JP2016108236A - セメント用急硬性添加材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低温においても、水和活性が優れて良好な急硬性能を示すと同時に所定の流動性を十分に確保することができる、セメントに後添加するセメント用急硬性添加材及びその製造方法を提供する。【解決手段】 セメント用急硬性添加材は、セメントに後添加する添加材であって、C12A7系鉱物相を70質量%以上、C3Aを5.0質量%以下、TiをTiO2換算で1.0質量%以下、MgをMgO換算で3〜9質量%、FeをFe2O3換算で1.5質量%以下で含有し、X線回析で測定したC12A7系鉱物相の結晶子径が150〜500nmでC12A7系鉱物相の格子定数が11.940〜11.975Åである、好ましくは更にFを0.5〜3.0質量%含有する。【選択図】 なし
Description
本発明は、セメント用急硬性添加材及びその製造方法に関し、特に、任意のセメントに後添加して、常温のみならず低温でも、当該セメントに優れた急硬性を付与するとともに、所定の流動性を有することで施工性にも優れる、セメント用急硬性添加材及びその製造方法に関する。
近年、トンネルや地下空間の建設工事では、モルタルやコンクリート等のセメント混合物を、壁面や露出面に吹き付けてライニングし、壁面や露出面の崩落を防止する吹き付け施工工法が広く実施されている。
かかるコンクリート吹き付け工法においては、コンクリート等を調製し、それを取り扱う際に必要な最低限の可使時間(ハンドリングタイム)を確保するとともに、壁面や露出面に吹き付けた後に、コンクリート等を即時に硬化させる必要がある。
また、止水工事や緊急工事においても、モルタルやコンクリートの可使時間を確保するとともに、即時に硬化させる必要がある。
かかるコンクリート吹き付け工法においては、コンクリート等を調製し、それを取り扱う際に必要な最低限の可使時間(ハンドリングタイム)を確保するとともに、壁面や露出面に吹き付けた後に、コンクリート等を即時に硬化させる必要がある。
また、止水工事や緊急工事においても、モルタルやコンクリートの可使時間を確保するとともに、即時に硬化させる必要がある。
従来、急硬性を有するセメントとして、ジェットセメント等の急硬性セメントを製造している。これらに使用されるクリンカとして、ジェットセメントクリンカ、C4A3SO3を主成分とするアーウィン系クリンカ、CAを主成分とするアルミナセメントクリンカ等がある。
また、急硬性成分であるC12A7を主成分としたクリンカを溶融し、その後これを急冷することによって、非晶質C12A7を得る方法もある。
また、急硬性成分であるC12A7を主成分としたクリンカを溶融し、その後これを急冷することによって、非晶質C12A7を得る方法もある。
特に、従来のジェットセメントクリンカは、カルシウムシリケート相を主成分とし速硬性成分としてC11A7・CaF2を約20〜30重量%含有するクリンカであり、C11A7CaF2やC4AF等の融液相を生成させてなるものである。従って、急硬性成分であるC12A7の含有量を、上記範囲以上とすると、融液相が多くなりすぎ、クリンカが溶融してしまい、例えば実機設備での製造が非常に困難となる。
また、アーウィン系クリンカは、急硬性を有するアーウィン(C4A3SO3)を70重量%以上含有することから急硬性セメント用クリンカとして利用されているが、その急硬性成分の特性により、特に、低温での急硬性に劣るという問題がある。
更に、CAを主成分とするアルミナセメントクリンカは、C12A7を主成分としたクリンカに比べると、急硬性が劣る。
更に、CAを主成分とするアルミナセメントクリンカは、C12A7を主成分としたクリンカに比べると、急硬性が劣る。
急硬性クリンカとしては、特許第4616113号公報(特許文献1)に、還元雰囲気下での焼成前のC12A7またはC11A7・CaX2(Xはハロゲンを示す)の含有量が20〜30質量%であって、該C12A7またはC11A7・CaX2(Xはハロゲンを示す)を、還元雰囲気下、1300〜1380℃で焼成することにより、X線回折により測定した格子定数が11.93〜11.96Åであることを特徴とする、急硬性クリンカが開示されている。
更に、特許第3179702号公報(特許文献2)には、急硬性セメント、急結材、速硬性セメント、地盤改良材、マスキング材等に使用されるクリンカ組成物であって、鉱物相として、12CaO・7Al2O3系のカルシウムアルミネートを主成分としたクリンカ原料に、Fe2O3を全体の0.1〜9重量%、CaF2を全体の0.1〜9重量%含有共存させることによって低温融液相と高温融液相とを生成させ、且つTiO2を全体の0.5〜9重量%添加することによって該低温融液相と高温融液相との融液生成開始温度を低下させて焼成してなることを特徴とする急硬性クリンカ組成物が開示されている。
これらの従来のセメントクリンカは、固相反応を促進させるため、融液相を積極的に生成させる必要があり、融液相が少ないと固相反応が進まずクリンカ鉱物生成がうまく進行しない。一方、融液相の過剰生成は、クリンカ製造上問題となるため、生成される融液相の量を一定の範囲に入るように調整する必要があった。
特に、上記特許文献2等のクリンカは、C12A7系鉱物含有量をジェットクリンカに比べて増加させたものであり、C12A7系鉱物相を固相反応により生成するものである。このときFeやTiを添加して適量の融液相を生成させてクリンカを得ている。
また、上記従来のクリンカのC12A7系鉱物は固溶体であり、FeやTiの含有によりC12A7系鉱物の固溶状態が変化し、このことは、C12A7系鉱物の水和活性に影響を及ぼす。
特に、上記特許文献2等のクリンカは、C12A7系鉱物含有量をジェットクリンカに比べて増加させたものであり、C12A7系鉱物相を固相反応により生成するものである。このときFeやTiを添加して適量の融液相を生成させてクリンカを得ている。
また、上記従来のクリンカのC12A7系鉱物は固溶体であり、FeやTiの含有によりC12A7系鉱物の固溶状態が変化し、このことは、C12A7系鉱物の水和活性に影響を及ぼす。
かかる従来のセメントクリンカは、常温のみならず低温において所望する急硬性である、例えば3時間強度を十分に得るものではなく、また、セメントの流動性を十分に確保することも難しかった。これは、クリンカを製造するために必要な適量の融液相を生成させる条件と、急硬性成分の固溶状態、すなわち水和活性を最大とする条件が必ずしも一致しないからであり、急硬性成分の水和活性を最大とする設計は困難であった。
更に、これらのクリンカはセメントの製造に用いる材料であり、任意のセメントに後添加して、得られるセメントの水和活性を利用時に増大し、所望する任意の急硬性を得るのに用いるものではない。
更に、これらのクリンカはセメントの製造に用いる材料であり、任意のセメントに後添加して、得られるセメントの水和活性を利用時に増大し、所望する任意の急硬性を得るのに用いるものではない。
本発明の目的は、任意のセメントに後添加することで、得られるセメント組成物に対して、常温のみならず低温においても、良好な流動性を確保することができるとともに、優れた急硬性能の付与を容易に行うことができる、水和活性に優れたセメント用急硬性添加材及びその製造方法を提供することである。
特に、任意のセメントに、現場等にて後添加することで得られるセメント組成物が、5℃のような低温時での初期強度発現性に優れ、またポンプ圧送がしやすい等、流動性を確保することができる、セメント用急硬性添加材及びその製造方法を提供することである。
特に、任意のセメントに、現場等にて後添加することで得られるセメント組成物が、5℃のような低温時での初期強度発現性に優れ、またポンプ圧送がしやすい等、流動性を確保することができる、セメント用急硬性添加材及びその製造方法を提供することである。
請求項1記載のセメント用急硬性添加材は、セメントに後添加する添加材であって、C12A7系鉱物相を70質量%以上、C3Aを5.0質量%以下、TiをTiO2換算で1.0質量%以下、MgをMgO換算で3〜9質量%、FeをFe2O3換算で1.5質量%以下で含有し、X線回析で測定したC12A7系鉱物相の結晶子径が150〜500nmで、C12A7系鉱物相の格子定数が11.940〜11.975Åであることを特徴とする、セメント用急硬性添加材である。
請求項2記載のセメント用急硬性添加材は、請求項1記載のセメント用急硬性添加材において、更にFを0.5〜3.0質量%含有することを特徴とする、セメント用急硬性添加材である。
請求項3記載のセメント用急硬性添加材は、請求項2記載のセメント用急硬性添加材において、X線回析で測定したC12A7系鉱物相の格子定数は、下記式:
C12A7系鉱物相の格子定数≦−0.93×(Fの質量%/C12A7系鉱物相の質量%)+11.98
を満足することを特徴とする、セメント用急硬性添加材である。
C12A7系鉱物相の格子定数≦−0.93×(Fの質量%/C12A7系鉱物相の質量%)+11.98
を満足することを特徴とする、セメント用急硬性添加材である。
請求項4記載のセメント用急硬性添加材は、請求項1乃至3いずれかの項記載のセメント用急硬性添加材において、C12A7系鉱物相は、C11A7CaX2(Xはハロゲン)及びC12A7の混合相である。
請求項5記載のセメント用急硬性添加材の製造方法は、原料を粉末化し、該粉末化原料を成型し、成型体を1250〜1400℃で焼成し、該焼成後の成型体を冷却速度40℃/分以下で冷却することにより請求項1乃至4いずれかの項記載のセメント用急硬性添加材を得ることを特徴とする、セメント用急硬性添加材の製造方法である。
請求項6記載のセメント用急硬性添加材の製造方法は、請求項5記載のセメント用急硬性添加材の製造方法において、固相反応を促進させるための融液相生成の制御をすることがないことを特徴とする、セメント用急硬性添加材の製造方法である。
本発明のセメント用急硬性添加材は、任意のセメントに後混合するための添加材であって、任意のセメントに後混合することにより、得られるモルタル等の水和活性を向上させて所望する優れた急硬性能を迅速に、また経済的に得ることができるとともに、所定の流動性を有して優れた施工性を確保することが可能となる。
従って、急硬性用途において作業現場等で有効に適用することが可能となり、更に、本発明のセメント用急硬性添加材を所望する初期強度に応じて任意の量で簡便に調整添加することで、所望する急硬性を得る設計を行うことが容易となり、常温のみならず、特に5℃以下での低温時での初期強度発現性に優れることとなる。
また、本発明のセメント用急硬性添加材を用いたモルタル等の、例えばポンプ圧送性が良好となる流動性を有することが可能である。
従って、急硬性用途において作業現場等で有効に適用することが可能となり、更に、本発明のセメント用急硬性添加材を所望する初期強度に応じて任意の量で簡便に調整添加することで、所望する急硬性を得る設計を行うことが容易となり、常温のみならず、特に5℃以下での低温時での初期強度発現性に優れることとなる。
また、本発明のセメント用急硬性添加材を用いたモルタル等の、例えばポンプ圧送性が良好となる流動性を有することが可能である。
本発明のセメント用急硬性添加材の製造方法は、一定量の融液相生成を実質的に必要とせず、本発明のセメント用急硬性添加材を容易に製造することができ、また特殊な装置や設備を必要とせず、既存の設備を利用して、経済的に製造することができる。
本発明を次の形態により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のセメント用急硬性添加材は、セメントに後添加する添加材であって、C12A7系鉱物相を70質量%以上、C3Aを5.0質量%以下、TiをTiO2換算で1.0質量%以下、MgをMgO換算で3〜9質量%、FeをFe2O3換算で1.5質量%以下で含有し、X線回析、特にリートベルト法により測定したC12A7系鉱物相の結晶子径が150〜500nmで、C12A7系鉱物相の格子定数が11.940〜11.975Åである、セメント用急硬性添加材である。
好ましくは、更にFを0.5〜3.0質量%含有する。
また、本発明のセメント用急硬性添加材には、アーウィンは含まれない。
本発明のセメント用急硬性添加材は、セメントに後添加する添加材であって、C12A7系鉱物相を70質量%以上、C3Aを5.0質量%以下、TiをTiO2換算で1.0質量%以下、MgをMgO換算で3〜9質量%、FeをFe2O3換算で1.5質量%以下で含有し、X線回析、特にリートベルト法により測定したC12A7系鉱物相の結晶子径が150〜500nmで、C12A7系鉱物相の格子定数が11.940〜11.975Åである、セメント用急硬性添加材である。
好ましくは、更にFを0.5〜3.0質量%含有する。
また、本発明のセメント用急硬性添加材には、アーウィンは含まれない。
すなわち、C12A7系鉱物相を主成分とする添加材であって、C3Aを5.0質量%以下で、下記するようにTiやFeを実質的に含まず、MgをMgO換算で3〜9質量%含み、更に好ましくはFを0.5〜3.0質量%含有し、主成分であるC12A7系鉱物相の結晶子径や格子定数が特定の範囲等にあるものとすることにより、任意の市場で入手し得るセメントに後添加して得られるモルタル等の水和活性を融液相の生成量と関係することなく向上させ、常温のみならず、低温においても早期強度発現性に優れるものとすることができ、流動性を確保することもできるものとなる。
本発明のセメント用急硬性添加材には、カルシウムアルミネート相であるC12A7系鉱物相が70質量%以上含まれ、好適には80質量%以上含まれる。
本発明のセメント用急硬性添加材は、製造時に原料粉末を成型する成型工程等を導入することにより固相反応を促進させるための融液相生成の制御を必要とせず、急硬性成分であるC12A7系鉱物相の水和活性を最大とすることが可能となる。
従って、C12A7系鉱物相を高含有量で含みかつ水和活性を向上させることができ、その結果、上記本発明の効果を十分に奏することができるものとなる。
上記C12A7系鉱物相の含有量が70質量%未満であると、十分な急硬性が得られず、初期強度が低下してしまい、本発明の上記効果が有効に得られない。
ここで、C12A7系鉱物相には、C12A7やC11A7・CaX2(Xは、F、Cl、Br等のハロゲン)が該当し、またこれらの混合相であってもよい。
本発明のセメント用急硬性添加材は、製造時に原料粉末を成型する成型工程等を導入することにより固相反応を促進させるための融液相生成の制御を必要とせず、急硬性成分であるC12A7系鉱物相の水和活性を最大とすることが可能となる。
従って、C12A7系鉱物相を高含有量で含みかつ水和活性を向上させることができ、その結果、上記本発明の効果を十分に奏することができるものとなる。
上記C12A7系鉱物相の含有量が70質量%未満であると、十分な急硬性が得られず、初期強度が低下してしまい、本発明の上記効果が有効に得られない。
ここで、C12A7系鉱物相には、C12A7やC11A7・CaX2(Xは、F、Cl、Br等のハロゲン)が該当し、またこれらの混合相であってもよい。
一方、本発明のセメント用急硬性添加材は、C3A含有量は多くとも5.0質量%、それ以下でなければならず、実質的には含まれないことが望ましい。C3Aが5.0質量%を超えると、C12A7系鉱物相の含有量が減少するため、十分な急硬性が得られず、初期強度が低下してしまい、本発明の上記効果が得られない。
かかるC12A7系鉱物相を主成分とし、C3Aの含有量が一定以下の本発明のセメント用急硬性添加材には、更に、C2SやC2ASは実質的に含まれないことが望ましい。
実質的に含まないとは、これらの鉱物相が、原料中に含まれる不純物であるSiO2により生成される場合を妨げないという意味であり、積極的に生成して含有させるものではない。C2SとC2ASの合計含量は多くとも10質量%、それ以下であることが望ましい。これは、カルシウムアルミネート相であるC12A7系鉱物相の含有量を上記範囲から減少させないためである。
なお、本発明のセメント用急硬性添加材は、下記するように、1250〜1400℃、好ましくは1300〜1360℃で焼成されて調製されることにより、C3Sはほとんど生成されることはなく、実質的には含まれない。また、C4AFは、本発明のセメント用急硬性添加材中のFe2O3が1.5質量%以下であるので、ほとんど生成されず実質的に含まれない。
実質的に含まないとは、これらの鉱物相が、原料中に含まれる不純物であるSiO2により生成される場合を妨げないという意味であり、積極的に生成して含有させるものではない。C2SとC2ASの合計含量は多くとも10質量%、それ以下であることが望ましい。これは、カルシウムアルミネート相であるC12A7系鉱物相の含有量を上記範囲から減少させないためである。
なお、本発明のセメント用急硬性添加材は、下記するように、1250〜1400℃、好ましくは1300〜1360℃で焼成されて調製されることにより、C3Sはほとんど生成されることはなく、実質的には含まれない。また、C4AFは、本発明のセメント用急硬性添加材中のFe2O3が1.5質量%以下であるので、ほとんど生成されず実質的に含まれない。
また、本発明のセメント用急硬性添加材は、Tiを積極的に含むものではなく、実質的には含まれない。
実質的に含まないとは、Tiが、原料中に含まれる不純物により生成される場合を妨げないという意味であり、積極的に含有させるものではない。
例えば、Tiの含有量をTiO2酸化物換算で1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下とするものである。
すなわち、本発明のセメント用急硬性添加材は、一定量の融液相の生成を必要としないため、融液相の生成に関係があるTiを積極的に含む必要がないからである。
TiO2を実質的に含まず、多くとも上記含量以下とすることにより、低温での急硬性、例えば5℃以下での初期強度発現性(施工後3時間後等)に優れることとなる。
TiO2換算でTiを1.0質量%を超えて含むと、C3Aが5.0質量%を超えて生成してしまい、本発明の効果が得られない。
実質的に含まないとは、Tiが、原料中に含まれる不純物により生成される場合を妨げないという意味であり、積極的に含有させるものではない。
例えば、Tiの含有量をTiO2酸化物換算で1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下とするものである。
すなわち、本発明のセメント用急硬性添加材は、一定量の融液相の生成を必要としないため、融液相の生成に関係があるTiを積極的に含む必要がないからである。
TiO2を実質的に含まず、多くとも上記含量以下とすることにより、低温での急硬性、例えば5℃以下での初期強度発現性(施工後3時間後等)に優れることとなる。
TiO2換算でTiを1.0質量%を超えて含むと、C3Aが5.0質量%を超えて生成してしまい、本発明の効果が得られない。
更に、本発明のセメント用急硬性添加材は、MgをMgO換算で3〜9質量%、好ましくは3〜6質量%含むものである。
MgOを上記範囲で含むことにより、C12A7系鉱物相の格子定数が小さくなり、低温での急硬性、例えば5℃以下での初期強度発現性(施工後3時間後等)に優れることとなる。
MgOを上記範囲で含むことにより、C12A7系鉱物相の格子定数が小さくなり、低温での急硬性、例えば5℃以下での初期強度発現性(施工後3時間後等)に優れることとなる。
また本発明のセメント用急硬性添加材は、Feを積極的に含むものではなく、実質的には含まれない。
実質的に含まないとは、Tiが、原料中に含まれる不純物により生成される場合を妨げないという意味であり、積極的に含有させるものではない。
例えば、Feの含有量をFe2O3酸化物換算で1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下とするものである。
すなわち、本発明のセメント用急硬性添加材は、一定量の融液相の生成を必要としないため、融液相の生成に関係があるFeを積極的に含む必要がないからである。
Fe2O3を上記含量を超えて含むと、C12A7系鉱物相の格子定数が大きくなり、低温での急硬性、例えば5℃以下での初期強度発現性(施工後3時間後等)が劣ることとなり、少ないほど好ましい。
実質的に含まないとは、Tiが、原料中に含まれる不純物により生成される場合を妨げないという意味であり、積極的に含有させるものではない。
例えば、Feの含有量をFe2O3酸化物換算で1.5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下とするものである。
すなわち、本発明のセメント用急硬性添加材は、一定量の融液相の生成を必要としないため、融液相の生成に関係があるFeを積極的に含む必要がないからである。
Fe2O3を上記含量を超えて含むと、C12A7系鉱物相の格子定数が大きくなり、低温での急硬性、例えば5℃以下での初期強度発現性(施工後3時間後等)が劣ることとなり、少ないほど好ましい。
好ましくは、本発明のセメント用急硬性添加材には、更にFを0.5〜3.0質量%、より好ましくは1.0〜2.5質量%含む、
Fをかかる範囲で含むことで、本発明の上記効果をより有効に発現することが可能となる。
Fをかかる範囲で含むことで、本発明の上記効果をより有効に発現することが可能となる。
本発明のセメント用急硬性添加材は、好適に、下記式を満足する関係とすることにより、低温、例えば5℃においても3時間強度発現性に優れることとすることができるため、望ましい。
Y=−0.93(F/Q)−Qa+11.98≧0
上記式中、Fはフッ素の含有量(質量%)、QaはC12A7系鉱物相の格子定数(Å)、QはC12A7の含有量(質量%)を表す。
Y=−0.93(F/Q)−Qa+11.98≧0
上記式中、Fはフッ素の含有量(質量%)、QaはC12A7系鉱物相の格子定数(Å)、QはC12A7の含有量(質量%)を表す。
本発明のセメント用急硬性添加材は、生石灰、消石灰、石灰石等のカルシウム原料、水酸化アルミニウム、アルミナ、ボーキサイトやバンド頁岩等のアルミニウム原料、ドロマイト等のマグネシウム原料、必要に応じて配合する蛍石等のフッ素原料等を混合して粉砕し、または粉砕して混合し、この粉末混合物を成型して成型体を得て、これを電気炉等の加熱炉等の加熱手段を用いて焼成し、冷却して、セメント用急硬性添加材を調製する。
なお、得られるセメント用急硬性添加材中に含まれるTiやFeの原料となるもの(例えばベンガラ等)は積極的に配合しない。得られるセメント用急硬性添加材中に含まれるTiやFeは、配合上記各原料中に不純物として含有されることにより、結果として含まれる場合もあるもので、積極的に含有させるものではない。
なお、得られるセメント用急硬性添加材中に含まれるTiやFeの原料となるもの(例えばベンガラ等)は積極的に配合しない。得られるセメント用急硬性添加材中に含まれるTiやFeは、配合上記各原料中に不純物として含有されることにより、結果として含まれる場合もあるもので、積極的に含有させるものではない。
具体的には、本発明のセメント用急硬性添加材は、配合原料を粉末化して混合し、混合粉末を成型して得られた成型体を、例えば1250〜1400℃、好ましくは1300〜1360℃の温度で十分に、例えば0.5〜3時間焼成し、次いで40℃/分以下、好ましくは5〜40℃/分の冷却速度により冷却することにより、本発明のセメント用急硬性添加材を得ることができる。なお、上記本発明における含有割合となるように、原料を配合する。
このようにして得られた本発明セメント用急硬性添加材は、一定量の融液相の生成を必要とすることがないため、即ち融液相生成の制御を必要としないため、C12A7系固溶体の水和活性が十分に発現することができるように、Ti、Fe、Mg等の含量が上記の範囲になるように調整されて、急硬性、特に5℃の低温での3時間強度に優れるものとなる。
このようにして得られた本発明セメント用急硬性添加材は、一定量の融液相の生成を必要とすることがないため、即ち融液相生成の制御を必要としないため、C12A7系固溶体の水和活性が十分に発現することができるように、Ti、Fe、Mg等の含量が上記の範囲になるように調整されて、急硬性、特に5℃の低温での3時間強度に優れるものとなる。
このように、混合粉末を成型した成型体を焼成して40℃/分以下、好ましくは5〜40℃/分の冷却速度で冷却することで、X線回折により測定したC12A7系鉱物相の結晶子径が150〜500nm、好ましくは150〜300nmで、C12A7系鉱物相の格子定数が11.940〜11.975Åである本発明のセメント用急硬性添加材を製造することができる。
結晶子径が異なることで、水和活性、すなわち急硬性の程度が異なるものとなるため、可使時間を確保し、急硬性を得るためには、上記焼成温度等で焼成し、更に上記冷却速度とすることで、かかる範囲の結晶子径のセメント用急硬性添加材を得ることができる。また150〜300nmの好適範囲とすることで、より急硬性が優れることとなる。
C12A7系鉱物相の結晶子径がかかる範囲であると、適正な流動性を保ち、適正な初期強度発現性を得ることができる。
前記結晶子径は、粉末X線回折にて測定した値であり、X線回折/リートベルト法(装置:ブルカー社製D4 Endeavor、解析ソフト:Topas)を用いて測定した数値である。
管電圧:45kV 管電流:40mA
C12A7系鉱物相の結晶子径がかかる範囲であると、適正な流動性を保ち、適正な初期強度発現性を得ることができる。
前記結晶子径は、粉末X線回折にて測定した値であり、X線回折/リートベルト法(装置:ブルカー社製D4 Endeavor、解析ソフト:Topas)を用いて測定した数値である。
管電圧:45kV 管電流:40mA
更に本発明のセメント用急硬性添加材は、X線回折により測定したC12A7系鉱物相の格子定数が11.940〜11.975Åのものであり、好ましくは11.945〜11.970Åのものであり、下記式を満足する関係のものであることが望ましい。
C12A7系鉱物相の格子定数≦−0.93×(Fの質量%/C12A7系鉱物相の質量%)+11.98
C12A7系鉱物相の格子定数≦−0.93×(Fの質量%/C12A7系鉱物相の質量%)+11.98
格子定数が異なることで、水和活性、すなわち急硬性の程度が異なるものとなるため、可使時間を確保して、急硬性を得るためには、上記焼成・冷却工程等の製造方法によって得られる上記範囲の格子定数のセメント用急硬性添加材とすることで、優れた上記本発明の効果を得ることができる。
格子定数がかかる範囲であると、所定の流動性を確保するとともに低温での急硬性を得ることが、より可能となる。
前記格子定数は、粉末X線回折にて測定した値であり、X線回析/リートベルト法(装置:パナリティカル社製X’Pert MPD、解析ソフト:HighScorePlus)を用いて、測定した値である。
管電圧:45kV 管電流:40mA
格子定数がかかる範囲であると、所定の流動性を確保するとともに低温での急硬性を得ることが、より可能となる。
前記格子定数は、粉末X線回折にて測定した値であり、X線回析/リートベルト法(装置:パナリティカル社製X’Pert MPD、解析ソフト:HighScorePlus)を用いて、測定した値である。
管電圧:45kV 管電流:40mA
本発明のセメント用急硬性添加材は、粉砕してセメント用急硬性添加材粉末とし、該粉末を任意のセメント、例えば、普通ポルトランドセメント等に硫酸塩等とともに配合して急硬性セメント組成物として利用することが可能である。
本発明のセメント用急硬性添加材は、ブレーン比表面積が4500cm2/g以上に粉砕して用いることが好ましく、これは、4500cm2/g未満では、良好な急硬性が得られない場合があるからである。
また、ブレーン比表面積は、大きくしすぎると流動性に悪影響を及ぼし、粉砕時間を要して生産性が低下しコスト高になるので、5000〜7000cm2/gが望ましい。
また、粉砕する際に、粉砕助剤(ジエチレングリコール、トリエタノールアミン等)を添加してもよい。
本発明のセメント用急硬性添加材は、ブレーン比表面積が4500cm2/g以上に粉砕して用いることが好ましく、これは、4500cm2/g未満では、良好な急硬性が得られない場合があるからである。
また、ブレーン比表面積は、大きくしすぎると流動性に悪影響を及ぼし、粉砕時間を要して生産性が低下しコスト高になるので、5000〜7000cm2/gが望ましい。
また、粉砕する際に、粉砕助剤(ジエチレングリコール、トリエタノールアミン等)を添加してもよい。
前記本発明のセメント用急硬性添加材が配合されるセメントとしては、市販されている任意のセメントを適用することができ、例えば、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント等から選ばれる少なくとも1種類を用いることができる。
また、硫酸塩としては、例えば、芒硝(硫酸ナトリウム)、硫酸カリウムなどのアルカリ金属硫酸塩、硫酸マグネシウム、石膏(硫酸カルシウム)などのアルカリ土類金属硫酸塩、硫酸アルミニウムなどが挙げられ、強度発現性から、石膏の使用が、あるいは石膏と芒硝の併用が好ましい。
石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏、またはこれらの混合物が例示できる。
また、その他必要に応じて配合が可能な材料として消石灰が挙げられる。
石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏、またはこれらの混合物が例示できる。
また、その他必要に応じて配合が可能な材料として消石灰が挙げられる。
前記本発明のセメント用急硬性添加材、セメント、硫酸塩、水等の混合方法は、特に限定するものではなく、所定の割合に配合したのち、慣用の混合装置を用いて混合すれば良い。
また他に、凝結調整剤(リグニンスルホン酸系、オキシカルボン酸系、糖類等各種有機酸もしくは有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)や減水剤(アルキルアリルスルホン酸系、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系、ポリカルボン酸系、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤も含む)等、液状または粉末状の混和剤や、細骨材(川砂、海砂、山砂、砕砂およびこれらの混合物)や、粗骨材(川砂利、海砂利、砕石およびこれらの混合物)等を配合することができる。
このように本発明のセメント用急硬性添加材は、任意のセメントに後添加することで、例えば、低温での作業においても流動性による施工性を確保するとともに、良好な3時間強度発現性を有し、所望する急硬性を現場で得ることができ、初期強度発現性の設計を極めて容易に操作することが可能となる。
本発明を次の実施例、比較例及び試験例に基づき説明する。
(実施例1〜4、比較例1〜2)
1)セメント用急硬性添加材の調製
セメント用急硬性添加材の目標化学組成が表1となるよう、CaCO3、SiO2、Al2O3、Fe2O3、MgO、TiO2、CaF2の各試薬を配合して混合粉砕することにより、各セメント用急硬性添加材原料を調製した。なお、ここで、Fe2O3、TiO2は、実際に実機で本発明のセメント用急硬性添加材を製造する際に、生石灰、消石灰、石灰石等のカルシウム原料、水酸化アルミニウム、アルミナ、ボーキサイトやバンド頁岩等のアルミニウム原料、ドロマイト等のマグネシウム原料、必要に応じて配合する蛍石等のフッ素原料等の原料を用いると、不純物としてFe2O3、TiO2が結果として含まれる場合もあるため(積極的に含有させるものではない)、かかる場合を想定して用いたものである。
(実施例1〜4、比較例1〜2)
1)セメント用急硬性添加材の調製
セメント用急硬性添加材の目標化学組成が表1となるよう、CaCO3、SiO2、Al2O3、Fe2O3、MgO、TiO2、CaF2の各試薬を配合して混合粉砕することにより、各セメント用急硬性添加材原料を調製した。なお、ここで、Fe2O3、TiO2は、実際に実機で本発明のセメント用急硬性添加材を製造する際に、生石灰、消石灰、石灰石等のカルシウム原料、水酸化アルミニウム、アルミナ、ボーキサイトやバンド頁岩等のアルミニウム原料、ドロマイト等のマグネシウム原料、必要に応じて配合する蛍石等のフッ素原料等の原料を用いると、不純物としてFe2O3、TiO2が結果として含まれる場合もあるため(積極的に含有させるものではない)、かかる場合を想定して用いたものである。
上記各セメント用急硬性添加材原料を粉末化して加圧成形し、各成成型体を電気炉にて、1300℃で30分間焼成し、次いで表2に示す各冷却速度で冷却して各セメント用急硬性添加材を得た。
2)TiO2、Fe2O3、MgO、F成分等の含有量の測定
得られた各セメント用急硬性添加材を蛍光X線分析装置(パナリティカル社製;Axios)を用いて、JIS R 5204に準じて分析して、含有されるTiO2、Fe2O3、MgO、F成分等の含有割合を測定した。その結果を、表2に示す。
得られた各セメント用急硬性添加材を蛍光X線分析装置(パナリティカル社製;Axios)を用いて、JIS R 5204に準じて分析して、含有されるTiO2、Fe2O3、MgO、F成分等の含有割合を測定した。その結果を、表2に示す。
3)セメント用急硬性添加材の鉱物の分析(C12A7系及びC3A)
得られた各セメント用急硬性添加材をX線回析/リートベルト法(装置:パナリティカル社製X’Pert MPD、解析ソフト:HighScorePlus)を用いて、C12A7系及びC3A鉱物の含有割合及びC12A7系鉱物相の結晶の格子定数を測定した。管電圧:45kV 管電流:40mA
その結果を表2に示す。ここでC12A7系鉱物相の格子定数はC11A7CaF2の結晶構造を用いて測定した。
得られた各セメント用急硬性添加材をX線回析/リートベルト法(装置:パナリティカル社製X’Pert MPD、解析ソフト:HighScorePlus)を用いて、C12A7系及びC3A鉱物の含有割合及びC12A7系鉱物相の結晶の格子定数を測定した。管電圧:45kV 管電流:40mA
その結果を表2に示す。ここでC12A7系鉱物相の格子定数はC11A7CaF2の結晶構造を用いて測定した。
また、C12A7系鉱物相の結晶の結晶子径は、C11A7CaF2結晶構造を用いて、X線回折/リートベルト法(装置:ブルカー社製D4 Endeavor、解析ソフト:Topas)により測定した。管電圧:45kV 管電流:40mA
その結果を表2に示す。
その結果を表2に示す。
4)セメント組成物の調製
次いで、上記各セメント用急硬性添加材をブレーン比表面積が5200±200cm2/g程度に粉砕して、各セメント用急硬性添加材粉末を得た。
早強セメント(HC:住友大阪セメント株式会社製)に、各セメント用急硬性添加材粉末、無水石膏(商品名;ノンクレーブ、住友大阪セメント(株)製)及びNa2SO4(ぼう硝:試薬)を下記表3に示す配合割合にて配合して各セメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物中のC12A7系鉱物相の結晶の量が同等(22質量%)となるように早強セメント量を調整した。
次いで、上記各セメント用急硬性添加材をブレーン比表面積が5200±200cm2/g程度に粉砕して、各セメント用急硬性添加材粉末を得た。
早強セメント(HC:住友大阪セメント株式会社製)に、各セメント用急硬性添加材粉末、無水石膏(商品名;ノンクレーブ、住友大阪セメント(株)製)及びNa2SO4(ぼう硝:試薬)を下記表3に示す配合割合にて配合して各セメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物中のC12A7系鉱物相の結晶の量が同等(22質量%)となるように早強セメント量を調整した。
5)モルタルの調製
上記の各セメント組成物、細骨材(砂(珪砂))、凝結調整剤(試薬;クエン酸、和光純薬工業(株)製)、水及び混和剤(花王(株)製、商品名:マイティ150)を、水/セメント組成物質量比が0.36、砂/セメント組成物質量比が1.2となるように、下記表4のように配合して均一に混練し、各モルタルを得た。
上記の各セメント組成物、細骨材(砂(珪砂))、凝結調整剤(試薬;クエン酸、和光純薬工業(株)製)、水及び混和剤(花王(株)製、商品名:マイティ150)を、水/セメント組成物質量比が0.36、砂/セメント組成物質量比が1.2となるように、下記表4のように配合して均一に混練し、各モルタルを得た。
6)強度測定及びフロー値測定
上記で得られた各モルタルについて、5℃での3時間強度(初期強度)及び5℃でのフロー値を、JIS R 5201に準じて測定した。
その結果も上記表2に示す。
上記で得られた各モルタルについて、5℃での3時間強度(初期強度)及び5℃でのフロー値を、JIS R 5201に準じて測定した。
その結果も上記表2に示す。
(実施例5〜14、比較例3〜12)
1)セメント用急硬性添加材の調製
セメント用急硬性添加材の目標化学組成が表5となるよう、CaCO3、SiO2、Al2O3、Fe2O3、MgO、TiO2、CaF2の各試薬を配合して混合粉砕することにより、各セメント用急硬性添加材原料を調製した。
なお、ここで、Fe2O3、TiO2は、実際に実機で本発明のセメント用急硬性添加材を製造する際に、生石灰、消石灰、石灰石等のカルシウム原料、水酸化アルミニウム、アルミナ、ボーキサイトやバンド頁岩等のアルミニウム原料、ドロマイト等のマグネシウム原料、必要に応じて配合する蛍石等のフッ素原料等の原料を用いると、不純物としてFe2O3、TiO2が結果として含まれる場合もあるため(積極的に含有させるものではない)、かかる場合を想定して用いたものである。
1)セメント用急硬性添加材の調製
セメント用急硬性添加材の目標化学組成が表5となるよう、CaCO3、SiO2、Al2O3、Fe2O3、MgO、TiO2、CaF2の各試薬を配合して混合粉砕することにより、各セメント用急硬性添加材原料を調製した。
なお、ここで、Fe2O3、TiO2は、実際に実機で本発明のセメント用急硬性添加材を製造する際に、生石灰、消石灰、石灰石等のカルシウム原料、水酸化アルミニウム、アルミナ、ボーキサイトやバンド頁岩等のアルミニウム原料、ドロマイト等のマグネシウム原料、必要に応じて配合する蛍石等のフッ素原料等の原料を用いると、不純物としてFe2O3、TiO2が結果として含まれる場合もあるため(積極的に含有させるものではない)、かかる場合を想定して用いたものである。
上記各セメント用急硬性添加材原料を粉末化して加圧成形し、各成型体を電気炉にて、1300℃で30分間焼成し、冷却速度を17℃/分で冷却して各セメント用急硬性添加材を得た。
2)TiO2、MgO、Fe2O3、F成分の含有量の測定
得られた各セメント用急硬性添加材を蛍光X線分析装置(パナリティカル社製;Axios)を用いて、JIS R 5204に準じて分析して、含有されるTiO2、MgO、Fe2O3、F成分等の含有割合を測定した。その結果を表6に示す。
得られた各セメント用急硬性添加材を蛍光X線分析装置(パナリティカル社製;Axios)を用いて、JIS R 5204に準じて分析して、含有されるTiO2、MgO、Fe2O3、F成分等の含有割合を測定した。その結果を表6に示す。
3)セメント用急硬性添加材の鉱物の分析(C12A7系及びC3A)
得られた各セメント用急硬性添加材をX線回析/リートベルト法(装置:パナリティカル社製X’Pert MPD、解析ソフト:HighScorePlus)を用いて、C12A7系及びC3A鉱物の含有割合及びC12A7系鉱物相の結晶の格子定数を測定した。管電圧:45kV 管電流:40mA。
その結果を表6に示す。ここでC12A7系鉱物相の格子定数はC11A7CaF2の結晶構造を用いて測定した。
得られた各セメント用急硬性添加材をX線回析/リートベルト法(装置:パナリティカル社製X’Pert MPD、解析ソフト:HighScorePlus)を用いて、C12A7系及びC3A鉱物の含有割合及びC12A7系鉱物相の結晶の格子定数を測定した。管電圧:45kV 管電流:40mA。
その結果を表6に示す。ここでC12A7系鉱物相の格子定数はC11A7CaF2の結晶構造を用いて測定した。
また、C12A7系鉱物相の結晶子径は、C11A7CaF2結晶構造を用いて、X線回折/リートベルト法(装置:ブルカー社製D4 Endeavor、解析ソフト:Topas)により測定した。管電圧:45kV 管電流:40mA。
その結果を表6に示す。
その結果を表6に示す。
4)セメント組成物の調製
次いで、上記各セメント用急硬性添加材をブレーン比表面積が5200±200cm2/g程度に粉砕して、各セメント用急硬性添加材粉末を得た。
早強セメント(HC:住友大阪セメント株式会社製)に、各セメント用急硬性添加材粉末、無水石膏(商品名:ノンクレーブ、住友大阪セメント(株)製)及びNa2SO4(ぼう硝:試薬)を表7に示す配合割合で配合して各セメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物中のC12A7系鉱物相の含有量が同等(22質量%)となるように早強セメント量を調整した。
次いで、上記各セメント用急硬性添加材をブレーン比表面積が5200±200cm2/g程度に粉砕して、各セメント用急硬性添加材粉末を得た。
早強セメント(HC:住友大阪セメント株式会社製)に、各セメント用急硬性添加材粉末、無水石膏(商品名:ノンクレーブ、住友大阪セメント(株)製)及びNa2SO4(ぼう硝:試薬)を表7に示す配合割合で配合して各セメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物中のC12A7系鉱物相の含有量が同等(22質量%)となるように早強セメント量を調整した。
5)モルタルの調製
上記の各セメント組成物、細骨材(砂(珪砂))、凝結調整剤(試薬;クエン酸、和光純薬工業(株)製)、水及び混和剤(花王(株)製、商品名:マイティ150)を、水/セメント組成物質量比が0.36、砂/セメント組成物質量比が1.2となるように、下記表8のように配合して均一に混練し、各モルタルを得た。
上記の各セメント組成物、細骨材(砂(珪砂))、凝結調整剤(試薬;クエン酸、和光純薬工業(株)製)、水及び混和剤(花王(株)製、商品名:マイティ150)を、水/セメント組成物質量比が0.36、砂/セメント組成物質量比が1.2となるように、下記表8のように配合して均一に混練し、各モルタルを得た。
6)強度測定及びフロー値測定
上記で得られた各モルタルについて、5℃での3時間強度(初期強度)及び5℃でのフロー値を、JIS R 5201に準じて測定した。
その結果も上記表6に示す。
上記で得られた各モルタルについて、5℃での3時間強度(初期強度)及び5℃でのフロー値を、JIS R 5201に準じて測定した。
その結果も上記表6に示す。
表6より、実施例5〜14は、比較例3〜12に比べて、セメントにセメント用急硬性添加材を後添加することで、得られたモルタルの5℃での3時間強度が優れ、好ましくは8.0N/mm2以上とすることもでき、またフロー値も180mm以上であり、低温時においても高い急硬性を有し、初期強度発現性に優れ、十分な流動性を有することがわかる。
本発明のセメント用急硬性添加材を、任意のセメントに各セメント用急硬性添加材を後添加することで、常温のみならず低温においても所望する急硬性を設計することが容易となり、トンネルや地下空間の建設工事や土木工事、止水工事、壁面等への吹き付け工事、緊急性を有する道路等の補修工事等、また土壌改良材として、所定のハンドリングタイムを確保しつつ、可使時間経過後には速やかに強度発現することが要求される作業箇所へ、現場で有用に適用することができる。
また、セメント用急硬性添加材の製造方法においては、固相反応を促進させるための融液相生成の制御をすることがない。
Claims (6)
- セメントに後添加する添加材であって、C12A7系鉱物相を70質量%以上、C3Aを5.0質量%以下、TiをTiO2換算で1.0質量%以下、MgをMgO換算で3〜9質量%、FeをFe2O3換算で1.5質量%以下で含有し、X線回析で測定したC12A7系鉱物相の結晶子径が150〜500nmで、C12A7系鉱物相の格子定数が11.940〜11.975Åであることを特徴とする、セメント用急硬性添加材。
- 請求項1記載のセメント用急硬性添加材において、更にFを0.5〜3.0質量%含有することを特徴とする、セメント用急硬性添加材。
- 請求項2記載のセメント用急硬性添加材において、X線回析で測定したC12A7系鉱物相の格子定数は、下記式:
C12A7系鉱物相の格子定数≦−0.93×(Fの質量%/C12A7系鉱物相の質量%)+11.98
を満足することを特徴とする、セメント用急硬性添加材。 - 請求項1乃至3いずれかの項記載のセメント用急硬性添加材において、C12A7系鉱物相は、C11A7CaX2(Xはハロゲン)及びC12A7の混合相であることを特徴とする、セメント用急硬性添加材。
- 原料を粉末化し、該粉末化原料を成型し、成型体を1250〜1400℃で焼成し、該焼成後の成型体を冷却速度5〜40℃/分で冷却することにより請求項1乃至4いずれかの項記載のセメント用急硬性添加材を得ることを特徴とする、セメント用急硬性添加材の製造方法。
- 請求項5記載のセメント用急硬性添加材の製造方法において、固相反応を促進させるための融液相生成の制御をすることがないことを特徴とする、セメント用急硬性添加材の製造方法。
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