JP2016103980A - ハイブリドーマ及びモノクローナル抗体 - Google Patents

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    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans

Abstract

【課題】抗原Aβ43ペプチドには実質的に反応せず、抗原Aβ42ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体、及び、当該モノクローナル抗体を生産し得るハイブリドーマを提供すること。
【解決手段】受託番号がNITE P−1463であるハイブリドーマ;当該ハイブリドーマにより産生される、抗原Aβペプチドに対するモノクローナル抗体;及び抗原Aβ42ペプチドに反応し、抗原Aβ43ペプチドに反応しないモノクローナル抗体。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗原Aβペプチドに対するモノクローナル抗体を生産し得るハイブリドーマ、及び、当該モノクローナル抗体に関する。
アルツハイマー病(以下「AD」ともいう)は、初老期から老年期に起こる進行性の認知症を特徴とする疾患であり、現在、国内の患者数は100万人以上と言われている。今後、人口の高齢化に伴いその数は確実に増加すると予想される。
早期にアルツハイマー病を診断するために、血液や髄液などの体液中に存在するβアミロイド(以下Aβともいう)ペプチドを検出する方法が知られている。Aβペプチドとは、40〜43個のアミノ酸からなるペプチドであり、アルツハイマー病ではAβペプチドが凝集してアミロイドとなって、脳内に沈着することが知られている。
Aβペプチドの中でも、42個のアミノ酸からなるペプチドであるAβ42ペプチドはアルツハイマー病の因子マーカーと言われている。
一方、Aβペプチドの凝集体である脳内老人斑を免疫組織学検査に付すると、43個のアミノ酸からなるペプチドであるAβ43ペプチドが脳内老人斑の中心に局在していることが最近の研究で明らかにされている(非特許文献1を参照)。
抗原Aβペプチドに反応するモノクローナル抗体はすでに知られており(例えば特許文献1を参照)、このようなモノクローナル抗体を含むAβペプチド検出キットがすでに市販されている。
特許第4738696号公報
Saito T,et al、"Potent amyloidogenicity and pathogenicity of Aβ43"、Nature Neurosci.、2011年、p.1023−1032
以上のように、Aβペプチドの中でもAβ42ペプチドとAβ43ペプチドは異なる機能を有することから、血液や髄液などの体液中に存在するAβペプチドを検出するにあたっては、Aβ42ペプチドとAβ43ペプチドを区別して検出できることが好ましいと考えられる。
しかしながら、本発明者らの検討によると、従来知られている抗原Aβペプチドに反応するモノクローナル抗体は、Aβ42ペプチドとAβ43ペプチドの双方に反応するものであった。このように、Aβ43ペプチドには反応せず、アルツハイマー病の因子マーカーであるAβ42ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体は従来知られていなかった。
本発明は、上記現状に鑑み、抗原Aβ43ペプチドには実質的に反応せず、抗原Aβ42ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体、及び、当該モノクローナル抗体を生産し得るハイブリドーマを提供することを目的とする。
本発明は、受託番号がNITE P−1463であるハイブリドーマに関する。
また、当該ハイブリドーマにより産生される、抗原Aβペプチドに対するモノクローナル抗体にも関する。
さらには、抗原Aβ42ペプチドに反応し、抗原Aβ43ペプチドに反応しないモノクローナル抗体にも関する。
配列番号8で表される重鎖相補性決定領域(CDR)、配列番号9で表される重鎖CDR、配列番号10で表される重鎖CDR、並びに、免疫グロブリン重鎖由来の重鎖フレームワーク配列から構成される重鎖可変領域と、
さらにまた、配列番号13で表される軽鎖CDR、配列番号14で表される軽鎖CDR、配列番号15で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来の軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域、又は、配列番号21で表される軽鎖CDR、配列番号22で表される軽鎖CDR、配列番号23で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来の軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域と、を含む、モノクローナル抗体にも関する。
さらにまた、配列番号13で表される軽鎖CDR、配列番号14で表される軽鎖CDR、配列番号15で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来のヒト化軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域、又は、配列番号21で表される軽鎖CDR、配列番号22で表される軽鎖CDR、配列番号23で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来のヒト化軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域と、を含む、ヒト化モノクローナル抗体にも関する。
また本発明は、上述したいずれかのモノクローナル抗体を含む、Aβ検出又は測定キットにも関する。
本発明により提供されるモノクローナル抗体は、Aβ43ペプチドには実質的に反応せず、Aβ42ペプチドに特異的に反応するので、アルツハイマー病の因子マーカーであるAβ42ペプチドを特異的に検出することができる。本発明のモノクローナル抗体を含むAβ検出キットは、従来の検出キットでは不可能であったAβ42ペプチドの特異的な検出が可能となるので、極めて有用性が高い。
本発明のモノクローナル抗体6C10H3と市販の抗Aβ抗体が示すAβ40ペプチドに対する反応性を示すグラフ 本発明のモノクローナル抗体6C10H3と市販の抗Aβ抗体が示すAβ42ペプチドに対する反応性を示すグラフ 本発明のモノクローナル抗体6C10H3と市販の抗Aβ抗体が示すAβ43ペプチドに対する反応性を示すグラフ 本発明のモノクローナル抗体6C10H3と別の市販の抗Aβ抗体が示すAβ42ペプチドに対する反応性を示すグラフ
本発明者らは、抗原Aβペプチドに反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを樹立する過程で、抗原Aβ43ペプチドには実質的に反応せず、抗原Aβ42ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体を産生する特異なハイブリドーマを樹立することに成功し、本発明を完成するに至った。
当該ハイブリドーマは、寄託機関に寄託され、受託番号はNITE P−1463である。当該ハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体は、抗原Aβ40ペプチド及び抗原Aβ43ペプチドに反応せず、抗原Aβ42ペプチドにのみ反応する。そのため、Aβの中でも、Aβ42ペプチドを特異的に検出することができるため、極めて有用である。また、当該ハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体は、市販の抗Aβ抗体と比較して、Aβ42ペプチドに対する反応性が高いという優れた特性を示す。
本発明のハイブリドーマの製造方法(免疫方法及び選択採取方法)は特に限定されない。抗原としてAβ42ペプチド又はその一部を使用して、ハイブリドーマの通常の製造方法により製造することができる。すなわち、抗原をラット等の免疫動物に注射し、それに対する抗体の産生に関するリンパ細胞を取り出し、これをミエローマと混合して細胞融合させ、これをHAT培地上で培養すればよい。
抗原としてAβ42ペプチドの一部を使用する場合には、特に、Aβ42ペプチドのC末端を含むアミノ酸配列を使用することが好ましい。Aβ40ペプチド(配列番号16)、Aβ42ペプチド(配列番号17)、及びAβ43ペプチド(配列番号18)はそれぞれC末端のアミノ酸配列が異なるため、Aβ42ペプチドのC末端を含むアミノ酸配列を使用することで、Aβ42ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを取得することが可能となる。後述する実施例では、Aβ42ペプチドのアミノ酸配列のうちC末端側の33位から42位のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を抗原ペプチドとして使用した。
本発明のハイブリドーマの製造を確認する手法としては、当該ハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体を、例えば一般的な標識タンパク質により標識した上で、Aβ42ペプチド、及びAβ43ペプチドそれぞれに対する反応性を測定すればよい。これと、従来公知の抗Aβ抗体が示す、Aβ42ペプチド、及びAβ43ペプチドそれぞれに対する反応性とを比較することで、Aβ42ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体を確認することができる。
本発明者が、本発明のモノクローナル抗体のアミノ酸配列を決定したところ、超可変領域である相補性決定領域(CDR)を同定することに成功した。モノクローナル抗体の重鎖の可変領域に含まれる3つのCDRは、配列番号8〜10で表されるアミノ酸配列を有する。これに対し、モノクローナル抗体の軽鎖の可変領域に含まれる3つのCDRは、配列番号13〜15で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号21〜23で表されるアミノ酸配列を有する。
配列番号8〜10で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDRを、免疫グロブリン重鎖由来の重鎖フレームワーク配列に組み込んで重鎖可変領域を構成し、かつ、配列番号13〜15で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号21〜23で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDRを、免疫グロブリン重鎖由来の軽鎖フレームワーク配列に組み込んで軽鎖可変領域を構成することで、抗体を作製することができる。このような抗体の作製方法については従来公知の方法を採用することができる。また、前記重鎖フレームワーク配列及び軽鎖フレームワーク配列としてヒト化重鎖フレームワーク配列及びヒト化軽鎖フレームワーク配列を適用することで、ヒト化抗体を作製することができる。
本発明はAβ検出又は測定キットにも関し、当該Aβ検出キットは、本発明のモノクローナル抗体を含む。本発明のAβ検出キットは、AβのうちAβ42ペプチドを特異的に検出又は測定することができる。本発明のAβ検出キットは、本発明のモノクローナル抗体以外に、洗浄液、2次抗体溶液、検出された測定値の濃度回帰に必要な検量線試薬等を含むことができる。また、発色反応によりAβペプチドを検出する系の場合、本発明のAβ検出キットは、さらに、発色液、発色停止液等を含むことができる。しかし、蛍光または発色によりAβペプチドを検出する系の場合、発色液、発色停止液を含む必要はない。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ハイブリドーマの取得
以下の手順により、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを取得した。
(1)抗原デザイン及びペプチド合成
抗原ペプチドとして、配列番号1で表されるアミノ酸配列のペプチドを合成した。このペプチドは、Aβ42ペプチドのアミノ酸配列のうちC末端側の33位から42位のアミノ酸配列に対して、そのN末端にCysを付加したものである。Cysの付加は、キャリアータンパク質とのコンジュゲーションのためである。
(2)ペプチドコンジュゲーション
以下の内容で、前記(1)で合成した抗原ペプチドとキャリアータンパク質のペプチドコンジュゲーションを行った。
・方法:MBS法
・キャリアータンパク質:KLH(免疫用)/BSA(ELISA用)
SDS−PAGEでのペプチド−BSA結合物のバンドシフトにより、ペプチドコンジュゲーションの完了を確認した。
(3)免疫
以下の内容で免疫を実施した。
・抗原調製:ペプチド−KLH結合物とフロイントコンプリートアジュバントを体積比1:2で混合し、エマルジョンを作製した。
・抗原量:約170μg(キャリアータンパク質換算)
・免疫動物:ラット(WKY/Izm) 10週齢 雌1匹
・免疫箇所:footpad/皮下注射
免疫後にラットの健康状態に問題がないことを確認した。
(4)細胞融合
以下の内容で細胞融合を実施した。目視にて腸骨リンパ節の腫れが十分であることを確認した。
・方法:PEG法
・リンパ球採取組織:腸骨リンパ節
・リンパ球数:1.0×10
・ミエローマ:SP2(マウス)
・ハイブリドーマの培養:96ウェルプレート8枚に細胞を播種し、HAT選択培地にて培養した。
また、スクリーニング前日には、培養中の全ウェルの培地を除き、新たなHAT選択培地を加えた。本作業は培養液中に含まれる死滅したリンパ球由来の抗体を除去する目的で行った。
(5)第一回ELISAスクリーニング
前記(4)により得られたハイブリドーマの培養上清を用い、以下に記載の実験条件にてELISAスクリーニングを実施し、Aβ42ペプチドに対しては反応性を示すが、Aβ40ペプチドに対しては反応性を示さないウェルを選抜した。
(実験条件)
・プレート:costar 2797
・抗原:ペプチド−BSA結合物/10mM リン酸Naバッファー(pH7.0)、濃度3μg/ml(キャリアタンパク質換算)、1ウェルあたり50μL、反応条件:4℃/一晩
・ブロッキング:1%BSA/PBS、1ウェルあたり100μL、反応条件:室温/30分
・1次抗体:培養上清/ブロッキング、希釈率20倍、1ウェルあたり50μL、反応条件:室温/60分
・2次抗体:a−RatIgG(HRP標識)/ブロッキング(SIGMA社製、A5795−1ML)、希釈率20000倍、1ウェルあたり50μL、反応条件:室温/30分
・発色:HRP/H/TMBZ 発色系
抗原である上記ペプチドとしては、Aβ42ペプチド及びAβ40ペプチドを使用した。なお、Aβ40ペプチドはネガティブコントロールである。
スクリーニングの結果、800ウェル中、12個の陽性ウェルが得られた。
(6)ハイブリドーマのクローニング
前記12個の陽性ウェルからハイブリドーマをクローニングし、下記試験を実施した。
・限界希釈による細胞の播種
・ELISAによる反応性のチェック(Aβ42ペプチドに対して反応性を示し、Aβ40ペプチドに対して反応性を示さないことを確認)
・ELISA陽性ウェルについて、顕微鏡観察によるシングルコロニー形成のチェック
以上の試験により、ELISA陽性シングルクローンのハイブリドーマを1つ得た。当該ハイブリドーマの名称を、6C10H3とした。
(7)ハイブリドーマの寄託
前記ハイブリドーマを凍結保存し、独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託した。受託番号はNITE P−1463であり、寄託日は2012年11月8日である。
(実施例2)モノクローナル抗体の特異性評価
(標識抗体の作製)
ハイブリドーマ6C10H3からモノクローナル抗体6C10H3を取得した。次いで、以下に示す手順でモノクローナル抗体6C10H3に対して標識を行い、標識抗体を得た。
同仁化学研究所製のPeroxidase Labeling Kit−SHのプロトコルに従って処理を実施した。すなわち、抗体200μgを含むサンプル溶液とキット付属のSolution A 100μLをキット付属のFiltration Tubuに加えた。ピペッティングにより軽く混合した後、8000×gで10分間遠心処理を行った。Solution A 100μLをキット付属のReducing Agentに加え、ピペッティングにより溶解した。この溶液100μLを、抗体が濃縮されているFiltration Tubeのメンブレン上に加え、ピペッティングにより抗体とよく混合した。37℃で30分間反応した後、キット付属のsolution B 100μLをFiltration Tubeに加え、8000×gで10分間遠心処理を行った。ろ液を捨てた後、solution B 200μLをFiltration Tubeに加え、8000×gで10分間遠心処理を行った。Reaction buffer 50μLをキット付属のSH−Reactive Peroxidaseに加え、ピペッティングにより溶解した。SH−Reactive Peroxidaseを含む溶液を、還元抗体が濃縮されているFiltration Tubeのメンブレン上に加えた。ピペッティングによりメンブレン上の抗体とよく混合した後、37℃で1時間反応させた。Solution A 100μLをFiltration Tubeに加えた。8000×gで10分間遠心処理を行った。キット付属のStorage Buffer 200μLを加えて、10回程度ピペッティングし、標識抗体として回収した。
(反応性の測定)
標識抗体を1000倍に希釈し、以下の手順でAβ40ペプチド、Aβ42ペプチド、及びAβ43ペプチドそれぞれに対する反応性を測定した。次いで、比較例として、市販のAβ検出キット(和光社製)に含まれるモノクローナル抗体を用いて、同様に、各ペプチドに対する反応性を測定した。
抗体(BNT77)固相化マイクロプレート(和光社製キット付属)の各ウェルに、Aβ40ペプチド、Aβ42ペプチド、Aβ43ペプチド(それぞれペプチド研究所製)を0、10、20、50、100、200、500、1000pMを添加し、37℃にて2時間反応させた(2セット準備した)。その後、洗浄処理を5回実施した。
その後、1セットには、HRP標識抗体(BC05)溶液(和光キット付属)を各ウェルに100μLずつ添加した.別の1セットには、HRP標識抗体(6C10H3)溶液を各ウェルに100μLずつ添加した。添加後、室温下にて、攪拌しながら、5分間反応させた。洗浄処理を5回実施した後、100μLのTMB溶液を加えて室温暗所で30分間反応させた。
100μLの停止液を加え、マイクロプレートリーダーで450nmと620nmの吸光度を測定した。
結果を図1〜図3に示す。
図1より、本発明のモノクローナル抗体6C10H3及び市販のモノクローナル抗体のいずれも、Aβ40ペプチドに対して反応性を示さないこと、図2より、双方の抗体ともにAβ42ペプチドに対して反応性を示すことが分かる。これらに対し、図3より、本発明のモノクローナル抗体6C10H3はAβ43ペプチドに対して反応性を示さないが、市販のモノクローナル抗体はAβ43ペプチドに対して反応性を示すことが分かる。
以上より、市販のモノクローナル抗体はAβ42ペプチドとAβ43ペプチドの双方に反応性を示し、両ペプチドを識別できないのに対し、本発明のモノクローナル抗体6C10H3はAβ42ペプチドに対して反応性を示すものの、Aβ43ペプチドに対しては反応性を示さないため、Aβ42ペプチドに特異的な反応性を有し、Aβ42ペプチドとAβ43ペプチドを識別できることが分かる。
(実施例3)モノクローナル抗体の認識能力評価
モノクローナル抗体6C10H3と、一般的に研究者の使用頻度の高い抗Aβ抗体である1F115抗体(IBL社製)を使用して、Aβ42ペプチドの認識能力を比較した。
(事前準備)
まず、ビオチン標識キット(SH標識、同仁堂社製)を使用し、4G8抗体のビオチン化を行った。
次いで、HRP標識キット(SH標識、同仁堂社製)を使用し、6C10H3抗体及び1F115抗体(IBL社製)のHRP標識を行った。
また、Aβ42ペプチド(Human,1−42、ペプチド研究所社製)を希釈し、濃度が0,5,10,20,50,100,200,又は500pMのAβ42ペプチド溶液を得た。
(評価方法)
まず、ビオチン化した4G8抗体をストレプトアビジン標識プレートに固定した。次に、N101(日油社)を使用し、ブロッキングを行った後、1×PBSでプレートを洗浄した。
次いで、調製したAβ42ペプチド溶液(0,5,10,20,50,100,200,500pM)を100μLずつ、プレートに添加し、室温で2時間、反応させた後、Aβ42ペプチド溶液をプレートから除去した。洗浄液を使用して、プレートの洗浄を各5回実施した。
各プレートに、同濃度のHRP標識抗体(6C10H3抗体及び1F115抗体)のいずれかを添加し、反応を行った。その後、洗浄液を使用して、プレートの洗浄を各5回実施した(各5回)。
次いで、HRP酵素用基質(SIGMA社製)を100μLずつ添加し、室温で30分間、反応させた。その後、停止液(KPL社製)を添加し、波長450nm−620nmでの発色測定を実施した。
図4では、2500倍に希釈したAβ42ペプチド溶液を用いた場合のHRP標識6C10H3抗体(黒色正方形)及びHRP標識1F115抗体(白色正方形)の発色値を示す。この図より、本発明の6C10H3抗体は、市販されている抗Aβ抗体である1F115抗体よりも、Aβ42ペプチドに対する反応性が優れていることが分かる。
(実施例4)モノクローナル抗体のCDR配列決定
以下の手順により本発明の6C10H3抗体の相補性決定領域(CDR)の配列を決定した。
(1)全RNA抽出手順
ハイブリドーマ6C10H3(約1×10細胞)を用い、次に示す手順をこの順で行って全RNAを回収した。
・ホモジナイズ工程:TRIzol Reagent(life technologies(Invitrogen)社製,No.15596−026)1mLをピペッティングで添加、室温で5分間処理。
・RNA抽出工程:クロロホルム0.2mLを添加、転倒混和、室温で3分間処理。その後、遠心分離(12000g,4℃,15分間)を行い、水層を回収。
・第一回洗浄工程:イソプロパノール0.5mLを添加、転倒混和、室温で10分間処理。その後、遠心分離(12000g,4℃,10分間)を行い、沈殿を回収(上清を吸引除去)。
・第2回洗浄工程:75%エタノール1mLを添加、転倒混和。その後、遠心分離(12000g,4℃,5分間)を行い、沈殿を回収(上清を吸引除去)し、風乾。
・調整工程:Rnase free water0.02mLを添加し、55℃で10分間処理。
(2)cDNA作製手順
前記(1)で回収した全RNAを用いて、以下の手順でcDNAを作製した。
・変性工程:全RNA5μgを20μLに希釈。その後、65℃で10分間処理した後、急冷。その後、GE Healthcare社製のFirst−Strand cDNA合成キットから、Bulk first−strand reaction mixを11μL、DTT溶液を1μL、プライマー(Not I d(T)18)を1μL添加。
・インキュベーション工程:37℃で1時間保持した。
(3)RT−PCR
前記(2)で得られたcDNAを用いてRT−PCRを行った。ここでは、重鎖プライマーとして、配列番号2及び3で表される配列のプライマーを、軽鎖プライマーとして、配列番号4及び5で表される配列のプライマーを使用した。
(4)切り出し
前記RT−PCRで増幅されたバンドを、QIAGEN社製のゲル抽出キットを用いて切り出した後、Promega社製のpGEM−T Easy Vector System Iを用いてTAクローニングを行った。
(5)配列決定
Life technologies(Invitrogen)社製のBigDye(登録商標)Terminator v3.1Cycle Sequencing Kitから、pGEM−T Easy Vectorに特異的なプライマーを用いて配列決定を行った。
結果、6C10H3抗体の重鎖は配列番号7で表されるアミノ酸配列からなり、そのうち、重鎖CDRは配列番号8〜10で表されるアミノ酸配列からなることが判明した。一方、6C10H3抗体の軽鎖は2つ確認された。軽鎖No.1は、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなり、そのうち、軽鎖CDRは配列番号13〜15で表されるアミノ酸配列からなること、及び軽鎖No.2は、配列番号20で表されるアミノ酸配列からなり、そのうち、軽鎖CDRは配列番号21〜23で表されるアミノ酸配列からなることが判明した。配列番号6は、6C10H3抗体の重鎖をコードする塩基配列、配列番号11は、6C10H3抗体の軽鎖No.1をコードする塩基配列、配列番号19は、6C10H3抗体の軽鎖No.2をコードする塩基配列である。
(実施例5)キメラ抗体の作製
以下の手順によりキメラ抗体(ヒト化抗体)を作製した。
(1)抗体遺伝子CDR領域増幅
Ab 6C10H3抗体遺伝子(重鎖および軽鎖)を組み込んだpGEM−Tベクターを鋳型とし、以下のプライマーを用いてPCR法によりCDR領域を増幅した。ここでは、重鎖プライマーとして、配列番号24及び25で表される配列のプライマーを、軽鎖No.1プライマーとして、配列番号26及び27で表される配列のプライマーを使用した。
(2)制限酵素処理
上記PCR産物を、下記制限酵素を用いて切断した。
重鎖:Afl II & Nhe I
軽鎖:EcoR V & BsiW I
(3)キメラ抗体発現用ベクターに組み込み
T4ライゲースを用いて、制限酵素処理した各PCR産物を、同じ制限酵素処理した下記ベクターに組み込んだ。なお、両ベクターともヒトIgG1遺伝子Fc領域がすでに組み込まれたものである。
重鎖:pCAGGSベクター
軽鎖:pCAGGSベクター
(4)配列確認
各ベクターに組み込んだMab 6C10H3由来CDR領域遺伝子配列をDNAシークエンサーにより確認した。
(5)キメラ抗体の発現
ヒト胎児腎細胞HEK293Tを宿主として用い、5mLスケールで培養を行った。培養は全て37℃、5%COの条件下で行った。まず、6cmディッシュ1枚にHEK293T細胞を10% FBS DMEM中で培養した。80〜90%コンフルエントになったところで、トランスフェクションを行った。トランスフェクションの際には事前に、0% FBS DMEM 293μlにプラスミド7.0μg(重鎖:3.5μg、軽鎖:3.5μg)を混ぜたものと、0% FBS DMEM 293μlに1mg/mlポリエチレンイミン溶液10.6μlを混ぜたものをそれぞれ用意した。この2つの溶液を混合し、20分間静置後、2% FBS DMEM 3.5mlに加え、これをトランスフェクション溶液とした。細胞を播種したディッシュから培地を除いた後、ディッシュにトランスフェクション溶液を全量注ぎ、16時間培養した。FBSを含む培地を除き、PBSで洗浄した後、0% FBS DMEMを5ml注ぎ、さらに3日間培養した。培養上清を回収し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)と、抗ヒトFc抗体及び抗ヒト軽鎖抗体を用いたウェスタンブロッティングとによって発現を確認した。
(6)キメラ抗体の反応性の確認
ELISA法を用いて、上記で得られたキメラ抗体がAβ42ペプチドを認識することを確認した。
本発明により提供されるモノクローナル抗体は、AD患者やADの可能性がある健常者から採取した検体を利用した体外でのAD診断を行うに際し、検体に含まれるAβペプチドの検出を可能とする。また、本発明により提供されるモノクローナル抗体は、ヒト化抗体とすることにより抗体医薬として使用できる可能性がある。

Claims (6)

  1. 受託番号がNITE P−1463であるハイブリドーマ。
  2. 受託番号がNITE P−1463であるハイブリドーマにより生産される、抗原Aβペプチドに対するモノクローナル抗体。
  3. 抗原Aβ42ペプチドに反応し、抗原Aβ43ペプチドに反応しないモノクローナル抗体。
  4. 配列番号8で表される重鎖相補性決定領域(CDR)、配列番号9で表される重鎖CDR、配列番号10で表される重鎖CDR、並びに、免疫グロブリン重鎖由来の重鎖フレームワーク配列から構成される重鎖可変領域と、
    配列番号13で表される軽鎖CDR、配列番号14で表される軽鎖CDR、配列番号15で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来の軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域、又は、配列番号21で表される軽鎖CDR、配列番号22で表される軽鎖CDR、配列番号23で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来の軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域と、を含む、モノクローナル抗体。
  5. 配列番号8で表される重鎖相補性決定領域(CDR)、配列番号9で表される重鎖CDR、配列番号10で表される重鎖CDR、並びに、免疫グロブリン重鎖由来のヒト化重鎖フレームワーク配列から構成される重鎖可変領域と、
    配列番号13で表される軽鎖CDR、配列番号14で表される軽鎖CDR、配列番号15で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来のヒト化軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域、又は、配列番号21で表される軽鎖CDR、配列番号22で表される軽鎖CDR、配列番号23で表される軽鎖CDR、並びに、免疫グロブリン軽鎖由来のヒト化軽鎖フレームワーク配列から構成される軽鎖可変領域と、を含む、ヒト化モノクローナル抗体。
  6. 請求項2〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を含む、Aβ検出又は測定キット。
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