JP2016109863A - 表示システムおよび観察具 - Google Patents

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Abstract

【課題】周囲の明るさに影響されず、また消費電力を増やさずに確実に視認性を向上させる。【解決手段】表示システム1は、コヒーレント光を発光するコヒーレント光源6と、コヒーレント光を拡散させる光学素子5と、コヒーレント光を光学素子上で走査させる光走査部材7と、光学素子にて拡散されたコヒーレント光による照明光を受けて、変調画像を生成する光変調器3と、変調画像を視認する観察具21と、を備える。観察具は、照明光に含まれるコヒーレント光の波長域の透過率がそれ以外の波長域の透過率よりも高い波長選択フィルタを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、コヒーレント光を用いた表示システムと、この表示システムにて用いられる観察具とに関する。
青色LEDの価格低下と性能向上に伴って、LEDを用いた照明装置が急速に普及している。以前は、液晶表示装置のバックライト光源として冷陰極管が汎用的に用いられていたが、LEDは冷陰極管よりも消費電力が少なく、寿命も長く、軽薄短小化が可能であることから、バックライト光源としてLEDを用いるのが一般的となった。
特開2012−146621号公報
しかしながら、液晶表示装置は、光透過型が大半であり、昼間などの明るい場所では、外光の映り込みによって液晶表示装置の画面のコントラストが低下し、画面の情報が極端に視認しにくくなる。明るい場所でも、液晶表示装置の視認性をよくするには、バックライト光源の光強度をより高くしなければならず、液晶表示装置の消費電力が増大してしまうほか、熱対策の負荷も大きくなってくる。このように、従来の液晶表示装置は、周囲が明るいほど、より多くの消費電力を必要とするという問題があった。
周囲光の影響を回避するために、サングラスをかけて液晶表示装置の表示画面を見ることも考えられるが、サングラスは、可視光帯域の光透過性を全体的に低下させるため、液晶表示装置の表示画面が全体的に暗く視認されるだけであり、視認性が向上するわけではない。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、周囲の明るさに影響されず、また消費電力を増やさずに確実に視認性を向上させることが可能な表示システムおよび観察具を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様では、コヒーレント光を発光するコヒーレント光源と、
前記コヒーレント光を拡散させる光学素子と、
前記コヒーレント光を前記光学素子上で走査させる光走査部材と、
前記光学素子にて拡散されたコヒーレント光による照明光を受けて、変調画像を生成する光変調器と、
前記変調画像を視認する観察具と、を備え、
前記観察具は、前記照明光に含まれる前記コヒーレント光の波長域の透過率がそれ以外の波長域の透過率よりも高い波長選択フィルタを有する表示システムが提供される。
また、本発明の他の一態様では、コヒーレント光を発光するコヒーレント光源と、
前記コヒーレント光を拡散させる光学素子と、
前記コヒーレント光を前記光学素子上で走査させる光走査部材と、
前記光学素子にて拡散されたコヒーレント光による照明光を受けて、変調画像を生成する光変調器と、
前記コヒーレント光源の波長域よりも広い波長域の光と、前記コヒーレント光源の波長域とは異なる波長域を含む光と、の少なくとも一方を発光する環境光源と、
前記変調画像を視認する観察具と、を備え、
前記観察具は、前記環境光源から発光される光よりも、前記変調画像を照明するコヒーレント光をより透過させる表示システムが提供される。
前記環境光源は、室内照明具であってもよい。
前記コヒーレント光源は、少なくとも1種類以上の波長域のコヒーレント光を発光し、
前記環境光源は、前記コヒーレント光源よりも多種類の波長域の光を発光し、
前記観察具は、前記コヒーレント光源から発光されるコヒーレント光の透過率が前記環境光源から発光される光の透過率よりも高い波長選択フィルタを有していてもよい。
前記波長選択フィルタは、前記コヒーレント光源にて発光されるコヒーレント光の中心波長を中心とする所定の波長域の透過率を、それ以外の波長域の透過率よりも高くしてもよい。
前記波長選択フィルタは、前記照明光に含まれる前記コヒーレント光の波長域の透過率を、それ以外の波長域の透過率よりも50%以上高くしてもよい。
前記コヒーレント光源は、それぞれ異なる波長域のコヒーレント光を発光する複数のコヒーレント光源部を有し、
前記波長選択フィルタは、前記複数のコヒーレント光源部から発光された各コヒーレント光の複数の波長域の透過率をそれ以外の波長域の透過率よりも高くしてもよい。
前記観察具は、前記波長選択フィルタを有するサングラスであってもよい。
前記観察具は、観察者の目の視線方向に設置可能な支持部を有し、前記波長選択フィルタを有するサンバイザであってもよい。
前記光変調器は、ディスプレイ装置であってもよい。
前記光変調器で生成された変調画像の倍率を変えて拡散部材に投射する投射光学系を備え、
前記観察具は、前記拡散部材に投影された変調画像を視認するために用いられてもよい。
前記光学素子は、ホログラム記録媒体を有していてもよい。
前記光学素子は、レンズアレイを有していてもよい。
本発明の他の一態様では、コヒーレント光を発光するコヒーレント光源と、
前記コヒーレント光を拡散させる光学素子と、
前記コヒーレント光を前記光学素子上で走査させる光走査部材と、
前記光学素子にて拡散されたコヒーレント光による照明光を受けて、変調画像を形成する光変調器と、を備えた表示装置における前記変調画像を視認するための観察具であって、
前記照明光に含まれる前記コヒーレント光の波長域の透過率がそれ以外の波長域の透過率よりも高い波長選択フィルタを備えてもよい。
前記波長選択フィルタは、前記コヒーレント光源の波長域よりも広い波長域の光と、前記コヒーレント光源の波長域とは異なる波長域を含む光と、の少なくとも一方を発光する環境光源から発光される光よりも、前記変調画像を照明するコヒーレント光をより透過させてもよい。
本発明によれば、周囲の明るさに影響されず、また消費電力を増やさずに確実に視認性を向上させることができる。
本発明の一実施形態による表示システムの概略構成を示す図。 光走査部材の構成を詳細に示す図。 光学素子で拡散されたレーザ光が被照明領域に入射される様子を示す図。 投射光学系を備えた表示システムの概略構成を示す図。 被照明領域の照明光を利用して導光板を面発光する例を示す図。 観察具をサンバイザに適用した例を示す図。 観察具のスペクトル図。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1および図2は本発明の一実施形態による表示システム1の概略構成を示す図である。本実施形態による表示システム1は、照明装置2と、光変調器3とを備えている。照明装置2は、光変調器3の位置に配置される被照明領域20の全域を照明する面照明装置である。照明装置2は、照射装置4と、光学素子5とを有する。また、照射装置4は、レーザ光源6と、光走査部材7とを有する。
レーザ光源6は、発光波長域がそれぞれ相違する複数のコヒーレント光すなわちレーザ光を発光する複数の光源部8を有していてもよい。これら複数の光源部8は、独立して設けられていてもよいし、共通の基板上に複数の光源部8を並べて配置した光源モジュールであってもよい。本実施形態のレーザ光源6は、発光波長域がそれぞれ相違する少なくとも2つの光源部8を有していればよく、発光波長域の種類は2つ以上であればよい。また、発光強度を高めるために、各発光波長域ごとに、複数個ずつの光源部8を設けてもよい。
例えば、レーザ光源6が、赤色の発光波長域の光源部8rと、緑色の発光波長域の光源部8gと、青色の発光波長域の光源部8bとを有する場合には、これらの光源部8が発光した3つのレーザ光を重ね合わせることで、白色の照明光を生成可能となる。
光走査部材7は、レーザ光源6からのレーザ光の進行方向を経時的に変化させて、レーザ光の進行方向が一定にならないようにする。この結果、光走査部材7を出射したレーザ光は、光学素子5の入射面上を走査するようになる。
光走査部材7は、例えば図2に示すように、互いに交差する方向に延在される二つの回転軸11,12周りに回転可能な反射デバイス13を有する。この反射デバイス13の反射面13aに入射されたレーザ光源6からのレーザ光は、反射面13aの傾斜角度に応じた角度で反射されて、光学素子5の入射面5aの方向に進行する。反射デバイス13を二つの回転軸11,12周りに回転させることで、レーザ光は光学素子5の入射面5a上を二次元的に走査することになる。反射デバイス13は、例えば一定の周期で二つの回転軸11,12周りに回転する動作を繰り返すため、この周期に同期して、光学素子5の入射面5a上をレーザ光は繰り返し二次元走査する。
本実施形態では、光走査部材7を一つだけ設けることを想定しており、レーザ光源6で発光された複数のレーザ光はいずれも、共通の光走査部材7に入射されて、この光走査部材7で進行方向が経時的に変化させられて、光学素子5上を走査する。
光学素子5は、複数のレーザ光が入射される入射面5aを有し、この入射面5aに入射された複数のレーザ光を拡散させて、所定位置に設けられる被照明領域20を照明する。
図3は光学素子5で拡散されたレーザ光が被照明領域20に入射される様子を示す図である。光学素子5は、発光波長域がそれぞれ異なる複数のレーザ光に対応する複数の拡散領域14を有する。各拡散領域14には対応するレーザ光が入射される。各拡散領域14は入射されたレーザ光を拡散させて、全体として被照明領域20の全域を照明する。
被照明領域20内の部分領域ごとに照明制御を行いたい場合には、図3に示すように、各拡散領域14をさらに細かく複数の要素拡散領域15に分ける必要がある。各要素拡散領域15は、入射されたレーザ光を拡散させて、被照明領域20内の部分領域を照明する。部分領域の少なくとも一部は、各要素拡散領域15ごとに相違している。
なお、各拡散領域14を複数の要素拡散領域15に分けて、被照明領域20内の部分領域ごとに照明制御を行うか否かは任意である。単に被照明領域20の全域を均一照明したい場合には、各拡散領域14を複数の要素拡散領域15に分ける必要はない。以下では、一例として、光学素子5としてホログラム記録媒体16を用いた場合に、ホログラム記録媒体16を複数の要素拡散領域15に対応する複数の要素ホログラム領域18に分割して干渉縞を記録する例について説明する。
光学素子5に対応するホログラム記録媒体16は、例えば図3に示すように、複数の拡散領域14に対応する複数のホログラム領域17を有する。各ホログラム領域17は、発光波長域がそれぞれ異なる複数のレーザ光のそれぞれに対応して設けられている。各ホログラム領域17は、対応するレーザ光が入射される入射面17aを有する。各ホログラム領域17の入射面17aに入射されて拡散されたレーザ光はいずれも、被照明領域20を照明する。例えば、ホログラム記録媒体16が3つのホログラム領域17を有する場合、各ホログラム領域17で拡散されたレーザ光は、被照明領域20の全域を照明する。
図3では、赤、青または緑で発光する3つのレーザ光に対応づけて、3つのホログラム領域17を設ける例を示しているが、本実施形態によるホログラム記録媒体16は、発光波長域が異なる2つ以上のレーザ光に対応づけて、2つ以上のホログラム領域17を有していればよい。図3のように、ホログラム記録媒体16が赤、青または緑で発光する3つのレーザ光に対応する3つのホログラム領域17を有する場合には、各ホログラム領域17が被照明領域20の全域を照明することから、3つのレーザ光が発光している場合には、被照明領域20は白色で照明されることになる。
ホログラム記録媒体16における各ホログラム領域17のサイズすなわち面積は、必ずしも同じである必要はない。各ホログラム領域17のサイズが異なっていても、各ホログラム領域17の入射面17aに形成される干渉縞を各ホログラム領域17ごとに調整することで、各ホログラム領域17は共通の被照明領域20を照明することができる。
複数のホログラム領域17のそれぞれは、複数の要素拡散領域15に対応する複数の要素ホログラム領域18を有する。複数の要素ホログラム領域18のそれぞれは、入射されたレーザ光を拡散させることにより、被照明領域20内の部分領域19を照明する。各要素ホログラム領域18が照明する部分領域19の少なくとも一部は、各要素ホログラム領域18ごとに相違している。すなわち、異なる要素ホログラム領域18が照明する部分領域19同士は、少なくとも一部が相違している。
各要素ホログラム領域18の入射面17aには干渉縞パターンが形成されている。よって、各要素ホログラム領域18の入射面17aに入射されたレーザ光は、入射面17a上の干渉縞パターンによって回折されて、被照明領域20上の対応する部分領域19を照明する。干渉縞パターンを種々に調整することで、各要素ホログラム領域18で回折すなわち拡散されるレーザ光の進行方向を変えることができる。
このように、各要素ホログラム領域18内の各点に入射されたレーザ光は、対応する部分領域19を照明する。また、光走査部材7は、各要素ホログラム領域18に入射されるレーザ光の入射位置および入射角度を経時的に変化させる。一つの要素ホログラム領域18内に入射されたレーザ光は、その要素ホログラム領域18内のどの位置に入射されても、共通の部分領域19を照明する。これはすなわち、部分領域19の各点に入射されるレーザ光の入射角度が経時的に変化することを意味する。この入射角度の変化は、人間の目で分解不可能な速さであり、結果として、人間の目には、相関の無いレーザ光の散乱パターンが多重化されて観察される。したがって、各散乱パターンに対応して生成されたスペックルが重ねられて平均化されて、観察者に観察されることになる。これにより、被照明領域20では、スペックルが目立ちにくくなる。また、光走査部材7からのレーザ光は、ホログラム記録媒体16上の各要素ホログラム領域18を順に走査するため、各要素ホログラム領域18内の各点で回折されたレーザ光はそれぞれ異なる波面を有し、これらのレーザ光は被照明領域20上に独立に重ね合わされることで、被照明領域20ではスペックルの目立たない均一な照度分布が得られる。
ホログラム記録媒体の各点から拡散されたレーザ光によって重ねて照明される被照明領域20には、ホログラム記録媒体の干渉縞に応じた再生像が形成される。場所によらず均一な光量の光を拡散させる散乱板の再生像を生成するための干渉縞をホログラム記録媒体に記録した場合には、被照明領域20の全体を均一に照明するような再生像が得られる。本実施形態の光変調器3は、被照明領域20の面照明光を利用して変調画像を形成する。光変調器3が、場所によらず均一な光量の照明光を必要とする場合には、予めホログラム記録媒体に、場所によらず均一な光量で拡散する散乱板の像に対応する干渉縞を記録しておく必要がある。このように、被照明領域20内の照明態様は、光変調器3が生成する変調画像に依存する。
光変調器3は、例えば、通常の液晶表示装置に用いられる透過型の液晶パネルでもよい。この場合、被照明領域20の照明光は、バックライトとして用いられる。
あるいは、光変調器3は、スクリーン等に投射するための透過型の液晶マイクロディスプレイ例えば、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)でもよい。
図4は光変調器3で生成された変調画像を拡大して拡散スクリーン9に映し出す投射光学系10を備えた表示システム1の概略構成を示す図である。光変調器3がLCOSの場合、照明装置2によって面状に照明される液晶マイクロディスプレイが、画素毎にレーザ光を選択して透過させることにより、液晶マイクロディスプレイ上に変調画像が形成される。こうして得られた変調画像(映像光)は、投射光学系10によって、必要に応じて変倍されて拡散スクリーン9へ投射される。拡散スクリーン9に投射される変調画像のスペックルパターンは時間的に変化するため、スペックルは不可視化される。
また、光変調器3は、反射型のマイクロディスプレイであってもよい。この場合、光変調器3での反射光によって変調画像が形成され、光変調器3へ照明装置2からレーザ光が照射される面と、光変調器3で生成された変調画像の映像光(反射光)の出射面が同一の面となる。このような反射光を利用する場合、光変調器3としてDMD(Digital Micromirror Device)などのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子を用いることも可能である。光変調器3が透過型のディスプレイ装置の場合は、観察者は、図2とは反対側からディスプレイ装置の表示画面を視認することになる。
また、光変調器3の入射面は、照明装置2がレーザ光を照射する被照明領域20と同一の形状および大きさであることが好ましい。この場合、照明装置2からのレーザ光を、拡散スクリーン9への映像の表示に高い利用効率で利用することができるからである。
なお、本実施形態による光学素子5によって重ねて照明される被照明領域20を液晶パネルのバックライトとして用いる場合には、図5に示すように、被照明領域20を導光板22の一端面22aに位置合わせして、被照明領域20の照明光を導光板22の内部に入射させ、この端面に直交する端面22bから、均一な光を面発光させ、この面発光をバックライトとして利用して、液晶パネルを照明してもよい。
光変調器3で生成された変調画像は、直接または拡散スクリーン9を通して、観察者が観察することになるが、昼間のように、周囲が明るい状況下では、観察者は、観察具21を通して変調画像を視認できるようにしている。すなわち、観察具21を使用するかどうかは観察者の任意であるが、本実施形態では、光変調器3の周囲が明るい状況下では、観察具21を通して光変調器3または拡散スクリーン9を視認することを推奨している。
観察具21は、図2に示すようなサングラス23でもよいし、観察者の目の視線方向に目から離して配置される種々の観察具21でもよい。例えば、図6は、観察具21を、車両の運転席の前方に設置されるサンバイザ24に適用した例を示している。サンバイザ24は、支持具が回転可能となっており、必要に応じて、サンバイザ24を運転手の目の前に配置したり、上に跳ね上げて収納したりすることができる。
観察具21は、波長選択フィルタを内蔵している。この波長選択フィルタは、レーザ光源6から出射された3種類のレーザ光と同じ波長域の光をより透過させる光学特性を有する。すなわち、波長選択フィルタは、光源から出射された3種類のレーザ光の波長域の透過率が、それ以外の波長域の透過率よりも高いという光学特性を有する。この波長選択フィルタは、例えば誘電体多層膜を用いて作製されている。
図7は波長選択フィルタを有する観察具21のスペクトル図であり、横軸は波長、縦軸は透過率である。図7の透過率は、例えば、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」)を用いてJIS K0115に準拠して測定されたものである。図7に示すように、観察具21は、青色(例えば、450nm付近)、緑色(例えば、530nm付近)、および赤色(例えば、650nm付近)の波長域での透過率が急峻に高くなるようにしている。より詳細には、青、緑および赤の波長域での透過率は、それ以外の波長域の透過率よりも50%以上高い。透過率が高くなっている波長域は、透過率が最大となるピーク波長を中心とする約20nmの範囲である。透過率が最大となるピーク波長は、レーザ光源6から出射されるレーザ光の中心波長に等しくしている。
透過率が高い波長域以外でも、赤、緑または青に近い色の波長域が存在するが、図7では、赤、緑および青の各波長域内の限られた波長域(中心波長の前後の約20nm)のみの透過性を急峻に高くしている。これにより、周囲光(環境光)の中に、赤、緑または青に近い波長域の光が含まれていたとしても、これらの光を減衰させることができ、レーザ光で生成した変調画像のみを際立たせて、観察者に視認させることができる。
また、本実施形態による観察具21では、図7に示すように、赤、緑および青以外の波長域の光の透過率をゼロよりも大きい値に設定している。よって、赤、緑および青以外の波長域の光も、暗くはなるものの、観察者は視認可能である。これにより、観察者は、観察具21を通して、光変調器3や拡散スクリーン9の周囲の状況を視認可能となる。
このように、観察者が観察具21を介して変調画像を見ると、レーザ光により照明される変調画像はほとんど減衰されずに視認される一方で、周囲光は大きく減衰されて視認され、周囲が明るい状況下でも、変調画像をくっきりと視認可能となる。
観察具21は、図2に示すように、図7の光学特性を持つ波長選択フィルタ付きのサングラスでもよいし、観察者が手持ちする把持部を有する半透明板でもよいし、あるいは、図6のような波長選択フィルタ付きのサンバイザ24でもよい。
上述した実施形態では、カラー表示を行う表示システム1について説明したが、変調画像は単色で表示されてもよい。この場合、光源は単一の波長域のレーザ光を出射するため、波長選択フィルタは、光源から出射されるレーザ光の波長域の透過率を、それ以外の波長域の透過率よりも高くすればよい。
また、カラー表示を行う場合であっても、必ずしも、光源は、赤、緑および青の波長域のレーザ光を出射するとは限らない。例えば、黄や紫の波長域のレーザ光を光源が出射してもよい。この場合、波長選択フィルタは、黄および紫の波長域の光を透過させればよい。
観察者が観察具21を通して視認する変調画像は、光変調器3に直接映し出されるものでもよいし、光変調器3から投射光学系10を経て拡散スクリーン9に映し出される変調画像でもよい。また、光変調器3は、テレビジョン装置やモニタ装置などの種々のディスプレイ装置に適用可能である。具体的な一例として、例えば、車載ナビゲーション用のディスプレイ装置にも適用可能である。車載ナビゲーション用のディスプレイ装置は、フロントガラスを通して太陽光が入射される場合には、フロントガラスの近くに置かれたディスプレイ装置や、フロントガラスよりも前方に形成される虚像を眺めるヘッドアップディスプレイ装置の表示画面を極端に見づらくなる。このようなときに、上述した観察具21を通して表示画面を眺めると、急峻な波長域からなるレーザ光により生成された変調画像のみをくっきりと視認することができる。これにより、フロントガラスを通して直射日光が入射される状況下でも、ディスプレイ装置の表示画面の情報を視認しやすくなる。
なお、上述した説明では、光学素子3としてホログラム記録媒体16を用いる例を説明したが、光学素子3の具体的な形態は、ホログラム記録媒体16に限定されるものではない。例えば、各要素拡散領域15をそれぞれ一つのレンズアレイとするレンズアレイ群を用いて光学素子3を構成してもよい。この場合、要素拡散領域15ごとにレンズアレイが設けられ、各レンズアレイが被照明領域20内の部分領域19を照明するように各レンズアレイの形状が設計される。そして、各部分領域19の位置は、少なくとも一部が相違している。これにより、ホログラム記録媒体16を用いて光学素子3を構成した場合と同様に、被照明領域20内の一部分だけの照明色を変えたり、一部分だけを照明しないようにすることができる。
本実施形態による表示システムは、室内に設置されることが多く、室内照明灯に照らされている中で、観察者は変調画像を視認する場合がある。また、室内照明灯と外光とに照らされた中で、観察者は変調画像を視認する場合もありうる。本明細書では、室内照明灯と外光を含めて、環境光源と呼ぶ。
環境光源は、レーザ光源6の波長域よりも広い波長域の光と、レーザ光源の波長域とは異なる波長域を含む光と、の少なくとも一方を発光する。より具体的には、環境光源に含まれる室内照明灯は、白熱灯や蛍光灯、LED光源などからなり、室内照明灯の光をスペクトル解析すると、ピーク波長が連続的または断続的に続く広い波長域を有する。これに対して、レーザ光源6は、図7に示したように、特定の狭い波長域のみにピーク波長を有する。よって、観察具21が、環境光源から発光される光よりも、変調画像を照明するレーザ光をより透過させる光学特性を備えていれば、環境光源に照らされながらでも、変調画像をくっきりと視認できることになる。よって、観察具21が備える波長選択フィルタは、レーザ光の透過率が環境光源から発光される光の透過率よりも高い光学特性を持っていればよい。
このように、本実施形態では、レーザ光により照明された変調画像を観察者が見る際に、変調画像の周囲が明るい場合には、観察者は、レーザ光の波長域の透過率をそれ以外の波長域の透過率よりも高くした観察具21を通して変調画像を見ることができるようにしたため、変調画像を照明するレーザ光の波長域以外の波長域の光を大きく減衰させることができ、周囲が明るくても、変調画像をくっきりと視認可能となる。これにより、必要に応じて観察具21を用いるだけで変調画像の視認性を向上でき、レーザ光の光強度を高める必要もないことから、表示システム1の消費電力を低減でき、省エネルギー化を実現できる。すなわち、観察者が観察具21を使用すれば、変調画像の明るさを落とさずに、周囲の明るさだけを低減できるため、観察具21を使用することを前提として、予め光源のレーザ光のパワーを落としておくことも可能となり、より一層の低消費電力化が図れる。
特に、室内照明灯や外光などからなる環境光源からの光を受けながら、観察者が変調画像を見る場合、観察具は、環境光源からの光の透過率を全体的に落としつつ、変調画像を構成する波長域のみを積極的に透過させるため、観察者は、観察具を通して変調画像をくっきりと視認することができる。
観察具21は、光源のレーザ光の波長域の透過率をそれ以外の波長域の透過率よりも高くする波長選択フィルタを内蔵すればよいため、観察具21の構造が複雑になることもなく、観察具21の部材コストが極端に高くなることもない。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1 表示システム、2 照明装置、3 光変調器、4 照射装置、5 光学素子、6 レーザ光源、7 光走査部材、8 光源部、9 拡散スクリーン、10 投射光学系、11,12 回転軸、13 反射デバイス、20 被照明領域、21 観察具、22 導光板、23 サングラス、24 サンバイザ

Claims (15)

  1. コヒーレント光を発光するコヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光を拡散させる光学素子と、
    前記コヒーレント光を前記光学素子上で走査させる光走査部材と、
    前記光学素子にて拡散されたコヒーレント光による照明光を受けて、変調画像を生成する光変調器と、
    前記変調画像を視認する観察具と、を備え、
    前記観察具は、前記照明光に含まれる前記コヒーレント光の波長域の透過率がそれ以外の波長域の透過率よりも高い波長選択フィルタを有する表示システム。
  2. コヒーレント光を発光するコヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光を拡散させる光学素子と、
    前記コヒーレント光を前記光学素子上で走査させる光走査部材と、
    前記光学素子にて拡散されたコヒーレント光による照明光を受けて、変調画像を生成する光変調器と、
    前記コヒーレント光源の波長域よりも広い波長域の光と、前記コヒーレント光源の波長域とは異なる波長域を含む光と、の少なくとも一方を発光する環境光源と、
    前記変調画像を視認する観察具と、を備え、
    前記観察具は、前記環境光源から発光される光よりも、前記変調画像を照明するコヒーレント光をより透過させる表示システム。
  3. 前記環境光源は、室内照明具である請求項2に記載の表示システム。
  4. 前記コヒーレント光源は、少なくとも1種類以上の波長域のコヒーレント光を発光し、
    前記環境光源は、前記コヒーレント光源よりも多種類の波長域の光を発光し、
    前記観察具は、前記コヒーレント光源から発光されるコヒーレント光の透過率が前記環境光源から発光される光の透過率よりも高い波長選択フィルタを有する請求項2または3に記載の表示システム。
  5. 前記波長選択フィルタは、前記コヒーレント光源にて発光されるコヒーレント光の中心波長を中心とする所定の波長域の透過率を、それ以外の波長域の透過率よりも高くしている請求項1または4に記載の表示システム。
  6. 前記波長選択フィルタは、前記照明光に含まれる前記コヒーレント光の波長域の透過率を、それ以外の波長域の透過率よりも50%以上高くしている請求項5に記載の表示システム。
  7. 前記コヒーレント光源は、それぞれ異なる波長域のコヒーレント光を発光する複数のコヒーレント光源部を有し、
    前記波長選択フィルタは、前記複数のコヒーレント光源部から発光された各コヒーレント光の複数の波長域の透過率をそれ以外の波長域の透過率よりも高くしている請求項1、4乃至6のいずれかに記載の表示システム。
  8. 前記観察具は、前記波長選択フィルタを有するサングラスである請求項1、4乃至7のいずれかに記載の表示システム。
  9. 前記観察具は、観察者の目の視線方向に設置可能な支持部を有し、前記波長選択フィルタを有するサンバイザである請求項1、4乃至7のいずれかに記載の表示システム。
  10. 前記光変調器は、ディスプレイ装置である請求項1乃至9のいずれかに記載の表示システム。
  11. 前記光変調器で生成された変調画像の倍率を変えて拡散部材に投射する投射光学系を備え、
    前記観察具は、前記拡散部材に投影された変調画像を視認するために用いられる請求項1乃至9のいずれかに記載の表示システム。
  12. 前記光学素子は、ホログラム記録媒体を有する請求項1乃至11のいずれかに記載の表示システム。
  13. 前記光学素子は、レンズアレイを有する請求項1乃至11のいずれかに記載の表示システム。
  14. コヒーレント光を発光するコヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光を拡散させる光学素子と、
    前記コヒーレント光を前記光学素子上で走査させる光走査部材と、
    前記光学素子にて拡散されたコヒーレント光による照明光を受けて、変調画像を形成する光変調器と、を備えた表示装置における前記変調画像を視認するための観察具であって、
    前記照明光に含まれる前記コヒーレント光の波長域の透過率がそれ以外の波長域の透過率よりも高い波長選択フィルタを備える観察具。
  15. 前記波長選択フィルタは、前記コヒーレント光源の波長域よりも広い波長域の光と、前記コヒーレント光源の波長域とは異なる波長域を含む光と、の少なくとも一方を発光する環境光源から発光される光よりも、前記変調画像を照明するコヒーレント光をより透過させる請求項14に記載の観察具。
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