<照明システムの全体構成>
図1は実施の形態に係る照明システム1の構成を示す図である。本実施の形態に係る照明システム1は、例えば、オフィスビル、商業ビル等のビルに導入される照明システムである。
図1に示されるように、照明システム1は、複数の照明装置2と、照明装置2に関する設定を行う設定器3と、照明装置2を制御する照明コントローラ4とを備えている。照明システム1が導入されるビルの各フロアの天井には複数の照明装置2が配置されている。照明コントローラ4は、各照明装置2を制御することが可能である。以後、「ビル」と言えば、照明システム1が導入されるビルを意味し、「フロア」と言えば、照明システム1が導入されるビルのフロアを意味する。
照明コントローラ4は、複数のエリアコントローラ5と、それらを制御する統合コントローラ6とを備えている。ビルの各フロアには、少なくとも1つのエリアコントローラ5が配置される。各エリアコントローラ5は、それが配置されたフロアの天井に配置された照明装置2と、例えばIEEE802.15.4に準拠して無線通信を行う。各エリアコントローラ5は、統合コントローラ6による制御によって照明装置2の明るさを制御する。ここで、照明装置2の明るさの制御には、照明装置2を点灯すること及び照明装置2を消灯することも含まれる。また各エリアコントローラ5は、設定器3と無線通信することができる。
本実施の形態では、1つのエリアコントローラ5と複数の照明装置2とで、「PAN(Personal Area Network)」と呼ばれる通信ネットワークが形成される。当該通信ネットワークを単に「エリアネットワーク」と呼ぶ。照明システム1には、エリアコントローラ5の数に応じた複数のエリアネットワークが形成される。各エリアコントローラ5は、自身が属するエリアネットワークに属する各照明装置2を管理する。各エリアコントローラ5は、自身が属するエリアネットワークに属する各照明装置2と通信することは可能であるものの、他のエリアネットワークに属する照明装置2とは通信することができない。1つのエリアネットワークには、例えば、最大で64台の照明装置2を含めることができる。
統合コントローラ6は、照明システム1全体の動作を管理する。統合コントローラ6は、ビル全体を管理するビル管理コントローラ(図示せず)に接続されている。統合コントローラ6は、各エリアコントローラ5と例えば有線通信を行う。統合コントローラ6は、ビル管理コントローラからの指示に応じて各エリアコントローラ5を制御することによって、各照明装置2の明るさを制御することができる。ビル管理コントローラは、例えば、ビルの管理室に配置される。
設定器3は、各照明装置2と通信することが可能であって、照明装置2に関する各種設定を行うことができる。本実施の形態では、設定器3は、例えば携帯型の電子機器であって、ユーザによって所持される。ユーザは、所持した設定器3を操作することによって、当該設定器3に照明装置2に関する各種設定を行わせることができる。
<統合コントローラの構成>
図2は統合コントローラ6の構成を示す図である。統合コントローラ6は、一種のコンピュータ装置であって、図2に示されるように、制御部60と、通信部61,62と、表示部63と、記憶部64とを備えている。統合コントローラ6は、例えば、ビルの管理室に配置される。
通信部61は、各エリアコントローラ5と有線通信を行う。通信部62は、ビル管理コントローラと有線通信を行う。記憶部64は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されている。表示部63は各種情報を表示する。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、通信部61等の他の構成要素を制御することによって、統合コントローラ6全体の動作を管理する。制御部60内のCPUが、記憶部64に記憶されたプログラムを実行することにより、統合コントローラ6の各種機能が実現される。なお、統合コントローラ6は表示部63を備えていなくても良い。
<エリアコントローラの構成>
図3は各エリアコントローラ5の構成を示す図である。各エリアコントローラ5は、一種のコンピュータ装置であって、図3に示されるように、制御部50と、通信部51,52と、記憶部53とを備えている。これらの構成要素は筐体内に収納されている。各エリアコントローラ5は、例えば、フロアの分電盤内に配置される。
通信部51は、アンテナ51aを有している。通信部51は、アンテナ51aを用いて、照明装置2及び設定器3と無線通信を行う。通信部52は、統合コントローラ6と有線通信を行う。記憶部53は、ROM及びRAM等で構成されている。制御部50はCPU等で構成されており、通信部51等の他の構成要素を制御することによって、エリアコントローラ5全体の動作を管理する。制御部50内のCPUが、記憶部53に記憶されたプログラムを実行することにより、エリアコントローラ5の各種機能が実現される。
<照明装置の構成>
図4は各照明装置2の構成を示す図である。図4に示されるように、各照明装置2は、制御部20と、通信部21、記憶部22と、照明器具24とを備えている。各照明装置2は、照明機能を有するとともに、一種のコンピュータ装置として機能する。
通信部21は、アンテナ21aを有している。通信部21は、アンテナ21aを用いて、エリアコントローラ5及び設定器3と無線通信を行う。記憶部22は、ROM及びRAM等で構成されている。照明器具24は、例えば、Hf(High Frequency)蛍光ランプ、LEDランプ等で構成される。制御部20はCPU等で構成されており、通信部21等の他の構成要素を制御することによって、照明装置2全体の動作を管理する。制御部20内のCPUが、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、照明装置2の各種機能が実現される。制御部20は照明器具24の明るさ、つまり照明装置2の明るさを制御する。
<設定器の構成>
図5は設定器3の構成を示す図である。設定器3は、一種のコンピュータ装置であって、図5に示されるように、制御部30と、通信部31と、記憶部32と、タッチパネルディスプレイ35とを備えている。タッチパネルディスプレイ35は、表示部33及び操作部34を備えている。設定器3は、例えば、タブレット型の電子機器である。
通信部31は、アンテナ31aを有している。通信部31は、アンテナ31aを用いて、照明装置2及びエリアコントローラ5と無線通信を行う。表示部33は、例えば液晶表示パネルであって、各種情報を表示する。操作部34は、各種ユーザ操作を受け付ける。操作部34は、例えばタッチパネルである。ユーザが、タッチパネルディスプレイ35を操作すると、操作部34がその操作を検出して受け付ける。以下では、ユーザが自身の指でタッチパネルディスプレイ35を操作する場合について説明するが、ユーザは、自身の指以外の物(例えばペン)でタッチパネルディスプレイ35を操作しても良い。
記憶部32は、ROM及びRAM等で構成されている。記憶部32には、設定器3の動作を制御するための制御プログラム32aが記憶されている。制御部30はCPU等で構成されており、通信部31等の他の構成要素を制御することによって、設定器3全体の動作を管理する。制御部30内のCPUが、記憶部32に記憶された制御プログラム32aを実行することにより、設定器3の各種機能が実現される。
<エリアコントローラと照明装置との通信について>
各エリアネットワークには、「PAN(Personal Area Network) ID(Identifier)」と呼ばれる、エリアネットワークに固有の識別情報が定められる。そして、エリアネットワークを構成する、エリアコントローラ5及び照明装置2等の複数の構成要素のそれぞれには、ショートアドレスと呼ばれる、エリアネットワーク内で構成要素を特定するための識別情報が定められる。
各エリアコントローラ5では、自身が属するエリアネットワークのPAN IDと、自身のショートアドレスと、自身が管理する各照明装置2のショートアドレスとが記憶部53に記憶される。また、照明装置2では、自身が属するエリアネットワークのPAN IDと、自身のショートアドレスと、自身を管理するエリアコントローラ5のショートアドレスとが記憶部22に記憶される。
エリアコントローラ5は、PAN ID及びショートアドレスを用いて、通信先の照明装置2を指定する。具体的には、エリアコントローラ5は、ある照明装置2に所定の情報を送信する際には、当該所定の情報と、記憶するPAN IDと、当該ある照明装置2のショートアドレスとを含む送信信号を制御部50で生成して通信部51から無線送信する。
照明装置2では、通信部21が受信するエリアコントローラ5からの信号に含まれるPAN ID及びショートアドレスと、自身が記憶するPAN ID及び自身のショートアドレスとを制御部20がそれぞれ比較する。制御部20は、エリアコントローラ5からのPAN IDと自身が記憶するPAN IDとが一致し、かつエリアコントローラ5からのショートアドレスと、自身が記憶するショートアドレスとが一致する場合には、エリアコントローラ5からの信号が自身宛ての信号であると判定して、当該信号に含まれる所定の情報に応じた処理を行う。それ以外の場合には、制御部20は、エリアコントローラ5からの信号が自身宛ての信号でないと判定して、当該信号に含まれる所定の情報を破棄する。
同様に、照明装置2は、PAN ID及びショートアドレスを用いて、通信先のエリアコントローラ5を指定する。具体的には、照明装置2は、自身を管理するエリアコントローラ5に対して所定の情報を送信する際には、当該所定の情報と、記憶するPAN IDと、通信先のエリアコントローラ5のショートアドレスとを含む送信信号を制御部20で生成して通信部21から無線送信する。
エリアコントローラ5は、通信部51が受信する照明装置2からの信号に含まれるPAN ID及びショートアドレスと、自身が記憶するPAN ID及び自身のショートアドレスとを制御部50がそれぞれ比較する。制御部50は、照明装置2からのPAN IDと自身が記憶するPAN IDとが一致し、照明装置2からのショートアドレスと自身のショートアドレスとが一致する場合には、照明装置2からの信号が、自分宛ての信号であると判定して、当該信号に含まれる所定の情報に応じた処理を行う。それ以外の場合には、エリアコントローラ5は、照明装置2からの信号が自身宛ての信号でないと判定して、当該信号に含まれる所定の情報を破棄する。
このように、エリアコントローラ5と照明装置2との間でPAN ID及びショートアドレスがやり取りされることによって、各エリアコントローラ5は、自身が属するエリアネットワークの照明装置2だけと通信が可能となる。
また本実施の形態では、エリアコントローラ5と照明装置2との間の無線チャネルとして、複数種類の無線チャネルが定められている。エリアコントローラ5は、複数種類の無線チャネルから、自身が属するエリアネットワークで使用する無線チャネルを決定し、決定した無線チャネルを、自身が属するエリアネットワークの各照明装置2に通知する。照明装置2は、エリアコントローラ5から通知された無線チャネルを用いて無線通信を行う。照明装置2の記憶部22には、当該照明装置2が使用する無線チャネルを示す無線チャネル情報が記憶される。
<照明制御処理>
図6は、照明システム1において照明制御処理が行われる際の当該照明システム1の動作を示すフローチャートである。図6に示されるように、ステップs1において、統合コントローラ6が、ビル管理コントローラから第1照明制御情報を受信すると、ステップs2が実行される。
ここで、ビル管理コントローラは、ビルの各フロアでの人の入退出状況、各フロアの明るさ、各フロアでの消費電力などのビルに関する様々な情報を管理している。ビル管理コントローラは、これらの情報に基づいて、ビル全体での照明制御の内容、つまり、どのフロアのどこの照明装置2をどのように制御するかを決定する。例えば、ビル管理コントローラは、入退出管理システムからの情報等に基づいて、あるフロアに人が全く存在しなくなったと判定すると、そのフロアの照明装置2をすべて消灯することを決定する。またビル管理コントローラは、各フロアに設けられた照度センサーの出力信号等に基づいて、あるフロアに存在するある部屋が明るすぎると判定すると、その部屋の照明装置2の明るさを低減することを決定する。ビル管理コントローラは、照明制御の内容を決定すると、その内容を第1照明制御情報として統合コントローラ6に送信する。統合コントローラ6では、通信部62が第1照明制御情報を受信する。
ステップs2では、統合コントローラ6の制御部60が、通信部62で受信した第1照明制御情報に基づいて、制御対象のエリアコントローラ5を決定する。例えば、第1照明制御情報に、2階のある部屋の照明装置2をすべて消灯することを示す情報が含まれている場合には、制御部60は、当該ある部屋の各照明装置2を特定し、当該各照明装置2を管理するエリアコントローラ5を制御対象として決定する。このとき、一つのエリアコントローラ5が制御対象とされることもあるし、複数のエリアコントローラ5が制御対象とされることもある。制御部60は、通信部61を使用して、制御対象のエリアコントローラ5に対して第2照明制御情報を送信する。第2照明制御情報には、それが送信される制御対象のエリアコントローラ5が行う照明制御の内容、つまり制御対象のエリアコントローラがどの照明装置2をどのように制御するのかが示されている。制御対象のエリアコントローラ5では、通信部52が第2照明制御情報を受信する。
ステップs2が実行されると、ステップs3において、第2照明制御情報を受信したエリアコントローラ5では、制御部50が当該第2照明制御情報に基づいて、制御対象の照明装置2を決定する。このとき、一つの照明装置2が制御対象とされることもあるし、複数の照明装置2が制御対象とされることもある。そして、制御部50は、通信部51を使用して、制御対象の照明装置2に対して第3照明制御情報を送信する。第3照明制御情報には、それが送信される制御対象の照明装置2に対する照明制御の内容(点灯、消灯など)が示されている。制御対象の照明装置2では、通信部21が第3照明制御情報を受信する。
ステップs3が実行されると、ステップs4において、第3照明制御情報を受信した照明装置2では、制御部20が当該第3照明制御情報に基づいて照明器具24の明るさを制御する。例えば、第3照明制御情報が「消灯」を示す場合には、制御部20は照明器具24を消灯する。第3照明制御情報が「点灯」を示す場合には、制御部20は照明器具24を点灯する。第3照明制御情報が「明るさの10%低減」を示す場合には、制御部20は照明器具24の明るさを10%低減する。
以上のように照明システム1が動作することによって、ビル管理コントローラが決定した照明制御内容に従って、ビルでの照明が制御される。
<位置対応関係情報、管理対応関係情報、全体レイアウト情報>
上述のように、統合コントローラ6が、制御対象のエリアコントローラ5を決定し、制御対象のエリアコントローラ5がどの照明装置2をどのように制御するのかを示す第2照明制御情報を生成するためには、統合コントローラ6は、ビルのどこに、どの照明装置2が配置されているのか把握するとともに、各エリアコントローラ5がどの照明装置2を管理するのかを把握する必要がある。
そこで、本実施の形態では、統合コントローラ6の記憶部64には、ビルの各位置と、その位置に存在する照明装置2との対応関係を示す位置対応関係情報と、各エリアコントローラ5と、それが管理する照明装置2との対応関係を示す管理対応関係情報とが記憶されている。
ここで、照明システム1では、複数の照明装置2及び複数のエリアコントローラ5のそれぞれには、装置固有の識別情報である物理アドレスが定められている。各照明装置2及び各エリアコントローラ5は、自身の物理アドレスを記憶している。物理アドレスは、MAC(Media Access Control)アドレスであっても良いし、EUI−64のアドレスであっても良い。
また、統合コントローラ6の記憶部64には、照明システム1が有する全ての照明装置2のレイアウト(以後、「全体レイアウト」と呼ぶ)を示す全体レイアウト情報が記憶されている。全体レイアウト情報には、照明システム1が有する複数の照明装置2の位置をそれぞれ示す複数の照明位置情報が含まれている。この照明位置情報は、全体レイアウト上での照明装置2の位置だけを示しており、照明装置2と紐付けされていない。したがって、照明位置情報だけでは、それが示す位置が、複数の照明装置2のうちのどの照明装置2の位置であるかは特定できない。また全体レイアウト情報には、ビルの各フロアでのエリアコントローラ5、部屋、窓、通路、ドア等の、照明装置2以外のレイアウトを示す情報も含まれている。
統合コントローラ6が記憶する位置対応関係情報では、各照明装置2について、当該照明装置2の物理アドレスと、全体レイアウト情報に含まれる、当該照明装置2の位置を示す照明位置情報とが互いに対応付けられている。具体的には、位置対応関係情報には、各照明装置2について、当該照明装置2の物理アドレスと、全体レイアウト情報に含まれる、当該照明装置2の位置を示す照明位置情報との対応付けを示す位置対応付け情報が含まれている。したがって、統合コントローラ6は、位置対応関係情報を参照することによって、ビルのどこに、どの照明装置2が配置されているのか把握することができる。
また統合コントローラ6が記憶する管理対応関係情報では、各エリアコントローラ5について、当該エリアコントローラ5の物理アドレスと、当該エリアコントローラ5が管理する複数の照明装置2の物理アドレスとが互いに対応付けられている。したがって、統合コントローラ6は、管理対応関係情報を参照することによって、各エリアコントローラ5がどの照明装置2を管理するのかを把握することができる。
統合コントローラ6は、ビル管理コントローラからの第1照明制御情報と位置対応関係情報とに基づいて、制御対象の照明装置2の物理アドレスを特定する。そして、統合コントローラ6は、管理対応関係情報において、制御対象の照明装置2の物理アドレスと対応付けられている物理アドレスを有するエリアコントローラ5を制御対象とする。
<照明装置の設定処理>
ビルに照明システム1が新たに導入される場合や、照明システム1において新しい照明装置2が設置される場合には、照明装置2に関する各種設定を行う必要がある。例えば、照明装置2の物理アドレスと、照明装置2の位置を示す照明位置情報とを対応付けたり、照明装置2に対してPAN IDを割り当てたり、照明装置2にショートアドレスを割り当てたり、照明装置2に使用する無線チャネルを割り当てたりする必要がある。
本実施の形態に係る設定器3は、照明装置2に関する各種設定のうち、例えば、照明装置2の物理アドレスと、照明装置2の位置を示す照明位置情報との対応付けと、照明装置2に対するPAN IDの割り当てとを行う。設定器3は、照明装置2と無線通信することによって、その照明装置2に関する設定を行う。ユーザは、手に持った設定器3を操作することによって、これらの処理を設定器3に実行させることができる。
図7は、ユーザ100が、設定器3を操作して、あるフロア110に存在する部屋120に配置された照明装置2に関する設定を設定器3に実行させる様子の一例を示す図である。部屋120の天井には、例えば、16個の照明装置2が行列状に配置されている。部屋120の壁に設けられた分電盤内には、部屋120内の16個の照明装置2を管理するエリアコントローラ5が設けられている。また部屋120には複数の窓121が設けられている。そして、部屋120には、通路140につながるドア130が設けられている。
ユーザ100は、部屋120に配置された照明装置2に関する設定を設定器3に実行させる際には、設定器3が設定対象の照明装置2と無線通信できるように、設定器3を所持して部屋120内に移動する。そして、ユーザ100は、設定器3を操作して、設定対象の照明装置2と設定器3とを無線通信させて、設定対象の照明装置2に関する設定を設定器3に実行させる。またユーザ100は、設定器3と設定対象の照明装置2との間の距離が大きいために両者が無線通信できない場合には、部屋120内を移動して設定対象の照明装置2に近づき、設定器3が設定対象の照明装置2と無線通信できるようにする。
以下では、図7に示される部屋120に配置された各照明装置2に関する設定が設定器3で実行される場合を例に挙げて、設定器3が照明装置2に関する設定を行う際の照明システム1の動作について説明する。
ユーザは、部屋120内に移動すると、設定器3のタッチパネルディスプレイ35に対して所定の操作を行って、図8に示されるような設定画面200を設定器3に表示させる。ユーザは、タッチパネルディスプレイ35に表示される設定画面200を利用して、設定器3に対して照明装置2に関する設定を実行させる。設定画面200には、レイアウト画面300と、確認画面400と、設定情報入力画面500とが含まれている。
レイアウト画面300には、全体レイアウトの一部を示すレイアウト図310が示される。ユーザは、設定器3のタッチパネルディスプレイ35を操作することによって、全体レイアウトのうちのどの部分のレイアウト図310がレイアウト画面300に示されるかを設定器3に指示することができる。つまり、ユーザは、タッチパネルディスプレイ35を操作することによって、レイアウト画面300に示されるレイアウト図310を指定することができる。本例では、部屋120内の照明装置2に関する設定が行われることから、ユーザによるタッチパネルディスプレイ35の操作によって、図8に示されるレイアウト画面300には、図7に示される部屋120に配置された複数の照明装置2のレイアウトを示すレイアウト図310が示されている。
設定器3の記憶部32には、統合コントローラ6が記憶する全体レイアウト情報と同じ情報が記憶されている。設定器3では、制御部30が記憶部32内の全体レイアウト情報に基づいてレイアウト図310を生成し、それを表示部33に表示させる。
部屋120内の複数の照明装置2のレイアウトを示すレイアウト図310には、当該複数の照明装置2をそれぞれ示す複数の照明装置図320が含まれている。レイアウト図310では、複数の照明装置図320のそれぞれは、当該照明装置図320が示す照明装置2の照明位置情報に応じて配置されている。つまり、レイアウト図310では、複数の照明装置図320のそれぞれは、当該照明装置図320が示す照明装置2のビルでの位置に応じて配置されている。またレイアウト図310には、部屋120を示す図360と、窓121を示す図330と、ドア130を示す図340と、通路140を示す図350と、エリアコントローラ5を示す図370とが含まれている。ユーザは、設定器3に表示されるレイアウト図310を見れば、設定対象の照明装置2が存在する空間のレイアウトを確認することができる。つまり、部屋120内のユーザは、レイアウト図310を見れば、自身が存在する空間のレイアウトを確認することができる。
確認画面400は、照明装置2に関する情報をユーザが確認するための画面である。確認画面400には、一覧表画面410が含まれている。一覧表画面410には、設定器3が複数の照明装置2と通信することによって取得した、当該複数の照明装置2に関する情報の一覧を示す一覧表411が示される。一覧表411には、例えば、照明装置2の物理アドレス、照明装置2が記憶するPAN ID、照明装置2に関する信号強度が示される。
ここで、信号強度とは、照明装置2と設定器3との間の信号強度を意味している。信号強度は、照明装置2が設定器3から受信した受信信号の信号強度であっても良いし、設定器3が照明装置2から受信した受信信号の信号強度であっても良い。ここでは、信号強度は、例えば、照明装置2が設定器3から受信した受信信号の信号強度であるとする。
一覧表411の各欄では、照明装置2の物理アドレスと、当該照明装置2が記憶するPAN IDと、当該照明装置2に関する信号強度とが互いに対応付けられて示される。図8の例では、設定器3は未だ物理アドレス等を取得していないことから、一覧表411の各欄は空欄となっている。
また一覧表画面410には、一覧表411のすべてを同時に一覧表画面410に表示できないときに、一覧表画面410の表示をスクロールするためのスクロールバー412が含まれている。一覧表411のすべてを同時に一覧表画面410に表示できないときに、スクロールバー412には、操作部分であるノブ(「スライダ」とも呼ばれる)が示される。このノブがユーザ操作によって上下に移動することによって、一覧表画面410の表示が上下にスクロールする。なお、図8の例では、一覧表411の各欄が空欄となっているため、スクロールバー412にはノブが示されていない。
また確認画面400には、一覧表411に示される各種情報を設定器3に送信することを照明装置2に要求するための出力要求ボタン420が示されている。ユーザによって出力要求ボタン420を選択する操作が行われると、設定器3では、制御部30が出力要求信号を生成して、通信部31が当該出力要求信号を送信する。出力要求ボタン420を選択する操作としては、例えば、出力要求ボタン420に対するタップ操作が採用される。
照明装置2では、設定器3からの出力要求信号を通信部21が受信すると、制御部20は、記憶部22から物理アドレス及びPAN IDを読み出す。さらに制御部20は、信号強度として、通信部21で受信された出力要求信号のRSSI(Received Signal Strength Indication)を求める。そして、制御部20は、物理アドレス、PAN ID及び信号強度を通信部21に送信させる。
設定器3は、自身が送信した出力要求信号を受信した各照明装置2から、物理アドレス、PAN ID及び信号強度を受信する。設定器3では、制御部30は、通信部31が受信した物理アドレス、PAN ID及び信号強度を記憶部32に記憶するとともに、それらの情報を一覧表画面410の一覧表411に示す。
設定情報入力画面500は、照明装置2に対する設定情報(本実施の形態では、PAN ID)を設定器3に入力するための画面である。設定情報入力画面500には、PAN ID入力画面510が含まれている。ユーザは、PAN ID入力画面510を利用して、照明装置2に設定するPAN IDを設定器3に入力することができる。PAN ID入力画面510には、「PAN ID」という文字列が示される文字列画面511と、ユーザが入力したPAN IDが示される入力ID表示画面512とが含まれる。ユーザが入力ID表示画面512を選択する操作を行うと、例えば、設定情報入力画面500の上に、複数種類のPAN IDの一覧が表示される。ユーザは、その一覧から入力すべきPAN IDを選択する操作を行う。ユーザによって選択されたPAN IDは、入力ID表示画面512に示される。入力ID表示画面512を選択する操作としては、例えば、入力ID表示画面512に対するタップ操作が採用される。また、PAN IDの一覧から入力すべきPAN IDを選択する操作としては、当該PAN IDが表示されている部分に対するタップ操作が採用される。
なお本例では、ユーザが複数種類のPAN IDから、設定器3に入力するPAN IDを選択する操作を、PAN IDの入力操作としたが、ユーザがPAN IDを直接入力する操作を、PAN IDの入力操作としても良い。
また設定情報入力画面500には、ユーザが入力したPAN IDを照明装置2に送信するための送信ボタン520が含まれている。ユーザによって送信ボタン520を選択する操作が行われると、設定器3では、制御部30が、入力ID表示画面512に示されるPAN IDを通信部31に送信させる。送信ボタン520を選択する操作としては、例えば、送信ボタン520に対するタップ操作が採用される。
照明装置2では、制御部20は、通信部21が受信した、設定器3からのPAN IDを記憶部22に記憶する。記憶部22には、照明装置2に対する各種設定情報を記憶する不揮発性の設定レジスタが設けられている。制御部20は、設定器3からのPAN IDを設定レジスタに書き込む。これにより、照明装置2に対してPAN IDが設定される。設定レジスタには、照明装置2に対する他の設定情報、例えば、無線チャネル情報、ショートアドレスなどが記憶されている。
図9,10は、ユーザが設定画面200を利用して照明装置2に関する設定を設定器3に実行させる際の照明システム1の動作を示すフローチャートである。図9,10では、設定器3及び照明装置2の動作が示されている。図9,10に示される一連の処理を「照明装置設定処理」と呼ぶことがある。
図9に示されるように、ステップs11において、設定器3のタッチパネルディスプレイ35(操作部34)が、設定画面200の出力要求ボタン420を選択する操作を受け付けると、ステップs12において、設定器3の通信部31は出力要求信号を送信する。本実施の形態では、例えば通信部31の送信電力は固定である。したがって、出力要求信号の送信電力は変化しない。なお本実施の形態では、各照明装置2の通信部21の送信電力も固定である。
ステップs51において、設定器3が送信する出力要求信号を受信した各照明装置2では、制御部20が、信号強度を求めるとともに、記憶部22の設定レジスタから物理アドレス及びPAN IDを読み出す。そして、ステップs52において、制御部20は、物理アドレス、信号強度及びPAN IDを含む送信信号を生成し、それを通信部21に送信させる。本例では、部屋120内の設定器3の通信エリアは、部屋120内の16個の照明装置2のすべてをカバーできないことから、ステップs12において設定器3から送信された出力要求信号は、部屋120内の16個の照明装置2のうちの一部の照明装置2だけが受信する。
ここで、照明装置2に対してPAN IDが設定されていない場合には、設定レジスタにおける、PAN IDが記憶される領域には初期値が記憶されている。制御部20は、照明装置2に対してPAN IDが設定されていない場合には、この初期値を含む送信信号を通信部21に送信させる。以後、照明装置2が設定器3に通知する物理アドレス、信号強度及びPAN ID(初期値も含む)をまとめて「照明装置情報」と呼ぶことがある。
設定器3では、ステップs13において、通信部31が設定器3の通信エリアに存在する各照明装置2から照明装置情報を含む送信信号を受信すると、制御部30は、ステップs14において、表示部33を制御して、設定画面200の一覧表411を更新し、受信された送信信号に含まれる照明装置情報を一覧表411に示す。
図11に示される設定画面200には、更新後の一覧表411が示されている。図11に示される一覧表411には、設定器3が複数の照明装置2から受信した照明装置情報が示されている。図11の例では、一覧表411の各欄は、物理アドレスの小さいものから順に示されている。図11の例では、PAN IDとして初期値が示されている。図11の例では、一覧表画面410に一覧表411のすべてを同時に表示することができないため、スクロールバー412には、表示スライド用のノブ412aが示されている。
一覧表411が更新された後、ユーザは、タッチパネルディスプレイ35に対して、設定対象の照明装置2を選択する設定対象選択操作を実行する。本実施の形態では、設定対象選択操作は、例えば、一覧表411に含まれる、設定対象の照明装置2に対応する欄(設定対象の照明装置2の照明装置情報が示されている欄)を選択する操作である。一覧表411に含まれる、設定対象の照明装置2に対応する欄を選択する操作としては、例えば、当該欄に対するタップ操作が採用される。
図12は、ユーザが、物理アドレス「12:34:56:78」を有する照明装置2を設定対象として選択する様子が示されている。図12の例では、ユーザが、自身の指101で、物理アドレス「12:34:56:78」を有する照明装置2の照明装置情報が示される欄411aをタップ操作する様子が示されている。本実施の形態では、ユーザが、欄411aのどこをタップ操作したとしても、物理アドレス「12:34:56:78」を有する照明装置2が設定対象とされる。
ステップs21において、タッチパネルディスプレイ35が設定対象選択操作を受け付けると、ステップs22において、制御部30は、設定対象選択操作によって選択された設定対象の照明装置2に対して、その点灯状態を変更することを指示する変更指示信号を生成し、それを通信部31に送信させる。この変更指示信号には、設定対象の照明装置2の物理アドレスが含まれている。
また、タッチパネルディスプレイ35が設定対象選択操作を受け付けると、制御部30は、表示部33を制御して、一覧表411において、設定対象の照明装置2の照明装置情報を示す欄の表示態様が、他の欄の表示態様と異なるようにする。設定対象の照明装置2の照明装置情報を示す欄は、例えば、それ以外の欄よりも明るく表示される。図13は、設定対象の照明装置2の照明装置情報を示す欄411aが、それ以外の欄よりも明るく表示されている様子を模式的に示す図である。図13では、欄411aに斜線を示すことによって、欄411aが、それ以外の欄よりも明るく表示されている様子が模式的に示されている。
照明装置2では、通信部21が変更指示信号を受信すると(ステップs61)、制御部20は、当該変更指示信号に含まれる物理アドレスと、自身の物理アドレスとを比較する。制御部20、両者が一致しないときには、通信部21が受信した変更指示信号は自分宛ての信号ではないと判断して、照明器具24の自身の点灯状態を変更しない。一方で、制御部20、両者が一致するときには、通信部21が受信した変更指示信号は自分宛ての信号であると判断して、照明器具24の点灯状態を変更する(ステップs62)。本実施の形態では、制御部20は、例えば、常時点灯している照明器具24が点滅するように照明器具24を制御する。これより、ユーザによって設定対象として選択された照明装置2だけが点滅するようになる。
ユーザは、設定器3に対して設定対象選択操作を行うと、設定対象の照明装置2の物理アドレスと、全体レイアウト情報における、設定対象の照明装置2の位置(ビルでの位置)を示す照明位置情報(以後、「対象照明位置情報」と呼ぶことがある)との対応付けを設定器3に実行させるために、まず、点滅している設定対象の照明装置2の位置を確認する。そして、ユーザは、その確認結果に基づいて、対象照明位置情報を指定する位置情報指定操作をタッチパネルディスプレイ35に行う。
本実施の形態では、例えば、設定器3での設定画面200に示されるレイアウト図310において、設定対象の照明装置2の位置に対応する位置に示される照明装置図320(以後、「対象照明装置図320」と呼ぶことがある)を選択する装置図選択操作が、位置情報指定操作として採用されている。図14は、装置図選択操作を説明するための図である。
本実施の形態では、例えば、ドラッグアンドドロップと呼ばれる操作に類似した操作が、装置図選択操作に採用されている。ユーザは、装置図選択操作を行う際には、まず、一覧表411において、設定対象の照明装置2についての照明装置情報が示される欄に対して指101を接触させる(タッチ操作)。その後、ユーザは、指101を設定画面200に接触させた状態で、レイアウト図310での対象照明装置図320まで移動させた後(スライド操作後)、指101を対象照明装置図320から離す。これにより、対象照明装置図320が選択され、対象照明位置情報が指定される。つまり、レイアウト図310において、全体レイアウト情報に含まれるある照明位置情報に応じて配置された対象照明装置図320が選択されると、当該ある照明位置情報が対象照明位置情報として指定される。
設定器3では、ステップs31において、タッチパネルディスプレイ35が位置情報指定操作を受け付けると、制御部30は、ステップs32において、設定対象の照明装置2の物理アドレスと、対象照明位置情報とを対応付けて、その対応付けを示す位置対応付け情報を生成して記憶部32に記憶する。また、制御部30は、設定対象の照明装置2の物理アドレスと対象照明位置情報とを対応付けると、表示部33を制御して、対象照明装置図320の表示態様を、他の照明装置図320の表示態様と異なるようにする。例えば、対象照明装置図320は、それ以外の照明装置図320よりも暗く表示される。図15は、対象照明装置図320が、それ以外の照明装置図320よりも暗く表示される様子を模式的に示す図である。図15では、対象照明装置図320に斜線を示すことによって、対象照明装置図320が、それ以外の照明装置図320よりも暗く表示されている様子が模式的に示されている。
このように、本実施の形態では、設定対象の照明装置2の点灯状態が変更されることから、ユーザは、設定対象の照明装置2の実際の位置を特定し易くなる。よって、ユーザは、設定器3を利用して、全体レイアウト情報における、設定対象の照明装置2の位置を示す照明位置情報を指定し易くなる。したがって、設定対象の照明装置2の物理アドレストと、全体レイアウト情報における、設定対象の照明装置2の位置を示す照明位置情報との対応付けミスが発生することを抑制できる。その結果、照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けの作業効率が向上する。
さらに、本実施の形態では、設定器3には、設定対象の照明装置2と設定器3との間の信号強度が表示される。信号強度は、設定器3と設定対象の照明装置2との間の距離に応じて変化することから、ユーザは、設定器3に表示される信号強度を参照することによって、設定対象の照明装置2の位置を特定し易くなる。したがって、設定対象の照明装置2の物理アドレストと、全体レイアウト情報における、設定対象の照明装置2の位置を示す照明位置情報との対応付けミスが発生することをさらに抑制できる。
なお上記の例では、装置図選択操作において、ユーザが、レイアウト図310での対象照明装置図320まで指101を移動させた後、指101を対象照明装置図320から離したときに、対象照明装置図320が選択されるようにしていたが、これに加えて、ユーザが、レイアウト図310において、対象照明装置図320の周辺の領域まで指101を移動させた後、指101を設定画面200から離したときにも、対象照明装置図320が選択されるようにしても良い。これにより、ユーザが対象照明装置図320から少しずれた状態で指101を離した場合にも、対象照明装置図320が選択されることから、設定器3の操作性が向上する。
また上記の例では、ドラッグアンドドロップに類似した操作が、装置図選択操作とされているが、装置図選択操作はこれ以外であっても良い。例えば、対象照明装置図320に対する単なるタップ操作が装置図選択操作とされても良い。この場合には、図14のようなスライド操作が不要となり、装置図選択操作が簡素化され、設定器3の操作性が向上する。
ユーザは、タッチパネルディスプレイ35に対して位置情報指定操作を行った後、PAN ID入力画面510を利用して、PAN IDの入力操作をタッチパネルディスプレイ35に対して行う。具体的には、上述のように、ユーザは、PAN ID入力画面510の入力ID表示画面512を選択する操作を行う。そして、ユーザは、設定情報入力画面500の上に表示された、複数種類のPAN IDの一覧から、入力すべきPAN IDを選択する。
設定器3では、図10に示されるように、ステップs41において、タッチパネルディスプレイ35がPAN IDの入力操作を受け付けると、制御部30は、表示部33に、入力されたPAN IDを入力ID表示画面512に表示させる。図16は、入力されたPAN IDが入力ID表示画面512に表示されている様子を示す図である。
ステップs41の後、タッチパネルディスプレイ35が、ステップs42において、送信ボタン520を選択する操作を検出すると、ステップs43において、制御部30は、入力されたPAN IDと、設定対象の照明装置2の物理アドレスとを含む送信信号を生成し、それを通信部31に送信させる。また、制御部30は、入力されたPAN IDと、設定対象の照明装置2の物理アドレスとを対応付けて、その対応付けを示すID対応付け情報を記憶部32に記憶する。
ステップs71において、設定器3からの送信信号を通信部21で受信した照明装置2では、制御部20が、当該送信信号に含まれる物理アドレスと、自身の物理アドレスとを比較する。制御部20、両者が一致しないときには、通信部21が受信した送信信号は自分宛ての信号ではないと判断して、当該送信信号に含まれるPAN IDを破棄する。一方で、制御部20、両者が一致するときには、通信部21が受信した送信信号は自分宛ての信号であると判断して、照明器具24の点灯状態の変更を解除する(ステップs72)。つまり、設定対象の照明装置2では、制御部20が、照明器具24の点滅状態を解除して、照明器具24を常時点灯させる。制御部20は、照明器具24の点灯状態の変更を解除すると、ステップs73において、通信部21が受信した自分宛ての送信信号に含まれるPAN IDを、記憶部22の設定レジスタに書き込む。これにより、設定対象の照明装置2に対してPAN IDが設定される。
制御部20は、設定レジスタにPAN IDを書き込んだ後、ステップs74において、自装置の物理アドレスを含むACK信号を生成し、それを通信部21に送信させる。このとき、ACK信号には、設定レジスタに書き込まれたPAN IDが含められる。また、制御部20は、通信部21が受信した自分宛ての送信信号のRSSIを求めて、これを信号強度としてACK信号に含める。
設定器3では、ステップs44において、通信部31がACK信号を受信すると、制御部30は、ステップs45において、表示部33を制御して一覧表411を更新し、当該ACK信号に含まれるPAN ID及び信号強度を一覧表411に示す。このとき、制御部30は、一覧表411において、設定済みの設定対象の照明装置2の照明装置情報が示される欄の表示態様が、未設定の照明装置2の照明装置情報が示される欄の表示態様と異なるようにする。以後、設定済みの照明装置2の照明装置情報が示される欄を「設定済み欄」と呼び、未設定の照明装置2の照明装置情報が示される欄を「未設定欄」と呼ぶことがある。
設定済み欄は、例えば、未設定欄よりも暗く表示される。図17には、更新後の一覧表411が示されている。図17では、設定済み欄411aに砂地のハッチングを付することによって、設定済み欄411aが、未設定欄よりも暗く表示されている様子が模式的に示されている。以後、設定済み欄の表示態様を「設定済み表示態様」と呼ぶことがある。
ユーザは、ステップs45において更新された一覧表411の内容を確認して、一覧表411に照明装置情報が示される照明装置2のすべてに関する設定が完了したか否かを判定する。ユーザは、一覧表411に照明装置情報が示される照明装置2のすべてに関する設定が完了していないと判定すると、設定器3のタッチパネルディスプレイ35に対して、新たな設定対象の照明装置2を選択する設定対象選択操作を行う。
図9のステップs21において、タッチパネルディスプレイ35が、新たな設定対象選択操作を受け付けると、制御部30は、設定対象選択操作によって選択された、新たな設定対象の照明装置2に対して、その点灯状態を変更することを指示する変更指示信号を生成して、それを通信部31送信させる(ステップs22)。また、制御部30は、図18に示されるように、表示部33を制御して、一覧表411において、新たな設定対象の照明装置2の照明装置情報を示す欄の表示態様が、他の欄の表示態様と異なるようにする。図18の例では、物理アドレス「12:34:56:79」の照明装置2が新たな設定対象とされている。
以後、同様にして、ステップs61,s62,s31,s32,s41〜s43,s71〜s74,s44,s45が実行される。
ユーザは、ステップs45において更新された一覧表411の内容を確認した結果、一覧表411に照明装置情報が示される照明装置2のすべてに関する設定が完了したと判定すると、ユーザは、設定器3に示されるレイアウト図310を確認して、自身が現在存在する部屋120のすべての照明装置2に関する設定が完了したか否かを判定する。レイアウト図310では、設定済みの照明装置2を示す照明装置図320が、未設定の照明装置2を示す照明装置図320とは異なる態様で表示されることから、ユーザは、レイアウト図310から、自身が現在存在する部屋120のすべての照明装置2に関する設定が完了したか否かを判定することができる。図19は、一覧表411に照明装置情報が示される照明装置2のすべてに関する設定が完了した状態での設定画面200の一例を示す図である。図19の例では、ユーザが存在する部屋120に配置された16個の照明装置2のうち、半分の8個の照明装置2に関する設定が完了している。
ユーザは、自身が現在存在する部屋120のすべての照明装置2に関する設定が完了していないと判定すると、設定器3を所持して部屋120内を移動し、未設定の照明装置2と設定器3との間の距離が小さくなるようにする。そして、ユーザは、タッチパネルディスプレイ35に対して出力要求ボタン420を選択する操作を行う。
ステップs11において、タッチパネルディスプレイ35が、設定画面200の出力要求ボタン420を選択する操作を受け付けると、ステップs12において、通信部31は出力要求信号を送信する。以後、同様にして、ステップs51,s52,s13,s14が実行される。ステップs14において一覧表411が更新されると、一覧表411には、未設定の照明装置2に関する照明装置情報が示される。ここで、すでに設定済みの照明装置2からの照明装置情報が設定器3で受信された場合には、一覧表411での当該照明装置情報を示す欄の表示態様は、設定済み表示態様となる。
ユーザは、ステップs14で更新された一覧表411を確認して、未設定の照明装置2を特定する。そして、ユーザは、未設定の照明装置2を設定対象の照明装置2として選択する設定対象選択操作をタッチパネルディスプレイ35に実行する。ステップs21において、タッチパネルディスプレイ35が新たな設定対象選択操作を受け付けると、ステップs22以降が同様に実行される。
以後、ユーザは、一覧表411及びレイアウト図310を確認しながら設定器3を操作することによって、部屋120に存在するすべての照明装置2に関する設定を設定器3に実行させる。ユーザは、部屋120に存在するすべての照明装置2に関する設定が完了すると、部屋120に存在する各照明装置2を管理するエリアコントローラ5と、設定器3とが通信できるように、当該設定器3を所持して移動する。そして、ユーザは、設定器3を操作して、設定器3に、部屋120に存在する各照明装置2に関するID対応付け情報を、当該照明装置3を管理するエリアコントローラ5に対して送信させる。これにより、部屋120に存在する各照明装置2を管理するエリアコントローラ5は、部屋120に存在する各照明装置2に設定されたPAN IDを知ることができる。よって、当該エリアコントローラ5は、部屋120に存在する各照明装置2と無線通信することが可能となる。
本実施の形態では、設定器3は、統合コントローラ6に有線等で接続されることによって、統合コントローラ6と通信可能となっている。ユーザは、部屋120に存在するすべての照明装置2に関する設定が完了すると、設定器3を統合コントローラ6に接続して、設定器3が統合コントローラ6と通信できるようにする。そして、ユーザは、設定器3を操作して、設定器3に、部屋120に存在する各照明装置2に関する位置対応付け情報を統合コントローラ6に送信させる。統合コントローラ6は、設定器3から受信した位置対応付け情報を記憶部64に記憶して、当該位置対応付け情報を位置対応関係情報に含ませる。
なお、統合コントローラ6ではなくビル管理コントローラが位置対応関係情報を管理する場合には、設定器3が生成した位置対応付け情報は、統合コントローラ6ではなくビル管理コントローラに入力される。このとき、設定器3とビル管理コントローラとを直接接続して、設定器3からビル管理コントローラに位置対応付け情報が入力されて良い。あるいは、設定器3と通信可能なエリアコントローラ5及び統合コントローラ6を介して、設定器3から位置対応付け情報がビル管理コントローラに入力されても良い。
ユーザは、別の部屋の照明装置2に関する設定を設定器3に実行させる際には、設定器3を所持してその部屋に移動する。そして、ユーザは、その部屋内で設定器3を同様に操作することによって、その部屋の各照明装置2に関する設定を設定器3に実行させる。ある部屋の各照明装置2に関する設定が設定器3で実行されると、それによって得られた位置対応付け情報及びID対応付け情報が、統合コントローラ6及び当該照明装置2を管理するエリアコントローラ5にそれぞれ入力される。
本実施の形態に係る照明システム1がビルに導入される場合には、ビルに設けられた各照明装置に関する設定が上記のようにして設定器3で実行される。また、照明システム1が既に導入されているビルにおいて、照明装置2が追加されたり、照明装置2の交換が行われたりする場合には、その新しい照明装置2に関する設定が設定器3で実行される。
なお上記の例では、設定器3は、未設定の照明装置2に関する設定を行っているが、設定済みの照明装置2に関する設定を変更することも可能である。つまり、設定器3は、照明装置2に関する設定の再設定も可能である。上述のステップs21において、タッチパネルディスプレイ35が、設定済みの照明装置2を設定対象として選択する設定対象選択操作を受け付けると、ステップs22において、制御部30は、設定対象選択操作で選択された設定対象の照明装置2に変更指示信号を通信部31に送信させる。以後、ステップs61以降が同様に実行されて、設定対象の照明装置2に関する設定が実行される。つまり、設定済みの照明装置2に関する設定が再設定される。
また、設定器3と照明装置2との間の無線通信で使用される使用無線チャネルを予め定めておいて、使用無線チャネルを示す使用無線チャネル情報を設定器3及び各照明装置2に予め記憶させておいても良い。また設定器3が、照明装置2が使用する無線チャネルが不明である場合には、チャネルスキャンを行って、照明装置2が使用する無線チャネルを特定し、特定した無線チャネルを用いて、照明装置2と無線通信を行っても良い。例えば、設定器3は、上述のステップs12において、各無線チャネルを用いて出力要求信号を送信する。そして、設定器3は、ステップs13において、各無線チャネルを用いて、照明装置2からの、照明装置情報を含む送信信号を受信する。設定器3は、照明装置2から、照明装置情報を含む送信信号を受信した無線チャネルを、照明装置2が使用する無線チャネルとする。
また上記の例では、設定器3からの出力要求信号を受信した照明装置2が、照明装置情報を含む信号を送信しているが、設定器3に出力要求ボタン420を設けずに、つまり設定器3からは出力要求信号を送信することなく、未設定の照明装置2が自ら、照明装置情報を含む信号を間隔を空けて送信しても良い。この場合には、ユーザ操作が簡素化される。
以上のように、設定器3がユーザ操作に応じて照明装置2に関する設定を行うため、照明装置2がユーザによって直接触れられることなく、当該照明装置2に関する設定が実行される。よって、照明装置2に関する設定の作業効率が向上する。また上記のように、照明装置2が天井等に設置された後に、設定器3によって当該照明装置2に関する設定が可能であることから、作業効率がさらに向上する。
これに対して、照明装置2に対して、PAN ID等の設定情報の設定用のディップスイッチを設けることによっても、照明装置2に設定情報を設定することが可能である。この場合には、ユーザは、照明装置2のディップスイッチを直接操作する必要がある。さらにディップスイッチがケース等で覆われている場合には、当該ケース等を外した上でディップスイッチを操作する必要がある。そのため、作業時間が長くなる。特に、ビルへの照明システムの導入時には、非常に多くの照明装置2に対して設定情報を設定する必要があることから、この問題は顕著になる。また、天井に設定された照明装置2の設定情報を変更する場合等においては、ユーザは脚立等に乗った状態で当該照明装置2のディップスイッチを操作する必要があり、作業時間が長くなる。
本実施の形態では、設定器3が使用されることによって、照明装置2がユーザによって直接触れられることなく、当該照明装置2に関する設定が実行されることから、上記のような問題が発生することがなく、作業時間を大幅に短くすることができる。よって、作業コストを大幅に低減することができる。さらに、照明装置2においては、ディップスイッチ及びその周辺の回路等が不要となることから、照明装置2単体の材料コストを低減することができる。
なお、照明装置2に固有の識別情報については、物理アドレス以外であっても良い。また上記の例では、設定器3が照明装置2に設定する設定情報は、PAN IDであったが、他の情報であっても良い。例えば、設定器3が照明装置2に設定する設定情報は、ショートアドレスあるいは無線チャネル情報であっても良い。また、エリアコントローラ5と照明装置2との間の通信が暗号化される場合には、その暗号化で使用される暗号キーが、設定器3が照明装置2に設定する設定情報であっても良い。
また、設定器3が複数種類の設定情報を照明装置2に設定できるようにしても良い。例えば、設定器3がPAN ID及びショートアドレスを照明装置2に設定できるようにしても良いし、PAN ID、ショートアドレス及び無線チャネル情報を照明装置2に設定できるようにしても良い。
また、設定画面200の一覧表411には、物理アドレス、PAN ID及び信号強度以外の情報が示されても良い。例えば、ショートアドレス及び無線チャネル情報の少なくとも一つが一覧表411に示されても良い。また、エリアコントローラ5と照明装置2との間の通信が暗号化される場合には、その暗号化で使用される暗号キーが一覧表411に示されても良い。
また上記の例では、一覧表411に示される信号強度は、照明装置2が設定器3から受信した受信信号の信号強度であったが、設定器3が照明装置2から受信した受信信号の信号強度であっても良い。また、照明装置2が設定器3から受信した受信信号の信号強度と、設定器3が照明装置2から受信した受信信号の信号強度との両方が一覧表411に示されても良い。一覧表411に、設定器3が照明装置2から受信した受信信号の信号強度が示される場合には、設定器3では、制御部30が、ステップs13において通信部31が受信する、照明装置情報を含む送信信号のRSSIを、設定器3が照明装置2から受信した受信信号の信号強度として求める。また、制御部30は、ステップs44で通信部31が受信するACK信号のRSSIを、設定器3が照明装置2から受信した受信信号の信号強度として求める。
また上記の例では、ユーザによって直接入力されたPAN IDが設定対象の照明装置2に設定されているが、設定器3において、PAN ID等の照明装置2に対する設定情報とエリアコントローラ5とを対応付けておいて、ユーザによって、設定対象の照明装置2を管理するエリアコントローラ5が指定されると、指定されたエリアコントローラ5に対応付けられた設定情報が設定対象の照明装置2に設定されても良い。この場合には、例えば、設定情報入力画面500を利用してユーザが番号等でエリアコントローラ5を指定できるように設定器3を構成する。設定器3は、ユーザが指定したエリアコントローラ5に対応付けられている設定情報を設定対象の照明装置2に送信する。これにより、設定対象の照明装置2では、設定器3を利用してユーザが指定したエリアコントローラ5に対応付けられている設定情報が設定される。
<各種変形例>
以下に本実施の形態に係る照明システム1の各種変形について説明する。
<第1変形例(複数の照明装置の同時選択)>
上記の例では、上述のステップs22が実行される前においては、設定対象の照明装置2が一つ選択されていたが、設定対象の照明装置2が複数選択されても良い。例えば、ユーザが、一覧表411に含まれる複数の欄に対して順番にタップ操作を行うと、当該複数の欄にそれぞれ対応する複数の照明装置2が設定対象として選択されても良い。図20は、複数の照明装置2が設定対象として選択されている場合の設定画面200の一例を示す図である。図20の例では、物理アドレス「12:34:56:78」の照明装置2と、物理アドレス「12:34:56:79」の照明装置2と、物理アドレス「12:34:56:7A」の照明装置2と、物理アドレス「12:34:56:7B」の照明装置2と、物理アドレス「12:34:56:7C」の照明装置2とが設定対象として選択されている。
ステップs21において、タッチパネルディスプレイ35が、一覧表411に含まれる複数の欄のそれぞれに対するタップ操作を受け付けると、ステップs22において、設定器3は、設定対象として選択された複数の照明装置2のそれぞれに対して変更指示信号を送信する。これにより、設定対象の複数の照明装置2のそれぞれが点滅するようになる。
ユーザは、複数の照明装置2が設定対象として選択されている場合に、タッチパネルディスプレイ35に対して位置情報指定操作を行う際には、当該複数の照明装置2のそれぞれについて個別に、図14に示されるような、ドラッグアンドドロップに類似した装置図選択操作を行う。設定器3は、設定対象の複数の照明装置2のそれぞれについて、図14に示されるような、ドラッグアンドドロップに類似した装置図選択操作が行われると、当該複数の照明装置2のそれぞれについて、当該照明装置2の物理アドレスと、全体レイアウト情報に含まれる、当該照明装置2の位置を示す照明位置情報との対応付けを行う。複数の照明装置2が設定対象として選択される場合には、当該複数の照明装置2のそれぞれについて個別にステップs31及びs32が実行される。
また、複数の照明装置2が設定対象として選択されている場合に、図10のステップs41において、PAN IDの入力操作がタッチパネルディスプレイ35で受け付けられ、ステップs42において送信ボタン520が選択される操作がタッチパネルディスプレイ35で受け付けられると、設定器3は、ステップs43において、設定対象として選択されている複数の照明装置2のそれぞれに対して、入力されたPAN IDを送信する。これにより、設定対象として選択されている複数の照明装置2のそれぞれに対して、ユーザによって入力された同じPAN IDが設定される。
このように、本変形例では、複数の照明装置2が設定対象として選択されているとき、設定器3の操作部34が設定情報の入力操作を受け付けると、当該複数の照明装置2に対しては共通の設定情報が送信されることから、簡単な操作で、複数の照明装置2に対して同じ設定情報を設定することができる。よって、設定器3の操作性が向上するとともに、複数の照明装置2に対する設定情報の設定に必要な時間が短縮される。
<第2変形例(対応付け確認画面の表示)>
設定器3は、上述のステップs32において、設定対象の照明装置2の物理アドレスと、位置情報指定操作が指定されて照明位置情報とを対応付ける場合には、その対応付けを行って良いか否かをユーザに確認するための対応付け確認画面600を表示しても良い。図21は対応付け確認画面600の一例を示す図である。図21に示される対応付け確認画面600には、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けを行うことを指示するための第1指示ボタン610と、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けを行わないことを指示するための第2指示ボタン620とが含まれている。ユーザが第1指示ボタン610をタップ操作するなどして、ユーザが第1指定ボタン610を選択する操作を行うと、設定器3では、制御部30が、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けを行う。一方で、ユーザが第2指示ボタン620をタップ操作するなどして、ユーザが第2指定ボタン620を選択する操作を行うと、設定器3では、制御部30は、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けを行わない。
このように、本変形例では、対応付け確認画面600が表示されることから、ユーザの操作ミスにより、設定対象の照明装置2の物理アドレスに対して、誤った照明位置情報が対応付けられることを抑制することができる。よって、設定対象の照明装置2の物理アドレストと、全体レイアウト情報における、設定対象の照明装置2の位置を示す照明位置情報との対応付けミスが発生することをさらに抑制できる。
<第3変形例(設定情報入力画面の一時表示)>
上記の例では、設定画面200に設定情報入力画面500が常に示されているが、ステップs31においてタッチパネルディスプレイ35が位置情報指定操作を受け付けたときに設定情報入力画面500が一時的に示されても良い。図22は、タッチパネルディスプレイ35が位置情報指定操作を受け付けたときに設定情報入力画面500が表示される様子を示す図である。
設定器3では、ステップs31において、タッチパネルディスプレイ35が位置情報指定操作(装置図選択操作)を受け付けると、制御部30は、ステップs32において、設定対象の照明装置2の物理アドレスと、当該位置情報指定操作によって指定される照明位置情報とを対応付けるとともに、設定情報入力画面500を表示部33に表示させる。設定器3では、ステップs41においてタッチパネルディスプレイ35がPAN IDの入力操作を受け付け、ステップs42においてタッチパネルディスプレイ35が送信ボタン520の選択操作を受け付けると、制御部30は、ステップs43において、通信部31に、入力されたPAN IDを送信させるとともに、表示部33に、設定情報入力画面500の表示を消去させる。以後、照明システム1は同様に動作する。
このように、本変形例では、設定情報入力画面500が必要なときにだけ表示されることから、設定画面200を有効利用することができる。
<第4変形例(照明位置情報と設定情報との対応付け)>
本変形例では、全体レイアウト情報に含まれる各照明位置情報にPAN IDが予め対応付けられている。そして、位置情報指定操作が行われた際に、当該位置情報指定操作で指定された照明位置情報に対応付けられたPAN IDが設定対象の照明装置2に自動的に送信される。
具体的には、設定器3の記憶部32に記憶される全体レイアウト情報では、各照明位置情報に対してPAN IDが対応付けられている。設定器3では、ステップs31において、タッチパネルディスプレイ35が装置図選択操作を受け付けると、制御部30は、当該装置図選択操作によって選択された照明装置図320に対応する、全体レイアウト情報に含まれる照明位置情報を特定する。そして、制御部30は、特定した照明位置情報と、設定対象の照明装置2の物理アドレスとを対応付けるとともに、特定した照明位置情報に対応付けられているPAN IDを記憶部32から取得する。そして、制御部30は、取得したPAN IDを設定対象の照明装置2に対して通信部31に送信させる。以後、ステップs71以降が同様に実行される。
このように、本変形例では、全体レイアウト情報に含まれる各照明位置情報には、当該照明位置情報に対応する照明装置2に対する設定情報が対応付けられている。そして、操作部34が受け付けた、照明位置情報を指定する位置情報指定操作に応じて、当該照明位置情報に対応付けられた設定情報が設定対象の照明装置2に送信される。したがって、ユーザは、位置情報指定操作を行うだけで、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けと、設定対象の照明装置2に対する設定情報の設定との両方を設定器3に実行させることができる。よって、ユーザ操作が簡素化され、設定器3の操作性が向上する。
<第5変形例(信号強度に基づく一覧表のソート)>
上記の例では、設定画面200に示される一覧表411では、各欄が、物理アドレスの小さいもの順に並んでいたが、図23に示されるように、信号強度が大きいもの順に並んでも良い。つまり、表示部33は、一覧表411に含まれる各欄を、信号強度が大きいもの順に表示しても良い。
ここで、照明装置2がユーザに近いものから順に設定対象とされる場合には、ユーザは設定対象の照明装置2を特定し易くなる。したがって、この場合には、照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けミスの発生を抑制することができる。
本例では、一覧表411の各欄が、信号強度が大きいもの順に並ぶため、ユーザは、自身に近いものから順に照明装置2を設定対象として選択し易くなる。よって、ユーザは、設定対象の照明装置2を特定し易くなり、照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けミスの発生を抑制することができる。
また上記の例のように、一覧表411に含まれる、設定対象の照明装置に対応する欄が選択されることによって、設定対象の照明装置が選択される場合には、ユーザは、一覧表に含まれる各欄を上から順に選択することによって、自身に近いものから順に照明装置2を設定対象として選択することができる。よって、ユーザは、自身に近いものから順に照明装置2を設定対象としてさらに選択し易くなる。その結果、照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けミスの発生をさらに抑制することができる。
<第6変形例(設定対象の照明装置の自動選択)>
上記の例では、ユーザによる設定対象選択操作によって、設定対象の照明装置2が選択されていたが、設定器3が設定対象の照明装置2を順に選択しても良い。この場合には、例えば、ステップs14において一覧表411が更新されると、制御部30は、一覧表411に照明装置情報が示される未設定の照明装置2から、設定対象の照明装置2を選択する。そして、制御部30は、ステップs22を実行して、設定対象の照明装置2に対して変更指示信号を通信部31に送信させる。ステップs61以降が同様に実行された後、ステップs45が実行されて一覧表411が更新されると、制御部30は、一覧表411に照明装置情報が示される未設定の照明装置2から、設定対象の照明装置2を選択する。そして、制御部30は、ステップs22を実行して、設定対象の照明装置2に対して変更指示信号を通信部31に送信させる。以後、一覧表411に照明装置情報が示される照明装置2において、未設定の照明装置2が含まれないようになるまで、制御部30は設定対象の照明装置2を選択する。
このように、本例では、制御部30が、複数の照明装置2から設定対象の照明装置2を順番に選択する選択部として機能する。したがって、設定器3では、設定対象の照明装置2が自動的に順に選択されるようになる。よって、ユーザ操作が簡素化され、設定器3の操作性が向上する。
なお、制御部30は、複数の照明装置2から設定対象の照明装置2を順番に選択する場合には、設定器3との間の信号強度が大きいもの順に複数の照明装置2から設定対象の照明装置2を順番に選択しても良い。この場合には、ユーザに近いものから順に照明装置2が設定対象とされるため、ユーザは設定対象の照明装置2を特定し易くなる。また、この場合には、上記の第5変形例のように、一覧表411の各欄が、信号強度が大きいもの順に並んでも良い。
また、図24に示されるような自動選択ボタン450を設けて、ユーザが当該自動選択ボタン450を選択する操作を行った場合に、制御部30は、複数の照明装置2から設定対象の照明装置2を順番に選択しても良い。この場合には、ユーザは、自動選択ボタン450を選択する操作を行う前は、設定対象選択操作によって、設定対象の照明装置2を選択することができる。ユーザが自動選択ボタン450を選択する操作としては、例えば、自動選択ボタン450に対するタップ操作が採用される。
<第7変形例(未設定台数の表示)>
設定画面200には、一覧表411に照明装置情報が示される複数の照明装置2に含まれる未設定の照明装置2の台数を示す未設定台数情報460が示されても良い。図25は未設定台数情報460の表示例を示す図である。未設定台数情報460は、例えば、ステップs45での一覧表411の更新時に更新される。
このように、設定画面200に未設定台数情報460が示されることによって、未設定の照明装置2に関する設定の漏れが発生することを抑制することができる。
<第8変形例(未設定欄通知マーク)>
一覧表411が大きく、一覧表411のすべてが一覧表画面410に表示されていない場合には、一覧表411に含まれる未設定欄(未設定の照明装置2の照明装置情報が示される欄)が一覧表画面410に表示されていない状況が発生することがある。この場合には、ユーザが未設定の照明装置2の存在に気付かず、未設定の照明装置2に関する設定が行われない可能性がある。
そこで、本変形例では、スクロールバー412において、一覧表画面410に表示されていない未設定欄に対応する部分には、当該未設定欄が存在することをユーザに対して通知するための未設定欄通知マーク412bが示される。図26は未設定欄通知マーク412bの表示例を示す図である。図26に示される例では、未設定欄通知マーク412bは、棒状のマークであり、例えば青色で表示される。未設定欄通知マーク412bは、スクロールバー412において、表示スライド用のノブ412aが示される領域以外の領域に示される。
このように、未設定欄通知マーク412bがスクロールバー412に示されることによって、ユーザが未設定の照明装置2の存在に気付かないことを抑制することができる。よって、未設定の照明装置2に関する設定が行われないことを抑制することができる。
<第9変形例(ユーザの向きの表示)>
本変形例では、設定器3に電子コンパスが搭載されている。設定器3では、制御部30が、電子コンパスの出力信号に基づいて、設定器3を持つユーザの向きを特定する。そして、制御部30は、特定したユーザの向きを示すユーザ向き情報700が示された設定画面200を表示部33に表示させる。
図27はユーザ向き情報700の表示例を示す図である。図27に示されるユーザ向き情報700では、人の図形が使用されてユーザの向きが示されている。なお、ユーザ向き情報700は、ユーザの向きを示す矢印等であっても良い。図27に示されるように、設定画面200には、ユーザ向き情報700とともに、レイアウト図310での方位を示す図形710が示されても良い。図27の例では、設定器3を持つユーザは西側を向いている。
このように、本変形例に係る設定画面200では、レイアウト図310とともにユーザ向き情報700が示されることから、ユーザは設定対象の照明装置2を特定しやすくなる。よって、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けミスが発生することをさらに抑制することができる。
<第10変形例(グループIDの設定)>
本変形例では、エリアコントローラ5が、自身が属するエリアネットワークに属する複数の照明装置2とグループ単位で通信することが可能な場合での照明システム1の動作について説明する。
本変形例では、設定器3が、エリアコントローラ5がグループ単位で照明装置2と通信するために必要なグループIDを照明装置2に設定する。ユーザは設定画面200を使用して照明装置2に対してグループIDを設定器3に設定させることができる。
図28は本変形例に係る設定画面200を示す図である。図28に示されるように、本変形例に係る設定画面200に含まれる設定情報入力画面500には、PAN ID入力画面510と、グループID入力画面530とが含まれている。ユーザは、グループID入力画面530を利用して、照明装置2に設定するグループIDを設定器3に入力することができる。
グループID入力画面530には、「グループID」という文字列が示される文字列画面531と、ユーザが入力したグループIDが示される入力ID表示画面532とが含まれる。ユーザは、入力ID表示画面532を利用してグループIDの入力操作を行う。具体的には、ユーザは、まず、入力ID表示画面532を選択する操作を行う。そうすると、例えば、設定情報入力画面500の上に、複数種類のグループIDの一覧が表示される。ユーザは、その一覧から入力すべきグループIDを選択する操作を行う。ユーザによって選択されたグループIDは、入力ID表示画面532に示される。入力ID表示画面532を選択する操作としては、例えば、入力ID表示画面532に対するタップ操作が採用される。また、グループIDの一覧から入力すべきグループIDを選択する操作としては、当該グループIDが表示されている部分に対するタップ操作が採用される。
一つのエリアネットワークに含まれる各照明装置2は、例えば最大で16グループに属することができる。各照明装置2は、一つのグループに属するだけではなく、複数のグループに属することが可能である。また各照明装置2は、どのグループにも属さないことも可能である。本変形例では、グループIDの種類は“1”〜“16”の16種類定められている。
次に設定器3が照明装置2に対してグループIDを設定する際の本変形例に係る照明システム1の動作について説明する。上述のステップs32が実行された後、ユーザは、タッチパネルディスプレイ35に対して、PAN IDの入力操作を行うとともに、グループIDの入力操作を行う。設定器3では、ステップs41において、タッチパネルディスプレイ35が、PAN IDの入力操作と、グループIDの入力操作とを受け付けると、表示部33は、入力されたPAN IDを入力ID表示画面512に示し、入力されたグループIDを入力ID表示画面532に示す。図29はその様子を示す図である。
ステップs41の後、ステップs42においてタッチパネルディスプレイ35が送信ボタン520の選択操作を受け付けると、制御部30は、ステップs43において、入力されたPAN ID及びグループIDと、設定対象の照明装置2の物理アドレスとを含む送信信号を通信部31に送信させる。また、制御部30は、入力されたPAN IDと設定対象の照明装置2の物理アドレスとを対応付けて、その対応付けを示すID対応付け情報(本変形例では「第1のID対応付け情報」と呼ぶ)を記憶部32に記憶する。さらに、制御部30は、入力されたグループIDと設定対象の照明装置2の物理アドレスとを対応付けて、その対応付けを示す第2のID対応付け情報を記憶部32に記憶する。
ステップs71において、設定器3からの送信信号を通信部21で受信した照明装置2では、制御部20が、当該送信信号に含まれる物理アドレスと、自身の物理アドレスとを比較する。制御部20は、両者が一致しないときには、通信部21が受信した送信信号は自分宛ての信号ではないと判断して、当該送信信号に含まれるPAN ID及びグループIDを破棄する。一方で、制御部20は、両者が一致するときには、通信部21が受信した送信信号は自分宛ての信号であると判断して、照明器具24の点灯状態の変更を解除する(ステップs72)。そして、制御部20は、ステップs73において、通信部21が受信した自分宛ての送信信号に含まれるPAN ID及びグループIDを、記憶部22の設定レジスタに書き込む。これにより、設定対象の照明装置2に対してPAN ID及びグループIDが設定される。その後、ステップs74が実行され、以後同様に照明システム1は動作する。
ユーザは、部屋120に存在するすべての照明装置2に関する設定が完了すると、部屋120に存在する各照明装置2を管理するエリアコントローラ5と、設定器3とが通信できるように、当該設定器3を所持して移動する。そして、ユーザは、設定器3を操作して、設定器3に、部屋120に存在する各照明装置2に関する第1のID対応付け情報を、当該照明装置3を関するエリアコントローラ5に送信させる。これにより、部屋120に存在する各照明装置2を管理するエリアコントローラ5は、部屋120に存在する各照明装置2に設定されたPAN IDを知ることができる。
また、設定器3で生成された第2のID対応付け情報は、設定器3で生成された位置対応付け情報とともに統合コントローラ6に入力される。統合コントローラ6に接続された設定器3に対して所定の操作が行われると、設定器3は、各照明装置2についての第2のID対応付け情報及び位置対応付け情報を統合コントローラ6に送信する。統合コントローラ6は、設定器3から受信した第2のID対応付け情報及び位置対応付けを記憶部64に記憶する。これにより、統合コントローラ6は、各エリアネットワークにおいて、複数の照明装置2がどのようにグループ分けされているかを特定することができる。よって、統合コントローラ6は、エリアコントローラ5に対してグループIDを指定することによって、グループ単位の照明装置2の制御が可能となる。
なお、ビル管理コントローラが位置対応関係情報を管理する場合には、設定器3が生成した位置対応付け情報及び第2のID対応付け情報は、統合コントローラ6ではなくビル管理コントローラに入力される。このとき、設定器3とビル管理コントローラとを直接接続して、設定器3からビル管理コントローラに位置対応付け情報及び第2のID対応付け情報が入力されて良い。あるいは、設定器3と通信可能なエリアコントローラ5及び統合コントローラ6を介して、設定器3から位置対応付け情報及び第2のID対応付け情報がビル管理コントローラに入力されても良い。
各エリアコントローラ5は、自身が属するエリアネットワークでのあるグループの複数の照明装置2に対して所定の情報を送信する際には、当該所定の情報と、当該エリアネットワークのPAN IDと、当該あるグループのグループIDとを含む送信信号を通信部51に送信させる。
照明装置2では、通信部21が受信するエリアコントローラ5からの信号に含まれるPAN ID及びグループIDと、設定レジスタに記憶されるPAN ID及びグループIDとを制御部20がそれぞれ比較する。制御部20は、エリアコントローラ5からのPAN IDと設定レジスタ内のPAN IDとが一致し、かつエリアコントローラ5からのグループIDと、設定レジスタ内のグループIDとが一致する場合には、エリアコントローラ5からの信号が自身宛ての信号であると判定して、当該信号に含まれる所定の情報に応じた処理を行う。それ以外の場合には、制御部20は、エリアコントローラ5からの信号が自身宛ての信号でないと判定して、当該信号に含まれる所定の情報を破棄する。
このように、エリアコントローラ5は、グループIDを使用してグループ単位で照明装置2と通信することができる。
なお、一覧表411の各欄には、それに対応する照明装置2のグループIDが示されても良い。また、第1変形例のように、複数の照明装置2が設定対象として選択されているとき、タッチパネルディスプレイ35がPAN ID及びグループIDの入力操作を受け付けると、当該複数の照明装置2に対して共通のPAN ID及びグループIDが設定されても良い。
また、第3変形例のように、タッチパネルディスプレイ35が位置情報指定操作を受け付けたときに、本変形例に係る設定情報入力画面500が表示されても良い。
また、第4変形例のように、全体レイアウト情報に含まれる各照明位置情報に対して、当該照明位置情報に対応する照明装置2に設定するPAN ID及びグループIDが対応付けられ、タッチパネルディスプレイ35が受け付けた、照明位置情報を指定する位置情報指定操作に応じて、当該照明位置情報に対応付けられたPAN ID及びグループIDが設定対象の照明装置2に設定されても良い。
<第11変形例(エリアコントローラの通信状態確認)>
本変形例では、設定器3を利用した、エリアコントローラ5の通信状態の確認方法について説明する。
本変形例では、図30に示されるように、ユーザ100は、エリアコントローラ5の周辺で設定器3を使用する。つまり、設定器3を所持したユーザ100は、エリアコントローラ5の周辺(近傍)で設定器3を操作する。そして、本変形例では、エリアコントローラ5の送信電力と、設定器3の送信電力とが同一とされている。
エリアコントローラ5の周辺に位置するユーザが、設定器3に表示される設定画面200の出力要求ボタン420を選択する操作をタッチパネルディスプレイ35に対して行うと、照明システム1では、上述のステップs11,s12,s51,s52,s13,14と同様の処理が実行されて、一覧表411が更新される。その結果、上述の図11等に示されるように、一覧表411には、設定器3が通信可能な各照明装置2についての信号強度が示される。ユーザは、一覧表411に示される信号強度に基づいて、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好か否かを判断する。
ここで、本変形例では、設定器3はエリアコントローラ5の周辺で使用され、エリアコントローラ5の送信電力と、設定器3の送信電力とが同一とされている。したがって、設定器3についての照明装置2との間の通信状態は、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態であると見なすことができる。よって、ユーザは、一覧表411に示される信号強度に基づいて、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好か否かを判断することができる。
具体的には、ユーザは、一覧表411に示される各信号強度を確認し、しきい値よりも小さい信号強度が一覧表411に示されている場合には、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好ではないと判断する。この場合には、ユーザは、照明装置2との間の通信状態が良くなるように、エリアコントローラ5の設置場所を変更したり、エリアコントローラ5のアンテナ51aの位置を変更したりする。また、場合によっては、ユーザは、エリアコントローラ5の追加を検討する。一方で、ユーザは、一覧表411に示される各信号強度がしきい値以上の場合には、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好であると判断する。
ユーザは、エリアコントローラ5の設置場所を変更したり、エリアコントローラ5のアンテナ51aの位置を変更したりした場合には、再度、エリアコントローラ5の周辺で設定器3を操作して、設定器3に一覧表411を更新させる。そして、ユーザは、一覧表411に示される各信号強度に基づいて、再度、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好か否かを判断する。
上述のような、エリアコントローラ5の通信状態の確認については、図9,10に示される照明装置設定処理の実行とは別に独立して実行されて良い。例えば、エリアコントローラ5の通信状態の確認は、照明装置設定処理が実行される前に実行されて良い。
また、エリアコントローラ5の通信状態の確認については、照明装置設定処理の実行中に実行されても良い。この場合には、ユーザは、上述のステップs14が実行されて一覧表411が更新された後に、一覧表411に示される信号強度に基づいて、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好か否かを判断する。ユーザは、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好でないと判断すると、エリアコントローラ5の設置場所を変更したり、エリアコントローラ5のアンテナ51aの位置を変更したりする。その後、ユーザは、エリアコントローラ5の周辺で、設定器3の出力要求ボタン420を選択する操作を再度タッチパネルディスプレイ35に対して行う。これにより、照明システム1では、ステップs11以降が実行される。そして、ステップs14が実行されると、ユーザは、再度、一覧表411に示される信号強度に基づいて、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好か否かを判断する。
ユーザは、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好と判断できるまで、エリアコントローラ5の設置場所の変更等と、出力要求ボタン420を選択する操作と、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好か否かの判断とを繰り返す。そして、ユーザは、エリアコントローラ5についての照明装置2との間の通信状態が良好であると判断すると、設定対象選択操作をタッチパネルディスプレイ35に行う。これにより、照明システム1では、上述のステップs21以降が実行され、設定対象の照明装置2に関する設定が行われる。
このように、ユーザは、設定器3を利用して、エリアコントローラ5の通信状態を確認することができることから、エリアコントローラ5を制御することなく、簡単にエリアコントローラ5の通信状態を確認することができる。
なお、しきい値よりも小さい信号強度が一覧表411に示される場合には、表示部33は、設定画面200において、その旨を通知する表示を行っても良い。例えば、一覧表411において、しきい値よりも小さい信号強度が示される欄を赤色で示すなどによって、当該欄の表示態様を、しきい値以上の信号強度が示される欄の表示態様と異なるようにしても良い。
<第12変形例(点灯状態の変更の解除タイミングの変形例その1)>
上記の例では、設定対象の照明装置2は、自分宛てのPAN IDを受信したときに(ステップs71)点灯状態の変更を解除したが(ステップs72)、点灯状態を変更してから(ステップs62)所定時間経過した後に、点灯状態の変更を解除しても良い。例えば、設定対象の照明装置2では、制御部20が、照明器具24の点灯状態の変更からの経過時間を計測し、当該経過時間がしきい値以上となると、照明器具24の点灯状態の変更を解除する。この経過時間は、例えば、ユーザが、設定対象選択操作を行ってから、点灯状態が変更された照明装置2(設定対象の照明装置2)を特定するまでに最低限必要な時間、例えば数秒程度に設定される。
このように、設定対象の照明装置2が、点灯状態を変更してから数秒程度経過した後に点灯状態の変更を解除する場合には、ステップs31が実行される前に、つまりユーザが位置情報指定操作をタッチパネルディスプレイ35に行う前に、設定対象の照明装置2の点灯状態が元に戻ることになる。よって、本変形例では、設定器3が、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報とを対応付ける前に、設定対象の照明装置2の点灯状態が元に戻る。このような場合であっても、ユーザは、設定対象の照明装置2を特定し易くなることから、照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けミスが発生することを抑制することができる。
<第13変形例(点灯状態の変更の解除タイミングの変形例その2)>
本変形例に係る設定器3では、設定対象の照明装置2に対して点灯状態の変更の解除を指示した後に、ユーザからの位置情報指定操作を受け付けるようになっている。
図31は本変形例に係る設定画面200を示す図である。図31に示されるように、本変形例に係る設定画面200に含まれる一覧表画面410には、設定対象の照明装置2に対して、点灯状態の変更の解除を指示するための変更解除ボタン800が示されている。ユーザによって変更解除ボタン800を選択する操作がタッチパネルディスプレイ35に行われると、制御部30は、設定対象の照明装置2に対して点灯状態の変更の解除を指示する変更解除信号を生成して、それを通信部31に送信させる。変更解除ボタン800を選択する操作としては、変更解除ボタン800に対するタップ操作が採用される。
次に本変形例に係る照明システム1の動作について説明する。上述のステップs11〜ステップs62が実行されて、設定対象の照明装置2の点灯状態が変更されると、ユーザは、点灯状態が変更された設定対象の照明装置2(点滅状態の照明装置2)を特定する。その後、ユーザは、変更解除ボタン800を選択する操作をタッチパネルディスプレイ35に行う。設定器3では、タッチパネルディスプレイ35が当該操作を受け付けると、制御部30は、設定対象の物理アドレスを含む変更解除信号を生成して、それを通信部31に送信させる。
設定対象の照明装置2では、制御部20は、通信部21が受信した変更解除信号に含まれる物理アドレスと自身の物理アドレストが一致すると、照明器具24の点灯状態の変更を解除する。その後、上述のステップs31が実行され、タッチパネルディスプレイ35が位置情報指定操作を受け付けると、ステップs32以降が同様に実行される。
本変形例に係る設定器3では、設定対象の照明装置2に対して変更解除信号が送信されるまでは、タッチパネルディスプレイ35は、ユーザの位置情報指定操作を受け付けないようになっている。したがって、本変形例では、上記の第12変形例と同様に、設定器3が、設定対象の照明装置2の物理アドレスと照明位置情報とを対応付ける前に、設定対象の照明装置2の点灯状態が元に戻る。このような場合であっても、ユーザは、設定対象の照明装置2を特定し易くなることから、照明装置2の物理アドレスと照明位置情報との対応付けミスが発生することを抑制することができる。
以上のように、照明システム1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。