JP2016104895A - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレス成形時の面圧が上昇する高強度亜鉛めっき鋼板や摺動距離が長くなる超難成形部品に適用しても、優れたプレス成形性を有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる方法を提供する。【解決手段】表面に酸化物層を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、酸性溶液により液膜を形成させた後1〜60秒間保持し、その後水洗を行う酸化物層形成工程を備え、酸化物層形成工程において、液膜の液膜厚さが4〜7μmであり、酸化物層は、45〜300nm以下の厚さを有するZn系酸化物層であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法とする。【選択図】なし
Description
本発明は、プレス成形時の摺動抵抗が小さく、優れたプレス成形性を有する溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造する方法に関するものである。
溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車車体用途を中心に広範な分野で広く利用され、自動車車体用途では、プレス成形を施されて使用に供される。
溶融亜鉛めっき鋼板は冷延鋼板に比べてプレス成形性に劣るという欠点を有する。これは、プレス金型での、溶融亜鉛めっき鋼板等の表面処理鋼板の摺動抵抗が、冷延鋼板に比べて大きいことが原因である。すなわち、金型とビードでの摺動抵抗が大きい部分で、摺動抵抗が大きい表面処理鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、表面処理鋼板の破断が起こりやすい。
表面処理鋼板の中でも特に純溶融亜鉛めっき鋼板では、金型にめっきが付着することにより、更に摺動抵抗が増加する現象がある(型カジリ)。この現象は、連続プレス成形の途中で割れを発生させるなど、自動車の生産性に深刻な悪影響を及ぼす。
ところで、近年のCO2排出規制強化の観点から、車体軽量化の目的で高強度鋼板の使用比率が増加する傾向にある。高強度鋼板を使用すると、プレス成形時の面圧が上昇し、金型へのめっき付着は更に深刻な課題となる。
溶融亜鉛めっき鋼板使用時のプレス成形性を向上させる方法としては、高粘度の潤滑油を塗布する方法が広く用いられる。しかし、この方法では、潤滑油が高粘性のために塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥が発生する。また、プレス時の油切れにより、プレス性能が不安定になる等の問題がある。従って、溶融亜鉛めっき鋼板自身のプレス成形性を改善する必要がある。
上記の問題を解決する方法として、特許文献1および特許文献2には、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すことにより、亜鉛を主体とする酸化膜を形成させて溶接性および加工性を向上させる技術が開示されている。
特許文献3には、リン酸ナトリウム5〜60g/Lを含みpH2〜6の水溶液に溶融亜鉛めっき鋼板を浸漬するか、電解処理を行う、または上記水溶液を塗布することにより、溶融亜鉛めっき鋼板表面に、P酸化物を主体とした酸化膜を形成して、プレス成形性および化成処理性を向上させる技術が開示されている。
特許文献4には、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理により、Ni酸化物を生成させることにより、プレス成形性および化成処理性を向上させる技術が開示されている。
特許文献5には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を酸性溶液に接触させることで鋼板表面にZnを主体とする酸化物を形成させ、めっき層とプレス金型の凝着を抑制し、摺動性を向上させる技術が開示されている。
特許文献6には、溶融亜鉛めっき鋼板を酸性溶液に接触させることで鋼板表面にZnを主体とする酸化物を形成させ、めっき層とプレス金型の凝着を抑制し、摺動性を向上させる技術が開示されている。
上記特許文献1〜4に記載の先行技術は、一般的な自動車内外板に多く使用される溶融亜鉛めっき鋼板に対しては有効である。しかし、プレス成形時の面圧が上昇する高強度亜鉛めっき鋼板を用いる場合や摺動距離が長くなる超難成形部品の場合には、上記先行技術では、必ずしもプレス成形性の改善効果を十分に得ることはできない。
特許文献5及び6の方法により製造される溶融亜鉛めっき鋼板表面には、Znを主体とする酸化物層が形成されている。特許文献5及び6では、この酸化物層により、亜鉛めっき層と金型の接触を抑制することで摩擦抵抗を減少させて、摺動性改善効果を得る。
しかしながら、特許文献6に記載の技術では、高強度鋼板のプレス成形における高面圧条件や摺動距離の長い超難成形部品を想定した摺動条件においては、酸化物層の磨耗量が増加する。このため、特許文献6に記載の技術では、高面圧条件の場合や摺動距離が一定量を超える場合には十分な効果を得ることができない。
特許文献6に記載の方法を超難成形部品等に適用するためには、酸化物層の厚膜化が必要である。そして、プレス成形性の改善効果をより安定して得るために、酸化物層に十分な膜厚を付与するには、酸化物層形成の際の放置時間を長くする必要がある。
本発明は、上記の問題点を改善し、プレス成形時の面圧が上昇する高強度亜鉛めっき鋼板や摺動距離が長くなる超難成形部品に適用しても、優れたプレス成形性を有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる方法を提供することを目的とする。
生産性の向上等の目的で、放置時間を長く取らなければならない原因と放置時間を短くする方法について詳細な検討を行った結果、本発明の方法で酸化物層及び/又は水酸化物層を形成すれば、鋼板表面に付着した酸性溶液が液膜状態で存在することにより成膜が促進されることを見出した。そして、製造の際に、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に形成した液膜厚さによって必要保持時間が変化することを見出した。本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]表面に酸化物層及び/又は水酸化物層を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、酸性溶液により液膜を形成させた後1〜60秒間保持し、その後水洗を行う酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程を備え、前記酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程において、前記液膜の液膜厚さが4〜7μmであり、前記酸化物層及び/又は水酸化物層は、30〜300nmの厚さを有するZn系酸化物層及び/又は水酸化物層であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[2]前記酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程の液膜を形成する工程において、溝形成方向が圧延方向に略平行の深さが0.05〜0.6mm、幅が0.1〜1.2mm、溝角度が170〜30°のV字状溝を鋼板との接触面略全体にわたって有する絞りロールを、0.4N/mm〜133N/mmの線荷重条件となるように、絞りロールを押し付けることにより液膜厚さを制御することを特徴とする[1]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[3]前記酸性溶液は、pH緩衝作用を有し、前記酸性溶液は、酢酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩及びリン酸塩から選択される少なくとも1種類以上を含有し、前記酸性溶液のpHは、1.0〜5.0であることを特徴とする[1]または[2]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[4]前記酸性溶液は、酢酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩及びリン酸塩から選択される少なくとも1種類以上を各5〜50g/Lの範囲で含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[5]前記酸化物形成工程における、前記水洗の後又は前に、アルカリ性溶液に接触させ表面に残存した酸性溶液の中和処理を行うことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの項に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[6]さらに、前記酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程の前に、アルカリ性の水溶液を用いて溶融亜鉛めっき鋼板の表面を処理するアルカリ性水溶液接触工程を備えることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[7]前記溶融亜鉛めっき鋼板は、引張強度が440MPa以上の高強度鋼板と、該高強度鋼板の表面に形成されためっき層とを有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板板の製造方法。
本発明によれば、プレス成形時の面圧が上昇する高強度亜鉛めっき鋼板の場合や摺動距離が長くなる超難成形部品の場合においても、プレス成形時に割れが生じやすい危険部位での摺動抵抗が小さい。即ち、本発明では、プレス成形時の面圧が上昇する高強度亜鉛めっき鋼板の場合や摺動距離が長くなる超難成形部品の場合においても、プレス成形性の改善効果を十分に得ることができる。
さらに、本発明では、面圧が高く金型へのめっき付着が想定される部位においても、優れたプレス成形性により、金型へのめっき付着の問題が生じにくい。
なお、本発明において、高強度とは引張強度TSが440〜1480MPaを想定している。また、摺動距離が長くなる超難成形部品の原料となる溶融亜鉛めっき鋼板の強度は270〜440MPaを想定している。また、摺動距離が長いとは80〜300mmを意味する。
先ず、酸化物層及び/又は水酸化物層が形成される前の溶融亜鉛めっき鋼板について説明する。溶融亜鉛めっき鋼板は、その製造の後半において、調質圧延が施される。本発明においては、出発素材として溶融亜鉛めっき鋼板を用いることで、調質圧延後に酸化物層及び/又は水酸化物層を形成することになる。調質圧延後に酸化物層及び/又は水酸化物層を形成することで以下の効果が得られる。
溶融亜鉛めっき鋼板の表層には、数nmのAlやZn系酸化物が存在する。Al系酸化物は酸に対して不活性であるため、後に続く酸化物層及び/又は水酸化物層の形成処理を阻害する因子となる。一方、調質圧延をすることで、この溶融亜鉛めっき鋼板の表層に存在するAl系酸化物層をロールとの接触により機械的に破壊することが可能である。
調質圧延後の溶融亜鉛めっき鋼板の表面に酸性溶液を用いて液膜を形成し、その後、液膜が形成された状態で所定時間保持した後、水洗、必要に応じて乾燥することによってめっき表層に酸化物層及び/又は水酸化物層を形成することができる。
なお、溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層を形成する際に用いるめっき浴中にAlが添加されていることが必要であるが、Al以外の添加元素成分は特に限定されない。すなわち、Alの他にPb、Sb、Si、Sn、Mg、Mn、Ni、Ti、Liなどが含有または添加されていても、本発明の効果が損なわれるものではない。
アルカリ性水溶液接触工程
アルカリ性水溶液接触工程とは、アルカリ性の水溶液を用いて、酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程前(溶融亜鉛系めっき処理を施した後、酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程前であればよい)の溶融亜鉛めっき鋼板の表面を処理する工程である。本工程は必須の工程ではないが、本工程を行えば、溶融亜鉛めっき鋼板表層に存在するAlやZn系酸化物を化学的に除去することができ、後述する酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程において、表面が活性化され、酸化物層及び/又は水酸化物層を形成するための反応が促進されるため好ましい。
アルカリ性水溶液接触工程とは、アルカリ性の水溶液を用いて、酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程前(溶融亜鉛系めっき処理を施した後、酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程前であればよい)の溶融亜鉛めっき鋼板の表面を処理する工程である。本工程は必須の工程ではないが、本工程を行えば、溶融亜鉛めっき鋼板表層に存在するAlやZn系酸化物を化学的に除去することができ、後述する酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程において、表面が活性化され、酸化物層及び/又は水酸化物層を形成するための反応が促進されるため好ましい。
この酸化物薄膜の除去は、酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程における、酸化物層及び/又は水酸化物層形成のための反応を促進させる。更に調質圧延を施していない溶融亜鉛めっき鋼板へも酸化物層及び/又は水酸化物層を形成することが可能である。
アルカリ性水溶液接触工程で用いるアルカリ性の水溶液は、pH10〜14の範囲であることが好ましい。pH10未満では、酸化物層を除去しきれない場合がある。pH14を超えると、亜鉛系めっき層の溶解が強く、表面が黒くなり、焼きつきという状態になることがある。同様に、アルカリ性の水溶液の温度は20℃〜70℃の範囲であることが望ましい。また、アルカリ性の水溶液での処理時間は1〜10秒であることが好ましい。
また、アルカリ性の水溶液の種類は限定されないが、コストの観点からNaOHなどの薬品を用いることが好ましい。また、アルカリ性の水溶液には、Zn、Al、Feなどの亜鉛系めっきに含まれる元素以外の物質やその他の成分を含んでもよい。また、NaOH等のアルカリ性物質の濃度は0.5〜20g/Lであることが好ましい。
また、アルカリ性水溶液による処理方法は特に限定されず、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板の表面にアルカリ性水溶液を塗布し所定の処理時間で処理する方法、溶融亜鉛めっき鋼板をアルカリ性水溶液に浸漬し所定の処理時間で処理する方法、スプレーで処理する方法等が挙げられる。
酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程
酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程とは、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、酸性溶液により液膜を形成させた後1〜60秒間保持し、その後水洗を行う工程である。
酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程とは、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、酸性溶液により液膜を形成させた後1〜60秒間保持し、その後水洗を行う工程である。
そして、本発明の酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程では、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に形成される液膜の液膜厚さを4〜7μmに調整する。この液膜厚さ調整により、酸化物層及び/又は水酸化物層を形成するための反応が促進され、酸化物層及び/又は水酸化物層の形成時間が短時間であっても、十分効果の得られる膜厚の酸化物層及び/又は水酸化物層にすることができる。
本発明における、上記酸化物層及び/又は水酸化物層形成メカニズムについては明確ではないが、次のように考えることができる。溶融亜鉛めっき鋼板を酸性溶液に接触させると、鋼板側では亜鉛の溶解が生じる。この亜鉛の溶解は、同時に水素発生を生じるため、亜鉛の溶解が進行すると、酸性溶液中の水素イオン濃度が減少し、その結果、酸性溶液のpHが上昇する。このpH上昇により、酸化物(水酸化物を含む酸化物の場合もある)が安定となるpH領域に達すると、溶融亜鉛めっき鋼板表面に酸化物層及び/又は水酸化物層が形成されると考えられる。この酸化物の形成は、めっき層表面をわずかに溶解させながら進行するものである。このため、酸化物を分散させた溶媒を用いた塗布処理などにより得られる層と比較して、本発明の方法で形成される酸化物層及び/又は水酸化物層は、溶融亜鉛めっき鋼板表面との密着性も良好である。
酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程で使用する酸性溶液は、pH2.0〜5.0の領域においてpH緩衝作用を有するものが好ましい。これは、上記pH範囲でpH緩衝作用を有する酸性溶液を使用すると、液膜形成後に所定時間保持することで、酸性溶液とめっき層の反応によりZnの溶解とZn系酸化物の形成反応が十分に生じ、鋼板表面に酸化物層及び/又は水酸化物層を安定して得ることができるためである。
また、このようなpH緩衝作用の指標として、1リットルの酸性溶液のpHを2.0から5.0まで上昇させるのに要する1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液の量(L)で定義するpH上昇度がある。本発明では、この値が0.05〜0.5の範囲にあるとよい。pH上昇度が0.05未満であると、pHの上昇が速やかに起こって酸化物の形成に十分な亜鉛の溶解が得られないため、十分な酸化物層及び/又は水酸化物層の形成が生じない場合がある。一方で、pH上昇度が0.5を超えると、亜鉛の溶解が促進され、酸化物層及び/又は水酸化物層の形成に長時間を有するだけでなく、めっき層の損傷も激しく、本来の防錆鋼板としての役割も失う場合がある。ここで、pHが2.0を超える酸性溶液のpH上昇度は、硫酸などのpH=2.0〜5.0の範囲でほとんど緩衝性を有しない無機酸を酸性溶液に添加してpHを一旦2.0に低下させて評価することとする。
このようなpH緩衝作用を有する酸性溶液としては、酢酸ナトリウム(CH3COONa)などの酢酸塩やフタル酸水素カリウム((KOOC)2C6H4)などのフタル酸塩、クエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7)やクエン酸二水素カリウム(KH2C6H5O7)などのクエン酸塩、コハク酸ナトリウム(Na2C4H4O4)などのコハク酸塩、乳酸ナトリウム(NaCH3CHOHCO2)などの乳酸塩、酒石酸ナトリウム(Na2C4H4O6)などの酒石酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩が挙げられ、これらのうち少なくとも1種類以上を、上記各成分含有量を5〜50g/Lの範囲で含有する水溶液を使用することができる。上記各成分含有量が5g/L未満であると、亜鉛の溶解とともに溶液のpH上昇が比較的すばやく生じるため、摺動性の向上に十分な酸化物層及び/又は水酸化物層を形成することができない場合がある。また上記各成分含有量が50g/Lを超えると、亜鉛の溶解が促進され、酸化物層及び/又は水酸化物層の形成に長時間を有するだけでなく、めっき層の損傷も激しく、本来の防錆鋼板としての役割も失う場合がある。
酸性溶液のpHは0.5〜5.0の範囲にあることが望ましい。これはpHが5.0を超えると、Znの溶解が十分でない場合がある。一方、pH0.5未満になると、亜鉛の溶解が促進され、めっき付着量の減少だけでなく、めっき皮膜に亀裂が生じ加工時に剥離が生じやすくなる場合がある。なお、酸性溶液のpHが0.5未満の場合は硫酸等のpH緩衝性のない無機酸でpH調製することができる。
また、酸性溶液の温度は20〜70℃であることが好ましい。20℃以上であれば反応の促進という理由で好ましく、70℃以下であれば液膜の観測抑制という理由で好ましい。
また、本発明では、摺動性に優れた酸化物層及び/又は水酸化物層を安定して形成できればよい。したがって、本発明の効果を害さない範囲で、酸性溶液中にその他の金属イオンや無機化合物などが、不純物としてあるいは故意に含まれてもよい。特にZnイオンは、溶融亜鉛めっき鋼板と酸性溶液が接触する際に溶出するイオンであるため、操業中に酸性溶液中でのZn濃度の増加が認められる。このZnイオンの濃度の大小は本発明の効果には特に影響を及ぼさない。
溶融亜鉛めっき鋼板に酸性溶液を接触させる方法には特に制限はなく、溶融亜鉛めっき鋼板を酸性溶液に浸漬する方法、溶融亜鉛めっき鋼板に酸性溶液をスプレーする方法、塗布ロールを介して酸性溶液を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布する方法等がある。いずれの方法を採用してもよいが、上記の通り、本発明では、酸性溶液の液膜厚さを4〜7μmに調整することが必要である。液膜厚さが4μm未満であると、溶融亜鉛めっき鋼板表面の低い部分に液が集中し、高い部分に反応に十分な液量が存在できない、又は、溶融亜鉛めっき鋼板表層の濡れ性が比較的悪いため、液膜が不均一になることから、十分な酸化物層及び/又は水酸化物層厚さが得られない。一方、液膜厚さが7μmを超えるとpHの上昇が遅延し、同一保持時間での酸化物層及び/又は水酸化物層厚さが低下する。酸性溶液の液膜厚さは株式会社チノー製赤外線水分計を用いて測定することが可能である。検量用サンプルを用いて得られた吸光度を、液膜厚さに換算した。
ここで、液膜厚さを制御する一例として、鋼板にスプレーで酸性溶液を吹き付けた後、表面形状を制御した絞りロールで絞ることによる制御方法が挙げられる。絞りロールが平滑であると、絞りロールを通過する液量が減少するために、液膜厚さが減少する。一方、絞りロールが一定以上の粗さを有すると、絞りロールを通過する液量が増加する。この現象を利用することで液膜厚さを調整できる。
液膜厚さを4〜7μmの範囲に制御するためには、深さが0.05mm〜0.6mm、幅が0.1mm〜1.0mm、溝角度が150°〜30°、溝形成方向が圧延方向に略平行のV字状溝を鋼板との接触面略全体にわたって有する絞りロールを備える。なお、溝角度とは断面形状がV字状の溝の溝底部の角度を意味する。
溝深さが0.05mm未満、溝幅が0.1mm未満、溝角度が150°超えであると、絞りロールを通過する液量が減少し十分な液膜厚さが得られない。一方、溝深さが0.6mm、溝幅が1.0mmで溝角度が30°を超えると、絞りロールを通過する液量が多すぎるため、液膜厚さが超過する。
また、上記溝の形成方向は、圧延方向に略平行である。溝は液膜厚さを4〜7μmに調整するためのものであり、この調整ができる程度であれば、溝形成方向は圧延方向と同じでなくてもよい。即ち、溝形成方向と圧延方向とが平行から少しずれてもよい。溝形成方向と圧延方向とのなす角度が10°以下であれば良い。
また、上記絞りロールは、鋼板との接触面略全体にわたって上記溝を有することが、液膜の状態を一様にする観点から好ましい。ここで、略全体とは液膜厚さを4〜7μmの範囲に制御できる程度であれば、接触面において溝が形成されていない部分が、接触面の30%以下あってもよい。
また、隣り合うV字状溝間の距離は特に限定されず、0〜10mmであればよい。なお、隣り合うV字状溝間の距離は全て同じでもよいし、異なる部分があってもよい。
このような絞りロールを鋼板に一定荷重で押し付けることにより、液膜厚さを制御することが可能となる。この際、線荷重が0.4〜133N/mmの範囲で押し付けることが望ましい。0.4N/mm未満であると、板幅方向に絞りムラが発生することがあり、133N/mmを超えると、モーター等で駆動しないロールの場合、ロールの回転が鋼板の通板速度に対して追従しなくなる可能性がある。ここで、ロール材質に特に指定は無いが、耐酸性を有するゴムなどの材質を用いることが望ましい。
また、酸性溶液に接触後、水洗までの時間(水洗までの保持時間)は、1〜60秒間必要である。これは水洗までの時間が1秒未満であると、十分なZn系酸化物層及び/又は水酸化物層が形成される前に、酸性溶液が洗い流されるために、摺動性の向上効果が得られず、また60秒を超えても、酸化物層及び/又は水酸化物層の量に変化が見られないためである。
水洗
上記のようにして酸化物層及び/又は水酸化物層を形成した後に、水洗をして酸性溶液を洗い流す。水洗前、水洗後の少なくとも一方において、アルカリ性溶液を用いて中和処理をすることが、酸性溶液の除去の観点から好ましい。
上記のようにして酸化物層及び/又は水酸化物層を形成した後に、水洗をして酸性溶液を洗い流す。水洗前、水洗後の少なくとも一方において、アルカリ性溶液を用いて中和処理をすることが、酸性溶液の除去の観点から好ましい。
乾燥
水洗後に必要に応じて乾燥工程を設けてもよい。
水洗後に必要に応じて乾燥工程を設けてもよい。
中和処理とは、酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程後の表面をアルカリ性水溶液で洗浄する工程である。
酸化物層及び/又は水酸化物層
上記の酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程で形成される酸化物層及び/又は水酸化物層について説明する。酸化物層及び/又は水酸化物層はZnを主体とするZn系酸化物層及び/又は水酸化物層である。具体的には、Znを必須として含んだ酸化物及び/又は水酸化物などからなる層のことであり(酸化物層及び水酸化物層には、酸化物層及び水酸化物層の2層からなる場合以外に、酸化物及び水酸化物を含む単層の場合も含む。)、Znの酸化物及び水酸化物が主成分であり、この主成分を20〜80質量%含む。また、酸性溶液等の処理液中に不純物が含まれることによりS、N、C、Pb、Cl、Na、Mn、Ca、Mg、Ba、Sr、Si、Alなどが、必須成分以外の成分として酸化物層中に取り込まれても、本発明の効果が損なわれるものではない。
上記の酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程で形成される酸化物層及び/又は水酸化物層について説明する。酸化物層及び/又は水酸化物層はZnを主体とするZn系酸化物層及び/又は水酸化物層である。具体的には、Znを必須として含んだ酸化物及び/又は水酸化物などからなる層のことであり(酸化物層及び水酸化物層には、酸化物層及び水酸化物層の2層からなる場合以外に、酸化物及び水酸化物を含む単層の場合も含む。)、Znの酸化物及び水酸化物が主成分であり、この主成分を20〜80質量%含む。また、酸性溶液等の処理液中に不純物が含まれることによりS、N、C、Pb、Cl、Na、Mn、Ca、Mg、Ba、Sr、Si、Alなどが、必須成分以外の成分として酸化物層中に取り込まれても、本発明の効果が損なわれるものではない。
このZn系酸化物層及び/又は水酸化物層は、溶融亜鉛めっき鋼板の調質圧延された表面に形成される。自動車外板に多く使用されるような比較的強度の低い溶融亜鉛めっき鋼板では、酸化物層及び/又は水酸化物層をめっき層表面の調圧部に形成することで金型とめっきとの凝着を抑制し、良好なプレス成形性が得られる。しかしながら、従来公知の酸化物層及び/又は水酸化物層を、プレス成形時の面圧が上昇する高強度亜鉛めっき鋼板に適用した場合、必ずしもプレス成形性の改善効果を十分に得ることができない。一方、本発明によれば、短時間でも十分な膜厚で酸化物層及び/又は水酸化物層を形成できるため、プレス成形時の面圧が上昇する高強度亜鉛めっき鋼板に適用した場合等であっても、プレス成形性改善効果が十分である。
本発明では酸化物層及び/又は水酸化物層の厚さは30nm以上である。酸化物層及び/又は水酸化物層の厚さが、30nm未満になると摺動抵抗を低下させる効果が不十分となる。一方、酸化物層及び/又は水酸化物層の厚さが300nmを超えると、プレス加工中に皮膜が破壊され摺動抵抗が上昇し、また溶接性が低下する傾向にあるため好ましくない。なお、厚さとは平均厚さを意味し、膜厚が96nmの熱酸化SiO2膜が形成されたSiウエハを参照物質として用い、蛍光X線分析装置でO・Kα X線を測定することで、SiO2換算の酸化層の平均厚さを求めた値を採用する。
板厚0.7mmの冷延鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施した。上記処理後の溶融亜鉛めっき鋼板に対して調質圧延を行った。引き続き、No.1、52及び53を除きアルカリ性の水溶液による表面活性化処理を表1に示す条件に調整したアルカリ性の水溶液を用いて行った。次いで、酸化物層及び/又は水酸化物層の形成処理として、No1を除き、表1に示す条件に調整した酸性溶液に鋼板を浸漬し、表1で示すロール(溝形成方向は圧延方向に平行である。また、溝は鋼板との接触面全体にわたって形成される。また、溝間の距離は0〜10mmの等間隔である。)で絞った後、表1に示す所定時間保持した。次に、十分水洗を行った後、乾燥した。また、一部のサンプル(No.1、51及び53を除くサンプル)は、その後、ピロリン酸ナトリウム 10g/L 50℃に調整した水溶液に鋼板を3秒間浸漬した後、水洗・乾燥を実施した。
上記により得られた溶融亜鉛めっき鋼板に対して表面の酸化物層及び/又は水酸化物層の厚みを測定するとともに、プレス成形性(摺動特性)等、を次の手順により評価した。また、液膜厚さの測定方法についても示した。
1)液膜厚さの測定
酸性溶液を溶融亜鉛めっき鋼板の表面に塗布した状態で重量天秤と株式会社チノー製赤外線水分計を用いて測定し、液膜厚さと吸光度の検量線を作成し、ロール絞り後の液膜厚さを測定した。分析面積は約30mm角である。
酸性溶液を溶融亜鉛めっき鋼板の表面に塗布した状態で重量天秤と株式会社チノー製赤外線水分計を用いて測定し、液膜厚さと吸光度の検量線を作成し、ロール絞り後の液膜厚さを測定した。分析面積は約30mm角である。
2)酸化膜厚の測定
膜厚が96nmの熱酸化SiO2膜が形成されたSiウエハを参照物質として用い、蛍光X線分析装置でO・Kα X線を測定することで、SiO2換算の酸化層の平均厚さを求めた。分析面積は30mmφである。
膜厚が96nmの熱酸化SiO2膜が形成されたSiウエハを参照物質として用い、蛍光X線分析装置でO・Kα X線を測定することで、SiO2換算の酸化層の平均厚さを求めた。分析面積は30mmφである。
3)摩擦係数の測定方法
プレス成形性(特に絞り・流入部における成形性)を評価するために、各供試材の動摩擦係数を以下のようにして測定した。図1は摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押し上げることによりビード6による摩擦係数測定用試料1への押し付け荷重Nを測定するための第1ロードセル7がスライドテーブル支持台5に取り付けられている。上記押し付け力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させる際の摺動抵抗力Fを測定するために第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取り付けられている。なお、潤滑油としてスギムラ化学社製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを摩擦係数測定用試料1の表面に塗布して試験を行った。
プレス成形性(特に絞り・流入部における成形性)を評価するために、各供試材の動摩擦係数を以下のようにして測定した。図1は摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押し上げることによりビード6による摩擦係数測定用試料1への押し付け荷重Nを測定するための第1ロードセル7がスライドテーブル支持台5に取り付けられている。上記押し付け力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させる際の摺動抵抗力Fを測定するために第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取り付けられている。なお、潤滑油としてスギムラ化学社製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを摩擦係数測定用試料1の表面に塗布して試験を行った。
図2は使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である(以下ビード形状1)。ビード6の下面が摩擦係数測定用試料1の表面に押し付けられた状態で摺動する。図2に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ4mm、摺動方向両端の下部は曲率0.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有する。
図3は使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である(以下ビード形状2)。ビード6の下面が摩擦係数測定用試料1の表面に押し付けられた状態で摺動する。図3に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ59mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ50mmの平面を有する。
摩擦係数の測定に対しては、高強度鋼板のプレス成形を想定した面圧になるよう、室温(25℃)において、押し付け荷重Nを400、1200、1600kgfの3条件で行った。なお試料の引抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度)は100cm/minおよび20cm/min。これらの条件で、押し付け荷重Nと引抜き荷重F(摺動抵抗F)を測定し、供試材とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
ビード形状および押し付け荷重条件、引き抜き速度の組み合わせは以下の通りである。
条件1:ビード形状1 押し付け荷重400kgf 引き抜き速度100cm/min
条件2:ビード形状1 押し付け荷重1200kgf 引き抜き速度100cm/min
条件3:ビード形状1 押し付け荷重1600kgf 引き抜き速度100cm/min
条件4:ビード形状2 押し付け荷重400kgf 引き抜き速度20cm/min
4)型カジリ性の測定方法
動摩擦係数に加え、溶融亜鉛めっき鋼板では、摺動距離が長い部位において金型へめっきが付着し摺動抵抗が増加する型カジリが問題となる。そこで、図1に示した摩擦係数測定装置を用いて,摺動試験を50回繰り返し実施し、摩擦係数が0.01以上増加した繰り返し数を型カジリ発生の繰り返し数として、型カジリ性の評価を実施した。摩擦係数の測定方法と同様に高強度鋼板のプレス成形を想定した面圧になるよう上記の条件1〜条件3で実施した。なお、1回の摺動試験で鋼板の一地点が摺動される摺動距離は条件1〜3では3mmである。
条件1:ビード形状1 押し付け荷重400kgf 引き抜き速度100cm/min
条件2:ビード形状1 押し付け荷重1200kgf 引き抜き速度100cm/min
条件3:ビード形状1 押し付け荷重1600kgf 引き抜き速度100cm/min
条件4:ビード形状2 押し付け荷重400kgf 引き抜き速度20cm/min
4)型カジリ性の測定方法
動摩擦係数に加え、溶融亜鉛めっき鋼板では、摺動距離が長い部位において金型へめっきが付着し摺動抵抗が増加する型カジリが問題となる。そこで、図1に示した摩擦係数測定装置を用いて,摺動試験を50回繰り返し実施し、摩擦係数が0.01以上増加した繰り返し数を型カジリ発生の繰り返し数として、型カジリ性の評価を実施した。摩擦係数の測定方法と同様に高強度鋼板のプレス成形を想定した面圧になるよう上記の条件1〜条件3で実施した。なお、1回の摺動試験で鋼板の一地点が摺動される摺動距離は条件1〜3では3mmである。
以上より得られた試験結果を表2に示す。
表1、2より以下の事項がわかる。
酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程を行わなかったNo.1の比較例は、酸化物層及び/又は水酸化物層厚が10nm未満でありプレス成形性に劣る。No.2、7は酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程を実施しているが、使用したロールが本発明例の範囲外であり、液膜厚さが本発明例の範囲外である比較例である。これらは、酸化膜厚が不十分でありプレス成形性に劣る。
No.4〜6、8〜44は酸化物層及び/又は水酸化物層形成処理が実施され、その条件も好適な範囲である、発明例である。十分な酸化物層及び/又は水酸化物層が形成され、プレス成形性に優れている。
1 摩擦係数測定用試料
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
Claims (7)
- 表面に酸化物層及び/又は水酸化物層を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、
溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、酸性溶液により液膜を形成させた後1〜60秒間保持し、その後水洗を行う酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程を備え、
前記酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程において、前記液膜の液膜厚さが4〜7μmであり、
前記酸化物層及び/又は水酸化物層は、30〜300nmの厚さを有するZn系酸化物層及び/又は水酸化物層であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 前記酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程の液膜を形成する工程において、溝形成方向が圧延方向に略平行の深さが0.05〜0.6mm、幅が0.1〜1.2mm、溝角度が170〜30°のV字状溝を鋼板との接触面略全体にわたって有する絞りロールを、0.4N/mm〜133N/mmの線荷重条件となるように、絞りロールを押し付けることにより液膜厚さを制御することを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記酸性溶液はpH緩衝作用を有し、酢酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩及びリン酸塩から選択される少なくとも1種類以上を含有し、pHは、1.0〜5.0であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記酸性溶液は、酢酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩及びリン酸塩から選択される少なくとも1種類以上を各5〜50g/Lの範囲で含有することを特徴とする請求項3のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記酸化物形成工程における、前記水洗の後に、アルカリ性溶液に接触させ表面に残存した酸性溶液の中和処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- さらに、前記酸化物層及び/又は水酸化物層形成工程の前に、アルカリ性の水溶液を用いて溶融亜鉛めっき鋼板の表面を処理するアルカリ性水溶液接触工程を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記溶融亜鉛めっき鋼板は、引張強度が440MPa以上の高強度鋼板と、該高強度鋼板の表面に形成されためっき層とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板板の製造方法。
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JP2014242898A JP2016104895A (ja) | 2014-12-01 | 2014-12-01 | 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
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- 2014-12-01 JP JP2014242898A patent/JP2016104895A/ja active Pending
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