されて、液体窒素等の液体冷媒Lで冷却される低温絶縁型のケーブルである。超電導ケーブル1Aの基本的構成は、従来の超電導ケーブルに類似する。
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、3本のケーブルコア10a,10b,10cの外周を一括して囲む耐アーク部材30Aと、耐アーク部材30Aの耐アーク性を保持する構成として目開き抑制構造40とを備える点を特徴の一つとする。耐アーク部材30Aは、ケーブルコア10と内管21との間に介在されて、ケーブルコア10で発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が内管21に分流することを抑制する。耐アーク部材30Aは、複数の繊維を密に配置した繊維材料で構成される。ケーブルコア10にアーク放電が生じると、ケーブルコア10の地絡点近傍に位置する構成部材(電気絶縁層13等のケーブルコア10の構成部材や、液体冷媒L等)が気化する。目開き抑制構造40は、これら構成部材が気化した際の体積膨張で、耐アーク部材30Aを構成する繊維材料の繊維間に隙間が形成されることを抑制する。
また、実施形態1の超電導ケーブル1Aは、各ケーブルコア10間に介在される介在耐アーク部材50を備える点を特徴の一つとする。介在耐アーク部材50は、対向するケーブルコア10,10の一方のケーブルコア10で発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が他方のケーブルコア10に分流することを抑制する。
以下、各構成について詳しく説明する。
〔ケーブルコア〕
・フォーマ
フォーマ11は、超電導導体層12を支持する支持部材である。具体例として、管材等の中空体や、複数の素線を撚り合わせた撚り線、複数の撚り線を更に撚り合わせた撚り合せ体等の中実体等が挙げられる。主たる構成材料は、銅やアルミニウム、その合金といった常電導材料が挙げられる。上記素線は、金属導体線が絶縁被覆で覆われた被覆線が挙げられる。
・超電導導体層
超電導導体層12は、フォーマ11の外周に複数の超電導線材を巻回して形成された線材層が挙げられる。超電導線材は、Bi2223といったビスマスを含む酸化物系銀シース線材や、RE123といった希土類元素を含む酸化物系薄膜線材等のテープ状線材が挙げられる。線材層や線材の使用本数等は、所定の電力量に応じて選択できる。線材層は、多層、単層のいずれも利用できる。多層の場合、絶縁紙などを巻回した層間絶縁層(図示せず)を設けることができる。また、フォーマ11と超電導導体層12との間にクッション層(図示せず)を介在させてもよい。クッション層は、クラフト紙等を巻回することで形成できる。
・電気絶縁層
電気絶縁層13は、超電導導体層12とその外側に配置された接地層14との間に介在し、両者の電気的絶縁を確保する。電気絶縁層13は、クラフト紙や、樹脂とクラフト紙とを含む半合成紙等の絶縁紙を超電導導体層12の外周に巻回して形成された巻回層が挙げられる。半合成紙は、ポリプロピレン樹脂とクラフト紙とを含むもの、例えば、PPLP(Polypropylene Laminated Paper)(登録商標)が挙げられる。電気絶縁層13内外に半導電層(図示せず)を設けることができる。
・接地層
接地層14は、超電導導体層12の外周に電気絶縁層13を介して設けられ、接地電位をとるための導電部である。接地層14は、上述の超電導線材、銅等の常電導材料からなる線材やテープ材、編組材等を適宜巻回して形成された巻回層が挙げられる。接地層14が超電導線材によって形成されている場合、接地層14を、交流送電では超電導シールド層に利用できる。
電気絶縁層13の外周に、超電導線材によって形成された外側超電導導体層と、その外周に常電導材料によって形成された常電導導体層とを有する接地層14を設けることができる。外側超電導導体層に加えて常電導導体層を設けることで、短絡や地絡等の事故時における事故電流で外側超電導導体層がクエンチした際に、その事故電流を常電導導体層に分流することができ、外側超電導導体層に大きな事故電流が流れることによる温度上昇を抑制できる。外側超電導層と常電導材料の接地層14との間には層間絶縁層を設けることができる。
・保護層
保護層15は、ケーブルコア10の最外周に配置され、その内側に配置された部材の機械的保護、接地層14と断熱管20との間の電気的絶縁の確保を主な目的として設けられる。保護層15は、クラフト紙等の絶縁紙テープや、クラフト紙とプラスチックとを複合した半合成絶縁紙、例えばPPLPをテープ状にして巻回した構成が挙げられる。
〔断熱管〕
断熱管20は、内管21と、内管21の外周に設けられる外管22とを有する二重構造管であり、内管21と外管22との間に真空断熱層が形成された真空断熱管である。内管21の内部空間は、ケーブルコア10の収納空間であると共に、超電導導体層12や外側超電導層の超電導状態を維持するための液体冷媒Lが充填され、流通される空間(冷媒流路)である。内管21及び外管22は、ステンレス鋼等の金属管であってコルゲート管(本例)やベローズ管とすると可撓性に優れ、フラット管とすると表面積が小さく断熱性に優れる上に、液体冷媒Lの圧力損失を小さくできる。内管21と外管22との間にスーパーインシュレーションといった断熱材(図示せず)を備えると、より高い断熱性を有する。
断熱管20の外管22の外側には、ビニルやポリエチレン等の防食材から構成される防食層24を備える。
〔耐アーク部材〕
・材質
耐アーク部材30Aは、ケーブルコア10で発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が内管21に分流することを抑制する。耐アーク部材30Aは、アーク放電に晒された際に絶縁性能を保持する耐アーク性、即ち耐トラッキング性、又は耐熱性を有している。耐アーク部材30Aは、複数の繊維を密に配置した繊維材料で構成される。耐アーク部材30Aの構成材料は、耐アーク性や耐トラッキング性に優れる高耐アーク材料を含むことが好ましい。
高耐アーク材料として、例えば、アラミド繊維等の樹脂(有機材料)からなる繊維(有機繊維)、カーボン繊維やガラス繊維、セラミックス繊維等の無機材料からなる繊維(無機繊維)が挙げられる。特に、強度や剛性等の機械的特性に優れていたり、耐熱性や難燃性に優れていたりする高性能・高機能繊維等が挙げられる。高性能・高機能繊維は、強度に優れる高強度繊維、スーパー繊維等と呼ばれて、特に強度や剛性に優れる高強度・高弾性率繊維、特に耐熱性や難燃性に優れる高耐熱性繊維等が挙げられる。
高強度繊維、高強度・高弾性率繊維は、例えば、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール(PBO)繊維、カーボン繊維等が挙げられる。高耐熱性繊維は、例えば、メタ系アラミド繊維、PPS繊維、PI繊維、フッ素繊維等が挙げられる。不燃性繊維は、例えば、ガラス繊維、セラミックス繊維等が挙げられる。ガラス繊維の構成材料は、代表的には、シリカ(SiO)が挙げられる。セラミックス繊維等を構成するセラミックスは、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ホウ素、その他、金属炭化物や金属窒化物等が挙げられる。シリカとセラミックスとを含む繊維、例えば、シリカとアルミナとを含むセラミックス繊維や、複数種のセラミックスを含む繊維、例えば、シリカと酸化ホウ素とアルミナとを含むセラミックス繊維等が挙げられる。ガラス繊維やセラミックス繊維は、耐アーク性により優れる耐アーク部材を形成できる。そのため、耐アーク部材30Aの厚さ等をより薄くできる。アラミド繊維は、強度にも優れる耐アーク層を形成できる。従って、耐アーク部材30Aの構成材料には、ガラス繊維、セラミックス繊維、及びアラミド繊維の少なくとも一種の高耐アーク材料を含むことが好ましい。ガラス繊維及びセラミックス繊維の少なくとも一方と、アラミド繊維とを含むことができる。
・形態
耐アーク部材30Aは、上述の繊維を織物等のように密に配置したテープ材やシート材で、複数のケーブルコア10を適宜撚り合わせた集合体の外周を覆うことで配置される。耐アーク部材30Aは、少なくともケーブルコア10で発生した地絡に伴う電流が内管21に分流する可能性のある領域で、ケーブルコア10と内管21との間に介在されるように配置される。本例では、耐アーク部材30Aは、3本のケーブルコア10a,10b,10cを集めた集合体を全周及び全長に亘って囲む筒状部材であり、通常時には弛んだ状態で配置され(図1の上図)、ケーブルコア10の地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で外方に広がる(図1の下図)余長部42Aを備える。余長部42Aについては、後述する目開き抑制構造40にて詳述する。
耐アーク部材30Aは、厚いほど耐アーク性を向上し易いが、厚過ぎると超電導ケーブル1Aの大型化を招く。耐アーク部材30Aの材質等にもよるが、耐アーク部材30Aの厚さは薄い方が好ましく、20mm以下、更に10mm以下、5mm以下が挙げられる。耐アーク部材30Aの厚さ等の仕様は適宜選択できる。
〔目開き抑制構造〕
目開き抑制構造40は、ケーブルコア10で発生した地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で、耐アーク部材30Aを構成する繊維材料の繊維間に隙間(目開き)が形成されることを抑制する。目開き抑制構造40は、耐アーク部材30Aに備わる余長部42A(図1の上図)で構成される。余長部42Aは、ケーブルコア10の地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で、耐アーク部材30Aが内管21の内面に密着可能な広がり長さ(弛み)を有する。耐アーク部材30Aの周長は、3つのケーブルコア10a,10b,10cの包絡線の周長よりも長い。ここで言う余長部42Aとは、耐アーク部材30Aの周長から上記ケーブルコアの包絡線の周長に相当する長さを差し引いた長さを有する部分である。図1の上図では、説明の便宜上、隣り合うケーブルコア10間を渡る部分に余長部42Aを付している。
耐アーク部材30Aに余長部42Aを備えることで、図1の下図に示すように、ケーブルコア10の地絡時に、耐アーク部材30Aが内管21の内面に密着する。この状態では、上記構成部材が気化した際の体積膨張で上昇した耐アーク部材30Aの内圧(耐アーク部材30Aよりもケーブルコア10側の圧力)を、耐アーク部材30Aを介して内管21で受けることができる。上記内圧を内管21で受けることで、耐アーク部材30Aは、その内圧によって構成材料が内管21側に押し潰され、隙間が形成されることを抑制できる。
耐アーク部材30Aの周長は、内管21の内面の周長と同等以上であることが好ましい。そうすることで、内管21の全面で耐アーク部材30Aが密着でき、密着しない箇所が形成されないようにできる。耐アーク部材30Aの周長が内管21の内面の周長よりも長い場合、耐アーク部材30Aが内管21の内面に密着した状態で、オーバーラップ部分440(図1の下図)が形成される。
なお、耐アーク部材30Aは、ケーブルコア10の地絡時に、内管21の内面に密着すればよく、通常時は、上述したように弛んだ状態で配置されていてもよいし(図1の上図)、内管21の内面にほぼ接触した状態で配置されていてもよい。他に、耐アーク部材30Aは、超電導ケーブル1Aの製造時点から内管21の内面に密着した状態で配置されていてもよい。
〔介在耐アーク部材〕
介在耐アーク部材50は、3本のケーブルコア10a,10b,10cのうち、あるケーブルコア10aが絶縁破壊してアーク放電が発生したときに、そのアーク放電に伴う電流が対向するケーブルコア10b,10cに分流することを抑制する。介在耐アーク部材50は、上述した耐アーク部材30Aと同様の材質で構成される。
介在耐アーク部材50は、図1に示すように、各ケーブルコア10a,10b,10c間にそれぞれ配置されている。具体的には、介在耐アーク部材50aは、ケーブルコア10a,10b間に配置され、ケーブルコア10aからケーブルコア10bへのアーク電流の分流、及びケーブルコア10bからケーブルコア10aへのアーク電流の分流を抑制する。介在耐アーク部材50bは、ケーブルコア10b,10c間に配置され、ケーブルコア10bからケーブルコア10cへのアーク電流の分流、及びケーブルコア10cからケーブルコア10bへのアーク電流の分流を抑制する。介在耐アーク部材50cは、ケーブルコア10c,10a間に配置され、ケーブルコア10cからケーブルコア10aへのアーク電流の分流、及びケーブルコア10aからケーブルコア10cへのアーク電流の分流を抑制する。本例では、3つの介在耐アーク部材50a,50b,50cは、各端部が機械的に接続されず独立して構成されている。3つの介在耐アーク部材50a,50b,50cは、全て同じ形状及び材質としてもよいし、各ケーブルコア10a,10b,10c間のアーク電流の分流を抑制可能であれば形状や材質を異ならせてもよい。
〔製造方法〕
上述した超電導ケーブル1Aは、代表的には、工場等で、介在耐アーク部材50を備えるケーブルコア10の集合体を作製し、ケーブルコア10の集合体を筒状の耐アーク部材30A内に収納すると共に、この耐アーク部材30Aを設けたケーブルコア10の集合体を断熱管20内に収納することで製造できる。介在耐アーク部材50を備えるケーブルコア10の集合体は、例えば、ケーブルコア10a,10b,10cを撚り合わせる際に、各ケーブルコア10a,10b,10c間にそれぞれテープ状の介在耐アーク部材50a,50b,50cを介在させながら撚り合わせることで容易に作製できる。ケーブルコア10の集合体を筒状の耐アーク部材30A内に収納する際は、耐アーク部材30Aの余長部42Aをケーブルコア10に添わせることが好ましい。その他、工場等で作製した集合体(介在耐アーク部材50を備えるケーブルコア10の集合体)を布設現場に搬送し、布設経路に断熱管20を布設した後、ケーブルコア10の集合体を筒状の耐アーク部材30A内に収納すると共に、この耐アーク部材30Aを設けたケーブルコア10の集合体を断熱管20内に収納することでも超電導ケーブル1Aを製造できる。
〔効果〕
実施形態1の超電導ケーブル1Aは、3本のケーブルコア10a,10b,10cの集合体を全周及び全長に亘って囲む筒状の耐アーク部材30Aを備えることで、どのケーブルコア10a,10b,10cで地絡が発生しても、その地絡によるアーク放電に伴う電流が内管21に分流することを抑制できる。特に、上記超電導ケーブル1Aは、耐アーク部材30Aに目開き抑制構造40として余長部42Aを備えることで、アーク放電によりケーブルコアの地絡点近傍の構成部材が気化した際の体積膨張で、耐アーク部材30Aが外方に広がって内管21の内面に密着できる。耐アーク部材30Aが内管21に密着することで、上記体積膨張で耐アーク部材30Aの内圧が上昇したとしても、その内圧を、耐アーク部材30Aを介して内管21で受けることができ、耐アーク部材30Aの構成材料に隙間(目開き)が形成されることを抑制できる。よって、アーク放電が続く間、耐アーク部材30Aの構成材料の繊維間を密に保持でき、アーク電流の内管21への分流を抑制でき、内管21に孔が開くといった損傷を抑制できる。
また、実施形態1の超電導ケーブル1Aは、3本のケーブルコア10a,10b,10c間にそれぞれ介在耐アーク部材50a,50b,50cを備えることで、例えばケーブルコア10aが絶縁破壊してアーク放電が発生したときに、そのアーク放電に伴う電流が対向するケーブルコア10b,10cに分流することを抑制できる。従って、上記超電導ケーブル1Aは、上記アーク放電に起因して、隣接するケーブルコア同士の間で短絡が生じることを防止できる。即ち、地絡事故から短絡事故に移行することを防止できる。
<実施形態2>
実施形態2では、図2に示すように、耐アーク部材30Bが、3本のケーブルコア10a,10b,10cを集めた集合体を全周及び全長に亘って包んで囲むシート状部材である超電導ケーブル1Bを説明する。超電導ケーブル1Bは、目開き抑制構造40として、耐アーク部材30Bに余長部42Bを備える。超電導ケーブル1Bは、耐アーク部材30Bが周方向に両端部を有するシート状部材である点が、実施形態1の超電導ケーブル1Aと異なる。
耐アーク部材30Bは、通常時にはシート状部材の端部領域が重なった状態で配置され(図2の上図)、ケーブルコア10の地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で重なり部分がスライドすることで外方に広がる(図2の下図)余長部42B(目開き抑制構造40)を備える。余長部42Bは、ケーブルコア10の地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で、耐アーク部材30Bが内管21の内面に密着可能な広がり長さ(重なり)を有する。余長部42Bは、上記体積膨張で、耐アーク部材30Bが内管21の内面に密着可能であれば、重なり部分に加えて弛み部分(図1の余長部42Aに相当)を有することができる。
耐アーク部材30Bは、端部同士が繋がっていない。そのため、余長部42Bは、上記体積膨張で、端部領域の重なり部分がスライドして耐アーク部材30Bが外方に広がったとしても、耐アーク部材30Bの長手方向に沿った端部間に隙間が形成されないように重なって構成される。具体的には、余長部42Bは、耐アーク部材30Bが内管21の内面に密着した状態で、オーバーラップ部分440(図2の下図)が形成されるような長さを有する。そうすることで、内管21の全面で耐アーク部材30Bが密着でき、内管21に耐アーク部材30Bで覆われない箇所が形成されないようにできる。
超電導ケーブル1Bは、代表的には、工場等で、介在耐アーク部材50を備えるケーブルコア10の集合体を作製し、ケーブルコア10の集合体をシート状の耐アーク部材30Bで包むと共に、この耐アーク部材30Bを設けたケーブルコア10の集合体を断熱管20内に収納することで製造できる。ケーブルコア10の集合体をシート状の耐アーク部材30Bで包む際は、耐アーク部材30Bがケーブルコア10に接するように余長部42Bによる重なり部分を長くすることが好ましい。その他、工場等で作製した集合体(介在耐アーク部材50を備えるケーブルコア10の集合体)を布設現場に搬送し、布設経路に断熱管20を布設した後、ケーブルコア10の集合体をシート状の耐アーク部材30Bで包みながら、この耐アーク部材30Bを設けたケーブルコア10の集合体を断熱管20内に収納することでも超電導ケーブル1Bを製造できる。
<変形例1>
介在耐アーク部材50の別形態として、図3に示すように、3つの介在耐アーク部材50a,50b,50cがそれぞれ各ケーブルコア10a,10b,10cに個別に配置されている超電導ケーブル1Cとしてもよい。具体的には、介在耐アーク部材50aは、ケーブルコア10aの長手方向に沿って配置される帯状部材であり、ケーブルコア10aのうち、ケーブルコア10b及びケーブルコア10cに対向する面を覆うように配置されている。介在耐アーク部材50bは、ケーブルコア10bの長手方向に沿って配置される帯状部材であり、ケーブルコア10bのうち、ケーブルコア10a及びケーブルコア10cに対向する面を覆うように配置されている。介在耐アーク部材50cは、ケーブルコア10cの長手方向に沿って配置される帯状部材であり、ケーブルコア10cのうち、ケーブルコア10b及びケーブルコア10aに対向する面を覆うように配置されている。つまり、本例では、隣接するケーブルコア10間に介在耐アーク部材50が二層に配置される部分を有する。隣接するケーブルコア10におけるアーク電流の分流は、その隣接するケーブルコア10にそれぞれ配置された介在耐アーク部材50を合わせることで抑制できる。各介在耐アーク部材50a,50b,50cで囲まれる断面が三角形状の空間には、例えば温度測定用の光ファイバ等の光ユニットを配置することもできる。
<実施形態3>
実施形態3では、図4に示すように、耐アーク部材30Dが、3本のケーブルコア10a,10b,10cを集めた集合体を全周及び全長に亘って囲む筒状部材であり、その周長が通常時とケーブルコア10の地絡時とで実質的に変化しない超電導ケーブル1Dを説明する。超電導ケーブル1Dは、目開き抑制構造40として、耐アーク部材30Dに開口部44を備える。超電導ケーブル1Dは、耐アーク部材30Dが周長の変化しない筒状部材である点と、目開き抑制構造40として耐アーク部材30Dに開口部44を備える点とが、実施形態1の超電導ケーブル1Aと異なる。
耐アーク部材30Dは、ケーブルコア10の地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張の前後で、周長が実質的に変化しない筒状部材で構成され、周方向及び長手方向の適所に開口部44を備える。ケーブルコア10が撚り合わされて構成されているため、開口部44は、ケーブルコア10の撚り溝に沿った螺旋方向に分散して形成されている。図4では、周方向に3つの開口部44a,44b,44cを備え、耐アーク部材30Dが分断されたように見えるが、各開口部44a,44b,44cは螺旋方向に分散して形成されており、耐アーク部材30Dは長手方向に連続した一つの部材である。
開口部44a,44b,44cは、それぞれケーブルコア10で発生した地絡に伴う電流が内管21に分流し難い領域に形成される。具体的には、隣り合うケーブルコア10a,10b,10cの間に形成される撚り溝に対向する位置に形成される。本例では、3つのケーブルコア10a,10b,10cの包絡線において、個々のケーブルコア10と接する領域近傍は耐アーク部材30Dで覆われるように、それ以外の領域に開口部44を形成している。開口部44の形状は、円形、楕円形、多角形等適宜選択できる。開口部44の大きさは、耐アーク部材30Dを挟んだ内外の圧力差を小さくでき、かつ製造時や使用時に耐アーク部材30Dが損傷し難い強度を確保できる大きさを適宜選択できる。
耐アーク部材30Dに開口部40a,40b,40cを備えることで、耐アーク部材30Dを挟んでケーブルコア10側と内管21側とで連続した空間を形成できる。開口部40a,40b,40cがそれぞれ、3つのケーブルコア10a,10b,10cを包絡する略三角形状の各辺に形成されることで、どのケーブルコア10a,10b,10cで地絡が発生しても、そのケーブルコアの地絡点近傍の構成部材が気化した際の気化ガスを内管21側に素早く流動できる。気化ガスを内管21側に流動できることで、耐アーク部材30Dを挟んだ内外の圧力差を小さくでき、耐アーク部材30Dで受ける圧力を小さくできるため、耐アーク部材30Dの構成材料に隙間(目開き)が形成されることを抑制できる。よって、アーク放電が続く間、耐アーク部材30Dの構成材料の繊維間を密に保持でき、アーク電流の内管21への分流を抑制でき、内管21に孔が開くといった損傷を抑制できる。
超電導ケーブル1Dは、代表的には、実施形態1と同様に、工場等で、介在耐アーク部材50を備えるケーブルコア10の集合体を作製し、ケーブルコア10の集合体を筒状の耐アーク部材30D内に収納すると共に、この耐アーク部材30Dを設けたケーブルコア10の集合体を断熱管20内に収納することで製造できる。ただし、ケーブルコア10は撚り合わされているため、開口部44もケーブルコア10の撚りに合わせて形成し、ケーブルコア10の集合体を耐アーク部材30D内に収納する際には、ケーブルコア10が内管21と接触する可能性のある領域に開口部44が配置されないように行う。
<実施形態4>
実施形態4では、図5に示すように、耐アーク部材30Eが、3本のケーブルコア10a,10b,10cを集めた集合体を全周及び全長に亘って巻回するテープ状部材であり、目開き抑制構造40として、耐アーク部材30Eとは別部材のスペーサ46を備える超電導ケーブル1Eを説明する。スペーサ46は、ケーブルコア10の地絡点近傍の表面と、耐アーク部材30Eとの間に空間460を形成する。つまり、耐アーク部材30Eは、スペーサ46上に巻回されて構成される。超電導ケーブル1Eは、耐アーク部材30Eがテープ状部材である点と、目開き抑制構造40としてスペーサ46を備える点とが、実施形態1の超電導ケーブル1Aと異なる。なお、図5では、各ケーブルコア10間に介在される介在部材(図1等を参照)を省略している。
スペーサ46は、ケーブルコア10の地絡点近傍の表面と、スペーサ46上に配置される耐アーク部材30Eとの間に空間460を形成するためのものである。よって、所望の空間460となるように、スペーサ46の大きさを適宜選択すればよく、例えば厚みが1mm以上6mm以下、更に2mm以上4mm以下であることが挙げられる。スペーサ46は、例えば冷媒浸漬によって変質し難いシリコン樹脂等で構成され、ケーブルコア10の外周に螺旋状に巻回することで配置できる。スペーサ46は、例えば、複数の棒材を連結部材で等間隔に平行に保持した梯子状のものを用いて、ケーブルコア10の外周に巻回又は縦添えしてもよい。スペーサ46は、更に、ケーブルコア10の外周に螺旋状に巻回又は縦添えしたものを固定するための押えテープを設けてもよく、押えテープには耐アーク部材30Eと同様の部材を用いてもよい。本例では、各ケーブルコア10a,10b,10cにおいて、その外周を4等分する位置に、断面が半円状の長尺材を螺旋状に巻回したスペーサ46としている。
耐アーク部材30Eは、スペーサ46上にテープ状部材を巻回する巻回層で構成される。本例では、耐アーク部材30Eは、超電導ケーブル1Eを横断面で見たとき(図5を参照)、3つのケーブルコア10a,10b,10cの包絡形状とほぼ相似形を有する。耐アーク部材30Eをスペーサ46上に巻回することで、3つのケーブルコア10a,10b,10cを一つの集合体とすることができて取り扱い易い。巻回層は、例えば、上記テープ状部材をギャップ巻きして多層に重ね、内層のギャップを外層のテープ状部材で覆うことで、ケーブルコア10が露出しないように構成したり、上記テープ状部材を重ね巻きして構成したりすることが挙げられる。耐アーク部材30Eは、実施形態1のような余長部を有する筒状部材や、実施形態2のような余長部を有するシート状部材であってもよく、実施形態3のような開口部を備えていてもよい。
目開き抑制構造としてスペーサ46を備えることで、ケーブルコア10の地絡点近傍の表面と、スペーサ46上に配置される耐アーク部材30Eとの間に空間460を形成でき、ケーブルコア10の地絡点近傍の構成部材が気化した際、その気化ガスを空間460によって流動できる。気化ガスを流動できることで、耐アーク部材30Eを挟んだ内外の圧力差を小さくでき、耐アーク部材30Eで受ける圧力を小さくできるため、耐アーク部材30Eの構成材料に隙間(目開き)が形成されることを抑制できる。よって、アーク放電が続く間、耐アーク部材30Eの構成材料の繊維間を密に保持でき、アーク電流の内管21への分流を抑制でき、内管21に孔が開くといった損傷を抑制できる。
<実施形態5>
実施形態5では、図6に示すように、1本のケーブルコア10を備える単心ケーブルである超電導ケーブル1Fを説明する。超電導ケーブル1Fは、ケーブルコア10は1本である点、及び介在部材が不要である点が、実施形態1の超電導ケーブル1Aと異なる。単心ケーブルの場合、ケーブルコア10の全周に亘って内管21と接触する可能性があるため、耐アーク部材は、ケーブルコア10の全周及び全長に亘って囲む筒状部材で構成される必要がある。よって、単心ケーブルの場合、耐アーク部材30Fは、実施形態1や実施形態2で説明した耐アーク部材のように、通常時には弛んだ状態(図6の上図)や重なった状態で配置され、ケーブルコア10の地絡時には外方に広がって内管21の内面に密着する(図6の下図)形態が好適に利用できる。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、実施形態1〜実施形態4等において断熱管に収納されるケーブルコア数を2本又は4本以上とすることができる。
1A、1B,1C,1D,1E,1F 超電導ケーブル
10,10a,10b,10c ケーブルコア
11 フォーマ
12 超電導導体層
13 電気絶縁層
14 接地層
15 保護層
20 断熱管
21 内管
22 外管
24 防食層
L 液体冷媒
30A,30B,30D,30E,30F 耐アーク部材
40 目開き抑制構造
42A,42B 余長部 440 オーバーラップ部分
44,44a,44b,44c 開口部
46 スペーサ 460 空間
50,50a,50b,50c 介在耐アーク部材

Claims (9)

  1. 超電導導体層と、前記超電導導体層の外周に電気絶縁層を介して設けられる接地層とを有するケーブルコアと、
    前記ケーブルコアを収納すると共に液体冷媒が充填される内管と、前記内管の外側に断熱層を形成する外管とを有する断熱管と、
    複数の繊維を密に配置した繊維材料で構成され、前記ケーブルコアと前記内管との間に介在されて、前記ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が前記内管に分流することを抑制する耐アーク部材と、
    前記耐アーク部材及び前記耐アーク部材と前記ケーブルコアとの間の少なくとも一方に設けられ、前記ケーブルコアの地絡点近傍に位置する構成部材が気化した際の体積膨張で、前記繊維材料の繊維間に隙間が形成されることを抑制する目開き抑制構造とを備える超電導ケーブル。
  2. 前記目開き抑制構造は、前記耐アーク部材が、前記ケーブルコアの外周を囲むと共に、前記構成部材が気化した際の体積膨張で広がって前記内管の内面に密着する余長部を備える請求項1に記載の超電導ケーブル。
  3. 前記目開き抑制構造は、前記ケーブルコアの地絡点近傍の表面と前記耐アーク部材との間に空間を形成するスペーサを備える請求項1又は請求項2に記載の超電導ケーブル。
  4. 前記目開き抑制構造は、前記耐アーク部材が、前記構成部材が気化した際の気化ガスを前記内管側に流動する開口部を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  5. 前記超電導ケーブルは、一つの前記ケーブルコアを有する単心ケーブルである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  6. 前記超電導ケーブルは、複数の前記ケーブルコアを有する多心ケーブルである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  7. 対向する前記ケーブルコア間に介在されて、一方の前記ケーブルコアで発生した地絡によるアーク放電に伴う電流が他方の前記ケーブルコアに分流することを抑制する介在耐アーク部材を備える請求項6に記載の超電導ケーブル。
  8. 前記耐アーク部材は、アラミド及びシリカの少なくとも一方を含む繊維材料で構成される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  9. 抵抗接地系統に適用される請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
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