JP2016107597A - スクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置 - Google Patents

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【課題】画像パターンの自由度が高く、印刷精度を向上できるスクリーン印刷方法、スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷版の提供。【解決手段】四つの枠辺部11を有する版枠12と、版枠12に展張される織物からなるスクリーンメッシュ13と、スクリーンメッシュ13に支持され中央側に画像形成用開口部16が形成された感光剤層14と、を備えるスクリーン印刷版10の版枠12よりも内側範囲について、画像形成用開口部16を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを被印刷物B側に吸引し、その際に、スクリーン印刷版10におけるスキージ34の横移動開始側の枠辺部11を除く少なくとも三つの枠辺部11と画像形成範囲との間を吸引する。【選択図】図3

Description

本発明は、スクリーン印刷方法、スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷版に関する。
テーブルに載置されたウエハの上方に、磁性ステンレスやニッケルなどの金属材料や軟磁性粉を含む樹脂材料等からなる軟磁性のマスクを配置し、テーブルの下方に配置された磁石でマスクの印刷領域を全面的に磁気吸引しウエハに密着させて印刷を行う印刷方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、ステンレス板からなる印刷マスクのスキージによる印刷開始側と印刷終了側とを真空吸引して印刷を行う印刷方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−125794号公報 特開平5−92544号公報
特許文献1に記載された方法は、テーブルの下方に配置された磁石で、テーブルおよびウエハの上方のマスクを磁気吸引するものであるため、非常に強力な磁石が必要となりコスト高となってしまう。また、マスクについても磁性のあるステンレス鋼であれば磁気吸引は可能であるものの、磁性粉を含む樹脂材料で形成する場合には満足な磁気吸引ができない可能性がある。特に樹脂材料として感光剤を用いた場合、磁性粉が感光の邪魔になり、感光性能が低下してしまう可能性も出てくる。
特許文献2に記載された方法は、スキージによる印刷開始側と印刷終了側とを真空吸引するものであるため、ステンレス鋼板からなる比較的剛性の高い印刷版であれば良好な印刷精度が得られる。しかしながら、ステンレス鋼板の印刷版は印刷により形成できる画像パターンの自由度が低いため、ステンレス鋼板にかえて、形成できる画像パターンの自由度が高い織物を用いたスクリーン印刷版を用いようとした場合には、織物は柔軟性があり剛性が低いことから、特に中間部分に位置ずれや変形を生じ易く、良好な印刷精度が得られない可能性がある。
本発明は、画像パターンの自由度が高く、印刷精度を向上できるスクリーン印刷方法、スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷版の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るスクリーン印刷方法は、四つの枠辺部を有する版枠と、前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備えるスクリーン印刷版を用い、前記スクリーン印刷版上でスキージを横移動させることにより印刷ペーストを前記画像形成用開口部を通過させて被印刷物に印刷を行うスクリーン印刷方法であって、前記スクリーン印刷版の前記版枠よりも内側範囲について、前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを前記被印刷物側に吸引する吸引工程を含み、前記吸引工程は、前記スクリーン印刷版における前記スキージの横移動開始側の前記枠辺部を除く少なくとも三つの前記枠辺部と前記画像形成範囲との間を吸引することを特徴とする。
また、本発明に係るスクリーン印刷装置は、四つの枠辺部を有する版枠と、前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備えるスクリーン印刷版がセットされ、セットされた前記スクリーン印刷版上で横移動するスキージによって印刷ペーストを前記画像形成用開口部を通過させて被印刷物に印刷を行うスクリーン印刷装置であって、セットされた前記スクリーン印刷版の前記版枠よりも内側範囲について、前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを前記被印刷物側に吸引する吸引手段を備え、前記吸引手段は、セットされた前記スクリーン印刷版における前記スキージの横移動開始側の前記枠辺部を除く少なくとも三つの前記枠辺部と前記画像形成範囲との間を前記被印刷物側に吸引することを特徴とする。
また、本発明に係るスクリーン印刷版は、四つの枠辺部を有する版枠と、前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備え、前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲と、少なくとも三つの前記枠辺部との間に、前記感光剤層とは別に磁性体層が設けられていることを特徴とする。
本発明に係るスクリーン印刷方法によれば、版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、このスクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層とを備えるスクリーン印刷版を用いるため、画像パターンの自由度が高くなる。そして、スクリーン印刷版の版枠よりも内側範囲について、画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを被印刷物側に吸引する吸引工程を含み、この吸引工程で、スクリーン印刷版におけるスキージの横移動開始側の枠辺部を除く少なくとも三つの枠辺部と画像形成範囲との間を吸引する。このため、スキージの横移動開始時点では、スキージの押し付けと吸引工程による吸引とで、画像形成範囲よりも外側範囲の四方を押さえることができる。よって、剛性が低い織物を有するスクリーン印刷版を用いた場合でも画像形成範囲の位置ずれおよび変形を抑制することでき、印刷精度を向上できる。スクリーン印刷版におけるスキージの横移動開始側の枠辺部を含む四つの枠辺部と画像形成範囲との間を吸引しても良い。
本発明に係るスクリーン印刷装置によれば、版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、このスクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層とを備えるスクリーン印刷版を用いるため、画像パターンの自由度が高くなる。そして、吸引手段が、セットされたスクリーン印刷版の版枠よりも内側範囲について、画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを被印刷物側に吸引し、しかも、スクリーン印刷版におけるスキージの横移動開始側の枠辺部を除く少なくとも三つの枠辺部と画像形成範囲との間を吸引する。このため、スキージの横移動開始時点では、スキージの押し付けと吸引手段による吸引とで、画像形成範囲よりも外側範囲の四方を押さえることができる。よって、剛性が低い織物を有するスクリーン印刷版を用いた場合でも画像形成範囲の位置ずれおよび変形を抑制することでき、印刷精度を向上できる。吸引手段は、スクリーン印刷版におけるスキージの横移動開始側の枠辺部を含む四つの枠辺部と画像形成範囲との間を吸引しても良い。
本発明に係るスクリーン印刷版によれば、版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、このスクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層とを備えるため、画像パターンの自由度が高くなる。そして、画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲と、版枠の少なくとも三つの枠辺部との間に、感光剤層とは別に磁性体層が設けられているため、これら磁性体層を磁気吸引することができる。三つの枠辺部と画像形成範囲との間のみに磁性体層が設けられていれば、磁性体層が設けられていない側をスキージの横移動開始側とすれば、スキージの横移動開始時点では、スキージの押し付けと磁気吸引とで、画像形成範囲よりも外側範囲の四方を押さえることができる。また、四つの枠辺部のそれぞれと画像形成範囲との間に磁性体層が設けられていれば、スキージの横移動開始側をいずれの側にしても、画像形成範囲よりも外側範囲の四方を磁気吸引で押さえることができる。よって、剛性が低い織物を用いた場合でも画像形成範囲の位置ずれおよび変形を抑制することでき、印刷精度を向上できる。
本発明に係る実施形態のスクリーン印刷版を概略的に示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。 本発明に係る第1実施形態のスクリーン印刷装置を概略的に示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のX2−X2断面図である。 本発明に係る第1実施形態のスクリーン印刷装置の作動を順に説明する工程図である。 本発明に係る第1実施形態のスクリーン印刷装置の作動を順に説明する工程図である。 本発明に係る第2実施形態のスクリーン印刷装置を概略的に示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のX3−X3断面図である。 本発明に係る第2実施形態のスクリーン印刷装置の作動を順に説明する工程図である。 本発明に係る第2実施形態のスクリーン印刷装置の作動を順に説明する工程図である。
本発明に係る第1実施形態を図1〜図4を参照して以下に説明する。
図1は実施形態のスクリーン印刷版10を示すものである。スクリーン印刷版10は、四つの無端状に連続する枠辺部11を有する四角枠状の版枠12と、展張状態で版枠12の厚さ方向の一面側に接着されるスクリーンメッシュ13と、スクリーンメッシュ13に支持される感光剤層14とを有している。スクリーンメッシュ13と感光剤層14とは一体化されて版枠12の内側に展張される展張部15を構成する。
版枠12を構成する四つの枠辺部11はいずれも直線状をなしており、金属製で高剛性の材料からなっている。版枠12は四つの枠辺部11によって正方形状あるいは長方形状に形成されている。
スクリーンメッシュ13は、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂製の糸が面状に織られた織物からなるものであり、伸長された緊張状態で版枠12に接着剤等で貼り付けられて固定されている。合成樹脂製の糸からなるスクリーンメッシュ13は、金属製の版枠12よりも剛性が大幅に低く変形容易となっている。
感光剤層14は磁性のない合成樹脂製であり、その中央側に画像形成用開口部16が形成されている。画像形成用開口部16は、被印刷物に印刷される画像パターンと同形状をなしている。合成樹脂製の感光剤層14は、金属製の版枠12よりも剛性が大幅に低く変形容易となっており、スクリーンメッシュ13と感光剤層14とからなる展張部15も、金属製の版枠12よりも剛性が大幅に低く変形容易となっている。画像形成用開口部16内には、その全体にスクリーンメッシュ13が広がっている。
版枠12に予めスクリーンメッシュ13が貼り付けられた紗張り品を準備し、この紗張り品のスクリーンメッシュ13に版枠12とは反対側から感光性樹脂乳剤を全面的に塗布する。そして、この感光性樹脂乳剤を画像形成用開口部16が形成される部分を除いて感光し固化させる。つまり、画像パターンに応じた遮光部が形成された図示略のフォトマスクを感光性樹脂乳剤の版枠12とは反対側に配置して、フォトマスクの版枠12とは反対側に配置された図示せぬ光源から、フォトマスクを介して感光性樹脂乳剤に光を照射する。すると、フォトマスクにおいては遮光部で光が遮光され、遮光部以外の部分では光が透過することになって、フォトマスクに形成された遮光部の影になって露光されない未露光部分とその周囲において遮光部の影にならずに露光される露光固化部分とを有する感光性樹脂材が形成されることになる。あるいは、光照射装置によりパターン状に光を照射することで、感光性樹脂乳剤を未露光部分を残して硬化させても良い。
次に、露光固化部分と未露光部分とを有する感光性樹脂材を水で洗う等して未露光部分を除去する現像工程を行う。これにより、未露光部分が除去されて画像パターンに応じた画像形成用開口部16が厚さ方向に貫通して形成された感光剤層14が形成されることになり、この感光剤層14とスクリーンメッシュ13とが一体化されて展張部15が形成されることになる。ここで、画像形成用開口部16は全体が感光剤層14の中央側つまり版枠12の全体から離れた部分に形成されており、この画像形成用開口部16の全体を囲む範囲が展張部15における画像形成範囲17となっている。この画像形成範囲17は全周にわたって版枠12から離れている。展張部15における版枠12と画像形成範囲17との間部分は、画像形成範囲17を囲む無端枠状の枠状範囲18となっており、この枠状範囲18は全体がスクリーンメッシュ13と感光剤層14とからなっている。
そして、本実施形態のスクリーン印刷版10は、版枠12の四つの枠辺部11と展張部15の画像形成範囲17との間つまり枠状範囲18に、展張部15とは別つまり感光剤層14とは別に磁性体層20が設けられている。磁性体層20は、枠状の一体ものの磁性体からなっている。磁性体層20は、版枠12と同様に四つの無端状に連続する磁性辺部21を有しており、画像形成範囲17の全体を囲むように設けられている。一つの磁性辺部21は、一つの枠辺部11に沿ってこの枠辺部11と画像形成範囲17との間に配置されており、別の一つの磁性辺部21は、別の一つの枠辺部11に沿ってこの枠辺部11と画像形成範囲17との間に配置されており、さらに別の一つの枠磁性辺部21は、さらに別の一つの枠辺部11に沿ってこの枠辺部11と画像形成範囲17との間に配置されており、残りの一つの磁性辺部21は、残りの一つの枠辺部11に沿ってこの枠辺部11と画像形成範囲17との間に配置されている。
磁性体層20は、枠状範囲18の厚さ方向における版枠12側(後述するスキージ側)に設けられている。
磁性体層20は、例えばSUS430等のフェライト系ステンレス鋼からなる厚さが例えば0.1mm程度と薄い磁性のある変形容易な薄板で形成されており、感光剤層14に接着されて一体化されている。
次に、図2に示す第1実施形態のスクリーン印刷装置30について説明する。スクリーン印刷装置30は、上記したスクリーン印刷版10がセットされて被印刷物である基板Bに印刷を施すものである。
スクリーン印刷装置30は、平板状の基板Bが上面にセットされる印刷テーブル31と、基板Bを囲むように印刷テーブル31の上面にセットされる当て板32と、スクリーン印刷版10がセットされる版セット部33と、版セット部33にセットされたスクリーン印刷版10の少なくとも画像形成範囲17上で水平一方向に横移動するスキージ34と、版セット部33にセットされたスクリーン印刷版10の磁性体層20を磁気吸引する磁気吸引部35(吸引手段)と、を有している。
印刷テーブル31の上面は全体的に水平な平坦面となっている。印刷テーブル31の上面には、当て板32が載置されるとともに、この当て板32の内側に配置されて基板Bが載置されることになる。印刷テーブル31はこれらを真空吸引により吸着する。
当て板32は、基板Bよりも一回り大きい四角枠状をなしており、基板Bと同等の厚さに形成されている。当て板32には内側に基板Bがほぼ隙間なく配置されることになる。印刷テーブル31上で当て板32の内側に配置された基板Bは上面(被印刷面)の高さを当て板32の上面の高さに合わせることになる。
版セット部33は、スクリーン印刷版10の版枠12が取り付けられるもので、スクリーン印刷版10の水平を維持したまま昇降可能となっている。版セット部33は、印刷テーブル31上の基板Bに対してスクリーン印刷版10を水平方向に位置決めして昇降する。
スキージ34は、水平一方向に長い形状をなしており、水平を維持したまま昇降可能である。また、スキージ34は、その長さ方向に直交する水平横方向に往復移動可能となっている。スキージ34は、図2(b)に示す所定の横移動開始位置で下降し、この横移動開始位置から所定の横移動終了位置まで横移動した後、この横移動終了位置で上昇して、横移動開始位置まで戻る。
磁気吸引部35は、スキージ34の横移動の開始側にこの横移動の方向に対し直交して水平に配置される手前側吸引磁石41と、スキージ34の横移動の終了側にこの横移動の方向に対し直交して水平に配置される奥側吸引磁石42とを有している。これら手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42は長さ方向の位置を合わせて平行に配置されている。
磁気吸引部35は、手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42の長さ方向の一端側同士を結ぶようにスキージ34の横移動の方向に沿って延在する一方のサイド側吸引磁石群43と、手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42の長さ方向の他端側同士を結ぶようにスキージ34の横移動の方向に沿って延在する他方のサイド側吸引磁石群43とを有している。手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43は、版セット部33にセットされたスクリーン印刷版10の磁性体層20と水平方向の位置を合わせることになる。
手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42は、水平を維持したまま例えばソレノイドで駆動されて昇降する。手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42は、それぞれ一本の角棒状の永久磁石からなっている。手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42は、それぞれ単独で昇降可能となっている。
両側のサイド側吸引磁石群43,43はそれぞれ複数の永久磁石44,44,…が一本の角棒状に並べられて形成されている。永久磁石44,44,…は、例えばソレノイドで駆動されて昇降する。一方のサイド側吸引磁石群43を構成する永久磁石44,44,…がすべて上限位置に位置するとき、およびすべて下限位置に位置するときに、一方のサイド側吸引磁石群43は水平に配置される。他方のサイド側吸引磁石群43も同様である。両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…は、スキージ34の横移動方向の位置が合うもの同士が連結されて一つのソレノイドで駆動され同期して昇降するようになっている。両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…は、スキージ34の横移動方向に沿う並び順でスキージ34の横移動に連動して下降するようになっている。
手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…は、すべて上限位置に上昇した状態にあるとき上面の高さ位置を合わせることになり、すべて下限位置に下降した状態にあるときも上面の高さ位置を合わせることになる。
次に、スクリーン印刷装置30により実行されるスクリーン印刷方法について説明する。
スクリーン印刷装置30は、印刷前の待機状態で、磁気吸引部35を構成する手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…は、すべて下限位置に下降した状態にあり、また、スクリーン印刷版10が水平方向および高さ方向に位置決めされてセットされた状態にある版セット部33は、クリアランス規定位置に上昇した状態にある。加えて、スキージ34は、横移動開始位置で上限位置に位置している。
そして、図2に示すように、当て板32および基板Bを印刷テーブル31に載置させ真空吸引により吸着させる。当て板32は、磁気吸引部35の手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43で囲まれる水平方向位置に配置され、この当て板32の内側に基板Bが配置される。この状態で、当て板32および基板Bは上面の高さを合わせる。そして、印刷テーブル31に吸着された基板Bに対して、版セット部33にセットされたスクリーン印刷版10が水平方向の位置を合わせる。
次に、図3(a)に示すように、版セット部33を下限位置まで下降させて当て板32および基板Bの上面にスクリーン印刷版10の感光剤層14の下面を接触させてクリアランスゼロの状態にする。このクリアランスゼロの状態では、スクリーン印刷版10の展張部15は当て板32および基板Bに軽く接触する程度であり、ほぼ変形することはない。
次に、図3(b)に示すように、磁気吸引部35を構成する手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…を、すべて上限位置まで上昇させる。ここで、上限位置にある磁気吸引部35の上面の高さ位置は、スクリーン印刷版10の展張部15の下面の高さ位置に合っている。磁気吸引部35を上限位置まで上昇させると、手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…がすべて展張部15を介して磁性体層20を磁力により吸着することになる。具体的には、手前側吸引磁石41が、これと水平方向の位置が合う一の磁性辺部21を、奥側吸引磁石42が、これと水平方向の位置が合う別の一の磁性辺部21を、一方のサイド側吸引磁石群43が、これと水平方向の位置が合うさらに別の一の磁性辺部21を、他方のサイド側吸引磁石群43が、これと水平方向の位置が合う残りの一の磁性辺部21を、それぞれ吸着することになる。なお、このように磁気吸引部35が上限位置に位置する状態でも、上記したクリアランスゼロの状態が維持され、スクリーン印刷版10の展張部15は、ほぼ変形することがない。
よって、磁気吸引部35は、手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…を上限位置まで上昇させてスクリーン印刷版10の磁性体層20を吸引する。この工程が、スクリーン印刷版10の版枠12よりも内側範囲の展張部15について、画像形成用開口部16を含む中央側の画像形成範囲17よりも外側の枠状範囲18のみを基板B側に吸引する吸引工程となっている。そして、この吸引工程で、磁気吸引部35は、版枠12の四つの枠辺部11のそれぞれと画像形成範囲17との間をすべて吸引する。なお、磁気吸引部35は、逆に手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43の永久磁石44,44,…を下限位置まで下降させるとスクリーン印刷版10の磁性体層20の吸引を解除することになる。ここで、印刷ペーストの粘度が低く基板Bの上面にスクリーン印刷版10の感光剤層14の下面が接触しただけで印刷ペーストが基板Bに付着してしまう可能性があるときは、上記のようなクリアランスゼロの状態ではなく、接触しない程度のクリアランスを設定しても良い。そのときも、当然、上限位置にある磁気吸引部35の上面の高さ位置をスクリーン印刷版10の展張部15の下面の高さ位置に合わせることになる。
以上により、磁気吸引部35は、スクリーン印刷装置30にセットされたスクリーン印刷版10の版枠12よりも内側範囲について、画像形成用開口部16を含む中央側の画像形成範囲17よりも外側範囲のみを被印刷物である基板B側に吸引する。そして、磁気吸引部35は、スクリーン印刷装置30にセットされたスクリーン印刷版10の版枠12の四つの枠辺部11のそれぞれと画像形成範囲17との間をすべて吸引する。なお、スクリーン印刷装置30は、画像形成範囲17を吸引する吸引手段は備えていない。
次に、上記のように手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石群43,43で磁性体層20を吸着した状態のまま、版セット部33をクリアランス規定位置まで上昇させる。すると、スクリーン印刷版10の磁性体層20および展張部15の磁性体層20から内側部分はそのままの形状を保った状態で、版枠12が上昇する。これにより、展張部15の磁性体層20よりも外側の部分のスクリーンメッシュ13および感光剤層14が伸びて張力を増大させる。
次に、図3(c)に示すように、スキージ34を下降させてスクリーン印刷版10の展張部15の上面に接触させる。横移動開始位置でスキージ34は、展張部15の磁性体層20よりも内側範囲における横移動開始側の端部位置に接触する。このスキージ34の展張部15への接触後、磁気吸引部35の手前側吸引磁石41のみを下限位置まで下降させる。これにより、手前側吸引磁石41による磁性体層20のスキージ34の横移動開始側の磁性辺部21の磁気吸引を解除する。また、このとき、スキージ34の横移動方向の下流側の展張部15上には、すでに印刷ペーストPが薄く塗り広げられている。
次に、図4(a)に示すように、スキージ34をスクリーン印刷版10の展張部15上で横移動修了位置に向けて横移動させることにより印刷ペーストPを展張部15に擦りつける。このスキージ34の横移動と連動して、両側のサイド側吸引磁石群43,43の各永久磁石44,44,…を順次下限位置まで下降させる。具体的には、スキージ34の横移動方向における位置が合う両側の一対の永久磁石44,44の下流側(奥側吸引磁石42側)の端縁部と、横移動するスキージ34とが位置を合わせるタイミングで、一対の永久磁石44,44を下限位置まで下降させてこれらの永久磁石44,44による磁性体層20の磁気吸引を解除するという作動を、スキージ34の横移動とタイミングを合わせて順次行う。展張部15は、スキージ34による押圧が解除されるとともに永久磁石44,44による磁気吸引が解除されると、自身の張力によって版離れすることになる。
ここで、スキージ34の横移動方向における位置が合う両側の一対の永久磁石44,44を、横移動するスキージ34が通り過ぎる前あるいは通り過ぎた後のタイミングで、下限位置まで下降させて吸引を解除しても良い。例えば、スキージ34がこれら一対の永久磁石44,44よりも所定距離上流側に位置するタイミング、スキージ34がこれら一対の永久磁石44,44の上流側の端部位置に位置するタイミング、スキージ34がこれら一対の永久磁石44,44の中間所定位置に位置するタイミング、および、スキージ34がこれら一対の永久磁石44,44よりも所定距離下流側に位置するタイミングのいずれかに一対の永久磁石44,44の下降のタイミングを変更しても良い。スキージ34が所定距離通り過ぎたタイミングで、一対の永久磁石44,44を下げると、スキージ34の通過時の画像形成用開口部16の変形に起因する印刷精度の低下を抑制できることになる。また、スキージ34が通り過ぎる前のタイミングで、一対の永久磁石44,44を下げると、版離れの遅れに起因する印刷精度の低下を抑制できる。
そして、上記横移動の最中、スキージ34が画像形成用開口部16を通過する際に印刷ペーストPが画像形成用開口部16を通過して画像形成用開口部16の形状に合う画像パターンを基板Bに形成することになる。よって、スクリーン印刷装置30は、セットされたスクリーン印刷版10の展張部15上で横移動するスキージ34によって印刷ペーストPを画像形成用開口部16を通過させて被印刷物である基板Bに印刷を行う。
図4(b)に示すように横移動修了位置に位置したスキージ34は、展張部15の磁性体層20よりも内側範囲における横移動修了側の端部位置に接触しており、この状態で、奥側吸引磁石42を下降させた後、スキージ34を上限位置まで上昇させる。これにより、図4(c)に示すように、スクリーン印刷版10の全体が基板Bから版離れする。その後、スキージ34が上記した待機状態に戻る。
以上に述べた第1実施形態によれば、版枠12に展張される織物からなるスクリーンメッシュ13と、このスクリーンメッシュ13に支持され中央側に画像形成用開口部16が形成された感光剤層14とを備えるスクリーン印刷版10を用いるため、画像パターンの自由度が高くなる。また、スクリーンメッシュ13として合成樹脂製の織物を用いるため、低コスト化を図ることができる。そして、スクリーン印刷装置30の磁気吸引部35が、セットされたスクリーン印刷版10の版枠12よりも内側範囲である展張部15について、画像形成用開口部16を含む中央側の画像形成範囲17よりも外側範囲のみを被印刷物である基板B側に吸引し、しかも、スクリーン印刷版10における四つの枠辺部11のそれぞれと画像形成範囲17との間を吸引する。このため、磁気吸引部35によって画像形成範囲17よりも外側範囲の四方を押さえることができる。
よって、剛性が低い織物を有するスクリーン印刷版10を用いた場合でも画像形成範囲17の位置ずれおよび変形を抑制することできる。また、画像形成範囲17と基板Bとをクリアランスゼロの状態に維持できるため、理論上はスクリーン印刷版10の寸法のまま印刷することができる。さらに、画像形成範囲17におけるスキージ34よりも下流側の部分が浮いて画像形成用開口部16から裏側に印刷ペーストが回り込む裏回りによるニジミの発生を抑制することができる。したがって、印刷寸法精度および印刷解像度を含む印刷精度を向上できる。その結果、印刷画像面積が大きくなっても、高精度な印刷が可能となる。
ここで、第1実施形態において、スクリーン印刷版10におけるスキージ34の横移動開始側の枠辺部11と画像形成範囲17との間を吸引しなくても良い。つまり、この部分はスキージ34の横移動開始時点では、スキージ34の押し付けで吸引された場合と同様の状態となるため、必ずしも吸引しなくても良い。言い換えれば、スキージ34の横移動開始時点では、スキージ34の押し付けと磁気吸引部35による吸引とで、画像形成範囲17よりも外側範囲の四方を押さえることになる。よって、上記と同様に剛性が低い織物を有するスクリーン印刷版10を用いた場合でも画像形成範囲17の位置ずれおよび変形を抑制することでき、印刷精度を向上できる。この場合、磁気吸引部35を手前側吸引磁石41をなくした平面視コの字状とすることができ、磁性体層20をスキージ34の横移動開始側の磁性辺部21をなくした平面視コの字状とすることができる。つまり、スクリーン印刷版10におけるスキージ34の横移動開始側の枠辺部11を除く少なくとも三つの枠辺部11のそれぞれと画像形成範囲17との間を吸引すれば良い。
また、第1実施形態において、スクリーン印刷版10における磁性体層20を、枠状範囲18の厚さ方向における版枠12とは反対側に設けても良い。この場合は、磁気吸引部35の上限位置での上面の高さを基板Bの上面高さよりも磁性体層20の厚さ分だけ下げることになる。磁性体層20を枠状範囲18の厚さ方向における版枠12側(スキージ34側)に設ける方が、スクリーン印刷装置30側の精度管理が容易となり、磁性体層20を枠状範囲18における版枠12とは反対側(基板B側)に設ける方が、展張部15を介さずに磁気吸引できるため、より強力に吸引できることになる。
また、第1実施形態において、枠状の磁性体層20を一体ものとするのではなく、短冊状の磁性体を複数枚貼り合わせて形成しても良い。また、磁性体層20を、枠状ではなく井桁状として良い。
また、第1実施形態において、スクリーン印刷版10の枠状範囲18の磁気吸引部35との接触位置に、磁力が低下しない範囲で金属あるいは合成樹脂製の保護層を設けても良い。この場合、磁気吸引部35の上限位置での上面の高さを基板Bの上面高さよりも保護層の厚さ分だけ下げることになる。
また、第1実施形態において、手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42、両側のサイド側吸引磁石群43の永久磁石44,44,…をそれぞれ電磁石に変更しそのオンオフで吸引および吸引解除を制御しても良い。
また、第1実施形態において、手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42、両側のサイド側吸引磁石群43の永久磁石44,44,…をそれぞれ真空吸引ノズルに変更しそのオンオフで吸引および吸引解除を制御しても良い。この場合、スクリーン印刷版10の気密性のある枠状範囲18を真空引きで吸引することができるため、磁性体層20は不要となる。
また、第1実施形態において、磁性体層20を、磁性粉が含有された合成樹脂を塗布して形成することもできる。
また、第1実施形態において、スクリーンメッシュ13としてステンレス鋼等の金属の織物を用いても良い。加えて、スクリーンメッシュ13として画像形成範囲17を含む中央側のメッシュとその外側の版枠12に接着されるメッシュとが貼り合わせられたコンビネーションタイプのメッシュを用いても良い。例えば、画像形成範囲17を含む中央側のメッシュをステンレス鋼等の金属の織物とし外側のメッシュを合成樹脂製の織物とする等である。
次に、本発明に係る第2実施形態を主に図5〜図7を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
第2実施形態では、スクリーン印刷装置30が第1実施形態とは一部異なっている。図5に示す第2実施形態のスクリーン印刷装置30は、第1実施形態と同様の手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42が設けられており、第1実施形態のサイド側吸引磁石群43,43にかえてサイド側吸引磁石51,51が用いられている。サイド側吸引磁石51,51はそれぞれ一本の角棒状の永久磁石からなっている。一方のサイド側吸引磁石51は、手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42の一端側同士を結ぶようにスキージ34の移動方向に沿って水平に延在しており、他方のサイド側吸引磁石51は、手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42の他端側同士を結ぶようにスキージ34の移動方向に沿って水平に延在している。
両側のサイド側吸引磁石51,51は、水平を維持したまま昇降可能であって、手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42を結ぶ方向つまりスキージ34の移動方向に沿ってスライド可能となっている。両側のサイド側吸引磁石51,51は、一体に連結されており、共通の例えばソレノイドで駆動されて同期して昇降し、共通の例えばラックアンドピニオン機構およびモータで駆動されて同期してスライドする。両側のサイド側吸引磁石51,51は、上限位置にあるとき、上限位置にある手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42と上面の高さ位置を合わせることになり、下限位置にあるとき、下限位置にある手前側吸引磁石41および奥側吸引磁石42と上面の高さ位置を合わせることになる。
次に、第2実施形態のスクリーン印刷装置30により実行されるスクリーン印刷方法について説明する。
第2実施形態のスクリーン印刷装置30は、印刷前の待機状態で、磁気吸引部35を構成する手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石51,51は、すべて下限位置に下降した状態にあり、また、第1実施形態と同様のスクリーン印刷版10が水平方向および高さ方向に位置決めされてセットされた状態にある版セット部33は、クリアランス規定位置に上昇した状態にある。加えて、スキージ34は、横移動開始位置で上限位置に位置している。
そして、図5に示すように、当て板32および基板Bを印刷テーブル31に載置させ真空吸引により吸着させる。当て板32は、磁気吸引部35の手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石51,51で囲まれる水平方向位置に配置され、この当て板32の内側に基板Bが配置される。この状態で、当て板32および基板Bは上面の高さを合わせる。そして、印刷テーブル31に吸着された基板Bに対して、版セット部33にセットされたスクリーン印刷版10が水平方向の位置を合わせる。
次に、図6(a)に示すように、版セット部33を下限位置まで下降させて当て板32および基板Bの上面にスクリーン印刷版10の感光剤層14の下面を接触させてクリアランスゼロの状態にする。このクリアランスゼロの状態では、スクリーン印刷版10の展張部15は当て板32および基板Bに軽く接触する程度であり、ほぼ変形することはない。
次に、図6(b)に示すように、磁気吸引部35を構成する手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石51,51を、すべて上限位置まで上昇させる。すると、手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石51,51がすべて展張部15を介して磁性体層20を磁力により吸着することになる。具体的には、手前側吸引磁石41が、これと水平方向の位置が合う一の磁性辺部21を、奥側吸引磁石42が、これと水平方向の位置が合う別の一の磁性辺部21を、一方のサイド側吸引磁石51が、これと水平方向の位置が合うさらに別の一の磁性辺部21を、他方のサイド側吸引磁石51が、これと水平方向の位置が合う残りの一の磁性辺部21を、それぞれ吸着することになる。なお、このように磁気吸引部35が上限位置に位置する状態でも、上記したクリアランスゼロの状態が維持され、スクリーン印刷版10の展張部15は、ほぼ変形することがない。
よって、磁気吸引部35は、手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石51,51を上限位置まで上昇させてスクリーン印刷版10の磁性体層20を吸引する。この工程が、スクリーン印刷版10の版枠12よりも内側範囲の展張部15について、画像形成用開口部16を含む中央側の画像形成範囲17よりも外側の枠状範囲18のみを基板B側に吸引する第1実施形態と同様の吸引工程となっている。なお、第2実施形態のスクリーン印刷装置30も、画像形成範囲17を吸引する吸引手段は備えていない。
次に、上記のように手前側吸引磁石41、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石51,51で磁性体層20を吸着した状態のまま、版セット部33をクリアランス規定位置まで上昇させる。すると、スクリーン印刷版10の磁性体層20および展張部15の磁性体層20から内側部分はそのままの形状を保った状態で、版枠12が上昇する。これにより、展張部15の磁性体層20よりも外側の部分のスクリーンメッシュ13および感光剤層14が伸びて張力を増大させる。
次に、図6(c)に示すように、スキージ34を下降させてスクリーン印刷版10の展張部15の上面に接触させる。横移動開始位置でスキージ34は、展張部15の磁性体層20よりも内側範囲における横移動開始側の端部位置に接触する。このスキージ34の展張部15への接触後、磁気吸引部35の手前側吸引磁石41のみを下限位置まで下降させる。これにより、手前側吸引磁石41による磁性体層20のスキージ34の横移動開始側の磁性辺部21の磁気吸引を解除する。また、このとき、スキージ34の横移動方向の下流側の展張部15上には、すでに印刷ペーストPが薄く塗り広げられている。
次に、図7(a)に示すように、スキージ34をスクリーン印刷版10の展張部15上で横移動修了位置に向けて横移動させることにより印刷ペーストPを展張部15に擦りつける。このスキージ34の横移動と連動して、両側のサイド側吸引磁石51,51をスキージ34と同方向にスライドさせる。具体的には、スキージ34が、横移動開始位置から横移動を開始すると同時に両側のサイド側吸引磁石51,51をスキージ34と同速度でスライドさせる。すると、両側のサイド側吸引磁石51,51は、上流側の端部位置をスキージ34にほぼ合わせてスライドすることになる。展張部15は、スキージ34による押圧が解除されるとともにサイド側吸引磁石51,51による磁気吸引が解除されると、自身の張力によって版離れすることになる。
ここで、両側のサイド側吸引磁石51,51のスライド開始をスキージ34の横移動開始に対して遅らせても良い。この場合、両側のサイド側吸引磁石51,51は、それぞれの上流側の端部よりもスキージ34が下流側に位置する状態でスライドすることになる。また、両側のサイド側吸引磁石51,51のスライド開始をスキージ34の横移動開始に対して早めても良い。この場合、両側のサイド側吸引磁石51,51は、それぞれの上流側の端部よりもスキージ34が上流側に位置する状態でスライドすることになる。
そして、第1実施形態と同様、スキージ34が画像形成用開口部16を通過する際に印刷ペーストPが画像形成用開口部16を通過して、画像形成用開口部16の形状に合う画像パターンを基板Bに形成することになる。
図7(b)に示すように、横移動修了位置に位置したスキージ34は、展張部15の磁性体層20よりも内側範囲における横移動修了側の端部位置に接触しており、この状態で、奥側吸引磁石42および両側のサイド側吸引磁石51,51を下降させた後、スキージ34を上限位置まで上昇させる。これにより、図7(c)に示すように、スクリーン印刷版10の全体が基板Bから版離れする。その後、スキージ34および磁気吸引部35のサイド側吸引磁石51,51が上記した待機状態に戻る。
以上に述べた第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態は、第1実施形態と同様の変更が可能である。
10 スクリーン印刷版
11 枠辺部
12 版枠
13 スクリーンメッシュ
14 感光剤層
15 展張部(版枠よりも内側範囲)
16 画像形成用開口部
17 画像形成範囲
18 枠状範囲(画像形成範囲よりも外側範囲)
20 磁性体層
21 磁性辺部
30 スクリーン印刷装置
34 スキージ
35 磁気吸引部(吸引手段)
B 基板
P 印刷ペースト
本発明は、スクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置に関する。
本発明は、画像パターンの自由度が高く、印刷精度を向上できるスクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るスクリーン印刷方法は、四つの枠辺部を有する版枠と、前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備えるスクリーン印刷版を用い、前記スクリーン印刷版上でスキージを横移動させることにより印刷ペーストを前記画像形成用開口部を通過させて被印刷物に印刷を行うスクリーン印刷方法であって、前記スクリーン印刷版の前記版枠よりも内側範囲について、前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを前記被印刷物側に吸引する吸引工程を含み、前記吸引工程は、前記スクリーン印刷版における前記スキージの横移動開始側の前記枠辺部を除く少なくとも三つの前記枠辺部と前記画像形成範囲との間を吸引することになり、前記吸引工程により、前記スクリーン印刷版の前記版枠よりも内側範囲について、前記画像形成範囲よりも外側範囲のみを前記被印刷物側に吸引し前記画像形成範囲を前記被印刷物側に吸引しない状態のまま、前記スキージを前記スクリーン印刷版上で横移動させ、当該スキージの横移動と連動して該スキージよりも横移動方向上流側の前記スクリーン印刷版の前記被印刷物側への吸引を解除することを特徴とする。
また、本発明に係るスクリーン印刷装置は、四つの枠辺部を有する版枠と、前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備えるスクリーン印刷版がセットされ、セットされた前記スクリーン印刷版上で横移動するスキージによって印刷ペーストを前記画像形成用開口部を通過させて被印刷物に印刷を行うスクリーン印刷装置であって、セットされた前記スクリーン印刷版の前記版枠よりも内側範囲について、前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを前記被印刷物側に吸引する吸引手段を備える一方、前記画像形成範囲を前記被印刷物側に吸引する手段は備えておらず、前記吸引手段は、セットされた前記スクリーン印刷版における前記スキージの横移動開始側の前記枠辺部を除く少なくとも三つの前記枠辺部と前記画像形成範囲との間を前記被印刷物側に吸引すると共に、前記スキージを前記スクリーン印刷版上で横移動させて被印刷物に印刷を行う際に、前記スキージの横移動と連動して該スキージよりも横移動方向上流側の前記スクリーン印刷版の前記被印刷物側への吸引を解除することを特徴とする。

Claims (3)

  1. 四つの枠辺部を有する版枠と、前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備えるスクリーン印刷版を用い、前記スクリーン印刷版上でスキージを横移動させることにより印刷ペーストを前記画像形成用開口部を通過させて被印刷物に印刷を行うスクリーン印刷方法であって、
    前記スクリーン印刷版の前記版枠よりも内側範囲について、前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを前記被印刷物側に吸引する吸引工程を含み、
    前記吸引工程は、前記スクリーン印刷版における前記スキージの横移動開始側の前記枠辺部を除く少なくとも三つの前記枠辺部と前記画像形成範囲との間を吸引することを特徴とするスクリーン印刷方法。
  2. 四つの枠辺部を有する版枠と、前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備えるスクリーン印刷版がセットされ、
    セットされた前記スクリーン印刷版上で横移動するスキージによって印刷ペーストを前記画像形成用開口部を通過させて被印刷物に印刷を行うスクリーン印刷装置であって、
    セットされた前記スクリーン印刷版の前記版枠よりも内側範囲について、前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲よりも外側範囲のみを前記被印刷物側に吸引する吸引手段を備え、
    前記吸引手段は、
    セットされた前記スクリーン印刷版における前記スキージの横移動開始側の前記枠辺部を除く少なくとも三つの前記枠辺部と前記画像形成範囲との間を前記被印刷物側に吸引することを特徴とするスクリーン印刷装置。
  3. 四つの枠辺部を有する版枠と、
    前記版枠に展張される織物からなるスクリーンメッシュと、
    前記スクリーンメッシュに支持され中央側に画像形成用開口部が形成された感光剤層と、を備え、
    前記画像形成用開口部を含む中央側の画像形成範囲と、少なくとも三つの前記枠辺部との間に、前記感光剤層とは別に磁性体層が設けられていることを特徴とするスクリーン印刷版。
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