次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る発進装置1を示す概略構成図であり、図2は、発進装置1に含まれるダンパ装置10を示す断面図である。これらの図面に示す発進装置1は、原動機としてのエンジン(内燃機関)を有する車両(例えば、後輪駆動車両)に搭載されるものであり、ダンパ装置10に加えて、エンジンのクランクシャフトに連結される入力部材としてのフロントカバー3や、フロントカバー3に固定されるポンプインペラ(入力側流体伝動要素)4、ポンプインペラ4と同軸に回転可能なタービンランナ(出力側流体伝動要素)5、ダンパ装置10に連結されると共に自動変速機(AT)あるいは無段変速機(CVT)である変速機の入力軸ISに固定される出力部材としてのダンパハブ7、多板油圧式クラッチであるロックアップクラッチ8、ダンパ装置10に連結されるダイナミックダンパ20等を含む。
ポンプインペラ4は、フロントカバー3に密に固定される図示しないポンプシェルと、ポンプシェルの内面に配設された複数のポンプブレード(図示省略)とを有する。タービンランナ5は、図2に示すように、タービンシェル50と、タービンシェル50の内面に配設された複数のタービンブレード51とを有する。本実施形態において、タービンランナ5のタービンシェル50の内周部は、複数のリベットを介してタービンハブ52に固定される。タービンハブ52は、ダンパハブ7により回転自在に支持され、当該タービンハブ52の軸方向における移動は、ダンパハブ7に装着されたスナップリングにより規制される。
ポンプインペラ4とタービンランナ5とは、互いに対向し合い、両者の間には、タービンランナ5からポンプインペラ4への作動油(作動流体)の流れを整流するステータ6(図1参照)が同軸に配置される。ステータ6は、複数のステータブレードを有し、ステータ6の回転方向は、ワンウェイクラッチ60により一方向のみに設定される。これらのポンプインペラ4、タービンランナ5およびステータ6は、作動油を循環させるトーラス(環状流路)を形成し、トルク増幅機能をもったトルクコンバータ(流体伝動装置)として機能する。
ロックアップクラッチ8は、ダンパ装置10を介してフロントカバー3とダンパハブ7すなわち変速機の入力軸ISとを連結するロックアップを実行すると共に当該ロックアップを解除するものである。ロックアップクラッチ8は、フロントカバー3に固定された図示しないセンターピースにより軸方向に移動自在に支持されるロックアップピストン80と、クラッチドラム81と、ロックアップピストン80と対向するようにフロントカバー3の内面に固定される環状のクラッチハブ82と、クラッチドラム81の内周面に形成されたスプラインに嵌合される複数の第1摩擦係合プレート(両面に摩擦材を有する摩擦板)83と、クラッチハブ82の外周面に形成されたスプラインに嵌合される複数の第2摩擦係合プレート84(セパレータプレート)とを含む。
更に、ロックアップクラッチ8は、ロックアップピストン80を基準としてフロントカバー3とは反対側に位置するように、すなわちロックアップピストン80よりもダンパハブ7およびダンパ装置10側に位置するようにフロントカバー3のセンターピースに取り付けられる環状のフランジ部材(油室画成部材)85と、フロントカバー3とロックアップピストン80との間に配置される複数のリターンスプリング(図示省略)とを含む。ロックアップピストン80とフランジ部材85とは、図示しない係合油室を画成し、当該係合油室には、図示しない油圧制御装置から作動油(係合油圧)が供給される。そして、係合油室への係合油圧を高めることにより、第1および第2摩擦係合プレート83,84をフロントカバー3に向けて押圧するようにロックアップピストン80を軸方向に移動させ、それによりロックアップクラッチ8を係合(完全係合あるいはスリップ係合)させることができる。
ダンパ装置10は、図1および図2に示すように、回転要素として、ドライブ部材(入力要素)11、中間部材(中間要素)12およびドリブン部材(出力要素)15を含むと共に、トルク伝達要素(トルク伝達弾性体)として、ダンパ装置10の外周に近接して配置される複数(本実施形態では、例えば6個)の外側スプリング(第1弾性体)SP1、および外側スプリングSP1よりも内側に配置される複数(本実施形態では、例えば6個)の内側スプリング(第2弾性体)SP2を含む。外側スプリングSP1および内側スプリングSP2としては、荷重が加えられてないときに真っ直ぐに延びる軸心を有するように螺旋状に巻かれた金属材からなるストレートコイルスプリングや、荷重が加えられてないときに円弧状に延びる軸心を有するように巻かれた金属材からなるアークコイルスプリングが採用される。
ドライブ部材11は、上述のロックアップクラッチ8のクラッチドラム81と、当該クラッチドラム81に複数のリベットを介して連結される環状のドライブプレート91とにより構成され、フロントカバー3やポンプインペラ4のポンプシェルにより画成される流体伝動室9内の外周側領域に配置される。クラッチドラム81は、周方向に間隔をおいて並ぶ複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部811と、周方向に間隔をおいて並ぶと共にそれぞれ対応するスプリング支持部811とクラッチドラム81の径方向において対向する複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部812と、複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング当接部(弾性体当接部)813とを有する。複数のスプリング支持部811は、それぞれ対応する外側スプリングSP1のフロントカバー3側(変速機側)の側部を外周側から支持(ガイド)する。複数のスプリング支持部812は、それぞれ外側スプリングSP1のフロントカバー3側の側部を内周側から支持(ガイド)する。複数のスプリング当接部(弾性体当接部)813は、2個ずつ対をなして周方向に間隔をおいて並ぶようにクラッチドラム81に配設され、互いに対をなす2個のスプリング当接部813は、外側スプリングSP1の自然長に応じた間隔をおいて対向する。
また、ドライブプレート91は、周方向に間隔をおいて並ぶ複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部911と、周方向に間隔をおいて並ぶと共にそれぞれ対応するスプリング支持部911とドライブプレート91の径方向において対向する複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部912と、複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング当接部(弾性体当接部)913とを有する。複数のスプリング支持部911は、それぞれ対応する外側スプリングSP1のタービンランナ5側(エンジン側)の側部を外周側から支持(ガイド)する。複数のスプリング支持部912は、それぞれ対応する外側スプリングSP1のタービンランナ5側の側部を内周側から支持(ガイド)する。複数のスプリング当接部(弾性体当接部)913は、2個ずつ対をなして周方向に間隔をおいて並ぶようにドライブプレート91に配設され、互いに対をなす2個のスプリング当接部913は、外側スプリングSP1の自然長に応じた間隔をおいて対向する。
クラッチドラム81およびドライブプレート91が互いに連結された際、クラッチドラム81の各スプリング支持部811は、ドライブプレート91の対応するスプリング支持部911と対向し、クラッチドラム81の各スプリング支持部812は、ドライブプレート91の対応するスプリング支持部912と対向する。そして、複数の外側スプリングSP1は、ドライブ部材11を構成するクラッチドラム81とドライブプレート91とにより周方向に間隔をおいて支持され、ダンパ装置10の外周に近接するように流体伝動室9内の外周側領域に配設される。
また、クラッチドラム81の各スプリング当接部813は、ダンパ装置10の取付状態において、対応する外側スプリングSP1の端部と当接する。すなわち、ダンパ装置10の取付状態において、各外側スプリングSP1の両端部は、クラッチドラム81の互いに対をなす2個のスプリング当接部813の対応する一方と当接する。更に、ドライブプレート91の各スプリング当接部913は、ダンパ装置10の取付状態において、対応する外側スプリングSP1の端部と当接する。すなわち、ダンパ装置10の取付状態において、各外側スプリングSP1の両端部は、ドライブプレート91の互いに対をなす2個のスプリング当接部913の対応する一方と当接する。
中間部材12は、フロントカバー3側に配置される環状の第1中間プレート部材13と、タービンランナ5側に配置されると共に複数のリベットを介して第1中間プレート部材13に連結(固定)される環状の第2中間プレート部材14とを含む。中間部材12を構成する第1中間プレート部材13は、周方向に間隔をおいて並ぶ複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部131と、周方向に間隔をおいて並ぶと共にそれぞれ対応するスプリング支持部131と第1中間プレート部材13の径方向において対向する複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部132と、複数(本実施形態では、例えば6個)の内側スプリング当接部(弾性体当接部)133iと、複数(本実施形態では、例えば6個)の第1外側スプリング当接部(弾性体当接部)133oとを有する。
複数のスプリング支持部131は、それぞれ対応する内側スプリングSP2のフロントカバー3側の側部を外周側から支持(ガイド)する。複数のスプリング支持部132は、それぞれ対応する内側スプリングSP2のフロントカバー3側の側部を内周側から支持(ガイド)する。複数の内側スプリング当接部133iは、周方向に沿って互いに隣り合うスプリング支持部131,132の間に1個ずつ設けられる。複数の第1外側スプリング当接部133oは、複数の内側スプリング当接部133iよりも径方向外側で2個ずつ対をなして周方向に間隔をおいて並ぶように第1中間プレート部材13に配設され、互いに対をなす2個の第1外側スプリング当接部133oは、外側スプリングSP1の自然長に応じた間隔をおいて対向する。
中間部材12を構成する第2中間プレート部材14は、周方向に間隔をおいて並ぶ複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部141と、周方向に間隔をおいて並ぶと共にそれぞれ対応するスプリング支持部141と第2中間プレート部材14の径方向において対向する複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング支持部142と、複数(本実施形態では、例えば6個)のスプリング当接部(弾性体当接部)143とを有する。複数のスプリング支持部141は、それぞれ対応する内側スプリングSP2のタービンランナ5側の側部を外周側から支持(ガイド)する。複数のスプリング支持部142は、それぞれ対応する内側スプリングSP2のタービンランナ5側の側部を内周側から支持(ガイド)する。複数のスプリング当接部143は、周方向に沿って互いに隣り合うスプリング支持部141,142の間に1個ずつ設けられる。
第1および第2中間プレート部材13,14が互いに連結された際、第1中間プレート部材13の各スプリング支持部131は、第2中間プレート部材14の対応するスプリング支持部141と対向し、第1中間プレート部材13の各スプリング支持部132は、第2中間プレート部材14の対応するスプリング支持部142と対向する。そして、複数の内側スプリングSP2は、中間部材12を構成する第1および第2中間プレート部材13,14により周方向に間隔をおいて支持され、複数の外側スプリングSP1よりもタービンランナ5に近接する(径方向からみて部分的に重なる)ように当該複数の外側スプリングSP1の内側に配設される。
また、ダンパ装置10の取付状態において、第1中間プレート部材13の各内側スプリング当接部133iは、互いに隣り合う内側スプリングSP2の間で両者の端部と当接し、第2中間プレート部材14の各スプリング当接部143は、互いに隣り合う内側スプリングSP2の間で両者の端部と当接する。すなわち、各内側スプリングSP2の両端部は、ダンパ装置10の取付状態において、第1および第2中間プレート部材13,14の対応するスプリング当接部133i,143と当接する。更に、第1中間プレート部材13の各第1外側スプリング当接部133oは、ダンパ装置10の取付状態において、クラッチドラム81とドライブプレート91との軸方向における間で対応する外側スプリングSP1の端部と当接する。すなわち、ダンパ装置10の取付状態において、各外側スプリングSP1の両端部は、第1中間プレート部材13の互いに対をなす2個の第1外側スプリング当接部133oの対応する一方と当接する。
ドリブン部材15は、図2に示すように、中間部材12の第1中間プレート部材13と第2中間プレート部材14との間に配置されると共に複数のリベットを介してダンパハブ7に固定される。また、ドリブン部材15は、周方向に間隔をおいて形成されて径方向に延在するスプリング当接部(弾性体当接部)153を有する。各スプリング当接部153は、互いに隣り合う内側スプリングSP2の間に配置されて両者の端部と当接する。すなわち、各内側スプリングSP2の両端部は、ダンパ装置10の取付状態において、ドリブン部材15の対応するスプリング当接部153と当接する。これにより、ドリブン部材15は、複数の外側スプリングSP1、中間部材12および複数の内側スプリングSP2を介してドライブ部材11に連結される。そして、ドリブン部材15の外周面は、ドライブ部材11を構成するドライブプレート91の内周面を支持する。これにより、ダンパハブ7に固定されるドリブン部材15によってドライブ部材11を回転自在に支持(調心)することができる。
更に、ダンパ装置10は、ドライブ部材11とドリブン部材15との相対回転を規制する回転規制ストッパとして、ドライブ部材11と中間部材12との相対回転を規制する第1要素間ストッパ16と、中間部材12とドリブン部材15との相対回転を規制する第2要素間ストッパ17とを含む。本実施形態において、第1要素間ストッパ16は、ドライブ部材11を構成するクラッチドラム81とドライブプレート91とを外側スプリングSP1の径方向外側で連結する複数のリベットと、中間部材12の第1中間プレート部材13に形成された例えば円弧状の複数の開口部とにより構成される。ダンパ装置10の取付状態において、クラッチドラム81とドライブプレート91とを連結するリベットおよびカラーは、第1中間プレート部材13の対応する開口部内に当該開口部を画成する両側の内壁面と当接しないように配置される。そして、ドライブ部材11と中間部材12とが相対回転するのに伴って上述の各カラーが対応する開口部の一方の内壁面と当接すると、ドライブ部材11と中間部材12との相対回転および各外側スプリングSP1の捩れが規制されることになる。
第2要素間ストッパ17は、中間部材12の第1および第2中間プレート部材13,14を連結する複数のリベットに装着されたカラーと、ドリブン部材15に形成された例えば円弧状の開口部(切欠部、図示省略)とにより構成される。ダンパ装置10の取付状態において、第1および第2中間プレート部材13,14を連結するリベットに装着されたカラーは、ドリブン部材15の対応する開口部内に当該開口部を画成する両側の内壁面と当接しないように差し込まれる。そして、中間部材12とドリブン部材15とが相対回転するのに伴って上述の各カラーが対応する開口部の一方の内壁面と当接すると、中間部材12とドリブン部材15との相対回転および各内側スプリングSP2の捩れが規制されることになる。
これにより、第1要素間ストッパ16によりドライブ部材11と中間部材12との相対回転および各外側スプリングSP1の捩れが規制され、かつ第2要素間ストッパ17により中間部材12とドリブン部材15との相対回転および各内側スプリングSP2の捩れが規制されると、ドライブ部材11とドリブン部材15との相対回転が規制されることになる。なお、本実施形態において、第1要素間ストッパ16(ドライブ部材11、中間部材12および外側スプリングSP1の諸元)および第2要素間ストッパ17(中間部材12、ドリブン部材15および内側スプリングSP2の諸元)は、フロントカバー3に伝達されるトルクすなわちドライブ部材11への入力トルクが高まっていく際に、第1要素間ストッパ16によりドライブ部材11と中間部材12との相対回転および各外側スプリングSP1の捩れが規制される前に、第2要素間ストッパ17により中間部材12とドリブン部材15との相対回転および各内側スプリングSP2の捩れが規制されるように構成(設定)される。
ダイナミックダンパ20は、コイルスプリング(直線型コイルスプリング)またはアークスプリング(アークコイルスプリング)である複数(本実施形態では、2個のコイルスプリング)の吸振用スプリング(吸振用弾性体)SPdと、吸振用スプリングSPdに連結されると共に上述のタービンランナ5やタービンハブ52と共に質量体を構成する連結部材21と、ロックアップクラッチ8によるロックアップが解除されている際に吸振用スプリングSPdの捩れを規制する第3要素間ストッパ22とを含むものである。本実施形態において、各吸振用スプリングSPdは、ダンパ装置10の回転要素である中間部材12と連結部材21との間に配置される。なお、「ダイナミックダンパ」は、振動体の共振周波数に一致する周波数(エンジン回転数)で当該振動体に逆位相の振動を付加して振動を減衰する機構であり、振動体(本実施形態では、中間部材12)に対してトルクの伝達経路に含まれないようにスプリング(弾性体)と質量体とを連結することにより構成される。すなわち、吸振用スプリングSPdの剛性と質量体としてのタービンランナ5や連結部材21等の重さを調整することで、ダイナミックダンパ20により所望の周波数の振動を減衰することが可能となる。
ダイナミックダンパ20の連結部材21は、図2および図3に示すように、タービンランナ5のタービンシェル50に固定される環状の固定部210と、当該固定部210から連結部材21(タービンランナ5)の軸方向に延出された複数(本実施形態では、例えば4個)の第1ストッパ部211および複数(本実施形態では、例えば6個)の第2ストッパ部212と、各第1ストッパ部211から軸方向に延出された複数(本実施形態では、例えば4個)のスプリング当接部214とを有する。連結部材21の固定部210は、複数の第1および第2ストッパ部211,212や複数のスプリング当接部214がタービンランナ5の軸方向に沿って(当該軸方向と概ね平行に)延在するように、タービンシェル50の背面(フロントカバー3側の面)の外周側領域(内側スプリングSP2よりも径方向外側の部分)に溶接等により固定される。
また、複数の第1ストッパ部211は、図3に示すように、2個(一対)ずつ近接するように発進装置1(ダンパ装置10)の軸心に関して対称に形成され、第2ストッパ部212は、対をなさない第1ストッパ部211同士の周方向における間に複数(本実施形態では、3個ずつ)形成される。更に、スプリング当接部214は、2個(一対)ずつ近接して例えば吸振用スプリングSPdの自然長に応じた間隔をおいて対向するように、各第1ストッパ部211から1個ずつ延出される。図3に示すように、各スプリング当接部214は、第1ストッパ部211よりも細幅に形成され、第1ストッパ部211よりも短い周方向長さを有する。これにより、第1ストッパ部211から延出される連結部材21のスプリング当接部214が遠心力によって径方向外側に拡がってしまうのを良好に抑制することが可能となる。
更に、ダイナミックダンパ20の連結対象である中間部材12を構成する第1中間プレート部材13は、タービンランナ5の径方向に沿って(当該径方向と概ね平行に)延在する複数(本実施形態では、例えば4個)の第2外側スプリング当接部(弾性体当接部)134を有する。複数の第2外側スプリング当接部134は、外側スプリングSP1を介すことなく互いに隣り合う第1外側スプリング当接部133oの間で、2個(一対)ずつ対をなす(近接する)ように第1中間プレート部材13の軸心に関して対称に形成される。互いに対をなす2個の第2外側スプリング当接部134は、吸振用スプリングSPdの自然長に応じた間隔をおいて対向する。
また、中間部材12に外側スプリングSP1を介して連結されるクラッチドラム81は、図2に示すように、それぞれ互いに隣り合うスプリング支持部811の間に当該クラッチドラム81の軸心に関して対称に形成された複数(本実施形態では、例えば2個)のスプリング支持部815と、それぞれ互いに隣り合うスプリング支持部812の間に形成されると共に対応するスプリング支持部815とクラッチドラム81の径方向において対向する複数(本実施形態では、例えば2個)のスプリング支持部816と、互いに対向するスプリング支持部815,816の間に形成された複数の開口部817とを有する。複数のスプリング支持部815は、それぞれ対応する吸振用スプリングSPdのフロントカバー3側の側部を外周側から支持(ガイド)し、複数のスプリング支持部816は、それぞれ対応する吸振用スプリングSPdのフロントカバー3側の側部を内周側から支持(ガイド)する。
更に、クラッチドラム81に連結されるドライブプレート91は、それぞれ互いに隣り合うスプリング支持部911の間に当該ドライブプレート91の軸心に関して対称に形成された複数(本実施形態では、例えば2個)のスプリング支持部915と、それぞれ互いに隣り合うスプリング支持部912の間に形成されると共に対応するスプリング支持部915とドライブ部材11の径方向において対向する複数(本実施形態では、例えば2個)のスプリング支持部916と、互いに対向するスプリング支持部915,916の間に形成された複数の開口部917とを有する。複数のスプリング支持部915は、それぞれ対応する吸振用スプリングSPdのタービンランナ5側の側部を外周側から支持(ガイド)し、複数のスプリング支持部916は、それぞれ対応する吸振用スプリングSPdのタービンランナ5側の側部を内周側から支持(ガイド)する。
ダイナミックダンパ20を構成する複数の吸振用スプリングSPdは、それぞれドライブ部材11を構成するクラッチドラム81とドライブプレート91とにより支持されて互いに隣り合う2個の外側スプリングSP1の間に1個ずつダンパ装置10の軸心に関して対称に配置される。そして、各吸振用スプリングSPdは、外側スプリングSP1と周方向に並ぶと共に発進装置1やダンパ装置10の軸方向および周方向の双方において外側スプリングSP1とオーバーラップする。このように、ダイナミックダンパ20を構成する吸振用スプリングSPdを外側スプリングSP1と周方向に並ぶようにダンパ装置10の外周に近接して配置すれば、吸振用スプリングSPdを外側スプリングSP1や内側スプリングSP2の径方向における外側または内側、あるいは径方向における外側スプリングSP1と内側スプリングSP2との間に配置する場合に比べて、ダンパ装置10の外径の増加を抑制して装置全体をよりコンパクト化することができる。
また、本実施形態において、複数の外側スプリングSP1と複数の吸振用スプリングSPdとは、同心円上に配列され、発進装置1やダンパ装置10の軸心と各外側スプリングSP1の軸心との距離と、発進装置1やダンパ装置10の軸心と各吸振用スプリングSPdの軸心との距離とが等しくなっている。これにより、ダンパ装置10の外径の増加をより良好に抑制することが可能となる。加えて、本実施形態において、各外側スプリングSP1と各吸振用スプリングSPdとは、それぞれの軸心が発進装置1やダンパ装置10の軸心と直交する同一の平面内に含まれるように配置される。これにより、ダンパ装置10の軸長の増加をも抑制することができる。ただし、ダンパ装置10の軸心と外側スプリングSP1の軸心との距離と、ダンパ装置10の軸心と吸振用スプリングSPdの軸心との距離とは、完全に一致している必要はなく、設計公差等により若干相違してもよい。同様に、外側スプリングSP1の軸心と吸振用スプリングSPdの軸心とは、完全に同一の平面内に含まれなくてもよく、設計公差等により軸方向に若干ズレてもよい。
更に、第1中間プレート部材13の各第2外側スプリング当接部134は、ダンパ装置10の取付状態において、クラッチドラム81とドライブプレート91との間でダンパ装置10(タービンランナ5)の径方向に延在して対応する吸振用スプリングSPdの端部と当接する。すなわち、ダンパ装置10の取付状態において、各吸振用スプリングSPdの両端部は、第1中間プレート部材13の互いに対をなす2個の第2外側スプリング当接部134の対応する一方と当接する。また、本実施形態において、第1中間プレート部材13の各第2外側スプリング当接部134には、図2に示すように、吸振用スプリングSPdとの当接面から当該吸振用スプリングSPdの端部の中心を通る円周に沿って延びる有端スリット134sが形成されている。
そして、ダイナミックダンパ20の連結部材21の各スプリング当接部214は、ドライブプレート91のスプリング支持部915,916の間の開口部917から第2外側スプリング当接部134に形成された有端スリット134sに差し込まれてダンパ装置10(タービンランナ5)の軸方向に延在し、対応する吸振用スプリングSPdの端部と当接する。すなわち、ダンパ装置10の取付状態において、各吸振用スプリングSPdの両端部は、連結部材21の互いに対をなす2個のスプリング当接部214の対応する一方とも当接する。これにより、タービンランナ5に固定された連結部材21および吸振用スプリングSPd、すなわちダイナミックダンパ20は、ダンパ装置10の中間部材12に連結されることになる。
上述のような構成を採用することで、図2からわかるように、第1中間プレート部材13の第2外側スプリング当接部134と、連結部材21のスプリング当接部214との双方が吸振用スプリングSPdの端部の中心付近を押すように、第2外側スプリング当接部134とスプリング当接部214とを吸振用スプリングSPdの端部の中心と重なるように交差(直交)させることができる。これにより、吸振用スプリングSPdを軸心に沿ってより適正に伸縮させてヒステリシス、すなわち減荷時に当該吸振用スプリングSPdに作用する摩擦力を低減化することが可能となる。
加えて、連結部材21は、少なくとも一部がタービンランナ5の径方向において吸振用スプリングSPdとオーバーラップするようにタービンシェル50に固定される。すなわち、本実施形態において、連結部材21の固定部210や第1および第2ストッパ部211,212の内径は、発進装置1やダンパ装置10の軸心から各吸振用スプリングSPdの内周までの距離よりも大きく、連結部材21の固定部210の外径は、発進装置1やダンパ装置10の軸心から各吸振用スプリングSPdの外周までの距離よりも短いか、あるいは僅かに大きくなるように定められる。これにより、連結部材21と吸振用スプリングSPdとをより近接して配置することができるので、連結部材21をコンパクト化して、その厚みや重量を低減化することが可能となる。
また、連結部材21の第1および第2ストッパ部211,212は、図2に示すように、ドライブプレート91とタービンランナ5のタービンシェル50との軸方向における間に位置する。そして、中間部材12の第2中間プレート部材14には、それぞれ連結部材21の対応する第1または第2ストッパ部211,212と当接可能になるように複数(本実施形態では、例えば8個)のストッパ当接部145が形成されている。複数のストッパ当接部145は、図3に示すように、複数のスプリング当接部143よりも径方向外側かつタービンランナ5側で周方向に間隔をおいて並ぶように第2中間プレート部材14に配設される。連結部材21の第1および第2ストッパ部211,212と、第2中間プレート部材14のストッパ当接部145とは、中間部材12と連結部材21との相対回転を規制して吸振用スプリングSPdの捩れを規制する第3要素間ストッパ22を構成する。
第2中間プレート部材14の各ストッパ当接部145は、ダンパ装置10の取付状態において、図2および図3に示すように、複数の内側スプリングSP2よりも径方向外側かつ第1中間プレート部材13やドライブプレート91とタービンランナ5との軸方向における間で、連結部材21の第1ストッパ部211と第2ストッパ部212との間または互いに隣り合う第2ストッパ部212同士の間に両側の第1、第2ストッパ部211,211と当接しないように配置される。そして、連結部材21と第2中間プレート部材14(中間部材12)とが相対回転するのに伴って連結部材21の第1および第2ストッパ部211,212が第2中間プレート部材14の対応するストッパ当接部145と当接すると、連結部材21と第2中間プレート部材14(中間部材12)との相対回転および各吸振用スプリングSPdの捩れが規制されることになる。本実施形態において、第3要素間ストッパ22(中間部材12、吸振用スプリングSPdおよび連結部材21の諸元)は、ロックアップクラッチ8によるロックアップが解除されている際にタービンランナ5から中間部材12に伝達されるトルクがエンジンの最大トルクを上回る前であって、かつ各吸振用スプリングSPdが完全に収縮する前に、第2中間プレート部材14(中間部材12)と連結部材21との相対回転を規制するように構成(設定)される。
次に、上述のように構成される発進装置1の動作について説明する。
発進装置1のロックアップクラッチ8によりロックアップが解除されている際には、図1からわかるように、原動機としてのエンジンからフロントカバー3に伝達されたトルク(動力)が、ポンプインペラ4、タービンランナ5、連結部材21、吸振用スプリングSPd、中間部材12、内側スプリングSP2、ドリブン部材15、ダンパハブ7という経路を介して変速機の入力軸ISへと伝達される。このようにポンプインペラ4およびタービンランナ5、すなわちトルクコンバータを介してエンジンから変速機の入力軸ISへとトルクが伝達される際、ドリブン部材15はタービンランナ5と同一方向に回転する(しようとする)が、タービンランナ5に固定された連結部材21とドリブン部材15とが相対回転することで各吸振用スプリングSPdが収縮する。
すなわち、ロックアップクラッチ8によりロックアップが解除された状態でエンジンから比較的大きいトルクがフロントカバー3に伝達される際には、各吸振用スプリングSPdが収縮し、各吸振用スプリングSPdがある程度収縮すると、連結部材21の第1および第2ストッパ部211,212が第2中間プレート部材14の対応するストッパ当接部145と当接する。これにより、第3要素間ストッパ22により連結部材21と第2中間プレート部材14との相対回転が規制され、それにより中間部材12、連結部材21およびタービンランナ5が一体となって回転すると共に各吸振用スプリングSPdの捩れが規制される(それ以上収縮しなくなる)。これにより、各吸振用スプリングSPdが完全に収縮した状態でタービンランナ5から中間部材12にトルクが伝達されるのを抑制して、各吸振用スプリングSPdの耐久性をより向上させることができる。そして、このように第3要素間ストッパ22が作動した際、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を含むトルクコンバータにより増幅されたトルクは、タービンランナ5、連結部材21、捩れが規制された吸振用スプリングSPd、第2外側スプリング当接部134を有する第1中間プレート部材13、内側スプリングSP2、ドリブン部材15、ダンパハブ7を含む第1の経路と、タービンランナ5、連結部材21、ストッパ当接部145を有する第2中間プレート部材14、内側スプリングSP2、ドリブン部材15、ダンパハブ7を含む第2の経路とを介して変速機の入力軸ISに伝達されることになる。
一方、発進装置1のロックアップクラッチ8によりロックアップが実行されると、エンジンからのトルクが、フロントカバー3、ロックアップクラッチ8、ドライブ部材11、外側スプリングSP1、中間部材12、内側スプリングSP2、ドリブン部材15、ダンパハブ7という経路を介して変速装置の入力軸ISへと伝達される。すなわち、ロックアップの実行中、エンジン(フロントカバー3)からのトルクは、外側スプリングSP1から第1外側スプリング当接部133oを有する第1中間プレート部材13に伝達されると共に第1中間プレート部材13から第2中間プレート部材14に伝達され、第1および第2中間プレート部材13、14の双方を介して内側スプリングSP2に伝達される。
この際、フロントカバー3に入力されるトルクの変動は、主に直列に作用するダンパ装置10の外側スプリングSP1と内側スプリングSP2とにより減衰(吸収)される。従って、発進装置1では、ロックアップクラッチ8によりロックアップが実行されている際に、フロントカバー3に入力されるトルクの変動をダンパ装置10により良好に減衰(吸収)することが可能となる。更に、ロックアップの実行時に、エンジンの回転に伴って当該エンジンからのトルクにより中間部材12が回転すると、第1中間プレート部材13の第2外側スプリング当接部134の何れか(何れか2個)が対応する吸振用スプリングSPdの一端を押圧し、各吸振用スプリングSPdの他端が連結部材21の対応する一対のスプリング当接部214の一方を押圧する。この結果、質量体としてのタービンランナ5、タービンハブ52、連結部材21および複数の吸振用スプリングSPdを含むダイナミックダンパ20がダンパ装置10の中間部材12に連結されることになる。これにより、発進装置1では、ダイナミックダンパ20によっても、エンジンからの振動を減衰(吸収)すること、より詳しくは、振動のピークを2つに分けつつ全体の振動レベルを低下させることが可能となる。
上述のように、発進装置1では、ロックアップクラッチ8によるロックアップが解除された状態で中間部材12を構成する第2中間プレート部材14のストッパ当接部145がダイナミックダンパ20の連結部材21の第1または第2ストッパ部211,212と当接すると、吸振用スプリングSPdの捩れが規制される。そして、この際、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を含むトルクコンバータにより増幅されたトルクがタービンランナ5、連結部材21、捩れが規制された吸振用スプリングSPd、第1中間プレート部材13、および内側スプリングSP2等を含む第1の経路と、タービンランナ5、連結部材21、複数のストッパ当接部145を有する第2中間プレート部材14、および内側スプリングSP2等を含む第2の経路とを介して変速機に伝達される。
従って、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を含むトルクコンバータにより増幅されたトルクと、エンジンの最大トルクとのうちの大きい方が第1および第2中間プレート部材13,14の何れか一方のみを介して内側スプリングSP2に伝達されることはない。すなわち、第1および第2中間プレート部材13,14は、トルクコンバータにより増幅されたトルクやエンジンの最大トルクを分担して内側スプリングSP2に伝達する。これにより、発進装置1では、第1および第2中間プレート部材13,14の双方の厚みの増加を抑制することが可能となり、軸長や重量の増加を良好に抑制することができる。
また、第2中間プレート部材14は、ストッパ当接部145を複数有すると共に、第1中間プレート部材13とタービンランナ5とのダンパ装置10の軸方向における間に配置される。更に、連結部材21は、タービンランナ5のタービンシェル50に固定される環状の固定部210と、第2中間プレート部材14の対応するストッパ当接部145と当接可能となるように固定部210からダンパ装置10の周方向に間隔をおいて軸方向に延出された複数の第1および第2ストッパ部211,212とを有する。また、連結部材21のスプリング当接部214は、複数の第1ストッパ部211から第1中間プレート部材13に向けて軸方向に延出される。これにより、第2中間プレート部材14と連結部材21との接触面積をより一層大きくすることができるので、ストッパ当接部145を含む第3要素間ストッパ22の性能をより向上させると共に、連結部材の第1および第2ストッパ部211,212や第2中間プレート部材14の各ストッパ当接部145の耐久性をより向上させることが可能となる。
更に、連結部材の第1、第2ストッパ部211,212と、第2中間プレート部材14の各ストッパ当接部145とは、上述のように、ロックアップが解除されている際にタービンランナ5から伝達されるトルクがエンジンの最大トルクを上回る前に互いに当接することになる。これにより、エンジンの最大トルクを上回るトルクが第1中間プレート部材13を介して内側スプリングSP2に伝達されないようにして、第1中間プレート部材13の厚みの増加を抑制することが可能となる。
また、外側スプリングSP1と吸振用スプリングSPdとは、タービンランナ5の軸方向および周方向の双方においてオーバーラップするように内側スプリングSP2よりも径方向外側に配置され、連結部材21は、内側スプリングSP2よりも径方向外側でタービンランナ5に固定される。更に、第2中間プレート部材14のストッパ当接部145は、内側スプリングSP2よりも径方向外側で連結部材21の第1または第2ストッパ部211,212と当接するように第2中間プレート部材14に形成される。これにより、ダンパ装置10の外径の増加を抑制して発進装置1の全体をよりコンパクト化すると共に、連結部材21が第2中間プレート部材14とタービンランナ5との軸方向における間を通過しないようにして、ダンパ装置10ひいては発進装置1の軸長の増加をより良好に抑制することが可能となる。
ここまで説明したように、発進装置1は、ロックアップを実行すると共にロックアップを解除するロックアップクラッチ8と、ドライブ部材11、中間部材12およびドリブン部材15を含む複数の回転要素、並びにこれらの回転要素間でトルクを伝達する外側スプリングSP1および内側スプリングSP2(トルク伝達弾性体)を有するダンパ装置10と、質量体としてのタービンランナ5とダンパ装置10の中間部材12との間に配置される吸振用スプリングSPdを有するダイナミックダンパ20とを含む。また、ダイナミックダンパ20の質量体は、タービンランナ5に加えて、タービンランナ5に固定されると共に吸振用スプリングSPdの端部と当接するスプリング当接部214を有する連結部材21を含む。更に、ダンパ装置10の中間部材12は、ロックアップクラッチ8によりロックアップが実行されている際にエンジン(フロントカバー3)からのトルクが伝達されると共に伝達されたトルクを内側スプリングSP2に伝達するように構成された第1中間プレート部材13と、第1中間プレート部材13に一体に回転するように連結されると共に伝達されたトルクを内側スプリングSP2に伝達するように構成された第2中間プレート部材14とを含む。そして、吸振用スプリングSPdは、第1および第2中間プレート部材13,14のうちの第1中間プレート部材13のみと当接し、第2中間プレート部材14は、ロックアップが解除された状態で吸振用スプリングSPdの捩れを規制するように連結部材21と当接するストッパ当接部145を有する。これにより、発進装置1では、第1および第2中間プレート部材13,14の双方の厚みの増加を抑制することが可能となり、軸長や重量の増加を良好に抑制することができる。
なお、ダンパ装置10は、回転要素として第2の中間部材を更に含むと共に、第2弾性体として、中間部材12と第2の中間部材との間に配置されるスプリングと、第2の中間部材とドリブン部材15との間に配置されるスプリングとを更に含むものであってもよい。また、ダイナミックダンパ20がダンパ装置10のドライブ部材(入力要素)11やドリブン部材(出力要素)15に連結される場合には、ドライブ部材(入力要素)11またはドリブン部材(出力要素)15と連結部材21との間に、上述の第1および第2中間プレート部材13,14と連結部材21との間の連結構造が適用されてもよい。
例えば、ダイナミックダンパ20がダンパ装置10のドリブン部材15に連結される場合(図1における二点鎖線参照)、ドリブン部材15は、ロックアップクラッチ8によりロックアップが実行されている際に内側スプリングSP2からのトルクが伝達されると共にダンパハブ7に連結される第1プレート部材と、当該第1プレート部材に一体に回転するように連結されると共にダンパハブ7に連結される第2プレート部材とを含むように構成される。また、吸振用スプリングSPdは、ドリブン部材15の第1プレート部材と当接するように構成され、ドリブン部材15の第2プレート部材には、ロックアップが解除された状態で吸振用スプリングSPdの捩れを規制するように連結部材21と当接するストッパ当接部が形成される。この場合も、トルクコンバータにより増幅されたトルクとエンジンの最大トルクとのうちの大きい方がドリブン部材15の第1および第2プレート部材の何れか一方のみを介してダンパハブ7に伝達されることはない。すなわち、ドリブン部材15の第1および第2プレート部材は、トルクコンバータにより増幅されたトルクやエンジンの最大トルクを分担してダンパハブ7に伝達する。これにより、ドリブン部材15の第1および第2プレート部材の双方の厚みの増加を抑制することが可能となり、発進装置の軸長や重量の増加を良好に抑制することができる。なお、このようにダイナミックダンパがドリブン部材(出力要素)に連結されるダンパ装置では、中間部材(中間要素)が省略されてもよい。
更に、吸振用スプリングSPdの両端部は、ダンパ装置10の取付状態において、連結部材21の一対(2つ)のスプリング当接部214により支持されると共に、それぞれ中間部材12を構成する第1中間プレート部材13の第2外側スプリング当接部134と当接するが、これに限られるものではない。すなわち、ダイナミックダンパ20を構成する吸振用スプリングSPdの数を適宜増やすと共に、連結部材21に互いに隣り合う2つの吸振用スプリングSPdの間で両者の端部と当接するスプリング当接部を設け、当該スプリング当接部を介して隣り合う2つの吸振用スプリングSPdを両側から中間部材12等のスプリング当接部により支持してもよい。これにより、1本の吸振用スプリングSPdを少なくとも一対のスプリング当接部により両側から支持する場合に生じがちな製造交差に起因したガタ、すなわち吸振用スプリングSPdの端部とスプリング当接部との隙間を無くすことができるので、ダイナミックダンパ20をよりスムースに作動させることが可能となる。
また、第1中間プレート部材13の第2外側スプリング当接部134から上記有端スリット134sが省略されてもよい。この場合、ダンパ装置10の取付状態において、第1中間プレート部材13の互いに対をなす2個の第2外側スプリング当接部134の一方は、対応する吸振用スプリングSPdの一端と当接してもよく、当該2個の第2外側スプリング当接部134の他方と当該吸振用スプリングSPdの他端との間には間隔が形成されてもよく、ダンパ装置10の取付状態において、連結部材21の互いに対をなす2個のスプリング当接部214の一方は、上記吸振用スプリングSPdとは反対側で上記2個の第2外側スプリング当接部134の一方と当接してもよく、当該2個のスプリング当接部214の他方は、当該吸振用スプリングSPdの他端と上記2個の第2外側スプリング当接部134の他方との間で両者と当接してもよい。更に、発進装置1において、ステータ6やワンウェイクラッチ60を省略し、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を流体継手として機能させてもよい。
以上説明したように、本発明による発進装置は、トルクコンバータと、原動機に連結された入力部材からトルクが伝達される入力要素、中間要素、変速機の入力軸に連結される出力要素、前記入力要素と前記中間要素との間でトルクを伝達する第1弾性体、および前記中間要素と前記出力要素との間でトルクを伝達する第2弾性体を有するダンパ装置と、前記ダンパ装置を介して前記入力部材と前記変速機の前記入力軸とを連結するロックアップを実行すると共に前記ロックアップを解除するロックアップクラッチと、質量体および前記質量体と前記ダンパ装置の前記中間要素との間に配置される吸振用弾性体を含むダイナミックダンパとを備える発進装置であって、前記ダイナミックダンパの前記質量体は、前記トルクコンバータのタービンランナと、該タービンランナに固定されると共に前記吸振用弾性体の端部と当接する当接部を有する連結部材とを含み、前記中間要素は、前記ロックアップクラッチにより前記ロックアップが実行されている際に前記第1弾性体からのトルクが伝達されると共に前記第2弾性体を介して前記出力要素と連結される第1プレート部材と、前記第1プレート部材に一体に回転するように連結されると共に前記第2弾性体を介して前記出力要素と連結される第2プレート部材とを含み、前記吸振用弾性体は、前記第1および第2プレート部材のうちの該第1プレート部材と当接し、前記第2プレート部材は、前記ロックアップクラッチによる前記ロックアップが解除された状態で前記吸振用弾性体の捩れを規制するように前記連結部材と当接するストッパ当接部を有することを特徴とする。
この発進装置のダイナミックダンパは、質量体として、トルクコンバータのタービンランナと、当該タービンランナに固定されると共に吸振用弾性体の端部と当接する当接部を有する連結部材とを含む。また、ダイナミックダンパが連結されるダンパ装置の中間要素は、ロックアップクラッチによりロックアップが実行されている際に第1弾性体からのトルクが伝達されると共に第2弾性体を介して出力要素と連結される第1プレート部材と、第1プレート部材に一体に回転するように連結されると共に第2弾性体を介して出力要素と連結される第2プレート部材とを含む。更に、ダイナミックダンパの吸振用弾性体は、第1および第2プレート部材のうちの第1プレート部材と当接し、第2プレート部材は、ロックアップクラッチによるロックアップが解除された状態で吸振用弾性体の捩れを規制するように連結部材と当接するストッパ当接部を有する。
かかる発進装置において、ロックアップクラッチによるロックアップが解除された状態でダンパ装置の中間要素を構成する第2プレート部材のストッパ当接部がダイナミックダンパの連結部材と当接すると、吸振用弾性体の捩れが規制される。そして、この際、トルクコンバータにより増幅されたトルクは、タービンランナ、連結部材、捩れが規制された吸振用弾性体、第1プレート部材、第2弾性体および出力要素を含む第1の経路と、タービンランナ、連結部材、ストッパ当接部を有する第2プレート部材、第2弾性体および出力要素を含む第2の経路とを介して変速機に伝達されることになる。従って、トルクコンバータにより増幅されたトルクと原動機の最大トルクとのうちの大きい方が中間要素の第1および第2プレート部材の何れか一方のみを介して第2弾性体に伝達されることはない。すなわち、第1および第2プレート部材は、トルクコンバータにより増幅されたトルクや原動機の最大トルクを分担して第2弾性体に伝達する。これにより、この発進装置では、第1および第2プレート部材の双方の厚みの増加を抑制することが可能となり、軸長や重量の増加を良好に抑制することができる。
また、前記第1プレート部材は、前記タービンランナの径方向に沿って延在して前記吸振用弾性体の端部と当接する当接部を有してもよく、前記連結部材の前記当接部は、前記タービンランナの軸方向に沿って延在するように形成されてもよい。これにより、第1プレートの当接部と連結部材の当接部との双方により吸振用弾性体の端部の中心付近を押すことが可能となり、吸振用弾性体を軸心に沿ってより適正に伸縮させてヒステリシス、すなわち減荷時に当該吸振用弾性体に作用する摩擦力を低減化することが可能となる。
更に、前記連結部材は、少なくとも一部が前記タービンランナの径方向において前記吸振用弾性体とオーバーラップするように該タービンランナに固定されてもよい。これにより、連結部材と吸振用弾性体とをより近接して配置することができるので、連結部材をコンパクト化して、その厚みや重量を低減化することが可能となる。
また、前記第2プレート部材は、前記ストッパ当接部を複数有すると共に、前記第1プレート部材と前記タービンランナとの前記ダンパ装置の軸方向における間に配置されてもよく、前記連結部材は、前記タービンランナのタービンシェルに固定される環状の固定部と、前記第2プレート部材の対応する前記ストッパ当接部と当接可能となるように前記固定部から前記タービンランナの周方向に間隔をおいて前記軸方向に延出された複数のストッパ部とを有してもよく、前記連結部材の前記当接部は、前記複数のストッパ部の何れかから前記第1プレート部材に向けて前記軸方向に延出されてもよい。これにより、第2プレート部材と連結部材との接触面積をより一層大きくすることができるので、ストッパ当接部を含むストッパの性能をより向上させると共に、連結部材のストッパ部や第2プレート部材の各ストッパ当接部の耐久性をより向上させることが可能となる。
更に、前記連結部材の前記当接部は、前記ストッパ部よりも細幅に形成されてもよい。これにより、ストッパ部から延出される連結部材の当接部が遠心力によって径方向外側に拡がってしまうのを良好に抑制することが可能となる。
また、前記連結部材と、前記第2プレート部材の前記ストッパ当接部とは、前記ロックアップが解除されている際に前記タービンランナから伝達されるトルクが前記原動機の最大トルクを上回る前に互いに当接するように形成されてもよい。これにより、原動機の最大トルクを上回るトルクが第1プレート部材を介して第2弾性体に伝達されないようにして、第1プレート部材の厚みの増加を抑制することが可能となる。
更に、前記第1弾性体と前記吸振用弾性体とは、前記タービンランナの軸方向および周方向の双方においてオーバーラップするように前記第2弾性体よりも径方向外側に配置されてもよく、前記連結部材は、前記第2弾性体よりも径方向外側で前記タービンランナに固定されてもよく、前記ストッパ当接部は、前記第2弾性体よりも径方向外側で前記連結部材と当接するように前記第2プレート部材に形成されてもよい。これにより、ダンパ装置の外径の増加を抑制して装置全体をよりコンパクト化すると共に、連結部材が第2プレート部材とタービンランナとの軸方向における間を通過しないようにして、ダンパ装置ひいては発進装置の軸長の増加をより良好に抑制することが可能となる。
また、前記ロックアップクラッチは、クラッチハブ、クラッチドラムおよび複数の摩擦係合プレートを含む多板クラッチであってもよく、前記入力要素は、前記クラッチドラムと、該クラッチドラムに一体に回転するように連結されるドライブプレートとにより構成されてもよく、前記中間要素の前記第1プレート部材は、前記クラッチドラムと前記ドライブプレートとの前記ダンパ装置の軸方向における間に配置されてもよく、前記出力要素は、前記ドライブプレートを回転自在に支持するように前記第1プレート部材と前記第2プレート部材との前記軸方向における間に配置されてもよく、前記第2プレート部材は、前記出力要素と前記タービンランナとの前記軸方向における間に配置されてもよい。
本発明による他の発進装置は、トルクコンバータと、原動機に連結された入力部材からトルクが伝達される入力要素、ハブを介して変速機の入力軸に連結される出力要素、前記入力要素と前記出力要素との間でトルクを伝達するトルク伝達弾性体を有するダンパ装置と、前記ダンパ装置を介して前記入力部材と前記変速機の前記入力軸とを連結するロックアップを実行すると共に前記ロックアップを解除するロックアップクラッチと、質量体および前記質量体と前記ダンパ装置の前記出力要素との間に配置される吸振用弾性体を含むダイナミックダンパとを備える発進装置であって、前記ダイナミックダンパの前記質量体は、前記トルクコンバータのタービンランナと、該タービンランナに固定されると共に前記吸振用弾性体の端部と当接する当接部を有する連結部材とを含み、前記出力要素は、前記ロックアップクラッチにより前記ロックアップが実行されている際に前記トルク伝達弾性体からのトルクが伝達されると共に前記ハブに連結される第1プレート部材と、前記第1プレート部材に一体に回転するように連結されると共に前記ハブに連結される第2プレート部材とを含み、前記吸振用弾性体は、前記第1および第2プレート部材のうちの該第1プレート部材と当接し、前記第2プレート部材は、前記ロックアップクラッチによる前記ロックアップが解除された状態で前記吸振用弾性体の捩れを規制するように前記連結部材と当接するストッパ当接部を有することを特徴とする。
この発進装置では、トルクコンバータにより増幅されたトルクと原動機の最大トルクとのうちの大きい方が出力要素の第1および第2プレート部材の何れか一方のみを介してハブに伝達されることはない。すなわち、第1および第2プレート部材は、トルクコンバータにより増幅されたトルクや原動機の最大トルクを分担してハブに伝達する。これにより、この発進装置においても、第1および第2プレート部材の双方の厚みの増加を抑制することが可能となり、軸長や重量の増加を良好に抑制することができる。
そして、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。