JP2016089632A - ターボチャージャの潤滑油供給機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】流量制御弁の温度上昇を抑制することが可能なターボチャージャの潤滑油供給機構を提供する。
【解決手段】エンジンEに設けられたターボチャージャ6の軸受部41へと潤滑油を供給するターボチャージャ6の潤滑油供給機構1であって、潤滑油を軸受部41へと案内する潤滑油供給油路(圧送油路3及び供給油路42)と、軸受部41から排出される潤滑油を案内する潤滑油排出油路(排出油路43及び戻り油路7)と、前記潤滑油供給油路に設けられると共に、前記潤滑油排出油路と重複しない位置に設けられ、前記潤滑油供給油路を流通する潤滑油の流路を絞ることによって当該潤滑油の流量を調節する流量制御弁100と、を具備した。
【選択図】図1
【解決手段】エンジンEに設けられたターボチャージャ6の軸受部41へと潤滑油を供給するターボチャージャ6の潤滑油供給機構1であって、潤滑油を軸受部41へと案内する潤滑油供給油路(圧送油路3及び供給油路42)と、軸受部41から排出される潤滑油を案内する潤滑油排出油路(排出油路43及び戻り油路7)と、前記潤滑油供給油路に設けられると共に、前記潤滑油排出油路と重複しない位置に設けられ、前記潤滑油供給油路を流通する潤滑油の流路を絞ることによって当該潤滑油の流量を調節する流量制御弁100と、を具備した。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンに設けられたターボチャージャの軸受部へと潤滑油を供給するターボチャージャの潤滑油供給機構の技術に関する。
従来、エンジンに設けられたターボチャージャの軸受部へと潤滑油を供給するターボチャージャの潤滑油供給機構の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1には、オイルポンプにより圧送される潤滑油を軸受部へと供給するための潤滑油供給油路(ターボチャージャ用給油通路)と、軸受部から潤滑油を排出するための潤滑油排出油路(戻り管路)と、軸受部を迂回するように潤滑油供給油路と潤滑油排出油路とを連通するドレン油路(ドレーン通路)と、ドレン油路の中途部に設けられる圧力調整弁と、を具備する潤滑油供給機構が記載されている。
このような構成において、オイルポンプの吐出圧力(ひいては潤滑油供給油路内の圧力)が高くなった場合には、圧力調整弁が開いて潤滑油供給油路内の潤滑油をドレン油路に逃がすことで、潤滑油供給油路内の圧力を所定圧力以下になるように調節している。これによって、潤滑油が軸受部へ過剰に供給されるのを防止することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、オイルポンプは軸受部に供給される潤滑油だけでなく、圧力調整弁を介して逃がされることになる潤滑油も含めた多量の潤滑油を圧送するため、当該オイルポンプの仕事に無駄がある点で不利であった。
そこで、特許文献2においては、潤滑油供給油路の中途部に流量制御弁を設け、当該流量制御弁によって潤滑油供給油路の流路を絞ることで、軸受部へと供給される潤滑油の流量を調節する技術が提案されている。具体的には、潤滑油供給油路を流通する潤滑油の流量は、流量制御弁によって調節される。当該潤滑油は軸受部へと供給され、当該軸受部を潤滑する。軸受部を潤滑した潤滑油は、潤滑油排出油路を介して排出される。
特許文献2に記載の技術によれば、流量制御弁は、オイルポンプの吐出圧力が高くなる(すなわち、エンジンの回転数が高くなる)のに応じて潤滑油供給油路の流路を絞ることができる。従って、エンジンが高回転数で回転している状態であっても、潤滑油供給油路を流通する潤滑油の量を略一定に制限することができる。これによって、過剰な潤滑油が軸受部へ供給されるのを防止しながら、オイルポンプの仕事の低減を図ることが可能となる。
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、潤滑油排出油路は流量制御弁と重複するように(流量制御弁の本体(ハウジング)に形成された貫通孔を通るように)形成されている。このため、軸受部を潤滑して高温になった潤滑油は、流量制御弁を介して排出されることになる。これによって、流量制御弁の温度が上昇し、オイルコーキングが発生するおそれがある点で不利であった。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、流量制御弁の温度上昇を抑制することが可能なターボチャージャの潤滑油供給機構を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、エンジンに設けられたターボチャージャの軸受部へと潤滑油を供給するターボチャージャの潤滑油供給機構であって、潤滑油を前記軸受部へと案内する潤滑油供給油路と、前記軸受部から排出される潤滑油を案内する潤滑油排出油路と、前記潤滑油供給油路に設けられると共に、前記潤滑油排出油路と重複しない位置に設けられ、前記潤滑油供給油路を流通する潤滑油の流路を絞ることによって当該潤滑油の流量を調節する流量制御弁と、を具備するものである。
請求項2においては、前記流量制御弁は前記エンジンに設けられるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、流量制御弁の温度上昇を抑制することができる。
請求項2においては、流量制御弁の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
まず、図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る潤滑油供給機構1全体の構成を説明する。
潤滑油供給機構1は、エンジンEに設けられたターボチャージャ6(より詳細には、当該ターボチャージャ6の軸受部41)へと潤滑油を供給するためのものである。潤滑油供給機構1は、主としてオイルパン2、圧送油路3、オイルポンプ4、オイルフィルタ5、流量制御弁100、ターボチャージャ6(より詳細には、当該ターボチャージャ6のうち潤滑油が流通する経路を成す部分)及び戻り油路7により構成される。
オイルパン2は、潤滑油を貯溜するものである。
圧送油路3は、オイルパン2に貯溜された潤滑油をターボチャージャ6へと案内するものである。圧送油路3の一端は、オイルパン2に接続される。当該圧送油路3の一端には、オイルストレーナ3aが設けられる。圧送油路3の他端は、ターボチャージャ6(より詳細には、後述するベアリングハウジング40の供給油路42)に接続される。
オイルポンプ4は、潤滑油を圧送するものである。オイルポンプ4は、圧送油路3の中途部に設けられる。オイルポンプ4は、エンジンEの回転に応じて駆動される。エンジンEの回転数の増減に応じて、オイルポンプ4から吐出される潤滑油の量(吐出量)が増減する。
オイルフィルタ5は、潤滑油中の異物を取り除くものである。オイルフィルタ5は、圧送油路3の中途部(オイルポンプ4よりも下流側)に設けられる。
流量制御弁100は、流通する潤滑油の流量を調節するものである。流量制御弁100は、圧送油路3の中途部(オイルフィルタ5よりも下流側)に設けられる。
なお、流量制御弁100の具体的な構成については後述する。
なお、流量制御弁100の具体的な構成については後述する。
ターボチャージャ6は、エンジンEのシリンダに圧縮空気を送り込むものである。ターボチャージャ6においては、コンプレッサホイール20とタービンホイール30とがシャフト10によって連結される。当該シャフト10はベアリングハウジング40の軸受部41において回転可能に支持される。
ベアリングハウジング40には供給油路42及び排出油路43が形成される。供給油路42の一端(外側の端部)は前述の通り圧送油路3の他端に接続され、供給油路42の他端(内側の端部)は軸受部41に接続される。排出油路43の一端(内側の端部)は軸受部41に接続され、排出油路43の他端(外側の端部)は後述する戻り油路7の一端に接続される。
なお、ターボチャージャ6の具体的な構成については後述する。
なお、ターボチャージャ6の具体的な構成については後述する。
戻り油路7は、ターボチャージャ6から排出される潤滑油をオイルパン2へと案内するものである。戻り油路7の一端は、ターボチャージャ6(より詳細には、ベアリングハウジング40の排出油路43)に接続される。戻り油路7の他端は、オイルパン2に接続される。
戻り油路7は、流量制御弁100と重複しないように形成されている。言い換えれば、戻り油路7は、流量制御弁100と離間するように形成されている。これにより、戻り油路7によって案内される潤滑油が、流量制御弁100内を通過することはない。また、これによって、流量制御弁100に、戻り油路7内を介して排出される潤滑油を案内するための油路(例えば、貫通孔等)を形成する必要がない。
ここで、エンジンEは、上記オイルパン2、オイルポンプ4、オイルフィルタ5及び流量制御弁100を具備している。また、エンジンEは、その他に、シリンダブロック、シリンダヘッド、クランクケース8(図4参照)、ヘッドカバー、ピストン、コンロッド、クランクシャフト、カムシャフト、吸気弁、排気弁等を具備している。また、ターボチャージャ6は、エンジンEの外部に取り付けられている。
このように構成された潤滑油供給機構1において、エンジンEの回転に応じてオイルポンプ4が駆動すると、当該オイルポンプ4によってオイルパン2内の潤滑油が圧送油路3を介してターボチャージャ6へと圧送される。当該潤滑油は、流量制御弁100によって適宜流量を調節されながらターボチャージャ6へと案内されることになる。さらに当該潤滑油は、供給油路42を介してベアリングハウジング40の軸受部41へと案内される。当該軸受部41を潤滑した潤滑油は、排出油路43及び戻り油路7を介してオイルパン2へと戻される。
なお、本実施形態においては特に言及しないが、オイルポンプ4によって圧送された潤滑油は、図示せぬ他の油路を介してエンジンEの各部(その他の潤滑部位)へも供給され、当該エンジンEの各部を適宜潤滑する。
次に、図2及び図3を用いて、ターボチャージャ6の構成について説明する。
ターボチャージャ6は、エンジンEのシリンダに圧縮空気を送り込むためのものである。ターボチャージャ6は、主としてシャフト10、コンプレッサホイール20、タービンホイール30、ベアリングハウジング40、すべり軸受60、スラストカラー70及びスラスト軸受90を具備する。
シャフト10は、後述するコンプレッサホイール20とタービンホイール30とを連結するものである。シャフト10は、その長手方向(軸線方向)を前後方向へ向けて配置される。
コンプレッサホイール20は、複数の羽根を有し、回転駆動されることによって空気を圧縮するものである。コンプレッサホイール20は、シャフト10の後端部に固定される。
タービンホイール30は、複数の羽根を有し、エンジンEからの排気を受けて回転することで駆動力を発生させるものである。タービンホイール30は、シャフト10の前端部に一体的に形成される。
ベアリングハウジング40は、シャフト10を間接的に回転可能に支持する略箱状の部材である。ベアリングハウジング40の底面は平ら(平面状)に形成される。ベアリングハウジング40の下部には、オイルパイプアッシ40aが設けられる。
オイルパイプアッシ40aは、略板状の部材とパイプからなる部材である。オイルパイプアッシ40aの上面(フランジ部)は平ら(平板状)に形成される。オイルパイプアッシ40aは、その上面をガスケットを介してベアリングハウジング40の底面と当接させた状態で、ボルト等によってベアリングハウジング40に固定される。当該オイルパイプアッシ40aによって、圧送油路3及び戻り油路7の一部が形成される。
また、ベアリングハウジング40には、軸受部41、供給油路42及び排出油路43が形成される。
軸受部41は、シャフト10を間接的に回転可能に支持する部分である。軸受部41は円形断面を有し、ベアリングハウジング40を前後方向に貫通するように形成される。
供給油路42は、圧送油路3を介して供給される潤滑油を軸受部41へと案内するためのものである。すなわち、圧送油路3及び供給油路42によって、オイルポンプ4から圧送される潤滑油を軸受部41へと案内するための油路が形成される。供給油路42は、ベアリングハウジング40の下面から上方に向かって形成される。供給油路42の一端(下端)は圧送油路3の他端に接続される。供給油路42の他端(上端)は、前後に分岐されて軸受部41の前端部及び後端部にそれぞれ接続される。
排出油路43は、潤滑油を軸受部41から排出するためのものである。排出油路43は、供給油路42の左方において、ベアリングハウジング40の下面から上方に向かって形成される。排出油路43の一端(上端)は適宜に分岐されて軸受部41の前端部、後端部及び前後中途部にそれぞれ接続される。排出油路43の他端(下端)は戻り油路7の一端に接続される。排出油路43内の圧力は大気圧となるように開放されている。
すべり軸受60は、シャフト10を回転可能に支持する略円筒状の軸受である。すべり軸受60は、ベアリングハウジング40の軸受部41の前端部及び後端部(供給油路42と対向する部分)にそれぞれ配置される。当該すべり軸受60にはシャフト10が挿通される。
スラストカラー70は略円筒状に形成され、前後方向に向けて配置される。スラストカラー70にはシャフト10が挿通される。スラストカラー70は、シャフト10に対して相対回転不能となるように固定される。スラストカラー70の前後中途部にはスラスト軸受90が外嵌される。スラスト軸受90は、軸受部41の後方においてベアリングハウジング40と接するように配置される。このようにして、スラスト軸受90はシャフト10に加わる軸線方向の荷重を受けることになる。
以下では、図4を用いて、流量制御弁100の構成について説明する。
流量制御弁100は、圧送油路3を流通する潤滑油の圧力に基づいて当該潤滑油の流路の面積(流路面積)を変更することによって当該潤滑油の流量を調節するものである。流量制御弁100は、その長手方向(軸線方向)を左右方向へ向けて配置される。流量制御弁100は、主として弁本体110、スプール120、調圧部材130及びスプリング140を具備する。
弁本体110は、内部を潤滑油が流通可能な部材である。弁本体110は、略円筒状に形成される。弁本体110は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。弁本体110は、エンジンEのクランクケース8に挿通された状態で取り付けられる。弁本体110の左端部は、クランクケース8の内部空間(図4におけるクランクケース8の左側の空間)に面するように配置される。弁本体110の右端部は、クランクケース8の外部空間(図4におけるクランクケース8の右側の空間)に面するように配置される。弁本体110には、摺動部111、第一ポート112、第二ポート113、連通油路114及びめねじ部115が形成される。
摺動部111は、弁本体110の内部を長手方向に貫通するように形成される孔である。摺動部111は円形断面を有するように形成される。摺動部111の一端部(右端部)は、適宜閉塞部材によって閉塞される。
第一ポート112は、摺動部111と弁本体110の外部とを連通するように形成される孔である。第一ポート112は、流量制御弁100の上流側の油路(圧送油路3)と対向する位置に形成され、当該上流側の油路に連通される。より詳細には、第一ポート112は、クランクケース8に形成されたメインオイルホール8aと対向する位置に形成される。当該メインオイルホール8aは、圧送油路3の一部を形成する油路である。
第二ポート113は、摺動部111と弁本体110の外部とを連通するように形成される孔である。第二ポート113は、流量制御弁100の下流側の油路(圧送油路3)と対向する位置に形成され、当該下流側の油路に連通される。
連通油路114は、摺動部111の右端部近傍と流量制御弁100の下流側の油路(圧送油路3)とを連通するように形成される。
めねじ部115は、弁本体110の他端部(左端部)近傍に形成される。めねじ部115は、摺動部111と同一軸線上の孔の内側にねじを切ることで形成される。
スプール120は、流量制御弁100を流通する潤滑油の流路を適宜に絞るためのものである。スプール120は略円柱状の部材である。スプール120は、その長手方向を左右方向に向けて、弁本体110の摺動部111の内部に配置される。より詳細には、スプール120は、弁本体110の摺動部111の右端部近傍から左端部近傍に亘って配置される。スプール120には、第一拡径部121、第二拡径部122及び突出部123が形成される。
第一拡径部121は、その径が他の部分よりも大きくなるように形成される部分である。第一拡径部121は、スプール120の左端部近傍に形成される。第一拡径部121の径(外径)は、弁本体110の摺動部111の径(内径)と略同一となるように形成される。
第二拡径部122は、その径が他の部分よりも大きくなるように形成される部分である。第二拡径部122は、スプール120の右端部近傍に、第一拡径部121と所定距離だけ離間して形成される。第二拡径部122の径(外径)は、弁本体110の摺動部111の径(内径)と略同一となるように形成される。
また、第二拡径部122は、弁本体110の第一ポート112の一部と対向する位置に形成される。すなわち、第一ポート112は、第二拡径部122によってその一部が閉塞された(絞られた)状態になる。
突出部123は、略円柱状に形成される部分である。突出部123は、第一拡径部121の左端面から左方に向けて突出するように形成される。突出部123の径は、第一拡径部121の径よりも小さくなるように形成される。
このように構成されたスプール120の第一拡径部121及び第二拡径部122が弁本体110の摺動部111に対して左右方向に摺動可能に接することにより、当該スプール120が弁本体110の摺動部111の内部において左右方向に摺動可能となるように配置される。また、スプール120が左右方向に摺動することによって、弁本体110の第一ポート112の第二拡径部122による閉塞具合(絞り具合)が変化する。すなわち、当該第一ポート112の開口面積(第一ポート112を流通する潤滑油の流路面積)が変更される。
調圧部材130は、後述するスプリング140を左方から支持すると共に、スプリング140によってスプール120に加えられる付勢力を調節するためのものである。調圧部材130は、スプール120の左方に配置される。調圧部材130には、本体部131、突出部132及び連通孔133が形成される。
本体部131は、略円柱状に形成される部分である。本体部131は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。本体部131には、その外周面の左端部から右端部に亘ってねじ(おねじ)が形成される。
突出部132は、略円柱状に形成される部分である。突出部132は、本体部131の右端面から右方に向けて突出するように形成される。突出部132の径は、本体部131の径よりも小さくなるように形成される。また突出部132の径は、スプール120の突出部123の径と略同一になるように形成される。
連通孔133は、調圧部材130を左右に貫通するものである。連通孔133は、本体部131の左端面と、突出部132の右端面と、を連通するように形成される。
このように構成された調圧部材130は、本体部131が弁本体110のめねじ部115にねじ込まれることで、当該弁本体110に固定される。また、本体部131をめねじ部115の任意の位置までねじ込むことで、調圧部材130の左右方向の位置を任意に調節することができる。
スプリング140は、圧縮されることで弾性エネルギーを蓄積する圧縮コイルスプリングである。スプリング140は、スプール120と調圧部材130との間に配置される。
具体的には、スプリング140の左端は、調圧部材130の本体部131の右端面によって受けられる。スプリング140の右端は、スプール120の第一拡径部121の左端面によって受けられる。このようにして、スプリング140はスプール120を右方に向かって所定の力で付勢する。この際、スプリング140の右端部にはスプール120の突出部123が挿通されると共に、スプリング140の左端部には調圧部材130の突出部132が挿通される。これによって、スプリング140の姿勢が崩れないように保持されている。
このように構成された流量制御弁100において、スプール120の第一拡径部121、第二拡径部122及び弁本体110の摺動部111によって囲まれた部分に、潤滑油が満たされる第一油室R1が形成される。また、スプール120の第二拡径部122及び弁本体110の摺動部111によって囲まれた部分に、潤滑油が満たされる第二油室R2が形成される。
第一油室R1と第二油室R2とは、スプール120の第二拡径部122によって区画されると共に、連通油路114及び第二ポート113によって接続されることになる。
次に、図1から図4までを用いて、潤滑油の供給態様(潤滑油が軸受部41に供給された後、排出される様子)について具体的に説明する。
前述の如く、オイルポンプ4(図1参照)によって圧送された潤滑油は、オイルフィルタ5を介して流量制御弁100へと供給される。当該潤滑油は、弁本体110の第一ポート112を介して第一油室R1内へと供給される(図4参照)。当該第一油室R1内の潤滑油は、第二ポート113から吐出されてターボチャージャ6の供給油路42へと供給される(図1参照)。この際、流量制御弁100を流通する潤滑油の流量は、当該流量制御弁100によって調節される。
供給油路42へと供給された潤滑油は、当該供給油路42に案内されてベアリングハウジング40の軸受部41へと供給される(図2及び図3参照)。軸受部41へと供給された潤滑油は、当該軸受部41(特に、すべり軸受60)を潤滑する。軸受部41を潤滑する潤滑油は、ターボチャージャ6の熱や、軸受部41における摩擦によって発生する熱によって高温になる。軸受部41を潤滑して高温になった潤滑油は、当該軸受部41の前端部、後端部及び前後中途部から排出油路43へと流出する。当該潤滑油は、排出油路43及び戻り油路7を介してオイルパン2へと戻される(図1参照)。
この際、排出油路43及び戻り油路7によって案内される高温の潤滑油は、流量制御弁100を流通することがない。このため、高温になった潤滑油の熱によって、流量制御弁100の温度の上昇が促されることはない。
次に、図4及び図5を用いて、流量制御弁100によって当該流量制御弁100を流通する潤滑油の流量が調節される様子について説明する。
流量制御弁100(流量制御弁100の第二ポート113)を流通する潤滑油の流量は、第二拡径部122によって第一ポート112が絞られた部分(絞り)の後とターボチャージャ6の軸受部41(図1等参照)の後(大気圧)との圧力の差(差圧)、すなわち、流量制御弁100の下流側と大気圧との差圧に応じて変化する。流量制御弁100は、当該流量制御弁100の下流側の油圧が所定の圧力に達すると、当該差圧が略一定となるように絞りを調節する。以下、具体的に説明する。
エンジンEが始動し、その回転数(以下、「エンジン回転数N」と称する)が上昇すると、オイルポンプ4の回転数が上昇し、流量制御弁100へと供給される潤滑油の量も増加する。エンジン回転数Nが低い場合には、スプリング140によってスプール120が右方へと押され、第一ポート112の開口面積は広く確保されている。このため、エンジン回転数Nの増加に伴って流量制御弁100の下流側の油圧(以下、「下流側油圧P」と称する)も上昇する。
ここで、下流側油圧Pは、連通油路114を介して第二油室R2にも付与されている。従って、さらにエンジン回転数Nが増加して下流側油圧P(すなわち、第二油室R2内の油圧)が高くなると、スプリング140の付勢力に抗してスプール120が左方へと摺動されることになる。これによって、第一ポート112の開口面積が小さく絞られる。
このように、エンジン回転数Nが所定の値(図5におけるN1)まで増加して、下流側油圧Pが所定の値(図5におけるP1)に達した後は、当該流量制御弁100を流通する潤滑油の流量が制限されるため、当該下流側油圧Pの増加量が著しく低下する(ごく少量になる)ことになる。これによって、流量制御弁100の下流側へと供給される潤滑油の流量を調節(制限)することができる。これによって、軸受部41への過剰な潤滑油の供給を防止することができる。軸受部41への潤滑油の供給量を削減することで、当該軸受部41における摩擦損失の低減を図ることができる。
また、軸受部41への潤滑油の供給量の削減に伴って、オイルポンプ4の仕事の低減を図ることができる。これによって、当該オイルポンプ4の小型化や燃費の向上を図ることができる。
また、本実施形態に係る流量制御弁100においては、調圧部材130の連通孔133によって、当該調圧部材130の右方の空間(スプール120の第一拡径部121、調圧部材130及び弁本体110によって囲まれた部分)と、クランクケース8の内部空間とが連通されている。これによって、調圧部材130の右方の空間内を、連通孔133を介して大気圧に開放することができる。このため、当該調圧部材130の右方の空間内の圧力によってスプール120の摺動が阻害されることがない。
なお、潤滑油の流量が制限されることになる下流側油圧Pの値(所定の値P1)は、調圧部材130の位置を変更したり、スプリング140を特性の異なるものに変更したりすることで任意に設定することができる。
また、図5には、上述のような潤滑油の流量の制限が行われなかったと想定した場合の下流側油圧Pを、破線で示している。
以上の如く、本実施形態に係るターボチャージャ6の潤滑油供給機構1は、エンジンEに設けられたターボチャージャ6の軸受部41へと潤滑油を供給するターボチャージャ6の潤滑油供給機構1であって、潤滑油を軸受部41へと案内する潤滑油供給油路(圧送油路3及び供給油路42)と、軸受部41から排出される潤滑油を案内する潤滑油排出油路(排出油路43及び戻り油路7)と、前記潤滑油供給油路に設けられると共に、前記潤滑油排出油路と重複しない位置に設けられ、前記潤滑油供給油路を流通する潤滑油の流路を絞ることによって当該潤滑油の流量を調節する流量制御弁100と、を具備するものである。
このように構成することにより、流量制御弁100の温度上昇を抑制することができる。具体的には、軸受部41から排出される高温の潤滑油の熱による流量制御弁100の温度上昇を抑制することができる。これによって、当該流量制御弁100におけるオイルコーキングの発生を抑制することができる。
また、このように、流量制御弁100は前記潤滑油排出油路(排出油路43及び戻り油路7)と重複しないように配置されているため、当該流量制御弁100に、潤滑油排出油路を介して排出される潤滑油を案内する油路(例えば、貫通孔等)を形成する必要がない。これによって、流量制御弁100のコンパクト化を図ることができる。
このように構成することにより、流量制御弁100の温度上昇を抑制することができる。具体的には、軸受部41から排出される高温の潤滑油の熱による流量制御弁100の温度上昇を抑制することができる。これによって、当該流量制御弁100におけるオイルコーキングの発生を抑制することができる。
また、このように、流量制御弁100は前記潤滑油排出油路(排出油路43及び戻り油路7)と重複しないように配置されているため、当該流量制御弁100に、潤滑油排出油路を介して排出される潤滑油を案内する油路(例えば、貫通孔等)を形成する必要がない。これによって、流量制御弁100のコンパクト化を図ることができる。
また、流量制御弁100はエンジンEに設けられるものである。
このように構成することにより、流量制御弁100の温度上昇をより効果的に抑制することができる。すなわち、ターボチャージャ6の熱による流量制御弁100の温度上昇を抑制することができる。
このように構成することにより、流量制御弁100の温度上昇をより効果的に抑制することができる。すなわち、ターボチャージャ6の熱による流量制御弁100の温度上昇を抑制することができる。
なお、本実施形態に係る圧送油路3及び供給油路42は、本発明に係る潤滑油供給油路の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る排出油路43及び戻り油路7は、本発明に係る潤滑油排出油路の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る排出油路43及び戻り油路7は、本発明に係る潤滑油排出油路の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態に係る流量制御弁100は、エンジンEに設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明に係る流量制御弁は、軸受部から排出される潤滑油を案内する潤滑油排出油路と重複しない位置に設けられていれば良い。本発明に係る流量制御弁は、ターボチャージャ6(供給油路42の中途部)に設ける構成とすることも可能である。また、本発明に係る流量制御弁は、エンジンE及びターボチャージャ6の外部に設ける構成とすることも可能である。本発明に係る流量制御弁を、エンジンEの振動の影響が少ない位置(例えば、エンジンEを具備する自動車本体等)に固定することで、当該振動に基づく流量制御弁の不具合の発生を抑制することもできる。
また、本発明に係る流量制御弁の構成は、本実施形態に係る流量制御弁100の構成に限るものではない。すなわち、本発明に係る流量制御弁の構成(形状等)は、任意に決定することが可能である。
また、本発明に係るターボチャージャの構成は、本実施形態に係るターボチャージャ6の構成に限るものではない。すなわち、本発明に係るターボチャージャの構成(形状等)は、任意に決定することが可能である。
1 潤滑油供給機構
3 圧送油路(潤滑油供給油路)
6 ターボチャージャ
7 戻り油路
40 ベアリングハウジング
41 軸受部
42 供給油路
43 排出油路
3 圧送油路(潤滑油供給油路)
6 ターボチャージャ
7 戻り油路
40 ベアリングハウジング
41 軸受部
42 供給油路
43 排出油路
Claims (2)
- エンジンに設けられたターボチャージャの軸受部へと潤滑油を供給するターボチャージャの潤滑油供給機構であって、
潤滑油を前記軸受部へと案内する潤滑油供給油路と、
前記軸受部から排出される潤滑油を案内する潤滑油排出油路と、
前記潤滑油供給油路に設けられると共に、前記潤滑油排出油路と重複しない位置に設けられ、前記潤滑油供給油路を流通する潤滑油の流路を絞ることによって当該潤滑油の流量を調節する流量制御弁と、
を具備するターボチャージャの潤滑油供給機構。 - 前記流量制御弁は前記エンジンに設けられる、
請求項1に記載のターボチャージャの潤滑油供給機構。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014220859A JP2016089632A (ja) | 2014-10-29 | 2014-10-29 | ターボチャージャの潤滑油供給機構 |
PCT/JP2015/079445 WO2016067955A1 (ja) | 2014-10-29 | 2015-10-19 | ターボチャージャの潤滑油供給機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014220859A JP2016089632A (ja) | 2014-10-29 | 2014-10-29 | ターボチャージャの潤滑油供給機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016089632A true JP2016089632A (ja) | 2016-05-23 |
Family
ID=55857296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2014220859A Pending JP2016089632A (ja) | 2014-10-29 | 2014-10-29 | ターボチャージャの潤滑油供給機構 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022054816A1 (ja) * | 2020-09-11 | 2022-03-17 | いすゞ自動車株式会社 | 内燃機関の潤滑装置 |
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JPH02173323A (ja) * | 1988-12-26 | 1990-07-04 | Hitachi Ltd | 過給機の潤滑装置 |
JPH06323157A (ja) * | 1993-05-13 | 1994-11-22 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | ターボチャージャの潤滑油量調整装置 |
JP2009133236A (ja) * | 2007-11-29 | 2009-06-18 | Toyota Motor Corp | ターボ過給機付内燃機関の潤滑装置 |
-
2014
- 2014-10-29 JP JP2014220859A patent/JP2016089632A/ja active Pending
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2015
- 2015-10-19 WO PCT/JP2015/079445 patent/WO2016067955A1/ja active Application Filing
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Legal Events
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