JP2016090311A - 測位装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のTDOA方式に基づく測位装置では、複数のアンテナを用いて目標からの信号を受信し、その信号受信時の到来時刻の差を条件式としてガウス・ニュートン法を用いて目標の位置座標を推定する。この際、ガウス・ニュートン法では初期値を設定して収束演算によりその目標の位置座標を推定するが、その初期値の設定は経験則や他の装置またはシステムによる先見情報などに依存している。その結果、従来の測位装置では解が収束せず発散したり局所解に陥り、目標発信器の測位を適切に行えない課題が生じていた。【解決手段】目標からの信号の到来時刻を複数の受信アンテナのそれぞれに対応した信号受信部で算出し、その到来時刻の早い複数個の信号受信部に対応した受信アンテナの位置を表す座標を選択し、その選択された受信アンテナの位置を表す座標を用いて、ガウス・ニュートン法で用いる初期値を設定し、収束演算により目標の位置座標を推定する。【選択図】図1
Description
この発明は、目標からの信号を観測し、目標の位置を推定する測位装置に関するものである。
目標発信器が送出する信号を座標が既知の複数の受信アンテナで受信し、複数の受信アンテナでの信号の到来時間差(TDOA:Time Difference of Arrival)を用いて目標発信器の座標を推定する測位装置が広く知られている。特に、目標の座標の推定にあたっては、ガウス・ニュートン法に基づく非線形最小二乗法演算を行う方式が知られている。
この測位装置として、地表面に存在する(つまりZ座標=0)目標発信器の位置を推定する二次元測位装置、および航空機のような高度を持つ(つまりZ座標≠0)プラットフォームに搭載された目標発信器の位置を推定する三次元測位装置に大別される。具体的な適用例を挙げると、二次元測位装置では不法電波局の監視・測位、三次元測位装置では航空機の航空管制などがある。その他にも、適用環境は多岐に渡るが、多くの測位装置において高い測位精度を得ることが重要となる。
測位装置が測位対象とする目標発信器の監視エリアは、適用例によって異なる。例えば、近距離の場合は、その測位装置を中心とした半径数kmの円内、航空機の航空管制など遠距離の場合には、その測位装置を中心とした半径数十〜100km程度となる。この際、測位装置は目標発信器が監視エリアのどこにいても確実に測位可能であることが求められる。目標発信器が監視エリアに既に存在している場合はもちろん、新たに監視エリアに進入してきた際の初期探知に際しても確実に測位を行うことが重要となる。
従来の測位装置は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1の段落0050から段落0054では、複数の局において検出された目標発信器からの電波の到来時刻の時間差を用いて、TDOA方式に基づき目標発信器の位置の算出する例が記載されている。具体的には、第2の局と目標発信器との距離と、第1の局と目標発信器との距離との差に関する条件式を設定する。同様に、第3の局(または第4の局)と目標発信器との距離と、第1の局と目標発信器との距離との差に関する条件式を設定する。さらに、その条件式から未知の変数である目標発信器の座標をガウス・ニュートン法などの求解法を使用することにより解く。このガウス・ニュートン法は、目標発信器が存在すると思われるもっともらしい座標を初期値として設定し、収束演算により順次誤差を修正して真の解に収束させる方法である。非特許文献1に示されるように、ガウス・ニュートン法は2階微分を必要とせず、真の解の近傍で成り立つ1階微分による近似に基づく求解法である。従って、その初期値を真の解の近傍に設定することが重要となる。
特許文献1(特に、段落0050から0054)では、この初期値設定方法に関して段落0054において「適当な初期値x0およびy0を決定する」と記述されているが、「適当な」に関する詳細な記述は見られない。特許文献2(特に、段落0072)では、ガウス・ニュートン法を用いる場合の座標の初期値の設定に関して、「初期値の設定の仕方としては、例えば、経験則によるか、あるいは地図データベースの地図情報から大まかな位置を設定する、などである」と記載されている。特許文献3(特に、段落0064)では、「本実施形態では、移動局の推定初期位置は、複数の基地局の重心位置であるが、これに限られず複数の基地局から選択された一基地局から所定の範囲内(例えば信頼性の高い基地局から1m以内)の任意の位置であってもよいし、複数の基地局に囲まれた範囲A内の任意の位置であってもよい」と記載されている。
従来の測位装置では、TDOA方式においてガウス・ニュートン法を用いる際に、その座標の初期値の設定は経験則や他の装置またはシステムによる目標発信器の座標に関する事前知識などに依存している。しかし、目標発信器の座標に関する事前知識がまったく無い場合、従来の測位装置は設定する初期値によって目標発信器の測位精度および正しい値に収束する確率は大きな影響を受ける。不適当な初期値が設定されると、前述の収束演算が収束せずに発散したり、真の解(Global Minimum)とは異なる局所解(Local Minimum)に陥り、正しい測位結果が得られない場合も生じる。例えば、特許文献1〜3では、事前知識がまったく無い場合に、設定した初期値により得られる測位成功率、すなわち、解の発散や局所解への陥りが起こらず真の解を導出できる確率がどの程度となるかについては触れられていない。また、TDOA方式においてガウス・ニュートン法を用いる際の優れた初期値の設定法を示した文献は筆者の知る限り見当たらない。このように、従来の測位装置では、目標発信器の座標に関する事前知識が無い場合に、解が収束せずに発散や局所解に陥り、目標発信器の測位を適切に行えない場合がある。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、目標発信器の座標に関する先見知識が得られない状態で、適切な初期値を設定することにより、目標発信器の測位を高精度に行う測位装置を得ることを目的とする。
この発明に係る測位装置は、目標からの信号を受信する複数のアンテナと、前記複数のアンテナのそれぞれで受信された信号の自受信部への到来時刻を算出する複数の信号処理部と、前記複数の信号処理部のそれぞれで算出された到来時刻情報を用いて、前記複数の信号処理部の中の特定の信号処理部で算出された到来時刻情報と該特定の信号処理部以外の信号処理部で算出された到来時刻情報との差である到来時間差を算出するセンター受信部と、前記センター受信部で算出された到来時間差及び、前記複数のアンテナの位置を示す座標及び、初期値を用いて収束演算により前記目標の位置座標を推定する測位演算部と、前記測位演算部で用いられる前記初期値を前記複数の信号処理部で算出された到来時刻情報を用いて設定する初期値算出部と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、目標発信器の座標に関する先見知識が得られない状態であっても適切な初期値を設定することが可能となり、目標発信器の位置に収束する確率が高くなる。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による測位装置1を示す構成図である。図において、1は測位装置、2は測位対象とする目標である目標発信器2、3は目標発信器2が送出する信号である変調信号3、4−1〜4−Nは変調信号3を受信する設置座標が既知のアンテナである受信アンテナ、5−1〜5−Nは信号処理部、6−1〜6−Nは信号処理部5−1〜5−Nが出力する変調信号3を復調して得られるデコードデータd1〜dN、7−1〜7−Nは信号処理部5−1〜5−Nが出力する変調信号3の到来時刻情報t1〜tN、8はセンター受信部、9−1〜9−N-1はセンター受信部8が出力する到来時間差τ1〜τN-1の情報、10は初期値算出部、11は初期値算出部10が出力する初期値、12は測位演算部、13は測位演算部12がガウス・ニュートン法に基づく最小二乗法による収束演算により求解した目標発信器2の推定座標である。ここで、到来時刻情報7−1〜7−Nは信号処理部5−1〜5−Nで変調信号3が受信される受信時刻を表す。到来時間差τ1〜τN-1は特定の信号処理部で算出された到来時刻情報とその特定の信号処理部以外の信号処理部で算出された到来時刻情報との時間差を表す。また、Nは受信アンテナ数を表す。以降の各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による測位装置1を示す構成図である。図において、1は測位装置、2は測位対象とする目標である目標発信器2、3は目標発信器2が送出する信号である変調信号3、4−1〜4−Nは変調信号3を受信する設置座標が既知のアンテナである受信アンテナ、5−1〜5−Nは信号処理部、6−1〜6−Nは信号処理部5−1〜5−Nが出力する変調信号3を復調して得られるデコードデータd1〜dN、7−1〜7−Nは信号処理部5−1〜5−Nが出力する変調信号3の到来時刻情報t1〜tN、8はセンター受信部、9−1〜9−N-1はセンター受信部8が出力する到来時間差τ1〜τN-1の情報、10は初期値算出部、11は初期値算出部10が出力する初期値、12は測位演算部、13は測位演算部12がガウス・ニュートン法に基づく最小二乗法による収束演算により求解した目標発信器2の推定座標である。ここで、到来時刻情報7−1〜7−Nは信号処理部5−1〜5−Nで変調信号3が受信される受信時刻を表す。到来時間差τ1〜τN-1は特定の信号処理部で算出された到来時刻情報とその特定の信号処理部以外の信号処理部で算出された到来時刻情報との時間差を表す。また、Nは受信アンテナ数を表す。以降の各図において、同一符号は同一または相当部分を示す。
図2はこの発明の実施の形態1による測位装置1で用いられる受信アンテナ4−1〜4−Nの地理的な配置の一例を示す図である。図3に示されるように、一般的には、アンテナ4−1〜4−Nは広い範囲に分散されて設置される場合が多く、目標発信器2の周囲に分散的に配置される場合が多い。また、アンテナ4−1〜4−Nと目標発信器2との距離に応じて、アンテナ4−1〜4−Nで受信される変調信号3の時刻はそれぞれ異なる。すなわち、目標発信器2からの変調信号3が到来する時刻が早い受信アンテナほど目標発信器2との距離が近いと言える。図1では測位装置1の装置的な構成を示しているが、実際の受信アンテナ4−1〜4−Nの地理的な配置は図2のようになる場合が多い。
次に、動作について説明する。信号処理部5−1〜5−Nはそれぞれ測位対象とする目標発信器2が送出する変調信号3の受信アンテナ4−1〜4−Nにおける到来時刻情報7−1〜7−N(t1〜tN)を、センター受信部8と初期値算出部10の両方に出力する。初期値算出部10は到来時刻情報7−1〜7−N(t1〜tN)から収束演算の初期値11(x0, y0, z0)を算出し、測位演算部12で行われるガウス・ニュートン法に基づく最小二乗法による収束演算で推定座標13を算出する。このときの初期値算出部10の詳細な構成および動作を次に説明する。
図3は本実施の形態1における初期値算出部10の詳細な構成図である。図3において、14は到来時刻並び換え部、15は座標算出部である。また、図4は初期値算出部10が信号処理部5−1〜5−Nから出力される変調信号3の到来時刻情報(t1〜tN)7−1〜7−Nから初期値11(x0, y0, z0)を算出する手順を示すフローチャートである。
まず、信号処理部5−1〜5−Nが出力する変調信号3の到来時刻情報7−1〜7−N(t1〜tN)は、到来時刻並び換え部14に入力される。到来時刻並び換え部14では総数Nの到来時刻情報7−1〜7−Nを早い順(値が小さい順)に並び換え、その中から上位M個であるti1, ti2,…, tiM (ti1< ti2<…<tiM)を抽出する(ST100)。ここで、Mの値は測位装置1で事前に設定されるパラメータであり、このMの値を用いて到来時刻並び換え部14で並び替えを行う。次に、座標算出部15は早い順に並び換えられた上位M個の到来時刻情報ti1〜tiMに対応する受信アンテナ4i1〜4iMの既知の設置座標をそれぞれ
として抽出する(ST101)。また、抽出したM個の受信アンテナ4i1〜4iMの既知の設置座標から、式(1)に示すように重心座標(xハット, yハット, zハット)を算出する(ST102)。
最後に、座標算出部15は式(1)で算出した重心座標(xハット, yハット, zハット)を初期値11(x0, y0, z0)として測位演算部12に出力する。測位演算部12は、受信アンテナ4−1〜4−Nの既知の設置座標、到来時間差9−1〜9−N-1(τ1〜τN-1)、および初期値11(x0, y0, z0)を用い、前述の特許文献1の段落0050から段落0054で示される手順で目標発信器2の推定位置13(X’、Y’、Z’)を算出する。
として抽出する(ST101)。また、抽出したM個の受信アンテナ4i1〜4iMの既知の設置座標から、式(1)に示すように重心座標(xハット, yハット, zハット)を算出する(ST102)。
最後に、座標算出部15は式(1)で算出した重心座標(xハット, yハット, zハット)を初期値11(x0, y0, z0)として測位演算部12に出力する。測位演算部12は、受信アンテナ4−1〜4−Nの既知の設置座標、到来時間差9−1〜9−N-1(τ1〜τN-1)、および初期値11(x0, y0, z0)を用い、前述の特許文献1の段落0050から段落0054で示される手順で目標発信器2の推定位置13(X’、Y’、Z’)を算出する。
ここで、本発明の実施の形態1による測位装置1において、背景技術で述べたような「収束演算が収束せずに発散したり、真の解(Global Minimum)とは異なる局所解(Local Minimum)に陥ったりと、正しい測位結果が得られない」という問題を緩和できる理由を以下に説明する。
式(2)に到来時間差9−1〜9−N-1(τ1〜τN-1)、既知の受信アンテナ4−1〜4−Nの設置座標(xa, ya, za)〜(xN, yN, zN)、および初期値11(x0, y0, z0)から、測位対象である目標発信器2の座標(X,Y,Z)を推定するための測位方程式を示す。
測位方程式である式(2)は、N-1個の連立方程式となる。しかし、式(2)は非線形方程式であるため、その解を求めるために解が存在すると思われるもっともらしい座標(x0, y0, z0)を初期値として設定し、収束演算により順次誤差を修正して真の解に収束させるガウス・ニュートン法を用いる。ガウス・ニュートン法は、以下に説明する仮定と近似を用いて解を求める。まず、式(2)を目標発信器2の座標(X,Y,Z)の近傍座標(x0, y0, z0)の周りでテーラー展開すると、式(3)のような無限級数として得られる。
式(3)ではテーラー展開による2階偏微分の項まで記載している。前述の特許文献1における段落0050から段落0054に示される手順で目標発信器2の推定位置(X’,Y’,Z’)13を算出するには、目標発信器2の真の座標(X,Y,Z)と座標(x0, y0, z0)が十分近傍であると仮定し、式(3)における2階偏微分以上の項が無視できるほど小さくなり、結局次式(4)のように見なせるという近似を用いる。
式(4)において座標(x0, y0, z0)が収束演算の初期値11になる。式(4)は近似を用いているため、実際の演算には近似誤差が伴う。そのため式(4)の(x0, y0, z0)を更新して収束演算を行い最終推定値(X’,Y’,Z’)を得る。
しかし、背景技術で述べたように、目標発信器2の位置に関する先見情報が得られない状況下では、その初期値11(x0, y0, z0)をどの位置に設定すれば良いか判断できない。特に測位装置1が担当する監視エリアが数十kmのような広大な場合には、初期値11(x0, y0, z0)の設定が適当でないと、式(3)から式(4)への変型で用いた「目標発信器2の真の座標(X,Y,Z)と座標(x0, y0, z0)が十分近傍である」という仮定が成り立たたないことになる。これは式(4)を用いた収束演算に、収束安定性悪化や正しい解へ収束しないという多大な影響を与える。
本発明の実施の形態1は、上記のような問題を克服するために、目標発信器2が送出する変調信号3の各受信アンテナ4−1〜4−Nにおける到来時刻情報(t1〜tN)7−1〜7−Nを用いて、「到来時刻が早い受信アンテナほど目標発信器2との距離が小さい」という幾何学的性質を用いて、式(6)への変型で用いた仮定に近付けることで、収束演算の収束安定性悪化や正しい解へ収束しないという多大な影響を緩和する。つまり、本実施の形態1のように、各受信アンテナ4−1〜4−Nにおける到来時刻情報(t1〜tN)7−1〜7−Nを用いて、測位演算部12における収束演算の初期値11(x0, y0, z0)を算出する。このように初期値11を算出することで、収束演算の収束安定性を向上し、正しい解への収束度を高められるという効果が得られる。
すなわち、本実施の形態では、選択されたアンテナの設置座標を用いて初期値11(x0, y0, z0)を算出することにより、到来時刻が早いアンテナの設置座標を利用して、目標発信器2に近い座標を初期値11として設定することができる。また、初期値11(x0, y0, z0)を選択されたアンテナの設置座標の重心として算出することにより、目標発信器2に近いアンテナの設置座標の平均的な位置を初期値11として設定することができる。一般的には、アンテナは広い範囲に分散されて設置される場合が多く、選択されるアンテナは目標発信器2から見て、さまざまな方向に位置する。このようなさまざまな方向に位置するアンテナの設置座標の重心を用いることにより、目標発信器2に近い位置を初期値11として設定することができる。
このように、本実施の形態の測位装置1は、目標からの信号である変調信号3を受信する複数の受信アンテナ4−1〜4−Nと、複数の受信アンテナ4−1〜4−Nのそれぞれで受信された信号の自信号処理部への到来時刻を算出する複数の信号処理部5−1〜5−Nと、複数の信号処理部5−1〜5−Nのそれぞれで算出された到来時刻情報7−1〜7−Nを用いて、複数の信号処理部5−1〜5−Nの中の特定の信号処理部で算出された到来時刻情報とその特定の信号処理部以外の信号処理部で算出された到来時刻情報との差である到来時間差を算出するセンター受信部8と、センター受信部8で算出された到来時間差及び、複数のアンテナの位置を示す座標及び、初期値11を用いて収束演算により目標の位置座標を推定する測位演算部12と、測位演算部12で用いられる初期値11を複数の信号処理部5−1〜5−Nで算出された到来時刻情報7−1〜7−Nを用いて算出する初期値算出部10と、を備えたことを特徴とする。このような構成により、到来時刻情報7−1〜7−Nが早いアンテナの設置座標を利用して、目標発信器2に近い座標を初期値11として設定することができる。また、目標発信器2の座標に関する先見知識が得られない状態であっても適切な初期値11を設定することが可能となり、目標発信器2の位置に収束する確率が高くなる。
また、本実施の形態の測位装置1における初期値算出部10は、複数の信号処理部5−1〜5−Nで算出された到来時刻情報7−1〜7−Nを到来時刻の早い順に並び換える並び換え部14と、並び換え部14で並び換えられた到来時刻情報7−1〜7−Nを到来時刻の早い順に複数抽出し、この抽出された複数の到来時刻情報7−1〜7−Nのそれぞれが算出された信号処理部5−1〜5−Nに対応するアンテナの位置を示す座標を用いて測位演算部12で用いられる初期値11を算出する座標算出部である座標算出部15と、を備えたことを特徴とする。このような構成により、到来時刻が早い上位の複数個のアンテナの設置座標を利用し、初期値11の設定に有効なアンテナを選択して目標発信器2に近い座標を初期値11として設定することができる。
また、本実施の形態の測位装置1における初期値算出部10において、座標算出部である座標算出部15で算出される初期値11は、抽出された複数の到来時刻情報7−1〜7−Nのそれぞれが算出された信号処理部5−1〜5−Nに対応するアンテナの位置を示す座標の重心座標であることを特徴とする。このような構成により、さまざまな方向に位置するアンテナの設置座標の重心を用いて、目標発信器2に近い位置を初期値11として設定することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では初期値11に基づき1回の収束演算を行う場合を扱ったのに対し、実施の形態2では、2回以上の収束演算を行う場合の初期値11を算出する場合を扱う。
実施の形態1では初期値11に基づき1回の収束演算を行う場合を扱ったのに対し、実施の形態2では、2回以上の収束演算を行う場合の初期値11を算出する場合を扱う。
図5は本発明の実施の形態2の測位装置1の構成を示す図である。図5は実施の形態1の構成を示す図1に、推定座標格納部16を新たに加えたもので、その他の構成は図1と同じである。
次に動作について説明する。実施の形態1の初期値算出部10では、測位対象である目標発信器2が送出する変調信号3の各受信アンテナ4−1〜4−Nにおける到来時刻情報(t1〜tN)7−1〜7−Nを、到来時刻並び換え部14で到来時刻情報(t1〜tN)7−1〜7−Nが小さい順に並び換え、その上位M個に相当する受信アンテナの重心座標(xハット, yハット, zハット)を初期値11(x0, y0, z0)として測位演算部12へ出力するように構成した。測位演算部12ではこの初期値11(x0, y0, z0)を用いて収束演算を実施し目標発信器2の推定座標13(X’、Y’、Z’)を得る。
本発明の実施の形態2では、この到来時刻情報(t1〜tN)7−1〜7−Nの観測と目標発信器2の目標推定座標13(X’、Y’、Z’)の導出を1回の信号処理周期と見なし、時系列に複数回の信号処理周期を繰り返す場合を扱う。推定座標格納部16はこの時系列に沿った目標発信器2の推定座標13(X’、Y’、Z’)を逐次記憶する。図6に実施の形態2における初期値算出部10の詳細な構成図を示す。図6に示す初期値算出部10の詳細な構成図は、実施の形態1の初期値算出部10の詳細構成を示した図3に、あらたに初期値選択部17を加えたものとなっている。
この初期値選択部17の動作手順を示すフローチャートを図7に示す。まず、初期値算出部10は信号処理周期Tの値をカウントし、その値を保持する。初期値選択部17は信号処理周期Tの値によって、今回座標算出部15で算出された重心座標(xハット(T)、yハット(T)、zハット(T))と、前回の信号処理周期(T-1)において測位演算部12により得られた目標発信器2の推定座標13を(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))のどちらを今回の信号処理周期Tの初期値11(x0(T),y0(T),z0(T))として用いるかを選択する(ST110)。具体的には、初回の信号処理周期(T=1)では実施の形態1に示したように重心座標(xハット(1)、yハット(1)、zハット(1))を初期値11(x0(1),y0(1),z0(1))として用いる(ST111)。また、次の信号観測周期(T=2)では、前回の目標発信器2の推定座標13(X’(1), Y’(1), Z’(1))を今回の収束演算の初期値11(x0(2),y0(2),z0(2))に設定する(ST112)。
このような処理により、初回の信号処理周期(T=1)では重心座標を用いることにより、収束演算の収束安定性が向上し、正しい解への収束度が高められる。また、信頼度の高い推定座標13(X’(1), Y’(1), Z’(1))を得ることができる。また、次の信号観測周期(T=2)では、信頼度の高い推定座標13(X’(1), Y’(1), Z’(1))を初期値11(x0(2),y0(2),z0(2))として使用しても用いることにより、さらに信頼度の高い収束演算を行うことが可能となる。
以上のように構成したので、時系列で得られる推定座標13(X’(T), Y’(T), Z’(T))に滑らかな連続性が得られ、目標発信器2の座標に関する追尾性能が向上するという効果が得られる。
このように、本実施の形態の測位装置1は、測位演算部12により推定された目標の推定座標13を格納する推定座標格納部16を備え、初期値算出部10は推定座標格納部16に格納された目標の推定座標13を用いて測位演算部12で次回の処理に用いられる初期値11を算出することを特徴とする。このような処理により、収束演算の収束安定性が向上し、信頼度の高い収束演算を行うことが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態2では、2回以上の収束演算を行う場合に目標発信器2の推定座標13を初期値11として算出したのに対し、実施の形態3では推定座標13の信頼性に基づき初期値11としてその推定座標13又は重心座標のいずれか一方を算出する構成を示す。
実施の形態2では、2回以上の収束演算を行う場合に目標発信器2の推定座標13を初期値11として算出したのに対し、実施の形態3では推定座標13の信頼性に基づき初期値11としてその推定座標13又は重心座標のいずれか一方を算出する構成を示す。
本発明の実施の形態3の構成は実施の形態2の構成を示す図5と同一である。同様に実施の形態3の初期値算出部10の詳細構成は実施の形態2の初期値算出部10の詳細構成を示す図6と同一である。
次に動作を説明する。図8に本実施の形態3における初期値算出部10の動作手順を示すフローチャートを示す。実施の形態2の動作手順を示すフローチャートである図7と異なる部分は、図8におけるST120とST121である。
実施の形態2では初回の信号処理周期(T=1)ではその時の重心座標(xハット(1)、yハット(1)、zハット(1))を、T=2以降では前回の目標発信器2の推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))を、それぞれ収束演算の初期値11(x0(T),y0(T),z0(T))として用いていた。実施の形態2では、重心座標(xハット(1)、yハット(1)、zハット(1))を収束演算の初期値11(x0(1),y0(1),z0(1))として用いることで、その結果収束演算の収束安定性が向上し、正しい解への収束度が高められ、推定座標13(X’(1), Y’(1), Z’(1))の信頼度は十分高いと判断される、としていた。
しかし、外来雑音や測位装置1内における観測誤差、または目標発信器2と受信アンテナ4−1〜4−Nの幾何学的配置条件などにより、重心座標(xハット(1)、yハット(1)、zハット(1))を初期値11(x0(1), y0(1), z0(1))として用い、その結果得られた推定座標13(X’(1), Y’(1), Z’(1))の信頼度が低くなった場合を考える。このとき、推定座標13(X’(1), Y’(1), Z’(1))を次の信号処理周期(T=2)における収束演算の初期値11(x0(2),y0(2),z0(2))として用いると、かえって収束演算の安定性が悪化し、誤った解を導出してしまうことで、時系列で得られる推定座標13(X’(T), Y’(T), Z’(T))が滑らかに得られない状態、すなわち推定座標13が発散する状態となる。
本発明の実施の形態3では、そのような推定座標13(X’(T), Y’(T), Z’(T))の一時的な信頼度低下による測位性能劣化を回避するために、信号処理周期毎に推定座標13(X’(T), Y’(T), Z’(T))の信頼度判定を行う。まず、時系列的に連続した信号処理周期TとT-1を考える。信号処理周期Tでは、信号処理周期T-1において測位演算部12で算出された目標発信器2の推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))が初期値選択部17に入力される。同時に、信号処理周期Tにおいて座標算出部15で算出された重心座標(xハット(T)、yハット(T)、zハット(T))も初期値選択部17に入力される。初期値選択部17では、この両者の幾何学的距離Rを算出する(ST120)。次に、Rを測位装置1で事前に設定されたパラメータであるεと比較する(ST121)。もし、信号処理周期T-1の推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))が正しく求められていれば、Rの値はある一定値以上は大きくならない。逆に、信号処理周期T-1の推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))が正しく求められていない場合、Rの値はある一定値を超えて大きな値となる。そこで、事前に適切に設定されたパラメータεを用いると、Rがεより大きくなる場合(ST121)は、前回の信号処理周期T-1における推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))が、収束演算の安定性が悪化したことにより発散したり、推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))が目標発信器2の真の座標から大きく外れた位置に飛んでしまったなどの要因が考えられる。つまり、信号処理周期T-1の推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))の信頼度は低いと判断される。したがって信号処理周期Tにおける初期値選択部17の動作は、(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))の結果を棄却し、改めて今回の重心座標(xハット(T)、yハット(T)、zハット(T))を今回の初期値11(x0(T),y0(T),z0(T))として算出し、収束演算を再帰化させる(ST122)。また、Rがεより大きくならない場合(ST121)は、前回の推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))は信頼度が高いと判断し、その推定座標13を今回の収束演算の初期値11(x0(T),y0(T),z0(T))として算出する(ST123)。
以上のように、本実施の形態では、外来雑音や測位装置1内における観測誤差、または目標発信器2と受信アンテナ4−1〜4−Nの幾何学的配置条件などにより、一時的に収束演算が不安定になり推定座標13(X’(T-1), Y’(T-1), Z’(T-1))の信頼度が低下しているかどうかを判断した上で、適切な初期値11(x0(T),y0(T),z0(T))を選択する。このような構成により、目標発信器2の推定座標13に滑らかな連続性が得られ、また測位装置1としての動作信頼性を向上させるという効果が得られる。
このように、本実施の形態の測位装置1は、初期値算出部10は複数の信号処理部5−1〜5−Nで算出された到来時刻情報7−1〜7−Nを到来時刻の早い順に並び換える並び換え部である到来時刻並び替え部14と、到来時刻並び換え部14で並び換えられた到来時刻情報を到来時刻の早い順に複数抽出し、その抽出された複数の到来時刻情報のそれぞれが算出された信号処理部5−1〜5−Nに対応するアンテナ4−1〜4−Nの位置を示す座標の重心座標を算出する座標算出部15と、推定座標格納部16に格納された目標の推定座標13と、座標算出部15により算出された重心座標との幾何学的距離に基づき、目標の推定座標13または重心座標のいずれか一方を測位演算部12で次回の処理に用いられる初期値11として選択する初期値選択部17とを備えたことを特徴とする。このような処理により、目標発信器2の推定座標13に滑らかな連続性が得られ、また測位装置1としての動作信頼性を向上させることが可能となる。
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、初期値算出部10は変調信号3を信号処理部5−1〜5−Nで復調したデコードデータ6−1〜6−Nを用いなかったのに対し、本実施の形態では初期値算出部10がデコードデータ6−1〜6−Nに含まれる情報を用いて、初期値11の算出を行う構成を示す。
実施の形態1〜3では、初期値算出部10は変調信号3を信号処理部5−1〜5−Nで復調したデコードデータ6−1〜6−Nを用いなかったのに対し、本実施の形態では初期値算出部10がデコードデータ6−1〜6−Nに含まれる情報を用いて、初期値11の算出を行う構成を示す。
図9に本発明の実施の形態4における測位装置1の構成を示す。図9において実施の形態1の構成を示す図1と異なる点は、センター受信部8から初期値算出部10に変調信号3のデコード情報である初期値補正情報A18を出力するように構成したのみで、他は図1の構成と同じである。目標発信器2が送出する変調信号3は、受信アンテナ4−1〜4−Nを経由し信号処理部5−1〜5−Nで復調されデコードデータ6−1〜6−Nとしてセンター受信部8へ出力される。センター受信部8は、デコードデータ6−1〜6−Nを集約し、初期値算出部10へ初期値補正情報A18として出力する。
図10は本実施の形態4における初期値算出部10の詳細な構成を示す図である。図10では実施の形態1の初期値算出部10の詳細構成を示す図3に、あらたに初期値補正部19が加えられている。その他の構成は実施の形態1の図3と同じである。
図11は本実施の形態4における初期値補正部19の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
図11は本実施の形態4における初期値補正部19の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
次に、図9〜図11を用いて初期値補正部19の動作を説明する。本発明の実施の形態1に示した初期値算出部10の動作は、測位装置1単体で目標発信器2の位置に関する先見情報がまったく得られない場合に、観測情報である変調信号3の受信アンテナ4−1〜4−Nにおける到来時刻情報(t)7−1〜7−Nを用いて重心座標(xハット, yハット, zハット)を算出し、これを初期値11(x0, y0, z0)として算出するものであった。しかし、変調信号3を信号処理部5−1〜5−Nで復調したデコードデータ6−1〜6−Nには、変調信号3を送出した目標発信器2自身の位置に関する情報が含まれている場合もある。
その例として、航空機2次監視レーダ(Secondary Surveillance Radar:SSR)で用いられているSSRモードS信号がある。例えば、文献ICAO Annex 10 Volume IV, “Surveillance Radar and Collision Avoidance Systems Ed4”, Nov 2007.に記述されているように、SSRモードSのダウンリンク信号には航空機自身の気圧高度情報が含まれている。気圧高度はその日の天候や気温、湿度などの環境条件により真値から数100mの誤差を生ずる場合もあるが、測位対象航空機の高度に関する情報として参考にすることはできる。
そこで、本実施の形態では、センター受信部8は、デコードデータ6−1〜6−Nを集約し、初期値補正情報A18として、初期値補正部19に対して出力する。また、初期値補正部19は初期値補正情報A18内に目標発信器2である測位対象航空機の位置に関して参考にできる情報があるかどうかを解析する(ST130)。解析の結果、測位対象航空機の位置に関して参考にできる情報がある場合には、初期値補正情報A18内の情報を用いて初期値11を算出する(ST131)。例えば、解析の結果、SSRモードSのように気圧高度の情報が検出されたとする。この気圧高度の値をzhとすると、座標算出部15が図4に示す実施の形態1のST102により算出した重心座標(xハット, yハット, zハット)のうち、zハットの部分をzhに置き換えるなどの補正を行う(ST131)。なお、ここでは単純に置き換える手段を例に挙げたが、zハットとzhを環境条件や観測条件により重みを付けて平均化するなど、ここでは詳細に記載しないが他の補正方法も有効である。一方、ST130にて初期値補正情報A18内に参考情報がないと検出された場合には、実施の形態1のST102により算出した重心座標(xハット, yハット, zハット)をそのまま初期値11(x0, y0, z0)とする(ST132)。
以上のように構成することで、目標発信器2が送出する変調信号3に、自身の位置に関する情報が含まれている場合にはその情報を参考として重心座標(xハット, yハット, zハット)を信頼度がより高い方へ補正することが可能になる。その結果、収束演算の安定性向上、測位精度の向上につながるという効果が得られる。
このように、本実施の形態の測位装置1の信号処理部5−1〜5−Nは目標からの信号である変調信号3を復調することにより、目標からの信号に含まれる情報を抽出する手段を有し、初期値算出部10は信号処理部5−1〜5−Nで抽出された情報を用いて、測位演算部12で用いられる初期値11を算出することを特徴とする。このような構成により、変調信号3に、自身の位置に関する情報が含まれている場合には、その情報を参考として重心座標(xハット, yハット, zハット)を信頼度がより高い方へ補正することが可能になる。
実施の形態5.
実施の形態1〜4では、測位装置1は他の装置からの情報を用いなかったのに対し、本実施の形態では他の装置から得られる情報を用いて初期値算出部10が初期値11の算出を行う構成を示す。
実施の形態1〜4では、測位装置1は他の装置からの情報を用いなかったのに対し、本実施の形態では他の装置から得られる情報を用いて初期値算出部10が初期値11の算出を行う構成を示す。
本発明の実施の形態5における測位装置1の構成を図12に示す。図12は実施の形態1の構成を示す図1に、測位装置1以外の他の通信システム20aや管制システム20bとの通信手段を有する他装置情報通信器21を加え、他装置情報通信器21から初期値補正情報B22を初期値算出部10へ出力するように構成したものである。その他の構成は実施の形態1の構成を示す図1と同じである。
図13は本実施の形態5における初期値算出部10の詳細な構成を示す図である。図13は本発明の実施の形態1の初期値算出部10の詳細な構成を示す図3に、あらたに初期値補正部19を加えたもので、その他の構成は図3と同じである。図14は本実施の形態5における初期値補正部19の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
次に、図12〜図14を用いて初期値補正部19の動作を説明する。例えば、航空機1次監視レーダ(Primary Surveillance Radar:PSR)は通常の送受信レーダとして本発明の測位装置とは独立して動作する航空機航法管制システムである。PSRは測位対象航空機の位置を、PSR自身を中心とする極座標表現、つまり方位φ、仰角θ、距離Rの情報として検出している。本実施の形態では、他の通信システム20aや管制システム20bから測位対象航空機の位置に関する情報を他装置情報通信器21で受信し、他装置情報通信器21からその位置情報を含む初期値補正情報B22を初期値算出部10へ出力する。初期値算出部10内の初期値補正部19は初期値補正情報B22内に測位対象航空機の位置に関する情報(φ、θ、Rなどの測位対象航空機の位置に関する情報)が含まれているかどうかを解析する(ST140)。解析の結果、初期値補正情報B22内に測位対象航空機の位置に関する情報が含まれていると判断された場合には、初期値補正情報B22内に測位対象航空機の位置に関する情報を用いて初期値11を算出する。具体的には、まず、φ、θ、Rの極座標表現から本測位装置1で用いているXYZ直交座標に変換する。極座標から直交座標への変換手順は公知であるため、ここでは詳細な記述を省く。この変換の結果得られた位置座標と、実施の形態1のST102で得た重心座標の算術平均値を初期値11(x0, y0, z0)に算出する(ST141)。なお、ここでは算術平均値を用いる方法を示したが、例えば本発明の測位装置1による到来時刻情報7−1〜7−Nの観測精度(分解能)とPSRなどのレーダの観測精度(分解能)を比較して、観測精度(分解能)が高い方の情報に重みを付けて平均するなど、ここでは詳細に記載しないが他の方法も有効である。一方、ST140にて初期値補正情報B22内に参考情報がないと検出された場合には、実施の形態1のST102により算出した重心座標(xハット, yハット, zハット)をそのまま初期値11(x0, y0, z0)とする(ST142)。
以上のように構成することで、他の独立した通信システムや航法管制システムから入手できた情報に、目標発信器2の位置に関する情報が含まれている場合にはその情報を参考として重心座標(xハット, yハット, zハット)を信頼度がより高い方へ補正することが可能になる。その結果、収束演算の安定性向上、測位精度の向上につながるという効果が得られる。
このように、本実施の形態の測位装置1は他の装置から情報を受信する他装置情報通信器21を備え、初期値算出部10は他装置情報通信器21で抽出された情報を用いて、測位演算部12で用いられる初期値11を算出する。このような構成により、他の独立した通信システムや航法管制システムから入手できた情報に、目標発信器2の位置に関する情報が含まれている場合にはその情報を参考として重心座標(xハット, yハット, zハット)を信頼度がより高い方へ補正することが可能になる。
1:測位装置、2:目標発信器、3:変調信号、4−1〜4−N:受信アンテナ、5−1〜5−N:信号処理部、6−1〜6−N:デコードデータ、7−1〜7−N:到来時刻情報、8:センター受信部、9−1〜9−N-1:到来時間差、10:初期値算出部、11:初期値、12:測位演算部、13:目標発信器2の推定座標、14:到来時刻並び換え部、15:座標算出部 、16:推定座標格納部、17:初期値選択部、18:初期値補正情報A、19:初期値補正部、20a:通信システム、20b:管制システム、21:他装置情報通信器、22:初期値補正情報B
Claims (7)
- 目標からの信号を受信する複数のアンテナと、
前記複数のアンテナのそれぞれで受信された信号の自信号処理部への到来時刻を算出する複数の信号処理部と、
前記複数の信号処理部のそれぞれで算出された到来時刻を用いて、前記複数の信号処理部の中の特定の信号処理部で算出された到来時刻と該特定の信号処理部以外の信号処理部で算出された到来時刻との差である到来時間差を算出するセンター受信部と、
前記センター受信部で算出された到来時間差及び、前記複数のアンテナの位置を示す座標及び、初期値を用いて収束演算により前記目標の位置座標を推定する測位演算部と、
前記測位演算部で用いられる前記初期値を前記複数の信号処理部で算出された到来時刻を用いて算出する初期値算出部と、
を備えたことを特徴とする測位装置。 - 前記初期値算出部は
前記複数の信号処理部で算出された到来時刻を到来時刻の早い順に並び換える並び換え部と、
前記並び換え部で並び換えられた到来時刻を到来時刻の早い順に複数抽出し、該抽出された複数の到来時刻のそれぞれが算出された信号処理部に対応するアンテナの位置を示す座標を用いて前記測位演算部で用いられる前記初期値を算出する座標算出部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の測位装置。 - 前記座標算出部で算出される初期値は、前記抽出された複数の到来時刻のそれぞれが算出された信号処理部に対応するアンテナの位置を示す座標の重心座標である
ことを特徴とする請求項2に記載の測位装置。 - 前記測位演算部により推定された前記目標の推定座標を格納する推定座標格納部を備え、
前記初期値算出部は前記推定座標格納部に格納された前記目標の推定座標を用いて前記測位演算部で次回の処理に用いられる前記初期値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の測位装置。 - 前記初期値算出部は
前記複数の信号処理部で算出された到来時刻を到来時刻の早い順に並び換える並び換え部と、
前記並び換え部で並び換えられた到来時刻を到来時刻の早い順に複数抽出し、該抽出された複数の到来時刻のそれぞれが算出された信号処理部に対応するアンテナの位置を示す座標の重心座標を算出する重心座標算出部と、
前記推定座標格納部に格納された前記目標の推定座標と、前記重心座標算出部により算出された重心座標との幾何学的距離に基づき、前記目標の推定座標または前記重心座標のいずれか一方を前記測位演算部で次回の処理に用いられる前記初期値として選択する初期値選択部とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の測位装置。 - 前記目標からの信号は変調信号であり、
前記信号処理部は前記目標からの信号を復調することにより、前記目標からの信号に含まれる情報を抽出する手段を有し、
前記初期値算出部は前記信号処理部で抽出された情報を用いて、前記測位演算部で用いられる前記初期値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の測位装置。 - 他の装置から情報を受信する他装置情報通信器を備え、
前記初期値算出部は前記他装置情報通信器で抽出された情報を用いて、前記測位演算部で用いられる前記初期値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
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