JP2016094836A - タービンの冷却構造及びガスタービン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動翼と一体に回転するディスク31が回転軸線Lに沿って複数配置されるとともに、ディスク31には前記動翼を冷却するための冷却空気を下流側のディスクに供給するためのディスクホール32が周方向に沿って複数形成されたタービンの冷却構造において、ディスク31の少なくとも一つは、ディスクホールの少なくとも一つが、ディスク31の回転方向を正と規定し前記回転方向と反対方向を負と規定した場合において、ディスクホール32の入口32bにおける前記冷却空気の速度ベクトルC1の回転方向Uの成分である入口絶対周速度ベクトルVtよりも、前記ディスクホール32の出口32aにおける前記冷却空気の速度ベクトルC2の回転方向Uの成分である出口絶対周速度ベクトルVt_Dが小さくなるように設定される。
【選択図】図3
Description
つまり、ディスクの回転方向の流速成分を持たない冷却空気をディスクホールへ供給すると、冷却空気がディスクの内部に流入する際に、エネルギー損失(ポンピングロス)が発生して、ガスタービンの性能が低下してしまう。そこで、冷却空気に、ロータの回転方向の流速成分を与えて旋回流とすることにより、冷却空気における回転方向の流速成分と、ロータの回転速度との差を小さくすることでポンピングロスの発生を抑制しているのである。
また、TOBIノズルを使用した場合、ポンピングロスの発生を抑制してタービン出力を向上することができるが、より一層タービン出力を向上させることが望まれている。
(3)前記動力回収型ディスクの前記ディスクホールが、前記周方向に沿って切断した断面において、前記冷却空気の流通方向下流側に向かって前記動力回収型ディスクの回転方向と反対方向に湾曲する翼形状であることが好ましい。
(4)前記動力回収型ディスクの前記ディスクホールが前記冷却空気の流通方向下流側で絞られることが好ましい。
(5)前記動力回収型ディスクの前記ディスクホールが、前記周方向に沿って切断した断面において前記ディスクホールを画成する壁面が直線となるように形成されることが好ましい。
(6)前記動力回収型ディスクの回転方向と同方向に回転する冷却空気の旋回流を形成するTOBIノズルを備え、前記TOBIノズルから前記動力回収型ディスクに冷却空気を供給することが好ましい。
(7)前記複数のディスクの相互間の少なくとも1つに前記TOBIノズルを設けることが好ましい。
(9)この場合、前記動力回収型ディスクと、前記動力回収型ディスクよりも前記冷却空気の流通方向で上流側に配置されたディスクとで、ディスクホールの傾斜角度を異なる角度に設定することで、前記動力回収型ディスクにおいて、前記入口絶対周速度ベクトルよりも前記出口絶対周速度ベクトルが小さくなるようにすることが好ましい。
(10)或いは、前記動力回収型ディスクと、前記動力回収型ディスクよりも前記冷却空気の流通方向で上流側に配置されたディスクとで、前記ディスクホールの前記回転軸線からの距離を異なる距離に設定することで、前記動力回収型ディスクにおいて、前記入口絶対周速度ベクトルよりも前記出口絶対周速度ベクトルが小さくなるようにすることが好ましい。
(11)上記の目的を達成するために、本発明のガスタービンは、空気を吸入して圧縮する圧縮部と、圧縮された空気および外部から供給された燃料からなる混合気を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼部と、生成された燃焼ガスから回転駆動力を抽出するタービン部と、を備え、前記タービン部に、前記のタービンの冷却構造が設けられていることを特徴としている。
さらに、この回収の際、冷却空気は仕事をしてその温度が低下するので、この低下分、冷却空気量を低減してタービン効率を向上することができる。
本発明の第1実施形態としてガスタービン及びタービンの冷却構造について、図1〜図3を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態のガスタービン1は、例えば発電機(図示略)等の機器を駆動するものであり、圧縮機(圧縮部)2と、燃焼器(燃焼部)3と、タービン部(タービン)4と、回転軸5と、タービン部4へ冷却空気を供給するための冷却供給ライン6とを備えている。
なお、以下、単に、周方向、径方向、内周側及び外周側と記載した場合は、回転軸線Lを中心とした場合における周方向、径方向、内周側及び外周側を意味する。
冷却供給ライン6は、タービン部4を冷却するためのものであり、圧縮機2からの圧縮空気の一部を抽気してこの抽気を冷却空気としてタービン部4の動翼へと供給するものである。この冷却供給ライン6は、クーラ7により上記抽気を冷却してタービン部4に供給するライン61と、クーラ7をバイパスさせて上記抽気をタービン部4に供給するライン62とを備えて構成されている。なお、冷却供給ライン6を、クーラ7を備えたライン61及びクーラ7を備えていないライン62の何れか一方だけとしても良い。
タービン部4及びその冷却構造について、図2を参照して説明する。
タービン部4には、燃焼器3(図1参照)から発生した燃焼ガスGの通路(以下、ガス通路ともいう)に、第1段静翼20,第1段動翼30,第2段静翼40及び第2段動翼50が、燃焼ガスGの流れ方向上流側からこの順に配設されている。つまり、静翼と動翼とがガス通路に交互に複数配設されている。
なお、第1段静翼20は燃焼器3に最も近い静翼であり、第1段動翼30は燃焼器3に最も近い動翼である。図2はタービン部4の一部を示す図であるため燃焼器3の近くに配置された翼20〜50のみ示されているが、これらの翼20〜50よりも燃焼ガスGの流通方向下流側(以下、後段ともいう)にも静翼と動翼とが交互に配設されている。
第1段静翼20の内周側の端部には、内側シュラウド21が設けられている。内側シュラウド21は、周方向に延びる板状の部材であり、ガス通路の一部を形成するものである。この内側シュラウド21は、ここでは、分割されていない単一の部材により構成されるとともに冷却空気が供給されるキャビティ(図示略)が内部に形成された殻部22に固定されているが、周方向に分割された複数の部材により構成しても良いし、固定方法も上記態様(殻部22に固定)に限定されない。
また、この殻部22には、上記の冷却空気が供給されるキャビティと連通接続する冷却通路23が設けられており、この冷却通路23の出口には後述のTOBIノズル(Tangential On Board Injection Nozzle)24が設置されている。
ハブ43は、内部に環状空間を有する二重環状体として構成されている。すなわち、ハブ43は、周方向に延びる板状の外周側円環部材43aと、周方向に延びる板状の内周側円環部材43bとを径方向に間隔を空けて同一軸線(回転軸線L)上に配置したものである。そして外周側円環部材43aと内周側円環部材43bとの間の環状空間に後述のTOBIノズル44が設置されている。
ここでは、外周側円環部材43a及び内周側円環部材43bは、それぞれ、分割されていない単一の部材により構成されているが、周方向に分割された複数の部材により構成しても良い。
ディスクホール32は、第1段ロータディスク31を回転軸線L方向に貫通して形成され、同一径方向位置において周方向に等間隔に複数配置されている。各ディスクホール32の径方向位置は、TOBIノズル24,44と同じ径方向位置に設定されており、各ディスクホール32は、TOBIノズル24から吐出された冷却空気の一部を第1段動翼30よりも下流側(以下、後段ともいう)に配された第2段動翼50に供給するための流路をなしている。なお、複数のディスクホール32を、同一径方向位置に配置しなくとも良いし、等間隔に配置しなくとも良く、さらには、TOBIノズル24,44と同じ径方向位置に配置しなくてもよい。
冷却流路33は、第1段ロータディスク31の内部、翼根部及びプラットフォーム34を貫通して、TOBIノズル24から吐出された冷却空気の一部を矢印a1で示すように第1段動翼30の内部に導く流路である。この冷却流路33は、周方向に等間隔に複数配列されており、第1段動翼30と同じ周方向位置に配置されている。なお、冷却流路33は、等間隔に配列しなくとも良いし、第1段動翼30と同じ周方向位置に配置しなくても良いし(第1段動翼30毎に配置しなくても良いし)、さらには、第1段動翼30と異なる数を設けるようにしても良い。
つまり、第2段動翼50は、円板状の第2段ロータディスク51の外周面に起立するようにして設けられた翼であり、ガス通路内に、周方向に等間隔に並んで配置され、周方向に延びるプラットフォーム54及び翼根部(図示略)を介して第2段ロータディスク51に取り付けられている。
第2段ロータディスク51は、回転軸線Lを中心とする円板状の部材であり、回転軸5に対して回転駆動力を伝達可能に取り付けられており、この第2段ロータディスク51には、ディスクホール52及び冷却流路53が形成されている。
ディスクホール52は、第2段ロータディスク51を回転軸線L方向に貫通して形成され、同一径方向位置において周方向に等間隔に複数配置されている。各ディスクホール52の径方向位置はTOBIノズル44と同じ径方向位置に設定されており、各ディスクホール52はTOBIノズル44から吐出された冷却空気の一部を下流側の図示しない動翼に供給するための流路をなしている。なお、複数のディスクホール52を、同一径方向位置に配置しなくとも良く、等間隔に配置しなくとも良いし、さらには、TOBIノズル44と同じ径方向位置に配置しなくてもよい。
冷却流路53は、第2段ロータディスク51の内部、翼根部及びプラットフォーム54を貫通して、TOBIノズル44から吐出された冷却空気の一部を矢印a2で示すように第2段動翼50の内部に導く流路であり、各第2段動翼50と同じ周方向位置に配置されている。冷却流路53は、等間隔に配列しなくとも良いし、第2段動翼50と同じ周方向位置に配置しなくても良いし(第2段動翼50毎に配置しなくても良いし)、さらには、第2段動翼50と異なる数を設けるようにしても良い。
TOBIノズル24は、冷却通路23を流通する冷却空気に、ロータディスク31の回転方向と同一方向の旋回成分を付与するものである。
そして、周方向に隣り合う翼形部24cの間にノズル部24dが形成されており、各ノズル部24dは、その周方向に沿って切断した断面形状が、図3に示すように、冷却空気の流通方向A1に向かって、ロータディスク31の回転方向(以下、ディスク回転方向ともいう)U側に徐々に傾斜し且つ流路幅が徐々に小さくなる形状となっており、この断面形状は径方向(図3の紙面に対して垂直な方向)に対して一定の断面形状となっている。つまり、ノズル部24dは、上記流通方向A1で下流側になるにしたがってディスク回転方向Uに向く湾曲形状且つ流路断面積が小さくなる絞り形状に形成されている。
このような構成のTOBIノズル24の構成により、冷却空気は加速されつつディスク回転方向Uに旋回する旋回流としてTOBIノズル24から吐出されるようになっている。
ノズル出口24eの速度ベクトルC1は、ノズル部24dに流入する冷却空気の単位時間当たりの体積流量、ノズル出口24eにおける流路断面積及び吐出角度から求まる速度ベクトルである。
TOBIノズル24が設けられる(すなわちノズル出口24eが配置される)殻部22は静止状態であるから、速度ベクトルC1は絶対速度ベクトルであり、この絶対速度ベクトルC1のディスク回転方向Uの成分が、ノズル出口24eにおける絶対周速度ベクトル(すなわちホール入口32bにおける入口絶対周速度ベクトルであり、以下、入口絶対周速度ベクトルともいう)Vtである。
ホール出口32aの速度ベクトルC2は、ディスクホール32に流入する冷却空気の単位時間当たりの体積流量、ホール出口32aにおける流路断面積及び吐出角度から求まる速度ベクトルであって、ロータディスク31を基準とした相対速度ベクトルである。ホール出口32aにおける冷却空気の絶対速度ベクトルC_Dは、図3に示すように、相対速度ベクトルC2と、ホール出口32aにおけるロータディスク31の周速度ベクトルVuとを合成して得られ、この絶対速度ベクトルC_Dのディスク回転方向Uの成分が、ホール出口32aにおける冷却空気の絶対周速度ベクトルVt_D(以下、出口絶対周速度ベクトルVt_Dともいう)である。
ノズル出口24eにおける冷却空気の絶対周速度ベクトルVtは、上述した通りホール入口32に流入する冷却空気の入口絶対周速度ベクトルである。そして、入口絶対周速度ベクトルVtと出口絶対周速度ベクトルVt_Dとの差ΔVt(=Vt-Vt_D)は、冷却空気が矢印A2で示すようにディスクホール32を通過する過程で、燃焼ガスGにより駆動されるロータディスク31をディスク回転方向Uに向けてアシスト駆動する動力として回収されることとなる。すなわち、ロータディスク31は動力回収型ディスクとして構成されているのである。
なお、第2段ロータディスク51のディスクホール52の出口における流路断面積及び吐出角度は、入口絶対周速度ベクトルよりも出口絶対周速度ベクトルが小さければ、第1段ロータディスク31のディスクホール32の出口における流路断面積及び吐出角度と同じでなくても良い。
本発明の第1実施形態としてのガスタービン及びタービンの冷却構造によれば、上述のように、ロータディスク31,51を、その各ディスクホール32,52が入口絶対周速度ベクトルよりも出口周速度ベクトルが小さくなるように設定された動力回収型ディスクとして構成したので、冷却空気が、ディスクホール32,52を通過する過程で仕事をして、燃焼ガスGにより駆動されるロータディスク31,51をアシスト駆動する。
本実施形態の変形例のガスタービン及びタービンの冷却構造について図4を用いて説明する。なお、上記実施形態と同一要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本変形例のタービンの冷却構造は上記実施形態のものと同じであるが、上記実施形態よりも、ホール入口32bにおける冷却空気の速度ベクトルC1が小さく設定されるとともに、ロータディスク31の周速度ベクトルVuが小さく設定されている。
この結果、入口絶対周速度ベクトルVtの大きさ(絶対値)よりも、出口絶対周速度ベクトルVt_Dの大きさ(絶対値)が大きいものの、入口絶対周速度ベクトルVtの方向がディスク回転方向Uと同方向(プラス側)であり、出口絶対周速度ベクトルVt_Dがディスク回転方向Uと反対方向(マイナス側)となっているため、ディスク回転方向Uを正(プラス)としディスク回転方向Uと反対方向を負(マイナス)と規定した場合において入口絶対周速度ベクトルVtよりも出口絶対周速度ベクトルVt_Dが小さくなっており、ロータディスク31は上記実施形態と同様に動力回収型ディスクとして構成されている。
前記の実施形態では、静翼40に取り付けたTOBIノズル44には、前段の第1段ロータディスク31のディスクホール32を通過した冷却空気が供給されるものとしたが、図2に二点鎖線で示すようにケーシング10の外側から静翼40の内部を挿通させた配管45から冷却空気を供給するようにしても良い。
本発明の第2実施形態のガスタービン及びタービンの冷却構造について、図1,図2及び図5を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のタービン部4(図1参照)及びその冷却構造は、図2及び図3に示す第1実施形態の構造に対し、TOBIノズル24,44及びロータディスク31,51のそれぞれに代えて、図5に示すTOBIノズル124及びロータディスク131を使用するものである。
TOBIノズル124は、外輪部と内輪部との間に配されて周方向に等間隔で配列された複数の柱状部材124cを備えており、周方向に隣り合う柱状部材124cの間にノズル部124dが形成されている。このノズル部124dは、その周方向に沿って切断した断面形状が、図5に示すように、冷却空気の流通方向A5に向かって、ディスク回転方向U側に傾斜する先細りの台形状となっており、この断面形状は径方向(図5の紙面に対して垂直な方向)に対して一定の断面形状となっている。つまり、ノズル部124dは、周方向に沿って切断した断面においてノズル部124dを画成する壁面が直線となるように形成され、上記流通方向A5で下流側になるほど流路断面積が小さくなる絞り形状に形成されている。
各ディスクホール132は、その周方向に沿って切断した断面形状が、図5に示すように冷却空気の流通方向A6に向かって、ディスク回転方向Uとは逆向きに傾斜する先細りの台形状であり、この断面形状は径方向に対して一定の断面形状となっている。つまり、ディスクホール132は、周方向に沿って切断した断面においてディスクホールを画成する壁面が直線となるように形成され、上記流通方向A6で下流側になるほど流路断面積が小さくなる絞り形状に形成されている。
なお、第1段ロータディスクのディスクホールの出口における流路断面積及び吐出角度と、第2段ロータディスクのディスクホールの出口における流路断面積及び吐出角度とは同じでなくても良い。
本発明の第2実施形態としてのガスタービン及びその冷却構造は上述のように構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる他、ノズル部124d及びディスクホール132が、周方向に沿って切断した断面においてノズル部124d及びディスクホール132を画成する壁面が直線となるような形状なので、ノズル部124d及びディスクホール132を成型するための加工が容易となり、製作費の低減及び製作期間の短縮を図ることができる。
上記第2実施形態では、ディスクホール132をホール出口132a側に近くなるほど流路断面積が減少する絞り形状としたが、ホール入口132bにおける冷却空気の入口絶対周速度ベクトルVtよりも、ホール出口132aにおける出口絶対周速度ベクトルVt_Dが小さくなるように設定されていれば、ディスクホール132は図5に二点鎖線で示すように流路断面積が冷却空気の流通方向に対し一定の形状であっても良い。この場合、ディスクホール132を成型するための加工がさらに容易となる。
さらには、上記第2実施形態では、ディスクホール132を、冷却空気の流通方向A6に向かって、ディスク回転方向Uとは逆向きに傾斜する構成としたが、このような傾斜のディスクホール132に代えて、図6に示すように、冷却空気の流通方向A6の下流側に向かってディスク回転方向U側に傾斜するディスクホール232を採用しても良い。ディスク回転方向Uが比較的遅い場合には、このような傾斜のディスクホールでも、冷却空気の入口絶対周速度ベクトルVtよりも出口絶対周速度ベクトルVt_Dを小さくすることが可能である。なお、このようにディスクホールをディスク回転方向U側に傾斜させる場合には、ホール出口232aを絞ると出口絶対周速度ベクトルVt_Dが大きくなってしまうので、ディスクホール232は、ここでは図6に示すような絞りのない形状としているが、ホール入口232bからホール出口232aに向かって流路断面積を拡大させる形状としても良い。
本発明の第3実施形態のガスタービン及びタービンの冷却構造について、図1,図7及び図8を用いて説明する。なお、上記実施形態と同一要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、図8は、TOBIノズル24,第1段ロータディスク331及び第2段ロータディスク351を周方向に沿って切断した模式的断面図(但し、一部分のみ示す)であって、冷却空気及びロータディスク331,351の速度ベクトルを付記した図である。
本実施形態のタービン部4(図1参照)及びその冷却構造は、図7に示すように構成されており、図2に示す第1実施形態のものに対し、動翼30,50の相互間に配置された静翼40にTOBIノズル44(詳しくはさらにTOBIノズル44を取り付けるための部材42,43及びシール部材35,55, 56)が設けられていない点で相違し、第1段ロータディスク331及び第2段ロータディスク351の構成(詳しくはそれらのディスクホールの構成)が相違する。
第1段ロータディスク331にはディスクホール332が設けられ、ディスクホール332は、第1段ロータディスク331を回転軸線L方向に貫通して形成され、同一径方向位置において周方向に等間隔に複数配置されている。また、ディスクホール332は、流路断面(冷却空気の流通方向A2に対し垂直に切った断面)の形状が冷却空気の流通方向A2に対し一定の形状(例えば正方形、長方形、円形、楕円形など)とされている。
同様に、第2段ロータディスク351にはディスクホール352が設けられ、ディスクホール352は、第2段ロータディスク351を回転軸線L方向に貫通して形成され、同一径方向位置において周方向に等間隔に複数配置されている。また、ディスクホール352は、流路断面積が冷却空気の流通方向A4に対し一定の形状(例えば正方形、や長方形、円形、楕円形など)となっている。
各ディスクホール332及び各ディスクホール352は図7に示すように何れもTOBIノズル24と同じ径方向位置に配置され、また、その個数は同じであり、そのホール出口332aとホール出口352aとの流路断面積は同一に設定されている。また、ディスクホール332,352の周方向に沿った断面形状は、径方向(図8の紙面に対して垂直な方向)に対して一定でも良いし、一定でなくとも良い。
つまり、各ディスクホール352の冷却空気の流通方向下流側に向かう傾斜角度θ2を、ディスクホール332の同傾斜角度θ1よりも大きくなるように、ディスク回転方向Uとは反対方向に傾けて設定している。
これにより、図8に示すように、後段のディスクホール352においても冷却空気より動力を回収できるようにしている。
つまり、後段のディスクホール352から、前段のディスクホール332よりもディスク回転方向Uとは反対側に大きく傾けて冷却空気を吐出することで、ディスク回転方向Uを正としディスク回転方向Uと反対方向を負として規定した場合に、ホール出口352aにおける冷却空気の絶対速度ベクトルC_D′(冷却空気の速度ベクトルC3とディスク周速度ベクトルVuとを合成して得られる速度ベクトル)の周速度成分である出口絶対周速度ベクトルVt_D′を、前段のホール出口332aおける冷却空気の出口絶対周速度ベクトル(すなわちホール入口352bにおける冷却空気の入口絶対周速度ベクトル)Vt_DよりもΔVt′だけ小さくして、後段のロータディスク351においても冷却空気から動力を回収できるようにしている。すなわち、前段のロータディスク331に加え後段のロータディスク351も動力回収型ディスクとして構成しているのである。
ここで、出口絶対周速度ベクトルVt_D′は、入口絶対周速度ベクトルVt及び出口絶対周速度ベクトルVt_Dと同様に、固定系を基準とする絶対系での速度ベクトルであり、出口絶対周速度ベクトルVt_D′が入口絶対周速度ベクトル)Vt_Dよりも小さいとは、ディスク回転方向Uを正(プラス)と規定しディスク回転方向Uと反対方向を負(マイナス)と規定したベクトル量での比較をいう。
本発明の第3実施形態としてのガスタービン及びその冷却構造によれば、後段のロータディスク351も動力回収型ディスクとして構成されているので、ガスタービンの出力の向上及び動力回収に伴う冷却空気の低温化をより一層効果的に実現できる。
上記第3実施形態では、ディスクホール332,352の各流路断面形状を冷却空気の流通方向に対し一定の形状としたが、ディスクホール332,352に、第1実施形態(図3参照)又は第2実施形態(図5参照)のような絞り形状のディスクホールを使用しても良い。
本発明の第4実施形態のガスタービン及びタービンの冷却構造について、図1,図9及び図10を用いて説明する。なお、上記実施形態と同一要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、図10は、TOBIノズル24,第1段ロータディスク331及び第2段ロータディスク451を周方向に沿って切断した模式的断面図(但し、一部分のみ示す)であって、冷却空気及びロータディスク331,451の速度ベクトルを付記した図である。
本実施形態のタービン部4(図1参照)及びその冷却構造は、図9及び図10に示すように構成されており、図7及び図8に示す第3実施形態のものに対し、第2段ロータディスクの構成(詳しくはディスクホールの配置)が相違する。
第2段ロータディスク451にはディスクホール452が同一径方向位置において周方向に等間隔に複数配置されており、各ディスクホール452は、第2段ロータディスク451を回転軸線L方向に貫通して形成されている。
また、各ディスクホール452は、第1段ロータディスク331のディスクホール332と同一個数及び同一形状に構成され、その傾斜角度(吐出角度)θ1、個数及びホール出口452aの流路断面積はディスクホール332のものと同一であるが、ディスクホール452は図9に示すようにディスクホール332よりも回転軸線Lに近い位置(内周側)に配置され、その回転半径が小さく設定されている。なお、複数のディスクホール452は、ディスクホール332よりも内周側に配置されていれば、同一径方向位置に配置しなくとも良く、等間隔に配置しなくとも良い。さらに、ディスクホール452の形状(傾斜角度及びホール出口452aの流路断面積など)や個数はディスクホール332のものと同じでなくとも良い。
つまり、各ディスクホール452はその回転半径が小さく設定されているため、ディスクホール452の径方向位置におけるディスク周速度ベクトルVu′は、ディスクホール332の径方向位置におけるディスク周速度ベクトルVuよりも小さくなる。ディスク周速度ベクトルVu′が小さくなる分、ホール出口452aにおける冷却空気の絶対速度ベクトルC_D′(冷却空気の速度ベクトルC2とディスク周速度ベクトルVu′とを合成して得られる速度ベクトル)の周速度成分である出口絶対周速度ベクトルVt_D′を、前段のホール出口332aおける冷却空気の出口絶対周速度ベクトル(すなわちホール入口452bにおける冷却空気の入口絶対周速度ベクトル)Vt_DよりもΔVt′だけ小さくして冷却空気から動力を回収するようにしている。
すなわち、前段のロータディスク331に加え後段のロータディスク451も動力回収型ディスクとして構成しているのである。
本発明の第4実施形態としてのガスタービン及びその冷却構造によれば、第3実施形態と同様に後段のロータディスク451も動力回収型ディスクとして構成されているので、ガスタービンの出力の向上及び動力回収に伴う冷却空気の低温化をより一層効果的に実現できる。
上記第4実施形態では、外周側のディスクホール332と、内周側のディスクホール452とを同一形状としたが、異なる形状としても良く、例えば、内周側のディスクホール452を、上記第3実施形態のディスクホール352(図8参照)のように、ディスクホール332よりもディスク回転方向Uとは反対側に向けて冷却空気を吐出させるようにしても良い。これにより、ディスクホール452における冷却空気の出口絶対周速度ベクトルVt_D′をさらに小さくして冷却空気から動力をより多く回収することができる。
(1)上記各実施形態では、ロータディスクを動力回収型ディスクとしたが、ロータディスクの前段にこのロータディスクと一体に回転する(すなわち動翼と一体に回転する)シールディスクを設ける場合には、シールディスクのディスクホールについて、各実施形態及びその変形例として記載されたロータディスクのディスクホールの構成(例えば第1実施形態及び第2実施形態の絞り形状を有するディスクホールの構成)を適用して、冷却空気の入口絶対周速度ベクトルよりも冷却空気の出口絶対周速度ベクトルが小さくなるように設定してもよい。これにより、シールディスクを動力回収型ディスクとして構成することができる。
例えば、上記第1及び第2実施形態において、TOBIノズルよりもディスクホールの回転半径を小径にするなど、上記各実施形態で用いられた方法を適宜組み合わせても良い。
または、図8に示す上記第3実施形態において、前段のディスクホール332と後段のディスクホール352とでその傾斜角度を異なる角度に設定する代わりに次のようにしても良い。
つまり、後段のディスクホール352の出口に絞りを設けてその冷却空気の速度ベクトルを大きくし、これにより出口絶対周速度ベクトルVt_D′を小さくするようにしても良い。
(7)上記各実施形態では、各ディスクホールは、それを有するディスク内において、その形状(傾斜角度や流路断面積)や径方向位置は同じとしたが、これに限らず、その形状や径方向位置を一部異ならせても良い。
(9)上記各実施形態では、本発明のガスタービンを発電用ガスタービンに適用した例を示したが、本発明のガスタービンは、発電用ガスタービンに適用したものに限定されず、例えば航空用ガスタービンにも適用可能である。
2 圧縮機(圧縮部)
3 燃焼器(燃焼部)
4 タービン部(タービン)
5 回転軸
20,40 静翼
24,44,124 TOBIノズル
30,50 動翼
31,51,131,331,351,451 ロータディスク(動力回収型ディスク)
32,52,132,232,332,352,452 ディスクホール
32a,52a,132a,232a,332a,352a,452a ホール出口
32b,52b,132b,232b,332b,352b,452b ホール入口
C1,C2,C3 冷却空気の速度ベクトル
L 回転軸線
U ディスク回転方向
Vt,Vt_D,Vt_D′ 絶対周速度ベクトル
θ1,θ2 ディスクホールの傾斜角度(吐出角度)
Claims (11)
- 動翼と一体に回転軸線を中心に所定の回転方向に回転するディスクが、前記回転軸線に沿って複数段配置されるとともに、前記ディスクには、前記動翼を冷却するための冷却空気を下流側のディスクに供給するためのディスクホールが周方向に沿って複数形成された、タービンの冷却構造において、
前記ディスクの少なくとも一つは、
前記ディスクホールの少なくとも一つが、前記ディスクの前記回転方向を正と規定し前記回転方向と反対方向を負と規定した場合において、前記ディスクホールの入口における前記冷却空気の速度ベクトルの前記回転方向の成分である入口絶対周速度ベクトルよりも、前記ディスクホールの出口における前記冷却空気の速度ベクトルの前記回転方向の成分である出口絶対周速度ベクトルが小さくなるように設定された、動力回収型ディスクである
ことを特徴とする、タービンの冷却構造。 - 前記動力回収型ディスクの前記ディスクホールは、前記冷却空気の入口よりも前記冷却空気の出口が、前記回転方向で上流側に配置された
ことを特徴とする、請求項1に記載のタービンの冷却構造。 - 前記動力回収型ディスクの前記ディスクホールが、前記周方向に沿って切断した断面において、前記冷却空気の流通方向下流側に向かって前記動力回収型ディスクの回転方向と反対方向に湾曲する翼形状である
ことを特徴とする、請求項2に記載のタービンの冷却構造。 - 前記動力回収型ディスクの前記ディスクホールが前記冷却空気の流通方向下流側で絞られた
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のタービンの冷却構造。 - 前記動力回収型ディスクの前記ディスクホールが、前記周方向に沿って切断した断面において前記ディスクホールを画成する壁面が直線となるように形成された
ことを特徴とする、請求項1,2又は4に記載のタービンの冷却構造。 - 前記動力回収型ディスクの回転方向と同方向に回転する冷却空気の旋回流を形成するTOBIノズルを備え、前記TOBIノズルから前記動力回収型ディスクに冷却空気を供給する
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載のタービンの冷却構造。 - 前記複数のディスクの相互間の少なくとも1つに前記TOBIノズルを設けた
ことを特徴とする、請求項6に記載のタービンの冷却構造。 - 前記冷却空気の流通方向で上流側から二番目以降のディスクの内の少なくとも一つが前記動力回収型ディスクとして構成され、
前記冷却空気が、前記動力回収型ディスクよりも前記冷却空気の流通方向で上流側に配置されたディスクから、前記動力回収型ディスクに直接供給される
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のタービンの冷却構造。 - 前記動力回収型ディスクと、前記動力回収型ディスクよりも前記冷却空気の流通方向で上流側に配置されたディスクとで、ディスクホールの傾斜角度を異なる角度に設定することで、前記動力回収型ディスクにおいて、前記入口絶対周速度ベクトルよりも前記出口絶対周速度ベクトルが小さくなるようにした
ことを特徴とする、請求項8に記載のタービンの冷却構造。 - 前記動力回収型ディスクと、前記動力回収型ディスクよりも前記冷却空気の流通方向で上流側に配置されたディスクとで、前記ディスクホールの前記回転軸線からの距離を異なる距離に設定することで、前記動力回収型ディスクにおいて、前記入口絶対周速度ベクトルよりも前記出口絶対周速度ベクトルが小さくなるようにした
ことを特徴とする、請求項8に記載のタービンの冷却構造。 - 空気を吸入して圧縮する圧縮部と、圧縮された空気および外部から供給された燃料からなる混合気を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼部と、生成された燃焼ガスから回転駆動力を抽出するタービン部と、を備え、
前記タービン部に、請求項1〜10のいずれか1項に記載のタービンの冷却構造が設けられていることを特徴とする、ガスタービン。
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