JP2016090540A - モータ性能検査装置およびそれを用いた検査方法 - Google Patents

モータ性能検査装置およびそれを用いた検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータ出力軸の嵌合部の種類ごとに必要とされた複数の検査装置を共通化しトルク測定の精度および作業性を向上することができるモータ性能検査装置およびそれを用いた検査方法を提供する。【解決手段】第2ボス16はピン17と緩衝部材18とにより構成されている。第2ハブ7の円盤状のベース部19上側に回転方向に等間隔に配置された4本のピン17が円筒状の緩衝部材18の内部を軸線方向に貫通した状態でベース部19に圧入され、第2ボス16が形成されている。緩衝部材18は、弾性部材により形成され、被測定モータ2側の第1ハブに形成された第1ボス21との間に周方向に所定の隙間25を確保して嵌合し、第1ハブと第2ハブ7とが結合されている。そして、緩衝部材18と第1ボス21との一方の側面同士が回転方向に当接した状態で回転し、緩衝部材18は、衝突による振動を吸収低減し、回転方向の当接により発生する共振を抑制する。【選択図】図2

Description

本発明は、モータトルクを測定するモータ性能検査装置およびそれを用いた検査方法に関するものである。
従来、発生するトルクをステアリング機構に与えて操舵補助を行なう電動パワーステアリング装置(EPS)に使用される永久磁石型のモータは、機械的なリップルや電流リップルによるトルクの脈動が発生することが知られている。このトルクリップルが発生すると、モータの速度変動やロータの軸を伝わる振動、騒音の原因となるとともに車両の操舵フィーリングに悪影響を与える。また、モータの性能検査において、例えば、トルクリップル、ロータを回転駆動するのに必要なトルク(回転速度−トルク特性)や、微小なコギングトルクなどモータの出力トルクを精度良く測定することが必要とされている。通常、モータトルクの測定はモータの回転軸を回転させたときにトルク検出器により検出されるトルク波形を解析することにより行われる。
そして、測定誤差の低減や測定時間の高速化などトルク測定の効率化を図るべく、その測定方法および測定装置に関する種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、カップリングを用いてモータとトルクセンサの軸を接続して微小な誤差の少ないコギングトルクを測定する装置が開示されている。
特開2012−198186号公報
しかしながら、上記のようなEPSの駆動源となるモータは、EPSの方式によって様々なモータ出力軸の結合方法が存在する。例えば、コラムアシストタイプのEPSではモータ軸と減速機構とはカップリングを介して連結されている。また、ラックアシストタイプのEPSではモータ軸と減速機構とはプーリー・ベルト(パラレルタイプ)や、歯車(クロスタイプ)を介して連結されている。このため、モータ単体でモータの性能検査を行なう場合、モータ出力軸の嵌合部に合わせて接続する専用の検査装置が複数台必要となる場合がある。このことから、検査前の検査装置の設置や調整準備に時間を要する。
また、モータ出力軸のトルクが伝達される検査装置側の軸と同軸を保ってモータ出力軸が配置された場合と比較して、検査装置側の軸がモータ出力軸に対して横方向に配置される場合には精度低下など検査性能に影響するとともに設置スペース上も不利になる。さらに、嵌合部での位相合わせが難しく、嵌合部での衝突、当接による振動や、衝撃、サージによるトルク検出器の電気的な破損が発生する場合がある。これらにより、モータトルクの測定誤差の低減、あるいは測定時間の高速化が難しくなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、モータ出力軸の嵌合部の種類ごとに必要とされた複数の検査装置を共通化しトルク測定の精度および作業性を向上することができるモータ性能検査装置およびそれを用いた検査方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ性能検査装置において、被測定モータに負荷トルクを供給する検査モータと、前記被測定モータの回転軸に固定された被嵌合部とトルク伝達可能に嵌合され、前記回転軸と前記検査モータの駆動軸とを同心的に回転可能に結合する嵌合部と、前記嵌合部と前記検査モータとの間に連結され、前記駆動軸の回転により前記回転軸に負荷をかけたときに前記被測定モータが発生する回転トルクを検出するトルク検出器と、前記検査モータを回転制御するとともに、前記トルク検出器からの出力電圧に基づいて前記被測定モータの前記回転トルクを算出する制御装置と、を備え、前記嵌合部は、前記駆動軸側に設けられた円盤状のベース部と、回転方向における前記被嵌合部との間に、前記回転方向に所定の間隔を確保して配置された円筒状の緩衝部材と、前記緩衝部材内を軸線方向に貫通し一端部が前記ベース部に圧入固定されるピンと、を有し、前記緩衝部材と前記ピンからなる複数の嵌合部側ボスが前記ベース部上に周方向に等間隔に配置されたことを要旨とする。
上記構成によれば、モータ性能検査装置の嵌合部にピンと緩衝部材からなる複数の嵌合部側ボスを環状に設けて被測定モータの被嵌合部と嵌合させ、被測定モータの回転軸と検査モータの駆動軸とを同軸上に結合するようにしたので、被嵌合部の形状に関わらず被嵌合部と嵌合部とを軸線方向に結合することができる。これにより、嵌合部を共通化することでモータトルク測定の作業性が向上する。また、被測定モータの出力トルクを同軸方向に伝達することでモータトルクの測定精度を向上させることができる。さらに、嵌合部側ボスに緩衝部材を設置することによりモータ回転時の被測定モータの被嵌合部との回転方向の衝突や当接による振動を吸収低減できる。衝撃やサージ発生によるトルク検出器の電気的な破損を防止することも可能となる。また、嵌合部側ボスと被嵌合部側ボスとの間に隙間を確保することにより、嵌合部と被嵌合部との位相合わせを容易に行なうことができる。これにより、モータトルク測定の精度確保ができるとともに、トルク測定時の作業性がよくなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータ性能検査装置において、前記嵌合部側ボスの前記ピンの本数は、前記回転トルクと、前記嵌合部の回転中心から前記ピンの中心までの距離と、前記ピンに作用するせん断力と、により決定され、前記距離と前記せん断力との積に対する前記回転トルクの比より大きい値に設定されたことを要旨とする。
上記構成によれば、嵌合部側ボスのピンの本数は、被測定モータの発生する回転トルク、嵌合部の回転中心からピン中心までの距離、およびピンに作用するせん断力に対応して決定されるので、適切なピン数の選定により嵌合部の径またはピンの径を小さくして配置することができる。これにより、モータ性能検査装置を小型化、省スペース化することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のモータ性能検査装置を用いた検査方法であって、軸線方向に対向する前記嵌合部と前記被嵌合部とを嵌合させ前記回転軸と前記駆動軸とを同心的に結合する結合工程と、前記検査モータを回転させ前記被測定モータに負荷をかけた状態で前記被測定モータを所定の速度で回転させる回転工程と、前記トルク検出器により検出された前記出力電圧から前記制御装置によって前記被測定モータの発生する前記回転トルクを測定する計測工程と、を備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、嵌合部と被嵌合部とを同軸上に嵌合させた後に、検査モータにより負荷をかけた状態で被測定モータを回転させることにより、モータ出力軸の被嵌合部の形状に関わらず嵌合部を共用して被測定モータの発生する回転トルクを測定することができる。これにより、計測工程では、共通のモータ性能検査装置を使用して精度よく短時間でモータトルクの測定が可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のモータ性能検査装置を用いた検査方法において、前記結合工程では、前記検査モータ側に突出して前記被嵌合部に設けられた複数の被嵌合部側ボスと隣り合う前記嵌合部側ボスの前記緩衝部材との間に前記回転方向に所定の隙間を有して当接可能に嵌合されること要旨とする。
上記構成によれば、被嵌合部の嵌合部側に突出して形成されたボスの側面に嵌合部の緩衝部材の側面が回転方向に隣り合って嵌合することで、被嵌合部側の回転軸と嵌合部側の駆動軸とが軸線方向に結合される。これにより、モータ出力軸に例えばフランジボスを備えた被測定モータ(例えば、コラムアシストタイプのEPS用モータ)のトルク測定が可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のモータ性能検査装置を用いた検査方法において、前記結合工程では、前記検査モータ側に凹んで前記被嵌合部に設けられた複数の溝部の内周面と前記嵌合部側ボスの前記緩衝部材の外周面との間に所定の隙間を有して当接可能に嵌合されることを要旨とする。
上記構成によれば、被嵌合部の嵌合部側に凹んで形成された溝部内に嵌合部の嵌合部側ボスが収容されて嵌合することで、被嵌合部側の回転軸と嵌合部側の駆動軸とが軸線方向に結合される。これにより、モータ出力軸に例えばプーリーや歯車などを備えた被測定モータ(例えば、ラックアシストのパラレルタイプやクロスタイプのEPS用モータ)のトルク測定が可能となる。
本発明によれば、モータ出力軸の嵌合部の種類ごとに必要とされた複数の検査装置を共通化しトルク測定の精度および作業性を向上することができるモータ性能検査装置およびそれを用いた検査方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係るモータ性能検査装置の概略構成を示す図。 図1のモータ性能検査装置の嵌合部の平面図。 同じくモータ性能検査装置の嵌合部の構造を示す断面図。 (a)は、図1の被嵌合部側ボスを有する被測定モータの概略構成を示す側面図、(b)は、被嵌合部を被測定モータの反対側から見た平面図。 (a)は、他の実施例に係るプーリーを有する被測定モータの概略構成を示す側面図、(b)は、被嵌合部を被測定モータの反対側から見た平面図。 (a)は、他の実施例に係る歯車を有する被測定モータの概略構成を示す側面図、(b)は、被嵌合部を被測定モータの反対側から見た平面図。
以下に、本発明の実施形態のモータ性能検査装置について、図に基づいて説明する。なお、以下の説明において、軸線方向とは、モータの軸方向を指す。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ性能検査装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の検査装置の構成は、トルクを測定する被測定モータ2を設置するセッティング部5と、負荷をかけた状態で被測定モータ2の発生する回転トルクを測定するトルク測定部6とからなる。トルク測定部6は、被測定モータ2の回転軸4に負荷トルクを供給する検査モータ13と、カップリング11を介して検査モータ13に連結されたトルク検出器10とにより構成されている。トルク検出器10は、例えば磁歪式トルクセンサが使用される。検査モータ13は永久磁石型のサーボモータが使用される。ここで、被測定モータ2は、例えば車両に搭載され、ステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置や油圧を発生させる電動オイルポンプ装置の駆動源用モータ(例えば、3相のブラシレスモータなど)である。なお、本実施形態のモータ性能検査装置1は、主にトルク性能(例えば、トルクリップル、回転速度−トルク特性など)の測定に使用されるものである。
セッティング部5に取付けられる被測定モータ2の回転軸4先端には、第1ハブ(被嵌合部、例えば、フランジボス)3が取付けられている。この第1ハブ3と回転可能に第2ハブ(嵌合部)7とジョイント8とが連結され、カップリング9が被測定モータ2の回転軸4とトルク検出器10の一方の検出軸(回転側)との接続のため取付けられている。第1ハブ3とこれと同軸上に配置される第2ハブ7とは、互いの凹凸部を形成した第1ボス(被嵌合部側ボス)21と第2ボス(嵌合部側ボス)16とによりトルク伝達可能に嵌合される。トルク検出器10の他方の検出軸(負荷側)は、カップリング11を介して検査モータ13の駆動軸12に連結されている。トルク検出器10は、セッティング部5に対して回転不能に固定配置されている。また、検査モータ13もモータ性能検査装置1に回転不能に設置されている。
トルク検出器10において、両検出軸の間は図示しないトルク伝達軸を通して連結されており、両検出軸の駆動力が伝達されるようになっている。トルク検出器10の検出トルクは、例えばトルク伝達軸の捩れ角から検出コイルの誘起電圧(出力電圧)を通じて求められる。こうして、検出トルクは制御装置(例えば、パソコンなど)14へ出力されて制御回路にて信号処理されることによりトルクが算出され、被測定モータ2の発生する回転トルクを測定することができる。また、制御装置14は検査モータ13の回転制御も行なう。
次に、図2は、図1のモータ性能検査装置1の第2ハブ7の平面図、図3は、同じくモータ性能検査装置1の第2ハブ7の構造を示す断面図である。
図2、図3に示すように、第2ハブ7の第2ボス16がピン17と緩衝部材18とにより構成されている。第2ハブ7下側の円盤状のベース部19に周方向(回転方向)に等間隔に配置された複数(本実施形態では、4本)のピン17が円筒状の緩衝部材18の内部を軸線方向に貫通した状態でベース部19に一端部が圧入固定され、第2ボス16が形成されている。
緩衝部材18は、弾性部材(例えば、ウレタンなど)により形成され、被測定モータ2側の第1ハブ3(図1参照)に形成された第1ボス21との間に回転方向に所定の隙間25を確保して配置され、第1ハブ3と第2ハブ7とが嵌合されている。そして、緩衝部材18と第1ボス21との一方の側面同士が回転方向に当接した状態で回転する。これにより、緩衝部材18は、第1および第2ボス21,16同士の衝突による被測定モータ2の振動を吸収低減し、回転方向の当接により発生する共振を抑制する。
第2ハブ7は、下側円筒部が駆動軸12(図1参照)から延びる軸端部を保持するジョイント8(図1参照)に嵌め合わされる。ベース部19の周方向に設けられ軸線方向に貫通した複数(本実施形態では、4箇所)の取付穴20に図示しない取付ピンが圧入されてジョイント8に固定されている。
また、図2に示す第2ボス16のピン17は、以下の関係を満たすことにより適宜配置することができる。すなわち、周方向に等間隔に配置される第2ボス16のピン17の本数(N)は、第2ハブ7のベース部19の回転中心から各ピン17の中心までの距離(r)と、ピン17に作用するせん断力(F、本実施形態では、嵌合部分において軸線方向に直交する横方向に力が働く)との積に対する被測定モータ2のトルク(Ts、回転トルク)の比より大きい値に設定される必要がある(r×F×N>Ts)。
例えば、第2ハブ7の径が小さい場合、回転中心からピン中心までの距離が短くなるため、ピン17の径を小さくしてできるだけベース部19の外周縁近傍に配置するのが望ましい。また、ピン17の径が小さくなることでせん断力に耐えられないときにはピン17の本数を増加させる。これにより、第2ハブ7の径またはピン17の径を小さくして配置することができる。
次に、上述した第2ハブ7に嵌合する第1ハブ3の構成について説明する。
図4(a)は、図1の第1ハブ3を有する被測定モータ2の概略構成を示す側面図、図4(b)は、第1ハブ3を被測定モータ2の反対側から見た平面図である。
図4(a)に示すように、被測定モータ2の回転軸4に爪状の第1ボス21を有した第1ハブ3が固定されている。図4(b)に示すように、第1ハブ3は外周縁に4箇所の第1ボス21を有しており、第2ハブ7(図2参照)と接続されるとき、回転方向に交互に隣り合って配置される第2ハブ7の第2ボス16との間に所定の隙間25が確保されている。
上記のようなモータ出力軸に第1ボス21が形成された第1ハブ3(例えば、フランジボス)を備えた被測定モータ2として、減速機構と同軸上に結合される、例えばコラムアシストタイプのEPS用モータが使用可能とされる
次に、このモータ性能検査装置1を用いたトルク性能の検査方法について説明する。
まず、トルクを測定する被測定モータ2をモータ性能検査装置1のセッティング部5上部に設置し、被測定モータ2のハウジング部分を取付ける。取付けは種々の簡便で確実な方法(例えば、チャック装置など)によるのが望ましい。
続いて、被測定モータ2の回転軸4を第1ハブ3および第2ハブ7によりカップリング9に接続する(結合工程)。互いに軸線方向に延びる第1ボス21と第2ボス16とが対向し、第1および第2ハブ3,7が嵌合され、被測定モータ2の回転軸4はカップリング9、トルク検出器10、カップリング11を通じて検査モータ13の駆動軸12と同軸上(同心的)に配置され結合される。
次に、制御装置14からの指令により検査モータ13に所定の電圧を印加して、検査モータ13を回転制御する。この負荷をかけた状態で、外部指令により被測定モータ2を所定の回転速度で回転させる(回転工程)。このとき、被測定モータ2は、無負荷時の回転速度(例えば、4000r/min)から減速された低速(例えば、15r/min、このときの出力トルクは、例えば、5Nm)で回転する。
この状態で、回転軸4および駆動軸12に連結されるトルク検出器10の回転側および負荷側の両検出軸もそれぞれ一体に回転する。これにより、検出されたトルク検出器10のトルク信号出力(検出トルク)を制御装置14にて演算処理して被測定モータ2の発生する回転トルクが測定される(計測工程)。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図5(a)は、他の実施例に係るプーリー23を有する被測定モータ2の概略構成を示す側面図、図5(b)は、第1ハブ3を被測定モータ2の反対側から見た平面図である。
図5(a)に示すように、被測定モータ2の回転軸4にプーリー23からなる第1ハブ3が固定されている。図5(b)に示すように、第1ハブ3の第2ハブ7(図2参照)と対向する面の第2ボス16と一致する位置に4箇所の溝部22が形成され、第2ボス16が軸線方向に嵌め込まれる。第1ハブ3は第2ハブ7と嵌合されるとき、第2ボス16外周面と溝部22内周面との間に所定の隙間26が確保されている。そして、緩衝部材18(図2参照)外周面は溝部22内周面に回転方向に当接した状態で回転する。
上記のようなモータ出力軸にプーリー23からなる第1ハブ3を備えた被測定モータ2として、減速機構と軸線方向に対して横位置にプーリーによりベルト結合される、例えばラックアシスト・パラレルタイプのEPS用モータが使用可能とされる。
図6(a)は、他の実施例に係る歯車24を有する被測定モータ2の概略構成を示す側面図、図6(b)は、第1ハブ3を被測定モータ2の反対側から見た平面図である。
図6(a)に示すように、被測定モータ2の回転軸4に歯車24からなる第1ハブ3が固定されている。図5(b)に示すように、第1ハブ3の第2ハブ7(図2参照)と対向する面の第2ボス16と一致する位置に4箇所の溝部22が形成され、第2ボス16が軸線方向に嵌め込まれる。第1ハブ3は第2ハブ7と嵌合されるとき、第2ボス16外周面と溝部22内周面との間に所定の隙間26が確保されている。そして、緩衝部材18(図2参照)外周面は溝部22内周面に回転方向に当接した状態で回転する。
上記のようなモータ出力軸に歯車24からなる第1ハブ3を備えた被測定モータ2として、減速機構と軸線方向に対して横位置に歯車によりギヤ結合される、例えばラックアシスト・クロスタイプのEPS用モータが使用可能とされる。
次に、上記のように構成された本発明の実施形態に係るモータ性能検査装置1の作用および効果について説明する。
上記実施形態によれば、モータ性能検査装置1の第2ハブ(嵌合部)7にピン17と緩衝部材18からなる複数の第2ボス(嵌合部側ボス)16を環状に設け被測定モータ2の第1ハブ(被嵌合部)3と軸線方向に嵌合することで、第1ハブ3の形状に関わらず被測定モータ2の回転軸4と検査モータ13の駆動軸12とを同軸上に結合することができる。また、弾性部材からなる緩衝部材18の設置により、回転時の被測定モータ2の第1ハブ3との回転方向の衝突や当接による振動を吸収低減できる。衝撃やサージ発生によるトルク検出器10の電気的な破損を防止することも可能となる。さらに、第2ボス16と第1ボス(被嵌合部側ボス)21との間に所定の隙間25を確保することにより、第1ハブ3と第2ハブ7との位相合わせを容易に行なうことができる。これにより、第2ハブ7を共通化することでモータトルク測定の作業性が向上する。また、被測定モータ2の発生する回転トルクを同軸方向に伝達することでモータトルクの測定精度を向上させることができる。
また、第2ボス16のピンの本数は、被測定モータ2の発生する回転トルク、第2ハブ7の回転中心からピン17中心までの距離、およびピン17に作用するせん断力に対応して決定されるので、第2ハブ7の径またはピン17の径を小さくして配置することができる。これにより、モータ性能検査装置1を小型化、省スペース化することが可能となる。
さらに、第2ハブ7と第1ハブ3とを嵌合させ回転軸4と駆動軸12とを同軸上に結合させた(結合工程)後に、検査モータ13により負荷をかけた状態で被測定モータ2を回転させる(回転工程)ことにより、モータ出力軸の第1ハブ3の形状に関わらず被測定モータ2の発生する回転トルクを測定する(計測工程)ことができる。これにより、計測工程では、共通のモータ性能検査装置1を使用して精度よく短時間でモータトルクの測定が可能となる。
他の実施形態によれば、結合工程において、第1ハブ3の第2ハブ7側に突出して形成された複数の第1ボス21に第2ハブ7の緩衝部材18が回転方向に隣り合って第2ボス16が嵌合する。これにより、第1ハブ3側の回転軸4と第2ハブ7側の駆動軸12とが軸線方向に結合される。その結果、モータ出力軸に例えばフランジボスを備えた被測定モータ2(例えば、コラムアシストタイプのEPS用モータ)のトルク測定が可能となる。
また、他の実施形態によれば、結合工程において、第1ハブ3の第2ハブ7側に凹んで形成された複数の溝部22内に第2ハブ7の第2ボス16が収容されて嵌合する。これにより、第1ハブ3側の回転軸4と第2ハブ7側の駆動軸12とが軸線方向に結合される。その結果、モータ出力軸にプーリー23や歯車24などを備えた被測定モータ2(例えば、ラックアシストのパラレルタイプやクロスタイプのEPS用モータ)のトルク測定が可能となる。
以上のように、本発明の実施形態によれば、モータ出力軸の嵌合部の種類ごとに必要とされた複数の検査装置を共通化しトルク測定の精度および作業性を向上することができるモータ性能検査装置およびそれを用いた検査方法を提供することができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することも可能である。
上記実施形態では、第2ボス16の緩衝部材18としてウレタンを用いた例を説明したが、これに限定されるものでなく、他の弾性部材、例えばゴムでも適用が可能である。
上記実施形態では、トルクリップルなどのトルク性能を測定する例を説明したが、これに限定されるものでなく、他のトルク測定、例えばトルク検出器10の仕様を一部変更することにより微小(例えば、100mNm)なコギングトルクの測定に用いてもよい。
また、被測定モータ2はモータ単体として説明したが、他の形態、例えば減速機付きモータであってもよい。
上記実施形態において、第2ハブ7の下部とカップリング9との間にばね(例えば、コイルスプリング、図1参照)15を配置して、第2ハブ7が上下できる構造とすることができる。これにより、第1ボス21と第2ボス16との位相が合っていない場合、第2ハブ7が下がった状態で検査モータ13を回転させると、第1ボス21と第2ボス16との位相が合ったときに第2ハブ7を上昇させて嵌合させることが容易に可能になる。この結果、第1および第2ボス21,16間に隙間25を設けることにより作業者の位相合わせを不要とし、作業を自動化することができる。
上記実施形態では、本発明を電動パワーステアリング装置や電動オイルポンプ装置などの駆動源に用いられるモータに具体化したが、これに限定されるものでなく、他の装置の駆動源用モータとして用いてもよい。
1:モータ性能検査装置、2:被測定モータ、3:第1ハブ(被嵌合部)、
4:回転軸、5:セッティング部、6:トルク測定部、7:第2ハブ(嵌合部)、
8:ジョイント,9,11:カップリング、10:トルク検出器、12:駆動軸、
13:検査モータ、14:制御装置、15:ばね、16:第2ボス、17:ピン、
18:緩衝部材、19:ベース部、20:取付穴、21:第1ボス、22:溝部、
23:プーリー、24:歯車、25,26:隙間

Claims (5)

  1. 被測定モータに負荷トルクを供給する検査モータと、
    前記被測定モータの回転軸に固定された被嵌合部とトルク伝達可能に嵌合され、前記回転軸と前記検査モータの駆動軸とを同心的に回転可能に結合する嵌合部と、
    前記嵌合部と前記検査モータとの間に連結され、前記駆動軸の回転により前記回転軸に負荷をかけたときに前記被測定モータが発生する回転トルクを検出するトルク検出器と、
    前記検査モータを回転制御するとともに、前記トルク検出器からの出力電圧に基づいて前記被測定モータの前記回転トルクを算出する制御装置と、を備え、
    前記嵌合部は、前記駆動軸側に設けられた円盤状のベース部と、回転方向における前記被嵌合部との間に、前記回転方向に所定の間隔を確保して配置された円筒状の緩衝部材と、前記緩衝部材内を軸線方向に貫通し一端部が前記ベース部に圧入固定されるピンと、を有し、前記緩衝部材と前記ピンからなる複数の嵌合部側ボスが前記ベース部上に周方向に等間隔に配置されたことを特徴とするモータ性能検査装置。
  2. 請求項1に記載のモータ性能検査装置において、
    前記嵌合部側ボスの前記ピンの本数は、前記回転トルクと、前記嵌合部の回転中心から前記ピンの中心までの距離と、前記ピンに作用するせん断力と、により決定され、前記距離と前記せん断力との積に対する前記回転トルクの比より大きい値に設定されたことを特徴とするモータ性能検査装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のモータ性能検査装置を用いた検査方法であって、
    軸線方向に対向する前記嵌合部と前記被嵌合部とを嵌合させ前記回転軸と前記駆動軸とを同心的に結合する結合工程と、
    前記検査モータを回転させ前記被測定モータに負荷をかけた状態で前記被測定モータを所定の速度で回転させる回転工程と、
    前記トルク検出器により検出された前記出力電圧から前記制御装置によって前記被測定モータの発生する前記回転トルクを測定する計測工程と、を備えたことを特徴とするモータ性能検査装置を用いた検査方法。
  4. 請求項3に記載のモータ性能検査装置を用いた検査方法において、
    前記結合工程では、前記検査モータ側に突出して前記被嵌合部に設けられた複数の被嵌合部側ボスと隣り合う前記嵌合部側ボスの前記緩衝部材との間に前記回転方向に所定の隙間を有して当接可能に嵌合されることを特徴とするモータ性能検査装置を用いた検査方法。
  5. 請求項3に記載のモータ性能検査装置を用いた検査方法において、
    前記結合工程では、前記検査モータ側に凹んで前記被嵌合部に設けられた複数の溝部の内周面と前記嵌合部側ボスの前記緩衝部材の外周面との間に所定の隙間を有して当接可能に嵌合されることを特徴とするモータ性能検査装置を用いた検査方法。
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