JP2016109796A - 光変調器 - Google Patents
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Abstract
【課題】MQW構造を備える光変調器において、高出力および出射光の劣化防止をともに実現できるようにする。【解決手段】多重量子井戸コア部113は、複数の井戸層131と、障壁層132a,132b,132c,132d,132e,132f,132gとが、交互に積層した多重量子井戸となっている。実施の形態1では、多重量子井戸コア部113のn型クラッド層111に最も近い障壁層132aは、多重量子井戸コア部113のp型クラッド層115に最も近い障壁層132gより厚く形成されている。このように構成することで、障壁層132aの領域は、障壁層132gの領域よりチャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性とされ、障壁層132aの領域は、障壁層132gの領域より大きな消光比が得られる特性とされた状態となる。【選択図】 図1B
Description
本発明は、多重量子井戸構造を備える光変調器に関する。
多重量子井戸(Multi Quantum Well;MQW)は、これまで用いられてきたバルク半導体に比べて著しい光素子の特性改良が可能となっている。MQW構造に電界を印加して吸収係数や屈折率を変化させる電界吸収効果および電界屈折率効果は、バルク半導体に比べ非常に顕著であり、この特性により、高速・低電圧駆動な光変調器が実現されている。
以下、MQW構造を用いた光変調器について図6Aおよび図6Bを用いて説明する。図6Aは、MQW構造を用いた光変調器の構成を示す斜視図である。また、図6Bは、図6Aに示す光変調器の一部構成を示す断面図である。
この光変調器は、n型のInPからなる基板301と、基板301の上に積層された半導体積層体302と、基板301の裏面に形成されたn型電極303aと、半導体積層体302の上に形成されたp型電極303bとを備える。n型電極303aおよびp型電極303bにより、半導体積層体302の積層方向に電圧が印加可能とされている。
半導体積層体302は、基板301の上面に順次積層された、n−InPからなるクラッド層311、i−InAlGaAsからなる光閉じ込め層312、多重量子井戸コア部313、i−InAlGaAsからなる光閉じ込め層314、p−InPからなるクラッド層315、p+−InGaAsからなるキャップ層316から構成されている。光閉じ込め層312および光閉じ込め層314により、分離閉じ込めヘテロ(Separate Confined Heterostructure;SCH)構造が構成されている。また、半導体積層体302の存在しないn−InP基板301の上面には、FeがドープされたInPからなる埋め込み層304が形成され、半導体積層体302を埋め込んでいる。
多重量子井戸コア部313は、図6Bに拡大図示するように、ノンドープであるi−InAlGaAsからなる井戸層331(層厚10nm)と、InAlGaAsからなる障壁層332(層厚5nm)とが、交互に積層した多重量子井戸(MQW)となっている。各々の井戸層331は、結晶成長の制御精度範囲内において、すべて同一の層厚および結晶組成を有している。同様に、各々の障壁層332も、結晶成長の制御精度内において、すべて同一の層厚および結晶組成を有している。
また、p型電極303bの上面には、ボンディングワイヤ305が接続され、ボンディングワイヤ305を介して駆動電源(図示せず)から、半導体積層体302の積層方向への電圧印加を可能としている。光変調器は、基板301の上面に積層した半導体積層体302のうち、多重量子井戸コア部313の側面から光信号を入射し、多重量子井戸コア部313内を伝送途中の光信号に電圧を印加することで、光の強度を変更して出力する。
以下、この光変調器の動作原理を、図7を用いて説明する。光信号の波長(動作波長)を1.55μmとした場合、多重量子井戸コア部313を構成する井戸層331の井戸幅や結晶組成を調節し、吸収ピークを1.48μm程度となるように設計しておく。
まず、この光変調器に電圧を印加していない場合、動作波長は、図7の(a)の実線に示すように、吸収端波長よりも長波長側に離れており、入射光は井戸層331に吸収されずに出射され、光はON状態となる。一方、光変調器に逆バイアス電圧を印加した場合の吸収スペクトルは、点線Bに示すように、長波長側に移動するため、光信号は井戸層331に吸収され、光変調器はOFF状態となる。
また、図8は、動作波長1.55μmでの光信号の吸収量、すなわち消光量を印加電圧の関数として示した特性図である。ここで、光変調器から出射する光パルスが高出力かつ高いON/OFF比を持つためには、印加電圧0Vでの消光量が0に近く、かつ、消光比が大きい必要がある。消光比は、ある一定の印加電圧V間の消光量の差を示し、例えば、印加電圧0Vと−2V間の消光量の差を指す。
さらに、図9は、動作波長1.55μmでの光信号のチャープパラメータを印加電圧の関数として示した特性図である。チャープパラメータは、光変調器から出射する光信号のパルス広がりの程度を定量化したものであり、正の値を持つ電圧領域Xが広いほど、出射光の光ファイバ伝送後の劣化が大きくなる。よって、出射光の伝送後の劣化を防止するためには、チャープパラメータが正の値を持つ電圧領域Xを狭くするため、チャープパラメータが0の値を持つ印加電圧V0を低電圧側に移動させる必要がある。
つまり、光変調器の高出力を保持しつつ、出射光の劣化を防止するためには、印加電圧0Vでの消光量を小さくし、かつ、消光比を大きくするとともに、チャープパラメータが0の値を持つ印加電圧V0の絶対値を小さくする必要がある。
W. Kobayashi, K. Tsuzuki, Y. Shibata, T. Yamanaka, Y. Kondo, and F. Kano, "10-Gb/s、80-km SMF Transmission From 0 to 80℃ by using L-band InGaAlAs-MQW Electroabsorption Modulated Laser with Twin Waveguide Structure", Journal of Lightwave Technology, vol.27, pp.5084-5089, 2009.
しかしながら、図10に示すように、チャープパラメータが0となる時の印加電圧V0と印加電圧0Vでの消光量αlossとの関係には、強い負の相関がある。つまり、消光量αlossを小さくすると、印加電圧V0が大きくなり、出射光の伝送特性を大きく劣化させてしまう。一方、印加電圧V0を小さくすると、消光量αlossが大きくなり、光変調器から出射する光出力を劣化させてしまう。また、印加電圧V0を小さくすることで、同時に消光比も小さくなるため、ON/OFF比の劣化も引き起こしてしまう。なお、図10中の複数の点は、それぞれ井戸層331、障壁層332の層厚、結晶組成、およびディチューニング量(信号光の波長と吸収スペクトルの吸収ピーク波長との差)を変えたものに相当する。
以上のように、上述したMQW構造を備える光変調器において、光信号を高出力するとともに、出射光の伝送特性を良好に保持することは困難であるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、MQW構造を備える光変調器において、高出力および出射光の劣化防止をともに実現できるようにすることを目的とする。
本発明に係る光変調器は、n型の化合物半導体から構成されたn型クラッド層と、p型の化合物半導体から構成されたp型クラッド層と、n型クラッド層とp型クラッド層とに挟まれて配置され、化合物半導体から構成された障壁層および化合物半導体から構成された量子井戸層から構成された多重量子井戸構造のコア部とを備え、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層よりチャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性とされ、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層より大きな消光比が得られる特性とされている。
上記光変調器において、特性は、p型クラッド層の側からn型クラッド層の側にかけて徐々に変化しているようにすればよい。
上記光変調器において、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より厚く形成されていればよい。この場合、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より1nm以上厚く形成されているとよい。
上記光変調器において、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より短波長のバンドギャップ波長とされていればよい。この場合、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より10nm以上短波長のバンドギャップ波長とされているとよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、MQW構造を備える光変調器において、高出力および出射光の劣化防止がともに実現できるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について、図1A、図1Bを用いて説明する。図1Aは、本発明の実施の形態1における光変調器の構成を示す斜視図である。また、図1Bは、図1Aに示す光変調器の一部構成を示す断面図である。
はじめに、本発明の実施の形態1について、図1A、図1Bを用いて説明する。図1Aは、本発明の実施の形態1における光変調器の構成を示す斜視図である。また、図1Bは、図1Aに示す光変調器の一部構成を示す断面図である。
この光変調器は、基板101の上に積層された半導体積層体102と、基板101の裏面に形成されたn型電極103aと、半導体積層体102の上に形成されたp型電極103bとを備える。n型電極103aおよびp型電極103bにより、半導体積層体102の積層方向に電圧が印加可能とされている。
半導体積層体102は、n型クラッド層111,光閉じ込め層112,多重量子井戸コア部113,光閉じ込め層114,p型クラッド層115,キャップ層116が、これらの順に積層されて構成されている。光閉じ込め層112および光閉じ込め層114により、分離閉じ込めヘテロ(SCH)構造が構成されている。また、半導体積層体102の存在しない基板101の上面には、埋め込み層104が形成され、半導体積層体102を埋め込んでいる。
また、p型電極103bの上面には、ボンディングワイヤ105が接続され、ボンディングワイヤ105を介して駆動電源(図示せず)から、半導体積層体102の積層方向への電圧印加を可能としている。光変調器は、基板101の上面に積層した半導体積層体102のうち、多重量子井戸コア部113の側面から光信号を入射し、多重量子井戸コア部113内を伝送途中の光信号に電圧を印加することで、光の強度を変更して出力する。
多重量子井戸コア部113は、図1Bに拡大図示するように、複数の井戸層131と、障壁層132a,132b,132c,132d,132e,132f,132gとが、交互に積層した多重量子井戸(MQW)となっている。実施の形態1では、多重量子井戸コア部113のn型クラッド層111に最も近い障壁層132aは、多重量子井戸コア部113のp型クラッド層115に最も近い障壁層132gより厚く形成されている。このように構成することで、障壁層132aの領域は、障壁層132gの領域よりチャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性とされ、障壁層132aの領域は、障壁層132gの領域より大きな消光比が得られる特性とされた状態となる。
基板101は、n型のInPから構成され、n型クラッド層111は、n−InPから構成され、光閉じ込め層112は、ノンドープのi−InAlAsから構成されている。また、光閉じ込め層114は、ノンドープのi−InAlAsから構成され、p型クラッド層115は、p−InPから構成され、キャップ層116は、p+−InGaAsから構成されている。また、埋め込み層104は、Feがドープされて高抵抗とされたInPから構成されている。
また、井戸層131は、ノンドープのi−InAlGaAsから構成され、障壁層132a,132b,132c,132d,132e,132f,132gは、InAlGaAsから構成されている。例えば、障壁層132aは層厚6nmとされ、障壁層132bは層厚5.5nmとされ、障壁層132cは層厚5nmとされ、障壁層132dは層厚4.5nmとされ、障壁層132eは層厚4nmとされ、障壁層132fは層厚3.5nmとされ、障壁層132gは、層厚3nmとされている。このように、実施の形態1では、障壁層132gから障壁層132aにかけて、徐々に厚くし、チャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性、および大きな消光比が得られる特性を、徐々に変化させている。また、井戸層131は、いずれも層厚10nmとされている。なお、各障壁層は、いずれも同一の結晶組成としている。
ここで、製造方法について簡単に説明する。まず、n型のInPからなる基板101を用意し、この上に、n型クラッド層111となるn−InP層、光閉じ込め層112となるi−InAlAs層,井戸層となるi−InAlGaAs層,障壁層となるInAlGaAs層,光閉じ込め層114となるi−InAlAs層、p型クラッド層115となるp−InP層、およびキャップ層116となるp+−InGaAs層を、順次に結晶成長する。井戸層となるi−InAlGaAs層および障壁層となるInAlGaAs層は、交互に所定回数堆積する。また、障壁層となる各InAlGaAs層は、基板101より離れるほど、薄くなる状態とする。例えば、よく知られた有機金属気相成長法により、上記各層を結晶成長させればよい。
次に、p+−InGaAs層の上に、プラズマCVD法などによりシリコン酸化物などからなる絶縁膜を形成し、この絶縁膜を公知のフォトリソグラフィにより形成したレジストパターンをマスクとしてエッチングし、上記絶縁膜からなる選択エッチングマスクを形成する。なお、このエッチングは、C2F6などのフロロカーボン系ガスを用いたリアクティブイオンエッチングなどで行えばよい。
次に、レジストパターンを除去した後、形成した選択エッチングマスクを用い、基板101の上に結晶成長した各層を選択的に除去し、n型クラッド層111,光閉じ込め層112,多重量子井戸コア部113,光閉じ込め層114,p型クラッド層115,キャップ層116からなる所定の幅のリッジ構造とした半導体積層体102を形成する。次いで、選択エッチングマスクを、今度は選択成長マスクとして用い、リッジ構造周囲の基板101の上に、Feがドープされて高抵抗とされたInPを再成長させ、埋め込み層104を形成する。この後、蒸着法またはスパッタ法などによる金属の堆積により、基板101の裏面にn型電極103aを形成し、また、よく知られたリフトオフ法などにより、p型電極103bを形成すればよい。
上述した実施の形態1における光変調器によれば、n型クラッド層111の側とp型クラッド層115の側とで、多重量子井戸コア部113を構成する障壁層の層厚を変えたので、消光比をより大きくするとともに、チャープパラメータが正の値を持つ電圧領域をより小さくすることができるようになる。
以下、より詳細に説明する。実施の形態1における光変調器を、従来の光変調器と同様に動作させた結果を図2から図4に示す。図2は、実施の形態1における光変調器を動作させた時の消光量の電圧依存性を表す特性図である。図3は、実施の形態1における光変調器を動作させた時のチャープパラメータの電圧依存性を表す特性図である。図4は、実施の形態1における変調器を動作させた時の印加電圧0Vでの消光量およびチャープパラメータの値が0となる時の印加電圧の関係を表す特性図である。
図2,図3,図4のいずれにおいても、動作波長1.55μmに対する吸収ピークとして、井戸幅10nmの井戸層131の光吸収ピークを1.48μmに設定して動作を行っている。また、図2および図3における実線(a)と図4における黒四角(a)は、実施の形態1における光変調器の結果を示している。一方、図2および図3における破線(b)と図4における白丸(b)は、比較のための従来の光変調器の結果を示している。
図2に示すように、実線(a)が、破線(b)に比べて印加電圧0Vでの消光が0に近く、印加電圧−0.5V付近の印加電圧以上で大きな消光が起こっていることが分かる。また、例えば、印加電圧0Vと−1.5V間の消光の差である消光比も、実線(a)の方が破線(b)よりも大きくなっていることが分かる。
図3に示すように、−0.5V以下の印加電圧におけるチャープパラメータは、実線(a)が破線(b)に比べて若干大きな値となっていることが分かる。これは、印加電圧0V付近で消光が小さくなっていることによると考えられる。ところが、印加電圧が増加するに伴って、チャープパラメータは、正から負の値へ減少していることが分かる。この結果、実線(a)において、チャープパラメータが0となる時の印加電圧V0は、破線(b)の印加電圧V0よりも低電圧側に移動している。
従って、実線(a)において、チャープパラメータが正の値をとる電圧領域XAが、破線(b)における電圧領域XBよりも大幅に狭くなっていることが分かる。これは障壁層の層厚がp型クラッド層からn型クラッド層へ向かうにつれて層厚が厚くなっているため、量子閉じ込め効果が影響を受け、印加電界(電圧)がある値を超えると急速に消光の変化が加速し、結果として従来よりも消光がより大きく変化するからである。また、この構成による消光変化は、より大きな負の屈折率変化を生み、チャープパラメータの減少を急峻に起こすという効果も得られる。
図4に示すように、実施の形態1の光変調器における消光量が、従来構造における消光量の値の半分程度に抑制されていることが分かる。また、実施の形態1において、上述の通り、チャープパラメータが0となる時の印加電圧V0も、従来構造よりも低減させていることが分かる。
さらに、実施の形態1においては、障壁層の層厚を、p型クラッド層115からn型クラッド層111に向けて順次(徐々に)厚くしたことによって、障壁層が厚くなるにつれて、印加電圧(印加電界)によって障壁層によって挟まれた井戸層131の吸収ピーク波長が、p型クラッド層115に最も近い障壁層132gで設定した1.48μmより相対的に短波長側に移動するようになる。このため、印加電圧0Vでは、厚い障壁層ほど動作波長での吸収量への寄与が小さくなり、印加電圧0Vでの消光量を小さくする。
以上の結果より、高出力およびON/OFF比を実現した光変調器を提供することが可能となる。加えて、チャープパラメータが0の時の印加電圧V0を低電圧側に移動させることが可能となるため、出射光の劣化を防止することが可能となる。さらに、チャープパラメータが0の時の印加電圧V0と、印加電圧が0Vでの消光量との制限をなくすため、高出力および出射光の劣化防止をともに実現させることが可能となる。
ここで、実施の形態1における障壁層の層厚を、p型クラッド層115に最も近い障壁層132gから、n型クラッド層111に最も近い障壁層132aに向かって、順次厚くするようにしたが、これに限るものではない。少なくともn型クラッド層111に最も近い障壁層132aの層厚がp型クラッド層115に最も近い障壁層132gよりも厚くされていればよい。特に、障壁層132aの層厚の層厚が、障壁層132gよりも、1nm以上厚くされているとよい。このようにすることで、多重量子井戸構造作製時の層厚制御精度により、障壁層の各々の層厚が変動してしまった場合でも、n型クラッド層に最も近い障壁層の層厚を、p型クラッド層に最も近い障壁層よりも厚くするために有効である。
例えば、n型クラッド層111に最も近い障壁層132aのみを、他の障壁層132b,132c,132d,132e,132f,132gよりも厚くしてもよい。例えば、障壁層132aは層厚6nmとし、障壁層132b,障壁層132c,障壁層132d,障壁層132e,障壁層132f,障壁層132gは、層厚4nmとしてもよい。
また、p型クラッド層115に最も近い障壁層132gから、n型クラッド層111に最も近い障壁層132aに向かって順次厚くするのではなく、途中により厚い障壁層を配置してもよい。例えば、障壁層132aは層厚5.5nmとし、障壁層132bは層厚4nmとし、障壁層132cは層厚5nmとし、障壁層132dは層厚5nmとし、障壁層132eは層厚5nmとし、障壁層132fは層厚5nmとし、障壁層132gは、層厚4nmとしてもよい。
さらに、n型クラッド層111に最も近い障壁層132aが、p型クラッド層115に最も近い障壁層132gよりも厚くされているのであれば、これらの間の障壁層132b,132c,132d,132e,132fの層厚が、p型クラッド層115に最も近い障壁層132gの層厚よりも厚くされていても構わない。例えば、障壁層132aは層厚5nmとし、障壁層132bは層厚6nmとし、障壁層132cは層厚5nmとし、障壁層132dは層厚5nmとし、障壁層132eは層厚4nmとし、障壁層132fは層厚3.5nmとし、障壁層132gは、層厚3nmとしてもよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、図5A、図5Bを用いて説明する。図5Aは、本発明の実施の形態2における光変調器の構成を示す斜視図である。また、図5Bは、図5Aに示す光変調器の一部構成を示す断面図である。
次に、本発明の実施の形態2について、図5A、図5Bを用いて説明する。図5Aは、本発明の実施の形態2における光変調器の構成を示す斜視図である。また、図5Bは、図5Aに示す光変調器の一部構成を示す断面図である。
この光変調器は、基板201の上に積層された半導体積層体202と、基板201の裏面に形成されたn型電極203aと、半導体積層体202の上に形成されたp型電極203bとを備える。n型電極203aおよびp型電極203bにより、半導体積層体202の積層方向に電圧が印加可能とされている。
半導体積層体202は、n型クラッド層211,光閉じ込め層212,多重量子井戸コア部213,光閉じ込め層214,p型クラッド層215,キャップ層216が、これらの順に積層されて構成されている。光閉じ込め層212および光閉じ込め層214により、分離閉じ込めヘテロ構造が構成されている。また、半導体積層体202の存在しない基板201の上面には、埋め込み層204が形成され、半導体積層体202を埋め込んでいる。
また、p型電極203bの上面には、ボンディングワイヤ205が接続され、ボンディングワイヤ205を介して駆動電源(図示せず)から、半導体積層体202の積層方向への電圧印加を可能としている。光変調器は、基板201の上面に積層した半導体積層体202のうち、多重量子井戸コア部213の側面から光信号を入射し、多重量子井戸コア部213内を伝送途中の光信号に電圧を印加することで、光の強度を変更して出力する。
多重量子井戸コア部213は、図5Bに拡大図示するように、複数の井戸層231と、障壁層232a,232b,232c,232d,232e,232fとが、交互に積層した多重量子井戸となっている。実施の形態2では、多重量子井戸コア部213のn型クラッド層211に最も近い障壁層232aは、多重量子井戸コア部213のp型クラッド層215に最も近い障壁層232fより短波長のバンドギャップ波長とされている。このように構成することで、障壁層232aの領域は、障壁層232fの領域よりチャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性とされ、障壁層232aの領域は、障壁層232fの領域より大きな消光比が得られる特性とされた状態となる。
基板201は、n型のInPから構成され、n型クラッド層211は、n−InPから構成され、光閉じ込め層212は、ノンドープのi−InAlAsから構成されている。また、光閉じ込め層214は、ノンドープのi−InAlAsから構成され、p型クラッド層215は、p−InPから構成され、キャップ層216は、p+−InGaAsから構成されている。また、埋め込み層204は、Feがドープされて高抵抗とされたInPから構成されている。
また、井戸層231は、ノンドープのi−InAlGaAsから構成され、障壁層232a,232b,232c,232d,232e,232fは、InAlGaAsから構成されている。なお、井戸層231は、層厚10nmとされ、障壁層232a,232b,232c,232d,232e,232fは、層厚5nmとされている。
例えば、障壁層232aはバンドギャップ波長1000nmとされ、障壁層232bはバンドギャップ波長1050nmとされ、障壁層232cはバンドギャップ波長1100nmとされ、障壁層232dはバンドギャップ波長1150nmとされ、障壁層232eはバンドギャップ波長1200nmとされ、障壁層232fはバンドギャップ波長1250nmとされている。AlおよびGaの組成比を変えることで、InAlGaAsからなる各障壁層のバンドギャップ波長を変えることができる。また、よく知られているように、ほぼ「バンドギャップ波長λ=1.2÷バンドギャップエネルギーEg」の関係が成立する。このように、実施の形態2では、障壁層232gから障壁層232aにかけて、徐々にバンドギャップ波長を短波長とし、チャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性、および大きな消光比が得られる特性を、徐々に変化させている。
なお、製造方法は、前述した実施の形態1とほぼ同様であり、実施の形態2では、障壁層となる各InAlGaAs層は、AlおよびGaの組成比を変えることで、基板201より離れるほど、バンドギャップ波長が長波長となる状態に堆積すればよい。
上述した実施の形態2における光変調器によれば、n型クラッド層211の側とp型クラッド層215の側とで、多重量子井戸コア部213を構成する障壁層のバンドギャップ波長を変えたので、消光比をより大きくするとともに、チャープパラメータが正の値を持つ電圧領域をより小さくすることができるようになる。
上述した実施の形態2の光変調器においても、前述した実施の形態1と同様に、高出力およびON/OFF比を実現した光変調器を提供することが可能となる。加えて、チャープパラメータが0の時の印加電圧V0を低電圧側に移動させることが可能となるため、出射光の劣化を防止することが可能となる。さらに、チャープパラメータが0の時の印加電圧V0と、印加電圧が0Vでの消光量との制限をなくすため、高出力および出射光の劣化防止をともに実現させることが可能となる。
ここで、実施の形態2における障壁層のバンドギャップ波長を、p型クラッド層215に最も近い障壁層232fから、n型クラッド層211に最も近い障壁層232aに向かって、順次(徐々に)短波長となるようにしたが、これに限るものではない。少なくともn型クラッド層211に最も近い障壁層232aのバンドギャップ波長が、p型クラッド層215に最も近い障壁層232fよりも短波長とされていればよい。特に、障壁層232aのバンドギャップ波長が、障壁層232fよりも10nm以上短波長のバンドギャップ波長とされていればよい。このようにすることで、多重量子井戸構造作製時の組成制御精度により、障壁層の各々のバンドギャップ波長が変動してしまった場合でも、n型クラッド層に最も近い障壁層のバンドギャップ波長を、p型クラッド層に最も近い障壁層よりも短波長とするために有効である。
例えば、n型クラッド層211に最も近い障壁層232aのみを、他の障壁層232b,232c,232d,232e,232fよりも短波長のバンドギャップ波長としてもよい。例えば、障壁層232aはバンドギャップ波長1150nmとし、障壁層232b,障壁層232c,障壁層232d,障壁層232e,障壁層232f,障壁層232fは、バンドギャップ波長1250nmとしてもよい。
また、p型クラッド層215に最も近い障壁層232fから、n型クラッド層211に最も近い障壁層232aに向かって順次短波長になる状態とするのではなく、途中により長波長のバンドギャップ波長とされた障壁層を配置してもよい。例えば、障壁層232aはバンドギャップ波長1000nmとし、障壁層232bはバンドギャップ波長1150nmとし、障壁層232cはバンドギャップ波長1200nmとし、障壁層232dはバンドギャップ波長1200nmとし、障壁層232eはバンドギャップ波長1150nmとし、障壁層232fはバンドギャップ波長1250nmとしてもよい。
さらに、n型クラッド層211に最も近い障壁層232aが、p型クラッド層215に最も近い障壁層232gよりも短波長のバンドギャップ波長とされているのであれば、これらの間の障壁層232b,232c,232d,232e,232fのバンドギャップ波長が、p型クラッド層215に最も近い障壁層232fのバンドギャップ波長よりも長波長とされていても構わない。例えば、障壁層232aはバンドギャップ波長1000nmとし、障壁層232bはバンドギャップ波長1325nmとし、障壁層232cはバンドギャップ波長1300nmとし、障壁層232dはバンドギャップ波長1250nmとし、障壁層232eはバンドギャップ波長1200nmとし、障壁層232fはバンドギャップ波長1150nmとしてもよい。
以上に説明したように、本発明では、多重量子井戸構造としているコア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層よりチャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性とし、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層より大きな消光比が得られる特性とした。例えば、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より厚く形成した。また、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より短波長のバンドギャップ波長とした。
上述した構成とすることで、本発明によれば、例えば、障壁層各々の層厚に応じて光吸収スペクトルの形状を変化させることができ、また、障壁層各々のバンドギャップ波長に応じて光吸収スペクトルを変化させることができるため、多重量子井戸コア部層全体の光吸収スペクトルを変化させることが可能となる。この結果、印加電圧0Vでの消光量を小さくし、かつ、消光比を10dB以上に大きくするとともに、チャープパラメータが0または負の値となる光信号を出力することができるようになるため、光信号の高出力および出射光の劣化防止をともに実現することが可能となる。
なお、上述では、各障壁層に印加される電圧は均一であるとしたが、これに限らず、例えば、p型クラッド層側の光閉じ込め層をより厚くし、p型クラッド層から多重量子井戸構造のコア部への不純物拡散を誘発することによって、コア部内の電界分布を不均一にすれば、本発明の効果をよりいっそう促進するために有効である。
また、基板の上に、n型クラッド層,コア部,p型クラッド層の順に積層したが、これに限るものではなく、p型クラッド層,コア部,n型クラッド層の順に積層してもよい。この場合、基板はp型とすればよい。基板側にp型クラッド層を配置した場合にいても、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より厚く形成し、また、コア部のn型クラッド層に最も近い障壁層は、コア部のp型クラッド層に最も近い障壁層より短波長のバンドギャップ波長とすればよい。
さらに、井戸層,光閉じ込め層をInAlGaAsから構成したが、これに限らず、例えば、InGaAsP、InGaAs、InGaAsSbなどのいずれの化合物半導体から構成しても構わない。さらに、基板として、n−InPからなる半導体基板を用いたが、これに限るものではない。
本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…基板、102…半導体積層体、103a…n型電極、103b…p型電極、104…埋め込み層、105…ボンディングワイヤ、111…n型クラッド層、112…光閉じ込め層、113…多重量子井戸コア部、114…光閉じ込め層、115…p型クラッド層、116…キャップ層、131…井戸層、132a,132b,132c,132d,132e,132f,132g…障壁層。
Claims (6)
- n型の化合物半導体から構成されたn型クラッド層と、
p型の化合物半導体から構成されたp型クラッド層と、
前記n型クラッド層と前記p型クラッド層とに挟まれて配置され、化合物半導体から構成された障壁層および化合物半導体から構成された量子井戸層から構成された多重量子井戸構造のコア部と
を備え、
前記コア部の前記n型クラッド層に最も近い障壁層は、前記コア部の前記p型クラッド層に最も近い障壁層よりチャープパラメータが正の値を持つ電圧領域が小さくなる特性とされ、
前記コア部の前記p型クラッド層に最も近い障壁層は、前記コア部の前記n型クラッド層に最も近い障壁層より大きな消光比が得られる特性とされている
ことを特徴とする光変調器。 - 請求項1記載の光変調器において、
前記特性は、前記p型クラッド層の側から前記n型クラッド層の側にかけて徐々に変化していることを特徴とする光変調器。 - 請求項1または2記載の光変調器において、
前記コア部の前記n型クラッド層に最も近い障壁層は、前記コア部の前記p型クラッド層に最も近い障壁層より厚く形成されている
ことを特徴とする光変調器。 - 請求項3記載の光変調器において、
前記コア部の前記n型クラッド層に最も近い障壁層は、前記コア部の前記p型クラッド層に最も近い障壁層より1nm以上厚く形成されている
ことを特徴とする光変調器。 - 請求項1または2記載の光変調器において、
前記コア部の前記n型クラッド層に最も近い障壁層は、前記コア部の前記p型クラッド層に最も近い障壁層より短波長のバンドギャップ波長とされている
ことを特徴とする光変調器。 - 請求項5記載の光変調器において、
前記コア部の前記n型クラッド層に最も近い障壁層は、前記コア部の前記p型クラッド層に最も近い障壁層より10nm以上短波長のバンドギャップ波長とされている
ことを特徴とする光変調器。
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