JP2016107075A - 音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブおよび超音波プローブ、ならびに、音響波測定装置、超音波診断装置、光音響波測定装置および超音波内視鏡 - Google Patents
音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブおよび超音波プローブ、ならびに、音響波測定装置、超音波診断装置、光音響波測定装置および超音波内視鏡 Download PDFInfo
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Abstract
Description
例えば、超音波診断装置は、被検体内部に向けて超音波を送信し、被検体内部の組織で反射された超音波を受信し、画像として表示する。光音響波測定装置は、光音響効果によって被検体内部から放射される音響波を受信し、画像として表示する。光音響効果とは、可視光、近赤外光、マイクロ波等の電磁波パルスを被検体に照射した際に、被検体が電磁波を吸収して発熱し熱膨張することにより、音響波(典型的には超音波)が発生する現象である。
音響波測定装置は、被検対象である生体との間で音響波の送受信を行うため、生体との音響インピーダンスの整合性や、音響波減衰量の低減といった要件を満たすことが求められる。
このため、音響レンズの材料の1つとして、生体の音響インピーダンス(1.4〜1.7×106kg/m2/sec)に近く、超音波減衰量の小さいシリコーン樹脂が主に用いられている。
また、音響レンズは、被検体に当接して使用するものであるため、音響レンズには長期使用に耐え得る機械強度が求められる。そのため、特許文献2においては、音響レンズ特性(音響インピーダンス、超音波減衰量、機械強度等)を満たす音響レンズ用組成物として、シリコーンゴム、酸化イッテルビウム等の粉末およびシリカ粒子を含む組成物が提案されている。
そのため、これまでのシリコーン樹脂は、高い樹脂硬度および機械強度ならびに音響波減衰量の低減の全てを高いレベルで満足することは困難であった。
従って、本発明では、上記事情に鑑みて、音響波減衰量を低く維持したまま、シリコーン樹脂の硬度および機械強度(引張破断強度、引張破断伸び、引裂強度および耐折疲労性)を大幅に向上させることができる音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブ、音響波測定装置および超音波診断装置を提供することを課題とする。
<1>ビニル基を有するポリシロキサン、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンおよび一種以上の無機化合物粒子を含むポリシロキサン混合物を含有する音響波プローブ用組成物であって、
無機化合物粒子が、平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である音響波プローブ用組成物。
<2> <1>に記載の無機化合物粒子が、炭化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、硫酸バリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される音響波プローブ用組成物。
<3> <1>に記載の無機化合物粒子の比重が3.5以上10.0以下である音響波プローブ用組成物。
<4> <3>に記載の無機化合物粒子がアルミナ、硫酸バリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される音響波プローブ用組成物。
<5> <1>に記載の無機化合物粒子の比重が5.0以上10.0以下である音響波プローブ用組成物。
<6> <5>に記載の無機化合物粒子が酸化セリウムである音響波プローブ用組成物。
<7> ポリシロキサン混合物の合計100質量部中に、平均一次粒子径が25nm未満の無機化合物粒子を10〜60質量部含有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<8> ポリシロキサン混合物の合計100質量部中に、ビニル基を有するポリシロキサンを10〜99.4質量部、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンを0.5〜90質量部含有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<9> 平均一次粒子径が25nm未満の無機化合物粒子がシラン化合物で表面処理されたものである<1>〜<8>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<10> ビニル基を有するポリシロキサンの質量平均分子量が20,000〜200,000である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<11> ビニル基を有するポリシロキサンの質量平均分子量が40,000〜150,000である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<12> ポリシロキサン混合物100質量部に対し、白金または白金化合物を0.00001〜0.05質量部含有する<1>〜<11>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物。
<13> <1>〜<12>のいずれか1つに記載の音響波プローブ用組成物を硬化した音響波プローブ用シリコーン樹脂。
<14> <13>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズおよび/または<13>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響整合層を有する音響波プローブ。
<15> 超音波トランスデューサアレイとしての容量性マイクロマシン超音波振動子、および、<13>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂を含んでなる音響レンズを備える超音波プローブ。
<16> <14>に記載の音響波プローブを備える音響波測定装置。
<17> <14>に記載の音響波プローブを備える超音波診断装置。
<18> <13>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂を含んでなる音響レンズを備える光音響波測定装置。
<19> <13>に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂を含んでなる音響レンズを備える超音波内視鏡。
また、本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
なお、本明細書における質量平均分子量は、特に断りがない限り、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)による測定値(ポリスチレン換算)である。
また、cMUTを超音波診断用トランスデューサアレイとして用いる超音波プローブ、光音響波測定装置および超音波内視鏡における感度を向上させることが可能な音響波プローブ用シリコーン樹脂を提供することができる。
この結果、音響波減衰量の上昇が抑制され、かつ音響波プローブ用シリコーン樹脂の硬度および機械強度(引張破断強度、引張破断伸び、引裂強度および耐折疲労性)が向上するものと思われる。
本発明の音響波プローブ用組成物(以下、単に組成物とも称す。)は、ビニル基を有するポリシロキサン、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンおよび一種以上の無機化合物粒子を少なくとも含むポリシロキサン混合物を含有する音響波プローブ用組成物であって、無機化合物粒子は、平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である。
また、ポリシロキサン混合物の合計100質量部中の、ビニル基を有するポリシロキサンの含有量は10〜99.4質量部が好ましく、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンの含有量は0.5〜90質量部が好ましい。なお、ビニル基を有するポリシロキサンの含有量は、50〜90質量部がより好ましく、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンの含有量は、1〜50質量部がより好ましい。
なお、ポリシロキサン混合物とは、ビニル基を有するポリシロキサンと分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンとを架橋重合(硬化)させる触媒を含まない混合物である。従って、ポリシロキサン混合物中には、平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である無機化合物粒子が含まれるが、触媒は含まれない。
また、ポリシロキサン混合物の合計100質量部とは、ポリシロキサン混合物に含まれる個々の成分の合計が100質量部であることを意味する。
従って、本発明では、ポリオルガノシロキサン混合物中に、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン(A)、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリオルガノシロキサン(B)および平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である無機化合物粒子(C)を成分として少なくとも含有する組成物が好ましい。
以下の詳細な説明においては、好ましい態様である、ポリシロキサン混合物がビニル基を有するポリオルガノシロキサン(A)および分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリオルガノシロキサン(B)を含有するものについて記載する。ただし、ポリシロキサン混合物中に含有する各ポリシロキサンは、このポリシロキサン(A)、(B)に限定されるものではない。
本発明に用いられるビニル基を有するポリオルガノシロキサン(A)(以下、単にポリオルガノシロキサン(A)とも称す。)は、分子鎖中に2個以上のビニル基を有する。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサン(A)としては、例えば、少なくとも分子鎖両末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサン(a)(以下、単にポリオルガノシロキサン(a)とも称す。)、または分子鎖中に−O−Si(CH3)2(CH=CH2)を少なくとも2つ有するポリオルガノシロキサン(b)(以下、単にポリオルガノシロキサン(b)とも称す。)が挙げられる。なかでも、少なくとも分子鎖両末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサン(a)が好ましい。
ポリオルガノシロキサン(a)は直鎖状が好ましく、ポリオルガノシロキサン(b)は、−O−Si(CH3)2(CH=CH2)が主鎖を構成するSi原子に結合しているポリオルガノシロキサン(b)が好ましい。
ここで、ビニル基の含有量とは、ポリオルガノシロキサン(A)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。1つのビニル基含有シロキサンユニットは、1〜3個のビニル基を有する。なかでも、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであることが好ましい。例えば、主鎖を構成するSi−O単位および末端のSiの全てのSi原子がビニル基を少なくとも1つずつ有する場合、100モル%となる。
ここで、フェニル基の含有量とは、ポリオルガノシロキサン(A)を構成する全ユニットを100モル%としたときのフェニル基含有シロキサンユニットのモル%である。1つのフェニル基含有シロキサンユニットは、1〜3個のフェニル基を有する。なかでも、フェニル基含有シロキサンユニット1つに対して、フェニル基2つであることが好ましい。例えば、主鎖を構成するSi−O単位および末端のSiの全てのSi原子がフェニル基を少なくとも1つずつ有する場合、100モル%となる。
なお、ユニットとは、主鎖を構成するSi−O単位および末端のSiを言う。
なお、動粘度は、JIS Z8803に従い、ウベローデ型粘度計(例えば、柴田化学社製、商品名SU)を用い、温度25℃にて測定して求めることができる。
置換基を有する基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。
Ra2はなかでもメチル基が好ましく、Ra3はなかでもメチル基、ビニル基またはフェニル基が好ましく、メチル基またはフェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。また、x1の繰り返し中のRa2が両方ともフェニル基であることも好ましい。
x2は、1〜3000の整数が好ましく、1〜1000の整数がより好ましく、40〜1000の整数がさらに好ましく、40〜700の整数が特に好ましい。
また、別の態様としては、x1は1〜3000の整数が好ましく、5〜1000の整数がより好ましい。
なお、DMS−V31S15は、予めフュームドシリカが配合されているため、特別な装置での混練は不要である。
本発明に用いられる分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリオルガノシロキサン(B)(以下、単にポリオルガノシロキサン(B)とも称す。)は、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有する。
分子鎖中にSi−H基を2つ以上有することで、重合性不飽和基を少なくとも2つ有するポリオルガノシロキサンを架橋することができる。
直鎖状構造の質量平均分子量は、機械強度および硬度の点から、500〜100,000が好ましく、1,500〜50,000がより好ましい。
このうち、Rb1およびRb2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアリール基が好ましく、水素原子またはアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
Rb3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または−O−Si(Rb5)2(Rb4)が好ましく、水素原子または−O−Si(CH3)2Hがより好ましい。
y1+y2は5〜2000の整数が好ましく、7〜1000の整数がより好ましく、10〜50がさらに好ましく、15〜30の整数がなかでも好ましい。
この好ましい組み合わせにおいては、y2/(y1+y2)で表されるヒドロシリル基の含有量は、0.1を超え0.6未満が好ましく、0.1を超え0.4未満がより好ましい。
ここで、MeHSiOのmol%は、上記Rb1〜Rb3の好ましい組み合わせにおけるy2/(y1+y2)に100を乗じたものと同義である。
比重は、0.9〜0.95が好ましい。
分岐状構造のポリオルガノシロキサン(B)は、下記平均組成式(b)で表されるものが好ましい。
aは、好ましくは1である。
a/3で表されるヒドロシリル基の含有量は、0.1を超え0.6未満が好ましく、0.1を超え0.4未満がより好ましい。
本発明に用いられる平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である無機化合物粒子(C)(以下、単に無機化合物粒子(C)とも称す。)は、得られるシリコーン樹脂の硬度や機械強度の向上、特に引裂強度の向上を目的として添加される成分である。
ただし、本発明における無機化合物粒子(C)は、炭酸カルシウム、窒化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化バナジウム、窒化ケイ素、炭酸バリウム、炭化チタン、窒化チタン、酸化銅、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化スズおよび酸化イッテルビウムのいずれでもないことが好ましい。
すなわち、機械的応力によるシリコーン樹脂のクラックが、微細な無機化合物粒子(C)がストッパーとして機能することで抑制されていると考えられる。特に、平均一次粒子径が小さいことで粒子間距離が小さくなるため、ストッパーとしての機能をより発揮し、シリコーン樹脂の引裂強度が大幅に向上するものと推定される。
また、無機化合物粒子(C)に後述する表面処理が施されている場合は、表面処理された状態での平均一次粒子径を意味する。
具体的には、炭化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、硫酸バリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される無機化合物粒子(C)が好ましく、アルミナ、硫酸バリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される無機化合物がより好ましく、酸化セリウムがさらに好ましい。
無機化合物粒子をシラン化合物で表面処理することでシリコーン樹脂との相互作用が強くなり、また、シリコーン樹脂との親和性が高くなるため、平均一次粒子径の小さい無機化合物粒子の微分散が可能になると考えられる。このため、無機化合物微粒子(C)は、機械的応力が加わった際のストッパーとしての機能をより発揮し、シリコーン樹脂の硬度および機械強度が向上するものと考えられる。
表面処理の手法は通常の手法であればよい。シラン化合物での表面処理の手法としては、例えば、シランカップリング剤で表面処理する手法およびシリコーン化合物で被覆する手法が挙げられる。
シランカップリング剤は、シリコーン樹脂の硬度や機械強度の向上の点から、加水分解性基を有するシランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤における加水分解性基は、水により加水分解されて水酸基となり、この水酸基が無機化合物粒子表面の水酸基と脱水縮合反応することで、無機化合物粒子の表面改質が行われ、得られるシリコーン樹脂の硬度や機械強度が向上される。加水分解性基は、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
なお、無機化合物粒子の表面が疎水性に表面改質されていると、無機化合物粒子(C)とポリオルガノシロキサン(A)および(B)との親和性が良好となり、得られるシリコーン樹脂の硬度および機械強度が向上するため好ましい。
シラン化合物としては、例えば、上記シランカップリング剤や、シランカップリング剤における官能基がアルキル基で置換されたシランカップリング剤が挙げられる。
また、トリメチルシリル化剤としては、例えば、上記シランカップリング剤に記載のトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)や、官能基がアルキル基で置換されたシランカップリング剤であるトリメチルメトキシシランが挙げられる。
無機化合物粒子表面に存在する水酸基は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)との反応によりトリメチルシリル基で覆われ、無機化合物粒子表面が疎水性に改質される。
無機化合物粒子(C)を被覆するシリコーン化合物は、シロキサン結合で構成されたポリマーであればよい。
シリコーン化合物としては、例えば、ポリシロキサンの側鎖や末端の全部または一部がメチル基になっているシリコーン化合物、側鎖の一部が水素原子であるシリコーン化合物、側鎖や末端の全部または一部にアミノ基、エポキシ基等の有機基を導入した変性シリコーン化合物、分岐構造を有するシリコーンレジンが挙げられる。なお、シリコーン化合物は直鎖状、環状のいずれの構造でもよい。
また、シリコーン化合物として反応性の変性シリコーンを用いる場合には、有機基が無機化合物粒子表面の水酸基と反応することで、無機化合物粒子の表面改質が行われ、得られるシリコーン樹脂の硬度や機械強度が向上される。
しかしながら、本発明においては、無機化合物粒子(C)の平均一次粒子径が小さく、ポリオルガノシロキサン(A)および(B)の隙間に密に充填されているため、ポリオルガノシロキサン(A)および(B)の分子鎖の運動は制限されている。
従って、全てのビニル基がSi−H基と反応するためには、ポリオルガノシロキサン(A)の有するビニル基に対するポリオルガノシロキサン(B)の有するSi−H基の当量は、ビニル基:Si−H基=1:1.1〜1:8が好ましく、1:1.2〜1:5がより好ましい。
本発明の音響波プローブ用組成物は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン(A)、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリオルガノシロキサン(B)および平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である無機化合物粒子(C)以外に、付加重合反応のための白金触媒、硬化遅延剤、溶媒、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
触媒としては、例えば、白金または白金含有化合物(以下、白金化合物ともいう。)が挙げられる。白金または白金化合物としては、任意のものを使用することができる。
具体的には、白金黒、白金を無機化合物やカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。触媒は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒は、ポリオルガノシロキサン(B)のSi−H基が、ポリオルガノシロキサン(A)のビニル基に対して付加するヒドロシリル化反応において必要である。ヒドロシリル化による付加硬化反応によって、ポリオルガノシロキサン(A)がポリオルガノシロキサン(B)により架橋され、シリコーン樹脂が形成される。
ここで、触媒は本発明の音響波プローブ用組成物中に含有させてもよく、また、音響波プローブ用組成物に含有させずに、音響波プローブ用組成物と接触させてもよい。なお、後者の方が好ましい。
本発明において、硬化反応に対する硬化遅延剤を適宜に用いることができる。硬化遅延剤は、白金触媒による付加硬化反応を遅らせる用途で使用され、例えば、低分子量のビニルメチルシロキサンホモポリマー(商品名:VMS−005、Gelest社製)が挙げられる。
硬化遅延剤の含有量により、硬化速度、すなわち作業時間を調整することができる。
本発明の音響波プローブ用組成物は、任意の方法で作製することが可能である。
例えば、音響波プローブ用組成物を構成する成分を、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、2本ロールの混練装置で混練りすることにより得ることができる。各成分の混合順序は特に限定されない。
なお、均一な組成物を得る観点からは、まず、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン(A)および分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリオルガノシロキサン(B)に、平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である無機化合物粒子(C)を分散させたポリオルガノシロキサン混合物とすることが好ましい。その後、無機化合物粒子(C)を分散させたポリオルガノシロキサン混合物に触媒を添加し、減圧脱泡することで、音響波プローブ用組成物を作製することができる。
以下に、シリコーン樹脂の機械強度および音響波特性について詳細に記載する。
ここで、音響波特性は、超音波特性について記載する。ただし、音響波特性は超音波特性に限定されるものではなく、被検対象や測定条件等に応じて選択される、適切な周波数の音響波特性に関するものである。
厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6253−3(2012)に従い、タイプAデュロメータ硬さを、ゴム硬度計(例えば、エクセル社製、商品名「RH−201A」)を用いて測定する。
音響波プローブの一部として組み込み使用する際の変形を防止する観点から、硬度は15以上が好ましく、25以上がより好ましい。なお、現実的な上限値は80以下である。
厚み1mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6251(2010)に従い、ダンベル状試験片を作製し、引張破断強度および引張破断伸度(伸び)を測定する。
引張破断強度は1.2MPa以上が好ましく、引張破断伸びは500%以上が好ましい。なお、現実的な上限値は、引張破断強度は10MPa以下であり、引張破断伸びは1500%以下である。
厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6252(2007)に従い、トラウザー型試験片を作製し、引裂強度を測定する。
引裂強度は15N/cm以上が好ましく、20N/cm以上がより好ましく、30N/cm以上がさらに好ましい。なお、現実的な上限値は100N/cm以下である。
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS P8115(2001)に記載の耐折強さ試験方法−MIT試験機法に準じて、例えば、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製作所製、型番:DA)を用いて耐折疲労試験を行う。なお、試験速度は175cpm、折り曲げ角度135度、荷重19.6N、折り曲げクランプのRは2.0mmとする。
折り曲げ回数5000回以上で破断するものを「A」、1000回以上5000回未満で破断するものを「B」、100回以上1000回未満で破断するものを「C」、100回未満で破断するものを「D」とする。
ここで、評価「A」および「B」は耐折疲労性にかなり優れることを示し、「C」は使用可能、「D」は使用不可を示す。
厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、25℃における密度をJIS K7112(1999)に記載のA法(水中置換法)の密度測定方法に準じて、電子比重計(例えば、アルファミラージュ社製、商品名「SD−200L」)を用いて測定する。音響波の音速は、JIS Z2353(2003)に従い、シングアラウンド式音速測定装置(例えば、超音波工業株式会社製、商品名「UVM−2型」)を用いて25℃において測定し、測定した密度と音速の積から音響インピーダンスを求める。
超音波発振器(例えば、岩通計測株式会社製、ファンクション・ジェネレータ、商品名「FG−350」)から出力された5MHzの正弦波信号(1波)を超音波プローブ(例えば、ジャパンプローブ株式会社製)に入力し、超音波プローブから中心周波数が5MHzの超音波パルス波を水中に発生させる。発生させた超音波が、厚み2mmのシリコーン樹脂シートを通過する前と後の振幅の大きさを超音波受信機(例えば、松下電器産業株式会社製、オシロスコープ、商品名「VP−5204A」)により、水温25℃の環境で測定し、音響波(超音波)感度を比較することで、各シートの音響波(超音波)減衰量を比較する。
なお、音響波(超音波)感度とは、下記計算式で与えられる数値とする。
下記計算式において、Vinは、超音波発振器による、半値幅50nsec以下の入力波の電圧ピーク値を表す。Vsは、発生させた音響波(超音波)がシートを通過し、シートの対面から反射してきた音響波(超音波)を超音波発振器が受信したときに得られる電圧値を表す。
特に、本発明の音響波プローブ用組成物は、超音波診断装置の音響レンズ、あるいは圧電素子と音響レンズの間に設けられて圧電素子と音響レンズとの間の音響インピーダンスを整合させる役割を有する音響整合層の材料、光音響波測定装置や超音波内視鏡における音響レンズの材料ならびに超音波トランスデューサアレイとして容量性マイクロマシン超音波振動子(cMUT:Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers)を備える超音波プローブにおける音響レンズの材料等に好適に用いることができる。
本発明の音響波プローブ用シリコーン樹脂は、具体的には、例えば、特開2005−253751号公報、特開2003−169802号公報などに記載の超音波診断装置や、特開2013−202050号公報、特開2013−188465号公報、特開2013−180330号公報、特開2013−158435号公報、特開2013−154139号公報などに記載の光音響波測定装置などの音響波測定装置に好ましく適用される。
以下に、本発明の音響波プローブの構成を、図1に記載する、超音波診断装置における超音波プローブの構成に基づき、より詳細に説明する。なお、超音波プローブとは、音響波プローブにおける音響波として、特に超音波を使用するプローブである。そのため、超音波プローブの基本的な構造は音響波プローブにそのまま適用することができる。
超音波プローブ10は、超音波診断装置の主要構成部品であって、超音波を発生するとともに、超音波ビームを送受信する機能を有するものである。超音波プローブ10の構成は、図1に示すように、先端(被検体である生体に接する面)部分から音響レンズ1、音響整合層2、圧電素子層3、バッキング材4の順に設けられている。なお、近年、高次高調波を受信することを目的に、送信用超音波振動子(圧電素子)と、受信用超音波振動子(圧電素子)を異なる材料で構成し、積層構造としたものも提案されている。
圧電素子層3は、超音波を発生する部分であって、圧電素子の両側に電極が貼り付けられており、電圧を加えると圧電素子が伸縮と膨張を繰り返し振動することにより、超音波が発生する。
また、高周波側の受信波を検知する圧電素子には、より広い帯域幅の感度が必要である。このため、高周波、広帯域に適した圧電素子として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの有機系高分子物質を利用した有機圧電体が使用されている。
さらに、特開2011−071842号公報等には、優れた短パルス特性、広帯域特性を示し、量産性に優れ、特性ばらつきの少ないアレイ構造が得られる、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したcMUTが記載されている。
本発明においては、いずれの圧電素子材料も好ましく用いることができる。
バッキング材4は、圧電素子層3の背面に設けられており、余分な振動を抑制することにより超音波のパルス幅を短くし、超音波診断画像における距離分解能の向上に寄与する。
音響整合層2は、圧電素子層3と被検体間での音響インピーダンスの差を小さくし、超音波を効率よく送受信するために設けられる。
本発明の超音波プローブ用組成物は、生体の音響インピーダンス(1.4〜1.7×106kg/m2/sec)との差が小さいことから、音響整合層の材料として好ましく用いることができる。本発明の音響整合層は、本発明の音響波プローブ用組成物を硬化反応させてなる音響波プローブ用シリコーン樹脂を10質量%以上含むことが好ましい。
音響レンズ1は、屈折を利用して超音波をスライス方向に集束し、分解能を向上させるために設けられる。また、被検体である生体と密着し、超音波を生体の音響インピーダンス(人体では、1.4〜1.7×106kg/m2/sec)と整合させること、および、音響レンズ1自体の超音波減衰量が小さいことが求められている。
すなわち、音響レンズ1の材料としては、音速が人体の音速よりも十分小さく、超音波の減衰が少なく、また、音響インピーダンスが人体の皮膚の値に近い材料を使用することで、超音波の送受信感度がよくなる。
本発明の超音波プローブ用組成物である音響波プローブ用組成物は、音響レンズ材としても、好ましく用いることができる。
以下、本発明の超音波プローブ用組成物から得られる音響レンズが、従来の課題に対し特に機能を発揮する装置について、詳細に記載する。
なお、下記に記載する以外の装置に対しても、本発明の超音波プローブ用組成物は優れた効果を示す。
特開2006−157320号公報、特開2011−71842号公報などに記載のcMUTデバイスを超音波診断用トランスデューサアレイに用いる場合、一般的な圧電セラミックス(PZT)を用いたトランスデューサと比較して、一般的には、その感度が低くなる。
しかし、本発明の音響波プローブ用組成物から得られる音響レンズを用いることで、cMUTの感度不足を補うことが可能である。これにより、cMUTの感度を、従来のトランスデューサの性能に近づけることができる。
なお、cMUTデバイスはMEMS技術により作製されるため、圧電セラミックスプローブよりも量産性が高く、低コストな超音波プローブを市場に提供することができる。
特開2013−158435号公報などに記載の光超音波イメージング(PAI:Photo Acoustic Imaging)は、人体内部へ光(電磁波)を照射し、照射した光によって人体組織が断熱膨張する際に発生する超音波を画像化したもの、または超音波の信号強度を表示する。
ここで、光照射によって発生する超音波の音圧は微量であるため、人体深部の観察が困難であるという課題がある。
しかし、本発明の音響波プローブ用組成物から得られる音響レンズを用いることで、この課題に対して有効な効果を発揮することができる。
特開2008−311700号公報などに記載の超音波内視鏡における超音波は、その構造上、信号線ケーブルが体表用トランスデューサと比較して長いため、ケーブル損失によるトランスデューサの感度向上が課題である。また、この課題に対しては、下記の理由により、効果的な感度向上手段がないと言われている。
第二に、体表用の超音波診断装置におけるトランスデューサで採用されている圧電単結晶は、その物理特性・プロセス適性上、超音波の送信周波数7〜8MHz以上のトランスデューサへの適用は困難である。しかしながら、内視鏡用超音波は概して超音波の送信周波数7〜8MHz以上のプローブであるため、圧電単結晶材による感度向上も困難である。
また、同一の超音波の送信周波数(例えば10MHz)を使用する場合でも、内視鏡用超音波トランスデューサにおいて本発明の音響波プローブ用組成物から得られる音響レンズ用いる場合には、特に有効性が発揮される。
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)68質量部、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)2質量部、窒化ホウ素(比重2.3、平均一次粒子径22nm、メチルハイドロジェンシリコーン(MHS)表面処理)30質量部をニーダーで2時間混練りし、均一なペーストとした。これに白金触媒溶液(Gelest社製、商品名「SIP6832.2」、Pt濃度2質量%)を0.05質量部添加して混合した後、減圧脱泡し、150mm×150mmの金属型に入れ、60℃で3時間熱処理をして、厚みが1mmおよび2mmのシリコーン樹脂シートを各々得た。
無機化合物粒子として炭化ケイ素(比重3.2、平均一次粒子径18nm、メチルハイドロジェンシリコーン(MHS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子としてアルミナ(比重3.9、平均一次粒子径15nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子としてアルミナ(比重3.9、平均一次粒子径10nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として硫酸バリウム(比重4.5、平均一次粒子径20nm、メチルハイドロジェンシリコーン(MHS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として硫酸バリウム(比重4.5、平均一次粒子径12nm、メチルハイドロジェンシリコーン(MHS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)68質量部、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)2質量部、酸化セリウム(比重7.1、平均一次粒子径19nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)30質量部を実施例1と同様にして混合し、同じく実施例1と同様にして、白金触媒で熱硬化して所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として酸化セリウム(比重7.1、平均一次粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例7と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として酸化セリウム(比重7.1、平均一次粒子径19nm、表面処理なし)30質量部を使用した以外は、実施例7と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V31」、質量平均分子量28,000)65質量部、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンとしてメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)5質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V35」、質量平均分子量49,500)67質量部、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンとしてメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)3質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V46」、質量平均分子量117,000)69質量部、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンとしてメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)1質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V52」、質量平均分子量155,000)69質量部、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンとしてメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)1質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)78質量部、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンとしてメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)2質量部、無機化合物粒子として酸化セリウム(比重7.1、平均一次粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)20質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)59質量部、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンとしてメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)1質量部、無機化合物粒子として酸化セリウム(比重7.1、平均一次粒子径7nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)40質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「PDV−0535」、質量平均分子量47,500、ジフェニルシロキサン量5mol%)68質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとしてビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「PDV−1635」、質量平均分子量35,300、ジフェニルシロキサン量16mol%)68質量部を使用した以外は、実施例8と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として窒化ホウ素(比重2.3、平均一次粒子径63nm、メチルハイドロジェンシリコーン(MHS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として炭化ケイ素(比重3.2、平均一次粒子径50nm、メチルハイドロジェンシリコーン(MHS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子としてアルミナ(比重3.9、平均一次粒子径50nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として硫酸バリウム(比重4.5、平均一次粒子径30nm、メチルハイドロジェンシリコーン(MHS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として酸化セリウム(比重7.1、平均一次粒子径35nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
無機化合物粒子として酸化イッテルビウム(比重9.2、平均一次粒子径25nm、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面処理)30質量部を使用した以外は、実施例1と同様に処理し、所定のシリコーン樹脂シートを得た。
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製、商品名「DMS−V42」、質量平均分子量72,000)98質量部、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(Gelest社製、商品名「HMS−301」、質量平均分子量2,000、メチルヒドロシロキサン比率27mol%)2質量部を実施例1と同様にして混合し、同じく実施例1と同様にして、白金触媒で熱硬化して所定のシリコーン樹脂シートを得た。
実施例1〜17および比較例1〜7のシリコーン樹脂シートについて、以下の評価を行った。
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6253−3(2012)に従い、タイプAデュロメータ硬さを、ゴム硬度計(エクセル社製、「RH−201A」)を用いて測定した。
得られた厚み1mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6251(2010)に従い、ダンベル状試験片を作製し、引張破断強度および引張破断伸びを測定した。
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS K6252(2007)に従い、トラウザー型試験片を作製し、引裂強度を測定した。
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、JIS P8115(2001)に記載の耐折強さ試験方法−MIT試験機法に準じて、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製作所製、型番:DA)を用いて耐折疲労試験を行った。なお、試験速度は175cpm、折り曲げ角度135度、荷重19.6N、折り曲げクランプのRは2.0mmとした。
折り曲げ回数5000回以上で破断するものを「A」、1000回以上5000回未満で破断するものを「B」、100回以上1000回未満で破断するものを「C」、100回未満で破断するものを「D」とした。
ここで、評価「A」および「B」は耐折疲労性にかなり優れることを示し、「C」は使用可能、「D」は使用不可を示す。
得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートについて、25℃における密度をJIS K7112(1999)に記載のA法(水中置換法)の密度測定方法に準じて、電子比重計(アルファミラージュ社製、商品名「SD−200L」)を用いて測定した。超音波音速は、JIS Z2353(2003)に従い、シングアラウンド式音速測定装置(超音波工業株式会社製、商品名「UVM−2型」)を用いて25℃において測定し、測定した密度と音速の積から音響インピーダンスを求めた。
超音波発振器(岩通計測株式会社製、ファンクション・ジェネレータ、商品名「FG−350」)から出力された5MHzの正弦波信号(1波)を超音波プローブ(ジャパンプローブ株式会社製)に入力し、超音波プローブから中心周波数が5MHzの超音波パルス波を水中に発生させた。発生させた超音波が、得られた厚み2mmのシリコーン樹脂シートを通過する前と後の振幅の大きさを超音波受信機(松下電器産業株式会社製、オシロスコープ、商品名「VP−5204A」)により、水温25℃の環境で測定し、音響波(超音波)感度を比較することで、各シートの音響波(超音波)減衰量を比較した。
なお、音響波(超音波)感度とは、下記計算式で与えられる数値とする。
下記計算式において、Vinは、超音波発振器による、半値幅50nsec以下の入力波の電圧ピーク値を表す。Vsは、発生させた音響波(超音波)がシートを通過し、シートの対面から反射してきた音響波(超音波)を超音波発振器が受信したときに得られる電圧値を表す。
なお、下記表1〜3では、ポリオルガノシロキサン(A)および(B)の質量平均分子量を単に分子量として記載し、各成分の種類は商品名を記載した。
2 音響整合層
3 圧電素子層
4 バッキング材
7 筐体
9 コード
10 超音波探触子(プローブ)
Claims (19)
- ビニル基を有するポリシロキサン、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンおよび一種以上の無機化合物粒子を含むポリシロキサン混合物を含有する音響波プローブ用組成物であって、
該無機化合物粒子が、平均一次粒子径が25nm未満であって、比重が2.0以上10.0以下である音響波プローブ用組成物。 - 請求項1に記載の無機化合物粒子が、炭化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、硫酸バリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される音響波プローブ用組成物。
- 請求項1に記載の無機化合物粒子の比重が3.5以上10.0以下である音響波プローブ用組成物。
- 請求項3に記載の無機化合物粒子がアルミナ、硫酸バリウムおよび酸化セリウムからなる群から選択される音響波プローブ用組成物。
- 請求項1に記載の無機化合物粒子の比重が5.0以上10.0以下である音響波プローブ用組成物。
- 請求項5に記載の無機化合物粒子が酸化セリウムである音響波プローブ用組成物。
- 前記ポリシロキサン混合物の合計100質量部中に、前記平均一次粒子径が25nm未満の無機化合物粒子を10〜60質量部含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
- 前記ポリシロキサン混合物の合計100質量部中に、前記ビニル基を有するポリシロキサンを10〜99.4質量部、分子鎖中に2個以上のSi−H基を有するポリシロキサンを0.5〜90質量部含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
- 前記平均一次粒子径が25nm未満の無機化合物粒子がシラン化合物で表面処理されたものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
- 前記ビニル基を有するポリシロキサンの質量平均分子量が20,000〜200,000である請求項1〜9のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
- 前記ビニル基を有するポリシロキサンの質量平均分子量が40,000〜150,000である請求項1〜10のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
- 前記ポリシロキサン混合物100質量部に対し、白金または白金化合物を0.00001〜0.05質量部含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の音響波プローブ用組成物を硬化した音響波プローブ用シリコーン樹脂。
- 請求項13に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響レンズおよび/または請求項13に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂からなる音響整合層を有する音響波プローブ。
- 超音波トランスデューサアレイとしての容量性マイクロマシン超音波振動子、および、請求項13に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂を含んでなる音響レンズを備える超音波プローブ。
- 請求項14に記載の音響波プローブを備える音響波測定装置。
- 請求項14に記載の音響波プローブを備える超音波診断装置。
- 請求項13に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂を含んでなる音響レンズを備える光音響波測定装置。
- 請求項13に記載の音響波プローブ用シリコーン樹脂を含んでなる音響レンズを備える超音波内視鏡。
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