JP2016094563A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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俊之 梅里
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Abstract

【課題】保存安定性、吐出安定性、及び消泡性に優れたインクジェット用のインクを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を含有するインクジェット用のインクである。さらに、特定の条件を満たす下記一般式(2)で表される第1の水溶性有機溶剤、及び、特定の条件を満たす下記一般式(3)で表される第2の水溶性有機溶剤の少なくとも一方を含有する。
Figure 2016094563

【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙などの記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は、光、湿度、熱、空気中に存在するオゾンガスなどの環境ガスに長時間さらされた際に、記録物の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題がある。
カラーインデックス(C.I.)番号が付与されている従来公知の色材では、インクジェット用のインクに要求される光学濃度(発色性)と堅牢性が両立した画像を記録することは困難であった。このため、新規の構造を有する色材について広く検討されている。例えば、発色性が良好であり、かつ、画像の耐候性に優れた画像を記録可能なビスアゾ化合物が提案されている(特許文献1及び2)。
インクジェット記録方法では、記録ヘッドのインク流路内でインク中に泡が生じると、流路内にインクが滞留しやすくなり、安定してインクが吐出されなくなる場合がある。
また、インクに圧力を加えてインク滴を吐出する記録ヘッド内で泡が生じると、泡が圧力を吸収してしまう。このため、吐出されるインク滴の量が変化する場合や、インク滴が吐出されなくなる場合がある。さらに、インク中に泡が発生してしまうと、所定量のインクをインクカートリッジに注入できなくなる場合がある。このため、インクジェット用のインクの消泡性を高めることが求められている。消泡性を向上させるために、フッ素系の界面活性剤をインクに添加することが提案されている(特許文献3)。
特開2008−297541号公報 特開2004−83903号公報 特開2010−22928号公報
本発明者らは、特許文献1で提案された色材(ビスアゾ化合物)を含有するインクを調製し、このインクを用いて画像を記録した。その結果、記録された画像は良好な発色性を有するとともに耐候性に優れていることがわかった。しかし、このインクを所定の条件下で保存すると色材が分解し、保存安定性が劣ることもわかった。また、特許文献2で提案された色材(ビスアゾ化合物)を含有するインクを調製し、このインクを用いて画像を記録した。その結果、記録された画像は良好な発色性を有するとともに耐候性に優れていること、及びこのインクは保存安定性に優れていることがわかった。しかし、このインクは消泡性が不十分であることもわかった。
次に、本発明者らは、特許文献2で提案された色材を含有するインクに一般的な消泡剤を各種添加して検討した。その結果、インクの消泡性は改善されたが、吐出安定性が不十分となることがわかった。さらに、特許文献3で提案された消泡剤をインクに添加して検討したところ、インクの消泡性は優れていたが、吐出安定性がやはり不十分であることが判明した。
したがって、本発明の目的は、保存安定性、吐出安定性、及び消泡性に優れたインクジェット用のインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、下記一般式(1)で表される化合物を含有するインクジェット用のインクであって、さらに、下記条件(I)を満たす下記一般式(2)で表される第1の水溶性有機溶剤、及び、下記条件(II)を満たす下記一般式(3)で表される第2の水溶性有機溶剤の少なくとも一方を含有することを特徴とするインクが提供される。
Figure 2016094563
(前記一般式(1)中、R1は1価の基を表し、R2は−OH又は−NH2を表し、R3はスルホン酸基又はカルボキシ基を表し、nは1又は2を表し、R4は2価の連結基を表す)
Figure 2016094563
(前記一般式(2)中、pは2以上15以下を表す)
<条件(I)>
下記条件(a)、(b)及び(c)を全て満たす。
[条件(a)]:前記第1の水溶性有機溶剤が、前記一般式(2)において、p=sである第1の化合物と、p=s+1である第2の化合物とを含む(但し、2≦s≦14である)。
[条件(b)]:インク全質量を基準とした、前記第1の化合物の含有量X1(質量%)と、前記第2の化合物の含有量X2(質量%)とが、0.14≦X1/X2≦7.0の関係を満たす。
[条件(c)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第1の水溶性有機溶剤のうち前記条件(b)を満たす化合物の含有量B(質量%)とが、B/A≧1.2の関係を満たす。
Figure 2016094563
(前記一般式(3)中、qは2以上11以下を表す)
<条件(II)>
下記条件(d)、(e)及び(f)を全て満たす。
[条件(d)]:前記第2の水溶性有機溶剤が、前記一般式(3)において、q=tである第4の化合物と、q=t+1である第5の化合物とを含む(但し、2≦t≦10である)。
[条件(e)]:インク全質量を基準とした、前記第4の化合物の含有量Y4(質量%)と、前記第5の化合物の含有量Y5(質量%)とが、0.14≦Y4/Y5≦7.0の関係を満たす。
[条件(f)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第2の水溶性有機溶剤のうち前記条件(e)を満たす化合物の含有量C(質量%)とが、C/A≧1.2の関係を満たす。
本発明によれば、保存安定性、吐出安定性、及び消泡性に優れたインクジェット用のインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用のインクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの末尾に付した数値は当該化合物の重量平均分子量を示す。本発明における各種の物性値は特に断らない限り25℃における値である。
本発明者らは、一般式(1)で表される化合物を含有するインクの消泡性に着目し、種々検討を行った。その結果、一般式(1)で表される化合物と、第1の水溶性有機溶剤及び第2の水溶性有機溶剤のうち少なくとも一方とを含有させることにより、インクの消泡性が向上することを見出した。まず、一般式(1)で表される化合物と第1の水溶性有機溶剤を併用することによって、インクの消泡性が向上するメカニズムについて説明する。
一般式(1)で表される化合物は、分子内において主にR3などの親水部とR3以外の疎水部がそれぞれ局在化しているので、界面活性剤のような作用を発揮する。このため、インク中に泡が発生すると、一般式(1)で表される化合物は気液界面に配向して泡を安定化させると考えられる。また、一般式(1)で表される化合物は、インク中に溶解した状態で、染料の会合度合いによりいくつかの溶解形態で存在していると考えられる。そして、第1の水溶性有機溶剤の分子構造の大部分は、親水性基であるエチレンオキサイド基で構成されている。このため、第1の水溶性有機溶剤は一般式(1)で表される化合物の親水部と相互作用するとともに、さらに疎水部とも相互作用する。これにより、一般式(1)で表される化合物が気液界面に配向することが抑制され、インクの消泡性が向上すると考えられる。
水溶性有機溶剤が一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部の両方と相互作用するためには、適切な特性が存在すると考えられる。そして、一般式(2)中のpが2以上15以下である水溶性有機溶剤は、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部の両方と相互作用すると考えられる。
第1の水溶性有機溶剤は複数の成分(第1の化合物、第2の化合物)を含むために、インクの消泡性が向上する。これは、一般式(1)で表される化合物の種々の溶解形態に対応できるためであると考えられる。第1の水溶性有機溶剤に含まれる第1の化合物及び第2の化合物は、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部に対する相互作用の大きさが僅かに異なると考えられる。また、第1の化合物の含有量X1(質量%)と、第2の化合物の含有量X2(質量%)とが、0.14≦X1/X2≦7.0の関係を満たす場合に消泡性が向上する。これは、いずれかの化合物が支配的とならずに、いずれの化合物も一般式(1)で表される化合物とバランスよく相互作用するためであると考えられる。
一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、第1の水溶性有機溶剤のうち条件(b)を満たす化合物の含有量B(質量%)とが、B/A≧1.2の関係を満たす場合に消泡性が向上する。これは、第1の水溶性有機溶剤が一般式(1)で表される化合物と相互作用して十分な消泡性が発揮されるには、第1の水溶性有機溶剤が一般式(1)で表される化合物よりも多く含まれる必要があるためであると考えられる。
一般式(1)で表される化合物と第2の水溶性有機溶剤を併用した場合も、上記のメカニズムと同様のメカニズムによりインクの消泡性が向上すると考えられる。一般式(1)で表される化合物と、条件(I)を満たさない一般式(2)で表される水溶性有機溶剤又は条件(II)を満たさない一般式(3)で表される水溶性有機溶剤とを併用しても、消泡性が得られないことが判明した。
<インク>
本発明のインクジェット用のインクは、一般式(1)で表される化合物を色材として含有し、さらに、第1の水溶性有機溶剤及び第2の水溶性有機溶剤の少なくとも一方を含有する。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
(一般式(1)で表される化合物)
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される化合物を色材(染料)として含有する。インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。画像の発色性及び耐候性の観点からは、一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)は1.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、吐出安定性の観点からは、一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)は5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
Figure 2016094563
(前記一般式(1)中、R1は1価の基を表し、R2は−OH又は−NH2を表し、R3はスルホン酸基又はカルボキシ基を表し、nは1又は2を表し、R4は2価の連結基を表す)
一般式(1)中のR1は、1価の基を表す。1価の基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを挙げることができる。R1で表される基は置換基を有してもよい。置換基の具体例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、スルホン酸基(塩型でもよい)、カルボキシ基(塩型でもよい)などを挙げることができる。
アルキル基には、置換又は無置換のアルキル基が含まれる。置換又は無置換のアルキル基としては、炭素数1乃至30のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシルなどの無置換のアルキル基;2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル、4−スルホブチル、4−カルボキシブチルなどの置換アルキル基;を挙げることができる。
シクロアルキル基には、置換又は無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換又は無置換のシクロアルキル基としては、炭素数5乃至30のシクロアルキル基が好ましい。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチルなどの無置換のシクロアルキル基;4−n−ドデシルシクロヘキシルなどの置換シクロアルキル基を挙げることができる。
アラルキル基には、置換又は無置換のアラルキル基が含まれる。置換又は無置換のアラルキル基としては、炭素数7乃至30のアラルキル基が好ましい。アラルキル基としては、ベンジル、2−フェネチルなどを挙げることができる。
アルケニル基には、直鎖、分岐、又は環状の、置換又は無置換のアルケニル基が含まれる。置換又は無置換のアルケニル基としては、炭素数2乃至30のアルケニル基が好ましい。アルケニル基としては、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどを挙げることができる。
アルキニル基には、置換又は無置換のアルキニル基が含まれる。置換又は無置換のアルキニル基としては、炭素数2乃至30のアルキニル基が好ましい。アルキニル基としては、エチニル、プロパルギルなどを挙げることができる。
アリール基には、置換又は無置換のアリール基が含まれる。置換又は無置換のアリール基としては、炭素数6乃至30のアリール基が好ましい。アリール基としては、フェニル、ナフチルなどの無置換のアリール基;p−トリル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルなどの置換アリール基を挙げることができる。
一般式(1)中、R3で表されるスルホン酸基、カルボキシ基は塩型であってもよい。塩を形成する場合のカウンターイオンとしては、アルカリ金属;アンモニア(NH3);有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムとしては、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの炭素数1以上4以下のモノ、ジ又はトリアルカノールアミン類などの有機アンモニウムなどを挙げることができる。一般式(1)で表される化合物が、R3以外にイオン性基を有する場合にも、R3と同様に塩型であってもよく、この場合のカウンターイオンとしては、上述のカチオンと同様のものを挙げることができる。
一般式(1)中、R4は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンなどのアルキレン基;エテニレン、プロぺニレンなどのアルケニレン基;エチニレン、プロピニレンなどのアルキニレン基;フェニレン、ナフチレンなどのアリーレン基;−O−;−S−;及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基は、いずれも置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、スルホン酸基(塩型でもよい)、カルボキシ基(塩型でもよい)などを挙げることができる。
一般式(1)中のR4は、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、−S−、又はこれらの組み合わせであることがさらに好ましい。これらのなかでも、−S−とアルキレン基との組み合わせであることが、一般式(1)で表される化合物の安定性の観点から特に好ましい。R4で表される2価の連結基の総炭素数は、0乃至50であることが好ましく、0乃至30であることがさらに好ましく、0乃至10であることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の好適例を遊離酸型で表すと、以下に示す例示化合物1〜19を挙げることができる。勿論、本発明においては、一般式(1)の構造及びその定義に包含されるものであれば、以下に示す例示化合物に限定されない。本発明においては、以下に示す例示化合物のなかでも、例示化合物2を用いることが特に好ましい。
Figure 2016094563
Figure 2016094563
Figure 2016094563
Figure 2016094563
(第1の水溶性有機溶剤)
本発明のインクは、第1の水溶性有機溶剤及び第2の水溶性有機溶剤の少なくとも一方を含有する。第1の水溶性有機溶剤は、下記一般式(2)で表されるとともに、下記条件(I)を満たす。
Figure 2016094563
(前記一般式(2)中、pは2以上15以下を表す)
<条件(I)>
下記条件(a)、(b)及び(c)を全て満たす。
[条件(a)]:第1の水溶性有機溶剤が、一般式(2)において、p=sである第1の化合物と、p=s+1である第2の化合物とを含む(但し、2≦s≦14である)。
[条件(b)]:インク全質量を基準とした、第1の化合物の含有量X1(質量%)と、第2の化合物の含有量X2(質量%)とが、0.14≦X1/X2≦7.0の関係を満たす。
[条件(c)]:インク全質量を基準とした、一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、第1の水溶性有機溶剤のうち条件(b)を満たす化合物の含有量B(質量%)とが、B/A≧1.2の関係を満たす。
また、第1の水溶性有機溶剤は、下記条件(III)を満たすことが好ましい。
<条件(III)>
前記条件(b)、並びに下記条件(g)、(h)及び(i)を全て満たす。
[条件(g)]:第1の水溶性有機溶剤が、一般式(2)において、p=sである第1の化合物と、p=s+1である第2の化合物と、p=s+2である第3の化合物とを含む(但し、2≦s≦13である)。
[条件(h)]:インク全質量を基準とした、第2の化合物の含有量X2(質量%)と、第3の化合物の含有量X3(質量%)とが、0.14≦X2/X3≦7.0の関係を満たす。
[条件(i)]:インク全質量を基準とした、一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、第1の水溶性有機溶剤のうち条件(b)及び(h)を満たす化合物の含有量D(質量%)とが、D/A≧1.2の関係を満たす。
一般式(1)で表される化合物と、第1の水溶性有機溶剤とを含有させることにより、インクジェット用のインクとして必要な消泡性を得ることができる。一般式(2)中のpが2未満であると分子鎖が短いため、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部の両方に相互作用することが困難になる。一方、一般式(2)中のpが15を超えると分子が大きくなりすぎてしまい、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部に対して適切に相互作用しなくなる。
第1の水溶性有機溶剤が第1の化合物のみを含む場合、一般式(1)で表される化合物の疎水部に対して異なる影響を及ぼす成分が他に存在しないため、一般式(1)で表される化合物の気液界面における配向を効果的に抑制することができない。このため、優れた消泡性が得られない。また、第1の水溶性有機溶剤が、第1の化合物と第3の化合物を含むが、第2の化合物を含まない場合、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部に対する相互作用の大きさが僅かに異なる化合物が存在しないことになる。このため、消泡性の向上効果が不十分になる場合がある。
第1の水溶性有機溶剤が条件(b)を満たさない場合、一般式(1)で表される化合物と、第1の化合物及び第2の化合物のいずれか一方との相互作用が支配的になる。このため、一般式(1)で表される化合物の気液界面における配向を効果的に抑制することができない。また、第1の水溶性有機溶剤が条件(c)を満たさない場合、気液界面に配向した一般式(1)で表される化合物に対して相互作用する第1の水溶性有機溶剤の量が不十分となる。このため、優れた消泡性を得ることができない。
第1の水溶性有機溶剤について具体例を挙げて説明する。ジエチレングリコール(p=2)、トリエチレングリコール(p=3)、及びテトラエチレングリコール(p=4)が第1の水溶性有機溶剤に含まれる場合を想定する。そして、インク全質量を基準とした、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールの含有量(質量%)を、それぞれ、x1、x2及びx3と仮定する。この場合、x1=1、x2=1、及びx3=8であると、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールの間で条件(a)及び(b)が満たされる。一方、トリエチレングリコールとテトラエチレングリコールの間では、条件(a)は満たされるが条件(b)は満たされない。但し、一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)が1.6以下(すなわちA≦1.6)であると条件(c)が満たされ、優れた消泡性が得られる。
また、x1=1、x2=8、及びx3=1であると、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールの間で条件(a)は満たされるが、条件(b)は満たされない。さらに、トリエチレングリコールとテトラエチレングリコールの間でも条件(a)は満たされるが、条件(b)は満たされない。このため、第1の水溶性有機溶剤は条件(I)を満たなさくなるため、優れた消泡性を得ることができない。
次に、さらに条件(III)を満たす第1の水溶性有機溶剤について具体例を挙げて説明する。x1=1、x2=1、及びx3=4であると、ジエチレングリコールとトリエチレングリコールの間で条件(a)及び(b)が満たされる。さらに、トリエチレングリコールとテトラエチレングリコールの間でも条件(a)及び(b)が満たされる。このとき、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールの間で条件(b)、(g)及び(h)が満たされる。そして、A≦2.0であると条件(i)が満たされるため、優れた消泡性を得ることができる。
第1の水溶性有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、及びポリエチレングリコール600などを挙げることができる。ポリエチレングリコール200に含まれる条件(a)及び(b)を満たす化合物は、一般式(2)中のpが3以上7以下である化合物であり、これらの化合物はポリエチレングリコール200中に約90質量%含まれる。また、ポリエチレングリコール400に含まれる条件(a)及び(b)を満たす化合物は、一般式(2)中のpが6以上11以下である化合物であり、これらの化合物はポリエチレングリコール400中に約90質量%含まれる。さらに、ポリエチレングリコール600に含まれる条件(a)及び(b)を満たす化合物は、一般式(2)中のpが10以上15以下である化合物であり、これらの化合物はポリエチレングリコール600中に約85質量%含まれる。
一般式(2)中のpの値は、例えば、LC/TOF MS分析やHPLCなどの一般的な分析手法により知ることができる。LC/TOF MS分析及びHPLCの具体的な分析条件の一例を以下に示す。
[LC/TOF MS分析]
溶離液:0.1質量%酢酸水溶液−メタノール
イオン化:エレクトロスプレー法(ESI)
[HPLC]
カラム:TSKgel ODS−80Ts(東ソー製)、4.6mmΦ×25cm
移動相:水/アセトニトリル移動相によるグラジエント
検出器:蒸発型光散乱検出器
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
吐出安定性の観点から、インク中の第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、25.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インク中の第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上であることが好ましい。記録される画像の発色性及び耐候性とインクの吐出安定性の観点から、B/Aの値は2.5以上33.3以下であることが好ましく、5.7以上8.0以下であることがさらに好ましい。インクの消泡性をさらに向上させる観点からは、第1の水溶性有機溶剤は第3の化合物を含むことが好ましい。より多くの化合物を含む第1の水溶性有機溶剤を用いると、これらの化合物と一般式(1)で表される化合物との間でより多様な相互作用が生ずる。このため、気液界面における一般式(1)で表される化合物の配向をより効率的に抑制することができる。記録される画像の発色性及び耐候性とインクの吐出安定性の観点から、D/Aの値は2.5以上33.3以下であることが好ましく、5.7以上8.0以下であることがさらに好ましい。
第1の水溶性有機溶剤は、重量平均分子量200以上600以下のポリエチレングリコールであることが好ましい。重量平均分子量200以上600以下のポリエチレングリコールは、一般式(1)で表される化合物の親水部とより効果的に相互作用する。このため、重量平均分子量200以上600以下のポリエチレングリコールを第1の水溶性有機溶剤として用いると、気液界面における一般式(1)で表される化合物の配向をより効率的に抑制してインクの消泡性をさらに向上させることができる。
(第2の水溶性有機溶剤)
第2の水溶性有機溶剤は、一般式(3)で表されるとともに、下記条件(II)を満たす。
Figure 2016094563
(前記一般式(3)中、qは2以上11以下を表す)
<条件(II)>
下記条件(d)、(e)及び(f)を全て満たす。
[条件(d)]:前記第2の水溶性有機溶剤が、前記一般式(3)において、q=tである第4の化合物と、q=t+1である第5の化合物とを含む(但し、2≦t≦10である)。
[条件(e)]:インク全質量を基準とした、前記第4の化合物の含有量Y4(質量%)と、前記第5の化合物の含有量Y5(質量%)とが、0.14≦Y4/Y5≦7.0の関係を満たす。
[条件(f)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第2の水溶性有機溶剤のうち前記条件(e)を満たす化合物の含有量C(質量%)とが、C/A≧1.2の関係を満たす。
また、第2の水溶性有機溶剤は、下記条件(IV)を満たすことが好ましい。
<条件(IV)>
前記条件(e)、並びに下記条件(j)、(k)及び(l)を全て満たす。
[条件(j)]:前記第2の水溶性有機溶剤が、前記一般式(3)において、q=tである第4の化合物と、q=t+1である第5の化合物と、q=t+2である第6の化合物とを含む(但し、2≦t≦9である)。
[条件(k)]:インク全質量を基準とした、前記第5の化合物の含有量Y5(質量%)と、前記第6の化合物の含有量Y6(質量%)とが、0.14≦Y5/Y6≦7.0の関係を満たす。
[条件(l)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第2の水溶性有機溶剤のうち前記条件(e)及び(k)を満たす化合物の含有量E(質量%)とが、E/A≧1.2の関係を満たす。
一般式(1)で表される化合物と、第2の水溶性有機溶剤とを含有させることにより、インクジェット用のインクとして必要な消泡性を得ることができる。一般式(3)中のqが2未満であると分子鎖が短いため、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部の両方に相互作用することが困難になる。一方、一般式(3)中のqが11を超えると分子が大きくなりすぎてしまい、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部に対して適切に相互作用しなくなる。
第2の水溶性有機溶剤が第4の化合物のみを含む場合、一般式(1)で表される化合物の疎水部に対して異なる影響を及ぼす成分が他に存在しないため、一般式(1)で表される化合物の気液界面における配向を効果的に抑制することができない。このため、消泡性が得られない。また、第2の水溶性有機溶剤が、第4の化合物と第6の化合物を含むが、第5の化合物を含まない場合、一般式(1)で表される化合物の親水部と疎水部に対する相互作用の大きさが僅かに異なる化合物が存在しないことになる。このため、消泡性の向上効果が不十分になる。
第2の水溶性有機溶剤が条件(e)を満たさない場合、一般式(1)で表される化合物と、第4の化合物及び第5の化合物のいずれか一方との相互作用が支配的になる。このため、一般式(1)で表される化合物の気液界面における配向を効果的に抑制することができない。また、第2の水溶性有機溶剤が条件(f)を満たさない場合、気液界面に配向した一般式(1)で表される化合物に対して相互作用する第2の水溶性有機溶剤の量が不十分となる。このため、消泡性を得ることができない。
第2の水溶性有機溶剤について具体例を挙げて説明する。ジプロピレングリコール(q=2)、トリプロピレングリコール(q=3)、及びテトラプロピレングリコール(q=4)が第2の水溶性有機溶剤に含まれる場合を想定する。そして、インク全質量を基準とした、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びテトラプロピレングリコールの含有量(質量%)を、それぞれ、y1、y2及びy3と仮定する。この場合、y1=1、y2=1、及びy3=8であると、ジプロピレングリコールとトリプロピレングリコールの間で条件(d)及び(e)が満たされる。一方、トリプロピレングリコールとテトラプロピレングリコールの間では、条件(d)は満たされるが条件(e)は満たされない。但し、一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)が1.6質量%以下(すなわちA≦1.6)であると条件(f)が満たされ、優れた消泡性が得られる。
また、y1=1、y2=8、及びy3=1であると、ジプロピレングリコールとトリプロピレングリコールの間で条件(d)は満たされるが、条件(e)は満たされない。さらに、トリプロピレングリコールとテトラプロピレングリコールの間でも条件(d)は満たされるが、条件(e)は満たされない。このため、第2の水溶性有機溶剤は条件(II)を満たなさくなるため、消泡性を得ることができない。
次に、さらに条件(III)を満たす第2の水溶性有機溶剤について具体例を挙げて説明する。y1=1、y2=1、及びy3=4であると、ジプロピレングリコールとトリプロピレングリコールの間で条件(d)及び(e)が満たされる。さらに、トリプロピレングリコールとテトラプロピレングリコールの間でも条件(d)及び(e)が満たされる。このとき、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びテトラプロピレングリコールの間で条件(e)、(j)及び(k)が満たされる。そして、A≦2.0であると条件(l)が満たされるため、消泡性を得ることができる。
第2の水溶性有機溶剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール400などを挙げることができる。ポリプロピレングリコール400に含まれる条件(d)及び(e)を満たす化合物は、一般式(3)中のqが5以上8以下である化合物であり、これらの化合物はポリプロピレングリコール400中に約90質量%含まれる。
一般式(3)中のqの値は、例えば、LC/TOF MS分析やHPLCなどの一般的な分析手法により知ることができる。LC/TOF MS分析及びHPLCの具体的な分析条件の一例を以下に示す。
[LC/TOF MS分析]
溶離液:0.1質量%酢酸水溶液−メタノール
イオン化:エレクトロスプレー法(ESI)
[HPLC]
カラム:TSKgel ODS−80Ts(東ソー製)、4.6mmΦ×25cm
移動相:水/アセトニトリル移動相によるグラジエント
検出器:蒸発型光散乱検出器
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
吐出安定性の観点から、インク中の第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、25.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インク中の第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上であることが好ましい。記録される画像の発色性及び耐候性とインクの吐出安定性の観点から、C/Aの値は2.5以上33.3以下であることが好ましく、5.7以上8.0以下であることがさらに好ましい。インクの消泡性をさらに向上させる観点からは、第2の水溶性有機溶剤は第6の化合物を含むことが好ましい。より多くの化合物を含む第2の水溶性有機溶剤を用いると、これらの化合物と一般式(1)で表される化合物との間でより多様な相互作用が生ずる。このため、気液界面における一般式(1)で表される化合物の配向をより効率的に抑制することができる。記録される画像の発色性及び耐候性とインクの吐出安定性の観点から、E/Aの値は2.5以上33.3以下であることが好ましく、5.7以上8.0以下であることがさらに好ましい。
第2の水溶性有機溶剤は、重量平均分子量200以上600以下のポリプロピレングリコールであることが好ましい。重量平均分子量200以上600以下のポリプロピレングリコールは、一般式(1)で表される化合物の親水部とより効果的に相互作用する。このため、重量平均分子量200以上600以下のポリプロピレングリコールを第2の水溶性有機溶剤として用いると、気液界面における一般式(1)で表される化合物の配向をより効率的に抑制してインクの消泡性をさらに向上させることができる。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明においては、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクとすることが好ましい。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、さらには15.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。なお、この含有量は、上記で述べた特定の水溶性有機溶剤(第1の水溶性有機溶剤及び第2の水溶性有機溶剤)の含有量を含む値である。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、高いレベルのインクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
(その他のインク)
フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクと、本発明のインクとは別の色相を有するその他のインクとを組み合わせて用いることができる。その他のインクとしては、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、及びブルーインクからなる群より選択される少なくとも一種のインクを挙げることができる。また、これらのインクと実質的に同一の色相を有する、いわゆる淡インクをさらに組み合わせて用いることもできる。その他のインクや淡インクに用いられる色材は、公知の染料であっても、新規に合成された染料であってもよい。
(インクの物性)
本発明のインクの25℃における表面張力は、30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。表面張力が30mN/m未満であると、インクの吐出安定性がやや低下する場合や、記録媒体へのインクの浸透性が高くなり、画像の光学濃度が低下する場合がある。表面張力が40mN/m超であると、他のインクとの間でブリーディングが生じやすくなる場合がある。また、インクジェット方式の記録ヘッドの吐出口から吐出する際に良好な吐出特性が得られるように、インクの粘度を調整することが好ましい。本発明のインクの25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・sであることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<色材の合成>
(化合物A)
特許文献2に記載された方法に準じて、遊離酸型として下記式(A)で表される化合物の、カリウム塩である化合物Aを合成した。
Figure 2016094563
(化合物B)
特許文献2に記載された方法に準じて、遊離酸型として下記式(B)で表される化合物の、カリウム塩である化合物Bを合成した。
Figure 2016094563
<インクの調製>
表1−1〜1−4の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。表1−1〜1−4中の「アセチレノールE60」は、アセチレングリコール系の界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。また、「シリカートンSN−100」は、高級アルコール系ポリエーテルを主成分とした消泡剤(多木化学製)の商品名である。表1−1〜1−4の下段には、各インクの「B/A」、「C/A」、「D/A」及び「E/A」の値、水溶性有機溶剤の重量平均分子量、並びにインクの表面張力(mN/m)を示した。インクの表面張力は、温度25℃で、自動表面張力計(商品名「DY‐300」、協和界面科学製)を用いて測定した。
ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール600、及びポリエチレングリコール1000にそれぞれ含まれる、一般式(2)中のpが2以上15以下であり、かつ、条件(a)及び(b)を満たす化合物は、以下に示す通りである。
・「ポリエチレングリコール200」:一般式(2)中のpが3以上6以下の化合物であり、これらの化合物はポリエチレングリコール200の全質量を基準として約90%含まれる。
・「ポリエチレングリコール600」:一般式(2)中のpが10以上15以下の化合物であり、これらの化合物はポリエチレングリコール600の全質量を基準として約85%含まれる。
・「ポリエチレングリコール1000」:一般式(2)中のpが11以上15以下の化合物であり、これらの化合物はポリエチレングリコール1000の全質量を基準として約5%含まれる。
ポリプロピレングリコール400及びポリプロピレングリコール600にそれぞれ含まれる、一般式(3)中のqが2以上11以下であり、かつ、条件(d)及び(e)を満たす化合物は、以下に示す通りである。
・「ポリプロピレングリコール400」:一般式(3)中のqが5以上8以下の化合物であり、これらの化合物はポリプロピレングリコール400の全質量を基準として約90%含まれる。
・「ポリプロピレングリコール600」:一般式(3)中のqが8以上11以下の化合物であり、これらの化合物はポリプロピレングリコール600の全質量を基準として約85%含まれる。
Figure 2016094563
Figure 2016094563
Figure 2016094563
Figure 2016094563
<評価>
上記で得られた各インクについて、以下に示す評価を行った。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表2に示す。
(消泡性)
温度25℃の環境下で、100mLのメスシリンダー内に30cmの高さから各インク20mLを滴下した。インク20mLを滴下するのに要した時間は12秒であり、1滴当たりの滴下体積は0.20cm3であった。滴下が終了した時点からの経過時間と泡の有無を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって消泡性を評価した。
AA:300秒以下で全ての泡が消えた。
A:300秒を超えて600秒以下で全ての泡が消えた。
B:600秒の時点で一部の泡が残っていたが、液面が見えた。
C:600秒の時点で泡が残っており、液面が見えなかった。
(保存安定性)
先ず、各インクの吸光度を測定した(保存前の吸光度)。次いで、インクをフッ素樹脂製の密閉容器に入れ、温度70℃の環境で1ヶ月間保存した後、同様に吸光度を測定した(保存後の吸光度)。そして、保存前後の吸光度から、吸光度の残存率(%)=(保存後の吸光度/保存前の吸光度)×100を算出し、以下に示す評価基準にしたがって保存安定性を評価した。インクの吸光度(測定波長:430nm)は、分光光度計(商品名「U−3200」、日立製作所製)を使用して測定した。
A:吸光度の残存率が98%以上であった。
B:吸光度の残存率が97%以上98%未満であった。
C:吸光度の残存率が97%未満であった。
(吐出安定性)
各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「BJ F890」、キヤノン製)を改造したものに搭載した。温度15℃、相対湿度10%の環境で、記録ヘッドの吐出口の近傍に存在するインクの温度が上昇しないようにして、5時間以上吐出せずに放置した。記録ヘッドの回復動作などを行った後、電気パルスを付与して、1つの吐出口あたり3.0×108回、インクを吐出させた。次いで、記録媒体(商品名「HR−101」、キヤノン製)にノズルチェックパターンを記録した。得られたノズルチェックパターンを目視で確認して、以下に示す評価基準にしたがって吐出安定性を評価した。
A:ノズルチェックパターンが正常に記録されていた。
B:ノズルチェックパターンに若干の乱れがあったが、インクは吐出されていた。
C:ノズルチェックパターンに大きな乱れがあり、一部の吐出口からインクが吐出されていなかった。
(耐ブリーディング性)
各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP5200R」、キヤノン製)のイエローインクのポジションにセットした。また、シアンインク(商品名「BCI−7e」、キヤノン製)を上記インクジェット記録装置のシアンインクのポジションにセットした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に22ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。そして、得られたインク及びシアンインクを同一の記録パスで吐出し、4パス記録(単位領域の画像の記録を、記録ヘッドの4回の走査により行う方法)で、各インクの記録デューティが100%であるベタ画像が隣接するパターンの画像を記録した。記録媒体としては、商品名「キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]PT101」(キヤノン製)を用いた。得られた記録物を1日間自然乾燥させた後、ベタ画像の境界部を目視で確認して、以下に示す評価基準にしたがって耐ブリーディング性を評価した。
A:境界部に滲みがなかった。
B:境界部にわずかな滲みがあった。
C:境界が不鮮明になっていた。
Figure 2016094563

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含有するインクジェット用のインクであって、
    さらに、下記条件(I)を満たす下記一般式(2)で表される第1の水溶性有機溶剤、及び、下記条件(II)を満たす下記一般式(3)で表される第2の水溶性有機溶剤の少なくとも一方を含有することを特徴とするインク。
    Figure 2016094563
    (前記一般式(1)中、R1は1価の基を表し、R2は−OH又は−NH2を表し、R3はスルホン酸基又はカルボキシ基を表し、nは1又は2を表し、R4は2価の連結基を表す)
    Figure 2016094563
    (前記一般式(2)中、pは2以上15以下を表す)
    <条件(I)>
    下記条件(a)、(b)及び(c)を全て満たす。
    [条件(a)]:前記第1の水溶性有機溶剤が、前記一般式(2)において、p=sである第1の化合物と、p=s+1である第2の化合物とを含む(但し、2≦s≦14である)。
    [条件(b)]:インク全質量を基準とした、前記第1の化合物の含有量X1(質量%)と、前記第2の化合物の含有量X2(質量%)とが、0.14≦X1/X2≦7.0の関係を満たす。
    [条件(c)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第1の水溶性有機溶剤のうち前記条件(b)を満たす化合物の含有量B(質量%)とが、B/A≧1.2の関係を満たす。
    Figure 2016094563
    (前記一般式(3)中、qは2以上11以下を表す)
    <条件(II)>
    下記条件(d)、(e)及び(f)を全て満たす。
    [条件(d)]:前記第2の水溶性有機溶剤が、前記一般式(3)において、q=tである第4の化合物と、q=t+1である第5の化合物とを含む(但し、2≦t≦10である)。
    [条件(e)]:インク全質量を基準とした、前記第4の化合物の含有量Y4(質量%)と、前記第5の化合物の含有量Y5(質量%)とが、0.14≦Y4/Y5≦7.0の関係を満たす。
    [条件(f)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第2の水溶性有機溶剤のうち前記条件(e)を満たす化合物の含有量C(質量%)とが、C/A≧1.2の関係を満たす。
  2. 前記第1の水溶性有機溶剤が、下記条件(III)を満たし、
    前記第2の水溶性有機溶剤が、下記条件(IV)を満たす請求項1に記載のインク。
    <条件(III)>
    前記条件(b)、並びに下記条件(g)、(h)及び(i)を全て満たす。
    [条件(g)]:前記第1の水溶性有機溶剤が、前記一般式(2)において、p=sである第1の化合物と、p=s+1である第2の化合物と、p=s+2である第3の化合物とを含む(但し、2≦s≦13である)。
    [条件(h)]:インク全質量を基準とした、前記第2の化合物の含有量X2(質量%)と、前記第3の化合物の含有量X3(質量%)とが、0.14≦X2/X3≦7.0の関係を満たす。
    [条件(i)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第1の水溶性有機溶剤のうち前記条件(b)及び(h)を満たす化合物の含有量D(質量%)とが、D/A≧1.2の関係を満たす。
    <条件(IV)>
    前記条件(e)、並びに下記条件(j)、(k)及び(l)を全て満たす。
    [条件(j)]:前記第2の水溶性有機溶剤が、前記一般式(3)において、q=tである第4の化合物と、q=t+1である第5の化合物と、q=t+2である第6の化合物とを含む(但し、2≦t≦9である)。
    [条件(k)]:インク全質量を基準とした、前記第5の化合物の含有量Y5(質量%)と、前記第6の化合物の含有量Y6(質量%)とが、0.14≦Y5/Y6≦7.0の関係を満たす。
    [条件(l)]:インク全質量を基準とした、前記一般式(1)で表される化合物の含有量A(質量%)と、前記第2の水溶性有機溶剤のうち前記条件(e)及び(k)を満たす化合物の含有量E(質量%)とが、E/A≧1.2の関係を満たす。
  3. 前記第1の水溶性有機溶剤が、重量平均分子量200以上600以下のポリエチレングリコールであり、
    前記第2の水溶性有機溶剤が、重量平均分子量200以上600以下のポリプロピレングリコールである請求項1又は2に記載のインク。
  4. 表面張力が30mN/m以上40mN/m以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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