JP2016102595A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気調和装置がユーザによる運転開始指令を受信してから空調運転を始動させるまでの時間を短縮し、ユーザの不快感を低減させる空気調和装置を提供する。
【解決手段】圧縮機20が停止してから暖房又は冷房運転開始の指令を受けるまでの運転準備期間の中で膨張弁27の初期化を完了させておくので、空気調和装置1がユーザによる運転開始指令を受信してから圧縮機20を運転開始させ、空調運転を開始するまでの時間が従来に比べ短くなる。その結果暖房又は冷房運転の立ち上がりを早くしたいユーザの不快感を低減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は空気調和装置に係り、特に、空気調和装置の減圧手段である膨張弁の初期化に関するものである。
空気調和装置の冷媒回路は、室内機に設けられた室内熱交換器と、室外機に設けられた圧縮機、室外熱交換器、冷媒の流路を切り替える四方弁と、凝縮した冷媒を減圧する膨張弁を有する。圧縮機、四方弁、膨張弁は制御部に接続され、各種運転状況に応じて制御される。
圧縮機は、停止状態から室内機からの運転指令を受けて起動し、圧縮機から吐出された冷媒は四方弁を通り、冷房時は室外熱交換器で凝縮し、膨張弁を通過することで減圧し、室内熱交換器で蒸発して圧縮機に戻る。暖房時は四方弁にて冷媒流れを冷房時と反転させ、室内熱交換器で凝縮し、膨張弁で減圧し、室外熱交換器で蒸発して圧縮機に戻る。
膨張弁は、弁開度を変化させることで減圧度、冷媒循環量を調整することができる。膨張弁の弁開度は、圧縮機回転数、吐出温度、過冷却度等に基づいて、凝縮温度及び蒸発温度が適切な値となるように制御される。一方、膨張弁の開閉動作が繰り返されると、制御誤差などの原因によって、制御部で決定される目標開度に対し、膨張弁の実際の開度にずれが生じる。このため制御部では、目標開度と膨張弁の実際の開度との間のずれが累積して拡大するのを防止するために、空気調和装置の運転開始時に必ず膨張弁の初期化が行われるようにしている。
膨張弁の初期化は、膨張弁の開度を全閉状態又は全開状態に制御することで、開度の基点出しを行い目標開度と実際の開度のずれを矯正している。
従来、膨張弁の初期化は空気調和装置が運転開始指令を受信した後に行われ、膨張弁の初期化が完了してから圧縮機の運転が開始されるため、ユーザによる運転開始指令を受信してから空調運転を始動させるまでに時間が掛かっていた。また、室内機を複数台備えた多室型の空気調和装置の場合だと、室内機の台数と同数の膨張弁が備えられており、全ての膨張弁を一つずつ初期化してから圧縮機の運転を開始させることになるため、空調運転を始動させるまでの時間が更に長くなってしまい、ユーザに不快感を与えてしまうという問題があった。
特許文献1は、この問題を解決するために、多室型の空気調和装置において、運転指令があった室内機に対応する膨張弁の初期化を待ってから圧縮機を起動させる手法が開示されている。これによれば、全ての膨張弁を初期化するより早く空調運転を始動させることができる。しかし、上記した技術では、同時に多くの室内機に運転指令があった場合は時間の短縮ができない。また、空気調和装置が運転開始指令を受信した後に膨張弁の初期化を行うので、運転開始指令を受信してから空調運転を始動させるまでに少なくとも一つの膨張弁の初期化を待ってから圧縮機の運転を開始させることになる。その結果、空気調和装置がユーザによる運転開始指令を受信してから空調運転を始動させるまでに時間が掛かってしまう。
特開2011−196649号公報
本願発明は、空気調和装置がユーザによる運転開始指令を受信してから空調運転を始動させるまでの時間を短縮し、ユーザの不快感を低減させる空気調和装置を提供することを目的としている。
本発明の空気調和装置は、圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、前記圧縮機と前記膨張弁の制御を行う制御部を有する空気調和装置において、前記制御部が前記空気調和装置の運転停止指令を受けてから運転開始指令を受けるまでの期間を運転準備期間とし、前記制御部は、前記運転準備期間中は前記圧縮機を停止状態とし、前記運転準備期間中に前記膨張弁の開度を初期化することを特徴としている。
また、好ましくは、請求項1に記載の空気調和装置において、前記制御部は、前記運転準備期間中であって、前記圧縮機が停止した後冷媒回路内の圧力差が無くなり均圧が完了するために必要な第1の所定時間が経過したら前記膨張弁の開度を初期化する。
また、好ましくは、請求項1または2に記載の空気調和装置において、前記制御部は、前記運転準備期間中であって、前記第1の所定時間が経過して前記膨張弁の開度を初期化した後運転開始時に必要な初期開度となるように更新する時間(前回初期化からこの時間が経過していたら外気温度が大幅に変化していると判断できる時間)である第2の所定時間を経過したら前記膨張弁の開度を初期化する。
また、好ましくは、請求項1に記載の空気調和装置において、前記制御部は、前記空気調和装置の入りタイマが設定された場合、前記入りタイマによって設定された予約設定時刻に前記圧縮機の運転が開始されるように、予約設定時刻より全ての前記膨張弁を初期化するのに必要な時間だけ前に前記膨張弁の開度の初期化を開始する。
本発明によれば、空気調和装置がユーザによる運転開始指令を受信する前に膨張弁の初期化を完了させることができるので、空調運転を始動させるまでの時間を短縮し、ユーザの不快感を低減させることができる。
本実施形態の空気調和装置の冷凍サイクル全体を示す概略図である。 (A)従来の空気調和装置における膨張弁の初期化の時期を示す図である。(B)本実施形態の空気調和装置における膨張弁の初期化の時期を示す図である。(C)本実施形態の空気調和装置における膨張弁の初期化の反復動作の時期を示す図である。 第1実施形態の空気調和装置の制御方法を示すフローチャートである。 第2実施形態の空気調和装置の制御方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)に示すように、本実施例における空気調和装置1は、屋外に設置される室外機2と、室外機2に液管4およびガス管5で接続された室内機3とを備えている。詳細には、液管4は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が室内機3の液管接続部34に接続されている。また、ガス管5は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が室内機3のガス管接続部35に接続されている。以上により、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機20と、四方弁22と、室外熱交換器23と、液管4の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管5の一端が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ21と、室外ファン24とを備えている。そして、室外ファン24を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路10aを構成している。
圧縮機20は、図示しないインバータにより回転数が制御されるモータ201によって駆動されることで、運転能力を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機20の冷媒吐出側は、四方弁22のポートaに吐出管61で接続されており、また、圧縮機20の冷媒吸入側は、アキュムレータ21の冷媒流出側に吸入管66で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機20の冷媒吐出側に吐出管61で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管62で接続されている。ポートcは、アキュムレータ21の冷媒流入側と冷媒配管65で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管64で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気とを熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbに冷媒配管62で接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管63で閉鎖弁25に接続されている。
膨張弁27は、室外機液管63に設けられた電子膨張弁である。膨張弁27は冷媒回路10内の冷媒循環量を調節するために制御される。冷媒循環量を調節することで冷房・暖房能力を調整し、且つ、圧縮機20の適正な冷媒吸入状態を保っている。これによって、蒸発器(暖房時は室外熱交換器23、冷房時は室内熱交換器31)の熱交換効率及び圧縮機20の信頼性を向上させることができる。
室外ファン24は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン24は、図示しないファンモータによって回転することで図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
アキュムレータ21は、上述したように、冷媒流入側が四方弁22のポートcと冷媒配管65で接続され、冷媒流出側が圧縮機20の冷媒吸入側と吸入管66で接続されている。アキュムレータ21は、冷媒配管65からアキュムレータ21内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離してガス冷媒のみを圧縮機20に吸入させる。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管61には、圧縮機20から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ73が設けられている。
室外熱交換器23には、室外熱交換器23から流出、または、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度を検知するための室外熱交換器温度センサ75が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ76が備えられている。
また、室外機2には、室外機制御部100が備えられている。室外機制御部100は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御部100は、CPU110と、記憶部120と、通信部130と、検出値入力部140と、膨張弁制御部150と、計時部160を備えている。
記憶部120は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機20や室外ファン24の制御状態等を記憶している。通信部130は、室内機3との通信を行うためのインターフェイスである。検出値入力部140は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU110に出力する。膨張弁制御部150は、膨張弁27に対して運転状況に応じた開度となるように制御を行う。計時部160は、タイマt0と、タイマt1を有し後述する本実施形態の制御に用いられる。
CPU110は、前述した室外機2の各種センサでの検出結果を検出値入力部140を介して取り込む。また、CPU110は、室内機3から送信される制御信号を通信部130を介して取り込む。また、CPU110は、取り込んだ制御信号に基づいて、圧縮機20や室外ファン24、膨張弁27の制御を行う。さらには、CPU110は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り換え制御を行う。
次に、図1(A)を用いて、室内機3について説明する。室内機3は、室内熱交換器31と、液管4の他端が接続された液管接続部34と、ガス管5の他端が接続されたガス管接続部35と、室内ファン33とを備えている。そして、室内ファン33を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路10bを構成している。
室内熱交換器31は、冷媒と後述する室内ファン33により図示しない吸込口から室内機3の内部に取り込まれた室内空気とを熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部34に室内機液管68で接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部35に室内機ガス管69で接続されている。室内熱交換器31は、室内機3が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機3が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部34やガス管接続部35では、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
室内ファン33は樹脂材で形成されており、室内熱交換器31の近傍に配置されている。室内ファン33は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機3の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器31において冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ吹き出す。
以上説明した構成の他に、室内機3には各種のセンサが設けられている。室内熱交換器31には、室内熱交換器31を通過する冷媒の温度を検出する室内熱交換器温度センサ78が設けられている。そして、室内機3には室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室内温度センサ79が備えられている。室内温度センサ79の取付位置は、室内機3内部に備える室内熱交換器31や制御基板(後述する室内機制御部200)等の発熱部品から離して配置することが好ましい。また、室内機3に取付ける替わりに図示しないリモコンに取付けてもよい。
また、室内機3には、室内機制御部200が備えられている。室内機制御部200は、室内機3の図示しない電装品箱に格納される制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室内機制御部200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、検出値入力部240と、室内ファン制御部250とを備えている。
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室内機3の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン33の制御状態等を記憶している。通信部230は、室外機2との通信を行うためのインターフェイスである。検出値入力部240は、室内機3の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。室内ファン制御部250は、室内ファン33に対してユーザに要求された能力を発揮するために必要な回転数で運転するように制御を行う他、後述する冷風防止制御を行う。
CPU210は、前述した室内機3の各種センサでの検出結果を検出値入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室外機2から送信される制御信号を通信部230を介して取り込む。また、CPU210は、取り込んだ制御信号に基づいて、室内ファン33の駆動制御を行う。
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、室内機3が暖房運転を行う場合について説明し、冷房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、図1(A)における矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示している。
図1(A)に示すように、室内機3が暖房運転を行う場合、室外機制御部100は、四方弁22を実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するよう、また、ポートbとポートcとが連通するよう、切り換える。これにより、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに、室内熱交換器31が凝縮器として機能する。
圧縮機20から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管64を流れて閉鎖弁26を介してガス管5に流入する。ガス管5を流れた冷媒はガス管接続部35を介して室内機3の室内機ガス管69に流入する。室内機ガス管69を流れる冷媒は、室内熱交換器31に流入し、室内ファン33の回転により室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行い加熱された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器31から流出した冷媒は室内機液管68を流れ、液管接続部34を介して液管4に流入する。
液管4を流れて閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機液管63に設けられた膨張弁27に流入する。膨張弁27を通過した冷媒は、減圧されて低圧の冷媒となる。膨張弁27を通過した冷媒はその後、室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から流出した冷媒は、順に冷媒配管62、四方弁22、冷媒配管65、アキュムレータ21、吸入管66を流れ、圧縮機20に吸入されて再び圧縮される。以上説明したように冷媒回路10を冷媒が循環することで、空気調和装置1の暖房運転が行われる。
なお、室内機3が冷房運転を行う場合、室外機制御部100は、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、また、ポートcとポートdとが連通するよう、切り換える。これにより、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに、室内熱交換器31が蒸発器として機能する。
次に、空気調和装置1の暖房又は冷房運転開始時の従来の制御方法について図2(A)を用いて詳細に説明する。
図2において、図中の左から右へ延びる矢印は時間軸を示し、実線部分が圧縮機20の運転中、破線部分が圧縮機20の停止中をそれぞれ示しているものとする。
図2(A)に示すように、従来の制御方法だと、圧縮機20の停止中にユーザのリモコン操作等によって暖房又は冷房運転開始の指令を受けたら、膨張弁27の初期化を行い、膨張弁27の初期化が完了したら圧縮機20を起動させている。そのため、空気調和装置1がユーザによる運転開始指令を受信してから圧縮機20を運転開始させ、空調運転を開始するまでに待機時間が存在し、暖房又は冷房運転の立ち上がりを早くしたいユーザに不快感を与えていた。
また、本実施例の空気調和装置1は一つの室外機2に一つの室内機3が接続されたシングルタイプの空気調和装置だが、一つの室外機に複数の室内機が接続された多室型、いわゆるマルチタイプの空気調和装置だと、接続される室内機の台数分だけ膨張弁が設けられている。この場合、1個ずつ全ての膨張弁の初期化を行うので、空気調和装置1がユーザによる運転開始指令を受信してから圧縮機を運転開始させ、空調運転を開始するまでの待機時間が大きくなる。
続いて、本実施形態の空気調和装置1の暖房又は冷房運転開始時の制御方法について図2(B)、(C)及び図3を用いて詳細に説明する。
図2(B)に示すように、本実施形態の制御方法だと、圧縮機20が停止してから暖房又は冷房運転開始の指令を受けるまでの運転準備期間の中で膨張弁27の初期化を完了させておくので、空気調和装置1がユーザによる運転開始指令を受信してから圧縮機20を運転開始させ、空調運転を開始するまでの時間が従来に比べ短くなる。その結果暖房又は冷房運転の立ち上がりを早くしたいユーザの不快感を低減できる。
図3は、空気調和装置1の運転停止から運転開始までの制御を示すフローチャートである。STの後の数字はステップの番号を表す。
この制御は、ユーザのリモコン操作等による運転停止指令を空気調和装置1が受信して圧縮機20の運転が停止したことによって開始される。まず、ステップST101で計時部160のタイマt0をスタートさせ、ステップST102でタイマt0が第1の所定時間t0s(例えば3分)を計時したか否かを判定する。タイマt0が3分以上となった場合(ST102−Yes)、ステップST103へ移行して膨張弁27を初期化する。この動作を示したものが図2(B)である。
膨張弁27の初期化は、膨張弁の開度を、一旦、全閉位置、全開位置あるいはこれらの位置付近に設定された基準位置に戻し、その後、運転開始時に必要な予め定められた開度となるように制御されることで行われる。初期化時に、膨張弁27の開度が任意の開度にあっても、最大パルス数以上のパルスを減算あるいは加算することにより、膨張弁27の開度が必ず基準位置(全閉位置あるいは全開位置)となるので、膨張弁27の開閉を繰り返すうちに生じていた室外機制御部100で認識している累積パルス数と膨張弁27の実際の開度との間に生じた誤差を確実にリセットでき、運転開始の準備を行うことができる。
また、圧縮機20の停止直後は冷媒回路10内の圧縮機20の吐出側と吸入側の冷媒の圧力差が大きい状態であるため、すぐに膨張弁27の初期化を行うと膨張弁27を介して冷媒圧力の高い吐出側から冷媒圧力の低い吸入側へ冷媒が急激に流れ込むため、膨張弁27から冷媒流動音が発生する。そのため、冷媒回路10内の圧力差が無くなり均圧が完了するために必要な第1の所定時間t0sの経過を待ってから膨張弁27の初期化を行うようにしている。なお、この第1の所定時間t0sは試験結果等に基づいて予め定められたものである。
その後、ステップST104で計時部160のタイマt1をスタートさせ、ステップST105で図4に示す判定フロー(A)へ移行する。判定フロー(A)では、ステップST201で後述するONタイマの設定がされているか否かの判定を行うが、ここではONタイマの設定が無い場合(ST201−No)について説明する。ステップST201においてNo判定だった場合、判定フロー(A)を終了し、ステップST106でタイマt1が第2の所定時間t1s(例えば12時間)を計時したか否かを判定する。タイマt1が12時間未満である場合(ST106−Yes)、ステップST107へ移行し、タイマt1が12時間以上だった場合(ST106−No)、ステップST103に戻り再び膨張弁27の初期化を行い、ステップST104でタイマt1を再度スタートさせる。
ステップST107では、ユーザのリモコン操作等によって運転開始の指令を受けたか否かを判定する。運転開始の指令があった場合(ST107−Yes)、ステップST108へ移行し、圧縮機20を起動させて空調運転を開始する。運転開始の指令が無い場合(ST107−No)、ステップST105へ戻り判定フロー(A)を実行する。したがって、運転開始の指令が無い場合は、ステップST106においてタイマt1が第2の所定時間t1s(例えば12時間)を計時した(ST106−Yes)と判定されるまではステップST105〜107を繰り返す。ステップST106においてタイマt1が第2の所定時間t1s(例えば12時間)を計時した(ST106−Yes)と判定されたら、ステップST103に戻り膨張弁27の初期化を行い、ステップST104でタイマt1を再度スタートさせ、その後、ステップST106でYes判定となるまでステップST105〜107を繰り返す。この動作を示したものが図2(C)である。ステップST104で実行される膨張弁27の初期化動作は、最終的に運転開始時に必要な予め定められた開度(いわゆる初期開度)となるように制御されることで行われる。この時の運転開始時に必要な予め定められた開度とは室外機2に設けられた外気温度センサ76に応じて異なる。そのため、第2の所定時間t1sおきに初期開度の更新を行っている。第2の所定時間は、前回の膨張弁27の初期化からこの時間が経過していたら外気温度が大幅に変化していると判断できる時間であり、例えば、一般的に外気温度差が大きい昼と夜に初期化が行われるように12時間としている。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1は、圧縮機20が停止してから暖房又は冷房運転開始の指令を受けるまでの運転準備期間の中で膨張弁27の初期化を完了させておくので、空気調和装置1がユーザによる運転開始指令を受信してから圧縮機20を運転開始させ、空調運転を開始するまでの待機時間が従来に比べ短くなる。その結果暖房又は冷房運転の立ち上がりを早くし、ユーザの不快感を低減できる。
なお、ブレーカーが落ちる等により主電源がオフとなった状態から電源を再投入された場合は先ず膨張弁27の初期化を行うものとする。図3のフローチャートを用いて説明すると、ステップST103から制御を開始する。
続いて、実施例1の制御に係る図3のフローチャートにおいて、ステップST106で実行される判定フロー(A)に関する第2の実施形態について図4を用いて詳細に説明する。
図4は、本実施形態の空気調和装置1の運転停止から運転開始までの制御を示す図3のフローチャートにおけるステップST106の判定フロー(A)を示すフローチャートである。
本実施形態は、ユーザのリモコン操作等によって空気調和装置1のONタイマ(入りタイマ)の設定が行われた際に予約設定時刻にすぐに圧縮機20を起動できる状態にすることを目的としている。なお、本実施形態におけるONタイマは、入力をしてから何時間後に空気調和装置1の運転を開始させるかを設定可能なものでもよいし、運転開始時刻を指定するようなONタイマであってもよい。
図4に示すように、まずステップST201でONタイマの設定がされているか否かを判定する。ONタイマの設定がされている場合(ST201−Yes)、ステップST202へ移行し、
ONタイマ設定によってユーザが設定した予約設定時刻を記憶部220(若しくは記憶部120)から呼び出す。その後、CPU210(若しくはCPU110)は記憶部220(若しくは記憶部120)に格納された制御プログラムに従い所定時刻tsを算出する(ステップST203)。所定時刻tsは、入りタイマによって設定された予約設定時刻に圧縮機20の運転が開始するため、膨張弁27の初期化を始めるように定めた時刻でありに、予約設定時刻より時間から全ての膨張弁27を初期化するのに必要な時間だけ前の時刻である。具体的には、ONタイマ設定により設定された予約設定時刻をtr(例えば10時間後)、一つの膨張弁の初期化に必要な時間をti(例えば20秒)、室内機接続台数をn(例えば6台)とした場合、以下のように算出する。なお、tiは試験結果等に基づいて予め定められたものである。
ts=tr−ti*n=9時間58分後
現在時刻が所定時刻tsである場合(ST204−Yes)、ステップST205へ移行する。現在時刻がの所定時刻tsではない場合(ST204−No)、判定フロー(A)を終了して図3のステップST106へ移行する。
ステップST205では、タイマt1が第3の所定時間t1s2を計時したか否かを判定する。タイマt1が第3の所定時間t1s2以上である場合(ST205−Yes)、ステップST206へ移行し、膨張弁27の初期化を行う。この時、ステップST104で行った膨張弁27の初期化からあまり時間が経過していない場合には膨張弁27の初期開度を更新する必要がないため、タイマt1が第2の所定時間t1sよりも短い第3の所定時間t1s2(例えば6時間)に満たなければそのまま図3のステップST109へ移行して圧縮機20を起動させ、空調運転を開始するようにしている。本実施形態によれば、ONタイマで設定された予約設定時刻の直前の外気温度に基づいて初期開度の設定を行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
例えば、図1に示す本実施形態の空気調和装置1は一つの室外機2に一つの室内機3が接続されたシングルタイプの空気調和装置だが、一つの室外機に複数の室内機が接続された多室型、いわゆるマルチタイプの空気調和装置であってもよい。マルチタイプの空気調和装置だと、接続される室内機の台数分だけ膨張弁が設けられているため、従来の制御では空気調和装置1がユーザによる運転開始指令を受信してから圧縮機を運転開始させ、空調運転を開始するまでの待機時間が大きいが、本発明を適用すれば空調運転開始までの待機時間を解消できるため、ユーザの不快感低減効果がより大きい。
1 空気調和装置
2 室外機
3 室内機
4 液管
5 ガス管
20 圧縮機
23 室外熱交換器
27 膨張弁
31 室内熱交換器

Claims (4)

  1. 圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、
    前記圧縮機と前記膨張弁の制御を行う制御部を有する空気調和装置において、
    前記制御部が前記空気調和装置の運転停止指令を受けてから運転開始指令を受けるまでの期間を運転準備期間とし、
    前記制御部は、前記運転準備期間中は前記圧縮機を停止状態とし、
    前記運転準備期間中に前記膨張弁の開度を初期化することを特徴とした空気調和装置。
  2. 前記制御部は、前記運転準備期間中であって、前記圧縮機が停止した後第1の所定時間 が経過したら前記膨張弁の開度を初期化することを特徴とした請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記制御部は、前記運転準備期間中であって、前記膨張弁開度の初期化から第2の所定時間を経過したら前記膨張弁の開度を初期化することを特徴とした請求項1または2に記載の空気調和装置。
  4. 前記制御部は、前記空気調和装置の入りタイマが設定された場合、前記入りタイマによって設定された予約設定時刻に前記圧縮機の運転が開始されるように、予約設定時刻より全ての前記膨張弁を初期化するのに必要な時間だけ前に前記膨張弁の開度の初期化を開始することを特徴とした請求項1に記載の空気調和装置。
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