JP2016110728A - 複数セルを有するマグネシウム空気電池 - Google Patents

複数セルを有するマグネシウム空気電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数セルを有するマグネシウム空気電池の電流継続時間および放電容量を向上する。【解決手段】 ケース11内に、4つのセル20が積層され、さらに一端に導電性の金属板28が積層された状態で、封入し、貫通孔16が形成されたキャップ15によって下面を封印してマグネシウム空気電池10を構成する。各セル20は、ステンレスの正極21、活性炭を含む正極活性体22、電解質を保持したセパレータシートで構成された電解質層23、マグネシウム合金AZ31からなる負極24で構成される。セル間に導電性粘着層30を設けることにより、セル間に電解液が浸透することを抑制する。こうすることによって、セル間に逆起電圧の発生、および水酸化マグネシウムの生成を抑制でき、発電継続時間、放電容量を向上させることができる。【選択図】 図2

Description

本発明は、マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池に関し、特にセルを複数有する場合の構造に関する。
近年、負極側にマグネシウムまたはマグネシウム合金を用い、正極側に空気中の酸素を用いるマグネシウム空気電池が開発されている。マグネシウム空気電池における正極および負極での反応は、次の通りである。
正極側:O+2HO+4e→4OH
負極側:2Mg+3OH→2Mg2++4e
マグネシウム空気電池においても、他の電池と同様、必要な電圧を得るために、ケース内に複数のセルを直列に接続した状態で収納する方法がとられている。特許文献1は、このようにマグネシウム電池を直列接続した電池を開示している。
特開2011−142047号公報
しかし、マグネシウム空気電池の場合、隣接するセルの正極と負極とを接触させる形でケースに収納し、複数のセルを直列接続させても、電圧が十分に向上しないことが見いだされた。単位セルの電圧をV0ボルトとすると、n個のセルを直列接続すれば単純計算でV0×nボルトの電圧が得られるはずであるが、現実に得られる電圧は、これよりも低いものとなってしまい、放電容量が低下してしまうのである。
本発明は、かかる状況下、複数のセルを有するマグネシウム空気電池において電流継続時間および放電容量を向上させることを目的とする。
本発明は、マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池であって、
複数のセルと、
該複数のセルを、隣接するセル間の正極と負極とが接触するように積層して収容するケースとを有し、
前記セルは、
マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極と、
導電体金属からなる正極と、
前記正極に接して配置され、酸素を供給する正極活性体と、
前記正極活性体と前記負極との間に配置され、作動時に電解液を保持するための電解質層とを備えており、
前記隣接するセル間の正極と負極には、導電性材料からなり前記正極と負極とを粘着する導電性粘着層が設けられているマグネシウム空気電池として構成することができる。
正極の導電体金属としては、例えば、銅またはステンレスなどを用いることができる。
正極活性体は、例えば、活性炭および二酸化マンガンの少なくとも一部を用いることができる。これらは、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。また、固形の状態で用いても良いし、粉末状にした上でシート上に積層等して用いても良い。
本発明によれば、隣接するセル間の正極と負極との間を導電性粘着層によって密着させることができる。この結果、次に示す原理によって電圧および導電性を向上させることができる。
まず、従来の構造において十分な電圧が得られなかった原因を説明する。従来の構造では、隣接するセル間の正極と負極との間に微小ながらも隙間が存在し、電解液がここに浸透することがあった。正極と負極との間に電解液が浸透すると、その間に起電力が発生する。この起電力の向きは、セルによって生じる起電力とは逆方向となる。この結果、セルで生じる電圧を阻害するため、十分な電圧が得られなかったのである。
また、セル間に隙間が存在し、電解液が浸透すると、負極のマグネシウムまたはマグネシウム合金と電解液との反応によって負極表面上に酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムが積層して不導体が形成されてしまう。かかる不導体は隣接するセル間の導電性を阻害し、内部抵抗を増加させることになる。
これに対し、本発明では、導電性粘着層によって、セル間の正極と負極との間への電解液の浸透を抑制することができる。従って、上述した逆方向の起電力の発生および不導体の形成を抑制することができ、マグネシウム空気電池の電流継続時間および放電容量を向上させることができる。
導電性粘着層は、電解液の浸透を抑制することができる程度にセル間を密着させることができる粘着性を備え、セル間の電流の流れを確保できるものであれば、種々の態様をとることができる。
第1の態様として、
前記導電性粘着層は、前記導電体金属の片面に導電性粘着材料が塗布された粘着テープによって形成されているものとしてもよい。
かかる態様によれば、負極に粘着テープを貼り付けることによって、容易にセル間の密着を実現することができる。また、粘着テープは導電体金属を用いているため、正極を兼用することもできる。従って、上記態様の粘着テープを用いればセル間を密着させながら、隣接するセルの正極も同時に形成することができ、容易にマグネシウム空気電池を製造することができる利点がある。
上記態様における粘着テープは、導電体金属と導電性粘着材料が一体化したものであればよい。例えば、導電体金属は、銅またはステンレスなどの箔である必要はなく、所定の厚さを有する板状のものであってもよい。また、粘着テープの形状や幅は任意である。
上述の粘着テープは、導電体金属に導電性の両面テープを貼付したものであってもよい。
第2の態様として、前記導電性粘着層は、導電性ペーストであるものとしてもよい。
導電性ペーストとしては、例えば、アクリル塗料等にカーボンや金属粉などを混ぜたものなどを用いることができる。
上記導電性ペーストは、90重量%以上の金属粉末を含むものとしてもよい。こうすることによって、十分な導電性を確保することができる。
また、金属粉末はアルミニウム以外の金属で構成されているものとしてもよい。アルミニウムは、酸化によって負極の表面に強固な膜を生成することがあるため、これを避けることによって、より導電性を高めることができる。
さらに、金属粉末は、錫、銀、銅、ニッケル、亜鉛、モリブデン、鉛およびこれらの合金の粉末を含むものとすることが好ましい。これらは、比較的入手しやすい利点がある。金属粉末は、単一種類を用いても良いし、複数種類を混合して用いても良い。
粘着テープ、導電性ペーストなど導電性粘着層の態様に関わらず、
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記導電性粘着層の抵抗は、0.6オーム/平方インチ以下であることが好ましい。かかる範囲で特に効果が得られることが確認された。
また、本発明のマグネシウム空気電池においては、
前記電解質層に含まれる電解質を、発電開始前の状態において、前記電解質層に溶出可能な部位に固体として保持しており、
前記ケースは、前記溶出を実現できる量の水を外部から供給するための供給機構を備えているものとしてもよい。
こうすることにより、発電開始前の状態では電池内には固体しか存在しないため、液漏れの心配なく保管することができる。また、外部から水を供給するだけで簡便に発電を開始させることができる。
上記態様における電解質層の構成としては、タンク形式または保水体形式とすることができる。
タンク形式とは、電解質層を負極および正極活性体の少なくとも一部を浸す状態で電解液を貯蔵するタンクによって構成する方法である。
保水体形式とは、電解質層を負極および正極活性体に少なくとも一部で接触し、電解液を吸収し保持する保水体によって構成する方法である。保水体形式は、液漏れを抑制しやすい利点がある。
外部から水を供給するための供給機構は、ケースの下面に形成された貫通孔であるものとすることができる。貫通孔の大きさおよび数は任意である。
こうすることにより、水等を貯めた容器にマグネシウム空気電池の下面を浸すと、ケース内に水が浸透し、発電を開始することができる。保水体形式では、保水体の吸水性によって、保水体内に水を吸い上げることができるため、より好ましい。
本発明では、電解質も種々のものを活用できるが、アルカリ性を示すアミノポリカルボン酸塩の水溶液を含む電解液とすることが好ましい。特に、アミノポリカルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム(EDTA3Na)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(HEDTA3Na)、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”,N”’六ナトリウム(TTHA6Na)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸三ナトリウム(EDDSH3Na)の少なくとも一つとすることが好ましい。これらは、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。これらのアミノポリカルボン酸塩において、アルカリ性が非常に弱い場合などには、水酸化ナトリウムを添加するなどしてもよい。
マグネシウム空気電池については、電解液のpHと関連して、一般に次のような課題が指摘されている。電解液が酸性の場合、自己放電、即ち負極側のマグネシウムまたはマグネシウム合金から溶出された電子が、負極上で水素イオンと反応し、水素ガスを発生してしまう。一方、電解液がアルカリ性の場合、マグネシウム表面に水酸化マグネシウム、即ちMg(OH)が生成され、電気もイオンも通さない不動態膜を形成するため、電流が流れなくなってしまう。
しかし、上記態様において電解質で用いるアミノポリカルボン酸塩は、少なくとも1つの−N(CHCOOH)を有しており、マグネシウムイオンと安定的にキレート結合することができるため、アミノポリカルボン酸塩がマグネシウムイオンとキレート結合することにより、水酸化マグネシウムの発生を抑制でき、不動態膜の形成を抑制することができる。また、電解液はアルカリ性となるから、酸性下で生じる自己放電の問題も自然と回避することができる。従って、上記態様では、電解液を敢えてアルカリ性にすることによって、マグネシウム空気電池の電解液が酸性下で生じる課題を回避するとともに、マグネシウムイオンとキレート結合を生じるアミノポリカルボン酸塩を用いることによってアルカリ性下で生じる課題も回避することができ、マグネシウム空気電池の発電継続時間および放電容量を向上させることが可能となる。
本発明において、上述した特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり、組み合わせたりしてもよい。また、本発明は、マグネシウム空気電池の他、マグネシウム空気電池を製造する製造方法などの態様で構成することもできる。これらの製造方法において、上述の種々の特徴を反映させることも可能である。
例えば、第1の製造方法としては、
マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池の製造方法であって、
前記マグネシウム空気電池を構成する複数のセルを、隣接するセル間の正極と負極とが接触するように積層して収容するケースを準備するステップと、
マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極を準備するステップと、
導電体金属からなる正極を準備するステップと、
酸素を供給する正極活性体を構成し、前記正極に接して配置するステップと、
作動時に電解液を保持するための電解質層を構成し、前記正極活性体と前記負極との間に配置することによりセルを形成するステップと、
隣接するセル間の正極と負極に、導電性材料からなり前記正極と負極とを粘着する導電性粘着層を挟んで複数のセルを積層するステップと、
該積層された複数のセルを前記ケースに収納するステップとを備えるマグネシウム空気電池の製造方法としてもよい。
第1の製造方法は、セルを形成してから、導電性粘着層を挟んで複数のセルを積層することにより、マグネシウム空気電池を製造する方法である。
導電性粘着層を挟むことにより、先に説明した種々の効果を得ることができる。
また、第2の製造方法として、
マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池の製造方法であって、
前記マグネシウム空気電池を構成する複数のセルを、隣接するセル間の正極と負極とが接触するように積層して収容するケースを準備するステップと、
マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極を準備するステップと、
導電体金属の片面に導電性粘着剤が塗布された導電体金属テープを、前記負極の片面に貼付するステップと、
さらに、酸素を供給する正極活性体と、作動時に電解液を保持するための電解質層を構成し、前記負極、導電体金属、正極活性体、電解質層の順、または前記正極活性体、電解質層、負極、導電体金属の順に積層したセル予備体を複数形成するステップと、
前記負極と導電体金属との間に前記正極活性体および電解質層が介在したセルが複数形成されるように、前記前記複数のセル予備体を順次積層して積層体を構成するステップと、
前記積層体の両端に、前記セルが形成されるよう前記負極または前記導電体金属を補充して、前記ケースに収納するステップとを備えるマグネシウム空気電池の製造方法としてもよい。
第2の製造方法は、負極に導電体金属テープを貼り付けることによってセル間の導電性粘着層を形成しておき、その後、複数の積層体を構成してケースに収納する方法である。
かかる方法によっても、導電性粘着層を介したマグネシウム空気電池を製造することができ、先に説明した種々の効果を得ることができる。
実施例におけるマグネシウム空気電池の外観を示す説明図である。 実施例におけるマグネシウム空気電池の内部構造を示す説明図である。 マグネシウム空気電池における課題を示す説明図である。 実施例におけるマグネシウム空気電池の発電継続時間の計測結果を示すグラフである。 マグネシウム空気電池の製造工程を示すフローチャートである。 実施例2におけるマグネシウム空気電池の変形例としての製造工程を示すフローチャートである。 マグネシウム空気電池の電解液による効果を示すグラフである。 変形例としてのマグネシウム空気電池の内部構造を示す説明図である。
図1は、実施例におけるマグネシウム空気電池10の外観を示す説明図である。実施例のマグネシウム空気電池10は、水に下方を浸すことによって発電を開始するよう構成されている。以下、その構造および発電能力について説明する。
A.全体構造:
マグネシウム空気電池10は、樹脂製のケース11内に、複数のセルが組み込まれた構造となっている。ケース11の上方には幅方向に凹んだ凹部12が形成されており、ここに外部の回路に接続するための端子13が設けられている。本実施例では、端子13は、セルの電極を構成する導電性の金属の一部を露出させる構造としている。セルの電極とは別に端子13を設けるようにしてもよい。
図の下側に、マグネシウム空気電池10を下方から見た状態を示した。図示する通り、ケース11の下面には、段部11sが形成され、複数の貫通孔16が形成されたキャップ15がはめ込まれて封印されている。水を蓄えた容器等に、キャップ15を下面にしてマグネシウム空気電池10を浸すことによって、貫通孔16を通じてケース11内に水が浸透し、発電を開始することができる。
本実施例では、外部の回路に接続するための端子13は、上方に設けられているため、このようにマグネシウム空気電池10を水に浸しているときでも、短絡等の心配なく外部回路に電池を接続することが可能である。本実施例では、上端に端子13が形成されているが、端子13が水に浸かることを回避するという観点からは、端子13は発電時の水位よりも上方に設けられていればよく、例えば、ケース11の半分より上側の任意の位置に設けることができる。
ケース11の側面には、発電開始時にマグネシウム空気電池を水に浸す基準となる基準線14が描かれている。もっとも、基準線14は、目安に過ぎず、基準線14よりも水位が多少低くても発電を開始することは可能である。
B.内部構造:
(1)セルの構成:
図2は、実施例におけるマグネシウム空気電池10の内部構造を示す説明図である。斜視図(図1)におけるA−A断面の様子を模式的に示した。
図示するように、マグネシウム空気電池10には、ケース11内に、4つのセル20が積層され、さらに一端に導電性の金属板28が積層された状態で、封入されている。セル20の数は任意に設定可能である。ケース11の下側は、貫通孔16が形成されたキャップ15によって封印されている。
図の下側に、セル20の拡大図を示した。セル20[1]、セル20[2]は隣接する2つのセルである。4つのセルのうち、いずれの2つと考えても良い。各セル20は、4つの層を積層した構造となっている。各層の平面形状は、縦50mm×横25mmである。
正極21は、ステンレスや銅などの導電性の金属で形成することができる。本実施例では隣接するセル間の正極21には導電性銅箔テープを用い、端面の正極21には、ステンレス板を用いた。銅箔テープとしては、3M社製の1181銅箔テープ(抵抗0.005オーム/平方インチ)を用いることができる。
銅箔テープに代えて、正極21として、銅板またはステンレス板に、導電性両面テープを貼付して用いても良い。かかる場合の導電性両面テープとしては、例えば、Tesa社製60252(抵抗0.05〜0.2オーム/平方インチ)、Tesa社製60262(抵抗0.02〜0.2オーム/平方インチ)を用いることができる。
正極活性体22は、活性炭粉末を積層した層である。活性炭に代えて二酸化マンガンなどを用いても良い。
電解質層23は、電解質を保持したセパレータシートで構成されている。
負極24は、マグネシウム合金AZ31で形成されている。マグネシウムを用いても良い。
隣接する2つのセル20[1]、20[2]は、セル20[2]の負極24に、セル20[1]の正極21が接触するように、直列に配置されている。図中の左端に位置するセル20の正極21と、金属板28の上端の一部がケース11から露出するように構成されており、図1で説明した端子13として機能する。
セル20[1]、20[2]の間には、導電性粘着層30が形成されている。本実施例では、上述した導電性銅箔テープの粘着面が導電性粘着層30を形成することになる。
(2)電解質層:
電解質層23の構造についてさらに詳細に説明する。
セパレータシートは、パルプと不織布の混成素材であり、その重量密度は、100〜1000グラム/平方メートル程度となっている。
電解液はニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)10%と塩化カリウム(KCl)0.1%との重量比で混合した水溶液である。エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)に、塩化カリウムを0.2%添加した水溶液としてもよい。マグネシウム空気電池10を製造する際には、セパレータシートに対して、上述の電解液を浸透させた後、これを乾燥させて電解質層23を形成する。このように製造された電解質層23は、発電開始前は、液体を含んでいないため、マグネシウム空気電池10を保存する際に液漏れなどが生じる心配がない。
発電を開始時に、マグネシウム空気電池10を水に浸すと、セパレータシートが水を吸収し、予め保持されていたニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)および塩化カリウム(KCl)等が溶出するため、電解液として機能するようになる。
本実施例の電解液は、pH8〜13程度のアルカリ性を示す。従って、電解液が酸性下で生じる自己放電を回避することができる。
電解質層23には、この他、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム(EDTA3Na)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(DTPA5Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(HEDTA3Na)、 トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”,N”’六ナトリウム(TTHA6Na)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二ナトリウム(HIDA2Na)、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン一ナトリウム(DHEGNa)、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA4Na)、およびエチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸三ナトリウム(EDDSH3Na)などを用いてもよい。また、電解液のpHが、8以下となるような場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を合わせて保持しておいてもよい。
C.作用:
次に、実施例における導電性粘着層30を用いない場合に生じる課題を説明した後、実施例におけるマグネシウム空気電池の作用について説明する。
図3は、マグネシウム空気電池における課題を示す説明図である。図2中の拡大図と同様、隣接する2つのセル20[1]、20[2]を拡大して示した。ただし、この例では、実施例(図2)と異なり、セル20[1]、20[2]の間に導電性粘着層30は形成されていない。
かかる状態では、セル20[1]の正極21と、セル20[2]の負極24との間に、電解液が浸透し、意図しない電解質層23Cが形成されてしまう。この結果、セル20[1]の正極21と、セル20[2]の負極24との間に、図示するように逆起電圧が発生する。また、負極24のマグネシウムまたはマグネシウム合金と電解液との反応によって負極表面上に酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムが積層して不導体24Aが形成されてしまう。かかる不導体24Aはセル20[1]の正極21と、セル20[2]の負極24の導電性を阻害し、内部抵抗を増加させることになる。
これに対し、実施例では、セル20[1]の正極21と、セル20[2]の負極24との間に導電性粘着層30が形成されているため、電解液の浸透を抑制することができる。従って、上述した逆方向の起電力の発生および不導体24Aの形成を抑制することができ、マグネシウム空気電池の電圧および導電性を向上させることができる。
D.効果:
図4は、実施例におけるマグネシウム空気電池の発電継続時間の計測結果を示すグラフである。
曲線C1は、実施例のマグネシウム空気電池による電流と経過時間との関係を表している。具体的な構成としては、セル間の正極21および導電性粘着層30として3M社製の1181銅箔テープ(抵抗0.005オーム/平方インチ)を用い、端面の正極21としてはステンレス板を用いている。また、負極24は、マグネシウム合金AZ31で形成されている。また、電解質層23は、パルプと不織布の混成素材に、電解液としてニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)10%と塩化カリウム(KCl)0.1%との重量比で混合した水溶液を用いた。電流を計測する場合に電池に接続する負荷としては、弾丸型白色LED(Vf=2.8V、53ルーメンス/W、実用的な明るさが得られる電流域は2mA以上)を使用した。
曲線C2については、実施例2で説明する。
曲線C3は、比較例として導電性粘着層30を有しないマグネシウム空気電池の結果を示している。比較例の電池の構造は、導電性粘着層30を有していない点、セル間の正極21が銅箔テープではなくステンレス板で形成されている点以外は、実施例と同様である。
図4に示す結果によれば、24時間までの平均電流は、比較例で15.5mA、実施例で19.8mAであった。また、1時間毎の電流値を積算した電流容量は、比較例で388mAh、実施例1で495mAhであった。平均電流および電流容量ともに、比較例に対して実施例では、約28%の向上が見られた。
図4中のグラフにおいて、約15時間付近で電流値が急激に変化しているのは(図中の破線楕円で囲った部分)、マグネシウム電池への給水を行ったことによるものである。この給水により、電流値が、比較例では1.1mA、実施例では2.9mA上昇した。電流値の差は、給水によって2.0mAから3.8mAに拡大した。比較例の場合、時間の経過とともに、セル間での不導体の形成が進むため(図3参照)、給水しても電流値の回復が生じにくくなるのに対し、実施例では導電性粘着層30の存在により不導体の形成を抑制できることになるものと考えられる。
このように、実施例のマグネシウム空気電池によれば、導電性粘着層30が存在することにより、電圧、電流ともに向上させることができる。
E.製造方法:
図5はマグネシウム空気電池の製造工程を示すフローチャートである。実施例のマグネシウム空気電池は、以下に説明する手順で製造することができる。
まず、最初に、各パーツを準備する(ステップ20)。パーツとしては、図2に示したケース11、正極21、負極24などを意味する。正極21としては、セル間の正極用の銅箔テープおよび端面用のステンレス板の2種類を用意することになる。電解質層23は、電解液をセパレータシートに含浸させて乾燥させることによって準備できる。
次に負極24に銅箔テープ21を貼り付ける(ステップS22)。図中に貼り付けた状態を示した。この工程によって、銅箔テープ21の粘着面が、導電性粘着層30を形成することになる。
次に、電解質層23、正極活性体22等を積層して、複数セルが積層された積層体を形成する(ステップS24)。ステップS22で形成されているのは、セル間の正極および負極であるから、端面の正極21Eおよび負極24Eは別途、ステンレス板を取り付ける。
最後に、こうして製造された積層体を、ケースに収納する(ステップS26)。
以上の工程によって実施例のマグネシウム空気電池を製造することができる。なお、各パーツは、必ずしも最初に全てを準備する必要はなく、ステップS22以降の工程を実行する際に適宜、準備するものとしてもよい。
F.実施例2の構造、製造方法および効果:
次に実施例2のマグネシウム空気電池について説明する。実施例1では、導電性粘着層を形成するために銅箔テープを用いたが、実施例2では導電性ペーストを用いる点で相違する。電池の構成自体は全体構造(図1参照)および内部構造(図2参照)ともに実施例1と同様である。
実施例2のマグネシウム空気電池は、次の方法で製造することができる。
図6は、実施例2におけるマグネシウム空気電池の変形例としての製造工程を示すフローチャートである。
実施例2においても、まず各パーツを準備する(ステップS10)。準備すべきパーツは実施例1と同様である。また、パーツは、以降の工程を実行する際に適宜、準備するようにしてもよい。
次に、各セルを組み立てる(ステップS12)。図中にセル20の組み立てを示した。先に図2で構造を説明した通り、正極21、正極活性体22、電解質層23、および負極24を順次、積層すればよい。実施例のマグネシウム空気電池には、4つのセルを収納するから、セル20は4組をセットにして製造することが好ましい。端に位置するセル、中間に位置するセルともに同じ構造で構わない。
セルの組み立てが完了すると、粘着剤、即ち導電性ペーストを介して4つのセルを積層し、積層体を組み立てる(ステップS14)。図中に組み立て状況を図示した。隣接するセル20[1]、20[2]の間に導電性ペーストによる導電性粘着層30Aが形成されている。
最後に、こうして製造された積層体を、ケースに収納する(ステップS16)。以上の工程によって実施例2のマグネシウム空気電池を製造することができる。
導電性ペーストは、例えば、アクリル系塗料などにカーボンや金属粉末を混合することで生成することができる。実施例2では、アクリル系塗料5重量%、カーボン粉末5重量%、錫・銀・銅合金粉末90重量%(錫96.5重量%、銀3.0重量%、銅0.5重量%の合金粉末、粒径10〜40マイクロメートル)を用いた。また、導電性粘着層30Aの厚さは、略10マイクロメートルとした。このときの導電性粘着層30Aの抵抗値は、0.4〜0.6オーム/平方インチであった。
金属粉末は、この他、SnZnBi系、SnCu系、SnAgInBi系、SnZnAl系、CuNi系などを用いても良い。また、Cu、Sn、Ag、Zn、Ni、Pbなどの金属を単体で粉末にしたものを用いても良い。
ただし、金属粉末には、アルミニウムを含まないことが好ましい。アルミニウムを含有すると、負極の表面に強固な酸化皮膜を形成するおそれがあるからである。もっとも、金属粉末にアルミニウムを一切、含んではいけないという趣旨ではない。
実施例2のマグネシウム空気電池によっても、実施例1と同様に電圧および電流が向上する効果が確認できた。図4における曲線C2が実施例2による計測結果である。
改めて図4の内容を説明する。図4は、電流と経過時間との関係を計測したものである。電流を計測する場合に電池に接続する負荷としては、弾丸型白色LED(Vf=2.8V、53ルーメンス/W、実用的な明るさが得られる電流域は2mA以上)を使用した。
曲線C1は、実施例1のマグネシウム空気電池による結果である。
曲線C2については、実施例2による結果である。上述の通り、アクリル系塗料5重量%、カーボン粉末5重量%、錫・銀・銅合金粉末90重量%の導電性ペーストを用い、導電性粘着層30Aの厚さは、略10マイクロメートルとした。
曲線C3は、比較例として導電性粘着層30を有しないマグネシウム空気電池の結果である。
図4に示す通り、実施例2によるマグネシウム空気電池も実施例1と同等の性能が得られていることがわかる。1時間毎の電流値を積算した電流容量は、比較例で388mAh、実施例2で471mAhであり、約21%の向上が見られた。
G.変形例:
以上の実施例1、2で説明した通り、本実施例のマグネシウム空気電池によれば、導電性粘着層の存在により、電圧および電流を向上させることができる。
本発明のマグネシウム空気電池は、上述した種々の特徴を全て備えている必要はなく、適宜、一部を省略したり組み合わせたりして構成することが可能である。また、上述の実施例の他、以下に示すように種々の変形例を構成することもできる。
(1)電解液の変形例:
図7は、マグネシウム空気電池の電解液による効果を示すグラフである。導電性粘着層を備えない構造において、電解液を変化させたときの影響を示した。図7(a)は外部回路として、弾丸型白色LED(Vf=2.8V、53ルーメンス/w、実用的な明るさが得られる電流域は2mA以上)を接続した場合の電流の変化を表している。図7(b)は外部回路による負荷として、10オームの固定抵抗器を接続した場合の放電容量を表している。
曲線C11および曲線C21は、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)6%に塩化カリウムO.2%の重量比で混合させた水溶液を電解液として用いた場合の結果である。曲線C12および曲線C22は、実施例1、2と同様、ニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)10%と塩化カリウム(KCl)0.1%の重量比で混合させた水溶液を電解液とした場合の結果である。曲線C13および曲線C23は、比較例として、電解液を塩化カリウムの10%水溶液とした場合の計測結果である。
図示する通り、比較例(曲線C13)は、測定開始当初は高い電流値を得られるが、4時間経過後から急激に電流値が低下し、約10時間経過後には2mA以下となり、実用的な明るさが得られなくなった。これに対して曲線C11および曲線C12では、24時間経過後でも10mA以上の電流値が得られており、発電継続時間が大幅に向上していることが分かる。
また放電容量を見ると、比較例(曲線C23)では、測定開始当初は高い出力電圧が得られたが、発電継続時聞が短いため放電容量は約450mAh/gとなっている。一方、放電容量は、曲線C21、曲線C22ではともに約1900mAh/gとなっており、比較例の約4倍となっていることが分かる。
上述の通り、マグネシウム空気電池の性能は、電解質によって大きくことなることが分かる。図7中では、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)またはニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)、即ちアルカリ性を示すアミノポリカルボン酸塩の水溶液を含む電解液とした場合の例を示した。他に、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム(EDTA3Na)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(HEDTA3Na)、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”,N”’六ナトリウム(TTHA6Na)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸三ナトリウム(EDDSH3Na)などを単体または混合して用いても良い。これらのアミノポリカルボン酸塩において、アルカリ性が非常に弱い場合などには、水酸化ナトリウムを添加するなどしてもよい。
これらを電解液として用いることにより電池の性能が向上する理由は次の通りである。
一般にマグネシウム空気電池については、電解液のpHと関連して、一般に次のような課題が指摘されている。電解液が酸性の場合、自己放電、即ち負極側のマグネシウムまたはマグネシウム合金から溶出された電子が、負極上で水素イオンと反応し、水素ガスを発生してしまう。一方、電解液がアルカリ性の場合、マグネシウム表面に水酸化マグネシウム、即ちMg(OH)が生成され、電気もイオンも通さない不動態膜を形成するため、電流が流れなくなってしまう。
しかし、上記態様において電解質で用いるアミノポリカルボン酸塩は、少なくとも1つの−N(CHCOOH)を有しており、マグネシウムイオンと安定的にキレート結合することができるため、アミノポリカルボン酸塩がマグネシウムイオンとキレート結合することにより、水酸化マグネシウムの発生を抑制でき、不動態膜の形成を抑制することができる。また、電解液はアルカリ性となるから、酸性下で生じる自己放電の問題も自然と回避することができる。従って、上記態様では、電解液を敢えてアルカリ性にすることによって、マグネシウム空気電池の電解液が酸性下で生じる課題を回避するとともに、マグネシウムイオンとキレート結合を生じるアミノポリカルボン酸塩を用いることによってアルカリ性下で生じる課題も回避することができ、マグネシウム空気電池の発電継続時間および放電容量を向上させることが可能となるのである。
もっとも、本発明において電解液は、必ずしもアミノポリカルボン酸塩の水溶液でなくてはならないという訳ではなく、図7の比較例として示した例においても、隣接するセル間に導電性粘着層を設けることによる電圧および電流の向上効果は得ることができる。
(2) 実施例では、発電前の状態では、固体の電解質を電解質層23に保持する例を示した。これに代えて、電解質は、電解質層23に溶出可能な種々の部位に保持することができ、例えば、負極24と電解質層23との接触面、正極活性体22と電解質層23との接触面などに保持してもよい。
(3) 実施例では、電解質層23に固体の電解質を保持しておき、水を加えることで発電を開始する例を示したが、電解質層23に予め電解液を保持しておくものとしてもよい。
(4) 実施例では、電解質層23にセパレータシートを用いた例を示したが、電解質層23は以下に示すように液体を貯蔵するタンクとしてもよい。
図8は、変形例におけるマグネシウム空気電池10Aの内部構造を示す説明図である。変形例のマグネシウム空気電池10Aは、実施例と同様、樹脂のケース11A、11Bの内部に4つのセル20Aが直列に積層され、負極側には電極となる金属板28Aが積層されている。
ただしケース11A、11Bは下面も閉じた容器状となっており、下側のケース11Aに上側のケース11Bをかぶせて接着等することで、セル20A、金属板28Aを封入している。
ケース11Bの上面には貫通孔18が設けられており、ここから電解液を注入可能となっている。
図の下側にセル20Aの構造を示した。正極21、正極活性体22、負極24は、それぞれ実施例と同じである。変形例では、実施例における電解質層に代えて、スペーサ23Aが取り付けられている。変形例では、筒状のスペーサ23Aを正極21から負極24まで貫通するピン23Bで止める構造とした。図示の便宜上、ピン23Bの頭は正極21、負極24の表面より突出して描いてあるが、隣接するセル20Aの正極21と負極24とが接触しやすいよう、ピン23Bの頭は、正極21と負極24から突出させないよう加工しておくことが好ましい。スペーサ23Aの取り付けは、ピン23Bを用いる他、接着など種々の構造が可能である。
隣接するセル間には、実施例1、2と同様、導電性粘着層が形成されている。
各セルにおいては、スペーサ23Aによって、正極活性体22と負極24との間には所定の間隙が形成されており、ケース11A、11Bと合わせて電解液を貯蔵するタンクとして機能する。電解液を貫通孔18から注入すると、ケース11Aの内部全体が、電解液で満たされるため、正極活性体22と負極24との間の部分が発電に寄与する電解質層として機能することになる。
変形例においても、例えば、発電前の状態では、ケース11内のいずれかの部分や、正極21、正極活性体22および負極24の表面などに固体の電解質を保持しておくようにしてもよい。こうしておくことにより、貫通孔18から水を注入すれば、予め保持された電解質が溶けだして電解液となるため、発電を開始することができる。
正極活性体22と負極24との間は、必ずしもスペーサ23Aを設ける必要はなく、ケース11Bの内面に、所定の間隔をあけて正極活性体22と負極24を固定する溝を設けるなどしてもよい。
以上、本発明の実施例および変形例について説明した。本発明は、実施例等で説明した全ての特徴を備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり組み合わせたりしてもよい。
本発明は、複数セルを有するマグネシウム空気電池の発電継続時間、放電容量向上のために利用可能である。
10、10A…マグネシウム空気電池
11、11A、11B…ケース
11s…段部
12…凹部
13…端子
14…基準線
15…キャップ
16…貫通孔
20、20A…セル
21、21E…正極
22…正極活性体
23、23C…電解質層
23A…スペーサ
23B…ピン
24。24E…負極
24A…不導体
28、28A…金属板
30、30A…導電性粘着層
粘着テープ、導電性ペーストなど導電性粘着層の態様に関わらず、
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記導電性粘着層の抵抗は、3.87オーム/平方センチメートル以下であることが好ましい。かかる範囲で特に効果が得られることが確認された。
図の下側に、セル20の拡大図を示した。セル20[1]、セル20[2]は隣接する2つのセルである。4つのセルのうち、いずれの2つと考えても良い。各セル20は、4つの層を積層した構造となっている。各層の平面形状は、縦50mm×横25mmである。
正極21は、ステンレスや銅などの導電性の金属で形成することができる。本実施例では隣接するセル間の正極21には導電性銅箔テープを用い、端面の正極21には、ステンレス板を用いた。銅箔テープとしては、3M社製の1181銅箔テープ(抵抗0.0323オーム/平方センチメートル)を用いることができる。
銅箔テープに代えて、正極21として、銅板またはステンレス板に、導電性両面テープを貼付して用いても良い。かかる場合の導電性両面テープとしては、例えば、Tesa社製60252(抵抗0.323〜1.29オーム/平方センチメートル)、Tesa社製60262(抵抗0.129〜1.29オーム/平方センチメートル)を用いることができる。
正極活性体22は、活性炭粉末を積層した層である。活性炭に代えて二酸化マンガンなどを用いても良い。
電解質層23は、電解質を保持したセパレータシートで構成されている。
負極24は、マグネシウム合金AZ31で形成されている。マグネシウムを用いても良い。
隣接する2つのセル20[1]、20[2]は、セル20[2]の負極24に、セル20[1]の正極21が接触するように、直列に配置されている。図中の左端に位置するセル20の正極21と、金属板28の上端の一部がケース11から露出するように構成されており、図1で説明した端子13として機能する。
セル20[1]、20[2]の間には、導電性粘着層30が形成されている。本実施例では、上述した導電性銅箔テープの粘着面が導電性粘着層30を形成することになる。
D.効果:
図4は、実施例におけるマグネシウム空気電池の発電継続時間の計測結果を示すグラフである。
曲線C1は、実施例のマグネシウム空気電池による電流と経過時間との関係を表している。具体的な構成としては、セル間の正極21および導電性粘着層30として3M社製の1181銅箔テープを用い、端面の正極21としてはステンレス板を用いている。また、負極24は、マグネシウム合金AZ31で形成されている。また、電解質層23は、パルプと不織布の混成素材に、電解液としてニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)10%と塩化カリウム(KCl)0.1%との重量比で混合した水溶液を用いた。電流を計測する場合に電池に接続する負荷としては、弾丸型白色LED(Vf=2.8V、53ルーメンス/W、実用的な明るさが得られる電流域は2mA以上)を使用した。
曲線C2については、実施例2で説明する。
曲線C3は、比較例として導電性粘着層30を有しないマグネシウム空気電池の結果を示している。比較例の電池の構造は、導電性粘着層30を有していない点、セル間の正極21が銅箔テープではなくステンレス板で形成されている点以外は、実施例と同様である。
導電性ペーストは、例えば、アクリル系塗料などにカーボンや金属粉末を混合することで生成することができる。実施例2では、アクリル系塗料5重量%、カーボン粉末5重量%、錫・銀・銅合金粉末90重量%(錫96.5重量%、銀3.0重量%、銅0.5重量%の合金粉末、粒径10〜40マイクロメートル)を用いた。また、導電性粘着層30Aの厚さは、略10マイクロメートルとした。このときの導電性粘着層30Aの抵抗値は、2.58〜3.87オーム/平方センチメートルであった。
金属粉末は、この他、SnZnBi系、SnCu系、SnAgInBi系、SnZnAl系、CuNi系などを用いても良い。また、Cu、Sn、Ag、Zn、Ni、Pbなどの金属を単体で粉末にしたものを用いても良い。
ただし、金属粉末には、アルミニウムを含まないことが好ましい。アルミニウムを含有すると、負極の表面に強固な酸化皮膜を形成するおそれがあるからである。もっとも、金属粉末にアルミニウムを一切、含んではいけないという趣旨ではない。

Claims (10)

  1. マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池であって、
    複数のセルと、
    該複数のセルを、隣接するセル間の正極と負極とが接触するように積層して収容するケースとを有し、
    前記セルは、
    マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極と、
    導電体金属からなる正極と、
    前記正極に接して配置され、酸素を供給する正極活性体と、
    前記正極活性体と前記負極との間に配置され、作動時に電解液を保持するための電解質層とを備えており、
    前記隣接するセル間の正極と負極には、導電性材料からなり前記正極と負極とを粘着する導電性粘着層が設けられているマグネシウム空気電池。
  2. 請求項1記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記導電性粘着層は、前記導電体金属の片面に導電性粘着材料が塗布された粘着テープによって形成されているマグネシウム空気電池。
  3. 前記導電性粘着層は、導電性ペーストである請求項1記載のマグネシウム空気電池。
  4. 前記導電性ペーストは、90重量%以上の金属粉末を含む請求項3記載のマグネシウム空気電池。
  5. 請求項3または4記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記金属粉末はアルミニウム以外の金属で構成されているマグネシウム電池。
  6. 請求項3〜5いずれか記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記金属粉末は、錫、銀、銅、ニッケル、亜鉛、モリブデン、鉛およびこれらの合金の粉末を含むマグネシウム空気電池。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記導電性粘着層の抵抗は、0.6オーム/平方インチ以下であるマグネシウム空気電池。
  8. 請求項1〜7記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記電解質層に含まれる電解質を、発電開始前の状態において、前記電解質層に溶出可能な部位に固体として保持しており、
    前記ケースは、前記溶出を実現できる量の水を外部から供給するための供給機構を備えているマグネシウム空気電池。
  9. マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池の製造方法であって、
    前記マグネシウム空気電池を構成する複数のセルを、隣接するセル間の正極と負極とが接触するように積層して収容するケースを準備するステップと、
    マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極を準備するステップと、
    導電体金属からなる正極を準備するステップと、
    酸素を供給する正極活性体を構成し、前記正極に接して配置するステップと、
    作動時に電解液を保持するための電解質層を構成し、前記正極活性体と前記負極との間に配置することによりセルを形成するステップと、
    隣接するセル間の正極と負極に、導電性材料からなり前記正極と負極とを粘着する導電性粘着層を挟んで複数のセルを積層するステップと、
    該積層された複数のセルを前記ケースに収納するステップとを備えるマグネシウム空気電池の製造方法。
  10. マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池の製造方法であって、
    前記マグネシウム空気電池を構成する複数のセルを、隣接するセル間の正極と負極とが接触するように積層して収容するケースを準備するステップと、
    マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極を準備するステップと、
    導電体金属の片面に導電性粘着剤が塗布された導電体金属テープを、前記負極の片面に貼付するステップと、
    さらに、酸素を供給する正極活性体と、作動時に電解液を保持するための電解質層を構成し、前記負極、導電体金属、正極活性体、電解質層の順、または前記正極活性体、電解質層、負極、導電体金属の順に積層したセル予備体を複数形成するステップと、
    前記負極と導電体金属との間に前記正極活性体および電解質層が介在したセルが複数形成されるように、前記前記複数のセル予備体を順次積層して積層体を構成するステップと、
    前記積層体の両端に、前記セルが形成されるよう前記負極または前記導電体金属を補充して、前記ケースに収納するステップとを備えるマグネシウム空気電池の製造方法。

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