JP2016094828A - ガソリンエンジンの始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミラーサイクルで運転する過給エンジンにおいても、初爆に必要な吸入空気を燃焼室に取り込んでエンジンを始動し得る装置を提供する。【解決手段】ミラーサイクルを採用するガソリンエンジンの始動制御装置において、エンジン1をクランキングするスタータ15と、排気エネルギーが小さい側でも電動機により駆動される電動アシストターボ過給機31とを備え、電動アシストターボ過給機31を作動させてエンジンに吸入空気を押し込んだ後に、スタータ15を駆動することによってエンジン1を始動する。【選択図】図1
Description
この発明はガソリンエンジンの始動制御装置、特にミラーサイクルを採用するものに関する。
ディーゼルエンジンに電動アシストターボ過給機を備えるものがある(特許文献1参照)。
ところで、燃費向上のため、ミラーサイクルで運転する過給エンジンが開発されている。ミラーサイクルを採用する過給エンジンでは、オットーサイクルを採用する過給エンジンよりも吸気弁を早閉じするか遅閉じする。これによって、吸気の充填効率を低くし実質的な圧縮比を低く抑えることで、ノッキングの発生を防止しつつ良好な熱効率が得られることとなる。
このように、ミラーサイクルはエンジン始動後の燃費向上には有用であるが、その一方で、過給エンジンを始動できないという問題がある。すなわち、ミラーサイクルを採用した過給エンジンを始動する場合、初爆に必要な吸入空気を取り込めないため、始動できない場合が生じている。
そこで本発明は、ミラーサイクルで運転する過給エンジンにおいても、初爆に必要な吸入空気を燃焼室に取り込んでエンジンを始動し得る装置を提供することを目的とする。
本発明のガソリンエンジンの始動制御装置ポイントは、ミラーサイクルを採用するガソリンエンジンの始動制御装置において、スタータと、電動過給機、電動真空ポンプ、電動アシストターボ過給機のいずれかとを備える。上記スタータはエンジンをクランキングする。上記電動過給機は電動機により駆動され吸入空気を過給する。上記電動真空ポンプは電動機により駆動され排気マニホールド内の空気を吸引する。上記電動アシストターボ過給機は排気エネルギーが小さい側でも電動機により駆動される。そして、前記電動過給機、前記電動真空ポンプ、前記電動アシストターボ過給機のいずれかを作動させてエンジンに吸入空気を押し込んだ後に、前記スタータを駆動することによってエンジンを始動する。
本発明では、電動過給機と電動アシストターボ過給機のいずれかを駆動して吸入空気を過給し、吸入空気を強制的にエンジンに押し込む。これによって、エンジンをスタータでクランキングしたとき、初爆に必要な吸入空気を取り込むことが可能となり、エンジンを始動できる。また、本発明では、電動真空ポンプと電動アシストターボ過給機のいずれかを駆動し、排気マニホールド内の空気を吸い出すことで、排気マニホールド内を大気圧より低い圧力状態とする。これによって、排気マニホールド内の空気を吸い出さない場合より吸入空気がエンジンに強制的に引き込まれる。このため、エンジンをクランキングしたとき、初爆に必要な吸入空気を取り込むことが可能となり、エンジンを始動できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の過給エンジン(以下、「エンジン」ともいう。)1の制御装置の概略構成図である。過給エンジンに用いられるエンジンはガソリンエンジンである。エンジン1は図示しない車両に搭載されている。
図1は本発明の第1実施形態の過給エンジン(以下、「エンジン」ともいう。)1の制御装置の概略構成図である。過給エンジンに用いられるエンジンはガソリンエンジンである。エンジン1は図示しない車両に搭載されている。
図1においてエンジン1の燃焼室2には吸気通路3と排気通路11とが開口され、吸気通路3の燃焼室2への開口端に吸気弁7が、排気通路11の燃焼室2への開口端に排気弁8が設けられている。
吸気通路3は、吸気管4、吸気コレクタ5、吸気マニホールド6から構成され、吸気コレクタ5の入口に電動機等のアクチュエータ22により開度が制御されるスロットルバルブ21を備える。また、実際のスロットルバルブ開度を検出するスロットルセンサ23が設けられている。
吸気マニホールド6の一部である吸気ポートに燃料噴射弁25を、燃焼室2の天井に点火プラグ26を備える。エアフローメータ44により検出される吸入空気量に基づいて目標空燃比の得られる燃料噴射量が算出され、この噴射量の燃料が所定の時期に燃料噴射弁25から噴射供給される。燃焼室2内に形成される混合気に対して所定の時期に点火プラグ26によって着火される。燃料噴射弁25を燃焼室2に臨んで設けている場合であってよい。
エンジン1をクランキングするためスタータ15を備える。スタータ15は、スタータモータ16、常開のスタータスイッチ17から構成されている。エンジン1のクランクシャフト1aと、スタータモータ16の出力軸16aとがベルトまたはチェーン等の伝動装置18によって連結されている。スタータモータ16には、バッテリ19からの電力が供給される。
スタータモータ16は、エンジンコントローラ41からの指令を受けて駆動される。すなわち、エンジンコントローラ41からの指令でスタータスイッチ17が閉成されると、バッテリ19からの電力がスタータモータ16に供給され、スタータモータ16が駆動される。
エンジン1にはさらに、電動アシストターボ過給機(以下単に「ターボ過給機」ともいう。)を備える。電動アシストターボ過給機31は、排気タービン32、吸気コンプレッサ33、これら32,33を同軸で連結するシャフト34、電動機35、昇圧器36、常開のアシストスイッチ37、バイパス通路38、ウェイストゲートバルブ39、電動機40から構成される。排気通路11は排気マニホールド12、排気管13から構成され、排気管13に排気タービン32が介装されている。一方、吸気コンプレッサ33は吸気コレクタ5の上流の吸気管33に介装されている。
電動機35はエンジンコントローラ41からの指令を受けて駆動される。すなわち、エンジンコントローラ41からの指令でアシストスイッチ37が閉成されると、バッテリ19からの電力が電動機35に供給され、電動機35が駆動される。電動機35が駆動されることで、ターボ過給機31が強制的に駆動される。この場合、電動機35を駆動するに際してはバッテリ電圧では不足するため、昇圧器36でバッテリ電圧を昇圧している。
例えば、低速走行状態からの加速時に電動機35を駆動し、吸気コンプレッサ33を強制的に駆動する。これによって、加速初期のエンジンの排気エネルギーが少ない状態でも、電動機駆動により排気タービン回転速度を上昇させることで、吸気コンプレッサ33により十分な過給を行わせることができる。これによって、ターボラグといわれる秒単位の過給遅れが解消し、アクセル開度(アクセルペダル操作量)に対するエンジン出力の応答性が向上する。
排気タービン32をバイパスする通路38に常閉のウェイストゲートバルブ39が設けられている。このウェイストゲートバルブ39は設定過給圧以上となったときに排気をバイパスして逃すことで、過度の過給圧とならないようにするものである。吸気コレクタ5に実際の過給圧を検出する過給圧センサ45(過給圧検出手段)が設けられている。
また、上記昇圧器36は、バッテリ19のSOC(充電率)をモニターしており、モニターしているバッテリ19のSOCが規定値を切って低下すると、電動機35への通電をシャットダウン(遮断)する。これは次の理由による。すなわち、1つだけのバッテリ19が図示しない各種の機器の電源として機能している。このため、バッテリ19のSOCが規定値を切って低下してまで吸気コンプレッサの駆動にバッテリ19を使用したのでは、バッテリ19を電源としている各種の機器の作動に支障が生じてしまうためである。
エンジンコントローラ41には、アクセル開度センサ42からのアクセル開度APO、エンジン回転速度センサ43からの回転速度Ne、エアフローメータ44からの吸入空気量Qaの信号が入力される。エンジンコントローラ41では、これらの信号に基づいて、目標スロットルバルブ開度、燃料噴射量、点火時期指令値をそれぞれ算出する。そして、算出した目標スロットルバルブ開度が得られるようにスロットルバルブ21のアクチュエータ22を駆動する。また、算出した燃料噴射量及び点火時期指令値が得られるように燃料噴射弁25及び点火プラグ26を制御する。
さて、ターボ過給機31を備える過給エンジン1では、ノッキングの防止のために圧縮比を自然吸気エンジンよりも下げることが必要であるが、圧縮比を下げると熱効率の低下につながる。この解決策としてミラーサイクルがある。ミラーサイクルでは、吸気行程において吸気弁閉時期IVCを吸気下死点より遅らせ、吸気の充填効率を低くすることによって実質的な圧縮比を低く抑えることで、ノッキングを回避しつつ高い熱効率と安定した燃焼を得ている。
このように、ミラーサイクルはエンジン始動後の燃費向上には有用であるが、その一方で、過給エンジン1を始動できないという問題がある。すなわち、ミラーサイクルを採用する過給エンジンを始動する場合、初爆に必要な吸入空気を取り込めないため、始動できない場合が生じている。これは、後述するように、吸気弁閉時期IVCを吸気下死点より遅角側にずらすほど、燃焼室2に入った空気のうちから吸気ポートに吹き返す吸入空気が多くなり、燃焼室2に実質的に吸入空気が入らなくなるためである。吸入空気が燃焼室2に入らないと、有効圧縮比が低下した状態となるので、過給エンジンをクランキングしても、圧縮端の温度が足りず、点火しても着火できない事態が生じるのである。
そこで本発明の第1実施形態では、過給エンジン1を始動するに際しては、スタータ15を駆動する前に、まず電動機35を駆動して吸気コンプレッサ33を強制的に働かせ、過給を行うことによって、初爆に必要な吸入空気を吸気コレクタ5に押し込ませる。その後にスタータ15を駆動し点火を実行することによって過給エンジン1を始動させる。スタータ15を駆動する前に吸入空気を強制的に吸気コレクタ5に押し込むことで、エンジン1をクランキングしたとき、初爆に必要な吸入空気を燃焼室2に取り込むことが可能となり、エンジン1を始動できるのである。
これについて、図2,図3を参照して具体的に説明する。図2から説明する。図2は過給エンジンの始動時にエンジン回転速度Neがどのように変化しながら上昇するのかをモデルで示している。まず、図2において実線は、ミラーサイクルを採用する前の過給エンジン(この過給エンジンを、以下「基本過給エンジン」という。)の場合である。基本過給エンジンでは、吸気弁閉時期IVCが所定値a[degCA(ABDC)](a>0)、スタータ15の駆動前に吸気圧が1bar(ほぼ大気圧に等しい)であったとする。
次に、図2において一点鎖線は、基本過給エンジンに対して、吸気弁閉時期IVCを所定値aから所定値b[degCA(ABDC)]へと遅らせることによって、ミラーサイクルを採用する過給エンジン(この過給エンジンを、以下「ミラー化した過給エンジン」という。)とした場合である。基本過給エンジンに対して吸気弁閉時期IVCを所定値aから所定値bへと遅らせることによって、ミラー化した過給エンジンの場合には、一点鎖線で示したようにエンジン回転速度Neの立ち上がりがt1からt2へと遅れている。
次に、図2において破線は、基本過給エンジンに対して、さらに吸気弁閉時期IVCを所定値bから所定値c[degCA(ABDC)]へと遅らせることによって、ミラー化した過給エンジンとした場合である。基本過給エンジンに対してさらに吸気弁閉時期IVCを所定値bから所定値cへと遅らせることによって、ミラー化した過給エンジンの場合には、破線で示したように、もはや過給エンジンを始動できない事態に陥っている。
これは、次の理由による。すなわち、吸気弁閉時期IVCを吸気下死点より遅角側にずらすほど、燃焼室2に入った空気のうちから吸気ポートに吹き返す吸入空気が多くなり、燃焼室2に実質的に吸入空気が入らない。吸入空気が燃焼室2に入らないと、有効圧縮比が低下した状態となるので、エンジンをクランキングしても、圧縮端の温度(圧縮上死点での燃焼室温度)が着火可能温度に足りず、点火しても着火できない事態が生じるためである。
なお、基本過給エンジンにはターボ過給機31を備えていても、過給エンジンの始動時に電動アシストターボ過給機31を働かせることはしていないので、図2に示した実線、一点鎖線、破線ともスタータ15を駆動する前の吸気圧は1[bar]である。
次に、図3を説明する。図3はミラー化した過給エンジンの始動時にエンジン回転速度がどのように変化しながら上昇するのかをモデルで示している。ここで、図3の破線は、図2の破線と同じ過給エンジン、つまりスタータ15を駆動する前の吸気圧が1bar、吸気弁閉時期IVCが所定値cであるミラー化した過給エンジンの場合である。
次に、図3において一点鎖線は、破線で示したミラー化した過給エンジンに対して、スタータ15を駆動する前の吸気圧を所定値d[bar](d>0)へと高くした、つまりスタータ駆動前の過給圧を所定値dとしたミラー化した過給エンジンの場合である。スタータ駆動前の過給圧を所定値dとしたミラー化した過給エンジンの場合には、一点鎖線で示したように、エンジン回転速度Neの立ち上がりがt2まで遅れるものの、過給エンジン1を始動できることとなった。
次に、図3において実線は、スタータ駆動前の過給圧を所定値dからさらに所定値e[bar]へと高くしたミラー化した過給エンジンの場合である。スタータ駆動前の過給圧を所定値dからさらに所定値e[bar]へと高くしたミラー化した過給エンジンの場合には、実線で示したようにエンジン回転速度Neの立ち上がりをt2からt1まで進めることができた。つまり、ミラー化した過給エンジンであっても、スタータ15を駆動する前に電動アシストターボ過給機31を駆動し過給を予め行わせておくことで、図2実線で示す基本過給エンジンと同等の始動性能にできることが、本発明者によって新たに判明したのである。
次に、図4はミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期IVCとタータ駆動前の過給圧とを相違させたときに、初爆時のエンジン回転速度Nkbがどのように変化するのかをシミュレーションしてまとめた特性図である。図4では、横軸にスタータ駆動前の過給圧を、縦軸にミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期IVCを採っている。以下、ミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期を、単に「吸気弁閉時期」ともいう。また、初爆時のエンジン回転速度[rpm]を「初爆回転速度」という。図4において縦軸の吸気弁閉時期IVC[degCA(ATDC)]は上に行くほど遅角側である。図4において横軸の左端が1[bar](大気圧相当)で、右に向かうほどスタータ駆動前の過給圧[bar]が大気圧より高くなる。
図4において、同じ値の初爆回転速度Nkbであることを表す5つの各線が所定値α、β、γ、δ、εの初爆回転速度であるとすると、5つの所定値α、β、γ、δ、εの間の関係は0<α<β<γ<δ<εとなっている。つまり、ミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期IVCが一定の条件であれば、スタータ駆動前の過給圧を高くしていくほど初爆回転速度Nkbが高くなることを示している。
なお、初爆回転速度そのものについて説明すると、複数気筒を有するエンジンでは、例えば図2の実線で示したように、最初に燃焼する気筒によってエンジン回転速度Neが所定値N1まで上昇して下降する。次に燃焼する気筒によってエンジン回転速度Neが下降途中から所定値N2まで上昇して下降する。次に燃焼する気筒によってエンジン回転速度Neが下降途中から所定値N3まで上昇して下降する、・・・というふうにして、段階的に回転速度Neが上昇していく。上記「初爆回転速度」とは、最初に燃焼する気筒によって上昇するエンジン回転速度Neのピーク、図2であれば所定値N1のことである。
さて、図4に示したように、左上にハッチングで示した始動不能領域が生じている。このことは、前述したように、スタータ15を駆動する前の過給圧が大気圧の場合には、吸気弁閉時期IVCを吸気下死点後の所定値Aまで遅角することで初爆回転速度Nkbがゼロに近い値となる、つまり過給エンジンの始動が困難であることを意味している。また、このようにミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期が吸気下死点後の所定値Aであっても、スタータ駆動前の過給圧を大気圧よりも高くしていくと初爆回転速度がゼロを離れて高くなる、つまり過給エンジンを始動できるようになることを示している。
逆にいうと、ミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期が予め決まっていて、初爆回転速度を所定値にしたいという要求があれば、この図4に示したマップ特性から、スタータを駆動する前に維持(設定)すべき過給圧が目標過給圧として決まるということである。例えば、ミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期が吸気下死点後の所定値Aと決まっていて、初爆回転速度を仮に所定値γ[rpm]にしたいという要求があるとする。このときには、図4に示したマップ特性をみて、所定値Aから水平方向に延ばした直線と、Nkb=γの線とが交わる点の過給圧を読み取れば、その過給圧(この場合には所定値B1)が目標過給圧として決まる。
そして、スタータ15を駆動する前に電動機35を駆動して吸気コンプレッサ33を強制的に回転し、実際の過給圧を目標過給圧(B1)に維持した状態でスタータ15を駆動してやれば、所定値γの初爆回転速度で過給エンジンが始動されることとなる。
次に、図5,図6は本実施形態のミラー化した過給エンジンの始動時のタイミングチャートである。ここで、本実施形態のミラー化した過給エンジンと比較するためのエンジンは、図2,図3に破線で示したミラー化した過給エンジンである。この図2,図3に破線で示したミラー化した過給エンジンを、以下「比較例のミラー化した過給エンジン」とする。この比較例のミラー化した過給エンジンの場合を一点鎖線で、本実施形態のミラー化した過給エンジンの場合を実線で重ねて示している。
先に図5を説明する。図5の上から、スタータスイッチ17、アシストスイッチ37、ターボ過給機31の回転速度、スロットルバルブ開度、過給圧、エンジン回転速度Neの各変化を示している。
まず、比較例のミラー化した過給エンジンの場合から説明すると、t3のタイミングがスタータスイッチ17をOFFからONに切換えてスタータモータ16を回すタイミングであるとする。t5のタイミングが点火の実行(図では「Firing」で略記。)を開始するタイミングであるとする。この場合には、t3でスタータ15を駆動しt5で点火を実行しても、比較例のミラー化した過給エンジンを始動できていない(図5最下段の一点鎖線参照)。
一方、本実施形態のミラー化した過給エンジンでは、スタータ15を駆動する前に予め過給を行って目標過給圧へと制御しておく必要がある。ミラー化した過給エンジン1の運転を希望したときに、ドライバーがエンジン始動ボタン44をOFFからONにする。このエンジン始動ボタン44をOFFからONにするタイミングが図5ではt0のタイミングであったとする。エンジンコントローラ41では、エンジン始動ボタン44からの信号によって、ドライバーがミラー化した過給エンジンを運転したいという要求を知ることができる。本実施形態では、スタータスイッチ17はエンジンコントローラ41が制御する。エンジン始動ボタン44をOFFからONに切換えるt0のタイミングから、エンジンコントローラ41がスタータスイッチ17をOFFからONに切換えるt3のタイミングまでは、相当な時間があるはずなので、過給を予め行う時間的余裕はあると思われる。
本実施形態のミラー化した過給エンジンでも、スタータスイッチ17のOFFからONへの切換タイミング(t3)、点火実行開始タイミング(t5)は、比較例のミラー化した過給エンジンの場合と基本的に変えないものとする。
本実施形態のミラー化した過給エンジンでは、スタータスイッチ17をOFFからONに切換えるt3のタイミングで既に目標過給圧が得られているように、スロットルバルブ開度とターボ過給機31の回転速度を協調制御する。つまり、スタータ15を駆動する前に予め定めた目標過給圧が得られているように、スロットルバルブ21を所定の開度(TVO1)まで開くと共に、ターボ過給機31を所定の回転速度(TC1)とする。
具体的には、図5第4段目に実線で示したように、t0より少し遅れたt1のタイミングを例えば制御開始タイミングとする。この制御開始タイミング(t1)の後かつ点火実行開始タイミング(t5)の前に燃料噴射を開始する。t1の制御開始タイミングで、スロットルバルブ開度をゼロから所定値TVO1へと大きくし、t2のタイミングより所定値TVO1に維持する。この場合、t1からt2までのスロットルバルブ開度の上昇の傾きは、スロットルアクチュエータ22の仕様に依存して定まっている。これは、スロットルバルブ21を閉じたままだと吸入空気を吸気コレクタ5に押し込めにくいので、スロットルバルブ21を開くことによって、吸入空気を吸気コレクタ5に押し込め易くするためである。
また、t1の制御開始タイミングでウェイストゲートバルブ開度をゼロに維持する(図6第2段目の実線参照)。これは、ウェイストゲートバルブ39を全閉に保持することによって、排気タービン32を真空ポンプとして機能させ、排気マニホールド12内の空気を吸引して、排気タービン32下流の排気管13へと掃き出するためである。
スロットルバルブ開度が所定値TVO1に到達するt2のタイミングで吸気コンプレッサ33を強制的に駆動するため、図5第2段目に示したように、アシストスイッチ37をOFFからONに切換える。この場合、クランキングの開始からしばらくの期間は吸気コンプレッサによる過給が行われて目標過給圧が継続して得られるように、アシストスイッチ37のON状態をt3より遅れたt4まで維持する。つまり、アシストスイッチ37のON期間とスタータスイッチ17のON期間が重なるように、t4のタイミングまで、アシストスイッチ37のON状態を維持する。アシストスイッチ37のONによって、図5第3段目に示したように、ターボ過給機31の回転速度がt2でゼロから上昇し、t3のタイミングで所定値TC1に到達する。これによって、吸気コンプレッサ33が強制的に駆動され過給を行うので、実際の過給圧がt2から上昇しt3で目標過給圧に到達する。目標過給圧は、図4で説明したように、ミラー化した過給エンジンの吸気弁閉時期と要求される初爆回転速度とからのマップを参照して定まるものである。この場合、t2からt3までのターボ過給機31の回転速度の上昇の傾きは、電動機35の仕様と電動機35に供給する電力とに依存して定まっている。
この場合に、ターボ過給機31の回転速度に基づく過給圧の制御性はそれほどよいものでなく、実際の過給圧が目標過給圧を外れて上下にふらつく。
そこで、制御性の良いスロットルバルブ開度を用いて、実際の過給圧が目標過給圧と一致するようにフィードバック制御を行わせる。フィードバック制御を行わせる期間はターボ過給機の31回転速度が所定値TC1に到達するt3のタイミングからt4のタイミングまでである。すなわち、t3より、過給圧センサ45により検出される実際の過給圧と目標過給圧との比較を開始し、実際の過給圧が目標過給圧の許容範囲を超えて低いときにはスロットルバルブ開度が大きくなる側に補正する。これによって吸気コレクタ5に蓄えられる吸入空気を増やし、実際の過給圧が目標過給圧へと上昇するようにする。この逆に、実際の過給圧が目標過給圧の許容範囲を超えて高いときにはスロットルバルブ開度が小さくなる側に補正する。これによって吸気コレクタ5に蓄えられる吸入空気を減らし、実際の過給圧が目標過給圧へと下降するようにする。なお、図5第4段目ではt3よりt4までの期間でスロットルバルブ開度が一定であるように記載しているが、上記のフィードバック制御の影響を受けて実際には変化している。
そして、図5第2段目に示したように、t4のタイミングでアシストスイッチ37をONからOFFに切換えることでターボ過給機31の駆動を停止すると共に、スロットルバルブ開度をゼロに向けて低減する。この場合、点火の実行を開始するt5のタイミングで、ターボ過給機31の回転速度がゼロになり、かつスロットルバルブ開度がゼロになるように、ターボ過給機31の回転速度及びスロットルバルブ開度を低下させる。このように、t5より前のt4からターボ過給機31の回転速度を低下させスロットルバルブ21を閉じても、図5第5段目に実線で示したように、吸気コレクタ5の内部に蓄積される吸入空気の圧力(実過給圧)はt5までの期間も目標過給圧に維持される。
t3でスタータモータ16によりミラー化した過給エンジンのクランキングが開始されると、図5最下段に実線で示したように、エンジン回転速度Neが上昇しt4のタイミングで所定値Ne1に到達し、t4からは所定値Ne1に維持される。上記のようにスタータスイッチ17をONに切換えるt3のタイミングから一定期間の間は目標過給圧が得られている。そして、このクランキングによってt3から、吸気コレクタ5内に蓄積されている目標過給圧の吸入空気が燃焼室2に流入すると、圧縮端の温度が着火可能温度に足りている。
このため、t5のタイミングで点火が実行されると、図5最下段に実線で示したように、エンジン回転速度Neが初爆回転速度の要求値まで急上昇してミラー化した過給エンジンが始動される。このエンジンの始動に伴い、実際の過給圧はt5のタイミングより急激に減少し、大気圧より低い所定値B2に落ち着く。
エンジン回転速度Neは、図5最下段に実線で示したように、t5より初爆回転速度の要求値まで上昇した後さらに上昇する。そして、t6で目標アイドル回転速度を超えてオーバーシュートした後、所定値Ne2へと落ち着く。この場合、実際のアイドル回転速度を安定させるため、t7のタイミングからアイドル回転速度のフィードバック制御(ISC)が行われる。図5第4段目に実線で示したように、スロットルバルブ開度がt7でゼロから所定値TVO2へと増えているのは、アイドル回転速度のフィードバック制御が行われるためである。すなわち、検出されるエンジン回転速度Ne(実際のアイドル回転速度)が目標アイドル回転速度より低かったので、エンジン回転速度Neを高くして目標アイドル回転速度に戻すため、スロットルバルブ21を開いてエンジン回転速度Neを高めている。
一方、点火の実行を開始するt5でウェイストゲートバルブ開度をゼロから大きくし、t6で所定値WG1(例えば全開位置)に到達した後は、全開位置に維持する(図6第2段目の実線参照)。点火の実行を開始するタイミングでウェイストゲートバルブ39を開くのは、ミラー化した過給エンジンの始動直後に背圧が上昇しないようにするためである。ここで、「背圧」とは、排気圧のことである。排気圧が高いと、ミラー化した過給エンジンの効率が悪くなるので、これを避けるためである。
次に、図6を説明する。図6も本実施形態のミラー化した過給エンジンの始動時のタイミングチャートである。図6の上から、過給圧、ウェイストゲートバルブ開度、排気圧、充填効率、エンジン回転速度Neの各変化を示している。この場合、図6第1段目の過給圧、図6最下段のエンジン回転速度Neの各変化は図5第5段目の過給圧、図5最下段のエンジン回転速度Neの各変化と全く同じである。
まず、比較例のミラー化した過給エンジンの場合から説明すると、比較例のミラー化した過給エンジンでは、図6第1段目、第3段目に一点鎖線で示したように、クランキングを開始するt3のタイミングの前に実過給圧、排気圧とも大気圧にある。
これに対して、本実施形態のミラー化した過給エンジンでは、ターボ過給機31の回転速度をt2から上昇させ、t3で所定値TC1に維持している(図5の第3段目の実線参照)。このターボ過給機31の回転速度の所定値TC1への維持とスロットルバルブ開度のフィードバック制御によって、実過給圧が、図6第1段目に実線で示したようにt2から上昇し、t3からt5までの期間で目標過給圧に維持されている。
一方、図6第2段目に実線で示したように、t1の制御開始タイミングからウェイストゲートバルブ開度をゼロに保持し、t2のタイミングでアシストスイッチ37をONにすることで、排気タービン32がt2から真空ポンプとして機能する。t2より排気タービン32によって排気マニホールド12内の空気が吸引され、排気タービン32下流の排気管13に掃き出されるわけである。このため、図6第3段目に実線で示したように、排気圧がt2から大気圧より低下してゆき、t3のタイミングで所定値PEXH1に落ち着き、t5のタイミングまでこの値に保持される。
すると、本実施形態のミラー化した過給エンジンでは、クランキングの開始タイミング(t3)より実過給圧(=目標過給圧)と排気圧(=所定値PEXH1)の差圧に比例する吸入空気量が燃焼室2に流入する。
詳細には、t2のタイミングより吸気コンプレッサ33を強制的に働かせることで、実過給圧が図6最上段に実線で示したように、t2からt5までの期間で比較例のミラー化した過給エンジンの場合より上昇する。つまり、図6最上段にハッチングで示した面積の分だけ、燃焼室2に流入する吸入空気量が比較例のミラー化した過給エンジンの場合より増加する。一方、ウェイストゲートバルブ39を全閉にして排気タービン32を真空ポンプとして働かせることで、排気圧が図6第3段目に実線で示したように、t2からt5までの期間で比較例のミラー化した過給エンジンの場合より低下する。つまり、図6第3段目にハッチングで示した面積の分だけ、燃焼室2に流入する吸入空気量が比較例のミラー化した過給エンジンの場合より増加する。
このように燃焼室2に流入する吸入空気量が2つの面より増加することによって、図6第4段目に実線で示したように、クランキング時の充填効率がt3のタイミングで所定値η1から上昇してt4のタイミングで所定値η2に落ち着く。図6第4段目に一点鎖線で示す比較例のミラー化した過給エンジンの場合よりクランキング時の充填効率が大きくなるのである。
クランキング時の充填効率が大きくなると、クランキング時の有効圧縮比が上昇する。つまり、本実施形態のミラー化した過給エンジンをクランキングしたとき、圧縮端の温度が着火可能温度を超えることなり、点火によって混合気が着火し得る。このため、t5のタイミングで点火の実行が開始されると、図6最下段に実線で示したように、エンジン回転速度Neが初爆回転速度の要求値を超えて上昇し、t6でオーバーシュートした後、t7で所定値Ne2へと落ち着く。これによって、図6第4段目に実線で示したように、点火実行後の充填効率はt6のタイミングより低下しt7で所定値η3に落ち着く。排気圧は図6第3段目に実線で示したようにt5より上昇し、t6のタイミングで大気圧より高い所定値PEXH2に落ち着く。
エンジンコントローラ41で実行される本実施形態のミラー化した過給エンジンに対する始動制御について図7A,図7Bのフローチャートを参照して説明する。
当該始動制御を行うため、図7A,図7Bのフローでは次の4つの所定値T1,T2,T3,T4と、いくつかのフラグを新たに導入する。まず、図5に示したように、制御開始タイミングをt1とする。図5第1段目、第2段目に示したように、t1からアシストスイッチ37をONに切換えるt2のタイミングまでの時間を所定値T1、t1からアシストスイッチ37をOFFに切換えるt4のタイミングまでの時間を所定値T2とする。また、t1からスタータスイッチ17をONに切換えるt3のタイミングまでの時間を所定値T3、t1からスタータスイッチ17をOFFに切換えるt5のタイミングまでの時間を所定値T4とする。上記4つの所定値T1,T2,T3,T4の間には、T1<T3<T2<T4の関係が成立する。
さらに、始動制御の開始と終了をコントロールするため、制御開始フラグ、制御終了フラグを導入する。アシストスイッチ37、スタータスイッチ17をON、OFF制御するため、アシストスイッチONフラグ、アシストスイッチOFFフラグ、スタータスイッチONフラグ、スタータスイッチOFFフラグを導入する。スロットルバルブ開度、ウェイストゲートバルブ開度を制御するため、スロットルバルブ駆動フラグ、ウェイストゲート駆動バルブを導入する。点火の実行、不実行をコントロールするため、点火許可フラグを導入する。なお、図7A,図7Bのフローでは、アシストスイッチ37、スタータスイッチ17の各スイッチを「SW」で、スロットルバルブを「TH/V」で、ウェイストゲートバルブを「WG/V」で略記する。
図7A,図7Bのフローは、スロットルバルブ駆動フラグ、ウェイストゲートバルブ駆動フラグの設定と、アシストスイッチ37、スタータスイッチ17のON、OFFを制御するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
図7Aのステップ1ではエンジン始動ボタン44がON状態にあるか否かをみる。エンジン始動ボタン44がON状態になっていなければ、そのまま今回の処理を終了する。
図7Aのステップ1でエンジン始動ボタン44がON状態になっていれば、図7Aのステップ2に進む。図7Aのステップ2,3では制御終了フラグ、制御開始フラグ(いずれのフラグもエンジン始動時にゼロに初期設定)をみる。ここでは、制御終了フラグ=0、制御開始フラグ=0であるとして図7Aのステップ4,5に進む。
図7Aのステップ4では制御を開始するため、制御開始フラグ=1とする。なお、図7A,図7Bではエンジン始動ボタンスイッチ44がONとなるタイミング(t0)と制御開始タイミング(t1)とがずれているが、図7A,図7Bのフローでは、エンジン始動ボタン44がONになれば直ぐに制御を開始するものとしている。
図7Aのステップ5ではタイマを起動する(タイマ値t=0)。このタイマは制御開始フラグがゼロから1に切換わったタイミング(制御開始タイミング)からの経過時間を計測するためのものである。
図7Aのステップ6では、制御開始タイミングでスロットルバルブ21を開くため、スロットルバルブ駆動フラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)をゼロから1に切換える。このスロットルバルブ駆動フラグは後述する図8のフローで用いられる。後述する図8のフローによれば、制御開始タイミングからスロットルバルブ開度がゼロから大きくなっていく。
図7Aのステップ7では、制御開始タイミングでウェイストゲートバルブを全閉状態にするため、ウェイストゲートバルブ駆動フラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)をゼロとする。このウェイストゲートバルブ駆動フラグは後述する図9のフローで用いられる。後述する図9のフローによれば、制御開始タイミングからウェイストゲートバルブ開度がゼロになる。
図7Aのステップ4で制御開始フラグ=1としたことで、次回以降は図7Aのステップ2,3より図7Aのステップ8に進み、アシストスイッチONフラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)をみる。ここでは、アシストスイッチONフラグ=0であるとして図7Aのステップ9に進み、タイマ値tと所定値T1を比較する。所定値T1は制御開始フラグを1に切換えたタイミングからアシストスイッチ37をONにするタイミングまでの期間で、予め設定しておく。タイマ値が所定値T1未満であるときには、そのまま今回の処理を終了する。
図7Aのステップ9でタイマ値tが所定値T1未満である限り今回の処理を終了する。やがて図7Aのステップ9でタイマ値tが所定値T1以上となれば、スロットルバルブ開度が所定値TVO1に到達したと判断する。このときには、続いてターボ過給機31の回転速度を所定値TC1とするため図7Aのステップ10,11に進み、アシストスイッチONフラグ=1とし、アシストスイッチ37をONにする。アシストスイッチ37をONとしたことで、ターボ過給機31の回転速度がゼロから上昇する。また、アシストスイッチ37をONとしたことで、排気タービン32が真空ポンプとして働くため、排気マニホールド12内の空気の吸い出しが開始される。
図7Aのステップ10でアシストスイッチONフラグ=1としたことで、次回以降は図7Aのステップ2,3,8より図7Aのステップ12に進み、スタータスイッチONフラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)をみる。ここでは、スタータスイッチONフラグ=0であるとして図7Aのステップ13に進み、タイマ値tと所定値T3を比較する。所定値T3は制御開始フラグを1に切換えたタイミングからスタータスイッチ17をONにするタイミングまでの期間で、予め設定しておく。タイマ値が所定値T3未満であるときには、図7Aのステップ11に進み、図7Aのステップ11の操作を実行する。
図7Aのステップ13でタイマ値tが所定値T3未満である限り図7Aのステップ11の操作を繰り返す。図7Aのステップ11の操作を繰り返すことで、ターボ過給機31の回転速度が所定値TC1へと上昇する。やがて図7Aのステップ13でタイマ値tが所定値T3以上となれば、ターボ過給機31の回転速度が所定値TC1に到達したと判断する。このときには本実施形態のミラー化した過給エンジンのクランキングを開始するため図7Aのステップ14,15に進み、スタータスイッチONフラグ=1とし、スタータスイッチ17をONにした後、図7Aのステップ11の操作を実行する。
図7Aのステップ14でスタータスイッチONフラグ=1としたことで、次回以降は図7Aのステップ2,3,8,12より図7Aのステップ16に進み、アシストスイッチOFFフラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)をみる。ここでは、アシストスイッチOFFフラグ=0であるとして図7Aのステップ17に進み、タイマ値tと所定値T2を比較する。所定値T2は制御開始フラグを1に切換えたタイミングからアシストスイッチ37をOFFにするタイミングまでの期間で、予め設定しておく。タイマ値が所定値T2未満であるときには、図7Aのステップ15,11に進み、図7Aのステップ15,11の操作を実行する。これによってスタータモータ16による本実施形態のミラー化した過給エンジンのクランキングと、吸気コンプレッサ33による吸気コレクタ5への吸入空気の押し込みと、排気タービン32による排気マニホールド内からの空気の吸い出しとが継続される。
図7Aのステップ17でタイマ値tが所定値T2未満である限り、図7Aのステップ15,11の操作を繰り返す。やがて図7Aのステップ17でタイマ値tが所定値T2以上となれば、実過給圧が所定期間、目標過給圧に維持された、つまり吸気コレクタ5への吸入空気の押し込みと排気マニホールド内の空気の吸い込みとが完了したと判断する。このときには、ターボ過給機31の作動を終了し、かつスロットルバルブ開度をゼロに戻すため、図7Aのステップ18,19に進む。図7Aのステップ18,19では、吸気コンプレッサ33による過給を終了させるためアシストスイッチOFFフラグ=1とし、アシストスイッチ37をOFFにする。これによってターボ過給機31の回転速度が所定値TC1より減少する。
図7Aのステップ20では、クランキングを継続するためスタータスイッチ17をONとする。図7Aのステップ21では、スロットルバルブ21を閉じるためスロットルバルブ駆動フラグ=0とする。これによってスロットルバルブ開度が所定値TVO1より減少する。
図7Aのステップ18でアシストスイッチOFFフラグ=1としたことで、次回以降は図7Aのステップ2,3,8,12,16より図7Bのステップ22に進み、スタータスイッチOFFフラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)をみる。ここでは、スタータスイッチOFFフラグ=0であるとして図7Bのステップ23に進み、タイマ値tと所定値T4を比較する。所定値T4は制御開始フラグを1に切換えたタイミングからスタータスイッチ17をOFFにするタイミングまでの期間で、予め設定しておく。タイマ値が所定値T4未満であるときには、図7Bのステップ24,25に進み、スタータスイッチ17をONとし、アシストスイッチ37をOFFとする。これによってスタータモータ16によるクランキングが継続されると共に、ターボ過給機31の回転速度がゼロに向かって減少する。また、スロットルバルブ開度がゼロに向か減少する。
図7Bのステップ23でタイマ値tが所定値T4未満である限り、図7Bのステップ24,25の操作を繰り返す。やがて図7Bのステップ23でタイマ値tが所定値T4以上となれば、ターボ過給機31の回転速度がゼロとなり、かつスロットルバルブ開度がゼロとなったと判断する。このときには、クランキングを終了して点火を実行するため、図7Bのステップ26,27,28に進み、スタータスイッチOFFフラグ=1とし、スタータスイッチ17をOFFにし、点火許可フラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)をゼロから1に切換える。スタータスイッチ17をOFFにすることで、クランキングが終了する。点火許可フラグを1とすることで、図10のフローで後述するように点火が実行される。
図7Bのステップ29ではアシストスイッチ37をOFFとする。図7Bのステップ30ではウェイストゲートバルブ39を開くためウェイストゲートバルブ駆動フラグ=1とする。
図7Bのステップ26でスタータスイッチOFFフラグ=1としたことで、次回以降は図7Aのステップ2,3,8,12,16,図7Bのステップ22より図7Bのステップ31に進む。図7Bのステップ31では、アイドル回転速度制御(図では「ISC」で略記。)条件が成立したか否かをみる。アイドル回転速度制御条件は、エンジン回転速度Neが予め定めた完爆回転速度を横切ったタイミングから所定時間が経過したタイミングで成立する。アイドル回転速度制御条件が成立してなれば、図7Bのステップ32,33に進み、スタータスイッチ17をOFFとし、アシストスイッチ37をOFFとする。
図7Bのステップ31でアイドル回転速度制御条件が成立していない限り、図7Bのステップ32,33の操作を繰り返す。やがて図7Bのステップ31でアイドル回転速度制御条件が成立すれば、制御を終了するため図7Bのステップ34に進み、制御終了フラグ=1とする。この制御終了フラグ=1としたことで、次回以降は図7Aのステップ2から図7Aのステップ3に進むことができない。
図8のフローは、制御開始から点火実行開始までの期間中に目標スロットルバルブ開度を算出するためのもので、図7A,図7Bのフローに続けて一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ41,42では制御開始フラグ、スロットルバルブ(図では「TH/V」で略記。)駆動フラグ(いずれのフラグも図7A,図7Bのフローにより設定済み)をみる。制御開始フラグ=1かつスロットルバルブ駆動フラグ=1であるときには、スタータの駆動前に過給された吸入空気を速やかに吸気コレクタ5に押し込むためスロットルバルブ21を開く必要があると判断する。このときには、ステップ44〜50に進んで、目標スロットルバルブ開度を算出すると共に、実際の過給圧が目標過給圧と一致するように過給圧のフィードバック制御を行う。
このうち、ステップ46〜48、50は過給圧のフィードバック制御を行う部分である。まず、ステップ44では、過給圧センサ45により検出される実際の過給圧[kPa]と目標過給圧[kPa]の差圧ΔP[kPa]を、つまり次式により差圧ΔPを算出する。
ΔP=実過給圧−目標過給圧 …(1)
(1)式の目標過給圧は、吸気弁閉時期と要求される初爆回転速度から予め定められている。
(1)式の目標過給圧は、吸気弁閉時期と要求される初爆回転速度から予め定められている。
ステップ45ではこの差圧ΔPと許容値ζ[kPa]を比較する。許容値ζは予め定めておく。差圧ΔPが許容値ζ以上あれば実過給圧が目標過給圧を中心とする許容範囲に収まるようにフィードバック制御を行う。
ステップ46では差圧ΔPとゼロを比較する。差圧ΔPがゼロより大きい、つまり実過給圧が目標過給圧+ζを超えて高いときには、実過給圧を目標過給圧へと低下させる必要がある。このときには、スロットルバルブ開度のフィードバック量FBを次式により算出する。
FB=FBz−C …(2)
ただし、FBz:FBの前回値、
C:所定値(正の一定値)、
ステップ48では所定値TVO1にこのフィードバック量FBを加算した値を目標スロットルバルブ開度tTVOとして、つまり次式により目標スロットルバルブ開度tTVOを算出する。
ただし、FBz:FBの前回値、
C:所定値(正の一定値)、
ステップ48では所定値TVO1にこのフィードバック量FBを加算した値を目標スロットルバルブ開度tTVOとして、つまり次式により目標スロットルバルブ開度tTVOを算出する。
tTVO=TVO1+FB …(3)
(3)式の所定値TVO1は、制御開始時にスロットルバルブ21をどの程度開くかを定める値である。この値は適合により予め定めておく。
(3)式の所定値TVO1は、制御開始時にスロットルバルブ21をどの程度開くかを定める値である。この値は適合により予め定めておく。
上記(2)式のフィードバック量の前回値である「FBz」の初期値はゼロである。上記(2)式はフィードバック量の前回値である「FBz」から所定値Cを差し引いた値を今回のフィードバック量FBとするものである。言い換えると、上記(2)式はフィードバック量FBを漸減するための漸化式である。
上記の(2)式、(3)式によって、目標スロットルバルブ開度tTVOが小さくなるので、吸入空気量が小さくなり実過給圧が目標過給圧へと低下してゆく。ステップ45,46で差圧ΔPが目標過給圧+ζを超えて高くなっている限り、上記(2)式によってフィードバック量FBが小さくなり、目標スロットルバルブ開度が小さくなっていくので、実過給圧が目標過給圧へと低下する。
やがて、ステップ45で差圧ΔPが許容値ζ以内に収まると、ステップ49に進み、フィードバック量の前回値である「FBz」の値をそのまま今回のフィードバック量FBとした後、ステップ48の操作を実行する。つまり、差圧ΔPが許容値ζ以内に収まった後にはフィードバック量FBを同じ値で維持する。
一方、ステップ46で差圧ΔPがゼロより小さい、つまり実過給圧が目標過給圧−ζを超えて低いときには、実過給圧を目標過給圧へと上昇させる必要がある。このときには、スロットルバルブ開度のフィードバック量FBを次式により算出する。
FB=FBz+C …(4)
ただし、FBz:FBの前回値、
C:所定値(正の一定値)、
ステップ48では所定値TVO1にこのフィードバック量FBを加算した値を目標スロットルバルブ開度tTVOとして、つまり次式により目標スロットルバルブ開度tTVOを算出する。
ただし、FBz:FBの前回値、
C:所定値(正の一定値)、
ステップ48では所定値TVO1にこのフィードバック量FBを加算した値を目標スロットルバルブ開度tTVOとして、つまり次式により目標スロットルバルブ開度tTVOを算出する。
tTVO=TVO1+FB …(5)
上記(4)式のフィードバック量の前回値である「FBz」の初期値はゼロである。上記(4)式はフィードバック量の前回値である「FBz」に所定値Cを加算した値を今回のフィードバック量FBとするものである。言い換えると、上記(4)式はフィードバック量FBを漸増するための漸化式である。
上記(4)式のフィードバック量の前回値である「FBz」の初期値はゼロである。上記(4)式はフィードバック量の前回値である「FBz」に所定値Cを加算した値を今回のフィードバック量FBとするものである。言い換えると、上記(4)式はフィードバック量FBを漸増するための漸化式である。
上記の(4)式、(5)式によって、目標スロットルバルブ開度tTVOが大きくなるので、吸入空気量が大きくなり実過給圧が目標過給圧へと上昇してゆく。ステップ45,46で差圧ΔPが目標過給圧−ζを超えて低下している限り、上記(4)式によってフィードバック量FBが大きくなり、目標スロットルバルブ開度が大きくなっていくので、実過給圧が目標過給圧へと上昇する。
やがて、ステップ45で差圧ΔPが許容値ζ以内に収まると、ステップ49に進み、フィードバック量の前回値である「FBz」の値をそのまま今回のフィードバック量FBとした後、ステップ48の操作を実行する。つまり、差圧ΔPが許容値ζ以内に収まった後にはフィードバック量FBを同じ値で維持する。
一方、ステップ41,42で制御開始フラグ=0またはスロットルバルブ駆動フラグ=0であるときには、制御を行う必要がないと判断してステップ43に進み、目標スロットルバルブ開度tTVOにゼロを入れる。
図9のフローは、制御開始からの期間中に目標ウェイストゲートバルブ開度を算出するためのもので、図7A,図7Bのフローに続けて一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ61では制御開始フラグ(図7A,図7Bのフローにより設定済み)をみる。制御開始フラグ=0であるときには制御を行う必要がないと判断してステップ63に進み、目標ウェイストゲートバルブ開度tWGVにゼロを入れる。
ステップ61で制御開始フラグ=1であるときにはステップ62に進み、ウェイストゲートバルブ(図では「WG/V」で略記。)駆動フラグ(図7A,図7Bのフローにより設定済み)をみる。制御開始タイミングでウェイストゲートバルブ駆動フラグ=0となる(図7Aのステップ7参照)。このときには、制御開始タイミングよりウェイストゲートバルブ39を全閉保持するためステップ63に進み、目標ウェイストゲートバルブ開度tWGVにゼロを入れる。
制御開始後に点火実行開始タイミングになるとウェイストゲートバルブ駆動フラグ=1となる(図7Bのステップ29参照)。このときにはウェイストゲートバルブ39を全開にするためステップ62からステップ64に進み、目標ウェイストゲートバルブ開度tWGVに所定値WG1(全開位置)を入れる。
図10のフローは点火を実行するためのもので、図7A,図7Bのフローに続けて点火タイミング毎に実行する。
ステップ71では点火許可フラグ(図7A,図7Bのフローにより設定済み)をみる。点火許可フラグ=0であるときにはステップ73に進み、点火を実行しない。一方、点火許可フラグ=1であるときにはステップ72に進み、点火を実行する。
例えば、タイマ値tが所定値T4未満である間は、点火許可フラグ=0であるので、点火は実行されない。タイマ値tが所定値T4に到達した後には点火許可フラグ=1となるので、点火が実行される。つまり、タイマ値tが所定値T4に到達したタイミングが点火実行開始タイミングである。なお、燃料噴射については記載していないが、点火実行開始タイミングより以前に全気筒同時にあるいは気筒別に燃料噴射が行われている。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態では、ミラー化した過給エンジン1(ミラーサイクルを採用するガソリンエンジン)の始動制御装置において、エンジン1をクランキングするスタータ15と、排気エネルギーが小さい側でも電動機35により駆動される電動アシストターボ過給機31とを備える。そして、電動アシストターボ過給機31を作動させた後に、スタータ15を駆動することによってエンジン1を始動する。本実施形態では、ターボ過給機31を駆動して吸入空気を過給し、吸入空気を強制的に吸気コレクタ5(エンジン)に押し込む。これによって、エンジン1をスタータ15でクランキングしたとき、初爆に必要な吸入空気を燃焼室2内に取り込むことが可能となり、エンジン1を始動できる。また、本実施形態では、真空ポンプとしての排気タービン32を駆動し、排気マニホールド12内の空気を吸い出すことで、排気マニホールド12内を大気圧より低い圧力状態とする。これによって、吸入空気が吸気コレクタ5(エンジン)に強制的に引き込まれる。このため、エンジン1をクランキングしたとき、初爆に必要な吸入空気を燃焼室2内に取り込むことが可能となり、エンジンを始動できる。
本実施形態では、電動アシストターボ過給機31の一部を構成する吸気コンプレッサ33の下流の吸気通路3にスロットルバルブ21を備える。そして、スタータ15を駆動する前にターボ過給機31を作動させた場合に予め定めた目標過給圧が得られるように、スロットルバルブ21を所定の開度(TVO1)まで開くと共に、作動させたターボ過給機31(過給機)を所定の回転速度(TC1)にする。これによって、スタータ15を駆動する前に速やかに目標過給圧を得ることができる。
電動アシストターボ過給機31を所定の回転速度(TC1)にしたとき、電動アシストターボ過給機31の制御性に起因して、実際の過給圧が目標過給圧の上下にフラツクことがある。一方、本実施形態では、過給圧センサ45(過給圧検出手段)を備え、過給圧センサ45により検出される実際の過給圧に基づいて、目標過給圧が得られるようにスロットルバルブ開度(スロットルバルブの開度)をフィードバック制御する。これによって、電動アシストターボ過給機31の制御性に起因して、実際の過給圧が目標過給圧の上下にフラツクことがあっても、目標過給圧を精度良く得ることができる。
本実施形態では、ミラー化した過給エンジン1(ミラーサイクルを採用するガソリンエンジン)の吸気弁閉時期と初爆回転速度(初爆時のエンジン回転速度)の要求値に基づいて目標過給圧を定める。これによって、ミラー化した過給エンジンであっても、初爆回転速度の要求値でエンジン1を始動できる。
本実施形態では、電動アシストターボ過給機31が、排気タービン32をバイパスする通路38に設けられるウェイストゲートバルブ39を含んで構成される場合に、エンジン1を始動する前にはウェイストゲートバルブ39を全閉状態に保持する。これによって、排気タービン32が真空ポンプとして機能する。電動アシストターボ過給機31は、電動機により駆動され吸入空気を過給する過給機と、電動機により駆動され排気マニホールド内の空気を吸引する真空ポンプとを組み合わせたものに相当するので、初爆に必要な吸入空気を効率よく燃焼室2内に取り込ませることができる。
本実施形態によれば、エンジン1を始動した後にはウェイストゲートバルブ39を全開状態に切換えるので、始動直後に背圧が上がらないようにすることができる。
本実施形態では、電動アシストターボ過給機31が、電動機35、この電動機35を動かすためのスイッチ37、バッテリ19からの電圧を昇圧する昇圧器36を含んで構成され、昇圧器36がバッテリ19の充電率(SOC)をモニターしている。この場合に、電動アシストターボ過給機31を作動させたとき、バッテリ19の充電率が規定値を横切って低下すると、昇圧器36が電動機35への通電を遮断する。これによって、バッテリ容量が減ることを防止できる。
(第2実施形態)
図11は第2実施形態のミラー化した過給エンジン1の制御装置の概略構成図である。第1実施形態の図1と同一部分には同一符号を付している。
図11は第2実施形態のミラー化した過給エンジン1の制御装置の概略構成図である。第1実施形態の図1と同一部分には同一符号を付している。
第2実施形態は、第1実施形態と同じにミラー化した過給エンジン1でありながら、電動過給機51を備える場合である。
電動過給機51は、吸気コンプレッサ52、電動機53、昇圧器54、常開のスイッチ55から構成される。電動機53はエンジンコントローラ41からの指令を受けて駆動される。すなわち、エンジンコントローラ41からの指令により、制御開始タイミングでスロットルバルブ21が開かれる。スロットルバルブ開度が所定値TVO1に到達すると、そのタイミングでスイッチ55が閉成される。スイッチ55が閉成されると、バッテリ19からの電力が電動機53に供給され、電動機53が駆動される。電動機53が駆動されると、吸気コンプレッサ52が働き、吸気コレクタ5に吸入空気が押し込められる。ここでも、バッテリ電圧では不足するため、昇圧器54でバッテリ電圧を昇圧している。
第1実施形態との関係では、第1実施形態の電動アシストターボ過給機31から排気タービン32、バイパス通路38、ウェイストゲートバルブ39、電動機40を取り去ったものに相当する。このため、基本的には第1実施形態の図7A,図7B、図8のフローをそのまま用いることができる。ただし、ウェイストゲートバルブ39は備えないので、図7Aのステップ7、図7Bのステップ29は削除する。
第2実施形態でも、次のように第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、第2実施形態では、スタータ15を駆動する前に電動過給機51を駆動して過給することで吸入空気を吸気コレクタ5(エンジン1)押し込む。これによって、ミラー化した過給エンジン1をスタータ15でクランキングしたとき、初爆に必要な吸入空気を燃焼室2に取り込むことが可能となり、エンジン1を始動できる。
第2実施形態では、電動過給機51の下流の吸気通路3にスロットルバルブ21を備える。そして、スタータ15を駆動する前に電動過給機51を作動させた場合に予め定めた目標過給圧が得られるように、スロットルバルブ21を所定の開度(TVO1)まで開くと共に、作動させた電動過給機51(過給機)を所定の回転速度(TC1)にする。これによって、スタータ15を駆動する前に速やかに目標過給圧を得ることができる。
電動過給機51を所定の回転速度(TC1)にしたとき、電動過給機51の制御性に起因して、実際の過給圧が目標過給圧の上下にフラツクことがある。一方、第2実施形態では、過給圧センサ45(過給圧検出手段)を備え、過給圧センサ45により検出される実際の過給圧に基づいて、目標過給圧が得られるようにスロットルバルブ開度(スロットルバルブの開度)をフィードバック制御する。これによって、電動過給機51の制御性に起因して、実際の過給圧が目標過給圧の上下にフラツクことがあっても、目標過給圧を精度良く得ることができる。
(第3実施形態)
図12は第3実施形態のミラー化したガソリンエンジン1’の制御装置の概略構成図である。第1実施形態の図1と同一部分には同一符号を付している。
図12は第3実施形態のミラー化したガソリンエンジン1’の制御装置の概略構成図である。第1実施形態の図1と同一部分には同一符号を付している。
第3実施形態は、第1実施形態の電動アシストターボ過給機31に代えて、電動真空ポンプ61を備える場合である。このため、第3実施形態のエンジンは過給エンジンでない。
電動真空ポンプ61は、真空ポンプ62、電動機63、昇圧器64、常開のスイッチ65、バイパス通路66、開閉バルブ67、電動機68から構成される。電動機63,68はエンジンコントローラ41からの指令を受けて駆動される。すなわち、エンジンコントローラ41からの指令により、制御開始タイミングでスロットルバルブ21が開かれる。スロットルバルブ開度が所定値TVO1に到達すると、そのタイミングでスイッチ65が閉成されかつバルブ67が全閉状態とされる。スイッチ65が閉成されかつバルブ67が全閉状態とされると、バッテリ19からの電力が電動機63に供給され、電動機63が駆動される。電動機63が駆動されると、真空ポンプ62が働き、排気マニホールド12内の空気が下流側の排気管13に吸い出される。ここでも、バッテリ電圧では不足するため、昇圧器64でバッテリ電圧を昇圧している。
なお、ミラー化したガソリンエンジン1’が始動すれば、真空ポンプ62の作動は不要であり、ミラー化したガソリンエンジン1’の始動後にも排気を真空ポンプ62に流すのでは、真空ポンプ62が通気抵抗となって背圧が上昇する。このため、ミラー化したガソリンエンジン’の始動直後に電動機63への電力供給を遮断して真空ポンプ61の作動を停止すると共に、バルブ67を全開状態として排気の全量をバイパス通路66に流す。これによって、ミラー化したガソリンエンジン1’の始動直後に背圧が上がらないようにすることができる。
第1実施形態との関係では、第1実施形態の電動アシストターボ過給機31から主に吸気コンプレッサ33を取り去ったものに相当する。このため、基本的には第1実施形態の図7A,図7B、図8、図9のフローをそのまま用いることができる。ただし、ウェイストゲートバルブ39に代えて開閉バルブ67を用いる。アシストスイッチ37は備えないので、アシストスイッチに関係する部分は全て削除する。
第3実施形態でも、次のように第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、第3実施形態では、スタータ15を駆動する前に電動真空ポンプ61を駆動し、排気マニホールド12内の空気を吸い出すことで、排気マニホールド12内を大気圧より低い圧力状態とする。これによって、吸入空気が吸気コレクタ5(エンジン)に強制的に引き込まれる。これによって、ミラー化したガソリンエンジン1’をスタータ15でクランキングしたとき、初爆に必要な吸入空気を燃焼室2に取り込むことが可能となり、ミラー化したガソリンエンジン1’を始動できる。
第2、第3の実施形態と第1実施形態の関係では、第2実施形態の電動過給機51と第3実施形態の電動バキュームポンプ61を組み合わせたものが、第1実施形態の電動アシストターボ過給機31に相当する。
ミラー化した過給エンジンには、吸気弁閉時期を吸気上死点よりも遅らせる、いわゆる吸気弁の遅閉じ方式と、吸気弁閉時期を吸気上死点よりも進める、いわゆる吸気弁の早閉じ方式とがある。吸気弁の早閉じ方式の場合にも、吸入空気が入らず、吸気弁の遅閉じ方式の場合と同じにミラー化した過給エンジンを始動できない事態が生じる。従って、吸気弁の早閉じ方式のミラー化した過給エンジンの場合にも本発明の適用がある。
1 ミラー化した過給エンジン
1’ ミラー化したガソリンエンジン
2 燃焼室
15 スタータ
19 バッテリ
21 スロットルバルブ
31 電動アシストターボ過給機(過給機)
32 排気タービン
35 電動機
36 昇圧器
39 ウェイストゲートバルブ
41 エンジンコントローラ
45 過給圧センサ(過給圧検出手段)
51 電動過給機
61 電動真空ポンプ
1’ ミラー化したガソリンエンジン
2 燃焼室
15 スタータ
19 バッテリ
21 スロットルバルブ
31 電動アシストターボ過給機(過給機)
32 排気タービン
35 電動機
36 昇圧器
39 ウェイストゲートバルブ
41 エンジンコントローラ
45 過給圧センサ(過給圧検出手段)
51 電動過給機
61 電動真空ポンプ
Claims (7)
- ミラーサイクルを採用するガソリンエンジンの始動制御装置において、
エンジンをクランキングするスタータと、
電動機により駆動され吸入空気を過給する電動過給機、電動機により駆動され排気マニホールド内の空気を吸引する電動真空ポンプ、排気エネルギーが小さい側でも電動機により駆動される電動アシストターボ過給機のいずれかと
を備え、
前記電動過給機、前記電動真空ポンプ、前記電動アシストターボ過給機のいずれかを作動させた後に、前記スタータを駆動することによってエンジンを始動することを特徴とするガソリンエンジンの始動制御装置。 - 前記電動過給機の下流または前記電動アシストターボ過給機の一部を構成する吸気コンプレッサの下流の吸気通路にスロットルバルブを備え、
前記スタータを駆動する前に前記電動過給機と前記電動アシストターボ過給機のいずれかを作動させた場合に予め定めた目標過給圧が得られるように、前記スロットルバルブを所定の開度まで開くと共に、前記作動させた電動過給機と前記電動アシストターボ過給機のいずれかを所定の回転速度にすることを特徴とする請求項1に記載のガソリンエンジンの始動制御装置。 - 実際の過給圧を検出する過給圧検出手段を備え、
前記過給圧検出手段により検出される実際の過給圧に基づいて、前記目標過給圧が得られるように前記スロットルバルブの開度をフィードバック制御することを特徴とする請求項2に記載のガソリンエンジンの始動制御装置。 - 前記ミラーサイクルを採用するガソリンエンジンの吸気弁閉時期と初爆時のエンジン回転速度の要求値に基づいて前記目標過給圧を定めることを特徴とする請求項2または3に記載のガソリンエンジンの始動制御装置。
- 前記電動アシストターボ過給機が、排気タービンをバイパスする通路に設けられるウェイストゲートバルブを含んで構成される場合に、前記エンジンを始動する前には前記ウェイストゲートバルブを全閉状態に保持することを特徴とする請求項1に記載のガソリンエンジンの始動制御装置。
- 前記エンジンを始動した後には前記ウェイストゲートバルブを全開状態に切換えることを特徴とする請求項5に記載のガソリンエンジンの始動制御装置。
- 前記電動アシストターボ過給機が、電動機、この電動機を動かすためのスイッチ、バッテリからの電圧を昇圧する昇圧器を含んで構成され、昇圧器がバッテリの充電率をモニターしている場合に、前記電動アシストターボ過給機を作動させたとき、前記バッテリの充電率が規定値を横切って低下すると、前記昇圧器が前記電動機への通電を遮断することを特徴とする請求項1に記載のガソリンエンジンの始動制御装置。
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JP2014229431A JP2016094828A (ja) | 2014-11-12 | 2014-11-12 | ガソリンエンジンの始動制御装置 |
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ID=56071640
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JP2014229431A Pending JP2016094828A (ja) | 2014-11-12 | 2014-11-12 | ガソリンエンジンの始動制御装置 |
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JP (1) | JP2016094828A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2014
- 2014-11-12 JP JP2014229431A patent/JP2016094828A/ja active Pending
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