JP2016099233A - 光飛行型測距装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイナミックレンジを拡張しつつ、短時間露光のフレームレートを高める。【解決手段】光飛行型測距装置は、面内の複数の画素を、長時間露光を行う画素グループ(画素Aが属する画素グループ)と短時間露光を行う画素グループ(画素Bが属する画素グループ)とに区分し、長時間露光を行う画素グループの受光素子が1回の長時間露光により測距値を1回取得する期間内に、短時間露光を行う画素グループの受光素子が4回の短時間露光により測距値を4回取得する。【選択図】図4

Description

本発明は、繰り返し周期を持つパターンで変調された変調光を空間に発光し、変調光が対象物で反射した反射光を含む入射光を受光し、その受光した入射光に応じた電荷を用いて自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得する光飛行型測距装置に関する。
自装置から対象物までの距離を非接触で計算する測距装置として、光飛行(TOF:Time of Flight)型測距装置が供されている。光飛行型測距装置は、繰り返し周期を持つパターンで変調された変調光(測距光)を空間に発光し、変調光が対象物で反射した反射光を含む入射光を受光する。そして、光飛行型測距装置は、その受光した入射光に応じた電荷を用いて自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得する(例えば特許文献1〜4参照)。
光飛行型測距装置においては、自装置から対象物までの距離が近かったり対象物が高反射率の物体であったりすると、強い強度の反射光を受光する。一方、自装置から対象物までの距離が遠かったり対象物が低反射率の物体であったりすると、弱い強度の反射光しか受光しない。そのため、光飛行型測距装置においては、大きなダイナミックレンジ(例えば80dB以上)が要求される。特に車載等の場合には、自装置及び対象物(人、車両、壁等)のうち少なくとも何れかが移動している状況で、自装置から対象物までの距離が近ければ、対象物への衝突を回避するために距離を頻繁に計算する(フレームレートを高める)ことが要求される。即ち、大きなダイナミックレンジと高いフレームレートとを両立させる必要がある。
通常の画素では80dB以上のダイナミックレンジを実現することは難しく、多重露光(多数回の露光)を行う必要がある。ところが、多重露光をシリーズで行うと、露光時間が長くなってしまい、動きのある対象物に対する追従性が劣化する問題が発生する。この点に関し、面内の複数の画素を幾つかの画素グループに区分し、画素グループ毎に露光時間を変える方法が開示されている(例えば非特許文献1、2参照)。図21及び図22に示すように、受光素子101がPD(Photodiode)102と、2個の変調スイッチ103a,103bと、1個の蓄積容量104とを有する構成であり、4位相測距を行う場合を一例として説明する。この場合、図23に示すように、例えば画素Aの画素グループが1000回の駆動を繰り返して長時間露光を行い、画素Bの画素グループが100回の駆動を繰り返して短時間露光を行うことで、ダイナミックレンジを20dB拡張することができる。
特許第5579893号公報 特開2010−96730号公報 特許第5585903号公報 特開2010−25906号公報
S.Nayar and T.Mitsunaga. "High Dynamic Range Imaging:Spatially Varying Pixel Exposures. "In IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR),volume 1,pages 472-479,Jun 2000 S.G.Narasimhan and S.K.Nayar "Enhancing Resolution Along Multiple Imaging Dimensions Using Assorted Pixels. "IEEE TRANSACTIONS ON PATTERN ANALYSIS AND MACHINE INTELLIGENCE, VOL.27,NO.4,APRIL 2005,pp.518
このように面内の複数の画素を、長時間露光を行う画素グループと短時間露光を行う画素グループとに区分することで、多重露光をシリーズで行う場合よりもフレームレートを高めることができる。しかしながら、長時間露光と同様に短時間露光でも4位相測距であれば0度、90度、180度、270度のそれぞれの値を読み出した後に距離を計算するので、短時間露光のフレームレートが長時間露光の時間に律則することになる。このように非特許文献1,2の方法では、短時間露光のフレームレートを高めることに限界がある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ダイナミックレンジを適切に拡張することができつつ、短時間露光のフレームレートを適切に高めることができる光飛行型測距装置を提供することにある。
請求項1に記載した発明によれば、発光素子は、繰り返し周期を持つパターンで変調された変調光を空間に発光する。駆動手段は、発光素子を駆動する。複数の受光素子は、それぞれが面内の画素を構成し、変調光が対象物で反射した反射光を含む入射光を受光する。制御手段は、複数の受光素子における電荷の蓄積と複数の受光素子からの電荷の読み出しを制御する。測距値取得手段は、複数の受光素子から制御手段により読み出された電荷を用いて自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得する。この場合、制御手段は、面内の複数の画素を幾つかの画素グループに区分し、一の画素グループに属する受光素子が1回の長時間露光を行うことで測距値取得手段により測距値が1回取得される期間内に、他の画素グループに属する受光素子が複数回の短時間露光を行うことで測距値取得手段により測距値が複数回取得されるように複数の受光素子の駆動を制御する。
即ち、面内の複数の画素を、長時間露光を行う画素グループと短時間露光を行う画素グループとに区分することで、ダイナミックレンジを拡張することができる。又、長時間露光を行う画素グループの受光素子が1回の長時間露光により測距値を1回取得する期間内に、短時間露光を行う画素グループの受光素子が複数回の短時間露光により測距値を複数回取得することで、短時間露光のフレームレートを高めることができる。これにより、ダイナミックレンジを適切に拡張することができつつ、短時間露光のフレームレートを適切に高めることができる。特に自装置及び対象物のうち少なくとも何れかが移動する車載等の場合に好適となる。
本発明の第1の実施形態であり、シングルエンド出力の構成を示す機能ブロック図 受光素子(1容量構成)の構成を示す図 シングルエンド出力の構成のシーケンスを示す図 シングルエンド出力の構成において多重露光を行うタイミングチャートを示す図(その1) シングルエンド出力の構成において多重露光を行うタイミングチャートを示す図(その2) シングルエンド出力の構成において多重露光を行うタイミングチャートを示す図(その3) 画素の配置形態を示す図(その1) 画素の配置形態を示す図(その2) 画素毎に露光時間を切り替える態様を示す図 シングルエンド出力の構成において多重露光を行うタイミングチャートを示す図(その4) 画素の配置形態を示す図(その3) 画素の配置形態を示す図(その4) 本発明の第2の実施形態であり、差動出力の構成を示す機能ブロック図 受光素子(2容量構成)の構成を示す図 差動出力の構成のシーケンスを示す(その1) 差動出力の構成において多重露光を行うタイミングチャートを示す図(その1) 差動出力の構成のシーケンスを示す(その2) 差動出力の構成において多重露光を行うタイミングチャートを示す図(その2) 差動出力の構成のシーケンスを示す(その3) 差動出力の構成において多重露光を行うタイミングチャートを示す図(その3) 受光素子(1容量構成)の構成を示す図 シングルエンド出力の構成のシーケンスを示す図 従来の多重露光を行うタイミングチャートを示す図
(第1の実施形態)
以下、本発明を、例えば車両に搭載可能な車載用の光飛行型測距装置に適用した第1の実施形態について図1から図12を参照して説明する。第1の実施形態はシングルエンド出力の構成である。光飛行型測距装置1は、信号源2と、駆動回路3(駆動手段)と、発光素子4と、制御回路5(制御手段)と、受光素子6と、測距値取得回路7(測距値取得手段)とを有する。測距値取得回路7は、バッファ8と、AD変換回路9と、デジタル信号処理回路10とを有する。
信号源2は、駆動信号を駆動回路3及び制御回路5に出力することで、発光素子4と受光素子6との間で同期を確立し、発光素子4から発光される変調光に同期して受光素子6の露光を制御する。信号源2から出力される駆動信号は、発光素子4及び受光素子6を駆動する矩形パルス(通常数〜数10MHz)であっても良いし、同期パルスのみであっても良い。発光素子4は、変調光としての例えば赤外光を発光するLD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)である。受光素子6は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)のプロセスを用いたイメージセンサである。
受光素子6は、図2に示すように、PD(Photodiode)11と、2個の変調スイッチ12a,12bと、1個の蓄積容量13とを有する。2個の変調スイッチ12a,12bは、例えばMOSトランジスタやトランスファゲート等のMOS型のデバイス、CCD構造のデバイス等である。蓄積容量13は、例えばMOS、CCD、MIM(Metal Insulator Metal)等の容量素子、配線、PN接合の寄生容量等である。受光素子6は、変調スイッチ12a,12bを制御信号(ゲート信号)TG1により駆動し、受光した入射光により発生する電荷を蓄積容量13に蓄積し、電荷の電荷量を示す信号を測距値取得回路7に出力する。制御信号TG1は変調光に同期した信号であるので、自装置から対象物までの距離に応じて蓄積容量13に蓄積される電荷の電荷量が変化する。
バッファ8は、その簡素さから例えばソースフォロア回路により実現される。AD変換回路9は、バッファ8から入力した信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してデジタル信号処理回路10に出力する。デジタル信号処理回路10は、AD変換回路9から入力した信号をデジタル信号処理し、蓄積容量13に蓄積された電荷の電荷量から自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得する(測距する)。
図3は、発光波形のデューティーを50%として4位相測距を行う(受光素子6を4位相で駆動する)場合のシーケンス(変調周期:Tm,露光期間:Tw)を示す。発光素子4から発光される変調光の波形(発光波形110)は、制御信号TG1と同期した矩形波で変調している。図3では矩形波で変調した場合を例示しているが、正弦波、三角波又は疑似ランダムシーケンス等の波形で変調しても良い。変調光が対象物で反射した反射光の波形(反射波形120)は、発光波形110に対して時間差を有するので、発光波形110に対して位相差φだけ遅れた波形となる。一方、制御信号TG1は90度ずつ位相が異なる矩形波で駆動される。デジタル信号処理回路10は、制御信号TG1−1,TG1−2(駆動波形111,112)で駆動するシーケンスを数十〜数十万回程度の周期繰り返した後に、発生した電荷Q1、Q2の情報(電荷電圧変換された電圧値)を取得する。その後、デジタル信号処理回路10は、制御信号TG1−3,TG1−4(駆動波形113、114)で駆動するシーケンスを同様に数十〜数十万回程度の周期繰り返した後に、発生した電荷Q3、Q4の情報を取得する。そして、デジタル信号処理回路10は、取得したQ1〜Q4から離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)を用いて位相差θを以下の演算式(1)により計算する。
θ=tan−1[(Q1−Q3)/(Q2−Q4)]…(1)
演算式(1)は上記4つのサンプリングに基づく位相差の演算式であるが、一般のN位相についても位相差θを以下の演算式(2)により計算することが可能である。
θ=tan−1[(ΣQk*sin(2π/N*k))/(ΣQk*cos(2π/N*k))]…(2)
さて、このような位相型の光飛行型測距装置1においては、[背景技術]で記載したように車載等で使用される場合を想定すると、ダイナミックレンジの拡張が要求されると共に、短時間露光のフレームレートの向上が要求される。以下、本発明によるダイナミックレンジを拡張しつつ、短時間露光のフレームレートを高める手法について説明する。
図4は、本発明のシングルエンド出力の構成において多重露光のタイミングチャートを示す。前述した図23に示した従来の多重露光のタイミングチャートと比較すると、本発明の多重露光では、制御回路5は、面内の複数の画素を画素Aの画素グループと画素Bの画素グループとに区分する点は同じである。しかしながら、本発明の多重露光では、制御回路5は、画素Aの画素グループで長時間露光を行う期間内に、画素Bの画素グループで単一位相ではなく複数位相で電荷の蓄積と読み出しを行うことで、複数回の短時間露光を行う。その結果、画素Bの画素グループについては、同一期間で対比すると従来の多重露光よりも測距値を取得する回数が増大し、測距値を頻繁に更新することができ、フレームレートを高めることができる。図4の例示では、画素Aの画素グループが1回の長時間露光を行う期間内に、画素Bの画素グループが4回の短時間露光を行うことで、図23のタイミングチャートで駆動する場合に対して4倍のフレームレートを実現することができる。このような短時間露光で取得可能な有効な値(十分な信号振幅)は自装置からの距離が近いか又は高反射率の対象物で反射した反射光によるものであるので、自装置からの距離が近いか又は高反射率の対象物に対してフレームレートを高めることができる。即ち、特に車載等のように対象物(人、車両、壁等)への衝突を回避するために距離を頻繁に計算する(フレームレートを高める)ことが要求される環境で好適である。
図5は、シングルエンド出力の構成の別の多重露光のタイミングチャートを示す。前述した図4では長時間露光と短時間露光とのフレームレートの比が「4」であるが、フレームレートの比は「4」に限らない。即ち、長時間露光に対する短時間露光のサイクル数(繰り返し回数)を増やすことで、フレームレートをより高めることができる。図5の例示では、図23のタイミングチャートで駆動する場合に対して12倍のフレームレートを実現することができ、図4のタイミングチャートで駆動する場合に対して3倍のフレームレートを実現することができる。逆に後段の信号処理の観点等から長時間露光に対する短時間露光のサイクル数を減らす(間引く)ことで、フレームレートを下げることができる。
図6は、シングルエンド出力の構成の更に別の多重露光のタイミングチャートを示す。前述した図4及び図5では長時間露光の位相毎の期間内に短時間露光で測距値を1回以上取得したが、長時間露光の複数位相に跨る期間内に短時間露光で測距値を1回取得しても良い。図6の例示では、図23のタイミングチャートで駆動する場合に対して2倍のフレームレートを実現することができる。
図7及び図8は、面内の複数の画素を2つの画素グループに区分した配置形態を示す。図7では、長時間露光の画素グループAと短時間露光の画素グループBとを行毎に区分している。図7の構成では、変調スイッチ12a,12bを駆動する制御線の配線を共通とすることができ、既存の構成に大きな変更を加えずに短時間露光のフレームレートを高めることができる。一方、図8では、長時間露光の画素グループAと短時間露光の画素グループBとを市松模様に区分している。図8の構成では、制御線の配線を増やす必要が生じるが、短時間露光を行う画素グループのみで画像を構成した場合に空間解像度を高めることができる。
図9は、長時間露光の画素グループと短時間露光の画素グループとを時間で切り替える態様を示す。自装置からの距離が遠いか又は低反射率の対象物で反射した反射光は場合によっては1画素にしか受光されない可能性がある。そのため、長時間露光の画素グループと短時間露光の画素グループとを固定してしまうと、いつまでも測距値を取得することができない対象物が出現する可能性がある。この点に関し、長時間露光の画素グループと短時間露光の画素グループとを時間(例えばフレーム単位)で切り替えることで、上記した問題の発生を未然に回避することができる。図9の例示は、図7に示した長時間露光の画素グループと短時間露光の画素グループとを行毎に区分している構成において切り替える態様であるが、図8に示した長時間露光の画素グループと短時間露光の画素グループとを市松模様に区分している構成においても同様に切り替えることが可能である。
図10は、シングルエンド出力の構成の更に別の多重露光のタイミングチャートを示す。前述した図4から図6では面内の画素を2つの画素グループに区分したが、3つの画素グループに区分しても良い。図10の例示では、中時間露光を行う画素Bの画素グループでは、長時間露光を行う画素Aの画素グループに対して4倍のフレームレートを実現することができ、短時間露光を行う画素Cの画素グループでは、長時間露光を行う画素Aの画素グループに対して12倍のフレームレートを実現することができる。
図11及び図12は、面内の複数の画素を3つの画素グループに区分した配置形態を示す。図11では、画素Cを全ての行に配置すると共に画素A及び画素Bをそれぞれ1行間隔で配置するように区分している。図11の構成では、1行あたりに必要な制御線の本数が全ての行で2種類となり、共通化し易くなり、画素Cの画素グループのみで画像を構成した場合に空間解像度を高めることができる。尚、画素Aを全ての行に配置すると共に画素B及び画素Cをそれぞれ1行間隔で配置するように区分しても良いし、画素Bを全ての行に配置すると共に画素A及び画素Cをそれぞれ1行間隔で配置するように区分しても良い。一方、図12では、画素A、画素B、画素Cを全ての行に配置するように区分している。図12の構成では、1行あたりに必要な制御線の本数が全ての行で3種類となり、共通化し難くなるが、画素A、画素B、画素Cの何れの画素グループのみで画像を構成した場合でも空間解像度を高めることができる。尚、このように面内の複数の画素を3つの画素グループに区分した場合でも、それぞれの画素グループを時間で切り替えても良い。
以上に説明したように第1の実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。光飛行型測距装置1において、面内の複数の画素を、長時間露光を行う画素グループと短時間露光を行う画素グループとに区分することで、ダイナミックレンジを拡張することができる。又、長時間露光を行う画素グループの受光素子が1回の長時間露光により測距値を1回取得する期間内に、短時間露光を行う画素グループの受光素子が複数回の短時間露光により測距値を複数回取得することで、短時間露光のフレームレートを高めることができる。これにより、ダイナミックレンジを適切に拡張することができつつ、短時間露光のフレームレートを適切に高めることができる。特に自装置及び対象物のうち少なくとも何れかが移動する車載等の場合に好適となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図13から図20を参照して説明する。尚、前述した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第1の実施形態は、シングルエンド出力の構成であるが、第2の実施形態は、差動出力の構成である。光飛行型測距装置21は、信号源22と、駆動回路23(駆動手段)と、発光素子24と、制御回路25(制御手段)と、受光素子26と、CM(コモンモード)成分除去回路27と、測距値取得回路28(測距値取得手段)とを有する。測距値取得回路28は、バッファ29a,29bと、差分検出回路30と、AD変換回路31と、デジタル信号処理回路32とを有する。
信号源22、駆動回路23、発光素子24及び制御回路25は、それぞれ第1の実施形態で説明した信号源2、駆動回路3、発光素子4及び制御回路5と同等である。受光素子26は、図14に示すように、PD41と、2個の変調スイッチ42a,42bと、2個の蓄積容量43a,43bとを有する。受光素子26は、変調スイッチ42a,42bを制御信号TG1,TG2により駆動し、受光した入射光により発生する電荷を蓄積容量43a,43bに振り分けて蓄積し、電荷の電荷量を示す信号をCM成分除去回路27に出力する。制御信号TG1,TG2は変調光に同期した信号であるので、自装置から対象物までの距離に応じて蓄積容量43a,43bに振り分けられて蓄積される電荷の電荷量が変化する。図14では、2個の蓄積容量43a,43bを例示したが、3個以上の蓄積容量を設けても良い。
CM成分除去回路27は、発光している変調光に対して無視できない程度のレベルの背景光が存在する場合に、この背景光に起因して発生する電荷による画素の飽和を回避するものである。CM成分を除去する方法としては、先行文献で様々な技術が開示されている。例えば米国6919549B2号公報、独逸102005056774A1号公報、欧州1622200A1号公報等に開示されている。差分検出回路30は、CM成分除去回路27からバッファ29a,29bを介して入力した信号の差分を検出し、その検出した差分に応じた信号をAD変換回路31に出力する。差分検出回路30は、例えば差動のアンプにより実現される。
AD変換回路31は、差分検出回路30から入力した信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してデジタル信号処理回路32に出力する。デジタル信号処理回路32は、AD変換回路31から入力した信号をデジタル信号処理し、蓄積容量43a,43bに振り分けられて蓄積された電荷の電荷量から自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得する(測距する)。
図15は、発光波形のデューティーを50%として4位相測距を行う(受光素子26を4位相で駆動する)場合のシーケンスを示す。差分検出回路30は、制御信号TG1,TG2の組み合わせ、例えば制御信号TG1−1(駆動波形111),TG2−1(駆動波形121)を数十〜数十万回繰り返してデジタル値D1を生成する。同様にして、差分検出回路30は、制御信号TG1−2(駆動波形112),TG2−2(駆動波形122)を数十〜数十万回繰り返してデジタル値D2を生成する。差分検出回路30は、デジタル値D1,D2を、DC成分を除去した値として出力する。それぞれのデジタル値D1,D2について制御信号TG1が「H」であり且つTG2が「L」であるときに「1」を割り当て、制御信号TG1が「L」であり且つTG2が「H」であるときに「−1」を割り当てて記述する。即ち、Dxの波形について値が「1」及び「−1」の何れであるかにより、制御信号TG1,TG2の状態が一意に決定される。尚、このようにDxが2つの蓄積容量43a,43bの差分を示す信号であるので、AD変換回路31は、先述した演算式(1)の分子又は分母に相当する演算が実施された信号を出力する。
図16は、本発明の作動出力の構成において多重露光のタイミングチャートを示す。図16の例示では、画素Aの画素グループが1回の長時間露光を行う期間内に、画素Bの画素グループが6回の短時間露光を行うことで、長時間露光を行う画素Aの画素グループに対して6倍のフレームレートを実現することができる。
図17は、本発明の作動出力の別のシーケンスを示し、図18は、そのシーケンスに対応する多重露光のタイミングチャートを示す。前述した図15ではデジタル値D1,D2を生成するのみであったが、デジタル値D1,D2に加え、制御信号TG1−3(駆動波形113),TG2−3(駆動波形123)を数十〜数十万回繰り返してデジタル値D3を生成し、制御信号TG1−4(駆動波形114),TG2−4(駆動波形124)を数十〜数十万回繰り返してデジタル値D4を生成する。図18の例示では、画素Aの画素グループが1回の長時間露光を行う期間内に、画素Bの画素グループが4回の短時間露光を行うことで、長時間露光を行う画素Aの画素グループに対して4倍のフレームレートを実現することができる。又、回路のミスマッチを未然に回避することができ、ロバスト性を高めることができる。
図19は、本発明の作動出力の更に別のシーケンスを示し、図20は、そのシーケンスに対応する多重露光のタイミングチャートを示す。長時間露光の位相数と短時間露光の位相数とは同一である必要はなく、異なっていても良い。図19及び図20の例示では、長時間露光を6位相測距で駆動し、短時間露光を4位相測距で駆動している。又、図19及び図20の例示では、長時間露光については「1」及び「−1」に加え、信号を積分しない期間である非積分期間を示す「0」を挿入することで、高次高調波に感度を持たせている。即ち、発光波形のデューティーを50%よりも短くすると、デューティーが短くなるにしたがって高次高調波の成分のエネルギーが増加する特性を利用し、長時間露光については、所定の高次高調波に感度を持たせて高次高調波の成分のエネルギーを有効に活用する。デジタル信号処理回路32は、基本波の成分と高次高調波の成分とを線形結合して距離を計算することで、高次高調波の成分を加味する分、基本波の成分のみから距離を計算する場合よりも距離誤差を低減することができる。尚、このような高次高調波に感度を持たせる発明について出願人は特願2014−226069号を出願している。
以上に説明したように第2の実施形態によれば、シングルエンド出力の構成に限らず、差動出力の構成でも前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、ダイナミックレンジを適切に拡張することができつつ、短時間露光のフレームレートを適切に高めることができる。尚、第2の実施形態でも、2つの画素グループに区分する構成に限らず、前述した第1の実施形態と同様に3つの画素グループに区分する構成としても良いし、それぞれの画素グループを時間で切り替えても良い。
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
車載以外の用途に適用しても良い。
本実施形態では、2つの画素グループや3つの画素グループに区分する構成を例示したが、露光期間が互いに異なる4つ以上の画素グループに区分する構成でも良い。又、4つ以上の画素グループに区分する場合でも、それぞれの画素グループを時間で切り替えても良い。
2つの画素グループに区分する場合の長時間露光と短時間露光のそれぞれの位相数の組み合わせや3つの画素グループに区分する場合の長時間露光と中時間露光と短時間露光のそれぞれの位相数の組み合わせはどのようであっても良い。又、4つ以上の画素グループに区分する場合でも同様にそれぞれの位相数の組み合わせはどのようであっても良い。
図面中、1,21は光飛行型測距装置、3,23は駆動回路(駆動手段)、4,24は発光素子、5,25は制御回路(制御手段)、6,26は受光素子、7,28は測距値取得回路(測距値取得手段)である。

Claims (13)

  1. 繰り返し周期を持つパターンで変調された変調光を空間に発光する発光素子(4,24)と、
    前記発光素子を駆動する駆動手段(3,23)と、
    それぞれが面内の画素を構成し、変調光が対象物で反射した反射光を含む入射光を受光する複数の受光素子(6,26)と、
    前記複数の受光素子における電荷の蓄積と前記複数の受光素子からの電荷の読み出しを制御する制御手段(5,25)と、
    前記複数の受光素子から前記制御手段により読み出された電荷を用いて自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得する測距値取得手段(7,28)と、を備え、
    前記制御手段は、面内の複数の画素を幾つかの画素グループに区分し、一の画素グループに属する受光素子が1回の長時間露光を行うことで前記測距値取得手段により測距値が1回取得される期間内に、他の画素グループに属する受光素子が複数回の短時間露光を行うことで前記測距値取得手段により測距値が複数回取得されるように複数の受光素子の駆動を制御することを特徴とする光飛行型測距装置(1,21)。
  2. 請求項1に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、一の画素グループに属する受光素子がn(nは2以上の自然数)位相を基本とするn回の電荷の蓄積とn回の電荷の読み出しを繰り返す1回の長時間露光を行う期間内に、他の画素グループに属する受光素子がn位相を基本とするn回の電荷の蓄積とn回の電荷の読み出しを繰り返す1回の短時間露光を複数回行うように、前記複数の受光素子の駆動を制御することを特徴とする光飛行型測距装置。
  3. 請求項2に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、前記複数の受光素子の駆動を、デューティーが50%の矩形波形を2π/nずつずらした駆動波形を用いて制御することを特徴とする光飛行型測距装置。
  4. 請求項1に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、一の画素グループに属する受光素子がn(nは2以上の自然数)位相を基本とするn回の電荷の蓄積とn回の電荷の読み出しを繰り返す1回の長時間露光を行う期間内に、他の画素グループに属する受光素子がm(mは2以上の自然数であり、nとは異なる値)位相を基本とするm回の電荷の蓄積とm回の電荷の読み出しを繰り返す1回の短時間露光を複数回行うように、前記複数の受光素子の駆動を制御することを特徴とする光飛行型測距装置。
  5. 請求項4に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、一の画素グループに属する受光素子の駆動を、デューティーが50%の矩形波形を2π/nずつずらした駆動波形を用いて制御し、他の画素グループに属する受光素子の駆動を、デューティーが50%の矩形波形を2π/mずつずらした駆動波形を用いて制御することを特徴とする光飛行型測距装置。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載した光飛行型測距装置において、
    前記測距値取得手段(7)は、前記複数の受光素子(6)からシングルエンドで出力された値を用いて自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得することを特徴とする光飛行型測距装置(1)。
  7. 請求項1から5の何れか一項に記載した光飛行型測距装置において、
    前記測距値取得手段(28)は、前記複数の受光素子(26)から差動で出力された値を用いて自装置から対象物までの距離を計算して測距値を取得することを特徴とする光飛行型測距装置(21)。
  8. 請求項7に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、長時間露光を行う画素グループに属する受光素子が所定の高次高調波に感度を有するように、長時間露光を行う画素グループに属する受光素子の駆動を制御し、
    前記測距値取得手段は、長時間露光を行う画素グループに属する受光素子については、基本波の成分と高次高調波の成分とを線形結合して測距値を取得することを特徴とする光飛行型測距装置。
  9. 請求項1から8の何れか一項に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、他の画素グループを1つとし、一の画素グループに属する受光素子と他の画素グループに属する受光素子とがそれぞれ1行間隔の行単位で配置されるように区分することを特徴とする光飛行型測距装置。
  10. 請求項1から8の何れか一項に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、他の画素グループを1つとし、一の画素グループに属する受光素子と他の画素グループに属する受光素子とがそれぞれ市松模様で配置されるように区分することを特徴とする光飛行型測距装置。
  11. 請求項1から8の何れか一項に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、他の画素グループを第1の他の画素グループと第2の他の画素グループとを含む2つとし、何れか1つの画素グループに属する受光素子が市松模様で配置され、残りの2つの画素グループにそれぞれ属する受光素子が市松模様の残りに1行間隔の行単位で配置されるように区分することを特徴とする光飛行型測距装置。
  12. 請求項1から8の何れか一項に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、他の画素グループを第1の他の画素グループと第2の他の画素グループとを含む2つとし、全ての画素グループが全ての行に配置されるように区分することを特徴とする光飛行型測距装置。
  13. 請求項1から12の何れか一項に記載した光飛行型測距装置において、
    前記制御手段は、所定の受光素子が一の画素グループに属する期間と他の画素グループに属する期間とを切り替えることを特徴とする光飛行型測距装置。
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