以下、図1〜図19を参照し、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
なお、以下の説明においてパチンコ機の各部の左右方向は、そのパチンコ機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
図1,図2に示すように、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2の側部に軸着され、開閉自在に取り付けられた本体枠3と、当該本体枠3の内側に装着された遊技盤30と、本体枠3の前面に軸着されて開閉自在に取り付けられ、中央に大きく設けられたガラス窓4A及び当該ガラス窓4Aの下方に設けられた受皿6を有するパネル扉4と、本体枠3の下部に配設された図外の発射装置と、パネル扉4の下部に取り付けられたハンドル7と、パネル扉4の左右の上部にそれぞれ設けられたスピーカ8、及びパネル扉4の内部に配設された図外の複数の発光部を備える。
受皿6の中央部には、操作部9が配設される。操作部9は、演出表示装置50に表示されるカーソル等を移動するためのダイアル部と、ダイアル部によって移動されるカーソルと対応する項目を選択する際や、演出表示装置50において展開される多様なボタン演出の際に押下されるボタン部とから構成される。
パチンコ機1の背面側には、図外の収容体や支持部材等を介して、図3に示す主制御装置100と、副制御装置を構成するサブ制御装置(演出制御装置)200と、払出制御装置300とが搭載されている。主制御装置100、サブ制御装置200、払出制御装置300は、何れもCPU(Central Processing Unit)と、遊技処理に必要なプログラム、及び、遊技処理に必要なデータを格納したROM(Read Only Memory)と、CPUがROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を行うための一時記憶領域であるRAM(Random Access Memory)とを備えるマイクロコンピュータである。なお、主制御装置100、サブ制御装置200及び払出制御装置300の各制御装置は、図外の電源供給装置からの電力供給により駆動する。続いて、本実施形態に係るパチンコ機1の各部の構成を概説する。
図2に示すように遊技盤30は、その盤面に遊技球が流下する遊技領域31を備える。遊技領域31は、ガラス窓4Aから観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール27と遊技球規制レール28によって略円形状となるように区画形成されている。
受皿6に収容された遊技球は、図外の発射装置に1個ずつ供給されるようになっている。図3に示すように、払出制御装置300は、ハンドル7の回動操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて所定の強度で遊技球が発射されるように発射モータ7Bを駆動制御するようになっている。発射装置により発射されて遊技領域31に到達した遊技球は、遊技領域31内を流下することになる。また、払出制御装置300には、ハンドル7の円周上に設けられた発射停止スイッチ7Cやハンドル7の内部に配設されたタッチセンサ7Dが接続されている。
遊技盤30には、演出表示装置50と、演出表示装置50の下部に配設されたステージ55と、ステージ55の上方において左右方向に沿って配設された複数の保留記憶表示器20A〜20Hと、第1特別図柄表示装置35Aと、第2特別図柄表示装置35Bと、普通図柄表示装置41と、第1始動入賞口(始動口)61と、第2始動入賞口(始動口)62と、電動チューリップ63と、大入賞口64と、アタッカ装置65と、スルーチャッカ66と、複数の一般入賞口67と、アウト口68と、可動役物70、及び、図外の複数の遊技釘とが設けられている。以下、各部の詳細について説明する。
演出表示装置50は、遊技領域31の略中央部に配設される例えば液晶表示器,ドットマトリクス表示器,ブラウン管表示器,ドラム式表示器等から構成される表示装置である。本実施形態における演出表示装置50は、液晶表示器が採用されており、その表示画面51に、例えば1〜8までの数字及び特定のキャラクター等からなる演出図柄Sを変動表示可能である。また、演出表示装置50の表示画面51には、演出図柄Sの変動中に展開される多様な予告演出やリーチ演出を盛り上げるための特定の画像やアニメーション等の動画等が表示可能であり、これらの演出に係る制御は後述のサブ制御装置200によって実行される。
また、演出図柄Sの変動時間は、後述の第1特別図柄又は第2特別図柄の変動時間と略同期しており、一般に遊技者は、当該演出図柄Sの変動停止までに実行される多様な演出の行方を見守ることにより、大当り遊技への期待感を抱きながら遊技を進行する。
また、演出表示装置50の表示画面51には、左右方向に配列された保留記憶表示器20A〜20Hと対応して左右方向に長いアイコン表示領域Rが設けられている。具体的にはアイコン表示領域Rは、保留記憶表示器20A〜20Hの直上に設けられており、各保留記憶表示器20A〜20Hの位置と対応する複数の小領域R1〜R8を有している(図16等参照)。また、当該小領域R1〜R8には、後述する遊技抽選の結果を示唆するアイコンが表示される。保留記憶表示器20A〜20Hとアイコン表示領域Rとの関係については後述する。
演出表示装置50の上部及び両側部の周囲を取り囲むように配設された中央装飾部材52には、可動役物70が上下方向にスライド移動、かつ、スライド方向に直交する回転軸を中心として回転可能に配設されており、当該可動役物70は、後述のサブ制御装置200によって制御される。
ステージ55は、演出表示装置50の下方に形成された前後左右方向に渡って延在する領域であって、当該ステージ55上に進入した遊技球は、左右方向に転動しながら下方に落下する。ステージ55の中央部には、球導入口が開設されており、当該球誘導入口に進入した遊技球は、下方に開設された球導出口より下方に落下する。
ステージ55の上部後方に配設された複数の保留記憶表示器20A〜20Hは、矩形状の発光基体と当該発光基体内に格納されたLEDランプとから構成される。保留記憶表示器20A〜20Hは、演出表示装置50の表示画面51よりも前方に位置しており、保留記憶表示器20A〜20Hは、表示画面51の下部とその一部が前後方向に重なり合う。保留記憶表示器20A〜20Hは、その発光数によって後述する遊技情報の記憶数(保留記憶数)を遊技者に対して報知する機能を有し、遊技情報の記憶数が増加する度に、換言すれば遊技球が後述の第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62に入賞する度に保留記憶表示器20Aから保留記憶表示器20Hの方向に向かって発光する。
例えば、遊技情報の保留記憶数が2個である場合は、保留記憶表示器20A;20Bが所定の色により発光状態となり、遊技情報の保留記憶数が最大である8個に達した場合、全ての保留記憶表示器20A〜20Hが発光状態となる。よって、遊技者は、保留記憶表示器20A〜20Hの発光数により、記憶された遊技情報の数(保留記憶数)を認識することができる。なお、保留記憶表示器20A〜20Hの詳細な発光態様については後述する。
次に遊技領域31内に配設された各種の入賞口について説明する。
第1始動入賞口61と、第2始動入賞口62は、遊技領域31の略中央部に配設された演出表示装置50の下方に配設された振分機構33の下流側出口34A;34Bの下方に配設されている。振分機構33は、外部より視認可能な透明な基板によって形成された流路であって、共通進入口33Aより進入した球は、二股に分かれる流路の上流側中央部に配設された振分体32によって下流側出口34A;34Bのいずれかに振分けられる。本実施形態において振分体32は、外部の動力を用いずに機械的に動作するものであって、球の重みによって、共通入口33Aへ進入した球を下流側出口34A;34Bの方向に向けて規則的に交互に振分ける。よって、共通進入口33Aより進入した球は、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62に向けて交互に誘導されて入賞することとなる。
振分機構33を経て第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62に遊技球が入賞すると、主制御装置100は、後述する複数の乱数からなる遊技情報を取得して記憶するとともに、始動条件の成立により当該取得した遊技情報に基づいて後述の特別図柄抽選(以下、特図抽選という)等の各種の遊技抽選処理を実行する。つまり、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞は、遊技情報の記憶、及び、当該遊技情報に基づく遊技抽選処理の契機となるものである。
上記第2始動入賞口62は、電動チューリップ63の開閉動作によって入賞の難易が変化するように構成されている。電動チューリップ63は、遊技盤30の前面に垂直な軸を中心に回動する1対の羽根部材と、これら1対の羽根部材を駆動する図外のソレノイドとを備え、ソレノイドへの通電により1対の羽根部材が互いに左右方向に離れる方向に回動し、第2始動入賞口62の入口を拡大する。
電動チューリップ63は、1対の羽根部材を閉じた状態において、共通進入口33A以外から進入した遊技球の第2始動入賞口62への入賞を困難とし、1対の羽根部材を開放した状態において共通進入口33A以外から進入した遊技球の入賞を容易とする。なお、電動チューリップ63の開放動作は、遊技球がスルーチャッカ66を通過したことに基づいて実行される普通図柄に係る電子抽選(普図抽選)の結果が普図当りとなった場合に、主制御装置100により実行される。
大入賞口64は、遊技領域31の右側部に配設される。大入賞口64は、アタッカ装置65によって入賞の可否が変化するように構成されている。アタッカ装置65は、概略、遊技盤30の前面と平行な軸を中心として前後方向にフラップ状に回動白在に設けられた大入賞口64の形状とほぼ同じ長方形の蓋部材と、この蓋部材を駆動する図外のソレノイドとを備え、ソレノイドへの通電により蓋部材が前方向に回動して大入賞口64を開放するものである。アタッカ装置65が開いた状態は大入賞口64への遊技球の入賞が可能な状態であり、アタッカ装置65が閉じた状態は大入賞口64への遊技球の入賞が不可能な状態である。
アタッカ装置65は、後述する第1特図抽選又は第2特図抽選の結果が「当り」となった場合に実行される特別遊技中において主制御装置100によって開放駆動される。よって、遊技者は、特別遊技実行中において遊技球を遊技領域31の右側部方向に打ち出すことにより、遊技球を容易に大入賞口64内に入賞させることができる。
複数の一般入賞口67は、遊技領域31の左側部に上下方向に分かれて配設される。上述した各入賞口のそれぞれには、遊技球の通過を検知する第1始動入賞口検知センサ91、第2始動入賞口検知センサ92、大入賞口検知センサ93、一般入賞口検知センサ94が内蔵されている。これらの検知センサ91〜94は、遊技球の通過に伴い遊技球検知信号を出力する磁気センサであり、その遊技球検知信号は主制御装置100に入力される。
また、上述した各入賞口に遊技球が取り込まれると、主制御装置100は、払出制御装置300に対して払出コマンドを送信し、これを受信した払出制御装置300が賞球払出装置301を駆動することにより、遊技者に対して予め設定された所定個数の賞球が払出される。賞球払出装置301から払出された賞球は、賞球払出装置301の遊技球流路内に配設された払出計数スイッチ302により計数され、払出制御装置300は払出計数スイッチ302からの入力に基づいて払出動作を停止させる。本実施形態において、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞に対して予め設定された賞球個数は3個であり、大入賞口64に予め対応付けられた賞球個数は15個であり、一般入賞口67に予め対応付けられた賞球個数は5個である。また、第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、大入賞口64、一般入賞口67の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域31の最下部に位置するアウト口68から回収される。
スルーチャッカ66は、大入賞口64の上方に配設されている。スルーチャッカ66は、遊技球が通過可能なゲート構造をなしたものであり、当該スルーチャッカ66を通過した遊技球は内部に格納されたスルーチャッカ検知センサ95によって検出される。スルーチャッカ検知センサ95は前述の各検知センサ91〜94と同様に主制御装置100に接続されており、その遊技球検知信号が主制御装置100に出力される。
第1特別図柄表示装置35Aは、第1始動入賞口61への遊技球の入賞を契機に、主制御装置100により行われる特図抽選(第1特図抽選)の結果を表示する表示器である。本実施形態における第1特別図柄表示装置35Aは、7セグメントディスプレイにより構成され、特図抽選の結果に基づいて特別図柄(1〜9までの数字や記号)を高速で点滅表示させた後に、特図抽選の結果を表示する態様で所定の特別図柄を導出表示する。ここで、特別図柄が点滅表示している時間は、特別図柄の変動時間であり、導出表示されている時間は特別図柄の停止時間である。また、例えば特図抽選の結果が「当り」である場合に導出表示される特別図柄は、1〜9までの何れかの数字又は記号の組み合わせであり、「外れ」である場合に停止表示される特別図柄は、数字以外のアルファベットや「−」等の記号である。当該第1特別図柄表示装置35Aの変動表示制御は、主制御装置100により制御される。
第2特別図柄表示装置35Bは、第2始動入賞口62への遊技球の入賞を契機に、主制御装置100により行われる特図抽選(第2特図抽選)の結果を表示する表示器である。第2特別図柄表示装置35Bは、第1特別図柄表示装置35Aと同様の7セグメントディスプレイにより構成され、主制御装置100により制御されることによって特別図柄を点滅表示させた後に、特図抽選の結果を表示する態様で所定の特別図柄を導出表示(停止表示)するものである。なお、特別図柄の変動時間、停止時間及びその導出態様については上記第1特別図柄表示装置35Aにおけるものと同様である。
なお、以下の説明においては第1始動入賞口61への入賞を契機として変動する特別図柄を第1特別図柄と言い、第2始動入賞口62への入賞を契機として変動する特別図柄を第2特別図柄と言う場合がある。第1特別図柄表示装置35A及び第2特別図柄表示装置35Bは、演出表示装置50を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤30の右下部分に演出表示装置50と離間して配置されている。また、第1特別図柄表示装置35A及び第2特別図柄表示装置35Bの形態は7セグメントに限られず、複数のランプを規則的又はランダムに配列した形態等のものを採用することも可能である。
普通図柄表示装置41は、上述の第1特別図柄表示装置35A及び第2特別図柄表示装置35Bの下方に配置され、遊技球のスルーチャッカ66の通過を契機に、主制御装置100により行われる普図抽選の結果を表示する表示器である。普通図柄表示装置41は並設された2つのLEDランプにより構成され、主制御装置100により制御されることによって普通図柄を交互に点滅表示させた後に、普図抽選の結果を表示する態様で所定の普通図柄を導出表示(停止表示)するものである。具体的には普図抽選の結果が「当り」の場合には2つのLEDランプのうちの一方のみが点灯し、「外れ」のときに他方のみが点灯するようになっている。2つのLEDランプが交互に点滅している状態は、普通図柄が変動している状態であり、その点滅が停止して点灯が維持された状態は、普通図柄の変動が停止した状態である。また、2つのLEDランプが交互に点滅している時間は、普通図柄の変動時間である。
以下、図3を参照し、上記構成からなる遊技盤30を備えたパチンコ機1のハードウェア上の構成について説明するとともに、パチンコ機1における主要な制御処理について概説する。同図に示すように、パチンコ機1は、主制御装置100、サブ制御装置200、及び、上述の払出制御装置300を主たる装置として備えている。以下、特に主制御装置100、サブ制御装置200について詳説する。
同図に示すように、主制御装置100は、遊技情報記憶手段110と、特別図柄当否抽選手段120と、特別図柄種類決定手段130と、特図変動時間決定手段140と、特別図柄変動表示制御手段150と、特別遊技制御手段160と、遊技情報先読み手段170と、保留記憶表示器制御手段175と、普通図柄当否抽選手段180と、電動チューリップ制御手段190及び遊技状態制御手段195を備える。
遊技情報記憶手段110は、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62にそれぞれ対応する第1始動入賞口検知センサ91及び第2始動入賞口検知センサ92から出力される遊技球検出信号の入力を契機として、複数の乱数からなる遊技情報を取得して記憶する。
図4(a)は、遊技情報記憶手段110の構成を示すブロック図である。同図に示すように、遊技情報記憶手段110は、特図当否抽選用乱数発生部111Aと、特図当否抽選用乱数取得部111Bと、特図種類決定用乱数発生部112Aと、特図種類決定用乱数取得部112Bと、特図変動時間決定用乱数発生部113Aと、特図変動時間決定用乱数取得部113B、及び、遊技情報保留記憶部115とから構成される。
特図当否抽選用乱数発生部111Aは、周期的に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(本実施形態では0〜65535の整数の範囲)で1ずつ更新させることによりハードウェア乱数である特図抽選用乱数を発生させるハードウェアカウンタである。特図当否抽選用乱数取得部111Bは、第1始動入賞口検知センサ91又は第2始動入賞口検知センサ92からの遊技球検知信号の入力に基づき、特図当否抽選用乱数発生部111Aにより発生した特図当否抽選用乱数を取得(ラッチ)する。
特図種類決定用乱数発生部112Aは、上記特図当否抽選用乱数発生部111Aと同様に周期的に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(本実施形態では0〜99の整数の範囲)で1ずつ更新させることによりハードウェア乱数である特図種類決定用乱数を発生させるハードウェアカウンタである。特図種類決定用乱数取得部112Bは、第1始動入賞口検知センサ91又は第2始動入賞口検知センサ92からの遊技球検知信号の入力に基づき、特図種類決定用乱数発生部112Aにより発生した特図種類決定用乱数を取得(ラッチ)する。
特図変動時間決定用乱数発生部113Aは、ループカウンタの値を所定の範囲(本実施形態では0〜99の整数の範囲)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である特図変動時間決定用乱数を発生させるソフトウェアカウンタである。特図変動時間決定用乱数取得部113Bは、第1始動入賞口検知センサ91又は第2始動入賞口検知センサ92からの遊技球検知信号の入力に基づき、特図変動時間決定用乱数発生部113Aにより発生した特図変動時間決定用乱数を取得(ラッチ)する。
以上のとおり、上述の各乱数は、第1始動入賞口検知センサ91又は第2始動入賞口検知センサ92からの入力に基づいて同時に取得されるものである。そして以下の説明においては、これら同時に取得される複数の乱数を総称して「遊技情報」という場合がある。
遊技情報保留記憶部115は、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62への入賞(第1始動入賞口検知センサ91又は第2始動入賞口検知センサ92への入力)を契機として取得された遊技情報を記憶する記憶領域を有するRAMにより構成される。
本実施形態においては、遊技情報保留記憶部115に記憶可能な遊技情報の上限は、第1始動入賞口61への入賞及び第2始動入賞口62への入賞にそれぞれについて4個(最大8個)とされており、遊技情報保留記憶部115は、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62への入賞を契機として取得された遊技情報を入賞口(遊技球検出信号)の種別に応じて、それぞれ独立して設けられた記憶領域(第1記憶領域,第2記憶領域)内に順に記憶する。
また、各記憶領域に記憶された遊技情報は、始動条件の成立によって読み出され、当該読み出された遊技情報に基づく所定の遊技抽選処理(特図抽選処理,特図種類決定処理,特図変動時間決定処理)が実行されたのちに削除される。
図4(b)は、遊技情報記憶手段110による遊技情報の取得,記憶処理の流れを示すフローチャートである。まず、S100において遊技情報記憶手段110は、第1始動入賞口61への入賞が検出されたかを判定し、判定がYESの場合S101に移行し、NOの場合S104に移行する。S101において遊技情報記憶手段110は、第1記憶領域内に記憶されている遊技情報が上限に達しているかを判定し、NOの場合S102に移行し、YESの場合、遊技情報を新たに取得することなく処理を終了する。S102において遊技情報記憶手段110は、上述の各乱数発生手段により発生した乱数を上述の各乱数取得手段により取得し、S103に移行する。
遊技情報記憶手段110は、S103において、S102で取得した複数の乱数を遊技情報として互いに対応付けて遊技情報保留記憶部115の第1記憶領域に記憶(保留)し、一回の処理を終了する。
遊技情報記憶手段110は、S104において第2始動入賞口62への入賞が検出されたかを判定し、判定がYESの場合S105に移行し、NOの場合一回の処理を終了する。遊技情報記憶手段110は、S105において第2記憶領域内に記憶されている遊技情報が上限に達しているかを判定し、NOの場合S106に移行し、YESの場合、遊技情報を新たに取得することなく処理を終了する。
S106において遊技情報記憶手段110は、上述の各乱数発生手段により発生した乱数を上述の各乱数取得手段により取得し、S107に移行する。遊技情報記憶手段110は、S107において、S106で取得した複数の乱数を遊技情報として互いに対応付けて遊技情報保留記憶部115の第2記憶領域に記憶(保留)し、一回の処理を終了する。
以上のとおり、本実施形態に係る遊技情報記憶手段110は、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞を契機として、複数の乱数から構成される遊技情報を上限に達するまで順次取得,記憶する機能を有する。また、上述したとおり、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技球を第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62に交互に振分ける構成であるため、遊技情報も必然的に第1記憶領域及び第2記憶領域に交互に記憶されることとなる。
次に、主制御装置100の特別図柄当否抽選手段120によって実行される特図抽選処理ついて説明する。なお、以下に詳説するが、特別図柄当否抽選手段120、特別図柄種類決定手段130、及び、特図変動時間決定手段140は、所定の始動条件が成立したことに応じて、前記遊技情報記憶手段110に記憶された遊技情報に含まれる各乱数をそれぞれ読み出し、読み出した乱数に対応する当否の結果、特別図柄の種類、及び、特別図柄の変動時間を決定する。また、本明細書においては、上記遊技情報に基づいて実行される各処理を総称して「遊技抽選」という。
図5(a)は、特別図柄当否抽選手段120の構成を示すブロック図である。同図に示すように、特別図柄当否抽選手段120は、特図当否抽選用乱数読出し部121と、低確率用当否抽選テーブル122A及び高確率用当否抽選テーブル122Bを備えている。
図5(b)に示すように、これらのテーブルには、0〜65535までの範囲の特図当否抽選用乱数それぞれに対応する当否結果(「当り」,「外れ」)が規定されている。特別図柄当否抽選手段120の特図当否抽選用乱数読出し部121は、所定の始動条件が成立したことに基づいて、前述の遊技情報記憶手段110によって遊技情報として記憶された特図当否抽選用乱数を読み出すとともに、現在の遊技状態に応じて低確率用当否抽選テーブル122A及び高確率用当否抽選テーブル122Bのいずれかのテーブルを参照し、読み出した特図当否抽選用乱数に対応する当否結果を抽出する。
本実施形態においては、低確率用当否抽選テーブル122Aが参照された場合よりも、高確率用当否抽選テーブル122Bが参照された場合の方が当否抽選の結果が「当り」となる確率が約10倍高く設定されている。いずれのテーブルが参照されるかは、後述する遊技状態制御手段195によって設定される遊技状態によって異なり、遊技状態が後述する「特図低確率」である場合は、低確率用当否抽選テーブル122Aが参照され、「特図高確率」である場合は、高確率用当否抽選テーブル122Bが参照される。
またここで、上記当否抽選が実行される契機となる始動条件とは、特別図柄が変動中でないこと、かつ、特別遊技実行中でないことであり、当該始動条件が成立したことに基づいて遊技情報記憶手段110によって記憶された特図当否抽選用乱数が順次読み出され、対応する当否結果が抽出される。また、特図当否抽選用乱数の読出し順は、入賞順(遊技情報記憶手段110に記憶された順序通り)であり、本実施形態においては、原則的に第1記憶領域及び第2記憶領域に記憶された特図当否抽選用乱数が交互に読み出される。
次に、主制御装置100の特別図柄種類決定手段130により実行される特図種類決定処理ついて説明する。図6(a)は、特別図柄種類決定手段130の構成を示すブロック図である。同図に示すように、特別図柄種類決定手段130は、特図種類決定用乱数読出し部131と、前述の当否抽選の結果が「当り」である場合に参照される特図種類決定テーブル132を備えている。
図6(b)に示すように、特図種類決定テーブル132は、それぞれ特1当り用特図種類決定テーブル132A,特2当り用特図種類決定テーブル132Bに細分化されている。これらのテーブルには、0〜99までの範囲の特図種類決定用乱数それぞれに対応する特図種類(特別図柄種類)が規定されている。
特別図柄種類決定手段130の特図種類決定用乱数読出し部131は、前述の当否抽選の結果が「当り」であることに基づいて、遊技情報記憶手段110によって遊技情報として記憶された特図種類決定用乱数を読み出し、特1当り用特図種類決定テーブル132A、及び、特2当り用特図種類決定テーブル132Bのいずれかのテーブルを参照して、読み出した特図種類決定用乱数に対応する特別図柄種類を抽出する。
なお、特1当り用特図種類決定テーブル132Aは、特図種類決定用乱数が第1始動入賞口61への入賞を契機に取得されたものである場合に参照されるテーブルであり、特2当り用特図種類決定テーブル132Bは、特図種類決定用乱数が第2始動入賞口62への入賞を契機に取得されたものである場合に参照されるテーブルである。換言すれば、特図種類決定用乱数が遊技情報保留記憶部115の第1領域から読み出されたものである場合は、特1当り用特図種類決定テーブル132Aが参照され、第2領域から読み出されたものである場合は、特2当り用特図種類決定テーブル132Bが参照される。
図6(b)に示すように、特1当り用特図種類決定テーブル132A、及び、特2当り用特図種類決定テーブル132Bには、特図種類決定用乱数に対して、特別図柄A〜Dの合計4種類のうちいずれかの特別図柄種類が規定されている。なお、図中の「選択率」の項目は説明の便宜上付したものであり、実際のテーブルに規定されるものではなく、以下の図においても同様である。
特1当り用特図種類決定テーブル132Aには、特別図柄A〜Dまでの特別図柄種類の選択率がそれぞれ20%、60%、10%、10%となるように規定されている。また、特2当り用特図種類決定テーブル132Bには、特別図柄A〜Cまでの特別図柄種類の選択率がそれぞれ70%、25%、5%となるように規定されている。
同図から明らかなとおり、特図種類決定用乱数が第1始動入賞口61への入賞を契機に取得されたものである場合に参照される特1当り用特図種類決定テーブル132Aと、特図種類決定用乱数が第2始動入賞口62への入賞を契機に取得されたものである場合に参照される特2当り用特図種類決定テーブル132Bとの間には、その選択率に顕著な差が設けられており、具体的には、特1当り用特図種類決定テーブル132Aが参照されるよりも、特2当り用特図種類決定テーブル132Bが参照された場合の方が、特別図柄Aが選択される確率が飛躍的に高くなっており、さらに特2当り用特図種類決定テーブル132Bが参照された場合、特別図柄Dが選択される可能性はない。
これらのテーブルによって抽出される特図種類は、後述する特別遊技中の態様(ラウンド数)や、当該特別遊技後の遊技状態を決定する要素として用いられる。
また、これらの特図種類は、前述の第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35Bに導出される特別図柄の態様を決定する。本実施形態において、例えば特図種類が「特別図柄A」である場合、第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35B上に「7・7」又は「3・3」、「特別図柄B」の場合「1・1」又は「5・5」、「特別図柄C」の場合「8・8」又は「6・6」、「特別図柄D」の場合「2・2」又は「4・4」が当否抽選の結果を示す態様として停止表示される。なお、前述の当否抽選の結果が「外れ」である場合は、特図種類決定処理は実行されず、第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35Bに導出される特別図柄の態様は「−」とされる。
次に、主制御装置100の特図変動時間決定手段140により実行される特図変動時間決定処理ついて説明する。図7(a)は、特図変動時間決定手段140の構成を示すブロック図である。同図に示すように、特図変動時間決定手段140は、特図変動時間決定用乱数読出し部141と、低確率用特図変動時間決定テーブル142と、高確率用特図変動時間決定テーブル143を備えている。図7(b)に示すように、低確率用特図変動時間テーブル142は、外れ用の低確率用特図変動時間テーブル142A及び当り用の低確率用特図変動時間テーブル142Bに細分化されている。また、同様に高確率用特図変動時間決定テーブル143は、外れ用の高確率用特図変動時間テーブル143A、及び、当り用の高確率用特図変動時間テーブル143Bに細分化されている。
これらのテーブルには、0〜99までの範囲の特図変動時間決定用乱数それぞれに対応する特別図柄の変動時間(2秒,12秒,30秒,45秒,90秒のいずれか)が規定されている。特図変動時間決定手段140の特図変動時間決定用乱数読出し部141は、前述の当否抽選の結果が抽出されたことに基づいて、遊技情報記憶手段110によって遊技情報として記憶された特図変動時間決定用乱数を読み出すとともに、遊技状態に応じて上記いずれかのテーブルを参照し、読み出した特図変動時間決定用乱数に対応する特別図柄の変動時間を抽出する。
ここで、外れ用の低確率用特図変動時間テーブル142Aは、前述の特図抽選の結果が「外れ」であり、かつ、遊技状態が後述する「普図低確率」である場合に参照されるテーブルである。また、当り用の低確率用特図変動時間テーブル142Bは、前述の特図抽選の結果が「当り」であり、かつ、遊技状態が後述する「普図低確率」である場合に参照されるテーブルである。両者の選択率の比較からも明らかなように、当り用の低確率用特図変動時間テーブル142Bが参照される場合の方が、外れ用の低確率用特図変動時間テーブル142Aが参照される場合よりも長い変動時間が抽出される傾向にある。
また、外れ用の高確率用特図変動時間テーブル143Aは、前述の特図抽選の結果が「外れ」であり、かつ、遊技状態が後述する「普図高確率」である場合に参照されるテーブルである。また、当り用の高確率用特図変動時間テーブル143Bは、前述の特図抽選の結果が「当り」であり、かつ、遊技状態が後述する「普図高確率」である場合に参照されるテーブルである。
両者の選択率の比較からも明らかなように、外れ用の高確率用特図変動時間テーブル143Aが参照された場合の変動時間は「2秒」に決定される。また、当り用の高確率用特図変動時間テーブル143Bが参照された場合の変動時間は、「45秒」又は「90秒」に決定される。
なお、上述の各テーブルは例示に過ぎず、この他にも遊技情報の記憶(保留記憶数)に応じて異なる変動時間が規定されたテーブルを参照して特別図柄の変動時間を決定する構成としてもよい。
以上のとおり、主制御装置100は、特別図柄当否抽選手段120、特別図柄種類決定手段130及び特別図柄変動時間決定手段140を備えており、遊技情報記憶手段110に記憶された遊技情報を読み出し、読み出した遊技情報に対応する当否抽選の結果、特別図柄の種類、及び特別図柄の変動時間を抽出して決定する。
そして、主制御装置100は、上記抽出,決定された当否抽選の結果、特別図柄の種類、及び特別図柄の変動時間の情報を含む演出図柄変動コマンドをサブ制御装置200側に送信する。当該演出図柄変動コマンドを受信したサブ制御装置200側では、当否抽選の結果、特別図柄の種類及び特別図柄の変動時間に基づいて演出図柄の変動時間、及び、変動に際して表示される演出内容を決定し、演出表示装置50で各種の演出を展開する処理を実行する。なお、当該処理については後述する。
演出図柄変動コマンドの送信に対応して、主制御装置100の特別図柄変動表示制御手段150は、第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35Bに対して変動開始信号を出力し、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示を、抽出された所定の変動時間実行するとともに、所定の変動時間経過後に変動停止信号を出力し、当否抽選の結果を示す態様で停止表示させる。これにより、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞を契機として取得された遊技情報に対する一回の遊技処理が終了する。
図8は、上述した主制御装置100による一連の遊技抽選処理のフローである。同図に示すように、主制御装置100は、S200において、遊技情報記憶手段110に遊技情報が記憶されているかを判定し、YESの場合S201に移行し、NOの場合判定を繰り返す。主制御装置100は、S201において、現在の遊技状態が特別遊技中であるかを判定し、YESの場合処理を終了し、NOの場合S202に移行する。なお、特別遊技中であるか否かの判定は、特別遊技中においてRAMに設定される特別遊技中フラグの有無により行われる。
主制御装置100は、S202において、特別図柄が変動中であるかを判定し、YESの場合処理を終了し、NOの場合S203に移行する。なお、変動中であるか否かの判定は、変動中においてRAMに設定される特別図柄変動フラグの有無により行われる。
主制御装置100は、S203において、遊技情報を読み出し、S204に移行する。具体的には、主制御装置100の特別図柄当否抽選手段120、特別図柄種類決定手段130及び特別図柄変動時間決定手段140が、それぞれ対応する特図当否抽選用乱数、特図種類決定用乱数、及び特図変動時間決定用乱数を読み出す。上記S201及びS202の判定処理から明らかなように、特別図柄当否抽選手段120等を含む遊技情報に係る抽選処理は、始動条件として設定された現在の遊技状態が特別遊技中でないこと、かつ、特別図柄が変動中でないことを条件として実行される。
主制御装置100は、S204において、読み出した遊技情報に基づいて当否抽選の結果、特別図柄の種類及び特別図柄の変動時間を抽出してS205に移行する。主制御装置100は、S205において第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35Bの変動表示を開始させ、S206に移行する。主制御装置100は、S206において当否抽選の結果、特別図柄の種類及び特別図柄の変動時間の情報を含む演出図柄変動コマンドをサブ制御装置200側に送信して処理を終了する。
次に、主制御装置100の特別遊技制御手段160について説明する。特別遊技制御手段160は、上述の当否抽選(第1特図抽選又は第2特図抽選)の結果が「当り」である場合、当該「当り」であることを示す態様で特別図柄が停止表示された後に、遊技者に対して遊技者にとって有利な特別遊技を実行する。ここで、特別遊技の具体的態様は、前述の特別図柄種類に応じて予め設定されている。
例えば、特別図柄の種類が、「特別図柄A」である場合、特別遊技制御手段160は、アタッカ装置65に制御信号を出力し、大入賞口64を16R(ラウンド)開放状態とする。例えば1R当りの開放時間は30秒又は遊技球が10個入賞するまでのいずれか早い時間が経過するまでとされている。また、各ラウンド間のインターバルは、3.5秒とされている。
よって、当該特別遊技が実行された場合に遊技者が獲得可能な理論上の賞球数(払出し数)は、約2400個(15×10×16)となる。
また、特別図柄の種類が、「特別図柄B」である場合、特別遊技制御手段160は、アタッカ装置65に制御信号を出力し、大入賞口64を4R(ラウンド)開放状態とする。なお、1R当りの開放時間及び各ラウンド間のインターバルは、前記と同様である。
よって、当該特別遊技が実行された場合に遊技者が獲得可能な理論上の賞球数(払出し数)は、約600個(15×10×4)となる。
また、特別図柄の種類が、「特別図柄C」又は「特別図柄D」である場合、特別遊技制御手段160は、アタッカ装置65に制御信号を出力し、大入賞口64を2R(ラウンド)開放状態とする。特別図柄の種類が「特別図柄C」又は「特別図柄D」である場合の1R当りの開放時間は、0.2秒とされており、ラウンド間のインターバルは、0.1秒である。このように、特別図柄の種類が「特別図柄C」又は「特別図柄D」である場合に実行される特別遊技は、遊技球を大入賞口64に入賞させることが困難な開放時間とされており、実質的な賞球を得ることが困難な遊技である。
以上のとおり、本実施形態に係るパチンコ機1においては、特別図柄の種類が「特別図柄A」であるか、或いは、「特別図柄B」であるかによって獲得可能な賞球数が大きく異なるように設定されている。
そして、図6(b)に示すように当否抽選の結果が「当り」である場合に、特別図柄種類が「特別図柄A」となる確率は、特1当り用特図種類決定テーブル132Aが参照された場合には全体の「20%」であるのに対して、特2当り用特図種類決定テーブル132B参照された場合は全体の「70%」である。つまり、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技情報が第1始動入賞口61への入賞を契機として記憶されたものであるか、或いは、第2始動入賞口62への入賞を契機として記憶されたものであるかによって、換言すれば、特1当り用特図種類決定テーブル132Aが参照されるか、特2当り用特図種類決定テーブル132Bが参照されるかによって、当否抽選の結果が同じ「当り」であっても、その後に実行される特別遊技において獲得可能な平均獲得賞球数(獲得賞球期待値)が2倍以上異なっており(840個:1830個)、遊技者から見れば「当り」となる特別図柄や演出図柄Sの変動が、第1始動入賞口61への入賞を契機として記憶された遊技情報に基づくものであるか、それとも、第2始動入賞口62への入賞を契機として記憶された遊技情報に基づくものであるかが、遊技進行中における重要な関心事となる。つまり、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技情報がいずれの始動入賞口を契機として記憶されたかに応じて、互いに獲得賞球期待値が異なるように規定された特1当り用特図種類決定テーブル132A及び特2当り用特図種類決定テーブル132Bのいずれかを参照し、当該テーブルによって、特別遊技の種類(本実施形態においてはラウンド数)を決定する構成である。
そして、後述するように、本実施形態に係るパチンコ機1においては、保留記憶表示器20A〜20Hの発光態様を遊技情報が記憶された契機の相違(第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62)によって区別することにより、遊技者に対して契機の相違を積極的に認識させるようにしている。
次に、主制御装置100の遊技情報先読み手段170について説明する。遊技情報先読み手段170は、前述の遊技情報記憶手段110に遊技情報が記憶されたことに基づいて、当該遊技情報の始動条件成立前、より具体的には特別図柄の変動中に遊技情報記憶手段110に記憶された遊技情報を先行して読み出し、当該読み出した遊技情報に基づいて前述の遊技抽選処理とほぼ同様の処理を実行する。即ち、遊技情報先読み手段170は、特別図柄変動中において遊技情報記憶手段110に記憶された遊技情報を当該遊技情報の始動条件が成立する前に読み出し、当該読み出した遊技情報に基づいて特図抽選の結果及び特別図柄の変動時間を抽出する。以下、図9(a)に示すフローを参照し、主制御装置100の遊技情報先読み手段170により実行される遊技情報先読み処理について説明する。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S300において、遊技球が第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62に入賞したこと、換言すれば遊技情報記憶手段110(遊技情報保留記憶部115)の第1記憶領域又は第2記憶領域に遊技情報が記憶されたかを判定し、YESの場合S301に移行し、NOの場合判定を繰り返す。主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S301において、特別図柄が変動中であるかを判定し、YESの場合S302に移行し、NOの場合処理を終了する。特別図柄が変動中であるかの判定は、特別図柄の変動開始と同時に特別図柄変動表示制御手段150によってRAM内に設定される特別図柄変動フラグの有無により判定される。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S302において、遊技情報記憶手段110に記憶された遊技情報を読出し、S303に移行する。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S303において、読み出した遊技情報について前述の遊技抽選処理を実行し、S304に移行する。具体的には、遊技情報に含まれる特図抽選用乱数と、特別図柄当否抽選手段120が有する低確率用当否抽選テーブル122A又は高確率用当否抽選テーブル122Bを参照し、特図抽選用乱数に対応する当否結果を抽出する。なお、いずれの当否抽選テーブルを参照するかは、後述の遊技状態フラグに基づいて決定される。また、以下、便宜上、当該始動条件の成立前に実行される特図当否抽選(処理)を「先読み当否抽選(処理)」という。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S304において、読み出した遊技情報について前述の特図変動時間決定処理を実行し、S305に移行する。具体的には、遊技情報に含まれる特図変動時間決定用乱数と、特図変動時間決定手段140が有するいずれかの変動パターンテーブル(142A,142B,143A,143B)を参照し、特図変動時間決定用乱数に対応する特図変動時間を抽出する。なお、どの変動パターンテーブルを参照するかは、前述の先読み当否抽選の結果、及び、後述の遊技状態フラグに基づいて決定される。また、以下、便宜上、当該始動条件の成立前に実行される特図変動時間決定処理を「先読み特図変動時間決定処理」という。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170はS305において、S304の「先読み特図変動時間決定処理」において抽出された特図変動時間に基づいて、先読み演出実行判定処理を実行し、S306に移行する。具体的には、先読み演出判定用乱数と、先読み演出判定用テーブル171とを参照して、先読み演出の有無を決定する。
図9(b)は、遊技情報先読み手段170が有する先読み演出判定用テーブル171の詳細を示す模式図である。同図に示すように先読み演出判定用テーブル171は、特図変動時間の種類(2秒,12秒,30秒,45秒,90秒)に対応して先読み演出判定用テーブル171A〜171Eに細分化されており、先読み演出判定用乱数に対応して先読み演出実行の結果(有無)が規定されている。ここで、先読み演出判定用乱数は、前述の始動情報と同様に、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞を契機として同時に取得される0〜99までの乱数であり、遊技情報先読み手段170は、当該先読み演出判定用乱数に基づいて先読み演出の有無を決定する。
また、各先読み演出判定用テーブル171A〜171Eは、特図変動時間が長くなる程、先読み演出が「有り」となる確率が高くなるように設定されており、特図変動時間「90秒」に対応する先読み演出判定用テーブル171Eが参照された場合、50%の確率で先読み演出が「有り」として抽出される。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S306において前述のS305において先読み演出が「有り」と判定されたかを判定し、YESの場合S307に移行し、NOの場合処理を終了する。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S307において先読み演出時期決定処理を実行し、S308に移行する。当該先読み演出時期決定処理とは、後述する保留記憶表示器20A〜20Hの発光タイミング、及び、アイコン表示領域Rに表示されるアイコンの表示タイミングを決定する処理である。表示タイミングには「先表示」と「後表示」の2通りの時期が存在し、例えば、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞を契機として同時に取得される所定の乱数に基づく振分抽選により、「先表示」及び「後表示」いずれかのタイミングが決定される。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S308においてS307によって決定された表示タイミングが「先表示」であるかを判定し、YESの場合S309に移行し、NOの場合S311に移行する。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S309において、既に(先行して)記憶された遊技情報が1つ以上あるかを判定し、YESの場合S310に移行し、NOの場合処理を終了する。
主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S310においてサブ制御装置200に対して、先読み演出実行コマンドを送信し、処理を終了する。当該先読み演出実行コマンドには、前述の先読み特図変動時間決定処理によって抽出された特図変動時間、及び、表示タイミング(「先表示」又は「後表示」)に係る情報が含まれており、当該先読み演出実行コマンドを受信したサブ制御装置200は、これらの情報に基づいてアイコン表示領域Rに表示されるアイコンの種類や表示タイミングを決定する。
一方、主制御装置100の遊技情報先読み手段170は、S311において新たな遊技情報が記憶手段110の第1記憶領域又は第2記憶領域に記憶されたかを判定し、YESの場合S312に移行し、NOの場合判定を繰り返す。ここで、新たな遊技情報とは、S305における先読み演出実行判定処理の結果が先読み演出「有り」となった遊技情報よりも後に記憶された遊技情報であり、S312において、当該新たな遊技情報が記憶されたことに基づいて前述の先読み演出実行コマンドが送信される。
つまり、表示タイミングが「先表示」である場合には、既に記憶された遊技情報が1つ以上あることを条件としてサブ制御装置200に対して先読み演出実行コマンドが直ちに送信される。なお、既に記憶された遊技情報が1つ以上あることを条件とするのは、後述する先読み演出が、保留記憶表示器20A〜20Hのうち、隣接する2つの保留記憶表示器を対象とするからである。
これに対して表示タイミングが「後表示」である場合には、新たな遊技情報が記憶されたことを条件としてサブ制御装置200に対して先読み演出実行コマンドが送信され、例えば所定の期間、遊技球が第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62に入賞せず、新たな遊技情報が記憶されないような場合には、先読み演出実行コマンドを送信することなく処理を終了する。
なお、所定の期間とは、先読み演出「有り」となった遊技情報が記憶されてから、当該遊技情報が前述のS203の処理により読み出される以前の期間である。
次に主制御装置100の保留記憶表示器制御手段175について説明する。保留記憶表示器制御手段175は、概略、遊技情報が遊技情報記憶手段110に記憶されたこと、換言すれば遊技球が第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62に入賞したことを契機として、保留記憶表示器20A〜20Hの発光数が増加するように制御し、遊技情報が読み出されたことを契機として、発光数が減少するように制御する。
なお、詳細については後述するが、保留記憶表示器20A〜20Hの発光態様は、発光色の違い、及び、「点灯」又は点灯と消灯を高速で繰り返す「点滅」に区別される。
図10は、保留記憶表示器制御手段175による保留記憶表示点灯処理を示すフロー、図11は、パターンごとの保留記憶表示器20A〜20Hの発光態様を示す模式図である。図10に示すように、保留記憶表示器制御手段175は、S400において遊技情報記憶手段110に遊技情報が記憶されたかを判定し、YESの場合S401に移行し、NOの場合判定を繰り返す。保留記憶表示器制御手段175は、S401において、遊技情報が第1記憶領域に記憶されたかを判定し、YESの場合S402に移行し、NOの場合S411に移行する。
保留記憶表示器制御手段175は、S402において、前述の遊技情報先読み処理の結果が先読み演出「有り」であるかを判定し、NOの場合S403に移行し、YESの場合S404に移行する。保留記憶表示器制御手段175は、S403において、消灯状態にある保留記憶表示器20A〜20Hのうち、最も左側に位置するいずれかの保留記憶表示器を「青色」で「点灯」状態とし、その発光数を増加させて処理を終了する。
図11(a)は、上記S403の処理が実行される場合の時系列を示す。同図に示すように、例えば既に保留記憶表示器20Aが「赤色」で「点灯」状態である場合に遊技情報が記憶され、かつ、先読み演出「なし」である場合には、消灯状態にある保留記憶表示器20B〜20Hのうち、最も左側に位置する保留記憶表示器20Bが「青色」で「点灯」状態となり、その発光数が1つから2つへ増加する。
次に、保留記憶表示器制御手段175は、S402の判定の結果が先読み演出「有り」であることに基づいてS404において、表示タイミングが「先表示」であるかを判定し、YESの場合S405に移行し、NOの場合S408に移行する。
保留記憶表示器制御手段175は、S405において、既に発光している保留記憶表示器が1つ以上あるかを判定し、YESの場合S406に移行し、NOの場合S403に移行する。
即ち、当該処理は、既に(先行して)記憶された遊技情報が1つ以上あるかを判定する前述のS309と同様の処理である。
保留記憶表示器制御手段175は、S406において、既に発光している保留記憶表示器のうち、最も右側にある保留記憶表示器の発光態様が「点滅」状態であるかを判定し、YESの場合S403に移行し、NOの場合S407に移行する。
保留記憶表示器制御手段175は、S407において、消灯状態にある保留記憶表示器20A〜20Hのうち、最も左側に位置するいずれかの保留記憶表示器を「青色」で「点滅」状態とするとともに、当該「点滅」状態とした保留記憶表示器に隣接する左側の保留記憶表示器を同時に「点灯(赤色)」状態から「点滅(赤色)」状態に変更し、その発光数を増加させて処理を終了する。
図11(b)は、上記S407の処理が実行される場合の時系列を示す。同図に示すように、例えば既に保留記憶表示器20Aが「青色」、保留記憶表示器20Bが「赤色」でともに「点灯」状態である場合に遊技情報が記憶され、かつ、先読み演出「有り」である場合には、消灯状態にある保留記憶表示器20C〜20Hのうち、最も左側に位置する保留記憶表示器20Cが「青色」で「点滅」状態となり、かつ、「点滅」状態となる保留記憶表示器20Cの左側に隣接する保留記憶表示器20Bの発光態様が「赤色」かつ「点灯」状態から、「赤色」かつ「点滅」状態とへと変更され、その合計発光数が2つから3つへ増加する。
保留記憶表示器制御手段175は、S408において、S404の判定がNO(=後表示)であることに基づいて、S403の処理と同様に、消灯状態にある保留記憶表示器20A〜20Hのうち、最も左側に位置するいずれかの保留記憶表示器を「青色」で「点灯」状態とし、その発光数を増加させてS409に移行する。
保留記憶表示器制御手段175は、S409において、新たな遊技情報が記憶手段110の第2記憶領域に記憶されたかを判定し、YESの場合S410に移行し、NOの場合判定を繰り返す。ここで、新たな遊技情報とは、前述のとおり、S305における先読み演出実行判定処理の結果が先読み演出「有り」となった遊技情報よりも後に記憶される遊技情報である。
保留記憶表示器制御手段175は、S410において、S409の判定がYESとなったことに基づいて、消灯状態にある保留記憶表示器20B〜20Hのうち、最も左側に位置するいずれかの保留記憶表示器を「赤色」で「点滅」状態とするとともに、当該「点滅」状態とした保留記憶表示器に隣接する左側の保留記憶表示器(S408で「青色」で「点灯」状態となった保留記憶表示器)を同時に「点灯(青色)」状態から「点滅(青色)」状態に変更し、その発光数を増加させて処理を終了する。
図11(c)は、上記S410の処理が実行される場合の時系列を示す。同図に示すように、例えば既に保留記憶表示器20Aが「青色」、保留記憶表示器20Bが「赤色」でともに「点灯」状態であり、その後、先読み演出が「有り」、かつ、表示タイミングが「後表示」と判定された遊技情報が記憶され、当該遊技情報に対応する保留記憶表示器20Cが「青色」で「点灯」状態にある場合において、新たな始動情報が記憶(この場合第2記憶領域)された場合、消灯状態にある最も左側に位置する保留記憶表示器20Dが「赤色」で「点滅」状態となり、かつ、「点滅」状態となる保留記憶表示器20Dの左側に隣接する保留記憶表示器20Cの発光態様が「青色」かつ「点灯」状態から、「青色」かつ「点滅」状態とへと変更され、その合計発光数が3つから4つへ増加する。
以上、特にS404〜S410の処理に示すとおり、保留記憶表示器制御手段175は、遊技情報が記憶されたことに基づいて保留記憶表示器20A〜20Hにおける発光数を増加させることにより、未だ前述の遊技抽選が実行されていない遊技球(所謂「保留球」)の数を遊技者に対して報知する機能を有し、さらにその発光態様を先読み演出の有無、及び、表示タイミングに応じて「点滅」状態とする機能を有する。
より詳細には、先読み演出が「有り」、かつ、表示タイミングが「先表示」である遊技情報が記憶された際に、S405,S406に示す所定の条件を満たしたことに基づいて、当該遊技情報に対応するいずれかの保留記憶表示器(保留記憶表示器20B〜20H)、及び、当該いずれかの保留記憶表示器に隣接する左側に位置し、当該遊技情報よりも前に記憶された遊技情報に対応する保留記憶表示器(保留記憶表示器20B〜20H)の発光態様をともに「点滅」状態とする。
一方、先読み演出が「有り」、かつ、表示タイミングが「後表示」である遊技情報が記憶された際に、S409に示す所定の条件を満たしたことに基づいて、当該遊技情報に対応するいずれかの保留記憶表示器(保留記憶表示器20A〜20G)、及び、当該いずれかの保留記憶表示器に隣接する右側に位置し、当該遊技情報よりも後に記憶された遊技情報に対応する保留記憶表示器(保留記憶表示器20B〜20H)の発光態様をともに「点滅」状態とする。
つまり、保留記憶表示器制御手段175は、先読み演出が「有り」となる遊技情報が記憶されたことに基づいて、当該遊技情報と対応する保留記憶表示器の左右いずれかに隣接する保留記憶表示器を先読み演出が「なし」と判定された場合の発光態様(「点灯」状態)とは異なる発光態様(「点滅」状態)として、遊技者に対して「点滅」状態にあるいずれかの保留記憶表示に対応する遊技情報に大当り遊技への期待値の高い変動が含まれていることを示唆する機能を有する。
また、保留記憶表示器制御手段175が、「先表示」又は「後表示」いずれの場合においても隣接する保留記憶表示器同士を同時に「点滅」状態とすることにより、先読み演出が「有り」となった遊技情報の位置(保留記憶表示器)の位置を遊技者側から特定することが困難となり、遊技者は、「点滅」状態となった保留記憶表示器が示す遊技情報に基づく変動表示が開始されるまでの間、期待感を継続して持ち続けることが可能となる。
なお、S411〜S419に係る処理については、S401〜S410との比較においてその色が異なるのみであるため、説明を省略するが、各処理から明らかなように、保留記憶表示器制御手段175は、遊技情報が第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62いずれの入賞を契機として記憶されたかによって(記憶契機の相違によって)保留記憶表示器20A〜20Hの色を異なる色として区別するため、遊技者は保留記憶表示器20A〜20Hの色を視認することにより、保留球がいずれの始動入賞口を契機として記憶されたものであるかを区別して認識することができる。
また、後述するとおり、互いに隣接するいずれかの保留記憶表示器20A〜20Hに対応するアイコン表示領域Rには、サブ制御装置200によるアイコン表示処理によって所定のアイコンが所定の表示態様によって表示され、遊技の興趣が飛躍的に向上する。
なお、本実施形態に係るパチンコ機1の具体的遊技性については、サブ制御装置200によるアイコン表示処理と併せて詳説する。
次に、図12を参照して保留記憶表示器制御手段175による保留記憶表示消灯処理について説明する。図12(a)は、保留記憶表示消灯処理を示すフローである。同図に示すように、保留記憶表示器制御手段175は、S500において、遊技情報記憶手段110から遊技情報が読み出されたかを判定し、YESの場合S501に移行し、NOの場合判定を繰り返す。保留記憶表示器制御手段175は、S501において、現在の発光数(保留球数)が2以上であるかを判定し、NOの場合S502に移行し、YESの場合S503に移行する。
保留記憶表示器制御手段175は、S502において保留記憶表示器20Aの発光(「点灯」又は「点滅」を消灯状態として処理を終了する。
一方、保留記憶表示器制御手段175は、S503において保留記憶表示器20Aの発光を消灯状態とするとともに、保留記憶表示器20A以降(右側)の保留記憶表示器20B〜20Hの発光態様(「点灯」又は「点滅」)を保ったまま、左側に隣接する保留記憶表示器にシフトして処理を終了する。
図12(b),(c)は、保留記憶表示器20A〜20Hの消灯処理を時系列で示す模式図である。図12(b)の上段に示す状態は、保留記憶表示器20Aが赤色で点灯しており(保留球数=1つ)、前回の特別図柄及び演出図柄Sの変動が終了し、当該保留記憶表示器20Aに対応する遊技情報が読み出される直前(遊技抽選が実行される直前)の状態を示す。
そしてこの状態において、前述の遊技抽選処理(図8参照)が開始され、遊技情報が読み出された場合、下段に示すように赤色で点灯状態にあった保留記憶表示器20Aが消灯状態とされ、保留記憶表示器の発光数が減少(図示の例の場合「0個」)する。
一方、図12(c)の上段に示す状態は、保留記憶表示器20A,20Bがそれぞれ青色,赤色で「点灯」状態にあり、保留記憶表示器20C,20Dがそれぞれ青色,赤色で「点滅」状態にあり、図12(b)と同様に、前回の特別図柄及び演出図柄Sの変動が終了し、当該保留記憶表示器20Aに対応する遊技情報が読み出される直前(遊技抽選が実行される直前)の状態を示す。
そしてこの状態において、前述の遊技抽選処理が開始され、遊技情報が読み出された場合、下段に示すように赤色で点灯状態にあった保留記憶表示器20Aが瞬間的に消灯状態とされ、保留記憶表示器20A以降の保留記憶表示器20B〜20Dの発光態様を保ったまま左側にシフトする。これにより遊技者は、保留球の数が減少したことを認識できるとともに、赤色で示される第2始動入賞口62への入賞に基づいて取得された遊技情報による特別図柄及び演出図柄Sの変動表示が開始されたことを認識できる。
図3に戻り、引き続き主制御装置100の構成について説明する。主制御装置100の普通図柄当否抽選手段180は、スルーチャッカ66を遊技球が通過したことを契機に、普通図柄に係る「当り」又は「外れ」を電子抽選(普図抽選)により決定するものである。具体的には、普通図柄当否抽選手段180は、前述の特別図柄当否抽選手段120と略同様に構成され、ループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数である普図抽選用乱数を発生させる普図抽選用乱数発生手段から、スルーチャッカ66を遊技球が通過したことを契機に、言い換えると、スルーチャッカ検知センサ95からの遊技球検知信号が主制御装置100に入力されたことに基づき、普図抽選用乱数を取得(ラッチ)し、取得した普図抽選用乱数が「当り」であるか「外れ」であるかを低確率用抽選テーブル、又は、高確率用抽選テーブルを参照して判定する。
図示は省略するが、低確率用抽選テーブル及び高確率用抽選テーブルには、普図当否用乱数と当否結果(「当り」又は「外れ」)との対応関係が規定されており、例えば低確率用抽選テーブルを参照した場合の「当り」の確率は1/120に設定され、高確率用抽選を参照した場合の「当り」の確率は1/1.1に設定されている。つまり、高確率用抽選テーブルの方が、低確率用抽選テーブルに比べて格段に「当り」に当選する確率が高くなるように設定されているとともに、殆どの場合に「当り」に当選するようになっている。
また、本実施形態において、低確率用抽選テーブルが参照される遊技状態は「普図低確率」の状態であり、高確率用抽選テーブルが参照される遊技状態は「普図高確率」の状態である。
電動チューリップ制御手段190は、前述の普通図柄当否抽選手段180による普図抽選によって「当り」に当選した場合に、電動チューリップ63のソレノイドへの通電を行い、電動チューリップ63の1対の羽根部材を開閉させる。電動チューリップ制御手段190は、普図高確率において1回の「当り」に対し電動チューリップ63を例えば開放時間2.9秒で2回開放させ、普図低確率において1回の「当り」に対し電動チューリップ63を開放時間0.2秒で1回開放させるようになっている。
つまり、遊技状態が「普図高確率」である場合、普通図柄当否抽選手段180による電子抽選が殆ど「当り」に当選し、その当選に基づき電動チューリップ63が2.9秒で2回開放されるため、第2始動入賞口62に遊技球を容易に入賞させることができ、普図高確率においては、遊技球を殆ど減らすことなく遊技を行うことができる。
次に、主制御装置100の遊技状態制御手段195について説明する。遊技状態制御手段195は、上述の特図抽選の結果が「当り」である場合に、その特図種類に応じて、特別遊技後の遊技状態を切り替える。例えば、本実施形態においては、特図種類が「特別図柄A」又は「特別図柄B」である場合、特別遊技後の遊技状態を「特図高確率」かつ「普図高確率」の遊技状態に切り替える。また、特図種類が「特別図柄C」である場合、特別遊技後の遊技状態を「特図高確率」かつ「普図低確率」の遊技状態に切り替える。
なお、当該特別遊技の「特図高確率」及び「普図高確率」の状態は、特別遊技終了後、図8(a)に示す一連の処理、即ち特別図柄が76回変動表示されるまで継続し、その後「特図低確率」及び「普図低確率」の状態に移行する。また、特図種類が「特別図柄D」である場合、特別遊技前後の遊技状態が変化することはなく、特別遊技前の遊技状態が特別遊技後に引き継がれる。これらの遊技状態は、RAMの記憶領域に設けられた遊技状態フラグによって管理され、特別図柄抽選手段120等の各手段は当該フラグに基づいて対応するテーブル等を参照する。
次に、サブ制御装置200の構成及び処理について説明する。
サブ制御装置200は、主として主制御装置100から送信される演出図柄変動コマンドに基づいて演出表示装置50を制御して所定の時間、演出図柄Sを変動表示させるともに、変動表示に対応して多様な演出表示を展開させる演出表示制御手段210と、主として演出図柄Sの変動表示中に主制御装置100から送信される先読み演出表示コマンドに基づいて、演出表示装置50を制御し、前述の保留記憶表示器20A〜20Hと対応する位置に設けられたアイコン表示領域R内に所定の態様によりアイコンを表示させる先読み演出実行手段220、主としてスピーカ8から発せられる各種の楽曲や音声を制御する音声制御手段230と、主として遊技盤30に搭載された図外の発光体や可動役物70を多様な動作態様により駆動制御する役物制御手段240とを備える。以下、各手段について説明する。
図13(a)は、演出表示制御手段210の構成を示すブロック図である。演出表示制御手段210は、演出表示装置50との間に接続される図外の演出表示制御基板に対して各種のコマンドを送信する。演出表示制御基板には、演算手段としてのCPU,演出表示必要な画像,動画データが格納された記憶手段としてのROM,RAM及びVDP等の回路構成要素が組み込まれており、演出表示制御手段210により生成,送信される演出パターンコマンドに基づいて演出表示装置50に多様な演出表示を表示させる。
同図に示すように演出表示制御手段210は、変動演出表示制御部211を備える。変動演出表示制御部211は、主として主制御装置100から送信される演出図柄変動コマンドに含まれる各種の情報に基づいて、前述の特別図柄の変動表示と対応して演出図柄Sの変動表示、及び、当該変動表示に対応した演出(予告演出やリーチ演出或いは可動役物演出等)の態様を決定する。同図に示すように、変動演出表示制御部211は、演出パターン決定用乱数取得手段212と、演出パターン決定用テーブル213とを備え、演出パターン決定用乱数取得手段212によって取得された演出パターン決定用乱数に対応する演出パターンを演出パターン決定用テーブル213から抽出する。
ここで、演出パターン決定用乱数は、ループカウンタの値を所定の範囲(本実施形態では0〜9の整数の範囲)で1ずつ更新させることにより生成されるソフトウェア乱数であって、演出図柄変動コマンドの受信と同時に演出パターン決定用乱数取得手段212によって取得される。
図13(b)に示すように、演出パターン決定用テーブル213は、前述した特別図柄の変動時間(2秒,12秒,30秒,45秒,90秒)に対応した演出時間を有する演出パターン決定用テーブル213A〜213Eに細分化されており、取得された演出パターン決定用乱数に対応する演出パターンが規定されている。
ここで、「リーチ」とは、3つの演出図柄のうち、2つの演出図柄Sが同一の数字又はキャラクターで先行して仮停止した状態であって、残余の1つの演出図柄Sが、先行して仮停止した状態の演出図柄S(リーチ図柄)と同一の数字又はキャラクターで停止すれば特別遊技(大当り)となり得る状態をいう。逆に「非リーチ」とは上記状態以外の状態をいう。また、「スーパーリーチ」とは、上記のリーチ成立後に残余の演出図柄Sが停止するまでの間、所定の画像や動画による演出表示が実行される演出パターンであり、付された番号の相違により異なる演出が実行される。
以上のとおり、変動演出表示制御部211は、演出パターン決定用テーブル213の中から主制御装置100によって決定された特別図柄の変動時間と対応する演出時間を有する演出パターンを抽出する。なお、図示は省略するが、各演出パターンには、予告演出の種類や可動役物演出種類或いは演出時間等の詳細が規定されている。
変動演出表示制御部211は、演出図柄変動コマンドに含まれる当否抽選の結果から演出図柄Sの最終的な停止態様を決定するとともに、当該停止態様情報と、抽出した前述の演出パターン情報、及び、演出時間とを含む内部コマンドとしての変動開始コマンドを図外の演出表示制御基板に送信する。変動開始コマンドを受信した演出表示制御基板は、変動開始コマンドに含まれる情報に基づいて演出に必要な画像データや動画データをROMから読み出すとともに、当該データを演出表示装置50側に出力し、演出パターンに対応した多様な演出表示を展開させ、演出時間(特別図柄の変動時間)経過に応じて演出図柄Sを当否抽選の結果を示す態様で停止表示させる。なお、当否抽選の結果を示す態様とは、当否抽選の結果が「当り」である場合は、3つの演出図柄Sが全て同一の数字又はキャラクターで停止表示される態様であり、当否抽選の結果が「外れ」である場合は、上記以外の組み合わせで停止表示される態様である。
次に、サブ制御装置200の先読み演出実行手段220について説明する。先読み演出実行手段220は、前述の遊技情報先読み処理において、所定の時期に送信される先読み演出実行コマンド(S310,S312)を受信したことに基づいてアイコン表示領域R内に所定のアイコンを表示し、遊技者に対して期待度の高い演出(本実施形態においては、30秒以上の変動)が実行され得ることを示唆する。
図14は、先読み演出実行手段220の構成を示すブロック図、及び、アイコン種類決定用テーブル223を示す模式図、図15は、先読み演出実行手段220によるアイコン表示処理のフローである。以下、各図を参照してアイコン表示処理について説明する。
図15に示すように、先読み演出実行手段220は、S600において主制御装置100から送信される先読み演出実行コマンドを受信したかを判定し、YESの場合S601に移行し、NOの場合当該判定を繰り返す。先読み演出実行手段220は、S601において先読み演出実行コマンドに含まれる特図変動時間に係る情報に基づいてアイコン表示領域R内に表示すべきアイコンの種類を決定する。
図14(a)に示すように、先読み演出実行手段220は、アイコン種類決定用乱数取得部221と、アイコン種類決定用テーブル222とを備え、アイコン種類決定用乱数取得部221によって取得されたアイコン種類決定用乱数に対応するアイコンの種類をアイコン種類決定用テーブル222から抽出する。
ここで、アイコン種類決定用乱数は、ループカウンタの値を所定の範囲(本実施形態では0〜9の整数の範囲)で1ずつ更新させることにより生成されるソフトウェア乱数であって、先読み演出実行コマンドの受信と同時にアイコン種類決定用乱数取得部221によって取得される。また、図14(b)に示すように、アイコン種類決定用テーブル222は、特別図柄の変動時間(演出図柄Sの変動時間)に対応してアイコン種類決定用テーブル222A〜222Cに細分化されており、各アイコン種類決定用テーブル222A〜222Dには、アイコン種類決定用乱数に対応するアイコンの組み合わせが規定されている。
そして、先読み演出実行手段220は、特別図柄の変動時間に係る情報に基づいて上記いずれかのアイコン種類決定用テーブル222A〜222Cを参照し、アイコン種類決定用乱数に対応するアイコンの組み合わせを決定する。なお、同図において「CH」とは「CHANCE」の、「L」とは「LONG」の略字である。また、キャラクタA;Bとは、例えばアニメーションで表示される特定の人物の顔であり、AとBとでは人物が異なる。また、「パトランプ」とは、内部に回転可能な反射体が格納された発光器の形状を模した形態である。
図15に戻り、先読み演出実行手段220は、S602において、S601において決定されたアイコンの組み合わせ情報を含むアイコン表示コマンドを図外の演出表示制御基板に送信する。当該アイコン表示コマンドを受信した演出表示制御基板は、アイコン表示コマンドに含まれる情報に基づいてアイコン表示に必要な画像データ(アイコン)をROMから読み出すとともに、当該アイコンを演出表示装置50側に出力し、演出表示装置50のアイコン表示領域R内にアイコンの組み合わせを表示させる。
図16(a)に示すようにアイコン表示領域Rは、小領域R1〜R8までの領域に分割されている。また、各小領域R1〜R8は、前方に位置する前述の保留記憶表示器20A〜20Hの位置と上下方向に対応しており、遊技者が遊技盤20を前方から視認した場合、各保留記憶表示器20A〜20Hと各小領域R1〜R8とが上下方向に一対一で対応するように看取可能である。
また、同図に示すように、前述のS601において決定されたアイコンの組み合わせが例えば「?」と「CH(金)」であった場合、これらのアイコンは互いに左右方向に隣接するいずれかの小領域R1〜R8内に表示される。
より具体的には、アイコンが表示されるいずれかの小領域は、前述の保留記憶表示器点灯処理(図10参照)により、「点滅」状態とされた互いに隣接するいずれかの保留記憶表示器20A〜20Hの位置と対応する2つの小領域であり、同図の例においては「点滅」の状態にある保留記憶表示器20F及び20Gと対応する小領域R6及びR7に「?」と「CH(金)」の組み合わせからなるアイコンが表示される。
さらに、図16(b)の拡大図に示すように、上記の例において例えば小領域R6及びR7に表示されるアイコンは、その表示位置が互いに変位するように小領域R6;R7を通過して周回移動するように継続して表示され、「?」と「CH(金)」のアイコンが保留記憶表示器20F;20Gのいずれと対応するものであるかを判別不可能としている。
なお、表示位置の変位の態様は上述のような周回移動に限られるものではなく、図16(c)に示すように例えば、小領域R6;R7を直線的に移動してその位置が入れ替わるように変位させるような態様としてもよい。また、各図の矢印に示すような移動の軌跡を見せることなく、小領域R6;R7間において「?」と「CH(金)」のアイコンが交互に切り替わるように変位させるような態様であってもよい。
また、上述のアイコンの表示位置の変位は、「点滅」状態にあって、左側の保留記憶表示器(図示の例の場合は保留記憶表示器F)に対応する遊技情報の読出し処理(S203)が実行されるまで継続する。
以下、図17を参照し、遊技の進行とアイコンの表示との関係について説明する。図17(a)は、現在、特別図柄(演出図柄S)が変動表示中であり、保留球が4つ存在する場合の例を示す。また、4つの保留球の存在を示す保留記憶表示器20A〜20Cのうち、20A;20Dは「点灯」状態、20A;20Dの間に位置する20B;20Cは、「点滅」状態にあるものとする。そして、「点滅」状態にある保留記憶表示器20B;20Cと対応する小領域R2;R3には、「?」と「L」のアイコンが周回移動しているものとする。なお、同図のT1は、アイコン表示領域Rの外側に表示される演出表示上の台座である。
図17(a)に示す状態から、変動表示中の特別図柄(演出図柄S)が停止表示され、保留記憶表示器20Aの「点灯」により示された遊技情報の読出しが開始されると、図17(b)に示すように、保留記憶表示器20B;20C;20Dの発光態様が維持されたまま、それぞれ左側の保留記憶表示器20A;20B;20Cに発光がシフトし、発光数が減少する。
また、当該保留記憶表示器の発光数の減少に伴って、シフト前の保留記憶表示器20B;20Cと対応する小領域2;R3間を周回移動していたアイコンも左側の小領域にシフトし、小領域R1;R2間で周回移動を開始する。
また、図17(b)に示す状態から、さらに変動表示中の特別図柄(演出図柄S)が停止表示され、保留記憶表示器20Aの「点滅」によって示された遊技情報の読出しが開始されると、図17(c)に示すように、保留記憶表示器20B;20Cの発光態様が維持されたまま、それぞれ左側の保留記憶表示器20A;20Bに発光がシフトし、発光数が減少する。これに伴って、読出しが開始された保留記憶表示器20Aと、これに隣接する保留記憶表示器20Bに対応する小領域R1;R2間を周回移動していたアイコンは、台座T1;小領域R1間を周回移動するように変位し、保留記憶表示器20Aの「点滅」によって示された遊技情報の読出しが開始され、これから当該遊技情報に基づく特別図柄(演出図柄S)の変動が開始されることを事前に報知する。また、台座T1;小領域R1間のアイコンの周回移動の継続時間は、表示タイミングが「先表示」であるか「後表示」あるかによって異なる。以下、それぞれの場合について説明する。
図18(a)に示すように、表示タイミングが「先表示」である場合、換言すれば先読み演出が「有り」となる遊技情報が記憶されたと同時に点滅状態となる保留記憶表示器(図示の場合保留記憶表示器20A;20B)は、内部的に保留記憶表示器20Aの点滅によって示される遊技情報(先に記憶された遊技情報)については、先読み演出「なし」の判定がなされ、保留記憶表示器20Bの点滅によって示される遊技情報(後に記憶された遊技情報)については先読み演出「有り」の判定がなされたものである(図10参照)。
そして、図18(a)の保留記憶表示器20Aと対応する遊技情報の読出しが開始され、発光が左側にシフトした場合、図18(b)に示すように、当該シフトと同時に台座T1;保留記憶表示器20A間を周回移動するアイコンの内、「?」のアイコンが台座T1上に停止表示され、「L」のアイコンが保留記憶表示器20Aに対応する小領域R1に停止表示され、その後、特別図柄(演出図柄S)の変動表示が開始される。また、周回移動後に台座T1上に停止表示された「?」のアイコンは特別図柄(演出図柄S)の変動表示とともに消去され、「L」のアイコンのみが保留記憶表示器20Aに停止表示された状態となる。
このようなアイコンの停止表示がなされることにより、遊技者は、保留記憶表示器の点滅のみでは分からなかった期待値の高い変動(本実施形態においては少なくとも30秒以上の変動)が開始される時期(位置)を明確に認識することができるため、次変動(図18(b)の保留記憶表示器20Aに対応する遊技情報に基づく変動)についてより高い期待感を持って遊技を見守ることが可能となる。なお、当該期待値の高い遊技情報に基づく変動が開始される際には、図18(c)に示すように、小領域R1上に停止表示された「L」のアイコンが台座T1に移動した後、特別図柄(演出図柄S)の変動が開始される。
これにより、遊技者は当該変動により最終的に停止表示される特別図柄(演出図柄S)の停止態様が大当り遊技となる停止態様となるかもしれないことを事前に察知することができる。
次に、図19(a)に示すように、表示タイミングが「後表示」である場合、換言すれば先読み演出が「有り」となった遊技情報が記憶された後に、新たな遊技情報が記憶されたと同時に点滅状態となる保留記憶表示器(図示の場合保留記憶表示器20A;20B)は、内部的に保留記憶表示器20Aの点滅によって示される遊技情報(先に記憶された遊技情報)について先読み演出「有り」の判定がなされたものである(図10参照)。
そして、この場合には図19(b)に示すように、台座T1;保留記憶表示器20A間を周回移動するアイコンの動作は、先読み演出が「有り」となった遊技情報に基づく特別図柄(演出図柄S)の変動表示が開始され、演出図柄Sが前述した「リーチ」の状態を形成するまで継続し、リーチの成立と同時に「LONG」のアイコンが台座T1上に停止表示され、同時に「?」のアイコンが小領域R1に停止表示され所定の期間後に同時に消去される。
このようなアイコンの停止表示がなされることにより、遊技者は、保留記憶表示器の点滅のみでは分からなかった期待値の高い変動がリーチ状態を形成している現在の変動であることを明確に認識することができるため、現在の変動について、より高い期待感を持って遊技を見守ることが可能となる。なお、ここでリーチ成立の時期は、いずれの変動パターンに決定された場合であっても例えば演出図柄Sの変動開始から14秒後として設定されているが、変動パターンの種類によって異なる時期としてもよい。
以下、上述のアイコン表示処理と前述の保留記憶表示器制御手段175による保留記憶表示器の点灯処理とが複合した場合の作用について、その遊技性と併せて順に説明する。
上述のとおり、本実施形態に係るパチンコ機1においては、振分体32の動作により、遊技球が第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62に交互に振分けられる結果、遊技情報記憶手段110への遊技情報の記憶順が原則として交互となる。さらに、図6(b)の特図種類決定テーブル132に示すように、本実施形態においては、遊技情報が第1始動入賞口61を契機として記憶されたものであるか、第2始動入賞口62を契機として記憶されたものであるかによって、獲得賞球期待値が大きく異なるように設定されている。
よって、遊技者の視点に立てば、特図抽選(第1特図抽選又は第2特図抽選)の結果が同じ「当り」であっても、当該特図抽選の結果が「当り」となる変動が、第2始動入賞口62を契機として記憶された遊技情報に基づくものであって欲しいという心理となる。
そこで、本実施形態に係るパチンコ機1においては、記憶された遊技情報が第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62いずれの始動入賞口への入賞を契機として記憶されたかを、あえて保留記憶表示器20A〜20Hの色(「青色」又は「赤色」)によって区別して表示することにより、遊技者に積極的に認識させる構成としている。このような構成とすることにより、遊技者は特別図柄(演出図柄S)の変動開始時に当該変動が、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62のいずれの入賞(遊技情報)に基づくものであるかを把握できるため、例えば当該変動が「リーチ」となった場合や、「リーチ」後に「スーパーリーチ」に発展したような場合に、「もしかすると16Rの大当り遊技を獲得できるかもしれない」という期待感を変動表示中に得ることが可能となる。
そしてさらに、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技情報先読み手段170を備えており、特別図柄(演出図柄S)の変動表示中に遊技情報が記憶されたことに基づいて、当該遊技情報に基づく先読み特図抽選処理(S303)、及び、先読み特図変動時間決定処理(S304)を事前に実行し、保留記憶表示器20A〜20Hの点滅、及び、アイコン表示領域R内におけるアイコン表示による先読み演出の有無を決定する。
また、図7(b)の各変動パターンテーブル(142A;142B;143A;143B)の選択率の傾向、及び、図9(b)に示す先読み演出判定用テーブル171に示す選択率の傾向から明らかなように、先読み演出が「有り」と判定される場合は、特図抽選の結果が「当り」となる傾向が高くなるように設定されているため、遊技者は、保留記憶表示器20A〜20Hの点滅、及び、アイコン表示領域R内におけるアイコン表示がなされた時点において、「もしかすると数回後の変動により、大当り遊技を獲得できるかもしれない」という期待感を得ることができる。
また、このように本実施形態に係るパチンコ機1においては、上述の先読み演出を実行することにより、大当り遊技の可能性を遊技者に対して事前(変動開始前)に示唆する構成であるが、単に先読み演出が「有り」と判定された遊技情報に対応するいずれか1つの保留表示器、及び、当該1つの保留記憶表示器に対応するいずれか1つの小領域について上述の先読み演出を実行した場合、より具体的には、例えば、第1始動入賞口61への入賞により記憶された遊技情報について先読み演出が「有り」と判定された場合において、当該遊技情報に対応するいずれか1つの保留記憶表示器を「青色」で点滅させ、かつ、当該「青色」で点滅した1つの保留記憶表示器に対応する1つの小領域にアイコンを表示させた場合、「数回後の変動により、大当り遊技を獲得できるかもしれない」という期待感を得ることはできるものの、先読み演出の対象が第1始動入賞口61への入賞に対応する「青色」であるため、「獲得賞球数についてはあまり望めない」という、一度得た期待感をかえって削ぐような結果を招くことが懸念される。
そこで、本実施形態においては、上述のとおり、先読み演出が「有り」と判定された場合において、当該「有り」と判定された遊技情報に対応する保留記憶表示器と、これに隣接する保留記憶表示器をともに点滅状態とするとともに、これら互いに隣接する保留記憶表示器と対応する小領域間に複数のアイコンを周回移動させるように表示することによって、先読み演出の対象が「青色」,「赤色」いずれの保留記憶表示器であるのかを判別できないようにしている。
これにより、遊技者は先読み演出がなされた時点において、上述したような一度得た期待感を削がれるようなことがなくなり、これら隣接する保留記憶表示器に対応する始動情報に基づく遊技抽選(変動)が開始されるまでの間、常に期待感を持って遊技を見守ることが可能となる。
さらに、図9に示すように、本実施形態においては、先読み演出の表示タイミングを「先表示」及び「後表示」の複数のタイミングにより実行するようにしている。
これは、例えば本実施形態における「先表示」、換言すれば先読み演出が「有り」となる遊技情報が記憶されたと同時に隣接する複数の保留記憶表示器を「点滅」状態とし、かつ、隣接する保留記憶表示器に対応する小領域間にアイコンを周回移動させる処理のみを備えたものであると、場合によっては上述の判別が可能となってしまうからである。
即ち、遊技者が第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62の周囲を注意深く視認し、例えば第1始動入賞口61への遊技球の入賞の瞬間を視認しているような場合に先読み演出が実行され、例えば左側から「赤色」,「青色」の順で点滅状態となった場合、当該先読み演出が「有り」と判定された遊技情報(当りとなる傾向が高い遊技情報)が、第1始動入賞口61への入賞を契機として記憶されたものであることが確定してしまい、隣接する保留記憶表示器及び小領域間に先読み演出を実行することの効果が薄れてしまうことが懸念される。
そこで、本実施形態においては、先読み演出が「有り」と判定された場合の、その表示タイミングを「先表示」及び「後表示」の複数のタイミングに振分け(1:1)、遊技者が入賞の瞬間を視認したような場合であっても、先読み演出が「有り」と判定された遊技情報(当りとなる傾向が高い遊技情報)が、いずれの始動入賞口への入賞を契機として記憶されたものであるかを判別不可能としている。
図3に戻り、サブ制御装置200の音声制御手段230及び役物制御手段240について概説する。音声制御手段230は、演出表示制御手段210により決定された演出パターンを含む内部コマンドや、先読み演出実行手段220により決定されたアイコン種類を含む内部コマンドをそれぞれ受信し、当該内部コマンドに基づいて、図外のROMから演出図柄Sの変動中や、大当り遊技中、或いは、先読み演出時において遊技を盛り上げる楽曲データや音声データ、或いは効果音データをスピーカ8を駆動させる図外のドライバ回路側に出力し、スピーカ8から遊技の進行状況に対応した音を生じさせる。
役物制御手段240は、演出表示制御手段210により決定された演出パターンを含む内部コマンドを受信し、当該内部コマンドに基づいて、例えば可動役物70の駆動態様、駆動時期及び可動期間を決定し、当該決定した態様により可動役物70の駆動源として設けられた図外のステップモータを駆動し、遊技者に対して前述の演出のパターンに対応した可動役物70の動作を視認させることにより遊技を盛り上げる演出を実行する。また、役物制御手段240は、当該内部コマンドに基づいて、例えば発光体の点灯態様、点灯時期及び点灯期間を決定し、当該決定した態様により発光体が搭載された回路基板に対して信号を出力し、演出パターンに対応した発光体の点灯動作を視認させることにより遊技を盛り上げる演出を実行する。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。