JP2016108574A - 熱処理炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用済みの水素含有ガスを活用することが可能な熱処理炉を提供する。【解決手段】炉本体10の内部には被処理物200を収容可能な炉内空間が形成される。炉本体10には、炉内空間に水素を含むガスである第1ガスを導入する導入口18と、炉内空間に収容されているガスを外部に排出する排出口20,22とが形成される。炉内空間は、熱処理温度に保持される熱処理領域と、熱処理領域の周囲に配置されるとともに熱処理温度よりも低い温度である周辺温度に保持される周辺領域とを有する。周辺領域には、周辺温度で作動する水素イオン伝導型の燃料電池30が配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、水素を含む還元雰囲気ガスを用いて被処理物を加熱する熱処理炉に関する。
従来、金属の光輝焼鈍やロウ付けなどを行う熱処理炉においては、熱処理中に被処理物の酸化反応を抑制するために雰囲気熱処理が行なわれている。このような熱処理炉として、水素ガス、または不活性ガスに水素を添加したガスを還元雰囲気として使用するものが実用化されている(たとえば特開2011−162869号公報(特許文献1)参照)。上記熱処理炉によれば、酸化反応が進行しやすい高い熱処理温度であっても、被処理物の酸化を抑制できる。また、金属の表面層を硬化させる浸炭を行う熱処理炉においては、炭化水素と空気とを結合してNi触媒で熱分解させることにより得た一酸化炭素、水素、窒素を主成分とするガス(RXガス)を処理雰囲気として用いる。以上説明した熱処理では、雰囲気中の水蒸気分圧が被処理物の処理結果に影響を及ぼすことが知られており、水蒸気分圧の制御が必要である場合が多い。なお、本明細書では、水素ガス(水素100%のガス)および、不活性ガスまたは他のガスに水素ガスを添加したガスをまとめて「水素含有ガス」または「水素を含むガス」と称する。
特開2011−162869号公報
上記熱処理炉においては、空気中の酸素が被処理物に反応するのを防止するため、炉内に空気(酸素)が極力侵入しないように炉内を陽圧に保ちつつ、炉内に侵入してきた酸素を還元雰囲気中の水素と反応させている。さらに、使用済みの水素含有ガスは高温であり、かつ不純物を含んでいるために回収することが難しく、また、熱処理炉の外部にそのまま放出させることもできない。そのため、従来、使用済みの水素含有ガスを炉内から排出させるための排出管の付近に燃焼装置を設け、排出された水素含有ガスを燃焼させる処理が行なわれている。
しかしながら、上記の水素含有ガスの燃焼処理によって熱が発生するものの、熱処理炉の外部で発生した熱を炉内の熱源として利用することは困難であった。また、安全性を確保する観点から、熱処理炉から排出された高温の水素含有ガスを別の装置に導入して再利用することは、現状において実現が困難であった。
なお、炉内で水素含有ガスの温度を十分に低下させてから水素含有ガスを排出させる構成が考えられるが、炉内で水素含有ガスを冷却するためには、炉内の均熱帯から排出管までの長さを長くすることが必要となり、炉本体が大型化することがある。このように、従来の熱処理炉においては、使用済みの水素含有ガスを活用することが必ずしも容易ではなかった。
本発明の目的は、使用済みの水素含有ガスを活用することが可能な熱処理炉を提供することである。
本発明の一態様に係る熱処理炉は、被処理物を予め設定された熱処理温度で保持することにより被処理物に熱処理を施す熱処理炉である。熱処理炉は、内部には被処理物を収容可能な炉内空間が形成され、かつ、炉内空間に水素を含むガスである第1ガスを導入する導入口および炉内空間に収容されているガスを外部に排出する排出口が形成された炉本体を備える。炉内空間は、熱処理温度に保持される熱処理領域と、熱処理領域の周囲に配置されるとともに熱処理温度よりも低い温度である周辺温度に保持される周辺領域とを有する。熱処理炉はさらに、周辺領域に配置され、周辺温度で作動する水素イオン伝導型の燃料電池を備える。
上記によれば、使用済みの水素含有ガスを活用することが可能な熱処理炉を実現することができる。
実施の形態1に係る熱処理炉の構成を示す断面模式図である。 炉本体の外側から見た燃料電池の配置構成を模式的に示す図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 燃料電池の配置構成を模式的に示す図である。 燃料電池の配置構成の他の構成例を模式的に示す図である。 燃料電池の構成を示す断面図である。 実施の形態2に係る熱処理炉の構成を示す模式図である。 図7に示す熱処理炉を上面から見た状態を示す模式図である。 燃料電池の配置構成を模式的に示す図である。 燃料電池の配置構成を示す縦断面図である。 図10におけるXI−XI線に沿う断面図である。 実施の形態1の変形例に係る熱処理炉の構成を示すブロック図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る熱処理炉は、被処理物を予め設定された熱処理温度で保持することにより被処理物に熱処理を施す熱処理炉である。熱処理炉は、内部には被処理物を収容可能な炉内空間が形成され、かつ、炉内空間に水素を含むガスである第1ガスを導入する導入口および炉内空間に収容されているガスを外部に排出する排出口が形成された炉本体を備える。炉内空間は、熱処理温度に保持される熱処理領域と、熱処理領域の周囲に配置されるとともに熱処理温度よりも低い温度である周辺温度に保持される周辺領域とを有する。熱処理炉はさらに、周辺領域に配置され、周辺温度で作動する水素イオン伝導型の燃料電池を備える。
上記(1)に記載の熱処理炉によれば、炉内空間において、熱処理温度よりも低い温度(周辺温度)に保持されている周辺領域に、周辺温度で動作可能な燃料電池を配置することにより、熱処理においてたとえば還元雰囲気に使用された水素含有ガスを用いて発電させることができる。燃料電池は、周辺温度で動作可能であるため、燃料電池を加熱するためのヒータの設置を必要とせず、燃料電池が発電する際に生成された熱を炉内空間に供給することもできる。この結果、使用済みの水素含有ガスを活用することが可能な熱処理炉を実現できる。
(2)上記(1)に記載の熱処理炉において好ましくは、周辺領域のうち熱処理領域の鉛直上方に位置する部分に燃料電池が配置される。使用された水素含有ガスは、空気や炉出入口のガスカーテンに使用される窒素やアルゴンなどの不活性ガスと比較して比重が小さいため、炉内の上側に集まりやすい。したがって、炉内上側に位置する周辺領域に燃料電池を配置することで、燃料電池のアノードに水素含有ガスを効率良く導入することができる。この結果、燃料電池における電気化学反応を促進させることが可能となる。
(3)上記(2)に記載の熱処理炉において好ましくは、周辺領域は、炉本体の内部において上方に突出した形状の部分を有し、当該部分に燃料電池が配置される。これにより、熱処理領域よりも上側に分布している水素含有ガスを一部分(上方に突出した形状の部分)に集めることができるため、当該部分に収容された燃料電池のアノードに対して、より効率的に水素含有ガスを導入することができる。
(4)上記(3)に記載の熱処理炉において好ましくは、炉本体の内部において上方に突出した形状の部分は、水平面における断面積が上方に行くほど小さくなる。これにより、熱処理領域よりも上側に分布している水素含有ガスを効率良く一部分に集めて燃料電池のアノードに導入することができる。
(5)上記(3)または(4)に記載の熱処理炉において好ましくは、排出口は、炉本体の内部において上方に突出した形状の部分に面する炉本体の内壁面に形成される。これにより、炉本体の内部において上方に突出した形状の部分に面する排気口から排気することで、当該突出した形状の部分へ炉本体の内部全体からより効率的に水素含有ガスを集めることができる。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の熱処理炉において好ましくは、燃料電池は、排出口と熱処理領域とで挟まれる位置に配置される。たとえば還元雰囲気に使用された水素含有ガスは、熱処理領域から排出口を通じて炉本体外に排出される。したがって、熱処理領域と排出口との間にある周辺領域に燃料電池を配置することで、燃料電池のアノードに水素含有ガスを効率良く導入することができる。この結果、燃料電池における電気化学反応を促進させることが可能となる。
(7)上記(1)から(6)のいずれかに記載の熱処理炉において好ましくは、燃料電池は、膜電極複合体を含む。膜電極複合体は、筒状体に形成された水素イオン伝導性の固体電解質と、固体電解質の外周部に形成され、第1ガスが導入される第1電極と、固体電解質の内周部に形成され、酸素を含むガスである第2ガスが導入される第2電極とを有する。これにより、燃料電池において、筒状に形成された膜電極複合体の内面側に電気化学反応による水が生成され、膜電極複合体の外面側には水が生成されない構造が実現される。このため、生成された水が炉内空間の雰囲気ガスに放出されて、水蒸気濃度が上昇するのを回避することができる。
(8)上記(7)に記載の熱処理炉において好ましくは、膜電極複合体は、筒状体の少なくとも一方端に開口部を有する。燃料電池は、膜電極複合体の開口部を含む一方端が炉本体の外側に突出するように配置される。これにより、膜電極複合体の内面側を炉内空間から隔離できるため、内面側に生成された水が炉内空間の雰囲気ガスに放出されるのを回避することができる。
(9)上記(7)または(8)に記載の熱処理炉において好ましくは、水素イオン伝導性の固体電解質は、一般式(1)で表されるペロブスカイト型の酸化物である。
M2ZrCeM3(1−x−y)3−δ ・・・(1)
(一般式(1)中、M2はCa、Sr、Baから選択される少なくとも1種以上の+2価の金属イオンを表し、M3はCeを除く希土類およびMn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、Inから選択される少なくとも1種類以上の+3価の金属イオンを表し、aは0.90以上1.05以下であり、xおよびyはそれぞれ0以上1.0以下であり、x+yは0.75以上1.0以下であり、δは結晶格子中の酸素イオンの欠陥数を表す。)
(10)上記(1)から(9)のいずれかに記載の熱処理炉において好ましくは、燃料電池の動作温度は、400℃以上600℃以下である。これにより、熱処理温度がたとえば600℃〜1100℃程度である熱処理領域の周辺領域に、燃料電池を配置することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施形態の具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
<実施の形態1>
まず、本発明の一実施形態に係る熱処理炉の全体構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る熱処理炉100の構成を示す断面模式図である。実施の形態1に係る熱処理炉100は、被処理物200を予め設定された熱処理温度で保持することにより、被処理物200に熱処理を施す。図1の上下方向が熱処理炉100の高さ方向(鉛直方向)を示し、図1の左右方向が熱処理炉100の幅方向(水平方向)を示している。
図1に示すように、実施の形態1に係る熱処理炉100は、複数の被処理物200を連続して熱処理することが可能な連続式熱処理炉である。熱処理炉100は、炉本体10と、搬入口13と、搬出口14と、搬送ベルト16と、導入管18と、排出管20,22と、ヒータ40,42,44と、筐体110とを備える。
炉本体10は筐体110内に収容されている。炉本体10の水平方向の一方端には搬入口13が接続され、他方端には搬出口14が接続される。被処理物200は、搬入口13において、搬送ベルト16上に載置される。搬送ベルト16は図示しない駆動部により駆動される。搬送ベルト16上に載置された被処理物200は、炉本体10内に搬入される。
炉本体10の内部には、被処理物200を収容可能な炉内空間が形成されている。炉内空間には、ヒータ40,42,44が設けられる。炉内空間の雰囲気はヒータ40,42によって加熱される。加熱された高温になった雰囲気によって、被処理物200が加熱される。
炉内空間には、被処理物200の搬送方向の上流側から下流側に向かって加熱帯、均熱帯および冷却帯が、この順に形成されている。各帯では、被処理物200の品質や寸法等に応じて設定温度が決定されており、被処理物200の全長に亘って熱処理が施される。ヒータ40,42,44は、制御盤24によって制御されることにより、加熱帯、均熱帯および冷却帯の各々を設定温度に保持することができる。
上記のような構成とすることにより、搬入口13から炉本体10の内部に搬入された被処理物200は、加熱帯においてヒータ40により所定温度まで加熱された後、均熱帯においてヒータ42により一定時間だけ一定温度に維持されることによって熱処理が施される。加熱帯は、たとえば200℃〜800℃の温度範囲に保持される。被処理物200の熱処理時における均熱帯の温度(熱処理温度)は、たとえば800℃〜1000℃程度である。被処理物200は均熱帯で熱処理が施された後、冷却帯において200℃〜800℃程度まで冷却される。すなわち、均熱帯は、熱処理温度に保持される「熱処理領域」を形成し、加熱帯および冷却帯は、当該熱処理領域の周囲に配置されるとともに、熱処理温度よりも低い温度である周辺温度に保持される「周辺領域」を形成する。このようにして熱処理工程が完了すると、被処理物200は搬出口14から搬出される。
炉内空間には、還元雰囲気ガスである第1ガスが保持されている。第1ガスは水素(H)を含むガスである。第1ガスは、水素100%のガス、または不活性ガスまたは他のガスに水素ガスを添加したガス(すなわち、水素含有ガス)である。水素は還元力が強いため、還元雰囲気に水素含有ガスを用いることにより、雰囲気中の酸素(O)を強力に還元することができる。これにより、熱処理中における被処理物200の酸化反応を抑制できる。第1ガスとして、たとえばアンモニア(NH)分解ガス、RXガス、水素および窒素(N)を含むガス、水素および不活性ガスの混合ガスなどが用いられる。以下の説明では、炉内空間に導入される水素含有ガスと、炉内空間で還元雰囲気に使用された後の水素含有ガスとを共に「第1ガス」と表記するが、これら2つの水素含有ガスの組成(水素濃度)が必ずしも一致していなくてもよい。
第1ガスは、導入管18から炉本体10内に導入される。このとき、第1ガスは、炉内が陽圧となるように導入される。炉本体10内に導入された第1ガスは、ヒータ40,42によって加熱される。還元雰囲気に使用された第1ガスは、搬入口13に設けられた排出管20および搬出口14に設けられた排出管22の各々から排出される。排出管20,22の各々は排気管111に接続されている。排出管20,22から排出された第1ガスは、排出管20,22の付近に設置された水素処理装置112において燃焼処理が施される。
熱処理炉100は、制御盤24と、外部電力配線26と、燃料電池30と、電圧印加部32と、自家電力配線34とをさらに備える。
ヒータ40,42,44には、外部電力配線26を介して制御盤24から電力が供給される。制御盤24は、外部電源(たとえば商用電源)から電源の供給を受けて、ヒータ40,42,44への給電を制御する。具体的には、炉本体10には、加熱帯、均熱帯および冷却帯の各々の温度を検出するための複数の温度計(図示せず)が設置されている。制御盤24は、複数の温度計の検出値を取得すると、加熱帯、均熱帯および冷却帯の各々について、設定温度に対する温度計の検出値の偏差に基づいて、ヒータ40,42,44の各々へ供給する電力を制御する。これにより、加熱帯、均熱帯および冷却帯はそれぞれ設定温度に保持される。
燃料電池30は、炉内空間において、均熱帯(熱処理領域)の周辺領域に配置される。本実施の形態では、燃料電池30は、加熱帯および冷却帯の少なくとも一方に配置することができる。図1では、燃料電池30を加熱帯に配置する例を示している。燃料電池30は、周辺領域のうち、均熱帯の鉛直上方に位置する部分に配置される。燃料電池30の配置位置については後述する。
燃料電池30は、被処理物200の熱処理温度よりも低い温度(周辺温度)で作動可能である。燃料電池30の動作温度は、好ましくは400℃〜600℃である。このような燃料電池30としては、たとえば、中温形の固体酸化物形燃料電池(Intermediate Temperature Solid Oxide Fuel Cell:IT−SOFC)を用いることができる。IT−SOFCは、たとえば、イットリウムなどの3価のカチオンをドープしたバリウムジルコネートやバリウムセレートに代表される、水素イオン(H)伝導性の固体電解質に用いたSOFCである。IT−SOFCは、たとえば、一般式M2ZrCeM3(1−x−y)3−δで表されるペロブスカイト型の酸化物である。上記一般式中、M2はCa、Sr、Baから選択される少なくとも1種以上の+2価の金属イオンを表し、M3はCeを除く希土類およびMn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、Inから選択される少なくとも1種類以上の+3価の金属イオンを表し、aは0.90以上1.05以下であり、xおよびyはそれぞれ0以上1.0以下であり、x+yは0.75以上1.0以下であり、δは結晶格子中の酸素イオンの欠陥数を表す。また、動作温度を400℃〜600℃程度の低い温度域とすることで、従来のSOFCでは適用できない低い運転温度の熱処理炉にも適用可能である。
このように、燃料電池30に、周辺温度で動作可能なIT−SOFCを採用することにより、燃料電池30は還元雰囲気に使用された第1ガスによって加熱されて動作することができる。したがって、燃料電池30を動作温度まで加熱するための専用のヒータを炉内空間に設置する必要なく、炉内空間に燃料電池30を設置することができる。また、燃料電池30が発電する際に生成される熱を炉内空間に供給することも可能となる。
燃料電池30は、主な構成要素として、膜電極複合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を含む。MEAは、水素含有ガスである第1ガスが導入されるアノード(第1電極)と、第2ガスが導入されるカソード(第2電極)と、2つの電極に挟まれるイオン伝導性絶縁層とにより構成される。本実施の形態では、イオン伝導性絶縁層に、水素イオン伝導性の固体電解質を用いる。すなわち燃料電池30は、水素イオン伝導型のSOFCである。MEAは、第1ガスに含まれる水素と第2ガスとが電気化学反応を起こすことによって発電する。第2ガスは、第1ガスと組み合わせて発電する電気化学反応を生じるものであればよいが、本実施の形態では、空気すなわち空気中の酸素(O)を用いる例を示している。第2ガスとしての空気は、図1に示すように、筐体110の外部から入って炉本体10内のMEAに導入される。
燃料電池30により生成された電力は、自家電力配線34に供給される。図1に示すように、上記の電気化学反応で生じる電力を、自家電力配線34を介してヒータ40,42,44に供給することができる。これにより、ヒータ40,42,44における電力消費の不足分が外部電源から制御盤24を介して供給されることになり、外部電源からの供給電力を減らすことができる。この結果、熱処理炉100のランニングコストを抑えることが可能となる。また、図示は省略するが、燃料電池30により生成された電力を、自家電力配線34を介してヒータ以外の電気負荷(たとえば照明装置など)にも給電する構成としても、同様の効果を得ることができる。
自家電力配線34には、電圧印加部32が挿入されている。電圧印加部32は、制御盤24によって制御される。電圧印加部32は、MEAのアノード(第1電極)とカソード(第2電極)との間に、電気化学反応の順方向の電圧を印加する。熱処理炉100の運転停止中は、電気化学反応が休止状態となるため、アノード等に酸素が触れると酸化が進行する。また、熱処理炉100を稼働させると、電気化学反応が再開することにより、還元が進行する。このように、熱処理炉100の運転および停止の繰り返しに伴って酸化および還元が繰り返される。この酸化および還元の繰り返しは電極材料に損傷を与えるため、電極を劣化させる可能性がある。本実施の形態では、電圧印加部32によって電圧を印加することで休止中の酸化反応を抑制できるため、電極の劣化を防止することができる。電圧印加部32は、たとえばダイオードおよびトランジスタを含む回路を用いて構成することができる。
(燃料電池の配置構成)
図2は、炉本体10の外側から見た燃料電池30の配置構成を模式的に示す図である。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。
図1に示すように、燃料電池30は、周辺領域のうち熱処理領域よりも鉛直上方に位置する部分に設けられる。「周辺領域のうち熱処理領域よりも鉛直上方に位置する部分」とは、熱処理領域よりも高い位置にある部分である。当該部分は、図1に示すように熱処理領域の斜め上方に位置する周辺領域に設けられてもよいし、熱処理領域の真上に位置する周辺領域に設けられていてもよい。
水素含有ガスである第1ガスは、空気に比べて比重が小さい。そのため、均熱帯において還元雰囲気に使用された第1ガスは、炉内空間の鉛直上方に集まりやすい。そのため、炉内空間には、上方に向かって第1ガスの濃度が高くなるという濃度分布が生じている。したがって、熱処理領域よりも高い位置にある周辺領域に燃料電池30を配置することにより、第1ガスの濃度が高くなる領域に燃料電池30を配置することができる。これにより、MEAのアノード(第1電極)に第1ガスを効率良く導入することができるため、MEAにおける電気化学反応を促進させることができる。
周辺領域は、図1および図2に示すように、炉本体10の内部において上方に突出した形状の部分(以下、単に「突出部分」と称する)15を有していてもよい。この突出部分15の内側に燃料電池30が配置される。突出部分15の形状は、内部に空間を形成することが可能であれば特に限定されるものではなく、円柱状、三角柱状、四角柱状、多角柱状、断面真円の半球状、断面楕円の半球状、円錐状、三角錐状、四角錐状、多角錐状、円錐台状、三角錐台状、四角錐台状、多角錐台状、その他の形状であってもよい。これにより、炉内空間の鉛直上方に分散している第1ガスを、突出部分15の内部の空間に集めることができる。
図2では、突出部分15が四角錐台の形状を有する例を示している。突出部分15の4つの側壁面のうちの対向する一対の側壁面のそれぞれには、燃料電池30を挿入するための孔部150が形成されている。
本実施の形態では、燃料電池30は筒状体(たとえば、円筒形)のMEAを有する。図3に示すように、円筒形のMEA7は、外周面を第1ガスが導入されるアノード(第1電極)とし、内周面を第2ガスが導入されるカソード(第2電極)とする。MEA7は、突出部分15の一対の側壁面に形成された孔部150に挿入される。MEA7の両端の開口部はそれぞれ炉本体10の外部に突出している。そのため、MEA7の内側(カソード側)は炉内空間から隔離されている。このようにして、突出部分15において、燃料電池30は炉本体10を貫通して配置される。なお、孔部150の内周面と燃料電池30の外周面との間隙は塞がれており、炉本体10の外部に第1ガスが漏れるのを防止している。
図4は、突出部分15の構成例を模式的に示す図である。図4に示すように、突出部分15は、水平面における断面積が上方に行くほど小さくなるように形成されている。すなわち、突出部分15は、開口部の断面積(図中の面積S2)が最も大きく、最上部の断面積(図中の面積S1)が最も小さくなるように形成されている。
このような構成とすることにより、炉内空間の鉛直上方に分散している第1ガスは、突出部分15の内部に集められる。そして、突出部分15の内部では、上方に行くほど第1ガスの濃度が高くなる。したがって、突出部分15の内部に収容されたMEA7の外周面(アノード)に、第1ガスを効率良く導入することができる。
さらに、突出部分15に面する炉本体10の内壁面に、炉内空間に収容されているガスを排出するための排出口152が設けられる構成としてもよい。図5には、突出部分15の上面に排出口152が設けられる構成が例示されている。これによれば、突出部分の内部に集められた第1ガスは、排出口152を通って炉本体10の外部に排出される。すなわち、突出部分の内部には、開口部側から排出口152に向かって第1ガスが流れるような第1ガスの流路が形成される。この第1ガスの流路上に燃料電池30が配置されることにより、MEA7の外周面(アノード)に第1ガスを効率良く導入することができる。
なお、突出部分15の4つの側壁面のうちのいずれかに排出口152を設ける構成としても、第1ガスの流路上に燃料電池30が配置されるため、一定の効果を奏することができる。
(燃料電池の構成)
以下、図6を用いて、実施の形態1に係る熱処理炉100に配置される燃料電池30の構成について説明する。図6は、燃料電池30の構成を示す断面図である。図6(a)は、燃料電池30の縦断面図であり、図6(b)は図6(a)におけるVIB−VIB線に沿う断面図である。
図6に示すように、円筒形のMEA7は、円筒形の固体電解質1と、固体電解質1の内面を覆うように設けられたカソード(第2電極)2と、固体電解質1の外面を覆うように設けられたアノード(第1電極)5とにより構成される。アノード5は「燃料極」とも称され、カソード2は「空気極」とも称される。なお、図3に示したように、MEA7の内側は炉内空間から隔離されている。
円筒形の固体電解質1の内筒を埋めるように、カソード集電体11が配置されている。また、アノード5の外面に巻き付くようにアノード集電体12が配置されている。
カソード集電体11は、Ni(ニッケル)メッシュシート11aと、多孔質金属体11sと、中心導電棒11kとを含む。Niメッシュシート11aは、MEA7の内面側のカソード2に接触して、多孔質金属体11sから中心導電棒11kへと導電する。多孔質金属体11sは、空気の圧力損失を低くするために、気孔率を高くできる金属めっき体、たとえばセルメット(登録商標:住友電気工業株式会社)を用いるのがよい。これにより、カソード集電体11の全体の電気抵抗を低くしながら、カソード2側への気体導入の圧力損失を低減することができる。
アノード集電体12は、銀ペースト塗布配線12gと、Niメッシュシート12aとを含む。Niメッシュシート12aは、MEA7の外面に接触して自家電力配線34へと導電する。銀ペースト塗布配線12gは、アノード集電体12の電気抵抗を低くすることに寄与する。
第1ガスである水素含有ガスは、Niメッシュシート12aの空隙を通りながらアノード5と接触する。アノード5は、水素を分解して水素イオン(H)および電子(e)を生じさせる。アノード5は、水素イオン(H)をカソード2に向かって固体電解質1に送り出す。アノード反応は次のとおりである。
(アノード反応):H→2H+2e
第2ガスである空気は、Niメッシュシート11aおよび多孔質金属体11sの空隙を通りながらカソード2と接触する。カソード2では、固体電解質1を通って到達した水素イオン(H)が酸素(O)と反応して水(HO)を生じさせる。カソード反応は次のとおりである。
(カソード反応):2H+1/2O+2e→H
上記の電気化学反応の結果、電力が発生し、アノード5とカソード2との間に生じた電位差によってカソード集電体11からアノード集電体12へと電流Iが流れる。カソード集電体11とアノード集電体12との間に電気負荷、たとえばヒータ40,42,44を接続しておくことにより、電気負荷に電力を供給することができる。図6に示すように、カソード集電体11とヒータ40,42,44とを自家電力配線34で結び、この自家電力配線34に電圧印加部32を挿入するのが好ましい。
ここで、本実施の形態では、水素イオン伝導性の固体電解質1を用いたことにより、炉内空間から隔離された筒状体のMEA7の内側のカソード2において、水素イオンと酸素分子と電子とが反応して水が生成される。すなわち、MEA7の内側に水が生成される一方で、MEA7の外側、すなわち、炉内空間には水を生じさせないように構成されている。これにより、炉内空間の雰囲気ガスに水が放出されて水蒸気分圧が上昇するのを容易に回避することができる。この結果、図1に示すように、燃料電池30のMEA7を直接的に炉本体10に設置することができる。
このように、実施の形態1に係る連続式熱処理炉100によれば、熱処理領域の周囲に配置され、かつ、熱処理温度よりも低い周辺温度に保持される周辺領域に、周辺温度で動作可能な燃料電池が配置される。これにより、熱処理に使用された水素含有ガスを用いて燃料電池に電力を発生させることができる。この燃料電池で生じた電力をヒータなどの電気負荷に供給することで、熱処理炉のランニングコストを抑えることが可能となる。
また、周辺領域に配置された燃料電池は、周辺温度で動作可能な燃料電池であるため、燃料電池を加熱するためのヒータを必要とせず、かつ、燃料電池が発電する際に生じた熱を炉内空間に供給することができるため、熱処理炉のランニングコストの低減に寄与する。
さらに、筒状体の水素イオン伝導性の固体電解質の内側のカソードを、炉内空間から隔離した構成とすることにより、電気化学反応によって生成された水を炉内空の雰囲気ガスに放出させることがない。したがって、炉本体に直接的に燃料電池を設置することができる。
この結果、還元雰囲気として使用された水素含有ガスを活用することが可能な熱処理炉を簡易な装置構成で実現することができる。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る熱処理炉102の構成を示す模式図である。図8は、図7に示す熱処理炉102を上面から見た状態を示す模式図である。実施の形態2に係る熱処理炉102は、被処理物200を炉内に搬入して、その単位で熱処理を行なうバッチ式熱処理炉である。図7の上下方向(図8の紙面垂直方向)が熱処理炉102の高さ方向(鉛直方向)を示し、図7および図8の左右方向が熱処理炉102の幅方向(水平方向)を示している。
図7に示すように、実施の形態2に係る熱処理炉102は、炉本体101と、導入管104と、排出管106と、ヒータ46,48とを備える。
炉本体101は、たとえば直方体の形状を有しており、内部に被処理物200を収容する。図7では、被処理物200を1個単位で熱処理する例を示している。炉本体101の内部にはヒータ46,48が設けられている。炉本体101内の雰囲気はヒータ46,48によって加熱される。
炉本体101の内部には、ヒータ46により加熱されて高温になった雰囲気により均熱部が形成される。炉本体101の内部に搬入された被処理物200は、均熱部において一定時間だけ一定温度に維持されることにより熱処理が施される。すなわち、均熱部は、熱処理温度に保持される「熱処理領域」を形成する。被処理物200の熱処理時における均熱帯の温度(被処理物200の熱処理温度)は、たとえば800℃〜1000℃程度である。熱処理工程が完了した後、被処理物200は、炉本体101から搬出される。
炉本体101の内部には、還元性雰囲気ガスである第1ガスが保持されている。第1ガスは、実施の形態1における第1ガスと同様の水素含有ガスであり、たとえばアンモニア(NH)分解ガス、RXガス、水素および窒素(N)を含むガス、水素および不活性ガスの混合ガスなどが用いられる。
第1ガスは、導入管104から炉本体101に導入される。なお、第1ガスは、炉内が陽圧となるように導入される。炉本体101に導入された第1ガスは、ヒータ46,48によって加熱される。還元雰囲気に使用された第1ガスは、排出管106から排出される。排出管106から排出された第1ガスは、排出管106の付近に設置された水素処理装置(図示せず)において燃焼処理が施される。
熱処理炉102は、制御盤24と、外部電力配線26と、燃料電池50と、電圧印加部32と、自家電力配線34とをさらに備える。
ヒータ46,48には、外部電力配線26を介して制御盤24から電力が供給される。制御盤24は、外部電源(たとえば商用電源)から電源の供給を受けて、ヒータ46,48への給電を制御する。具体的には、炉本体101には、均熱部の温度を検出するための温度計(図示せず)が設置されている。制御盤24は、温度計の検出値を取得すると、均熱部の設定温度に対する温度計の検出値の偏差に基づいて、ヒータ46へ供給する電力を制御する。これにより、均熱部は設定温度に保持される。一方、ヒータ48は、後述する周辺領域を燃料電池30の動作温度域に調整するために補助的に用いられる。
燃料電池50は、炉本体101内おいて、熱処理領域の周囲に配置され、熱処理温度よりも低い温度である周辺温度に保持される周辺領域に設けられる。実施の形態2では、炉本体101内において、均熱部と水平方向において隣接するとともに、排出管106から見て均熱部よりも近い位置にある周辺領域(図中の領域RGNに相当)に、燃料電池50が配置される。これにより、燃料電池50は、炉本体101内において、熱処理領域よりも第1ガスの流通方向の下流側に設けられ、熱処理領域から還元雰囲気に使用された第1ガスの供給を受ける。
燃料電池50は、実施の形態1に係る熱処理炉100における燃料電池30と同様に、被処理物200の熱処理温度よりも低い温度(周辺温度)で動作可能である。燃料電池50の動作温度は、好ましくは400℃〜600℃である。このような燃料電池50としては、IT−SOFCが好適に用いられる。燃料電池50に、周辺温度で動作可能なIT−SOFCを採用することにより、炉本体101内に設置された燃料電池50は、還元雰囲気に使用された第1ガスによって加熱されて動作することができる。
燃料電池50は、主な構成要素として、MEAを有している。MEAは、水素含有ガスである第1ガスが導入されるアノード(第1電極)と、第2ガスが導入されるカソード(第2電極)と、2つの電極に挟まれるイオン伝導性絶縁層とにより構成される。実施の形態2では、実施の形態1と同様に、イオン伝導性絶縁層に、水素イオン(H)伝導性の固体電解質を用いる。
図9は、燃料電池50の配置構成を模式的に示す図である。図9に示すように、周辺領域RGNには、燃料電池50が収容されている。燃料電池50は、筒状体(たとえば円筒状)のMEA7を有している。
円筒状のMEA7には、下部を炉本体101の周辺領域RGN内に収容するとともに、上部を炉本体101から上方に突出させることにより突出部41が設けられている。MEA7の上部の開口端部には、接続部材35が設けられている。MEA7は、接続部材35を介して、第2ガスとしての空気をMEA7内へ導入するとともに、電気化学反応により生成された水を排出するように構成されている。
周辺領域RGNにはヒータ48が設けられている。周辺領域RGNの雰囲気温度は、ヒータ48を用いることによって、燃料電池50の動作温度域(400℃〜600℃)になるように調整することができる。具体的には、炉本体101には、周辺領域RGNの温度を検出するための温度計(図示せず)が設置されている。制御盤24は、温度計の検出値を取得すると、周辺領域RGNの設定温度に対する温度計の検出値の偏差に基づいて、ヒータ48へ供給する電力を制御する。これにより、周辺領域RGNは燃料電池50の動作温度域に保持される。
(燃料電池の構成)
以下、図10および図11を用いて、実施の形態2の熱処理炉102に配置される燃料電池50の構成について説明する。
図10は、燃料電池50の配置構成を示す縦断面図である。図11は、図10におけるXI−XI線に沿う断面図である。
円筒状のMEA7は、円筒状の固体電解質1と、固体電解質1の外面を覆うように設けられたアノード(第1電極/燃料極)5と、固体電解質1の内面を覆うように設けられたカソード(第2電極/空気極)2とから構成される。
MEA7の外側には第1ガスとして水素含有ガスが流される。また、MEA7の内側には、第2ガスとして空気が流される。そして、第2ガスが流れるMEA7の内部の流路を第2のガス流路91とするとともに、第1ガスが流れるMEA7の外側の炉本体101内の空間(周辺領域RGN)を第1のガス流路としている。
筒状MEA7は、図10に示すように、下端部が封止されるとともに、上端部からガス誘導パイプ11pが挿入されている。MEA7の下端部は、固体電解質1および固体電解質1の内側に位置するカソード2を延出させて、底部を設けることによって封止部94が設けられている。
ガス誘導パイプ11pは、MEA7の上端部から下端部(封止部94)側に向けて挿入されている。MEA7のカソード2の内周面とガス誘導パイプ11pの外周面との間に、筒状流路93が形成される。筒状流路93には、多孔質金属体11sが挿入されている。ガス誘導パイプ11pを中央部に保持しつつ、ガス誘導パイプ11pの外周面とカソード2との内周面との間に、筒状流路93が形成される。
ガス誘導パイプ11pの内部空間92内を封止部94に向けて第2ガスを流し、封止部94の近傍においてガス誘導パイプ11p内から第2ガスを流出させるとともに反転させ、さらに筒状流路93を内部空間92での流れとは反対方向に向けて第2ガスを流すように構成している。すなわち、内部空間92と筒状流路93とによって第2のガス流路91が構成される。
上記構成を採用することにより、MEA7の内側の空間において、MEA7の筒長さの約2倍の距離を第2のガス流路91とすることができる。これにより、ガス誘導パイプ11p内で加熱され、温度が上昇された状態でMEA7に作用させることができる。この結果、MEA7における電気化学反応を促進することが可能となる。
また、ガス誘導パイプ11pは、ステンレス等の導電性の金属で形成されており、カソード集電体11の構成要素として機能する。一方、アノード5の外面に巻き付くようにアノード集電体12が配置されている。
カソード集電体11は、銀ペースト塗布層11gと、Niメッシュシート11aと、多孔質金属体11sと、ガス誘導パイプ11pとを含む。Niメッシュシート11aは、銀ペースト塗布層11gを介して、MEA7の内面側のカソード2に接触して、多孔質金属体11sからガス誘導パイプ11pへと導電するように構成されている。銀ペースト塗布層11gを設けることにより、カソード2とカソード集電体11との間の電気抵抗を低減することができる。
Niメッシュシート11aの先端部W1は、封止部94の近傍において、ガス誘導パイプ11pの外周部にバンド状の接合部材W2を介して巻き付けるように導電接続されている。このため、Niメッシュシート11aは、並列的に、Niメッシュシート11a/多孔質金属体11s/ガス誘導パイプ11pという導電路と、Niメッシュシート11a/ガス誘導パイプ11pという導電路とを形成している。この結果、Niメッシュシート11aは、MEA7の内面に位置して、低い電気抵抗を維持しながら、圧力損失の増大を防止することができる。
なお、多孔質金属体11sは、第2ガスの圧力損失を低減させるために、気孔率を高くできる金属メッキ体、たとえばセルメットを用いるのが好ましい。
アノード集電体12は、銀ペースト塗布配線12gと、Niメッシュシート12aとを含む。Niメッシュシート12aは、MEA7の外面と接触して、自家電力配線34へと導電している。
第2ガスは、ガス誘導パイプ11pを介してMEA7の封止部94の近傍まで誘導される。MEA7は、雰囲気ガスによって、その全体が400℃〜600℃程度に加熱されているため、第2ガスはガス誘導パイプ11p内を流動する間に昇温する。第2ガスは、第2のガス流路91を内部空間92から筒状流路93内へと流れ、多孔質金属体11s、Niメッシュシート11aおよび銀ペースト塗布層11gの空隙を通りながら、カソード2と接触する。
アノード5には、第1ガスが導入される。アノード5は、第1ガスに含まれる水素を分解して、水素イオン(H)および電子(e)を生じさせ、この水素イオンをカソード2に向かって固体電解質1へと送り出す。カソード2では、固体電解質1を通って到達した水素イオンが酸素と反応して水を生じさせる。
上記の電気化学反応の結果、電力が発生し、アノード5とカソード2との間に生じた電位差によってカソード集電体11からアノード集電体12へと電流Iが流れる。したがって、カソード集電体11とアノード集電体12との間に電気負荷(たとえばヒータ46,48)を接続しておくことにより、電気負荷に電力を供給することができる。図10に示すように、カソード集電体11とヒータ48とを自家電力配線34で結び、この自家電力配線34に電圧印加部32を挿入するのが好ましい。
本実施の形態では、水素イオン伝導性の固体電解質1を用いたことにより、炉内空間から隔離されたMEA7の内側のカソード2において、水素イオンと酸素分子と電子とが反応して水が生成される。すなわち、炉内空間から隔離されたMEA7の内側に水が生成される一方で、MEA7の外側、すなわち、炉本体101の内部には水を生じさせないように構成されている。そのため、図7に示すように、燃料電池50を炉本体101内に設置することができる。
このように、実施の形態2に係るバッチ式熱処理炉102によれば、炉内空間の熱処理領域と水平方向において隣接するとともに、排出管から見て熱処理領域よりも近い位置にある周辺領域に、熱処理温度よりも低い周辺温度で動作可能な燃料電池を配置する。これにより、熱処理において還元雰囲気に使用された水素含有ガスを用いて燃料電池に電力を発生させることができる。この結果、実施の形態2に係る熱処理炉においても、実施の形態1と同様に、熱処理炉のランニングコストを抑えることが可能となる。
また、燃料電池が発電する際に生じた熱を炉内空間に供給できるため、熱処理炉のランニングコストの低減に寄与する。
さらに、筒状体の水素イオン伝導性の固体電解質の内側のカソードを、炉内空間から隔離した構成とすることにより、電気化学反応によって生成された水を炉内空の雰囲気ガスに放出させることがない。したがって、炉本体に直接的に燃料電池を設置することができる。
この結果、還元雰囲気として使用された水素含有ガスを活用することが可能な熱処理炉を簡易な装置構成で実現することができる。
なお、上記の実施の形態1および2においては、燃料電池が発生する電力をヒータ等の電気負荷に投入する構成について例示したが、この電力を蓄電装置に蓄えておく構成としてもよい。図12は、実施の形態1の変形例に係る熱処理炉の構成を示すブロック図である。図12に示すように、自家電力配線34は蓄電装置300に接続されている。これにより、電気負荷に供給する電力の電圧レベルを安定化させることができる。また、熱処理炉の起動時には、燃料電池が未だ発電していない状態であっても、蓄電装置300に蓄えられた電力を用いてヒータ40,42,44を作動させることができる。
また、上記の実施の形態1および2では、燃料電池の一例として、筒状体のMEAを有する構成について説明したが、板状構造のMEAを有する構成であっても本発明を適用することが可能である。ただし、筒状体のMEAを用いることで、筒状体MEAの内面側に電気化学反応による水が生成されるため、炉本体内の雰囲気ガスに水蒸気が混じるのを容易に回避することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 固体電解質
2 カソード(第2電極)
5 アノード(第1電極)
7 MEA
10,101 炉本体
11 カソード集電体
11a,12a Niメッシュシート
11g 銀ペースト塗布層
11k 中心導電棒
11p ガス誘導パイプ
12 アノード集電体
12g 銀ペースト塗布配線
13 搬入口
14 搬出口
15 突出部分
16 搬送ベルト
18 導入管
20,22 排出管
24 制御盤
26 外部電力配線
30,50 燃料電池
32 電圧印加部
34 自家電力配線
35 接続部材
40,42,44,46,48 ヒータ
41 突出部
100,102 熱処理炉
110 筐体
150 孔部
152 排出口
200 被処理物
300 蓄電装置

Claims (10)

  1. 被処理物を予め設定された熱処理温度で保持することにより前記被処理物に熱処理を施す熱処理炉であって、
    内部には前記被処理物を収容可能な炉内空間が形成され、かつ、前記炉内空間に水素を含むガスである第1ガスを導入する導入口および前記炉内空間に収容されているガスを外部に排出する排出口が形成された炉本体を備え、
    前記炉内空間は、前記熱処理温度に保持される熱処理領域と、前記熱処理領域の周囲に配置されるとともに前記熱処理温度よりも低い温度である周辺温度に保持される周辺領域とを有し、
    前記熱処理炉はさらに、
    前記周辺領域に配置され、前記周辺温度で作動する水素イオン伝導型の燃料電池を備える、熱処理炉。
  2. 前記周辺領域のうち前記熱処理領域の鉛直上方に位置する部分に前記燃料電池が配置される、請求項1に記載の熱処理炉。
  3. 前記周辺領域は、前記炉本体の内部において上方に突出した形状の部分を有し、当該部分に前記燃料電池が配置される、請求項1または請求項2に記載の熱処理炉。
  4. 前記炉本体の内部において上方に突出した形状の部分は、水平面における断面積が上方に行くほど小さくなる、請求項3に記載の熱処理炉。
  5. 前記排出口は、前記炉本体の内部において上方に突出した形状の部分に面する前記炉本体の内壁面に形成される、請求項3または請求項4に記載の熱処理炉。
  6. 前記燃料電池は、前記排出口と前記熱処理領域とで挟まれる位置に配置される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の熱処理炉。
  7. 前記燃料電池は、膜電極複合体を含み、
    前記膜電極複合体は、
    筒状体に形成された水素イオン伝導性の固体電解質と、
    前記固体電解質の外周部に形成され、前記第1ガスが導入される第1電極と、
    前記固体電解質の内周部に形成され、酸素を含むガスである第2ガスが導入される第2電極とを有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱処理炉。
  8. 前記膜電極複合体は、前記筒状体の少なくとも一方端に開口部を有し、
    前記燃料電池は、前記膜電極複合体の前記開口部を含む前記一方端が前記炉本体の外側に突出するように配置される、請求項7に記載の熱処理炉。
  9. 前記水素イオン伝導性の固体電解質は、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト型の酸化物である、請求項7または請求項8に記載の熱処理炉。
    M2ZrCeM3(1−x−y)3−δ ・・・(1)
    (一般式(1)中、M2はCa、Sr、Baから選択される少なくとも1種以上の+2価の金属イオンを表し、M3はCeを除く希土類およびMn、Fe、Co、Ni、Al、Ga、Inから選択される少なくとも1種類以上の+3価の金属イオンを表し、aは0.90以上1.05以下であり、xおよびyはそれぞれ0以上1.0以下であり、x+yは0.75以上1.0以下であり、δは結晶格子中の酸素イオンの欠陥数を表す。)
  10. 前記燃料電池の動作温度は、400℃以上600℃以下である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の熱処理炉。
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