JP2016100912A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転子への冷却能力の向上を図る回転電機を提供する。
【解決手段】内側ロータ21と隙間24を介して内側ロータ21に対向配置された外側ロータ22とを備える回転電機100において、外側ロータ22は、内側ロータ21を囲む第一外側ロータ支持部材22c、外側ロータコア22a及び第二外側ロータ支持部材22dを含む。第一外側ロータ支持部材22cは、周壁部22caと、内側ロータ21を軸方向一端側から覆う底面22cb1を有する底壁部22cbとを含む。内側ロータ21は、内側ロータ21の上記軸方向一端側に潤滑油を供給する油供給溝21eを有する。周壁部22caの内周面22ca1は、底面22cb1から外側ロータコア22aの内周面22a1と内側ロータ21の外周面21a1との間の隙間24に向かう方向で周壁部22caの径方向外周側へと傾斜して、周壁部22caの回転に伴い隙間24に潤滑油を供給するテーパー部を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転電機に関する。
回転電機には、その回転子を冷却液によって冷却するものがある。
例えば、特許文献1には、ダブルロータ型の回転電機における回転子の冷却構造が記載されている。ダブルロータ型の回転電機は、回転シャフトの外周面に一体回転可能に設けられる回転子としての内側ロータと、内側ロータの外周を囲むように配置されて内側ロータに対して相対的に回転可能な外側ロータと、外側ロータの外周を囲むようにして固定配設されるステータとを備えている。内側ロータには、コイルが巻回されている。回転シャフトには、軸方向に沿ってオイル通路が形成され、回転シャフト外周面と内側ロータの内周面との間には、軸方向に沿ってオイル通路が形成され、これらオイル通路は互いに連通している。回転シャフトのオイル通路には、回転電機のオイル貯留部のオイルが供給されるように構成されている。オイル貯留部から供給されるオイルは、回転シャフトの内部及び回転シャフト外周面と内側ロータの内周面との間を順次通った後、内側ロータを囲む外側ロータ及び外側ロータの支持ブラケットの内側に排出される。排出されたオイルは、支持ブラケットに形成された開口を通ってその外部に排出される。オイルは、回転シャフト外周面と内側ロータの内周面との間を通る際に、通電することによって発熱するコイルを含む内側ロータを冷却する。
特開2014−3807号公報
回転電機に高出力が要求される場合、コイルが巻回された内側ロータへの高い冷却能力が必要になる。しかしながら、特許文献1の回転電機では、内側から内側ロータを冷却しているに過ぎないため、内側ロータ(回転子)に対する冷却能力が不足するという問題がある。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、回転子への冷却能力の向上を図る回転電機を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る回転電機は、回転軸の同軸上に設けられた内側コアと、内側コアに対して間隙を介して対向配置されるとともに、回転軸の周りで内側コアに対して相対的に回転可能である外側回転子とを備えた回転電機であって、外側回転子は、内側コアの径方向外周面を囲む筒状部と、内側コアを軸方向一端側から覆う底面を有するとともに、筒状部を支持して筒状部と一体回転可能な底部とを含み、内側コアは、内側コアの上記軸方向一端側に流体を供給する冷却通路を有し、筒状部は、内側コアの外周面と対向する第1内周面と、第1内周面の上記軸方向一端側に形成された第2内周面とを有し、第2内周面は、上記底面から第1内周面に向かう方向で筒状部の径方向外周側へと傾斜して、筒状部の回転に伴い第1内周面と上記外周面との間に流体を供給するテーパー部を含む。
筒状部は、第1内周面の軸方向他端側に第3内周面を有し、第3内周面は、第1内周面から上記軸方向他端側に向かう方向で筒状部の径方向外周側へと傾斜して、筒状部の回転に伴い第3内周面から上記軸方向他端側に流体を排出する別のテーパー部を含んでよい。
テーパー部は、筒状部の周方向に沿った輪状のテーパー面であってよい。
テーパー部は、筒状部の周方向に沿って並べるように配置されて上記内周面に形成された複数の溝の底部であってよい。
複数の溝の長手方向は、筒状部の軸方向に対して筒状部の周方向へと同方向に傾斜してよい。
筒状部は、筒状部の周方向に沿って並べるように配置されて上記内周面から突出する複数の細長のフィン状体を含み、複数のフィン状体の長手方向は、筒状部の軸方向に対して筒状部の周方向へと同方向に傾斜してよい。
本発明に係る回転電機によれば、回転子への冷却能力を向上させることが可能になる。
本発明の実施の形態1に係る回転電機の外観を示す模式的な斜視図である。 図1の回転電機の回転軸の中心軸を通る断面側面図を方向II−IIからみた図である。 図2の外側ロータを拡大して示す断面側面図である。 本発明の実施の形態2に係る回転電機の外側ロータを図3と同様にして示す断面側面図である。 図4の外側ロータのV−V線に沿った断面図である。 図4の外側ロータのVI−VI線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態3に係る回転電機の外側ロータを図3と同様にして示す断面側面図である。 図7の外側ロータのVIII−VIII線に沿った断面図である。 図7の外側ロータのXI−XI線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る回転電機について、添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1及び図2をあわせて参照すると、本発明の実施の形態1に係る回転電機100は、三相交流電力が印加されるダブルロータ型の回転電機を構成している。
回転電機100は、モータハウジング1とモータカバー2とエンドカバー3とを備えている。モータカバー2は、モータハウジング1の開口端部1aを塞ぐように配設されている。エンドカバー3は、一部が筒状であるモータカバー2の開口端部を塞ぐように配設されている。
モータカバー2は、箱状のモータハウジング1の開口端部1aに固定される板状のフランジ部2aと、フランジ部2aの中央付近の開口部からモータハウジング1内に向かって延在する円筒状の筒部2cと、筒部2cと反対側でフランジ部2aから突出する環状の突出縁部2bとを含む。突出縁部2bにエンドカバー3が取り付けられる。
エンドカバー3、突出縁部2b及び筒部2cの内側にスリップリング機構収容空間6が形成され、モータハウジング1及びモータカバー2の内側かつ筒部2cの外側にモータ収容空間4が形成される。
モータハウジング1には、フランジ部2aに対向する側壁部1bからフランジ部2aに向かって延びる隔壁部1cが一体成形されている。隔壁部1cは、モータハウジング1及びモータカバー2の内部空間を部分的に仕切り、モータ収容空間4の下方に油溜空間5を区画形成する。油溜空間5は、冷却用流体である潤滑油を貯留するためのものであり、隔壁部1cとフランジ部2aとの間の間隙を通してモータ収容空間4に連通する。
スリップリング機構収容空間6からモータ収容空間4にわたって筒部2cの円筒軸方向に沿って延在する回転軸7が、設けられている。
さらに、モータ収容空間4内において、側壁部1b側にある回転軸7の端部7aに一体に回転するように連結された、内側ロータ21の内側ロータ支持部材21cが、設けられている。内側ロータ支持部材21cは、回転軸7と同軸上に配置されている。
内側ロータ支持部材21cは、回転軸7の端部7aから回転軸7と同軸に突出する円筒状の入力軸部21caと、筒部2cを外側から囲むように延在する円筒状の内側ロータ支持部21ccと、入力軸部21caの径方向に延在して入力軸部21caを内側ロータ支持部21ccに連結する連結部21cbとが一体成形された構成を有している。
入力軸部21caの内周面には、図示しない駆動装置の回転軸に機械的に連結された伝達軸10が、挿入されて入力軸部21caと一体に回転し且つ互いに駆動力を伝達できるように嵌合している。伝達軸10は、側壁部1bの貫通穴を通ってモータ収容空間4の外部に延在している。
また、伝達軸10には、軸方向に沿って延在する貫通孔10aが形成されている。さらに、回転軸7の端部7aにも軸方向に沿って延在し且つ貫通孔10aに連通する油供給孔7a1が形成されている。
内側ロータ支持部21ccは、その外周に設けられる内側ロータ21の円筒状の内側ロータコア21aを支持しこれと一体に回転する。内側ロータコア21aは、周方向に沿って配置された三相巻線21bを含み、三相巻線21bのコイルエンド21b1が内側ロータコア21aの円筒軸方向の両端部から突出している。
内側ロータコア21aにおける内側ロータ支持部21cc側の内周面には、円筒軸方向に沿って延在する複数の油供給溝21eが互いに周方向に間隔をあけて形成されている。複数の油供給溝21eは、回転軸7の油供給孔7a1から回転軸7及び内側ロータ支持部材21c内を通って径方向に放射状に延在する複数の油分配孔21dを介して、油供給孔7a1に連通する。油供給溝21eの両端は、内側ロータコア21aの円筒軸方向の両端部で開口している。ここで、油供給溝21eは、冷却通路を構成している。
また、内側ロータ支持部21ccの端部は、その外周側に設けられたベアリング31を介してフランジ部2aによって回転自在に支持されている。
そして、内側ロータコア21a、三相巻線21b及び内側ロータ支持部材21cは、内側ロータ21を構成している。さらに、内側ロータ21は内側コアを構成するとともに内側回転子を構成している。
また、モータ収容空間4内において、内側ロータコア21aの外周面21a1を囲むようにして外側ロータ22の円筒状の外側ロータコア22aが設けられている。外側ロータコア22aは、内側ロータコア21aと同等の円筒軸方向の長さを有している。さらに、外側ロータコア22aは、その内部に、周方向に沿って配置された永久磁石22bを有している。
外側ロータコア22aは、その円筒軸方向の両側から外側ロータコア22aを挟むように設けられた第一外側ロータ支持部材22c及び第二外側ロータ支持部材22dによって支持されている。外側ロータコア22aに対して、第一外側ロータ支持部材22cは側壁部1b側に位置し、第二外側ロータ支持部材22dはフランジ部2a側に位置する。外側ロータコア22a、第一外側ロータ支持部材22c及び第二外側ロータ支持部材22dは、外側ロータ22を構成している。さらに、外側ロータ22は外側回転子を構成し、外側ロータコア22aは外側回転子の筒状部の対向部を構成している。
図2及び図3をあわせて参照すると、第一外側ロータ支持部材22cは、有底円筒状の形状を有している。第一外側ロータ支持部材22cは、側壁部1bに沿って延在する円環板状の底壁部22cbと、底壁部22cbの中心から入力軸部21caと同方向に延びる円筒状の出力軸部22ccと、底壁部22cbの外周縁からフランジ部2aに向かって延びる円筒状の周壁部22caとを一体成形によって含んでいる。周壁部22caは、その円筒軸方向の端部において、外側ロータコア22aに一体に回転するように連結されている。出力軸部22ccは、その内周側に設けられたベアリング33を介して、入力軸部21caの外周面によって回転自在に支持されている。出力軸部22ccは、入力軸部21ca及び回転軸7と同軸上に配置されて側壁部1bの貫通孔を通ってモータ収容空間4の外部に延出している。さらに、出力軸部22cc内を伝達軸10が通る。
そして、外側ロータ22は、図3の紙面上で出力軸部22ccの手前側から奥行き側に向かい且つ手前側では下方から上方に向かうような回転方向Rに回転するように構成されている。
上述のような第一外側ロータ支持部材22cの内側には、周壁部22ca、底壁部22cb及び内側ロータ21によって囲まれた第一外側ロータ内部空間8aが形成される。
周壁部22caの内周面22ca1は、底壁部22cbの底面22cb1から連続して延在し、底面22cb1から外側ロータコア22aに向かうにしたがって内径を拡大するような円錐台状のテーパー面を周方向全体にわたって有する。なお、底壁部22cbの底面22cb1は、内側ロータ21に対して、回転軸7の軸方向で対向し且つ上記軸方向から内側ロータ21を覆うように延在する面である。
さらに、内周面22ca1の外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面22a1と面一になっている。なお、内周面22ca1の外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面22a1と面一、又は、外側ロータコア22aの内周面22a1よりも径方向内側に位置することが好ましい。ここで、外側ロータコア22aの内周面22a1は、第1内周面を構成し、周壁部22caの内周面22ca1は、第2内周面を構成している。
第二外側ロータ支持部材22dは、円筒状の形状を有し、円筒軸方向の一方の端部において外側ロータコア22aに一体に回転するように連結されている。第二外側ロータ支持部材22dにおける他方の端部は、その外周側に設けられたベアリング32を介してフランジ部2aによって回転自在に支持されている。上述のような第二外側ロータ支持部材22dの内側には、第二外側ロータ支持部材22d、内側ロータ21及びフランジ部2aによって囲まれた第二外側ロータ内部空間8bが形成される。
ここで、第一外側ロータ支持部材22cの周壁部22ca、外側ロータコア22a及び第二外側ロータ支持部材22dは、外側回転子の筒状部を構成し、第一外側ロータ支持部材22cの底壁部22cbは、外側回転子の底部を構成している。
第二外側ロータ支持部材22dの内周面は、円筒軸方向に連続して並ぶ略円筒状の内周面22d1及び内周面22d2によって構成されている。外側ロータコア22a側に位置する内周面22d1は、外側ロータコア22aからフランジ部2aに向かうにしたがって内径を拡大するような円錐台状のテーパー面を周方向全体にわたって有する。フランジ部2a側に位置する内周面22d2は、回転軸7と同軸の円筒面を有する。内周面22d1の外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面と面一になっている。なお、内周面22d1の外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面22a1と面一、又は、外側ロータコア22aの内周面22a1よりも径方向外側に位置することが好ましい。
ここで、第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1は、第3内周面を構成し、第一外側ロータ支持部材22cの周壁部22caの内周面22ca1及び第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1は、テーパー部を構成している。
よって、外側ロータコア22aと第一外側ロータ支持部材22c及び第二外側ロータ支持部材22dとは一体となって、入力軸部21caに対して、つまり、回転軸7及び内側ロータ21に対して相対回転することができる。第一外側ロータ支持部材22cの出力軸部22ccは、その外周面に嵌合する図示しない駆動装置に対して互いに回転駆動力を伝達することができる。
そして、外側ロータコア22a、永久磁石22b、並びに第一外側ロータ支持部材22c及び第二外側ロータ支持部材22dは、外側ロータ22を構成している。
図2を参照すると、モータ収容空間4内では、外側ロータコア22aの外周を囲むようにして円筒状のステータ23が設けられている。ステータ23は、モータハウジング1に固定されている。さらに、ステータ23は、その内部に、周方向に沿って配置された三相巻線23aを含んでいる。
従って、回転電機100は、内側ロータ21、外側ロータ22及びステータ23を備えたダブルロータ型の回転電機を構成している。
また、スリップリング機構収容空間6内において、回転軸7の周りに複数のスリップリング41が一体に回転するように設けられている。さらに、各スリップリング41の外周面に接触させる複数のブラシ42が設けられている。各スリップリング41は、回転軸7の内部を通る導電性を有するバスバー43を介して、内側ロータ21の三相巻線21bの各相に電気的に接続されている。ブラシ42は、回転電機100の外部のインバータ、バッテリ等の電気機器に電気的に接続されている。これにより、回転軸7が回転しながらも、スリップリング41及びブラシ42等を介して、内側ロータ21の三相巻線21bと外部の電気機器との間で電気的な接続が維持される。
図1及び図2をあわせて参照すると、伝達軸10の貫通孔10aは、モータハウジング1の外側に取り付けられた配管56に接続されている。配管56は、マニフォルド54及び配管55を介してオイルポンプ51に接続されている。オイルポンプ51は、配管53及びモータカバー2に取り付けられた潤滑油取出部52を介してモータハウジング1内の油溜空間5に連通している。電動式のオイルポンプ51は、稼働すると、潤滑油取出部52を通じて油溜空間5内の潤滑油を吸入し伝達軸10の貫通孔10aに圧送する。貫通孔10aの潤滑油は、回転軸7の油供給孔7a1を通り、さらに、油分配孔21dを通って油供給溝21eに送られ、油供給溝21eの開口から外側ロータ22の内側に供給される。
上述のような構成を有する回転電機100は、以下に説明するように動作する。
図1及び図2をあわせて参照すると、回転電機100において、図示しない電気機器からブラシ42に三相交流電流が供給されると、供給された電流は、スリップリング41及びバスバー43を通って内側ロータ21の三相巻線21bに供給される。そして、三相巻線21bを流れる電流が発生する回転磁界が、永久磁石22bに作用して外側ロータ22を回転駆動し、出力軸部22ccが回転駆動される。
一方、伝達軸10及び入力軸部21caを介して回転軸7が回転駆動されると、内側ロータ21が回転し、これに伴って内側ロータ21の三相巻線21bに発生する誘導電流が、スリップリング41、ブラシ42等を通って電気機器に供給される。
また、ステータ23の三相巻線23aに図示しない外部の電気機器から三相交流電流が供給されると、三相巻線23aを流れる電流により発生する回転磁界が、永久磁石22bに作用して外側ロータ22を回転駆動し、出力軸部22ccが回転駆動される。
電流が流れることによって三相巻線21bが発熱する。三相巻線21bの温度が上昇することによって、流せる電流値が低くなるため、回転電機100のトルクが低下する。
このため、三相巻線21b及びこれに隣接する部材を、潤滑油によって冷却する必要がある。
そのために、回転電機100の動作が開始されると、オイルポンプ51が駆動される。オイルポンプ51は、潤滑油取出部52を通じてモータハウジング1内の油溜空間5の潤滑油を吸入してマニフォルド54に向かって圧送する。マニフォルド54の潤滑油は、配管56を通じて伝達軸10の貫通孔10aに供給される。
貫通孔10aに供給された潤滑油は、回転軸7の油供給孔7a1に流入し、さらに、回転軸7及び内側ロータ支持部材21c内に放射状に延びる油分配孔21dを通った後、内側ロータコア21aの内周面の油供給溝21eに流入する。潤滑油は、油供給溝21e内を内側ロータコア21aの円筒軸方向に流れ、内側ロータコア21aの両端の開口から外側ロータ22の内側に供給される。つまり、潤滑油は、第一外側ロータ内部空間8a内と第二外側ロータ内部空間8b内とに供給される。潤滑油は、油供給溝21e内を通る過程で、内側ロータコア21a及び内側ロータ支持部材21cと熱交換を行ってこれらを冷却する。よって、内側ロータコア21aは、その内周側から直接的に冷却され、これにより三相巻線21bも冷却される。
第一外側ロータ内部空間8aでは、潤滑油は、内側ロータ21のコイルエンド21b1及び第一外側ロータ支持部材22cの内面に飛散して付着する。コイルエンド21b1に付着した潤滑油は、そのまま浸透して三相巻線21bを直接冷却し、その後流出して第一外側ロータ支持部材22cの内面に付着する。なお、潤滑油は、ベアリング33にも飛散してこれを冷却及び潤滑する。
外側ロータ22の回転時、第一外側ロータ支持部材22cに付着した潤滑油は、遠心力の作用によって、その内面上を回転の径方向外側に向かって流れる。第一外側ロータ支持部材22cの内面上に付着して流れる過程で、潤滑油は第一外側ロータ支持部材22cを冷却する。
図2及び図3をあわせて参照すると、周壁部22caの内周面22ca1が、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かうにしたがって内径を拡大するテーパー面を有するため、内周面22ca1上の潤滑油には、底壁部22cb側よりも外側ロータコア22a側において、径方向外側に向かう強い遠心力が作用する。このため、内周面22ca1上では、潤滑油は、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かうようにテーパー面に沿って強制的に流される。強制的な流れの作用を受ける潤滑油は、外側ロータコア22aと内側ロータコア21aとの間の隙間24に流入し、この隙間24内を第二外側ロータ支持部材22dに向かって流れる。上記隙間24内を通る過程で、潤滑油は、内側ロータコア21a及び外側ロータコア22aと熱交換を行ってこれらを冷却する。なお、第一外側ロータ支持部材22cと外側ロータコア22aとの境界部では、外側ロータコア22aの内周面22a1が、内周面22ca1よりも径方向内側に突出していないため、この境界部において潤滑油の流れが阻害されない。
よって、内側ロータコア21aは、その外周側から直接的に冷却され、さらに、外周側の外側ロータコア22aによって内側ロータコア21aに生じる熱の吸熱を受けて間接的にも冷却される。
油供給溝21eを介して第二外側ロータ内部空間8b内に供給された潤滑油は、内側ロータ21のコイルエンド21b1及び第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1に飛散して付着する。コイルエンド21b1に付着した潤滑油は、そのまま浸透して三相巻線21bを直接冷却し、その後流出して第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1に付着する。なお、潤滑油は、ベアリング31にも飛散してこれを冷却及び潤滑する。
第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1が、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かうにしたがって内径を拡大するテーパー面を有するため、外側ロータ22の回転時、内周面22d1上の潤滑油には、外側ロータコア22a側よりも内周面22d2側において、径方向外側に向かう強い遠心力が作用する。このため、内周面22d1上では、潤滑油は、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かうようにテーパー面に沿って強制的に流される。これにより、外側ロータコア22aと内側ロータコア21aとの間の隙間24内の潤滑油が内周面22d1に向かって引き出されるような作用を受けるため、隙間24内の潤滑油の流れが促進され、さらに、第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1上での潤滑油の流れも促進される。なお、外側ロータコア22aと第二外側ロータ支持部材22dとの境界部では、第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1が外側ロータコア22aの内周面22a1よりも径方向内側に突出していないため、この境界部において潤滑油の流れが阻害されない。
潤滑油は、内周面22d1及び22d2上を流れて第二外側ロータ支持部材22dの端部とフランジ部2aとの間の隙間に流出し、その後、重力の作用によって流下して油溜空間5内に戻る。潤滑油は、内周面22d1及び22d2上を流れる過程で第二外側ロータ支持部材22dを冷却し、その後、第二外側ロータ支持部材22dの端部とフランジ部2aとの間の隙間を流れる過程でベアリング32に一部を浸透させて冷却及び潤滑する。
上述より、外側ロータコア22aの回転時、第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1、外側ロータコア22aの内周面22a1並びに第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1及び内周面22d2を順次通る潤滑油の円滑な流れが形成され、第一外側ロータ内部空間8a内における潤滑油の滞留が発生しないようになる。よって、第一外側ロータ支持部材22c、外側ロータコア22a、内側ロータコア21a及び第二外側ロータ支持部材22dは、次々に流れてくる潤滑油によって、効果的に冷却される。
そして、内側ロータコア21aは、内側及び外側の両方から次々に流れてくる潤滑油によって冷却される。
このように、本発明の実施の形態1に係る回転電機100は、回転軸7の同軸上に設けられた内側ロータ21と、内側ロータ21に対して隙間24を介して対向配置され且つ回転軸7の周りで内側ロータ21に対して相対的に回転可能である外側ロータ22とを備える。さらに、回転電機100において、外側ロータ22は、内側ロータ21の径方向外周面21a1を囲む筒状部としての第一外側ロータ支持部材22cの周壁部22ca、外側ロータコア22a及び第二外側ロータ支持部材22dと、内側ロータ21を軸方向一端側から覆う底面22cb1を有し且つ周壁部22caを支持して周壁部22caと一体回転可能な底壁部22cbとを含む。内側ロータ21は、内側ロータ21の上記軸方向一端側に潤滑油を供給する油供給溝21eを有する。外側ロータコア22aは、内側ロータ21の外周面21a1と対向する内周面22a1を有し、周壁部22caは、内周面22a1の上記軸方向一端側に形成された内周面22ca1を有する。周壁部22caの内周面22ca1は、上記底面22cb1から内周面22a1に向かう方向で周壁部22caの径方向外周側へと傾斜して、周壁部22caの回転に伴い外側ロータコア22aの内周面22a1と内側ロータ21の外周面21a1との間の隙間24に潤滑油を供給するテーパー部を含む。さらに、周壁部22caの内周面22ca1は、周壁部22caの周方向に沿った輪状のテーパー面である。
上述の構成によって、外側ロータ22の回転時、油供給溝21eから底壁部22cbの底面22cb1側に供給された潤滑油は、重力及び遠心力の作用によって第一外側ロータ支持部材22cの周壁部22caの内周面22ca1へと流れる。輪状のテーパー面をした内周面22ca1上の潤滑油に作用する遠心力が、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かうに従って大きくなるため、潤滑油は、内周面22ca1から外側ロータコア22a及び内側ロータ21の間の隙間24へと強制的に流される。これにより、第一外側ロータ内部空間8a内での潤滑油の滞留が抑制される。そして、潤滑油は、油供給溝21eから第一外側ロータ内部空間8aに供給されてから外側ロータコア22a及び内側ロータ21の間の隙間24内を流れるまでの過程において、ベアリング33、第一外側ロータ支持部材22c、外側ロータコア22a、内側ロータ21及び内側ロータ21のコイルエンド21b1を冷却する。
さらに、潤滑油の滞留が抑制される第一外側ロータ内部空間8a内では、ベアリング33、第一外側ロータ支持部材22c、外側ロータコア22a、内側ロータ21及びコイルエンド21b1は、油供給溝21eから次々に供給される新しい潤滑油によって効果的に冷却される。
また、内側ロータ21は、油供給溝21e内を流れる潤滑油によっても冷却される。
従って、回転電機100は、内側ロータ21に対する高い冷却能力を有する。また、内周面22ca1が、輪状のテーパー面であるため、内周面22ca1上の潤滑油の全てが、遠心力を受けて強制的に隙間24に向かって流される。
また、回転電機100において、第二外側ロータ支持部材22dでは、外側ロータコア22aを挟んで内周面22ca1と反対側にある内周面22d1が、テーパー部を含む。このテーパー部は、内周面22ca1から内周面22d1に向かう方向で、筒状の第二外側ロータ支持部材22dの径方向外周側へと傾斜して、それにより、第二外側ロータ支持部材22dの回転に伴い内周面22d1から、第二外側ロータ支持部材22dにおける外側ロータコア22aと反対側の端部へと潤滑油を排出する。
さらに、内周面22d1は、第二外側ロータ支持部材22dの周方向に沿った輪状のテーパー面である。
上述の構成によって、外側ロータ22の回転時、内周面22d1上の潤滑油は、外側ロータコア22aから離れる方向に強制的に流される。これにより、外側ロータコア22a及び内側ロータ21の間の隙間24内での潤滑油の流れが促進されるため、第一外側ロータ内部空間8aから上記隙間24を通って第二外側ロータ支持部材22dの内側に至る潤滑油の流れが、円滑になる。さらに、第二外側ロータ支持部材22dの内側の第二外側ロータ内部空間8bでの潤滑油の滞留も抑制される。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る回転電機では、実施の形態1の回転電機100の外側ロータ22に対して、第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1及び第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1の全面をテーパー形状に傾斜させずに、それぞれの内周面に傾斜した底部を有する溝を形成するようにしたものである。
なお、以下の実施の形態において、前出した図における参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
図4を参照すると、本発明の実施の形態2に係る回転電機は、実施の形態1の回転電機100と同様の外側ロータ22を備えている。
しかしながら、外側ロータ22の第一外側ロータ支持部材22cの周壁部22caの内周面22ca1は、外側ロータコア22aの内周面と同様に、回転軸7(図2参照)と同軸の円筒面を形成している。内周面22ca1の内径は、外側ロータコア22aの内周面の内径よりも小さくなっている。
図4及び図5をあわせて参照すると、内周面22ca1上には、長手方向を回転軸7の軸方向に沿わせるようにして底壁部22cbから外側ロータコア22aにまで至るように延在する複数の導溝22caaが、互いに周方向に等間隔をあけて平行に形成されている。
各導溝22caaは、底壁部22cb側の端部に対して外側ロータコア22a側の端部を回転軸7及び周壁部22caの軸方向から回転方向Rと反対方向にずらすようにして、長手方向を回転軸7及び周壁部22caの軸方向に対して傾斜させている。
さらに、各導溝22caaは、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かうにしたがって大きくなる深さを有している。つまり、各導溝22caaの底部22caa1は、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かうにしたがって径方向外側へと傾斜するテーパー面を形成している。各導溝22caaの底部22caa1における外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面22a1と面一になっている。なお、各導溝22caaの底部22caa1における外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面22a1と面一、又は、外側ロータコア22aの内周面22a1よりも径方向内側に位置することが好ましい。
図4及び図6をあわせて参照すると、外側ロータ22の第二外側ロータ支持部材22dにおける互いに軸方向に隣接する内周面22d1及び内周面22d2は、外側ロータコア22aの内周面22a1と同様に、回転軸7(図2参照)と同軸の円筒面を形成している。外側ロータコア22a側の内周面22d1の内径は、外側ロータコア22aの内周面22a1の内径と同一であり、外側ロータコア22aと反対側の内周面22d2の内径は、外側ロータコア22aの内周面22a1の内径よりも大きくなっている。
内周面22d1上には、長手方向を回転軸7の軸方向に沿わせるようにして外側ロータコア22aから内周面22d2にまで至るように延在する複数の導溝22daが、互いに周方向に等間隔をあけて平行に形成されている。
各導溝22daは、外側ロータコア22a側の端部に対して内周面22d2側の端部を回転軸7及び第二外側ロータ支持部材22dの軸方向から回転方向Rと反対方向にずらすようにして、長手方向を回転軸7及び第二外側ロータ支持部材22dの軸方向に対して傾斜させている。
さらに、各導溝22daは、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かうにしたがって大きくなる深さを有している。つまり、各導溝22daの底部22da1は、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かうにしたがって径方向外側へと傾斜するテーパー面を形成している。各導溝22daの底部22da1における外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面22a1と面一になっている。さらに、各導溝22daの底部22da1における内周面22d2側の端部は、内周面22d2と面一になっている。なお、各導溝22daの底部22da1における外側ロータコア22a側の端部は、外側ロータコア22aの内周面22a1と面一、又は、外側ロータコア22aの内周面22a1よりも径方向外側に位置することが好ましい。
図2及び図4をあわせて参照すると、外側ロータ22の回転方向Rへの回転時、遠心力の作用によって第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1上に流れ込んだ潤滑油は、導溝22caa内に流入すると、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かって強制的に流される。これは、底部22caa1が底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かうにしたがって径方向外側へと傾斜している導溝22caa内では、潤滑油に対して、底壁部22cb側よりも外側ロータコア22a側において、径方向外側への強い遠心力が作用するためである。さらに、回転軸7の軸方向に対して上述のように長手方向を傾斜させている導溝22caa内では、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かう導溝22caaに沿った流れが潤滑油に引き起こされるためでもある。また、第一外側ロータ支持部材22cと外側ロータコア22aとの境界部では、外側ロータコア22aの内周面22a1が、導溝22caaの底部22caa1よりも径方向内側に突出していないため、この境界部において潤滑油の流れが阻害されない。
また、外側ロータ22の回転方向Rへの回転時、第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1上でも、潤滑油は、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かって強制的に流される。なお、底部22da1が外側ロータコア22aから内周面22d2に向かうにしたがって径方向外側へと傾斜している導溝22da内でも、潤滑油に対して、外側ロータコア22a側よりも内周面22d2側において、径方向外側への強い遠心力が作用する。さらに、回転軸7の軸方向に対して上述のように長手方向を傾斜させている導溝22da内では、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かう導溝22daに沿った流れが潤滑油に引き起こされる。また、外側ロータコア22aと第二外側ロータ支持部材22dとの境界部では、導溝22daの底部22da1が外側ロータコア22aの内周面22a1よりも径方向内側に突出していないため、この境界部において潤滑油の流れが阻害されない。
よって、外側ロータコア22aの回転方向Rへの回転時、第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1、外側ロータコア22a及び内側ロータコア21aの間の隙間24、並びに第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1及び内周面22d2を順次通る潤滑油の円滑な流れが形成される。
また、本発明の実施の形態2に係る回転電機のその他の構成及び動作は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
そして、本発明の実施の形態2に係る回転電機によれば、実施の形態1の回転電機100と同様の効果が得られる。
また、実施の形態2に係る回転電機の外側ロータ22では、第一外側ロータ支持部材22cの周壁部22caの周方向に沿って並べるように配置されて内周面22ca1に形成された導溝22caaの底部22caa1、及び、第二外側ロータ支持部材22dの周方向に沿って並べるように配置されて内周面22d1に形成された導溝22daの底部22da1が、テーパー形状である。さらに、導溝22caa及び導溝22daの長手方向はそれぞれ、周壁部22ca及び第二外側ロータ支持部材22dの軸方向に対してこれらの周方向へと同方向に傾斜している。つまり、導溝22caa及び導溝22daは、軸方向に対して同じ方向に傾斜した直線状の溝である。
上述の構成によって、外側ロータ22の回転時、内周面22ca1及び内周面22d1上それぞれの潤滑油は、テーパー状の底部22caa1及び底部22da1をそれぞれもつ導溝22caa及び導溝22da内に流れ込むと、底壁部22cbから第二外側ロータ支持部材22dに向かう方向に沿って大きくなる遠心力の作用によって、上記方向に強制的に流される。さらに、外側ロータ22の回転時、周壁部22ca及び第二外側ロータ支持部材22dの軸方向に対して長手方向を上述のように傾斜させた導溝22caa及び導溝22daは、底壁部22cbから第二外側ロータ支持部材22dに向かう方向への各溝に沿った流体の流れを各溝内に形成することができる。よって、各溝内での潤滑油の流れが増強され、それにより、内周面22ca1及び内周面22d1上の潤滑油は、各溝を通じて各内周面上から強制的に流出させられる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る回転電機は、実施の形態1の回転電機の外側ロータ22における第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1及び第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1に、これら内周面から突出するフィン状体を形成したものである。
図7〜図9をあわせて参照すると、本発明の実施の形態3に係る回転電機は、実施の形態1の回転電機100と同様の外側ロータ22を備えている。
外側ロータ22の第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1上には、長手方向を回転軸7(図2参照)の軸方向に沿わせるようにして底壁部22cbから外側ロータコア22aにまで至るように延在する複数のフィン状体22cabが、径方向内側に向かって突出している。複数のフィン状体22cabは第一外側ロータ支持部材22cに一体成形されている。複数のフィン状体22cabはそれぞれ、細長く薄い矩形板状の形状を有している。複数のフィン状体22cabはそれぞれ、互いに周方向に等間隔をあけ且つ平行に配置されている。本実施の形態ではフィン状体22cabは、内周面22ca1の径方向に沿うように突出しているが、径方向に対して傾斜されていてもよい。
各フィン状体22cabは、底壁部22cb側の端部に対して外側ロータコア22a側の端部を回転軸7及び周壁部22caの軸方向から回転方向Rと反対方向にずらすようにして、回転軸7及び周壁部22caの軸方向に対して長手方向を傾斜させている。よって、フィン状体22cabは、全体としてファンのような形態を呈している。
外側ロータ22の第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1上には、長手方向を回転軸7(図2参照)の軸方向に沿わせるようにして外側ロータコア22aから内周面22d2にまで至るように延在する複数のフィン状体22dbが、径方向内側に向かって突出している。複数のフィン状体22dbはそれぞれ、細長く薄い矩形板状の形状を有しており、互いに周方向に等間隔をあけ且つ平行に配置されて第二外側ロータ支持部材22dに一体成形されている。本実施の形態ではフィン状体22dbは、内周面22d1の径方向に沿うように突出しているが、径方向に対して傾斜されていてもよい。
各フィン状体22dbは、外側ロータコア22a側の端部に対して内周面22d2側の端部を回転軸7及び第二外側ロータ支持部材22dの軸方向から回転方向Rと反対方向にずらすようにして、回転軸7及び第二外側ロータ支持部材22dの軸方向に対して長手方向を傾斜させている。よって、フィン状体22dbは、全体としてファンのような形態を呈している。
外側ロータ22の回転方向Rへの回転時、遠心力の作用によって第一外側ロータ支持部材22cの内周面22ca1上に流れ込んだ潤滑油は、テーパー形状の内周面22ca1とフィン状体22cabとの作用によって、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かって強制的に流れさせられる。テーパー形状の内周面22ca1は、実施の形態1で説明したように潤滑油に強制的な流れを生成する。回転軸7の軸方向に対して長手方向を傾斜させたフィン状体22cabは、底壁部22cbから外側ロータコア22aに向かう気流を生じるため、潤滑油に強制的な流れを生成する。よって、実施の形態1の場合よりも、潤滑油の流れが増強される。
また、外側ロータ22の回転方向Rへの回転時、第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1上でも、潤滑油は、テーパー形状の内周面22d1とフィン状体22dbとの作用によって、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かって強制的に流される。テーパー形状の内周面22d1は、実施の形態1で説明したように潤滑油に強制的な流れを生成し、回転軸7の軸方向に対して長手方向を傾斜させたフィン状体22dbは、外側ロータコア22aから内周面22d2に向かう気流を生じるため、潤滑油に強制的な流れを生成する。よって、実施の形態1の場合よりも、潤滑油の流れが増強される。
また、本発明の実施の形態3に係る回転電機のその他の構成及び動作は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
そして、本発明の実施の形態3に係る回転電機によれば、実施の形態1の回転電機100と同様の効果が得られる。
また、実施の形態3に係る回転電機の外側ロータ22において、第一外側ロータ支持部材22cの周壁部22caの内周面22ca1及び第二外側ロータ支持部材22dの内周面22d1ではそれぞれ、これらの周方向に沿って並べられて突出するフィン状体22cab及び22dbが、長手方向を周壁部22ca及び第二外側ロータ支持部材22dの軸方向に対してこれらの周方向へと同方向に傾斜させて、形成されている。上述の構成によって、外側ロータ22の回転時、内周面22ca1及び内周面22d1ではそれぞれ、フィン状体22cab及び22dbによって、底壁部22cbから第二外側ロータ支持部材22dに向かう方向の流体の流れが発生する。よって、内周面22ca1及び内周面22d1上から流出する潤滑油の流れが増強される。
また、上述のように構成された実施の形態1〜3に係る回転電機において、外側ロータ22は、第一外側ロータ支持部材22c、外側ロータコア22a及び第二外側ロータ支持部材22dが一体成形された単一の部品であってもよい。
また、実施の形態1〜3に係る回転電機において、外側ロータ22は、一方の端部のみが底壁部22cbによって閉鎖されていたが、第二外側ロータ支持部材22d側の端部も閉鎖されてもよい。この場合、第二外側ロータ支持部材22dに潤滑油排出用の穴を設ければよい。
また、実施の形態1〜3に係る回転電機の外側ロータ22において、内周面22ca1及び内周面22d1にのみ、テーパー形状、導溝22caa,22da、フィン状体22cab,22dbが形成されていたが、外側ロータコア22aにまで形成されていてもよい。
また、実施の形態1〜3に係る回転電機の外側ロータ22において、内周面22ca1及び内周面22d1の両方に対して、テーパー形状、導溝22caa,22da、フィン状体22cab,22dbが形成されていたが、第一外側ロータ内部空間8a内から潤滑油を円滑に流出するためには、少なくとも内周面22ca1のみに上記要素が形成されていればよい。
また、実施の形態1及び3に係る回転電機の外側ロータ22において、内周面22ca1及び内周面22d1の全体がテーパー形状とされていたが、一部であってもよい。
また、実施の形態1及び3に係る回転電機の外側ロータ22において、テーパー形状をした内周面22ca1及び内周面22d1の傾斜角度は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、実施の形態2に係る回転電機の外側ロータ22では、導溝22caa及び導溝22daは、互いに等間隔に配置され、回転軸7の軸方向に対して同一の傾斜角度を有していたが、これに限定されるものでない。導溝22caaと導溝22daとの間で、傾斜角度及び間隔が異なっていてもよい。さらに、導溝22caa同士の間で傾斜角度及び間隔が異なっていてもよく、導溝22da同士の間で傾斜角度及び間隔が異なっていてもよい。また、導溝22caaと導溝22daとの間で、テーパー状の底部の傾斜角度が異なっていてもよく、導溝22caa同士の間、及び導溝22da同士の間で、テーパー状の底部の傾斜角度が異なっていてもよい。さらにまた、導溝22caa及び導溝22daの数は、図面に示す数に限定されない。
また、実施の形態2に係る回転電機の外側ロータ22では、各導溝22caa及び各導溝22daは、回転軸7の軸方向で内周面22ca1及び内周面22d1の全体にわたる長さで形成されていたが、内周面22ca1及び内周面22d1の一部にわたる長さで形成されてもよい。
また、実施の形態2に係る回転電機の外側ロータ22では、各導溝22caa及び各導溝22daは、回転軸7の軸方向に対して傾斜していたが、平行であってもよい。
また、実施の形態2に係る回転電機の外側ロータ22では、各導溝22caa及び各導溝22daの幅は、細いものであったが、これに限定されるものでなく、任意の幅に設定してもよい。
また、実施の形態2に係る回転電機における外側ロータ22では、各導溝22caa及び各導溝22daは、長手方向に直線状に形成されていたが、湾曲等の曲がりを含んでもよい。
また、実施の形態2に係る回転電機における外側ロータ22の導溝22caa及び導溝22daを、実施の形態1及び3に係る回転電機における外側ロータ22の内周面22ca1及び内周面22d1に形成してもよい。
また、実施の形態3に係る回転電機の外側ロータ22では、フィン状体22cab及びフィン状体22dbは、互いに等間隔に配置され且つ回転軸7の軸方向に対して同一の傾斜角度を有していたが、これに限定されるものでない。フィン状体22cabとフィン状体22dbとの間で、傾斜角度及び間隔が異なっていてもよい。さらに、フィン状体22cab同士の間で傾斜角度及び間隔が異なっていてもよく、フィン状体22db同士の間で傾斜角度及び間隔が異なっていてもよい。さらにまた、フィン状体22cab及びフィン状体22dbの数は、図面に示す数に限定されない。
また、実施の形態3に係る回転電機の外側ロータ22では、各フィン状体22cab及び各フィン状体22dbは、回転軸7の軸方向で内周面22ca1及び内周面22d1の全体にわたる長さで形成されていたが、内周面22ca1及び内周面22d1の一部にわたる長さで形成されてもよい。
また、実施の形態3に係る回転電機の外側ロータ22では、フィン状体22cab及びフィン状体22dbは、直線状に延びる細長く薄い矩形板状の形状を有していたが、これに限定されるものでない。フィン状体22cab及びフィン状体22dbは、矩形形状以外の多角形形状、半円形状、半楕円形状、半長円形状、又は周縁に曲線を含む形状であってもよい。また、フィン状体22cab及びフィン状体22dbは、直線状でなく湾曲して長手方向に延在してもよい。フィン状体22cab及びフィン状体22dbの突出高さ、厚さは、任意に設定することができる。
また、実施の形態3に係る回転電機の外側ロータ22では、フィン状体22cab及びフィン状体22dbは、長手方向に連続して延在していたが、長手方向の途中で1つ以上の部分で分断されていてもよい。
また、実施の形態1〜3の回転電機では、冷却用流体として潤滑油が使用されていたが、これに限定されるものでない。冷却用流体は、流動性を有する流体であればよいため、潤滑油以外の液体であってもよく、気体又はミストであってもよく、グリスのようにゲル状の流体であってもよく、粉体であってもよい。
また、実施の形態1〜3の回転電機では、内側ロータ21及びステータ23に巻線が設けられ、外側ロータ22に永久磁石が設けられていたが、巻線及び永久磁石の配置構成は、これに限定されない。
また、実施の形態1〜3の回転電機では、内側ロータ21及び外側ロータ22が回転可能に設けられていたが、内側ロータが固定され、外側ロータが回転可能な構成とされてもよい。さらに、本発明は、ダブルロータ型の回転電機に限定されず、内側の固定された固定子と、その外側周囲に設けられる回転可能な回転子とを備える回転電機の回転子に、実施の形態1〜3に記載される外側ロータ22の構成を適用してもよい。
7 回転軸、21 内側ロータ(内側コア)、21a1 外周面(内側回転子の径方向外周面)、22 外側ロータ(外側回転子)、22a 外側ロータコア(外側回転子の筒状部)、22a1 内周面(筒状部の第1内周面)、22c 第一外側ロータ支持部材、22ca 周壁部(外側回転子の筒状部)、22ca1 内周面(筒状部の第2内周面、テーパー部)、22caa,22da 導溝(テーパー部)、22cab,22db フィン状体、22cb 底壁部(外側回転子の底部)、22cb1 底面(外側回転子の底部の底面)、22d 第二外側ロータ支持部材(外側回転子の筒状部)、22d1 内周面(筒状部の第3内周面、テーパー部)、21e 油供給溝(冷却通路)、24 隙間(間隙)、100 回転電機。

Claims (6)

  1. 回転軸の同軸上に設けられた内側コアと、
    前記内側コアに対して間隙を介して対向配置されるとともに、前記回転軸の周りで前記内側コアに対して相対的に回転可能である外側回転子と
    を備えた回転電機であって、
    前記外側回転子は、
    前記内側コアの径方向外周面を囲む筒状部と、
    前記内側コアを軸方向一端側から覆う底面を有するとともに、前記筒状部を支持して前記筒状部と一体回転可能な底部と
    を含み、
    前記内側コアは、前記内側コアの前記軸方向一端側に流体を供給する冷却通路を有し、
    前記筒状部は、前記内側コアの外周面と対向する第1内周面と、前記第1内周面の前記軸方向一端側に形成された第2内周面とを有し、
    前記第2内周面は、前記底面から前記第1内周面に向かう方向で前記筒状部の径方向外周側へと傾斜して、前記筒状部の回転に伴い前記第1内周面と前記外周面との間に前記流体を供給するテーパー部を含む回転電機。
  2. 前記筒状部は、前記第1内周面の軸方向他端側に第3内周面を有し、
    前記第3内周面は、前記第1内周面から前記軸方向他端側に向かう方向で前記筒状部の径方向外周側へと傾斜して、前記筒状部の回転に伴い第3内周面から前記軸方向他端側に前記流体を排出する別のテーパー部を含む請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記テーパー部は、前記筒状部の周方向に沿った輪状のテーパー面である請求項1または2に記載の回転電機。
  4. 前記テーパー部は、前記筒状部の周方向に沿って並べるように配置されて前記内周面に形成された複数の溝の底部である請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機。
  5. 前記複数の溝の長手方向は、前記筒状部の軸方向に対して前記筒状部の周方向へと同方向に傾斜する請求項4に記載の回転電機。
  6. 前記筒状部は、前記筒状部の周方向に沿って並べるように配置されて前記内周面から突出する複数の細長のフィン状体を含み、
    前記複数のフィン状体の長手方向は、前記筒状部の軸方向に対して前記筒状部の周方向へと同方向に傾斜する請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転電機。
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