JP2016095896A - 超電導ケーブル、被覆付き断熱管、及び被覆付き断熱管の製造方法 - Google Patents

超電導ケーブル、被覆付き断熱管、及び被覆付き断熱管の製造方法 Download PDF

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芳宏 稲垣
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正義 大屋
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Hiroshi Hirota
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Abstract

【課題】可撓性及び機械的強度に優れる被覆付き断熱管、被覆付き断熱管の製造方法、及び超電導ケーブルを提供する。【解決手段】超電導ケーブル1は、超電導導体層12を備える導体部10と、導体部10を収納する多重構造の断熱管20と、断熱管20の外周に設けられた補強層(介在層30の少なくとも一部)と、補強層の外周に電気絶縁材料の押出によって形成された主電気絶縁層50とを備える。断熱管20がコルゲート管のように伸縮可能な形状などであることで、断熱管20は可撓性に優れる。補強層が設けられた断熱管20は機械的強度にも優れ、断熱管20の外周に主電気絶縁層50を押出によって形成するときの力を補強層によって受けられる。従って、断熱管20がコルゲート管などであっても、主電気絶縁層50を良好に設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、超電導導体層を備える導体部を収納する断熱管の外周に主電気絶縁層を備える常温絶縁型の超電導ケーブル、この超電導ケーブルの構成部材に適した被覆付き断熱管、及び被覆付き断熱管の製造方法に関するものである。特に、可撓性及び機械的強度に優れる被覆付き断熱管、及びこの断熱管を備える超電導ケーブルに関する。
超電導ケーブルは、小型で大容量の送電が可能であることから、電力線路の構成部材として期待されている。超電導ケーブルは、超電導導体層を備える導体部と、この導体部を収納すると共に超電導状態を維持する冷媒が充填される断熱管とを備える。上記断熱管は、代表的には、二重構造のコルゲート管から構成され(特許文献1の明細書の段落[0005])、両管の間が真空引きされている。
超電導ケーブルの電気絶縁構造には以下の二つがある。一つは、低温絶縁型と呼ばれ、超電導導体層の外周に主電気絶縁層が設けられたコアが断熱管に収納されて、主電気絶縁層も冷媒によって冷却される形態である。他の一つは、常温絶縁型と呼ばれ、上記断熱管の外周に主電気絶縁層を備え、主電気絶縁層が冷媒によって冷却されない形態である(特許文献1)。後者の常温絶縁型の超電導ケーブルは、(1)電気絶縁体が冷却負荷とならず、冷却負荷を低温絶縁型に比較して低減できる、(2)断熱管の小型化により侵入熱を低減できる、(3)接続構造の構築にあたり、CVケーブルといった常電導ケーブルの接続構造を適用できる、などの種々の利点がある。
特開2012-174669号公報
常温絶縁型の超電導ケーブルの構成部材として、可撓性に優れると共に、主電気絶縁層を押出によって良好に形成可能な程度の機械的強度を十分に有する断熱管の開発が望まれている。
断熱管がコルゲート管であれば、可撓性に優れる。また、特許文献1に記載されるように主電気絶縁層を押出によって形成すれば、主電気絶縁層付き断熱管の製造性やケーブルの製造性に優れて好ましい。しかし、押出された材料が接触する断熱管の最外管が、コルゲート管であったり、小型化・可撓性の確保のために薄肉管であったりすると、主電気絶縁層の形成時に負荷され得る力(被覆対象である断熱管を引っ張るための張力など)を十分に受けきれず、押出を良好に行えない場合がある。また、最外管が、コルゲート管などの表面に凹凸を有する場合には、この凹凸に倣って主電気絶縁層も凹凸形状となると、電気絶縁には好ましくない。特に、20kV以上といった特別高圧用途の電力ケーブルでは、主電気絶縁層をある程度厚くすること(例えば、6mm以上)が求められるが、このように厚い主電気絶縁層を形成する場合に上述のようにコルゲート管であったり薄肉管であったりすると、押出が困難になり易い。
ここで、押出によって比較的厚い被覆層を形成する場合、縦型押出法を利用することが多い。縦型押出法とは、被覆対象を上方に引き上げ、鉛直方向下方に引き下ろす途中で被覆材料の押出を行う方法である。このような手法であることから、縦型押出法では、硬化前の被覆材料が下方に溜まり易く、厚い被覆層を均一的に形成し易い。しかし、縦型押出法では、被覆対象を上方に引き上げたり、鉛直方向下方に引き下げたりするため、被覆対象を水平方向に引っ張る横型押出法や引き上げ角度が小さい押出法を利用する場合に比較して、被覆層の形成時に被覆対象に負荷され得る力が大きくなり易い。従って、縦型押出法を利用すると、被覆対象に設ける被覆層の厚さなどによっては、被覆対象の自重に基づいて被覆対象に作用する張力が被覆対象の強度(破断強度又はコルゲート管などの伸縮可能な形状の場合に形状変化が生じない強度)に対して過大になる恐れがある。そのため、縦型押出法を利用するような比較的厚い被覆層を形成する場合、被覆対象には機械的強度(特に引張強さ)に優れることが望まれる。例えば、被覆対象が伸長可能なコルゲート管であると、被覆層の形成時に加えられる力によって凹凸が伸びて押出装置に良好に配置できなかったり、被覆層が形成できたとしても凹凸が伸びてコルゲート管の可撓性が損なわれたり、凹凸が伸びきった場合にはコルゲート管が破断したりする恐れがある。また、被覆対象が薄肉管であると、被覆層の形成時に加えられる力に耐え切れず、破断する恐れがある。更に、断熱管に被覆層を形成するにあたり、断熱管を所定の位置に送り出す送出装置を利用することが考えられる。この場合、上記送出装置による送出時に断熱管に加えられる圧力によって、断熱管が塑性変形したり、破断したりしないことも望まれる。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、可撓性及び機械的強度に優れる被覆付き断熱管を提供することにある。また、本発明の目的の一つは、主電気絶縁層を有し、可撓性に優れる断熱管を備える超電導ケーブルを提供することにある。更に、本発明の目的の一つは、上記被覆付き断熱管の製造方法を提供することにある。
本発明は、断熱管と被覆層との間に、被覆層の形成時に加えられる力を負担可能な部材を備えることで上記目的を達成する。
本発明の超電導ケーブルは、超電導導体層を備える導体部と、上記導体部を収納する多重構造の断熱管と、上記断熱管の外周に設けられた補強層と、上記補強層の外周に電気絶縁材料の押出によって形成された主電気絶縁層とを備える。
本発明の超電導ケーブルは、補強層によって補強された断熱管を構成要素とすることで、機械的強度に優れる。補強層は、主電気絶縁層を押出によって形成するときに断熱管に加えられ得る力(上述の張力など)を負担する部材として機能させられる。そのため、補強層を一体に備える断熱管は機械的強度に優れることから、本発明の超電導ケーブルは、断熱管(特に最外管)をコルゲート管や薄肉管などとしても主電気絶縁層を良好に形成でき、このような可撓性に優れる断熱管を構成要素にすることで、可撓性にも優れる。特に、主電気絶縁層の厚さが、20kV以上といった特別高圧用途、さらには200kV以上といった超高圧用途の電力ケーブルに備える主電気絶縁層に求められるような厚さ(例えば、6mm以上)であっても、主電気絶縁層を押出によって良好に形成できる。また、補強層を備えることで、主電気絶縁層の形成時に断熱管を伸長させたり破断させたりすることが実質的に無い。そのため、断熱管と主電気絶縁層との間に部分放電の原因となるボイドなどが生じ難く、又は実質的に生じず、本発明の超電導ケーブルは、所望の電気絶縁性能を良好に有することもできる。従って、本発明の超電導ケーブルは、20kV以上といった特別高圧用途、さらには超高圧用途にも良好に利用できると期待される。更に、補強層を備えることで、本発明の超電導ケーブルは、送出時などに断熱管に加えられる圧力によっても断熱管が塑性変形し難く、破断もし難い。
本発明の超電導ケーブルの一形態として、上記補強層が複数の長尺材から構成されており、上記長尺材は、金属線材、金属テープ材、及び非金属テープ材の少なくとも一つを含む形態が挙げられる。
上記形態は、複数の長尺材を螺旋状に巻回したり縦添えしたりすることで補強層を容易に形成でき、製造性に優れる。
本発明の超電導ケーブルの一形態として、上記補強層が複数の長尺材を上記断熱管の外周に螺旋状に巻回して形成されており、上記長尺材の巻き付けピッチが、上記長尺材がつくる層の心径の2倍以上である形態が挙げられる。
上記形態では、巻き付けピッチが十分に大きく縦添えに近くなるため、縦型押出法を利用した場合でも主電気絶縁層の形成時に断熱管に加えられ得る力を十分に負担でき、補強層を一体に備える断熱管が優れた機械的強度を有することができる。また、上記形態は、長尺材を螺旋状に巻回していることで曲げ易く、縦添えの場合よりも可撓性にも優れる。上記長尺材がつくる層の心径とは、断熱管の外周に配置された長尺材がつくる層の内接円及び外接円をとり、内接円と外接円との中間直径、即ち(内接円の直径+外接円の直径)/2をいう。
本発明の超電導ケーブルの一形態として、上記主電気絶縁層が架橋ポリエチレン(XLPE)で構成された形態が挙げられる。
上記形態は、CVケーブルの主電気絶縁層として一般的に使用されているXLPEによって主電気絶縁層が形成されているため、20kV以上、更に22kV以上、特に66kV以上といった特別高圧用電力線路、さらには200kV以上といった超高圧用電力線路の構成部材に好適に利用することができる。
本発明の超電導ケーブルの一形態として、上記断熱管のうち少なくとも最外管がコルゲート管、フレキシブル管、及びべローズ管のいずれか一つである形態が挙げられる。
上記形態は、断熱管のうち、最大径を有する最外管が可撓性に優れるコルゲート管、フレキシブル管、及びべローズ管のいずれか一つであるため、可撓性に優れる。
本発明の超電導ケーブルの一形態として、電圧が20kV以上である用途に用いられる形態が挙げられる。
上記形態は、20kV以上といった特別高圧用電力線路、さらには200kV以上といった超高圧用電力線路の構成部材に好適に利用することができる。電圧が20kV以上である用途では、主電気絶縁層をある程度厚くすることが求められる。本発明の超電導ケーブルは、上述のように補強層を備えることで主電気絶縁層の厚さが厚くても押出によって良好に形成可能である。
本発明の超電導ケーブルの一形態として、上記断熱管のうち少なくとも最外管がコルゲート管であり、上記最外管と上記主電気絶縁層との間に、上記最外管の表面の凹凸を平滑にする平滑層と、上記補強層と、半導電層とを順に備えており、更に、上記最外管と上記平滑層との間、上記平滑層と上記補強層との間にそれぞれ、両者間の擦れ合いを緩和する緩衝層を備える形態が挙げられる。
上記形態は、(1)最大径を有する最外管が可撓性に優れるコルゲート管であるため、可撓性に優れる、(2)平滑層を備えることで補強層を形成し易く、製造性に優れる、(3)緩衝層を備えることで、最外管と平滑層との擦れ合い、平滑層と補強層との擦れ合いを防止できる、(4)半導電層を補強層の押えとして機能させることで、この外周に主電気絶縁層を形成し易く、製造性に優れる、といった種々の効果を奏する。
本発明の超電導ケーブルの一形態として、上記補強層の外周に、上記補強層の表面の凹凸を平滑にする平滑層を備える形態が挙げられる。
上記形態は、補強層の表面が凹凸形状であっても平滑層によって凹凸を低減できるため、平滑層の外周に主電気絶縁層を良好に押し出せて、製造性に優れる。
本発明の被覆付き断熱管は、多重構造の断熱管と、上記断熱管の外周に設けられた補強層と、上記補強層の外周に電気絶縁材料の押出によって形成された被覆層とを備える。
本発明の被覆付き断熱管は、補強層によって補強されていることで、機械的強度に優れる。補強層は、電気絶縁材料からなる被覆層を押出によって形成するときに断熱管に加えられ得る力を負担する部材として機能させられる。そのため、断熱管(特に最外管)をコルゲート管や薄肉管などとしても被覆層を良好に形成でき、このような可撓性に優れる断熱管を主体とすることで、本発明の被覆付き断熱管は、可撓性にも優れる。特に、被覆層の厚さが、20kV以上といった特別高圧用途、さらには200kV以上といった超高圧用途の電力ケーブルに備える主電気絶縁層に求められるような厚さ(例えば、6mm以上)であっても、被覆層を押出によって良好に形成できる。また、補強層を備えることで、被覆層の形成時に断熱管を伸長させたり破断させたりすることが実質的に無い。そのため、断熱管と被覆層との間に大きな隙間などが生じ難く、又は実質的に生じず、本発明の被覆付き断熱管は、被覆層を主電気絶縁層として機能させた場合に良好な電気絶縁性能を有することができると期待される。従って、本発明の被覆付き断熱管は、超電導ケーブルの構成部材に好適に利用することができる。また、補強層を備えることで、本発明の被覆付き断熱管は、送出時などに断熱管に加えられる圧力によっても断熱管が塑性変形し難く、破断もし難い。
上記本発明の被覆付き断熱管は、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。本発明の被覆付き断熱管の製造方法は、多重構造の断熱管を準備する工程と、上記断熱管の外周に補強層を形成する工程と、上記補強層の外周に電気絶縁材料の押出によって被覆層を形成する工程とを備える。
本発明の被覆付き断熱管の製造方法は、断熱管の外周に補強層を形成した後に被覆層を押出によって形成するため、被覆層の形成時に断熱管に加えられ得る力を補強層が負担できる。従って、本発明の被覆付き断熱管の製造方法は、断熱管(特に最外管)をコルゲート管や薄肉管などとした場合でも、所望の厚さの被覆層を良好に形成でき、可撓性に優れる被覆付き断熱管を製造できる。また、本発明の被覆付き断熱管の製造方法は、補強層を形成することで、送出時や被覆層の形成時などに、断熱管を伸長させたり破断させたりすることも実質的に無い。特に、被覆層の厚さを、20kV以上といった特別高圧用途、さらには200kV以上といった超高圧用途の電力ケーブルに備える主電気絶縁層に求められるような厚さ(例えば、6mm以上)とする場合でも、被覆層を押出によって良好に形成できる。従って、本発明の被覆付き断熱管の製造方法は、特別高圧用途、さらには超高圧用途の超電導ケーブルの構成部材となるような被覆付き断熱管の製造に好適に利用できる。
本発明の超電導ケーブルは、可撓性及び機械的強度に優れる断熱管を備えることで、可撓性及び機械的強度に優れる。本発明の被覆付き断熱管は、可撓性及び機械的強度に優れる。本発明の被覆付き断熱管の製造方法は、可撓性及び機械的強度に優れる被覆付き断熱管を製造できる。
実施形態1の超電導ケーブルの概略を示す横断面図である。 実施形態1の超電導ケーブルに備える被覆付き断熱管の概略を示す部分斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の超電導ケーブル及び本発明の被覆付き断熱管の実施形態を説明する。図において同一符号は、同一名称物を示す。
(実施形態1)
[全体構成]
図1に示す超電導ケーブル1は、超電導導体層12を備える導体部10と、導体部10を収納する多重構造の断熱管20と、断熱管20の外周に設けられた主電気絶縁層50とを備える常温絶縁型の超電導ケーブルである。主電気絶縁層50は、断熱管20の外周に電気絶縁材料の押出によって形成されており、断熱管20と一体になっている。つまり、超電導ケーブル1は、主電気絶縁層50を断熱管20の被覆層とする被覆付き断熱管2を備えており、導体部10及び被覆付き断熱管2を主要構成要素とする。超電導ケーブル1は、断熱管20と主電気絶縁層50との間に介在層30を有しており、この介在層30に補強層31(図2)を含むところを特徴の一つとする。以下、超電導ケーブル1の各構成要素を詳細に説明する。
[導体部]
導体部10は、断熱管20(ここでは内管21)の内部に収納される長尺体であり、代表的には、中心から順にフォーマ11、超電導導体層12、保護層15を備える。
フォーマ11は、超電導導体層12の支持体として機能する。フォーマ11は、この機能を有する種々の形状、材質のものが利用できる。図1では、中実体をフォーマ11に利用した例を示すが、パイプなどの中空体もフォーマ11に利用できる。上記中実体は、例えば、エナメルなどの絶縁被覆を備える金属線を複数撚り合わせた撚り線構造体が挙げられる。複数の撚り線構造体を組み合わせた組物をフォーマ11に利用することもできる。上記中空体は、例えば、コルゲート管などの管材が挙げられる。中空体のフォーマ11は、その内部を冷媒流路に利用できる。
フォーマ11は、常電導材料、代表的には銅やアルミニウム、その合金などの金属から構成されたものとすると、短絡電流などといった異常時電流の分流路に利用できる。上述の金属線の撚り線構造体や組物をフォーマ11に利用すると、中空体と比較して導体断面積が大きく分流路に好適に利用できる上に、撚り線であるため可撓性にも優れるフォーマ11とすることができる。
超電導導体層12は、例えば、酸化物超電導体を備える複数のテープ状線材を螺旋状に巻回して形成した単層の線材層、又は多層の線材層を備える形態が挙げられる。テープ状線材は、例えば、Bi系超電導テープ線やRE系薄膜線材(REは希土類元素、例えばY,Ho,Nd,Sm,Gdなど)が挙げられる。Bi系超電導テープ線は、Ag-MnやAgなどの安定化金属中に酸化物超電導体(代表的にはBi2223と呼ばれるBi系酸化物超電導相)のフィラメントが配されたシース線が代表的である。RE系薄膜線材は、ステンレス鋼やハステロイ(登録商標)などの金属からなる基板に酸化物超電導体(代表的にはRE123と呼ばれるRE系酸化物超電導相)が成膜された積層線材が代表的である。多層の線材層とする場合、クラフト紙やPPLP(登録商標)などの半合成紙によって形成した層間絶縁層を介在させることができる。また、フォーマ11が上述の金属線の撚り線構造体や組物で構成されている場合、クラフト紙やPPLP(登録商標)などの半合成紙によって形成した緩衝層をフォーマ11の直上に設けると、フォーマ11と超電導導体層12との金属同士の擦れ合いを低減できる。
保護層15は、超電導導体層12を機械的に保護する。保護層15は、例えば、不織布などの布からなるテープ材を巻回することで形成できる。
[被覆付き断熱管]
被覆付き断熱管2は、断熱管20と、主電気絶縁層50(被覆層)と、断熱管20と主電気絶縁層50との間に介在される介在層30とを備える。そして、介在層30の少なくとも一部が補強層31である。補強層31の機能の一つは、主電気絶縁層50を押出によって形成するときの抗張力部材となることが挙げられる。
・断熱管
この例に示す断熱管20は、図2に示すように導体部10を内部に収納する内管21と、内管21を内部に収納する外管(最外管)22とを備える二重構造の金属管である。内管21は、その内部に、超電導導体層12(図1)を超電導状態に維持するための冷媒(図示せず)が充填され、冷媒流路として機能する。冷媒は、代表的には、液体窒素や液体ヘリウム、ヘリウムガスなどが挙げられる。内管21と、内管21の外周に設けられる外管22との間は真空引きされて真空断熱層が形成されている。このような真空断熱構造によって、断熱管20は、外部からの侵入熱などにより冷媒の温度が上昇することを抑制する。その他、内管21と外管22との間にスーパーインシュレーションといった断熱材25や、内管21と外管22とを離隔させるスペーサ(図示せず)を備えると、断熱管20の断熱性をより高められる。三重構造以上の多重構造の断熱管とすると断熱性をより高められ、二重構造の断熱管であると、小型化・軽量化を図ることができる。
断熱管20を構成する金属は、種々のものが利用できる。上記金属が、例えば、ステンレス鋼であると、耐熱性や耐食性に優れる上に、強度や剛性に優れる断熱管20とすることができる。上記金属が、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金であると、管の厚さが厚くても、軽量な断熱管20とすることができる上に、可撓性にも優れ、曲げなどを行い易い断熱管20とすることができる。
断熱管20は、特許文献1に記載されるようにストレート管とすることもできるが、多層構造の管の全てがコルゲート管やべローズ管、フレキシブル管といった表面が凹凸形状であることで可撓性に優れる管であると、曲げなどが行い易く、可撓性に優れて好ましい。
・介在層
断熱管20(外管22)と主電気絶縁層50との間に存在する介在層30のうち、補強層31は、少なくとも、主電気絶縁層50(被覆層)を形成するときの抗張力部材として機能できれば、種々の材質、材料で構成することができる。特に、補強層31は、断熱管20の外周に縦型押出法によって主電気絶縁層50を形成するときに加えられ得る力によって断熱管20が破断したり変形したりしない程度(例えば、最外管がコルゲート管の場合、表面の凹凸が変形しない程度)の強度を有することが好ましい。更に、補強層31は、断熱管20(特に外管22)が側圧(特に、キャプスタンなどの送出装置によって断熱管20を送り出すときに加えられるものなど)を受けた場合に潰れるなどの塑性変形を防止できる程度に断熱管20を機械的に保護可能な強度を有することがより好ましい。上述のような機能を有することができる補強層31の材質として、例えば、鉄鋼、ステンレス鋼、銅などの金属(磁性体でも非磁性体でもよい)、ケブラー(登録商標)といったアラミド樹脂などの有機材料や炭素などの無機材料といった非金属が挙げられる。また、これらの材質からなる長尺材を補強層31の構成材料に好適に利用できる。長尺材であれば、断熱管20の外周に巻回したり、縦添えしたりすることで、補強層31を容易に形成できる。例えば、金属の長尺材として、断面円形状の丸線、断面多角形状の角線、その他異形線などといった金属線材、一般に厚さが幅より広い金属テープ材などが挙げられる。特に、ステンレス鋼線といった複数の金属線を螺旋状に巻回して形成された補強層31は、機械的強度に優れる上に、金属テープ材を用いた場合よりも曲げ特性に優れて好ましい。例えば、非金属の長尺材として、繊維、繊維を含む線材やテープ材などが挙げられる。特に、アラミド樹脂の繊維を含む線材やテープ材を螺旋状に巻回して形成された補強層31は、その表面が平滑になり易い。補強層31は、例えば、線材のみで構成することもできるが、線材とテープ材とを組み合わせたり、異なる材質の長尺材を組み合わせたりして構成することもできる。また、長尺材を用いる場合、補強層31は、長尺材からなる単層構造、又は長尺材からなる多層構造とすることができる。いずれの場合も、上述のように形状や材質が異なる長尺材を組み合わせることができる。
複数の長尺材を用いて形成された補強層31は、上述の長尺材が断熱管20の軸方向に沿って平行に配置されている、即ち縦添えされていると、上記軸方向の強度に最も優れている。そのため、縦添えの場合は、主電気絶縁層50(被覆層)を押出によって形成するときに加えられる力を補強層31が最も負担し易い。但し、縦添えでは、断熱管20の曲げ径によっては曲げ難くなったり、長尺材が座屈したりする恐れがある。従って、長尺材の巻き付けピッチは、長尺材がつくる層の心径(内接円+外接円/2)の2倍以上であると、強度に優れる上に、曲げ特性にも優れて好ましい。補強層31が長尺材のみで構成されているときには、上記心径とは、補強層31の心径とする。また、補強層31が長尺材の多層構造で構成されているときには、長尺材からなる各層のそれぞれについての内接円及び外接円を用いて各層の心径を求めて、各層の巻き付けピッチを設定するとよい。複数の長尺材の端部は、断熱管20の最外管の端部に固定して、最外管と一体化させる。長尺材が金属製の場合、上述の固定には、溶接、半田付け、圧着などが利用できる。
介在層30は、補強層31のみとすることができる。この例では、内周側から順に緩衝層32、平滑層34、緩衝層36、補強層31、半導電テープ層41を備える。介在層30はこのような多層構造とすることもできる。
平滑層34は、断熱管20の最外管がコルゲート管やべローズ管といった表面に凹凸を有する形状である場合に、この凹凸を低減する機能(平滑にする機能)を有する。平滑層34を設けることで、補強層31を形成し易くなると共に、断熱管20の最外管の周方向に対して均一的に、補強層31を構成する線材やテープ材を配置できる。また、平滑層34を設けることで、断熱管20の凸凹の影響を実質的に受けることなく、後述する押出半導電層42、主電気絶縁層50、後述する外部半導電層60(図1)を良好に、かつ平滑に押出することができる。平滑層34は、例えば、テープ材といった比較的広幅の長尺材を螺旋状に巻回することで、又は縦添えすることで形成することができる。このテープ材は、例えば、ギャップ巻きとすると、曲げ特性にも優れる。この平滑層34は、上述のように最外管の凹凸を低減できればよく、材質は問わない。ステンレス鋼、銅などの金属(磁性体でも非磁性体でもよい)、ケブラー(登録商標)といったアラミド樹脂や炭素などの非金属が挙げられる。特に、ステンレス鋼テープ材といった金属テープ材を平滑層34に利用すると、その剛性によって最外管の凹凸の低減を容易に行える。
介在層30は、上述の平滑層34及び補強層31のみとすることができるが、緩衝層32,36を備えることで、断熱管20の最外管と平滑層34との擦れ合い、平滑層34と補強層31との擦れ合いを防止できる。特に、最外管と、平滑層34と、補強層31とのいずれもがステンレス鋼といった金属で構成される場合には、緩衝層32,36を備えることで、金属同士の擦れ合いを防止できて好ましい。緩衝層32,36は、上述のように擦れ合いを防止できればよく、例えば、テープなどを螺旋状に巻回することで形成できる。特に、このテープの材質を導電性材料、又は半導電材料とすると、外管22から内部半導電層40に亘って同電位にし易い。その他、例えば、外周側の緩衝層36をテープで構成すると、平滑層34を構成する金属テープ材などの押えとしても機能する。その結果、補強層31をより形成し易くなる。
半導電テープ層41は、半導電材料からなるテープを螺旋状に巻回して形成されており、半導電層として機能する。また、半導電テープ層41を備えることで、補強層31が上述のように複数の長尺材で構成される場合に半導電テープ層41が補強層31を構成する長尺材の押えとして機能でき、押出をより行い易くなる。そこで、この例では、半導電テープ層41を備える。
・主電気絶縁層(被覆層)
主電気絶縁層50は、超電導ケーブル1と外部とを電気的に絶縁するために所定の電気絶縁強度を満たす層である。主電気絶縁層50の構成材料には、常電導ケーブルで実績があり、電気絶縁強度に優れる電気絶縁材料が利用できる。例えば、上記構成材料には、CVケーブルに利用される絶縁性樹脂が挙げられる。特に、架橋ポリエチレン(XLPE)は、電気絶縁強度に優れており、20kV以上、更に22kV以上、特に66kV以上といった特別高圧用途、さらには200kV以上、特に275kV以上といった超高圧用途の主電気絶縁層50の構成材料に好適である。主電気絶縁層50は、上述の介在層30を備える断熱管20の外周に絶縁性樹脂などを縦型押出装置などによって押し出すことで形成できる。また、絶縁性樹脂を押出後に架橋することで、XLPEといった架橋樹脂からなる主電気絶縁層50を形成できる。
主電気絶縁層50の厚さは、使用する電圧に応じて適宜選択する。例えば、主電気絶縁層50の厚さは、6mm以上、更に10mm以上が挙げられる。
・半導電層
更に、この例の被覆付き断熱管2は、介在層30の直上、つまり半導電テープ層41の直上に半導電材料の押出によって形成された押出半導電層42を備える。従って、この例では、半導電テープ層41と押出半導電層42とで内部半導電層40を構成する。また、この例の被覆付き断熱管2は、主電気絶縁層50の直上に半導電材料の押出によって形成された外部半導電層60を備える。これら押出半導電層42、主電気絶縁層50、及び外部半導電層60の3層は、同時押出によって形成すると、界面の密着性に優れる上に、製造性にも優れる。
[その他の構成]
外部半導電層60の外周には、図1に示すように遮蔽層70、遮水層(図示せず)、防食層80を備えることができる。つまり、超電導ケーブル1や、被覆付き断熱管2の外周構造は、従来のCVケーブルといった常電導ケーブルの外周構造と同様にすることができる。遮蔽層70は、地絡電流が発生したときなどで、この電流を逃すためのものである。このような機能を有する遮蔽層70は、例えば、銅、アルミニウム、鉛などの常電導材料からなる線材やテープ材を巻回したり、上記常電導材料の押出を行ったりなどして形成することができる。遮水層は、アルミニウムや鉛、その合金などの遮水性に優れる材料からなるテープ材などを縦添え又は巻回するなどして形成することができる。防食層80は、超電導ケーブル1の耐食性を確保するために設けられる。防食層80は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、防蟻層としても機能するナイロンなどの樹脂の押出によって形成することができる。被覆付き断熱管2は、遮蔽層70、遮水層、防食層80を備える形態としてもよいし、上述のように主電気絶縁層50、適宜半導電層42,60を備える被覆付き断熱管2を用意して、遮蔽層70、遮水層、防食層80を別途形成することもできる。
[被覆付き断熱管の製造方法]
上述の被覆付き断熱管2は、例えば、以下の工程を経て製造することができる。
準備工程 多重構造の断熱管20を準備する工程。
補強層の形成工程 断熱管20の外周に補強層31を形成する工程。
被覆層の形成工程 補強層31の外周(直上を含む)に電気絶縁材料の押出によって被覆層を形成する工程。
上述の製造方法によれば、補強層31を設けた後に上記被覆層(ここでは主電気絶縁層50)を形成するため、このときに断熱管20に負荷され得る力を主として補強層31が負担できる。従って、断熱管20(特に最外管。ここでは外管22)が薄肉であったり、コルゲート管などの伸長可能な形状であったり、被覆層(ここでは主電気絶縁層50)の厚さが10mm以上と厚いために縦型押出法によって形成する場合であったりしても、被覆層を良好に形成することができる。被覆層(ここでは主電気絶縁層50)に加えて、半導電層42,60を備える被覆付き断熱管とする場合には、補強層31の形成後、主電気絶縁層50と半導電層42,60とを同時押出によって形成するとよい。更に、遮蔽層70、遮水層、防食層80を備える被覆付き断熱管とする場合には、主電気絶縁層50(又は外部半導電層60)の外周にこれらを適宜形成するとよい。なお、断熱管20は、補強層31の形成前に予め製造しておいたもの(市販品でもよい)を用意し、ドラムなどから適宜繰り出して用いてもよいし、断熱管20の形成に連続して補強層31の形成や被覆層の形成を行ってもよい。
[超電導ケーブルの製造方法 後入れタイプ]
被覆付き断熱管2を備える超電導ケーブル1は、例えば、以下の工程を経て製造することができる。この製造方法では、予め被覆付き断熱管2を製造しておくとよい。
準備工程 超電導導体層12を備える導体部10と、上述の被覆付き断熱管2(多重構造の断熱管20と、補強層31と、主電気絶縁層50とを備えるもの)とを準備する工程。
収納工程 被覆付き断熱管2に導体部10を収納する工程。
導体部10を断熱管20に後で入れる後入れタイプの製造方法によれば、被覆付き断熱管2に導体部10を収納することで、超電導ケーブル1を容易に製造できる。特に、被覆付き断熱管2として、上述の外部半導電層60、遮蔽層70、遮水層(図示せず)、防食層80なども備えるものを用意すると、押出によって種々の層(主電気絶縁層50、半導電層42,60、防食層80など)を形成する場合に、導体部10が存在しないことで被覆対象が軽量になる。そのため、被覆対象の自重が小さくなることから、補強層31が負担する張力も小さくでき、送出時や押出時などに断熱管20の伸長や破断などを防止し易い。この後入れタイプの製造方法は、特に、導体部10が短い場合(例えば、30m以下程度)に好適に利用することができる。
[超電導ケーブルの製造方法 先入れタイプ]
被覆付き断熱管2を備える超電導ケーブル1の別の製造方法として、例えば、以下の製造方法が挙げられる。この製造方法では、超電導ケーブル1の製造途中に上述の被覆付き断熱管2を形成する。
準備工程 超電導導体層12を備える導体部10が収納された多重構造の断熱管20を準備する工程。
補強層の形成工程 断熱管20の外周に補強層31を形成する工程。
被覆層の形成工程 補強層31の外周(直上を含む)に電気絶縁材料の押出によって主電気絶縁層50を形成する工程。
導体部10を断熱管20内に先に入れておく先入れタイプの製造方法によれば、補強層31を設けた後に主電気絶縁層50を形成するため、主電気絶縁層50を押出によって形成するときに断熱管20に加えられ得る力を主として補強層31が負担できる。そのため、断熱管20(特に最外管。ここでは外管22)が薄肉であったり、コルゲート管などの伸長可能な形状であったり、主電気絶縁層50の厚さが10mm以上と厚いために縦型押出法によって形成する場合であったりしても、主電気絶縁層50を良好に形成することができる。主電気絶縁層50の形成後、上述の遮蔽層70、遮水層(図示せず)、防食層80などを適宜形成するとよい。内部半導電層を構成する押出半導電層42や、外部半導電層60は、主電気絶縁層50と同時に押し出すとよい。この先入れタイプの製造方法では、主電気絶縁層50の形成などによって最終製品である超電導ケーブル1が得られることから、長いケーブルの製造に好適に利用することができる。
[試験例]
被覆付き断熱管を備える超電導ケーブルを作製し、電気的特性を調べた。
ここでは、275kV以上の超高圧用途を目して、超電導ケーブルを作製した。被覆付き断熱管の諸元を以下に示す。超電導ケーブルの製造には、上述の後入れタイプの製造方法を利用した。超電導ケーブルは、以下の被覆付き断熱管の外周に、遮蔽層、遮水層、防食層を備えるものとし、ケーブル外径を約112mmとした。
電圧 66kV/77kV級
断熱管 二重構造のステンレス鋼管であって、内管及び外管の双方ともコルゲート管とした。外管の外径は62mmとした。
介在層 内周から順に、半導電テープを巻回してなる緩衝層、ステンレス鋼からなるテープ材を螺旋状に巻回した平滑層、半導電テープを巻回してなる緩衝層、ステンレス鋼からなる丸線を螺旋状に巻回してなる補強層、内部半導電層の一部を構成する半導電テープ層を備える。補強層を構成する丸線の巻き付けピッチは、丸線がつくる層の心径の約4倍とした。
主電気絶縁層 縦型押出法によって形成した。架橋ポリエチレンからなり、厚さ10mm、外部半導電層を含めて外径98mmとした。
内部半導電層及び外部半導電層 介在層の外周に、内側半導電層、主電気絶縁層、外部半導電層の3層を同時に押し出して形成した。
製造した被覆付き断熱管を調べたところ、押し出された被覆層(ここでは主に主電気絶縁層)と断熱管とが介在層を介して十分に密着しており、従来のCVケーブルと同程度の良好な仕上がりであった。このことから、補強層を備えることで、コルゲート管といった伸長可能な被覆対象の上に、比較的厚い被覆層(ここでは厚さ10mmの主電気絶縁層)を縦型押出法によって形成する場合、補強層がその形成時の力を負担することで、被覆層を精度よく良好に形成できることが確認できた。また、断熱管を送出装置で送り出したときも、問題なく搬送できた。これらのことから、補強層を備えることで、被覆層の形成時などに、コルゲート管が伸長して変形する、コルゲート管が破断する、といった不具合を防止できるといえる。更に、補強層を備えることで、被覆層の形成時のハンドリング性にも優れており、被覆付き断熱管を良好に製造できた。得られた被覆付き断熱管もハンドリング性に優れており、超電導ケーブルを良好に製造できた。
得られた超電導ケーブルに対して、耐電圧試験を行って、電気的特性を調べた。ここでは、日本電気協会の電力用規格A-261(1998)、66kV/77kV CVケーブルに準じて、AC85kV/10分の条件で耐電圧試験を行った。そして、この試験時に部分放電の発生の有無を調べた。その結果、得られた超電導ケーブルは、部分放電を検出することがなく、良好な電気絶縁強度を有することが確認できた。この理由の一つとして、上述のように主電気絶縁層と断熱管とが十分に密着しており、部分放電の原因となるボイドなどが介在しなかったことが考えられる。
[効果]
上述のように断熱管がコルゲート管や薄肉管などであって、断熱管自体が十分な機械的強度を有していない場合でも、断熱管の外周に補強層を備えることで、補強層と一体となった断熱管は、機械的強度に優れる。そのため、補強層を備える断熱管を被覆対象とすることで、この被覆対象の外周に被覆層を押出によって精度よく良好に形成できる。また、補強層を備える断熱管を被覆対象とすることで、縦型押出法といった被覆層の形成時に大きな力が被覆対象に加えられるような場合でも、押出による被覆層を良好に形成できるといえる。その結果、可撓性と機械的強度との双方に優れる被覆付き断熱管を製造できる。また、この被覆付き断熱管は、可撓性と機械的強度との双方に優れる。更に、この被覆付き断熱管を構成部材とする超電導ケーブルは、可撓性と機械的強度との双方に優れる上に、所望の電気絶縁性能も良好に有することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、平滑層34の外周に補強層31を備える形態を説明した。逆に、補強層31の外周(直上を含む)に平滑層34を備える形態とすることができる。この形態は、補強層31自体がその表面に凹凸を有する場合でも、平滑層34によってこの凹凸を低減できる。その結果、平滑層34の外周に主電気絶縁層50といった被覆層を押出しによって、良好にかつ平滑に形成することができる。また、平滑層34を備えることで、断熱管20の最外管がコルゲート管などのように表面に凹凸を有する場合でも、被覆層(主電気絶縁層50)を押出によって良好にかつ平滑に形成することができる。この形態の具体例として、(1)介在層30が内側から順に、補強層31、平滑層34を備える形態、(2)介在層30が内側から順に、緩衝層32、補強層31、平滑層34を備える形態、(3)介在層30が内側から順に、補強層31、緩衝層36、平滑層34を備える形態、(4)介在層30が内側から順に、緩衝層32、補強層31、緩衝層36、平滑層34を備える形態が挙げられる。緩衝層32,36の少なくとも一方を備える形態では、上述のように緩衝層を挟む上下の二層の擦れ合いを防止できて好ましい。更に、上記(1)〜(4)のいずれの形態も、平滑層34の外周に実施形態1と同様に半導電テープ層を備えることができる。その他の例として、実施形態1の構造において、補強層31の外周に更に平滑層34を備える形態、即ち、平滑層34を複数備える形態が挙げられる。このように平滑層34は、押出によって形成する被覆層の下層(好ましくは直下)に設けられていれば、被覆層を良好にかつ平滑に形成することができるため、介在層30中における位置や数を適宜変更できる。
(実施形態3)
実施形態1,2では、介在層30が平滑層34を備える形態を説明したが、平滑層34を省略することができる。この場合、補強層31は、平滑層34の機能を兼ねることが好ましい。平滑層の機能を兼備できる補強層31とは、補強層31自体が凹凸を有しておらず、平滑な表面を形成可能であり、かつ補強層31が、補強層31よりも下層に存在する凹凸を平滑にすることができればよい。このような補強層31は、例えば、ケブラー(登録商標)といったアラミド樹脂などの非金属有機材料、炭素などの非金属無機材料からなるテープ材を利用して形成することが挙げられる。この形態の具体例として、(1)介在層30が補強層31のみの形態、(2)介在層30が内側から順に、緩衝層32、補強層31を備える形態、(3)介在層30が内側から順に、緩衝層32、補強層31、半導電テープ層41を備える形態が挙げられる。上記(3)の形態では、補強層31の外周に設けた半導電テープ層41に緩衝層としての機能も期待できる。実施形態3は、平滑層を省略していることで、(1)平滑層の形成工程を省略して製造工程数を低減でき、被覆付き断熱管の製造性を向上できる、(2)ケーブルサイズや被覆付き断熱管の小径化・軽量化を図ることができる、といった効果を奏する。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することができる。
本発明の超電導ケーブルは、電力線路の構成部材に好適に利用することができる。特に、本発明の超電導ケーブルは、20kV以上、更に22kV以上、特に66kV以上の特別高圧の電力線路、さらには200kV以上といった超高圧の電力線路の構成部材に利用することができる。本発明の被覆付き断熱管は、断熱構造と、電気絶縁材料からなる被覆層とが要望される用途、例えば、常温絶縁型の超電導ケーブルの構成部材に利用することができる。本発明の被覆付き断熱管の製造方法は、被覆付き断熱管の製造に好適に利用することができる。
1 超電導ケーブル 2 被覆付き断熱管
10 導体部 11 フォーマ 12 超電導導体層 15 保護層
20 断熱管 21 内管 22 外管 25 断熱材
30 介在層 31 補強層 32,36 緩衝層 34 平滑層
40 内部半導電層 41 半導電テープ層 42 押出半導電層
50 主電気絶縁層
60 外部半導電層 70 遮蔽層 80 防食層

Claims (10)

  1. 超電導導体層を備える導体部と、
    前記導体部を収納する多重構造の断熱管と、
    前記断熱管の外周に設けられた補強層と、
    前記補強層の外周に電気絶縁材料の押出によって形成された主電気絶縁層とを備える超電導ケーブル。
  2. 前記補強層は、複数の長尺材から構成されており、
    前記長尺材は、金属線材、金属テープ材、及び非金属テープ材の少なくとも一つを含む請求項1に記載の超電導ケーブル。
  3. 前記補強層は、複数の長尺材を前記断熱管の外周に螺旋状に巻回して形成されており、
    前記長尺材の巻き付けピッチは、前記長尺材がつくる層の心径の2倍以上である請求項1又は2に記載の超電導ケーブル。
  4. 前記主電気絶縁層は、架橋ポリエチレンで構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  5. 前記断熱管のうち少なくとも最外管は、コルゲート管、フレキシブル管、及びべローズ管のいずれか一つである請求項1〜4のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  6. 電圧が20kV以上である用途に用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  7. 前記断熱管のうち少なくとも最外管はコルゲート管であり、
    前記最外管と前記主電気絶縁層との間に、前記最外管の表面の凹凸を平滑にする平滑層と、前記補強層と、半導電層とを順に備えており、
    更に、前記最外管と前記平滑層との間、前記平滑層と前記補強層との間にそれぞれ、両者間の擦れ合いを緩和する緩衝層を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  8. 前記補強層の外周に、前記補強層の表面の凹凸を平滑にする平滑層を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
  9. 多重構造の断熱管と、
    前記断熱管の外周に設けられた補強層と、
    前記補強層の外周に電気絶縁材料の押出によって形成された被覆層とを備える被覆付き断熱管。
  10. 多重構造の断熱管を準備する工程と、
    前記断熱管の外周に補強層を形成する工程と、
    前記補強層の外周に電気絶縁材料の押出によって被覆層を形成する工程とを備える被覆付き断熱管の製造方法。
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