JP2016098573A - 残留変位復元機構 - Google Patents
残留変位復元機構 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016098573A JP2016098573A JP2014236957A JP2014236957A JP2016098573A JP 2016098573 A JP2016098573 A JP 2016098573A JP 2014236957 A JP2014236957 A JP 2014236957A JP 2014236957 A JP2014236957 A JP 2014236957A JP 2016098573 A JP2016098573 A JP 2016098573A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- split
- digging
- liquid
- residual displacement
- sections
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
Description
このような構造では原地盤の上に直接構造物を構築する場合と比べて、地盤沈下の抑制効果を期待できる。また、予め設定された閾値以上の水平地震力が作用した際に掘割の底面と構造物の底面との間に滑りが生じて、この閾値以上の水平地震力が構造物に伝達しない免震効果を期待できる。
しかしながら、このような復元機構の設置には復元機構を掘割や地盤に固定するためのアンカリングなどを含めてコストがかかるという問題がある。
また、本発明による残留変位復元機構では、掘割と構造物とのクリアランスを区分し区画間の水位差を利用する簡便な構成であるため、例えば積層ゴムや係留装置などの機械的な機構を有する残留変位復元機構と比べて設置にかかるコストを抑えることができる。
このような構成とすることにより、区分体を容易にかつ安価に構築することができる。
このような構成とすることにより、周方向に隣り合う区画間において孔部から液体が流出入可能となり、液体によって膜体に作用する水圧が小さくなる。これにより、孔部が形成されていない膜体と比べて、膜体の必要強度を小さくすることができるとともに、膜体が掘割および構造物に固定されている部分の必要強度を小さくすることができる。このため、膜体および膜体を固定する構造の簡便化を図ることができ、コストを削減することができる。
図1に示すように、本実施形態による残留変位復元機構1は免震構造物(免震構造)11に設けられている。
免震構造物11は、地盤Gを掘削して構築された掘割12と、掘割12の内部に収容された液体13と、液体13の内部に配置され掘割12と水平方向に相対移動可能な構造物14と、を有している。
ここで、基礎部141の下面を構造物14の底面14aとして説明する。また、構造物14の外周面142は構造物14の平面略長方形の各辺に対応する4つの第1側面142A〜第4側面142Dから構成されているものとする。
なお、構造物14の第1側面142Aが掘割12の第1側壁部122Aと対向し、構造物14の第2側面142Bが掘割12の第2側壁部122Bと対向し、構造物14の第3側面142Cが掘割12の第3側壁部122Cと対向し、構造物14の第4側面142Dが掘割12の第4側壁部122Dと対向している。
ここで、掘割12(地盤G)に対してこのように配置された構造物14の位置を正位置として以下説明する。
膜体4,4…はその面が略長方形状に形成され、上縁部4a側が液体13の上面よりも上側に位置し、下縁部4b側が掘割12の底面12aと当接し、一方の側縁部4c側が掘割12の側壁部122に固定され、他方の側縁部4d側が構造物14の外周面142に固定されている。
そして、掘割12と構造物14とが水平方向に相対変位し、この相対変位に追従して膜体4,4…が変形すると、各区画3,3…の平面視形状がそれぞれ変形し平面積が変化するため、各区画3,3…に収容された液体13の水位がそれぞれ変化して異なるように構成されている。
まず、地震が生じると地盤Gから免震構造物11に水平地震力が作用する。このとき、免震構造物11に作用する水平地震力が予め設定された閾値よりも小さい場合は、掘割12と構造物14とが一体に震動する。
また、免震構造物11に作用する水平地震力が予め設定された閾値以上の場合は、掘割12の底面12aと構造物14の底面14aとが滑るようにして掘割12と構造物14とが水平方向に相対変位する。このとき、地盤Gに支持された掘割12には水平地震力が作用しているが、構造物14には水平地震力がほとんど作用しない。なお、厳密には水平地震力によって生じる掘割12の振動が液体13の動水圧を介して構造物14に伝達するが、クリアランス2を所定の値よりも大きくしておけば、構造物14に伝達される水平地震力を無視できるほど小さくすることができる。
このとき、掘割12と構造物14との相対変位とこの相対変形に追従した膜体4,4…の変形によって、クリアランス2の各区画3,3…における平面視形状がそれぞれ変形する。そして、平面視形状の変形による平面積の変化に伴い、各区画3,3…の液体13の水位が変化し、各区画3,3…の液体13の水位が均等ではなくなる。
これにより、掘割12に対する構造物14の残留変位が復元される。このとき、液体13による復元力は、図3に示すような掘割12と構造物14との間に線形ばね15が設けられた際の線形ばね15の復元力と同様の作用をもたらしている。
図4に示すように、実験に用いた模型では、掘割12と構造物14が構造物14の第1側面142Aおよび第3側面142Cに直交する一の水平方向(図4の矢印Cの方向)に相対変位可能で、この一の水平方向に直交する水平方向への相対変位は拘束されている。そして、掘割12の第2側壁部122Bと構造物14の第2側面142Bとが当接し、掘割12の第4側壁部122Dと構造物14の第4側面142Dとが当接した状態で、掘割12と構造物14とが一の水平方向へ相対変位するように構成されている。
なお、構造物14は平面視において240mm×120mmの略長方形状に形成され、平面視における略長方形の短辺に対応する側面が第1側面142Aおよび第3側面142Cとなり、長辺に対応する側面が第2側面142B,第4側面142Dとなっている。
また、構造物14の底面14a、掘割12の第2側壁部122Bの内側の面および第4側壁部122Dの内側の面には、掘割12と構造物14との摩擦を低減させるようにテフロン(登録商標)のシートなどが貼りつけられている。
また、液体13による構造物14の浮力負担は84%としている。
また、図7(a)に遠心実験によって得られたケース1の掘割12と構造物14との相対的な残留変位量の時刻歴波形を示し、図7(b)に遠心実験によって得られたケース2の掘割12と構造物14との相対的な残留変位量の時刻歴波形を示す。
一方、図7より、掘割12と構造物14の相対的な残留変位量については、ケース1とケース2とで差異があることがわかる。ケース1よりも掘割12と構造物14との間隔が大きいケース2では、時間の経過とともに穏やかに掘割12と構造物14との相対的な残留変位量が大きくなっていくのに対して、ケース2よりも掘割12と構造物14との間隔が小さいケース1では、掘割12と構造物14との相対的な残留変位量がほとんど生じていないことがわかる。
そして、ケース1における構造物14の残留変位量は、ケース2における構造物14の残留変位量の1/3程度に押さえられていることがわかる。
上述した本実施形態による残留変位復元機構1では、掘割12と構造物14との間のクリアランス2が複数の区画3,3…に区画され、これらの複数の区画3,3…が掘割12と構造物14との水平方向の相対変位に追従して変形可能である。そして、掘割12と構造物14との水平方向の相対変位が生じると、平面視で各区画3,3…の形状が変形して各区画3,3…に収容された液体13の水位がそれぞれ変化する。このとき、掘割12と構造物14とが接近した区画3はその平面積が小さくなり水位が高くなり、掘割12と構造物14とが離間した区画3はその平面積が大きくなり水位が低くなる。
また、本実施形態では、掘割12と構造物14とのクリアランス2を膜体4で区分し区画3,3間の水位差を利用する簡便な構成であるため、例えば積層ゴムや係留装置などの機械的な機構を有する残留変位復元機構と比べて設置にかかるコストを抑えることができる。
例えば、上記の実施形態では、掘割12および構造物14が平面視において略長方形状に形成されているが、任意の形状に形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、膜体4,4…は、掘割12および構造物14の平面視における角部に連結されているが、膜体4,4…がクリアランス2を区分する位置や区分される区画3,3…の数は適宜設定されてよい。
このように構成されることにより、隣り合う区画3,3間において孔部から液体13が流出入可能となり、液体13によって膜体4に作用する水圧が小さくなる。これにより、孔部が形成されていない膜体4と比べて、膜体4の必要強度を小さくすることができるとともに、膜体4が掘割12および構造物14に固定されている部分の必要強度を小さくすることができる。このため、膜体4および膜体4を固定する構造の簡便化を図ることができ、コストを削減することができる。
また、膜体4は、膜体4を介して隣り合う区画3,3間の液体13の流出入を抑制できるようであれば、掘割12や構造物14との間に隙間が形成されていてもよい。
なお、膜体4に孔部が形成されていたり、掘割12や構造物14との間に隙間が形成されていたりする場合は、膜体4に対する孔部や隙間の開口率を、免震構造物11に所定の大きさの水平地震力が作用した際の所定時間経過後の残留変位量が予め設定された許容値以下とできる値に設定されていることが好ましい。
2 クリアランス
3 区画
4 膜体(区分体)
11 免震構造物(免震構造)
12 掘割
13 液体
14 構造物
G 地盤
Claims (4)
- 地盤に支持された掘割と、
該掘割の内部に収容された液体と、
前記掘割との間にクリアランスが形成されるように前記液体の内部に配置され前記掘割と水平方向に相対変位可能な構造物と、を有する免震構造に設けられて前記掘割に対する前記構造物の残留変位を復元する残留変位復元機構において、
前記クリアランスは複数の区画に区分され、
該複数の区画には前記構造物が前記掘割に対して正位置に配置された際にそれぞれ水位が等しくなるように前記液体が収容されていて、
前記複数の区画は前記掘割と前記構造物との水平方向の相対変位に追従して変形可能であり、隣り合う前記区画間における前記液体の流出入は阻止または抑制されていることを特徴とする残留変位復元機構。 - 前記クリアランスは平面視において前記構造物を囲む環状に形成され、前記複数の区画は前記クリアランスの周方向に配列されていて、
隣り合う前記区画の境界には区分体が設けられていて、前記区分体は前記掘割および前記構造物に固定され、前記掘割と前記構造物との水平方向の相対変位に追従して変形可能であるとともに、隣り合う前記区画間における前記液体の流出入を阻止または抑制することを特徴とする請求項1に記載の残留変位復元機構。 - 前記区分体は可撓性を有する膜体であることを特徴とする請求項2に記載の残留変位復元機構。
- 前記膜体には周方向に隣り合う区画間において前記液体が流出入可能な孔部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の残留変位復元機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014236957A JP6425075B2 (ja) | 2014-11-21 | 2014-11-21 | 残留変位復元機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014236957A JP6425075B2 (ja) | 2014-11-21 | 2014-11-21 | 残留変位復元機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016098573A true JP2016098573A (ja) | 2016-05-30 |
JP6425075B2 JP6425075B2 (ja) | 2018-11-21 |
Family
ID=56076482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014236957A Active JP6425075B2 (ja) | 2014-11-21 | 2014-11-21 | 残留変位復元機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6425075B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09112069A (ja) * | 1995-10-17 | 1997-04-28 | Ohbayashi Corp | 構造物のダンパー機構 |
JP2002276196A (ja) * | 2001-03-14 | 2002-09-25 | Nishimatsu Constr Co Ltd | 免震構造 |
JP2003021192A (ja) * | 2001-07-06 | 2003-01-24 | Shimizu Corp | 浮体式免振装置における浮体の弾性係留方法 |
JP2005083018A (ja) * | 2003-09-05 | 2005-03-31 | Shimizu Corp | 浮遊式免震構造 |
JP2007211445A (ja) * | 2006-02-08 | 2007-08-23 | Shimizu Corp | 浮体式免震構造 |
-
2014
- 2014-11-21 JP JP2014236957A patent/JP6425075B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09112069A (ja) * | 1995-10-17 | 1997-04-28 | Ohbayashi Corp | 構造物のダンパー機構 |
JP2002276196A (ja) * | 2001-03-14 | 2002-09-25 | Nishimatsu Constr Co Ltd | 免震構造 |
JP2003021192A (ja) * | 2001-07-06 | 2003-01-24 | Shimizu Corp | 浮体式免振装置における浮体の弾性係留方法 |
JP2005083018A (ja) * | 2003-09-05 | 2005-03-31 | Shimizu Corp | 浮遊式免震構造 |
JP2007211445A (ja) * | 2006-02-08 | 2007-08-23 | Shimizu Corp | 浮体式免震構造 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6425075B2 (ja) | 2018-11-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2013142429A (ja) | 免震機構 | |
JP2008208969A (ja) | 三次元除震装置 | |
JP2016105021A (ja) | 免震機構 | |
JP2016098573A (ja) | 残留変位復元機構 | |
JP5683395B2 (ja) | 防振装置 | |
JP2011099544A (ja) | 免震装置 | |
JP6007092B2 (ja) | 構造物荷重を利用した地盤の液状化対策構造 | |
JP2018062823A (ja) | 免震構造 | |
JP6372692B2 (ja) | 浮力式免震基礎構造の構築方法、および浮力式免震基礎構造 | |
TWI577859B (zh) | 免震構造 | |
JP4277185B2 (ja) | 浮体式免震構造物の付加減衰機構 | |
JP2010001668A (ja) | 地盤振動伝達抑制システム | |
Taboada Saavedra et al. | Seismic response of a five story building with isolation system and supplemental viscous dampers for peruvian seismicity | |
JP2015165067A (ja) | 擁壁の構造 | |
JP2004027732A (ja) | 浮体式免震構造物の免震構造 | |
CA3179519A1 (en) | Floating-type base isolation system | |
JP5644386B2 (ja) | 津波高潮減災構造物 | |
JP2016205413A (ja) | 免震構造 | |
Bagheri et al. | Seismic response of base isolated liquid storage tanks under near fault ground motions | |
JP4640665B2 (ja) | 浮体式上下免振方法 | |
JP6384174B2 (ja) | 制振構造 | |
JP2014224407A (ja) | 多段積みコンクリートブロックの耐震機能を向上させた堤体構造 | |
JP2013213352A (ja) | 耐震性と制震性を高めた堤体構造 | |
JP4707287B2 (ja) | 構造物の基礎構造 | |
JP2004353257A (ja) | 浮体減衰装置、及び浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170517 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180315 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180327 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180524 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180911 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20181010 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6425075 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |