JP2016108579A - 蒸着装置及び蒸着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 膜厚計測を高精度に行うことができる蒸着装置及び蒸着方法を提供する。【解決手段】 真空チャンバー1と、真空チャンバー内に配置された配管部2と、配管部内に配置された蒸着源3と、配管部及び蒸着源を加熱する加熱装置9とを有して、真空チャンバー内に配置された基板4に、蒸着源から蒸発又は昇華した気体の材料を成膜する装置であって、配管部に配置されて、蒸着源から蒸発又は昇華した気体の量を制御する気体量制御弁6と、蒸着源から蒸発又は昇華した気体の量を気体量制御弁の開閉により変化させた後、配管部内での気体の濃度を取得する気体濃度取得装置100とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、たとえば、有機EL(Electro−Luminescence)素子などの有機薄膜、金属電極、又はコーティングなどの無機薄膜の製造において、蒸発又は昇華した材料で基板に対する蒸着を行う、蒸着装置及び蒸着方法に関する。
蒸着装置は、真空チャンバー内に所望の材料と基板とを配置し、真空中で材料に熱を与え、溶融、蒸発、又は、昇華させることによって、基板上に材料の薄膜を形成させることができる。
近年、有機材料が用いられた有機ELディスプレイ、照明、有機太陽電池、及び半導体などのデバイスの研究開発が盛んに行われている。
これらの有機材料が用いられたデバイス作製には、一般的に、上述されたような真空蒸着装置が利用されている。
有機デバイスに用いられる有機材料は、一般的に高価な材料が多く、デバイス仕様からナノメートルオーダーの非常に薄い膜形成が要望されている。
そのため、蒸着装置における膜厚制御は、材料利用効率及びデバイス仕様の観点から、非常に高い精度で制御することが求められている。
一般的な膜厚制御方法として、光学式計測手段を用いて、蒸発した材料の濃度を計測し、成膜する膜厚の制御に利用するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
図5に、従来例1の光学式計測手段を備えた蒸着装置の概略断面図を示す。図5を参照しながら、蒸発した材料の濃度の光学式計測方法について説明する。
真空チャンバー201は、真空ポンプ205で排気され、高真空状態に維持することができる。
真空チャンバー201の上部には、成膜が行われる基板204が、成膜面を下側に向け配置されている。
基板204の下側に設置した坩堝207に、成膜したい所望の蒸着材料208を導入し、発熱体209に電圧を印加することによって、坩堝207を加熱し、所望の蒸着材料208を蒸発させ、基板204に成膜を行う。
蒸着材料208を導入した坩堝207と基板204との間の真空チャンバー201の内側の側面に、蒸発した材料ガスの濃度を測定するための光源211及び検出器212を設置している。
光源211からの計測光219は、蒸発した材料ガス中を通過し、検出器212で受光される。
検出器212で計測した光源211からの計測光219の入射光強度と、蒸発した材料ガス中を通過した光の強度(透過光強度)とには、式1のような関係がある。この関係より、吸収係数に比例した蒸発した材料ガス濃度を算出することができる。
Figure 2016108579
ここで、Lは吸収長、Iは入射光強度、Iは透過光強度を示す。
また、式1で示した蒸発した材料ガス濃度は、蒸着材料208が基板204に成膜するときの成膜速度に比例関係にある。このため、光源211からの入射光強度及び透過光強度を検出器212で計測し、分析部213で算出することによって、成膜中の成膜速度をリアルタイムに見積ることができる。さらに、この分析結果を、坩堝207の発熱体209の発熱温度を制御する発熱体制御部215へフィードバックすることで、安定した膜厚制御ができる。
上述された計測光219の入射光と透過光との強度比は、蒸発した材料ガスが存在する場合について算出される。しかしながら、基板204に蒸着される正確な成膜速度を得るためには、光の強度比から求めた蒸発した材料ガス濃度と、実際の成膜速度との関係を予め取得しておく必要がある。
特開2008−169457号公報
上述された従来の蒸着装置(図5参照)を用いて、蒸発した材料ガスの正確な濃度を求めるためには、式1より、光源211の入射光強度と蒸発した材料ガスを通過した透過光強度との両方を検出部212で計測しなければならない。しかしながら、成膜中は、蒸発した材料ガスが真空チャンバー201内に充満しているため、光源211の入射光強度は、成膜を行う前段階で取得し、成膜中もその値を参照し、蒸発した材料ガスの濃度及び成膜速度を算出するしかない。通常、光源211及び検出部212の温度は、蒸着材料208の温度より低くなるため、長時間の連続成膜などでは、蒸発した材料が光源211及び検出部212に徐々に付着し、光源211の入射光強度及び検出部212の感度が徐々に低下する。そのため、従来例のような成膜中の透過光強度のみの計測では、成膜中に透過光強度が大きく変動しても、蒸発した材料ガスの正確な濃度を求めることができず、成膜速度のモニター及び膜厚制御が所望の値から大きくずれるという課題があった。
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、成膜中の蒸発又は昇華した材料ガスの濃度をより正確に算出することが可能で、より高い精度で膜厚制御できる蒸着装置及び蒸着方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の第1の態様にかかる蒸着装置は、真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に配置された配管部と、
前記配管部内に配置された蒸着源と、
前記配管部及び前記蒸着源を加熱する加熱装置とを有して、前記真空チャンバー内に配置された基板に、前記蒸着源から蒸発又は昇華した気体の材料を成膜する装置であって、
前記配管部に配置されて、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を制御する気体量制御弁と、
前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を前記気体量制御弁の開閉により変化させた後、前記配管部内での前記気体の濃度を取得する気体濃度取得装置とを備える。
本構成の装置によって、成膜中の蒸発又は昇華させた材料の濃度を安定で、より正確に取得することができる。
また、本発明の第2の態様にかかる蒸着装置は、前記態様の装置において、前記気体濃度取得装置は、前記気体量制御弁と成膜される前記基板との間に設置する、蒸着装置である。
本構成の装置によって、蒸発又は昇華させた材料の濃度を取得でき、成膜速度を見積ることができる。
また、本発明の第3の態様にかかる蒸着装置は、前記態様の装置において、前記気体量制御弁は、0.1ミリ秒以上10秒以下で開閉を繰返す弁である蒸着装置である。
本構成の装置によって、蒸発又は昇華させた材料の濃度を正確に取得でき、成膜速度をより正確に見積ることができる。
また、本発明の第4の態様にかかる蒸着装置は、前記態様の装置において、前記気体量制御弁が、加熱機構を有する蒸着装置である。
本構成の装置によって、前記気体量制御弁に再堆積することを抑制でき、安定した成膜をすることができる。
本構成の装置によって、成膜中の蒸発又は昇華させた材料の濃度を、より正確に取得することができる。
また、本発明の第5の態様にかかる装置は、前記態様の装置において、前記気体量制御弁は電磁弁であり、
前記気体濃度取得装置で取得した前記気体の濃度から、成膜速度を取得する分析部と、
前記分析部からの信号により前記電磁弁の開閉回数を制御する電磁弁制御部とをさらに有する蒸着装置である。
本構成の装置によって、長時間の成膜でも成膜速度が安定した制御をすることができる。
また、本発明の第6の態様にかかる装置は、前記態様の装置において、前記気体濃度取得装置で取得した前記気体の濃度から、成膜速度を取得する分析部と、
前記分析部からの信号により前記加熱装置を制御する発熱体制御部とを有する蒸着装置である。
本構成の装置によって、長時間の成膜でも成膜速度が安定した制御をすることができる。
また、本発明の第7の態様にかかる方法は、第1〜6の態様のいずれか1つに記載の蒸着装置を利用する蒸着方法であって、
前記真空チャンバー内に前記基板を配置し、
前記気体量制御弁を閉じた状態で、前記気体濃度取得装置により前記配管部内での前記気体の濃度を取得して入射光強度を取得し、
前記加熱装置で前記配管部及び前記蒸着源を加熱し、
前記気体量制御弁を開いた状態で、前記蒸着源から蒸発又は昇華した材料を前記基板に供給して成膜を開始するとともに、前記気体濃度取得装置により前記配管部内での前記気体の濃度を取得して透過光強度を取得し、
前記気体量制御弁の開閉を繰り返しつつ、前記気体濃度取得装置により入射光強度と透過光強度とをそれぞれ取得して、成膜処理を行う蒸着方法である。
本構成の方法によって、成膜中の蒸発又は昇華させた材料の濃度を安定で、より正確に取得することができる。
また、本発明の第8の態様にかかる方法は、前記態様の方法において、前記気体量制御弁の開閉時間を0.1ミリ秒以上10秒以下として、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を制御する、蒸着方法である。
本構成の方法によって、蒸発又は昇華させた材料の濃度を正確に取得でき、成膜速度を見積ることができる。
また、本発明の第9の態様にかかる方法は、前記態様の方法において、前記気体濃度取得装置により前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の濃度を取得した結果から、前記気体量制御弁を開閉する時間もしくは回数のどちらか一方又は両方を制御して、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を制御する、蒸着方法である。
本構成の装置によって、蒸発又は昇華させた材料の濃度を正確に取得でき、成膜速度をより正確に見積ることができる。
また、本発明の第10の態様にかかる方法は、前記態様の方法において、前記気体濃度取得装置により前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の濃度を取得した結果から、前記蒸着源の前記加熱装置の温度を制御する、蒸着方法である。
本構成の装置によって、蒸発又は昇華させた材料の濃度を正確に制御でき、成膜速度をより正確に見積ることができる。
また、本発明の第11の態様にかかる方法は、前記態様の方法において、前記気体量制御弁が閉じたとき、前記気体濃度取得装置により前記気体の濃度を取得して透過光強度を取得し、取得した透過光強度の減衰から、前記気体濃度取得装置における計測光を出射する光源の入射光強度の変動を見積り、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の濃度の分析結果を補正する蒸着方法である。
本構成の方法によって、成膜中の蒸発又は昇華させた材料ガスの濃度を、より正確に取得することができる。
本発明によって、前記気体量制御弁の開時と前記気体量制御弁の閉時のそれぞれで成膜中の蒸発又は昇華した材料ガスの濃度取得が高精度で前記気体濃度取得装置により行うことができる。このことにより、長時間成膜又はフィルムなどの基板に対する連続成膜などにおいても、成膜速度が安定し、高精度な膜厚制御が可能となる蒸着装置及び蒸着方法を提供することができる。
本発明における第1実施形態の蒸着装置の概略断面図 本発明における第1実施形態の蒸着装置における電磁弁の開閉信号と真空チャンバーに供給される蒸発した材料ガスの圧力推移の模式図 本発明における第1実施形態の蒸着装置を使用する蒸着方法のフローチャート 本発明における第2実施形態の蒸着装置の概略断面図 従来例1の光学式計測手段を備えた蒸着装置の概略断面図
以下、図面を参照しながら、本発明における実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係わる蒸着装置の概略断面図を示す。
蒸着装置は、真空チャンバー1と、配管部2と、蒸着源3と、発熱体9と、気体量制御弁6と、気体濃度取得装置100とを備えて構成されている。
真空チャンバー1は、縦断面が逆凸形状に構成され、その上部において、真空ポンプ5で排気され、高真空状態に維持することができる。
真空チャンバー1の上部の端部には、成膜面を下側にしたガラス又はシリコンなどの基板4を配置する。
真空チャンバー1の下部の端部には、基板4に対向するように、坩堝7を内蔵した蒸着源3を配置する。坩堝7には、一例として、有機EL素子の電子輸送層材料として知られるトリスアルミニウム(Alq3)を、蒸着材料8として坩堝7に導入する。一例としては、Alq3を蒸着材料に用いているが、その他の有機材料、又は無機材料でも良い。
蒸着源3の上部には、蒸発した材料ガスを基板側に輸送するための円筒状の配管部2が設置されている。
蒸着源3及び配管部2の外周には、加熱装置の一例としての発熱体9が設けられている。配管部2及び蒸着源3の加熱は、発熱体制御部15を介して図示しない加熱用電源に接続された発熱体9に、発熱体制御部15で制御しつつ加熱用電源から電圧を印加することで行う。
これらの配管部2及び蒸着源3の加熱によって、坩堝7に導入した蒸着材料8は蒸発又は昇華する。さらに、配管部2及び蒸着源3の壁は加熱されているため、蒸発又は昇華した材料が再堆積することを極力抑制できる。
配管部2と蒸着源3との間には、蒸発又は昇華した材料ガス(以降、単に「蒸発した材料ガス」と称する。)を真空チャンバー1にパルス供給できる気体量制御弁の一例としての電磁弁6を設置している。ここで、パルス供給とは、成膜処理中に、電磁弁6を第1所定時間だけ開いて蒸発した材料ガスを当該所定時間だけ基板側に供給したのち、第2所定時間だけ電磁弁6を閉じるといったオンオフを繰り返して間欠的に蒸発した材料ガスを供給する状態を意味する。電磁弁6は、例えば所定間隔(第1所定時間だけ開状態及び第2所定時間だけ閉状態)で電磁弁用制御部14で開閉制御する。坩堝7に導入した蒸着材料8が蒸発又は昇華し、気体となった蒸着材料8が、電磁弁6及び配管部2を通り、配管部2の上端の開口部18から基板4の付近まで輸送され、基板4に成膜される。この例では、気体量制御弁の一例として電磁弁(ソレノイドバルブ)6を用いているが、気体量制御弁の他の例としては、ピエゾバルブなど、蒸発した材料ガスを真空チャンバー1にパルス供給が可能なバルブであれば良い。電磁弁6は、それ自体に加熱機構を有しているか、もしくは、発熱体9の加熱などにより200℃以上の温度に保たれていたほうが良い。これにより、基板4に蒸着した材料が、電磁弁6に再堆積することを防ぐことができ、安定したバルブ開閉を行うことができる。電磁弁6の温度が200℃以上であれば、ほとんどの種類の有機材料において、再堆積を抑えることが可能である。
蒸発した材料ガスをパルス供給する電磁弁6と、成膜する基板4との間に、蒸発した材料ガスの濃度を計測して、従来技術の欄に記載したように光源11からの計測光19の入射光強度と、蒸発した材料ガス中を通過した光の強度(透過光強度)とを計測する光学式濃度取得装置100を設ける。光学式濃度取得装置100は、真空チャンバー1外に配置された光源11と、真空チャンバー1外に配置された検出器12と、真空チャンバー1外に配置された分析部(演算部)13とを備えて構成されている。蒸着材料8であるAlq3は、400nmを中心にブロードな吸収スペクトルを有しているため、光源11は、一例として405nmの半導体レーザを使用している。この例では、蒸着材料8をAlq3に選択しているため、405nmの半導体レーザの半導体レーザを用いている。光源11としては、赤外域、可視光域、又は紫外領域の半導体レーザ又はランプ、キセノンランプなどの白色ランプ、重水素ランプ、ホロカソードランプ、又は、波長可変の色素レーザなど、蒸着材料の吸収波長領域に合わせた光源を用いれば良い。光源11から出た計測光19は、真空チャンバー1の一方の窓16aを介して真空チャンバー1内に導入されるとともに、配管部2の一方の窓16bを介して配管部2内に導入される。配管部2内に導入された計測光19は、蒸発した材料ガスを通過したのち、配管部2の他方の窓16cを介して真空チャンバー1内に導入されるとともに、真空チャンバー1の他方の窓16dを介して真空チャンバー1外に出射される。真空チャンバー1外に出射した計測光19は、光源11の反対側に設置した検出部12で計測される。検出部12で、計測した光源11からの入射光強度及び蒸発した材料ガスを透過した透過光強度の信号は、分析部13に送られ、式1を用いて、蒸発した材料ガスの濃度を算出する。算出した蒸発した材料ガスの濃度は、基板4への成膜速度と比例関係にあるため、算出した材料の濃度を、分析部13に接続した図示しない表示装置などでモニターすれば、成膜速度をリアルタイムに類推できる。
なお、上述された入射光と透過光との強度比は、蒸発した材料ガスが存在する場合について分析部13で算出されるが、基板4に蒸着される正確な成膜速度を得るためには、光の強度比から求めた蒸発した材料ガスの濃度と、実際の成膜速度との関係を予め取得しておく必要がある。
図2に、電磁弁6の開閉信号と真空チャンバー1に供給される蒸発した材料ガスの圧力推移との模式図を示す。図2の横軸は時間経過を表し、縦軸はガス供給圧力を表す。点線は、電磁弁6の開閉信号を示し、実線は、真空チャンバー1に供給された材料ガス圧力推移の模式図を示す。電磁弁6の開閉時間は、0.1ミリ秒以上10秒以下で制御し、デューティー比(パルスON/OFF)は、0.1から10まで変化させている。すなわち、一例として、電磁弁6の開き時間(第1所定時間)及び閉じ時間(第2所定時間)を、それぞれ、0.1ミリ秒以上10秒以下の範囲内とする。具体的な例としては、電磁弁6の開き時間を5秒とし、電磁弁6の閉じ時間を1秒とする。又は、電磁弁6の開き時間を500ミリ秒とし、電磁弁6の閉じ時間を500ミリ秒とするなどが例示できる。電磁弁用制御部14で電磁弁6の開閉回数又は開閉時間を制御することで、供給する蒸発した材料ガス量を調整することができて、基板4への成膜速度を調整することができる。供給する蒸発した材料ガスが、電磁弁6の開閉によりパルス供給されているため、蒸発した材料ガスが少量でも、精度良く制御することが可能になる。
ところで、通常の蒸着装置では、供給する蒸発した材料ガス量は、材料を蒸発させる温度(蒸着源の温度)により制御を行っている。このような制御の場合、材料の蒸発量は、材料温度に非常に敏感で、わずかな温度変化でも蒸発量は大きく変動する。このため、蒸発源3の温度制御による、蒸発した材料ガス量の制御(特に、材料の蒸発量を微小制御する場合)は、非常に難しい。
ここで、電磁弁6が開、つまり、ONのとき(図2の領域(1))に、蒸発した材料ガスが配管部2に供給され、光学式濃度取得装置100(図1)によって材料の透過光強度を測定する。
また、電磁弁6が閉、つまり、OFFのとき(図2の領域(2))に、蒸発した材料ガスは、図2の実線に示したように減少するため、光源11から出て蒸発した材料ガス中を通過した光の強度である透過光強度も、同じように減少する。この領域(2)における透過光強度の減少曲線から、蒸発した材料ガスが、配管部2に存在しないときの光源11の入射光強度を分析部13で概算することができる。電磁弁6の閉のときの透過光強度の減少曲線と、成膜を行う前に予め測定したデータとを分析部13で照合し、入射光強度を分析部13で見積っても良い。すなわち、この場合、開閉を繰返す電磁弁6が閉じたときの透過光強度の減衰から、光源11の入射強度の変動を分析部13で見積り、見積った入射強度の変動に基づき、蒸着源11から蒸発した気体の濃度の分析結果を分析部13で補正することができる。
また、蒸発した材料ガスの供給がなくなったときは、蒸発した材料ガスの減少曲線は、一般に、式2の真空チャンバー1の排気曲線で表せるため、式2から、蒸発した材料ガスが配管部2に存在しないときの光源11の入射光強度を分析部13で概算しても良い。
Figure 2016108579
ここで、tは真空ポンプ5により真空チャンバー1を排気した時間、τは真空チャンバー1の体積/真空ポンプ5による排気速度を示す。
第1実施形態にかかる蒸着方法の一例としては、図3に示すように、以下のように処理する。
まず、ステップS1で、基板4を真空チャンバー1内に配置する。
次いで、ステップS2で、光学式濃度取得装置100で、入射光強度を取得する。
次いで、ステップS3で、発熱体制御部15を制御して、発熱体9で配管部2と蒸着源3とを加熱する。
次いで、ステップS4で、電磁弁用制御部14の制御の下に、電磁弁6を第1所定時間だけ開いて、加熱された蒸着源3から蒸発した材料ガスを基板4に供給して、成膜処理を行う。このとき、光学式濃度取得装置100で透過光強度を取得する。すなわち、光学式濃度取得装置100で、光源11から計測光19を出射して、配管部2内の蒸発した材料ガス中を透過した計測光(透過光)19を検出部12で計測し、分析部13で透過光強度を取得する。分析部13で、取得した透過光強度と、ステップS2で取得した入射光強度とに基づいて、成膜速度をリアルタイムに類推する。
次いで、ステップS5で、第1所定時間経過後に、電磁弁用制御部14の制御の下に、第2所定時間だけ電磁弁6を閉じる。この第2所定時間中に、光学式濃度取得装置100で、入射光強度を類推する。すなわち、光学式濃度取得装置100で、光源11から計測光19を出射して、蒸発した材料ガスが配管部2に存在しないときに入射光強度を類推するため、配管部2内を通過した計測光19を検出部12で計測する。分析部13で、類推した入射光強度と、ステップS2で求めた入射光強度が同じ場合は、ステップS4で取得した透過光強度とに基づいて、成膜速度を類推する。分析部13で、類推した入射光強度と、ステップS2で求めた入射光強度が異なる場合は、ステップS5で類推した入射光強度に基づいて、成膜速度を補正する。
次いで、ステップS6では、類推した成膜速度と、処理時間経過とに基づき、所定の膜厚の膜が基板4の成膜面に形成されたか否かを分析部13で推定する。所定の膜厚の膜が基板4の成膜面に形成されたことが推定されて成膜処理が終了するまで、ステップS4とステップS5とを繰り返す。所定の膜厚の膜が基板4に形成されたことが推定されると、全体の処理を終了する。
従って、前記第1実施形態にかかる図1に示す蒸着装置及び方法では、電磁弁6が開いた状態のときと電磁弁6を閉じた状態のときとの両方の場合に光学式濃度取得装置100で濃度計測を行うことができる。言い換えれば、蒸着開始後の蒸着処理中でも、蒸発した材料ガスの透過光強度と、蒸発した材料ガスが配管部2に存在しないときの光源11の入射光強度とが光学式濃度取得装置100の分析部13で見積ることができる。このため、長時間の成膜において、窓16a〜16dに膜が堆積したり、蒸着源3又は配管部2の加熱温度によって、部材が変形又は歪み又は装置の振動により、光軸がずれた場合でも、より正確な材料ガス濃度を光学式濃度取得装置100でリアルタイムに計測することができる。そのため、光学式濃度取得装置100による、安定した成膜速度の見積りが可能となる。よって、従来のように成膜中の透過光強度のみの計測ではなく、成膜中に透過光強度が大きく変動しても、蒸発した材料ガスの正確な濃度を求めることができて、成膜速度のモニター及び膜厚制御が、所望の値から大きくずれることがない。
また、第1実施形態によれば、前記の方法で分析部13で分析した結果を、分析部13から電磁弁制御部14にフィードバックし、予め測定していたデータと電磁弁制御部14で照合し、電磁弁6の開閉回数又は開閉時間(デューティー比)を電磁弁制御部14で調整する。これによって、蒸発した材料ガス量を電磁弁制御部14で調整でき、安定した成膜速度が得られ、高精度に膜厚を制御することが可能になる。
また、第1実施形態によれば、前記の分析部13で分析した結果を、分析部13から発熱体制御部15にフィードバックし、発熱体9により加熱される蒸着源3又は配管部2の温度を発熱体制御部15で調整することで、材料の蒸発量又は成膜速度の制御を行っても良い。
なお、この第1実施形態では、真空チャンバー1内で基板4を静止して、成膜を実施しているが、基板4を、真空チャンバー1内で基板4から蒸着源3への方向に対して垂直な方向へ移動させながらでも成膜しても良い。さらには、真空チャンバー1内で、フィルム基板などへ成膜する際に使用されるロールトゥロール方式で基板を搬送させながら、成膜しても良い。この変形例は、後述する第2実施形態にも適用可能である。
また、この第1実施形態では、一例として、電磁弁6の開閉時間は、0.1ミリ秒以上10秒以下で調整し、この開閉時間で弁の開閉を繰り返している。0.1ミリ秒未満で開閉する電磁弁は非常に高価であり、透過光強度の減少曲線を正確に計測できないため、電磁弁6の開閉時間は、0.1ミリ秒以上であることが望ましい。さらに、10秒より長い電磁弁6の開閉時間では、電磁弁6が閉じている時間が長くなり、生産タクトが悪化することから、電磁弁6の開閉時間は、10秒以下であることが望ましい。この電磁弁6の開閉時間についても、下記の第2実施形態の各電磁弁6A,6Bにも適用可能である。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係わる蒸着装置の概略断面図を示す。
図4において、図1と同じ構成要素は同じ符号を用い、説明は省略する。ただし、蒸着材料8A,8Bの供給系統及び光学式濃度取得系統は2つずつ備えており、2つの系統A,Bの区別のため、参照番号にA及びBの符号を付しているが、基本的な機能及び構造は、第1実施形態の対応する参照番号の部材又は装置と同じである。すなわち、第1実施形態との違いは、真空チャンバー1内に2種類の材料に対応した2個の蒸着源3A,3Bを並列に配置して1つの開口部18に接続していることと、配管部2A,2Bの内側の側面にミラー20A,20Bをそれぞれ設置していること、それに伴い、電磁弁6A,6B及び光学式濃度取得装置100A,100Bも2系統備えていることである。
図1と同様、各々の蒸着源3A,3Bの坩堝7A,7Bから蒸発した材料ガスは、各々の電磁弁6A,6Bによって配管部2A,2B内で1つの開口部18に向けてパルス供給され、1つの基板4に成膜することができる。
各電磁弁6A,6Bの開閉回数又は開閉時間で供給する蒸発した材料ガス量を電磁弁用制御部14A,14Bでそれぞれ調整することによって、基板4への成膜速度を制御する。
さらに、蒸発した材料ガスを少量から計測できるように、配管部2A,2Bの片側壁面にミラー20A,20Bを設置している。これにより、光源11A,11Bから出た計測光19A,19Bは、真空チャンバー1の窓16Aa及び窓16Baを介して真空チャンバー1に導入され、配管部2A,2Bの外側の壁に設置した窓16Ab及び窓16Bbを介して配管部2A,2B内に導入される。その後、計測光19A,19Bは、配管部2A,2Bの内側の壁面に設置したミラー20A,20Bで反射し、再び、窓16Ab及び窓16Bbを介して真空チャンバー1に導入され、真空チャンバー1の窓16Aa及び窓16Baを介して真空チャンバー1外に出射して、検出器12A,12Bにて検出される。配管部2A,2Bの片側をミラー20A,20Bにしたことで、計測光19A,19Bの光路長は二倍になり、図1に示した場合に比べ、より少量の材料濃度から計測できるようになる。各々の蒸着源3A,3Bにおいて、電磁弁6A,6Bが開、つまり、ONのとき(図2の領域(1))に、配管部2A,2Bに蒸発した材料ガスが供給され、光学式濃度取得装置100A,100B(図4)の分析部13A,13Bによって各材料の透過光強度をそれぞれ測定する。また、電磁弁6A,6Bが閉、つまり、OFFのとき(図2の領域(2))のとき、蒸発した材料ガスは、図2の実線に示しように減少するため、光源11A,11Bから出た透過光強度も同じように減少する。この領域(2)における透過光強度の減少曲線から、蒸発した材料ガスが配管部2A,2Bに存在しないときの光源11A,11Bの入射光強度を分析部13A,13Bで概算することができる。電磁弁6A,6Bの閉のときの透過光強度の減少曲線と、成膜を行う前に予め測定したデータとを分析部13A,13Bで照合し、入射光強度を分析部13A,13Bで見積っても良い。また、式2で示した真空チャンバー1の排気曲線から蒸発した材料ガスが配管部2A,2Bに存在しないときの光源11A,11Bの入射光強度を分析部13A,13Bで概算しても良い。
これによって、前記第2実施形態にかかる図4に示す蒸着装置及び方法でも、第1実施形態と同様、電磁弁6A,6Bが開いた状態のときと電磁弁6A,6Bを閉じた状態のときとの両方の場合に光学式濃度取得装置100A,100Bで濃度計測をそれぞれ行うことができる。言い換えれば、蒸着開始後の蒸着処理中でも、蒸発した材料ガスの透過光強度と、蒸発した材料ガスが配管部2A,2Bに存在しないときの光源11A,11Bの入射光強度とが光学式濃度取得装置100A,100Bの分析部13A,13Bで見積ることができる。このため、長時間の成膜において、窓16Aa,16Ab,16Ba,16Bbに膜が堆積したり、蒸着源3A,3B又は配管部2A,2Bの加熱温度によって、部材が変形又は歪み又は装置の振動のより、光軸がずれた場合でも、より正確な材料の濃度を光学式濃度取得装置100A,100Bでリアルタイムに計測することができる。そのため、光学式濃度取得装置100A,100Bによる、安定した成膜速度の見積りが可能となる。よって、従来のように成膜中の透過光強度のみの計測ではなく、成膜中に透過光強度が大きく変動しても、蒸発した材料ガスの正確な濃度を求めることができて、成膜速度のモニター及び膜厚制御が、所望の値から大きくずれることがない。
また、第2実施形態によれば、前記の方法で分析部13A,13Bで分析した結果を、分析部13A,13Bから各々の蒸着源3A,3Bに接続した電磁弁制御部14A,14Bにフィードバックし、予め測定していたデータと電磁弁制御部14A,14Bで照合し、電磁弁6A,6Bの開閉回数又は開閉時間(デューティー比)を電磁弁用制御部14A,14Bで調整する。これによって、蒸発した材料ガス量を電磁弁用制御部14A,14Bで調整でき、安定した成膜速度が得られ、高精度に膜厚を制御することが可能になる。
また、第2実施形態によれば、前記の分析部13A,13Bでの分析結果を、分析部13A,13Bから発熱体制御部15A,15Bにフィードバックし、発熱体9A,9Bにより加熱される蒸着源3A,3B又は配管部2A,2Bの温度を発熱体制御部15A,15Bで調整することで、材料の蒸発量、又は成膜速度の制御を行っても良い。
この第2実施形態では、ミラー20A,20Bを各配管部2A,2Bにおいて一箇所に設けているが、光源11A,11B側にもさらに別のミラーを設置し、それらの別のミラーにより、多重反射させることで、計測光19A,19Bの光路長をさらに長くしても良い。これにより、非常に少量の材料濃度でも計測できるようになる。この変形例は、前述した第1実施形態にも適用可能である。例えば、一方の蒸着源3Aを膜の母材用として使用し、比較的高い材料濃度(高い成膜速度)の材料を供給し、他方の蒸着源3Bを極少量のドーピング材の注入用として使用し、比較的低い濃度(非常に遅い成膜速度)の材料を供給することで、二種類の材料の共蒸着することが可能となる。このように二種類の材料を用いる場合、蒸発した材料ガス濃度を計測する光の波長が異なるため、異なる二種類の光源を用いる。
第2実施形態によれば、材料により吸収する波長が異なるため、2つの異なる光学式濃度取得装置100A,100Bを備えることができて、互いに干渉せず、それぞれのガス濃度を計測でき、高精度な膜厚制御に加え、高精度なドーピング濃度(所望の濃度分布)を得ることができる。
なお、白色光源などを用いて計測を行えば、一種類の光源を用いて、異なる吸収波長の材料の濃度を測ることも可能である。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明における蒸着装置及び蒸着方法は、蒸着膜の成膜速度取得をより高精度に行うことが可能であり、有機EL素子などの有機材料又は無機材料などの薄膜の製造において、長時間の連続成膜においても、安定した成膜速度を得ることできる蒸着装置及び蒸着方法に利用するために有用である。
1 真空チャンバー
2,2A,2B 配管部
3,3A,3B 蒸着源
4 基板
5 真空ポンプ
6,6A,6B 電磁弁
7,7A,7B 坩堝
8,8A,8B 蒸着材料
9,9A,9B 発熱体
11,11A,11B 光源
12,12A,12B 検出器
13,13A,13B 分析部
14,14A,14B 電磁弁用制御部
15,15A,15B 発熱体制御部
16a〜16d,16Aa,16Ab,16Ba,16Bb 窓
18 開口部
19,19A,19B 計測光
20A,20B ミラー
100,100A,100B 光学式濃度取得装置

Claims (11)

  1. 真空チャンバーと、
    前記真空チャンバー内に配置された配管部と、
    前記配管部内に配置された蒸着源と、
    前記配管部及び前記蒸着源を加熱する加熱装置とを有して、前記真空チャンバー内に配置された基板に、前記蒸着源から蒸発又は昇華した気体の材料を成膜する装置であって、
    前記配管部に配置されて、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を制御する気体量制御弁と、
    前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を前記気体量制御弁の開閉により変化させた後、前記配管部内での前記気体の濃度を取得する気体濃度取得装置とを備える蒸着装置。
  2. 前記気体濃度取得装置は、前記気体量制御弁と成膜される前記基板との間に設置する、請求項1に記載の蒸着装置。
  3. 前記気体量制御弁は、0.1ミリ秒以上10秒以下で開閉を繰返す弁である、請求項1又は2に記載の蒸着装置。
  4. 前記気体量制御弁が、加熱機構を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の蒸着装置。
  5. 前記気体量制御弁は電磁弁であり、
    前記気体濃度取得装置で取得した前記気体の濃度から、成膜速度を取得する分析部と、
    前記分析部からの信号により前記電磁弁の開閉回数を制御する電磁弁制御部とをさらに有する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の蒸着装置。
  6. 前記気体濃度取得装置で取得した前記気体の濃度から、成膜速度を取得する分析部と、
    前記分析部からの信号により前記加熱装置を制御する発熱体制御部とを有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の蒸着装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の蒸着装置を利用する蒸着方法であって、
    前記真空チャンバー内に前記基板を配置し、
    前記気体量制御弁を閉じた状態で、前記気体濃度取得装置により前記配管部内での前記気体の濃度を取得して入射光強度を取得し、
    前記加熱装置で前記配管部及び前記蒸着源を加熱し、
    前記気体量制御弁を開いた状態で、前記蒸着源から蒸発又は昇華した材料を前記基板に供給して成膜を開始するとともに、前記気体濃度取得装置により前記配管部内での前記気体の濃度を取得して透過光強度を取得し、
    前記気体量制御弁の開閉を繰り返しつつ、前記気体濃度取得装置により入射光強度と透過光強度とをそれぞれ取得して、成膜処理を行う蒸着方法。
  8. 前記気体量制御弁の開閉時間を0.1ミリ秒以上10秒以下として、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を制御する、請求項7の蒸着方法。
  9. 前記気体濃度取得装置により前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の濃度を取得した結果から、前記気体量制御弁を開閉する時間もしくは回数のどちらか一方又は両方を制御して、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の量を制御する、請求項7又は8に記載の蒸着方法。
  10. 前記気体濃度取得装置により前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の濃度を取得した結果から、前記蒸着源の前記加熱装置の温度を制御する、請求項7〜9のいずれか1つに記載の蒸着方法。
  11. 前記気体量制御弁が閉じたとき、前記気体濃度取得装置により前記気体の濃度を取得して透過光強度を取得し、取得した透過光強度の減衰から、前記気体濃度取得装置における計測光を出射する光源の入射光強度の変動を見積り、前記蒸着源から蒸発又は昇華した前記気体の濃度の分析結果を補正する請求項7〜10のいずれか1つに記載の蒸着方法。
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