JP2016108894A - 車両誘導装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ラウンドアバウトとは円形交差点のうち、一方通行の環道交通流に優先権があり、かつ環道交通流が信号や一時停止により中断されない平面交差制御方式で、信号機が不要となるため、信号機の設置費用が削減でき、また無駄な信号待ちが無くなる等のメリットがある。
50は円形交差点としてのラウンドアバウト、51は図示された矢印方向(時計回りの方向)にのみ通行可能な環状道路である。環状道路51からは複数の接続道路52,53,54,55が放射状に延びている。
各接続道路52,53,54,55において、52a,53a,54a,55aは流入部、52b,53b,54b,55bが流出部である。
ラウンドアバウト50において、交差点中心部(具体的には環状道路51の内周端)は円形をなしており、環状道路51の内側には車両が進入できない中心島58が設けられている。
しかしながらラウンドアバウトは、日本にある一般的な交差点とその形状が異なるため、遠方からでも交差点形状、具体的には交差点中心部の円形形状を認識できるようにする必要がある。
特に夜間において、従来の標識や、単独の光が点灯又は点滅するデリネータでは、交差点中心部の円形形状が認識しにくい。このため、交差点中心部の円形形状を認識できていない車両が速度を落とさずに交差点に進入しようとして事故につながる可能性がある。
一方、特許文献2に記載の車両誘導装置には発光体を単独発光させる場合のほか、複数の連続する発光体を同時に発光させるようになした点が開示されている。しかしながら特許文献2に記載のものは、誘導効果を発揮させるための手段として隣接する発光体を異なる輝度で発光させるといったものでもない。また円形交差点に発光体を設置したものでもない。
互いに隣接し且つ同時に発光する複数の発光体からなる一連の発光部は、複数の光点が所定長さに亘って点在することから、一連の発光部全体を、各光点を繋ぐ線形状の光のように見せることができる。
また移動する一連の発光部はあたかも線形状の光が流れていくように見え、運転者は交差点に進入した際の進行すべき方向を直感的に理解することができる。
本発明ではまた、所定長さを有する線形状の光で、交差点中心部の円形形状の一部を表現できるので、運転者がその曲がり具合などを容易に理解することができる。
このような効果をより有効なものとするためには、同時に発光する発光体の数を3個以上、一連の発光部の長さを2.4m以上とすることが好ましい。
このようにすることで、所定長さを有する線形状の光に、先頭から後端部に向けて明暗が生じるとともに、先頭部分が最も明るくなるので、車両の進むべき方向をより強調することができ、高い誘導効果を発揮することができる。
ここで本発明者は、一連の発光部を構成する各発光体の明るさを、先頭から後端部にかけてどのように変化(減光)させるかで、運転者に与える視覚的効果が大きく異なることを見出した。
実際に一連の発光部を構成する先頭の発光体から後端部の発光体までの明るさをさまざまに変化させて調べたところ、一連の発光部の先頭側では隣接する発光体の明るさ(輝度)の差を大きくし、後方に向かうにつれて隣接する発光体の明るさ(輝度)の差が小さくなるよう、例えば後方に向かうにつれて隣接する発光体間の減光量を2次曲線カーブに近似して減少させることで、移動する一連の発光部があたかも彗星が尾を引いて流れていくように見える視覚的効果を発揮させることも可能である。
一連の発光部が1つであった場合、一連の発光部の移動により一連の発光部から発せられる光が一時的に運転者の視野から消えてしまい、運転者が車両誘導装置からの発光に気付くのが遅れてしまう可能性がある。
これに対し一連の発光部を同時に複数発生させておけば、運転者はいずれかの一連の発光部を視認することができため、車両誘導をより確実に行うことができる。
このようにすることで、路面及び/又は縁石部分の所定長さに亘って、明るく照らされた領域が形成され、この明るく照らされた領域が車両進行方向に流れていくように見えるため、交差点に進入しようとする車両に対し高い誘導効果を発揮することができる。
図1は本実施形態における車両誘導装置の構成を示した図である。
図1において、1は車両誘導装置で、主制御部2と、発光体5を備えた複数の発光装置3とを有している。
本例では、3−1から3−30までの計30台の発光装置3が、信号線4によってそれぞれが直列状態に接続されており、図中右端の発光装置3−1は主制御部2と信号線4で接続されている。
本実施形態では、図2に示すように、発光装置3−1〜3−30が全体で円形となるようラウンドアバウト6の環状道路7の内周端に沿って等間隔(12°)に配置されている。
本例では、上記円形の直径Dは14mで、発光体同士の間隔は1.47mである。
この車両誘導装置1は、主制御部2で設定された発光パターンに基づいて、各発光装置3がそれぞれ備えている計30個の発光体5−1〜5−30を発光させることで、車両を適正な進行方向へと誘導する。
27は、縁石25にベースプレート26を介して固定された支柱で、発光装置3は支柱27の上端部に取り付けられている。
発光装置3は外観が略円盤形状をなしており、取付状態における前面側(環状道路側)には、LED等の発光素子で構成された発光体5を備えている。
支柱27の下端側且つ前面側には、標識や矢印等を表示するための表示用プレート32が、また支柱27に対して表示用プレート32とは反対側の後面側には中継ボックス34が取り付けられている。
中継ボックス34からはガイド管35が上方に延びており、中継ボックス34と発光装置3とを繋いでいる。
図3(B)で示した、主制御部2に近い上流側の信号線4a及び主制御部2から遠い下流側の信号線4bは、それぞれ中継ボックス34とガイド管35を経て発光装置3内の個別制御部38(図4参照)に接続されている。
主制御部2は発光体5についての発光パターンを設定し、その発光パターンの設定情報を各発光装置3に対して送信するためのもので、マイクロコンピューター(以下マイコンとする)10と、マイコン10に接続された後述する各種スイッチとで構成されている。
マイコン10は通信ポート11を有しており、発光装置3とを繋ぐ信号線4が接続されている。
個別制御部38は、通信ポート38a及び38bを有しており、通信ポート38aには主制御部2に近い上流側の信号線4が接続され、通信ポート38bには下流側の信号線4が接続されている。
この実施形態では、主制御部2, 個別制御部38が複数の発光体5−1〜5−30の発光を制御する制御手段を構成している。
また主制御部2からは2〜10秒毎に同期信号が発信される。各発光装置3は、それぞれが単体で動作することにより生じる各発光装置3間での発光タイミングのずれを、この同期信号を基に調整する。
(1)互いに隣接し且つ同時に点灯(発光)する発光体5からなる一連の発光部40(図7参照)と、互いに隣接し且つ同時に消灯(非発光)する発光体5からなる一連の非発光部41を1つのセットとする。(2)実際に配置されている発光体5の数量と、上記1つのセットが要する発光体5の数量から、実際に配置されている発光体5に対して、一連の発光部40と一連の非発光部41を同時に何セット割付けるかを決定する。(3)そしてこれら割付けられたセット数に対応した一連の発光部40を同時に複数箇所で発生させ、これらを所定送り時間毎に順次下流側(車両進行方向)に移動させる。
この発光パターンは、主制御部2に設けられた各種スイッチによって設定される。
第1点灯個数スイッチ14は、一連の発光部40、即ち互いに隣接し且つ同時に点灯(発光)する発光体5の個数を0〜9の間で設定するものである。尚その個数については、第2点灯個数スイッチ19をオンとすることで更に10個追加することができる。
例えば、第1送り時間スイッチ12で100ms、第2送り時間スイッチ13で10msを選択した場合、その送り時間の合計の値110ms毎に一連の発光部40と一連の非発光部41は順次下流側の発光体5に移動する。
即ち、送り時間の合計の値を小さくすることで下流側の発光体5に移動する速度は速くなり、送り時間の合計の値を大きくすることで下流側の発光体5に移動する速度は遅くなる。
減光機能スイッチ20をオフにした場合、同時に発光する複数の発光体5は何れも同じ輝度で発光する。
通常、各発光体5は出力100%(発光体5を発光させる際のPWM信号のデューティー比を100%とした状態)で発光する。但し、夜間減光スイッチ22をオンにした場合には各発光体5は12%の出力で発光する。
また発光装置3の電源として太陽電池を使用した場合には、昼夜判別スイッチ24をオンすることで、太陽電池からの電圧に応じて、夜間に近づくにつれて段階的に発光時の出力を25%から5%に変動させることも可能である。
1個の発光体に注目して見れば発光開始当初に最も輝度が高く、その後送り時間毎に輝度が低くなるよう発光状態が制御される。
この例では、図7で示すように互いに隣接し且つ同時に発光する5個の発光体5を一連の発光部40とし、この一連の発光部40をラウンドアバウト6の中心部に配置した合計30個の発光体5−1〜5−30の3箇所で同時に発生させ、これらを時計方向に移動させる。
この場合、主制御部2の各種スイッチについては以下の設定となる。
一方、一連の非発光部41も5個の発光体で構成するため、第1消灯個数スイッチ15は5を選択し、第2消灯個数スイッチ18はオフとする。
このようにすることで、一連の発光部40と一連の非発光部41のセット(計10個の発光体)を、ラウンドアバウト6の中心部の発光体5−1〜5−30に3セット割り付けることができため、一連の発光部40を同時に3箇所で発生させることができる。
尚、送り個数スイッチ16は1を選択し、一連の発光部40は送り時間毎に隣の発光体に移動させる。
一連の発光部40の移動速度は、配置した発光体5同士の間隔と、第1送り時間スイッチ12及び第2送り時間スイッチ13により設定させる送り時間によって決定される。
本例では発光体5同士の間隔は1.47mであるため、一連の発光部40の移動速度はおよそ時速25kmとなる。
また一連の発光部40を構成する5個の発光体の輝度を同じにするため、減光機能スイッチ20はオフとした。
図中の各発光体5−1〜5−30は黒地の丸が発光状態を、白地の丸が非発光状態を表している。
本図で示すように、一連の発光部40と一連の非発光部41は、設定した送り時間210ms毎に下流側に発光体1個分移動する。
5個の発光体からなる一連の発光部40は、従来のような単独の光点に比べて視認が容易であり、より遠方からでも交差点の存在を認識することができる。
線形状の光が流れていくように見えることで、運転者は交差点に進入した際の進行すべき方向を直感的に理解することができる。
本実施形態では、5個の発光体5からなる一連の発光部40がおよそ6mの長さを有しており、その長さに亘って交差点中心部の円形形状を表現することができるので、運転者がその曲がり具合などをより容易に理解することができる。
尚、一連の発光部40を構成する発光体5の数は、任意に設定することが可能である。但し上記の効果をより有効なものとするためには、一連の発光部40を構成する発光体5の数を3個以上、一連の発光部の長さを2.4m以上とすることが好ましい。
本例において同時に発光する5個の発光体により構成された一連の発光部40は、例えば図8(A)において、移動方向の先頭に位置する発光体5−10の輝度が最も高く、この先頭の発光体5−10から後方(図中右側)に向かうにつれて発光体5の輝度が低くなり、最も後方に位置する発光体5−6の輝度が最も低くなるように設定されている。
具体的には隣接する発光体の明るさの差が、先頭側で大きく後方に向かうにつれて小さくなるよう、移動方向の先頭に位置する発光体5−10から後方に向けて各発光体の出力値の組合せが100%、41%、15%、5%、2%に設定されている。
そして一連の発光部40は、送り時間210ms毎に、下流側の発光体に順次移動して行く(図8(B)〜(E))。
この場合、ある1つ発光体、例えば図8(A)の発光体5−10に注目して見れば、発光開始当初その出力は100%で、その後210ms経過毎に41%、15%、5%、2%と変化していく。即ち発光開始当初最も輝度が高く、その直後に大きく減光し、以降減光の度合いを小さくしながら時間の経過とともに輝度が低くなるよう発光状態が制御されている。
具体的には、210ms経過毎の出力値が上記値となるよう発光体5−10の出力を2次曲線的に滑らかに変化させても良いし、また210ms毎階段状に出力を変化させるものであっても良い。
尚、本例における発光体の具体的な出力値はあくまで一例示である。減光機能を有効にした際の一連の発光部を構成する各発光体における出力値の組合せが本例と異なるものであっても、一連の発光部40の先頭側では隣接する発光体5の明るさの差を大きくし、後方に向かうにつれて隣接する発光体5の明るさの差が小さくなるよう、後方に向かうにつれて隣接する発光体の出力差を2次曲線カーブに近似して小さくしていくことで、移動する一連の発光部があたかも彗星が尾を引いて流れていくように見える視覚的効果を発揮させることができる。
この実施形態は、ラウンドアバウト6の環状道路7の内周端に沿って設けられた縁石25の内部に発光体5及び個別制御部38を収納し、縁石25自体を発光装置42とした例である。
縁石25の環状道路7側の側面には透明窓44が設けられており、発光体5からの光は透明窓44を通じて環状道路7側に向けて照射される。
本例によれば、縁石25自体が発光装置を兼ねているため、縁石25の上に別途支柱や発光装置を設置する必要はなく、また発光装置42同士を接続するための信号線も縁石25の下部に埋設できるため、外観を見栄え良くすることができる。
この実施形態は、ラウンドアバウト6の環状道路7の内周端に沿って設けられた縁石25の上面に発光装置としての照明鋲46を複数設けた例である。
この例では透明窓44を通して発光体5から環状道路側に照射される光が、路面45に対して略水平方向から路面45に向かう斜め下向きの方向まで、広い範囲に亘って照射されるよう、照明鋲46内部の発光体5としてのLEDを斜め45°下向きに取付けている。
このため照射された光の一部は、交差点に進入しようとする車両の運転者によって直接視認することができ、上記実施形態と同様に複数の照明鋲46からの光によって遠方からでも交差点の存在を認識することができる。
この例では路面45上に出現した明るく照らさせた領域が車両の進むべき方向に流れていくように見えるため、運転者は交差点に進入した際の進行すべき方向を直感的に理解することができるのでより高い誘導効果が生じる。
また本例では、照明鋲46を縁石25の上面に設置したが、照明鋲46を縁石25よりも更に上方の、環状道路の側壁等に取り付けて、照明鋲46からの下向きの光で縁石25と環状道路7の路面45の両方に亘って照らすようにすることも可能である。
その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
2 主制御部
3,42 発光装置
4,4a,4b 信号線
5 発光体
6,50 ラウンドアバウト
7,51 環状道路
25 縁石
38 個別制御部
40 一連の発光部
41 一連の非発光部
45 路面
46 照明鋲
Claims (4)
- 円形交差点の環状道路に沿って配置された複数の発光体と、
該複数の発光体の発光を制御する制御手段と、を有し
互いに隣接し且つ同時に発光する複数の前記発光体からなる一連の発光部を発生させ、該一連の発光部を車両進行方向に移動させるようになしたことを特徴とする車両誘導装置。 - 請求項1において、前記一連の発光部は前記移動方向の先頭に位置する前記発光体の輝度が最も高く、該先頭に位置する前記発光体から後方に向かうにつれて前記一連の発光部を構成する該発光体の輝度が低くなるようになしたことを特徴とする車両誘導装置。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記一連の発光部を同時に複数発生させるようになしたことを特徴とする車両誘導装置。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記発光体を斜め下向きに取り付け、該発光体からの光により路面及び/又は縁石を照らすようになしたことを特徴とする車両誘導装置。
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