JP2016097434A - 熱交換器用チューブおよびその製造方法 - Google Patents

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雅之 牧田
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雅之 牧田
稲垣 充晴
Mitsuharu Inagaki
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Abstract

【課題】ろう付け時に溶解した低温ろう材により、チューブを構成する板状部材が侵食されることを抑制できる熱交換器用チューブおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】筒状部材10の内部には、第1板状部材100を波状に折り曲げることにより形成されているインナーフィン12が設けられており、第1板状部材100は、芯材の両面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、筒状部材10は、第2板状部材200の一端部11eを折り曲げて、第2板状部材200の他端部11fおよびインナーフィン12の一端部15aを挟み込むようにかしめたカシメ部11bを有しており、カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと筒状部材10の外壁を構成する外壁部11cとの隙間5には、ろう材フィレット6が設けられており、ろう材フィレット6は、インナーフィン12の一端部15aと接続している。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱交換器に適用される熱交換器用チューブおよびその製造方法に関するものである。
従来、複数のチューブを積層配置したコア部と、複数のチューブのそれぞれに連通するヘッダタンクとを備え、各構成部材が相互にろう付け接合された熱交換器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の熱交換器では、チューブとして、一枚の板状部材(例えば、金属板)を折り曲げ、板状部材の端部同士をかしめることによって形成される断面扁平形状のチューブが用いられている。
この特許文献1に記載のチューブは、板状部材を湾曲させた湾曲端部と、対向する一対の平板部と、湾曲端部の反対側において板状部材の一方の端部を、板状部材の他方の端部の端部を挟み込むように折り曲げてかしめたカシメ部とを備えている。また、このチューブ内には、インナーフィンが設けられている。また、このチューブでは、カシメ部における板状部材の一方の端部とチューブの外壁部との間に、隙間(以下、外部隙間という)が形成されている。
特開2013−215736号公報
ところで、上記特許文献1に記載の熱交換器では、熱交換器の各構成部材を、少なくとも一方の面にろう材がクラッドされたクラッド材により構成している。そして、熱交換器の各構成部品を組み付けた後、この組み付け体を加熱炉に投入することで、各構成部品同士のろう付けを行っている。
このとき、ヘッダタンク側の熱容量がチューブよりも大きいため、ヘッダタンクは加熱炉内で昇温し難くなっている。これにより、ろう付け時において、ヘッダタンクや、インナーフィンのうちヘッダタンク内に配置されている部分の低温のろう材が、ヘッダタンクの内側から、チューブ根付部(ヘッダタンクとチューブとの接合部)に流れ込むことがある。
そして、チューブ根付部に流れ込んだ低温ろう材が、外部隙間をチューブの長手方向に流れることで、チューブを構成する板状部材の芯材が侵食される可能性がある。
本発明は上記点に鑑みて、ろう付け時に溶解した低温ろう材により、チューブを構成する板状部材が侵食されることを抑制できる熱交換器用チューブおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱媒体が流通するとともに、熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブにおいて、筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、筒状部材(10)は、帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、第2板状部材(200)の他端部(11f)およびインナーフィン(12)の一端部(15a)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、カシメ部(11b)における第2板状部材(200)の一端部(11e)と筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d)との隙間(5)には、ろう材フィレット(6)が設けられており、ろう材フィレット(6)は、インナーフィン(12)の一端部(15a)と接続していることを特徴とする。
これによれば、筒状部材(10)の隙間(5)に設けられたろう材フィレット(6)を、インナーフィン(12)の一端部(15a)と接続させることで、筒状部材(10)のろう付け時の初期段階に、第1板状部材(100)の芯材に被覆されたインナーフィン側ろう材により、隙間(5)を埋めることができる。
このため、筒状部材(10)のろう付け時に、溶解した低温のろう材が、隙間(5)を流れることを抑制できる。これにより、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブの筒状部材(10)を構成する第2板状部材(200)が侵食されることを抑制できる。
また、請求項2に記載の発明では、熱媒体が流通するとともに、熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブであって、筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、筒状部材(10)は、帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、カシメ部(11b)における第2板状部材(200)の一端部(11e)と筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d、112p)との隙間(5)には、ろう材フィレット(6)が設けられており、ろう材フィレット(6)は、インナーフィン側ろう材に対して、成分が異なっていることを特徴とする。
これによれば、筒状部材(10)の隙間(5)に設けられたろう材フィレット(6)の成分を、インナーフィン側ろう材の成分と異ならせることで、筒状部材(10)のろう付け時の初期段階に、インナーフィン側ろう材と異なる成分のろう材により、隙間(5)を埋めることができる。
このため、筒状部材(10)のろう付け時に、溶解した低温のろう材が、隙間(5)を流れることを抑制できる。これにより、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブの筒状部材(10)を構成する第2板状部材(200)が侵食されることを抑制できる。
また、請求項3に記載の発明では、熱媒体が流通するとともに、熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブにおいて、筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、筒状部材(10)は、帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、カシメ部(11b)における第2板状部材(200)の一端部(11e)には、インナーフィン側ろう材が溜まるろう溜まり部(11g)が形成されていることを特徴とする。
これによれば、カシメ部(11b)における第2板状部材(200)の一端部(11e)にろう溜まり部(11g)を形成することで、筒状部材(10)のろう付け時に、溶融したろう材が、筒状部材(10)におけるカシメ部(11b)の外面側の隙間(5)を流れた場合、当該溶融ろう材をろう溜まり部(11g)に滞留させることができる。
このため、筒状部材(10)のろう付け時に、溶解した低温のろう材が、筒状部材(10)におけるカシメ部(11b)の外面側の隙間(5)を流れたとしても、その隙間(5)を流れる速度を低下させることができる。これにより、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブの筒状部材(10)を構成する第2板状部材(200)が侵食されることを抑制できる。
また、請求項4に記載の発明では、熱媒体が流通するとともに、熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブにおいて、筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、筒状部材(10)は、帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、インナーフィン(12)における熱媒体の流通する方向の端面(12a)は、筒状部材(10)における熱媒体の流通する方向の端面(10a)よりも内方に配置されていることを特徴とする。
これによれば、インナーフィン(12)における熱媒体の流通する方向の端面(12a)を、筒状部材(10)における熱媒体の流通する方向の端面(10a)よりも内方に配置することで、筒状部材(10)のろう付け時に、溶解した低温のインナーフィン側ろう材が、筒状部材(10)における熱媒体の流通する方向の端面(10a)を超えて、筒状部材(10)の外表面に流出することを抑制できる。このため、ろう付け時に溶解した低温のインナーフィン側ろう材により、チューブの筒状部材(10)を構成する第2板状部材(200)が侵食されることを抑制できる。
また、請求項7に記載の発明では、熱媒体が流通するとともに、熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)と、筒状部材(10)の内部に設けられるとともに、筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)とを備える熱交換器用チューブの製造方法において、少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆された帯状の第1板状部材(100)を、波状に折り曲げることによりインナーフィン(12)を形成するインナーフィン形成工程と、帯状の第2板状部材(200)を折り曲げることにより、第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、湾曲端部(11a)に接続されるとともに対向するように配置される一対の平板部(11p)とを有する筒状部材(10)を形成する筒状部材形成工程と、インナーフィン形成工程および筒状部材形成工程の後、第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、第2板状部材(200)の他端部(11f)およびインナーフィン(12)の一端部(15a)を挟み込むようにかしめるカシメ工程と、カシメ工程の後、インナーフィン(12)が内部に配置された筒状部材(10)を加熱する加熱工程とを含んでおり、加熱工程では、溶融したインナーフィン側ろう材が、筒状部材(10)の内側から、筒状部材(10)における第2板状部材(200)の一端部(11e)と筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d)との隙間(5)に流入することを特徴とする。
これによれば、加熱工程において、溶融したインナーフィン側ろう材を、筒状部材(10)の内側から隙間(5)に流入させることで、筒状部材(10)のろう付け時の初期段階に、インナーフィン側ろう材により隙間(5)を埋めることができる。
このため、筒状部材(10)のろう付け時に、溶解した低温のろう材が、隙間(5)を流れることを抑制できる。これにより、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブの筒状部材(10)を構成する第2板状部材(200)が侵食されることを抑制できる。
また、請求項8に記載の発明では、熱媒体が流通するとともに、熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)と、筒状部材(10)の内部に設けられるとともに、筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)とを備える熱交換器用チューブの製造方法において、少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆された帯状の第1板状部材(100)を、波状に折り曲げることによりインナーフィン(12)を形成するインナーフィン形成工程と、帯状の第2板状部材(200)を折り曲げることにより、第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、湾曲端部(11a)に接続されるとともに対向するように配置される一対の平板部(11p)とを有する筒状部材(10)を形成する筒状部材形成工程と、インナーフィン形成工程および筒状部材形成工程の後、第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめるカシメ工程と、カシメ工程の後、筒状部材(10)における第2板状部材(200)の一端部(11e)と筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d、112p)との隙間(5)に、ペースト状のろう材(60)を配置するペーストろう材配置工程と、ペーストろう材配置工程の後、インナーフィン(12)が内部に配置された筒状部材(10)を加熱する加熱工程とを含んでいることを特徴とする。
これによれば、筒状部材(10)の隙間(5)にペースト状のろう材(60)を配置するペーストろう材配置工程の後に、加熱工程を行うことで、筒状部材(10)のろう付け時の初期段階に、ペースト状のろう材(60)により隙間(5)を埋めることができる。
このため、筒状部材(10)のろう付け時に、溶解した低温のろう材が、隙間(5)を流れることを抑制できる。これにより、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブの筒状部材(10)を構成する第2板状部材(200)が侵食されることを抑制できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態における冷媒凝縮器を示す斜視図である。 第1実施形態における冷媒凝縮器の要部を示す分解斜視図である。 第1実施形態に係るチューブの冷媒流れ方向に直交する断面を示す断面図である。 図3のIV部拡大図である。 図4に示すチューブのろう付け前の状態を示す拡大断面図である。 第2実施形態に係るチューブの冷媒流れ方向に直交する断面を示す拡大断面図である。 第3実施形態に係るチューブの冷媒流れ方向に直交する断面を示す拡大断面図である。 図7に示すチューブのろう付け前の状態を示す拡大断面図である。 第4実施形態に係るチューブの冷媒流れ方向に直交する断面を示す拡大断面図である。 図9に示すチューブのろう付け前の状態を示す拡大断面図である。 第5実施形態に係るチューブの冷媒流れ方向に直交する断面を示す拡大断面図である。 図11に示すチューブのろう付け前の状態を示す拡大断面図である。 第6実施形態に係るチューブの冷媒流れ方向に直交する断面を示す拡大断面図である。 図13のXIV矢視図である。 第7実施形態に係る冷媒蒸発器の要部を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る熱交換器用チューブを、車両用空調装置の冷凍サイクルにおける冷媒凝縮器のチューブに適用した例を説明する。
図1に示すように、冷媒凝縮器は、内部を冷媒が通過する複数本のチューブ1と、アウターフィン20とが交互に積層されたコア部2を備えている。コア部2は、冷媒と空気(外気)とを熱交換させる熱交換部である。なお、本実施形態の冷媒が、本発明の熱媒体に相当している。
また、冷媒凝縮器は、チューブ1の長手方向の両端部に接続されるヘッダタンク3と、チューブ1の積層方向においてコア部2の外方側に配置される補強部材であるサイドプレート25とを備えている。一方のヘッダタンク3には、圧縮機(図示せず)から吐出された冷媒を、当該一方のヘッダタンク3内部へと流入させる流入部31が設けられている。他方のヘッダタンク3には、当該他方のヘッダタンク3から冷媒を流出させる流出部32が設けられている。
図2および図3に示すように、チューブ1は、冷媒の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材10と、筒状部材10の内部に配置されたインナーフィン12とを備えている。インナーフィン12は、筒状部材10内の冷媒流路を複数に仕切っている。インナーフィン12は、帯状の第1板状部材100を波状に折り曲げることにより形成されている。
より詳細には、インナーフィン12は、第1板状部材100をローラ加工することによって波状に形成されている。インナーフィン12の波状部の頂部14は、筒状部材10の内壁面に当接するように組み付けられている。インナーフィン12における幅方向の両端部には、平坦部15、16が設けられている。第1板状部材100は、アルミニウム製の芯材の両面が、インナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材である。
なお、本実施形態における「幅方向」とは、チューブ1(筒状部材10)の冷媒流れ方向に直交する断面における長手方向であり、冷媒凝縮器における空気流れ方向に一致している。
ヘッダタンク3は、筒状部材10が接合されたコアプレート32と、コアプレート32とともにタンク内空間を形成するタンク本体部33とを一体化することによって構成されている。コアプレート32は、筒状部材10が挿入される挿入穴320を有している。
コアプレート32は、アルミニウム製の芯材の表面(ヘッダタンク3の外方となる面)に、亜鉛を含む合金等からなる犠牲腐食層が被覆されたクラッド材により形成されている。タンク本体部33は、アルミニウム製の芯材の両面にろう材が被覆されたクラッド材により形成されている。
図3に示すように、筒状部材10は、冷媒体の流通する方向(以下、冷媒流れ方向という)と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材である。筒状部材10は、帯状の第2板状部材200の幅方向略中央部を折り曲げることよって形成されている。
第2板状部材200は、アルミニウム製の芯材の表面、すなわち筒状部材10の外面となる面が、亜鉛を含有するろう材により被覆されている。亜鉛を含有するろう材は、芯材に対する犠牲腐食作用を発揮する。
筒状部材10は、湾曲端部11a、一対の平板部11pおよびカシメ部11bを有して構成されている。湾曲端部11aは、筒状部材10の幅方向の一端部に配置されているとともに、第2板状部材200を略円弧状に湾曲させることにより形成されている。一対の平板部11pは、それぞれ、湾曲端部11aに接続されているとともに、互いに対向するように配置されている。カシメ部11bは、筒状部材10における湾曲端部11aと反対側に配置されている。
図4および図5に示すように、筒状部材10を形成する第2板状部材200は、湾曲端部11aにおいて折り曲げられたときに、湾曲端部11aから第2板状部材200の両端部までの長さが異なるように折り曲げられている。平板部11pは、湾曲端部11aから略同じ長さの点で内方に向かうように折り曲げられており、第1傾斜部11cおよび第2傾斜部11dが形成されている。
第2板状部材200における、湾曲端部11aからの距離が長い方の端部(以下、一端部11eという)は、第2傾斜部11dと連続して形成されている。第2板状部材200における、湾曲端部11aからの距離が短い方の端部(以下、他端部11fともいう)は、第1傾斜部11cと連続して形成されている。
第2板状部材200の一端部11eは、他端部11f、および、インナーフィン12の平坦部15の端部15aを挟み込むように折り曲げられており、これによりカシメ部11bが形成されている。すなわち、カシメ部11bは、第2板状部材200の幅方向における一端部11eを折り曲げて、第2板状部材200の幅方向における他端部11f、および、インナーフィン12の幅方向の一端部(平坦部15の端部15a)の双方を挟み込むようにかしめることにより、形成されている。
なお、本実施形態の「インナーフィン12の平坦部15の端部15a」が、本発明の「インナーフィンの一端部」に相当している。
インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、第2板状部材200の一端部11eの折り曲げ部の内周形状に沿うように折り曲げられている。また、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、筒状部材10の第2板状部材200の一端部11eよりも外側まで延びている。すなわち、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、筒状部材10の外面側に露出している。
カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第1傾斜部11cとの間には、隙間5が形成されている。インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、この隙間5から筒状部材10の外方側へ突出している。すなわち、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、この隙間5から筒状部材10の外面側に露出している。
カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第1傾斜部11cとの隙間5には、ろう材フィレット6が設けられている。ろう材フィレット6は、インナーフィン12の平坦部15の端部15aと接続している。本実施形態のろう材フィレット6は、インナーフィン12を構成する第1板状部材100に被覆されたろう材により、形成されている。
ここで、第1傾斜部11cは、筒状部材10の外壁の一部を構成している。したがって、本実施形態の第1傾斜部11cは、本発明の外壁部に相当している。
続いて、本実施形態の冷媒凝縮器の製造方法について説明する。まず、インナーフィン成形工程を行う。具体的には、第1板状部材100にローラ加工を施して波状に折り曲げることにより、波状のインナーフィン12を形成する。
続いて、筒状部材形成工程を行う。具体的には、第2板状部材200にローラ加工を施して折り曲げることにより、上述した湾曲端部11aおよび一対の平板部11pを有する筒状部材10を形成する。
そして、インナーフィン形成工程および筒状部材形成工程の後、カシメ工程を行う。具体的には、まず、筒状部材形成工程で形成された筒状部材10の内部に、インナーフィン形成工程で形成されたインナーフィン12を配置する。その後、筒状部材10を構成する第2板状部材200の一端部1eを折り曲げて、第2板状部材100の他端部11fおよびインナーフィン12の平坦部15の端部15aを挟み込むようにかしめる。このとき、インナーフィン12の平坦部15の端部15aを、カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第1傾斜部11cとの隙間5から、筒状部材10の外方側へ突出させる。このカシメ工程により、インナーフィン12が筒状部材10内に固定される。
このカシメ工程の後、仮組付工程を行う。具体的には、まず、冷媒凝縮器の各構成部品(インナーフィン12が内部に固定された筒状部材10、アウターフィン20、サイドプレート25、コアプレート32およびタンク本体部33等)を図1に示す所定構造に組み付ける。その後、その組付体(仮の組付状態)をワイヤ等の治具により締結して保持する。
この仮組付工程の後、加熱工程を行う。具体的には、上記組付体を治具にて保持してろう付け用加熱炉内に搬入して、冷媒凝縮器の各構成部品間を一体ろう付けする。このとき、インナーフィン12を構成する第1板状部材100に被覆されたろう材が溶融し、筒状部材10の内側から、筒状部材10を構成する第2板状部材100の一端部11eと第1傾斜部11cとの隙間5に流入する。これにより、この隙間5にろう材フィレット6が形成される。
そして、上記組付体は所定のろう付け時間の間、加熱炉内に置かれ、このろう付け時間が経過すると加熱炉から取り出され、上記組付体のろう付けが終了する。これにより、冷媒凝縮器の組み付けが完成する。
以上説明したように、本実施形態では、筒状部材10の隙間5に設けられたろう材フィレット6を、インナーフィン12の平坦部の15の端部15aと接続させている。また、本実施形態では、冷媒蒸発器の製造時の加熱工程において、溶融したインナーフィン側ろう材を、筒状部材10の内側から隙間5に流入させている。
これによれば、筒状部材10のろう付け時の初期段階に、第1板状部材100の芯材に被覆されたインナーフィン側ろう材により、隙間5を埋めることができる。このため、筒状部材10のろう付け時に、溶解した低温のろう材が、隙間5を流れることを抑制できる。したがって、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブ1の筒状部材10を構成する第2板状部材200が侵食されることを抑制できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、筒状部材10のカシメ部11bの構成が異なるものである。
図6に示すように、本実施形態の筒状部材10は、カシメ部11bは、略半円弧状に形成されている。本実施形態では、第1傾斜部11cが廃止されている。また、本実施形態の第2傾斜部11dは、第1実施形態の第2傾斜部11dよりも短くなっている。
第2板状部材200の他端部11fは、筒状部材10の外方側に向けて凸となる略半円弧状に湾曲している。インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、第2板状部材200の他端部11fに沿って、略半円弧状に湾曲している。インナーフィン12における平坦部15の端部15aの内周面は、第2板状部材200の他端部11fの外周面に密接している。
第2板状部材200の一端部11eは、インナーフィン12の平坦部15の端部15aに沿って、略半円弧状に湾曲している。第2板状部材200の一端部11eの内周面は、インナーフィン12における平坦部15の端部15aの外周面に密接している。
このように、第2板状部材200の一端部11eを、第2板状部材200の他端部11fおよびインナーフィン12の平坦部15の端部15aを挟み込むように、半円弧状に湾曲させることで、カシメ部11bが形成されている。
カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第2傾斜部11dとの間には、隙間5が形成されている。インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、この隙間5から筒状部材10の外方側へ突出している。すなわち、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、この隙間5から筒状部材10の外面側に露出している。
カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第2傾斜部11dとの隙間5には、ろう材フィレット6が設けられている。ろう材フィレット6は、インナーフィン12の平坦部15の端部15aと接続している。
ここで、第2傾斜部11dは、筒状部材10の外壁の一部を構成している。したがって、本実施形態の第2傾斜部11dは、本発明の外壁部に相当している。
その他の構成および製造方法は、第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7および図8に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第1実施形態と比較して、カシメ部11bの構成等が異なるものである。
図7に示すように、本実施形態では、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、筒状部材10のカシメ部11bの内部に配置されている。すなわち、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、第2板状部材200の一端部11eの湾曲している部分と、第2板状部材200の他端部11fの端面との間に配置されている。
このため、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第1傾斜部11cとの隙間5から、外面側に露出していない。つまり、本実施形態では、ろう材フィレット6は、インナーフィン12の平坦部15の端部15aと接続していない。
また、本実施形態のろう材フィレット6は、カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第1傾斜部11cとの隙間5に配置された、ペースト状のろう材60(図8参照)によって形成されたものである。したがって、本実施形態のろう材フィレット6は、第1板状部材100の芯材に被覆されているインナーフィン側ろう材に対して、成分が異なっている。
続いて、本実施形態の冷媒凝縮器の製造方法について説明する。インナーフィン形成工程、筒状部材形成工程、カシメ工程および仮組付工程は、上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態では、仮組付工程の後に、ペーストろう材配置工程を行う。具体的には、図8に示すように、カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第1傾斜部11cとの隙間5に、ペースト状のろう材60を配置する。ペースト状のろう材60は、第1板状部材100の芯材に被覆されるインナーフィン側ろう材とは、成分が異なっている。
続いて、ペーストろう材配置工程の後、加熱工程を行う。具体的には、仮組付工程にて組み付けられた組付体を治具にて保持して、ろう付け用加熱炉内に搬入する。これにより、冷媒凝縮器の各構成部品間を一体ろう付けする。
このとき、カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第1傾斜部11cとの隙間5に配置されたペースト状のろう材60が溶融し、当該隙間5にろう材フィレット6が形成される。
そして、上記組付体は、所定のろう付け時間経過後に加熱炉から取り出され、上記組付体のろう付けが終了する。これにより、冷媒凝縮器の組み付けが完成する。
以上説明したように、本実施形態では、筒状部材10の隙間5に設けられたろう材フィレット6の成分を、インナーフィン側ろう材の成分と異ならせている。具体的には、筒状部材10の隙間5に配置したペースト状のろう材60により、ろう材フィレット6を形成している。また、本実施形態では、冷媒蒸発器の製造時の加熱工程の前に、筒状部材10の隙間5にペースト状のろう材60を配置するペーストろう材配置工程を行っている。
これにより、筒状部材10のろう付け時の初期段階に、インナーフィン側ろう材と異なる成分のろう材により、隙間5を埋めることができる。このため、筒状部材10のろう付け時に、溶解した低温のろう材が隙間5を流れることを抑制できる。したがって、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブ1の筒状部材10を構成する第2板状部材200が侵食されることを抑制できる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図9および図10に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第3実施形態と比較して、筒状部材10のカシメ部11bの構成が異なるものである。
図9および図10に示すように、本実施形態の筒状部材10のカシメ部11bは、略半円弧状に形成されている。本実施形態では、第1傾斜部11cが廃止されている。また、本実施形態の第2傾斜部11dは、第3実施形態の第2傾斜部11dよりも短くなっている。
第2板状部材200の他端部11fは、筒状部材10の外方側に向けて凸となる略半円弧状に湾曲している。第2板状部材200の一端部11eは、第2板状部材200の他端部11fに沿って、略半円弧状に湾曲している。第2板状部材200の一端部11eの内周面は、第2板状部材200の他端部11fの外周面に密接している。
このように、第2板状部材200の一端部11eを、第2板状部材200の他端部11fを挟み込むように、半円弧状に湾曲させることで、カシメ部11bが形成されている。
カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第2傾斜部11dとの間には、隙間5が形成されている。この隙間5には、ろう材フィレット6が設けられている。本実施形態のろう材フィレット6は、上記隙間5に配置された、ペースト状のろう材60(図10参照)によって形成されたものである。したがって、本実施形態のろう材フィレット6は、第1板状部材100の芯材に被覆されているインナーフィン側ろう材に対して、成分が異なっている。
また、インナーフィン12の平坦部15における一方の面は、第2板状部材200の他端部11fの内周面に接合されている。このため、インナーフィン12の平坦部15の端部15aは、上記隙間5から外表面に露出していない。つまり、本実施形態では、ろう材フィレット6は、インナーフィン12の平坦部15の端部15aと接続していない。
その他の構成および製造方法は、第3実施形態と同様である。したがって、本実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図11および図12に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第3実施形態と比較して、筒状部材10およびインナーフィン12の構成が異なるものである。
図11および図12に示すように、本実施形態のチューブ1(すなわち筒状部材10およびインナーフィン12)は、同一の板材300により形成されている。換言すると、インナーフィン12を構成する第1板状部材100と、筒状部材10を構成する第2板状部材200とは、同一の、すなわち共通の板材300により構成されている。つまり、板材300のうち、インナーフィン12を構成する部分が第1板状部材100であり、筒状部材10を構成する部分が第2板状部材200であるとも言える。
本実施形態の板材300は、アルミニウム製の芯材の両面がろう材により被覆されたクラッド材である。また、本実施形態では、板材300に被覆されたろう材のうち、第1板状部材100を構成する部分に被覆されたろう材を、インナーフィン側ろう材という。なお、板材300の芯材は、全面が同一種類のろう材により被覆されているので、本実施形態では、第2板状部材200もインナーフィン側ろう材により被覆されている。
本実施形態では、インナーフィン12において、平坦部15が廃止されている。このため、インナーフィン12の幅方向におけるカシメ部11b側の端部は、波状部の頂部14(以下、最端頂部14aという)により構成されている。また、板材300のうち、筒状部材10を構成する第2板状部材200の他端部11fが、インナーフィン12の最端頂部14aに接続されている。
板材300のうち、第2板状部材200の他端部11fは、筒状部材10の外方側に向けて凸となる略半円弧状に湾曲している。第2板状部材200の一端部11eは、第2板状部材200の他端部11fに沿って、略半円弧状に湾曲している。第2板状部材200の一端部11eの内周面は、第2板状部材200の他端部11fの外周面に密接している。
このように、第2板状部材200の一端部11eを、第2板状部材200の他端部11fを挟み込むように、半円弧状に湾曲させることで、カシメ部11bが形成されている。
ここで、一対の平板部11pのうち、第2板状部材200の一端部11eと接続している平板部11pを第1平板部111pといい、第2板状部材200の他端部11fと接続している平板部11pを第2平板部112pという。
カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eと第2平板部112pとの間には、隙間5が形成されている。この隙間5には、ろう材フィレット6が設けられている。本実施形態のろう材フィレット6は、上記隙間5に配置された、ペースト状のろう材60(図12参照)によって形成されたものである。したがって、本実施形態のろう材フィレット6は、板材300(第1板状部材100および第2板状部材200)の芯材に被覆されているインナーフィン側ろう材に対して、成分が異なっている。
なお、第2平板部112pは、筒状部材10の外壁の一部を構成している。したがって、本実施形態の第2平板部112pは、本発明の外壁部に相当している。
その他の構成および製造方法は、第3実施形態と同様である。したがって、本実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、筒状部材10およびインナーフィン12を同一の板材300により形成することで、部品点数を削減することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図13および図14に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第1実施形態と比較して、筒状部材10のカシメ部11bの形状が異なるものである。
図13および図14に示すように、筒状部材10のカシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eには、インナーフィン側ろう材が溜まるろう溜まり部11gが形成されている。ろう溜まり部11gは、筒状部材10の外面側に設けられている。
ろう溜まり部11gは、第2板状部材200の一端部11eにおける、筒状部材10の周方向の端面11hの一部を凹ませることにより形成されている。本実施形態では、ろう溜まり部11gは、チューブ1における冷媒の流通する方向(チューブ1の長手方向)に沿って複数設けられている。
以上説明したように、本実施形態では、カシメ部11bにおける第2板状部材200の一端部11eに、ろう溜まり部11gを形成している。これによれば、筒状部材10のろう付け時に、溶融したろう材が、筒状部材10の隙間5を流れた場合、当該溶融ろう材をろう溜まり部11gに滞留させることができる。
このため、筒状部材10のろう付け時に、溶解した低温のろう材が、筒状部材10の隙間5を流れたとしても、そのろう材が隙間5を流れる速度を低下させることができる。これにより、ろう付け時に溶解した低温のろう材により、チューブ1の筒状部材10を構成する第2板状部材200が侵食されることを抑制できる。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図15に基づいて説明する。本第7実施形態は、上記第1実施形態と比較して、筒状部材10およびインナーフィン12の構成が異なるものである。
図15に示すように、インナーフィン12における冷媒の流通する方向の端面12aは、筒状部材10における冷媒の流通する方向の端面10aよりも内方(コア部2に近い側)に配置されている。本実施形態では、インナーフィン12における冷媒の流通する方向の端面12aは、チューブ1の積層方向(図15の紙面垂直方向)から見たときに、ヘッダタンク3内部に位置している。
本実施形態によれば、筒状部材10のろう付け時に、溶解した低温のインナーフィン側ろう材が、筒状部材10における冷媒の流通する方向の端面10aを超えて、筒状部材10の外表面に流出することを抑制できる。このため、筒状部材10のろう付け時に、溶解した低温のインナーフィン側ろう材が、筒状部材10におけるカシメ部11bの外面側の隙間5に流入することを抑制できる。これにより、ろう付け時に溶解した低温のインナーフィン側ろう材により、チューブ1の筒状部材10を構成する第2板状部材200が侵食されることを抑制できる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、例えば以下のように種々変形可能である。
(1)上記実施形態では、本発明に係る熱交換器用チューブを冷媒凝縮器に適用した例について説明したが、これに限らず、冷媒蒸発器、ヒータコア、ラジエータといった各種熱交換器に適用することができる。
(2)上記実施形態では、第1板状部材100を、アルミニウム製の芯材の両面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材とした例について説明したが、第1板状部材100はこれに限定されない。例えば、第1板状部材100を、アルミニウム製の芯材の一面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材としてもよい。
(3)上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。例えば、第2〜第5実施形態で説明したチューブ1に対して、それぞれ、第6実施形態で説明したろう溜まり部11gを設けてもよい。また、第2〜第5実施形態で説明したチューブ1の各々において、第7実施形態で説明したように、インナーフィン12における冷媒の流通する方向の端面12aを、筒状部材10における冷媒の流通する方向の端面10aよりも内方に配置してもよい。
5 隙間
6 ろう材フィレット
10 筒状部材
11b カシメ部
11c 第1傾斜部(外壁部)
11p 平板部
12 インナーフィン
100 第1板状部材
200 第2板状部材

Claims (8)

  1. 熱媒体が流通するとともに、前記熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブであって、
    前記筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、前記筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、
    前記第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、
    前記筒状部材(10)は、
    帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、
    前記湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、
    前記第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、前記第2板状部材(200)の他端部(11f)および前記インナーフィン(12)の一端部(15a)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、
    前記カシメ部(11b)における前記第2板状部材(200)の前記一端部(11e)と前記筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d)との隙間(5)には、ろう材フィレット(6)が設けられており、
    前記ろう材フィレット(6)は、前記インナーフィン(12)の前記一端部(15a)と接続していることを特徴とする熱交換器用チューブ。
  2. 熱媒体が流通するとともに、前記熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブであって、
    前記筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、前記筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、
    前記第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、
    前記筒状部材(10)は、
    帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、
    前記湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、
    前記第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、前記第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、
    前記カシメ部(11b)における前記第2板状部材(200)の前記一端部(11e)と前記筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d、112p)との隙間(5)には、ろう材フィレット(6)が設けられており、
    前記ろう材フィレット(6)は、前記インナーフィン側ろう材に対して、成分が異なっていることを特徴とする熱交換器用チューブ。
  3. 熱媒体が流通するとともに、前記熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブであって、
    前記筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、前記筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、
    前記第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、
    前記筒状部材(10)は、
    帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、
    前記湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、
    前記第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、前記第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、
    前記カシメ部(11b)における前記第2板状部材(200)の前記一端部(11e)には、前記インナーフィン側ろう材が溜まるろう溜まり部(11g)が形成されていることを特徴とする熱交換器用チューブ。
  4. 熱媒体が流通するとともに、前記熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)を備える熱交換器用チューブであって、
    前記筒状部材(10)の内部には、第1板状部材(100)を波状に折り曲げることにより形成されているとともに、前記筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)が設けられており、
    前記第1板状部材(100)は、芯材の少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆されたクラッド材であり、
    前記筒状部材(10)は、
    帯状の第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、
    前記湾曲端部(11a)に接続されるとともに、対向するように配置される一対の平板部(11p)と、
    前記第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、前記第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめたカシメ部(11b)とを有しており、
    前記インナーフィン(12)における前記熱媒体の流通する方向の端面(12a)は、前記筒状部材(10)における前記熱媒体の流通する方向の端面(10a)よりも内方に配置されていることを特徴とする熱交換器用チューブ。
  5. 前記カシメ部(11b)における前記第2板状部材(200)の前記一端部(11e)には、前記インナーフィン側ろう材が溜まるろう溜まり部(11g)が形成されていることを特徴とする請求項1、2および4のいずれか1つに記載の熱交換器用チューブ。
  6. 前記インナーフィン(12)における前記熱媒体の流通する方向の端面(12a)は、前記筒状部材(10)における前記熱媒体の流通する方向の端面(10a)よりも内方に配置されていることを特徴とする請求項1、2、3および5のいずれか1つに記載の熱交換器用チューブ。
  7. 熱媒体が流通するとともに、前記熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)と、
    前記筒状部材(10)の内部に設けられるとともに、前記筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)とを備える熱交換器用チューブの製造方法であって、
    少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆された帯状の第1板状部材(100)を、波状に折り曲げることにより前記インナーフィン(12)を形成するインナーフィン形成工程と、
    帯状の第2板状部材(200)を折り曲げることにより、前記第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、前記湾曲端部(11a)に接続されるとともに対向するように配置される一対の平板部(11p)とを有する前記筒状部材(10)を形成する筒状部材形成工程と、
    前記インナーフィン形成工程および前記筒状部材形成工程の後、前記第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、前記第2板状部材(200)の他端部(11f)および前記インナーフィン(12)の一端部(15a)を挟み込むようにかしめるカシメ工程と、
    前記カシメ工程の後、前記インナーフィン(12)が内部に配置された前記筒状部材(10)を加熱する加熱工程とを含んでおり、
    前記加熱工程では、溶融した前記インナーフィン側ろう材が、前記筒状部材(10)の内側から、前記筒状部材(10)における前記第2板状部材(200)の前記一端部(11e)と前記筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d)との隙間(5)に流入することを特徴とする熱交換器用チューブの製造方法。
  8. 熱媒体が流通するとともに、前記熱媒体の流通する方向と直交する流路断面が扁平形状に形成された筒状部材(10)と、
    前記筒状部材(10)の内部に設けられるとともに、前記筒状部材(10)内の熱媒体流路を複数に仕切るインナーフィン(12)とを備える熱交換器用チューブの製造方法であって、
    少なくとも一方の面がインナーフィン側ろう材により被覆された帯状の第1板状部材(100)を、波状に折り曲げることにより前記インナーフィン(12)を形成するインナーフィン形成工程と、
    帯状の第2板状部材(200)を折り曲げることにより、前記第2板状部材(200)を湾曲させた湾曲端部(11a)と、前記湾曲端部(11a)に接続されるとともに対向するように配置される一対の平板部(11p)とを有する前記筒状部材(10)を形成する筒状部材形成工程と、
    前記インナーフィン形成工程および前記筒状部材形成工程の後、前記第2板状部材(200)の一端部(11e)を折り曲げて、前記第2板状部材(200)の他端部(11f)を挟み込むようにかしめるカシメ工程と、
    前記カシメ工程の後、前記筒状部材(10)における前記第2板状部材(200)の前記一端部(11e)と前記筒状部材(10)の外壁を構成する外壁部(11c、11d、112p)との隙間(5)に、ペースト状のろう材(60)を配置するペーストろう材配置工程と、
    前記ペーストろう材配置工程の後、前記インナーフィン(12)が内部に配置された前記筒状部材(10)を加熱する加熱工程とを含んでいることを特徴とする熱交換器用チューブの製造方法。
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