JP2016102559A - 組立カムシャフト - Google Patents

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石川 俊一
Shunichi Ishikawa
俊一 石川
正則 山下
Masanori Yamashita
正則 山下
智巳 東
Tomomi Azuma
智巳 東
浩司 逢坂
Koji Osaka
浩司 逢坂
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Abstract

【課題】簡易な構成でカムロブをシャフトに固定することにより、製造工程を簡素化し、製造コストを抑制することが可能となる、組立カムシャフトを提供する。【解決手段】組立カムシャフト101において、固定部102cの断面形状は、第一の円RLと第二の円RMとこれらに接する線分23、24とで囲まれた形状で形成され、固定孔13hの断面形状は、第三の円Rlと第四の円Rmとこれらに接する線分33、34とで囲まれた形状で形成され、第二の円RMの円周部分と第四の円Rmの円周部分とが一致するように固定孔13hに固定部102cが嵌合され、固定孔13hの第四の円Rmにおける第三の円Rlの中心との反対側には、固定孔13hを拡張するためのピン挿入用のピン孔13pが、固定孔13hと連続するとともにカムロブ13を貫通して開口される。【選択図】図2

Description

本発明は、シャフトにカムロブを固定して形成する組立カムシャフトの技術に関する。
従来、カムロブに開口された固定孔にシャフトを嵌合させることにより、カムロブをシャフトに固定する組立カムシャフトに関する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2009−162081号公報
カムロブをシャフトに固定する手法としては、カムロブの固定孔にシャフトを挿通した後にシャフトをバルジ加工等により塑性変形させる方法や、カムロブを加熱膨張させて内径を広げた状態でシャフトを挿通した後にカムロブを常温に戻す、所謂焼嵌め等が用いられる。
しかし、上記の如くシャフトを塑性変形させる方法や焼嵌め等を用いた場合、カムロブをシャフトに固定した後に仕上げ加工等の後処理が必要となるため、カムシャフトの製造工程が複雑となり、高コストとなっていた。
本発明は係る課題に鑑み、簡易な構成でカムロブをシャフトに固定することにより、製造工程を簡素化し、製造コストを抑制することが可能となる、組立カムシャフトを提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、カムロブに形成されたシャフト固定孔に、シャフトにおけるカム固定部を嵌合させることにより、前記カムロブが前記シャフトに固定される組立カムシャフトであって、前記カム固定部の断面形状は、第一の円と、前記第一の円よりも小径で前記第一の円に重なる第二の円と、前記第一の円及び前記第二の円の双方に接する接線上の接点を結んだ二本の線分と、で囲まれた形状で形成され、前記シャフト固定孔の断面形状は、前記第一の円と略同径の第三の円と、前記第二の円と略同径で前記カムロブのカムノーズの側で前記第三の円に重なる第四の円と、前記第三の円及び前記第四の円の双方に接する接線上の接点を結んだ二本の線分と、で囲まれた形状で形成され、前記カムロブが前記シャフトに固定される際には、前記カム固定部における前記第二の円の円周部分と、前記シャフト固定孔における前記第四の円の円周部分とが一致するように、前記シャフト固定孔に前記カム固定部が嵌合され、前記シャフト固定孔の前記第四の円における前記第三の円の中心との反対側には、前記シャフト固定孔を拡張するためのピン挿入用のピン孔が、前記シャフト固定孔と連続するとともに前記カムロブを貫通して開口されるものである。
請求項2においては、前記カム固定部は、前記ピン孔にピンが挿入されることにより拡張した状態の前記シャフト固定孔に挿通され、前記ピン孔から前記ピンが抜かれて前記シャフト固定孔が縮小することにより、前記シャフト固定孔に前記カム固定部が嵌合されるものである。
請求項3においては、前記シャフト固定孔には、前記第三の円の中心を挟んで前記第四の円の反対側に位置し、前記第三の円よりも小径で前記第三の円に重なる第五の円で逃がし部が形成されるものである。
請求項4においては、前記固定部における軸方向の両側には、前記カムロブの軸方向への移動を規制するための逆段差突起部が形成されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明に係る組立カムシャフトにより、簡易な構成でカムロブをシャフトに固定することにより、製造工程を簡素化し、製造コストを抑制することが可能となる。
(a)は本発明の第一実施形態に係る組立カムシャフトを示す側面図、(b)は図1(a)におけるカムロブ固定部の拡大図。 図1(b)におけるX−X線断面図。 シャフトの断面図。 カムロブの断面図。 (a)から(c)はそれぞれピン孔にピンを挿通した状態のカムロブを示した正面図、側面断面図、及び平面断面図。 (a)から(c)は第一実施形態に係る組立カムシャフトにおいて別実施例におけるピンを挿通した状態のカムロブを示した正面図、側面断面図、及び平面断面図。 従来技術と本実施形態とを比較した図。 (a)は第二実施形態に係る組立カムシャフトを示す側面図、(b)及び(c)はそれぞれシャフトとカムロブの断面図。 (a)は第三実施形態に係る組立カムシャフトを示す側面図、(b)及び(c)はそれぞれシャフトとカムロブの断面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。まず、本発明の第一実施形態に係る組立カムシャフト(以下、単に「カムシャフト」と記載する)101の構成を、図1から図6を用いて説明する。
図1(a)に示す如くカムシャフト101は、中空の棒状部材であるシャフト102に複数のカムロブ13を組付けることにより形成される。本実施形態においては、4個のカムロブ13が90度毎に位相をずらしてシャフト102における固定部102cに組付けられている。図1(a)においては、4個のカムロブ13のそれぞれに、(1−IN)から(4−IN)のカム番号を付してある。
図1から図4に示す如く、カムロブ13はシャフト102に組付けられる側のカムベース13bと、カムベース13bの反対側でシャフト102から半径方向外側に突出して形成される側のカムノーズ13nとを有している。カムロブ13におけるカムベース13bの側には、カムロブ13をシャフト102の軸方向に貫通するシャフト固定孔である固定孔13hが開口されている。この固定孔13hにシャフト102におけるカム固定部である固定部102cを嵌合させることにより、カムロブ13はシャフト102に固定される。
本実施形態では、固定部102cとカムロブ13の軸方向長さ(図5(c)中に示すL1)とは略同一に形成されている。また、図1(b)に示す如く、シャフト102における固定部102cの軸方向の両側に逆段差突起部である突起部102a・102aが半径方向外側に向けて突出するように、シャフト102の全周に亘って形成されている。そして、カムロブ13の軸方向の両面が突起部102a・102aに当接することにより、カムロブ13の軸方向位置が規制される。換言すれば、カムロブ13は突起部102a・102aの間に位置する固定部102cに固定される。
図2及び図3に示す如く、シャフト102における固定部102cの断面形状は、第一の円RLと、第一の円RLよりも小径で第一の円RLに重なる第二の円RMと、第一の円RL及び第二の円RMの双方に接する接線Ln1上の接点P11・P12を結んだ線分23と、第一の円RL及び第二の円RMの双方に接する接線Ln2上の接点P21・P22を結んだ線分24と、で囲まれた形状で形成されている。換言すれば、固定部102cの断面形状は、第一の円RLの円周上に位置する大円部21と、第二の円RMの円周上に位置する小円部22と、大円部21と小円部22との双方に接する線分23・24とで形成されるのである。
また、図2及び図4に示す如く、カムロブ13における固定孔13hの断面形状は、第一の円RLと略同径の第三の円Rlと、第二の円RMと略同径でカムロブ13のカムノーズ13bの側で第三の円Rlに重なる第四の円Rmと、第三の円Rl及び第四の円Rmの双方に接する接線Ln3上の接点P31・P32を結んだ線分33と、第三の円Rl及び第四の円Rmの双方に接する接線Ln4上の接点P41・P42を結んだ線分34と、で囲まれた形状で形成されている。換言すれば、固定孔13hの断面形状は、第三の円Rlの円周上に位置する大円部31と、第二の円Rmの円周上に位置する小円部32と、大円部31と小円部32との双方に接する線分33・34とで形成されるのである。
また、本実施形態では、固定孔13hには、第三の円Rlの中心を挟んで第四の円Rmの反対側(図4における下側)に位置し、第三の円Rlよりも小径で第三の円Rlに重なる第五の円Rnで逃がし部35が形成される。換言すれば、固定孔13hは、第五の円Rnの円周上に位置する逃がし部35によって、小円部32の反対側に拡張されているのである。逃がし部35は固定部102cの外周面よりも外側に深くなるように(固定部102cと逃がし部35との間に隙間ができるように)形成される。そして、カムロブ13がシャフト102に固定される際には、図2に示す如く、固定部102cにおける小円部22と、固定孔13hにおける小円部32とが一致することにより、固定部102cの断面形状と固定孔13hの断面形状とが一致するように、固定孔13hに固定部102cが嵌合される。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、カムロブ13をシャフト102に固定する際の位相ずれを防止することができる。つまり、図7に示す如く、それぞれの断面形状である略楕円形状が一致するため、カムロブ13がシャフト102に対して周方向にずれて固定されることを防止できる。また、製品形状によって位相を合わせることが可能となることから、カムロブ13の位相を合わせるための組立装置が不要となり、組立コストを抑制することができる。さらに、カムロブ13の回転トルクを確保することができるため、カムロブ13とシャフト102との間における締め代を小さくすることができ、カムロブ13の歪を低減させて断面形状の精度を向上させることができる。また、カムベース13bにおける円振れを良好にすることができ、真円度を向上させることができる。また、カムロブ13とシャフト102との間における締め代を小さくすることができるため、焼結時に安価な材料を適用することが可能となる。加えて、生産設備を削減して小型化できるとともに、締結時のエネルギーを削減することが可能となる。
さらに、カムロブ13におけるカムノーズ13nの側、即ち、第四の円Rmにおける第三の円Rlの中心との反対側には、カムロブ13をシャフト102に固定する際に使用するピン40を挿入するために用いられるピン孔13pが、カムロブ13を貫通して開口されている。また、図4に示す如く、ピン孔13pは固定孔13hと連続して開口されている。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、簡易な構成でカムロブ13をシャフト102に固定することが可能となる。具体的には、カムロブ13の固定孔13hにシャフト102の固定部102cを嵌合する際に、図5(a)から(c)に示す如く、ピン孔13pにピン40を挿入することにより、カムロブ13をカムノーズ13nの方向と直交する方向(図5(a)における左右方向)の外側に弾性変形させて固定孔13hを拡幅させる。そして、固定部102c及び突起部102aを拡幅した固定孔13hに挿通するのである。ピン孔13pにピン40を挿入すると、カムロブ13は、カムノーズ13nの方向(図5(a)における上下方向)に収縮するが、本実施形態においては固定孔13hにおけるカムノーズ13nと反対側に逃がし部35を形成しているため、固定孔13hと固定部102cとが干渉することを防止できる。その後、ピン孔13pからピン40を抜いて固定孔13hを縮幅させて、カムロブ13の固定孔13hにシャフト102の固定部102cを嵌合するのである。
このように、本実施形態に係るカムシャフト101の製造方法は、ピン孔13pにピン40を挿通して固定孔13hを拡幅させる拡張工程と、固定部102cを拡張した固定孔13hに挿通する挿通工程と、ピン孔13pからピン40を抜いて固定孔13hを縮小させることにより、固定孔13hに固定部102cを嵌合させる縮小工程と、を備える。
ピン40はその先端側に向かって縮径するように形成されたテーパ面41と、テーパ面41と連続する拡幅部42とを備える。ピン40からは棒状の支持部43が延出されており、支持部43を支持することでピン40をテーパ面41の側からカムロブ3のピン孔3pに挿入したり抜き出したりすることを可能としている。本実施形態において、テーパ面41はピン40の挿入方向の一方の側(図5(c)における上側)に形成されているため、ピン40をピン孔13pに挿通する方向とピン孔13pから抜く方向とは進行方向が同じ方向となる。ピン40における拡幅部42はピン孔13pの内径よりも少し大きく形成されている。このため、ピン40をピン孔13pに挿入することにより、図5(a)に示す如くカムロブ13が外側に弾性変形し、固定孔13hが拡張するのである。
ピン40をスムーズに挿入し、カムロブ13を充分に弾性変形させるという観点から、ピン40の最大径部分である拡幅部42の軸方向長さL2は図5(c)に示す如く、カムロブ13の軸方向長さL1の1/4以上1/2以下に形成されることが好ましい。
なお、ピンの形状を上記実施形態と異なる形状とすることも可能である。図6に別実施例におけるピン140の形状を示す。ピン140はその先端側及び基端側の両側に向かって縮径するように形成されたテーパ面141と、それぞれのテーパ面141に挟まれて連続する拡幅部42とを備える。ピン140からは棒状の支持部43が延出されており、支持部43を支持することでピン140をカムロブ3のピン孔13pに挿入したり抜き出したりすることを可能としている。本実施形態において、テーパ面141はピン40の挿入方向の両方の側(図6(c)における上下側)に形成されているため、ピン140をピン孔13pに挿通する方向とピン孔13pから抜く方向とを進行方向を反対の方向にすることができる。本実施形態は例えば、カムロブ13を軸方向に二個隣接させて配置することにより、ピン140をピン孔13pに挿通する方向とピン孔13pから抜く方向との進行方向が同じ方向にすることができない場合などに好適である。ピン140における拡幅部42はピン孔13pの内径よりも少し大きく形成されている。このため、ピン140をピン孔13pに挿入することにより、図6(a)に示す如くカムロブ13が外側に弾性変形し、固定孔13hが拡張するのである。
ピン140についても、スムーズに挿入し、カムロブ13を充分に弾性変形させるという観点から、ピン140の最大径部分である拡幅部42の軸方向長さL3は図6(c)に示す如く、カムロブ13の軸方向長さL1の1/4以上1/2以下に形成されることが好ましい。
上記の如く、本実施形態に係るカムシャフト101によれば、カムロブ13を弾性変形させてシャフト102に固定する構成であるため、カムロブ13をシャフト102に固定した後に仕上げ加工等の後処理を必要としない。つまり、カムシャフト101の製造工程を簡素化することができるため、製造コストを抑制することができるのである。本実施形態においては上記の如く、カムロブ13とシャフト102との間における締め代を小さくすることができるため、ピン40(140)の挿入によるカムロブ13の固定孔13hを拡張させてカムシャフト101を組立てることが可能となる。即ち、常温でカムシャフト101を組立てることが可能となるため、組立コストを抑制することができる。また、同じくカムロブ13とシャフト102との間における締め代を小さくすることができるため、本実施形態の如くシャフト102に突起部102a・102aを設けた状態で、固定孔13hに固定部102cを挿入することが可能となる。
なお、本実施形態に係るカムシャフト101においては、ピン40をピン孔13pに挿入し、カムロブ13を弾性変形させてシャフト102に固定したが、カムロブ13を加熱膨張させて内径を広げた状態でシャフト102を挿通する、所謂焼嵌めを用いることは可能である。また、焼嵌めとピン40による固定孔13hの拡張とを併用することも可能である。この場合、ピン40によって固定孔13hが拡張されるため、焼嵌めにおけるカムロブ13の加熱温度は従来の焼嵌めと比較して低くすることができる。
次に、第二実施形態に係るカムシャフト1の構成を、図8を用いて説明する。
カムシャフト1は、中空の棒状部材であるシャフト2に複数のカムロブ3を組付けることにより形成される(図1(a)を参照)。本実施形態においては、4個のカムロブ3が90度毎に位相をずらしてシャフト2における固定部2cに組付けられている。
図8に示す如く、カムロブ3はシャフト2に組付けられる側のカムベース3bと、カムベース3bの反対側でシャフト2から半径方向外側に突出して形成される側のカムノーズ3nとを有している。カムロブ3におけるカムベース3bの側には、カムロブ3をシャフト2の軸方向に貫通するシャフト固定孔である固定孔3hが開口されている。この固定孔3hにシャフト2におけるカム固定部である固定部2cを嵌合させることにより、カムロブ3はシャフト2に固定される。
図8に示す如く、シャフト2における固定部2cの断面形状は、略楕円形状に形成される。また、カムロブ3における固定孔3hの断面形状は固定部2cの断面形状よりも若干小さい略同形状である略楕円形状に形成されている。本実施形態において、固定孔3hはカムノーズ3n及びカムベース3bの方向に長径を有する楕円形状に形成される。本実施形態では、固定孔3hにおけるカムノーズ3nと反対側(図8(a)及び(c)における下側)には、カムロブ3を貫通して逃がし部3gが形成されている。逃がし部3gは固定部2cの外周面よりも外側に深くなるように(固定部2cと逃がし部3gとの間に隙間ができるように)形成される。そして、カムロブ3がシャフト2に固定される際には、図8(a)に示す如く、固定部2cの断面形状である略楕円形状と、固定孔3hの断面形状である略楕円形状とが一致するように、固定孔3hに固定部2cが嵌合される。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、カムロブ3をシャフト2に固定する際の位相ずれを防止することができる。つまり、それぞれの断面形状である略楕円形状が一致するため、カムロブ3がシャフト2に対して周方向にずれて固定されることを防止できる。また、製品形状によって位相を合わせることが可能となることから、カムロブ3の位相を合わせるための組立装置が不要となり、組立コストを抑制することができる。さらに、カムロブ3の回転トルクを確保することができるため、カムロブ3とシャフト2との間における締め代を小さくすることができ、カムロブ3の歪を低減させて断面形状の精度を向上させることができる。
さらに、カムロブ3におけるカムノーズ3nの側には、カムロブ3をシャフト2に固定する際に使用するピン40(図5を参照)を挿入するために用いられるピン孔3pが、カムロブ3を貫通して開口されている。また、図8(c)に示す如く、ピン孔3pは固定孔3hと連続して開口されている。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、簡易な構成でカムロブ3をシャフト2に固定することが可能となる。具体的には、カムロブ3の固定孔3hにシャフト2の固定部102cを嵌合する際に、ピン孔3pにピン40を挿入することにより、カムロブ3をカムノーズ3nの方向と直交する方向(図8(c)における左右方向)の外側に弾性変形させて固定孔3hを拡幅させる。そして、固定部2cを拡幅した固定孔3hに挿通するのである。ピン孔3pにピン40を挿入すると、カムロブ3は、カムノーズ3nの方向(図8(c)における上下方向)に収縮するが、本実施形態においては固定孔3hにおけるカムノーズ3nと反対側に逃がし部3gを形成しているため、固定孔3hと固定部2cとが干渉することを防止できる。その後、ピン孔3pからピン40を抜いて固定孔3hを縮幅させて、カムロブ3の固定孔3hにシャフト2の固定部2cを嵌合するのである。
次に、第三実施形態に係るカムシャフトの構成を、図9を用いて説明する。
図9(a)から(c)に示す如く、本実施形態に係るカムシャフトにおいて、シャフト112における固定部112cの断面形状は、大円部121と、大円部121の円周から外側に膨出する膨出部122と、で形成されている。具体的には図9(b)に示す如く、円RLの円周の一部である大円部121が、固定部112cの断面形状の一部として形成される。そして、円RLよりも小径の円RMの円周のうち、円RLからはみ出した一部である膨出部122が、大円部121と連続する固定部112cの断面形状の一部として形成される。本実施形態においては、膨出部122は大円部121の中心に対して対向する位置(大円部121の中心に関して点対称となる位置)に、カムノーズ113nの側及びカムベース113bの側となるように2箇所形成されている。
一方、カムロブ113における固定孔113hの断面形状は固定部112cの断面形状よりも若干小さい略同形状に形成されており、大円孔部131と、大円孔部131の円周から外側に膨出する膨出孔部132と、で形成されている。具体的には図9(c)に示す如く、円Rlの円周の一部である大円孔部131が、固定孔113hの断面形状の一部として形成される。そして、円Rlよりも小径の円Rmの円周のうち、円Rlからはみ出した一部である膨出孔部132が、大円孔部131と連続する固定孔113hの断面形状の一部として形成される。本実施形態においては、固定部112cと同様に、膨出孔部132は大円孔部131の中心に対して対向する位置(大円孔部131の中心に関して点対称となる位置)に、カムノーズ113nの側及びカムベース113bの側に2箇所形成されている。
そして、カムロブ113がシャフト112に固定される際には、図9(a)に示す如く、固定部112cの大円部121と固定孔113hの大円孔部131、及び、固定部112cの膨出部122と固定孔113hの膨出孔部132がそれぞれ当接するように、固定孔113hに固定部112cが嵌合される。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、カムロブ113をシャフト112に固定する際の位相ずれを防止することができる。つまり、それぞれの膨出部122及び膨出孔部132が当接するため、カムロブ113がシャフト112に対して周方向にずれて固定されることを防止できる。また、固定部112cの膨出部122と固定孔113hの膨出孔部132が当接することにより、カムロブ113の回転トルクを確保することができる。これにより、カムロブ113とシャフト112との間における締め代を小さくすることができるため、カムロブ113の歪を低減させて断面形状の精度を向上させることができる。
さらに、カムロブ113におけるカムノーズ113nの側には、カムロブ113をシャフト112に固定する際に使用するピン40(図5を参照)を挿入するために用いられるピン孔113pが、カムロブ113を貫通して開口されている。また、図9(c)に示す如く、ピン孔113pは固定孔113hと連続して(本実施形態においてはカムノーズ113nの側の膨出孔部132と連続して)開口されている。ピン孔113pは、膨出孔部132よりも小径の円形状に形成される。
本実施形態においては上記の如く構成することにより、簡易な構成でカムロブ113をシャフト112に固定することが可能となる。具体的には、カムロブ113の固定孔113hにシャフト112の固定部112cを嵌合する際に、ピン孔113pにピンを挿入することにより、カムノーズ113nの方向と直交する方向(図9(a)における左右方向)の外側に弾性変形させて固定孔113hを拡幅させる。そして、固定部112cを拡幅した固定孔113hに挿通するのである。その後、ピン孔113pからピンを抜いて固定孔113hを縮幅させて、カムロブ113の固定孔113hにシャフト112の固定部112cを嵌合するのである。
上記の如く、本実施形態に係るカムシャフトにおいても、カムロブ113を弾性変形させてシャフト112に固定する構成であるため、カムロブ113をシャフト112に固定した後に仕上げ加工等の後処理を必要としない。つまり、カムシャフトの製造工程を簡素化することができるため、製造コストを抑制することができるのである。
このように、本実施形態に係るカムシャフトの製造方法においても、ピン孔113pにピンを挿通して固定孔113hを拡幅させる拡張工程と、固定部112cを拡張した固定孔113hに挿通する挿通工程と、ピン孔113pからピン40を抜いて固定孔113hを縮小させることにより、固定孔113hに固定部112cを嵌合させる縮小工程と、を備える。
13 カムロブ
13h 固定孔
13b カムベース
13n カムノーズ
13p ピン孔
40 ピン
101 カムシャフト
102 シャフト
102c 固定部

Claims (4)

  1. カムロブに形成されたシャフト固定孔に、シャフトにおけるカム固定部を嵌合させることにより、前記カムロブが前記シャフトに固定される組立カムシャフトであって、
    前記カム固定部の断面形状は、第一の円と、前記第一の円よりも小径で前記第一の円に重なる第二の円と、前記第一の円及び前記第二の円の双方に接する接線上の接点を結んだ二本の線分と、で囲まれた形状で形成され、
    前記シャフト固定孔の断面形状は、前記第一の円と略同径の第三の円と、前記第二の円と略同径で前記カムロブのカムノーズの側で前記第三の円に重なる第四の円と、前記第三の円及び前記第四の円の双方に接する接線上の接点を結んだ二本の線分と、で囲まれた形状で形成され、
    前記カムロブが前記シャフトに固定される際には、前記カム固定部における前記第二の円の円周部分と、前記シャフト固定孔における前記第四の円の円周部分とが一致するように、前記シャフト固定孔に前記カム固定部が嵌合され、
    前記シャフト固定孔の前記第四の円における前記第三の円の中心との反対側には、前記シャフト固定孔を拡張するためのピン挿入用のピン孔が、前記シャフト固定孔と連続するとともに前記カムロブを貫通して開口される、ことを特徴とする、組立カムシャフト。
  2. 前記カム固定部は、前記ピン孔にピンが挿入されることにより拡張した状態の前記シャフト固定孔に挿通され、
    前記ピン孔から前記ピンが抜かれて前記シャフト固定孔が縮小することにより、前記シャフト固定孔に前記カム固定部が嵌合される、ことを特徴とする、請求項1に記載の組立カムシャフト。
  3. 前記シャフト固定孔には、前記第三の円の中心を挟んで前記第四の円の反対側に位置し、前記第三の円よりも小径で前記第三の円に重なる第五の円で逃がし部が形成される、ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の組立カムシャフト。
  4. 前記固定部における軸方向の両側には、前記カムロブの軸方向への移動を規制するための逆段差突起部が形成される、ことを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の組立カムシャフト。
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