JP2016089621A - ドアチェック装置 - Google Patents

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Katsunori Sakimoto
克紀 崎元
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Abstract

【課題】 ロッド部材が流体封入空間を貫通することによらずに作動室の体積補償を行うことができるフリーストップドアチェック装置を提供すること。【解決手段】 ドアチェック装置100は、作動室Sが形成された第1シリンダ部分8と、ロッド部材3に取り付けられ作動室Sを第1作動空間S1と第2作動空間S2とに区画する第1ピストン部材4と、体積補償室Pが内部に形成された第2シリンダ部分9と、体積補償室P内に配設され体積補償室Pを第1体積補償空間P1と第2体積補償空間P2とに区画する第2ピストン部材5と、第1作動空間S1と第1体積補償空間P1とを連通する第1シリンダ間接続通路21と、第2作動空間S2と第2体積補償空間P2とを連通する第2シリンダ間接続通路22とを備える。体積補償室P内を第2ピストン部材5が移動する際に、第1体積補償空間P1の容積変化量が第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さくされる。【選択図】 図3

Description

本発明は、ドアチェック装置に関する。
ドアチェック装置は、ドアの開閉動作に対する抵抗力(以下、この力を保持力と呼ぶ)を発生するように構成される。保持力よりも強い操作力をドアに入力することにより、ドアが開閉する。ドアチェック装置は例えば車両に搭載される。この場合、ドアチェック装置は、乗員の乗降りのための開口を有する車体と、その開口を開閉可能に車体に取り付けられる車両ドアとの間に設けられる。車両にドアチェック装置を搭載することによって、例えば坂道にて車両ドアを所定の開度で開放している時に車両ドアが意に反して閉じてしまったり、或いは風などに煽られて車両ドアが所望の開度からさらに大きく開いてしまう等の、車両ドアの意に反する開閉動作が防止できる。
一般的なドアチェック装置は、車両ドアが所定の開度で開いているときに大きな保持力を発生し、それ以外の開度で開いているときに保持力が小さくなるように、構成される。例えば、車両ドアの開度が30°および60°であるときに大きな保持力が発生するように、ドアチェック装置が構成される。しかし、乗員の体格、車両の周囲環境(例えば隣接する車両との間の距離)により、大きな保持力を発生させるべき最適な車両ドアの開度は異なる。そこで、ユーザが車両ドアの開閉動作を停止した任意の開度位置で大きな保持力を発生させることができるドアチェック装置(以下、このようなドアチェック装置を、フリーストップドアチェック装置と呼ぶこともある)が求められる。
特許文献1は、フリーストップドアチェック装置に利用可能な固定装置を開示する。この固定装置は、シリンダ部材と、ロッド部材と、ピストン部材と、バルブ部材とを備える。シリンダ部材の内部には、オイルのような非圧縮性流体が封入される作動室が形成される。ピストン部材は作動室内に配設され、作動室内の空間を第1作動空間と第2作動空間とに液密的に区画する。また、ピストン部材の内部に第1作動空間と第2作動空間とを連通する通路が形成される。ロッド部材はシリンダ部材に進入可能及びシリンダ部材から退出可能に構成されるとともに、シリンダ部材内にてピストン部材に接続される。バルブ部材はピストン部材に形成された通路の途中に配設される。
特許文献1に記載の固定装置をフリーストップドアチェック装置として利用する場合、ロッド部材が本体(ドアが取り付けられる物体)側に接続され、シリンダ部材がドア側に取り付けられる。ドアの開閉動作が停止しているときには、バルブ部材の開弁圧が保持力としてドアに作用する。ドアを開閉動作させると、ロッド部材及びピストン部材がシリンダ部材の作動室内にて軸方向に相対移動する。これにより、第1作動空間と第2作動空間との圧力差が大きくされる。この圧力差がバルブ部材の開弁圧を上回ったときにバルブ部材が開く。バルブ部材が開いた場合、ピストン部材に形成された通路を通って流体が流れる。通路内を流体が流れることにより、ドアの開閉動作が継続される。このときロッド部材及びピストン部材が作動室内を軸方向移動する。また、ドアの開閉動作を停止すると、バルブ部材が閉じる。このため大きな開弁圧が再びドアに作用する。このように、任意の開度位置で大きな保持力が発生される。
特許3670310号明細書
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載の固定装置を用いたフリーストップドアチェック装置によれば、作動室に進入し或いは作動室から退出するロッド部材によって作動室内の空間の容積が変化しないように、ロッド部材が作動室を貫通している。ロッド部材が作動室を貫通していれば、作動室内へのロッド部材の進入容積と作動室からのロッド部材の退出容積が等しいため、作動室内の空間の容積が変化しない。つまり、ロッド部材が作動室を貫通することにより、作動室内の空間の容積の変化の補償、すなわち作動室の体積補償がなされる。しかしながら、このような構成では、ロッド部材の全長を作動室を貫通する程度に長くしなければならず、それ故に装置が大型化する。よって、ドア内部でロッド部材の先端(作動室を貫通した先の部分)が他の部品(例えばドア内に配設されたウィンドウレギュレータ装置)と干渉する虞がある。
本発明は、ロッド部材が作動室を貫通することによらずに作動室の体積補償がなされ、それ故にコンパクトに構成することができるフリーストップドアチェック装置を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、ドア(DR)に揺動可能に取り付けられ、非圧縮性流体が充填された作動室(S)が内部に形成されるとともに、作動室内の空間に連通するロッド挿通孔(81a)が形成されたロッド挿通壁(81)を有する第1シリンダ部材(8,8a)と、ドアが揺動可能に取り付けられる本体(B)に揺動可能に連結され、作動室を貫通しないようにロッド挿通孔を経由して作動室内に挿通されるとともに、本体に対するドアの揺動動作に伴って作動室内を軸方向移動するロッド部材(3)と、ロッド部材に取り付けられ、ロッド部材の軸方向移動に伴って作動室内を移動するように作動室内に配設されるとともに、作動室内の空間を、ロッド挿通壁に面する第1作動空間(S1)とロッド挿通壁に面しない第2作動空間(S2)とに区画する第1ピストン部材(4)と、非圧縮性流体が充填された体積補償室(P)が内部に形成された第2シリンダ部材(9,9a)と、体積補償室内に移動可能に配設されるとともに、体積補償室内の空間を第1体積補償空間(P1)と第2体積補償空間(P2)とに区画する第2ピストン部材(5)と、を有し、第2ピストン部材が体積補償室内を移動する際に第1体積補償空間の容積の変化量が第2体積補償空間の容積の変化量よりも小さくなるように構成される体積補償部材(5,9,9a)と、第1作動空間と第1体積補償空間とを連通する第1連通路(21,25)と、第2作動空間と第2体積補償空間とを連通する第2連通路(22,26)と、第1作動空間の圧力と第2作動空間の圧力との圧力差の大きさが所定の開弁圧よりも大きいときに、第1連通路を介した第1作動空間と第1体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通及び第2連通路を介した第2作動空間と第2体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通を許可し、圧力差の大きさが所定の開弁圧以下であるときに、第1連通路を介した第1作動空間と第1体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通及び第2連通路を介した第2作動空間と第2体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通を遮断するように構成される弁部材(6)と、を備える、ドアチェック装置を提供する。
この場合、体積補償部材(5,9,9a)は、第2ピストン部材が第1体積補償空間の容積を減少し且つ第2体積補償空間の容積を増加するように体積補償室内を移動したときにおける第1体積補償空間の容積の減少量が第2体積補償空間の容積の増加量よりも少なく、第2ピストン部材が第1体積補償空間の容積を増加し且つ第2体積補償空間の容積を減少するように体積補償室内を移動したときにおける第1体積補償空間の容積の増加量が第2体積補償空間の容積の減少量よりも少なくなるように、構成されるとよい。
本発明によれば、ドアの開閉操作力がロッド部材に伝えられた場合、第1ピストン部材により区画されている第1作動空間の圧力と第2作動空間の圧力との圧力差が生じる。斯かる圧力差に基づいて弁部材が作動することにより、第1作動空間と第1体積補償空間との間、及び、第2作動空間と第2体積補償空間との間を、非圧縮性流体が流通する。このようにして非圧縮性流体が流れることにより、ドアの開閉動作が可能になるとともに、ドアの開閉動作に伴ってロッド部材が作動室内を軸方向移動する。また、ドアの開閉動作が任意の開度位置で停止した場合、弁部材により、第1作動空間と第1体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通、及び、第2作動空間と第2体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通が遮断される。このとき、所定の開弁圧相当の保持力がドアに作用する。このように、本発明に係るドアチェック装置は、ドアの任意の開度位置で大きな保持力を発生することができるように構成される。すなわち、本発明に係るドアチェック装置は、フリーストップドアチェック装置である。
また、本発明に係るドアチェック装置において、例えばロッド部材が作動室内に進入した場合、作動室内の空間容積(非圧縮性流体が存在することができる容積)は、ロッド部材の進入量だけ減少する。また、ロッド部材の作動室への進入に伴い第1ピストン部材が第2作動空間側に向かって移動するため、第2作動空間内の非圧縮性流体が第1ピストン部材に押され、第2連通路を介して第2シリンダ部材内の第2体積補償空間に流入する。これにより体積補償室内の第2ピストン部材が第1体積補償空間側に向かって移動する。第2ピストン部材が第1体積補償空間側に向かって移動した場合、第1体積補償空間の容積が減少するとともに第2体積補償空間の空間容積が増加する。ここで、体積補償部材は、第2ピストン部材が体積補償室内を移動する際に第1体積補償空間の容積の変化量が第2体積補償空間の容積の変化量よりも小さくなるように構成されている。具体的には、体積補償部材は、第2ピストン部材が第1体積補償空間の容積を減少し且つ第2体積補償空間の容積を増加するように体積補償室内を移動した際には、第1体積補償空間の容積の減少量が第2体積補償空間の容積の増加量よりも少なくなるように構成されている。従って、第2ピストン部材が第1体積補償空間の容積を減少し且つ第2体積補償空間の容積を増加するように体積補償室内を移動した場合、体積補償室内の空間の容積は増加する。
つまり、ロッド部材が作動室内に進入した場合、作動室内の空間容積は減少し、その一方で、体積補償室内の空間容積は増加する。作動室と体積補償室は第1連通路及び第2連通路を介して互いに連通しているので、作動室内の空間容積の減少量と体積補償室内の空間容積の増加量とを等しくすることにより、作動室内の空間容積の変化が相殺されることになる。
また、例えばロッド部材が作動室から退出した場合、作動室内の空間の容積は、ロッド部材の退出量だけ増加する。また、ロッド部材の作動室からの退出に伴い第1ピストン部材が第1作動空間側に向かって移動するため、第1作動空間内の非圧縮性流体が第1ピストン部材に押され、第1連通路を介して第2シリンダ部材内の第1体積補償空間に流入する。これにより体積補償室内の第2ピストン部材が第2体積補償空間側に向かって移動する。第2ピストン部材が第2体積補償空間側に向かって移動した場合、第1体積補償空間の空間容積が増加するとともに第2体積補償空間の空間容積が減少する。ここで、体積補償部材は、第2ピストン部材が体積補償室内を移動する際に第1体積補償空間の容積の変化量が第2体積補償空間の容積の変化量よりも小さくなるように構成されている。具体的には、体積補償部材は、第2ピストン部材が第1体積補償空間の容積を増加し且つ第2体積補償空間の容積を減少するように体積補償空間内を移動したときにおける第1体積補償空間の容積の増加量が第2体積補償空間の容積の減少量よりも少なくなるように、構成されている。従って、第2ピストン部材が第1体積補償空間の容積を増加し且つ第2体積補償空間の容積を減少するように体積補償室内を移動した場合、体積補償空間の空間容積は減少する。
つまり、ロッド部材が作動室から退出した場合、作動室内の空間容積は増加し、その一方で、体積補償室内の空間容積は減少する。従って、作動室内の空間容積の増加量と体積補償室内の空間容積の減少量とを等しくすることにより、作動室内の空間の容積の変化が相殺されることになる。
本発明に係るドアチェック装置によれば、上述した原理により作動室内の空間の体積補償がなされるので、ロッド部材を作動室を貫通するように構成しなくてもよい。よって、ロッド部材の長さを短縮することができ、その結果、ドアチェック装置をコンパクトに構成することができる。
本発明において、体積補償室内での第2ピストン部材の移動方向に垂直な面内における第1体積補償空間の断面形状は、第2ピストンの移動方向に沿って一定であり、同様に、体積補償室内での第2ピストン部材の移動方向に垂直な面内における第2体積補償空間の断面形状は、第2ピストンの移動方向に沿って一定であるのがよい。そして、第2ピストンの移動方向に垂直な面内における第1体積補償空間の断面積SP1が、第2ピストンの移動方向に垂直な面内における第2体積補償室空間の断面積SP2よりも小さくされているとよい。
これによれば、第2ピストン部材が体積補償室内で移動した際における第1体積補償空間の容積変化量は、第1体積補償空間の断面積SP1に第2ピストンの移動ストロークLを乗じることにより求められる。同様に、第2ピストン部材が体積補償室内で移動した際における第2体積補償空間の容積変化量は、第2体積補償空間の断面積SP2に第2ピストンの移動ストロークLを乗じることにより求められる。ここで、第1体積補償空間の断面積SP1が、第2体積補償室空間の断面積SP2よりも小さい場合、第2ピストン部材が体積補償室内を移動する際における第1体積補償空間の容積変化量が第2体積補償空間の容積変化量よりも小さくされる。このため、体積補償部材によって作動室の体積補償を行うことができる。
さらにこの場合、第1体積補償空間と第2体積補償空間は同軸の円柱形状に形成されており、第1体積補償空間の直径DP1が第2体積補償空間の直径DP2よりも小さくされているとよい。これによれば、体積補償室内の空間を段付円柱形状に加工することによって、比較的容易に体積補償室内に断面積の小さい第1体積補償空間と断面積の大きい第2体積補償空間とを形成することができる。
また、第2体積補償空間の断面積SP2と第1体積補償空間の断面積SP1との差が、ロッド部材の断面積S以上であるとよい。この構成によれば、ロッド部材が作動室内を軸方向移動する際に、第2ピストン部材の移動ストローク量をロッド部材の移動ストローク量よりも小さすることができる。このため第2ピストン部材が移動する体積補償室の長さを短くすることができ、ひいては第2シリンダ部材の軸方向長さの短縮化を図ることができる。
また、第1体積補償空間内には、体積補償室内での第2ピストン部材の移動方向に沿って延びた固定部材(92)が配設されており、第2ピストン部材に固定部材が挿通する凹部(54c)が形成されているとよい。
これによれば、第1体積補償空間内に固定部材が配設されているため、第1体積補償空間と第2体積補償空間とを同径の円柱形状に形成した場合においても、第1体積補償空間の断面積SP1を第2体積補償空間の断面積SP2よりも小さくすることができる。従って、径が一定の円柱空間を第2シリンダに形成するといった簡単な方法により、第1体積補償空間と第2体積補償空間を形成することができるため、ドアチェック装置の製造工数及び製造コストを低減することができる。また、第2ピストン部材には凹部が形成されており、第2ピストン部材が体積補償室内で移動する際に固定部材がこの凹部を挿通することによって、第2ピストン部材と固定部材との干渉が防止される。
また、第2ピストン部材は、第1体積補償空間に進入又は第1体積補償空間から退出する第1部分(56a)と、第1部分に連結され第2体積補償空間に進入又は第2体積補償空間から退出する第2部分(56b)とを備えていてもよい。この場合、第1部分の移動方向に垂直な断面積が、第2部分の移動方向に垂直な断面積よりも小さくされているとよい。
これによれば、第2ピストン部材が体積補償室内で移動した場合、第2ピストン部材の第1部分が第1体積補償空間を移動し、第2ピストン部材の第2部分が第2体積補償空間を第1部分の移動量と同じ移動量だけ移動する。また、第1部分の断面積が第2部分の断面積よりも小さくされている。そのため、第1部分が第1体積補償空間を移動した場合において、第1体積補償空間の容積変化量は第2体積補償空間の容積変化量よりも小さい。よって、このような構造においても作動室の体積補償を行うことができる。
また、第1シリンダと第2シリンダが、平行配置されているとよい。特に、第2シリンダが、第1シリンダの上方又は下方に設けられているとよい。これによれば、2つのシリンダを備えるドアチェック装置において、2つのシリンダが軸方向に沿って配設されている場合と比較して、両シリンダの軸方向に沿った長さを短くすることができる。
また、本発明に係るドアチェック装置は、第1シリンダ部材と第2シリンダ部材が一体的に形成されるとともに、ドアに揺動可能に取り付けられたケース部材(2)を備えるとよい。これによれば、ケース部材に第1シリンダと第2シリンダとを一体的に形成することにより、ドアチェック装置の製造コスト及び組み付けコストを削減することができる。
また、第2シリンダ部材は、第1連通路(25)及び第2連通路(26)を介して第1シリンダ部材とは分離して配置されていてもよい。これによれば、例えばドア内の他の部品との干渉が回避されるように、第2シリンダ部材をドア内の自由な位置に配置することができる。よって、ドア内の他の部品の配置自由度を向上させることができる。
また、本発明に係るドアチェック装置においては、第2シリンダ部材内であって、第1体積補償空間と第1連通路との間の領域に、弁部材が配設された弁室(Q)が形成されていてもよい。この場合において、弁部材は、磁性体により構成され、弁室内の空間を第1連通路に連通する第1バルブ空間(Q1)と第1体積補償空間に連通する第2バルブ空間(Q2)とに区画するとともに、第1バルブ空間と第2バルブ空間とを連通する第1連通孔(63a)及び第2連通孔(63b)が形成されたバルブプレート(63)と、第2バルブ空間側から第1連通孔を塞ぐことができるように構成された第1弁体(611)と、第1弁体に連結された第1磁石(612)と、第1弁体が第1連通孔を塞いでいるときに第1連通孔を挿通するように第1弁体に連結された第1突起部(615)と、を有する第1バルブ(61)と、第1バルブ空間側から第2連通孔を塞ぐことができるように構成された第2弁体(621)と、第2弁体に連結された第2磁石(622)と、第2弁体が第2連通孔を塞いでいるときに第2連通孔を挿通するように第2弁体に連結された第2突起部(625)と、を有する第2バルブ(62)と、を備えるとよい。
これによれば、第1バルブの第1弁体が第1連通孔を塞いでいるときに、第1磁石とバルブプレートとの間に磁力が生じる。この磁力が保持力として作用するとともに、この磁力によって第1弁体が第1連通孔を塞ぐ状態が維持される。また、第1作動空間の圧力と第2作動空間の圧力との差(すなわち第1バルブ空間の圧力(PQ1)と第2バルブ空間の圧力(PQ2)の差(ΔPQ12=PQ1−PQ2))が、第1磁石とバルブプレートとの間に生じている磁力に基づく開弁圧を上回ったときに、第1弁体が第1連通孔から離れる。これにより、第1連通路を経由した第1作動空間から第1バルブ空間への流体の流通及び、第2連通路を経由した第2体積補償空間から第2作動空間への流体の流通が許可される。そのため、上記した流体の流通方向に従う方向への車両ドアの動作が可能になる。また、第1弁体が第1連通孔から離れているときに車両ドアの動作が停止した場合、流体の流通も停止するため、第1磁石とバルブプレートとの間の磁力により第1バルブがバルブプレートに引き寄せられ、やがて、第1バルブの第1弁体が再び第1連通孔を塞ぐ。このようにして、車両ドアの動作が停止した任意の位置で、大きな保持力を発生させることができる。
また、第2バルブの第2弁体が第2連通孔を塞いでいるときに、第2磁石とバルブプレートとの間に磁力が生じる。この磁力が保持力として作用するとともに、この磁力によって第2弁体が第2連通孔を塞ぐ状態が維持される。また、第1作動空間の圧力と第2作動空間の圧力の差(すなわち第1バルブ空間の圧力(PQ1)と第2バルブ空間の圧力(PQ2)の差(ΔPQ21=PQ2−PQ1))が、第2磁石とバルブプレートとの間に生じている磁力に基づく開弁圧を上回ったときに、第2弁体が第2連通孔から離れる。これにより、第1連通路を経由した第1バルブ空間から第1作動空間への流体の流通及び、第2連通路を経由した第2作動空間から第2体積補償空間への流体の流通が許可される。そのため、上記した流体の流通方向に従う方向への車両ドアの動作が可能になる。また、第2弁体が第2連通孔から離れているときに車両ドアの動作が停止した場合、流体の流通も停止するため、第2磁石とバルブプレートとの間の磁力により第2バルブがバルブプレートに引き寄せられ、やがて、第2バルブの第2弁体が再び第2連通孔を塞ぐ。このようにして、車両ドアの動作が停止した任意の位置で、大きな保持力を発生させることができる。
この場合、本発明のドアチェック装置は、一方端が第2突起部の先端に接続されるとともに、第2弁体が第2連通孔を塞いでいるときに他方端が第1体積補償空間に位置するように構成される棒状の規制部材(626)を備えるのがよい。また、第2ピストン部材は、ドアの閉動作が進行するにつれて第1体積補償空間の容積を減少する方向に移動するように構成されるとよい。そして、規制部材の軸方向長さは、ドアが全閉位置の近傍領域として予め定められる全閉近傍領域に位置しているときに規制部材の他方端が第2ピストン部材に接することによって第2弁体が第2連通孔を塞ぐことができないような長さに設定されるとよい。
これによれば、ドアが全閉近傍領域に位置している場合に、規制部材が第2ピストン部材に接することにより、第2弁体が第2連通孔を塞ぐことが阻止される。このため第2連通孔を通じた流体の流通が許可される。また、規制部材によって第2弁体に連結した第2磁石がバルブプレートから遠ざけられるため、第2磁石とバルブプレートとの間の磁力が弱い。すなわち、ドアが全閉近傍領域に位置しているとき、つまり、ドアがわずかに開いているときは、保持力が弱められるとともに第2連通孔が開放されるため、操作者はドアをスムーズに開閉操作することができる。
また、本発明に係るドアチェック装置は、第1ピストン部材とロッド部材との間に設けられたダンパピストン(43)と、ロッド挿通壁(81)から立設され、ロッド部材がその内周側に位置するように円筒形状に形成されたダンパ部材(44)と、を備えるとよい。また、第1ピストン部材は、ドアの開動作が進行するにつれて第1作動空間の容積を減少する方向に移動するように構成されるとよい。そして、ダンパ部材は、ドアの全開位置の近傍領域として予め定められる全開近傍領域に前記ドアが位置しているときにダンパピストンがダンパ部材の内部に挿入されてダンパ部材の開口端部(441)がダンパピストンで塞がれるように構成されているとともに、その軸方向に沿って延びたスリット状の凹部、又は軸方向に沿って形成された複数の孔(44a,44b,44c)、を有するとよい。
これによれば、ドアが開動作して全開近傍領域に達したときに、ダンパピストンがダンパ部材内に挿入されることによりダンパ部材の開口端部が塞がれる。そして、さらにドアの開動作が進行すると、ダンパ部材内の流体が、ダンパ部材に形成された凹部又は孔を経由してダンパ部材の外部に流出する。ここで、ダンパピストンがダンパ部材に進入する量(進入ストローク)が増加するほど、ダンパ部材内の流体がダンパ部材の外部に流出するために通過することができる凹部の面積が小さくされ、或いは、ダンパ部材内の流体がダンパ部材の外部に流出するために通過することができる孔の数が少なくされる。つまり、ドアの開閉位置が全開位置に近づくほど、ダンパ部材内の流体がダンパ部材の外部に流出するための流路断面積が小さくされる。流路断面積が小さいほど流路抵抗力が増加する。すなわち、全開近傍領域においてドアの開閉位置が全開位置に近づくほど、流路抵抗力すなわちドアの操作力に対する抵抗力が増加する。よって、ドアが強開された場合に全開位置近傍にて強開に対抗する抵抗力が増加することによって、強開に起因する不具合の発生、例えばストッパ部材の破損を防止できる。
また、本発明に係るドアチェック装置は、第1連通路又は第2連通路の流路断面積を調整する流路断面積調整装置(27)を備えるとよい。これによれば、第1連通路又は第2連通路の流路断面積を調整することにより、これらの連通路を流体が通過する際の流体抵抗力を調整することができる。これにより、ドアの開閉操作力に対する抵抗力を、ユーザの好みに合わせて設定することができる。
また、本発明に係るドアチェック装置においては、第2シリンダ部材内であって、第1バルブ空間と第1連通路との間の領域に連通室(U)が形成されていてもよい。この場合、本発明に係るドアチェック装置は、第1バルブ空間と連通室との間に設けられ、第1バルブ空間内の圧力変動により弾性変形するとともに、第1バルブ空間と連通室とを連通する第1孔(671)が形成された第1ダイヤフラム(67)と、第2バルブ空間と第1体積補償空間との間に設けられ、第2バルブ空間内の圧力変動により弾性変形するとともに、第2バルブ空間と第1体積補償空間とを連通する第2孔(681)が形成された第2ダイヤフラム(68)と、を備えるとよい。
これによれば、第1バルブ空間の圧力(PQ1)と第2バルブ空間の圧力(PQ2)との圧力差(ΔPQ12=PQ1−PQ2)が第1バルブの第1磁石とバルブプレートとの間に生じる磁力に基づく開弁圧を上回って第1弁体が第1連通孔から離れたときに、第1バルブが開いて第1連通孔が連通し、第1連通孔を経由して第1バルブ空間から第2バルブ空間に高圧の流体が流入する。このとき第2ダイヤフラムが弾性変形して第2バルブ空間に流入した流体の運動エネルギーを吸収することにより、第2バルブ空間の圧力の急激な変化が抑えられる。また、第2バルブ空間の圧力(PQ2)と第1バルブ空間の圧力(PQ1)との圧力差(ΔPQ21=PQ2−PQ1)が第2バルブの第2磁石とバルブプレートとの間に生じる磁力に基づく開弁圧を上回って第2弁体が第2連通孔から離れたときに、第2バルブが開いて第2連通孔が連通し、第2連通孔を経由して第2バルブ空間から第1バルブ空間に高圧の流体が流入する。このとき第1ダイヤフラムが弾性変形して第1バルブ空間に流入した流体の運動エネルギーを吸収することにより、第1バルブ空間の圧力の急激な変化が抑えられる。
上記のようにして、第1バルブ又は第2バルブが開いた場合(第1連通孔又は第2連通孔が連通した場合)における第1バルブ空間又は第2バルブ空間の圧力の急激な変化が抑えられるので、これらの空間における圧力の急激な変化に起因したドアチェック装置の振動の発生、及び、振動発生に伴う異音の発生、を防止或いは低減することができる。
また、本発明に係るドアチェック装置は、ドアに固定されるとともに取付孔(771)が形成されたブラケット(77)と、取付孔に挿入された状態でケース部材に連結され、ケース部材を揺動可能に支持するテーパピン(75)と、テーパピンと取付孔との間に配設されるテーパブッシュ(76)と、を備えるとよい。そして、テーパピンは、ケース部材の揺動軸に対してテーパ状に形成された外周面(751a)を有する頭部(751)を有し、テーパブッシュは、テーパピンの外周面に面接触するようにケース部材の揺動軸に対してテーパ状に形成された内周面(76b)を有するとよい。
これによれば、ドアチェック装置のケース部材が揺動軸に垂直な面内方向に振動した場合、その振動エネルギーが、テーパピンの外周面とテーパブッシュの内周面との接触面における摩擦摺動によって吸収される。同様に、ドアチェック装置のケース部材が揺動軸方向に振動した場合、その振動エネルギーも、テーパピンの外周面とテーパブッシュの内周面との接触面における摩擦摺動によって吸収される。このため、ケース部材の振動がブラケットを経由してドア側に伝達される量を低減することができる。その結果、斯かる振動に起因した異音の発生を防止することができる。
ドアチェック装置が搭載される車両の概略図である。 図1のA部詳細図である。 第1実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 バルブユニットの概略断面図である。 図3のV−V断面図である。 図3のVI−VI断面図である。 フランジ部分により第1バルブの移動が規制されている状態が示された、ドアチェック装置の概略断面図である。 ロッド部材及び第1ピストン部材が左方に移動した状態が示された、ドアチェック装置の概略断面図である。 車両ドアの開動作が停止された後に第1弁体が第1連通孔を塞いだ状態を示す、ドアチェック装置の概略断面図である。 車両ドアの開閉状態が全開状態であるときにおけるドアチェック装置の概略断面図である。 第2シリンダの前端壁により第2バルブの移動が規制されている状態が示された、ドアチェック装置の概略断面図である。 ロッド部材及び第1ピストン部材が右方に移動した状態が示された、ドアチェック装置の概略断面図である。 車両ドアの閉動作が停止された後に第2弁体が第2連通孔を塞いだ状態を示す、ドアチェック装置の概略断面図である。 車両ドアの開閉動作に伴うドアチェック装置の作動状態の変化を模式的に示した図である。 第2実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第2実施形態に係るドアチェック装置に備えられるバルブユニットを示す図である。 変形例1に係るドアチェック装置の概略断面図である。 変形例2に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第3実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第4実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第5実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第6実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 車両ドアが所定の開度で開いている状態から閉動作した場合における、第6実施形態に係るドアチェック装置の動作状態を示す概略断面図である。 第2ピストン部材の小径ピストン部の端面に係止ロッドの他方端が当接した状態が示された、第6実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第7実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第1ピストン部材が図25に示す位置からロッド長手方向における前方に移動した状態が示された、第7実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第1ピストン部材が図26Aに示す位置からロッド長手方向における前方に移動した状態が示された、第7実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第1ピストン部材が図26Bに示す位置からロッド長手方向における前方に移動した状態が示された、第7実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第1ピストン部材が図26Cに示す位置からロッド長手方向における前方に移動した状態が示された、第7実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第8実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 流路面積調整装置の分解斜視図である。 図27のA−A断面図である。 流路面積調整装置のホルダ内にて操作部がとり得る様々な姿勢を示す断面図である。 第9実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第2ダイヤフラムが膨らんだ状態を示す、第9実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第1ダイヤフラムが膨らんだ状態を示す、第9実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 第10実施形態に係るドアチェック装置の概略断面図である。 図33のB部拡大図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態においては、車両に適用されるドアチェック装置について説明する。図1は実施形態に係るドアチェック装置が搭載される車両の概略図である。図1に示す車両Vは車体B(本体)および車両ドアDRを備える。車体Bの側方部に乗降用の開口OPが形成される。開口OPの周縁のうち車両前方側の縁部(前縁部)FEに、一対のドアヒンジH,Hが上下方向に沿って取り付けられる。一対のドアヒンジH,Hを介して、車両ドアDRが車体Bに揺動可能に連結される。従って、車両ドアDRは、車体Bに形成された開口OPを開閉可能に車体Bに取り付けられる。
図2は図1のA部を詳細に示す図である。図2に示すように、一対のドアヒンジH,Hは、それぞれ同軸のヒンジ軸H1、H1を備える。車両ドアDRの開閉動作時に、車両ドアDRはヒンジ軸H1,H1を中心として車体Bに対して揺動する。また、前縁部FEにブラケットBRがボルト等の締結手段により固定される。このブラケットBRにピンGを介して、本実施形態に係るドアチェック装置の構成要素であるロッド部材3の一方端31が、上下方向に沿った軸周りに揺動可能に連結される。一方端31が車体Bに揺動可能に連結されたロッド部材3は、車両ドアDRの全閉時に車体Bの前縁部FEに対面する部分である車両ドアDRの前端部DEに形成された孔Yを経由して、車両ドアDR内に延出される。車両ドアDRの閉動作に伴い、ロッド部材3は孔Yを経由して車両ドアDR内に進入する。一方、車両ドアDRの開動作に伴い、ロッド部材3は孔Yを経由して車両ドアDR内から退出する。
(第1実施形態)
図3は、第1実施形態に係るドアチェック装置100を、ロッド部材3の軸方向及び上下方向に平行な面で切断した概略断面図である。以下、ロッド部材3の軸方向及び上下方向に平行な面で切断した概略断面図を、単に概略断面図という。このドアチェック装置100は、車体Bと車両ドアDRとの間に設けられ、車両ドアDRを開閉する際に保持力を発生する。図3に示すように、ドアチェック装置100は、ケース部材2と、ロッド部材3と、第1ピストン部材4と、第2ピストン部材5と、バルブユニット6(弁部材)と、を備える。なお、図3において、ロッド部材3の軸方向(左右方向)をロッド長手方向と呼び、ロッド長手方向のうち左方を前方、右方を後方と呼ぶ。
ケース部材2は、ロッド長手方向に沿った方向に長い直方体状に形成される。図3に示すように、ケース部材2の上面及び下面に回転軸ピン71,71が上下方向に沿って同軸的に取り付けられる。それぞれの回転軸ピン71,71はブッシュ72,72を介してアーム73,73に回転可能に連結される。アーム73,73は、上下方向に垂直な方向に沿って互いに平行に伸びており、その先端部分(図3において前端部分)にてボルト等の締結部材によって車両ドアDRに固定される。従って、ケース部材2は、回転軸ピン71,71を中心として、上下方向に垂直な平面内で揺動可能に車両ドアDRの内部に取り付けられる。
また、ケース部材2内には、2つの円柱状の空間が、ロッド長手方向に沿って形成されている。一方の円柱状の空間は、他方の円柱状の空間の上に設けられ、両空間は互いに平行である。ケース部材2の構成のうち、下側の空間を形成する部分が第1シリンダ部分8であり、上側の空間を形成する部分が第2シリンダ部分9である。従って、ケース部材2には、第1シリンダ部分8及び第2シリンダ部分9が一体的に形成される。
第1シリンダ部分8内に形成された円柱状空間により作動室Sが形成される。第2シリンダ部分9内に形成された円柱状空間により体積補償室P及びバルブ室Qが形成される。体積補償室Pとバルブ室Qは同軸的に配設され、且つ、連通している。図3においては、バルブ室Qは体積補償室Pのロッド長手方向における前側に配設される。
本実施形態において、第1シリンダ部分8と第2シリンダ部分9は上下に重なるように互いに平行配置され、第2シリンダ部分9が第1シリンダ部分8の上方に配置される。第2シリンダ部分9は第1シリンダ部分8の下方に配置されていてもよい。
作動室S、体積補償室P、及びバルブ室Qは、それぞれの軸方向がロッド長手方向に一致するように、ロッド長手方向に沿って平行に延びている。これらの室内には、非圧縮性流体としてのオイルが充填される。
第1シリンダ部分8は、ロッド長手方向における前方端に形成された前壁81(ロッド挿通壁)と、ロッド長手方向における後方端に形成された後壁82とを有する。前壁81の内壁面は作動室Sの一端面(前端面)を構成し、後壁82の内壁面は作動室Sの他端面(後端面)を構成する。また、前壁81には作動室S内の空間に連通する孔81a(ロッド挿通孔)が形成されている。この孔81aを経由してロッド部材3が作動室S内に挿通される。
ロッド部材3は断面が円形の丸棒状に形成されている。ロッド部材3は、作動室Sを貫通しないように、つまり、ロッド部材3の他方端32が作動室S内に配置するように、孔81aから作動室S内に挿通される。また、ロッド部材3は、作動室Sの軸方向に沿って軸方向移動可能であるように第1シリンダ部分8に対して配設されている。なお、前壁81の前方にロッドシール83が設けられており、このロッドシール83が蓋84によって前壁81に固定される。ロッドシール83がロッド部材3と孔81aとの隙間を塞ぐことによって、ロッド部材3が作動室S内を軸方向移動した場合に作動室S内からオイルが外部に流出することが防止される。
ロッド部材3の他方端32に、第1ピストン部材4が同軸的に取り付けられる。第1ピストン部材4は、第1ピストン部41及び第1シールリング42を備える。第1ピストン部41は、同一円形状の一端面41a及び他端面41bと、一端面41aの周縁と他端面41bの周縁とを繋ぐ周面41cを備える円柱形状を呈する。一端面41aにロッド部材3の他方端32が連結される。従って、第1ピストン部41は、その一端面41aが前壁81に向かい合い、その他端面41bが後壁82に向かい合うように作動室S内に配設される。第1シールリング42は、第1ピストン部41の周面41cに形成された周方向溝内に配設される。
第1ピストン部材4は、ロッド部材3の軸方向移動に伴い作動室S内を軸方向移動する。また、第1シールリング42は作動室Sを構成する第1シリンダ部分8の内周壁面に接触している。このため、第1ピストン部材4により作動室S内の空間が第1作動空間S1と第2作動空間S2とに液密的に区画される。第1作動空間S1は第1シリンダ部分8の前壁81に面する空間であり、第2作動空間S2は第1シリンダ部分8の後壁82に面する空間、すなわち前壁81に面しない空間である。なお、第1ピストン部材4は、第1シールリング42が第1シリンダ部分8の内周壁面に摺接しながら、すなわち第1作動空間S1と第2作動空間S2とが液密的に区画された状態を維持しながら、作動室Sの軸方向に移動可能であるように、作動室S内に配設される。
体積補償室P内の空間は、第1体積補償空間P1と第2体積補償空間からなる。第1体積補償空間P1と第2体積補償空間P2はともに円柱状の空間であり、ロッド長手方向に沿って連なるように同軸的に形成される。第2体積補償空間P2のロッド長手方向における前側に第1体積補償空間P1が形成される。第1体積補償空間P1の軸方向に垂直な断面形状は、その軸方向に沿って一定であり、第2体積補償空間P2の軸方向に垂直な断面形状も、その軸方向に沿って一定である。また、第1体積補償空間P1の直径DP1は、第2体積補償空間P2の直径DP2よりも小さい。すなわち、第1体積補償空間P1の軸方向に垂直な断面積SP1は、第2体積補償空間P2の軸方向に垂直な断面積SP2よりも小さい。
体積補償室P内に第2ピストン部材5が配設される。第2ピストン部材5は、同軸的に連設された小径ピストン部51a及び大径ピストン部51bを備えて段付円柱形状に形成された第2ピストン部51と、第2シールリング52(Oリング)と、第3シールリング53(Oリング)を備える。第2ピストン部51は、その軸方向が体積補償室Pの軸方向に一致するように体積補償室P内に配設される。このとき、大径ピストン部51bのロッド長手方向における前側に小径ピストン部51aが配置する。
小径ピストン部51a及び大径ピストン部51bはそれぞれ円柱形状に形成されている。小径ピストン部51aの直径は大径ピストン部51bの直径より小さい。また、小径ピストン部51aの直径は第1体積補償空間P1の直径DP1よりもわずかに小さく、大径ピストン部51bの直径は第2体積補償空間P2の直径DP2よりもわずかに小さい。そして、第2ピストン部51は、その小径ピストン部51aの端面が第1体積補償空間P1側を向き、その大径ピストン部51bの端面が第2体積補償空間P2側を向くように、体積補償室P内に配設される。
第2シールリング52は、小径ピストン部51aの周面に形成された周方向溝内に配設される。第3シールリング53は、大径ピストン部51bの周面に形成された周方向溝内に配設される。第2シールリング52は、第1体積補償空間P1を形成する第2シリンダ部分9の内周壁面に接触し、第3シールリング53は、第2体積補償空間P2を形成する第2シリンダ部分9の内周壁面に接触する。従って、第2ピストン部材5によって、体積補償室P内の空間が、第1体積補償空間P1と第2体積補償空間P2とに液密的に区画される。なお、第2ピストン部材5は、第2シールリング52及び第3シールリング53が第2シリンダ部分9の内周壁面に摺接しながら、すなわち第1体積補償空間P1と第2体積補償空間P2とが液密的に区画された状態を維持しながら、体積補償室P内をその軸方向(第1体積補償空間P1の軸方向及び第2体積補償空間P2の軸方向)に移動可能に、体積補償室P内に配設されている。第2シールリング52と第3シールリング53との間のリング状の空間Rは、密閉されていてもよいし、大気開放されていてもよい。また、図3においては、第1体積補償空間P1のほとんどの領域に小径ピストン部51aが進入している。従って、第2ピストン部材5により区画される第1体積補償空間P1は、非常に小さい領域として、図3に示されている。
バルブ室Q内にバルブユニット6が配設される。図4は、バルブユニット6の概略断面図である。図3及び図4に示すようにバルブユニット6は、第1バルブ61と、第2バルブ62と、バルブプレート63を備える。バルブプレート63は磁性材料である鉄により円板状に形成され、その周面がバルブ室Qを構成する第2シリンダ部分9の内周壁面に液密的に固定される。このため、バルブプレート63によって、バルブ室Q内の空間が、第1バルブ空間Q1と第2バルブ空間Q2とに区画される。第2バルブ空間Q2は、図3からわかるように、第1体積補償空間P1に連通している。
また、バルブプレート63には、その一端面から他端面にかけて貫通する2つの連通孔(第1連通孔63a、第2連通孔63b)が形成される。第1連通孔63a及び第2連通孔63bは、それぞれ、バルブプレート63によって仕切られた2つの空間(Q1,Q2)を連通するように、バルブプレート63に形成される。本実施形態において、第1連通孔63aの径と第2連通孔63bの直径は等しいが、異なっていてもよい。
第1バルブ61の構造と第2バルブ62の構造は同一である。図4に示すように、第1バルブ61は、ゴム製の第1弁体611と、第1永久磁石612と、第1ヨーク613と、第1樹脂カバー614と、第1突起部615とを備える。
第1弁体611は、一端面611a及び他端面611bを備える円柱状に形成される。第1弁体611の直径は第1連通孔63aの直径よりも大きい。この第1弁体611の一端面611aに第1永久磁石612が取り付けられる。第1永久磁石612は本実施形態においては直方体状に形成されており、図4において上側の面がN極面であり下側の面がS極面である。また、第1ヨーク613は透磁率の高い磁性体(例えば鉄)により形成される。第1ヨーク613は、一対のアーム部材613a,613bからなり、一方のアーム部材613aが第1永久磁石612のN極面に接触し、他方のアーム部材613bが第1永久磁石612のS極面に接触するように、それぞれのアーム部材613a,613bが第1永久磁石612に対して配設される。このため、第1永久磁石612は第1ヨーク613に挟まれる。
第1ヨーク613の一方のアーム部材613aは、第1永久磁石612のN極面との接触部位から図4において上方に延び、さらにその上方端から第1弁体611の周面に沿って第1弁体611の他端面611b側に向かって延びている。また、他方のアーム部材613bは、第1永久磁石612のS極面との接触部位から図4において下方に延び、さらにその下方端から第1弁体611の周面に沿って第1弁体611の他端面611b側に向かって延びている。従って、第1永久磁石612及び第1ヨーク613によって、第1弁体611を挟んだU字形状の磁力発生部材が構成される。
第1樹脂カバー614はU字形状の磁力発生部材(第1永久磁石612及び第1ヨーク613)を覆っている。第1樹脂カバー614によって、第1弁体611、第1永久磁石612及び第1ヨーク613が一体的に保持される。
第1突起部615は、第1弁体611の他端面611bから延設された径が一定の円柱部分と、円柱部分の先端に形成された円錐部分とを有する。円錐部分の底面の直径は円柱部分の直径に等しい。また、第1突起部615の円柱部分の直径は第1連通孔63aの直径よりも小さい。
第1弁体611、第1永久磁石612、第1ヨーク613及び第1樹脂カバー614は、第2バルブ空間Q2側に配設される。従って、第1弁体611の他端面611bが第1連通孔63aを第2バルブ空間Q2側から塞ぐことができる。第1弁体611が第1連通孔63aの第2バルブ空間Q2への開口を塞いでいるときには、第1突起部615が第1連通孔63aを挿通する。
また、第2バルブ62は、ゴム製の第2弁体621と、第2永久磁石622と、第2ヨーク623と、第2樹脂カバー624と、第2突起部625とを備える。
第2弁体621は、一端面621a及び他端面621bを備える円柱状に形成される。第2弁体621の直径は第2連通孔63bの直径よりも大きい。この第2弁体621の一端面621aに第2永久磁石622が取り付けられる。第2永久磁石622は本実施形態においては直方体状に形成されており、図4において上側の面がN極面であり下側の面がS極面である。また、第2ヨーク623は透磁率の高い磁性体(例えば鉄)により形成される。第2ヨーク623は、一対のアーム部材623a,623bからなり、一方のアーム部材623aが第2永久磁石622のN極面に接触し、他方のアーム部材623bが第2永久磁石622のS極面に接触するように、それぞれのアーム部材623a,623bが第2永久磁石622に対して配設される。このため、第2永久磁石622は第2ヨーク623に挟まれる。
第2ヨーク623の一方のアーム部材623aは、第2永久磁石622のN極面との接触部位から図4において上方に延び、さらにその上方端から第2弁体621の周面に沿って第2弁体621の他端面621b側に向かって延びている。また、他方のアーム部材623bは、第2永久磁石622のS極面との接触部位から図4において下方に延び、さらにその下方端から第2弁体621の周面に沿って第2弁体621の他端面621b側に向かって延びている。従って、第2永久磁石622及び第2ヨーク623によって、第2弁体621を挟んだU字形状の磁力発生部材が構成される。
第2樹脂カバー624はU字形状の磁力発生部材(第2永久磁石622及び第2ヨーク623)を覆っている。第2樹脂カバー624によって、第2弁体621、第2永久磁石622及び第2ヨーク623が一体的に保持される。
第2突起部625は、第2弁体621の他端面621bから延設された径が一定の円柱部分と、円柱部分の先端に形成された円錐部分とを有する。円錐部分の底面の直径は円柱部分の直径に等しい。また、第2突起部625の円柱部分の直径は第2連通孔63bの直径よりも小さい。
第2弁体621、第2永久磁石622、第2ヨーク623及び第2樹脂カバー624が第1バルブ空間Q1側に配設される。従って、第2弁体621の他端面621bが、第2連通孔63bを第1バルブ空間Q1側から塞ぐことができる。第2弁体621が第2連通孔63bの第1バルブ空間Q1への開口を塞いでいるときには、第2突起部625が第2連通孔63bを挿通する。
図5は図3のV−V断面図である。図3及び図5に示すように、ケース部材2内のロッド長手方向における前端側には、第1シリンダ部分8内の第1作動空間S1と第2シリンダ部分9内の第1バルブ空間Q1とを連通する第1シリンダ間接続通路21(第1連通路)が形成されている。ここで、バルブプレート63の第1連通孔63a又は第2連通孔63bが開放されているときは、第1バルブ空間Q1と第2バルブ空間Q2は連通しており、また、第2バルブ空間Q2は第1体積補償空間P1と連通している。従って、第1連通孔63a又は第2連通孔63bが開放されているときは、第1作動空間S1は、第1シリンダ間接続通路21及びバルブ室Qを介して第1体積補償空間P1と連通していることになる。
図6は図3のVI−VI断面図である。図3及び図6に示すように、ケース部材2内のロッド長手方向における後端側には、第1シリンダ部分8内の第2作動空間S2と第2シリンダ部分9内の第2体積補償空間P2とを連通する第2シリンダ間接続通路22(第2連通路)が形成されている。よって、第2作動空間S2は、第2シリンダ間接続通路22を介して第2体積補償空間P2と連通していることになる。
上記構成のドアチェック装置100において、以下に、その作動について説明する。車両ドアDRが所定の開度位置にて開閉動作を停止しているときには、図3に示すように、第1バルブ61の第1弁体611が第1連通孔63aの第2バルブ空間Q2への開口を塞いでおり、第2バルブ62の第2弁体621が第2連通孔63bの第1バルブ空間Q1への開口を塞いでいる。つまり、車両ドアDRが所定の開度位置にて開閉動作を停止しているときには、第1バルブ61及び第2バルブ62が閉成している。
第1バルブ61及び第2バルブ62がともに閉成することにより、第1シリンダ間接続通路21及びバルブ室Qを介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通、及び、第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通が遮断される。なお、第1バルブ61又は第2バルブ62が開成することにより、第1シリンダ間接続通路21及びバルブ室Qを介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通、及び、第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通が許可される。
また、図3に示す状態においては、第1バルブ61がバルブプレート63に近接しているため、第1永久磁石612とバルブプレート63との間に強い磁力が発生している。特に、図4に示すように、第1ヨーク613の一対のアーム部材613a,613bのそれぞれの先端面がバルブプレート63に面接触している場合、第1ヨーク613を介して第1永久磁石612とバルブプレート63とを通る閉磁路が形成されるため、両者間に強い磁力が発生する。第1永久磁石612とバルブプレート63との間に生じた強い磁力によって、第1バルブ61の第1弁体611が第1連通孔63aの第2バルブ空間Q2への開口に押し付けられる方向に付勢される。同様に、図3に示す状態においては、第2バルブ62がバルブプレート63に近接しているため、第2永久磁石622とバルブプレート63との間に強い磁力が発生している。特に、図4に示すように、第2ヨーク623の一対のアーム部材623a,623bのそれぞれの先端面がバルブプレート63に面接触している場合、第2ヨーク623を介して第2永久磁石622とバルブプレート63とを通る閉磁路が形成されるため、両者間に強い磁力が発生する。第2永久磁石622とバルブプレート63との間に生じた強い磁力によって、第2バルブ62の第2弁体621が第2連通孔63bの第1バルブ空間Q1への開口に押し付けられる方向に付勢される。
[開動作]
ドアチェック装置100が図3に示すような作動状態であるときは、車両ドアDRの開閉状態は全閉状態である。このとき、第1作動空間S1の容積は最も大きく、第2作動空間S2の容積は最も小さい。また、第1体積補償空間P1の容積は最も小さく、第2体積補償空間P2の容積は最も大きい。ドアチェック装置100が図3に示すような作動状態であるときに、ユーザが車両ドアDRを開くように車両ドアDRに力(操作力)を加えた場合、その操作力は、ロッド部材3がケース部材2に対して図3の左方(ロッド長手方向における前方)に軸方向移動するための駆動力として、ロッド部材3に伝達される。このような駆動力は、ロッド部材3に接続された第1ピストン部材4にも伝達される。第1ピストン部材4が図3の左方に移動するための駆動力を受けた場合、第1作動空間S1が圧縮されることにより第1作動空間S1内の圧力が上昇し、第2作動空間S2が膨張されることにより第2作動空間S2内の圧力が低下する。
第1作動空間S1の圧力上昇に伴い、第1シリンダ間接続通路21を介して第1作動空間S1に連通している第1バルブ空間Q1の圧力も上昇する。また、第2作動空間S2の圧力低下に伴い、第2シリンダ間接続通路22を介して第2作動空間S2に連通した第2体積補償空間P2の圧力も低下する。第2体積補償空間P2の圧力低下により、第2ピストン部材5が図3において右方(ロッド長手方向における後方)に向かう駆動力を受ける。第2ピストン部材5が図3の右方に向かう駆動力を受けた場合、第1体積補償空間P1が膨張されることにより第1体積補償空間P1の圧力が低下する。第1体積補償空間P1は第2バルブ空間Q2に連通しているため、第1体積補償空間P1の圧力低下に伴い第2バルブ空間Q2の圧力も低下する。これにより、第1バルブ空間Q1の圧力PQ1と第2バルブ空間Q2の圧力PQ2との差圧ΔPQ12(=PQ1−PQ2)が大きくされる。この差圧ΔPQ12が第1バルブ61及び第2バルブ62に作用する。ここで、第1バルブ空間Q1の圧力は第1作動空間S1の圧力と同圧であり、第2バルブ空間Q2の圧力は、第2作動空間S2の圧力と同圧である。従って、第1バルブ61及び第2バルブ62には、第1作動空間S1の圧力と第2作動空間S2の圧力との圧力差が作用することになる。
差圧ΔPQ12により、第2バルブ62は、第2連通孔63bに押し付けられる方向に力を受ける。このため第2バルブ62による第2連通孔63bの封鎖が維持される。一方、差圧ΔPQ12により、第1バルブ61は、第1連通孔63aから離れる方向に力(差圧ΔPQ12)を受ける。ここで、第1バルブ61の第1弁体611は上記したように磁力により第1連通孔63aに押し付けられる方向に付勢されている。従って、差圧ΔPQ12が第1弁体611に作用している磁力に基づいた開弁圧を上回らない限り、第1弁体611は第1連通孔63aから離れない。つまり、バルブユニット6は、差圧ΔPQ12の大きさが所定の開弁圧以下であるときに、第1シリンダ間接続通路21を介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通及び第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通を遮断する。このとき第1弁体611に作用している磁力は、ロッド部材3に加えられている上記駆動力に対する抵抗力としてロッド部材3に作用する。斯かる抵抗力が、車両ドアDRを開動作させる際の保持力として、車両ドアDRに作用する。
差圧ΔPQ12が第1弁体611に作用している磁力に基づく開弁圧よりも大きくなるように車両ドアDRに開動作方向への大きな操作力を加えることにより、第1弁体611が磁力に抗して第1連通孔63aから離れるとともに図3の右方(第1連通孔63aから離れる方向)に移動する。これにより第1連通孔63aが開放される。すると、第1バルブ空間Q1内のオイルは、差圧ΔPQ12を小さくするように第1連通孔63aを通って第2バルブ空間Q2内に流れ込む。このとき第1連通孔63aの開口断面積(流路断面積)は、第1バルブ61の第1突起部615の存在によって狭められているため、第1連通孔63aを通過するオイルの流速が速くされる。こうして速い速度で第1連通孔63aを通過したオイルは、第1連通孔63aを離れたばかりの第1バルブ61に勢いよく衝突する。その結果、第1バルブ61が勢い良く図3の右方に移動し、第1バルブ61がバルブプレート63から一気に遠ざけられる。
第1バルブ61がバルブプレート63から遠ざけられた場合、第1バルブ61は、第2バルブ空間Q2と第1体積補償空間P1との境に形成されているフランジ部分23(図3参照)に係合する。これにより、第1バルブ61のそれ以上の右方移動が規制される。図7は、フランジ部分23により第1バルブ61の移動が規制されている状態が示された、ドアチェック装置100の概略断面図である。
ドアチェック装置100が図7に示す状態であるとき、すなわち第1連通孔63aが開放されているとき(第1バルブ61が開弁しているとき)に、車両ドアDRを開動作させると、その開動作に伴ってロッド部材3及び第1ピストン部材4が図7の左方(ロッド長手方向における前方)に移動する。図8は、ロッド部材3及び第1ピストン部材4が左方に移動した状態が示された、ドアチェック装置100の概略断面図である。ロッド部材3が左方に移動することにより、ロッド部材3が作動室S(第1作動空間S1)から退出する。また、第1ピストン部材4の左方への移動により、第1作動空間S1の容積が減少する。つまり、第1ピストン部材4は、車両ドアDRの開動作が進行するにつれて第1作動空間S1の容積を減少する方向に移動する。第1作動空間S1の容積減少に伴い第1作動空間S1内のオイルが第1シリンダ間接続通路21を経由して第1バルブ空間Q1に流れ込む。また、第1バルブ空間Q1内のオイルが第1連通孔63aを経由して第2バルブ空間Q2に流れ込み、さらに第2バルブ空間Q2内のオイルが第1体積補償空間P1に流れ込む。このため第1体積補償空間P1の容積が増大する。また、第1体積補償空間P1の容積が増大することによって第2ピストン部材5が押し退けられて右方(ロッド長手方向における後方)に移動する。このため第2体積補償空間P2の容積が減少し、これに伴い第2体積補償空間P2内のオイルが第2シリンダ間接続通路22を経由して第2作動空間S2に流れ込む。これにより第2作動空間S2内の容積が増加する。
つまり、車両ドアDRの開動作時には、第1ピストン部材4がロッド長手方向における前方に移動するとともに、第2ピストン部材5がロッド長手方向における後方に移動する。このとき、第1バルブ61が開弁していることにより、第1作動空間S1内のオイルが第1シリンダ間接続通路21、バルブ室Qを介して第1体積補償空間P1に流れ、且つ、第2体積補償空間P2内のオイルが第2シリンダ間接続通路22を経由して第2作動空間S2に流れる。このことからわかるように、バルブユニット6は、圧力差ΔPQ12の大きさが所定の開弁圧よりも大きくなったときには、第1シリンダ間接続通路21を介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通及び第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通を許可する。
また、車両ドアDRの開動作時には、車両ドアDRが車体Bに対して揺動するとともに、ロッド部材3も車体Bに対して揺動する。この場合において、車両ドアDRの揺動軸とロッド部材3の揺動軸は、互いにほぼ平行ではあるが、軸方向に垂直な面内において異なる位置にある。そのため、車両ドアDRの開動作に伴い、ロッド部材3が車両ドアDR内で揺動する。このとき、ケース部材2が回転軸ピン71,71を中心として、ロッド部材3の揺動動作に合わせて揺動する。これにより、ロッド部材3はケース部材2の作動室S内を、作動室Sの軸方向に沿って軸方向移動する。
また、車両ドアDRの開動作時には、上述したように第1バルブ61がバルブプレート63から大きく遠ざけられて、フランジ部分23に当接している。このため、第1バルブ61の第1永久磁石612とバルブプレート63との間の距離が大きくされている。磁力は距離の二乗に反比例するため、図8に示す状態においては、第1永久磁石612とバルブプレート63との間に生じる磁力は小さい。このため、磁力の影響をほとんど受けることなく車両ドアDRを開動作させることができる。
さらに、車両ドアDRの開動作時には、第1連通孔63aから第2バルブ空間Q2に流れ込むオイルの流体圧によって、第1バルブ61がバルブプレート63から離れる方向に付勢される。このため、車両ドアDRの開動作時に第1バルブ61がバルブプレート63に近づいて、第1弁体611が第1連通孔63aを塞ぐことが防止される。
さらに、車両ドアDRの開動作時には、第1バルブ61がバルブプレート63から遠ざけられた結果、第1連通孔63aの第2バルブ空間Q2への開口面に第1突起部615の円錐部分が位置する。円錐部分の断面積は円柱部分の断面積よりも小さい。すなわち、第1連通孔63aに第1突起部615の円錐部分が位置している場合における第1連通孔63a内の流路断面積は、第1連通孔63aに第1突起部615の円柱部分が位置している場合における第1連通孔63a内の流路断面積よりも大きい。このことからわかるように、第1バルブ61がバルブプレート63から遠ざけられることにより、第1連通孔63a内の流路断面積が拡大される。こうして第1連通孔63a内の流路断面積が拡大されることによって、第1連通孔63a内を通過するオイルの流体抵抗力が小さくされる。この流体抵抗力は、車両ドアDRを開動作させる際の抵抗力として車両ドアDRに作用する。従って、こうして流体抵抗力が小さくされることにより、小さな力でスムーズに車両ドアDRを開動作させることができる。
車両ドアDRの開動作が任意の開度位置にて停止した場合、第1連通孔63aを経由した第1バルブ空間Q1から第2バルブ空間Q2へのオイルの流れが停止する。このため、第1バルブ61に作用していたオイルの流体圧が消失し、第1バルブ61は第1永久磁石612とバルブプレート63との間に生じる磁力によって徐々にバルブプレート63に引き寄せられる。
第1バルブ61が磁力によりバルブプレート63に引き寄せられることにより、第1バルブ61の第1弁体611が第1連通孔63aに近づく。このとき、第1突起部615が第1連通孔63aを挿通しているため、第1弁体611は第1突起部615の移動動作に従って移動することによって第1連通孔63aに誘導される。つまり、第1突起部615は、第1弁体611が第1連通孔63aに向かう方向に移動するように、第1バルブ61の移動をガイドする。こうして移動がガイドされた第1バルブ61の第1弁体611が、やがて第1連通孔63aを塞ぐ。図9は、車両ドアDRの開動作が停止された後に第1弁体611が第1連通孔63aを塞いだ状態を示す、ドアチェック装置100の概略断面図である。図9に示すように、第1弁体611が第1連通孔63aを塞いだ場合、第1バルブ61がバルブプレート63に近接し、第1ヨーク613の一対のアーム部材613a,613bの先端面がバルブプレート63に接触する。このため大きな磁力が第1弁体611に作用する。よって、再び大きな保持力(磁力)が車両ドアDRに作用する。このようにして、車両ドアDRの開動作が停止した任意の開度位置にて大きな保持力を発生させることができる。
[閉動作]
図10は、車両ドアDRの開閉状態が全開状態であるときにおけるドアチェック装置100の概略断面図である。ドアチェック装置100が図10に示す状態であるときには、第1作動空間S1の容積が最も小さく、第2作動空間S2の容積が最も大きい。また、第1体積補償空間P1の容積が最も大きく、第2体積補償空間P2の容積が最も小さい。ドアチェック装置100が図10に示す状態であるときに、ユーザが車両ドアDRを閉じるように車両ドアDRに力(操作力)を加えた場合、その操作力は、ロッド部材3がケース部材2に対して図10の右方(ロッド長手方向における後方)に軸方向移動するための駆動力として、ロッド部材3に伝達される。このような駆動力がロッド部材3を介して第1ピストン部材4に伝達された場合、第2作動空間S2が圧縮されることにより第2作動空間S2内の圧力が上昇し、第1作動空間S1が膨張されることにより第1作動空間S1内の圧力が低下する。
第1作動空間S1の圧力低下に伴い、第1シリンダ間接続通路21を介して第1作動空間S1に連通している第1バルブ空間Q1の圧力も低下する。また、第2作動空間S2の圧力上昇に伴い、第2シリンダ間接続通路22を介して第2作動空間S2に連通した第2体積補償空間P2の圧力も上昇する。第2体積補償空間P2の圧力上昇により、第2ピストン部材5が図10において左方(ロッド長手方向における前方)に向かう駆動力を受ける。第2ピストン部材5が図10の左方に向かう駆動力を受けた場合、第1体積補償空間P1が圧縮されることにより第1体積補償空間P1の圧力が上昇する。第1体積補償空間P1は第2バルブ空間Q2に連通しているため、第1体積補償空間P1の圧力が上昇すると、第2バルブ空間Q2の圧力も上昇する。これにより、第2バルブ空間Q2の圧力PQ2と第1バルブ空間Q1の圧力PQ1との差圧ΔPQ21(=PQ2−PQ1)が大きくされる。この差圧ΔPQ21、すなわち第2作動空間S2の圧力と第1作動空間S1の圧力との圧力差が第1バルブ61及び第2バルブ62に作用する。
差圧ΔPQ21により、第1バルブ61は、第1連通孔63aに押し付けられる方向に力を受ける。このため第1バルブ61による第1連通孔63aの封鎖が維持される。一方、差圧ΔPQ21により、第2バルブ62は、第2連通孔63bから離れる方向に力(差圧ΔPQ21)を受ける。ここで、第2バルブ62の第2弁体621は上記したように磁力により第2連通孔63bに押し付けられる方向に付勢されている。従って、差圧ΔPQ21が第2弁体621に作用している磁力に基づいた開弁圧を上回らない限り、第2弁体621は第2連通孔63bから離れない。つまり、バルブユニット6は、差圧ΔPQ21の大きさが所定の開弁圧以下であるときに、第1シリンダ間接続通路21を介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通及び第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通を遮断する。このとき第2弁体621に作用している磁力は、ロッド部材3に加えられている上記駆動力に対する抵抗力としてロッド部材3に作用する。斯かる抵抗力が、車両ドアDRを閉動作させる際の保持力として、車両ドアDRに作用する。
差圧ΔPQ21が第2弁体621に作用している磁力に基づく開弁圧よりも大きくなるように車両ドアDRに閉動作方向への大きな操作力を加えることにより、第2弁体621が磁力に抗して第2連通孔63bから離れるとともに図10の左方(第2連通孔63bから離れる方向)に移動する。これにより第2連通孔63bが開放される。すると、第2バルブ空間Q2内のオイルは、差圧ΔPQ21を小さくするように第2連通孔63bを通って第1バルブ空間Q1内に流れ込む。このとき第2連通孔63bの開口断面積(流路断面積)は、第2突起部625の存在によって狭められているため、第2連通孔63bを通過するオイルの流速が速くされる。こうして速い速度で第2連通孔63bを通過したオイルは、第2連通孔63bを離れたばかりの第2バルブ62に勢いよく衝突する。その結果、第2バルブ62が勢い良く図10の左方に移動し、第2バルブ62がバルブプレート63から一気に遠ざけられる。
第2バルブ62がバルブプレート63から遠ざけられた場合、第2バルブ62は、第2シリンダ部分9のロッド長手方向における前端側を構成する前壁91(図10参照)に係合する。これにより、第2バルブ62のそれ以上の左方移動が規制される。図11は、第2シリンダ部分9の前壁91により第2バルブ62の移動が規制されている状態が示された、ドアチェック装置100の概略断面図である。
ドアチェック装置100が図11に示す状態であるとき、すなわち第2連通孔63bが開放されているとき(第2バルブ62が開弁しているとき)に、車両ドアDRを閉動作させると、その閉動作に伴ってロッド部材3及び第1ピストン部材4が図11の右方(ロッド長手方向における後方)に移動する。図12は、ロッド部材3及び第1ピストン部材4が右方に移動した状態が示された、ドアチェック装置100の概略断面図である。ロッド部材3が右方に移動することにより、ロッド部材3が作動室S(第1作動空間S1)に進入する。また、第1ピストン部材4の右方への移動により、第2作動空間S2の容積が減少し、これに伴い第2作動空間S2内のオイルが第2シリンダ間接続通路22を経由して第2体積補償空間P2に流れ込む。このため第2体積補償空間P2の容積が増大する。第2体積補償空間P2の容積が増大することによって第2ピストン部材5が押し退けられて、左方(ロッド長手方向における前方)に移動する。このため第1体積補償空間P1の容積が減少する。つまり、第2ピストン部材5は、車両ドアDRの閉動作が進行するにつれて第1体積補償空間P1の容積を減少する方向に移動する。第1体積補償空間P1の容積減少に伴い第1体積補償空間P1内のオイルが第2バルブ空間Q2に流れ込む。また、第2バルブ空間Q2内のオイルが第2連通孔63bを経由して第1バルブ空間Q1に流れ込み、さらに、第1バルブ空間Q1内のオイルが第1シリンダ間接続通路21を経由して第1作動空間S1に流れ込む。これにより第1作動空間S1内の容積が増加する。
つまり、車両ドアDRの閉動作時には、第1ピストン部材4がロッド長手方向における後方に移動するとともに、第2ピストン部材5がロッド長手方向における前方に移動する。このとき、第2バルブ62が開弁していることにより、第2作動空間S2内のオイルが第2シリンダ間接続通路22を介して第2体積補償空間P2に流れ、且つ、第1体積補償空間P1内のオイルがバルブ室Q、第1シリンダ間接続通路21を経由して第1作動空間S1に流れる。このことからわかるように、バルブユニット6は、圧力差ΔPQ21の大きさが所定の開弁圧よりも大きくなったときには、第1シリンダ間接続通路21を介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通及び第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通を許可する。
また、車両ドアDRの閉動作時にも、開動作時と同様に、ケース部材2が回転軸ピン71,71を中心として、ロッド部材3の揺動動作に合わせて揺動する。このためロッド部材3はケース部材2の作動室S内を、その軸方向に沿って軸方向移動する。
また、車両ドアDRの閉動作時には、上述したように第2バルブ62がバルブプレート63から大きく遠ざけられて、第2シリンダ部分9の前壁91に当接している。このため、第2バルブ62の第2永久磁石622とバルブプレート63との間の距離が大きくされている。上述したように磁力は距離の二乗に反比例するため、図12に示す状態においては、第2永久磁石622とバルブプレート63との間に作用する磁力は小さい。このため、磁力の影響をほとんど受けることなく車両ドアDRを閉動作させることができる。
さらに、車両ドアDRの閉動作時には、第2連通孔63bから第1バルブ空間Q2に流れ込むオイルの流体圧によって、第2バルブ62がバルブプレート63から離れる方向に付勢される。このため、車両ドアDRの閉動作時に第2バルブ62がバルブプレート63に近づいて、第2弁体621が第2連通孔63bを塞ぐことが防止される。
さらに、車両ドアDRの閉動作時には、第2バルブ62がバルブプレート63から遠ざけられた結果、第2連通孔63bの第1バルブ空間Q1への開口面に第2突起部625の円錐部分が位置する。円錐部分の断面積は円柱部分の断面積よりも小さい。すなわち、第2連通孔63bに第2突起部625の円錐部分が位置している場合における第2連通孔63b内の流路断面積は、第2連通孔63bに第2突起部625の円柱部分が位置している場合における第2連通孔63b内の流路断面積よりも大きい。このことからわかるように、第2バルブ62がバルブプレート63から遠ざけられることにより、第2連通孔63b内の流路断面積が拡大される。こうして第2連通孔63b内の流路断面積が拡大されることによって、第2連通孔63b内を通過するオイルの流体抵抗力が小さくされる。この流体抵抗力は、車両ドアDRを閉動作させる際の抵抗力として車両ドアDRに作用する。従って、こうして流体抵抗力が小さくされることにより、小さな力でスムーズに車両ドアDRを閉動作させることができる。
車両ドアDRの閉動作が任意の開度位置にて停止した場合、第2連通孔63bを経由した第2バルブ空間Q2から第1バルブ空間Q1へのオイルの流れが停止する。このため、第2バルブ62に作用していたオイルの流体圧が消失し、第2バルブ62は第2永久磁石622とバルブプレート63との間に生じる磁力によって徐々にバルブプレート63に引き寄せられる。
第2バルブ62が磁力によりバルブプレート63に引き寄せられることにより、第2バルブ62の第2弁体621が第2連通孔63bに近づく。このとき、第2突起部625が第2連通孔63bを挿通しているため、第2弁体621は第2突起部625の移動動作に従って移動することによって第2連通孔63bに誘導される。つまり、第2突起部625は、第2弁体621が第2連通孔63bに向かう方向に移動するように、第2バルブ62の移動をガイドする。こうして移動がガイドされた第2バルブ62の第2弁体621が、やがて第2連通孔63bを塞ぐ。図13は、車両ドアDRの閉動作が停止された後に第2弁体621が第2連通孔63bを塞いだ状態を示す、ドアチェック装置100の概略断面図である。図13に示すように、第2弁体621が第2連通孔63bを塞いだ場合、第2バルブ62がバルブプレート63に近接し、第2ヨーク623の一対のアーム部材623a,623bの先端面がバルブプレート63に接触する。このため大きな磁力が第2弁体621に作用する。よって、再び大きな保持力(磁力)が車両ドアDRに作用する。このようにして、車両ドアDRの閉動作が停止した任意の開度位置にて大きな保持力を発生させることができる。
[体積補償の原理]
ところで、本実施形態に係るドアチェック装置100に備えられるロッド部材3は、作動室Sを貫通していない。従って、車両ドアDRを開動作させる場合、作動室S内の空間容積(オイルが存在することができる容積)は、それまで作動室S内に存在していたロッド部材3が作動室Sから退出していく部分の容積に相当する容積だけ増加する。一方、車両ドアDRを閉動作させる場合、作動室Sの空間容積は、作動室Sにロッド部材3が新たに進入してくる部分の容積に相当する容積だけ減少する。このようなロッド部材3の進退に伴う作動室Sの空間容積の変動を吸収するような措置が講じられていない場合、ロッド部材3を作動室S内で移動させることができない。以下においては、このような、ロッド部材3の作動室S内への進退に伴う作動室Sの空間容積の変化を補償する原理、すなわち作動室Sの体積補償の原理について説明する。
図14は、車両ドアDRの開閉動作に伴うドアチェック装置100の作動状態の変化を模式的に示した図である。図14においては、第2シリンダ部分9内に形成されるバルブ室Qは省略されているため、第1作動空間S1と第1体積補償空間P1が直接連通するように、ドアチェック装置100が示されている。また、ドアチェック装置100の構成のうち、以下の説明において不必要な部分も省略されている。
図14には、作動室Sへのロッド部材3の進入量が異なる3つの作動状態が示されている。図14(b)に示すようなドアチェック装置100の作動状態を、中立状態と呼ぶ。ドアチェック装置100が中立状態であるときに車両ドアDRを開動作させた場合、図14(a)に示すようにロッド部材3及び第1ピストン部材4が左方に移動する。図14(a)に示すようなドアチェック装置100の作動状態を、開動作状態と呼ぶ。また、ドアチェック装置100が中立状態であるときに車両ドアDRを閉動作させた場合、図14(c)に示すようにロッド部材3及び第1ピストン部材4が右方に移動する。図14(c)に示すようなドアチェック装置100の作動状態を、閉動作状態と呼ぶ。また、ロッド部材3の直径をD、作動室Sの直径(すなわち第1作動空間S1及び第2作動空間S2の直径)をD、第1体積補償空間P1の直径をDP1、第2体積補償空間P2の直径をDP2と定義する。また、ロッド部材3の軸方向に垂直な面内におけるロッド部材3の断面積をS、作動室Sの軸方向(第1ピストン部材4の移動方向)に垂直な面内における作動室Sの断面積をS、第1体積補償空間P1の軸方向(第2ピストン部材5の移動方向)に垂直な面内における第1体積補償空間の断面積をSP1、第2体積補償空間P2の軸方向(第2ピストン部材5の移動方向)に垂直な面内における第2体積補償空間P2の断面積をSP2と定義する。
まず、ドアチェック装置100の作動状態が中立状態(図14(b))から開動作状態(図14(a))に変化したとき、すなわち車両ドアDRが開動作した場合における作動室Sの体積補償について説明する。ドアチェック装置100の作動状態が中立状態から開動作状態に変化した場合には、ロッド部材3が作動室Sに対して図14の左方に移動することにより、ロッド部材3が作動室Sから退出する。このときロッド部材3が作動室Sから引き出される軸方向長さ、すなわちロッドストロークをLと定義すると、作動室S内から退出した(引き出された)ロッド部材3の容積Vは、以下の(1)式により求めることができる。
=S・L (1)
この場合、作動室Sから容積V分のロッド部材3が退出したことにより、作動室Sの空間容積が容積V分だけ増加する。
また、ドアチェック装置100の作動状態が中立状態から開動作状態に変化した場合には、第2ピストン部材5が図14において右方に移動する。このため、第1体積補償空間P1から第2ピストン部材5が退出するとともに、第2体積補償空間P2に第2ピストン部材5が進入する。従って、第1体積補償空間P1の容積が増加するとともに、第2体積補償空間P2の容積が減少する。このときにおける第2ピストン部材5の移動量、すなわち第2ピストン部材5の移動ストロークをLと定義すると、第1体積補償空間P1の容積の増加量は、SP1・Lによって表され、第2体積補償空間P2の容積の減少量はSP2・Lによって表される。ここで、第2体積補償空間P2の断面積SP2は第1体積補償空間P1の断面積SP1よりも大きいから、第2体積補償空間P2の容積の減少量の方が、第1体積補償空間P1の容積の増加量よりも大きい。従って、体積補償室Pの空間容積は、第2ピストン部材5が右方移動することにより減少する。この場合、体積補償室Pの空間容積の減少量Vは、以下の(2)式により表される。
=L(SP2−SP1) (2)
このように、車両ドアDRが開動作した場合、作動室Sの空間容積はVだけ増加するのに対し、体積補償室Pの空間容積はVだけ減少する。作動室Sと体積補償室Pとは連通しているから、作動室Sの空間容積の増加量と体積補償室Pの空間容積の減少量を一致させることにより、作動室Sの空間容積の増加分が相殺される。つまり、作動室Sの体積補償がなされる。
(1)式と(2)式が等しい場合、以下の(3)式が成立する。
・L=(SP2−SP1)・L (3)
本実施形態においては、車両ドアDRが開動作する際に、(3)式を満たすように、第2ピストン部材5が移動する。つまり、車両ドアDRの開動作に伴い、(3)式を満たすように第2ピストン部材5の移動ストロークLが自動的に定まり、こうして定められた移動ストロークL分だけ第2ピストン部材5が移動することにより、作動室Sの体積補償がなされるのである。
次に、ドアチェック装置100の作動状態が中立状態(図14(b))から閉動作状態(図14(c))に変化したとき、すなわち車両ドアDRが閉動作した場合における作動室Sの体積補償について説明する。ドアチェック装置100の作動状態が中立状態から閉動作状態に変化した場合には、ロッド部材3が作動室Sに対して図14の右方に移動することにより、ロッド部材3が作動室Sに進入する。このときロッド部材3が作動室Sに進入する軸方向長さ、すなわちロッドストロークをLと定義すると、作動室S内に進入した(押し込まれた)ロッド部材3の容積Vは上記(1)式により求めることができる。この場合、作動室Sに容積V分のロッド部材3が進入したことにより、作動室Sの空間容積が容積V分だけ減少する。
また、ドアチェック装置100の作動状態が中立状態から閉動作状態に変化した場合には、第2ピストン部材5が図14において左方に移動する。このため、第1体積補償空間P1に第2ピストン部材5が進入するとともに、第2体積補償空間P2から第2ピストン部材5が退出する。従って、第1体積補償空間P1の容積が減少するとともに、第2体積補償空間P2の容積が増加する。このときにおける第2ピストン部材5の移動量、すなわち第2ピストン部材5の移動ストロークをLと定義すると、第1体積補償空間P1の容積の減少量は、SP1・Lによって表され、第2体積補償空間P2の容積の増加量はSP2・Lによって表される。ここで、第2体積補償空間P2の断面積SP2は第1体積補償空間P1の断面積SP1よりも大きいから、第2体積補償空間P2の容積の増加量の方が、第1体積補償空間P1の容積の減少量よりも大きい。従って、体積補償室Pの空間容積は、第2ピストン部材5が左方移動することにより増加する。この場合、体積補償室Pの空間容積の増加量Vは、上記(2)式により表される。
このように、車両ドアDRが閉動作した場合、作動室Sの空間容積はV分だけ減少するのに対し、体積補償室Pの空間容積はV分だけ増加する。作動室Sと体積補償室Pとは連通しているから、作動室Sの空間容積の減少量と体積補償室Pの空間容積の増加量を一致させることにより、作動室Sの空間容積の減少分が相殺される。つまり、作動室Sの体積補償がなされる。
本実施形態においては、車両ドアDRが閉動作する際にも(3)式を満たすように第2ピストン部材5が移動する。つまり、車両ドアDRの閉動作に伴い、(3)式を満たすように第2ピストン部材5の移動ストロークLが自動的に定まり、こうして定められた移動ストロークL分だけ第2ピストンが移動することにより、作動室Sの体積補償がなされるのである。
ちなみに、(3)式の左辺は、以下の(4)式のように表現することができる。
・L=(S−(S−S))・L (4)
(4)式を(3)式の左辺に代入することにより、以下の(5)式が導かれる。
(S−(S−S))・L=(SP2−SP1)・L (5)
ここで、ドアチェック装置100が図14(b)に示す中立状態であるときから図14(a)に示す開動作状態に変化した場合、或いは図14(b)に示す中立状態であるときから図14(c)に示す閉動作状態に変化した場合における、第1作動空間S1の容積変化量をVS1、第2作動空間S2の容積変化量をVS2、第1体積補償空間P1の容積変化量をVP1、第2体積補償空間P2の容積変化量をVP2とすると、VS1,VS2,VP1,VP2は、それぞれ以下の(6)式〜(9)式により表される。
S1=(S−S)・L (6)
S2=S・L (7)
P1=SP1・L (8)
P2=SP2・L (9)
(6)式〜(9)式を(5)式に代入することにより、以下の(10)式が得られる。
S2−VS1=VP2−VP1 (10)
(10)式から、第2作動空間S2の容積変化量と第1作動空間S1の容積変化量の差と、第2体積補償空間P2の容積変化量と第1体積補償空間P1の容積変化量の差とを等しくすることにより、作動室Sの体積補償がなされることがわかる。また、VS1は、ロッド部材3が第1作動空間S1内に配設されている分だけVS2よりも小さい。よって、(10)式の左辺は正である。従って、(10)式が成立するためには、VP1はVP2よりも小さくなければならない。つまり、作動室Sの体積補償を実現するためには、第2ピストン部材5が体積補償室P内を移動する際における第1体積補償空間P1の容積変化量が第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さくなければならない。換言すれば、第2ピストン部材5が体積補償室P内を移動する際における第1体積補償空間P1の容積変化量が第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さくなるように、第2シリンダ部分9及び第2ピストン部材5を構成することにより、作動室Sの体積補償がなされるのである。さらに詳しく言えば、第2ピストン部材5が第1体積補償空間P1の容積を減少し且つ第2体積補償空間P2の容積を増加するように体積補償室P内を移動したときにおける第1体積補償空間P1の容積減少量が第2体積補償空間P2の容積増加量よりも少なく、第2ピストン部材5が第1体積補償空間P1の容積を増加し且つ第2体積補償空間P2の容積を減少するように体積補償室P内を移動したときにおける第1体積補償空間P1の容積増加量が第2体積補償空間P2の容積減少量よりも少なくなるように、第2シリンダ部分9及び第2ピストン部材5を構成することにより、車両ドアDRの開動作時及び閉動作時に作動室Sの体積補償がなされるのである。
また、(10)式に(6)式〜(9)式を代入すると、以下の(11)式が得られる。
(S−SSr)・L=(SP2−SP1)・L (11)
ここで、SSr=S−Sである。また、断面積Sは第2作動空間S2の空間断面積(オイルが存在することのできる部分の断面積)であり、断面積SSrは、第1作動空間S1の空間断面積(すなわち第1作動空間の断面積からロッド部材が存在する面積を除いた面積)である。断面積SをSS2として表し、断面積SSrをSS1として表した場合、(11)式は(12)式のように表現される。
(SS2−SS1)・L=(SP2−SP1)・L (12)
また、第2作動空間S2の容積変化量と第2体積補償空間P2の容積変化量は等しいはずであるから、以下の(13)式が成立する。
S2・L=SP2・L (13)
(13)式から以下の(14)式が導かれる。
=(SS2・L)/SP2 (14)
(14)式を(12)式に代入することにより、以下の(15)式が得られる。
(SS2−SS1)=(SP2−SP1)・(SS2/SP2) (15)
(15)式を変形すると、以下の(16)式が得られる。
(SS1/SS2)=(SP1/SP2) (16)
(16)式は、第1作動空間S1の空間断面積と第2作動空間S2の空間断面積の比が、第1体積補償空間P1の断面積(空間断面積)と第2体積補償空間P2の断面積(空間断面積)の比と等しいことを表す。換言すれば、第1作動空間S1の空間断面積と第2作動空間S2の空間断面積の比が、第1体積補償空間P1の空間断面積と第2体積補償空間P2の空間断面積の比と等しくなるように、体積補償室Pを形成することにより、確実に、ロッド部材3の進退に伴う作動室Sの体積補償を行うことができる。
また、SS1は、ロッド部材3が第1作動空間S1内に配設されている分だけSS2よりも小さい。よって、(16)式の左辺は1よりも小さい。従って、(10)式が成立するためには、SP1はSP2よりも小さくなければならない。つまり、作動室Sの体積補償を実現するためには、第1体積補償空間P1の断面積SP1が第2体積補償空間P2の断面積SP2よりも小さくなければならない。換言すれば、第1体積補償空間P1の断面積SP1が第2体積補償空間P2の断面積SP2よりも小さくなるように、第2シリンダ部分9及び第2ピストン部材5を構成することにより、作動室Sの体積補償がなされるのである。
このように、本実施形態によれば、上述した原理に従って動作する体積補償部材(第2シリンダ部分9及び第2ピストン部材5)を設けたことにより作動室Sの体積補償がなされるので、ロッド部材3を作動室Sを貫通するように構成しなくてもよい。よって、ロッド部材3の長さを短縮することができ、その結果、ドアチェック装置をコンパクトに構成することができる。
また、本実施形態においては、第2体積補償空間P2の断面積SP2と第1体積補償空間P2の断面積SP1との差(SP2−SP1)が、ロッド部材3の断面積S以上であるように、第2シリンダ部分9が構成されている。このように構成されている場合、上記(3)式が成立するためには、第2ピストン部材5の移動ストロークLがロッドストロークL以下でなければならない。換言すれば、差(SP2−SP1)がロッド部材3の断面積S以上であるように第2シリンダ部分9を構成することにより、第2ピストン部材5の移動ストローク量をロッドストローク量よりも小さくすることができる。このため第2シリンダ部分9の軸方向長さを短くすることができる。
また、本実施形態によれば、第1シリンダ部分8と第2シリンダ部分9が平行配置され、且つ、第2シリンダ部分9が第1シリンダ部分8の上方に設けられている。このためドアチェック装置100のロッド長手方向における長さを短くすることができる。
また、本実施形態に係るドアチェック装置100は、第1シリンダ部分8と第2シリンダ部分9が一体的に形成されたケース部材2を備える。そして、このケース部材2が揺動可能に車両ドアDRに取り付けられている。このようにケース部材2に第1シリンダ部分8と第2シリンダ部分9とを一体的に形成することにより、ドアチェック装置100の製造コスト及び組み付けコストを削減することができる。
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係るドアチェック装置200の概略断面図である。このドアチェック装置200は、バルブユニット6の構造を除き、第1実施形態に係るドアチェック装置100と同一である。図15に示す構成のうち、第1実施形態に係るドアチェック装置100の構成と同一の構成が、同一の符号で示される。
ドアチェック装置200に備えられるバルブユニット6は、第1バルブ64と、第2バルブ65と、バルブプレート66とを有する。図16は、ドアチェック装置200に備えられるバルブユニット6を示す図である。
バルブプレート66は円板状に形成されている。バルブプレート66には、その一端面から他端面にかけて貫通する第1連通孔66a及び第2連通孔66bが形成されている。第1連通孔66a内に第1バルブ64が配設され、第2連通孔66b内に第2バルブ65が配設される。
図16に良く示すように、第1バルブ64は第1球体641及び第1スプリング642を備える。また、第1連通孔66aの内壁面には、第2バルブ空間Q2側から第1バルブ空間Q1側に向かうにつれて径が小さくされたテーパ面66cが設けられている。第1球体641はこのテーパ面66cに係合することによって第1連通孔66aを封止することができるように構成される。第1スプリング642は、その一端が第1球体641に係止されており、第1球体641を第1連通孔66a内のテーパ面66cに押し付ける方向に第1球体641を付勢している。
第2バルブ65は第2球体651及び第2スプリング652を備える。また、第2連通孔66bの内壁面には、第1バルブ空間Q1側から第2バルブ空間Q2側に向かうにつれて径が小さくされたテーパ面66dが設けられている。第2球体651はこのテーパ面66dに係合することによって第2連通孔66bを封止することができるように構成される。第2スプリング652は、その一端が第2球体651に係止されており、第2球体651を第2連通孔66b内のテーパ面66dに押し付ける方向に第2球体651を付勢している。
第1バルブ64は、第1バルブ空間Q1の圧力PQ1と第2バルブ空間Q2の圧力PQ2との差圧ΔPQ12(=PQ1−PQ2)が第1スプリング642の弾性力に基づく開弁圧以下であるときに閉成し、差圧ΔPQ12が第1スプリング642の弾性力に基づく開弁圧よりも大きいときに開成する。第2バルブ65は、第2バルブ空間Q2の圧力PQ2と第1バルブ空間Q1の圧力PQ1との差圧ΔPQ21(=PQ2−PQ1)が第2スプリング652の弾性力に基づく開弁圧以下であるときに閉成し、差圧が第2スプリング652の弾性力に基づく開弁圧よりも大きいときに開成する。
第1バルブ64及び第2バルブ65が閉成しているときは、第1シリンダ間接続通路21を介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通及び第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通が遮断される。第1バルブ64又は第2バルブ65が開成しているときは、第1シリンダ間接続通路21を介した第1作動空間S1と第1体積補償空間P1との間のオイルの流通及び第2シリンダ間接続通路22を介した第2作動空間S2と第2体積補償空間P2との間のオイルの流通が許可される。
第2実施形態に係るドアチェック装置200においても、第1実施形態に係るドアチェック装置100と同様に、車両ドアDRの開閉動作時に第2ピストン部材5が体積補償室P内を移動することにより、作動室Sの体積補償がなされる。
(変形例1)
図17は、第2実施形態の変形例に係るドアチェック装置300の概略断面図である。このドアチェック装置300には、バルブ室Qが設けられておらず、バルブユニット6が作動室Sの第2作動空間S2に設けられている。それ以外の構成はドアチェック装置200と同一であるので、その具体的な説明は省略する。
(変形例2)
図18は、第2実施形態の他の変形例に係るドアチェック装置400の概略断面図である。このドアチェック装置400には、ドアチェック装置300と同様にバルブ室Qが設けられていない。ただし、バルブユニット6は、体積補償室Pの第2体積補償空間P2に設けられている。それ以外の構成はドアチェック装置200と同一である。
変形例1及び変形例2に示されるように、バルブユニット6は、第1シリンダ部分8内の作動室Sに設けられていてもよいし、第2シリンダ部分9内の体積補償室Pに設けられていてもよい。つまり、バルブユニット6は、車両ドアDRの開閉動作に伴ってオイルが流通する空間のどこに設けられていてもよい。
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態に係るドアチェック装置500の概略断面図である。このドアチェック装置500は、上述のドアチェック装置100の第1シリンダ部分8に相当する第1シリンダ部材8aと、第2シリンダ部分9に相当する第2シリンダ部材9aを有する。第2シリンダ部材9aは、第1シリンダ部材8aとは分離して配置されている。
ドアチェック装置500は、第1連通管25(第1連通路)及び第2連通管26(第2連通路)を備える。第1連通管25は、第1シリンダ部材8aの作動室Sの第1作動空間S1と、第2シリンダ部材9a内のバルブ室Qの第1バルブ空間Q1とを連通する。第2連通管26は、第1シリンダ部材8a内の作動室Sの第2作動空間S2と、第2シリンダ部材9a内の体積補償室Pの第2体積補償空間P2とを連通する。すなわち、第1実施形態に係る第1シリンダ間接続通路21が本実施形態の第1連通管25に相当し、第1実施形態に係る第2シリンダ間接続通路22が本実施形態の第2連通管26に相当する。
上記した構成以外の構成であって、第1実施形態に係るドアチェック装置100の構成と同一の構成については、図19において同一の符号で示される。
本実施形態に係るドアチェック装置500においても、上記第1実施形態に係るドアチェック装置100と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施形態によれば、第1シリンダ部材8aと第2シリンダ部材9aが分離しているため、第2シリンダ部材9aを車両ドアDR内の任意の位置に配設することができる。このため、ドアチェック装置500の配置に関する自由度が向上する。また、車両ドアDR内の他の部品との干渉を避けるように第2シリンダ部材9aを車両ドアDR内に配設することにより、車両ドアDR内の他の部品の寸法及び配置に関する自由度をも向上させることができる。
(第4実施形態)
図20は、第4実施形態に係るドアチェック装置600の概略断面図である。本実施形態に係るドアチェック装置600において、第2シリンダ部分9内に径が一定の円柱状空間が形成される。この円柱状空間により体積補償室Pが形成される。体積補償室P内に第2ピストン部材5が配設される。
第2ピストン部材5は、円柱状の第2ピストン部54と、シールリング55とを備える。第2ピストン部54は一端面54a及び他端面54bを有し、一端面54a側がロッド長手方向における前側を向くように体積補償室P内に配設される。また、第2ピストン部54の一端面54aの中央部には有底凹部54cが形成される。有底凹部54cは、一端面54aからロッド長手方向に沿って後方に向かって形成される。また、シールリング55は第2ピストン部54の外周面に形成された周方向溝内に配設される。シールリング55は、体積補償室Pを形成する第2シリンダ部分9の内壁に接触する。第2ピストン部材5により、体積補償室P内の空間が第1体積補償空間P1と第2体積補償空間P2とに区画される。また、本実施形態において、バルブユニット6は、体積補償室P内の第2体積補償空間P2内に配設されている。
また、体積補償室P内に、固定ロッド92(固定部材)が配設される。固定ロッド92は、第2シリンダ部分9の前壁91から立設され、体積補償室P内で第2ピストン部材5が移動する方向、すなわち体積補償室Pの軸方向(第1体積補償空間P1及び第2体積補償空間P2の軸方向)に沿って延びている。固定ロッド92の軸芯位置と第2ピストン部54の軸芯位置は一致しており、固定ロッド92の先端部分が第2ピストン部54の中央に形成された有底凹部54c内に挿通される。有底凹部54cに挿通されている固定ロッド92の先端部分の外周面には周方向溝が形成され、この周方向溝内にシールリング93が配設される。シールリング93により、固定ロッド92の外周壁と有底凹部54cの内周壁との間の隙間が封止される。それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。第1実施形態に示した構成と同一の構成については同一の符号で示される。
本例においても、車両ドアDRの開閉動作に伴ってロッド部材3及び第1ピストン部材4が作動室S内で移動すると、第2ピストン部材5が体積補償室P内で移動する。この場合において、例えば第2ピストン部材5が図20の左方(ロッド長手方向前方)に移動すると、第1体積補償空間P1の容積が減少するとともに第2体積補償空間P2の容積が増加する。このとき第1体積補償空間P1内に配設された固定ロッド92が第2ピストン部54に形成された有底凹部54c内に進入する。また、第2ピストン部材5が図20の右方(ロッド長手方向後方)に移動すると、第1体積補償空間P1の容積が増加するとともに第2体積補償空間P2の容積が減少する。このとき第1体積補償空間P1内に配設された固定ロッド92が第2ピストン部54に形成された有底凹部54cから退出する。
第1体積補償空間P1内の中央部分に固定ロッド92が配設されているため、第1体積補償空間P1の空間断形状は第1作動室Sの空間断面形状と同じようにリング形状を呈する。また、第1体積補償空間P1の空間断面積は、固定ロッド92の断面積分だけ第2体積補償空間P2の空間断面積よりも小さい。従って、第2ピストン部材5が体積補償室P内で移動した場合において、第1体積補償空間P1の容積変化量は、第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さい。このため、ロッド部材3が作動室S内を移動する際における作動室Sの体積補償を行うことができる。
本実施形態に係るドアチェック装置600によれば、第1体積補償空間P1内に固定ロッド92を配設することによって、第2ピストン部材5が体積補償室P内を移動する際に第1体積補償空間P1の容積変化量が第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さくされる。そのため、第1体積補償空間P1の容積変化量を第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さくするために第1体積補償空間P1の径を第2体積補償空間P2の径よりも小さくさせる必要がない。つまり、体積補償室Pの径をその軸方向に沿って一定の径にすることができ、第2シリンダ部分9の内壁の異径加工を廃止できる。このため第2シリンダ部分9の内壁加工が極めて容易になる。また、第2ピストン部54の外径も軸方向に沿って一定にすることができるから、第2ピストン部材5の加工も容易になる。よって、ドアチェック装置の製造工数及び製造コストを低減することができる。さらに、第2ピストン部54に形成された有底凹部54c内を固定ロッド92が挿通することによって、第2ピストン部材5が移動した際における第2ピストン部54と固定ロッド92との干渉を防止することができる。
(第5実施形態)
図21は、第5実施形態に係るドアチェック装置700の概略断面図である。本実施形態に係るドアチェック装置700に備えられる第2シリンダ部分9内にも、上記第4実施形態と同様に、径が一定の円柱状空間が形成されている。この円柱状空間により、バルブ室Qと体積補償室Pが形成される。
体積補償室P内に第2ピストン部材5が配設される。本実施形態において、第2ピストン部材5は、第2ピストン部56と、第1シール部材57と、第2シール部材58とを備える。
第2ピストン部56は、小径部分56a(第1部分)と、小径部分56aに連結された大径部分56b(第2部分)とを有し、段付円柱状に形成される。小径部分56a及び大径部分56bはともに円柱状に形成されており、同軸状に配置している。小径部分56aの外径は大径部分56bの外径よりも小さい。つまり、軸方向に垂直な面内における小径部分56aの断面積は、大径部分56bの断面積よりも小さい。そして、小径部分56aが大径部分56bのロッド長手方向における前方に位置するように、第2ピストン部56が体積補償室P内に配設される。このとき、第2ピストン部56の軸方向と体積補償室Pの軸方向が一致する。このようにして体積補償室P内に配設された第2ピストン部56は、体積補償室P内を、その軸方向に沿って移動可能である。
第1シール部材57は、第1シール保持部57aとシールリング57bとを有する。第1シール保持部57aはリング形状を呈し、その外周面が第2シリンダ部分9の内周壁に周方向に沿って固定される。また、第1シール保持部57aの内周面に周方向溝が形成されており、この周方向溝内にシールリング57bが配設される。シールリング57bは、第2ピストン部56の小径部分56aの外周面に接触する。
第2シール部材58は、第2シール保持部58aとシールリング58bとを有する。第2シール保持部58aはリング形状を呈し、その外周面が第2シリンダ部分9の内周壁に周方向に沿って固定される。第2シール保持部58aは、第1シール保持部57aよりもロッド長手方向における後方側の位置にて、第2シリンダ部分9の内周壁に固定されている。また、第2シール保持部58aの内周面に周方向溝が形成されており、この周方向溝内にシールリング58bが配設される。シールリング58bは、第2ピストン部56の大径部分56bの外周面に接触する。
第1シール部材57のシールリング57bが第2ピストン部56の小径部分56aに接触することにより、第1シール部材57の前後の空間の連通が遮断される。このため、第1シール部材57よりも前方に第1体積補償空間P1が画成される。また、第2シール部材58のシールリング58bが第2ピストン部56の大径部分56bに接触することにより、第2シール部材58の前後の空間の連通が遮断される。このため、第2シール部材58よりも後方に第2体積補償空間P2が画成される。すなわち、第1シール部材57及び第2シール部材58により、体積補償室P内の空間が第1体積補償空間P1と第2体積補償空間P2に区画される。
第2ピストン部材5が体積補償室P内で移動した場合、第2ピストン部56の小径部分56aが第1体積補償空間P1内に進入し、或いは第1体積補償空間P1内から退出する。また、第2ピストン部材5が体積補償室P内で移動した場合、第2ピストン部56の大径部分56bが第2体積補償空間P2内に進入し、或いは第2体積補償空間P2内から退出する。また、第2ピストン部56の小径部分56aと大径部分56bは連結されているため、小径部分56aが第1体積補償空間P1内に進入したときは、大径部分56bが第2体積補償空間P2から退出し、小径部分56aが第1体積補償空間P1内から退出したときは、大径部分56bが第2体積補償空間P2内に進入する。
また、小径部分56aの外周壁と第2シリンダ部分9の内周壁との間の距離は、大径部分56bの外周壁と第2シリンダ部分9の内周壁との間の距離よりも長い。このため、第1シール保持部57aの径方向厚さ(図21において上下方向に沿った長さ)は、第2シール保持部58aの径方向厚さよりも厚い。つまり、第1シール部材57には径方向厚さの厚いシール保持部が用いられ、第2シール部材58には径方向厚さの薄いシール保持部が用いられる。それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。第1実施形態に示した構成と同一の構成については同一の符号で示される。
本実施形態においても、車両ドアDRの開閉動作に伴ってロッド部材3及び第1ピストン部材4が作動室S内で軸方向移動すると、第2ピストン部材5が体積補償室P内で軸方向移動する。この場合において、例えば第2ピストン部材5が図21の左方(ロッド長手方向前方)に移動すると、第1体積補償空間P1内に第2ピストン部56の小径部分56aが進入することによって第1体積補償空間P1の容積が減少するとともに、第2体積補償空間P2内から第2ピストン部56の大径部分56bが退出することによって第2体積補償空間P2の容積が増加する。また、第2ピストン部材5が図21の右方(ロッド長手方向後方)に移動すると、第1体積補償空間P1内から第2ピストン部56の小径部分56aが退出することによって第1体積補償空間P1の容積が増加するとともに,第2体積補償空間P2内に第2ピストン部56の大径部分56bが進入することによって第2体積補償空間P2の容積が減少する。
また、第1体積補償空間P1内に進入或いは退出する小径部分56aの移動方向(軸方向)に垂直な面内における小径部分56aの断面積は、第2体積補償空間P2内に進入或いは退出する大径部分56bの移動方向(軸方向)に垂直な面内における大径部分56bの断面積よりも小さい。従って、第2ピストン部材5が体積補償室P内で移動した場合において、第1体積補償空間P1の容積変化量は、第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さい。このため、作動室Sの体積補償を行うことができる。
また、本実施形態に係るドアチェック装置700によれば、第2ピストン部56のうち、第1体積補償空間P1に進入あるいは退避する部分の径と第2体積補償空間P2に進入或いは退避する部分の径を異ならせることにより、すなわちピストン部材側の形状を工夫することにより、第2ピストン部材5が移動する際における第1体積補償空間P1の容積変化量が第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さくされる。そのため、第1体積補償空間P1の容積変化量を第2体積補償空間P2の容積変化量よりも小さくするために第1体積補償空間P1の径を第2体積補償空間P2の径よりも小さくさせる必要がない。つまり、体積補償室Pの径をロッド長手方向に沿って一定の径にすることができる。よって、上記第4実施形態と同様に、第2シリンダ部分9の内壁加工が極めて容易になり、それ故に、ドアチェック装置の製造工数及び製造コストを低減することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。図22は、第6実施形態に係るドアチェック装置800の概略断面図である。図22に示すように、第6実施形態に係るドアチェック装置800は、第2バルブ62に備えられる第2突起部625の円錐部分の先端に設けられた樹脂製の係止ロッド626を備える。この係止ロッド626が本発明の棒状の規制部材に相当する。なお、第1バルブ61に備えられる第1突起部615には、このような係止ロッドは設けられていない。
係止ロッド626は一方端及び他方端を有する棒状の部材であり、その一方端が第2突起部625の円錐部分の先端(頂部)に接続される。係止ロッド626は、その軸方向がロッド長手方向に一致するように、第2突起部625の円錐部分の先端からロッド長手方向における後方に延在する。また、図22に示すように第2バルブ62の第2弁体621が第2連通孔63bを塞いでいるときに、係止ロッド626の他方端は、第2バルブ空間Q2を突き抜けて第1体積補償空間P1に位置する。従って、図22に示す状態においては、係止ロッド626の他方端は、体積補償室P内にて第2ピストン部51の小径ピストン部51aの端面に対面する。
また、本実施形態においても、前述の各実施形態と同様に、車両ドアDRの閉動作が進行するにつれて、第2ピストン部材5がロッド長手方向における前方に、すなわち、第1体積補償空間P1の容積を減少する方向に、移動する。従って、車両ドアDRの開度と第2ピストン部材5の位置とは相関関係を有しており、車両ドアDRの開度が小さいほど、すなわち車両ドアDRの開閉位置が全閉位置に近いほど、第2ピストン部材5はロッド長手方向における前方側に位置する。
それ以外の構成は、上記第1実施形態に係るドアチェック装置100の構成と同一であるので、それらの具体的な説明は省略する。
このような構成のドアチェック装置800によれば、車両ドアDRが所定の開度で開いている状態から閉動作すると、図23に示すように、第2バルブ62がバルブプレート63から離れてロッド長手方向における前方に移動する。これにより、第2連通孔63bが開放される。また、車両ドアDRの閉動作に伴い第2ピストン部材5がロッド長手方向前方に移動する。
車両ドアDRの動作を全閉近傍位置にて停止させた場合、第2バルブ62が、第2永久磁石622とバルブプレート63との間に生じる磁力によりバルブプレート63に引き寄せられる。このため第2バルブ62がロッド長手方向における後方に移動する。これとともに、係止ロッド626もロッド長手方向における後方に移動して、第2ピストン部材5に近づく。そして、第2バルブ62が所定の距離だけロッド長手方向後方に移動したときに、係止ロッド626の他方端が、第2ピストン部材5の小径ピストン部51aの端面に当接する。
図24は、車両ドアDRの開閉位置が全閉近傍位置にある場合において、第2ピストン部材5の小径ピストン部51aの端面に係止ロッド626の他方端が当接した状態が示された、ドアチェック装置800の概略断面図である。図24に示すように、第2バルブ62は、係止ロッド626と小径ピストン部51aが当接することによって、ロッド長手方向における後方への移動、すなわちバルブプレート63に近づく方向への移動が規制される。こうした規制状態においては、第2バルブ62の第2ヨーク623がバルブプレート63に接触していない。よって、第2永久磁石622とバルブプレート63との間に閉磁路が形成されない。また、第1永久磁石622とバルブプレート63との距離も長い。よって、第2永久磁石622とバルブプレート63との間に作用する磁力は、微弱である。つまり、第6実施形態に係るドアチェック装置800は、車両ドアDRが全閉近傍位置にて停止している場合における保持力が非常に弱くなるように、構成される。
また、図24に示す状態においては、係止ロッド626が第2ピストン部材5に当接することにより第2バルブ62のロッド長手方向における後方へのそれ以上の移動が規制されるため、第2弁体621が図24に示す状態からさらにバルブプレート63に近づいて第2連通孔63bを塞ぐことができない。このため、第2連通孔63bが開放された状態が維持される。
このように、本実施形態に係るドアチェック装置800は、車両ドアDRの開閉位置が全閉位置の近傍領域(全閉近傍領域)に位置しているときに、保持力が弱く、且つ、第2連通孔63bが開放されている(すなわち第2バルブ62が第2連通孔63bを塞いでいない)状態が、実現されるように構成される。ここで、このような状態が実現されるためには、係止ロッド626の軸方向長さが、車両ドアDRが全閉位置の近傍領域として予め定められる全閉近傍領域に位置しているときに係止ロッド626の他方端が第2ピストン部材5の小径ピストン部51aの端面に接することによって第2弁体621が第2連通孔63bを塞ぐことができないような長さに設定される必要がある。
車両ドアDRが全閉近傍領域にて開閉動作を停止しているときに車両ドアDRを全閉させる操作を実行した場合、車室内の圧力、及び、車両ドアDRに設けられているウェザーストリップが車体に接触することにより生じる弾性力が、車両ドアDRの操作力に対する抵抗力として作用する。このため、これらの圧力及び弾性力に加え、ドアチェック装置800による保持力が発生した場合、かなり強い力で車両ドアDRを動作させないと、車両ドアDRを閉めきることができない。また、車両ドアDRが全閉近傍領域にて開閉動作を停止しているときに車室内から車両ドアDRを開く操作を実行する際には、車両ドアDRを操作する者は、腕を曲げた状態から車両ドアDRに操作力を伝達することとなる。このような体勢からでは、力を車両ドアDRに伝達させ難い。よって、力の弱い者は、車両ドアDRを開くことが困難になる。
この点に関し、本実施形態に係るドアチェック装置800は、上記したように、車両ドアDRが全閉近傍領域にて開閉動作を停止しているときには、保持力が非常に弱くなり、且つ、第2連通孔63bが開放されるように構成されている。従って、操作者は、さほどの力を要することなく、全閉位置近傍にから車両ドアDRをスムーズに開閉操作することができる。
(第7実施形態)
図25は、第7実施形態に係るドアチェック装置900の概略断面図である。図25に示すように、本実施形態に係るドアチェック装置900は、第1ピストン部材4とロッド部材3との間に設けられたダンパピストン43と、第1シリンダ部分8の前壁81(ロッド挿通壁)から立設されたダンパ部材44とを備える。
ダンパピストン43は、ピストン部43a及びOリング43bを備える。ピストン部43aは、一方端面がロッド部材3のロッド長手方向における後方端(他方端32)に接続され、他方端面が第1ピストン部材4の第1ピストン部41の一端面41aに接続された円柱状の部材であり、ロッド部材3及び第1ピストン部41と同軸的に配置される。Oリング43bは、ピストン部43aの周面に形成された周方向溝内に配設される。
ダンパ部材44は、ロッド部材3がその内周側に位置するように円筒形状に形成されるとともに、その軸方向がロッド長手方向に一致するように前壁81から立設される。そして、ダンパ部材44は、ロッド長手方向における後方端部に開口した開口端部441を有する。また、図25に示すように、ダンパ部材44には、その内周面から外周面にかけて貫通した複数の貫通孔が形成される。本実施形態では、3つの貫通孔(第1貫通孔44a、第2貫通孔44b、第3貫通孔44c)が形成される。第1貫通孔44aは第2貫通孔44bよりもロッド長手方向における後側の位置に形成され、第2貫通孔44bは第3貫通孔44cよりもロッド長手方向における後側の位置に形成される。つまり、ロッド長手方向における後側から順に、第1貫通孔44a、第2貫通孔44b、及び第3貫通孔44cが、ダンパ部材44の軸方向に沿ってダンパ部材44に形成される。
ダンパ部材44の内径は、ダンパピストン43の外径、具体的には、ダンパピストン43のピストン部43aの周面に装着されたOリング43bの外径に、ほぼ等しい。また、第1ピストン部材4が図25に示す状態からロッド長手方向における前方に移動したときに、ダンパピストン43がダンパ部材44の開口端部441を塞いでダンパ部材44の内部に入り込むことができるように、ダンパ部材44がダンパピストン43に対して配設される。
また、本実施形態におけるドアチェック装置900も、前述の各実施形態に係るドアチェック装置と同様に、車両ドアDRの開動作が進行するにつれて、第1ピストン部材4がロッド長手方向における前方に、すなわち、第1作動空間S1の容積を減少する方向に、移動する。従って、車両ドアDRの開度と第1ピストン部材4の位置とは相関関係を有しており、車両ドアDRの開度が大きいほど、すなわち車両ドアDRの開閉位置が全開位置に近いほど、第1ピストン部材4はロッド長手方向における前方側に位置する。なお、図25からわかるように、ダンパ部材44は、第1作動空間S1のうちロッド長手方向における前方部位に設けられている。従って、第1ピストン部材4の前方に位置するダンパピストン43は、第1ピストン部材4がロッド長手方向における前方側に位置するとき、すなわち、車両ドアDRの開閉位置が全開位置の近傍領域として予め定められる全開近傍領域に位置するときに、ダンパ部材44内に入り込むことになる。それ以外の構成は、上記第1実施形態に係るドアチェック装置100の構成と同一であるので、それらの具体的な説明は省略する。
ドアチェック装置900が図25に示す状態であるときから、車両ドアDRが開く方向に動作した場合、第1ピストン部材4がロッド長手方向前方に移動する。図26A、図26B、図26C、図26Dは、第1ピストン部材4が図25に示す位置から徐々にロッド長手方向における前方に移動していく様子が順に示された、ドアチェック装置900の概略断面図である。つまり、車両ドアDRが開いていくにつれて、第1ピストン部材4のロッド長手方向における位置が、図25、図26A、図26B、図26C、図26Dに示す順に、変化する。
図26Aに示す状態においては、ダンパピストン43は、ダンパ部材44内に入り込んでいない。この場合、第1ピストン部材4のロッド長手方向における前方への移動により、ダンパ部材44内のオイルは、ダンパ部材44の開口端部441、第1貫通孔44a、第2貫通孔44b、及び第3貫通孔44cを経由してダンパ部材44の外部に流れ、さらに第1シリンダ間接続通路21を経てバルブ室Q内に導入される。
図26Aに示す状態から、さらに車両ドアDRの開動作が進行して車両ドアDRの開閉位置が全開位置の近傍領域(全開近傍領域)に達すると、図26Bに示すように、さらに第1ピストン部材4がロッド長手方向における前方に移動して、ダンパピストン43の先端部分がダンパ部材44内に入り込む。これにより、ダンパ部材44の開口端部441がダンパピストン43により塞がれる。また、図26Bに示す状態においては、ダンパピストン43のOリング43bのロッド長手方向における位置は、ダンパ部材44に形成された第1貫通孔44aよりも後方位置である。この場合、第1ピストン部材4のロッド長手方向における前方への移動により、ダンパ部材44内のオイルは、第1貫通孔44a、第2貫通孔44b、及び第3貫通孔44cを経由してダンパ部材44の外部に流れ、さらに第1シリンダ間接続通路21を経てバルブ室Q内に導入される。
図26Bに示す状態から、さらに車両ドアDRの開動作が進行すると、図26Cに示すように、ダンパピストン43がダンパ部材44内にさらに入り込む。図26Cに示す状態においては、ダンパ部材44内に入り込んでいるダンパピストン43のOリング43bのロッド長手方向における位置が、ダンパ部材44に形成された第1貫通孔44aよりも前方位置であり且つ第2貫通孔44bよりも後方位置である。この場合、第1ピストン部材4のロッド長手方向における前方への移動により、ダンパ部材44内のオイルは、第2貫通孔44b及び第3貫通孔44cを経由してダンパ部材44の外部に流れ、さらに第1シリンダ間接続通路21を経てバルブ室Q内に導入される。
図26Cに示す状態から、さらに車両ドアDRの開動作が進行し、ほぼ全開位置にまで車両ドアDRが開くと、図26Dに示すように、ダンパピストン43がダンパ部材44内にさらに入り込む。図26Dに示す状態においては、ダンパ部材44内に入り込んでいるダンパピストン43のOリング43bのロッド長手方向における位置が、ダンパ部材44に形成された第2貫通孔44bよりも前方位置であり且つ第3貫通孔44cよりも後方位置である。この場合、第1ピストン部材4のロッド長手方向における前方への移動により、ダンパ部材44内のオイルは、第3貫通孔44cを経由してダンパ部材44の外部に流れ、さらに第1シリンダ間接続通路21を経てバルブ室Q内に導入される。
上記説明からわかるように、車両ドアDRが開動作する場合において、車両ドアDRの開閉位置が全開近傍領域にまで達していない場合、図26Aに示すようにダンパ部材44の開口端部441はダンパピストン43に塞がれていない。この場合、ダンパ部材44内の流体がダンパ部材44の外部に流出するために通過する部分の断面積は大きい。一方、車両ドアDRの開閉位置が全開近傍領域に達すると、図26Bに示すように、ダンパピストン43によってダンパ部材44の開口端部441が塞がれる。従って、ダンパ部材44内のオイルは、ダンパ部材44に形成された貫通孔を通ってのみ、外部に流出することができる。さらに、全開近傍領域内で車両ドアDRの開閉動作が進行してダンパピストン43がダンパ部材44に進入する量(進入ストローク)が増加するほど、ダンパ部材44内のオイルがダンパ部材44の外部に流出するために通過することができる貫通孔の数が減少する。オイルが通過することができる貫通孔の数が少ないほど、オイルの通過断面積(流路断面積)が小さい。つまり、車両ドアDRを開く場合において、ダンパ部材44内のオイルがダンパ部材44の外部に流出する際の流路断面積は、車両ドアDRの開動作が進行して車両ドアDRの開閉位置が全開位置に近づくほど、小さくされる。
ダンパ部材44内のオイルがダンパ部材44の外部に流出する際の流路断面積が小さいほど、流路抵抗が増加する。この流路抵抗は、車両ドアDRを開く場合に操作者が車両ドアDRに入力する操作力に対する抵抗力として、車両ドアDRに作用する。従って、本実施形態によれば、車両ドアDRの開操作時であって、車両ドアDRの開閉位置が全開近傍領域に位置している場合において、車両ドアDRが全開位置に近づくほど、操作力に対する抵抗力が増加する。
車両ドアDRの全開時には、ドアチェック装置に備えられているストッパ等が係止部材等に当接することにより、それ以上の車両ドアDRの開動作が規制される。ここで、非常に強い操作力で車両ドアを全開位置まで開いたとき、すなわち車両ドアを全開位置まで強開した時には、強開する際に車両ドアDRに入力される大きな操作力がストッパに作用することによって、ストッパが破損する虞がある。こうした強開によるストッパの破損を防止するため、本実施形態に係るドアチェック装置900は、第1ピストン部材4とロッド部材3との間に設けられたダンパピストン43と、第1シリンダ部分8の前壁81から立設され、ロッド部材3がその内周側に位置するように円筒形状に形成されたダンパ部材44と、を備える。そして、ダンパ部材44は、車両ドアDRの全開位置の近傍領域として予め定められる全開近傍領域に車両ドアDRが位置しているときにダンパピストン43が内部に挿入されてダンパ部材44の開口端部441がダンパピストン43で塞がれるように構成されているとともに、その軸方向に沿って形成された複数の孔(第1貫通孔44a、第2貫通孔44b、第3貫通孔44c)を有する。
本実施形態によれば、上記したように、全開近傍領域において車両ドアが全開位置に近づくほど、流路抵抗力すなわちドアの操作力に対する抵抗力が増加する。よって、車両ドアが強開された場合であっても、車両ドアDRが全開位置に近づくほど増加する抵抗力によって操作力が弱められる。そして、車両ドアDRが全開位置に達したときには、操作力が十分に低下する。その結果、車両ドアの強開によるストッパの破損を防止することができる。
(第8実施形態)
図27は、第8実施形態に係るドアチェック装置1000の概略断面図である。本実施形態に係るドアチェック装置1000は、流路面積調整装置27を備える。図27においては、流路面積調整装置27は、第1シリンダ間接続通路21内に配設される。流路面積調整装置27は、操作部28及びホルダ29を有する。操作部28はホルダ29内にはめ込まれる。
図28は、流路面積調整装置27の分解斜視図である。図28に示すように、操作部28は、円板状の蓋部281と、蓋部281の一方面から突起状に突出するつまみ部282と、蓋部281の他方面から延在するとともに蓋部281と同軸的に配置する円柱状の軸部283とを有する。軸部283の外周面には周方向に溝が形成されていて、この溝内にOリング284が配設される。また、軸部283内には、その中心軸を通り且つ外周面に両端が開口する直線状の通路285が形成される。
ホルダ29は、一方向に長い直方体状に形成される。ホルダ29内に円柱状空間291が形成される。この円柱状空間291は、軸方向がホルダ29の長手方向に一致するようにホルダ29内に形成される。円柱状空間291の一方端は、ホルダ29の一方の端面292に開口する。円柱状空間291の他方端は塞がれている。また、ホルダ29の長手方向に沿った4つの側面のうちの対抗する2側面(図27においては上側面293及び下側面294)に、それぞれ開口する連通路(上側通路295、下側通路296)が形成される。上側通路295はその一端にてホルダ29の上側面293に開口するとともにその他端にて円柱状空間291の周面に開口する。下側通路296はその一端にてホルダ29の下側面294に開口するとともにその他端にて円柱状空間291の周面に開口する。また、上側通路295と下側通路296は、円柱状空間291の軸方向における同一の位置にて、円柱状空間291に開口する。
操作部28の軸部283は、ホルダ29に形成された円柱状空間291内に挿入される。そして、軸部283に形成された通路285とホルダ29に形成された上側通路295及び下側通路296が連通可能となるように、ホルダ29内での軸部283の位置が定められる。このとき、軸部283の外周に設けられているOリング284とホルダ29内の円柱状空間291を形成する周壁面が接触することにより、円柱状空間291の壁面と軸部283との間の隙間が封止される。
図29は、図27のA−A断面図であり、流路面積調整装置27がドアチェック装置1000に装着された状態を示す。図29に示すように、ドアチェック装置1000のケース部材2に挿入孔2aが形成される。挿入孔2aは、ケース部材2の第1シリンダ部分8と第2シリンダ部分9との間に形成される。また、挿入孔2aの図29において下側部分にて、挿入孔2aが第1シリンダ部分8内の第1作動空間S1に連通し、挿入孔2aの図29において上側部分にて、挿入孔2aが第2シリンダ部分9内の第1バルブ空間Q1に連通する。この挿入孔2a内に流路面積調整装置27が挿入される。このとき、ホルダ29に形成された下側通路296が第1シリンダ部分8内の第1作動空間S1に連通し、ホルダ29に形成された上側通路295が第2シリンダ部分9内の第1バルブ空間Q1に連通し、ホルダ29にはめ込まれた操作部28の蓋部281及びつまみ部282が外部に露出するように、流路面積調整装置27が挿入孔2a内に挿入される。また、挿入孔2aを形成する壁面とホルダ29との間の隙間は、図示しない接着剤或いはOリングにより塞がれる。さらに、操作部28の蓋部281に止め具286が装着される。この止め具286によって操作部28の抜け落ちが防止される。
また、図29からわかるように、第1シリンダ部分8内の第1作動空間S1と第2シリンダ部分9内の第1バルブ空間Q1は、流路面積調整装置27の操作部28に形成された通路285、ホルダ29に形成された上側通路295及び下側通路296により、連通される。すなわち、本実施形態においては、通路285、上側通路295及び下側通路296により、第1シリンダ間接続通路21(第1連通路)が形成される。
上述したように、流路面積調整装置27の操作部28に形成されているつまみ部282は、外部に露出している。従って、つまみ部282を回動操作することにより、ホルダ29内における操作部28の姿勢が変化する。図30は、ホルダ29内にて操作部28がとり得る様々な姿勢を示す断面図である。図30(a)に示す状態においては、操作部28内の通路285の軸方向が、ホルダ29内の上側通路295及び下側通路296の軸方向に一致するような姿勢で、操作部28がホルダ29内に配設されている。この場合、通路285の図30(a)において上側端は上側通路295に全て開口し、通路285の図30(a)において下側端は下側通路296に全て開口する。一方、図30(b)に示す状態においては、操作部28内の通路285の軸方向が、ホルダ29内の上側通路295及び下側通路296の軸方向に対して傾斜するような姿勢で、操作部28がホルダ29内に配設されている。この場合、通路285の図30(b)において上側端の開口の一部が、ホルダ29内の円柱状空間291を構成する壁面に塞がれ、通路285の図30(b)において下側端の開口の一部が、ホルダ29内の円柱状空間291を構成する壁面に塞がれる。
図30(a)に示す状態であるとき、操作部28内の通路285の開口面積が最も大きい。これに対し、図30(b)に示す状態であるとき、操作部28内の通路285の開口面積は、図30(a)に示す状態である場合における通路285の開口面積よりも小さい。ここで、通路285は、上記したように第1シリンダ間接続通路21を構成するため、車両ドアDRの開閉動作時にオイルがこの通路285を流通する。また、通路285をオイルが通過する際の抵抗力は、通路285の開口面積に依存する。具体的には、通路285の開口面積が小さいほど流体抵抗力は大きい。この流体抵抗力は、車両ドアDRを開閉する際における操作力に対する抵抗力として、車両ドアDRに作用する。従って、図30(a)に示す状態であるとき、操作力に対する抵抗力は小さく、図30(b)に示す場合であるとき、操作力に対する抵抗力は大きい。このように、本実施形態によれば、流路面積調整装置27の操作部28のつまみ部282を回動操作して、通路285の開口断面積、すなわち第1シリンダ間接続通路21の流路断面積を調整することによって、操作力に対する抵抗力を調整することができる。
車両ドアDRを開閉操作する上で、どの程度の操作力で車両ドアDRを開閉することが好ましいかは、車両ドアDRを操作する者の体格や筋力等の差によって異なる。従来のドアチェック装置においては、操作力に対する抵抗力は常に一定であったので、車両ドアDRを操作する者の好みに応じて操作力に対する抵抗力を調整することができなかった。この点に関し、本実施形態に係るドアチェック装置1000は、第1シリンダ間接続通路21(第1連通路)を構成する通路285の開口断面積、すなわち第1シリンダ間接続通路21の流路断面積を調整する流路面積調整装置27を備えている。従って、流路面積調整装置27の操作部28のつまみ部282を回動操作して通路285の開口断面積(第1シリンダ間接続通路21の流路断面積)を調整することにより、操作力に対する抵抗力を調整することができる。よって、車両ドアDRを操作する者の好みに応じて、車両ドアDRを開閉させるための操作力に対する抵抗力を変更することができる。
(第9実施形態)
図31は、第9実施形態に係るドアチェック装置1100の概略断面図である。図31に示すように、このドアチェック装置1100に備えられる第2シリンダ部分8内の空間には、連通室Uが形成される。連通室Uは、第1バルブ空間Q1と第1シリンダ間接続通路21との間の領域、すなわちバルブ室Qのロッド長手方向における前方側に形成される。
また、第1バルブ空間Q1と連通室Uとの間に第1ダイヤフラム67が設けられ、第2バルブ空間Q2と第1体積補償空間P1との間に第2ダイヤフラム68が設けられる。従って、バルブ室Qのロッド長手方向における両端に一対のダイヤフラム(第1ダイヤフラム67、第2ダイヤフラム68)が設けられることになる。このため、バルブ室Qは、第2シリンダ部分8の内壁面と、一対のダイヤフラム67,68により区画される。第1ダイヤフラム67及び第2ダイヤフラム68は、弾性変形可能な板状部材(例えば樹脂)により構成される。
第1ダイヤフラム67の中央部位に第1孔671が形成され、第2ダイヤフラム68の中央部位に第2孔681が形成される。第1孔671は、第1バルブ空間Q1と連通室Uとを連通する。第2孔681は、第2バルブ空間Q2と第1体積補償空間P1とを連通する。バルブ室Q内の流体は、第1孔671及び第2孔681を通じてのみ、その外部に流通可能にされる。それ以外の構成は、上記第1実施形態に係るドアチェック装置100の構成と同一であるので、それらの具体的な説明は省略する。
ドアチェック装置1100が図31に示す状態にある場合に車両ドアDRを開動作させるように操作力が車両ドアDRに加えられた場合、第1バルブ空間Q1内のオイルが圧縮力を受けることにより、第1バルブ空間Q1の圧力PQ1が上昇する。斯かる圧力上昇により第1バルブ空間Q1の圧力PQ1と第2バルブ空間Q2の圧力PQ2との圧力差(ΔPQ12=PQ1−PQ2)が増加する。そして、圧力差ΔPQ12が第1バルブ61とバルブプレート63との間に生じている磁力に基づく開弁圧を上回ると、第1バルブ61がバルブプレート63から離れる。これにより第1バルブ61が開いて第1連通孔63aが連通する。
第1バルブ61が開いて第1連通孔63aが連通した場合、第1連通孔63aを経由して第1バルブ空間Q1から第2バルブ空間Q2に高圧のオイルが流れ込む。このとき第2バルブ空間Q2に流れ込んだオイルの圧力により第2ダイヤフラム68が弾性変形して膨らむことにより、第2バルブ空間Q2に流れ込むオイルの運動エネルギーが第2ダイヤフラム68によって吸収される。これにより、第1バルブ61が開いた際における第2バルブ空間Q2内の急激な圧力上昇が緩和される。図32Aは、第2ダイヤフラム68が膨らんだ状態を示す、ドアチェック装置1100の概略断面図である。
第1バルブ空間Q1の圧力PQ1と第2バルブ空間Q2の圧力PQ2との圧力差ΔPQ12は、第1バルブ61が開いた瞬間に最も大きく、その後、第1バルブ空間Q1から第1連通孔63aを経由して第2バルブ空間Q2にオイルが流れるにつれて圧力差ΔPQ12が徐々に小さくなる。そして、圧力差ΔPQ12が0になったときに、第2ダイヤフラム68が元の形状に戻る。また、第1バルブ空間Q1から第2バルブ空間Q2に流れ込んだオイルは、第2ダイヤフラム68に形成されている第2孔681を通って第1体積補償空間P1に流出される。
また、ドアチェック装置1100が図31に示す状態にある場合に車両ドアDRを閉動作させるように操作力が車両ドアDRに加えられた場合、第2バルブ空間Q2内のオイルが圧縮力を受けることにより、第2バルブ空間Q2の圧力PQ2が上昇する。斯かる圧力上昇により第2バルブ空間Q2の圧力PQ2と第1バルブ空間Q1の圧力PQ1との圧力差ΔPQ21(=PQ2−PQ1)が増加する。そして、圧力差ΔPQ21が第2バルブ62とバルブプレート63との間に生じている磁力に基づく開弁圧を上回ると、第2バルブ62がバルブプレート63から離れる。これにより第2バルブ62が開いて第2連通孔63bが連通する。
第2バルブ62が開いて第2連通孔63bが連通した場合、第2連通孔63bを経由して第2バルブ空間Q2から第1バルブ空間Q1内に高圧のオイルが流れ込む。このとき第1バルブ空間Q1に流れ込んだオイルの圧力により第1ダイヤフラム67が弾性変形して膨らむことにより、第1バルブ空間Q1に流れ込むオイルの運動エネルギーが第1ダイヤフラム67によって吸収される。これにより、第2バルブ62が開いた際における第1バルブ空間Q1内の急激な圧力上昇が緩和される。図32Bは、第1ダイヤフラム67が膨らんだ状態を示す、ドアチェック装置1100の概略断面図である。
第2バルブ空間Q2の圧力PQ2と第1バルブ空間Q1の圧力PQ1との圧力差ΔPQ21は、第2バルブ62が開いた瞬間に最も大きく、その後、第2バルブ空間Q2から第2連通孔63bを経由して第1バルブ空間Q1にオイルが流れるにつれて圧力差ΔPQ21が徐々に小さくなる。そして、圧力差ΔPQ21が0になったときに、第1ダイヤフラム67が元の形状に戻る。また、第2バルブ空間Q2から第1バルブ空間Q1に流れ込んだオイルは、第1ダイヤフラム67に形成されている第1孔671を通って連通室Uに流出される。
このように、本実施形態に係るドアチェック装置1100は、車両ドアDRの開閉開始時、すなわち、第1バルブ61又は第2バルブ62がバルブプレート63から離れたとき、換言すれば第1バルブ61又は第2バルブ62が開いたときにおける、バルブ室Qの圧力の急変が緩和されるように構成される。
第1バルブ61又は第2バルブ62が開いてバルブ室Q内の圧力が急変した場合、その圧力変化に起因した振動が発生する。この振動により異音が発生する。発生した異音は車両ドアDRに伝播され、車両ドアDR内で反響することによって拡大される虞がある。よって、特に静粛性を求める車両においては、このような異音は発生しない方が好ましい。この点に関し、本実施形態によれば、第1バルブ61が開いた際に第2ダイヤフラムが膨らむことによって第1連通孔63aを経由して第1バルブ空間Q1から第2バルブ空間Q2に流れ込むオイルの運動エネルギーが吸収されるため、バルブ室Qの圧力の急変が緩和される。同様に、第2バルブ62が開いた際に第1ダイヤフラムがふくらむことによって第2連通孔63bを経由して第2バルブ空間Q2から第1バルブ空間Q1に流れ込むオイルの運動エネルギーが吸収されるため、バルブ室Qの圧力の急変が緩和される。このため、本実施形態に係るドアチェック装置1100によれば、車両ドアDRを開閉動作させる際における異音の大きさを低減することができる。
(第10実施形態)
図33は、第10実施形態に係るドアチェック装置1200の概略断面図である。本実施形態に係るドアチェック装置1200は、ケース部材2を揺動可能に支持するための支持構造に関し、その他の実施形態に係るドアチェック装置と異なる。
図33に示すように、ドアチェック装置1200のケース部材2の上面及び下面にテーパピン75,75が上下方向に沿って同軸的に取り付けられる。それぞれのテーパピン75,75はテーパブッシュ76,76を介してブラケット77,77に回転可能に連結される。ブラケット77,77は、上下方向に垂直な方向に沿って互いに平行に伸びており、その先端部分(図33において前端部分)にてボルト等の締結部材によって車両ドアDRに固定される。従って、ケース部材2は、テーパピン75,75を中心として上下方向に垂直な平面内で揺動可能にテーパピン75,75に支持された状態で、車両ドアDRの内部に取り付けられる。
ブラケット77,77には、上下方向に貫通する取付孔771がそれぞれ形成される。この取付孔771に、テーパブッシュ76を介してテーパピン75が挿入される。従って、テーパブッシュ76は、テーパピン75と取付孔771との間に配設される。
図34は、図33のB部拡大図であり、ケース部材2、テーパピン75、及びブラケット77の、取付構造を示す図である。図34に示すように、テーパピン75は、円錐台形状の頭部751と、頭部751の頂面(図34においては頭部751の下面)から延設された円柱状の軸部752と、軸部752の先端(図34においては軸部752の下端)に軸部752と同軸的に設けられるとともに軸部752の径よりも大きい径を有する円板状の係止部753とを有する。
また、テーパブッシュ76はテーパ形状を呈しており、その中央に円孔が形成される。テーパブッシュ76はブラケット77に形成された取付孔771にはめ込まれる。なお、ブラケット77に形成された取付孔771の内壁面にテーパブッシュ76に形成されたテーパ状の外周面76aが面接触するように、取付孔771の内壁面もテーパ状に形成される。
また、テーパピン75の頭部751の外周面751aが、ブラケット77の取付孔771にはめ込まれたテーパブッシュ76の内周面76b上に被せられる。ここで、図34に示すように、テーパピン75の頭部751の外周面751aは、ケース部材2の揺動軸Cに対してテーパ状に形成される。同様に、テーパブッシュ76の内周面76bは、ケース部材2の揺動軸Cに対してテーパ状に形成される。そして、テーパピン75の頭部751の外周面751aのテーパ角度とテーパブッシュ76の内周面76bのテーパ角度は同一である。従って、図34に示すようにテーパピン75の頭部75がテーパブッシュ76に被せられたとき、テーパピン75の頭部751の外周面751aとテーパブッシュ76の内周面76bは、面接触する。
上記のようにしてテーパピン75の頭部751がテーパブッシュ76に被せられた場合、テーパピン75の軸部752及び係止部753は、ブラケット77の取付孔771及びテーパブッシュ76の円孔を通過して図34において下方に延びる。そして、係止部753が、ケース部材2の上壁面に形成されている孔内に挿通される。これにより、ドアチェック装置1200のケース部材2が、テーパピン75を介してブラケット77に揺動可能に固定される。また、テーパピン75の軸部752の外周側には、リング状の樹脂製スペーサ85が配設されている。この樹脂製スペーサ85は、ブラケット77とケース部材2とにより挟まれる。
また、テーパピン75の頭部751の底面(図34においてテーパピン75の頭部751の上面)に、周り止め用の止めピン78が差し込まれている。この止めピン78は、図33に示すように、アーム部材79を介してドアチェック装置1200のケース部材2に固定される。止めピン78によって、テーパピン75のケース部材2に対する回動が阻止される。それ以外の構成は、上記第一実施形態に係るドアチェック装置100の構成とほぼ同一であるので、それらの具体的な説明は省略する。
上記構成のドアチェック装置1200において、車両ドアDRの開閉動作に伴い、ドアチェック装置1200のケース部材2がテーパピン75,75を中心として揺動する。この場合において、テーパピン75の頭部751の外周面751aがテーパブッシュ76の内周面76bと摩擦摺動することによって、ケース部材2の揺動が許容される。
ドアチェック装置1200のケース部材2が上下方向に振動した場合、その振動エネルギーは、テーパピン75を介してテーパブッシュ76に伝達される。このとき、互いに面接触しているテーパピン75の頭部751の外周面751aとテーパブッシュ76の内周面76bが、摩擦摺動する。斯かる摩擦摺動によって振動エネルギーが吸収されることにより、上下方向の振動が減衰される。また、上下振動は、テーパピン75及びテーパブッシュ76を介してブラケット77に伝達される。このためブラケット77の曲げ弾性によって振動エネルギーが吸収されることにより、上下振動が減衰される。このように、テーパピン75とテーパブッシュ76との摩擦摺動及びブラケット77の曲げ弾性により上下振動が減衰されるため、車両ドアDRへの上下振動の伝達量を低減することができる。
また、ドアチェック装置1200のケース部材2がロッド長手方向(前後方向)に振動した場合、その振動エネルギーは、テーパピン75を介してテーパブッシュ76に伝達される。このとき、互いに面接触しているテーパピン75の頭部751の外周面751aとテーパブッシュ76の内周面76bが、摩擦摺動する。斯かる摩擦摺動によって振動エネルギーが吸収されることにより、ロッド長手方向の振動が減衰される。また、ロッド長手方向の振動は、テーパピン75とテーパブッシュ76とのテーパ面での係合により、上下方向への振動に変換される。こうして上下方向に変換された振動エネルギーは、ブラケット77の曲げ弾性により吸収される。このように、テーパピン75とテーパブッシュ76との摩擦摺動及びブラケット77の曲げ弾性によりロッド長手方向の振動が減衰されるため、車両ドアDRへのロッド長手方向の振動の伝達量を低減することができる。本実施形態ではこのようにて車両ドアDRへの振動の伝達量が低減されることによって、ドアチェック装置1200の振動に起因して発生する異音の大きさを低減することができる。
以上、本発明の様々な実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は、上記の各実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、車両への乗員の乗り降りのための開口を開閉する車両ドアDRに適用されるドアチェック装置について説明したが、車両のバックドア等にも本発明を適用することもできるし、また、車両以外のドア、例えば家屋に備え付けられているドアにも本発明を適用することができる。また、バルブユニット6は、例えば第3実施形態において第1連通管25内或いは第2連通管26内に設けることもできる。
また、上記第7実施形態では、図25に示すように、ダンパ部材44に複数の貫通孔を軸方向に沿って設けた例を示したが、複数の貫通孔の代わりに、軸方向に長いスリット状の凹部をダンパ部材44に設けてもよい。また、上記第8実施形態では、図27に示すように、第1バルブ空間Q1と第1作動空間S1との間の第1シリンダ間接続通路21に流路面積調整装置27を設けた例を示したが、第2体積補償空間P2と第2作動空間S2との間の第2シリンダ間接続通路22に流路面積調整装置を設けてもよい。さらに、上記第8実施形態では、流路面積調整装置27が、操作部28及びホルダ29により構成される例を示したが、ホルダ29に相当する構成は、ケース部材2に直接形成されていてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
100,200,300,400,500,600,700,800,900,1000,1100,1200…ドアチェック装置、2…ケース部材、2a 挿入孔、21…第1シリンダ間接続通路(第1連通路)、22…第2シリンダ間接続通路(第2連通路)、25…第1連通管(第1連通路)、26…第2連通管(第2連通路)、27…流路面積調整装置、28…操作部、29…ホルダ、3…ロッド部材、31…一方端、32…他方端、4…第1ピストン部材、41…第1ピストン部、41a…一端面、41b…他端面、41c…周面、42…第1シールリング、43…ダンパピストン、43a…ピストン部、43b…Oリング、44…ダンパ部材、44a…第1貫通孔、44b…第2貫通孔、44c…第3貫通孔、5…第2ピストン部材(体積補償部材)、51…第2ピストン部、51a…小径ピストン部、51b…大径ピストン部、52…第2シールリング、53…第3シールリング、54…第2ピストン部、54a…一端面、54b…他端面、54c…有底凹部、55…シールリング、56…第2ピストン部、56a…小径部分(第1部分)、56b…大径部分(第2部分)、57…第1シール部材、57a…第1シール保持部、57b…シールリング、58…第2シール部材、58a…第2シール保持部、58b…シールリング、6…バルブユニット(弁部材)、61,64…第1バルブ、611…第1弁体、612…第1永久磁石(第1磁石)、615…第1突起部、62,65…第2バルブ、621…第2弁体、622…第2永久磁石(第2磁石)、625…第2突起部、626…係止ロッド、63,66…バルブプレート、63a,66a…第1連通孔、63b,66b…第2連通孔、67…第1ダイヤフラム、671…第1孔、68…第2ダイヤフラム、681…第2孔、71…回転軸ピン、73…アーム、75…テーパピン、751…頭部、751a…外周面、752…軸部、753…係止部、76…テーパブッシュ、76a…外周面、76b…内周面、77…ブラケット、771…取付孔、8…第1シリンダ部分(第1シリンダ部材)、8a…第1シリンダ部材、81…前壁(ロッド挿通壁)、81a…孔(ロッド挿通孔)、9…第2シリンダ部分(第2シリンダ部材、体積補償部材)、9a…第2シリンダ部材(体積補償部材)、91…前壁、92…固定ロッド(固定部材)、93…シールリング、B…車体(本体)、DR…車両ドア(ドア)、P…体積補償室、P1…第1体積補償空間、P2…第2体積補償空間、S…作動室、S1…第1作動空間、S2…第2作動空間、Q…バルブ室、Q1…第1バルブ空間、Q2…第2バルブ空間、U…連通室

Claims (17)

  1. ドアに揺動可能に取り付けられ、非圧縮性流体が充填された作動室が内部に形成されるとともに、前記作動室内の空間に連通するロッド挿通孔が形成されたロッド挿通壁を有する第1シリンダ部材と、
    前記ドアが揺動可能に取り付けられる本体に揺動可能に連結され、前記作動室を貫通しないように前記ロッド挿通孔を経由して前記作動室内に挿通されるとともに、前記本体に対する前記ドアの揺動動作に伴って前記作動室内を軸方向移動するロッド部材と、
    前記ロッド部材に取り付けられ、前記ロッド部材の軸方向移動に伴って前記作動室内を移動するように前記作動室内に配設されるとともに、前記作動室内の空間を、前記ロッド挿通壁に面する第1作動空間と前記ロッド挿通壁に面しない第2作動空間とに区画する第1ピストン部材と、
    非圧縮性流体が充填された体積補償室が内部に形成された第2シリンダ部材と、前記体積補償室内に移動可能に配設されるとともに、前記体積補償室内の空間を第1体積補償空間と第2体積補償空間とに区画する第2ピストン部材と、を有し、前記第2ピストン部材が前記体積補償室内を移動する際に前記第1体積補償空間の容積の変化量が前記第2体積補償空間の容積の変化量よりも小さくなるように構成される体積補償部材と、
    前記第1作動空間と前記第1体積補償空間とを連通する第1連通路と、
    前記第2作動空間と前記第2体積補償空間とを連通する第2連通路と、
    前記第1作動空間の圧力と前記第2作動空間の圧力との圧力差の大きさが所定の開弁圧よりも大きいときに、前記第1連通路を介した前記第1作動空間と前記第1体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通及び前記第2連通路を介した前記第2作動空間と前記第2体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通を許可し、前記圧力差の大きさが前記所定の開弁圧以下であるときに、前記第1連通路を介した前記第1作動空間と前記第1体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通及び前記第2連通路を介した前記第2作動空間と前記第2体積補償空間との間の非圧縮性流体の流通を遮断するように構成される弁部材と、
    を備える、ドアチェック装置。
  2. 請求項1に記載のドアチェック装置において、
    前記体積補償部材は、前記第2ピストン部材が前記第1体積補償空間の容積を減少し且つ前記第2体積補償空間の容積を増加するように前記体積補償室内を移動したときにおける前記第1体積補償空間の容積の減少量が前記第2体積補償空間の容積の増加量よりも少なく、前記第2ピストン部材が前記第1体積補償空間の容積を増加し且つ前記第2体積補償空間の容積を減少するように前記体積補償室内を移動したときにおける前記第1体積補償空間の容積の増加量が前記第2体積補償空間の容積の減少量よりも少なくなるように、構成される、ドアチェック装置。
  3. 請求項1又は2に記載のドアチェック装置において、
    前記体積補償室内での前記第2ピストン部材の移動方向に垂直な面内における前記第1体積補償空間の断面形状は、前記第2ピストンの移動方向に沿って一定であり、
    前記体積補償室内での前記第2ピストン部材の移動方向に垂直な面内における前記第2体積補償空間の断面形状は、前記第2ピストンの移動方向に沿って一定であり、
    前記第2ピストンの移動方向に垂直な面内における前記第1補償空間の断面積SP1が、前記第2ピストンの移動方向に垂直な面内における前記第2補償室空間の断面積SP2よりも小さくされている、ドアチェック装置。
  4. 請求項3に記載のドアチェック装置において、
    前記第1体積補償空間と前記第2体積補償空間は同軸の円柱形状に形成されており、前記第1体積補償空間の直径DP1が前記第2体積補償空間の直径DP2よりも小さくされている、ドアチェック装置。
  5. 請求項3又は4に記載のドアチェック装置において、
    前記第2体積補償空間の断面積SP2と前記第1体積補償空間の断面積SP1との差が、前記ロッド部材の断面積S以上である、ドアチェック装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のドアチェック装置において、
    前記第1体積補償空間内には、前記体積補償室内における前記第2ピストン部材の移動方向に沿って延びた固定部材が配設されており、
    前記第2ピストン部材に前記固定部材が挿通する凹部が形成されている、ドアチェック装置。
  7. 請求項1又は2に記載のドアチェック装置において、
    前記第2ピストン部材は、前記第1体積補償空間に進入又は前記第1体積補償空間から退出する第1部分と、前記第1部分に連結され前記第2体積補償空間に進入又は前記第2体積補償空間から退出する第2部分とを備え、
    前記第1部分の移動方向に垂直な断面積が、前記第2部分の移動方向に垂直な断面積よりも小さくされている、ドアチェック装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のドアチェック装置において、
    前記第1シリンダ部材と前記第2シリンダ部材が平行配置されている、ドアチェック装置。
  9. 請求項8に記載のドアチェック装置において、
    前記第2シリンダ部材が前記第1シリンダ部材の上方又は下方に設けられている、ドアチェック装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のドアチェック装置において、
    前記第1シリンダ部材と前記第2シリンダ部材が一体的に形成されるとともに、前記ドアに揺動可能に取り付けられたケース部材を備える、ドアチェック装置。
  11. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のドアチェック装置において、
    前記第2シリンダ部材は、前記第1連通路及び前記第2連通路を介して前記第1シリンダ部材とは分離して配置されている、ドアチェック装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載のドアチェック装置において、
    前記第2シリンダ部材内であって、前記第1体積補償空間と前記第1連通路との間の領域に、前記弁部材が配設された弁室が形成されており、
    前記弁部材は、
    磁性体により構成され、前記弁室内の空間を前記第1連通路に連通する第1バルブ空間と前記第1体積補償空間に連通する第2バルブ空間とに区画するとともに、前記第1バルブ空間と前記第2バルブ空間とを連通する第1連通孔及び第2連通孔が形成されたバルブプレートと、
    前記第2バルブ空間側から前記第1連通孔を塞ぐことができるように構成された第1弁体と、前記第1弁体に連結された第1磁石と、前記第1弁体が前記第1連通孔を塞いでいるときに前記第1連通孔を挿通するように前記第1弁体に連結された第1突起部と、を有する第1バルブと、
    前記第1バルブ空間側から前記第2連通孔を塞ぐことができるように構成された第2弁体と、前記第2弁体に連結された第2磁石と、前記第2弁体が前記第2連通孔を塞いでいるときに前記第2連通孔を挿通するように前記第2弁体に連結された第2突起部と、を有する第2バルブと、
    を備える、ドアチェック装置。
  13. 請求項12に記載のドアチェック装置において、
    一方端が前記第2突起部の先端に接続されるとともに、前記第2弁体が前記第2連通孔を塞いでいるときに他方端が前記第1体積補償空間に位置するように構成される棒状の規制部材を備え、
    前記第2ピストン部材は、前記ドアの閉動作が進行するにつれて前記第1体積補償空間の容積を減少する方向に移動するように構成され、
    前記規制部材の軸方向長さは、前記ドアが全閉位置の近傍領域として予め定められる全閉近傍領域に位置しているときに前記規制部材の他方端が前記第2ピストン部材に接することによって前記第2弁体が前記第2連通孔を塞ぐことができないような長さに設定される、ドアチェック装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載のドアチェック装置において、
    前記第1ピストン部材と前記ロッド部材との間に設けられたダンパピストン部材と、
    前記ロッド挿通壁から立設され、前記ロッド部材がその内周側に位置するように円筒形状に形成されたダンパ部材と、を備え、
    前記第1ピストン部材は、前記ドアの開動作が進行するにつれて前記第1作動空間の容積を減少する方向に移動するように構成され、
    前記ダンパ部材は、前記ドアの全開位置の近傍領域として予め定められる全開近傍領域に前記ドアが位置しているときに前記ダンパピストン部材が前記ダンパ部材の内部に挿入されて前記ダンパ部材の開口部が前記ダンパピストン部材で塞がれるように構成されているとともに、その軸方向に沿って延びたスリット状の凹部、又は軸方向に沿って形成された複数の孔、を有する、ドアチェック装置。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載のドアチェック装置において、
    前記第1連通路又は前記第2連通路の流路断面積を調整する流路断面積調整装置を備える、ドアチェック装置。
  16. 請求項12に記載のドアチェック装置において、
    前記第2シリンダ部材内であって、前記第1バルブ空間と前記第1連通路との間の領域に連通室が形成されており、
    前記第1バルブ空間と前記連通室との間に設けられ、第1バルブ空間内の圧力変動により弾性変形するとともに、前記第1バルブ空間と前記連通室とを連通する第1孔が形成された第1ダイヤフラムと、
    前記第2バルブ空間と前記第1体積補償空間との間に設けられ、前記第2バルブ空間内の圧力変動により弾性変形するとともに、前記第2バルブ空間と前記第1体積補償空間とを連通する第2孔が形成された第2ダイヤフラムと、
    を備える、ドアチェック装置。
  17. 請求項10に記載のドアチェック装置において、
    前記ドアに固定されるとともに取付孔が形成されたブラケットと、
    前記取付孔に挿入された状態で前記ケース部材に連結され、前記ケース部材を揺動可能に支持するテーパピンと、
    前記テーパピンと前記取付孔との間に配設されるテーパブッシュと、
    を備え、
    前記テーパピンは、前記ケース部材の揺動軸に対してテーパ状に形成された外周面を有する頭部を有し、前記テーパブッシュは、前記テーパピンの前記外周面に面接触するように前記ケース部材の揺動軸に対してテーパ状に形成された内周面を有する、ドアチェック装置。
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