JP2016095535A - 表示装置用前面保護板、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示装置用前面保護板10は、透光性基板1の面に、遮光層2として白色系樹脂層3を有し、白色系樹脂層は白色顔料を硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む。さらに、透明電極6a,6b、配線7に加えて、適宜、オーバーコート層5a,5b、透明電極6a,6bを互いに絶縁するオーバーコート層5cを有する。黄変し難いように、(A)白色系樹脂層を酸素遮断層4で被覆する、(B)透明電極を高温加熱処理不要な不透明な導電性メッシュ層とする、(C)オーバーコート層を200℃未満の低温加熱で形成されてなる低温型にする、のいずれかを採用する。これを、液晶表示パネル、ELパネル等の表示パネルと組み合わせて表示装置とする。
【選択図】図1
Description
表示装置用前面保護板40は、通常、図11で例示する様に、その表示用領域A1の外周部が不透明領域A2となっており、不透明領域A2には遮光層41が形成されている。この不透明領域A2によって、表示装置用前面保護板40の裏側に配置されるタッチパネル20が、その外周部に有する配線7やコネクタ等が見えて外観を損ねないようにしている。また、不透明領域A2中には、製品ロゴなどの可視情報9なども適宜設けられ、不透明領域A2は表示装置用前面保護板40の加飾部にもなっている。
また、薄型化、軽量化、部品点数削減などに対する要求に応えるべく、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との一体化、或いはタッチパネル20と表示パネル30との一体化などの各種一体化の形態が、提案され実用化も始まっている(特許文献1、特許文献2)。
そこで、白色系の意匠を表現できるように、遮蔽層41を、カーボンブラック等の黒色顔料に代えて、白色顔料を樹脂バインダ中に含む白色系樹脂層で構成すれば、一応、白色系の色の意匠を表現できる。しかし、この構成では、遮光層41の色が、熱により黄変し意匠性を低下させることが判明した。黄変は遮光層41に用いた樹脂成分が熱で変質することが原因であると考えられ、遮光層41の色が黒色であるときは、樹脂成分に黄変が生じていても目立たなかっものと思われる。黄変は、とりわけ、部品の一体化の為に、表示装置用前面保護板40に、遮光層41以外に、さらに、タッチパネル用の透明電極も付与すると、透明電極の形成時にポストベーク乃至は焼成と言われる加熱処理で200℃以上の高温が加わるので顕著であった。
(1)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちの、いずれか一方の面上において前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上に前記遮光層を被覆するように設けられた酸素遮断層と、
前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられ、透明導電体薄膜からなる透明電極と、
前記一方の面上であって、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を少なくとも有し、
前記遮光層は、白色系樹脂層を有することで白色系の色を呈し、
前記白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を、硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む、
表示装置用前面保護板。
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちの、いずれか一方の面上において前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられた透明電極と、
前記一方の面上であって、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を少なくとも有し、
前記遮光層は、白色系樹脂層を有することで白色系の色を呈し、
前記白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を、硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記透明電極は、層自体が不透明な導電性層からなり、少なくとも前記表示用領域において、メッシュ状に形成されることで透視性を確保した導電性メッシュからなる、
表示装置用前面保護板。
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちの、いずれか一方の面上において前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられ、透明導電体薄膜からなり、互いに絶縁され且つ互いに交差する第1の透明電極および第2の透明電極から構成される透明電極と、
前記一方の面上であって、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
前記第1の透明電極および第2の透明電極を、これらの交差部分で互いに電気的に絶縁するオーバーコート層と、
を少なくとも有し、
前記遮光層は、白色系樹脂層を有することで白色系の色を呈し、
前記白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を、硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記透明電極、および前記オーバーコート層が、200℃未満の温度で形成されてなるものである、
表示装置用前面保護板。
(4)前記(1)から(3)のいずれかの表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた、表示装置。
(5)前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、前記(4)の表示装置。
本発明の表示装置によれば、それが備える表示装置用前面保護板が、前記効果を有する。
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「裏側」とは、前記「表側」とは反対側を意味し、表示装置用前面保護板或いはその他の構成要素において、表示パネルの表示光が入光する側を意味する。
「第1面」と「第2面」とは、何れかが前記「表側」となり、何れの面が前記「表側」となるかは任意である。本明細書においては、遮光層2を必ず有する側の面を「第2面」と呼ぶことにしており、この第2面が裏側の面となる。
以下、本発明による表示装置用前面保護板を説明する。
図1の部分拡大断面図及び図2の平面図を参照して、本発明による表示装置用前面保護板の第1の実施形態例を説明する。本実施形態においては、透明電極6および配線7は、いずれもタッチパネル用のものである。透明電極6は、投影型静電容量方式のタッチパネル用として形成されている例である。
白色系樹脂層3は、白色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む白色系感光性樹脂組成物を透光性基板1上に塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることで形成されている。
裏打ち層8は、白色系樹脂層3の部分に後述する酸素遮断層4を介して形成されている。つまり、裏打ち層8は、酸素遮断層4形成後に、白色系樹脂層3の面上に酸素遮断層4の面に接して形成されている。
裏打ち層8は、本実施形態においては、黒色樹脂層として形成されており、この黒色樹脂層は、前記白色系樹脂層3が含む白色顔料を黒色顔料に代えた黒色樹脂組成物によって、白色系樹脂層3と同様にして形成されている。
配線7は、図面では、第1の透明電極6aに対してのみ模式的に描いてある。
透明電極6の第1の透明電極6aおよび第2の透明電極6bも模式的に描いてある。
このため、第1の透明電極6aおよび第2の透明電極6bは、第1のオーバーコート層5aの面上において、互いに絶縁されて形成されている。
第1の透明電極6aおよび第2の透明電極6bのパターンは、投影型静電容量方式では各種パターンが知られており、特に限定はない。典型的には、複数の第1の透明電極6aが、第1の方向に延びて、この第1の方向に交差する方向、通常は直交する方向を第2の方向として、第2の透明電極6bが第2の方向に延びたパターンとなっている。また、本実施形態においても、図2の平面図で示すように、同様である。
図1の断面図で言えば、前記交差部分は、透光性基板1に近い側の透明電極6が、第1の透明電極6aであるので、第1の透明電極6aが形成された後の交差部分に対して第3のオーバーコート層5cが形成され、交差部分を跨いで接続用の透明電極が形成されて第2の透明電極6bが完成する。
さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも効果的である。
表示装置用前面保護板10は、図2の平面図で例示したように、中央に表示用領域A1を有し、表示用領域A1の外周部に、可視光を遮蔽する不透明領域A2を有する。表示用領域A1は、表示装置用前面保護板10を表示パネルに適用したときに、表示装置用前面保護板10を透して、表示パネルが表示する内容を表示できる領域である。不透明領域A2は、不透明な、配線7やコネクタなどを隠したり、或いは、表示パネルが外周部に有する配線、コネクタなどを隠したりする為の領域である。また、不透明領域A2は、それが表現する色、適宜設けるロゴやマークなどの可視情報によって加飾部にもなる領域である。
透光性基板1は、少なくとも可視光線に対して透明で、表示装置用前面保護板10を適用する表示パネルに対して、表面を保護し得る機械強度を有するものであれば、特に制限はなく、代表的にはガラス板を用いることができる。とくに、前記ガラス板として、化学強化ガラスはフロートガラスに比べて機械的強度に優れ、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代えるなどイオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスである。
透光性基板1には、樹脂を用いることも可能である。例えば、前記樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。透光性基板1に樹脂を用いることで、軽量にできる上、可撓性を持たせることも可能となる。
本実施形態における遮光層2は、透光性基板1の表示パネル側とする裏側の第2面S2の不透明領域A2の部分に形成されている。遮光層2は、不透明領域A2中の全領域に設けられている。逆に言えば、この遮光層2によって、不透明領域A2が不透明な領域として形成される。
本実施形態においては、遮光層2は、透光性基板1の第1面S1と第2面S2のうちの一方の面として第2面S2の面の、不透明領域A2に形成される。
遮光層2は、タッチパネルとしての中央の位置検知領域に対して、その外周部に有する配線7や制御回路、或いは表示パネルがその中央の表示領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路などを隠して、目視不能にして、表示パネルと組み合わされた表示装置において、外観を損なわないようにする機能を有する。
本発明において、白色系の色を呈するとは、純粋な白色(純白)以外に、アイボリー色、ベージュ色、赤みの白である赤白色(薄いピンク色)、黄みの白である黄白色、青みの白である青白色、緑みの白である緑白色、紫みの白である紫白色、茶色みの白である茶白色、黒みの白である灰色(ライトグレー)、銀色みの白である銀白色、金色みの白である金白色などの、有彩色で白っぽい色、及び無彩色で白っぽい色、も含む。
こうした白色系の色を、数値的に示せば、各種表色系を用いて定義することができる。なかでも慣用的な表色系の1種であるマンセル表色系(JIS Z 8721)によって示せば、本発明において白色系の色とは、マンセル表色系において、明度が8.0以上で、且つ彩度が2.0以下の色であると、定義することができる。色相については、特に制限はない。どんな色味でも構わない。
マンセル表色系の前記三属性は、市販の分光測色計、分光光度計などによって測定することができる。
白色系樹脂層3は、白色系の色を表現する為の着色顔料を硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層からなる。
本実施形態においては、硬化性樹脂として感光性樹脂を用いてある。このため、前記白色系樹脂層3は、白色系の色を表現する為の着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層からなる。
白色系樹脂層3に用いる着色顔料としては、通常は、白色顔料が主要な顔料として用いられる。更に、純色以外の、アイボリー、ライトグレーなどの白色系の色を表現する為に、黒色顔料も含めて、任意の色を呈する着色顔料を併用することができる。
なかでも、酸化チタンは代表的である。酸化チタンには結晶型が、ルチル型とアナターゼ型があるが、ルチル型の方が好ましい。本実施形態でもルチル型の酸化チタンを用いてある。ルチル型はアナターゼ型に比べて触媒活性が低く、加熱時にバインダー樹脂を変質し難いからである。
前記紫色顔料としては、キナクリドン系のキナクリドン(PV19)、ジオキサジン系のジオキサジンバイオレット(PV23)などを用いることができる。
黒色顔料は、白色顔料と共に、或いは、白色顔料と共に白色顔料以外の他の色の着色顔料と併用することで、明度を落とした色などにおいて用いることができる。
着色顔料を分散保持する樹脂バインダの樹脂成分となる前記硬化性樹脂としては、感光性樹脂、及び、熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂を1種以上用いることができる。
前記多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを1種以上用いることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、又は、アクリレートのいずれかであることを意味する。
白色系樹脂層3の形成法は、本発明においては、特に限定されないことは既に述べたが、白色系樹脂層3は、前記硬化性樹脂の未硬化物を含む樹脂バインダ中に着色顔料及び黄変補正化合物を含有する、白色系硬化性樹脂組成物によって、形成することができる。
前記白色系硬化性樹脂組成物には、さらに、この樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布する際の塗布適性、或いは印刷する際の印刷適性の調整などの為に、溶剤を含むことができる。
前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート、等を1種以上用いることができる。
酸素遮断層4は、黄変し易い白色系樹脂層3に対して、空気中の酸素が接触するのを防ぐ層である。このため、酸素遮断層4は、酸素透過度が小さい層となっている。
酸素遮断層4は、少なくとも白色系樹脂層3の部分に白色系樹脂層3を被覆するように形成すれば良いが、表示用領域A1および不透明領域A2の全面に形成しても良い。全面に形成する場合は、表示用領域A1での表示に支障を来たさないように、透明な層とする。本実施形態においては、酸素遮断層4は透明な層として形成されている。
酸素遮断層4の材料および厚みは、JIS K7126−2のA法、23℃、50%RHの条件で、層の酸素透過度〔cm3/(m2・d・atm)〕が、1.0以下、好ましく、0.1以下となるように設定する。
酸素透過度が大き過ぎると、黄変が生じて目立ちやすくなることがあり、また、小さ過ぎても過剰性能となるだけである。
酸素遮断層4の形成は、無機材料では、スパッタ法などの物理的乃至は化学的気相成長法などで形成することができ、樹脂材料では塗工法により形成することができる。
第1のオーバーコート層5a、第2のオーバーコート層5b、及び第3のオーバーコート層5cのそれぞれは、異なる材料で形成することもできるが、本実施形態、及びこれから説明する各実施形態においては全て、同じ材料で形成してある。よって、本明細書において、これらを纏めて言うときは、単に「オーバーコート層5」とも呼ぶ。
また、前記硬化性樹脂としては、前記白色系樹脂層3で述べた感光性樹脂などを用いることもできる。感光性樹脂の場合は、部分形成するときにフォトリソグラフィ法を利用することができる。
オーバーコート層5を形成するとき、ポストベーク乃至は焼成と言われる加熱処理が行われる。加熱処理は200℃以上の高温が必要であり、この熱の影響で、白色系樹脂層3に黄変が生じ易くなる。200℃以上の加熱処理としては、例えば、200℃、230℃などであり、最大でも300℃程度である。加熱処理時間は、10〜30mim程度、通常15〜30min程度である。
また、本実施形態のように、第1の透明電極6aおよび第2の透明電極6bが互いに交差し、交差部分の両電極を互いに電気的に絶縁する必要がある形態の場合は、少なくとも交差部分に絶縁層としての第3のオーバーコート層5cが必要となる。
透明電極6は、本発明においては、互いに絶縁されて形成される第1の透明電極6aおよび第2の透明電極6bから構成される。
第1の透明電極6a、第2の透明電極6bは、本実施形態、及びこれから説明する各実施形態においては全て、同一実施形態内においては同じ材料で形成してある。よって、本明細書において、これらを纏めて言うときは、単に「透明電極6」とも呼ぶ。
透明電極6を透明導電体薄膜として形成するとき、導電性を上げるために、ポストベークと言われる加熱処理が行われる。加熱処理は200℃以上の高温が必要であり、この熱の影響で、白色系樹脂層3に黄変が生じ易くなる。
配線7には、例えば、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属(含むその合金)などを用いることができる。例えば、銀、パラジウム及び銅からなる合金(APCとも言う)の金属層としてスパッタ法により製膜後、フォトリソグラフィ法によりパターン形成したものを用いることができる。
配線7を形成するときは、通常、200℃以上の高温の加熱処理は必要ない。
本実施形態においては、図1で例示するように、遮光層2は、白色系樹脂層3の裏側に、裏打ち層8もする。ここでの裏打ち層8は、酸素遮断層4を介して設けてある。この結果、遮光層2は、透光性基板1側から順に、白色系樹脂層3と裏打ち層8とから構成される。
裏打ち層8は、白色系樹脂層3のみでは、遮光性が不足する場合に、遮光性を補う層として設けることが好ましい。裏打ち層8としては、例えば、黒色層、反射層を用いることができる。黒色層は光を吸収することで遮光性を向上させ、反射層は光を反射することで遮光性を向上させる。
黒色層としては、例えば、黒色顔料を樹脂バインダ中に含む黒色樹脂層を用いることができる。本実施形態においても、黒色樹脂層を用いてある。
反射層としては、例えば、銀、アルミニウムなどを含む金属薄膜などからなる金属反射層を用いることができる。
本実施形態の表示装置用前面保護板10を構成する各層は、例えば、次の様にして形成される。先ず、透光性基板1の第2面S2の不透明領域A2とする領域に、遮光層2の一部となる白色系樹脂層3をパターン形成する。
次に、遮光層2が形成された側の面全面に酸素遮断層4を形成する。この後、白色系樹脂層3の部分の酸素遮断層4の面上に、遮光層2の残りの構成要素である裏打ち層8をパターン形成し、遮光層2を完成させる。
次に、全面に第1のオーバーコート層5aを形成する。次に、第1のオーバーコート層5aの面上で不透明領域A2である遮光層2の部分に、配線7をパターン形成する。次に、第1のオーバーコート層5aの面上に、透明電極6として、第1の透明電極6aの全部と、交差部分が分断し欠損した第2の透明電極6bとを、同じ面に同時にパターン形成する。このとき、透明電極6aおよび透明電極6bは、それぞれ、遮光層2の面上に形成された配線7上に接して形成されるようにパターン形成する。
次に、前記交差部分に第3のオーバーコート層5cをパターン形成し、この第3のオーバーコート層5cを跨いで、前記第2の透明電極6bの残りの欠損部分をパターン形成して第2の透明電極6bの全体を完成させる。最後に、第2のオーバーコート層5bを全面に形成することで、タッチパネル機能を一体化した表示装置用前面保護板10が作成される。
図3の部分拡大断面図及び図4の平面図を参照して、本発明による表示装置用前面保護板の第2の実施形態例を説明する。図4(a)は全体図、図4(b)は導電性メッシュのメッシュ形状例を示す拡大図である。
その他の構成要素は、前記第1の実施形態と同じであるので、これらの説明は省略し、ここでは、新たな構成要素である、導電性メッシュを用いた透明電極6について説明する。
なお、本実施形態のように本発明の方式Bにおいても、オーバーコート層5の各層の必要性の有無は、前述方式Aの実施形態と同じである。
本実施形態における透明電極6は、不透明な導電性層がメッシュ状に形成された導電性メッシュが用いられる。不透明な導電性層であるため、前記第1の実施形態で用いた透明導電体薄膜からなる透明電極6のように、導電性を上げるために200℃以上の加熱処理が必要でない。しかも、不透明な導電性層であっても、導電性メッシュとして形成することで、透明性も確保できる。このため、導電性メッシュのメッシュパターンを構成する線の幅は、不可視性の観点から30μm以下、好ましくは10μm以下である。
さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも効果的である。
図5の部分拡大断面図を参照して、本発明による表示装置用前面保護板の第3の実施形態例を説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態において、第1,第2,第3のオーバーコート層5a,5b,5cの全オーバーコート層5の材料を変更して、200℃未満の温度で形成された層にした例である。
その他の構成要素は、前記第1の実施形態と同じであるので、これらの説明は省略し、ここでは、新たな構成要素である、200℃未満の温度で形成されてなるオーバーコート層5について説明する。
本実施形態のように本発明の方式Cにおいては、オーバーコート層5として最低限、第1の透明電極6aおよび第2の透明電極6bを、これらの交差部分で互いに電気的に絶縁する絶縁層としての第3のオーバーコート層5cが必須の層である。同時に、透明電極6は、互いに絶縁され且つ互いに交差する第1の透明電極6aおよび第2の透明電極6bから構成される。
また、オーバーコート層5として、本実施形態のように、さらに、第1のオーバーコート層5aおよび第2のオーバーコート層5bを設けることで、前記実施形態同様に、信頼性をより向上させることができる。
本実施形態におけるオーバーコート層5は、200℃以上の加熱処理が不要であり、また仮に加熱処理が必要であっても200℃未満の加熱処理で形成可能な、低温型のオーバーコート層5を採用してある。200℃未満とは、例えば、100℃以上200℃未満であり、加熱しても好ましくは140〜180℃程度である。
従来200℃以上の加熱処理が必要なのは、オーバーコート層5がフォトリソグラフィ法で形成されたものであっても、露光でパターン形成された層の未硬化の硬化反応を進めて、良質のオーバーコート層5とするためである。
前記光重合性化合物(B)における熱重合性官能基は、例えば、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基などを挙げることができる。例えば、アクリロイル基とイソシアネート基を共に有する、モノマー、プレポリマーなどの重合性化合物である。
前記非重合性重合体(A)における熱重合性官能基は、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基などを挙げることができる。例えば、ヒドロキシル基、およびカルボキシル基を有するアクリル共重合体である。
また、こうした重合性化合物と共に、光重合性化合物(B)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などの多官能光重合性化合物を併用することができる。
カルボキシル基、スルホ基などの酸性基又はこれらの塩を含有する多官能アクリレート系モノマー(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、エポキシ基及び/又はアルコキシ基を2個以上有するカチオン重合性化合物(C)、2個以上の加水分解性アルコキシ基を有するシロキサン化合物(D)、および酸発生剤(E)を含有する、光重合性組成物。これは、アルカリ現像可能なネガ型の光重合性組成物である。
上記(A)成分は、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートのコハク酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸付加物、などであり、
上記(B)成分は、例えば、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン(イルガキュア907(登録商標)、BASFジャパン株式会社)などのアセトフェノン誘導体、或いは、トリアジン誘導体、O−アシルオキシム(オキシムエステル)誘導体、ベンゾフェノン誘導体など、などであり、
上記(C)成分は、例えば、メチロール化メラミンのメチロール基を、メチルアルコール、エチルアルコールなどでエーテル化したエーテル化メラミン樹脂、例えば、メチルエーテル化メラミン、などであり、
上記(D)成分は、例えば、アクリレート変性ポリシロキサン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などであり、
上記(E)成分は、熱または光で酸を発生する化合物であり、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミドなどのスルホンイミド化合物、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタンなどのジスルホニルジアゾメタン化合物、スルホニウム塩〔ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェートなどのオニウム塩、などである。
カルボキシル基およびヒドロキシル基を有するアルカリ可溶性重合体(A)、ヒドロキシル基と反応し得る官能基および光重合可能な官能基を有する光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどの、熱により酸を発生する熱酸発生剤(D)、を含む重合性組成物。
上記(B)成分は、例えば、アクリロイル基とイソシアネート基を共に有する、モノマー、プレポリマーなどである。
不飽和カルボン酸を共重したアルカリ可溶性共重合体(A)、エチレン性不飽和結合を有する多官能重合性化合物(B)、および光重合開始剤(C)、を含む重合性組成物。
(A)成分は、例えば、カルボキシル基を有するアクリル共重合体などであり、
(B)成分は、例えば、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート(DPPA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などであり、
(C)成分は、例えば、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートなどである。
この結果、本実施形態における表示装置用前面保護板10では、その遮光層2によって表現する意匠として、白色系の色の意匠を表現することができる。その上、オーバーコート層5が200℃未満の加熱処理で形成されてなる低温型のオーバーコート層5である為に、遮光層2が表現しようとする白色の黄変が生じ難い様になっている。
さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも効果的である。
ここで、黄変の意味について説明しておく。黄変とは、一般に、元の色が黄色味がかることを言う。とりわけ、元の色が白色など白色系の場合に目立ち易い。黄変して黄色味がかるということは、物体がおおよそ可視光域中で波長380〜550nm、とりわけ波長400〜450nmの光を多く吸収するようになる結果、その補色である黄色成分が物体色に多く含まれるようになることである。
表1、及び図7のxy色度図に、白色系樹脂層3と、黒色樹脂層の裏打ち層8とからなる遮光層2での、黄変の発生状況を例示する。
表1では、従来の形態、第1の実施形態に対応する方式A、第2の実施形態に対応する方式B、第3の実施形態の形態に対応する方式C、および、方式Bと方式Cの両方を採用した「方式B+C」の形態のそれぞれで、200℃以上の加熱処理の時間を累積した総加熱時間の差を示す。
座標Csは、樹脂組成物を硬化させて形成された白色系樹脂層3が、これから他の層がさらに形成される前の初期状態を示す。
座標Cyは、白色系樹脂層3形成後、さらに他の層が形成され、200℃以上の加熱処理として、230℃で総加熱時間3.0hの高熱を受けたときの黄変状態を示す。
座標CyAは例えば方式Aによって総加熱時間が0.5hのとき、座標CyBは例えば方式Bによって総加熱時間が2.0hのとき、座標CyCは例えば方式Cによって総加熱時間が1.5hのときを、それぞれ示す。このように、加熱処理の高温に晒される時間が長くなる程、黄変による色変化が大きくなる。
本発明の表示装置用前面保護板10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
前記表1では、黄変をし難くする方策として、方式A、方式B、方式C、及び方式B+Cを説明した。しかし、本発明においては、これ以外に、異なる方式の組み合せを採用することもできる。
例えば、方式Aでの酸素遮断層4による酸素遮断効果は、ほどほどにして、酸素遮断層4による黄変抑止効果と、他の方式による黄変抑止効果との組合せによって、総合的に黄変を生じ難くする場合である。具体例で示せば、方式A+B、方式A+C、方式A+B+Cである。
酸素遮断層4を用いる方式Aとの組み合せは、各方式のコスト、生産容易性、利用可能な製造設備の適合性などを総合的に勘案して決定できる選択肢を広げることができる利点を有する。
前記した実施形態においては、白色系樹脂層3は、不透明領域A2の全域に亙って膜厚一定の、いわゆる「ベタ層」として形成されている。こうした、白色系樹脂層3は、単層構成でもよいし、2層以上の複層構成でもよい。
白色系樹脂層3が複層構成の場合、各層は同一色でも良く、異なる色の層を含めて、全層によって白みがかった白色系の色を表現しても良い。
上述した実施形態においては、透明電極6及び配線7の用途はタッチパネルであった。
透明電極6をタッチパネル用とする形態においては、タッチパネルの位置検知方式として、透明電極6が互いに異なる面に2層になる位置検知方式では、このうちの少なくとも1層を設ける形態もあり得る。
図11に例示する従来の表示装置用前面保護板40では、遮光層2が形成される不透明領域A2には可視情報9として製品のロゴマークなどが形成されていた。
本発明においては、可視情報9は必須ではないが、不透明領域A2に対して、製品ロゴマーク、操作説明用の文字や記号、模様などの任意の目視可能な可視情報9を設けることができる。
可視情報9は、図9の断面図で例示するように、白色系樹脂層3の前記非形成部の部分に可視情報形成層9Lを設けることで、この可視情報形成層9Lを、表側から見たときの色及び形状によって表現することができる。
可視情報形成層9Lとしては、金属層、着色樹脂層など、白色系樹脂層3とは色や表面状態の外観が異なる層を用いることができる。前記金属層としては、銀、アルミニウムなどの金属薄膜を用いることができる。前記着色樹脂層としては着色顔料や金属粉末を含む樹脂組成物層を用いることができる。
本発明による表示装置は、上記した表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを少なくとも備える表示装置である。
上記表示装置用前面保護板10は、白色系樹脂層3を含む遮光層2、さらにオーバーコート層5に加えて、タッチパネル機能として、少なくとも透明電極6および配線7を備えている。この表示装置用前面保護板10は、タッチパネル機能として、その他の機能、例えば、コネクタ、制御回路などを備えることで、タッチパネルの機能の一部又は全部が一体化された表示装置用前面保護板10としてもよい。
同図では、オーバーコート層5も有することを模式的に描いてある。
しかも、表示装置用前面保護板10の遮光層2が白色系樹脂層3によって表現する白色系の色が黄変し難くなっており、意匠性の高い製品が可能となる。
本発明の表示装置100は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
一体化しようとするタッチパネル用の透明電極6が互いに絶縁された第1の透明電極6aと第2の透明電極6bとの2層からなり、この2層が互いに別々の基板上に形成される構造である場合は、このうちのいずれか一方の基板を表示装置用前面保護板10の透光性基板1と兼用することで、一方の透明電極と共に一体化し、他方の透明電極と基板とを、表示装置用前面保護板10、表示パネル30とは別体のタッチパネル構成部材として組み込んで、表示装置100を構成することも可能である。どのような構成で表示装置用前面保護板10とタッチパネル機能とを一体化するかは、使用し得る製造設備、組立工程などの諸条件に適した、構成を選べば良い。
図10で例示した実施形態による表示装置100では、表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間は、空隙を有し空気層が存在する構造となっているが、本発明においては、表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間など、構成部材の間は、粘着剤層など樹脂層で埋め尽くしても良い。樹脂層によって部材表面での光反射が減ることで、表示をより見易くすることができる。
前記粘着シートとしては、透明性に優れた光学グレードのものが好ましく、このような粘着シートとしては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤などからなるものを用いることができる。
本発明による表示装置用前面保護板10、及び表示装置100の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットPCなどの携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション、デジタルカメラ、電子手帳、ゲーム機器、自動券売機、ATM端末、POS端末、などである。
2 遮光層
3 白色系樹脂層
4 酸素遮断層
5 オーバーコート層
5a 第1のオーバーコート層
5b 第2のオーバーコート層
5c 第3のオーバーコート層
6 透明電極
6a 第1の透明電極
6b 第2の透明電極
7 配線
8 裏打ち層
9 可視情報
9L 可視情報形成層
10 表示装置用前面保護板
20 タッチパネル
30 表示パネル
40 従来の表示装置用前面保護板
41 (従来の)遮光層
100 表示装置
200 従来の表示装置
A1 表示用領域
A2 不透明領域
Bk 黒色層
S1 第1面
S2 第2面
V 観察者
Claims (5)
- 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちの、いずれか一方の面上において前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上に前記遮光層を被覆するように設けられた酸素遮断層と、
前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられ、透明導電体薄膜からなる透明電極と、
前記一方の面上であって、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を少なくとも有し、
前記遮光層は、白色系樹脂層を有することで白色系の色を呈し、
前記白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を、硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む、
表示装置用前面保護板。 - 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちの、いずれか一方の面上において前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられた透明電極と、
前記一方の面上であって、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
を少なくとも有し、
前記遮光層は、白色系樹脂層を有することで白色系の色を呈し、
前記白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を、硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記透明電極は、層自体が不透明な導電性層からなり、少なくとも前記表示用領域において、メッシュ状に形成されることで透視性を確保した導電性メッシュからなる、
表示装置用前面保護板。 - 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちの、いずれか一方の面上において前記不透明領域に設けられた遮光層と、
前記一方の面上であって、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びるように設けられ、透明導電体薄膜からなり、互いに絶縁され且つ互いに交差する第1の透明電極および第2の透明電極から構成される透明電極と、
前記一方の面上であって、前記透明電極に対して前記遮光層の部分で電気的に接続されるように設けられた不透明な配線と、
前記第1の透明電極および第2の透明電極を、これらの交差部分で互いに電気的に絶縁するオーバーコート層と、
を少なくとも有し、
前記遮光層は、白色系樹脂層を有することで白色系の色を呈し、
前記白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を、硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記透明電極、および前記オーバーコート層が、200℃未満の温度で形成されてなるものである、
表示装置用前面保護板。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた、表示装置。
- 前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、請求項4に記載の表示装置。
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