JP2016098573A - 残留変位復元機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震などによる構造物の残留変位を復元できるとともに設置にかかるコストを抑えることができる残留変位復元機構を提供する。【解決手段】地盤Gに支持された掘割12と、掘割12の内部に収容された液体13と、掘割12との間にクリアランス2が形成されるように液体13の内部に配置され掘割12と水平方向に相対変位可能な構造物14と、を有する免震構造物(免震構造)11に設けられて掘割12に対する構造物14の残留変位を復元する残留変位復元機構1において、クリアランス2は複数の区画3,3…に区分され、複数の区画3,3…には構造物14が掘割12に対して正位置に配置された際にそれぞれ水位が等しくなるように液体13が収容されていて、複数の区画3,3…は掘割12と構造物14との水平方向の相対変位に追従して変形可能であり、隣り合う区画3,3間における液体13の流出入は阻止または抑制されている。【選択図】図1

Description

本発明は例えば地震が発生した際に生じる構造物の残留変位を復元する残留変位復元機構に関する。
従来、例えば湾岸地域などの軟弱地盤地域における免震構造として、水などの液体の浮力を利用する免震構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような免震構造は地盤に構築された適度な深さの掘割の内部に掘割と相対移動可能な構造物を設置するとともに掘割の内部に液体を入れ、構造物に液体の浮力を作用させて掘割の底面と構造物の底面との接地圧を下げている。
このような構造では原地盤の上に直接構造物を構築する場合と比べて、地盤沈下の抑制効果を期待できる。また、予め設定された閾値以上の水平地震力が作用した際に掘割の底面と構造物の底面との間に滑りが生じて、この閾値以上の水平地震力が構造物に伝達しない免震効果を期待できる。
特開2009−293324号公報
ところで、このような免震構造において地震などにより掘割と構造物とが水平方向に相対変位すると、掘割(地盤)と構造物との相対的な残留変位が生じる可能性がある。このため、このような免震構造には残留変位を復元するための復元機構を設置する必要がある。復元機構としては例えば積層ゴムや係留装置などの機械的な機構が一般的である。
しかしながら、このような復元機構の設置には復元機構を掘割や地盤に固定するためのアンカリングなどを含めてコストがかかるという問題がある。
そこで、本発明は、地震などによる構造物の残留変位を復元できるとともに設置にかかるコストを抑えることができる残留変位復元機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る残留変位復元機構は、地盤に支持された掘割と、該掘割の内部に収容された液体と、前記掘割との間にクリアランスが形成されるように前記液体の内部に配置され前記掘割と水平方向に相対変位可能な構造物と、を有する免震構造に設けられて前記掘割に対する前記構造物の残留変位を復元する残留変位復元機構において、前記クリアランスは複数の区画に区分され、該複数の区画には前記構造物が前記掘割に対して正位置に配置された際にそれぞれ水位が等しくなるように前記液体が収容されていて、前記複数の区画は前記掘割と前記構造物との水平方向の相対変位に追従して変形可能であり、隣り合う前記区画間における前記液体の流出入は阻止または抑制されていることを特徴とする。
本発明では、掘割と構造物との間のクリアランスが複数の区画に区画され、これらの複数の区画が掘割と構造物との水平方向の相対変位に追従して変形可能である。そして、掘割と構造物との水平方向の相対変位が生じると、平面視で各区画形状が変形して各区画に収容された液体の水位がそれぞれ変化する。このとき、掘割と構造物とが接近した区画はその平面積が小さくなり水位が高くなり、掘割と構造物とが離間した区画はその平面積が大きくなり水位が低くなる。
そして、液体の静水圧によって、水位が高くなった区画では平面積を広げようと外方に向かう力が生じるため、この力が掘割と構造物とを離間させるように作用する。また、水位が低くなった区画は、水位が高くなった区画に生じる力によって平面積が小さくなるように押され、各区画の水位が均等となるように掘割と構造物とが相対移動する。これにより、構造物が掘割に対し正位置に復元される。このように、液体の静水圧の差(水位差)を利用して、構造物を掘割(地盤)に対して正位置に復元することができる。
また、本発明による残留変位復元機構では、掘割と構造物とのクリアランスを区分し区画間の水位差を利用する簡便な構成であるため、例えば積層ゴムや係留装置などの機械的な機構を有する残留変位復元機構と比べて設置にかかるコストを抑えることができる。
また、本発明に係る残留変位復元機構では、前記クリアランスは平面視において前記構造物を囲む環状に形成され、前記複数の区画は前記クリアランスの周方向に配列されていて、隣り合う前記区画の境界には区分体が設けられていて、前記区分体は前記掘割および前記構造物に固定され、前記掘割と前記構造物との水平方向の相対変位に追従して変形可能であるとともに、隣り合う前記区画間における前記液体の流出入を阻止または抑制することを特徴とする
本発明では、クリアランスが環状に形成され、区分体がクリアランスを周方向に複数の区画に区分している。そして、区分体がクリアランスにおける液体の周方向の移動を阻止または抑制することができる。これにより、どの水平方向に掘割と構造物とが相対変位した場合にも、相対変位した水平方向の両側に水位差が生じた区画が配置されるため、これらの区画の水位差を利用して構造物を掘割に対して正位置に復元することができる。
また、本発明に係る残留変位復元機構では、前記区分体は可撓性を有する膜体であることが好ましい。
このような構成とすることにより、区分体を容易にかつ安価に構築することができる。
また、本発明に係る残留変位復元機構では、前記膜体には周方向に隣り合う区画間において前記液体が流出入可能な孔部が形成されていてもよい。
このような構成とすることにより、周方向に隣り合う区画間において孔部から液体が流出入可能となり、液体によって膜体に作用する水圧が小さくなる。これにより、孔部が形成されていない膜体と比べて、膜体の必要強度を小さくすることができるとともに、膜体が掘割および構造物に固定されている部分の必要強度を小さくすることができる。このため、膜体および膜体を固定する構造の簡便化を図ることができ、コストを削減することができる。
本発明によれば、地震時などの構造物の残留変位を復元できるとともに設置にかかるコストを抑えることができる。
(a)は本発明の実施形態による残留変位復元機構の一例を示し構造物が正位置に配置された様子を示す平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は構造物が正位置から変位した様子を示す平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 本発明の実施形態による残留変位復元機構と同様の復元力を有する線形ばねを用いた残留変位復元機構を示す図である。 (a)本発明の実施形態による残留変位復元機構の残留変位の復元効果を検証するための遠心実験に用いた模型を示す平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。 (a)はケース1における構造物の応答加速度の時刻歴波形を示すグラフ、(b)はケース1における地震加速度(入力)の時刻歴波形を示すグラフを示すグラフである。 (a)はケース2における構造物の応答加速度の時刻歴波形を示すグラフ、(b)はケース2における地震加速度(入力)の時刻歴波形を示すグラフを示すグラフである。 (a)はケース1における構造物と掘割との相対的な残留変位量の時刻歴波形を示すグラフ、(b)はケース2における構造物と掘割との相対的な残留変位量の時刻歴波形を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態による残留変位復元機構について、図1乃至図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による残留変位復元機構1は免震構造物(免震構造)11に設けられている。
免震構造物11は、地盤Gを掘削して構築された掘割12と、掘割12の内部に収容された液体13と、液体13の内部に配置され掘割12と水平方向に相対移動可能な構造物14と、を有している。
掘割12は平面視において略長方形状の底部121と、底部121の外縁部から上方に延びる角筒状の側壁部122とを有している。ここで、底部121の上面121aを掘割12の底面12aとして以下説明する。また、側壁部122は底部121の平面視略長方形の各辺からそれぞれ上方に延びる4つの第1側壁部122A〜第4側壁部122Dから構成されているものとする。
構造物14は平面視において掘割12よりも小さい略長方形状に形成されている。構造物14は下部側の基礎部141が掘割12の内部に配置されている。
ここで、基礎部141の下面を構造物14の底面14aとして説明する。また、構造物14の外周面142は構造物14の平面略長方形の各辺に対応する4つの第1側面142A〜第4側面142Dから構成されているものとする。
なお、構造物14の第1側面142Aが掘割12の第1側壁部122Aと対向し、構造物14の第2側面142Bが掘割12の第2側壁部122Bと対向し、構造物14の第3側面142Cが掘割12の第3側壁部122Cと対向し、構造物14の第4側面142Dが掘割12の第4側壁部122Dと対向している。
本実施形態では、構造物14は地震などが生じていない通常時において、各側面141A〜141Dがそれぞれ掘割12の各側壁部122A〜122Dと略同じ寸法をあけるように対向している。これにより、構造物14と掘割12との間には平面視において環状のクリアランス2が形成されている。
ここで、掘割12(地盤G)に対してこのように配置された構造物14の位置を正位置として以下説明する。
液体13は例えば水などで、構造物14に浮力を作用させて掘割12の底面12aと構造物14の底面14aとの接地圧を下げるように構成されている。そして、本実施形態による免震構造物11では、地盤Gから掘割12に予め設定された閾値以上の水平地震力が作用すると、掘割12の底面12aと構造物14の底面14aとが滑るようにして掘割12と構造物14とが相対変位するように構成されている。
また、クリアランス2には、このクリアランス2を周方向に複数の区画3,3…に区分する膜体(区分体)4,4…が設けられている。膜体4,4…はその面がクリアランス2の周方向を向くシート状の部材で、その面でクリアランス2を周方向に区分している。
膜体4,4…はその面が略長方形状に形成され、上縁部4a側が液体13の上面よりも上側に位置し、下縁部4b側が掘割12の底面12aと当接し、一方の側縁部4c側が掘割12の側壁部122に固定され、他方の側縁部4d側が構造物14の外周面142に固定されている。
なお、本実施形態では、膜体4は4つ設けられていて、一方の側縁部4c側が平面視における掘割12の角部に固定され、他方の側縁部4d側が構造物14の角部に固定されている。そして、膜体4,4…は掘割12と構造物14とが相対変位した際にその変位に追従してその変位を妨げないように形成されている。例えば、膜体4,4…は、可撓性を有し膜体4の掘割12に固定されている部分から構造物14に固定されている部分までの寸法が、掘割12と構造物14とが相対変位した際の掘割12と構造物14との間の寸法の最大値以上に形成されていたり、掘割12と構造物14との相対変位に追従するように伸縮可能に形成されていたりしている。
このような膜体4,4…に区分された区画3,3…には、それぞれ液体13が収容されていて、膜体4,4…が膜体4の一方側の区画3と他方側の区画3との間の液体13の流出入を阻止するように構成されている。各区画3,3…に収容された液体13の水位は、構造物14が掘割12に対して正位置に配置された際に略同じ水位となるように設定されている。
そして、掘割12と構造物14とが水平方向に相対変位し、この相対変位に追従して膜体4,4…が変形すると、各区画3,3…の平面視形状がそれぞれ変形し平面積が変化するため、各区画3,3…に収容された液体13の水位がそれぞれ変化して異なるように構成されている。
次に、上述した免震構造物11に水平地震力が作用した際の様子について説明する。
まず、地震が生じると地盤Gから免震構造物11に水平地震力が作用する。このとき、免震構造物11に作用する水平地震力が予め設定された閾値よりも小さい場合は、掘割12と構造物14とが一体に震動する。
また、免震構造物11に作用する水平地震力が予め設定された閾値以上の場合は、掘割12の底面12aと構造物14の底面14aとが滑るようにして掘割12と構造物14とが水平方向に相対変位する。このとき、地盤Gに支持された掘割12には水平地震力が作用しているが、構造物14には水平地震力がほとんど作用しない。なお、厳密には水平地震力によって生じる掘割12の振動が液体13の動水圧を介して構造物14に伝達するが、クリアランス2を所定の値よりも大きくしておけば、構造物14に伝達される水平地震力を無視できるほど小さくすることができる。
そして、掘割12と構造物14とが相対変位すると、構造物14は掘割12に対する正位置から変位するため、掘割12に対して残留変位が生じた状態となる。
このとき、掘割12と構造物14との相対変位とこの相対変形に追従した膜体4,4…の変形によって、クリアランス2の各区画3,3…における平面視形状がそれぞれ変形する。そして、平面視形状の変形による平面積の変化に伴い、各区画3,3…の液体13の水位が変化し、各区画3,3…の液体13の水位が均等ではなくなる。
例えば、図2に示すように、掘割12と構造物14とが相対変位し、掘割12に対して構造物14が図2における右側に変位すると、図2における構造物14の右側の第1区画3Aは平面積が小さくなり水位が上昇し、構造物14の左側の第3区画3Cは平面積が大きくなり水位が低下する。なお、図2(a)における構造物14の下側の第2区画3Bおよび上側の第4区画3Dの水位はほとんど変化せず、第1区画3Aの水位と第3区画3Cの水位の間の水位となっている。なお、図2(b)では、構造物14が掘割12に対して正位置に配置されていた際の水位を2点鎖線で示している。
そして、この水位差によって水位の高い側から低い側に向かって力が作用するため、この力が構造物14に復元力として作用し、構造物14が図1に示す掘割12に対する正位置に復元される。なお、膜体4,4…は可撓性を有していたり伸縮性を有していたりするが、水位差によって作用する力が所定値以上となると膜体4,4…はこの所定値以上の力に伴った変形はほとんどしないものとし、水位差によって作用する力は構造物14に対して作用するように構成されている。
これにより、掘割12に対する構造物14の残留変位が復元される。このとき、液体13による復元力は、図3に示すような掘割12と構造物14との間に線形ばね15が設けられた際の線形ばね15の復元力と同様の作用をもたらしている。
次に、液体13の水位差による構造物14の残留変位の復元効果を検証するために、模型を用いた遠心実験を行った。この実験について説明する。
図4に示すように、実験に用いた模型では、掘割12と構造物14が構造物14の第1側面142Aおよび第3側面142Cに直交する一の水平方向(図4の矢印Cの方向)に相対変位可能で、この一の水平方向に直交する水平方向への相対変位は拘束されている。そして、掘割12の第2側壁部122Bと構造物14の第2側面142Bとが当接し、掘割12の第4側壁部122Dと構造物14の第4側面142Dとが当接した状態で、掘割12と構造物14とが一の水平方向へ相対変位するように構成されている。
また、構造物14が掘割12に対する正位置に設置されると、構造物14の第1側面142Aと掘割12の第1側壁部122Aとの間に区画3Eが形成されるとともに、構造物14の第3側面142Cと掘割12の第3側壁部122Cとの間に区画3Fが形成され、これらの区画3E,3Fには液体13が同じ水位となるように収容されている。
なお、構造物14は平面視において240mm×120mmの略長方形状に形成され、平面視における略長方形の短辺に対応する側面が第1側面142Aおよび第3側面142Cとなり、長辺に対応する側面が第2側面142B,第4側面142Dとなっている。
また、構造物14の底面14a、掘割12の第2側壁部122Bの内側の面および第4側壁部122Dの内側の面には、掘割12と構造物14との摩擦を低減させるようにテフロン(登録商標)のシートなどが貼りつけられている。
なお、この模型は、図1に示す上記の実施形態のように構造部14の周囲に環状のクリアランス2が形成され、環状のクリアランス2が膜体4,4…によって複数の区画3,3…に区分された構成ではないが、構造物14の周囲に2つの区画3E,3Fが形成され、掘割12と構造物14との相対変位によって2つの区画3E,3Fに収容された液体13に水位差が生じるように構成されている。そして、この水位差によって構造物14に復元力が作用するため、この実験によって液体13の水位差による構造物14の残留変位の復元効果を検証できるものとしている。
そして、構造物14が掘割12に対して正位置に配置された状態における、掘割12の第1側壁部122Aと構造物14の第1側面142Aとの間隔および掘割12の第3側壁部122Cと構造物14の第3側面142Cとの間隔を30mmとした場合をケース1とし、90mmとした場合をケース2として、それぞれ実験を行った。
実験では掘割12と構造物14とが相対変位可能な水平方向(矢印Cの方向)を加振方向とし、遠心加速度30Gの加振を行った。また、模型には、鉛直方向の加速度計、水平方向の加速度計、レーザー変位計を設置している。
また、液体13による構造物14の浮力負担は84%としている。
図5(a)に遠心実験によって得られたケース1の地震加速度(入力)の時刻歴波形を示し、図5(b)に遠心実験によって得られたケース1の構造物加速度(応答)の時刻歴波形を示す。また、図6(a)に遠心実験によって得られたケース2の地震加速度(入力)の時刻歴波形を示し、図6(b)に遠心実験によって得られたケース2の構造物加速度(応答)の時刻歴波形を示す。
また、図7(a)に遠心実験によって得られたケース1の掘割12と構造物14との相対的な残留変位量の時刻歴波形を示し、図7(b)に遠心実験によって得られたケース2の掘割12と構造物14との相対的な残留変位量の時刻歴波形を示す。
図5および図6より、ケース1、ケース2ともに構造物14の応答加速度はあるレベル以上とならないことから、構造物14への地震力の伝達が抑制されていることがわかる。
一方、図7より、掘割12と構造物14の相対的な残留変位量については、ケース1とケース2とで差異があることがわかる。ケース1よりも掘割12と構造物14との間隔が大きいケース2では、時間の経過とともに穏やかに掘割12と構造物14との相対的な残留変位量が大きくなっていくのに対して、ケース2よりも掘割12と構造物14との間隔が小さいケース1では、掘割12と構造物14との相対的な残留変位量がほとんど生じていないことがわかる。
そして、ケース1における構造物14の残留変位量は、ケース2における構造物14の残留変位量の1/3程度に押さえられていることがわかる。
これらのことより、水位差による復元力を利用することで、掘割12と構造物14との相対的な残留変位を小さくできることがわかる。また、ケース1のように掘割12と構造物14との間隔が小さい場合は、ケース2のように掘割12と構造物14との間隔が大きい場合と比べて、掘割12と構造物14とが相対変位した際の区画3E,3F間の水位差が大きいため、構造物14に作用する復元力が大きくなり、構造物14の残留変位を小さくできることがわかる。
次に、上述した残留変位復元機構1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による残留変位復元機構1では、掘割12と構造物14との間のクリアランス2が複数の区画3,3…に区画され、これらの複数の区画3,3…が掘割12と構造物14との水平方向の相対変位に追従して変形可能である。そして、掘割12と構造物14との水平方向の相対変位が生じると、平面視で各区画3,3…の形状が変形して各区画3,3…に収容された液体13の水位がそれぞれ変化する。このとき、掘割12と構造物14とが接近した区画3はその平面積が小さくなり水位が高くなり、掘割12と構造物14とが離間した区画3はその平面積が大きくなり水位が低くなる。
そして、液体13の静水圧によって、水位が高くなった区画3では平面積を広げようと外方に向かう力が生じるため、この力が掘割12と構造物14とを離間させるように作用する。また、水位が低くなった区画3は、水位が高くなった区画3に生じる力によって平面積が小さくなるように押され、各区画3,3…の水位が均等となるように掘割12と構造物14とが相対変位する。これにより、構造物14が掘割12に対し正位置に復元される。このように、液体13の静水圧の差(水位差)を利用して、構造物14を掘割12(地盤G)に対して正位置に復元することができる。
また、本実施形態では、クリアランス2は平面視において構造物14を囲む環状に形成され、複数の区画3,3…はクリアランス2の周方向に配列されている。これにより、どの水平方向に掘割12と構造物14とが相対変位した場合にも、相対変位した水平方向の両側に水位差が生じた区画3,3…が配置されるため、これらの区画3,3…の水位差を利用して構造物14を掘割12に対して正位置に復元することができる。
また、本実施形態では、掘割12と構造物14とのクリアランス2を膜体4で区分し区画3,3間の水位差を利用する簡便な構成であるため、例えば積層ゴムや係留装置などの機械的な機構を有する残留変位復元機構と比べて設置にかかるコストを抑えることができる。
以上、本発明による残留変位復元機構の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、掘割12および構造物14が平面視において略長方形状に形成されているが、任意の形状に形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、膜体4,4…は、掘割12および構造物14の平面視における角部に連結されているが、膜体4,4…がクリアランス2を区分する位置や区分される区画3,3…の数は適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、膜体4は膜体4を介して隣り合う区画3,3間の液体13の流出入を阻止するように構成されているが、構造物14の残留変位を復元可能であれば、例えば、膜体4に孔部が形成されていて、膜体4を介して隣り合う区画3,3間の液体13の流出入を抑制するように構成されていてもよい。
このように構成されることにより、隣り合う区画3,3間において孔部から液体13が流出入可能となり、液体13によって膜体4に作用する水圧が小さくなる。これにより、孔部が形成されていない膜体4と比べて、膜体4の必要強度を小さくすることができるとともに、膜体4が掘割12および構造物14に固定されている部分の必要強度を小さくすることができる。このため、膜体4および膜体4を固定する構造の簡便化を図ることができ、コストを削減することができる。
また、膜体4は、膜体4を介して隣り合う区画3,3間の液体13の流出入を抑制できるようであれば、掘割12や構造物14との間に隙間が形成されていてもよい。
なお、膜体4に孔部が形成されていたり、掘割12や構造物14との間に隙間が形成されていたりする場合は、膜体4に対する孔部や隙間の開口率を、免震構造物11に所定の大きさの水平地震力が作用した際の所定時間経過後の残留変位量が予め設定された許容値以下とできる値に設定されていることが好ましい。
また、上記の実施形態では、膜体4,4…によってクリアランス2が複数の区画3,3…に区分されているが、膜体4,4…以外の区分体によって複数の区画3,3…に区分されていてもよい。例えば、区分体として、幅方向に伸縮する蛇腹状の部材や、複数の板材が幅方向にそれぞれ回動可能に連結された部材などとしてもよい。
1 残留変位復元機構
2 クリアランス
3 区画
4 膜体(区分体)
11 免震構造物(免震構造)
12 掘割
13 液体
14 構造物
G 地盤

Claims (4)

  1. 地盤に支持された掘割と、
    該掘割の内部に収容された液体と、
    前記掘割との間にクリアランスが形成されるように前記液体の内部に配置され前記掘割と水平方向に相対変位可能な構造物と、を有する免震構造に設けられて前記掘割に対する前記構造物の残留変位を復元する残留変位復元機構において、
    前記クリアランスは複数の区画に区分され、
    該複数の区画には前記構造物が前記掘割に対して正位置に配置された際にそれぞれ水位が等しくなるように前記液体が収容されていて、
    前記複数の区画は前記掘割と前記構造物との水平方向の相対変位に追従して変形可能であり、隣り合う前記区画間における前記液体の流出入は阻止または抑制されていることを特徴とする残留変位復元機構。
  2. 前記クリアランスは平面視において前記構造物を囲む環状に形成され、前記複数の区画は前記クリアランスの周方向に配列されていて、
    隣り合う前記区画の境界には区分体が設けられていて、前記区分体は前記掘割および前記構造物に固定され、前記掘割と前記構造物との水平方向の相対変位に追従して変形可能であるとともに、隣り合う前記区画間における前記液体の流出入を阻止または抑制することを特徴とする請求項1に記載の残留変位復元機構。
  3. 前記区分体は可撓性を有する膜体であることを特徴とする請求項2に記載の残留変位復元機構。
  4. 前記膜体には周方向に隣り合う区画間において前記液体が流出入可能な孔部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の残留変位復元機構。
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