JP2016109228A - サーモエレメント及びサーモスタット - Google Patents

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Abstract

【課題】流動体の漏れの問題がなく、ピストンの摺動抵抗が小さく安定して作動し、磨耗と劣化が少なく、耐久性の良いサーモエレメントを得る。【解決手段】サーモエレメントは、底のあるケース(11)と、ケースに充填され温度変化により膨張収縮するパラフィンを含む熱膨張体(21)と、軸方向に移動する金属ピストン(40)と、金属ピストンを摺動自在に保持するガイド部材(50)と、熱膨張体と金属ピストンとの間に、変形自在で非圧縮性の流動体(22)を蓄える流体室とを備える。熱膨張体の膨張収縮により、流体室内の流動体を介して金属ピストンが軸方向に移動する。金属ピストンと流動体との間に、ピストンと同じ外径の樹脂ピストン(33)が配置される。樹脂ピストンには、下側から孔径が次第に小さくなるテーパの付いたテーパ孔(34)が形成される。流動体がテーパ孔に入り、樹脂ピストンの下部を押し広げ、テーパ孔の内面と樹脂ピストンの外面との間を密封する。【選択図】図2

Description

本発明は、温度変化によるパラフィンの膨張収縮を利用したサーモアクチュエータであるサーモエレメント及びこのようなサーモエレメントを使用したサーモスタットに関する。
自動車用エンジンを冷却する水冷式の冷却装置においては、エンジンに導入される冷却水の温度を制御できるように、ラジエータ側に循環させる冷却水量を調節する制御バルブとしてのサーモスタットが使用されている。サーモスタットは、冷却装置を構成する冷却水通路の一部に制御バルブを介装し、冷却水温度が低いときは、制御バルブを閉じてラジエータを経由せず、バイパス通路を経由して冷却水を循環させ、冷却水温度が高くなったときは、制御バルブを開いて、ラジエータを通して冷却水を循環させることで、冷却水の温度を所定の状態に制御するものである。
このようなサーモスタットには、冷却水のエンジン入口側に配置されて冷却水を制御する入口制御と、冷却水のエンジン出口側に配置されて冷却水を制御する出口制御とがある。
このようなサーモスタットには、温度センサとしてパラフィン等の熱膨張体を用いたサーモエレメントが用いられている。
サーモエレメントは、図1に示すダイアフラムタイプ、スリーブタイプ、その他がある。ダイアフラムタイプのサーモエレメントは、熱膨張体(パラフィン)をダイアフラムで密封し、熱膨張体が膨張すると、非圧縮性流動体を介してピストンを押し出す。
スリーブタイプのサーモエレメントは、熱膨張体をスリーブで密封し、熱膨張体が膨張すると、スリーブによりピストンを絞って押し出す。
図1に示すダイアフラムタイプのサーモエレメントは、底のある円筒形状のケース1の上端部に、円筒形のガイド部材5の下端部が固定されている。ケース1内に熱膨張体2が充填され、熱膨張体2の上端面は、弾性密封部材であるダイアフラム3により封止されている。ガイド部材5の基部の内面と、ダイアフラム3の上側との間には流体室が設けられ、流体室には流動体4が充填されている。流動体4は、非圧縮性で、流動性、潤滑性が良い非圧縮性流動体を用いる。ガイド部材5の上部のガイド筒部の内側のピストン摺動孔内には、流体室の上に、ラバーピストン7と、保護板8とを介して、ピストン6が摺動自在に設けられる。ピストン6の上部はピストン摺動孔の上に突き出している。
環境温度が上昇すると熱膨張体2が膨張し、ダイアフラム3が上方に膨出し、ダイアフラム3の上方の流体室に封入された流動体4を押し上げる。流動体4は変形し摺動孔内に進入して、ラバーピストン7、保護板8を介して、ピストン6を上方へ押し上げる。温度が下降すると熱膨張体2が収縮し、ピストン6に印加された負荷(図示せず)によりピストン6が押し下げられる。こうして、温度変化によりピストン6がガイド部材5から上下方向へ出入する。
流動体は、サーモエレメンとの組立て中に漏れないようにする必要がある。そのため、流動体として、シリコングリス、黒鉛、粘土を混合しペレット状にした混合体を用いている。
ダイアフラムタイプのサーモエレメントは構造が複雑で、流動体が漏洩しやすいという問題がある。そのため、シール部材として、ゴム製のラバーピストン7と、保護板8を使用している。ラバーピストン7は、ほぼ円柱形状であり、ピストン6と一体となって摺動しながらシールする。保護板8はフッ素樹脂製のものも用いられているが、シールする機能はない。
ラバーピストン7は、流動体4により下方から押上げられると、径方向に広がる力がかかり、ピストン摺動孔の内側に押し付けられる。この流動体4がピストン6を押上げる力により、流動体4とピストン6との間に介在するラバーピストン7が拡径する力がかかり、摺動抵抗が大きくなることは、ダイアフラムタイプのサーモエレメントの大きい問題である。
また、ラバーピストン7は、ゴム製なので、磨耗しやすく、また劣化して固くなり、シール機能が低下するので、耐久性の点で十分ではなかった。
また、ピストン6とガイド部材5とが共に金属製なので、ピストン6とガイド部材5とが磨耗するという問題がある。冷却水中に含まれる物質等がピストン6とガイド部材5との間の摺動部に堆積すると、ピストン6が動作しにくくなる場合もある。
スリーブタイプのサーモエレメントは、円筒形のケース内にゴム製のスリーブを収容し、ケースとスリーブとの間に形成された密封室内に熱膨張体を充填し、スリーブ内に流動体を介してピストンを摺動自在に挿入してある。熱膨張体の膨張、収縮に伴い、ピストンの周囲に配置されたスリーブによりピストンを絞り出すことにより、ピストンを軸方向に動作させるようになっている。
スリーブタイプのサーモエレメントは、構造は簡単であるが、熱膨張体によりスリーブを押し潰してピストンを押出すので、応答性がよくない。また、スリーブは膨張収縮を繰り返し作動するので、ゴム製のスリーブは磨耗し、また劣化して硬化し応答性が低下し、サーモエレメントの機能が低下するおそれがある。
これまで、サーモレメントの流動体の漏洩、部品の磨耗、劣化等の対策として、サーモエレメントの構造、流動体の材質等さまざまな点から検討がされてきた。
特許文献1は、ダイアフラムタイプのサーモエレメントの改良に関し、熱膨張体をケースに封入し、ケースに連結したガイド筒部に流動体を封入し、流動体の押圧によって移動部材(ピストン)が移動するサーモエレメントを開示する。
特許文献1は、流動体内にピストンを挿入し、ガイド筒部と移動部材の間をパッキングでシールしている。特許文献1は、このパッキングは、ガイド筒部当接部と、移動部材当接部との間に凹部を有し、パッキングが流動体の圧力を受けると、ガイド筒部当接部と移動部材当接部とが広がり、シール効果が増大するとしている。
しかし、特許文献1のパッキングは、ゴム製なので、流動体の圧力を受け、径方向に広がると、ピストンの摺動抵抗が大きくなる。また、ゴム製のパッキングは磨耗し、劣化するおそれがある。
特許文献2は、スリーブタイプのサーモエレメントの改良に関し、ケース内部に熱膨張体を封入し、ピストンは、ガイド部材により摺動自在に保持され、その内方端が熱膨張体内に入り、外方端がケースの一端から外方に突出しているサーモエレメントを開示する。
特許文献2では、ケース内でガイド部材の内方端部分には、シール部材が配置され、熱膨張体をケース内に封入している。必要により、フッ素樹脂等で成形されたバックアッププレートが設けられる。特許文献2では、バックアッププレートは、シール機能はなく、省略することも出来るとしている。
特許文献2のサーモエレメントは、熱膨張体の膨張を直接ピストンに伝える構造で、流動体を使用していない。シール部材は断面がほぼU字形状で、熱膨張体の圧力を受けると、シール部材のリップ部が内と外に広がり、ピストンの外周部とケースの内周部との間でシール力が高まるとしている。
しかし、特許文献2のシール部材は、ゴム製であり、リップ部が内と外に広がると、摺動抵抗が大きくなる。また、磨耗し、劣化するおそれがある。
特許文献1、2のサーモエレメントは、流動体とピストンとの間をゴム製のパッキング又はシール部材でシールしているので、熱膨張体が膨張すると、パッキング又はシール部材が径方向に広がり、ピストンの摺動抵抗が大きくなるという問題がある。
このように、ダイアフラムタイプでもスリーブタイプでも、熱膨張体の膨張収縮により、流動体を介してピストンを押し出すサーモエレメントにおいて、ピストンの摺動抵抗の増大、流動体の漏洩、シール部材の磨耗と劣化の問題は、まだ十分解決されていない。
そのため、ピストンの摺動抵抗が小さく、流動体の漏れの問題がなく、安定して作動するサーモエレメントが望まれていた。
また、シール部材の磨耗と劣化が少なく、機能が低下せず耐久性の良いサーモエレメントが求められていた。
更に、このようなサーモエレメントを使用したサーモスタットが求められていた。
特許第3225386号 特開2004−177249号公報
本発明の目的は、流動体の漏れの問題がなく、ピストンの摺動抵抗が小さいサーモエレメントを提供することである。
本発明の別の目的は、部品の磨耗と劣化が少なく、耐久性の良いサーモエレメントを提供することである。
本発明の更に別の目的は、このようなサーモエレメントを使用したサーモスタットを提供することである。
本発明では、サーモエレメントのピストンを通常の金属製の金属ピストンと、金属ピストンと流動体の間に配置され、金属ピストンと同じ外径のフッ素樹脂製の樹脂ピストンとに分ける。金属ピストンと樹脂ピストンとは、ピストン組立体を構成する。樹脂ピストンには、底面から次第に内径の小さくなるテーパの付いたテーパ孔が形成される。テーパ孔には流動体が充填され、テーパ孔を押し広げるように作用する。そのため、樹脂ピストンと、ピストン摺動孔の間の密封性と摺動性が非常によくなる。
本発明の第1の態様は、底のあるケースと、前記ケースに充填され温度変化により膨張収縮する熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、ピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能な樹脂ピストンと、前記ピストン摺動孔内に前記樹脂ピストンに隣接して配置され、軸方向に移動可能な金属ピストンと、を備え、
前記ダイアフラムと前記ガイド部材と前記樹脂ピストンとの間に流体室が形成され、前記流体室に変形自在な非圧縮性の流動体が収容され、前記熱膨張体の膨張収縮により、前記流体室内の前記流動体を介して、前記樹脂ピストンと前記金属ピストンが前記ガイド部材の前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動するサーモエレメントであって、
前記樹脂ピストンは、フッ素樹脂製であり、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするサーモエレメントである。
第1の態様では、ピストン摺動孔内を摺動する通常の金属製の金属ピストンの下に、フッ素樹脂製の樹脂ピストンを設けている。金属ピストンと樹脂ピストンとは、ほぼ同じ外径であり、ピストン摺動孔に適合する。
樹脂ピストンには、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成されている。樹脂ピストンの胴部は、下面から上方へ行くに従って肉厚が厚くなるテーパ部を有する。テーパ孔内には流動体が充填されている。
熱膨張体が膨張すると、ダイアフラムを押し上げる。ダイアフラムの上側にある流動体は、樹脂ピストンのテーパ孔を押し広げるように力をかける。そのため、ピストン摺動孔の内面と樹脂ピストンの胴部の外面との間の密封性は向上し、流動体は漏れにくくなる。しかも、フッ素樹脂製の樹脂ピストンの摺動抵抗は小さく、摩耗も少ない。
フッ素樹脂製の樹脂ピストンが、流動体と金属ピストンの間に配置されると、流動体を金属ピストンの下で確実に封止することが出来、流動体が漏れでるおそれはない。また、樹脂ピストンは、フッ素樹脂製なので、ピストン摺動孔の内面に押し付けられても、摺動抵抗は大きくならない。
前記樹脂ピストンの前記胴部は、肉厚が一定の円筒部と、肉厚が次第に厚くなるテーパ部とを有することが好ましい。
樹脂ピストンの胴部が、肉厚が一定の円筒部と、肉厚が次第に変化するテーパ部とを有すると、肉厚の薄い円筒部は、一定の幅を有するので変形しやすく、ピストン摺動孔の内面に押し付けられ、流動体はいっそう漏れにくくなる。
前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凹部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凹部に適合する凸部が形成されていることが好ましい。
樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凹部が形成され、金属ピストンの端面に樹脂ピストンの凹部に適合する凸部が形成されていると、樹脂ピストンの凹部に金属ピストンの凸部が係合し、サーモエレメントの動作が安定する。
前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凸部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凸部に適合する凹部が形成されていることが好ましい。
樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凸部が形成され、金属ピストンの端面に樹脂ピストンの凸部に適合する凹部が形成されていると、樹脂ピストンの凸部が金属ピストンの凹部に係合し、サーモエレメントの動作が安定する。
本発明の第2の態様は、底のあるケースと、前記ケースに充填された熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、ピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能なピストン組立体と、
前記ダイアフラムと前記ガイド部材と前記ピストン組立体との間に形成された流体室に収容された非圧縮性の流動体とを備えるサーモエレメントであって、
前記ピストン組立体は、フッ素樹脂製の樹脂ピストンと、前記樹脂ピストンと同じ外径の金属製のピストンとを有し、
前記樹脂ピストンは、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするサーモエレメントである。
ピストン組立体は、フッ素樹脂製の樹脂ピストンと、樹脂ピストンと同じ外径の金属製の金属ピストンとの2部品を有する。樹脂ピストンは、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成されている。樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有する。
樹脂ピストンにより、流動体が漏れないように封止することが出来、金属ピストンにより、サーモエレメントの動作を行うことが出来る。
前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凹部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凹部に適合する凸部が形成され、前記凹部に前記凸部を嵌め込んで、前記樹脂ピストンと前記金属ピストンとは、一体の前記ピストン組立体を形成することが好ましい。
樹脂ピストンの凹部に金属ピストンの凸部を嵌め込むと、樹脂ピストンと金属ピストンとは、一体のピストン組立体となる。ピストン組立体は、熱膨張体の封止とピストンの動作と両方の作用を行うことが出来る。
前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凸部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凸部に適合する凹部が形成され、前記凹部に前記凸部を嵌め込んで、前記樹脂ピストンと前記金属ピストンとは、一体の前記ピストン組立体を形成することが好ましい。
樹脂ピストンの凸部を金属ピストンの凹部に嵌め込むと、樹脂ピストンと金属ピストンとは、一体のピストン組立体となる。ピストン組立体は、熱膨張体の封止とピストンの動作と両方の作用を行うことが出来る。
本発明の第3の態様は、底のあるケースと、前記ケースに充填された熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、ピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ダイアフラムと前記ガイド部材との間に形成された流体室に収容された非圧縮性の流動体とを備えるサーモエレメントに使用するピストン組立体であって、
前記ピストン組立体は、フッ素樹脂製の樹脂ピストンと、前記樹脂ピストンと同じ外径の金属製の金属ピストンとを有し、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能であり、
前記樹脂ピストンは、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするピストン組立体である。
本発明の第4の態様は、サーモスタットであって、
サーモエレメントと、
前記サーモエレメントの底部を収容するための下部凹部が形成され、液体の流れる流路が形成された下フレームと、
前記下フレームに固定され、金属ピストンの上部の外周を摺動可能に支持するピストン孔を有する上フレームと、
前記金属ピストンにより支持された開閉弁と、
前記開閉弁が当接するため、前記下フレームに固定された弁座と、
前記サーモエレメントの前記開閉弁を前記下フレームに結合された前記弁座に押し付けるバネと、を備え、
前記サーモエレメントは、底のあるケースと、前記ケースに充填され温度変化により膨張収縮する熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、ピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能な樹脂ピストンと、前記ピストン摺動孔内に前記樹脂ピストンに隣接して配置され、軸方向に移動可能な金属ピストンと、を備え、
前記ダイアフラムと前記ガイド部材と前記樹脂ピストンとの間に流体室が形成され、前記流体室に変形自在な非圧縮性の流動体が収容され、前記熱膨張体の膨張収縮により、前記流体室内の前記流動体を介して、前記樹脂ピストンと前記金属ピストンが前記ガイド部材の前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動し、
前記樹脂ピストンは、フッ素樹脂製であり、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするサーモスタットである。
本発明では、ピストンを、金属ピストンと樹脂ピストンからなるピストン組立体とする。フッ素樹脂製の樹脂ピストンで流動体をシールするので、樹脂ピストンの摺動抵抗は小さく、流動体が漏れるおそれはない。
樹脂ピストンは、上下方向に潰れることはなく、流動体が膨張すると金属ピストンを押し上げる。ピストン組立体は、ピストンの機能を果たす。
フッ素樹脂製の樹脂ピストンは、ピストン摺動孔の内面に接するが、樹脂ピストンの摺動抵抗が大きくなることはない。
本発明によれば、非圧縮性流動体の漏れの問題がなく、ピストンの摺動抵抗が小さいサーモエレメントを提供することができる。
また、部品の磨耗と劣化が少なく、耐久性の良いサーモエレメントを提供することができる。
また、このようなサーモエレメントを使用したサーモスタットを提供することが出来る。
従来のダイアフラムタイプのサーモエレメントの縦断面図。 本発明の第1の実施形態のサーモエレメントの縦断面図。 図2のサーモエレメントの高温時の縦断面図。 図2のサーモエレメントの樹脂ピストンの断面図。 図2のサーモエレメントを使用したサーモスタットの縦断面図。 図5のサーモスタットの高温時の縦断面図。 本発明の第2の実施形態のサーモエレメントの樹脂ピストンの断面図。 本発明の第3の実施形態のサーモエレメントの樹脂ピストンの断面図。 本発明の第4の実施形態のサーモエレメントの樹脂ピストンの断面図。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図2は、本発明の第1の実施形態のサーモエレメントの縦断面図である。本明細書では、図2の上方向、即ち金属ピストンの頂部の方向を上方向として説明する。サーモエレメントは、底部11のある円筒形のケース10と、ケース10のフランジ13を補強する座金15と、ケース10の上部に係合するガイド部材50と、ケース10に封入された熱膨張体21と、熱膨張体21を封止するための弾性密封部材としてのダイアフラム30と、ダイアフラム30とガイド部材50との間に封入された流動体22と、流動体22の上側でガイド部材50のガイド筒部に摺動自在に保持される樹脂ピストン33と、樹脂ピストン33の上側に摺動自在に保持される金属ピストン40と、を備える。
樹脂ピストン33と金属ピストン40とは、ほぼ同じ外径である。樹脂ピストン33と金属ピストン40とは、ピストン組立体を構成する。
ケース10は、薄い金属製で、円形の底部11と、底部11に隣接する円筒形の円筒部12と、円筒部12の上端から半径方向に広がるフランジ13とを有する。フランジ13の上面には、ダイアフラム30の外周部の凸部31を受ける凹部が形成されている。
ケース10の上部にガイド部材50が取り付けられる。ガイド部材50の下端部は、ケース10のフランジ13にかしめるため、ケース10のフランジ13より大径のフランジ51となっている。フランジ51は上下方向の肉厚が厚く、変形しにくくなっている。フランジ51の下面には、ダイアフラム30の外周部の凸部31を受けるための溝51aが形成されている。
フランジ51の下部は、肉厚が薄く円筒形のかしめ部54であり、かしめ部54を半径方向内側に折り曲げて、ダイアフラム30の外周部と、ケースのフランジ13と、座金15とを固定することができる。
ガイド部材50のフランジ51の上は、上に向かって細くなる円錐台形の基部52であり、基部52内に流動体を封入することが出来る。基部52の上は、円筒形のガイド筒部53であり、ガイド筒部53の内側にピストン摺動孔57が形成されている。ピストン摺動孔57の内径は、樹脂ピストン33の外径Dqと、金属ピストン40の外径Dsに適合し、ピストン摺動孔57の内側に樹脂ピストン33と金属ピストン40とを摺動自在に保持することが出来るようになっている。
ケース10には、パラフィンを含む熱膨張体21が充填され、熱膨張体21の上面は、ダイアフラム30により封止されている。ダイアフラム30は、弾性密封部材の一種である。ダイアフラム30は、中央部が凹状にへこんだほぼ円板状の形状である。外周部には、円周に沿って他の部分より肉厚の厚い凸部31が形成され、凸部31は、ケース10のフランジ13の溝13aと、ガイド部材50のフランジ51の溝51aとに入り、ケース10とガイド部材50との間を密封できるようになっている。
ケース10のフランジ13の下側には、ケース10を補強するための座金15が配置される。ケース10の肉厚は冷却水の温度が伝わりやすいように薄くなっている。ケース10のフランジ13は、座金15により補強される。座金15は、平らなリング状の部材であり、外周部には、ケース10のフランジ13の凹部を受ける溝15aが形成されている。座金15の外径は、ガイド部材50のかしめ部54の内径に適合する。
座金15と、座金15の上のケース10のフランジ13と、フランジ13の上のダイアフラム30の外周部とは、ガイド部材50のかしめ部54をかしめて固定される。こうして、ケース10とガイド部材50とは気密に一体化されている。
ガイド部材50の基部52の内面と、ダイアフラム30の上面との間には流動体22を蓄える流体室が設けられている。流体室には非圧縮性の流動体22が充填されている。熱膨張体21が膨張すると、ダイアフラム30が上方へ移動し、流動体22を上方へ押し、流動体22は、樹脂ピストン33を押し上げる。
サーモエレメントの組立て中に、流動体が漏れないようにするため、流動体として、シリコングリス、黒鉛、粘土を混合したペレット状の混合体を用いている。
図4は、樹脂ピストン33の断面図である。樹脂ピストン33はフッ素樹脂で出来ている。樹脂ピストン33は、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製であることが好ましい。
樹脂ピストン33は、円筒形の部材で、下側は開口し、上に向かって内径が小さくなるテーパの付いたテーパ孔34が形成されている。テーパ孔34は貫通せず、上側は閉じている。樹脂ピストン33は、円盤状の頂部と、頂部の下の胴部とを含む。胴部は、下側から上方へ行くにしたがって肉厚が厚くなるテーパ部37となっている。
樹脂ピストン33の外径Dqは、金属ピストン40の外径Dsと等しいか、それより少し大きく、ガイド筒部53のピストン摺動孔57の内径に適合する。
樹脂ピストン33により、ピストン摺動孔57の内面と樹脂ピストン33の外面との間は密封され、金属ピストン40とピストン摺動孔57との間に、流体室内の流動体22が漏れないようになっている。
サーモエレメントを組み立てた状態では、流体室にある流動体22が樹脂ピストン33のテーパ孔34に入る。樹脂ピストン33の胴部は、テーパ部37となっている。テーパ部37の下部は、肉厚が薄い。そのため、流動体22によりテーパ部37の下部が押し広げられて、テーパ部37の下部の外面がピストン摺動孔57の内面に押し付けられるように力がかかる。そのため、流動体22の漏れをいっそう少なくすることが出来る。但し、テーパ部37の下部は、ある程度の肉厚があり、樹脂ピストン33が作動中に軸方向に潰れないようになっている。
樹脂ピストン33はフッ素樹脂で形成されているので、樹脂ピストン33のテーパ部37の外面がガイド筒部53の内面に押し付けられても、ガイド筒部53の内面との間の摺動抵抗は大きくならず、樹脂ピストン33は滑らかに摺動することが出来る。
従来のゴム製のラバーピストン7を使用する場合は、ゴムは耐摩耗性がよくないので、このようなテーパ孔を形成すると、肉厚の薄い部分は磨耗してしまう。また、ゴムは軸方向に圧縮されて短くなる。
本発明のフッ素樹脂製の樹脂ピストン33は、テーパ孔34を形成してある。テーパ部37の下部は、肉厚が薄くても磨耗が少なく、シール性能の低下は少ない。また、樹脂ピストン33は軸方向に潰されることはない。また、樹脂ピストン33は上下方向に押し潰されることはなく、流動体22が膨張すると、樹脂ピストン33は金属ピストン40を押し上げる。ピストン組立体は、ピストンとして正常に機能する。
金属ピストン40は、金属製の円柱状の部材であり、好ましくはステンレス鋼製である。金属ピストン40の下端部は、樹脂ピストン33の上端部に当接している。金属ピストン40は、ガイド部材50のガイド筒部53のピストン摺動孔57に摺動自在に保持される。
金属ピストン40のガイド筒部53の上に出た部分の外周部にリング溝43が設けられている。後述するように、リング溝43には、リング45をはめ込むことが出来る。リング45は、後述するサーモスタットの開閉弁75の中央部を支持し、開閉弁75がピストン40と一体に上下方向に移動するように支持する。
図2は、環境温度が常温で、熱膨張体21が収縮し、金属ピストン40に印加されたスプリング80による負荷(図5)により開閉弁75が閉じたときの状態である。樹脂ピストン33のテーパ孔34の内部は、流動体22で満たされている。
図3は、温度が上昇し、熱膨張体21が膨張し、ダイアフラム30が上方に移動し、流体室の流動体22が、樹脂ピストン33と金属ピストン40を押し上げた状態を示す。樹脂ピストン33と金属ピストン40とは、ピストン組立体を構成し、ピストン摺動孔57内で一体に移動する。
後述するように、このとき、開閉弁75はガイド部材50の上端から離れ、開弁している(図6)。
図3の状態から、環境温度が下がると、熱膨張体21は収縮し、金属ピストン40に印加されたスプリング80により金属ピストン40と樹脂ピストン33は押し下げられる。サーモエレメントは、図2の状態に戻る。
サーモエレメントの使用中は、環境温度の変化により、図2と図3の状態の間でピストン40と樹脂ピストン33は、上下方向に移動する。
(サーモスタット)
図5は、図2のサーモエレメントを使用したサーモスタットの縦断面図である。サーモスタットは、前述したサーモエレメントの構成部品の他に、下フレーム60と、下フレーム60に一体に取付けられ、下フレーム60の上方に設けられた上フレーム65と、金属ピストン40により上下方向に移動する開閉弁75と、上フレーム65に対して開閉弁75を下方に押し付けるスプリング80とを備える。
下フレーム60の中央部は、サーモエレメントのケース10の底部を受けるための下部凹部61である。下部凹部61の中央部は開口している。下フレーム60は、下部凹部61の外側を囲む底面部62と、底面部62に隣接し上方に広がる下部斜面部63を有する。下部斜面部63には開口部63aが形成され、開口部63aを通って冷却水が流れることが出来るようになっている。
下部斜面部63の上端部から、外周部64がフランジ状に横方向に広がって形成されている。
下部斜面部63に隣接する外周部64の部分は、開閉弁75が当接する弁座70となっている。下フレーム60の外周部64に、上フレーム65を勘合するための勘合孔72が形成されている。
下フレーム60の外周部に上フレーム65が結合されている。上フレーム65は、図5の奥行き方向にある幅を有する部材で、下フレーム60の上側の一部を覆い、上フレーム65のない部分を冷却水が通過することが出来る。
図5に示すように、上フレーム65は、中心軸の両側に対向する2つの側面部66と、側面部66に隣接し、上方に向けて幅が狭まっていく2つの上部斜面部67と、2つの上部斜面部67の間の上部平面部68とを有する。側面部66の下端部に、勘合爪73を有し、勘合爪73を下フレームの勘合孔72に勘合させて、上フレーム65は下フレーム60に結合されている。上部平面部68の中心部は、下方に折れ曲がり、ピストン孔69が形成される。ピストン孔69に金属ピストン40を摺動自在に保持することが出来る。
下フレーム60の外周部64の下部斜面部63に隣接する部分は、弁座70となっている。弁座70の上面は、開閉弁75の外周部76と当接する。リング45は、ガイド部材50の上端に当接していない。
開閉弁75の外周部76には、ゴム焼付け部71が設けられている。ゴム焼付け部71は、弁座70に当接し、開閉弁75の外周部と密着し、開閉弁75を完全に閉じることが出来るようになっている。
開閉弁75の中心部には、ピストン孔77が形成されている。金属ピストン40は、ピストン孔77を貫通する。開閉弁75のピストン孔77の周りの部分は、金属ピストン40のリング溝43にはめ込まれたリング45の上面に当接し、金属ピストン40が上方へ移動すると、開閉弁75は金属ピストン40に固定されたリング45により押し上げられて、金属ピストン40と一体に移動するようになっている。
上フレーム65の上部平面部68の内面と、開閉弁75の外周部76の上面との間には、スプリング80が配置されている。スプリング80は、開閉弁75を弁座70に対して押圧し、環境温度が低いときは、開閉弁75が弁座70に押し付けられて、閉じるようにする。
図6に示すように、環境温度が上昇すると、熱膨張体21が膨張し、ダイアフラム30を上方へ移動させる。流体室の流動体22が、樹脂ピストン33と金属ピストン40を押し上げる。図6は、リング45を介して開閉弁75が押し上げられ開いた状態を示す。開閉弁75はガイド部材50の上端から更に離れる。樹脂ピストン33の下端部は、ピストン摺動孔57内を上方へ移動している。
図6の状態から、環境温度が下がると、熱膨張体21は収縮し、スプリング80により、開閉弁75を介して金属ピストン40に印加された負荷により、金属ピストン40と樹脂ピストン33は押し下げられる。開閉弁75の外周部76は、弁座70の上面に当接し、図5の状態に戻る。
サーモスタットの使用中は、環境温度の変化により、図5と6の状態の間で樹脂ピストン33と金属ピストン40が上下方向に移動し、開閉弁75が開閉する。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態のサーモエレメントの樹脂ピストン33dの断面図である。第2の実施形態では、樹脂ピストン33dにはテーパ孔34dが形成されている。胴部は、下側の円筒部34aとその上側のテーパ部34bとに分かれている。
樹脂ピストン33dの胴部の下側の円筒部37aは、肉厚が一定で薄く、胴部の上側のテーパ部37bは、上方へ行くにしたがって肉厚が次第に厚くなる。テーパ孔34dに入った流動体22により、円筒部37aとテーパ部37bとは半径方向に広がるように押される。
第2の実施形態の樹脂ピストン33dは、円筒部37aの肉厚が薄い。上下方向に一定の幅を有する円筒部37aが、流動体22により、ピストン摺動孔57の内面に押し付けられる。そのため、第1の実施形態の樹脂ピストン33より更に、流動体22は漏れにくくなる。
第1の実施形態の樹脂ピストン33の代わりに、第2の実施形態の樹脂ピストン33dを使用して、サーモエレメントを作成することが出来、そのサーモエレメントを使用したサーモスタットを作成することが出来る。
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態のサーモエレメントの樹脂ピストン33eと、金属ピストン40eの下端部の断面図である。樹脂ピストン33eは、フッ素樹脂製で、樹脂ピストン33と同様に円筒形である。樹脂ピストン33eには、下面から第1の実施形態のテーパ孔34と同様のテーパ孔34が形成されている。樹脂ピストン33eの胴部は、上方へ行くにしたがって肉厚が厚くなるテーパ部37となっている。頂部の中心部には、断面が円形の凹部35が形成されている。
第3の実施形態では、金属ピストン40eの下面に、円筒形の凸部42が形成されている。凸部42の外径は、凹部35の内径と等しいか少し小さく、凸部42の高さは、凹部35の深さより少し小さい。金属ピストン40eの凸部42は、樹脂ピストン33eの凹部35に適合するようになっている。又は、凸部42の外径は凹部35の内径より少し大きくし、樹脂ピストン33eの凹部35に金属ピストン40eの凸部42を嵌め込んで結合するようにすることもできる。樹脂ピストン33eと金属ピストン40eとは、一体のピストン組立体を形成する。
第3の実施形態では、樹脂ピストン33eと金属ピストン40eとは、相互に位置ずれしにくく、確実にピストン組立体を構成し、サーモエレメントの動作が安定する。
第1の実施形態の樹脂ピストン33と金属ピストン40の代わりに、第3の実施形態の樹脂ピストン33eと金属ピストン40eを使用して、サーモエレメントを作成することが出来る。そのサーモエレメントを使用したサーモスタットを作成することが出来る。
第2の実施形態の樹脂ピストン33dも、第3の実施形態の樹脂ピストン33eのように、ピストン収容孔35を形成し、凸部42を有する金属ピストン40eと組み合わせて使用することが出来る。
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態のサーモエレメントの樹脂ピストン33fと、金属ピストン40fの下端部の断面図である。樹脂ピストン33fには、下面から第1の実施形態のテーパ孔34と同様のテーパ孔34が形成されている。樹脂ピストン33fには、下面から第1の実施形態のテーパ孔34と同様のテーパ孔34が形成されている。樹脂ピストン33fの胴部は、上方へ行くにしたがって肉厚が厚くなるテーパ部37となっている。頂部の中心部には、円筒形の凸部36が形成されている。
第4の実施形態では、金属ピストン40fの下面に、樹脂ピストン33fの凸部36を収容する凹部43が形成されている。
凸部36の外径は、凹部43の内径と等しいか少し小さく、凸部36の高さは、凹部43の深さより少し小さい。樹脂ピストン33fの凸部36は、金属ピストン40fの凹部43に適合するようになっている。又は、凸部36の外径は凹部43の内径より少し大きくし、ピストン40fの凹部43に樹脂ピストン33fの凸部36を嵌め込んで結合するようにすることもできる。樹脂ピストン33fと金属ピストン40fとは、一体のピストン組立体を形成する。
第4の実施形態では、樹脂ピストン33fとピストン40fとは、相互に位置ずれしにくく、確実にピストン組立体を構成し、サーモエレメントの動作が安定する。
第1の実施形態の樹脂ピストン33と金属ピストン40の代わりに、第4の実施形態の樹脂ピストン33fと金属ピストン40fを使用して、サーモエレメントを作成することが出来る。そのサーモエレメントを使用したサーモスタットを作成することが出来る。
第2の実施形態の樹脂ピストン33dも、第4の実施形態の樹脂ピストン33fのように、凸部36を形成し、凹部43を有する金属ピストン40fと組み合わせて使用することが出来る。
第1〜4の実施形態として、本発明のサーモエレメントを自動車用サーモスタットに取付けた実施形態を説明したが、これに限定するものではなく、本発明のサーモエレメントを他の装置に取付けることもでき、その場合も同様の効果が得られる。
本発明の第1〜4の実施形態として、ダイアフラムタイプのサーモエレメントについて説明したが、本発明はこれに限定されず、スリーブタイプ等他の種類のサーモエレメントでも、非圧縮性の流動体を介してピストンを押し出すサーモエレメントについて、金属ピストンと樹脂ピストンを組み合わせたピストン組立体を使用して、サーモエレメントを作成することが出来る。
1 ケース
2 熱膨張体
3 ダイアフラム
4 流動体
5 ガイド部材
6 ピストン
7 ラバーピストン
8 保護板
10 ケース
11 底
12 円筒部
13 フランジ
13a 溝
15 座金
15a 溝
21 熱膨張体
22 流動体
30 ダイアフラム
31 凸部
33,33e,33f 樹脂ピストン
34 テーパ孔
34d テーパ孔
35 凹部
36 凸部
37 テーパ部
37a 円筒部
37b テーパ部
40,40e,40f 金属ピストン
42 凸部
43 凹部
50 ガイド部材
51 フランジ
51a 溝
54 かしめ部
52 基部
53 ガイド筒部
57 ピストン摺動孔
58 テーパ部
59 中央孔
60 下フレーム
61 下部凹部
62 底面部
63a 開口部
63 下部斜面部
64 外周部
65 上フレーム
66 側面部
67 上部斜面部
68 上部平面部
69 ピストン孔
70 弁座
71 ゴム焼付け部
72 勘合孔
73 勘合爪
75 開閉弁
76 外周部
77 ピストン係止孔
80 スプリング

Claims (9)

  1. 底のあるケースと、前記ケースに充填され温度変化により膨張収縮する熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、ピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能な樹脂ピストンと、前記ピストン摺動孔内に前記樹脂ピストンに隣接して配置され、軸方向に移動可能な金属ピストンと、を備え、
    前記ダイアフラムと前記ガイド部材と前記樹脂ピストンとの間に流体室が形成され、前記流体室に変形自在な非圧縮性の流動体が収容され、前記熱膨張体の膨張収縮により、前記流体室内の前記流動体を介して、前記樹脂ピストンと前記金属ピストンが前記ガイド部材の前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動するサーモエレメントであって、
    前記樹脂ピストンは、フッ素樹脂製であり、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするサーモエレメント。
  2. 請求項1に記載のサーモエレメントであって、前記樹脂ピストンの前記胴部は、肉厚が一定の円筒部と、肉厚が次第に厚くなるテーパ部とを有するサーモエレメント。
  3. 請求項1又は2に記載のサーモエレメントであって、
    前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凹部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凹部に適合する凸部が形成されているサーモエレメント。
  4. 請求項1又は2に記載のサーモエレメントであって、
    前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凸部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凸部に適合する凹部が形成されているサーモエレメント。
  5. 底のあるケースと、前記ケースに充填された熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、ピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能なピストン組立体と、
    前記ダイアフラムと前記ガイド部材と前記ピストン組立体との間に形成された流体室に収容された非圧縮性の流動体とを備えるサーモエレメントであって、
    前記ピストン組立体は、フッ素樹脂製の樹脂ピストンと、前記樹脂ピストンと同じ外径の金属製の金属ピストンとを有し、
    前記樹脂ピストンは、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするサーモエレメント。
  6. 請求項5に記載のサーモエレメントであって、
    前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凹部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凹部に適合する凸部が形成され、前記凹部に前記凸部を嵌め込んで、前記樹脂ピストンと前記金属ピストンとは、一体の前記ピストン組立体を形成するサーモエレメント。
  7. 請求項5に記載のサーモエレメントであって、
    前記樹脂ピストンの一端面に断面が円形の凸部が形成され、前記樹脂ピストンの前記一端面に当接する前記金属ピストンの端面に、断面が円形で、前記樹脂ピストンの前記凸部に適合する凹部が形成され、前記凹部に前記凸部を嵌め込んで、前記樹脂ピストンと前記金属ピストンとは、一体の前記ピストン組立体を形成するサーモエレメント。
  8. 底のあるケースと、前記ケースに充填された熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、ピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ダイアフラムと前記ガイド部材との間に形成された流体室に収容された非圧縮性の流動体とを備えるサーモエレメントに使用するピストン組立体であって、
    前記ピストン組立体は、フッ素樹脂製の樹脂ピストンと、前記樹脂ピストンと同じ外径の金属製の金属ピストンとを有し、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能であり、
    前記樹脂ピストンは、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするピストン組立体。
  9. サーモスタットであって、
    サーモエレメントと、
    前記サーモエレメントの底部を収容するための下部凹部が形成され、液体の流れる流路が形成された下フレームと、
    前記下フレームに固定され、金属ピストンの上部の外周を摺動可能に支持するピストン孔を有する上フレームと、
    前記金属ピストンにより支持された開閉弁と、
    前記開閉弁が当接するため、前記下フレームに固定された弁座と、
    前記サーモエレメントの前記開閉弁を前記下フレームに結合された前記弁座に押し付けるバネと、を備え、
    前記サーモエレメントは、底のあるケースと、前記ケースに充填され温度変化により膨張収縮する熱膨張体と、前記ケース内に前記熱膨張体を密封するダイアフラムと、前記ケースの上部に固定され、金属ピストンを摺動自在に保持するピストン摺動孔を有するガイド部材と、前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動可能な金属ピストンと、前記ピストン摺動孔内に前記金属ピストンに隣接して配置され、軸方向に移動可能な樹脂ピストンと、を備え、
    前記ダイアフラムと前記ガイド部材と前記樹脂ピストンとの間に流体室が形成され、前記流体室に変形自在な非圧縮性の流動体が収容され、前記熱膨張体の膨張収縮により、前記流体室内の前記流動体を介して、前記金属ピストンと前記樹脂ピストンが前記ガイド部材の前記ピストン摺動孔内を軸方向に移動するようになっていて、
    前記樹脂ピストンは、フッ素樹脂製であり、底面から上方へ行くにしたがって内径が小さくなるようにテーパが付いたテーパ孔が形成され、前記樹脂ピストンの前記胴部は、底面から上方に行くにしたがって肉厚が次第に厚くなるテーパ部を有することを特徴とするサーモスタット。
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