JP2016104734A - メラニン産生促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚や毛髪のメラノサイトメラニン量を増加し、皮膚の褐色化及び白髪の予防又は改善等に有用なメラニン産生促進剤、皮膚褐色化剤及び白髪予防改善剤の提供。【解決手段】ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とするメラニン産生促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、メラニン産生を促進するメラニン産生促進剤に関する。
人の皮膚や毛髪の色調は、皮膚及び毛髪に存在する色素メラニンの量によって決定される。メラニンは、皮膚や毛髪の毛球部に存在する色素細胞(メラノサイト)において、酵素チロシナーゼやドーパオキシダーゼによってチロシンから生合成されることから、メラノサイトの活性化又はチロシナーゼの活性化によりメラニン産生が亢進すれば、皮膚は褐色化し、毛髪は黒色化する。
従来、褐色の肌への需要に対しては、日光浴や屋内での紫外線照射により肌を積極的に日焼けさせることが行われてきた。しかし、過度の紫外線照射は皮膚に大きなダメージを与え、皮膚癌の発生を招くおそれがある。また、肌を褐色化させる手段としては、ジヒドロキシアセトンを主成分とするサンレスタンニング剤の利用がある。しかし、ジヒドロキシアセトンを用いたタンニング剤は、角層のメイラード反応により皮膚を褐色化させるため色合いが安定せず、且つ紫外線防御能がないため皮膚のダメージを防御できないという問題があった。
また、ケラチノサイトに存するメラニン顆粒は、メラノサイトで産生されたメラニン顆粒を、メラノサイトがデンドライトを伸長しケラチノサイトと接合して該メラニン顆粒をケラチノサイト内に転送することにより、ケラチノサイトに存するようになる。デンドライトの伸長が妨げられてメラニン顆粒の転送に支障を来すと、メラニン産生が妨げられ白斑などを生ずるようになる。
そこで、メラノサイトに直接作用してその活性を高めることによりメラニン量を増加させたり、デンドライトの伸長を促進する成分が見出されれば、本来メラニンが持つ生体防御能を促進させて皮膚のダメージを予防すると共に、肌の褐色化や白斑の予防又は治療、白髪の防止又は改善が実現できると考えられる。
一方、エクソソーム(exosome)は脂質二重膜で囲まれた膜小胞で、従来は不要な細胞内成分を外に放出するために機能していると考えられてきたが、近年、免疫細胞や腫瘍細胞をはじめ、多くの細胞がエクソソームを放出し、これが分泌細胞(エクソソーム放出細胞)とその標的細胞(エクソソーム受容細胞)の間で蛋白質や脂質を交換する重要なメッセンジャーとなっていることが解明されつつある。近年、ケラチノサイト由来のエクソソームも単離され、線維芽細胞に添加することで、MMP−1の発現が上昇すること(非特許文献1)、骨髄由来樹状細胞に添加することで、IL−6、IL−10、IL−12の産生が上昇すること(非特許文献2)が報告されている。
しかしながら、ケラチノサイトから放出されるエクソソームがメラノサイトに対して如何なる作用を示すのかは全く知られていない。
Chavez-Munos C et al. (2008) J Cell Biochem., 104: 2165-2173 Kotzerke K et al. (2013) Exp Dermatol., 22: 650-655
本発明は、皮膚の褐色化、白斑の予防又は治療、白髪の予防又は改善に有用な、メラニン産生促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防又は治療剤及び白髪予防改善剤を提供することに関する。
本発明者は、メラニン制御に関して種々検討したところ、ケラチノサイトから放出されるエクソソームがメラノサイトに受容され、メラノサイトの増殖及びデンドライト形成を顕著に促進し、メラニン産生を促進することを見出した。すなわち、ケラチノサイト由来のエクソソームは、メラノサイトの細胞増殖能及びメラニン産生能をはじめとした細胞活性を正に制御しており、ケラチノサイトから放出されるエクソソームの分泌を促進することにより、メラニン産生やデンドライトの伸長を促進できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜4)に係るものである。
1)ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とするメラニン産生促進剤。
2)ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とする皮膚褐色化剤。
3)ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とする白斑予防又は治療剤。
4)ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とする白髪予防又は改善剤。
本発明によれば、皮膚のメラニン産生やデンドライトの伸長を促進させることができ、皮膚の褐色化、白斑の予防又は治療、あるいは白髪の予防又は改善を図ることができる。
ケラチノサイト由来エクソソームの電子顕微鏡観察像。 ケラチノサイト由来エクソソームにおけるマーカータンパク質の発現確認。Lane1:細胞抽出液、Lane2:ケラチノサイト培養上清濃縮物、Lane3:Epilife培地濃縮物、Lane4:ケラチノサイト由来エクソソーム画分 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトの細胞活性に及ぼす影響。(A)ドーパオキシダーゼ活性、(B)細胞呼吸鎖活性。 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトにおけるメラニン関連遺伝子の発現量に及ぼす影響。(A)エクソソーム添加72時間後におけるMITFの発現量、(B)エクソソーム添加96時間後におけるTYR、TYRP1、Dopachrome tautomerase(DCT)/TYRP2の発現量 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトの細胞増殖能及び形態形成に及ぼす影響。(A)細胞数、(B)メラノサイトの顕微鏡観察像 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトにおけるメラニン関連タンパク質の発現量に及ぼす影響。 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトにおけるメラニン産生に及ぼす影響。 D609がケラチノサイトのエクソソーム放出量に及ぼす影響。 D609がケラチノサイト及びメラノサイトからなる共培養系において、メラニン産生量に及ぼす影響。 D609がメラノサイトのメラニン産生量に及ぼす影響。
本発明において、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質とは、ケラチノサイトから放出されるエクソソームの分泌を促進させる物質を意味する。
ここで、「エクソソーム」とは、ケラチノサイトから恒常的に放出されるエクソソームを意味する。当該エクソソームは、直径が30〜100nmで、cup形状を有し、Heat shock protein 70(HSP70)、β−Actin、テトラスパニン(CD9、CD63)等のタンパク質を含むという特徴を有することが報告されているが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
「分泌促進」とは、ケラチノサイトからのエクソソームの分泌を賦活化又は活性化し、ケラチノサイト外へのエクソソームの放出量を増加させることを意味する。
「物質」としては、その種類は特に限定されず、天然物でも合成物でもよく、また単一物質であっても組成物若しくは混合物であってもよい。
当該ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質は、以下に示すa)〜c)の工程によって探索し、取得することができる。
a)ケラチノサイトに被験物質を接触させ培養する工程
b)培養細胞からエクソソーム画分を単離し、分泌レベルを測定する工程
c)エクソソームの分泌レベルを増強又は増加させる被験物質を選択する工程
ここで、「ケラチノサイト」としては、自己増殖性を有する正常な表皮角化細胞であれば使用可能であり、ヒト、マウス、ラット、ブタ等の哺乳動物由来の細胞を使用することができるが、ヒトの細胞を用いるのが好ましい。当該ケラチノサイトを用いる場合には、動物よりケラチノサイトを採取し、常法に従って処理して用いることができるが、樹立細胞株として市販されているもの(例えば、ヒト表皮角化細胞株であるHaCaT細胞など)を購入して利用することもできる。ヒトの細胞としては、例えば正常ヒトケラチノサイト(NHEK:Normal Human Epidermal Keratinocytes)が好適に挙げられる。
当該細胞と被験物質との接触は、当該細胞が成育可能な条件で培養しながら行われる。例えば、増殖用添加剤(Humedia−KG)を含むEpilife培地(Life Technologies製)、上記、増殖用添加剤のうちhEGFを含まないEpilife培地(Life Technologies製)やCnT-Prime培地(CELLnTEC製)の他、適宜、抗生物質、血清、増殖因子等を添加した培地等の市販の培地中で培養できる。培養は、通常30℃〜40℃、1〜10vol%二酸化炭素存在下で実施すればよく、37℃、5vol%二酸化炭素存在下で実施するのが好ましい。
また、被験物質と接触させる際のケラチノサイトの細胞数は、例えば6wellプレートを用いる場合、通常約10〜約10個/wellであればよく、5×10〜5×10個/wellが好ましい。
エクソソームの単離は、培養上清を回収した後、超遠心機を用いて、異なる速度で段階的に遠心処理することにより行うことができる(ref. Thery C et al. (2006) Curr Protoc Cell Biol., 3.22.1-3.22.29)。具体的には、培養上清を回収し、300gで10分間、2,000gで20分間、10,000gで30分間と段階的に遠心分離することにより、余分な細胞(破片)を除去した培養上清に対し、100,000gで70分間の遠心分離を行った後で上清を除去し、Phosphate Buffered Saline (PBS)にて一度洗浄し、さらに、100,000gで70分間遠心分離した後に完全に上清を除去することにより行うことができる。また、超遠心機を用いずに、エクソソーム膜に曝露されるタンパク質(CD9、CD63、そして、CD81など)に対する抗体でコートされたビーズを用いて、エクソソームを直接単離する免疫吸着法(抗体結合法)を用いることもできる(ref. Wubbolts R et al. (2003) J Biol Chem., 278: 10963-10972)。その他、市販のキット試薬(例えばExosome Precipitation Solution, ExoQuick-TC(System Biosciences社、#EXOTC10A-1 or EXOTC50A-1)やmiRCURY Exosome Isolation Kit (EXIQON社、#300102)、Total Exosome Isolation Reagent (invitrogen社、#4478359)等)を用いることでもよい。
エクソソームの分泌レベルの増強又は増加は、例えば、被験物質を接触させる細胞群と接触させない群(対照細胞)を用意し、エクソソームの分泌レベルを測定し、両者間で比較することが挙げられる。なお、対照細胞としては、被験物質を接触させない代わりに、対照物質を接触させたものを用いてもよい。
そして、被験物質を添加したエクソソームの分泌レベルが被験物質を添加しない対照細胞でのレベルと比較して増強又は増加する物質をケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質として選択する。
エクソソームの分泌レベルの測定は、例えば、エクソソーム画分の総タンパク質量の測定、エクソソーム中に含まれるマーカータンパク質(CD9、CD63、CD81、HSP70、Alix、Tsg101、GM1ガングリオシドなど)の発現量の測定、エクソソームの粒径の分布と濃度の測定、エクソソーム数の測定、エクソソーム中に含まれるRNA(mRNA、small RNA、miRNAなど)の発現量の測定等によって行うことができる。好適には、48〜72時間の間に培養上清中に放出されたエクソソーム画分のタンパク質定量を行い、それを細胞数で除することにより、単位時間における1細胞あたりのエクソソーム放出量を算出することが挙げられる。
各種測定は、当該分野で通常使用される任意の解析方法を用いればよく、遺伝子発現解析には、例えば、ドットブロット法、ノーザンブロット法、RNaseプロテクションアッセイ法、ルシフェラーゼ等によるレポーターアッセイ、RT−PCR法、DNAマイクロアレイ等を、タンパク質発現解析には、ウェスタンブロッティング法、免疫染色法、ELISA、バインディングアッセイ等を用いることができる。また、市販のキット(例えばCD63 ExoELISA Kit(System Biosciences社、#EXOEL-CD63A-1)等)やナノ粒子解析装置(NanoSight LM10(NanoSight社))を用いることもできる。
ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質としては、例えば、神経細胞由来エクソソームの放出促進物質として報告(国際特許公開第2013/054534)されている、下記式で示されるトリシクロデカン-9-イルキサントゲン酸カリウム(Tricyclodecan-9-yl xanthate potassium salt;以下「D609」とも称する)の他、センス配列として5′-AUACAUAGUUAUACAGCGAUACAGG-3′(配列番号1)、アンチセンス配列として5′-CCUGUAUCGCUGUAUAACUAUGUAU-3′(配列番号2)から形成されるスフィンゴミエリンシンターゼ2(SMS2)の発現を抑制するsiRNA等が挙げられる。
斯かるD609は公知の方法で化学合成することができ、また市販品(Tocris Bioscience社製、Sigma-Aldrich社製、他)を入手して用いることもできる。SMS2のsiRNAはInvitrogen社製、その他の市販品を使用することができる。
後記参考例に示すように、ケラチノサイト由来エクソソームは、メラノサイトの細胞活性(ドーパオキシダーゼ活性、細胞呼吸鎖活性)を上昇させ(図3)、メラニン関連タンパク質をコードする遺伝子(Microphthalmia-associated transcription factor(MITF)、Tyrosinase(TYR)、Tyrosinase related protein 1(TYRP1)、Dopachrome tautomerase (DCT)/Tyrosinase related protein 2(TYRP2))の発現を上昇させ(図4)、メラノサイトの細胞増殖及び形態形成を促進させ(細胞数の増加、デンドライトの伸長)(図5)、メラニン関連タンパク質(MITF、Tyrosinase、TRP1、TRP2)の発現を上昇させ(図6)、さらにメラニン産生を促進させる(図7)。したがって、ケラチノサイト由来のエクソソームは、メラノサイトの細胞活性を正に制御していると考えられる。
故に、ケラチノサイトからのエクソソームの分泌促進はメラニン量を増加させ、またデンドライトを伸長すると云える。実際、後記実施例に示すように、ケラチノサイト由来エクソソームの放出促進物質によりメラニン生成が促進される(図8〜10)。
したがって、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質は、メラニン産生促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防又は治療剤、あるいは白髪予防又は改善剤(「メラニン産生促進剤等」と称する)となり得、また、メラニン産生促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防又は治療剤、白髪予防又は改善剤を製造するために使用することができる。すなわち、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質は、細胞のメラニン産生促進のため、皮膚褐色化のため、白斑の予防又は治療のため、あるいは白髪の予防又は改善のために使用することができる。ここで、ヒトに対する使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
当該メラニン産生促進剤等は、それ自体、細胞のメラニン産生促進、皮膚褐色化、白斑の予防又は治療、あるいは白髪の予防又は改善のための、化粧品、医薬部外品、医薬品であってもよく、又は当該化粧品、医薬部外品、医薬品等に配合して使用される素材又は製剤であってもよい。
本発明のケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を含有する化粧品、医薬部外品又は医薬品は、好適には皮膚外用剤の形態で、具体的には、軟膏、乳化化粧料、クリーム、乳液、ローション、ジェル、エアゾール等の種々の形態で用いることができる。
斯かる製剤は、それぞれ一般的な製造法により、直接又は製剤上許容し得る担体、例えば、各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、香料等とともに混合、分散した後、所望の形態に加工することによって得ることができる。また、これらの化粧品、医薬部外品又は医薬品等には、それぞれの製剤に応じて、適宜、植物抽出物、殺菌剤、保湿剤、抗炎症剤、抗菌剤、清涼剤、抗脂漏剤等を本発明の効果を妨害しない範囲で適宜配合することができる。
当該化粧品、医薬部外品又は医薬品中の本発明のケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の含有量は、一般的に0.00001質量%、好ましくは0.001質量%以上であり、そして10質量%以下、好ましくは1質量%以下である。また、0.00001〜10質量%とするのが好ましく、0.001〜1質量%とするのがより好ましい。
上記化粧品、医薬部外品又は医薬品の投与量は、効果が得られる量であれば特に限定されず、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、成人(60kg)1人当たり1日、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質として、例えば、好ましくは0.5mg以上であり、そして1000mg以下、好ましくは500mg以下である。また、0.5〜1000mgとするのが好ましく、更に0.5〜500mgとするのが好ましい。また、当該製剤は、任意の摂取・投与計画に従って摂取・投与され得るが、1日1回〜数回に分け、数週間〜数カ月間継続して投与することが好ましい。このうち、1日3回に分け、6週間以上継続して投与することがより好ましい。
また、上記化粧品、医薬品又は医薬部外品の適用対象者としては、それを必要としていれば特に限定されないが、皮膚褐色化を所望するヒト、白斑の予防又は治療を所望するヒト、あるいは白髪の予防又は改善を所望するヒトが挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とするメラニン産生促進剤。
<2>ケラチノサイト由来エクソソーム分泌促進物質を有効成分とする皮膚褐色化剤。
<3>ケラチノサイト由来エクソソーム分泌促進物質を有効成分とする白斑予防又は治療剤。
<4>ケラチノサイト由来エクソソーム分泌促進物質を有効成分とする白髪予防又は改善剤。
<5>ケラチノサイト由来エクソソーム分泌促進物質が、トリシクロデカン-9-イルキサントゲン酸カリウム及び配列番号1に示されるセンス配列と配列番号2に示されるアンチセンス配列とから形成されるsiRNAから選ばれる、<1>のメラニン産生促進剤、<2>の皮膚褐色化剤、<3>の白斑予防又は治療剤、又は<4>の白髪予防又は改善剤。
<6>メラニン産生促進剤を製造するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。
<7>皮膚褐色化剤を製造するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。
<8>白斑予防又は治療剤を製造するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。
<9>白髪予防又は改善剤を製造するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。
<10>メラニン産生を促進するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。
<11>皮膚を褐色化するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。<12>白斑を予防又は治療するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。
<13>白髪を予防又は改善するための、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の使用。
<14>ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を投与又は摂取する、メラニン産生促進方法。
<15>ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を投与又は摂取する、皮膚褐色化方法。
<16>ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を投与又は摂取する、白斑の予防又は治療方法。
<17>ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を投与又は摂取する、白髪の予防又は改善方法。
<18><6>〜<17>において、ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促物質は、トリシクロデカン-9-イルキサントゲン酸カリウム及び配列番号1に示されるセンス配列と配列番号2に示されるアンチセンス配列とから形成されるsiRNAから選択されるものである。
<19><10>〜<13>において、使用は非治療的使用である。
<20><14>〜<17>において、方法は非治療的方法である。
<21><1>〜<18>において、製剤中の前記ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質の含有量は、好ましくは0.001質量%以上であり、好ましくは1質量%以下である。また、好ましくは0.00001〜10質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
参考例1:ケラチノサイト由来エクソソームの単離とその特徴付け
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(凍結NHEK (F) Lightly; ケラチノサイト)、表皮角化細胞用増殖培地(Epilife)はLife Technologies社より、その培地用増殖添加剤(Humedia-KG2)はクラボウ社より購入した。ケラチノサイトは、37℃ 5Vol%CO2の環境下で培養した。
(2)ケラチノサイト由来エクソソームの単離
ケラチノサイトを2.5×106cells/flask (25mL/flask)の細胞密度で175cm2 flaskに播種した。この時の培地としては、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF; Human Epidermal Growth Factor) 以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を使用した。3日間の培養後、培養上清を回収し、300gで10分間、2,000gで20分間、10,000gで30分間と段階的に遠心分離することにより、余分な細胞(破片)を除去した。この操作を終えた後の培養上清に対し、100,000gで70分間の遠心分離を行った後で上清を除去し、Phosphate Buffered Saline (PBS)にて一度洗浄した。さらに、100,000gで70分間遠心分離した後に完全に上清を除去し、沈殿物をPBSにて懸濁した。100 mLの培養上清から遠心分離した場合、最終沈殿物は200 μLのPBSにて懸濁し、これを原液として評価に用いた。また、100,000g遠心後の上清はAmicon(R) Ultra Centrifugal Filters Ultra(R)-3K (Millipore)に供し、4,800rpmで45分間遠心処理を行った。遠心処理後にフィルター上部に残留した液を培養上清濃縮物として回収した。また、細胞非培養の培地に対して同様の処理を施した液を培地濃縮物として回収した。
(3)単離したエクソソーム画分の電子顕微鏡観察
単離したエクソソーム画分をPBSもしくはHEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid) bufferにて適宜希釈した。その溶液を親水化処理したコロジオン膜貼付メッシュ 400メッシュ(日新EM)に5 μL滴下し、5分間静置した。膜上の水分を吸い取った後、2% Sodium Dodecatungsto(VI) phosphate n-Hydrate (wako)もしくはEMステイナー(日新EM)を10 μL滴下し、1分間もしくは30分間静置することにより、ネガティブ染色を行った。膜上の水分を除いた後、精製水を10 μL滴下した。余分な水分を除いた後、H7650透過型電子顕微鏡(日立)を用いて加速電圧100kVで観察した。その結果、既報と同様に、エクソソームに特徴的なサイズ (直径30-100 nm)と形態(cup-shaped) を示す小胞を確認した(図1)。
(4)単離したエクソソーム画分におけるマーカータンパク質の発現確認
単離したエクソソーム画分をResuspension buffer (ambion)にて溶解し、その溶液についてBovine Serum Albumin (BSA)を標準物質としたBCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク質定量を行った後、細胞抽出物、培養上清濃縮物及び培地濃縮物と共に、タンパク質量を揃え、定法に従ってSDS-PAGE及びウェスタンブロットに供した。一次抗体は、anti-CD9 (Santacruz, 1:1000)抗体、anti-CD63 (Santacruz, 1:1000)抗体、anti-Calnexin (Cell Signaling, 1:1000)抗体、anti-HSP70 (Cell Signaling, 1:1000)抗体、あるいはanti-β-actin (Sigma-Aldrich, 1:5000)抗体を用いた。二次抗体は、anti-mouse IgG, HRP-Linked F(ab’)2Fragment Sheep (GE Healthcare Life Science)あるいはanti-rabbit IgG HRP-Linked F(ab’)2 Fragment Donkey (GE Healthcare Life Science) を用いた。 その後、ECL plus western blotting detection reagents (GE healthcare bioscience)を用いて発色させ、LAS4000(富士フィルム)を用いて可視化した。その結果、エクソソームに特徴的に発現するマーカーとされるタンパク質群、すなわち、細胞質に存在するHeat shock protein 70、細胞骨格タンパク質であるActin、また、テトラスパニン(CD9、CD63)の発現がエクソソーム画分に確認され、さらにエクソソームには含有されないとして知られるCalnexinの発現が認められないことも確認された(図2)。それと同時に、ケラチノサイトの培養上清濃縮物(図2; lane2)には、Hsp70を除くエクソソームマーカータンパク質の発現が認められなかったことから、エクソソームがその濃縮過程で除去されていることを確認した。なお、Hsp70の発現が培養上清濃縮物で認められたことは既報(Chavez-Munoz C. et al., 2008, J.Cell. Biochem. 104:2165-2173)と同様の結果である。
以上のことより、ケラチノサイトの培養上清より単離した画分がエクソソーム画分と呼ぶに値するものと判断し、これを用いて、以降の評価を行った。
参考例2:ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトに及ぼす影響
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮メラニン細胞(凍結NHEM (NB) Darkly; メラノサイト)、表皮メラニン細胞用増殖培地(Medium254)、その培地用増殖添加剤(HMGS)はLife Technologiesより購入した。メラノサイトは、37℃、5Vol%CO2の環境下で培養した。
(2)メラノサイトに対するケラチノサイト由来エクソソーム画分の処理
メラノサイトを1.0×104 cells/well (100 μL/well)、1.0×105 cells/well (500 μL/well)及び1.5×105 cells/well (1.5 mL/well)の細胞密度で96-well plate、12-well plate及び6-well plateにそれぞれ播種した。この時の試験用培地としては、Medium254 (増殖添加剤(HMGS)のうち、Fetal Bovine Serum (FBS)、Human Fibroblast growth factor-basic (hFGF-B)、ハイドロコーチゾン、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン含有、phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)及びbovine pituitary extract (BPE)不含)を用いた。2日後、PBSにて懸濁したエクソソーム画分を添加した後、さらに、96-well plateにおいては5日間、12-well plateにおいては3日間もしくは4日間培養し、それぞれドーパオキシダーゼ活性の計測及び定量的RT-PCR解析に用いた。6-well plateにおいては5日間培養した後に、細胞数の計測及び形態観察、ウェスタンブロッティング解析、さらに、細胞内メラニン定量に用いた。
(3)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのドーパオキシダーゼ活性に及ぼす影響
96-well plateでの培養終了後、培地を全量置換し(100 μL/well)、アラマーブルー(Bio-Rad AbD Serotec Limited)試薬を10 μL/wellになるように添加した。37℃、5Vol%CO2の条件下で1時間インキュベートした後、培地の蛍光強度 (Ex544nm/Em590nm)を測定することで細胞呼吸鎖(増殖)活性を評価した。その後、細胞の培養プレートをPBSで3回洗浄して、抽出Buffer (0.1 M Tris-HCL (pH:7.2)、1% NP-40、0.01% SDS)を20 μL/well、Assay Buffer (4%ジメチルホルムアミド、100 mM Sodium phosphate-buffered (pH:7.1))を20 μL/well添加した。4℃にて2時間かけて細胞を可溶化し、ドーパオキシダーゼ活性の測定を行ったが、その活性測定は、MBTH法(Winder A. et al., 1991, Eur.J. Biochem. 198:317-326)を基本とした次に示す方法で行った。すなわち、可溶化した細胞溶液の各wellに、上記Assay Bufferを80 μL、20.7 mM MBTH (3-メチル-2-ベンゾチアゾリノン ヒドラゾン)溶液を60 μL、基質として5 mM L-DOPA (L-ジヒドロキシフェニルアラニン)溶液を40 μL加え、37℃にて30〜60分間反応させた後、その吸光度を505 nmの測定波長で測定した。その結果、PBSのみを添加したコントロールと比較して、同画分添加による両活性の有意な上昇を確認した(図3A、B)。
(4)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのメラニン関連遺伝子の発現量に及ぼす影響
12-well plateでの培養終了後、細胞をPBSで洗浄した後、RNeasy Mini Kit (QIAGEN)を用いて定法に従いtotal RNAを抽出した。その抽出したtotal RNAを鋳型とし、High Capacity RNA to cDNA Kit (Life Technologies)を用いた逆転写反応によりcDNAを合成した。反応には、MH Research社製のPeltier Thermal Cyclerを用いた。続いて合成したcDNA及びTaqMan(R)probeを用いて、定量的PCR法による遺伝子発現解析を行った。各遺伝子に特異的なprobe及びprimerは、Life Technologies社製のTaqMan(R)Gene Expression Assays (P/N 4331182)を使用した。各々の発現量は、内部標準遺伝子であるribosomal protein, large, P0 (RPLP0)の発現量により補正した。反応条件は定法に従い、アプライドバイオシステムズ社製のシークエンスディテクター(ABI PRISM 7500 Real Time PCR System)を用いて行った。その結果、エクソソーム画分を添加して72時間後にMITFの発現上昇を確認し(図4A)、96時間後にはTYR、TYRP1、Dopachrome tautomerase (DCT) /TYRP2の発現上昇を確認した(図4B)。
(5)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトの細胞増殖能及び形態形成に及ぼす影響
6-well plateでの培養終了後、顕微鏡観察をおこない、画像を記録した。その後、0.25% Trypsin-EDTA 溶液(Life Technologies)処理を施して、細胞接着を剥離した後に回収し、血球計算板を用いて細胞数のカウントを行った。その結果、エクソソーム画分を添加して5日後に、PBSを添加したコントロールに対して、細胞数の有意な増加を確認すると共に(図5A)、デンドライトの顕著な伸長を確認した(図5B)。
(6)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのメラニン関連タンパク質の発現量に及ぼす影響
6-well plateでの培養終了後、細胞をPBSで洗浄し、RIPA buffer (Sigma-Aldrich)を用いて回収してから、超音波処理により細胞を破砕した。その後、15,000rpmで15分間遠心分離し、その上清についてBovine Serum Albumin (BSA)を標準物質としたBCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク量を定量した後、各群のタンパク質量を揃え、定法に従ってSDS-PAGE及びウェスタンブロットに供した。一次抗体は、anti-MITF (Santacruz, 1:200)、anti-Tyrosinase related protein (TRP) 1 (Santacruz, 1:1000)、anti-TRP2 (Santacruz, 1:200)、あるいはanti-Tyrosinase (Zymed, 1:1000)を用いた。二次抗体は、anti-mouse IgG, HRP-Linked F(ab’)2 Fragment Sheep (GE Healthcare Life Science)、あるいはanti-goat IgG, HRP-Linked F(ab’)2Fragment Sheep (GE Healthcare Life Science)を用いた。 その後、ECL plus western blotting detection reagents (GE healthcare bioscience)を用いて発色させ、LAS4000 (GE healthcare bioscience)を用いて発現量を可視化した。内部標準としてのβ-actinの発現は、monoclonal antibody specific for β-actin (Sigma-Aldrich, 1:5000)を用いて評価した。上記タンパク質の検出バンドの強度を画像解析により定量した結果、PBSを添加したコントロールに対して、全てのタンパク質が有意に発現上昇していることを確認した(図6)。
(7)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのメラニン産生に及ぼす影響
6-well plateでの培養終了後、細胞をPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いてエッペンドルフチューブに細胞を回収した。各エッペンドルフチューブに2M NaOHを150 μL加えた後100℃にて細胞を溶解させ、遠心処理によって得られた上清について405 nmの測定波長で吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、エクソソーム画分を添加して5日後に、PBSを添加したコントロールに対して、メラニン産生が促進傾向にあることを確認した(図7)。
以上のことより、ケラチノサイトが恒常的に分泌しているエクソソームがメラノサイトの細胞活性及びメラニン産生能を正に制御していることが示された。
実施例1:エクソソーム放出促進剤D609によるメラニン産生の促進(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(凍結NHEK (F) Lightly; ケラチノサイト)、表皮角化細胞用増殖培地(Epilife)はLife Technologies社より、その培地用増殖添加剤(Humedia-KG)はクラボウ社より購入し、また、正常ヒト新生児包皮由来表皮メラニン細胞(凍結NHEM (NB) Darkly; メラノサイト)、表皮メラニン細胞用増殖培地(Medium254)、その培地用増殖添加剤(HMGS)はLife Technologies社より購入した。ケラチノサイト及びメラノサイトは、37℃ 5Vol%CO2の環境下で培養した。
(2)エクソソーム放出促進剤D609がケラチノサイトのエクソソーム放出量に及ぼす影響
ケラチノサイトを1.5×106 cells/flask (25mL/flask)の細胞密度で175cm2 flaskに播種した。この時の培地としては、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF; Human Epidermal Growth Factor) 以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を使用した。播種した翌日に、エクソソームの放出促進剤として報告(国際特許公開第2013/054534号)されているD609 (トリシクロデカン-9-イルキサントゲン酸カリウム(Tricyclodecan-9-yl-xanthogenate potassium salt);Tocris Bioscience社)を終濃度で5 μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で3日間培養を行った。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。培養終了後、細胞の培養上清から既に記載した遠心分離法によりエクソソーム画分を単離した。培養上清を除去した後に、底面に接着している細胞に対してプロナーゼ溶液(極東製薬工業)処理を施して、細胞接着を剥離した後に回収し、血球計算板を用いて細胞数のカウントを行った。また、エクソソーム画分のタンパク質定量を行い、それを細胞数で除することにより、1細胞あたりのエクソソーム放出量を算出した。その結果、D609の添加により、DMSOを添加したコントロールに対して、その放出量が有意に増加することが確認された(図8)。
(3)エクソソーム放出促進剤D609がケラチノサイト及びメラノサイトからなる共培養系においてメラニン産生に及ぼす影響
ケラチノサイトを6-well plateに1×105 cells/well (2 mL/well)の細胞密度で播種し、翌日、メラノサイトを2×105 cells/well (1 mL/well)の細胞密度で播種した。さらにその翌日に、D609を終濃度で5 μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で7日間培養を行った。培地には、試験用培地としてヒト上皮細胞成長因子(hEGF; Human Epidermal Growth Factor) 以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を用いた。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。なお、培地交換は3日に1度行った。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いてエッペンドルフチューブに細胞を回収した。各エッペンドルフチューブに2M NaOHを150 μL加えた後100℃にて細胞を溶解させ、遠心処理によって得られた上清について405 nmの測定波長で吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、DMSOを添加したコントロールに対して、有意にメラニン産生が促進していることが確認され、また、細胞の黒化は視覚的にも認められた(図9)。
(4)エクソソーム放出促進剤D609がメラノサイトの単独培養系においてメラニン産生に及ぼす影響
メラノサイトを2×105 cells/well (2 mL/well)の細胞密度で播種した。その翌日に、D609を終濃度で1、5、10 μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で7日間培養を行った。培地には、試験用培地としてMedium254 (増殖添加剤(HMGS)のうち、Fetal Bovine Serum (FBS)、Human Fibroblast growth factor-basic (hFGF-B)、ハイドロコーチゾン、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン含有、phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)及びbovine pituitary extract (BPE)不含)を用いた。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。なお、培地交換は3日に1度行った。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いてエッペンドルフチューブに細胞を回収した。各エッペンドルフチューブに2M NaOHを150 μL加えた後100℃にて細胞を溶解させ、遠心処理によって得られた上清について405 nmの測定波長で吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、DMSOを添加したコントロールに対して、D609を5 μM添加した際にはメラニン産生量の有意な増加は確認されなかった(図10)。
以上のことより、D609はケラチノサイトに作用して、エクソソームの放出を促し、放出されたエクソソームがメラノサイトを活性化させることによって、メラニン産生を促進したものと考えられる。

Claims (5)

  1. ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とするメラニン産生促進剤。
  2. ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とする皮膚褐色化剤。
  3. ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とする白斑予防又は治療剤。
  4. ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質を有効成分とする白髪予防又は改善剤。
  5. ケラチノサイト由来エクソソームの分泌促進物質が、トリシクロデカン-9-イルキサントゲン酸カリウム及び配列番号1に示されるセンス配列と配列番号2に示されるアンチセンス配列とから形成されるsiRNAから選ばれる、請求項1記載のメラニン産生促進剤、請求項2記載の皮膚褐色化剤、請求項3記載の白斑予防又は治療剤、又は請求項4記載の白髪予防又は改善剤。
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