JP2016103269A - 移動量推定装置、自律移動体、及び移動量の推定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一見地に係る移動量推定装置は、移動体の移動量を推定する装置である。移動量推定装置は、位置データ取得部と、第1移動量算出部と、位置データ移動部と、第2移動量算出部と、第3移動量算出部と、を備える。
位置データ取得部は、複数の位置データを取得する。複数の位置データは、所定の座標上に投影物体像を形成する。投影物体像は、移動体の周囲に存在する物体を所定の座標上に投影した像である。
第1投影物体像は、複数の第1位置データにより形成される投影物体像である。第2移動投影物体像は、複数の第2移動位置データにより形成される投影物体像である。複数の第2移動位置データは、複数の第1移動位置データを平行移動及び/又は回転移動して算出される。
上記の候補移動量を算出後に、第1移動量算出部は、候補移動量を算出するために用いたヒストグラムのヒストグラムデータ間隔よりも小さなヒストグラムデータ間隔を有する2つのヒストグラムのヒストグラムマッチングを実行して、候補移動量を補正して補正移動量を算出している。また、第1移動量算出部は、補正移動量を算出するためのヒストグラムマッチングの前に、当該ヒストグラムマッチングに用いる2つのヒストグラムのうちの1つを、上記にて算出した候補移動量だけシフトしている。これにより、ヒストグラムデータ間隔を小さくしてより精度よく補正移動量を算出しつつ、ヒストグラムマッチングのための計算量を少なくできる。
◎移動体の移動前及び移動後に、移動体の周囲に存在する物体を所定の座標上に投影した投影物体像を形成する複数の位置データを取得するステップ。
◎複数の第1位置データの所定の座標軸における座標値から生成される第1ヒストグラムと、複数の第2位置データの所定の座標軸における座標値から生成される第2ヒストグラムとが最も一致したときの、第2ヒストグラムの移動量を第1移動量として算出するステップ。
◎複数の第2位置データを第1移動量に対応する移動量だけ移動して複数の第1移動位置データを算出するステップ。
◎第1投影物体像と複数の第1移動位置データを平行移動及び/又は回転移動して算出される複数の第2移動位置データにより形成される第2移動投影物体像との間の距離と所定の閾値との比較に基づいて第1投影物体像と第2移動投影物体像とが一致するかどうかを判断し、第1投影物体像と第2移動投影物体像とが一致すると判断したときの複数の第2移動位置データを算出したときの複数の第1移動位置データの移動量を、第2移動量として算出するステップ。
◎第1移動量と第2移動量とを積算して、移動体の移動前後の移動量を算出するステップ。
◎複数の第1位置データから生成されヒストグラムデータ間隔が第1ヒストグラムデータ間隔である第3ヒストグラムを第1ヒストグラムとし、複数の第2位置データから生成されヒストグラムデータ間隔が第2ヒストグラムデータ間隔である第4ヒストグラムを第2ヒストグラムとして用いて、第1移動量の候補である候補移動量を算出するステップ。
◎複数の第1位置データから生成され第1ヒストグラムデータ間隔よりも小さな第3ヒストグラムデータ間隔を有する第5ヒストグラムを第1ヒストグラムとし、複数の第2位置データから生成した第2ヒストグラムデータ間隔よりも小さな第4ヒストグラムデータ間隔を有するヒストグラムを候補移動量だけシフトすることにより生成された第6ヒストグラムを第2ヒストグラムとして用いて算出される補正移動量を、第1移動量とするステップ。
これにより、第1移動量の算出精度を維持しつつ、より短時間に第1移動量を算出できる。
(1)自律移動体の全体構成
以下、本発明の自律移動体について説明する。まず、第1実施形態に係る自律移動体100の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、自律移動体の全体構成を示す図である。本実施形態の自律移動体100は、予め決められた所望の予定走行経路を自律的に走行する移動体である。
自律移動体100は、本体部1と、走行部2と、位置データ取得部3と、制御部5と、を主に備える。本体部1は、自律移動体100の本体を構成する。
なお、上記の物体の箇所が存在する自律移動体100からの方向を示す角度は、レーザレンジファインダである位置データ取得部3の走査角度範囲内の角度である。
位置データの座標変換を行う場合は、例えば、距離と角度の座標値である位置データを、二次元ならX−Y座標、三次元ならX−Y−Z座標上の位置データに変換できる。
なお、制御部5の詳細な構成、及び、制御部5における自律移動体100における移動量の算出方法や現在位置の推定方法などについては、後ほど説明する。
I.制御部の全体構成
次に、制御部5の全体構成について図2を用いて説明する。図2は、制御部の構成を示す図である。制御部5は、CPU(Central Processing Unit)と、ハードディスク装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、記憶媒体読み出し装置などにより構成される記憶装置と、信号変換を行うインターフェースなどと、を備えたマイコンシステムなどにより実現できる。また、以下に示す制御部5の各部の機能の一部又は全部は、プログラムとして実現されていてもよい。さらに、当該プログラムは、マイコンボードの記憶装置に記憶されていてもよい。又は、制御部5の各部の機能の一部又は全部は、カスタムICなどにより実現されていてもよい。
図1に示した走行部2のように、2つの車輪21a、21bのそれぞれを個別にモータ23a、23bにより回転させて走行する走行部を、「差動二輪型」の走行部と呼ぶこともある。
次に、第1実施形態の移動量算出部531の構成について、図3を用いて説明する。図3は、移動量算出部の構成を示す図である。移動量算出部531は、位置データ記憶部5311と、第1移動量算出部5312と、位置データ移動部5313と、第2移動量算出部5314と、第3移動量算出部5315と、を有している。
なお、これとは逆に、自律移動体100の移動前に取得した位置データを第2位置データとし、移動後に取得した位置データを第1位置データとしてもよい。
I.第1移動量の算出方法
次に、本実施形態の自律移動体100の動作について説明する。まず、第1移動量算出部5312における第1移動量の算出方法について、図4を用いて説明する。
第1移動量算出部5312は、角度θの関数である第1ヒストグラムH11(θ)及び第2ヒストグラムH21(θ)の相互相関関数から、自律移動体100の移動前後の姿勢角度差(回転運動の移動量)を算出する。
まだ相互相関関数の値を算出すべきa値が存在する場合(ステップS1003において「No」の場合)、a値を他の値に変更した(ステップS1004)後に、第1移動量の算出プロセスは、ステップS1002に戻り、相互相関関数の算出を継続する。
例えば、自律移動体100を原点OとしたX−Y座標上において、複数の第1位置データにより第1投影物体像が図5Bの(1)の実線にて示すように形成され、複数の第2位置データにより第2投影物体像が図5Bの(1)の点線にて示すように形成されていたとする。
次に、第2移動量算出部5314における第2移動量の算出方法について、図6を用いて説明する。第2移動量算出部5314における第2移動量の算出方法は、複数の第2移動位置データ(複数の第1移動位置データ)を、複数の第2移動位置データにより形成される投影物体像(第2移動投影物体像(図7))と第1投影物体像とが一致するまで、典型的には複数回移動させて移動量を算出する方法である。このような第2移動量の算出方法を、ICP(Iterative Closest Point)法と呼ぶこともある。
例えば、第2移動量算出部5314は、第1投影物体像と第2移動投影物体像との間の距離が所定の閾値以下となったときに、第1投影物体像と第2移動投影物体像とが一致すると判断する。
近い(一致度が高い)位置データであるため、第2移動量算出部5314は、第1位置データと第2位置データとを用いて算出するよりも高速に第2移動量を算出できる。
次に、本実施形態の自律移動体100の具体的な動作について、図8を用いて説明する。以下においては、自律移動体100が記憶部51などに記憶された予め決められた複数の目標点を通過しながら、最終的な目標点まで自律的に移動するときの動作について説明する。
自律移動体100が自律的な移動を開始すると、まず、自律移動体100の移動前及び移動後において、位置データ取得部3が複数の位置データを取得する(ステップS1)。そして、取得した複数の位置データ(第1位置データ、第2位置データ)が位置データ記憶部5311に記憶される。
第1移動量及び第2移動量を算出後、第3移動量算出部5315が、第1移動量と第2移動量とを積算して、自律移動体100の移動量を算出する(ステップS4)。
走行制御部57にて算出される制御指令は、例えば、現在位置から次の目標位置まで移動する間の時間と自律移動体100の速度(車輪21a、21bの回転速度、すなわち、モータ23a、23bの回転速度)との関係を表したデータとして算出される。
例えば、自律移動体100が全ての目標位置を通過していないと判断して、自律移動を継続すると判断した場合(ステップS7において「No」の場合)、自律移動のプロセスはステップS1に戻り、自律移動を継続する。
(1)第2実施形態の概略
上記の第1実施形態において、第1移動量算出部5312は、ヒストグラムデータ間隔が小さい2つのヒストグラムのヒストグラムマッチングを1度実行して、第1移動量を算出していた。この場合、ヒストグラムマッチングを実行するために膨大な計算量が必要となるため、第1移動量の算出に時間がかかっていた。
上記の問題を解決するため、第2実施形態に係る第1移動量算出部5312は、最初にヒストグラムデータ間隔の比較的大きなヒストグラムを用いたヒストグラムマッチングを実行して第1移動量の「候補」を算出する。その後、第1移動量算出部5312は、ヒストグラムデータ間隔を小さくしたヒストグラムを用いたヒストグラムマッチングを実行して、当該第1移動量の「候補」を補正して最終的な第1移動量を算出している。
以下、第2実施形態における第1移動量の算出方法を、図9を用いて説明する。図9は、第2実施形態における第1移動量の算出方法を示すフローチャートである。以下では、補正移動量(後述)の算出が複数回実行される場合を例にとって、第1移動量の算出方法を説明する。
以下の説明においては、角度θについて第1移動量を算出する場合を例にとって説明する。角度θについての位置データは、例えば、互いに隣接する複数の位置データにより形成される直線と、位置データを定義した所定の座標(例えば、X−Y座標)の1つの座標軸(例えば、X軸)とのなす角度θを、全ての位置データに対して算出することにより作成される。このようにして作成された角度θについての位置データは、位置データ記憶部5311に記憶される。
また、位置データ記憶部5311に記憶された角度θについての複数の第2位置データを用いて、当該複数の第2位置データにおいて出現する角度θと当該角度θの出現頻度とを関連付けて、第4ヒストグラムのための複数の第2ヒストグラムデータを生成する。
第1移動量算出部5312は、まず、角度θが−(q−(s−1)*r1)*mから−(q−s*r1)*m(s:整数)までの範囲内となっている第1位置データの個数を計数し、当該第1位置データの個数を、−(q−(s−1)*r1)*mから−(q−s*r1)*mまでの範囲内の角度が出現する出現頻度Fsとする。次に、第1移動量算出部5312は、当該出現頻度Fsと角度−(q−s*r1)*mとを関連付けて、s番目の第1ヒストグラムデータとする。
上記の第1ヒストグラムデータの算出を、sを1から1ずつ増加して(2*q)/r1となるまで繰り返すことにより、図10のような複数の第1ヒストグラムデータの集合体が生成される。図10は、複数のヒストグラムデータの集合体の一例を示す図である。
具体的には、例えば、複数の第1位置データにおいて所定の範囲内の座標値(X座標値、Y座標値)が出現する頻度と当該所定の範囲内のある1つの座標値とを関連付けて、座標値の出現頻度についての第3ヒストグラム(複数の第1ヒストグラムデータ)を生成できる。
次に、第3ヒストグラムH3(φ)(複数の第1ヒストグラムデータ)とシフト量bだけシフトした第4ヒストグラムH4(φ−b)(複数の新たな第2ヒストグラムデータ)との相互相関関数を算出する。具体的には、第3ヒストグラムH3(φ)とシフト量bだけシフトした第4ヒストグラムH4(φ−b)との積H3(φ)*H4(φ−b)をとりうるφの値(第1ヒストグラムデータの個数分又は第2ヒストグラムデータの個数分)だけ加算した値(H3(φ)*H4(φ−b)のφに対する定積分値であるとも言える)を、1つのシフト量bに対する相互相関関数として算出する。その後、当該相互相関関数は、当該1つのシフト量bと関連付けられて、記憶部51などに記憶される。
このように、1つのシフト量bに対する相互相関関数の算出に必要な計算量を減少することにより、シフト量bのとりうる範囲が広く多数の相互相関関数を算出する必要があっても、候補移動量φcの算出のために必要な全体の計算量を、最初からヒストグラムデータ間隔が小さいヒストグラムのヒストグラムマッチングにより第1移動量を算出する場合と比較して減少できる。
従って、候補移動量φcを算出後、第1移動量算出部5312は、候補移動量φcを、よりヒストグラムデータ間隔の小さいヒストグラムを用いたヒストグラムマッチングにより補正して、補正移動量を算出する。
また、位置データ記憶部5311に記憶されている角度θについての複数の第2位置データから、上記のヒストグラムデータ間隔M1(第2ヒストグラムデータ間隔)よりも小さなヒストグラムデータ間隔M2(第4ヒストグラムデータ間隔の一例)を有する第6ヒストグラムH6(φ)を生成する(ステップS23)。
また、上記のr2の絶対値をr1の絶対値よりも小さな値として、上記のステップS21にて説明したのと同様の方法により、位置データ記憶部5311に記憶されている角度θについての複数の第2位置データから、第6ヒストグラムH6(φ)のための複数の第4ヒストグラムデータを生成する。
具体的には、図11に示すフローチャートに示す処理の流れに従って、補正移動量を算出する。図11は、補正移動量の算出方法を示すフローチャートである。
具体的には、ステップS23にて生成した複数の第4ヒストグラムデータ中の各角度に候補移動量φcを加算して新たな複数の第4ヒストグラムデータを作成する。すなわち、s番目の第4ヒストグラムデータの角度−(q−s*r2)*mに候補移動量φcを加算して−(q−s*r2)*m+φcとし、s番目の第4ヒストグラムデータの出現頻度を元の出現頻度Fsのままとすることにより、候補移動量φcだけシフトしたあとの第6ヒストグラムH6(φ−φc)のための新たな複数の第4ヒストグラムデータを生成できる。
候補移動量φcだけシフトした後の新たな第6ヒストグラムH6(φ−φc)は、第5ヒストグラムH5(φ)からわずかにずれているだけであるので、ステップS2403においては、上記の第6ヒストグラムのシフト量cの変化量(2Δφ)を、候補移動量φcを算出する際の第4ヒストグラムのシフト量bの変化量(例えば、360°)よりも小さな値に設定する。
シフト量cが−Δφから+Δφまで変化するまで上記のステップS2402〜S2404を繰り返し実行することにより、第1移動量算出部5312は、−Δφから+Δφまでの範囲の各シフト量cと相互相関関数とが関連付けられた、相互相関関数の集合体を算出できる。
具体的には、まず、第1移動量算出部5312は、算出された相互相関関数の集合体のうち最大値の相互相関関数に関連付けられているシフト量cを、候補移動量φcを実際の第1移動量に近づけるための補正量(φdとする)とする。すなわち、補正量φdは、候補移動量φcだけシフトした新たな第6ヒストグラムH6(φ−φc)を第5ヒストグラムH5(φ)と一致させるようさらにシフトした時のシフト量であるといえる。
次に、第1移動量算出部5312は、候補移動量φcに上記の補正量φdを加えて、補正移動量をφc+φdと算出する。
ステップS24においては、ヒストグラムデータ間隔の小さなヒストグラムを用いることにより、1つのシフト量cに対する相互相関関数の計算量が、ステップS22における1つのシフト量bに対する相互相関関数の計算量よりも増加している。その一方で、ステップS24においては、候補移動量φcだけシフトした新たな第6ヒストグラムを用いてヒストグラムマッチングが実行されている。すなわち、ステップS24においては、シフト量cの変化範囲を小さくして、相互相関関数の算出数(算出回数)を減少している。これにより、1つのシフト量cに対する相互相関関数の計算量が増加しても、相互相関関数の算出数を減少して、全体として補正移動量の計算量を減少できる。
補正移動量の算出が所定回数実行されていないと判断した場合(ステップS25において「No」の場合)、第1移動量の算出プロセスはステップS23に戻り、第1移動量算出部5312は、上記のステップS23〜S24を所定回数だけ繰り返し実行する。
(i)複数の第1位置データからヒストグラムデータ間隔M1が1.0(例えば、m=0.1、r1=10)である第3ヒストグラム(複数の第1ヒストグラムデータ)を、複数の第2位置データからヒストグラムデータ間隔M1が1.0である第4ヒストグラム(複数の第2ヒストグラムデータ)を生成。
(ii)(i)にて生成された第3ヒストグラムと第4ヒストグラムとのマップマッチングにより、候補移動量φcを算出。
(iii)複数の第1位置データからヒストグラムデータ間隔M2が0.1(例えば、m=0.1、r2=1)である第5ヒストグラムを、複数の第2位置データからヒストグラムデータ間隔M2が0.1である第6ヒストグラムを生成。
(iv)(iii)にて生成された第5ヒストグラムと、(ii)にて算出された候補移動量φcだけシフトされた新たな第6ヒストグラムとのマップマッチングにより、補正量(補正移動量)を算出。本工程において算出された補正移動量を第1移動量とする。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
上記の第1実施形態における走行部2は、二輪差動型の走行部であった。しかし、これに限られず、オムニホイールなどの他の車輪を有する走行部を用いてもよい。また、走行部2は車輪21a、21bの回転により移動するものに限られず、車輪以外の他のアクチュエータの動きにより移動可能なものであってもよい。
上記の第1実施形態においては、移動量推定部53は、位置データ取得部3にて取得した位置データのみを用いて、自律移動体100の移動量を算出していた。しかし、これに限られず、移動量推定部53は、車輪21a、21bの回転量に基づいても、自律移動体100の移動量を算出可能であってもよい。
上記の第1実施形態においては、第2移動量算出部5314は、複数の位置データの全てを用いて第2移動量を算出していた。しかし、これに限られず、複数の位置データを用いて移動量を算出する際、複数の位置データを、予め決められた条件に基づいて決定されるいくつかのグループに分類し、各グループに含まれる位置データを用いて多段的に第2移動量の算出を行ってもよい。これにより、第2移動量を算出するために必要な計算量を減少できる。
上記の第1実施形態に係る自律移動体100の本体部1には、位置データ取得部3の位置データ検出可能領域に干渉するような部材は特に取り付けられていなかった。しかし、これに限られず、本体部1に、位置データ取得部3の位置データ検出可能領域に少なくとも一部が入るように、既知の形状の干渉部材を取り付けてもよい。
上記の第2実施形態において、補正量の算出に用いる第5ヒストグラム及び第6ヒストグラムのヒストグラムデータ間隔は、最小でも0.1であった。補正量の算出に用いるヒストグラムのヒストグラムデータ間隔は、候補移動量φcの算出に用いたヒストグラムのヒストグラムデータ間隔よりも小さいヒストグラムデータ間隔を有していればよいので、補正量の算出に用いるヒストグラムのヒストグラムデータ間隔の最小値は0.1に限られない。
例えば、補正量の算出に用いるヒストグラムのヒストグラムデータ間隔を0.05としてもよい。これにより、ヒストグラムデータ間隔が0.1であるヒストグラムを用いて1回のみのヒストグラムマッチングにより算出した第1移動量よりも実際の第1移動量により近い補正移動量(第1移動量)を、ヒストグラムデータ間隔が0.1であるヒストグラムを用いて1回のみのヒストグラムマッチングにより第1移動量を算出した場合と同程度の算出時間にて算出できる。
上記の第2実施形態において、複数の第1位置データから生成されるヒストグラムのヒストグラムデータ間隔と、複数の第2位置データから生成されるヒストグラムのヒストグラムデータ間隔は同一としていた。しかし、これに限られず、複数の第1位置データから生成されるヒストグラムの形状(プロファイル)と、複数の第2位置データから生成されるヒストグラムの形状(プロファイル)とが大きく異なってしまわない範囲で、これらのヒストグラムデータ間隔を異ならせてもよい。
上記の第2実施形態において、補正量を算出する際の第6ヒストグラムのシフト範囲(シフト量cの変化範囲)は、補正量の算出回数によらず一定としていた。補正量を算出する際の第6ヒストグラムのシフト範囲は、算出された候補移動量φc及び補正移動量と実際の第1移動量との間の予測されるずれの範囲内で決定できるので、上記に限られない。
例えば、補正量を算出する際の第6ヒストグラムのシフト範囲を、補正量の算出回数毎に減少してもよい。これにより、補正量の算出精度を維持しつつ、補正量の算出時間を短縮できる。
上記の第2実施形態において、候補移動量φcは、第3ヒストグラムH3(φ)と第4ヒストグラムH4(φ)との一致度が最も高いときの、第4ヒストグラムH4(φ)のシフト量としていた。すなわち、上記の第2実施形態において算出される候補移動量φcは、上記の2つのヒストグラムが最も一致する場合の第4ヒストグラムH4(φ)のシフト量1つのみであった。
候補移動量φcは、実際の第1移動量に近い移動量として算出されればよいので、候補移動量φcの数は1つに限られない。
例えば、2つのヒストグラムが最も一致する場合の第4ヒストグラムH4(φ)のシフト量に加えて、第3ヒストグラムH3(φ)と第4ヒストグラムH4(φ)との一致度が2番目に高いときの第4ヒストグラムH4(φ)のシフト量、3番目に高いときのシフト量、・・・など複数のシフト量を、複数の候補移動量として算出してもよい。
算出された複数の補正移動量のうちいずれを第1移動量とするかは、例えば、最終段階の補正移動量の算出において算出された複数の補正移動量のうち、第5ヒストグラムと第6ヒストグラムとの一致度が最も高くなった補正移動量を、第1移動量とできる。
上記の第2実施形態の第1移動量算出部5312は、第1実施形態の第2移動量算出部5314と第3移動量算出部5315と組み合わされていた。しかし、これに限られず、第2実施形態の第1移動量算出部5312は、移動量推定部53(移動量推定装置)などの移動量の推定を行う装置において、単独で備わっていてもよい。
または、上記の位置データを用いた移動量の推定を行う一般的な移動量推定装置に、第2実施形態において説明した第1移動量の算出方法を適用してもよい。
1 本体部
2 走行部
21a、21b 車輪
23a、23b モータ
3 位置データ取得部
31 前方データ取得部
33 後方データ取得部
5 制御部
51 記憶部
53 移動量推定部
531 移動量算出部
5311 位置データ記憶部
5312 第1移動量算出部
5313 位置データ移動部
5314 第2移動量算出部
5315 第3移動量算出部
55 位置推定部
57 走行制御部
7 操作部
71a、71b 操作ハンドル
8 補助輪部
8a、8b 補助車輪
9 取付部材
H11(θ) 第1ヒストグラム
H21(θ) 第2ヒストグラム
H3(φ) 第3ヒストグラム
H4(φ) 第4ヒストグラム
H5(φ) 第5ヒストグラム
H6(φ) 第6ヒストグラム
θ 角度
φ 変数
φc 候補移動量
φd、φdk 補正量
m 最小ヒストグラムデータ間隔
M1、M2 ヒストグラムデータ間隔
F1、F2、・・・、Fs 出現頻度
A、b、c シフト量
Claims (11)
- 移動体の移動量を推定する移動量推定装置であって、
前記移動体の周囲に存在する物体を所定の座標上に投影した投影物体像を形成する複数の位置データを取得する位置データ取得部と、
前記移動体の移動前又は移動後の一方において取得した複数の第1位置データの所定の座標軸における座標値から生成される第1ヒストグラムと、前記移動前又は前記移動後の他方において取得した複数の第2位置データの前記所定の座標軸における座標値から生成される第2ヒストグラムとが最も一致したときの前記第2ヒストグラムの移動量を、第1移動量として算出する第1移動量算出部と、
前記複数の第2位置データを前記第1移動量に対応する移動量だけ移動して複数の第1移動位置データを算出する位置データ移動部と、
前記複数の第1位置データにより形成される第1投影物体像と前記複数の第1移動位置データを平行移動及び/又は回転移動して算出される複数の第2移動位置データにより形成される第2移動投影物体像との間の距離と所定の閾値との比較に基づいて、前記第1投影物体像と前記第2移動投影物体像とが一致するかどうかを判断し、前記第1投影物体像と前記第2移動投影物体像とが一致すると判断したときの前記複数の第2移動位置データを算出したときの前記複数の第1移動位置データの移動量を、第2移動量として算出する第2移動量算出部と、
前記第1移動量と前記第2移動量とを積算して、前記移動体の移動前後の移動量を算出する第3移動量算出部と、
を備える移動量推定装置。 - 前記第1移動量算出部は、前記移動前の姿勢角と前記移動後の姿勢角との姿勢角度差を前記第1移動量として算出する、請求項1に記載の移動量推定装置。
- 前記第2移動量算出部は、前記複数の第2移動位置データの前記複数の第1移動位置データからの平行移動の移動量を前記第2移動量として算出する、請求項1又は2に記載の移動量推定装置。
- 前記第2移動量算出部は、前記複数の第2移動位置データの前記複数の第1移動位置データからの平行移動の移動量及び回転移動の移動量を前記第2移動量として算出する、請求項1〜3のいずれかに記載の移動量推定装置。
- 前記第1移動量算出部は、前記複数の第1位置データから生成されヒストグラムデータ間隔が第1ヒストグラムデータ間隔である第3ヒストグラムを前記第1ヒストグラムとし、前記複数の第2位置データから生成されヒストグラムデータ間隔が第2ヒストグラムデータ間隔である第4ヒストグラムを前記第2ヒストグラムとして用いて、前記第1移動量の候補である候補移動量を算出し、
その後、前記複数の第1位置データから生成され前記第1ヒストグラムデータ間隔よりも小さな第3ヒストグラムデータ間隔を有する第5ヒストグラムを前記第1ヒストグラムとし、前記複数の第2位置データから生成した前記第2ヒストグラムデータ間隔よりも小さな第4ヒストグラムデータ間隔を有するヒストグラムを前記候補移動量だけシフトすることにより生成された第6ヒストグラムを前記第2ヒストグラムとして用いて算出された補正移動量を前記第1移動量とする、
請求項1〜4のいずれかに記載の移動量推定装置。 - 前記補正移動量は、前記第5ヒストグラムと前記第6ヒストグラムとが最も一致したときの前記第6ヒストグラムのシフト量である補正量を前記候補移動量に加えることにより算出される、
請求項5に記載の移動量推定装置。 - 前記第1移動量算出部は前記補正量の算出を複数回実行し、
前記補正移動量は、前記候補移動量に複数の前記補正量を加算することにより算出される、請求項6に記載の移動量推定装置。 - 前記補正量の算出を複数回実行する場合、前記第1移動量算出部は、今回の前記補正量の算出における前記第3ヒストグラムデータ間隔及び前記第4ヒストグラムデータ間隔を、それぞれ、前回の前記補正量の算出における前記第3ヒストグラムデータ間隔及び前記第4ヒストグラムデータ間隔よりも小さくする、請求項7に記載の移動量推定装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の移動量推定装置と、
走行部と、
前記移動量推定装置において推定される移動量に基づいて現在位置を推定する位置推定部と、
前記現在位置から所定の目標位置まで走行するよう前記走行部を制御する走行制御部と、
を備える自律移動体。 - 移動体の移動量の推定方法であって、
前記移動体の移動前及び移動後に、前記移動体の周囲に存在する物体を所定の座標上に投影した投影物体像を形成する複数の位置データを取得するステップと、
前記移動前又は前記移動後の一方において取得した複数の第1位置データの所定の座標軸における座標値から生成される第1ヒストグラムと、前記移動前又は前記移動後の他方において取得した複数の第2位置データの前記所定の座標軸における座標値から生成される第2ヒストグラムとが最も一致したときの前記第2ヒストグラムの移動量を第1移動量として算出するステップと、
前記複数の第2位置データを前記第1移動量に対応する移動量だけ移動して複数の第1移動位置データを算出するステップと、
前記複数の第1位置データにより形成される第1投影物体像と前記複数の第1移動位置データを平行移動及び/又は回転移動して算出される複数の第2移動位置データにより形成される第2移動投影物体像との間の距離と所定の閾値との比較に基づいて、前記第1投影物体像と前記第2移動投影物体像とが一致するかどうかを判断し、前記第1投影物体像と前記第2移動投影物体像とが一致すると判断したときの前記複数の第2移動位置データを算出したときの前記複数の第1移動位置データの移動量を、第2移動量として算出するステップと、
前記第1移動量と前記第2移動量とを積算して、前記移動体の移動前後の移動量を算出するステップと、
を含む移動量の推定方法。 - 前記第1移動量を算出ステップは、
前記複数の第1位置データから生成されヒストグラムデータ間隔が第1ヒストグラムデータ間隔である第3ヒストグラムを前記第1ヒストグラムとし、前記複数の第2位置データから生成されヒストグラムデータ間隔が第2ヒストグラムデータ間隔である第4ヒストグラムを前記第2ヒストグラムとして用いて、前記第1移動量の候補である候補移動量を算出するステップと、
前記複数の第1位置データから生成され前記第1ヒストグラムデータ間隔よりも小さな第3ヒストグラムデータ間隔を有する第5ヒストグラムを前記第1ヒストグラムとし、前記複数の第2位置データから生成した前記第2ヒストグラムデータ間隔よりも小さな第4ヒストグラムデータ間隔を有するヒストグラムを前記候補移動量だけシフトすることにより生成された第6ヒストグラムを前記第2ヒストグラムとして用いて算出される補正移動量を、前記第1移動量とするステップと、
を含む、請求項10に記載の移動量の推定方法。
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