JP2016110716A - 二次電池 - Google Patents

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真登 向山
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Abstract

【課題】捲回型または積層型の電極体を電池ケースに収容した二次電池において、電極体の放熱性を向上させた二次電池を提供する。【解決手段】二次電池100は、捲回型または積層型の電極体120と、電極体120を収容する電池ケース110と、正極板121に導通し、電池ケース110を貫通して外部に延出する正極端子部材150と、負極板131に導通し、電池ケース110を貫通して外部に延出する負極端子部材160とを備える。セパレータ140は、本体樹脂層141及び伝熱層143を有する。電極体120は、セパレータ140同士は厚み方向HTに密着して重なる一方、正極板121及び負極板131は重ならないセパレータ重なり部144,145を含み、正極端子部材150及び負極端子部材160とは別部材であり、電極体120のセパレータ重なり部144,145に圧接して熱接触する一方、電池ケース110にも熱接触して、電極体120の熱を電池ケース110に伝える伝熱部材170,180をさらに備える。【選択図】図1

Description

本発明は、捲回型または積層型の電極体を電池ケースに収容した二次電池に関する。
従来より、正極板、負極板及びセパレータが厚み方向に多重に重なる捲回型または積層型の電極体を電池ケースに収容した二次電池が知られている。例えば、帯状の正極板、負極板及びセパレータを互いに重ねて円筒状や扁平形状に捲回してなる捲回型の電極体を備える二次電池や、矩形状の正極板、負極板及びセパレータを厚み方向に複数積層した積層型の電極体を備える二次電池などが挙げられる。このような二次電池では、電極体の放熱性が、二次電池の耐久性や、過充電時などの発熱時の安全性を考慮する上で重要な事項である。例えば、特許文献1には、扁平形状の捲回型電極体を構成するセパレータが、捲回されたセパレータの外周部上に形成された熱伝導層外周部を含む熱伝導層を有し、捲回型電極体の内部で発生した熱を、セパレータの外周部上の熱伝導層外周部及びこのセパレータが接する電池ケースを通じて、電池外部に放熱させる構造の非水電解質二次電池が開示されている。
特開2012−9326号公報
上述の構造の二次電池では、電極体で発生した熱の放熱は、電極体に接続した正極及び負極の端子部材のほか、セパレータと電池ケースとが接する電極体の外周部において行われる。しかしながら、この電極体の外周部から電池ケースへの放熱の経路は、セパレータと電池ケースとの接触具合によって放熱の度合いが異なり、充分な放熱効果が得られない場合があった。そこで、二次電池の耐久性や、発熱時の安全性を考慮して、電極体で発生した熱を効率的に電池ケースに伝えることができ、放熱効果を高めた二次電池が求められている。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、捲回型または積層型の電極体を電池ケースに収容した二次電池において、電極体の放熱性を向上させた二次電池を提供することを目的とする。
その一態様は、正極板、負極板及びこれらの間に介在するセパレータが厚み方向に多重に重なる捲回型または積層型の電極体と、上記電極体を収容する金属製の電池ケースと、上記電極体の上記正極板に導通し、上記電池ケースを貫通して外部に延出する正極端子部材と、上記電極体の上記負極板に導通し、上記電池ケースを貫通して外部に延出する負極端子部材と、を備え、上記セパレータは、本体樹脂層及び上記本体樹脂層よりも熱伝導性が高く上記本体樹脂層を覆う伝熱層を有し、上記電極体は、上記セパレータ同士は上記厚み方向に密着して重なる一方、上記正極板及び上記負極板は重ならないセパレータ重なり部を含み、上記正極端子部材及び上記負極端子部材とは別部材であり、上記電極体の上記セパレータ重なり部に圧接して熱接触する一方、上記電池ケースにも熱接触して、上記電極体の熱を上記電池ケースに伝える伝熱部材をさらに備える二次電池である。
この二次電池では、電極体のセパレータが本体樹脂層及びこの本体樹脂層よりも熱伝導性が高く、本体樹脂層を覆う伝熱層を有している。そして、正極端子部材及び負極端子部材とは別部材の伝熱部材を備えており、この伝熱部材は、電極体のセパレータ重なり部に熱接触する一方、電池ケースにも熱接触している。このため、この二次電池では、電極体で発生した熱を、セパレータの伝熱層及びセパレータ重なり部に熱接触した伝熱部材を介して、電池ケースに伝熱し、電池外部へ放熱できる。これにより、電極体の放熱性を向上させた電池とすることができる。
なお、セパレータの本体樹脂層としては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)からなる多孔質の樹脂多孔膜が挙げられる。一方、伝熱層としては、例えば、アルミナ、シリカ等の絶縁性の無機セラミック粒子を含む無機粒子層が挙げられる。
さらに、伝熱層は、セパレータの全面(即ち、本体樹脂層の全面)に設けるのが好ましい。セパレータの全面に伝熱層を設けることで、セパレータに簡易に伝熱層を設けることができ、また、セパレータの伝熱層での放熱性をより向上させることができる。
また、セパレータ重なり部に熱接触する伝熱部材としては、金属製の部材を用いることができ、例えば、セパレータ重なり部を、挟んでリベット留めすると共に、電池ケースに溶接等で固定した2枚の金属板が挙げられる。
また、伝熱部材として、良熱伝導粉末を含む絶縁性樹脂材または絶縁性ゴム材など、良好な伝熱性を有する絶縁材を用いることもできる。
なお、良熱伝導粉末としては、絶縁性と、樹脂材やゴム材よりも良好な熱伝導性とを併せ持つ粉末が好ましく、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、マグネシアなどの絶縁性無機フィラーが挙げられる。また、絶縁性樹脂材や絶縁性ゴム材が絶縁性を保つように混合量に留意しつつ、黒鉛やカーボンブラック、銅粉末、アルミニウム粉末など、導電性粉末を用いることもできる。
また、絶縁性樹脂材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などが挙げられる。
また、絶縁性ゴム材としては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FFKM)、ニトリルゴム(NBR)などが挙げられる。
さらに、上述の二次電池であって、前記伝熱層は、絶縁性無機粒子を含んでなる二次電池とすると良い。
絶縁性無機粒子は、セパレータの本体樹脂層をなす樹脂に比べて熱伝導性が高い。伝熱層がこのような絶縁性無機粒子を含むことで、良好な電気絶縁性と耐熱性と熱伝導性を有する伝熱層を設けたセパレータとなる。
なお、絶縁性無機粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ等の酸化物セラミック粒子、窒化ケイ素や窒化アルミニウム等の窒化物セラミック粒子などの粒子が挙げられる。
実施形態1のリチウムイオン二次電池に係り、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。 実施形態1に係り、(a)はセパレータ、(b)は負極板、(c)は正極板の説明図である。 変形形態1のリチウムイオン二次電池に係り、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるB−B断面図である。 変形形態1に係り、(a)はセパレータ、(b)は負極板、(c)は正極板の説明図である。 変形形態2に係るリチウムイオン二次電池の斜視図である。 実施形態2のリチウムイオン二次電池に係り、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。 変形形態3のリチウムイオン二次電池に係り、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるD−D断面図である。 変形形態4のリチウムイオン二次電池に係り、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるE−E断面図である。 変形形態5のリチウムイオン二次電池に係り、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるF−F断面図である。
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態1に係るリチウムイオン二次電池100(以下、単に電池100とも言う)を示す。この電池100は、角型の電池ケース110、この電池ケース110内に収容された扁平捲回型の電極体120、電池ケース110に支持された正極端子部材150及び負極端子部材160等から構成されている。また、電池ケース110内には、図示しない電解液が注入されている。
なお、図1(a)は、電池100の縦断面図であり、図中、左右方向が、電池100、電池ケース110及び電極体120の幅方向HWを示し、図中、上下方向が、電池100及び電池ケース110の高さ方向HHを示す。また、図中、右側を幅方向HWの一方側HW1とし、図中、左側を幅方向HWの他方側HW2とする。さらに、図1(b)は、図1(a)におけるA−A’断面の断面図であり、図中、左右方向が、電池100、電池ケース110及び扁平状の電極体120の厚み方向HTを示す。
電池ケース110は、金属(具体的にはアルミニウム)からなり、直方体状に形成されている。この電池ケース110は、上側のみが開口した箱状をなし、電極体120を収容するケース本体部材111と、このケース本体部材111の開口111hを閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材112とから構成されている。
また、ケース蓋部材112には、幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)の所定位置に、正極端子部材150と負極端子部材160とが、それぞれ3つの絶縁部材191,192,193を介して固設されている。
なお、正極端子部材150は、集電端子部材151、端子金具部材152及び外部端子部材153の3つの部材からなる。このうち、集電端子部材151は、電池ケース110内において、電極体120のうち正極板121の正極集電箔122が露出した正極集電部121mに接続されており、端子金具部材152及び外部端子部材153は、電池ケース110の外部に露出している。
同様に、負極端子部材160は、集電端子部材161、端子金具部材162及び外部端子部材163の3つの部材からなる。このうち、集電端子部材161は、電池ケース110内において、電極体120のうち負極板131の負極集電箔132が露出した負極集電部131mに接続されており、端子金具部材162及び外部端子部材163は、電池ケース110の外部に露出している。
電極体120は、いずれも帯状の正極板121と負極板131とを、同じく帯状のセパレータ140を介して互いに重ねて捲回し、扁平状に圧縮したものである。この電極体120は、絶縁フィルムを袋状に形成した絶縁フィルム包囲体(図示しない)内に収容された上で、横倒しにした状態で電池ケース110内に収容されている。
図2のうち、(a)はセパレータ140、(b)は負極板131、(c)は正極板121のそれぞれ長手方向HN(図中、上下方向)の一部分を示した説明図である。なお、図2(a)〜(c)における左右方向が、各々の幅方向HWであり、図1における電極体120の幅方向HWに対応する。
正極板121は、アルミニウム箔からなる正極集電箔122と、この正極集電箔122の両面に長手方向HNに帯状に設けられた正極活物質層123とを有している。なお、帯状の正極活物質層123が設けられた部位を、正極板121の正極部121wとする。正極板121のうち、図2(c)中、右側となる幅方向HWの一方側HW1には、正極集電箔122が露出して正極活物質層123が存在しない正極集電部121mが、長手方向HNにとびとびに存在している。即ち、正極板121は、帯状の正極活物質層123(正極部121w)のほか、幅方向HWの一方側HW1に正極集電部121mが設けられた幅広部121aと、正極活物質層123(正極部121w)のみ設けられて正極集電部121mのない幅狭部121bとが、長手方向HNに交互に連なった形状になっている。
負極板131は、銅箔からなる負極集電箔132と、この負極集電箔132の両面に長手方向HNに帯状に設けられた負極活物質層133とを有している。なお、帯状の負極活物質層133が設けられた部位を、負極板131の負極部131wとする。負極板131のうち、図2(b)中、左側となる幅方向HWの他方側HW2には、負極集電箔132が露出して負極活物質層133が、長手方向HNにとびとびに存在している。即ち、負極板131は、帯状の負極活物質層133(負極部131w)のほか、幅方向HWの他方側HW2に負極集電部131mが設けられた幅広部131aと、負極活物質層133(負極部131w)のみ設けられて負極集電部131mのない幅狭部131bとが、長手方向HNに交互に連なった形状になっている。
セパレータ140は、ポリプロピレン(PP)からなり、このセパレータ140の本体樹脂層をなす樹脂多孔膜141と、ポリエチレン(PE)からなり、樹脂多孔膜141の一方面の全面に形成された、シャットダウン機能を有する熱可塑性樹脂多孔膜142と、樹脂多孔膜141の他方面の全面に形成され、樹脂多孔膜141(本体樹脂層)よりも熱伝導性が高い伝熱層143とから構成されている。この伝熱層143は、絶縁性無機粒子としてアルミナ粒子を含む無機粒子層である。
また、図2(a)に示すように、セパレータ140は、幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)に突出した突出部144,145を含む幅広部140bと、幅広部140bよりも狭い幅狭部140aとが、長手方向HNに交互に存在している。なお、捲回して電極体120を作製する際には、セパレータ140の幅広部140bが正極板121及び負極板131の幅狭部121b,131bに重なり、セパレータ140の幅狭部140aが正極板121及び負極板131の幅広部121a,131aに重なるように捲回される。
このため、電極体120のうち、電池100の高さ方向HHの上側略半分(図1参照)に当たる部位の幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)には、捲回されて厚み方向HTに重なる正極板121の正極集電部121m及び負極板131の負極集電部131mが、それぞれ存在している。即ち、正極板121のうち正極集電部121mが設けられた幅広部121a、負極板131のうち負極集電部131mが設けられた幅広部131a、及び、セパレータ140の幅狭部140aが、電極体120のうち、上側の半円筒状の曲部を含む、高さ方向HHの上側部分に配置されている(図2参照)。
なお、前述したように、正極板121の正極集電部121mは、正極端子部材150の集電端子部材151に接続され、負極板131の負極集電部131mは、負極端子部材160の集電端子部材161に接続されている。
また、電極体120のうち、電池100の高さ方向HHの下側略半分(図1参照)に当たる部位の幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)には、セパレータ140(突出部144,145)同士は厚み方向HTに重なる一方、正極板121(正極集電部121m)及び負極板131(負極集電部131m)は重ならないセパレータ重なり部144,145が存在している。即ち、正極板121のうち正極集電部121mのない幅狭部121b、負極板131のうち負極集電部131mのない幅狭部131b、及び、セパレータ140の幅広部140bが、電極体120のうち、下側の半円筒状の曲部を含む、高さ方向HHの下側部分に配置されており(図2参照)、セパレータ140の幅方向HWに突出した突出部144,145が、セパレータ重なり部144,145をなしている。
そして、電極体120のセパレータ重なり部144,145は、セパレータ140同士が密着して重なり、伝熱板171,181、リベット172,182及び固定部材173,183からなる伝熱部材170,180を介して電池ケース110に接続されている。具体的には、平板状に重なるセパレータ重なり部144,145を、その厚み方向HTの両側から2枚の金属板からなる伝熱板171,181で挟んで束ねて、リベット172,182で加締めると共に、伝熱板171,181に溶接した固定部材173,183をケース本体部材111の底部111bの穴に挿通して、気密に封止している。これにより、伝熱部材170,180は、電極体120のセパレータ重なり部144,145に圧接して熱接触する一方、電池ケース110にも熱接触している。なお、伝熱部材170,180を構成するいずれの部材も、電池ケース110と同じ金属(具体的にはアルミニウム)からなる。
また、前述したように、セパレータ140は、その全面に樹脂多孔膜141(本体樹脂層)よりも熱伝導性が高く、樹脂多孔膜141を覆う伝熱層143を有している。このため、伝熱部材170,180は、セパレータ140の伝熱層143を通じて伝わる電極体120の熱を、電池ケース110へと伝える。即ち、この電池100では、電極体120で発生した熱を、セパレータ140の伝熱層143及びセパレータ重なり部144,145に圧接して熱接触した伝熱部材170,180を介して、電池ケース110に伝熱し、電池100の外部へ放熱できる。
なお、電極体120の正極集電部121mに接続された正極端子部材150及び負極集電部131mに接続された負極端子部材160も、電極体120の熱を、外部端子部材153,163に接続されるリード線(図示しない)や、電池ケース110に伝えて、電池100の外部へ放熱できる。また、図1(b)に示すように、電極体120は、絶縁フィルム包囲体(図示しない)を介して、電池ケース110に接しており、電極体120の厚み方向HTの外周部となるセパレータ140の外周部140cにおいても、電極体120の放熱は行われる。
この電池100では、これらに加えて、電極体120で発生した熱が、伝熱部材170,180を介して電池ケース110に伝達され、電池100の外部へと放熱される。
このように、本実施形態1に係る電池100では、電極体120のセパレータ140が本体樹脂層をなす樹脂多孔膜141及びこの樹脂多孔膜141よりも熱伝導性が高く、樹脂多孔膜141を覆う伝熱層143を有している。そして、正極端子部材150及び負極端子部材160とは別部材の伝熱部材170,180を備えており、この伝熱部材170,180は、電極体120のセパレータ重なり部144,145に熱接触する一方、電池ケース110にも熱接触している。このため、この電池100では、電極体120で発生した熱を、セパレータ140の伝熱層143及びセパレータ重なり部144,145に圧接して熱接触した伝熱部材170,180を介して、電池ケース110に伝熱し、電池100の外部へ放熱できる。これにより、電極体120で発生した熱を効率的に電池ケース110に伝えることができ、電極体120の放熱性を向上させた電池100とすることができる。
さらに、本実施形態1の電池100では、セパレータ140の伝熱層143が絶縁性無機粒子であるアルミナ粒子を含んでいる。アルミナ粒子などの絶縁性無機粒子は、セパレータ140の本体樹脂層である樹脂多孔膜141をなす樹脂(具体的には、ポリプロピレン(PP))に比べて熱伝導性が高い。伝熱層143がこのような絶縁性無機粒子を含むことで、良好な電気絶縁性と耐熱性と熱伝導性を有する伝熱層143を設けたセパレータ140となる。
なお、本実施形態1では、伝熱層143に含む絶縁性無機粒子としてアルミナ粒子を用いたが、絶縁性無機粒子としては、このほかに、例えば、アルミナと同じく酸化物セラミックであるシリカ等の酸化物セラミック粒子や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物セラミック粒子などの粒子を用いることもできる。
また、この電池100では、セパレータ140の樹脂多孔膜141(本体樹脂層)の片側全面に伝熱層143を設けている。このため、セパレータ140に簡易に伝熱層143を設けることができ、また、セパレータ140の伝熱層143での放熱性をより向上させることができる。
(変形形態1)
図3に、上述の実施形態1の第1の変形形態を示す。本変形形態に係るリチウムイオン二次電池200(以下、単に電池200とも言う)は、実施形態1の電池100と同様に、角型の電池ケース210(ケース本体部材211及びケース蓋部材212)、この電池ケース210内に収容された扁平捲回型の電極体220、電池ケース210に支持された正極端子部材250(集電端子部材251,端子金具部材252,外部端子部材253)及び負極端子部材260(集電端子部材261,端子金具部材262,外部端子部材263)等から構成されている。
また、電極体220は、実施形態1と同様に、正極板221、負極板231及びセパレータ240を互いに重ねて捲回し、扁平状に圧縮したものであり、セパレータ240は、本体樹脂層をなす樹脂多孔膜241と、樹脂多孔膜241の一方面の全面に形成された熱可塑性樹脂多孔膜242と、樹脂多孔膜241の他方面の全面に形成された伝熱層243とから構成されている。
但し、この電池200は、実施形態1の電池100とは異なり、電極体220の幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)に、高さ方向HHの全体にわたってセパレータ重なり部244,245を有している。そして、この電極体220のセパレータ重なり部244,245は、伝熱板271,281及びリベット272,282からなる伝熱部材270,280を介して電池ケース210に接続されている。具体的には、平板状に重なるセパレータ重なり部244,245を、その厚み方向HTの両側から2枚の金属板からなる伝熱板271,281で挟んで束ねて、リベット272,282で加締めると共に、伝熱板271,281をケース蓋部材212に溶接している。
また、電極体220のうち、正極板221の正極集電箔222が露出した正極集電部221m、及び、負極板231の負極集電箔232が露出した負極集電部231mは、それぞれ、セパレータ重なり部244,245よりも幅方向HWの内側に位置し、電池200の高さ方向HHの上側略半分に当たる部位において、正極端子部材250及び負極端子部材260に接続されている。
図4は、電極体220を構成する、(a)セパレータ240、(b)負極板231、(c)正極板221のうち、長手方向HNの一部分を示した説明図である。
正極板221は、正極集電箔222と、この正極集電箔222の両面に長手方向HNに帯状に設けられた正極活物質層223とを有しており、本変形形態では、幅方向HWの一方側HW1の端部全体に、正極集電箔222が露出して正極活物質層223が存在しない正極集電部221mが形成されている。
また、負極板231は、負極集電箔232と、この負極集電箔232の両面に長手方向HNに帯状に設けられた負極活物質層233とを有しており、本変形形態では、幅方向HWの他方側HW2の端部全体に、負極集電箔232が露出して負極活物質層233が存在しない負極集電部231mが形成されている。
さらに、本変形形態では、セパレータ240のうち、幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)の端部全体がセパレータ重なり部244,245となる一方、これよりも内側には、正極板221の正極集電部221mを露出させるための正極露出穴246及び負極板231の負極集電部231mを露出させるための負極露出穴247が、長手方向HNに沿って、電極体220の高さ方向HHの上側部分に対応する所定位置に設けられている。
これにより、正極端子部材250の集電端子部材251及び負極端子部材260の集電端子部材261が、それぞれ、セパレータ240の正極露出穴246及び負極露出穴247を通じて、電極体220の上側部分の正極集電部221m及び負極集電部231mに接続されている。
(変形形態2)
また、図5に、実施形態1の第2の変形形態を示す。本変形形態に係るリチウムイオン二次電池300(以下、単に電池300とも言う)は、角型の電池ケース310(ケース本体部材311及びケース蓋部材312)、この電池ケース310内に収容された積層型の電極体320、電池ケース310に支持された正極端子部材350及び負極端子部材360等から構成されている。即ち、この電池300は、積層型の電極体320を備える点で、扁平捲回型の電極体120を備える実施形態1の電池100とは異なる。
電極体320は、いずれもその中央部分が矩形板状をなす複数の正極板321と負極板331とを、同じくその中央部分が矩形板状をなすセパレータ340を介して交互に厚み方向HTに重ねたものである。
正極板321のうち、図5中、右側となる幅方向HWの一方側HW1の端部は、正極集電箔322が露出した正極集電部321mとなっており、複数の正極板321の正極集電部321mは、互いに厚み方向HTに重ねられて並列接続され、正極端子部材350に溶接されている。なお、この正極端子部材350が溶接された正極板321の正極集電部321mは、電池300の高さ方向HHの上側略半分に位置しており、正極板321のうち、これよりも下側部分は、略円弧状に除去された形状になっている。
また、負極板331のうち、図5中、左側となる幅方向HWの他方側HW2の端部は、負極集電箔332が露出した負極集電部331mとなっており、複数の負極板331の負極集電部331mは、互いに厚み方向HTに重ねられて並列接続され、負極端子部材360に溶接されている。なお、この負極端子部材360が溶接された負極板331の負極集電部331mは、正極集電部321mと同様に、電池300の高さ方向HHの上側略半分に位置しており、負極板331のうち、これよりも下側部分は、略円弧状に除去された形状になっている。
一方、複数のセパレータ340は、それぞれ、実施形態1のセパレータ140と同様に、樹脂多孔膜341(本体樹脂層)と、樹脂多孔膜341の一方面の全面に形成された熱可塑性樹脂多孔膜342と、樹脂多孔膜341の他方の全面に形成された伝熱層343とから構成されている。
セパレータ340の幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)の端部は、それぞれ、セパレータ340同士が厚み方向HTに重なる一方、正極板321及び負極板331が重ならないセパレータ重なり部344,345となっている。なお、このセパレータ重なり部344,345は、電池300の高さ方向HHの下側略半分に当たる、正極板321の正極集電部321m及び負極板331の負極集電部331mの下側に位置しており、セパレータ340のうち、これよりも上側部分は、略円弧状に除去された形状になっている。
そして、電極体320のセパレータ重なり部344,345は、実施形態1の電池100と同様に、伝熱板371,381、リベット372,382及び固定部材373,383からなる伝熱部材370,380を介して電池ケース310に接続されている。具体的には、セパレータ重なり部344,345を、その厚み方向HTの両側から伝熱板371,381で挟んで束ねて、リベット372,382で加締めると共に、伝熱板371,381に溶接した固定部材373,383(不図示)をケース本体部材311の底部311bに固定している。
(実施形態2)
次いで、本発明の第2の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図6に、本実施形態2に係るリチウムイオン二次電池400(以下、単に電池400とも言う)を示す。この電池400は、変形形態1の電池200とほぼ同様の構成である。但し、変形形態1では、セパレータ重なり部244,245を伝熱板271,281で挟んだ伝熱部材270,280を介して、電極体220の熱を電池ケース210に伝えていた。これに対し、本実施形態2では、電極体220のセパレータ重なり部444,445と電池ケース210との間に、樹脂からなる波型の伝熱部材470,480を介在させ、電極体220の熱を電池ケース210に伝える点で異なる。
なお、本実施形態2において、変形形態1と同様な部分は、同じ番号を付し、詳細については、説明を省略する。
電池400の電極体220は、変形形態1で説明したセパレータ重なり部244,245と同様に、その幅方向HWの両側(一方側HW1及び他方側HW2)に、高さ方向HHの全体にわたってセパレータ重なり部444,445を有している。但し、このセパレータ重なり部444,445には、伝熱板271,281が重ねられず、また、リベット272,282が貫通していない。
伝熱部材470,480は、それぞれ、電極体220のセパレータ重なり部444,445を厚み方向HTの両側から挟む。この伝熱部材470,480は、ポリプロピレン(PP)に、良熱伝導粉末として絶縁性無機フィラーであるアルミナを体積分率で30%以上70%未満(本実施形態2では約50%)含有させた絶縁性樹脂材を、ばね性を有する波型に成形した絶縁性の樹脂板である。
そして、この波型の伝熱部材470,480は、所定の接触圧で電極体220のセパレータ重なり部444,445に熱接触する一方、電池ケース210にも熱接触しており、電極体220の熱を電池ケース210に伝える。
このように、本実施形態2に係る電池400では、樹脂材(ポリプロピレン(PP))に良熱伝導粉末(アルミナ)を含む絶縁性樹脂材からなる伝熱部材470,480を備えており、この伝熱部材470,480は、電極体220のセパレータ重なり部444,445と電池ケース210との間に介在している。このため、この電池400では、電極体220で発生した熱を、セパレータ重なり部444,445と電池ケース210との間に介在する伝熱部材470,480を介して、電池ケース210に伝熱し、電池400の外部へ放熱することができる。
これにより、電極体220で発生した熱を効率的に電池ケース210に伝えることができ、電極体220の放熱性を向上させた電池400とすることができる。
さらに、この電池400では、伝熱部材470,480が、ポリプロピレン(PP)に良熱伝導粉末として絶縁性無機フィラーであるアルミナを含む絶縁性樹脂材からなる。伝熱部材470,480として、このように、アルミナなどの絶縁性無機フィラーを含む絶縁性樹脂材を用いることで、高い電気絶縁性と耐熱性を有すると共に、熱伝導性も高い伝熱部材470,480とすることができる。
(変形形態3)
図7に、上述の実施形態2の変形形態である変形形態3の電池500を示す。実施形態2の電池400では、波型の伝熱部材470,480を2つずつ用いたが、これに代えて、図7に示す変形形態3の電池500のように、電池500の下部でU字状に連結して一体になった波型の伝熱部材570,580を用いても良い。
このようにすることで、電極体220のセパレータ重なり部444,445を挟むかたちで、伝熱部材570,580を電極体220と予め一体にしてから、これらを一緒に電池ケース210に収容することが可能になり、電池製作時の作業性を向上させることができる。
(変形形態4)
また、図8に、実施形態2の第2の変形形態である変形形態4の電池600を示す。本変形形態の電池600は、実施形態2の伝熱部材470,480に代えて、伝熱部材670,680を備えたものであり、それ以外は、実施形態2の電池400と同じである。
伝熱部材670,680は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)に絶縁性無機フィラーであるアルミナを体積分率で約50%含有させた絶縁性ゴム材であり、平板状の平板部672,682と、この平板部672,682から延びる櫛歯状の櫛歯部671,681とが一体に成形されている。
伝熱部材670,680のうち、櫛歯部671,681は、電極体220のセパレータ重なり部444,445に接触し、平板部672,682は、電池ケース210に接触して、電極体220の熱を電池ケース210に伝える。
なお、櫛歯部671,681は、セパレータ重なり部444,445との接触面積を稼ぎつつ、櫛歯のパターンや厚さによって、セパレータ重なり部444,445との接触圧が所定の値になるように調整されている。
(変形形態5)
また、図9に、実施形態2の第3の変形形態である変形形態5の電池700を示す。本変形形態の電池700は、実施形態2の伝熱部材470,480に代えて、絶縁性無機フィラーを含む絶縁性樹脂材からなる伝熱部材770,780を備えたものである。
伝熱部材770,780は、樹脂材を平板状に成形した平板部772,782に、同じ樹脂材を渦巻きばね状に成形した複数のばね状部771,781を貼り付けて一体にしたものであり、ばね状部771,781のばね構造により、セパレータ重なり部444,445との接触圧を所定の値に保ちつつ、電極体220の熱を電池ケース210に伝える。
以上において、本発明を実施形態1,2及び変形形態1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態2及び変形形態3〜5では、捲回型の電極体220を備える電池400等に、伝熱部材470,480等を備える構成を示したが、積層型の電極体を備える電池について、同様の伝熱部材を適用しても良い。また、変形形態1の電池200に、さらに伝熱部材470,480等を設けるようにしても良い。
100,200,300,400,500,600,700 リチウムイオン二次電池(二次電池、電池)
110,210,310 電池ケース
120,220,320 電極体
121,221,321 正極板
122,222,322 正極集電箔
121m,221m,321m 正極集電部
131,231,331 負極板
132,232,332 負極集電箔
131m,231m,331m 負極集電部
140,240,340 セパレータ
141,241,341 樹脂多孔膜(本体樹脂層)
143,243,343 伝熱層
144,145,244,245,344,345,444,445 セパレータ重なり部
150,250,350 正極端子部材
160,260,360 負極端子部材
170,180,270,280,370,380,470,480,570,580,670,680,770,780 伝熱部材
HW 幅方向
HH 高さ方向
HT 厚み方向
HN 長手方向

Claims (1)

  1. 正極板、負極板及びこれらの間に介在するセパレータが厚み方向に多重に重なる捲回型または積層型の電極体と、
    上記電極体を収容する金属製の電池ケースと、
    上記電極体の上記正極板に導通し、上記電池ケースを貫通して外部に延出する正極端子部材と、
    上記電極体の上記負極板に導通し、上記電池ケースを貫通して外部に延出する負極端子部材と、を備え、
    上記セパレータは、
    本体樹脂層及び上記本体樹脂層よりも熱伝導性が高く上記本体樹脂層を覆う伝熱層を有し、
    上記電極体は、
    上記セパレータ同士は上記厚み方向に密着して重なる一方、上記正極板及び上記負極板は重ならないセパレータ重なり部を含み、
    上記正極端子部材及び上記負極端子部材とは別部材であり、上記電極体の上記セパレータ重なり部に圧接して熱接触する一方、上記電池ケースにも熱接触して、上記電極体の熱を上記電池ケースに伝える伝熱部材をさらに備える
    二次電池。
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